JP6163172B2 - 放射線遮蔽混合体及び放射線遮蔽材料 - Google Patents
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Description
現在、そのような高い放射線量が検出された地域では、そこに堆積している放射性物質を含む土壌などを取り除くいわゆる除染作業が実行されている。
当該除染作業によって大量に取り除かれる土壌を適切な地域に設けられた保管施設に適宜の素材からなるシートを被せたり、適宜の素材からなるコンテナバッグなどの所定の容器に収容された状態で、保管されているが、当該除去された土壌などから放射される放射線を遮蔽し作業者や近隣住民への放射線の影響を低減するための放射線遮蔽手段が十分講じることが前提となる。
一方、破損した原発から今でも大量に放射されている人体に有害な放射線を含めて、将来に亘り、放射線発生源から発生する各種の放射線を完全に遮弊する技術の開発が急務となっている。
そして、α線は、その透過能力が比較的に低く、紙等でその透過を遮蔽する事が可能であり、又、β線も透過能力が低く、アルミ二ウム等の薄い金属を使用する事で、その透過を遮蔽する事が可能である。
一方、γ線やX線は、その透過能力は高く、鉛等の重金属や、厚い鉄板或いは厚いコンクリートの遮蔽物質を用いることにより放射線を遮蔽する必要がある。
更に、中性子線という放射線は、かなり高い透過性を有しているので、上記した重金属や、コンクリートでは効果的にその透過を遮蔽する事が不可能であり、原子核に吸収・捕獲されやすいように中性子線の速度を十分に減速して低速度の中性子線にすることが必要で、その為に、水或いはパラフィンを使用することによって、当該中性子線の透過を遮蔽する事が可能である事が知られている。
例えば、特開2014−35225号公報(特許文献1)には、適宜の繊維性布帛の一表面に、硫酸バリウムを主体とする放射線遮蔽層を形成した放射線遮蔽シートに関して記載されており、又、特開2013−181793号公報(特許文献2)には、硫酸バリウムを適宜の熱可塑性合成樹脂内に分散させて構成された放射線遮蔽材からなる線状体で構成された織物が記載されている。
更に、特開2014−153068号公報(特許文献3)には、硫黄、高炉スラグ、焼却灰、タングステン及び硫酸バリウム等をコンクリート成分内に混在させた放射性廃棄物収納用容器に関して記載されている。
一方、特開2014−130050号公報(特許文献4)には、黒鉛(カーボンナノホーン)を不織布に含浸させて得られた放射線遮蔽材が開示されているが、製造コストが高い事と、γ線とX線は遮蔽できるが、その他の放射線は遮蔽する事が出来ないと言う問題を含んでおり、又、特開2014−044197号公報(特許文献5)には、ホウ素(ホウ酸)を合成樹脂内に内蔵させた放射線遮蔽材が開示されているが、当該ホウ素(ホウ酸)は、中性子線の遮蔽に効果を有するものの、その他の放射線は遮蔽する事が出来ないと言う問題を含んでいる。
一方、放射線の中には色々な放射線があり、万能的な遮蔽材は存在していない。
放射線の種類によっては、アメリカのNASAでは、ポリエチレン樹脂で宇宙空間の放射線を遮蔽する研究が進んでいる。また、放射線の中性子においては、水の遮蔽効果が大きいことも分かっている。
又、一方では、病院のX線の遮蔽に使われている遮蔽材は鉛と石膏ボードで構成されている。これは、鉛は質量があり、放射線の遮蔽に有効であるが、石膏ボードは遮蔽に有効な質量は、鉛ほどは無いが、石膏ボードに使用されている石膏ボードは21%の結晶水を保有しており、この水分が放射線の遮蔽に大きく影響していると考えられている。
それでは、結晶水の様に蒸発しない状態で、当該水を石膏内に閉じ込めれば良いとなるが、実際には困難な状況にある。
又、原発事故で、懸念される放射線は、立ち入りが制限されている個所以外では、病院のX線のようなレベルの放射線では、短時間で被曝の影響が出るものではない。
