JP6244779B2 - 膵臓癌の病期を検出する方法及び検出用キット - Google Patents
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Description
(2)(1)に記載の方法において、病期がステージI及びIIである方法。
(3)膵臓癌の他の病期に比べてN型糖鎖が結合している部位の量が増加する、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)下記A,Bにおいて、AとBとの比を求めることを特徴とする、膵臓癌の病期を検出する方法。
A=膵臓特異的RNase 1のN型糖鎖修飾可能部位であって、N型糖鎖が結合している部位又は結合していない部位の量
B=膵臓特異的RNase 1のN型糖鎖修飾可能部位の量
(5)(4)に記載の方法において、病期がステージI及びIIである方法。
(6)(4)又は(5)に記載の方法において、A=N型糖鎖が結合していない部位の量、であり、膵臓癌の他の病期と比べて、A/Bの値が小さくなる方法。
(7)(4)又は(5)に記載の方法において、A=N型糖鎖が結合している部位の量、であり、膵臓癌の他の病期と比べて、A/Bの値が大きくなる方法。
(8)(4)〜(7)いずれかに記載の方法において、膵臓特異的RNase 1の量を求め、その値を換算してBの値とする方法。
(9)N型糖鎖修飾可能部位が、配列番号1に示された配列の34番目、76番目及び88番目から選ばれる1つ以上のアスパラギン残基である、(1)〜(8)いずれか1項に記載の方法。
(10)N型糖鎖修飾可能部位が、配列番号1に示された配列の88番目のアスパラギン残基である、(9)に記載の方法。
(11)N型糖鎖修飾可能部位が、配列番号1に示された配列の76番目のアスパラギン残基である、(9)に記載の方法。
(12)N型糖鎖修飾可能部位が、配列番号1に示された配列の34番目のアスパラギン残基である、(9)に記載の方法。
(13)(a)膵臓特異的RNase 1のN型糖鎖修飾可能部位を抗原認識部位の一部とするモノクローナル抗体またはその断片、及び試料、を接触させ、(a)のモノクローナル抗体またはその断片と複合体を形成した膵臓特異的RNase 1を測定する、(1)〜(12)のいずれか1項に記載の方法。
(14)(13)に記載の方法において、さらに(b)膵臓特異的RNase 1のN型糖鎖修飾可能部位を抗原認識部位の一部とするモノクローナル抗体またはその断片と同時に膵臓特異的リボヌクレアーゼ1に結合できるモノクローナル抗体またはその断片、を試料と接触させ、(a)及び(b)の2つのモノクローナル抗体または抗体断片と複合体を形成した膵臓特異的RNase 1を測定する方法。
(15)(14)に記載の方法において、試料を、(a)又は(b)の一方と接触させる第一の接触工程と、第一の接触工程で得られたものに(a)又は(b)の他方を接触させる第二の接触工程を含む方法。
(16)膵臓特異的RNase 1のN型糖鎖修飾可能部位を抗原認識部位の一部とするモノクローナル抗体またはその断片を含有することを特徴とする、膵臓癌の病期検出用キット。
(17)(16)に記載のキットにおいて、病期がステージI及びIIであるキット。
(18)膵臓特異的RNase 1のN型糖鎖修飾可能部位であって、N型糖鎖が結合している部位又は結合していない部位の量を質量分析法によって求める、(1)〜(12)いずれか1項に記載の方法。
(19)(18)に記載の方法において、膵臓特異的RNase 1のペプチド断片および/または糖ペプチド断片の質量を質量分析法によって測定する方法。
A=膵臓特異的RNase 1のN型糖鎖修飾可能部位であって、N型糖鎖が結合している部位又は結合していない部位の量
B=膵臓特異的RNase 1のN型糖鎖修飾可能部位の量
この方法により、特に病期ステージI及びIIを検出することができる。
免疫原の調製
