JP6247746B2 - 環境に管理されるシステムにおける影響の学習 - Google Patents

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Description

本願は、あらゆる目的のために参照により援用される、2013年5月8日に出願された「環境に管理されるシステムにおける影響の学習」と題する米国仮出願第61/820963号の米国特許法119条(e)に基づく権利を主張する。
空間の温度及び湿度等の物理的状態の値が制御される必要のある多くの状況が存在する。2つの具体的な例は、人間が働くオフィスと、大量に並んだコンピュータ及びサーバを含むデータセンタのコンピュータ室である。物理的状態を制御するために、物理的状態のうちの1つ以上を変更できる環境維持モジュール又は単にモジュールと呼ぶ装置が空間に提供される。モジュールは、モジュールの動作を制御する環境アクチュエータ又は単にアクチュエータと呼ぶ1つ以上の調節可能な構成要素を有する。
製造業者は通常、内蔵型制御器と、外部からアクセス及び/又は調節が可能なアクチュエータの設定点とを有する一体型ユニットとして環境維持モジュールを提供する。これらのモジュールは、環境に制御(コントロール)される空間に設置されるか、あるいは例えばダクト工事により当該空間に少なくとも機能的に接続される。設定点は、管理者(職員、データセンタの業務職員、管理者、所有者、意思決定者又は機器の設置者等)により、管理される空間における所望の環境的状態を最適に維持するように選択される。多くの場合、環境空間内の環境アクチュエータと環境センサとの間に全てのアクチュエータの動作を調整するための通信が存在しないことが多い。
監視制御器(supervisory controller)の目的は、全ての環境アクチュエータの動作を調整しないシステムと比較してシステム全体の性能を向上するために、環境にコントロールされる空間内の環境アクチュエータ及び環境センサのうちの多くであり好ましくは全てと通信し、全ての環境アクチュエータの動作を調整することである。監視制御器は、危険な環境状態に対するシステムの応答性を向上し、全ての環境アクチュエータの総電力消費を減少し、システムの損耗を適切に管理する潜在能力及び他の利点を有する。
しかし、特定の用途に対して監視制御器により使用されるモデルの初期化及び更新が問題になる場合がある。例えばモデルの初期化手順は時間がかかる場合があり、システムが稼動する前に行われる必要がある場合がある。そのため、環境管理システムに監視制御器を追加設置することが困難になる。また、機器の追加又は移動等により環境にコントロールされる空間が更新される場合、モデルは正確であるように更新される必要がある。
本発明の実施形態は、環境維持システムの監視制御器に対する影響モデル(influence model)を更新することに関する。環境維持システムは、空間の温度、圧力又は湿度等の物理的状態をそれぞれ測定する少なくとも複数のセンサを備えてもよい。システムは、空調装置、加湿機/除湿機、あるいは物理的状態を変更できる他の装置等の複数の環境維持モジュールを更に備えてもよい。センサにより測定された値は、モジュール内のアクチュエータの動作レベルを調節するために監視制御器により使用されてもよい。
更新は、システムが環境を規定の範囲(例えば、温度範囲)内に維持している間に実行可能である。例えば所定の関数又は軌道(trajectory)はアクチュエータへの入力が変更される方法を指定でき、それにより、センサを監視しながらシステムの新しい挙動(例えば、初期挙動)を精査して影響モデル(influence model)に含むことができる。別個の初期化処理及び/又はモデル更新処理が不要であるため、コスト、設置時間及び実行時間を減少できる。
実施形態は、影響モデルを更新する方法であって、環境維持システムが第2のプロダクションモードに入ったと示すイベントが識別されるまで環境維持システムを第1のプロダクションモードで運転することを備える方法を含む。第1のプロダクションモードにおいて、システムは、センサ値を測定することと、第1のコスト関数を最小化すること及び動作レベルの結果得られるセンサ値を予測することによりアクチュエータの動作レベルを判定することとにより動作してもよい。動作レベルは、閾値を超過しないように制約されてもよい。
システムが第2のプロダクションモードに入ったことを識別するイベントは、自動的にスケジューリングされたイベントであってもよく、影響モデルの性能の低下の検出であってもよく、あるいは管理者が開始したイベントであってもよい。第2のプロダクションモードにおいて、システムは影響モデルを更新する(例えば、初期化の一部として)ように動作できる。これは、動作レベルが変更される第1のアクチュエータを判定することにより実現される。動作レベルの変更は選択された軌道に沿ってもよく、動作レベルの変更により、第1のプロダクションモードでは影響モデルにより動作レベルが達成できない値が達成されてもよい。第1のアクチュエータの動作レベルの変更の間、監視制御器は、空間の物理的状態を所望の範囲内に維持するように他のアクチュエータの動作レベルを調節するように動作してもよい。
第1のアクチュエータが軌道に沿って変更される際のアクチュエータの動作レベルを観測した結果、空間に対する影響モデルのパラメータを初期化又は更新できる。その結果、例えば電力消費を減少するために、アクチュエータに対する向上された動作レベルのセットが判定されてもよい。
少なくとも1つのアクチュエータに関連する影響モデルの信頼スコアを判定でき、閾値と比較できる。閾値を下回るスコアが存在することは、システムを第2のプロダクションモードに入らせるイベントとして使用されてもよい。
更に、センサ及びアクチュエータの過去に記録された実際の動作レベルを使用し、特定の時間に対する予測センサ値と観測センサ値とを比較し、比較に基づいて影響モデルを更新することにより、特定の時間に対するセンサ値の予測を行うことができる。更新は、最小二乗法を使用して影響モデルのパラメータを変更することを含んでもよい。空間の物理的状態の望ましくない値が観測された場合、第2のプロダクションモードを終了できる。
他の実施形態は、本明細書中で説明する方法に関連するシステム及びコンピュータ可読媒体に関する。
定義
本明細書中で使用される場合、環境管理システムは、環境センサ(温度、湿度、圧力等)及び環境維持モジュール(空気処理ユニット(AHU)、空調装置(AC)等)を備える。環境に管理されるシステムの一般的な例は、データセンタのコンピュータ室である。その場合、温度センサは、計算機器の吸気口における空気温度を監視する。コンピュータ室の空調装置(CRAC)は、冷却された空気が計算機器に供給され、当該機器からの熱気がCRACにより再度冷却されるように、空気を循環させる。
本明細書において、用語「AHU」又は「CRAC」は、特定の種類の環境維持機器の特定の特徴又は特性が注目されない限り、環境の物理的状態を変更できるあらゆる「環境維持モジュール」を意味するために使用される場合がある。
各環境維持モジュールは、モジュール制御器及びモジュール制御器の設定点により制御されるファン、弁、ポンプ等の能動アクチュエータを備えることができる。モジュール制御器は、当該設定点を追跡するように能動構成要素を動作するように構成される。本明細書中で使用される場合、用語「設定点」は、アクチュエータに対する種々のレベルの制御を含む。例えば「設定点」は、ファン回転速度等のアクチュエータ構成要素に対する直接コマンドであってもよく、あるいはオン/オフコマンドであってもよい。しかし、一般に、設定点は、追跡するための複数のアクチュエータ構成要素の相互作用を含んでもよい。例えばCRACが排気温度の設定点を追跡するために、CRAC制御器は自身の排気の温度を測定し、現在の設定点からのずれに依存して、直接膨張式コンプレッサ及び/又はファンの速度を調節して冷房出力を増加又は減少する。
図1は、本発明の一実施形態に係るサーバ室の間取りの一例を示す図である。 図2は、本発明の一実施形態に係るコンピュータ室の空調装置を示すブロック図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る監視制御器を初期化する方法の一実施形態を示すフローチャートである。 図4は、本発明の一実施形態に係る環境にコントロールされる空間に対する制御方法を示すブロック図である。 図5は、本発明の一実施形態に係る環境管理システムのモデルを更新する方法を示すフローチャートである。 図6は、本発明の一実施形態に係る監視制御器を使用して環境にコントロールされる空間を制御するシステムを示すブロック図である。 図7は、本発明の一実施形態に係る影響モデルを更新する方法を示すフローチャートである。 図8は、本発明の一実施形態に係るセンサ閾値に関する予測される効果の信頼区間を示す図である。 図9は、本発明の一実施形態に係る物理的状態の閾値に関するモデルの信頼区間を示す図である。 図10は、本発明の一実施形態に係る環境管理システムのモデルを更新する方法を示すフローチャートである。 図11は、本発明の一実施形態に係る決定エンジンを示すブロック図である。 図12Aは、本発明の一実施形態に係る除外領域を用いて及び用いずに2つの制御変数による総コストを示す等高線グラフである。 図12Bは、本発明の一実施形態に係る除外領域を用いて及び用いずに2つの制御変数による総コストを示す等高線グラフである。 図13Aは、本発明の一実施形態に係る軌道に沿って変更されている制御変数の軌道を示す図である。 図13Bは、本発明の一実施形態に係る軌道に沿って変更されている制御変数の軌道を示す図である。 図13Cは、本発明の一実施形態に係る軌道に沿って変更されている制御変数の軌道を示す図である。 図13Dは、本発明の一実施形態に係る軌道に沿って変更されている制御変数の軌道を示す図である。 図14Aは、本発明の一実施形態に係る変更されている制御変数に対する可能な軌道を示す図である。 図14Bは、本発明の一実施形態に係る変更されている制御変数に対する可能な軌道を示す図である。 図14Cは、本発明の一実施形態に係る変更されている制御変数に対する可能な軌道を示す図である。 図14Dは、本発明の一実施形態に係る変更されている制御変数に対する可能な軌道を示す図である。 図14Eは、本発明の一実施形態に係る変更されている制御変数に対する可能な軌道を示す図である。 図14Fは、本発明の一実施形態に係る変更されている制御変数に対する可能な軌道を示す図である。 図15Aは、本発明の一実施形態に係る機会コストを説明する2つの制御変数の総コストの等高線グラフの一例を示す図である。 図15Bは、本発明の一実施形態に係る機会コストを説明する2つの制御変数の総コストの等高線グラフの一例を示す図である。 図15Cは、本発明の一実施形態に係る機会コストを説明する2つの制御変数の総コストの等高線グラフの一例を示す図である。 図15Dは、本発明の一実施形態に係る機会コストを説明する2つの制御変数の総コストの等高線グラフの一例を示す図である。 図16は、本発明の実施形態に係るシステム及び方法と共に使用可能なコンピュータ装置の一例を示すブロック図である。
本発明の実施形態は、環境にコントロールされる空間の物理的状態を制御するために影響モデル又は単に「モデル」を使用し、維持し且つ更新する環境管理システムに対する監視制御器又は単に「監視制御器」に関する。本説明の第2節は、そのような環境管理システムの一般的な説明及び例、並びに特定の例を提供する。第3節は、環境管理システムにおいて監視制御器を使用する実施形態、並びに監視制御器により使用される影響モデルを更新するための実施形態を開示する。
I.環境管理システムの概要
A.概論
閉鎖されることの多い物理的空間は、種々の物理的状態の値が特定の所望の範囲内の値に維持される必要がある。そのような空間の例は、個室、オフィスビルのフロア全体、並びにデータセンタにおけるコンピュータサーバ室を含む。そのような物理的状態の例は、温度、圧力及び湿度を含む。環境管理システムの役割は、物理的状態を維持するように動作する1つ以上の環境維持モジュールの動作制御を提供することである。モジュールは、物理的状態に影響を及ぼすように機能するファン回転速度又は弁の設定等の種々の調節可能な構成要素を有する。これらの構成要素は、例えばファンに対する電圧設定又は弁に対する回転設定であるアクチュエータの値により制御される。環境管理システムの目的は、アクチュエータの値の効果的な組み合わせを見つけることにより、環境にコントロールされる空間の物理的状態を所望の範囲内に維持することである。更なる目的は、最も効率的なそのような組み合わせを見つけることである。システムに対する他の目的が更に存在してもよい。
