しかしながら、上記した特許文献1に記載の集塵装置では、以下の問題が生じている。
(1)塵埃が爆発した時の対策が講じられていないため、安全性の点から問題となる。
(2)塵埃と液体との気液接触が1回のみであるため、発火の状態の激しい塵埃の消火作用を十分に行うことができない可能性がある。例えば、爆発指数(Kst値)、発火性、引火性の高い粉体を長時間、粉塵速度が高い状態で集塵する場合には、消火作用を十分に行うことができないケースが生じ、バグフィルタに引火したり、集塵装置内部で発火や爆発が発生したりする危険性がある。
(3)含塵空気の気流によって液槽の水が舞い上がり、バグフィルタを濡らすことで、バグフィルタの濾過性能に悪影響を及ぼす危険性がある。
(4)含塵空気の発生源が移動する場合や異なる場所で集塵を行う場合に集塵装置を移動させることが困難である。
一方、上記した特許文献2に記載の集塵装置では、以下の問題が生じている。
(1)塵埃が爆発した時の対策が講じられていないため、安全性の点から問題となる。
(2)積極的に液槽内の液体を利用しておらず、塵埃と液体との気液接触が行われないため、消火効率が悪く、爆発や発火の危険性がある。
(3)多数の噴霧ノズルを使用しているため、水の消費量が多くなり、不経済である。
(4)噴霧ノズルや配管等の部品点数が多いため、装置の製造コストが高くなる。
(5)含塵空気の発生源が移動する場合や異なる場所で集塵を行う場合に集塵装置を移動させることが困難である。
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、爆発時の安全性の向上、消火効率の向上、爆発や発火の発生防止、濾過性能の向上、経済性の向上、及び移動の容易化等を図ることのできる集塵装置を提供することを目的とする。
上記した目的を達成するため、本発明の第1の集塵装置は、含塵空気の気流を発生させて含塵空気中の塵埃を分離除去するための集塵装置であって、外部から含塵空気を吸い込むための吸込手段と、該吸込手段から吸い込んだ含塵空気に液体を噴霧する液体噴霧手段と、含塵空気中の塵埃を捕集する第1の濾過手段と、を有する湿式の第1の集塵手段と、該第1の集塵手段の気流方向下流側に設けられ、該第1の集塵手段で捕集できなかった含塵空気中の塵埃を捕集する第2の濾過手段を有する乾式の第2の集塵手段と、前記吸込手段を介して前記第1の集塵手段及び前記第2の集塵手段の内部に含塵空気の気流を発生させるための吸引手段と、気流方向最下流側に設けられ、前記第1の集塵手段及び前記第2の集塵手段において含塵空気中の塵埃を分離除去された清浄空気を外部に排出するための排気手段と、前記第1の集塵手段と前記第2の集塵手段が載置され、前記第1の集塵手段において含塵空気中から分離除去された塵埃及び前記液体噴霧手段により噴霧された液体を収容すると共に前記第2の集塵手段において含塵空気中から分離除去された塵埃を収容する汚水タンクと、を備え、前記吸込手段の気流方向下流側端部、前記第1の集塵手段の底部、及び前記第2の集塵手段の底部がそれぞれ前記汚水タンクに連通するように構成されていることを特徴とする。
本発明の第1の集塵装置によれば、湿式の第1の集塵手段と乾式の第2の集塵手段を備えているため、含塵空気中の塵埃の消火作用や濾過性能を向上させることができる。また、第1の集塵手段と第2の集塵手段の下方に共通の汚水タンクを設けることにより、沈殿した塵埃や汚水等の排出処理を容易にすることができ、排出作業の簡素化及び排出コストの削減化を図ることができる。さらに、乾式の第2の集塵手段により濾過されて汚水タンク内に落下した塵埃は、汚水タンク内に堆積するので、堆積した塵埃による発火の危険性を防止することができる。加えて、汚水タンク内に堆積した塵埃を排出する際にも、発火の危険性を回避することができる。さらに、汚水タンク内に堆積した塵埃は、一定量貯留した後に排出するため、その都度排出する必要はなく、堆積した塵埃の排出作業の頻度を減らすことが可能となり、作業の軽減を図ることができる。さらに、第1の集塵手段において第1の濾過手段の下流側に液体噴霧手段を設置することにより、含塵空気中に例え火の粉が混在したとしても、確実に消火することができるので、第2の集塵手段内に火の粉が流入するのを防止することができ、第2の集塵手段内での火災の発生を防止することができる。さらにまた、液体噴霧手段で散水することにより、第1の集塵手段内の湿度を所定値以上に高めることができるため、静電気のスパークによる火災の発生を防止することができる。
本発明の第2の集塵装置では、前記吸込手段、前記第1の集塵手段、前記第2の集塵手段、前記吸引手段、及び前記排気手段が、平面視において含塵空気の流れが蛇行するように配置されていることを特徴とする。
本発明の第2の集塵装置によれば、集塵装置のコンパクト化(小型化)を図ることができるため、設置スペースを削減することができ、含塵空気の発生源が移動する場合や異なる場所で集塵を行う場合等でも集塵装置を容易に移動させることが可能となる。
