JP6244522B2 - 放射線吸収材料 - Google Patents

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Description

本発明は、放射線吸収材料に関する。
放射性物質からは中性子線(中性子)、α線、β線、γ線等の放射線が放出され、これらは環境に有害なため、対策を講じる必要がある。そこで、例えば中性子に関しては、高い中性子吸収能を示す原子として、質量数10のホウ素が広く用いられている。このような技術に関連して、例えば特許文献1には、炭化ホウ素、六方晶窒化ホウ素及び不可避不純物からなる混合粉末を、機械強度及び熱伝導度の異方性が発現するまでホットプレスして得られる中性子吸収材料が記載されている。
特開平9−230080号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載の技術においては、以下のような課題がある。即ち、特許文献1に記載の中性子吸収材料においては、その製造方法が簡便ではないことがある。従って、特許文献1に記載の中性子吸収材料を製造する際に製造コスト高になることがある。そのため、コストの観点から、十分量の中性子吸収材料を容易に使用し難いことがある。
また、製造方法が簡便ではないため製造時間が長時間になることがある。そのため、即座に大量の中性子吸収材料が必要になった場合に、すぐに大量の中性子吸収材料を用意(製造)できないこともある。
さらには、放射性物質から放射されたばかりの中性子の速度は高速であるため、ホウ素を単純に用いて中性子を吸収しようとしても、吸収効率が著しく悪いことがある。また、放射性物質の飛散を防止することも重要である。
本発明は前記課題に鑑みて為されたものであり、その目的は、容易かつ安価に製造可能で、従来よりも効率よく中性子線等の放射線を吸収可能な放射線吸収材料を提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決するべく鋭意検討した結果、ホウ酸と、保水性高分子化合物と、前記保水性高分子化合物を狭持する少なくとも2枚の不織布を有し、該2枚の不織布の少なくとも一方の不織布に、前記ホウ酸が、水をかけて溶出可能に担持されて、前記ホウ酸が中性子を捕捉するように構成することにより前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明に拠れば、容易かつ安価に製造可能で、従来よりも効率よく中性子線等の放射線を吸収可能な放射線吸収材料を提供することができる。
第1実施形態に係る中性子吸収材料を適用した様子を模式的に示す図である。 第1実施形態に係る中性子吸収材料を模式的に示す図である。 第2実施形態に係る中性子吸収材料を適用した様子を模式的に示す図である。 第3実施形態に係る中性子吸収材料、並びに、それを適用した様子を模式的に示す図である。 第3実施形態に係る中性子吸収材料の形態についての変更例を模式的に示す図である。
以下、図面を適宜参照しながら本発明の実施の形態(本実施形態)を説明するが、本発明は以下の内容に制限されるものではなく、本発明の要旨を損なわない範囲で任意に変更して実施可能である。そして、以下で説明する実施形態においては、放射線として中性子線(中性子)を例に挙げて各実施形態を説明しているが、放射線の種類としては中性子線に限定されるものではない。
また、説明の便宜上、適宜参照する図1〜図5に示す各部材の大きさの比率は、必ずしも全て同じ拡大率若しくは縮小率になっていない。即ち、説明の便宜上、発明の要旨を損なわない範囲で必要に応じ、各部材を拡大したり、縮小したりして示している。
さらに、本明細書においては、α線、β線、γ線、中性子等を放出する物質のことを「放射性物質」と呼称している。中でも、放射性物質の一態様として、中性子を放出する放射性物質を「中性子放出核物質」と特に呼称するものとする。
[1.はじめに]
放射性物質から放出される放射線として、α線(ヘリウムの原子核)、β線(電子)、γ線(電磁波)、中性子線(中性子)等が挙げられる。例えばこれらの中でもα線やβ線は透過力が弱いため、比較的簡易な設備や材料を用いることで容易に遮蔽可能である。一方、γ線や中性子線は透過力が高く、特に中性子線は鉄や鉛によっても遮蔽が難しい。さらに中性子線は、γ線と比較して、同じ被爆量であっても人体等に与える影響が大きなものとなる。