然し、長時間の被曝に関しては、健康被害が懸念される。従って、様々な種類の放射線を有効に遮蔽するには、複合的な遮蔽材を使用しなければならないと言う不便さが存在している。
(1) 硫酸バリウム
安全性があり、比較的安価である。 比重は約4.3g/cm3で、特に、 X線、γ線の遮蔽に優れている。
(2)硫酸カルシウム
安全性があり、安価である。 比重は約2.5g/cm3で、比重は小さいが二水石膏の結晶水により、中性子の遮蔽に有効である。
(3)水吸収性高分子ポリマー
カルボキシル基を多数持つアクリル酸の重合体であって、自重の200倍の 水分を吸収でき、保湿力がある。
含水させた場合、水分と水素原子を持ったポリマーが中性子及びγ線の遮蔽に有効。
(4)黒鉛
炭素原子が並んだ板状のものが、何層にも重なったもので、比重は約2.5g/cm3。
安全性があり、安価である。中性子及びγ線の遮蔽に有効である。
(5)水
水素原子を多く含む水は、中性子の遮蔽に有効である。
(6)ポリエチレン
エチレンの重合体であり、比重は約0.95g/cm3。
γ線及び中性子線に対してどちらも有効な遮蔽材である。
(7)ホウ酸(ホウ素)
ホウ素は、中性子を吸収し易い性質があり、ホウ素−10は中性子を吸収してホウ素−11になっても放射性を持たない。
電磁放射線は、γ線とX線があり、当該電磁放射線は波長が非常に短い電磁波である。
一方、公衆被曝で問題となるのは、この波長が極めて短い事で高い透過性を持って電磁放射線で有る事にある。
粒子放射線に関しては、主な粒子放射線としては、α線、β線、中性子線、重粒子線等がある。
α線、β線は、数ミリの紙やアルミ板で遮蔽が可能であるが、中性子線は最も透過力が高く、水やコンクリートの厚い壁に含まれる水素原子によって、初めて遮蔽できる。
鉛当量1.5mmに対して、無鉛遮蔽材の配合は、硫酸バリウムと高分子水吸収ポリマーとポリエチレンの3種類の配合である。配合比率は、7:1:2である。
この配合での鉛当量は1.8mmで、実際の厚みは18mmと10倍の厚みが必要となる。
然し、X線診療室の放射線遮蔽に使用される鉛板は石膏ボード等の裏打ちとしてパネル施行される為に使用される石膏ボードの厚みが12.5mm有る為、合計14mmとなり、実際の厚み差は4mmとなり大きな厚みの変化はない。
この場合は遮蔽材そのものが壁となる為に、所定配合された物は、910mm×1820mm×18mmに成形される。
国が定めた指針では、年間の被曝量を1mSvとした場合、1時間当たり0.19μSvとなる。
この時間当たりの基準被曝量を上回っている地域は警戒区域外でも多くある。
例えば、福島県の某所にある空間線量は2015年1月現在で、1.8μSvである。
同時期に付近の線量を調べるとやはり、国の定める基準を上回っている地域がある。
しかし、多くは基準より50%を超えるデータは少ない。
この様な現状を踏まえた場合、上記した通り、放射線の遮蔽材は、放射線の種類及びレベルにより構成成分の相互間の配合を変えられる様に構成されていれば最も効果的に遮蔽が出来る事になる。
しかし、X線診療室の様な鉛による放射線の遮蔽能力も一般的には要求されていない。
また、鉛の使用は取り扱いが制限され鉛に替わる遮蔽材の開発が急務となっている。
鉛に替わる遮蔽材料は色々と検討されており高価の物ではタングステン等の検討もされている。
しかしながら、硫酸バリウムを板状に成形したものは施工性に欠ける事で硫酸バリウムを樹脂又はゴム系のバインダーで成形しフレキシブルなシート状の遮蔽材が開発されている。
フレキシブルを目標としたシート状の遮蔽材は硫酸バリウムの添加量が制限され遮蔽効果が弱いものとなる。