本発明の第3の集塵装置では、前記第1の集塵手段及び前記第2の集塵手段が、それぞれ、内部での爆発圧力を外部に放出するための放散手段を備え、該放散手段は、前記第1の集塵手段及び前記第2の集塵手段から上方に延出する放散ダクトと、該放散ダクトの上端に設けられる放散蓋と、を備え、該放散蓋は、常時は閉鎖されると共に内部での爆発時に爆発圧力によって開放されるように構成されていることを特徴とする。
本発明の第3の集塵装置によれば、第1の集塵手段と第2の集塵手段のそれぞれに放散手段を設けることにより、万一、塵埃爆発が発生したとしても、安全性を向上させることができる。
本発明の第4の集塵装置では、前記放散ダクトが、平面視で前記汚水タンクの外側に張り出すように形成され、前記放散蓋は、外側に回動することで開放されるように構成されていることを特徴とする。
本発明の第4の集塵装置によれば、放散ダクトが平面視で汚水タンクの外側に張り出すように設けられることにより、放散手段のメンテナンスを容易に行うことができると共に、汚水タンクの上方に集塵装置の他の機器を配置することができ、スペースの有効利用を図ることができる。また、爆発時に放散蓋が外側に回動して開放されるため、回動した放散蓋が集塵装置の各機器に接触することによって該機器を破損等するのを防止することができる。
本発明の第5の集塵装置では、前記第1の集塵手段が、含塵空気を、前記底部から吸込み、上部から排出することで、上向きの気流を発生させるように構成され、前記第1の濾過手段は、石ころを敷き詰めた充填部と、該充填部の上方に設けられる不燃性素材から成るプレフィルタと、を備え、前記液体噴霧手段は、前記充填部の上方に設けられるスプレーノズルを備えていることを特徴とする。
本発明の第5の集塵装置によれば、第1の集塵手段において充填部の上方に液体噴霧手段を設置することにより、含塵空気中に例え火の粉が混在したとしても、確実に消火することができるので、第2の集塵手段内に火の粉が流入するのを防止することができ、第2の集塵手段内での火災の発生を防止することができる。さらにまた、液体噴霧手段で散水することにより、第1の集塵手段内の湿度を所定値以上に高めることができるため、静電気のスパークによる火災の発生を防止することができる。
本発明の第6の集塵装置では、前記第2の集塵手段の内部の含塵空気と接触する部分に、導電処理が施された導電部が形成され、該導電部は接地されており、前記第2の濾過手段は、帯電防止処理を施した濾過材を備え、該濾過材は前記第2の集塵手段の前記導電部にアース接続されていることを特徴とする。
本発明の第6の集塵装置によれば、第2の濾過手段において含塵空気と接触することで発生する静電気を第2の集塵手段を経由して大地に逃すことができるため、静電気の発生を防止することができ、発火や爆発の発生を防止することができる。さらに、濾過材により第1の集塵部で捕集できない粒子径の細かい塵埃を捕集することができ、微細な塵埃を含まない清浄空気を排出することができる。
本発明の第7の集塵装置では、前記第2の集塵手段に、内部の湿度を検出する湿度センサが設けられ、該湿度センサの検出した湿度が所定値以下の場合に異常信号を出力することを特徴とする。
本発明の第7の集塵装置によれば、乾式の第2の集塵手段内の湿度を設定値以上に管理維持することにより、爆発火災の発生を事前に察知し、第2の集塵手段内での静電気の発生及び火災の発生を未然に防止することができる。
本発明の第8の集塵装置では、前記汚水タンクに、前記吸込手段の気流方向下流側端部の前記汚水タンクへの連通部分と前記第1の集塵手段の底部の前記汚水タンクへの連通部分とを含む第1の領域と、前記第2の集塵手段の底部の前記汚水タンクへの連通部分を含む第2の領域と、に仕切る仕切板が設けられ、該仕切板は、前記汚水タンクの液面に接触すると共に前記第1の領域と前記第2の領域とが連通するように設けられていることを特徴とする。
本発明の第8の集塵装置によれば、仕切板で汚水タンクの内部を第1の集塵手段側の第1の領域と第2の集塵手段側の第2の領域とに仕切ることにより、吸込手段から汚水タンクに流入した含塵空気は、第2の集塵手段に流入することがなく、第1の集塵手段に流入する気流を確実に発生させることができる。
本発明の第9の集塵装置では、前記吸引手段が、前記第2の集塵手段の気流方向下流側に設けられていることを特徴とする。
本発明の第9の集塵装置によれば、第1の集塵手段及び第2の集塵手段で爆発性や発火性のある塵埃が捕集、濾過された清浄空気が吸引手段を通過するため、吸引手段に汚れが付着することがなく、気流の風量バランスを崩したり、吸引手段と塵埃との接触により、爆発発火が発生したりするおそれがない。
本発明の第10の集塵装置では、前記吸込手段、前記第1の集塵手段、前記第2の集塵手段、前記吸引手段、前記排気手段、及び前記汚水タンクが設けられる基台を備え、該基台の下部には、該基台を移動可能に支持するキャスターと、該基台を固定する固定手段と、が設けられていることを特徴とする。
本発明の第10の集塵装置によれば、集塵装置を容易に移動させることできると共に、所望な位置に容易に固定することができる。
