JP6244874B2 - 原料装入方法 - Google Patents
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Description
そこで、非特許文献1には、炉の中心側から炉壁側に向かって旋回シュートを傾動させることにより、炉の中心から中間部の装入量を増大させ、安息角(堆積角)を小さくすることが開示されている。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は、ベルレス式高炉の概略構成の一例を模式的に示す図である。尚、各図では、説明の都合上、説明に必要な部分のみを必要に応じて簡略化して示す。また、各図に示すx、y、z座標は、各図における方向の関係を示すものであり、x、y、z座標の原点は、必ずしも各図に示す位置に限定されない。
本実施形態では、旋回シュート8の傾動角θを変更することにより、炉壁側から炉の中心側に向かって旋回シュート8を移動させて、コークスを装入した後、旋回シュート8を炉壁側に戻して、炉壁側から炉の中心側に向かって旋回シュート8を移動させて、鉄鉱石を装入することにより1チャージ分の原料の装入を行う。ただし、非特許文献1に記載されているように、炉の中心側から炉壁側に向かって旋回シュート8を移動させるようにしてもよい。
装入領域210a〜210jに原料(コークス及び鉄鉱石)を装入する場合には、各装入領域210a〜210jの炉の径方向の中心の位置220a〜220jが原料(コークス及び鉄鉱石)の狙い位置になるように、旋回シュート8の傾動角θを設定し、当該傾動角θを保ったまま、旋回シュート8を旋回させる。
例えば、装入領域210aに鉄鉱石を装入しない場合には、装入領域210aの炉の径方向の中心の位置220aが鉄鉱石の狙い位置になるように、旋回シュート8の傾動角θを設定することを省略して、次のチャージのコークスの最初の装入領域210jの炉の径方向の中心の位置220jがコークスの狙い位置になるように、旋回シュート8の傾動角θが設定される。
全ての原料の目標総堆積高さ(=Lo+Lc)は、操業要求等から予め定まる。また、全ての原料の目標堆積高さの総和に対する鉄鉱石の目標堆積高さの割合(=Lo/(Lo+Lc))も、操業要求等から装入領域210a〜210jごとに予め定まる。したがって、これらの値から、装入領域210a〜210jごとに、鉄鉱石の目標堆積高さLoと鉄鉱石の目標堆積高さLoとを導出する。
尚、全ての原料の目標堆積高さの総和に対する鉄鉱石の目標堆積高さの割合(=Lo/(Lo+Lc))が0(ゼロ)である装入領域に対しては、鉄鉱石は装入されないことになる。また、全ての原料の目標堆積高さの総和に対する鉄鉱石の目標堆積高さの割合(=Lo/(Lo+Lc))と全ての原料の目標堆積高さの総和とが等しくなる装入領域に対しては、コークスは装入されないことになる。以下の説明では、「全ての原料の目標堆積高さの総和に対する鉄鉱石の目標堆積高さの割合」を必要に応じて「鉄鉱石の目標堆積高さの割合」と称する。
本実施形態では、以下の(1)式を用いた計算を、各原料(コークス及び鉄鉱石)及び各装入領域210a〜210jのそれぞれに対して行う。
旋回数[回]=目標堆積高さ[m]÷(排出流量[m3/min]÷旋回速度[rpm]÷装入領域面積[m2]) ・・・(1)
1つの装入領域における鉄鉱石の目標堆積高さ[m]=(全ての原料の目標堆積高さの総和)×(当該装入領域における鉄鉱石の目標堆積高さの割合) ・・・(2)
1つの装入領域におけるコークスの目標堆積高さ[m]=(全ての原料の目標堆積高さの総和)−(当該装入領域における鉄鉱石の目標堆積高さ) ・・・(3)
1つの装入領域における装入領域面積[m2]=装入領域総面積[m2]−内側装入領域総面積[m2] ・・・(4)
(4)式において、装入領域総面積とは、コークス及び鉄鉱石が装入される高さ位置における炉の中心の位置Oから、当該装入領域の外周側の端部までの炉の径方向における長さを半径とする円の面積である。また、内側装入領域面積とは、当該装入領域よりも内側にある装入領域の総面積である。
前述したように、(1)式は、原料(コークス及び鉄鉱石)毎・装入領域210a〜210j毎の式であるので、排出流量と旋回速度は、原料毎・装入領域毎に得られる。
第1の条件は、1チャージにおけるコークスの総装入時間と、1チャージにおける鉄鉱石の総装入時間とが、それぞれ高炉からの要求により定まる時間以内となるという条件である。