そこで、本発明者は、上記従来技術に於ける問題点を解決し、理想的な放射線遮蔽材を開発する為に鋭意検討した結果、水のみでは遮蔽できない放射線が存在する事を考慮すると、水或いは水吸収性高分子ポリマーを中心として、上記した従来公知の7種類の無機物及び有機物の遮蔽機能を有する物質を適宜組み合わせ、配合を行うことにより、遮蔽すべき放射線の線量に応答して、調整可能な放射線遮蔽材が得られることになると言う新規な技術的知見を得たものである。
即ち、本発明者は、上記した本発明の目的を達成するために、更に、鋭意検討を重ねた結果、上記したそれぞれの放射線を個別に有効に遮蔽する事が出来る、鉛以外の物質を粒状体の形にして、当該各粒状体の少なくとも1種若しくは特定の選択された複数種の当該粒状体を水の存在下に混合処理して、得られたゲル状の放射線遮蔽混合体を、特定のフレキシブル性を有する材料で形成された空間領域内に閉じ込めることによって、上記した本発明の目的を容易に達成する事が可能である事を知得したものである。
つまり、本発明に係る第1の態様に於ける技術構成は、基本的には、吸水性高分子ポリマーを主体とする放射線遮蔽混合体であり、本発明に係る第2の態様に於ける技術構成は、当該吸水性高分子ポリマーに対して、硫酸カルシウム(二水石膏)が混在せしめられている事を特徴とする放射線遮蔽混合体である。
又、本発明に係る第3の態様に於ける技術構成は、当該吸水性高分子ポリマーに対して、硫酸カルシウム(二水石膏)及び硫酸バリウムが混在せしめられている事を特徴とする放射線遮蔽混合体である
更に、本発明に係る第4の態様に於ける技術構成は、当該吸水性ポリマーと硫酸カルシウム(二水石膏)が混在せしめられている混合体に対して、更に、黒鉛、ホウ素(ホウ酸)の少なくとも一種の放射線遮蔽材が混在せしめられている事を特徴とする放射線遮蔽混合体である。
更に、本発明に係る第7の態様に於ける技術構成は、当該放射線遮蔽混合体を内蔵する発泡体から構成されている放射線遮蔽建材である。
即ち、図7は、本発明に於ける第1乃至第4の態様である当該放射線遮蔽混合体を、所望の密閉性容器300内に密封して構成された本発明に於ける第5の態様の一具体例を示す斜視図であって、図中、例えば、ポリエチレン系合成樹脂等からなる放射線の遮蔽効果を有するフィルム、シート等で構成された膜状体からなる密閉容器300内に、吸水性高分子ポリマー若しくは当該吸水性高分子ポリマーに二水石膏(硫酸カルシウム)を混在させた混合体に、要すれば、更に硫酸バリウム、黒鉛或いはホウ素(ホウ酸)等から選択された少なくとも一種の放射線遮蔽材が含まれた混合体に水分の存在下でゲル状の形状された当該放射線遮蔽混合体200が密封状態で挿入されている放射線遮蔽材料100が示されている。
尚、同図(A)の150は、当該放射線遮蔽材料100の上部面を示し、160はその底面部を示す。
そして、本発明に於ける他の具体例としては、当該放射線遮蔽混合体の組成として、当該吸水性高分子ポリマーに、他の種類の放射線を遮蔽する機能を持った他の放射線遮蔽材を少なくとも一種類、好ましくは複数種類を混合させた当該放射線遮蔽混合体を使用する様に構成したものである。
当該吸水性高分子ポリマーは、通常は、粉状或いはい粒状で存在しているが、水を容易に吸収して、その体積が数倍から数10倍若しくそれ以上に膨張し、ゲル状の物体となる。
当該吸水性高分子ポリマーは以下のような吸水時間を有する。
つまり、当該吸水性高分子ポリマー1g当たりの吸水時間は、一般的には、20秒で水50mlを吸収し、1分で、水100ml、3分で、水300ml、10分で、水500mlをそれぞれ吸収し、10分以上経過しても当該吸水量は変わらない。
従って、本発明においては、後述するそれぞれの当該吸水性高分子ポリマーの吸水処理時間は最大で10分を設定しておくことにより、十分な吸水処理が実行される事になる。
そして、当該各放射線遮蔽材の混合は、各放射線遮蔽材の粒状体或いは粉状体の形態で、所定の混合槽内に投入し、適宜に撹拌して混合させた後、当該混合体を水と接触させて更に混合操作を行う方法が一般的には採用される。