本発明の第11の集塵装置では、前記第1の集塵手段と前記第2の集塵手段とを接続する旋回気流用ダクトを備え、該旋回気流用ダクトを介して前記第1の集塵手段から前記第2の集塵手段に導入された含塵空気が前記第2の濾過手段の周りで旋回気流を発生するように構成されていることを特徴とする。
本発明の第11の集塵装置によれば、含塵空気と汚水タンク内の液体との気液接触が一度だけのため、気流の圧力損失を低減し、消費電力を抑制することができ、経済性の向上を図ることができる。さらに、前記液体噴霧手段による散水により、前記第2の濾過手段に導入される含塵空気中の塵埃に水分が含まれていたとしても、前記第2の集塵手段の旋回気流によって、その水分が分離除去されるので、前記第2の濾過手段に水分が付着して濡れることを防止し、濾過性能に支障を及ぼすことがない。
本発明の第12の集塵装置では、前記第1の集塵手段と前記汚水タンクとを接続する下降気流用ダクトを備え、該下降気流用ダクトを介して前記第1の集塵手段から前記汚水タンクに導入された含塵空気が前記第2の集塵手段の底部から該第2の集塵手段内に導入されるように構成されていることを特徴とする。
本発明の第12の集塵装置によれば、含塵空気と汚水タンク内の液体とを気液接触させているため、この含塵空気中の塵埃の消火作用や濾過性能を一段と向上させることができる。
本発明の第13の集塵装置では、前記第1の集塵手段と前記第2の集塵手段とを接続する旋回気流用ダクトと前記第1の集塵手段と前記汚水タンクとを接続する下降気流用ダクトのいずれか一方のダクトを選択可能なように設けられており、前記旋回気流用ダクトが選択された場合には、前記第1の集塵手段から前記第2の集塵手段に導入された含塵空気が前記第2の濾過手段の周りで旋回気流を発生し、前記下降気流用ダクトが選択された場合には、前記第1の集塵手段から前記汚水タンクに導入された含塵空気が前記第2の集塵手段の底部から該第2の集塵手段内に導入されるように構成されていることを特徴とする。
本発明の第13の集塵装置によれば、含塵空気の性状や発塵量の多さ、集塵装置の運転時間等によって、旋回気流用ダクトと下降気流用ダクトのいずれかを適宜選択切替えることができ、旋回気流用ダクトを選択した場合には消費電力を抑制することができ、下降気流用ダクトを選択した場合には消火効果を高めることができる。
本発明の第14の集塵装置では、前記吸込手段の気流方向下流側端部が、前記汚水タンクに向かって下降気流を形成するように上方から垂直に前記汚水タンクに接続されることを特徴とする。
本発明の第14の集塵装置によれば、含塵空気と汚水タンク内の液体とを確実に気液接触させることができるため、含塵空気中の塵埃の消火作用や濾過性能を一段と向上させることができる。
本発明によれば、含塵空気中の塵埃の消火作用や濾過性能を向上させることができる等、種々の優れた効果を得ることができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る集塵装置について説明する。
まず、図1〜図5を参照しつつ、本発明の第1の実施形態に係る旋回気流方式の集塵装置10について説明する。ここで、図1は本実施形態に係る旋回気流方式の集塵装置を示す正面図、図2は本実施形態に係る旋回気流方式の集塵装置を示す平面図、図3は本実施形態に係る旋回気流方式の集塵装置を示す右側面図、図4は図1のA−A断面図、図5は本実施形態に係る旋回気流方式の集塵装置における含塵空気の流れの方向を示す説明図である。
本実施形態に係る旋回気流方式の集塵装置10は、下部に設けられる基台11と、基台11上に取り付けられる、吸込部12、湿式の第1の集塵部13、乾式の第2の集塵部14、吸引部15、及び排気部16と、基台11の内部に設けられる汚水タンク17と、を備えて構成されている。
図2に良く示されているように、平面視において、吸込部12は基台11の前方左側に配置され、第1の集塵部13は吸込部12の右方であって基台11の右側前方寄りに配置され、第2の集塵部14は第1の集塵部13の左方且つ吸込部12の後方であって基台11の左側に配置され、吸引部15は第2の集塵部14の後方であって基台11の左側後方寄りに配置され、排気部16は吸引部15の右方に配置されている。すなわち、吸込部12、第1の集塵部13、第2の集塵部14、吸引部15、及び排気部16は平面視で含塵空気の流れが蛇行するように基台11上に配置されている。
基台11の下部には、基台11を移動可能に支持するキャスター18が四隅にそれぞれ設けられ、下方に伸長させて床面に当接させることで基台11を固定するアジャスター19(固定手段)が各キャスター18に近接して設けられている。
吸込部12は、円筒形状のダクトを2箇所で直角に屈曲させることにより形成され、基台11の前方左側隅部の上方に配置される鉛直ダクト部20と、鉛直ダクト部20の下端から右方に直角に屈曲して形成される水平ダクト部21と、水平ダクト部21の右端から下方に直角に屈曲して汚水タンク17に連通する接続ダクト部22と、備えている。
鉛直ダクト部20には、上端に吸込口23が開口され、吸込口23の下方に防火ダンパー24が取り付けられている。防火ダンパー24は、常時は鉛直ダクト部20内の流路を開放させる姿勢を保持しているが、塵埃の爆発や火災等によって内部の温度が上昇すると、その温度をセンサが検知して前記流路を閉鎖させるように動作する。
