JP6243078B1 - 電磁波吸収ケーブル - Google Patents

電磁波吸収ケーブル Download PDF

Info

Publication number
JP6243078B1
JP6243078B1 JP2017134061A JP2017134061A JP6243078B1 JP 6243078 B1 JP6243078 B1 JP 6243078B1 JP 2017134061 A JP2017134061 A JP 2017134061A JP 2017134061 A JP2017134061 A JP 2017134061A JP 6243078 B1 JP6243078 B1 JP 6243078B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electromagnetic wave
wave absorbing
film
tape
cable
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017134061A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018156925A (ja
Inventor
加川 清二
清二 加川
Original Assignee
加川 清二
清二 加川
加川 敦子
加川 敦子
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 加川 清二, 清二 加川, 加川 敦子, 加川 敦子 filed Critical 加川 清二
Priority to JP2017134061A priority Critical patent/JP6243078B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6243078B1 publication Critical patent/JP6243078B1/ja
Priority to TW107120963A priority patent/TWI668708B/zh
Priority to EP18178675.7A priority patent/EP3425641B1/en
Priority to US16/018,482 priority patent/US10654257B2/en
Priority to KR1020180077849A priority patent/KR102087844B1/ko
Priority to CN201810730095.0A priority patent/CN109215858B/zh
Publication of JP2018156925A publication Critical patent/JP2018156925A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Shielding Devices Or Components To Electric Or Magnetic Fields (AREA)
  • Insulated Conductors (AREA)

Abstract

【課題】 電磁波の放射及び吸収を効果的に抑制できる電磁波吸収ケーブルを提供する。【解決手段】 各導線41を包囲する絶縁性内皮42の周囲に螺旋状に巻回された電磁波吸収テープ44と、絶縁層45と、電磁波反射層46とを有し、電磁波吸収テープ44が幅方向に部分的に重複した二枚の電磁波吸収フィルム44a,44bからなり、各電磁波吸収フィルム44a,44bの金属薄膜102に多数の実質的に平行で断続的な線状痕120a,120bが不規則な幅及び間隔で複数方向に形成されており、各電磁波吸収フィルムの線状痕120a,120bの交差角θsが30〜90°であり、両電磁波吸収フィルム44a,44bの線状痕120a,120bが交差しており、電磁波吸収フィルム44a,44bの重複部44cの長手方向幅D2と長手方向重ね代D3との合計(D2+D3)が、電磁波吸収テープ44の長手方向幅Dの30〜70%である電磁波吸収ケーブル。【選択図】 図6

Description

本発明は、高い電磁波吸収能を有する電磁波吸収ケーブルに関する。
電気機器及び電子機器のケーブルから電磁波が放射されるだけでなく、周囲の電磁波がケーブルに侵入し、もって信号にノイズが混入することになる。ケーブルからの電磁波の放射及びケーブルへの電磁波の侵入を防止するために、従来からケーブルをワイヤーメッシュ線又は金属箔によりシールドすることが行われている。例えば、特開平11-185542号(特許文献1)は、複数本の信号線の周りに絶縁テ−プを施し、その上に導電率の高い金属箔(銅箔等)に薄膜の高透磁率材(パ−マロイ等)をラミネートしたテープを巻き付け、更にその上に絶縁体を施した薄膜磁性体シールド付きケーブルを開示している。しかし、高域周波ノイズでは、完全なシールドが行えないという問題があり、電磁波シールドの代わりに電磁波吸収により電磁波の放射及び侵入を防止することが提案されている。
特開2005-259385号(特許文献2)は、2本の金属心線をゴム皮膜により電気的に絶縁した複数の第一のペア線と、第一のペア線を覆う第一の被覆材と、2本の金属心線をゴム皮膜により電気的に絶縁した複数の第二のペア線と、第二のペア線を覆う第二の被覆材と、第二被覆材の外側の金属網組及び絶縁体層とを備えた通信用ケーブルを開示している。第一及び第二の被覆材はいずれも磁性体層と導電体層からなる二層構造を有する。磁性体層は例えばアモルファス合金微粒子をバインダで結合したシートからなり、導電体層は例えば銀微粒子をバインダで結合したシートからなる。しかし、この通信用ケーブルでは磁性体層と導電体層からなる二層構造を有する被覆材が使用されているので、ケーブル全体が太くならざるを得ず、また高価になる。
特開2009-71266号(特許文献3)は、通信線又は電力線を絶縁被覆で包む構造を有する通信用電線又はケーブルであって、電磁波遮蔽層及び電磁波吸収層を有する電磁波吸収/遮蔽用フィルムが絶縁被覆内で電線又はケーブルに巻かれた構造を有する通信用電線又はケーブルを開示している。電磁波遮蔽層として、アルミニウム箔又は銅箔をポリマーフィルムに積層するか、Al又はCuをポリマーフィルムに蒸着させることにより形成された厚さ17〜70μmの電磁波遮蔽フィルムが例示されており、電磁波吸収層として、金属フレーク及び/又は電磁波吸収可能なFe-Si合金粉末、Fe-Si-Cr合金粉末、非晶質金属粉末等含有する塗料を塗布した厚さ10〜100μmの電磁波吸収フィルムが例示されている。しかし、電磁波吸収/遮蔽用フィルムは電磁波遮蔽層及び電磁波吸収層の二層構造になっているだけでなく、いずれの層も比較的厚いので、通信用電線又はケーブル全体が太くならざるを得ず、また高価になる。
ケーブルは複雑な構造の電気機器及び電子機器内に配線されることが多いので、できるだけ細くできるのが好ましい。しかし、上記従来技術のように電磁波遮蔽層及び電磁波吸収層の両方を有する構造にすると、ケーブルの細径化は困難である。その上、電磁波遮蔽層及び電磁波吸収層の二層構造になると、ケーブル全体が高価格化するという問題もある。
特開平11-185542号公報 特開2005-259385号公報 特開特開2009-71266号公報