然しながら、上記した通常の一般的な混合方法では、当該混合処理が確実に実行出来ない場合、には、一部の当該放射線遮蔽材を別途、個別に水と混合処理を行わせ、その後、他の放射線遮蔽材とを一体化して混合処理を行う方法を採用しても良い。
同様に、本発明に於ける当該混合処理槽30もそれ自身、適宜の回転装置31により、適宜の回転方向に適宜の回転数で回転せしめられる様に構成されている事も望ましい具体例である。
更に、本発明に於いては、図6(E)に示されている様に、当該混合処理槽30は、その回転中心軸線が、垂直軸線に対して1乃至10度の範囲でずれながら旋回する様に構成されている事も高精度な混合効果を得る為には好ましい具体例である。
本発明に於ける当該密閉状容器100の形状や容量は特に限定されるものではないが、強靭でフレキシブル性を有し、放射線を遮蔽する機能を有する材質で構成されている事が望ましい。
そして、当該膜体で外部が構成され、その内面部には内部空間領域部が形成されており、適宜の密封可能な開口部を有する袋状の容器100を構成するものが好ましくは使用されるものである。
即ち、本発明に於ける当該放射線遮蔽材料100は、上記した様な1種若しくは複数種の放射線遮蔽混合体200が、粒状体若しくは水分の存在下に、相互に混在された状態で、ポリエチレン系合成樹脂材料を主体とする膜体300で構成された密閉空間部内に内蔵されている構成を有しているものである。
本発明に於ける当該放射線遮蔽材料100の形状や、各種の寸法は、特に限定されるものではなく、当該放射線遮蔽材料100の使用目的、使用場所に応じて適宜設計する事が可能である。
例えば、図7(A)に示す当該放射線遮蔽材料100は、その断面形状が円形、楕円形、矩形、多角形等の形状を有する筒状或いは柱状の外形を有しており、当該断面形状の径は、10cmから50cm程度が好ましく、又、その長尺方向の長さは、50cmから2m程度が好ましい。
但し、例えば、図7(B)に示す当該放射線遮蔽材料の縦、横の寸法が20cmを超える場合で、特に当該放射線遮蔽材料100を垂直或いはそれに近い状態で施工配置する場合には、内部のゲル状の当該放射線遮蔽混合体200の位置ずれを防止する為に、適宜の寸法で遮蔽壁部350を配置する事が望ましい。
上記した本発明に係る当該放射線遮蔽材料100は、従来、主に鉛が使用されていた分野及びコンクリートが主に使用されていた分野に専ら使用される事が可能であり、従来に比べて安価であり、軽量であり、フレキシブルであるので、経済的であるほか、施工コストの低減と施工の簡素化も実現出来るので、効率的である。
又、本発明に係る当該放射線遮蔽材料100に含まれる当該放射線遮蔽混合体200は殆どが水で構成されているので、廃棄する場合でも、有害物質が発生する心配もない。
或いは、当該放射遮蔽材料が従来公知である一般的な一対の建築材料基材の内面或いは内層部に挟持される状態で配置されている構成を採用するものであっても良い。
即ち、本発明に於ける当該放射線遮蔽混合体200の製造方法の基本的な技術思想としては、吸水性ポリマーからなる粒状体、若しくは、吸水性ポリマーからなる粒状体に対して、粒状体の硫酸カルシウム(二水石膏)を混在させるか、或いは吸水性ポリマーからなる粒状体に粒状体の硫酸カルシウム(二水石膏)と硫酸バリウムとを混在させた混合体を撹拌槽内に投入すると共に、少なくとも当該吸水性ポリマーからなる粒状体の重量に対して、少なくとも数10倍、好ましくは、少なくとも数100倍の重量に相当する水を当該撹拌槽内に投入した後、所定の時間撹拌処理することによって、ゲル状の混合物を形成する事を特徴とする放射線遮蔽混合体の製造方法である。
尚、本具体例に於いて、当該硫酸カルシウム(二水石膏)を使用する場合には、放射線の遮蔽に、当該硫酸カルシウム(二水石膏)に含まれる21%にも及ぶ内部残留水を十二分に活用する事が望ましいことから、当該硫酸カルシウム(二水石膏)は、焼成していない当該硫酸カルシウム(二水石膏)を使用する事が望ましい。