水平ダクト部21には、逆止弁25が取付けられ、逆止弁25は、吸込口23から汚水タンク17に向かう一方向の気流のみを許容する。これにより、例え逆止弁25の気流方向下流側で塵埃が爆発したとしても、爆風や火災が吸込口23に伝播するのを防止することができると共に、周囲の作業者を爆風や火災から保護することができる。
また、鉛直ダクト部20の上下フランジ部26及び水平ダクト部21の左右フランジ部27にはそれぞれアース線が接続されていて接地されている。これにより、吸込部12において、含塵空気が帯電したり、静電気が発生したりすることがないため、内部での発火や爆発を防止することができる。
第1の集塵部13は、基部11に載置される金属製で矩形筒形状の胴部30を備えており、胴部30の底部が開口されて汚水タンク17と連通している。胴部30の内部には、第1の濾過部31が設けられ、第1の濾過部31は、充填部32と、充填部32の上方に設けられるスプレーノズル33を有する液体噴霧設備34と、スプレーノズル33の上方に設けられるプレフィルタ35と、を備えて構成されている。
充填部32は、ステンレス製の矩形状のボックスに石ころ36を敷き詰めて構成されている。好ましくは、石ころ36として大磯3分が使用され、石ころ36を敷き詰める厚さは数十mm程度とするのがよい。石ころ36に大磯3分を使用するのは、石ころ36のサイズが小さ過ぎると、石ころ36に水をスプレーした充填部32を含塵空気が通過する時の圧力損失が過大になるからである。また、石ころ36を敷き詰める厚さを数十mm程度とするのは、その厚さが厚い程、充填部32を含塵空気が通過する時の火花を除去することができるが、充填部32を含塵空気が通過する時の圧力損失が過大になるのを防止するためである。
液体噴霧設備34は、スプレーノズル33の他に、給水用フィルタ、電磁弁、水用レギュレータ、及び流量計等を備えている。これにより、水道から供給された水は、前記給水用フィルタを通過した後、前記電磁弁のオン動作に伴い、水用レギュレータを通ってスプレーノズル33に供給され、その水の供給量は前記流量計で確認することができるようになっている。スプレーノズル33は、胴体30の中心1箇所に配置され、充填部32に向かって下方約90度の噴霧角度で角錐状に水を噴霧可能となっている。なお、第一の集塵部13は、平面視において四角形状であるため、四隅まで十分散水可能な角錐状のスプレーノズル33を使用している。さらに、広角散水が可能な角錐状のスプレーノズル33を備えているため、充填部32との高さ方向の距離を縮めることが可能となり、第一の集塵部13の高さを低くすることができる。
プレフィルタ35は、金属製のボックスに不燃性素材から成るデミスター39を上下2段に配列して構成されており、デミスター39は、直径0.12〜0.25mmの細い金属線を編み込んだ後、幾層にも積層してマット状にしたものである。デミスター39は素材が金属製のため発火することはない。
胴部30には、充填部32の前方に横長矩形状の充填部用点検扉40が開閉可能に取り付けられていると共に、プレフィルタ35の前方に横長矩形状のデミスター用点検扉41が開閉可能に取り付けられている。また、胴部30には、充填部32とスプレーノズル33の間に複数(例えば4個)の温度センサ42が取り付けられており、充填部用点検扉40とデミスター用点検扉41の間及び上部正面に消火口43がそれぞれ取り付けられている。消火口43には、常時は消火口43を閉塞するプラグが着脱可能に取り付けられている。この消火口43を設けることにより、万一の爆発により第1の集塵部13の内部で火災が発生した場合でも、点検扉40,41を開放することなく、消火口43から消火剤を注入することで迅速に消火作業を行うことができる。
第1の集塵部13の胴部30の上方には第1の放散部44が設けられている。第1の放散部44は、金属製で、胴部30から上方に延出する胴部30より細径の矩形筒形状の第1の放散ダクト45と、第1の放散ダクト45の上端開口を開閉可能な第1の放散蓋46と、を備えて構成されている。
第1の放散蓋46の下面側外周部には、パッキン(図示省略)が貼付されており、第1の放散蓋46の一辺側(図示では右辺側)両端部には、ヒンジ47がそれぞれ取り付けられている。これにより、第1の放散蓋46は、集塵装置10の運転中、前記第1の集塵部13内が負圧になることで下方に吸引され、前記パッキンを介して第1の放散ダクト45の上端開口を閉鎖する。また、第1の集塵部13の内部で爆発が発生した場合には、その時の爆発圧力によってヒンジ47を支点として外側に回動して第1の放散ダクト45の上端開口を開放するように構成されている。第1の放散部44は、通常、粉塵爆発を想定して、第1の集塵部13の圧力が10kPa程度に上昇すると、第1の放散蓋46が第1の放散ダクト45の上端開口を開放し、第1の集塵部13の内部圧力の上昇を抑制するように設計されている。