そこで本発明者らは、放射されるものの中でも特に中性子を遮蔽できる材料について検討し、本発明を完成させた。以下、本発明を3つの具体的な実施形態を挙げて、本発明を説明する。
[2.第1実施形態]
第1実施形態に係る中性子吸収材料10(放射線吸収材料)を放射性物質11に適用した様子を図1に示す。中性子吸収材料10は、中性子放出核物質12の飛散を防止する飛散防止剤としても機能する。
図1に示すように、中性子吸収材料10は、炭化ホウ素(BC)10aと樹脂材料10bとを少なくとも含む。そして、中性子吸収材料10は、中性子放出核物質12を含む放射性物質11の表面に塗布される。中性子放出核物質12は、中性子12aを放出している。また、放出された中性子12aは、放射性物質11中の水分等によって減速され、進行方向が変化している。そして、減速された中性子12aは炭化ホウ素10a(後記する。)に到達し、炭化ホウ素10aに捕捉(吸収)されるようになっている。
なお、本実施形態において、炭化ホウ素10a及びホウ酸20a(後記する。)を構成するホウ素、並びにホウ素30a(後記する。)はいずれも、中性子吸収断面積が最も大きい質量数10のホウ素である。なお、中性子吸収材料10は、放射性物質11の表面に直接塗布される等してもよい。
また、中性子吸収材料10は放射性物質11の表面を必ずしも完全に覆う必要は無い。ただし、より確実に中性子を捕捉して外部への漏出を防止するという観点から、中性子吸収材料10は中性子12aを放出している放射性物質11の表面全体に塗布されることが好ましい。
中性子吸収材料10の塗布量(即ち、塗布された際の厚み)は特に制限されない。従って、放射性物質11から放出される中性子12aの線量(放射性物質11に含まれている中性子放出核物質12の量)等を考慮して、任意に設定すればよい。
ただし、より確実に中性子12aの外部への漏出を防止する観点から、炭化ホウ素10aが中性子吸収材料10中にできるだけ多量に含まれることが好ましい。従って、放射性物質11の表面に存在する炭化ホウ素10aの量を多くするという観点から、放射性物質11に対する中性子吸収材料10の塗布量は多いことが好ましい。即ち、中性子吸収材料10の厚みができるだけ厚いことが好ましい。このように大量に炭化ホウ素10aを中性子吸収材料10が含むことにより、より大量に、かつ確実に中性子12aを捕捉することができる。
中性子吸収材料10は、前記のように、炭化ホウ素10aと樹脂材料10bとを少なくとも含む。炭化ホウ素10aの製造方法は特に制限されず、公知の任意の方法で製造することができる。また、中性子吸収材料10に含まれる炭化ホウ素10aは、第1実施形態においては、1分子の炭化ホウ素10のみからなるものではなく、複数の分子が集合してなる塊形状のものとして含有される。従って、このような塊形状の炭化ホウ素10aの平均粒径等の物性は特に制限されない。なお、中性子吸収材料10に含まれる炭化ホウ素10aは、1分子の状態(即ち、炭化ホウ素分子同士が分離した状態)で含有されていてもよい。
前記のように、炭化ホウ素10aは中性子吸収能を有し、中性子12aを捕捉することができる。具体的には、炭化ホウ素10aを構成するホウ素原子が中性子12aを捕捉する。従って、炭化ホウ素10aを構成するホウ素原子として、中性子吸収能を有する質量数10のホウ素原子を用いることが特に重要である。ただし、炭化ホウ素10aを構成するホウ素原子は、その全てが必ずしも質量数10のものである必要は無い。そのため、炭化ホウ素10aの製造コスト等を勘案して、その含有量を任意に決定すればよい。
中性子吸収材料10に含まれる樹脂材料10bの具体的な種類は特に制限されない。ただし、取扱いが容易であり、安価であると言う観点から、樹脂材料10bとしては熱可塑性樹脂が好ましく、中でもポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等が好ましい。樹脂材料10bとして熱可塑性樹脂を用いることにより、中性子吸収材料10の製造が容易になるとともに、放射性物質11への塗布が容易になる。また、水素原子を大量に含む樹脂を用いることにより、中性子遮蔽効果が十分に発揮させる。即ち、この「中性子遮蔽効果」は、中性子12aの、樹脂材料10bによる物理的な遮蔽と、水素原子により減速されてホウ素原子に捕捉される遮蔽と、の少なくとも二つにより奏する効果である。