従って本発明の目的は、電磁波の放射及び吸収を効果的に抑制することができるとともに、細径化が容易である低価格の電磁波吸収ケーブルを提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、プラスチックフィルムの一面に設けた単層又は多層の金属薄膜に多数の実質的に平行で断続的な線状痕を不規則な幅及び間隔で複数方向に形成してなる電磁波吸収フィルムを、単独で又は二枚を幅方向に部分的に重複させて、電源線又は信号線(まとめて「導線」という)の周りに巻回すると、電磁波の放射及び吸収を効果的に抑制することができることを発見し、本発明に想到した。
参考例の電磁波吸収ケーブルは、複数の導線と、各導線を包囲する絶縁性内皮と、前記絶縁性内皮の各々又は全体の周囲に螺旋状に巻回された電磁波吸収テープとを有し、
前記電磁波吸収テープが、プラスチックフィルムと、その少なくとも一面に設けた単層又は多層の金属薄膜とを有し、前記金属薄膜に多数(複数)の実質的に平行で断続的な線状痕が不規則な幅及び間隔で複数方向に形成された電磁波吸収フィルムからなり、
前記電磁波吸収フィルムの線状痕の鋭角側の交差角θsが30〜90°の範囲内である。
参考例の電磁波吸収ケーブルにおいて、前記電磁波吸収テープの長手方向重ね代D1は前記電磁波吸収テープの長手方向幅Dの1〜80%であるのが好ましい。
本発明の第一の電磁波吸収ケーブルは、複数の導線と、各導線を包囲する絶縁性内皮と、前記絶縁性内皮の各々又は全体の周囲に螺旋状に巻回された電磁波吸収テープとを有し、
前記電磁波吸収テープが、幅方向に部分的に重複した二枚の電磁波吸収フィルムからなり、
各電磁波吸収フィルムが、プラスチックフィルムと、その少なくとも一面に設けた単層又は多層の金属薄膜とを有し、前記金属薄膜に多数(複数)の実質的に平行で断続的な線状痕が不規則な幅及び間隔で複数方向に形成されており、
各電磁波吸収フィルムの線状痕の鋭角側の交差角θsが30〜90°の範囲内であり、
一方の電磁波吸収フィルムの線状痕と他方の電磁波吸収フィルムの線状痕とが交差しており、
前記電磁波吸収フィルムの重複部の長手方向幅D2と前記電磁波吸収テープの長手方向重ね代D3との合計(D2+D3)が、前記電磁波吸収テープの長手方向幅Dの30〜70%であることを特徴とする。
本発明の第二の電磁波吸収ケーブルは、複数の導線と、各導線を包囲する絶縁性内皮と、前記絶縁性内皮の各々又は全体の周囲に螺旋状に巻回された電磁波吸収テープと、前記電磁波吸収テープを覆う絶縁層と、前記絶縁層を覆う電磁波反射層とを有し、
前記電磁波吸収テープが、幅方向に部分的に重複した二枚の電磁波吸収フィルムからなり、
各電磁波吸収フィルムが、プラスチックフィルムと、その少なくとも一面に設けた単層又は多層の金属薄膜とを有し、前記金属薄膜に多数(複数)の実質的に平行で断続的な線状痕が不規則な幅及び間隔で複数方向に形成されており、
各電磁波吸収フィルムの線状痕の鋭角側の交差角θsが30〜90°の範囲内であり、
一方の電磁波吸収フィルムの線状痕と他方の電磁波吸収フィルムの線状痕とが交差しており、
前記電磁波吸収フィルムの重複部の長手方向幅D2と前記電磁波吸収テープの長手方向重ね代D3との合計(D2+D3)が、前記電磁波吸収テープの長手方向幅Dの30〜70%であることを特徴とする。
前記第一及び第二の電磁波吸収ケーブルにおいて、前記電磁波吸収テープの幅Wと、両電磁波吸収フィルムの幅W1,W2と、両電磁波吸収フィルムの重複部の幅Woとが、W=W1+W2−Woの関係を満たし、かつWo/Wが20〜60%であるのが好ましい。
前記電磁波吸収テープの長手方向重ね代D3は前記電磁波吸収テープの長手方向幅Dの1〜50%であるのが好ましい。
前記第一及び第二の電磁波吸収ケーブルにおいて、一方の電磁波吸収フィルムの線状痕と他方の電磁波吸収フィルムの線状痕との交差角αの最小値は10〜45°であるのが好ましい。
前記第二の電磁波吸収ケーブルにおいて、前記絶縁層は熱可塑性樹脂又はゴムからなるのが好ましい。前記絶縁層は磁性粒子を含有するのが好ましい。前記絶縁層の厚さは1 mm以上であるのが好ましい。
前記第二の電磁波吸収ケーブルにおいて、前記電磁波反射層は、プラスチックフィルムと、その一面に設けた単層又は多層の金属薄膜とからなるのが好ましい。前記電磁波反射層における前記金属薄膜は、アルミニウム、銅、銀、錫、ニッケル、コバルト、クロム及びこれらの合金からなる群から選ばれた少なくとも一種の金属からなるのが好ましい。前記電磁波反射層における前記金属薄膜は蒸着膜であるのが好ましい。前記電磁波反射層にアース線が貼付されているのが好ましい。
第一及び第二の電磁波吸収テープにおける前記電磁波吸収フィルムにおいて、前記線状痕の幅は90%以上が0.1〜100μmの範囲内にあって平均1〜50μmであり、前記線状痕の横手方向間隔は1〜500μmの範囲内にあって平均1〜200μmであるのが好ましい。
第一及び第二の電磁波吸収テープにおける前記電磁波吸収フィルムにおいて、前記線状痕は前記導線に対して30〜60°の範囲内の角度で傾斜しているのが好ましい。
第一及び第二の電磁波吸収テープにおける前記電磁波吸収フィルムにおいて、前記金属薄膜の厚さは0.01〜10μmであるのが好ましい。
第一及び第二の電磁波吸収テープにおける前記電磁波吸収フィルムにおいて、前記金属薄膜はアルミニウム、銅、銀、錫、ニッケル、コバルト、クロム及びこれらの合金からなる群から選ばれた少なくとも一種の金属からなるのが好ましい。前記金属薄膜はアルミニウムの蒸着膜であるのが好ましい。
参考例の電磁波吸収ケーブルでは、導線を包囲する絶縁性内皮の各々又は全体の周囲に螺旋状に巻回された電磁波吸収テープが、プラスチックフィルムに設けた金属薄膜に線状痕を複数方向に形成した電磁波吸収フィルムからなるので、電磁波の放射及び吸収を効果的に抑制することができるとともに、薄い電磁波吸収テープを巻回したために細径化が容易であり、かつ電磁波吸収テープを効率的に製造できるので、低価格化も可能である。
本発明の第一の電磁波吸収ケーブルは、絶縁性内皮に螺旋状に巻回された電磁波吸収テープが、プラスチックフィルムの少なくとも一面に設けた金属薄膜に線状痕を複数方向に形成した二枚の電磁波吸収フィルムを幅方向に部分的に重複してなり、両電磁波吸収フィルムの線状痕が交差しており、かつ電磁波吸収フィルムの重複部の長手方向幅D2と電磁波吸収テープの長手方向重ね代D3との合計(D2+D3)が、電磁波吸収テープの長手方向幅Dの30〜70%であるという条件を満たすので、電磁波の放射及び吸収をより効果的に抑制することができる。
本発明の第二の電磁波吸収ケーブルは、第一の電磁波吸収ケーブルの全ての条件を満たすとともに、電磁波吸収テープを覆う絶縁層と、絶縁層を覆う電磁波反射層とを有するので、電磁波の放射及び吸収を第一の電磁波吸収ケーブルより効果的に抑制することができる。
このような構成の本発明の電磁波吸収ケーブルは、各種の周波数の信号を送信する信号線のみならず、ノイズ発生源となる種々の電気機器及び電子機器に接続される電力送給線にも利用することができる。