また、ヒンジ47には、縦長の長孔48が形成されており、第1の集塵部13の内部での爆発発生時に内部圧力が急激に上昇した場合には、第1の放散蓋46がヒンジ47の長孔48の分だけ上方に瞬時に持ち上がった後に長孔48の上端部を支点に回動するように構成されている。これにより、上昇した第1の集塵部13の内部圧力を瞬時に外部に放散させて低下させることができるため、第1の集塵部13の損傷を最小限に抑制することができる。
さらに、特に図示しないが、第1の放散蓋46と第1の集塵部13又は第1の放散ダクト45との間はワイヤーロープにより接続されており、粉塵爆発時に第1の放散蓋46が上方に吹き飛ばされないようになっている。なお、第1の放散蓋46は、複数の留め具により上方から押えられて固定されていてもよく、この場合、留め具の寸法や形状等は、予め設定された爆発圧力によって留め具が変形、破断して、第1の放散蓋46が第1の放散ダクト45の上端開口を開放するように決定される。
胴部30の右側面には電装箱(制御盤)49が右側に正面を向けて取り付けられている。電装箱49は防塵構造を有し、爆発性粉塵の進入を防止している。電装箱49の正面には、運転・停止スイッチ、逆洗動作スイッチ、緊急停止スイッチ等の各種スイッチや、温度表示器、湿度表示器等の各種表示器が設けられている。また、電装箱49の内部にはアース端子(図示省略)が設けられており、該アース端子には、機器に電力を供給する電源線のアース線(図示省略)や各機器のアース線が接続されている。
第2の集塵部14は、基部11に載置される金属製で円筒形状の胴部50を備えており、胴部50の底部が開口されて汚水タンク17と連通している。胴部30の内部の含塵空気と接触する部分には、導電処理が施された導電部が形成され、該導電部にはアース線28(図5参照)が接続され、接地されている。
胴部30の内部には、第2の濾過部51が設けられている。第2の濾過部51は、帯電防止処理を施した乾式のフィルタ(濾過材)52を備えて構成されている。フィルタ52は、濾布をヒダ折りして円筒状に形成したプリーツフィルタユニットを3本まとめてカートリッジ状にしたものである。帯電防止処理の例としては、フィルタ52の表面の一部に導電体を付着又は塗装して、フィルタ52の導電部と胴部50の導電部とをアース線等で接続し、フィルタ52に帯電した電気を胴部50を経由して最終的に大地に逃すようにしている。
胴部50の正面中央部には消火口54が取り付けられており、消火口54には、常時は消火口54を閉塞するプラグが着脱可能に取り付けられている。これにより、万一の爆発により第2の集塵部14の内部で火災が発生した場合でも、消火口54から消火剤を注入することで迅速に消火作業を行うことができる、
胴部50の上方には、扁平な円柱箱状のルーフ55が設けられている。このルーフ55は、固定ボルト56で胴部50の上端に着脱可能に取付けられており、固定ボルト56を取り外すことによって胴部50の内部の点検作業やフィルタ52の交換作業が行えるようになっている。ルーフ55の内部は清浄室となっており、ルーフ55には温湿度センサ57が設置されている。温湿度センサ57はルーフ55の内部の温湿度を検出し、温度の検出値が所定値を超えた場合或いは湿度の検出値が所定値以下となった場合には、警報出力や非常停止等の異常信号を出力するようになっている。なお、静電気学会の講演論文には、相対湿度が55%以上の場合に静電気が抑制されると記載されているため、本実施形態では、湿度の所定値を相対湿度60%に設定している。
ルーフ55の上方には、圧縮空気噴射設備58が設けられている。圧縮空気噴射設備58は、圧縮空気を貯留するタンク59と、タンク59と配管60を介して接続される3個の電磁弁61と、を備えており、各電磁弁61は前記3本のプリーツフィルタユニットの上方にそれぞれ設置されている。
第2の集塵部14の胴部50の左側部には、平面視で汚水タンク17の外側に張り出すように第2の放散部62が設けられている。第2の放散部62は、金属製で、胴部50の左側部から上方に延出する矩形筒形状の第2の放散ダクト63と、第2の放散ダクト63の上端開口を開閉可能な第2の放散蓋64と、を備えて構成されている。なお、第2の放散蓋64は、上記した第1の放散部44と同様の構成を有しているため、ここでの詳細な説明は省略する。
第1の集塵部13の胴部30と第2の集塵部14の胴部50とは旋回気流用ダクト70により接続されている。旋回気流用ダクト70は、円筒形状のダクトを2箇所で直角に屈曲させることにより形成され、第1の集塵部13の胴部30の後方側面上部に接続される上流側端部71と、上流側端部71から下方に直角に屈曲して形成される鉛直ダクト部72と、鉛直ダクト部72の下端から左方に直角に屈曲して第2の集塵部14の胴部50の外周面上部に偏心した状態で接続される水平ダクト部73と、を備えている。
吸引部15は、基台11上に取付けられる吸引動力源80と、第2の集塵部14と吸引動力源80とを接続する上流側吸引ダクト部81と、吸引動力源80と排気部16とを接続する下流側吸引ダクト部82と、を備えて構成されている。