システムのモジュールは、種々の方法で制御されてもよい。第1の制御方法は、管理者による完全な手動制御である。本方法はモジュール及びセンサが少ないシステムに対して効果的であるが、大規模システムに対して効果的且つ効率的に動作する可能性は低く、システムは大規模である場合が多い。第2のシステム制御方法は、自身のアクチュエータに対する内蔵型制御器の制御の下のみで自律的に動作するモジュールを有する。例えば1つの温度センサ及び1つのAHUのみを有する単一の事務室は、室温により判定される単純なオン/オフ制御アルゴリズムを有することができる。複数のセンサ及びモジュールを備える大規模システムも、各モジュールが1つ以上の温度センサの値に自律的に応答して動作するように実現されてもよい。そのようなシステムは効果的であるが、効率的である可能性は低い。
複数のセンサからの値に基づいて複数のモジュールにおけるアクチュエータの設定を調節できる1つ以上の監視制御器を使用することにより、システム、特に複数のセンサ及びモジュールを有する大規模システムに対して、より優れた効率を達成できる。アクチュエータの調節可能な設定を「制御変数(control variable)」と呼ぶ。制御変数の例は、ファンの電圧及び弁の設定を含み、本明細書中、用語「アクチュエータ値」は、制御変数の特定の値を参照するために使用される。アクチュエータ値は、「オン」又は「オフ」を含むブール値、実数値、16進値、可能な範囲の百分率(例えば、弁の開放の場合の50%)又は他の形態のデータ値を含んでもよい。文脈から明らかである場合、用語「制御変数」及び「アクチュエータ値」は交換可能に使用されてもよい。監視制御器(例えば、コンピュータサブシステムを介する)は、センサ及びモジュールのうちのいくつか又は全てと通信可能にリンク可能である。監視制御器は、特に複数のモジュールにわたり複数のアクチュエータ値を変更することにより生じる相互に関係する効果を説明する処理を使用できる。監視制御器は、保守又は機械の故障による非稼動状態等の種々のモジュールの変化した機能性を補償する1つ以上の方法を更に使用できる。
監視制御器は、汎用コンピュータ、マイクロコンピュータ又はマイクロコントローラ上で実現されるプログラムを介して実現されてもよい。監視制御器は、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)においてハードウェア又はファームウェアで直接実現されてもよい。監視制御器は、使用中の制御処理を管理者が更新又はオーバーライドできるユーザインタフェース(UI)を用いて構成されてもよい。監視制御器を実現する他の方法は当業者には既知である。
空間の物理的状態を維持するために監視制御器により使用される空間、センサ及びモジュールに関する方法及び情報を一般に影響モデル又は単にモデルと呼ぶ。例えば部屋の単一のAHUに対して単一の温度センサが存在する単純な例において、影響モデルは、空調装置を「オン」にすることで温度が特定のプリセット値を下回るか及び空調装置を「オフ」にすることで温度が当該値を上回るかを予測するアルゴリズムであってもよい。明らかに、大規模システムの場合、効果及び効率を達成するには更に複雑な影響モデルが必要とされる。
監視制御器により使用される影響モデルは、環境維持モジュールのアクチュエータの値又はそれらの変化が環境センサの位置する場所及び環境に管理される空間の他の場所における環境センサの値に及ぼす影響を数学用語で説明する。モデルは、環境センサの反応に影響を及ぼす既知の入力又は設計パラメータを更に考慮する。例えば外気温度又はデータセンタにおけるIT負荷がそのような入力であってもよい。影響モデルは予測品質を有する必要がある。影響モデルは、環境アクチュエータに対する設定点の変更が設定点変更後の何らかの時点で環境センサに及ぼす影響をある程度の信頼度で予測できる必要がある。モデルは、解析的方法と実験的方法を組み合わせた複数の方法で取得可能である。
そのような影響モデルを取得する1つの方法は、線形制御理論に基づいてもよい。本実施形態において、変換行列Gは制御入力値と出力制御値とを関連付ける。入力制御変数
Figure 0006247746
に対して、モデルは出力センサ値が
Figure 0006247746
であると予測する。別の実現例は、入力制御変数の変化の結果得られる現在の動作点に関するセンサ値の変化を予測する変換行列Gを有する。すなわち、
Figure 0006247746
である。入力制御変数は、内部システム変数、並びにアクチュエータに対する設定点値を含んでもよい。
そのような線形モデルを使用するために、行列Gの係数が判定される。Gを判定する1つの方法は、時間がかかり且つ計算が膨大な流体力学シミュレーションを使用することであってもよい。別の方法において、Gはシステムの設置中に判定されてもよい。制御入力が順次変更され、センサ値の観測された変化が観測される。
当業者には既知であるように、影響モデルを作成し且つ監視制御器による環境維持システムの制御を実現する他の方法が更に存在する。例えば、ヒューリスティック(heuristic)論理制御及び/又はファジー(fuzzy)論理制御に基づく影響モデル及び手順が存在する。影響モデルを制御及び発展させるそのような他の方法は、線形制御理論と関連して使用されてもよい。
監視制御器は、影響モデルを使用して制御決定を行う。例えばセンサがプリセット閾値を超過する値を測定した場合、監視制御器は、最も効果的な方法で問題を解決するために、最も大きい影響を及ぼす環境アクチュエータのうちの1つ以上を最適に選択する。他の環境アクチュエータは効果が低いか又は効果がない。
実際は、環境に管理される空間は、構造上及び非構造上の双方で時間と共に変化することが予想される。例えばデータセンタにおいて、必要な計算が増加することにより計算機器が発生する熱の変動は非構造上の変化であり、計算機器の移動、追加又は除去は構造上の変化である。そのような変化により、当初の影響モデルの精度及び妥当性は相次いで低下する。従って、モデルに基づく制御器は、環境に管理される空間のモデルを定期的に更新する必要がある。
B.システムの例
監視制御器を使用する環境管理システムにより制御される環境に管理される空間の概論は、図1に示す間取りを有するデータセンタのコンピュータサーバ室により十分に示されるだろう。以下に説明する特定の例は、影響モデルを発展及び変更できる例を示し、本発明の実施形態により解決されてもよい欠点を示す。
コンピュータ室の空間はサーバラック130を含み、これらは通常は膨大な熱を発生する。しかし、余熱はサーバを故障させる場合があるため、空間は、少なくとも温度を所望の制限内に維持させる必要がある。制御される必要があってもよい他の物理的状態は、室内の空気圧、塵埃量及び湿度である。
図1のコンピュータサーバ室は、上げ床のコンピュータ室であってもよい。そのような例において、計算機器は、上げ床の上のラック130に垂直に配列されるサーバを備える。ラックは、平行な列に並べられる。通路がこれらのラックの列を分離する。ラックは、冷気通路に面する低温側と暖気通路に面する高温側を有する。殆どの計算機器は、冷気通路から冷気を吸引し、暖気通路に暖気を排出する。
図1のコンピュータ室の温度及び他の物理的状態を制御するように開発された環境管理システムは、複数の温度センサ110を備える。他の例において、コンピュータ室の湿度又は他の物理的状態を測定するセンサが更に存在してもよい。
サーバにより発生した熱を除去するために、コンピュータ室に対する環境維持モジュールは複数のCRAC120を備える。CRACは、モジュール制御器により変更可能な動作パラメータを有することができる。センサは、CRACに一体化されてもよく、別個の制御システムに接続されてもよく、あるいはそれらの組み合わせであってもよい。コンピュータ室に対する環境維持モジュールは、加湿機、除湿機、暖房機、あるいは環境空間の物理的状態を変更するための他の装置を更に備えてもよい。
上げ床のデータセンタの例において、室内に分散されたCRACは、コンピュータ室から暖気を受け取って冷却し、上げ床の下のプレナムに排出する。この冷気は、上げ床の穿孔タイルを通って流れる。これらの穿孔タイルは冷気通路に配置される。これらのCRACは各自の吸気温度及び排気温度を個別に測定してもよいが、データセンタ内の他の場所の温度を測定しない(それらは別個のセンサにより測定される)。
図2は、CRAC120の一例を示す。CRACは、コンピュータ室から還気流(return airflow)を吸入し、コンピュータ室に排気流を排出する。還気流及び排気流には温度センサが設けられ、それらはコンピュータ室の温度センサ110と別であってもよい。コンピュータ室の環境変数を制御するために、CRACは、冷却コイル210、再熱コイル230及び加湿機240を使用してもよい。冷却水弁220は、冷却(又は加熱)の程度を調節するために制御されてもよい。排気流の速度は、変速装置(VSD)255に接続されたファン250により制御されてもよい。最後に、CRACの種々の制御可能なアクチュエータは、通信リンク280を介して監視制御器から受信される信号により変更可能である。通信リンク280は、有線接続、無線接続、あるいは、制御アルゴリズム又はプリセット値を含む付属メモリへの単なる接続であってもよい。
C.初期化
システムが影響モデルを使用する監視制御器により管理される場合、モデルは、システムの設置時に制御器にインストール可能であり、あるいはモデルは、図3に示す方法を使用して、インストール中に初期化可能である。図3の方法は、パラメータを較正するために更に使用でき、すなわち、パラメータを最適に調節及びモデル化するために更に使用できる。例えば監視制御器が上述のような線形制御変換行列Gを使用している場合、Gのエントリを較正するために図3の方法を使用できる。本方法は、システムが動作可能な状態になる前に実行されると仮定される。その後、監視制御器は環境に管理されるシステムの制御を開始できる。
図3は、通常の初期化処理300に含まれる一般的な段階を示す。
段階310において、処理は、変換関数Gの場合の線形制御のようなパラメータ化された数式のセットの形態である解析モデルの定義から開始できる。例えばGのエントリであるモデルパラメータのうちのいくつかは、CRACの説明書等の環境にコントロールされるシステムに関する書面仕様書又は初期数値シミュレーションから認識できるが、他のパラメータは通常は後続の段階から実験的に判定される必要がある。
段階320において、環境アクチュエータは管理者又は制御ソフトウェアにより操作される。操作は、アクチュエータの設定点を変更することを含み、これは、通常はアクチュエータを後で制御するために監視制御器が使用するのと同一の設定点である。設定点の変更は、モデルパラメータを推論できる十分な大きさ及び品質の環境変化を生じさせるように選択される。段階330において、監視制御器が動作中に使用するのと同一の環境センサを使用して、空間の物理的状態が測定及び記録される。
段階340において、モデルパラメータが設定点の変更及び測定データから計算され且つ/又は較正される。線形制御の場合、制御変数の値の個々の変化を使用して、変換行列Gにおけるエントリの行を推論できる。
段階350において、モデルが評価される。モデルが不十分であると考えられる場合、段階320〜350を必要な回数繰り返す必要がある。評価は、必要に応じて、センサ及びモジュールの場所及び数を調節することを含んでもよい。エネルギー効率又は数値安定性等の種々の評価基準が使用されてもよい。
段階360において、完成したモデルが監視制御器にロードされる。ロード終了後、段階370において、監視制御器が起動される。制御器は、空間の物理的状態の所望の設定を維持するために、モデルに基づく制御決定を開始する。
監視制御器に対する影響モデルを初期化及び/又は較正するこの種の方法の有用性は、データセンタの適用例において証明されている。しかし、問題もある。例えば欠点は、既に動作している環境維持システムに対するモデルの初期化に関する。第2に、空間における変化を説明するためにシステムの動作中に既存のモデルを更新することに関する欠点がある。第3に、システムの動作中にモデルを更新できる場合でも、最適な更新モデルを見つけることに関する欠点がある。第4に、モデルの品質の判定に関する欠点がある。欠点の多くは、最初に監視制御器の手順と別に且つその手順の一部としてではなく図3の方法を適用する必要があることが少なくとも部分的に原因である。以下の5つの例は上記の欠点を示す。
D.初期化に伴う問題
1.動作中のシステムへの監視制御器の導入
図3のモデル初期化方法は、いくつかの例においては十分であるが、既に設置されて動作中の環境管理システムに配置するためには不十分である場合がある。本例の最初の時点で、データセンタは製造業者により供給された個々のCRAC制御器を用いて既に完全に稼働中であるが、監視制御器が設置されていない。計算機器は、ミッションクリティカルな動作を実行し、時間に伴い予測できない変化を生じる熱を発生する。サーバの吸気温度は、ユーザが定義した安全レベルに常に維持される必要がある。管理者は、許容可能な冷房レベルを提供するようにCRACの設定点を構成している。ラックレベルの温度センサにアクセスできる監視制御器を使用しない場合、管理者はラックにおける安全温度を維持するために制御室を冷却しすぎる場合がある。