参考例の電磁波吸収ケーブルの一例を示す部分分解斜視図である。 参考例の電磁波吸収ケーブルにおいて絶縁性内皮に巻回した電磁波吸収テープを示す平面図である。 参考例の電磁波吸収ケーブルの他の例を示す部分分解斜視図である。 参考例の電磁波吸収ケーブルの絶縁性内皮に巻回した電磁波吸収テープにおいて、導線の中心線に対する線状痕の傾斜角を示す部分分解平面図である。 本発明の第一の電磁波吸収ケーブルを示す部分分解斜視図である。 本発明の第二の電磁波吸収ケーブルの一例を示す平面図である。 第一及び第二の電磁波吸収ケーブルに用いる電磁波吸収テープの一例を示す部分平面図である。 図7におけるA部分の拡大図である。 本発明の第一及び第二の電磁波吸収ケーブルにおいて、絶縁性内皮に巻回した電磁波吸収テープを示す部分展開平面図である。 第一及び第二の電磁波吸収ケーブルに用いる電磁波吸収テープの他の例を示す部分平面図である。 単層の金属薄膜を有する電磁波吸収フィルムを示す断面図である。 電磁波吸収フィルムの線状痕の一例を示す部分平面図である。 図5(b) のA-A断面図である。 図5(c) のB部分を示す拡大断面図である。 多層の金属薄膜を有する電磁波吸収フィルムを示す断面図である。 図12(a) のC部分を示す拡大断面図である。 直交する線状痕を有する電磁波吸収フィルムを示す平面図である。 線状痕の形成装置の一例を示す斜視図である。 図14(a) の装置を示す平面図である。 図14(b) のB-B断面図である。 複合フィルムの進行方向に対して傾斜した線状痕が形成される原理を説明するための部分拡大平面図である。 図14(a) の装置において、複合フィルムに対するパターンロール及び押えロールの傾斜角度を示す部分平面図である。 線状痕の形成装置の他の例を示す部分断面図である。 線状痕の形成装置のさらに他の例を示す斜視図である。 ノイズ測定装置を示す概略図である。 参考例5及び6、及び比較例1及び2のケーブルに関して、250 kHzのノイズを示すグラフである。 実施例1〜3で用いた電磁波吸収テープを示す平面図である。 実施例4に用いた電磁波吸収ケーブルを示す部分展開平面図である。
本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明するが、特に断りがなければ一つの実施形態に関する説明は他の実施形態にも適用される。また下記説明は限定的ではなく、本発明の技術的思想の範囲内で種々の変更をしても良い。
[1] 実施形態
(1) 参考例
図1は本発明の基礎となる参考例の電磁波吸収ケーブル10の一例を示す。電磁波吸収ケーブル10は、一対の導線11,11と、各導線11を包囲する絶縁性内皮12と、各絶縁性内皮12の周囲に螺旋状に巻回された電磁波吸収テープ13と、電磁波吸収テープ13を覆う絶縁性外皮14とからなる。電磁波吸収テープ13は、プラスチックフィルムと、その少なくとも一面に設けた単層又は多層の金属薄膜とを有し、金属薄膜に多数の実質的に平行で断続的な線状痕が不規則な幅及び間隔で複数方向に形成された電磁波吸収フィルムからなり、電磁波吸収フィルムの線状痕の鋭角側の交差角θsは30〜90°の範囲内である。
図11(a)〜図11(d) は、プラスチックフィルム101に単層の金属薄膜102を形成し、金属薄膜102に多数の実質的に平行で断続的な線状痕120(120a,120b)を不規則な幅及び間隔で複数方向に形成してなる電磁波吸収フィルム110を示す。また図12(a) 及び図12(b) は、プラスチックフィルム101に多層の金属薄膜102a,102bを形成し、金属薄膜102a,102bに多数の実質的に平行で断続的な線状痕120(120a,120b)を不規則な幅及び間隔で複数方向に形成してなる電磁波吸収フィルム110を示す。
図2に示すように、巻回した電磁波吸収テープ13の長手方向幅(ケーブル方向で見たときの幅)をDとすると、長手方向重ね代(ケーブル方向で見たときの重ね代)D1は電磁波吸収テープ13の長手方向幅Dの1〜80%であるのが好ましく、2〜60%であるのがより好ましく、10〜50%であるのが最も好ましい。この電磁波吸収ケーブル10では、各導線11が電磁波吸収テープ13に包囲されているので、導線11,11間のノイズを防止することができる。また、電磁波吸収テープ13の長手方向幅Dは、電磁波吸収ケーブル10の太さにもよるが、一般に5〜50 mmであるのが好ましい。上記構成の参考例の電磁波吸収ケーブル10は信号線等に用いるのに好適である。
図4に示すように、いずれの線状痕120a,120bも導線11の中心線Oに対して30〜60°の範囲内の角度αa,αbで傾斜しているのが好ましい。傾斜角αa,αbは40〜50°であるのがより好ましい。いずれの線状痕120a,120bもこの範囲内の角度αa,αbで傾斜している場合、導線11から放射される電磁波及び導線11に侵入する電磁波を最も効率的に吸収することができる。
図3は参考例の電磁波吸収ケーブル20の他の例を示す。電磁波吸収ケーブル20は、一対の導線21,21と、各導線21を包囲する絶縁性内皮22と、両絶縁性内皮22,22の周囲に螺旋状に巻回された電磁波吸収テープ23と、電磁波吸収テープ23を覆う絶縁性外皮24とからなる。電磁波吸収テープ23は、図11(a)〜図11(d)、及び図12(a) 及び図12(b) に示すように、プラスチックフィルム110と、その少なくとも一面に設けた単層又は多層の金属薄膜102とを有し、金属薄膜102に多数の実質的に平行で断続的な線状痕120(120a,120b)が不規則な幅及び間隔で複数方向に形成された電磁波吸収フィルム110からなる。
図2に示す参考例の電磁波吸収ケーブルと同様に、図3に示す電磁波吸収ケーブル20の電磁波吸収テープ23の長手方向幅Dは5〜50 mmであるのが好ましく、また長手方向重ね代D1と長手方向幅Dとの比率D1/Dは1〜80%が好ましく、2〜60%がより好ましく、10〜50%が最も好ましい。この電磁波吸収ケーブル20では、両導線21,21間のノイズを防止する訳ではないので、電源線等に用いるのに好適である。
(2) 第一の実施形態
図5及び図7〜図9に示すように、本発明の第一の電磁波吸収ケーブル30の一例は、複数の導線31と、各導線31を包囲する絶縁性内皮32と、絶縁性内皮32の各々又は全体の周囲に絶縁性シース33を介して螺旋状に巻回された電磁波吸収テープ34と、電磁波吸収テープ34を覆う絶縁性外皮35とからなり、
電磁波吸収テープ34が、幅方向に部分的に重複した二枚の電磁波吸収フィルム34a,34bからなり、
各電磁波吸収フィルム34a,34bが、プラスチックフィルム101と、その少なくとも一面に設けた単層又は多層の金属薄膜102とを有し、金属薄膜102に多数の実質的に平行で断続的な線状痕120(120a,120b)が不規則な幅及び間隔で複数方向に形成されており、
各電磁波吸収フィルム34a,34bの線状痕120a,120bの鋭角側の交差角θsが30〜90°の範囲内であり、
一方の電磁波吸収フィルム34aの線状痕120aと他方の電磁波吸収フィルム34bの線状痕120bとが交差しており、
電磁波吸収フィルム34a,34bの重複部34cの長手方向幅D2と電磁波吸収テープ34の長手方向重ね代D3との合計(D2+D3)が、電磁波吸収テープ34の長手方向幅Dの30〜70%であることを特徴とする。
電磁波吸収テープ34の幅Wと、両電磁波吸収フィルム34a,34bの幅W1,W2と、両電磁波吸収フィルム34a,34bの重複部34cの幅Woとは、W=W1+W2−Woの関係を満たし、かつWo/Wが20〜60%であるのが好ましい。Wo/W比が20%未満であるか60%超であると、二枚の電磁波吸収フィルム34a,34bからなる電磁波吸収テープ34の電磁波吸収能が低下することが分った。Wo/W比の下限は25%が好ましく、30%がより好ましい。また、Wo/W比の上限は55%が好ましく、50%がより好ましい。
図8に示すように、一方の電磁波吸収フィルム34aの線状痕120aと他方の電磁波吸収フィルム34bの線状痕120bとの交差角αの最小値は10〜45°であるのが好ましい。交差角αの最小値が10°未満又は45°超になると、電磁波吸収能が低下する傾向がある。交差角αの最小値はより好ましくは15〜45°であり、最も好ましくは20〜45°である。