吸引動力源80は、ケーシング83に囲繞されたファンと、該ファンを駆動するためのモータ84と、により構成されている。なお、本実施形態では、一般的に使用されるファン、及びモータを使用しているが、防爆構造のファン、及びモータを使用することで更なる安全性が向上し、粉塵爆発の危険性を低下させることができる。
上流側吸引ダクト部81は、円筒形状のダクトにより形成され、第2の集塵部14のルーフ55の外周面の後方左側に接続される水平ダクト部85と、水平ダクト部85から下方に直角に屈曲される鉛直ダクト部86と、を備えている。
排気部16は、吸引部15の下流側吸引ダクト部82が下部側面に接続されるマフラー87と、マフラー87の上方に接続される防火ダンパー88と、がそれぞれ鉛直方向に接続されて構成されており、上端開口には排気口89が設けられている。
汚水タンク17は、内部を第1の領域と第2の領域の2つの領域に仕切る仕切板90と、内部の上限水位を検知する上限水位センサ91と、内部の下限水位を検知する下限水位センサ92と、正面に開閉可能に取り付けられる汚水タンク点検扉93と、右側面に設けられる排水口94と、汚水タンク17内に設けられる排水ポンプ95と、を備えている。そして、この排水ポンプ95は、上限水位センサ91が上限水位を検知すると、運転を開始し、下限水位センサ92が下限水位を検知する運転を停止するように制御される。
仕切板90は、汚水タンク17の上面から垂下されて汚水タンク17の水面に常時接触すると共に前記第1の領域と前記第2の領域とが連通するように形成されている。また、仕切板90の下端の高さは、水位下限センサ92によって設定されている汚水タンク19の下限水位の高さより低くなるように設定されている。
図2に良く示されているように、仕切板90は、前記第1の領域と前記第2の領域を仕切るために、平面視において屈曲形成されている。前記第1の領域は、平面視で主に第1の集塵部13が載置される領域であり、吸込部12の接続ダクト部22が汚水タンク17に連通する部分と、第1の集塵部13の胴部50の底部が汚水タンク17に連通する部分を含んでいる。また、前記第2の領域は、平面視で主に第2の集塵部14が載置される領域であり、第2の集塵部14の胴部50の底部が汚水タンク17に連通する部分を含んでいる。
次に、主に図5を参照しつつ、上記した構成を備えた本発明の第1の実施形態に係る旋回気流方式の集塵装置10の作用について説明する。
工場内の例えばレーザ溶接機から集塵装置10の吸込口23を介して吸引部12に吸引された爆発性粉体や可燃性粉体(未酸化ヒューム)等の塵埃を含む含塵空気は、防火ダンパー24及び逆止弁25を経由して接続ダクト部22を通って汚水タンク17内に吸引される。
汚水タンク17内に吸引された含塵空気は、汚水タンク17の水面に対してほぼ鉛直に水中に落下するため、含塵空気中の塵埃は水との慣性衝突により消火され、消火された塵埃は汚水タンク17内に沈殿する。
一方、汚水タンク17において分離除去されずに残留した塵埃を含む含塵空気は、汚水タンク17の水面上に沿って水平に移動した後、第1の集塵部13の底部から胴部30内に吸引され、充填部32に導かれる。
充填部32では、スプレーノズル33から噴霧される水滴により石ころ36の表面が濡れ、充填部32内を上昇する含塵空気と石ころ36の表面の濡れ水との間で気液接触が行われ、含塵空気中の塵埃に対して冷却作用と消火作用が行われる。
この時、スプレーノズル33から噴霧される水滴が含塵空気の上昇気流と接触し、水滴表面からの蒸発が連続して行われて水蒸気が発生する。これにより、第1の集塵部13内の相対湿度は60%以上に保たれるため、第1の集塵部13内での静電気の発生が抑制される。
充填部32を通過し、スプレーノズル33の下流側まで上昇した含塵空気は、その後、プレフィルタ35の上下2段のデミスター39を通過する。この時、含塵空気はスプレーノズル33による水滴の噴霧により粒子状の水滴を含んでいるが、この水滴は上下2段のデミスター39を通過する際に除去される。
このように第1の集塵部13において冷却消火されると共に水滴を除去された含塵空気は、第1の集塵部13の上部から旋回気流用ダクト70を介して第2の集塵部14に導かれる。
旋回気流用ダクト70の水平ダクト部73は第2の集塵部14の胴部50の外周面上部に偏心した状態で接続されているため、旋回気流用ダクト70から第2の集塵部14内に流入した含塵空気は、フィルタ52の外側を旋回しながら降下した後、フィルタ52の下端からフィルタ52の内部を旋回しながら上昇する。含塵空気中の塵埃は、このように含塵空気が旋回しながらフィルタ52を通過する間に確実に濾過され、胴部50の底部開口を通って汚水タンク17内に直接落下するか、或いは、フィルタ52に付着する。そして、フィルタ52に付着した塵埃は、タイマー制御や差圧制御等でオン動作された電磁弁61を介してフィルタ52の上方から圧縮空気が供給されることによってフィルタ52から分離除去され、胴部50の底部開口を通って汚水タンク17内に落下する。
このように第2の集塵部14において塵埃を分離除去されて清浄化された清浄空気は、吸引部15の上流側吸引ダクト部81から、前記ファン、下流側吸引ダクト部82、排気部16のマフラー87及び防火ダンパー88を経由して、排気口89から集塵装置10の外部に排出される。