本発明に於ける当該放射線遮蔽混合体200の製造方法に於いて、当該吸水性高分子ポリマーのみを使用する場合には、具体的には、例えば、当該吸水性高分子ポリマーの粒状体を100と水50Lとを、例えば、300Lの内部容量を有し、図6に示されている様な構造からなる混合装置内に投入し、37KWの出力の下で、例えば、図6に示されている様な当該羽根体若しくは当該円筒体を一分間で575回転(RPM)の回転数で、約10分間混合処理することにより、当該放射線遮蔽混合体200が製造される。
内部容量が300Lドラム内に回転刃体を有する混合機中に、高分子吸水ポリマー100gと50Lの水を入れ、回転数575RPMで37KWの出力で10分間混合した。
この混合処理により十分に水を吸収した高分子吸水ポリマーはゼリー状となり、その総重量は合計で50.1Kgとなった。
この様にして得られた高分子吸水ポリマーを図1に示される様な、複数個の空間領域部3が千鳥状に形成されたポリエチレン系合成樹脂膜状体2の当該個々の空間領域部3内に注入し、その後、当該各空間領域部3の開口部を密閉処理して、放射線遮蔽材を形成した。
本発明者は、上記の具体例に於いて、係る均一な混合結果を得る為に、多数の実験と検討を繰り返した結果、以下の様な新規な技術思想を導入する事が好ましい事を知得したものである。
即ち、例えば、硫酸バリウム及び硫酸カルシウムと吸水性高分子ポリマーとを混合する場合に於いては、含水量を多量に保持させるために、あらかじめ硫酸バリウム及び硫酸カルシウムを水と混合しスラリー状にしたものと、吸水性高分子ポリマーに含水させたものとを後工程で混合すると言う技術思想を採用する事が望ましいとの結論に到達したものである。
そのため、本発明の当該具体例では、硫酸バリウム及び硫酸カルシウムを、あらかじめ吸水したものを混合する事が好ましい具体例となる。
即ち、硫酸バリウムと硫酸カルシウムとは、それぞれの比重が大きく異なる為、通常の混合処理操作では、均一な混合スラリーをえる事は困難であるが、高分子吸水ポリマーと水とを介在させて混合処理する事により両者の均一な粒子混合が達成出来るのである。
本発明に於ける上記具体例に於いて、更に、当該混合準備が行なわれた硫酸バリウム及び硫酸カルシウムと高分子吸水ポリマーを混合する際、界面活性剤を、混合物重量に対して0.5%から5%の間で添加すると混合性能が増し、分離がなくなると言う好結果が得られたものである。
上記した本発明に於ける具体例の詳細な例を以下に説明するならば、当該具体例に於ける混合方法は、300Lの混合機を使用し、当該混合機を575RPMの回転数と、37KWの出力に設定し、約100KGの混合体の製造は、高分子吸水ポリマー100gと50Lの水を入れて10分間混合する。次に硫酸バリウムを20Kg、硫酸カルシウムを20Kgを水10KGにて含水させておき水と混合された高分子吸水ポリマーに投入して575RPMの回転数と、37KWの出力とで4分間混合処理した。
4分経過した時点で界面活性剤を0.5%入れて1分混合した。
尚、上記した工程の順番が望ましい結果を発揮するものであるが、当該順番が変るとスラリーの分離及びスラリーの泡立が現れると言う別の問題が発生するので好ましくない。
各粒状体の混合比率は特定されるものではないが、それぞれ略同程度の重量割合を持たせて製造する事が望ましい。
その他に、本発明に於ける他の具体的な態様としては、当該混合処理槽内に、せん断力の高い構造を有する撹拌羽根が設ける事を特徴とする放射線遮蔽組成物の製造方法が開示されており、又、当該混合処理槽の当該混合槽を、その回転中心軸線が、垂直軸線に対して1乃至10度の範囲で旋回する様に構成して当該放射線遮蔽組成物を製造する放射線遮蔽組成物の製造方法が開示されている。
下記表1は、放射線遮蔽効果の測定に当たり、先ず、主たる組成成分である吸水性高分子ポリマー10gを、5Lの水と混合させゲル状にし、それを5mmの厚さ板状に成形加工して、当該作成された放射線遮蔽混合体200の各種の放射線に対する遮蔽率を測定したものである。