図9に示すように、螺旋状に巻回された電磁波吸収テープ34において、電磁波吸収フィルム34a,34bの重複部34cの長手方向幅(ケーブル方向で見たときの幅)D2と電磁波吸収テープ34の長手方向幅Dとの比(D2/D)は、Wo/Wの比と同じである。
電磁波吸収フィルム34a,34bの重複部34cの長手方向幅(ケーブル方向で見たときの幅)D2と、電磁波吸収テープ34の長手方向重ね代(ケーブル方向で見たときの重ね代)D3との合計(D2+D3)は、電磁波吸収テープ34の長手方向幅Dの30〜70%である。(D2+D3)は線状痕が交差するように二枚の電磁波吸収フィルム34a,34bが重複した領域であり、その他の部分[D−(D2+D3)]は一枚の電磁波吸収フィルム34a,34bのみ存在する領域である。(D2+D3)/D比が30%未満であるか70%超であると、二枚の電磁波吸収フィルム34a,34bからなる電磁波吸収テープ34の電磁波吸収能が低下することが分った。これは予期できなかった結果であり、(D2+D3)/D比が30〜70%であることは本発明の重要な特徴である。(D2+D3)/D比の下限は40%が好ましく、45%がより好ましい。また、(D2+D3)/D比の上限は65%が好ましく、60%がより好ましい。
電磁波吸収テープ34の長手方向重ね代D3と電磁波吸収テープ34の長手方向幅DとのD3/D比は、(D2+D3)/D比からD2/D比を引くことにより求める。一般に、D3/D比は1〜50%であるのが好ましく、2〜45%であるのがより好ましく、5〜40%であるのが最も好ましい。
図4に示す参考例の電磁波吸収ケーブルと同様に、絶縁性内皮32に絶縁性シース33を介して巻回された電磁波吸収テープ34における電磁波吸収フィルム34a,34bの線状痕120a,120bは、導線21に対してそれぞれ30〜60°の範囲内の角度αa、αbで傾斜しているのが好ましい。
図2に示す参考例の電磁波吸収ケーブルと同様に、電磁波吸収テープ34の長手方向幅Dは5〜50 mmであるのが好ましく、また長手方向重ね代D1と長手方向幅Dとの比率D1/Dは1〜80%が好ましく、2〜60%がより好ましく、10〜50%が最も好ましい。
(3) 第二の実施形態
図6〜図9に示すように、本発明の第二の電磁波吸収ケーブル40は、複数の導線41と、各導線41を包囲する絶縁性内皮42と、絶縁性内皮42の各々又は全体の周囲に絶縁性シース43を介して螺旋状に巻回された電磁波吸収テープ44と、電磁波吸収テープ44を覆う絶縁層45と、絶縁層45を覆う電磁波反射層46と、電磁波反射層46を覆う絶縁性外皮47とからなり、
電磁波吸収テープ44が、幅方向に部分的に重複した二枚の電磁波吸収フィルム44a,44bからなり、
各電磁波吸収フィルム44a,44bが、プラスチックフィルム101と、その少なくとも一面に設けた単層又は多層の金属薄膜102とを有し、金属薄膜102に多数の実質的に平行で断続的な線状痕120(120a,120b)が不規則な幅及び間隔で複数方向に形成されており、
各電磁波吸収フィルム44a,44bの線状痕の鋭角側の交差角θsが30〜90°の範囲内であり、
一方の電磁波吸収フィルム44aの線状痕120aと他方の電磁波吸収フィルム44bの線状痕120bとが交差しており、
電磁波吸収フィルム44a,44bの重複部44cの長手方向幅D2と電磁波吸収テープ44の長手方向重ね代D3との合計(D2+D3)が、電磁波吸収テープ44の長手方向幅Dの30〜70%であることを特徴とする。
第二の電磁波吸収ケーブル40は、絶縁層45及び電磁波反射層46を有する以外、第一の電磁波吸収ケーブル30と同じ構造を有する。従って、Wo/W比、(D2+D3)/D比、D2/D比及びD3/D比については、第一の電磁波吸収ケーブル30と同じである。また、一方の電磁波吸収フィルム44aの線状痕120aと他方の電磁波吸収フィルム44bの線状痕120bとの交差角αの最小値は好ましくは10〜45°であり、より好ましくは15〜45°であり、最も好ましくは20〜45°である。
絶縁性内皮42に絶縁性シース43を介して巻回された電磁波吸収テープ44における電磁波吸収フィルム44a,44bの線状痕120a,120bは、導線41に対してそれぞれ30〜60°の範囲内の角度αa,αbで傾斜しているのが好ましい。
電磁波反射層46を電磁波吸収テープ44から離隔させるための絶縁層45は、高い絶縁性及び可撓性を有する熱可塑性樹脂又はゴムからなるのが好ましい。熱可塑性樹脂としてはポリエチレン、ポリ塩化ビニル等が好ましく、ゴムとしては天然ゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、エチレン・プロビレンゴム、ウレタンゴム等が好ましい。
絶縁層45の厚さは0.5 mm以上であるのが好ましく、1 mm以上であるのがより好ましい。絶縁層45の厚さが0.5 mm未満であると、電磁波吸収テープ44と電磁波反射層46とが近くなりすぎ、電磁波吸収テープ44を透過した電磁波の減衰効果が不十分になる。絶縁層45の厚さの上限は、電磁波吸収ケーブル40の外径に依存するが、一般に1.5mmであるのが好ましく、1.2 mmであるのがより好ましい。
絶縁層45は磁性粒子を含有しても良い。磁性粒子としては、高い絶縁性を有するフェライト粒子が好ましい。フェライト粒子の粒径は、絶縁層45の成形に支障がなければ、特に限定されない。
電磁波吸収テープ44を透過した電磁波を反射して電磁波吸収テープ44に再投入させるために、電磁波反射層46は電磁波を反射する機能を有する必要がある。かかる機能を効果的に発揮するために、電磁波反射層46は金属箔、メッシュ状金属線、又は金属層を形成したプラスチックフィルムであるのが好ましい。電磁波吸収ケーブル40の薄肉化のために、電磁波反射層46はプラスチックフィルムの一面に形成した金属薄膜からなるのが好ましい。前記金属薄膜はアルミニウム、銅、銀、錫、ニッケル、コバルト、クロム及びこれらの合金からなる群から選ばれた少なくとも一種の金属からなるのが好ましい。金属薄膜は前記金属の蒸着膜であるのが好ましい。金属薄膜の厚さは数十nm〜数十μmであれば良い。電磁波反射層46のプラスチックフィルムは電磁波吸収フィルム110のプラスチックフィルム101と同じで良い。
電磁波反射層46が、プラスチックフィルムと、その一面に形成した金属薄膜とからなる複合フィルムである場合、複合フィルムにアース線(図示せず)を貼付するのが好ましい。これにより、金属薄膜に生じた電流をアース線を介して流すことができるので、電磁波シールド機能を向上させることができる。なお、電磁波反射層46が金属箔又はメッシュ状金属線である場合、それ自体に導電性があるので、別個にアース線を貼付する必要はない。
(4) 電磁波吸収テープの別の例
図10は、第一及び第二の電磁波吸収ケーブルに使用する電磁波吸収テープの別の例を示す。この電磁波吸収テープ54は、幅広い電磁波吸収フィルム54aの幅方向内側に幅の狭い電磁波吸収フィルム54bが配置された構造を有する。幅W2の電磁波吸収フィルム54bが幅W1の電磁波吸収フィルム54a内に納まっているので、重複部54cの幅Woは電磁波吸収フィルム54bの幅W2と等しく、W=W1+W2−Wo=W1の関係を満たす。なお、電磁波吸収テープ54の長手方向重ね代D3では、同じ電磁波吸収フィルム54aが重複するので、線状痕は実質的に交差しない。従って、(D2+D3)/Dの式はD2/Dとして計算する。そのため、Wo/W比は30〜70%であり、好ましくは40〜65%であり、より好ましくは45〜60%である。