ヒト膵臓特異的RNase 1全長を含むポリペプチドを取得するために、昆虫細胞で発現可能なプラスミドベクターに成熟型ヒト膵臓特異的RNase 1(配列番号1)をコードする遺伝子配列を挿入した発現プラスミドを作製した。詳しく説明すると、昆虫細胞組換えタンパク質発現用プラスミドであるpIZ/V5His vector(ライフテクノロジー社)のマルチクローニングサイトに、5’上流側からヒトイムノグロブリンカッパー鎖をコードする遺伝子配列、Hisタグをコードする遺伝子配列、FLAGタグをコードする遺伝子配列、ヒト膵臓特異的RNase 1をコードする遺伝子配列からシグナルペプチドであるアミノ酸1番から28番までに相当する84核酸残基の遺伝子を除いた領域(配列番号1)を挿入した。作製された発現プラスミドpIZ−KFH−hRNase1は、昆虫細胞株Sf9にCellfectin II(ライフテクノロジー社)を用いて遺伝子導入を実施したことにより、N末端側にヒトイムノグロブリンカッパー鎖が付加した組換え体ヒト膵臓特異的RNase 1が培地中に分泌されることを確認した。培地中に分泌されたタンパク質は、培養上清から抗ヒトイムノグロブリンカッパー軽鎖抗体を用いたアフィニティー精製により濃縮精製して免疫原とした。
上述の免疫原を用いてマウスおよびラットに免疫を実施した。詳しくは、マウスへの免疫の場合、100μgの免疫原をフロイント完全アジュバンドと共に、6週齢Balb/c雌マウス腹腔に投与し初回免疫とした。その後、7日後、14日後、21日後、28日後、35日後に免疫原100μgをフロイント不完全アジュバンドと共に腹腔投与し、追加免疫とした。さらに、42日後に免疫原100μgを生理食塩水と共に腹腔投与し、最終免疫とした。ラットへの免疫の場合は、100μgの免疫原をフロイント完全アジュバンドと共に、6週齢WHY雌ラット両後肢フットパッドへ投与し初回免疫とした。その後、28日後に免疫原100μgを生理食塩水と共に後肢フットパッドへ投与し、最終免疫とした。
最終免疫の3日後に、マウスから脾臓を摘出し、脾臓細胞を回収した。ラットからは、腸骨リンパ節と鼠蹊リンパ節を摘出し、リンパ節細胞を得た。マウス脾臓細胞およびラットリンパ節細胞は、それぞれマウスミエローマ細胞株と電気細胞融合法により融合させた後、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジンを添加したGIT培地(和光純薬工業株式会社)で細胞培養用96ウェルプレートに播種することにより、融合細胞を選択した。
マウス抗ヒト膵臓特異的RNase 1抗体産生融合細胞株は、融合細胞が培地中に分泌する抗体の、組換え体ヒト膵臓特異的RNase 1に対する反応性を指標にしたELISA法によるスクリーニングにより選択した。スクリーニングに用いたELISAは以下の通りである。96穴マイクロタイタープレート(グライナー社製)の各ウェルに25ngのヤギ抗ヒトイムノグロブリンカッパー鎖抗体(シグマアルドリッチ社製)を含むリン酸緩衝液(50mM リン酸ナトリウム、150mM NaCl、pH7.4)を50μl加えて4℃16時間固定した。これらのウェルを300μlの洗浄液(20 mM Tris−HCl,150mM NaCl,pH7.4)で3回洗浄した後、3%BSAを含むブロッキング溶液(3%BSA,20mM Tris−HCl,150mM NaCl,pH7.4)を200μl加えて室温で2時間放置してブロッキングを行った(抗ヒトイムノグロブリンカッパー鎖抗体固相化プレート)。各ウェルを300μlの洗浄液で3回洗浄した後、0.5μg/mlとなるように希釈液(1%BSA、20mM Tris−HCl,150mM NaCl、0.05%Tween−20、pH7.4)で希釈した組換え体ヒト膵臓特異的RNase 1を加え、室温で1時間放置した。各ウェルを300μlの界面活性剤を含む洗浄液(20mM Tris−HCl,150mM NaCl、0.05% Tween−20、pH7.4)で3回洗浄した後、50μlの融合細胞培養上清を加えて室温で1時間放置した。