次に、図6〜図9を参照しつつ、本発明の第2の実施形態に係る下降気流方式の集塵装置100について説明する。ここで、図6は本実施形態に係る下降気流方式の集塵装置を示す正面図、図7は本実施形態に係る下降気流方式の集塵装置を示す平面図、図8は本実施形態に係る下降気流方式の集塵装置を示す右側面図、図9は本実施形態に係る下降気流方式の集塵装置における含塵空気の流れの方向を示す説明図である。なお、以下の説明では、説明の簡略化のため、上記した第1の実施形態に係る集塵装置10と同様の構成については、図6〜図9において図1〜図5と同一の符号を付し、その詳細な説明ついては省略する。
本実施形態に係る下降気流方式の集塵装置100は、上記した第1の実施形態の場合と同様に、基台11上に取り付けられる、吸込部12、湿式の第1の集塵部13、乾式の第2の集塵部14、吸引部15、及び排気部16と、基台11の内部に設けられる汚水タンク17と、を備えて構成されている。
しかしながら、上記した第1の実施形態では、第1の集塵部13と第2の集塵部14とが旋回気流用ダクト70によって直接接続されていたのに対して、本実施形態では、第1の集塵部13と第2の集塵部14とはダクト等で直接接続されておらず、その代わりに第1の集塵部13と汚水タンク17とを接続する下降気流用ダクト101を備えている。
下降気流用ダクト101は、円筒形状のダクトにより形成され、第1の集塵部13の胴部30の後方側面上部に接続される水平ダクト部102と、水平ダクト部102から下方に直角に屈曲して汚水タンク17に連通する鉛直ダクト部103と、備えている。
上記した構成を備えた本実施形態に係る下降気流方式の集塵装置100において、吸引部12に吸引された爆発性粉体や可燃性粉体(未酸化ヒューム)等の塵埃を含む含塵空気は、上記した第1の実施形態に係る旋回気流方式の集塵装置10の場合と同様に、汚水タンク17及び第1の集塵部13を通過する。その間、含塵空気中の塵埃は、消火、冷却、分離除去され、残留した塵埃を含む含塵空気は、下降気流用ダクト101を通って、再度、汚水タンク17内に吸引される。
汚水タンク17内に吸引された含塵空気は、汚水タンク17の水面に対してほぼ鉛直に水中に落下するため、含塵空気中の塵埃は水との慣性衝突により消火され、消火された塵埃は汚水タンク17内に沈殿する。
一方、汚水タンク17において分離除去されずに残留した塵埃を含む含塵空気は、汚水タンク17の水面上に沿って水平に移動した後、第2の集塵部14の底部から胴部50内に吸引され、上昇しながらフィルタ52を通過する。この間、含塵空気中の塵埃は、確実に濾過され、胴部50の底部開口を通って汚水タンク17内に直接落下するか、或いは、フィルタ52に付着した後、圧縮空気噴射設備58によってフィルタ52から分離除去され、胴部50の底部開口を通って汚水タンク17内に落下する。
このように第2の集塵部14において塵埃を分離除去されて清浄化された清浄空気は、吸引部15の上流側吸引ダクト部81から、前記ファン、下流側吸引ダクト部82、排気部16のマフラー87及び防火ダンパー88を経由して、排気口89から集塵装置10の外部に排出される。
上記した本発明の第1の実施形態に係る旋回気流方式の集塵装置10や第2の実施形態に係る下降気流方式の集塵装置100は、いずれも湿式の第1の集塵部13と乾式の第2の集塵部14を備えているため、含塵空気中の塵埃に対する消火作用や濾過性能を向上させることができる。特に、第2の実施形態に係る下降気流方式の集塵装置100では、含塵空気と汚水タンク17内の水とを2度気液接触させているため、この含塵空気中の塵埃に対する消火作用や濾過性能を一段と向上させることができる。
また、第1の集塵部13と第2の集塵部14の下方に共通の汚水タンク17を設けることにより、沈殿した塵埃や汚水等の排出処理を容易にすることができ、排出作業の簡素化及び排出コストの削減化を図ることができる。
また、平面視で含塵空気の流れが蛇行(略S字状)するように、吸込部12、第1の集塵部13、第2の集塵部14、吸引部15、及び排気部16を基台11上にジグザグ状に効率良く配置することで、集塵装置10,100のコンパクト化(小型化)を図ることができる。これにより、設置スペースを削減することができ、含塵空気の発生源が移動する場合や異なる場所で集塵を行う場合等でも集塵装置10,100を容易に移動させることが可能となる。
特に、基台11の下部にキャスター18を設置すると共に、基台11に汚水タンク17や第1及び第2の集塵部13,14等のすべての機器を設けることにより、集塵装置10,100を一段と容易に移動させることが可能となる。
また、乾式の第2の集塵部14内の温湿度を検出し、温度の検出値が所定値を超えた場合或いは湿度の検出値が所定値以下となった場合に異常信号を出力することで、爆発火災の発生を事前に察知し、第2の集塵部14内での静電気の発生及び火災の発生を未然に防止することができる。