その場合、管理者は、ラックの温度を監視し且つそれらの場所における安全温度レベルを維持するために、ラックレベルの環境センサを設置すること及びCRACに対する監視制御器を配置することを決定する。管理者は、冷房電力の低減による全体的なエネルギーの節約を見込んで監視制御器を配置する。
監視制御器の配置及び全ての設置手順は、稼動休止時間を最小限にするために、この稼動中環境において実行される必要がある。従って、監視されるラックの温度は、実際の監視制御器が起動される前でも、CRACの設定点が監視制御器の配置の一部として変更されている(例えば、モデルの初期化のために)時点でプリセット閾値を超過しない。
既に稼働中の環境に管理される空間において段階320及び330を実行することに伴う危険性は、これらの段階が、監視環境制御システムが回避するように設計される閾値そのものを超過するリスクを有することである。通常の部分的解決策は、多くの場合、段階320及び330において1つのアクチュエータを変更し、空間の過度に安全な物理的状態を保証するように他のアクチュエータを設定することである。しかし、これらの設定は、監視制御器が起動された後に存在する動作レベルを正確に反映しない場合がある。更に、結果として得られる影響モデルパラメータは、存在することになる動作レベルに対して完全に正確でない場合がある。
2.システム変更後の初期化されたモデルの再較正
影響モデルは図3の処理により正常に初期化され、監視制御器は長時間十分に動作している。しかし、管理者は、計算機器の大部分の移動、いくつかの固体床タイルから穿孔床タイルへの交換及び穿孔床タイルから固体床タイルへの交換、あるいはバフル、気流カーテン、エアダクト等の配置による気流の変更等のうちの1つであるデータセンタの制御室の間取りの構造上の変更を決定する場合がある。また、管理者は、変化が非常に大きいため、監視制御器における既存のモデルの表現が不適切になったと判断する場合があり、監視制御器が「適切な」モデルに基づく決定を行い続けられるようにモデルを最新の状態にするための監視制御器の定期的なモデル更新機構の速度が不十分であると判断する場合がある。従って、影響モデルを迅速に再初期化する必要がある。図3の方法を安全に使用するためには、データセンタの現在の動作を減少するか又は停止する必要がある。
3.リセット制御システムにおけるモデルの初期化
以下の更なる特徴を有する上記の例1について考える。各CRACは、還気(return air)温度制御モードに構成される。これは、CRACが還気温度に対する設定点を監視制御器に通信することを意味する。CRACは、還気温度を選択された設定点に近い状態に維持しようとする方法で、コンプレッサ及びファン回転速度を調節して排気の温度及び流量を制御する。
還気温度制御モードは、エネルギーの観点から不十分であり、実際は不安定であることが多いことが認識されている。不十分な挙動の1つの理由は、データセンタにおける実際の気流パターンにより、第1のCRACからの冷たい排気が計算機器を通過して加熱されることなく第2のCRACの還気温度センサにある程度直接移動する場合があることである。その結果、第2のCRACは冷房出力を減少するように指示されるが、それにより、制御される環境内の他の場所が過度に熱くなる。監視制御器は、CRACの還気温度の設定点を適切なレベルに個別に且つ継続的にリセットすることにより当該問題を解決する。次に説明する図4に関して、このリセット制御を一般用語で説明する。
簡潔にするため、図4は、監視制御器410の制御の下にあり且つ環境にコントロールされる空間に影響を及ぼす1つの環境アクチュエータ440のみを含む。アクチュエータは、空間の物理的状態が外部からアクセス可能な設定点を追跡するように空間に影響を及ぼすように構成される。監視制御器は、当該設定点を直接設定できるか、あるいは「リセット制御器」420と呼ぶサブシステムにより間接的に設定できる。設定点選択器430は、例えば何らかの優先度ルールに基づいて、直接設定するか又は間接的に設定するかのオプションを選択する。リセット制御器は、監視制御器から冷房要求変数を受信し、アクチュエータ状態変数が冷房要求変数を追跡するように環境アクチュエータの設定点を継続的に調節する。アクチュエータは、監視制御器に当該アクチュエータ状態変数を通信する。アクチュエータ状態変数の例は、ファン回転速度、コンプレッサの速度、ファンの位置、熱除去率、電力等、並びにそれらの数値の組み合わせである。それらの利用可能性は、アクチュエータの製造業者がアクチュエータに器具を装着し且つアクチュエータを構成した方法に大きく依存する。
適切に調整されたリセット制御器は、還気温度制御モードに構成されるCRACのシステムを安定化することが既知であり、あるいは多くの制御システムにおいて有用である。その結果、不安定なシステムではアクチュエータの設定点と環境センサとの間の影響モデルを定義できない(制御できない変動のため)場合があるが、リセット制御器を有する監視システムでは、影響モデルが冷房要求変数と環境センサとの間で定義されてもよい。
従って、リセット制御器サブシステムは冷房要求を監視制御されるアクチュエータの設定点に変換するために既に稼働中であるため、リセット制御器を有する監視制御器に対する影響モデルの初期化は問題である。
4.モデルの最適化及び再較正
上記の例1のデータセンタについて考える。影響モデルは作成され、監視制御器にロードされている。監視制御器は動作可能な状態にされている。エネルギーを節約するために、いずれの環境センサにも閾値を超過させることなくCRACを最小限の冷房に設定できるか又は停止できるとモデルが予測する状況を考える。その後、監視制御器は当該CRACを停止する。モデル予測が正しかったため、制御器はCRACを長期間(例えば、数週間)停止した状態に維持すると更に仮定する。
次に、管理者は、監視制御器が間取りの変化を最適に反映するためにモデルを徐々に更新すると予想して、モデルを初期化することなくデータセンタを再構成すると仮定する。間取りが変化したことにより、予測が実現しないため、この状況において、モデルの品質は急速に低下する。例えば変化は、停止されたCRACが、クリティカルな環境センサが閾値を超過しないようにするのに現時点で最も効率的なユニットになるような変化であったと仮定する。監視制御器は、古いモデルに基づいてCRACを停止したままにするため、モデル又はモデルの品質に関する新しい情報をCRACから取得できない。これは明らかに望ましくない状況である。
5.ユーザの認識によるモデル更新の妨害
オペレータ又は他の管理者等のユーザは、明らかな対立(conflict)を解消するための視覚的支援を受け取らない限り、モデルを向上する必要性とエネルギーの最適化とが直接対立するように見えると認識する場合がある。このユーザの認識を機会コストに関して以下に更に詳細に説明する。
CRAC及び動作中の監視制御器を備えるデータセンタについて考える。影響モデル(のアスペクト)の視覚的表現がユーザに提供されると仮定する。当該表現を使用して、ユーザは例えばデータセンタ内の特定のラックに好影響を及ぼすか、悪影響を及ぼすか又は全く影響を及ぼさないCRACのサブセットを識別し、制御器の動作を理解する。オペレータは、この自身の理解を通して実際の制御器の決定を捉える。オペレータの理解が実際の制御器の決定を正確に反映することは重要でない。
次に、エネルギーを最適化する制御決定の結果、影響を有さないCRACが長期間殆ど稼動しない状況について考える。CRACの冷房出力が殆ど変化しないため、当該CRACの影響モデルは古くなり、当該CRACの実際の影響を正確に反映しなくなる。現在のモデルに基づく最適化と対立するCRAC較正制御ステップのみがモデルを再較正できる(例えば、効果を確認するためにCRACの冷房出力を100%に増加する)。
この較正制御ステップ後に影響モデルが変化しない場合、当該ステップはエネルギー効率が悪いか又は現在のモデルの観点では誤りであるようにさえユーザに見える場合がある。その反対に、較正ステップ後に影響モデルが変化し、CRACが及ぼす影響が増加したように見える場合、較正制御ステップはエネルギーを更に最適化する有意義な試みだったとユーザは考える。当然、結果及び実際のコスト(アクチュエータのエネルギーの使用量又は節約量に関する)を事前に認識することはできない。従って、当該状況は、正確なモデルの取得と不正確なモデルを用いる最適化との対比に関連する機会コストを反映する。これらの機会コストは、特に視覚化されない限り、影響モデルの視覚的表現のみからユーザが理解することはできない。
E.較正、更新及び最適化を達成するためのアドホックな方法
影響モデルを初期化又は更新するためには、環境空間の物理的状態に対する構成要素の環境アクチュエータの影響を推論することが必要である。そのために、アクチュエータは最初に、システム内の他のアクチュエータの作動レベルに対する自身の作動レベルを変更できる。例示するために、ファン及び変速装置(VSD)を有するCRACを備えるデータセンタについて考える。監視制御器は、ファン回転速度を所望のレベルに設定できる。監視制御器が常に全てのファンの回転速度を一斉に同一量変更し、結果として得られるデータセンタにおける温度を観測するという制御方法について更に考える。これらの観測値のみからは、単一のCRACが何らかの環境変数に及ぼす影響を判定できず、全てのCARCの総影響のみが推論される。それに対して、一度に1つのCRACにおけるファン回転速度を他の全てのCRACのファン回転速度に対して徐々に変更することにより、別のCRACに対して1つのCRACの影響を区別するための十分な相対的変化が作成される。例3及び図4のリセット制御されるシステムにおいて、上述のアクチュエータの変化は冷房要求の変化に置き換えられる。
影響モデルパラメータを推論するためにアクチュエータの相対的変化をもたらすための第1の方法は、1つのアクチュエータの設定点を第1の量変更し、他の全てのアクチュエータの設定点を第2の量変更することである。第1の量又は第2の量は0であってもよい。システム動作中における本方法の欠点は、これらの量を規定することで、他のあらゆる制御方法が事実上オーバーライドされる点である。その結果、影響パラメータを判定する処理において環境安全閾値が違反される場合があり、当該処理において、節電が意識される動作において望ましい量より多いエネルギーがアクチュエータで使用される場合がある。
第2の方法は、アクチュエータのランダムな相対的変化をもたらし、その後、通常の監視制御方法を継続させることである。本方法の利点は、ランダムな乱れの後に監視制御器が環境安全閾値を維持し続けることである。欠点は、殆どの場合、ランダムな変更はアクチュエータの電力消費に関してエネルギー効率が悪い点である。また、監視制御器が構成される方法に依存して、十分な影響モデルが判定される前にランダムな変更がすぐに無効にされる場合がある。
アクチュエータの相対的変化をもたらす第3の方法は、監視制御器の全ての通常の制御動作をアクチュエータの影響を推論する機会として使用することである。本方法の欠点は、影響モデルを推論するために十分な量を作動されないアクチュエータが存在する場合があることである。例えば監視制御器は、あるアクチュエータを使用することはエネルギー効率が悪いと予測する古い影響モデルに基づいて、当該アクチュエータを固定された最低限度に永続的に維持する(又は停止する)と決定する場合がある。少なくともアクチュエータの不定期の変更又は「プローブ(probe)」がなければ、監視制御器は環境に対するアクチュエータの影響が時間に伴い変化したかを認識することがない。
次に、モデルの品質に関して、影響モデルを有することの目的は、モデルに基づく最適な制御決定を行うことであるのは明らかである。モデルの品質は、モデルを使用して行われる予測が実際のイベントを適切に反映する程度により示される。一般に、既存のモデルの品質は、新規のモデルを作成するより速く判定可能である。予測が不適切である場合、モデルは不適切あり、不適切なモデルを用いて行われる制御決定は最適である可能性が低い。
既存の監視制御器の問題は、モデルの品質がモデルに基づく決定において考慮される必要がない点である。モデルの品質が相対的に不適切である場合でも、監視制御器により行われる制御決定はモデルが完璧であるかのように行われる。
監視制御器(上述のような)を用いる既存の環境管理システムは、本発明の実施形態が解決できる欠点を有する。
II.モデルの制御及び較正の組み合わせ