第2の条件は、旋回速度が、旋回シュート8の能力により定まる範囲内になるという条件である。
第3の条件は、排出流量が、下部流調ゲート6の能力により定まる範囲内になるという条件である。
第4の条件は、旋回数が正の整数になるという条件である。
装入時間[min]=(当該装入領域に当該原料を装入する際の旋回シュート8の旋回数[−])÷(当該装入領域に当該原料を装入する際の旋回シュート8の旋回速度[rpm]) ・・・(5)
したがって、1チャージにおける1つの原料の総装入時間[min]は、全ての装入領域における装入時間の総和で表される。
このように本実施形態では、第1〜第4の条件を満たすように、各装入領域210a〜210jの炉の径方向における長さra〜rjの導出と、原料毎・装入領域毎の排出流量・旋回速度の導出とを試行錯誤的に行って、各装入領域の炉の径方向における長さと、原料毎・装入領域毎の排出流量・旋回速度と、を決定する。
動作設定部110は、ユーザによるユーザインターフェースの操作に基づいて、前述したようにして決定された「各装入領域の炉の径方向における長さと、原料毎・装入領域毎の排出流量・旋回速度・旋回数」を入力し一時的に記憶(設定)する。
動作設定部110は、例えば、CPU、ROM、RAM、及びユーザインターフェースを用いることにより実現される。
弁制御部120は、例えば、CPU、ROM、RAM、及び通信インターフェースを用いることにより実現される。
旋回シュート制御部130は、例えば、CPU、ROM、RAM、及び通信インターフェースを用いることにより実現される。
尚、装入制御装置100は、下部流調ゲート6と旋回シュート8以外にも、原料(コークス及び鉄鉱石)を高炉本体7の内部に装入するための設備の動作を制御するものであるが、これらの設備の制御は、公知の技術で実現できるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
ここでは、高炉本体7の口径(炉口径)を10[m]とした。また、1チャージ当たりのコークスの重量を24.2[t/ch]とし、1チャージ当たりの鉄鉱石の重量は136[t/ch]をとした。尚、これらの比であるO/Cは5.61(≒136÷24.2)になる。また、単位体積当たりのコークスの重量を0.5[t/m3]とし、1チャージ当たりのコークスの量(体積)を48.4[m3/ch]とした。また、単位体積当たりの鉄鉱石の重量を1.65[t/m3]とし、1チャージに当たりの鉄鉱石の量(体積)を82.345[m3/ch]とした。
図3において、炉半径長さ[m]は、コークス及び鉄鉱石が装入される高さ位置における炉の中心の位置Oから、当該装入領域の外周側の端部までの炉の径方向における長さである。例えば、図2の装入領域210bに対する炉半径長さは、装入領域210a、210bの炉の径方向における長さの和(=ra+rb)である。
炉径方向長さ(中点)[m]は、コークス及び鉄鉱石が装入される高さ位置における炉の中心の位置Oから、当該装入領域の径方向の中心までの炉の径方向における長さである。例えば、図2の装入領域210bに対する炉半径長さ(中点)は、装入領域210aの炉の径方向における長さと装入領域210bの炉の径方向における長さの1/2倍の長さとの和(=ra+rb/2)である。
装入領域面積とは、当該装入領域の面積である。例えば、図2の装入領域210bに対する装入領域面積は、装入領域210bの面積である。
図3に示す例では、図2と同様に、10個の装入領域が設定されている。また、これら10個の装入領域の炉の径方向における長さは全て0.5[m]である。
また、1チャージにおけるコークスの総装入時間の上限値を2.5[min]とし、1チャージにおける鉄鉱石の総装入時間の上限値を2.5[min]とした。本実施形態では、1チャージにおけるコークス・鉄鉱石の総装入時間の上限値が、ベルレス式高炉における操業要求に基づく制約の一例になる。
また、堆積量[m3]は、各装入領域に装入される1つの原料(コークス又は鉄鉱石)の量(体積)である。堆積量は、以下の(6)式で導出される。
1つの装入領域に装入される1つの原料の堆積量[m3]=装入領域面積[m2]×当該装入領域における当該原料の目標堆積高さ[m] ・・・(6)
図9〜図11に示すように、内側から2番目の装入領域に鉄鉱石を排出する際の旋回速度をその下限値(=8[rpm])からその上限値(=12[rpm])に変更することにより、前述した第1〜第4の条件の全てを満たすように、各装入領域の設定と、原料毎・装入領域毎の排出流量と旋回速度の導出とを行うことができた。