次に、各ウェルを300μlの界面活性剤を含む洗浄液で3回洗浄した後、0.01μgのホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)標識された抗マウスIgG抗体(Rockland社製)を含む希釈液を50μl加えて、室温で1時間放置した。最後に、各ウェルを300μlの界面活性剤を含む洗浄液で3回洗浄した後、50μlのテトラメチルベンジジン(TMB)溶液(KPL社製)を添加して15分間発色させた後に、1Mのリン酸溶液を添加することで反応を停止し、450nmにおける吸光度を測定した。スクリーニングの結果から、膵臓特異的RNase 1に強い親和性を示す抗体を産生する融合細胞を得た。得られた融合細胞は、限界希釈法によりモノクローン化され、モノクローナル抗体MrhRN0614を得た。
ラット抗ヒト膵臓特異的RNase 1抗体産生融合細胞株は、融合細胞が培地中に分泌する抗体の、ヒト膵臓癌細胞(Capan1)由来の膵臓特異的RNase 1に対する反応性を指標にしたELISA法によるスクリーニングにより選択した。スクリーニングに用いたELISAは以下の通りである。96穴マイクロタイタープレート(グライナー社製)の各ウェルに25ngのマウス抗ヒト膵臓特異的RNase 1抗体(MrhRN0614)を含むリン酸緩衝液(50mM リン酸ナトリウム、150mM NaCl、pH7.4)を50μl加えて4℃、16時間固定した。これらのウェルを300μlの洗浄液(20mM Tris−HCl,150mM NaCl,pH7.4)で3回洗浄した後、3%BSAを含むブロッキング溶液(3%BSA,20mM Tris−HCl,150mM NaCl,pH7.4)を200μl加えて室温で2時間放置してブロッキングを行った(抗ヒト膵臓特異的RNase 1抗体固相化プレート)。各ウェルを300μlの洗浄液(20mM Tris−HCl,150mM NaCl,pH7.4)で3回洗浄した後、希釈液(1%BSA、20mM Tris−HCl,150mM NaCl、0.05% Tween−20、pH7.4)で2倍に希釈したヒト膵臓癌細胞(Capan1)の培養上清を加え、室温で1時間放置した。各ウェルを300μlの界面活性剤を含む洗浄液(20mM Tris−HCl,150mM NaCl、0.05% Tween−20、pH7.4)で3回洗浄した後、50μlの融合細胞培養上清を加えて室温で1時間放置した。次に、各ウェルを300μlの界面活性剤を含む洗浄液で3回洗浄した後、0.01μgのHRP標識された抗ラットIgG抗体(American Qualex Antibodies社製)を含む希釈液を50μl加えて、室温で1時間放置した。最後に、各ウェルを300μlの界面活性剤を含む洗浄液で3回洗浄した後、50μlのTMB溶液を添加して15分間発色させた後に、1Mのリン酸溶液を添加することで反応を停止し、450nmにおける吸光度を測定した。スクリーニングの結果から、膵臓特異的RNase 1に強い親和性を示す抗体を産生する融合細胞を得た。得られた融合細胞は、限界希釈法によりモノクローン化され、モノクローナル抗体RrhRN0723を得た。
哺乳動物発現系による組換え体ヒト膵臓特異的RNase 1の調製
哺乳動物細胞でヒト膵臓特異的RNase 1全長を含むポリペプチドを取得するために、pcDNA3.1−mycHisベクター(ライフテクノロジー社)にヒト膵臓特異的RNase 1をコードする遺伝子配列(配列番号1)を挿入した発現ベクターを作製した。より詳しくは、免疫原の調製のために作製した昆虫細胞発現用プラスミド(pIZ−KFH−hRNase1)の組換え体タンパク質をコードする遺伝子配列部分を分子生物学的手法によりpcDNA3.1−mycHisベクター(ライフテクノロジー社)に挿入してpcDNA−KFH−hRNase1を作製した。作製した哺乳動物細胞用発現プラスミドは、チャイニーズハムスター卵巣由来培養細胞株(以下、CHO−K1株)にLipofectamine 2000(ライフテクノロジー社)を用いて遺伝子導入を実施したことにより、N末端側にヒトイムノグロブリンカッパー鎖が付加した組換え体ヒト膵臓特異的RNase 1が培地中に分泌されることを確認した。培地中に分泌されたタンパク質は、培養上清から抗ヒトイムノグロブリンカッパー軽鎖抗体を用いたアフィニティー精製により濃縮精製して組換え体ヒト膵臓特異的RNase 1を取得した。精製された組換え体ヒト膵臓特異的RNase 1は、抗体の特異性を明らかにする実験に供された。