上述した解決策の問題点は、以下のように分類できる別個の段階に監視制御器のタスクを分割することに起因する。(1)モデルの初期化及び/又は較正。(2)制御の一次目的(primary control goals)を達成する為の動作制御、すなわち、既存のモデルを使用する比例積分微分(PID)制御器等を使用して分刻みの制御決定を達成するための動作制御。(3)最適化。すなわち、主に、アクチュエータの総電力の最小化又は節約等の二次目的(secondary goals)を達成するための全ての環境アクチュエータの相対寄与の再較正。これらの段階は、逐次タスクとして実行されることが多い。例えば、最初に初期モデルが較正され、システムの動作制御を実行するために監視制御器が起動され、その後、最適化又は再較正が行われる。影響モデルの後続の最適化及び再較正は、上記の一連のステップ(1)、(2)及び(3)において繰り返される。
本発明の実施形態の利点は、上記の個別の段階の大部分を監視制御方法において並行して実行できることであり、従って、種々のサブタスクに必要な最良のモデルの表現が時間と共に大幅に変化するという意味では時間と共に変化する環境空間を更に好適に且つ効率的に制御できることである。上述の問題の原因は、現在のモデルの制限のため、現在のモデルを使用して行われた制御決定が効率的でなかったこと、並びに/あるいは、そのような制御決定がモデルの品質を向上しなかったことである。
A.制御及び較正を並行して行う方法
図5は、本発明の実施形態に係る環境維持システムの影響モデルを更新する方法を示すフローチャートである。システムは、複数の環境維持モジュールと、環境の物理的状態の各値を測定する複数のセンサとを含む。各モジュールは、1つ以上のアクチュエータを含んでもよい。
段階510において、環境維持システムは、影響モデルを使用してアクチュエータの動作レベルを判定する第1のプロダクションモードで動作する。このプロダクションモードは、例えば米国特許出願第13/215,189号、第12/860,820号及び第12/396,944号で説明されるように動作可能である。
例えばセンサのセンサ値を測定できる。予測センサ値が閾値を超過しないように第1のコスト関数を最適化する第1の動作レベルを判定できる。予測センサ値は、アクチュエータの入力レベルに基づいて影響モデルを使用して判定される。すなわち、影響モデルは、アクチュエータの可能な動作レベルを受信し、結果として得られるセンサ値を予測できる。このように、センサ値が閾値を超過しないような動作レベルを判定できる。コスト関数は、センサ値が閾値を超過しないという制約、並びにエネルギー及び維持等の他のコストを含むことができる。
段階520において、影響モデルが更新される第2のプロダクションモードを示すイベントを識別できる。第1のアクチュエータの第1の動作レベルは、第2のプロダクションモードの更新手順の一部として変更される。第1のアクチュエータの動作レベルは所定の軌道に従って変更可能であり、影響モデルにより判定されない。軌道は、第1のアクチュエータの動作レベルを特定する時間関数であってもよい。例えば、選択された軌道又は関数に従って、CRACの冷却水弁の設定又は還気流ファンの速度が時間と共に変更可能である。種々の実施形態において、イベントは、複数のアクチュエータの動作レベルが連続して自動的に変更される定期イベントであってもよく、アクチュエータ別の条件に基づいてもよく(例えば、アクチュエータの動作レベルは指定された期間より長い間変更されていない)、あるいは影響モデルを解析して、所定のアクチュエータに対する予測の信頼性が低すぎるため影響モデルを更新する必要があると判定することにより判定されてもよい。第2のプロダクションモードに入ることを示すイベントとして、他の動作が更に使用されてもよい。
段階530において、環境維持システムは第2のプロダクションモードで運転される。上述のように、第1のアクチュエータの動作レベルは第1の軌道を有するように制約される。軌道の例は以下の節で説明するが、軌道は一定であってもよく、時間と共に変化してもよい。第1のアクチュエータの動作レベルを変更している間に、第2のコスト関数を最適化する残りのアクチュエータのサブセットの動作レベルが測定センサ値に基づいて判定される。サブセットは第1のアクチュエータを含まない。
第2のコスト関数は第1のコスト関数と異なってもよく、その場合、第1のアクチュエータの動作レベルは較正及び/又はモデル更新処理の一部として第1の軌道に制約されるため、第1のアクチュエータの動作レベルは第2のコスト関数に含まれない。しかし、他のアクチュエータの動作レベルがモデルにより判定されるため、結果として得られるセンサ値は範囲内に維持される。そのような第2のプロダクションモードの間、2つ以上のアクチュエータを特定の軌道に制約できるが、システムがセンサ値を範囲内に維持できるように、通常は1つ又は2つのアクチュエータのみが制約される。
段階540において、第1の軌道、第2の動作レベル及び測定センサ値に基づいて、影響モデルが更新される。例えば各時間ステップにおいて、第1のアクチュエータの動作レベルは第1の軌道に基づいて判定され、第2の動作レベルは第2のコスト関数の最適化に基づいて判定される。これらの動作レベルはアクチュエータに送信されてアクチュエータの動作を変化させ、その結果、センサ値が変化する。センサ値は、処理全体にわたり測定可能である。結果として得られるセンサ値における動作レベルが既知であるため、影響モデルを更新できる。一実施形態において、影響モデルを更新するために最小二乗法を使用できる。
B.システム
図6は、一実施形態に従って動作する監視制御器610を備える環境制御システムを示す図である。本システムにおいて、環境アクチュエータは環境にコントロールされる空間の環境に影響を及ぼす。当該空間内の環境センサは、環境アクチュエータ及び/又は監視制御器に環境変数を報告する。環境アクチュエータは監視制御器に設定点を通信し、それにより、制御器は各アクチュエータに所望の設定点を通信できる。アクチュエータは、監視制御器にアクチュエータ状態変数を更に通信する。システムは、監視制御器がデータベース(DB)660等のデータ記録システム並びにオペレータ又は他のエージェントが監視制御器とインタラクト(interact)できるユーザインタフェース(UI)650、と通信するように更に構成可能である。
監視制御器は、決定エンジン630を備える。決定エンジンは制御決定を行い、環境アクチュエータに通信される設定点を計算する。監視制御器は、モデルエンジン640を更に備える。モデルエンジンは、決定エンジンによる制御決定が環境の物理的状態に及ぼす影響の数学的表現(又はモデル)を有する。モデルエンジンは、環境の物理的状態の未来の状態に関する制約付き予測を行う。決定エンジンは、制御決定を行う処理において、モデルエンジンからの制約付き予測を使用することができる。
1.決定エンジン
監視制御器の決定エンジンは、制御アルゴリズムと多くのルール又はヒューリスティックとに基づいて制御決定を行うことができる。制御決定は、環境アクチュエータに通信される直接的なアクチュエータの設定点の決定であってもよく、あるいは、関連する設定点が環境アクチュエータに通信される前に適切なアルゴリズムを用いて間接的な制御決定が直接的な制御決定に変換されるという意味で、間接的な制御決定であってもよい。例えば例3において、間接的な制御決定は、CRACの一定の冷房出力を維持することであってもよい。この間接的な制御決定は、リセット制御器を使用して計算される一連の設定点に変換され、実行するために環境アクチュエータに通信される。
決定エンジンは、以下の主な目的を満たすために、1つ以上の制御方法を使用できる。第1の目的は、環境にコントロールされる空間において安全な環境レベルを維持することである。第2の目的は、第1の目的を達成するために予測される全ての可能な制御決定のうち、何らかの最適化のメトリック(metric)の最小化に関して他より最適である制御決定を選択することである。例えばこのメトリックは、環境アクチュエータを動作するために使用される総予測電力であってもよい。第3の目的は、第1の目的及び第2の目的を達成しようとするのと同時に、制御決定に対する外部オーバーライドに応えることである。
決定エンジンが外部オーバーライドを認める正当な理由が存在する。例えば管理者は、特定の制御レベル又は設定点を手動で実行したい場合がある。これは、既知の外部オーバーライドであると考えられる。あるいは、環境アクチュエータがコマンドに一時的に予想通り従わない場合があり、これは未知の外部オーバーライドであると考えられる。未知の外部オーバーライドのいくつかの理由は、(a)アクチュエータの故障、(b)決定エンジンと環境アクチュエータとの間の通信損失、(c)決定処理において決定エンジンにより認識されず且つ/又は使用されない特定の動作条件において、設定点コマンドを無視するというアクチュエータの内部論理(例えば、コンプレッサの過度な上部圧力に対するCRACの内部安全予防策)、(d)環境アクチュエータ自体におけるユーザ又は他のエージェントによるオーバーライド、並びに(e)決定エンジンの制御外のユーザ又は他のエージェントにより制御されているアクチュエータである。3つの主な目的の優先順位は適用例に依存するが、一般的な決定エンジンは、最初に外部オーバーライドに従い(アクチュエータの故障等の場合は必要に迫られて)、次に安全な環境状態を維持し、最後に、それを最適な方法で行う。
モデルに基づく制御決定の場合、決定エンジンは、モデル、モデルに関する情報、並びにモデルエンジンからの予測(制約付き予測又は制約なし予測)を照会する。実施形態は、決定を行う処理に制約付き予測を組み込むことができる。
決定エンジンの主な目的は、不正確なモデルを向上する必要性と対立する場合がある。例えば、閾値を超過しそうなリスクのある環境センサに対する影響が大きいとモデルが予測するため、決定エンジンが第1の環境アクチュエータを最大アクチュエータ出力で動作させ続ける場合がある。実際の影響は、時間と共に変化し且つ消失する場合がある。第1のアクチュエータの出力を時々低下しなければ、この変化を学習できない。第2の環境アクチュエータの影響が第1のアクチュエータより大きくなった場合、第1のアクチュエータの出力を減少して第2のアクチュエータの出力を増加する方が効率的である。このように、モデルに基づく決定とモデルを更新してモデルの品質を向上するために必要な制御動作との間に対立が存在する。実施形態は、モデルに基づく決定とモデルを更新してモデルの品質を向上するために必要な制御動作との間の対立を解決できる。
2.モデルエンジン
モデルエンジンは、環境にコントロールされる空間に関する現在のデータ及び/又は記録されたデータの一部又は全てを受信できる。それらは、監視された環境変数及びアクチュエータ状態変数、設定点、システム構成パラメータ、並びに環境センサのデータに対する制御決定の影響を識別するのに役立つ他の記録された量のうちのいくつか又は全てを含む。受信されるデータは、(暗示的に又は明示的に)時間スタンプを付与され、連続する時間間隔である必要のない期間を範囲に含む。
検索データの期間を限定することが有用である。例えば1年前に収集されたデータは、環境空間の現在の挙動のモデル化に既に関係ない場合がある。アクチュエータの特徴が時間と共に変化した場合があり、あるいは環境空間が過去のある時点で意図的に再構成された場合がある。古い時間スタンプを有するデータを使用した結果、環境空間の現在の状況では不適切な予測を生じるモデルパラメータ化が行われる。また、システムが保守又は緊急の状況であった期間等、モデルが生成されている動作状態以外の状態に環境システムがあった中間期間を除外してもよい。期間の限定はユーザが構成してもよく、あるいは、環境空間の状態の著しい変化を検出するアルゴリズムが判定してもよい。
モデルエンジンは、この検索データを使用してモデルを較正する。モデルを較正する1つの方法は、モデルが予測の実行に関して最適であるようにモデルパラメータを選択することであり、この場合、各予測は、予測値と実際の履歴値とを比較できるように、前の検索期間から後のその同じ期間の時間順に行われる。比較及びモデルパラメータの最適化を測定するために、最小二乗法を使用できる。
形式的な例を示すために、N個の環境センサ及びK個の環境アクチュエータが環境にコントロールされる空間に存在すると仮定する。一連のサンプリング時間t1,...,ti,i+1,...に対して、各センサn(n=1,...,N)は観測された環境センサ値T(t)を提供し、各アクチュエータk(k=1,...,K)はアクチュエータ値u(t)を有する。環境空間における各センサ値の予測値を与えるN個の多くの関数f1,...,fを含む明示的な予測数学モデルがモデルパラメータp1,...,pを用いて定義されており、モデルは以下の形態を有すると仮定する。
T’(ti+1;u’(ti+1),...,u’(ti+1))=
(p,...,p; T(t),...,T(t);T(ti−1),...,T(ti−1); ...; u’(ti+1),...,u’(ti+1);
(t),...,u(t);u(ti−1),...,u(ti−1);...)