[2] 電磁波吸収ケーブルの構成要素
(1) 電磁波吸収フィルム
図11(a)〜図11(d) 及び図12(a) 及び図12(b) に示すように、電磁波吸収テープを構成する電磁波吸収フィルム110は、プラスチックフィルム101と、その少なくとも一面に設けた単層又は多層の金属薄膜102(102a,102b)とを有し、金属薄膜102に多数の実質的に平行で断続的な線状痕120が不規則な幅及び間隔で複数方向に形成されている。
(a) プラスチックフィルム
プラスチックフィルム101を形成する樹脂は、絶縁性とともに十分な強度、可撓性及び加工性を有する限り特に制限されず、例えばポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリアリーレンサルファイド(ポリフェニレンサルファイド等)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)等が挙げられる。強度及びコストの観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。プラスチックフィルム101の厚さは8〜30μm程度で良い。
(b) 金属薄膜
金属薄膜102を形成する金属は導電性を有する限り特に限定されないが、耐食性及びコストの観点からアルミニウム、銅、銀、錫、ニッケル、コバルト、クロム及びこれらの合金が好ましく、特にアルミニウム、銅、ニッケル及びこれらの合金が好ましい。金属薄膜102の厚さは0.01μm以上が好ましい。厚さの上限は特に限定的でないが、実用的には10μm程度で十分である。勿論、10μm超の金属薄膜102を用いても良いが、高周波数の電磁波の吸収能はほとんど変わらない。従って、金属薄膜102の厚さは0.01〜10μmが好ましく、0.01〜5μmがより好ましく、0.01〜1μmが最も好ましい。金属薄膜102は蒸着法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法、又はプラズマCVD法、熱CVD法、光CVD法等の化学気相蒸着法)、めっき法又は箔接合法により形成することができる。
金属薄膜102が単層の場合、金属薄膜102は導電性、耐食性及びコストの観点からアルミニウム又はニッケルからなるのが好ましい。また金属薄膜102が複層の場合、一方を非磁性金属により形成し、他方を磁性金属により形成しても良い。非磁性金属としてアルミニウム、銅、銀、錫又はこれらの合金が挙げられ、磁性金属としてニッケル、コバルト、クロム又はこれらの合金が挙げられる。磁性金属薄膜の厚さは0.01μm以上が好ましく、非磁性金属薄膜の厚さは0.1μm以上が好ましい。厚さの上限は特に限定的でないが、両者とも実用的には10μm程度で良い。より好ましくは、磁性金属薄膜の厚さは0.01〜5μmであり、非磁性金属薄膜の厚さは0.1〜5μmである。図12(a) 及び図12(b) はプラスチックフィルム101に二層の金属薄膜102a,120bを形成した場合を示す。
(c) 線状痕
図11(a)〜図11(d) に示す例では、金属薄膜102に多数の実質的に平行で断続的な線状痕120a,120bが二方向に不規則な幅及び間隔で形成されている。なお、説明のために図11(c) 及び図11(d) では線状痕120の深さを誇張している。図11(d) に示すように、二方向に配向した線状痕120は種々の幅Ws及び間隔Iを有する。後述するように、線状痕120はランダムに付着した硬質微粒子(ダイヤモンド微粒子)を有するパターンロールの摺接により形成されるので、線状痕120の間隔Iは横手方向及び長手方向で変わらない。以下横手方向間隔Iについて説明するが、その説明はそのまま長手方向間隔にも当てはまる。線状痕120の幅Wsは線状痕形成前の金属薄膜102の表面Sに相当する高さで求め、線状痕120の間隔Iは、線状痕形成前の金属薄膜102の表面Sに相当する高さにおける線状痕120の間隔とする。線状痕120が種々の幅Ws及び間隔Iを有するので、電磁波吸収フィルム110は広範囲にわたる周波数の電磁波を効率良く吸収することができる。
線状痕120の幅Wsの90%以上は0.1〜100μmの範囲内にあるのが好ましく、0.5〜50μmの範囲内にあるのがより好ましく、0.5〜20μmの範囲内にあるのが最も好ましい。線状痕120の平均幅Wsavは1〜50μmであるのが好ましく、1〜10μmがより好ましく、1〜5μmが最も好ましい。
線状痕120の横手方向間隔Iは1〜500μmの範囲内にあるのが好ましく、1〜100μmの範囲内にあるのがより好ましく、1〜50μmの範囲内にあるのが最も好ましく、1〜30μmの範囲内にあるのが特に好ましい。また線状痕120の横手方向平均間隔Iavは1〜200μmが好ましく、5〜50μmがより好ましく、5〜30μmが最も好ましい。
線状痕120の長さLは、摺接条件(主としてロール及びフィルムの相対的な周速、及び複合フィルムのロールへの巻回角度)により決まるので、摺接条件を変えない限り大部分がほぼ同じである(ほぼ平均長さLavに等しい)。線状痕120の長さLは特に限定的でなく、実用的には1〜100 mm程度で良く、好ましくは2〜10 mmである。
線状痕120a,120bの鋭角側の交差角(以下特に断りがなければ単に「交差角」とも言う)θsは30〜90°が好ましく、60〜90°がより好ましい。複合フィルムとパターンロールとの摺接条件(摺接方向、周速比等)を調整することにより、種々の交差角θsの線状痕120が得られる。図13は直交する線状痕120a’,120b’を有する例を示す。
(d) 保護層
線状痕120を形成した金属薄膜102を保護するために、その表面にプラスチック保護層(図示せず)を形成するのが好ましい。プラスチック保護層は、絶縁性樹脂の溶液を塗布することにより形成するのが好ましい。絶縁性樹脂として、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリスチレン、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。保護層の厚さは1〜10μm程度で良い。
(e) 製造方法
図14(a)〜図14(e) は線状痕を二方向に形成する装置の一例を示す。この装置は、(a) 金属薄膜を形成したプラスチックフィルム(金属薄膜−プラスチック複合フィルム)200を巻き出すリール221と、(b) 複合フィルム200の幅方向と異なる方向で金属薄膜102の側に配置された第一のパターンロール202aと、(c) 第一のパターンロール202aの上流側で金属薄膜102の反対側に配置された第一の押えロール203aと、(d) 複合フィルム200の幅方向に関して第一のパターンロール202aと逆方向にかつ金属薄膜102の側に配置された第二のパターンロール202bと、(e) 第二のパターンロール202bの下流側で金属薄膜102の反対側に配置された第二の押えロール203bと、(f) 第一及び第二のパターンロール202a,202bの間で金属薄膜102の側に配置された電気抵抗測定手段204aと、(g) 第二のパターンロール202bの下流側で金属薄膜102の側に配置された電気抵抗測定手段204bと、(h) 線状痕付き金属薄膜−プラスチック複合フィルム(電磁波吸収フィルム)110を巻き取るリール224とを有する。その他に、所定の位置に複数のガイドロール222,223が配置されている。各パターンロール202a,202bは、撓みを防止するためにバックアップロール(例えばゴムロール)205a,205bで支持されている。