なお、樹脂材料10bは、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が任意の比率及び組み合わせで用いられてもよい。
また、中性子吸収材料10には、炭化ホウ素10a及び樹脂材料10b以外の任意の成分が含まれていてもよい。例えば、中性子吸収材料10が適度な水分を含むことにより(特には多くの水分を含むことにより)、さらに中性子12aは減速され易くなる。そのため、減速された中性子12aは炭化ホウ素10aに捕捉され易くなり、中性子12aの外部への漏出をより確実に防止することができる。
また、例えばアルミニウム、鉄等の金属単体、及び/又は、酸化鉄等の金属化合物が含まれていてもよい。中性子吸収材料10がこのような金属単体及び/又は金属化合物を含むことにより、α線やβ線等の遮蔽効果を奏する。そのため、これらを用いることにより、α線やβ線の外部への漏出を防止することができる。
さらに、中性子吸収材料10の耐久性を向上させる観点から、例えば紫外線吸収剤、耐候剤、pH調整剤等の任意の成分が中性子吸収材料10に含まれていてもよい。
放射性物質11に含まれる中性子放出核物質12は、中性子12aを放出して崩壊するものであれば特に制限されない。このような中性子放出核物質12の具体例としては、ベリリウム(Be)、ウラン(U)、プルトニウム(Pu)、キュリウム(Cm)、カリホルニウム(Cf)等が挙げられる。これらは1種が単独で含まれていてもよく、2種以上が任意の比率及び組み合わせで含まれていてもよい。
前記のように、中性子放出核物質12を含む放射性物質11の表面に中性子吸収材料10を塗布することにより、放射性物質11中の水分等によって減速された中性子12aを炭化ホウ素10aが捕捉することができる。そのため、放射性物質11の外部への中性子12aの漏出が防止される。
また、中性子放出核物質12を含む粉塵や微粒子が放射性物質11の表面に存在しうる。しかしながら、第1実施形態においては中性子吸収材料10中に樹脂材料10bが含まれているため、このような粉塵、微粒子等を樹脂材料10bとともに放射性物質11の表面に固定することができる。また、放射性物質11中の水分に加えて中性子吸収材料10に含まれる樹脂材料10bによって中性子12aが十分に減速されるため、炭化ホウ素10aを構成するホウ素原子が中性子12aを従来よりも効率よく捕捉することができる。そのため、前記した中性子12aの漏出を防止することができるとともに、粉塵や微粒子等が放射性物質11外部に拡散することを防止することもできる。
中性子吸収材料10の製造方法、並びに放射性物質11への塗布方法に特に制限はない。以下、樹脂材料10bとして熱可塑性樹脂を用いる場合を例に、中性子吸収材料10の製造方法及び塗布方法を説明する。
中性子吸収材料10の製造方法としては、中性子吸収材料10を容易かつ安価に製造できるという観点から、塊形状の炭化ホウ素10aと、樹脂材料10bと、必要に応じて任意の成分と、を加熱混合(混練)し、所望の形状に成形することにより製造することが好ましい。加熱混合時の条件(例えば加熱温度、攪拌速度等)は特に制限されず、公知の任意の条件にて加熱混合すればよい。ただし、樹脂材料10aに対して、少なくとも炭化ホウ素10bが均一に分散するように加熱混合することが好ましい。
また、前記の各成分を加熱混合後、冷却した後に得られる中性子吸収材料10の形状としては、特に制限されない。例えば、加熱された状態でシート上に成形し、その後所望の形状を有する型を用いて、例えば図2(a)に示すようなコイン(錠剤)形状のものとすることができる。また、例えば押し出し成形機を用いて、加熱された中性子吸収材料10を押し出して任意の長さで切断することにより、図2(b)に示すようなペレット形状のものとすることもできる。また、図示はしないが、中性子吸収材料10は、例えばシート形状、円柱形状等とすることもできる。
以上のようにして、中性子吸収材料10を製造することができる。そして、このようにして製造された中性子吸収材料10は、加熱することにより溶融状態になる。このような溶融状態の中性子吸収材料10を、中性子放出核物質12を含む放射性物質11に対して塗布したり散布したりすることにより、図1に示す、放射性物質11表面に中性子吸収材料10が塗布された状態となる。