式中、T’は予測センサ値であり、u’(ti+1)は時間ステップti+1における計画されたアクチュエータ値であり、u(t)は以前の時間ステップで使用された実際のアクチュエータ値を示す。
説明すると、パラメータp(r=1、...、R)の集合を与えられた場合、この関数は、時間ステップt、ti―1、ti−2,...におけるセンサ値及びアクチュエータ値の最近の履歴を提供する場合に、アクチュエータ値u’(ti+1)を使用する計画された制御動作に対する時間ステップti+1における予測センサ値T’を計算する。履歴データを使用することにより、過去の時点における予測を行うことができ、それらの予測値と実際に生じた値とを比較できる。特に、過去の時点ti+1に対する予測T’(ti+1)は、当該時点に存在した実際のアクチュエータ値u(ti+1)、...、u(ti+1)と、全ての関連する過去のセンサ及びアクチュエータの履歴とを使用して行われる。実際のセンサ値と(過去の)予測との間の誤差は、e(ti+1)=T(ti+1)−T’(t;u(ti+1),...,u(ti+1))により得られる。全誤差
Figure 0006247746

は、検索データの範囲内の全ての時間ステップにおける全てのセンサの個々の二乗誤差の合計である。従って、全誤差はモデルパラメータpの関数であり、暗示的には検索された履歴データの関数である。
最小二乗法は、検索データに対して全誤差eが最小になるようにモデルパラメータpの集合を判定しようとする。タスクの難易度、並びに解決策の存在及び一意性は、モデル関数fの数式及び複雑性に依存する。
モデルエンジンは、検索データに加えて、1つ以上の以前のモデルパラメータ化を使用してモデルを更に較正してもよい。これは、過去のモデルパラメータ化を作成するために使用されたデータを記憶装置に保持しておく必要がなくなるため、手順上の利点を有する。ベイズ推論及び他の方法は、検索データ及び古いモデルパラメータ化から新しいモデルパラメータを判定するのに使用できる。検索データの期間を限定することが有用であるのと同様に、例えば以前のパラメータ化が依存するデータの期間を限定することにより、あるいは例えば忘却因子法によって新しいモデルパラメータ化に対する古いモデルパラメータ化の影響を漸減することにより、古いモデルパラメータ化の期限を限定することが有用である。
検索データのみからパラメータを一意に判定できない場合、何らかの当て推量がモデルをパラメータ化するために必要である。当て推量が行われる状況及び条件は、モデルの数学的構造及びパラメータ最適化処理に依存する。アクチュエータ状態変数が変化することにより環境変数が変化するということを影響モデルが反映すると考えられる場合、いくつかの状況は一般的である。
当て推量が必要である第1の状況は、検索データセットが空である場合であり、例えば監視制御器が起動されたがデータが以前に収集されていない場合である。この場合、全てのモデルパラメータが推量される。第2の状況において、アクチュエータ状態変数が検索されたデータセット内の値を変更しない場合、環境変数の変化の原因を特定できない。例えば環境アクチュエータが検索期間中ずっと停止されていた場合、並びに当該アクチュエータに関する他の以前のモデル情報が存在しない場合、アクチュエータを起動させることが何らかの環境変数に及ぼす影響を検索データから判定できない。当該アクチュエータの影響パラメータは推量される必要がある。第3の状況において、2つのアクチュエータ状態変数が検索データセット内で厳密に相関する場合、環境変数に対する各アクチュエータ状態変数の影響を一意に区別できない。例えば影響の半分が各アクチュエータに起因する可能性があるが、これは一意の選択肢でなく、推量に等しい。
モデルパラメータを推量する方法は、ユーザが構成可能なデフォルトパラメータを含む。例えばユーザは、他の同様に環境にコントロールされる空間から収集した知識に基づいてデフォルトパラメータを構成できる。モデルパラメータを推量する方法は、環境センサからのデータに依存しない解析的パラメータ推量モデルを更に含む。例えばデータセンタの理想化された計算気流シミュレーションを使用して、1つのCRACからの気流の増加がラックの温度に及ぼす影響に対する推量を判定できる。更に単純なパラメータ推量モデルは、アクチュエータとセンサとの間の物理的距離が遠いほど影響が小さいという仮定に基づいて影響パラメータを推量できる。他の経験式がパラメータを推量するために使用されてもよい。
較正されたモデルは、推量及び/又は検索データから導出されたモデルパラメータを用いて完全にパラメータ化されたモデルである。高品質のモデルは、ほぼ常にほぼ実現する予測を行う。それに対して、品質が不十分なモデルは、ほぼ実現しないか又は近くさえならない予測を行う。モデルは、いくつかの点で品質が高いが他の点で品質が不十分である等の場合がある。例えばモデルは、あるアクチュエータを停止することが環境にコントロールされる空間に及ぼす影響を正確に予測できるが、別のアクチュエータを停止した場合の正確な予測を全く行えない場合がある。
較正されたモデルの品質を示す既知の方法が存在する。例えばモデルパラメータが最小二乗法により取得された場合、各パラメータは、検索データにおける共分散に関して測定される関連する不確実性を有する。品質メトリック(quality metric)の別の例は、予測値に対する信頼区間(又は他の種類の信頼スコア)である。区間は、予測値に対する実際の値が当該区間内に存在する確率を示す。例えば95%の信頼区間を使用する場合、100個の予測を行った場合に平均で5個の実際の値が予測区間外に存在すると予想される。
本明細書中、添付された品質メトリックを用いて行われる予測を制約付き予測と呼ぶ。メトリックを用いない場合、制約なし予測と呼ぶ。
推量されたモデルパラメータに依存する制約付き予測は、本質的に高い不確実性又は非常に大きい信頼区間を有する。モデルパラメータと同様に、これらの不確実性は、例えば同様のシステムでの以前のユーザ経験に基づいて、検索データが提供する他の知識に基づいて推量可能である。
信頼スコアは、第1のアクチュエータの動作レベルの変動が閾値を下回る時間の長さに基づくことができる。例えばアクチュエータが100%又はほぼ100%の状態を維持する場合、これはモデルが第1のアクチュエータに関して更新される必要があることの指示である。変動は範囲であってもよく、統計的分散であってもよい。
図7は、一実施形態おいて、モデルパラメータを判定又は更新するためにモデルエンジンが実行する方法700の段階を示す。段階710において、モデルエンジンは、センサ値及びアクチュエータ値に関するデータを少なくとも含む時系列の記録データを通常はデータベースから検索する。段階720において、モデルエンジンは当該データを用いてモデルを較正し、場合によっては以前のモデルを更新する。段階730において、モデルエンジンは検索データに基づいてモデルの品質を判定する。その後、段階740において、モデルエンジンは、検索データに基づいて制約付き予測及び/又は制約なし予測を行う。
当該処理は反復されるが、各反復において全ての段階が実行される必要はない。例えば、段階720は大量の検索された履歴データ(例えば、1週間分)に対して頻繁に実行されない(例えば、1日毎に実行される)が、段階730は、殆ど更新されないモデルが依然として適切であるか確認するために、最新のデータ(例えば、1時間分)のみを使用して頻繁に(例えば、1時間毎に)実行される。段階740は、例えば決定エンジンであるシステムの他の部分から要求された場合のみ実行されてもよい。あるいは、処理は継続的に反復されてもよく、新しい検索データは、モデルの更新、モデルの品質メトリック、並びに場合によっては保留中の予測に即座に適用されてもよい。
C.特定のアクチュエータを較正する時期の判定
較正の一部として所定の軌道を使用するという決定は、制約付き予測に基づくことができる。制約付き予測は、環境維持システムが第2のプロダクションモードに入るイベントを識別するのに役立つ。制約付き予測は、制約なし予測に基づく既存のヒューリスティックを強化するために使用される。制約付き予測は、新しいヒューリスティックを作成するためにも使用できる。
1.制約付き予測に基づく選択
制約付き予測は、可能な制御決定のセットから1つの制御決定を選択するために使用可能である。特に、予測が正確である(高い品質又は小さい信頼区間を有する)場合、第1の制御決定が選択されてもよい。予測が不正確である(低い品質又は大きい信頼区間を有する)場合、第2の制御決定が選択されてもよい。更に細かい分類も可能である。
当該選択方法の一例を示すために、図2に示すCRACを環境維持モジュールとして有し且つ少なくともラックレベルの温度センサを環境センサとして有する図1のようなデータセンタについて考える。管理者は、計算機器の完全性を維持するために、決定エンジンによる制御動作及び場合によっては緊急制御動作を保証するラック温度センサの臨界閾値(critical threshold)を定義している。1つの温度センサが臨界閾値を超過したため、センサ付近の空間において更なる冷房が必要とされると仮定する。
最初に、モデルを使用しない制御方法が存在する。そのような方法の第1の例は、1つ又は複数のCRACをランダムに又は何らかのヒューリスティック(クリティカルなセンサまでの距離又は最も高い還気温度)に基づいて選択し、そのCRACの冷房出力を可能な限り急速に増加し、環境センサに対する所望の影響が不十分だった場合、後で更なるCRACをかくの如く選択する。このモデルを使用しない方法は効率的でなく、閾値違反を解決するのに十分な影響を実際に及ぼすCRACが選択されるまでに長い応答遅延が生じる場合がある。
モデルを使用しない制御方法の第2の例は、全てのCRACの冷房出力を同時に増加することである。総冷房出力を増加することは、クリティカルなセンサの場所以外の場所においてデータセンタを過度に冷却する危険がある。過度に急速に冷房を増加することにより、不安定性が生じる場合がある。最終的に、データセンタ内のいくつかの領域が実際は低温化ではなく高温化するような気流の分布になる場合がある。
第2に、制約なし予測を使用するモデルに基づく方法が存在する。一般に、制約なし予測に基づく選択方法はモデルを使用しない方法より効率的であると考えられる。最初の例は、環境センサに最も影響を及ぼすと予測されるCRACのうちの1つ以上を選択し、可能な限り急速にそれらの冷房速度を増加する。環境センサに対する所望の影響が不十分だった場合、後で更なるCRACをそのように選択する。尚、モデルエンジンがモデルパラメータの推量を用いる状況において、本方法は、使用されるヒューリスティック次第で、モデルを使用しない選択方法と実際は同等である場合がある。
制約なし予測を使用するモデルに基づく方法の別の例は、全てのCRACの冷房出力を同時に増加するが、影響が高いCRACの冷房を影響の低いCRACより速く増加するように、影響で重み付けした相対オフセット又は相対比率を用いることである。本方法の利点は、影響モデルが不正確な場合でも、モデルによる予測より実際は影響が高い他のCRACが依然として閾値問題の解決に寄与することである。
第3に、制約付き予測を使用するモデルに基づく方法が存在する。そのような方法の1つは、環境センサに最も影響を及ぼすと予測される制限された数のCRACを判定し、それらの冷房速度を可能な限り急速に増加することである。制約付きCRACの数は、モデルの品質メトリックに基づくことができる。モデルが正確であると考えられる場合、モデルが不正確であると考えられる場合より少ない数のCRACが必要とされてもよい。環境センサに対する所望の影響が不十分だった場合、後で更なるCRACが上記のように選択されてもよい。例えば、影響モデルが適切であった場合、数分毎に1つの追加の最も影響が高いCRACの出力を最大値に上げてもよく、モデルが不適切であったか又は確認できなかった場合、2つのそのようなCRACの出力を最大値に上げてもよい。
制約付き予測を使用するモデルに基づく第2の方法は、クリティカルなセンサの値に対する制御動作の影響に信頼区間を定義することにより、制御動作の影響の全ての予測に制約を付けることである。結果として得られる各信頼区間は、図8に示すように、(I)信頼区間の全体が閾値を上回る(810)、(II)信頼区間の大部分が閾値を上回る(820)、(III)信頼区間の大部分が閾値を下回る(830)、又は(IV)信頼区間の全体が閾値を下回る(840)である4つのタイプのうちの1つである。
その後、本方法は、タイプに従って制御動作をランク付けし、高い番号を有する動作を優先する。例えば、第1のCRACを現在の作動値から最大値に増加した結果、タイプIIの予測センサ値の想定範囲が予測されると仮定する。更に、第2のCRACを現在の作動値から最大値に増加した結果、タイプIIIの予測センサ値の想定範囲が予測されると仮定する。第2のCRACの制御動作は、第1のCRACの制御動作より優先される。更に、第1のCRAC及び第2のCRACの双方を現在の作動値から最大値にそれぞれ増加した結果、タイプIVの予測センサ値の想定範囲が予測される場合、この組み合わされた制御動作は個別の制御動作より優先される。更に、第3のCRACを現在の作動値から最大値に増加した結果、タイプIVの予測センサ値の想定範囲が同様に予測される場合、第3のCRACを制御するという作動オプションと第1のCRAC及び第2のCRACの制御を組み合わせたオプションとのいずれかを選択する必要がある。選択は、オプションの予想される使用電力の低さ、予想される実行速度、影響が及ぶアクチュエータの数、あるいは副作用(例えば、データセンタ内の他の温度に及ぶ影響)に基づいて行われてもよい。