図14(c) に示すように、各パターンロール202a,202bとの摺接位置より低い位置で各押えロール203a,203bが複合フィルム200に接するので、複合フィルム200の金属薄膜102は各パターンロール202a,202bに押圧される。この条件を満たしたまま各押えロール203a,203bの縦方向位置を調整することにより、各パターンロール202a,202bの金属薄膜102への押圧力を調整でき、また中心角θ1に比例する摺接距離も調整できる。
図14(d) は線状痕120aが複合フィルム200の進行方向に対して斜めに形成される原理を示す。複合フィルム200の進行方向に対してパターンロール202aは傾斜しているので、パターンロール202a上の硬質微粒子の移動方向(回転方向)aと複合フィルム200の進行方向bとは異なる。そこでXで示すように、任意の時点においてパターンロール202a上の点Aにおける硬質微粒子が金属薄膜102と接触して痕Bが形成されたとすると、所定の時間後に硬質微粒子は点A’まで移動し、痕Bは点B’まで移動する。点Aから点A’まで硬質微粒子が移動する間、痕は連続的に形成されるので、点B’から点A’まで延在する線状痕120aが形成されたことになる。
第一及び第二のパターンロール202a,202bで形成される第一及び第二の線状痕群12A,12Bの方向及び交差角θsは、各パターンロール202a,202bの複合フィルム200に対する角度、及び/又は複合フィルム200の走行速度に対する各パターンロール202a,202bの周速度を変更することにより調整することができる。例えば、複合フィルム200の走行速度bに対するパターンロール202aの周速度aを増大させると、図14(d) のYで示すように線状痕120aを線分C’D’のように複合フィルム200の進行方向に対して45°にすることができる。同様に、複合フィルム200の幅方向に対するパターンロール202aの傾斜角θ2を変えると、パターンロール202aの周速度aを変えることができる。これはパターンロール202bについても同様である。従って、両パターンロール202a,202bの調整により、線状痕120a,120bの方向を図13に例示するように変更することができる。
各パターンロール202a,202bは複合フィルム200に対して傾斜しているので、各パターンロール202a,202bとの摺接により複合フィルム200は幅方向の力を受ける。従って、複合フィルム200の蛇行を防止するために、各パターンロール202a,202bに対する各押えロール203a,203bの縦方向位置及び/又は角度を調整するのが好ましい。例えば、パターンロール202aの軸線と押えロール203aの軸線との交差角θ3を適宜調節すると、幅方向の力をキャンセルするように押圧力の幅方向分布が得られ、もって蛇行を防止することができる。またパターンロール202aと押えロール203aとの間隔の調整も蛇行の防止に寄与する。複合フィルム200の蛇行及び破断を防止するために、複合フィルム200の幅方向に対して傾斜した第一及び第二のパターンロール202a,202bの回転方向は複合フィルム200の進行方向と同じであるのが好ましい。
図14(b) に示すように、ロール形の各電気抵抗測定手段204a,204bは絶縁部40を介して一対の電極41,41を有し、それらの間で線状痕付き金属薄膜102の電気抵抗を測定する。電気抵抗測定手段204a,204bで測定した電気抵抗値をフィードバックして、複合フィルム200の走行速度、パターンロール202a,202bの回転速度及び傾斜角θ2、押えロール203a,203bの位置及び傾斜角θ3等の運転条件を調整する。
複合フィルム200に対するパターンロール202a,202bの押圧力を増大するために、図15に示すようにパターンロール202a,202bの間に第三の押えロール203cを設けても良い。第三の押えロール203cにより中心角θ1に比例する金属薄膜102の摺接距離も増大し、線状痕120a,120bは長くなる。第三の押えロール203cの位置及び傾斜角を調整すると、複合フィルム200の蛇行の防止にも寄与できる。
図16は、図13に示すように直交する二方向に配向する線状痕を形成する装置の別の例を示す。この装置は、第二のパターンロール232bが複合フィルム200の幅方向と平行に配置されている点で図14(a)〜図14(e) に示す装置と異なる。従って、図14(a)〜図14(e) に示す装置と異なる部分のみ以下説明する。第二のパターンロール232bの回転方向は複合フィルム200の進行方向と同じでも逆でも良い。また第二の押えロール233bは第二のパターンロール232bの上流側でも下流側でも良い。この装置は、図14(d) においてZで示すように、線状痕120a'の方向(線分E’F’)を複合フィルム200の幅方向にし、図13に示す線状痕を形成するのに適している。
線状痕の傾斜角及び交差角だけでなく、それらの深さ、幅、長さ及び間隔を決める運転条件は、複合フィルム200の走行速度、パターンロールの回転速度及び傾斜角及び押圧力等である。複合フィルムの走行速度は5〜200 m/分が好ましく、パターンロールの周速は10〜2,000 m/分が好ましい。パターンロールの傾斜角θ2は20°〜60°が好ましく、特に約45°が好ましい。複合フィルム200の張力(押圧力に比例する)は0.05〜5 kgf/cm幅が好ましい。
線状痕形成装置に使用するパターンロールは、鋭い角部を有するモース硬度5以上の微粒子を表面に有するロール、例えば特開2002-59487号に記載されているダイヤモンドロールが好ましい。線状痕の幅は微粒子の粒径により決まるので、ダイヤモンド微粒子の90%以上は1〜1,000μmの範囲内の粒径を有するのが好ましく、10〜200μmの範囲内の粒径がより好ましい。ダイヤモンド微粒子はロール面に50%以上の面積率で付着しているのが好ましい。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
参考例1
粒径分布が50〜80μmのダイヤモンド微粒子を電着したパターンロール232a,232bを有する図16に示す構造の装置を用い、厚さ16μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの一面に真空蒸着法により形成した厚さ0.05μmのアルミニウム薄膜102に、図13に示すように直交する二方向に配向した線状痕を形成した。線状痕付きアルミニウム薄膜102の光学顕微鏡写真から、線状痕は下記特性を有することが分った。
幅Wsの範囲:0.5〜5μm
平均幅Wsav:2μm
間隔Iの範囲:2〜30μm
平均間隔Iav:20μm
平均長さLav:5 mm
鋭角側の交差角θs:90°
参考例2
厚さ16μmのPETフィルムの一面に真空蒸着法により形成した厚さ0.05μmのニッケル薄膜102に、参考例1と同じ線状痕を形成した。
参考例3
粒径分布が50〜80μmのダイヤモンド微粒子を電着したパターンロール202a,202bを有する図14(a)〜図14(e) に示す構造の装置を使用し、交差角θsを45°に変えた以外参考例1と同様にして、PETフィルムの一面に形成したアルミニウム薄膜102に図11(b) に示すように二方向に配向した線状痕を形成した。線状痕付きアルミニウム薄膜102の光学顕微鏡写真から、線状痕は下記特性を有することが分った。
幅Wsの範囲:0.5〜5μm
平均幅Wsav:2μm
間隔Iの範囲:2〜30μm
平均間隔Iav:20μm
平均長さLav:5 mm
鋭角側の交差角θs:45°
参考例4