前記のように、放射性物質11の表面に中性子吸収材料10が塗布されれば、塗布の具体的な方法は制限されない。例えばヘラ、刷毛等を用いて放射性物質11の表面に溶融している中性子吸収材料10を塗布するようにすることができる。また、例えばスプレー等を用いて溶融した中性子吸収材料10を散布するようにしてもよい。
また、塗布する中性子吸収材料10としては、必要に応じて任意の溶媒に中性子吸収材料10を溶解させた溶液状態のものを用いてもよい。
[3.第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る中性子吸収材料20(放射線吸収材料)を、図3を参照しながら説明する。図3に示す中性子吸収材料20は、前記した中性子吸収材料10と同様に、中性子12aを吸収する機能を有するとともに、中性子放出核物質12aが飛散することを防止する飛散防止剤としての機能も有する。
図3に示すように、中性子吸収材料20は、2枚の不織布20b,20dと、不織布20b,20dに狭持されている保水性高分子化合物20cと、を含む。そして、不織布20bの外表面には、ホウ酸(B(OH))20aが担持されている。さらに、中性子吸収材料20は、ホウ酸20aが担持されていない不織布20dと放射性物質11とが接するように適用される。
不織布20bに担持されるホウ酸20aの具体的な担持方法は特に制限されない。例えば、ホウ酸水溶液に不織布を浸し、不織布を取り出した後当該不織布を乾燥させることにより、不織布にホウ酸20aを担持させることができる。また、不織布にホウ酸水溶液を塗布して乾燥させても、同様に担持させることができる。なお、図3においては、図示の都合上、ホウ酸20aは不織布20bの外表面にのみ担持させているが、第2実施形態においては不織布20bの内部にも担持されているものとする。
不織布20b,20dに狭持される保水性高分子化合物20cとしては、公知の任意の保水性高分子化合物を用いることができる。具体的には例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、寒天、澱粉等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
ただし、保水性高分子化合物20cとしては、できるだけ高い吸水能力を備えているものを用いることが好ましい。このような保水性高分子化合物20cを用いることにより、より多くの水を保水することができる。そのため、中性子12aが保水性高分子化合物20cの層を透過する際に、水を構成する水素原子によって、より多くの中性子12aをより遅い速度まで減速させることができる。従って、ホウ酸20aが中性子12aを捕捉し易くなるため、中性子漏出防止効果をより高めることができる。
このように、中性子吸収材料20は、ホウ酸20aに加えて、保水する保水性高分子化合物20cを備えている。従って、放射性物質11から外部へ中性子12aが放出されたとしても、保水性高分子化合物20cに含まれる水により、放出された中性子12aは十分に減速される。そして、このようにして十分に減速された中性子12aはホウ酸20aを構成するホウ素原子に捕捉され、中性子12aの外部への漏出をより確実に防止することができる。なお、ホウ酸20aを構成するホウ素原子は、前記した炭化ホウ素10aを構成するホウ素原子と同様であるため、その説明を省略する。
なお、中性子吸収材料20の放射性物質11への設置時、保水性高分子化合物20cは既に水を含んだ状態でもよく、設置後に保水性高分子化合物20cに水を含ませる(即ち、設置時には乾燥している状態)ようにしてもよい。いずれの状態であっても、優れた効果が得られる。
即ち、予め保水性高分子化合物20cに水を含ませた状態で設置する場合、設置後に水を含ませるという作業が不要になるため、中性子吸収材料20の設置後の中性子漏出防止効果が即座に発揮される。また、予め保水性高分子化合物20cに保水されているため、使用時に放水する設備や装置が不要になる。そのため、中性子吸収材料20の設置及び使用が容易であるという利点もある。