その後、当該吸水性高分子ポリマー10gを5Lの水と混合させたものに対して、二水石膏(硫酸カルシウム)、硫酸バリウム、黒鉛並びにホウ素(ホウ酸)を個別に、それぞれ10wt%混入して、5mmの厚さの当該放射線遮蔽混合体200を形成し、それぞれ個別に当該放射線遮蔽混合体200の各種の放射線に対する遮蔽率を測定したものである。
当該表1から明らかな通り、当該吸水性高分子ポリマーのみからなる当該放射線遮蔽組成物200に於いては、α線とβ線に対しては100%の遮蔽効果をはっきするものの、X線に対する遮蔽効果は、若干不満足であり、γ線、及び中性子線に対しては、理想的な遮蔽効果としては、不十分な特性を示している。
同様に、当該吸水性高分子ポリマーに黒鉛或いはホウ素(ホウ酸)を混入させた当該放射線遮蔽混合体200に於いては、γ線、X線及び中性子線に対する遮蔽効果が、幾分改善されている事が分かる。
即ち、本発明に於ける当該別の具体的態様に於ける基本的技術構成は、上記具体例で製造された当該放射線遮蔽混合体200の発泡体から構成されている事を特徴とする放射線遮蔽材料400であり、またそれを活用した放射線遮蔽用建材であり、図8に示されている通り、前記した当該放射線遮蔽混合体200が発泡部401を多数内包している発泡状の放射線遮蔽材料400である。
尚、同図中、符号402は、当該吸水性高分子ポリマーに混合されている他の放射線遮蔽材の一部である。
そこで、係る問題を解決する為に、上記した本発明の具体的な態様に於いて、製造される放射線遮蔽混合体200を、特定の方法によって、発泡処理し、当該放射線遮蔽混合体200に含まれる硫酸カルシウムが発泡して最終的に得られる当該放射線遮蔽材料1(100)を発泡状の構成体400とすることにより、重量の軽減化と資材の移動並びに施工期間の短縮化によって、必要経費を大幅に減少させる事が可能となるのである。
処で、本具体例に於ける当該発泡状の放射線遮蔽材料400は、硫酸カルシウムが発泡することにより、当然質量が下がり、放射線に対する遮蔽能力は低下するが断熱材はある程度の厚みが確保出来る事と、当該発泡状の放射線遮蔽材料400に使用された当該吸水性高分子ポリマーは、殆ど残存していないが、当該吸水性高分子ポリマーと混合されている当該硫酸カルシウムが十分残存しているので、当該硫酸カルシウムの二水石膏が内部に含んでいる結晶水が、発泡処理後でも存在し、放射線の遮蔽効果を発揮していると考えられる。
従って、当該放射線遮蔽混合体200を発泡して使用する場合には、当該二水石膏(硫酸カルシウム)を予め多量に混入させておく事が望ましい具体例である。
更に、無機物と有機物との混合により、混合物を発泡させることにより、別の機能が付加された機能的な放射線遮蔽材を一般的な建材として展開する事が可能となる。
即ち、本具体例に於ける発泡性放射線遮蔽混合体の製造方法の基本的な技術構成は、前記した具体例に於ける当該放射線遮蔽混合体200の製造方法に於いて、吸水性ポリマーに対して、硫酸カルシウムとアルミ発泡剤を混入させる様に構成する事を特徴とする発泡性放射線遮蔽材料400の製造方法である。
更に、本具体例に於ける更なる技術構成としては、前記した具体例に於ける当該放射線遮蔽混合体の製造方法に於いて、当該第3の工程に於いて、アルミ発泡剤の存在下に、混合処理操作を行う事を特徴とする発泡性放射線遮蔽材料400の製造方法である。
即ち、当該発泡性放射線遮蔽材料方法は、300Lの混合機を使用し、回転数575RPMで、37KWの出力を設定し、約100Kgの混合体を製造するに際し、例えば、図6に示された様な回転式混合槽30を使用して、高分子吸水ポリマー100gと50Lの水を入れて10分間混合した。
次に、混合された高分子吸水ポリマーにアルミ発泡剤を最終混合重量の0.05%〜0.5%と界面活性剤を0.5%投入し、回転数575RPMで、37KWの出力とで3分間混合処理を行った。