制約付き予測を使用するモデルに基づく第3の方法は、制御動作が閾値問題を解決する可能性(又は、動作の結果における信頼性)に関して制御動作の全ての影響予測に制約を付けることと、当該可能性によりオプションをランク付けすることとを含む。これを図9に示す。図中、オプションa、b、c、dが示される。必要に応じて、更に多い又は少ないランク付けが使用されてもよい。最も可能性の高いオプション(オプションa)を選択するか、あるいは特定の可能性閾値Tを上回るオプション(オプションa及びb)の中から選択する。2つ以上のオプションが選択肢に含まれる場合、電力、作動速度、影響が及ぶアクチュエータの数又は副作用の少なさ等の更なる選択基準を使用する。
考慮されるべき密接に関係する更なる状況が存在する。第1に、冷房を増加するのではなく減少する必要がある場合、同様の考慮が適用される。例えば全ての温度センサが閾値を下回る場合、例えば節電のために冷房を減少することが有用である。第2に、気流がデータセンタ内で分散される方法により、例えばCRACからの冷房を増加することが実際はラックのセンサにおける温度を上昇させ、CRACからの冷房を減少することが実際はラックのセンサにおける温度を下降させるという意味で相反する影響を有する場合もあり、これは珍しいことではない。第3に、制御動作の結果、クリティカルなセンサ以外の環境センサが臨界にならないように、クリティカルなセンサに対する制御動作の影響のみでなく他の全ての環境センサに対する影響も考慮する必要がある。その場合、制御オプションをランク付けするために、現在臨界状態にある1つのセンサだけでなく、他の環境センサが閾値を超過する可能性を考慮することが有用である。そのような状況に対して、同様のモデルに基づく原理及びモデルの品質に基づく原理に沿って制御動作を選択することは、当業者の能力の範囲内である。
図10は、上記の実施形態を実現するために使用されてもよい方法1000を示すフローチャートである。
段階1010において、環境維持システムは、影響モデルを使用する第1のプロダクションモードで動作する。使用されるモデルは、インストール時の初期化において判定されていてもよく、最近更新されたモデルであってもよい。モデルの品質は十分に高いため、システムはモデルを使用することにより物理的状態を正常に維持できる。
段階1020において(例えば、この第1のプロダクションモードの一部として)、センサの値及びアクチュエータの動作レベルが判定される。いくつかの実施形態において、判定は、上述のようにモデルエンジンからの予測を使用して決定エンジンにより行われる。
段階1030において(例えば、同様に第1のプロダクションモード中に)、信頼スコアがアクチュエータに対して判定される。信頼スコアは、センサの値、アクチュエータの動作レベル又はモデルが使用されている時間に基づいてもよい。信頼スコアを判定するために他のデータが更に使用されてもよい。
段階1040において、信頼スコアに基づいて決定が行われる。信頼レベルの全てのスコアが閾値を上回る場合、システムは第1のプロダクションモードで動作を継続する。当該判定は、上述のように、予測アクチュエータ値の信頼区間に基づいてもよく、あるいは可能性値により判定されてもよい。他の決定基準が使用されてもよい。
しかし、段階1050において、信頼スコアが閾値を超過した場合、影響モデルが更新されるように、システムは第2のプロダクションモードに切り換えられる。段階1060において、アクチュエータの動作レベルは、上述のように、レベルの特定の軌道に沿って徐々に変更される。一実施形態において、軌道は、モデルの現在の状態が第1のアクチュエータの動作レベルを調節する範囲を超えて動作モデルを移動するために選択される。第1のアクチュエータの動作は軌道に沿って移動されるが、他のアクチュエータは、監視制御器等により、空間の物理的状態を所望の範囲内に維持するように動作レベルを調節されてもよい。その場合、第1のアクチュエータの動作レベルが軌道に沿って移動される際に、これらの調節及びセンサ値は記録される。
段階1070において、モデルは、軌道に沿う少なくとも第1のアクチュエータの動作レベルと、第1の軌道の時間の間の記録されたセンサ値及び他のアクチュエータの動作レベルに対する調節とを使用して更新される。
2.較正システム
図11は、本発明の実施形態に係るモデルを使用しない考察からモデルに基づく向上を経て制約付き制御決定への経緯をたどる決定エンジンを使用する環境維持システムを示す。本例において、単純な単入力単出力PID(比例積分微分)制御器が環境空間における環境状態を管理する。PIDは、フィードバック信号とフィードバック信号閾値との間の差分(誤差)を判定する。例えばフィードバック信号は、ホットスポットの環境センサ、すなわち閾値超過量が最大であるセンサにより報告された値であってもよく、フィードバック信号閾値は、ホットスポットの環境センサの閾値であってもよい。本例において、ホットスポット選択器がPIDにフィードバック信号を提供する。前記誤差から、PID制御器は本明細書中で「PID要求」と呼ぶPID制御出力を計算する。この計算は既知のPIDルールに基づく。
PID要求は、N個の各環境アクチュエータに対する個々のオフセットにより変更される(アクチュエータ毎に1つのオフセットを示すが、アクチュエータの種類及びアクチュエータの設定点の数に依存して、2つ以上のオフセットが存在してもよい)。オフセットは、加算されてもよく、乗算されてもよく、あるいはPID要求の他の変更因子を含んでもよい。結果として得られるアクチュエータ毎の要求は、図3に関して上述したリセット論理か又は他の方法により、直接的なアクチュエータ設定点等の制御動作の形態で各アクチュエータに通信される。
最初に、オフセットが固定されるか又はモデルに依存しない期間について考える。制御方法としてPID制御器を使用する利点は、第一に、全ての環境アクチュエータが一斉に動作するようにすることで、環境空間のモデルの知識を用いずに、全ての環境センサが広範な動作条件の下で各自の閾値に近いか又は閾値を十分に下回る状態に維持されることである。
PID調整器は、PID制御パラメータを設定する。PIDの調整は、標準的な調整ルールを使用して手動で行われることが多い。モデルエンジンからのモデル情報を用いる場合、既知の調整方法を使用してPIDパラメータを適切に調整して、制御性能を向上できる。モデルエンジンからの制約付きモデル情報を用いる場合、性能を更に向上するためにPIDパラメータを調整できる。
オフセット調整器は、環境変数及びアクチュエータ状態変数に基づいて、PID要求を変更するオフセットを判定する。オフセット調整器はモデルエンジンと通信しており、モデルを使用しない方法、モデルに基づく方法及び制約付きモデルに基づく方法を使用して上記のオフセットを判定でき、継続的に、定期的に又は非定期的に、全てのオフセットを変更しないか、あるいはいくつか又は全てのオフセットを変更できる。オフセットは、PID制御器を有さないシステムを模倣するためにPID要求信号を完全に隠すためにも、選択可能である。この意味で、本例はPID制御器を有さないシステムにも適用する。
オフセットを選択する方法の一例は、各環境変数が値の動作範囲内である場合にオフセットを固定し、いくつかの環境変数が各自の動作範囲を超過した場合にいくつか(1つ、2つ以上又は全て)のオフセットを変更することである。動作範囲は、システムが殆どの時間は純粋なPID制御の下で動作するが範囲を超過した場合は緊急の状況を反映するように選択されてもよい。緊急の状況において、PID制御器が所定のPID調整パラメータセットを用いて自身で反応するより速く緊急の状況に反応するために、いくつかのオフセットが大きい値に即座に設定されるか又は急速に増加される。上述のように、いくつかのオフセットは、モデルを使用しないヒューリスティックを使用して(例えばランダムに)、モデルに基づくルールを使用して(例えば、クリティカルな環境センサに対して最も高い影響を有する環境アクチュエータのオフセットを変更することにより)、並びに/あるいは制約付きモデルに基づく方法を使用して(例えば、クリティカルな状況を修正する可能性が最も高い環境アクチュエータのオフセットを変更することにより)、当該目的のために変更されてもよい。
モデルに基づく別のヒューリスティックにおいて、オフセット調整器は、範囲違反が発生する前に、予測される範囲違反又は範囲違反の可能性を解決すると予測されるオフセットを選択できる。
オフセット調整器は、1つ以上のコスト関数又は目的関数を最適化するオフセットを選択できる。例えば、例1のデータセンタについて考える。N個のCRACがデータセンタに存在する。それらは必ずしも等しくなくてよい。製造業者の説明書から、現在の環境状態及びアクチュエータの状態に対して、各CRACはP(C)の電力を消費してC(n=1,...,N)の冷房力を生産できることが既知である(この意味で、これはモデルを使用しない方法であり、そのような特徴がCRACの動作データを使用して導出される方法と異なる)。本例において、PID要求と総冷房要求C=C+...+Cは同等であると考えることが有用である。全てのCRACの電力の最適な使用は、C=C/N+D及びD+...+D=0として、総電力P=P(C)+...+P(C)が最小化されるようなオフセットDを選択することにより達成される。
図12Aは、N=2の場合の上記の処理策を示す。グラフの軸は、各アクチュエータに対する入力値(例えば、ファン回転速度を調節する電圧又は弁の開放率)であってもよい制御変数C及びCにより示されるアクチュエータ毎の要求の増加する値を表す。実線の曲線は、一定の総コスト(例えば、電力)Pの等高線を表し、Pは矢印の方向に曲線から曲線へ増加する。いくつかのそのような曲線を示すが、Pの各値に対して1つの曲線が暗示的に存在する。破線は、一定の総要求Cの線を表す。破線上の点は、総要求を表す破線が一定のコストを表す曲線と接する最適コストの位置を示す。この点の座標(C,C)は、それぞれのアクチュエータ毎の要求の最適値である。関連するオフセットDは、D=C−Cにより計算される。
オフセットの最適化は、環境閾値違反を発生させると予測される領域を除外するためのモデル予測を更に含むことができる。例えば図12Bは、モデルエンジンにより予測されるAHU毎の冷房要求が何らかの環境閾値を違反すると予想される斜線領域を図12Aに追加した図である。従って、点により示される最適な解決策は、当該領域の外側に存在する。この種の制約付き最適化を解決できる最適化方法は予測モデリングを使用してもよい。
オフセットの最適化は制約付きモデル予測を更に含むことができ、その場合、特定の予測される結果の確率又は可能性が考慮される。例えば図8及び図12Bを参照すると、望ましくない環境が生じる確率が何らかの閾値より高いと制約付きモデル予測が示す場合、AHU C(n=1,...,N)毎の冷房要求の領域を最適化から除外できる。
あるいは、図12Aを参照すると、総コスト関数Pは、目的が達成される確率をP’に組み込むことにより、最適化において使用される拡張されたコスト関数P’に変更されてもよい。例えば最適化は、P’(C,...,C)=P(C,...,C)/S(C,...,C)等の式に基づいてもよい。式中、Sは成功の確率であり、すなわち、アクチュエータ毎の要求C1,...,Cの組み合わせが望ましくない環境状態を発生させないと予測される確率である。従って、Sが0に近い(成功する公算が殆どない)場合、関連する拡張されたコストP’は非常に大きく、Sが100%に近い場合、拡張されたコストP’はPに収束する。制約付きモデルのメトリックを使用して、他の拡張されたコスト関数を定義できる。
従って、決定エンジン及びモデルエンジンを備える好適な監視制御システムは、全ての状態のモデル精度において、種々の程度の安全域及び最適性で環境システムが安全に制御されるように、モデルを使用しない制御方法と、制約なし/制約付きモデル情報及び予測に基づく制御方法とを組み合わせる。
D.制御に対する較正オーバーライド及び影響モデルの最適化を行う第2のプロダクションモード
以上、現在のモデルの制限のため、現在のモデルを使用して行われる制御決定が効率的でなく且つ/又はモデルの品質を向上しない場合のいくつかの例を提供した。このように、モデルに基づく制御決定とモデルの向上とが対立する場合がある。少なくとも1つの制御変数を大きく変化させない場合、モデルを向上するために必要なデータを取得できない。
1.較正オーバーライド(Calibration Overrides)
当該問題を解決する方法は、記載した制御の目的を満たすために、通常の制御に対して残りの制御変数又は制御変数の組み合わせを使用しながら、いくつかの制御変数又は制御変数とモデルを向上するために選択された値との組み合わせをオーバーライドすることである。監視制御器が選択された制御変数を現在のモデルが予測する範囲を超えて明示的に調節するようにすることにより、全ての制御変数の更に有利な組み合わせが見つけられる。オーバーライド方法の間、選択された制御変数に対する値を与える関数を軌道と呼ぶ。軌道の例を以下に示す。使用する制御変数を選択する方法を以下に説明する。
図13A〜図13Dの例に関して、方法を説明する。本例は、制御変数C及びCを有する2つの環境アクチュエータを有する制御システムに基づく。コストが等しい点を接続する等高線1310により最適化コスト関数を示す。最適化コスト関数の一例は、C及びCの関数である総エネルギーコストである。等高線は、コスト関数に依存して、開いたループであってもよく、閉じたループであってもよい。本例は、方法の重要な概念を2次元の図で示すことができるように構成されるが、更に多くの制御変数(多くの場合、変数は非常に多く、例えば21個以上である)を有するシステムにも適用し、その場合、コスト関数の等高線1310及び特に境界線1340(以下を参照)の全体形状(global geometries)はマッピングすることが現実的に不可能である。
図13Aにおいて、モデル化領域1320を網掛けで示し、システムの初期動作点1330は網掛け領域内に示される。モデル化領域1320は、システムの挙動に関して適切で有用な予測を行うのに十分な品質を影響モデルが有する領域である。一般に、初期動作点1330はモデル化領域1320内に存在する必要はない。