一方、設置後に水を含ませる場合、通常はホウ酸20aが担持されている不織布20b側から放水することにより、保水性高分子化合物20cに保水させることができる。そのため、放水された水はホウ酸20aと接触し、ホウ酸水の状態となる。そして、当該ホウ酸水が保水性高分子化合物20cに到達し、保水される。従って、近接する保水性高分子化合物20c同士の間隙にも当該ホウ酸水が浸入するため、放射性物質11がホウ酸水で覆われた状態となる。そのため、中性子12aの減速効果をより向上させることができる。なお、設置場所への中性子吸収材料20の運搬等を考慮すると、設置後に水を含ませる(即ち、運搬時には水を含んでいない)方が優れているといえる。
また、中性子吸収材料20を放射性物質11に適用した場合、中性子吸収材料20はシート状であるため、放射性物質11を覆うように中性子吸収材料20が設置される。このように、中性子吸収材料20が設置されることにより、放射性物質11の飛散を防止することができる。
なお、前記した中性子吸収材料10と同様に、中性子吸収材料20は、例えばアルミニウム、鉄等の金属単体、及び/又は、酸化鉄等の金属化合物が含まれていてもよい。中性子吸収材料20がこのような金属単体及び/又は金属化合物を含むことにより、中性子吸収材料10の場合と同様の効果を奏する。
[4.第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る中性子吸収材料30(放射線吸収材料)を、図4を参照しながら説明する。図4に示す中性子吸収材料30は、前記した中性子吸収材料10と同様に、中性子12aを吸収する機能を有するとともに、中性子放出核物質12aが飛散することを防止する飛散防止剤としての機能も有する。
図4(a)に示すように、中性子吸収材料30は、複数の保水性高分子化合物30bからなる集合体に、ホウ素30aが内包されている。なお、図4(a)に示す例において、ホウ素30aの数を3個、保水性高分子化合物30bの数を12個としているが、それぞれ個数は図示した例に限定されるものではない。
また、ホウ素30aは、前記した炭化ホウ素10aを構成するホウ素原子と同様のものであるため、その説明は省略する。さらに、中性子吸収材料30bは、図3を参照しながら説明した保水性高分子化合物20cと同様のものであるため、その説明は省略する。
中性子吸収材料30の製造方法は特に制限されない。例えば、乾燥状態の保水性高分子化合物30bにホウ素30aを内包して、その後例えば略球形状の型を用いて圧力を印加することにより、中性子吸収材料30を製造することができる。この際、型としては、例えばコイン状のものであってもよい。また、乾燥状態の保水性高分子化合物30bにホウ素30aを内包した後、例えば水溶性の高分子化合物等を用いて保水性高分子化合物30b同士を固着させるようにしてもよい。このようにしても、ホウ素30aが保水性高分子化合物30bに内包された中性子吸収材料30を製造することができる。
さらに、中性子吸収材料30は、必要に応じて水溶性の高分子化合物によって被覆されるようにしてもよい。
このようにして製造された中性子吸収材料30を放射性物質11に適用した様子が図4(b)である。第3実施形態においては、保水性高分子化合物30bが乾燥状態のまま中性子吸収材料30を散布している。そして、散布された中性子吸収材料30に対して放水することにより、保水性高分子化合物30が保水するようになっている。
図4(b)に示すように、放射性物質11から放出された中性子12aは、放射性物質11表面に散布された中性子吸収材料30中のホウ素30aに捕捉されている。このような中性子吸収材料30を用いることにより、広範囲の領域に対して中性子吸収材料30を適用することができる。また、例えば放出される中性子12aの量に応じて、適用する中性子吸収材料30の量を変化させることができるため、無駄なく中性子吸収材料30を用いることができる。さらに、中性子吸収材料30の表面は保水性高分子化合物で覆われているので、放射性物質11表面に存在しうる例えば中性子放出核物質等を吸着し易い。これにより、放射性物質11が飛散することを防止することができる。
また、ホウ素30aが保水性高分子化号物30bに内包されているため、別個にホウ素と保水性高分子化合物とを散布する必要が無い。そのため、散布が一回で済み、作業の簡略化を図ることができる。しかも、水による中性子の減速効果、並びに、ホウ素による中性子捕捉効果を、併せて奏することが可能となる。