前項で作製した発現ベクター(pcDNA−KFH−hRNase1)を鋳型として、PCR変異導入法によってアミノ酸置換変異を繰り返し導入することで、糖鎖修飾欠損変異導入抗原を発現するプラスミドを作製した。PCR変異導入法には、PrimeSTAR Mutagenesis Basal Kit(タカラバイオ株式会社)を使用し、添付の説明書に従って実施した。詳しくは、N型糖鎖修飾可能部位のコンセンサス配列(Asn−Xaa−Ser/Thr、Xaaはプロリン以外のアミノ酸残基を指す)の3番目のアミノ酸残基をセリン残基もしくはスレオニン残基以外のアミノ酸に置換することで、糖鎖修飾欠損変異組換え体ヒト膵臓特異的RNase 1を発現するプラスミドを作製した(表1)。作製した糖鎖修飾欠損変異導入発現プラスミドは、CHO−K1株にLipofectamine 2000(ライフテクノロジー社)を用いて遺伝子導入を実施したことにより、N末端側にヒトイムノグロブリンカッパー鎖が付加した糖鎖修飾欠損変異組換え体ヒト膵臓特異的RNase 1が培地中に分泌されることを確認した。培地中に分泌された糖鎖修飾欠損変異組換え体ヒト膵臓特異的RNase 1は、抗体の特異性を明らかにする実験に供された。
糖鎖修飾欠損変異組換え体ヒト膵臓特異的RNase 1に対する抗ヒト膵臓特異的RNase 1抗体の反応性は、以下に記載するサンドイッチELISA法により測定した。96穴マイクロタイタープレート(グライナー社製)の各ウェルに25ngのヤギ抗ヒトイムノグロブリンカッパー鎖抗体(シグマアルドリッチ社製)を含むリン酸緩衝液(50mMリン酸ナトリウム、150mM NaCl、pH7.4)を50μl加えて4℃16時間固定した。これらのウェルを300μlの洗浄液(20mM Tris−HCl,150mM NaCl,pH7.4)で3回洗浄した後、3%BSAを含むTBS溶液を200μl加えて室温で2時間放置してブロッキングを行った(抗ヒトイムノグロブリンカッパー鎖抗体固相化プレート)。各ウェルを300μlの洗浄液で3回洗浄した後、前述の糖鎖修飾欠損変異導入発現プラスミドが遺伝子導入されたCHO−K1細胞の培養上清を加え、室温で1時間放置した。各ウェルを300μlの界面活性剤を含む洗浄液(20mM Tris−HCl,150mM NaCl、0.05% Tween−20、pH7.4)で3回洗浄した後、25ngのHRP標識マウス抗ヒト膵臓特異的RNase 1抗体(MrhRN0614)または、25ngのHRP標識ラット抗ヒト膵臓特異的RNase 1抗体(RrhRN0723)を含む希釈液を50μl加え、室温で1時間放置した。最後に、各ウェルを300μlの界面活性剤を含む洗浄液で3回洗浄した後、50μlのTMB溶液を添加して10分間発色させた後に、1Mのリン酸溶液を添加することで反応を停止し、450nmにおける吸光度を測定した。
前述の発現ベクター(pcDNA−KFH−hRNase1)を鋳型として、PCR変異導入法によってアミノ酸置換変異を導入することで、アミノ酸置換変異導入抗原を発現するプラスミドを作製した。PCR変異導入法には、PrimeSTAR Mutagenesis Basal Kit(タカラバイオ株式会社)を使用し、添付の説明書に従って実施した。詳しくは、配列番号1において85番目のアミノ酸から92番目のアミノ酸残基をそれぞれ別のアミノ酸残基に置換することで、アミノ酸置換変異組換え体ヒト膵臓特異的RNase 1を発現するプラスミドを作製した(表2)。作製したアミノ酸置換変異導入発現プラスミドは、CHO−K1株にLipofectamine 2000(ライフテクノロジー社)を用いて遺伝子導入を実施したことにより、N末端側にヒトイムノグロブリンカッパー鎖が付加したアミノ酸置換変異導入組換え体ヒト膵臓特異的RNase 1が培地中に分泌されることを確認した。培地中に分泌されたアミノ酸置換変異導入組換え体ヒト膵臓特異的RNase 1は、抗体の特異性を明らかにする実験に供された。