及びCのいくつかの組み合わせは、特定の閾値を超過する環境状態を発生させる場合がある。これらの状態は、(C,C)空間を許容可能な動作点と望ましくない動作点とに分離する境界1340を作成する。図13A〜図13Cにおいて、許容可能な動作点は境界1340の上方に存在し、従って、初期動作点1330は本例では許容可能であるが、一般に初期動作点が許容可能である必要はない。
モデル化領域1320の形状及び大きさは、モデルの状態に依存する。本例において、領域1320はCの可能な値の非常に狭い範囲を含む。境界1340を考慮してモデル化領域1320内でコスト関数を最小化する制御変数C及びCを見つけようとするオプチマイザは、システムがある時点で初期動作点1330にあるという結果になる。モデル化領域1320の大きさが限定されるため、オプチマイザは、非常に遠くを探すことなく(C,C)空間における低コストの解決策を見つける。
モデルを向上させるために、コスト関数を一時的に増加するリスクを冒してまでも、制御変数Cは、例えば初期点1330から終了点1360に一定の速度で、所定の方法で増加される(換言すると、Cは軌道に従うようにされる。すなわちモデル較正オーバーライドである)。この較正オーバーライドにより、決定エンジンは1つの制御自由度(degree of control freedom)を失う。較正オーバーライドの間、決定エンジンは、図13Bにおいてパス1350(軌道)で示すように、残りの自由度(remaining degrees of freedom)(本例ではC)を使用して環境空間の安全で最適な状態を維持する。決定エンジンは残りの自由度を使用して、境界1340と交差することを回避し、較正オーバーライドを使用する場合の最低の可能なコストで動作する。例えばパス1350に沿って通過された中間点1370は、初期点1330より低いコストを有する動作点である。
図13Cは、較正オーバーライドが終了点6で終了した後及びパス1350の途中でも、新しいパス1350からのデータを組み込むことによりモデル化領域が再計算されてもよいことを示す。新しいモデル化領域1380は、最適化は初期点1330より適切な動作点(中間点1370として示す)を当該領域内で見つける結果になる。較正オーバーライドが解除された後、制御ステップ1390において、決定エンジンはシステムを終了点1360から最適な中間点1370にすることができる。
図13Dは、図13B及び図13Cで説明した状況に対する制御変数C、Cの個別の時間履歴を示す。図13Bから図13Cへの(C,C)空間における軌道に沿う点は、図13Dにおいて、曲線C上の1つの点及び曲線C上の1つの点である2つの点として現われる。
2.軌道の例
第1の制御変数に対するいくつかの軌道の例を図14A〜図14Fに示す。使用可能な他の軌道は当業者には明らかだろう。図示するいずれの軌道においても、必ずしも制御変数の値が軌道の始点で有していた初期値に戻らなくてもよい。図14Aの軌道において、制御変数の値は最初に増加した後に減少し、各段階において一定の速度で変化する。図14Bの軌道において、制御変数の値は最初に一定の速度で減少した後、一定の速度で増加する。
有用な軌道として使用されてもよい種々の関数形が存在する。いくつかを図14A〜図14Fに示す。他の関数形が軌道として更に使用されてもよいことは当業者には明らかだろう。図14Aにおいて、制御変数は、固定された速度で最初に増加された後に減少される。図14Bにおいて、制御変数は、固定された速度で最初に減少された後に増加される。これらの2つの例において、必ずしも開始値1330及び終了値1360が等しくなくてもよい。
図14Cにおいて、関数形は、好ましくは開始値1330及び終了値1360が同一であり、好ましくはパス1350が対称であるように、制御変数の値が増加する区間と制御変数の値が減少する区間とを組み合わせた複数の一定の速度の関数で構成される。これは、他のアクチュエータが第1のアクチュエータの変化に応答する速度を判定するのに有用である。
図14Dにおいて、制御変数は、連続的に最大値に設定された後、ある期間最小値に設定される。その逆も可能である。これに類似するのが図14Eに示す関数形であり、制御変数の値は、ある期間にわたり一連の離散的なレベルに設定され、それらは必ずしも連続して増加又は減少しなくてもよい。
図14Fに示す軌道に対する関数形は、制御変数がある期間にわたり一定でない速度で常に変化してもよいことを示す。
3.第2のプロダクションモードの終了
環境空間の安全性が未解決である場合又は所定の制御動作が一時的に不可能である場合、所定の較正オーバーライドを変更するか、あるいは保留又は解除することが有用であるいくつかの状況が存在する。第1の状況において、監視制御器は、環境空間における緊急の状況を検出する。環境空間を保護するために全てのアクチュエータを使用可能にするために、較正オーバーライドを解除するのが好ましい。この挙動は、較正オーバーライドが緊急の状況の原因である場合に特に有用である。例えばラックが冷房の冗長を有さない、すなわち、閾値を下回る残りのラックに対して全ての関連する冷房を単一のCRACが提供するデータセンタのエリアについて考える。較正オーバーライドのために当該CRACの冷房出力を低下することにより温度が過度に高くなる場合があり、決定エンジンに較正オーバーライドを中止させる必要がある。それに対して、冷房出力を増加させる較正オーバーライドは、影響モデルを向上するためのデータを提供するための好ましいオーバーライド方法である。
第2の状況において、環境アクチュエータは、規定の制御変数に従うことが一方の方向では一時的に不可能であるが、他方の方向では可能である。これは、単にアクチュエータが何らかの方法で最大限に使用されている場合である。例えば、オフ状態である環境アクチュエータはオン状態にしかできず、最大出力で使用されているアクチュエータは出力を減少することしかできない。いくつかの状況は、これらほど単純でない。
例えば、外部からアクセス可能な還気温度制御設定点を有する還気温度制御モードにあるCRACについて考える。還気温度が当該設定点より高い場合、CRACは冷房出力を増加する(例えば、冷気を排出する)ことにより応答すると仮定する。通常のCRAC装置は、還気温度設定点の値に何らかの制限を有する。管理者は、監視制御器が従う更なる制限を設けることができる。例えば最小許容設定点が70°Fであると仮定する(同様の説明は最大設定点に適用する)。還気が70°Fより高温である限り、監視制御器は、70°Fと当該還気温度との間である設定点をCRACに通信することによりCRACの冷房出力を増加させることができる(CRAC制御器における入力側の不感帯により、実際の有効な設定点の範囲は更に狭い)。還気温度が最小設定点に近いほど、生成される制御指示は少ない(殆どのCRAC制御器は、還気温度と設定点との差が小さいほど遅い速度で反応する)。
還気温度が設定点の最小値である70°Fを下回るとすぐに(実際は、それより前であり、他のCRACからの気流の交差によりデータセンタ内で起こり得る状況である)、監視制御器は当該CRACに対する制御を一方向において失う。監視制御器は、還気温度の設定点を現在の還気温度より十分高く設定すること等により当該CRACの冷房出力を減少することはできるが、冷房出力を更に増加することはできない。
4.所定のプロダクションモードに対するアクチュエータ及び軌道の選択
他の状況は、モデルの品質を向上する目的のため、結果として得られる制御動作を最大限にするために、そのような一方向の制約を考慮して較正オーバーライドを選択することである。
残りの環境制御システムの混乱を限定するために、較正オーバーライドを一度に環境アクチュエータの1つの制御変数に限定することが好ましい。2つ以上の較正オーバーライドを同時に考慮する場合、所定の環境空間に対する冗長性及びリスクを考慮する必要がある。環境アクチュエータと環境センサとの間の冗長性は、当該センサに実質的に影響を及ぼす環境アクチュエータの数である。この数が多い場合及び/又は当該センサの値が閾値を超えるよりはるかに遠い場合、それらのアクチュエータのうちの1つに対する較正オーバーライドは相対的に安全であると考えることができる。しかし、冗長性及び影響は一連の較正オーバーライドの後までわからないことが多いため、同時に実行する較正オーバーライドの数は控えめに選択されるべきであり、1つであるのが好ましい。
較正オーバーライドの概念を単一の制御変数ではなく自由度の制御(controldegree of freedom)に適用することは有用である。例えば2つの制御変数がある期間にわたり一斉に変更されたため、影響モデルに対する相対寄与を推論するための変動が2つの制御変数の間に殆どない状況について考える。較正オーバーライドは、決定エンジンが2つの制御変数の平均(第1の自由度の制御)に対する制御を維持するが、それらの差分(第2の自由度の制御)を較正オーバーライドに譲るように行われる。例えば差分は、0に近い状態から、ある期間にわたりゆっくり増加されてもよい。以下、用語「制御変数」は自由度の制御を含むことを意図する。
モデルのメトリックに基づいて、較正オーバーライドのために選択される制御変数を選択するのが好ましい。単純なモデルのメトリックは、ある期間の制御変数の変動量である。この変動が閾値未満である場合、モデルエンジンは、当該制御変数に対する較正オーバーライドの必要性を決定エンジンに信号伝送するのが好ましい。
特定の較正オーバーライドに対するモデルエンジンの要求を後で実行するために先入れ先出し(FIFO)方式で待ち行例に入れるのが好ましい。中間の較正オーバーライド又は決定エンジンによる中間の定期制御動作の結果、較正オーバーライド要求の当初の原因であったメトリックが向上した場合、較正オーバーライドを後で実行する必要がなくなる。
影響モデルのメトリックを向上するために制御できない制御変数が変化しない場合、較正オーバーライド要求のFIFO待ち行列は有利である。待ち行列を用いない場合、監視制御器は、他の制御変数の影響モデルのメトリックを向上できるのに向上しない状態で、変化しない制御変数に対する較正オーバーライドを無駄に試み続ける。
5.機会コスト(opportunity cost)
前述の節における例及び例5は、不適切な品質のモデルを向上しようとしない場合の機会コストについて言及した。モデルの品質を向上する方法は、制御関数の実行及び最適化と並行する明示的な較正オーバーライドを含む。別の方法は、機会コスト又は十分に正確なモデルを有さない場合のコストの測定を用いて、最適化コスト関数を向上する。
図15A〜図15Dを参照して、機会コストを含む好適な一実施形態の一例を説明する。図面は部分コスト関数の等高線の例を示し、部分コスト関数の加重和は最適化において使用される総コスト関数である。軸C及び軸Cは、例示するための2つの環境アクチュエータの制御変数を表す。部分コスト関数は、示される矢印に沿って等高線から等高線へ増加した。
図15Aは、エネルギーコスト関数の一例を示し、高いコストを表す等高線は、環境アクチュエータによるエネルギー使用が多いことに関連付けられる。
図15Bは、閾値違反コスト関数の一例を示し、高いコストを表す等高線は、予測される閾値違反の可能性が高いことと関連付けられ、予測は現在のモデル及びモデルの品質に基づく。
図15Cは、機会コスト関数の一例を示し、高いコストは適切なモデルの品質を表す。すなわち、部分機会コスト関数は、不十分なモデルの品質を有する範囲を優先する。
図15Dは、制御変数空間における特定の方向を他の方向より優先する機会コスト関数を示す。最大で1つ又は少数の制御変数が最適化により未知の領域まで変化することが好ましい場合、この種のコスト関数は有利である。結果は、同一の制御変数又は制御変数の組み合わせに対する較正オーバーライドと同様である。
この種の最適化は、各制御変数が部分コスト関数及び/又は総コスト関数に寄与し、各制御変数の相対寄与は環境アクチュエータの数と共に減少するということにも起因する。特に10個、20個、40個又はそれより多い(データセンタの場合は珍しくない)環境アクチュエータを有する大規模システムにおいて、最適化及び/又は較正オーバーライドの結果、1つのアクチュエータ制御変数が著しく変更される場合、総コストに対する影響は僅かにすぎない。制御の一次目的のために制御決定を提供し続けている決定エンジン内に実行制御器を有し且つデータセンタにおいて十分な冗長性を有する場合、較正オーバーライド及び/又は機会コスト関数により駆動される変動は、一次部分コスト関数(多くの場合、アクチュエータのエネルギー使用)の値に大きい影響を及ぼさない。
拡張されたコスト関数に関する最適な解決策を見つけるための最適化方法は、当技術において既知である。
最後に、例5は以下の方法で解決可能である。好ましくは制御された環境空間の設計図(例えば、間取り図)に重ねた色付き地図又は構造化地図により、環境空間に関する監視システムの知識の状態を視覚化することは有利である。例えば色分けされた地図は、環境空間内の全ての環境センサに対するCRACの影響の範囲を表すことができ、重ねられた網掛けの密度が影響の色地図の信頼性を示してもよい。その場合、監視制御器は他の範囲より信頼性が低いと示される地図の範囲を向上するようにある期間にわたり動作するとユーザは予想できる。この目的のために、戦略ゲームにおいて時々使用される「戦場の霧」視覚化技術を更に使用でき、モデルの品質が相対的に低いか又は比較的古いデータに基づく領域はフェードアウトされる。
同一の視覚化技術のうちのいくつかを前後を比較する状況又は仮定の状況のレンダリングに適用することが有利である。特に、環境空間の現在の状態と環境空間の予測される状態とを対比でき、あるいは、異なる制御決定の結果得られると予想される2つの予測される状態を対比できる。その場合、視覚化は比較の信頼度を示すために使用される。
III.コンピュータシステム