旋回数[回]=目標堆積高さ[m]÷(排出流量[m3/min]÷旋回速度[rpm]÷装入領域面積[m2])×占積率 ・・・(1)
このように、1チャージの間に装入領域に装入される原料の体積は、1チャージにおける当該原料の目標堆積高さと当該装入領域の面積との積に等しくても、1チャージにおける当該原料の目標堆積高さと当該装入領域の面積との積に占積率を掛けた値に等しくてもよい。すなわち、1チャージの間に装入領域に装入される原料の体積は、1チャージにおける当該原料の目標堆積高さと当該装入領域の面積との積から、前述した占積率に応じた範囲だけずれた値であってもよい。
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
第1の実施形態では、炉の径方向における長さra〜rjが全て同じになるように装入領域210a〜210jを設定した。これに対し、本実施形態では、相対的に炉の中心側の複数の領域については、炉の径方向における長さが全て同じになるように装入領域を設定し、相対的に炉の炉壁側の複数の領域については、面積が全て同じになるように装入領域を設定する。このように本実施形態と第1の実施形態とは、装入領域の設定の方法の一部が主として異なる。したがって、本実施形態の説明において、第1の実施形態と同一の部分については、図1〜図11に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
図12において、炉の中心側にある装入領域1210a〜1210eについては、炉の径方向における長さra〜reが全て同じ(等距離)である。一方、当該領域よりも炉壁側にある装入領域1210f〜1210kについては、面積(水平方向の断面積)が全て同じ(等断面積)である。尚、図12において、各装入領域1210a〜1210jの炉の径方向の中心の位置1220a〜1220jが原料(コークス及び鉄鉱石)の狙い位置になる。
その他については、第1の実施形態と同じである。ただし、本実施形態では、装入領域の総数に加えて、炉の径方向における長さが全て同じである装入領域の数と、面積が全て同じである装入領域の数も考慮して、前述した第1〜第4の条件を満たすように、各装入領域の炉の径方向における長さと、原料毎・装入領域毎の排出流量及び旋回速度を試行錯誤的に設定する必要がある。
図13に示す例では、図12と同様に、11個の装入領域が設定されている。また、これら11個の装入領域のうち、炉の中心側にある5つの装入領域の炉の径方向における長さは全て0.5[m]である。一方、それら5つの装入領域よりも炉壁側にある6つの装入領域の面積は全て9.82[m2]である。
図15は、原料毎・装入領域毎の排出流量と旋回速度と旋回数の設定値の比較例を示す図である。具体的に図15(a)は、コークスを各装入領域に装入する際の排出流量と旋回速度と旋回数の設定値を示す図である、図15(b)は、鉄鉱石を各装入領域に装入する際の排出流量と旋回速度と旋回数の設定値を示す図である。また、図16は、旋回速度と炉半径長さ(中点)との関係をグラフ化して示す図であり、図17は、旋回数と炉半径長さ(中点)との関係をグラフ化して示す図であり、図18は、排出流量と炉半径長さ(中点)との関係をグラフ化して示す図である。図16〜図18は、図13及び図15の結果から得られたものである。
図19〜図21に示すように、内側から2番目の装入領域に鉄鉱石を排出する際の旋回速度をその下限値(=8[rpm])から11[rpm]に変更すると共に、当該装入領域よりも炉壁側の装入領域に鉄鉱石を排出する際の旋回速度をその下限値(=8[rpm])から10[rpm]に変更することにより、前述した第1〜第4の条件の全てを満たすように、各装入領域の設定と、原料毎・装入領域毎の排出流量と旋回速度の導出とを行うことができた。
本実施形態においても第1の実施形態で説明した変形例を採用することができる。
第1の実施形態、第2の実施形態で説明したようにして装入領域を設定する以外に、全ての装入領域について面積が同じになるようにすることが考えられる。しかしながら、このようにするよりも第1、第2の実施形態のようにして装入領域を設定する方が好ましい。その理由を説明する。
図22は、複数の装入領域の一例を示す図である。図22は、図2及び図12に対応する図である。