アミノ酸置換変異導入抗原に対する抗ヒト膵臓特異的RNase 1抗体の反応性は、以下に記載するサンドイッチELISA法により測定した。96穴マイクロタイタープレート(グライナー社製)の各ウェルに25ngのヤギ抗ヒトイムノグロブリンカッパー鎖抗体(シグマアルドリッチ社製)を含むリン酸緩衝液(50mM リン酸ナトリウム、150mM NaCl、pH7.4)を50μl加えて4℃16時間固定した。これらのウェルを300μlの洗浄液(20 mM Tris−HCl,150mM NaCl,pH7.4)で3回洗浄した後、3%BSAを含むTBS溶液を200μl加えて室温で2時間放置してブロッキングを行った(抗ヒトイムノグロブリンカッパー鎖抗体固相化プレート)。各ウェルを300μlの洗浄液で3回洗浄した後、アミノ酸置換変異導入抗原を発現するプラスミドが遺伝子導入されたCHO−K1細胞の培養上清を加え、室温で1時間放置した。各ウェルを300μlの界面活性剤を含む洗浄液(20mM Tris−HCl,150mM NaCl、0.05% Tween−20、pH7.4)で3回洗浄した後、25ngのHRP標識マウス抗ヒト膵臓特異的RNase 1抗体(MrhRN0614)または、25ngのHRP標識ラット抗ヒト膵臓特異的RNase 1抗体(RrhRN0723)を含む希釈液を50μl加え、室温で1時間放置した。最後に、各ウェルを300μlの界面活性剤を含む洗浄液で3回洗浄した後、50μlのTMB溶液を添加して10分間発色させた後に、1Mのリン酸溶液を添加することで反応を停止し、450nmにおける吸光度を測定した。
ヒト膵臓特異的RNase 1を特異的に認識し、かつ3つの糖鎖修飾可能部位における糖鎖の有無に拘らず結合可能な2つの抗体を使用した免疫測定試薬と、Asn88に糖鎖が結合していないRNase 1を特異的に測定する免疫測定試薬を作製して、それぞれの試薬で血清試料中のRNase 1を測定した。具体的には、ヒト膵臓特異的RNase 1を特異的に認識し、かつ3つの糖鎖修飾可能部位における糖鎖の有無に拘らず結合可能な2つの抗体としては、前述のMrhRN0614とRrhRN1111を用いた。RrhRN1111は、RrhRN0723を取得した際に、3つの糖鎖修飾可能部位における糖鎖の有無に拘らず結合可能な抗体として単離されたものである。RrhRN1111の抗原認識特異性は、参考例2で抗体の特異性の測定に使用した、糖鎖修飾欠損変異抗原を用いたELISA法と同じ方法で検討した。結果を図4に示す。横軸は、各抗体が変異未導入組換え抗原WTに対する結合量を1.0とした時の相対値を示す。縦軸は、各糖鎖修飾欠損変異導入抗原を示す。塗りつぶしの横棒はRrhRN0723抗体の結合量、白抜きの横棒はRrhRN1111抗体の結合量を示す。図4に示した通り、RrhRN0723は、糖鎖修飾可能部位全てに変異を入れ糖鎖修飾を全く受けない変異体m000に対して反応性がないのに対して、RrhRN1111のm000に対する反応性は、変異未導入組換え抗原WTと比べて約90%の反応性を保持している。よって、RrhRN1111は3つの糖鎖修飾可能部位における糖鎖の有無に拘らず結合可能な抗体であると確認された。
上述の免疫学的測定試薬を使用して、健常人から得られた血清29検体と、膵臓癌患者から得られた血清41検体の、膵臓特異的RNase 1を測定した。なお膵臓癌患者から得られた血清は、医学的診断の結果病期が決定されているものであり、その内訳を表3に示した。この病期は、国際体がん連合(UICC)膵癌病期分類によるものである。
F3/t=F3値/トータル値 (1)
さらに以下の式(2)の値を求めることにより、膵臓特異的RNase 1のトータル値と、88番目の糖鎖修飾可能部位において糖鎖が結合している部位の量との比(G3/t)を求めた。