交差角θsを60°に変えた以外参考例3と同様にして、PETフィルムの一面に形成したアルミニウム薄膜102に図11(b) に示すように二方向に配向した線状痕を形成した。線状痕付きアルミニウム薄膜102の光学顕微鏡写真から、線状痕は下記特性を有することが分った。
幅Wsの範囲:0.5〜5μm
平均幅Wsav:2μm
間隔Iの範囲:2〜30μm
平均間隔Iav:20μm
平均長さLav:5 mm
鋭角側の交差角θs:60°
参考例5及び6
参考例1で得られた線状痕付きアルミニウム薄膜を有する電磁波吸収フィルム、及び参考例2で得られた線状痕付きニッケル薄膜を有する電磁波吸収フィルムをそれぞれスリットし、幅20 mmの電磁波吸収テープ13を得た。各電磁波吸収テープ13を、図3に示すように導線(銅細線の束)21を包囲する絶縁性内皮22の外周に、45°の傾斜角でD1/Dを1/3以上にして巻回したあと、絶縁性外皮24で覆い、参考例5及び6の電磁波吸収ケーブルとした。
比較例1及び2
比較例1のケーブルは、電磁波吸収テープ13の代わりに線状痕を形成しないアルミニウム薄膜を有するPETテープを巻回した以外図3に示すのと同じ構造を有する。また比較例2のケーブルは、電磁波吸収テープ13を巻回しない以外図3に示すのと同じ構造を有する。
参考例5及び6、並びに比較例1及び2の各ケーブルの電磁波吸収能を、図17に示すノイズ測定装置を用いて測定した。図17の装置は、電源301と、インバータ302と、モータ303と、インバータ302を介して電源301からモータ303まで接続する三相ケーブル310とを有する。三相ケーブル310の途中に、測定器305(日置電機株式会社製の「ノイズハイロガー3145」)に接続したクランプ式電流メータ304を設け、三相ケーブル310に流れる電流の変化をノイズとして測定した。三相交流は200 V であり、インバータ302の周波数を100秒かけて0 Hzから90 Hzまで変化させた。測定結果の一例として、250 kHzにおけるノイズを図18に示す。
図18から明らかなように、250 kHzでは、線状痕を形成しないアルミニウム薄膜を有するPETテープ(シールド)を巻回した比較例1のケーブルは、全くシールドされていない比較例2のケーブルと同程度のノイズレベルであったが、電磁波吸収テープを巻回した参考例5及び6の電磁波吸収ケーブルは比較例1及び2のケーブルより明らかに低いノイズレベルであった。また、線状痕付きアルミニウム薄膜を用いた参考例5の電磁波吸収ケーブルは、線状痕付きニッケル薄膜を用いた参考例6の電磁波吸収ケーブルより優れたノイズ吸収能を発揮することが分った。
実施例1
参考例1で作製した線状痕の交差角θsが90°の電磁波吸収フィルムをスリットし、図19に示すように線状痕が配向した二枚の幅2 cmの電磁波吸収フィルム44a,44bを作製した。両電磁波吸収フィルム44a,44bを幅1 cmの重複部44cで接着し、電磁波吸収テープ44を作製した。電磁波吸収テープ44における重複部44cの幅Woは電磁波吸収テープ44の幅Wの1/3であった。従って、重複部44cの長手方向幅D2も電磁波吸収テープ44の長手方向幅Dの1/3であった。
3本の導線41の絶縁性内皮42の外周に絶縁性シース43を介して電磁波吸収テープ44を螺旋状に巻回し、電磁波吸収テープ44の外周に、厚さ1 mmのブチルゴムシート(絶縁層)45を巻き、その上にCu/Ni蒸着フィルム(電磁波反射層)46をCu/Ni層を下にして巻き、図6に示す構造の電磁波吸収ケーブル40を作製した。電磁波吸収テープ44の長手方向重ね代D3は電磁波吸収テープ44の長手方向幅Dの17%であった。従って、(D2+D3)/Dは50%であった。Cu/Ni蒸着フィルム46は、厚さ16μmのPETフィルムの一面に真空蒸着法により厚さ0.15μmのCu層及び厚さ0.1μmのNi層を形成したものである。Cu/Ni蒸着フィルム46のCu/Ni層にアース線を接合した。
得られた電磁波吸収ケーブル40を、図17に示すノイズ測定装置の測定器305(日置電機株式会社製の「ノイズハイロガー3145」)に接続したクランプ式電流メータ304にセットし、ケーブル40に流れる電流の変化をノイズとして測定した。三相交流は200 V であり、インバータ302の周波数を100秒かけて0 Hzから90 Hzまで変化させた。また、基準として、電磁波吸収テープ44、ブチルゴムシート(絶縁層)45及びCu/Ni蒸着フィルム(電磁波反射層)46を設けない以外図6に示すのと同じ構造のケーブルを図17に示すノイズ測定装置にセットし、上記と同じ条件でノイズを測定した。その結果、20 MHzの周波数のノイズレベルは、基準が電流値で0.014 Aであるのに対して、実施例1の電磁波吸収ケーブル40では0.01〜0.012 Aと低かった。
実施例2
参考例3で作製した線状痕の交差角θsが45°の二枚の電磁波吸収フィルム44a,44bを使用した以外実施例1と同様にして、電磁波吸収ケーブル40を作製し、参考例5と同じ条件で図17に示すノイズ測定装置によりノイズを測定した。その結果、20 MHzの周波数のノイズレベルは0.01 Aと低かった。
実施例3
参考例4で作製した線状痕の交差角θsが60°の二枚の電磁波吸収フィルム44a,44bを使用した以外実施例1と同様にして、電磁波吸収ケーブル40を作製し、参考例5と同じ条件で図17に示すノイズ測定装置によりノイズを測定した。その結果、20 MHzの周波数のノイズレベルは0.01〜0.012 Aと低かった。
実施例4
絶縁性シース(外径:13 mm)43に何も取り付けない三芯キャブタイヤケーブルを試料1とした。また、同じ三芯キャブタイヤケーブルの絶縁性シース43にフェライトコア(星和電機株式会社製のE04SR301334)を取り付けたものを試料2とした。さらに、図6に示すように、同じ三芯キャブタイヤケーブルの絶縁性シース43に、電磁波吸収テープ44、ブチルゴムシート(絶縁層)45、及びアース付きCu/Ni蒸着フィルム(電磁波反射層)46を表1に示す組合せで取り付けたものを試料3〜5とした。試料3〜5における電磁波吸収テープ44は、線状痕の交差角θsがそれぞれ90°,60°及び45°で、幅2 cmの二枚の電磁波吸収フィルムを1 cmの重ね代で接着したものである。
図20に示すように、絶縁性シース43の外周に螺旋状に巻回した電磁波吸収テープ44の長手方向重ね代D3は長手方向幅Dの17%であり、(D2+D3)/Dは50%であった。各試料のケーブルに対して、参考例5と同じ条件でノイズを測定した。5 MHzのノイズ及び20 MHzのノイズを電流値で表1に示す。
Figure 0006243078
注:(1) 両電磁波吸収フィルムの線状痕の交差角αの最小値は45°である。
(2) 両電磁波吸収フィルムの線状痕の交差角αの最小値は30°である。
(3) 両電磁波吸収フィルムの線状痕の交差角αの最小値は45°である。
表1から明らかなように、二枚の電磁波吸収フィルムを線状痕が交差するように幅方向に部分的に重複させてなる電磁波吸収テープを巻回し、両電磁波吸収フィルムの線状痕の交差角αの最小値を10〜45℃の範囲内とし、かつ電磁波吸収テープの外周に絶縁層を介して電磁波反射層を設けた試料3〜5は、何も設けていない基準の試料1、及びフェライトコアのみ設けた試料2に比較して、ノイズが低減している。
10,20,30,40・・・電磁波吸収ケーブル
11,21,31,41・・・導線
12,22,32,42・・・絶縁性内皮
13,23,34,44・・・電磁波吸収テープ
14,24,35,47・・・絶縁性外皮
33,43・・・絶縁性シース