なお、中性子吸収材料30の形態としては、図5に示す形態であってもよい。具体的には、中性子吸収材料は、保水性高分子化合物30bの表面にホウ素30aが付着している形態の中性子吸収材料31であってもよい(図5(a))。また、中性子吸収材料は、保水性高分子化合物30bの中にホウ素30aが分散している形態の中性子吸収材料32であってもよい(図5(b))。
また、前記した中性子吸収材料10と同様に、中性子吸収材料30は、例えば酸化アルミニウム、鉄等の金属単体、及び/又は、酸化鉄等の金属化合物が含まれていてもよい。中性子吸収材料30がこのような金属単体及び/又は金属化合物を含むことにより、中性子吸収材料10の場合と同様の効果を奏する。
[5.効果]
以上のように、中性子吸収材料10,20,30はいずれも、シンプルな構成であって、それらの製造に当たって特殊な装置や工程を必要としないため、容易かつ安価に製造することが可能となる。また、樹脂材料や保水性高分子化合物によって中性子12aが十分に減速されるため、ホウ素原子が中性子12aを従来よりも効率よく捕捉することができる。その結果、中性子12aの外部への漏出をより確実に防止することができる。さらには、樹脂材料や保水性高分子化合物によって、α線やβ線を遮蔽することもできる。そして、中性子吸収材料10,20,30を用いることにより、放射性物質11が飛散することを防止することもできる。
[6.用途]
本実施形態に係る放射線吸収材料は、任意の用途に適用可能である。即ち、図1〜図5を参照しながら説明した用途のほか、放射線吸収材料を例えば原子炉の使用済燃料棒を貯蔵する燃料プールに適用することもできる。具体的には、本実施形態に係る放射線吸収材料を燃料プールに貯溜されている水に添加してもよい。また、例えば鉄製の金網に本実施形態に係る放射線吸収材料を充填し、当該金網を使用済燃料棒に近接するように燃料プールに貯溜されている水中に設置してもよい。
[7.変更例]
以上、3つの具体的な実施形態を挙げて本実施形態を説明したが、本実施形態は前記の内容に何ら制限されるものではない。即ち、本発明は、その要旨を損なわない範囲で任意に変更して実施可能である。
例えば、中性子を捕捉する単体若しくは化合物として、中性子吸収材料10においては炭化ホウ素を、中性子吸収材料20においてはホウ酸を、中性子吸収材料30においてはホウ素を用いている。ただし、これらは相互に置換可能であり、また、別のホウ素を含む化合物を用いてもよい。
また、図3に示す中性子吸収材料20においては不織布の枚数を2枚としているが、例えば不織布20bと不織布20dとの間にさらに1枚の不織布を設けるようにしてもよい。そして、不織布20bと当該1枚の不織布との間にホウ酸を充填し、当該1枚の不織布と不織布20dとの間に保水性高分子化合物を充填するようにしてもよい。このようにすることで、より多くのホウ酸を中性子吸収材料20に担持させることができる。
10 中性子吸収材料(放射線吸収材料)
10a 炭化ホウ素
11 放射性物質
12 中性子放出核物質
12a 中性子
20 中性子吸収材料(放射線吸収材料)
20a ホウ酸
20b 不織布
20c 保水性高分子化合物
20d 不織布
30 中性子吸収材料(放射線吸収材料)
30a ホウ素
30b 保水性高分子化合物
31 中性子吸収材料(放射線吸収材料)
32 中性子吸収材料(放射線吸収材料)

Claims (3)

  1. ホウ酸と、保水性高分子化合物と、
    前記保水性高分子化合物を狭持する少なくとも2枚の不織布を有し、
    該2枚の不織布の少なくとも一方の不織布に、前記ホウ酸が、水をかけて溶出可能に担持されて、
    前記ホウ酸が中性子を捕捉するように構成されている
    ことを特徴とする、放射線吸収材料。
  2. 前記保水性高分子化合物は、前記ホウ酸担持されている不織布の面とは異なる不織布の面で狭持されている
    ことを特徴とする、請求項1に記載の放射線吸収材料。
  3. 前記保水性高分子化合物は、前記不織布から溶出した前記ホウ酸を保持可能である
    ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の放射線吸収材料。
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