また、第1の集塵部13や第2の集塵部14にそれぞれ第1の放散部44や第2の放散部62を設けたり、各所に防火ダンパー24,88、逆止弁25、及びアース線28等を設けたりして、種々の爆発時や火災時に備えた対策を施しているため、安全性の向上を図ることができる。
また、第2の集塵部14の第2の濾過部51において、フィルタ52に帯電防止処理を施し、含塵空気との接触により発生する静電気を第2の集塵部14を経由して大地に逃すことができ、静電気の発生を防止することができるため、発火や爆発が発生するおそれがない。さらに、フィルタ52により第1の集塵部13で捕集できない粒子径の細かい塵埃を捕集することができ、微細な塵埃を含まない清浄空気を排気部16から排出することができる。
また、第1の集塵部13や第2の集塵部14での爆発時、第1の放散蓋46や第2の放散蓋64は外側に回動して開放するように構成されているため、回動した放散蓋46,64が集塵部13,14等の機器に接触して該機器を破損等するのを防止することができる。また、第2の放散部62が平面視で汚水タンク17の外側に張り出すように設けられることにより、第2の放散部62のメンテナンスを容易に行うことができると共に、汚水タンク17の上方に集塵装置10,100の他の機器を配置することができ、スペースの有効利用を図ることができる。
また、第1の集塵部13において、充填部32の下流側に液体噴霧設備34を設置することにより、含塵空気中に例え火の粉が混在したとしても、消火することができるので、第2の集塵部14内に火の粉が流入するのを防止することができ、第2の集塵部14内での火災の発生を防止することができる。
また、液体噴霧設備34で充填部32に散水することにより、第1の集塵部13内の湿度を所定値以上に高めることができるため、静電気のスパークによる火災の発生を防止することができる。
また、第2の実施形態に係る旋回気流方式の集塵装置10では、含塵空気と汚水タンク17内の水との気液接触が一度だけであるため、第2の実施形態に係る下降気流方式の集塵装置100と比べて、気流の圧力損失を低減し、消費電力を抑制することができ、経済性の向上を図ることができる。
また、仕切板90で汚水タンク17の内部を第1の集塵機13側の第1の領域と第2の集塵機14側の第2の領域とに仕切ることにより、吸込部12から汚水タンク17に流入した含塵空気は、第2の集塵部14に流入することがなく、第1の集塵部13に流入する気流を確実に形成することができる。
また、第1の集塵部13及び第2の集塵部14で爆発性や発火性のある塵埃が捕集、濾過された清浄空気が吸引部15を通過するため、前記ファン等に汚れが付着することがなく、気流の風量バランスを崩したり、前記ファンと塵埃との接触により、爆発発火が発生したりするおそれがない。
なお、第1の集塵部13と第2の集塵部14の間において、含塵空気の性状(発火、爆発のし易さ、爆発指数Kst値、粒子径の細かさ)や発塵量の多さ、集塵装置の運転時間等によって、旋回気流用ダクト70と下降気流用ダクト101のいずれかのダクトを適宜選択切替え可能なように構成することも可能である。
この場合、旋回気流用ダクト70と下降気流用ダクト101を選択切替える方式としては、例えば、へルール継手又はホースバンドやクランプを使用して選択する系統のダクトにホースを接続すると共に、選択しない系統のダクトを目隠し板で閉鎖したり、或いは、予め2系統のダクトをそれぞれ独立して或いは途中で分岐して接続しておき、手動或いは自動制御で切替え弁を操作することにより所望な系統のダクトを選択したりすることなどが可能である。
また、旋回気流方式の集塵装置10は、前記ファンの動力や消費電力をより抑制することができるメリットがあり、下降気流方式の集塵装置100は、消火効率や捕集(除塵)効率をより高めることができるメリットがあるため、それぞれの方式のメリットを考慮して旋回気流用ダクト70と下降気流用ダクト101のいずれの系統のダクトを選択するかを決定するのが好ましい。例えば、下降気流方式を選択するケースとしては、例えば、未酸化ヒュームの発塵量が多い場合や、比較的爆発指数(Kst値)の高い爆発性粉体や比較的引火又は発火性の高い爆発性粉体を吸引する場合や、吸引する粉塵の量が多い場合などが適している。
また、旋回気流用ダクト70を選択して旋回気流方式の集塵装置10として運転している時に、第2の集塵部14内の相対湿度が所定値以下に低下した場合に、手動又は自動制御で前記切替え弁を操作して下降気流用ダクト101に切り替え、下降気流方式の集塵装置100として運転させることも可能である。
なお、上記した本発明の実施の形態の説明は、本発明に係る集塵装置における好適な実施の形態を説明しているため、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。すなわち、上記した本発明の実施の形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能であり、上記した本発明の実施の形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。