図22において、装入領域2210a〜2210jの面積(水平方向の断面積)は全て同じ(等断面積)である。尚、図22において、各装入領域2210a〜2210jの炉の径方向の中心の位置2220a〜2220jが原料(コークス及び鉄鉱石)の狙い位置になる。図23は、各装入領域の設定値の一例を示す図である。図24は、図3及び図13に対応する図である。図23は、鉄鉱石の目標堆積高さの割合(=Lo/(Lo+Lc))の一例を示す図である。図24は、図4及び図14に対応する図である。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
Claims (7)
- 1チャージ分の全ての原料の堆積高さが、炉の径方向の全体に亘って同じになることを目標として、ホッパーから排出される原料を、旋回シュートからベルレス式高炉の内部に装入する原料装入方法であって、
前記原料であるコークスおよび鉄鉱石が装入される高さ位置における前記炉の水平方向の断面の領域を前記炉の径方向で区分した複数の装入領域ごとに前記原料であるコークスおよび/または鉄鉱石が装入されるようにすると共に、前記原料であるコークス、鉄鉱石のそれぞれについて少なくとも2つの前記装入領域における目標堆積高さを異ならせるように前記複数の装入領域ごとにコークス、鉄鉱石のそれぞれの目標堆積高さを定め、かつ、前記複数の装入領域のうち前記原料であるコークスおよび/または鉄鉱石が装入される装入領域に前記原料であるコークス、鉄鉱石のそれぞれを装入する際の前記旋回シュートの旋回数がそれぞれ正の整数回になるように、前記旋回シュートを動作させることを特徴とする原料装入方法。 - 前記複数の装入領域は、相対的に前記炉の中心側の複数の領域であって、前記炉の径方向における長さが全て同じである複数の領域と、相対的に前記炉の炉壁側の複数の領域であって、面積が全て同じである複数の領域と、からなることを特徴とする請求項1に記載の原料装入方法。
- 前記複数の装入領域は、前記炉の径方向における長さが全て同じである複数の領域からなることを特徴とする請求項1に記載の原料装入方法。
- 前記ホッパーから前記旋回シュートに排出される前記原料であるコークス、鉄鉱石のそれぞれの流量と、前記原料であるコークス、鉄鉱石のそれぞれを装入する際の前記旋回シュートの旋回速度とを、当該原料であるコークスおよび/または鉄鉱石の装入先となる前記装入領域ごとに設定することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の原料装入方法。
- 前記1チャージの間に前記装入領域に装入される前記原料の1つであるコークスの体積は、前記1チャージにおけるコークスの目標堆積高さと当該装入領域の面積との積と略等しく、
前記1チャージの間に前記装入領域に装入される前記原料の他の1つである鉄鉱石の体積は、前記1チャージにおける鉄鉱石の目標堆積高さと当該装入領域の面積との積と略等しく、
前記原料であるコークスおよび鉄鉱石の前記1チャージにおける目標堆積高さの和は、前記複数の装入領域のそれぞれで同じであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の原料装入方法。 - 前記複数の装入領域のそれぞれの前記炉の径方向の中心の位置が前記旋回シュートから装入される前記原料の狙い位置になるようにすることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の原料装入方法。
- 前記原料を装入する際の設備の能力に基づく制約と、前記ベルレス式高炉における操業要求に基づく制約とを満たし、且つ、前記複数の装入領域のうち前記原料であるコークスおよび/または鉄鉱石が装入される装入領域に前記原料であるコークス、鉄鉱石のそれぞれを装入する際の前記旋回シュートの旋回数がそれぞれ正の整数回になるように、前記装入領域に前記原料であるコークス、鉄鉱石のそれぞれを装入する際の前記旋回シュートの傾動角を設定するとともに、前記ホッパーから前記旋回シュートに排出される前記原料であるコークス、鉄鉱石のそれぞれの流量と、前記原料であるコークス、鉄鉱石のそれぞれを装入する際の前記旋回シュートの旋回速度とを、当該原料であるコークスおよび/または鉄鉱石の装入先となる前記装入領域ごとに設定することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の原料装入方法。
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