本明細書中で説明するコンピュータシステムはいずれも、あらゆる適切な数のサブシステムを使用してもよい。そのようなサブシステムの例をコンピュータ装置1600において図16に示す。いくつかの実施形態において、コンピュータシステムは単一のコンピュータ装置を含み、その場合、サブシステムはコンピュータ装置の構成要素であってよい。他の実施形態において、コンピュータシステムは、各々が内部構成要素を有するサブシステムである複数のコンピュータ装置を含むことができる。
図16に示すサブシステムは、システムバス1675を介して相互接続される。プリンタ1674、キーボード1678、固定ディスク1679、ディスプレイアダプタ1682に結合されるモニタ1676等の更なるサブシステム及び他のサブシステムが示される。周辺装置及び入出力(I/O)制御器1671に結合するI/O装置は、シリアルポート1677等の当技術において既知のあらゆる手段によりコンピュータシステムに接続可能である。例えばシリアルポート1677又は外部インタフェース1681(例えば、イーサネット、Wi−Fi等)を使用して、コンピュータシステム1600をインターネット等のワイドエリアネットワーク、マウス入力装置又はスキャナに接続できる。システムバス1675を介する相互接続により、中央処理装置1673は各サブシステムと通信でき、システムメモリ1672又は固定ディスク1679からの命令の実行及びサブシステム間の情報の交換を制御できる。システムメモリ1672及び/又は固定ディスク1679は、コンピュータ可読媒体を実現してもよい。本明細書中で説明する値はいずれも、1つの構成要素から別の構成要素へ出力可能であり、ユーザに対して出力可能である。
コンピュータシステムは、例えば外部インタフェース1681又は内部インタフェースにより共に接続された複数の同一の構成要素又はサブシステムを含むことができる。いくつかの実施形態において、コンピュータシステム、サブシステム又は装置はネットワークを介して通信できる。そのような例において、1つのコンピュータをクライアントと考え且つ別のコンピュータをサーバと考えることができ、その場合、各々は同一のコンピュータシステムの一部である。クライアント及びサーバはそれぞれ、複数のシステム、サブシステム又は構成要素を含むことができる。
本発明の実施形態はいずれも、ハードウェア(例えば、特定用途向け集積回路又はフィールドプログラマブルゲートアレイ)を使用して且つ/又はコンピュータソフトウェア及び一般にプログラム可能なプロセッサをモジュールで又は一体化して使用して、制御論理の形態で実現可能であることが理解されるべきである。本明細書中で提供される開示及び教示に基づいて、当業者は、ハードウェア及びハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを使用して本発明の実施形態を実現する他の手法及び/又は方法を認識及び理解するだろう。
本出願において説明するソフトウェア構成要素又は機能はいずれも、例えば従来の技術又はオブジェクト指向技術を使用する例えばJava、C++又はパール等の何らかの適切なコンピュータ言語を使用してプロセッサにより実行されるソフトウェアコードとして実現されてもよい。ソフトウェアコードは、格納及び/又は伝送のためにコンピュータ可読媒体上に一連の命令又はコマンドとして格納されてもよく、適切な媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードドライブ又はフロッピディスク等の磁気媒体、あるいはコンパクトディスク(CD)又はDVD(デジタル多用途ディスク)等の光媒体及びフラッシュメモリを含む。コンピュータ可読媒体は、そのような記憶装置又は伝送装置の何らかの組み合わせであってもよい。
そのようなプログラムは符号化され、インターネットを含む種々のプロトコルに準拠する有線ネットワーク、光ネットワーク及び/又は無線ネットワークを介する送信に適合する搬送波信号を使用して送信されてもよい。そのため、本発明の一実施形態に係るコンピュータ可読媒体は、そのようなプログラムを符号化されたデータ信号を使用して作成されてもよい。コンピュータ可読媒体は、非一時的な物理的媒体にデータを記録してもよい。プログラムコードを符号化されたコンピュータ可読媒体は、互換装置と共にパッケージされてもよく、あるいは他の装置とは別に提供されてもよい(例えば、インターネットダウンロードを介して)。そのようなコンピュータ可読媒体はいずれも、単一のコンピュータプログラム(例えば、ハードドライブ、CD又はコンピュータシステム全体)上又は内部に常駐してもよく、システム又はネットワーク内の異なるコンピュータプログラム上又は内部に存在してもよい。コンピュータシステムは、モニタ、プリンタ、あるいは本明細書中で説明する結果のいずれかをユーザに提供するための他の適切なディスプレイを含んでもよい。
本明細書中で説明した方法はいずれも、ステップを実行するように構成可能なプロセッサを含むコンピュータシステムを用いて完全に又は部分的に実行されてもよい。従って、実施形態は、本明細書中で説明したいずれかの方法のステップを実行するように構成されたコンピュータシステムに関し、潜在的に、異なる構成要素が各ステップ又はステップのグループを実行する。番号付きステップとして提示したが、本明細書中の方法のステップは同時に又は異なる順序で実行可能である。更に、上記のステップの一部分は、他の方法からの他のステップの一部分と共に使用されてもよい。また、ステップの全て又は一部分はオプションであってもよい。更に、いずれかの方法のいずれかのステップは、モジュール、回路又はそれらのステップを実行する他の手段を用いて実行可能である。
特定の実施形態の特定の詳細は、本発明の実施形態の趣旨と範囲から逸脱することなく、何らかの適切な方法で組み合わされてもよい。しかし、本発明の他の実施形態は、個別の態様又はそれら個別の態様の特定の組み合わせに関連する特定の実施形態に関してもよい。
本発明の例示的な実施形態の上記の説明は、例示及び説明の目的で提示された。これは、本発明を網羅する意図はなく、あるいは説明された厳密な形式に本発明を限定する意図はなく、多くの変更及び変形が上記の教示の下で可能である。実施形態は、本発明の原理及びその実際的な適用例を最適に説明し、それにより当業者が特定の使用に適すると考えられる種々の変更を伴う種々の実施形態において本発明を最適に使用できるように、選択され且つ説明された。
単数形は、特に記載されない限り、「1つ以上」を意味することを意図する。
上述の全ての特許、特許出願、公開及び説明は、全ての目的のために本明細書に参考として全ての内容が取り入れられる。いずれも従来技術であると認められない。

Claims (15)

  1. 各々が1つ以上のアクチュエータを含む複数の環境維持モジュールと、各々が環境の対応する物理的状態の値を測定する複数のセンサとを含む環境維持システムの影響モデルを更新する方法であって、
    前記センサのセンサ値を測定すること及び
    前記アクチュエータの第1の動作レベルに基づいて前記影響モデルを使用して判定される予測センサ値が閾値を超過しないように第1のコスト関数を最適化する前記アクチュエータの前記第1の動作レベルを判定すること
    により、前記影響モデルを使用して前記アクチュエータの動作レベルを判定する第1のプロダクションモードで前記環境維持システムを運転するステップと、
    前記影響モデルが更新され、第1のアクチュエータの第1の動作レベルが第2のプロダクションモードの更新手順の一部として変更される、前記第2のプロダクションモードを示すイベントを識別するステップと、
    前記第1のアクチュエータの前記第1の動作レベルを第1の軌道に従うように制約すること、
    前記第1のアクチュエータを含まない前記アクチュエータのサブセットの第2の動作レベルであり、第2のコスト関数を最適化する第2の動作レベルを測定センサ値に基づいて判定すること及び
    前記第1の軌道、前記第2の動作レベル及び測定センサ値に基づいて前記影響モデルを更新すること、
    により、前記環境維持システムを前記第2のプロダクションモードで運転するステップと、
    を備えることを特徴とする方法。
  2. 前記イベントを識別するステップは、
    前記第1のアクチュエータに関連する前記影響モデルの第1の信頼スコアを判定することと、
    前記第1の信頼スコアが第1の閾値を下回る場合、動作レベルが変更される前記第1のアクチュエータを識別することと、
    を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記第1の信頼スコアは、前記第1のアクチュエータの前記動作レベルの変動が閾値を下回る時間の長さに基づくことを特徴とする請求項2記載の方法。
  4. 前記第1の軌道は、時間に対して直線に変化することを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 第2のモードを示す前記イベントは、定期的にスケジューリングされるか、あるいは、アクチュエータのうちの1つにおいて動作レベルが指定された期間より長い間変更されないことであることを特徴とする請求項1記載の方法。
  6. 前記アクチュエータのサブセットの前記第2の動作レベルは、前記物理的状態を値の許容範囲内に維持するように選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
  7. 前記影響モデルを更新することは、
    複数の第1の時刻における前記センサの値及び前記アクチュエータの値を含む時系列のデータを受信するステップと、
    前記複数の第1の時刻の後の第2の時刻における選択されたセンサの値を予測するために、前記複数の第1の時刻における前記センサの前記値及び前記アクチュエータの前記値を使用するステップと、
    前記第2の時刻における前記選択されたセンサの前記予測された値と前記第2の時刻における前記選択されたセンサの実際の値とを比較するステップと、
    前記比較に基づいてモデルパラメータを更新するステップと、
    を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  8. 前記影響モデルのパラメータを更新することは最小二乗法を使用することを特徴とする請求項7記載の方法。
  9. センサ値が対応する閾値を超過するのに応答して前記第2のプロダクションモードを終了するステップを更に備えることを特徴とする請求項1記載の方法。
  10. 各々が1つ以上のアクチュエータを含む複数の環境維持モジュールと、環境の物理的状態の値を測定する複数のセンサとを含む環境維持システムの影響モデルを更新する方法であって、
    前記センサのセンサ値を測定すること及び
    前記アクチュエータの入力されたレベルに基づいて前記影響モデルを使用して判定される予測センサ値が閾値を超過しないように第1のコスト関数を最適化する前記アクチュエータの第1の動作レベルを判定すること
    により、前記影響モデルを使用して前記アクチュエータの動作レベルを判定する第1のプロダクションモードで前記環境維持システムを運転するステップと、
    前記影響モデルが更新され、第1のアクチュエータの第1の動作レベルが特定の軌道に従って前記影響モデルの更新手順の一部として変更される第2のプロダクションモードを示すイベントを識別するステップと、を備える方法であり、前記イベントを識別するステップは、
    1つ以上の前記第1のアクチュエータに関連する前記影響モデルの第1の信頼スコアを判定することと、
    前記第1の信頼スコアが第1の閾値を下回る場合、動作レベルが変更される前記第1のアクチュエータを識別すること、とを含むことを特徴とする方法。
  11. 前記影響モデルを更新することは、
    複数の第1の時刻における前記センサの値及び前記アクチュエータの値を含む時系列のデータを受信するステップと、
    前記複数の第1の時刻の後の第2の時刻における選択されたセンサの値を予測するために、前記複数の第1の時刻における前記センサの前記値及び前記アクチュエータの前記値を使用するステップと、
    前記第2の時刻における前記選択されたセンサの前記予測された値と前記第2の時刻における前記選択されたセンサの実際の値とを比較するステップと、
    前記比較に基づいてモデルパラメータを更新するステップと、
    を含むことを特徴とする請求項10記載の方法。
  12. 前記特定の軌道に従って前記第1のアクチュエータの前記第1の動作レベルを変更することは、前記影響モデルにより判定された前記第1のアクチュエータに対する動作レベルの範囲外の値に前記第1の動作レベルを調節することを特徴とする請求項10記載の方法。
  13. 前記特定の軌道に従って前記第1のアクチュエータの前記第1の動作レベルを変更している間にセンサ値が閾値を超過する場合、監視制御器は前記環境維持システムに前記第2のプロダクションモードを終了させることを特徴とする請求項12記載の方法。
  14. プロセッサにより実行されると、前記プロセッサに請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法を実行させる複数の命令を含むコンピュータプログラム。
  15. 各々が環境の対応する物理的状態の値を測定する複数のセンサと、
    各々が1つ以上のアクチュエータを含む複数の環境維持モジュールと、
    前記環境維持モジュール、前記センサ及び請求項14記載のコンピュータプログラムと通信可能にリンクされ、請求項14記載のコンピュータプログラムの前記複数の命令を実行するように構成される監視制御器と、
    を備えることを特徴とする環境維持システム。
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