G3/t=1−(F3/t) (2)
図6に、健常人血清、病期分類の膵臓癌患者血清中における、式(2)によって算出されたG3/tをプロットしたグラフを示す。図6から明らかなように、病期がステージIとIIの試料では、他の病期ステージに比べて(G3/t)が高くなっていることがわかる。病期がステージI及びIIの群と、IIIおよびIVの群の2つに分けて有意差検定を実施すると、p値が5.7×10−5となり十分に有意差があることがわかる。
Claims (16)
- 膵臓特異的リボヌクレアーゼ1のN型糖鎖修飾可能部位であって、N型糖鎖が結合している部位又は結合していない部位の量を測定することを特徴とする、膵臓癌の病期ステージI及びIIを検出する方法。
- 膵臓癌の他の病期に比べてN型糖鎖が結合している部位の量が増加する、請求項1に記載の方法。
- 下記A,Bにおいて、AとBとの比を求めることを特徴とする、膵臓癌の病期ステージI及びIIを検出する方法。
A=膵臓特異的リボヌクレアーゼ1のN型糖鎖修飾可能部位であって、N型糖鎖が結合している部位又は結合していない部位の量
B=膵臓特異的リボヌクレアーゼ1のN型糖鎖修飾可能部位の量 - 請求項3に記載の方法において、A=N型糖鎖が結合していない部位の量、であり、膵臓癌の他の病期と比べて、A/Bの値が小さくなる方法。
- 請求項3に記載の方法において、A=N型糖鎖が結合している部位の量、であり、膵臓癌の他の病期と比べて、A/Bの値が大きくなる方法。
- 請求項3〜5いずれかに記載の方法において、膵臓特異的リボヌクレアーゼ1の量を求め、その値を換算してBの値とする方法。
- N型糖鎖修飾可能部位が、配列番号1に示された配列の34番目、76番目及び88番目から選ばれる1つ以上のアスパラギン残基である、請求項1〜6いずれか1項に記載の方法。
- N型糖鎖修飾可能部位が、配列番号1に示された配列の88番目のアスパラギン残基である、請求項7に記載の方法。
- N型糖鎖修飾可能部位が、配列番号1に示された配列の76番目のアスパラギン残基である、請求項7に記載の方法。
- N型糖鎖修飾可能部位が、配列番号1に示された配列の34番目のアスパラギン残基である、請求項7に記載の方法。
- (a)膵臓特異的リボヌクレアーゼ1のN型糖鎖修飾可能部位を抗原認識部位の一部とするモノクローナル抗体またはその断片、及び試料、を接触させ、(a)のモノクローナル抗体またはその断片と複合体を形成した膵臓特異的リボヌクレアーゼ1を測定する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項11に記載の方法において、さらに(b)膵臓特異的リボヌクレアーゼ1のN型糖鎖修飾可能部位を抗原認識部位の一部とするモノクローナル抗体またはその断片と同時に膵臓特異的リボヌクレアーゼ1に結合できるモノクローナル抗体またはその断片、を試料と接触させ、(a)及び(b)の2つのモノクローナル抗体または抗体断片と複合体を形成した膵臓特異的リボヌクレアーゼ1を測定する方法。
- 請求項12に記載の方法において、試料を、(a)又は(b)の一方と接触させる第一の接触工程と、第一の接触工程で得られたものに(a)又は(b)の他方を接触させる第二の接触工程を含む方法。
- 膵臓特異的リボヌクレアーゼ1のN型糖鎖修飾可能部位を抗原認識部位の一部とするモノクローナル抗体またはその断片を含有することを特徴とする、膵臓癌の病期ステージI及びII検出用キット。
- 膵臓特異的リボヌクレアーゼ1のN型糖鎖修飾可能部位であって、N型糖鎖が結合している部位又は結合していない部位の量を質量分析法によって求める、請求項1〜10いずれか1項に記載の方法。
- 請求項15に記載の方法において、膵臓特異的リボヌクレアーゼ1のペプチド断片および/または糖ペプチド断片の質量を質量分析法によって測定する方法。
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