当該3分間の混合処理が経過した時点で、硫酸バリウムを20Kg、硫酸カルシウム20Kgを水10Kgにて含水させたものを回転数575RPMで、37KWの出力とで5分混合処理を行った。
上記具体的に於いては、配合成分中の硫酸バリウムと硫酸カルシウムを、従来のセメント系発泡剤を使用して発泡させるものである。
当該発泡現象は、常温近辺の温度下で開始される。一方、当該吸水性高分子ポリマーは、発泡剤の発泡をサポートする機能を有するものである。
当該具体例で使用した発泡剤は金属アルミニウム粉末を使用したが、モルタル発泡剤であるため、モルタルのアルカリ成分に反応して発泡させる為、中性を示す硫酸カルシウムでは、反応が起きにくい。
そこで、アルカリ石鹸を添加することにより、PH調整をおこない、更に、界面活性効果により発泡させることで、発泡しない硫酸バリウムと硫酸カルシウムの混合スラリーを発泡させる事が可能となった。
吸水性高分子ポリマーに硫酸カルシウム(二水石膏)を混入させたものを発泡処理する他の具体例としては、
吸水ポリマーと水の重量比は1;500に設定して混合すると同時に、硫酸カルシウム(二水石膏)を15重量部〜50重量部混合する。
当該混合物を、内部容量が300Lドラム内に回転刃体を有する混合機中に、高分子吸水ポリマー100gと50Lの水を入れ、回転数575RPMで37KWの出力で10分間混合した。
吸水ポリマーと水の重量比は1;500に設定して混合すると同時に、硫酸カルシウム(二水石膏)を15重量部〜50重量部混合する。
その後、当該混合された高分子吸水ポリマーに、アルミ発泡剤を0.05wt%〜0.5wt%と界面活性剤を0.5wt%を追加投入し、回転数575RPMで37KWの出力で13分混合処理した。
当該混合処理の間に、混合機内でゼリー状の吸水ポリマーが混合漕内で回転され摩擦熱が出て、約35℃ほどの温度にまで上昇するので、そこで発泡処理が行われる。
此処で、例えば、吸水ポリマーと水の重量比は1;500の配合比で50Kgのゼリー状吸水ポリマーを作った中に硫酸カルシウム(リサイクル二水石膏)をゼリー状吸水ポリマーに50重量部(25Kg)混合したとする。
この時点で合計75Kgの混合体が出来る。
この75Kgの混合体にアルミ発泡剤を混合したとする。
仮に二水石膏分を二倍発泡させるようにコントロールすれば体積は二倍になり、水分は乾燥され水分の約50Kgは無くなり、発泡した25Kgの二水石膏の発泡体が得られる。
しかし発泡体は(1)〜(4)の中で(1)の硫酸カルシウムしか発泡体は製造できないので、おのずから硫酸カルシウムの発泡体となる。この発泡体は密度が低くし遮蔽能力は激減するが、低レベルの放射線の遮蔽が出来る事と、建材としては別の機能の断熱性や防音性に優れる。
高分子吸水ポリマーに硫酸カルシウム(二水石膏)を混入させて発泡処理を行う場合の別の具体例
更に、別の具体例として、吸水ポリマーと水の重量比は1;500に対して硫酸カルシウム(リサイクル二水石膏)を50重量部を混合し、アルミ発泡剤を0.2wt%と界面活性剤を0.5wt%を追加投入した場合、強制乾燥では80℃で15時間、自然乾燥であれば外気温20℃前後で約75時間で二水石膏の2倍以上の発泡体が得られる。個の場合の乾燥後の含水率は4〜8%となる。
ここで、本発明に於ける本具体例により得られた高分子吸水ポリマーを主体とする当該発泡性放射線遮蔽材料の構成例を図9に示す。
即ち、図9は、本発明に係る吸水性高分子ポリマー10gと水5Lとを混合したものに、硫酸カルシウム(二水石膏)10%と発泡剤を2%混合させ発泡処理した後の当該発泡性放射線遮蔽材料の構成例を3000倍にして撮影した電子顕微鏡写真である。
係る図9の電子顕微鏡写真から、硫酸カルシウム(二水石膏)が吸水性高分子ポリマーと結合して、膨れている発泡状態を呈している事が判明する。
一方、図10は、吸水性高分子ポリマー10gと水5Lとを混合したものに、硫酸カルシウム(二水石膏)10%のみを混合して構成された合成樹脂構成体を3000倍にして撮影した電子顕微鏡写真である。
係る図10の電子顕微鏡写真の内、白い部分は硫酸カルシウム(二水石膏)で、黒い部分が吸水性高分子ポリマーを示すもので有って、発泡構造は存在していない。
高分子吸水ポリマーに硫酸カルシウム(二水石膏)を混入させて発泡処理を行う場合の更に別の具体例
吸水ポリマーと水の重量比は1;500の配合比で50Kgのゼリー状に硫酸バリウム20Kg、硫酸カルシウム20Kg、水10Kgの配合の場合、乾燥後に残る成分は硫酸バリウムの20Kgと硫酸カルシウムの20Kgとあえて言うなら高分子吸水ポリマーの100gである。発泡剤は硫酸バリウムが入る事で、発泡がしにくくなるため発泡剤を増やさなくてはならない。上記具体例での説明では、硫酸カルシウムは、アルミ発泡剤を混合重量の0.2%で2倍以上の発泡が可能であるが、硫酸バリウムが入る事で0.5%まで上げないと2倍以上の発泡が出来ない。
また、この単純な高分子吸水ポリマーのゼリー状に二水石膏と発泡剤を入れて乾燥させると、目的は変わるが断熱及び防音の効果がある建材ができる。
この際の吸水ポリマーの働きは二水石膏間にゼリー状の吸水ポリマーが介在し、アルミの発泡を助ける。
即ち、本発明に於ける当該別の態様に於ける更なる発明の基本的技術構成は、当該発泡性の放射線遮蔽材料400からなり、板状体若しくは所望の断面形状、例えば、円形、楕円形、多角形、矩形等の断面形状を有する柱状体或いは筒状で構成されている本体部を有する事を特徴とする発泡性放射線遮蔽建材であり、当該別の態様に於ける別の発明の基本的技術構成としては、上記した方法で製造された発泡剤を含む当該放射線遮蔽混合体200を発泡処理すると同時に、適宜の型部内に注入して、板状体若しくは所望の断面形状、例えば、円形、楕円形、多角形、矩形等の断面形状を有する柱状体或いは筒状に成形加工する事を特徴とする発泡性放射線遮蔽建材の製造方法である。
つまり、本発明に於いては、水分を閉じ込めるに当たり、保水力や水の流動性を調整する事、寒冷地での水分凍結を防ぐ等の目的で、特に、高分子吸水ポリマーを使用するものであるから、単純で安全性がある放射線遮蔽材である。
また、本発明に於いては、かかる単純なゼリー状高分子吸水ポリマーに二水石膏と発泡剤を入れて乾燥させると、目的は変わるが断熱及び防音の効果がある建材ができる。
2…合成樹脂シート、膜体
3…内部空間領域
4…壁材
5…壁部の枠体
6…壁部の枠体
7…壁部の枠体
8…壁部の枠体
9…壁部の枠
10…放射線遮蔽材料
11…壁部の枠、
20…発泡性放射線遮蔽建材
30…混合槽
31…回転刃体部
32…回転装置
150…上面部
160…底面部
200…放射線遮蔽混合体
300…合成樹脂製容器
350…仕切り壁部
400…発泡性放射線遮蔽建材
401…発泡部
402…残留硫酸カルシウム
Claims (5)
- 吸水性ポリマーを主体とし、二水石膏(硫酸カルシウム)が混在せしめられている事を特徴とする放射線遮蔽混合体。
- 当該放射線遮蔽混合体に対して、更に硫酸バリウムが混在せしめられている事を特徴とする請求項1に記載の放射線遮蔽混合体。
- 当該放射線遮蔽混合体に対して、更に、黒鉛、ホウ素(ホウ酸)の少なくとも一種の成分が混在せしめられている事を特徴とする請求項1又は2に記載の放射線遮蔽混合体。
- 水分が含有された状態で存在している事を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の放射線遮蔽混合体。
- 請求項1乃至4の何れかに記載の当該放射線遮蔽混合体が、密閉された空間領域部内に保持されて構成されている事を特徴とする放射線遮蔽材料。
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