34a、34b,44a,44b,54a、54b・・・電磁波吸収フィルム
34c,44c,54c・・・電磁波吸収フィルムの重複部
45・・・絶縁層
46・・・電磁波反射層
110・・・電磁波吸収フィルム
101・・・プラスチックフィルム
102・・・金属薄膜
120,120a,120b・・・線状痕
200・・・金属薄膜−プラスチック複合フィルム
202a,202b,232a,232b・・・パターンロール
203a,203b,233a,233b・・・押えロール
204a,204b,234a,234b・・・電気抵抗測定手段(ロール)
205a,205b,235a・・・バックアップロール
221,224・・・リール
222,223・・・ガイドロール
301・・・電源
302・・・インバータ
303・・・モータ
304・・・クランプ式電流メータ
305・・・測定器
D・・・電磁波吸収テープの長手方向幅
D1・・・電磁波吸収テープの長手方向重ね代
D2・・・電磁波吸収フィルムの重複部の長手方向幅
D3・・・電磁波吸収テープの長手方向重ね代
W・・・電磁波吸収テープの幅
W1,W2・・・二枚の電磁波吸収フィルムの幅
WO・・・二枚の電磁波吸収フィルムの重複部の幅
α・・・二枚の電磁波吸収フィルムの線状痕の交差角
αa,αb・・・導線の中心線に対する線状痕の傾斜角
θs・・・各電磁波吸収フィルムにおける線状痕の鋭角側の交差角
Ws・・・線状痕の幅
I・・・線状痕の間隔
Lav・・・線状痕の平均長さ

Claims (18)

  1. 複数の導線と、各導線を包囲する絶縁性内皮と、前記絶縁性内皮の各々又は全体の周囲に螺旋状に巻回された電磁波吸収テープとを有する電磁波吸収ケーブルであって、
    前記電磁波吸収テープが、幅方向に部分的に重複した二枚の電磁波吸収フィルムからなり、
    各電磁波吸収フィルムが、プラスチックフィルムと、その少なくとも一面に設けた単層又は多層の金属薄膜とを有し、前記金属薄膜に多数の実質的に平行で断続的な線状痕が不規則な幅及び間隔で複数方向に形成されており、
    各電磁波吸収フィルムの線状痕の鋭角側の交差角θsが30〜90°の範囲内であり、
    一方の電磁波吸収フィルムの線状痕と他方の電磁波吸収フィルムの線状痕とが交差しており、
    前記電磁波吸収フィルムの重複部の長手方向幅D2と前記電磁波吸収テープの長手方向重ね代D3との合計(D2+D3)が、前記電磁波吸収テープの長手方向幅Dの30〜70%であることを特徴とする電磁波吸収ケーブル。
  2. 複数の導線と、各導線を包囲する絶縁性内皮と、前記絶縁性内皮の各々又は全体の周囲に螺旋状に巻回された電磁波吸収テープと、前記電磁波吸収テープを覆う絶縁層と、前記絶縁層を覆う電磁波反射層とを有する電磁波吸収ケーブルであって、
    前記電磁波吸収テープが、幅方向に部分的に重複した二枚の電磁波吸収フィルムからなり、
    各電磁波吸収フィルムが、プラスチックフィルムと、その少なくとも一面に設けた単層又は多層の金属薄膜とを有し、前記金属薄膜に多数の実質的に平行で断続的な線状痕が不規則な幅及び間隔で複数方向に形成されており、
    各電磁波吸収フィルムの線状痕の鋭角側の交差角θsが30〜90°の範囲内であり、
    一方の電磁波吸収フィルムの線状痕と他方の電磁波吸収フィルムの線状痕とが交差しており、
    前記電磁波吸収フィルムの重複部の長手方向幅D2と前記電磁波吸収テープの長手方向重ね代D3との合計(D2+D3)が、前記電磁波吸収テープの長手方向幅Dの30〜70%であることを特徴とする電磁波吸収ケーブル。
  3. 請求項2に記載の電磁波吸収ケーブルにおいて、前記絶縁層が熱可塑性樹脂又はゴムからなることを特徴とする電磁波吸収ケーブル。
  4. 請求項3に記載の電磁波吸収ケーブルにおいて、前記絶縁層が磁性粒子を含有することを特徴とする電磁波吸収ケーブル。
  5. 請求項2〜4のいずれかに記載の電磁波吸収ケーブルにおいて、前記絶縁層の厚さが1 mm以上であることを特徴とする電磁波吸収ケーブル。
  6. 請求項2〜5のいずれかに記載の電磁波吸収ケーブルにおいて、前記電磁波反射層が、プラスチックフィルムと、その一面に設けた単層又は多層の金属薄膜とからなることを特徴とする電磁波吸収ケーブル。
  7. 請求項2〜6のいずれかに記載の電磁波吸収ケーブルにおいて、前記電磁波反射層における前記金属薄膜が、アルミニウム、銅、銀、錫、ニッケル、コバルト、クロム及びこれらの合金からなる群から選ばれた少なくとも一種の金属からなることを特徴とする電磁波吸収ケーブル。
  8. 請求項2〜7のいずれかに記載の電磁波吸収ケーブルにおいて、前記電磁波反射層における前記金属薄膜が蒸着膜であることを特徴とする電磁波吸収ケーブル。
  9. 請求項2〜8のいずれかに記載の電磁波吸収ケーブルにおいて、前記電磁波反射層にアース線が貼付されていることを特徴とする電磁波吸収ケーブル。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の電磁波吸収ケーブルにおいて、前記電磁波吸収テープの幅Wと、両電磁波吸収フィルムの幅W1,W2と、両電磁波吸収フィルムの重複部の幅Woとが、W=W1+W2−Woの関係を満たし、かつWo/Wが20〜60%であることを特徴とする電磁波吸収ケーブル。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の電磁波吸収ケーブルにおいて、前記電磁波吸収テープの長手方向重ね代D3が前記電磁波吸収テープの長手方向幅Dの1〜50%であることを特徴とする電磁波吸収ケーブル。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の電磁波吸収ケーブルにおいて、一方の電磁波吸収フィルムの線状痕と他方の電磁波吸収フィルムの線状痕との交差角αの最小値が10〜45°であることを特徴とする電磁波吸収ケーブル。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の電磁波吸収ケーブルにおいて、前記電磁波吸収フィルムにおける前記線状痕の幅の90%以上が0.1〜100μmの範囲内にあって平均1〜50μmであり、前記線状痕の横手方向間隔が1〜500μmの範囲内にあって平均1〜200μmであることを特徴とする電磁波吸収ケーブル。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の電磁波吸収ケーブルにおいて、前記電磁波吸収フィルムが二方向の線状痕を有し、前記線状痕の交差角が30〜90°の範囲内であることを特徴とする電磁波吸収ケーブル。
  15. 請求項14に記載の電磁波吸収ケーブルにおいて、前記絶縁性内皮に巻回された前記電磁波吸収テープにおける前記電磁波吸収フィルムの線状痕が前記導線に対して30〜60°の範囲内の角度で傾斜していることを特徴とする電磁波吸収ケーブル。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載の電磁波吸収ケーブルにおいて、前記電磁波吸収フィルムにおける前記金属薄膜の厚さが0.01〜10μmであることを特徴とする電磁波吸収ケーブル。
  17. 請求項1〜16のいずれかに記載の電磁波吸収ケーブルにおいて、前記電磁波吸収フィルムにおける前記金属薄膜がアルミニウム、銅、銀、錫、ニッケル、コバルト、クロム及びこれらの合金からなる群から選ばれた少なくとも一種の金属からなることを特徴とする電磁波吸収ケーブル。
  18. 請求項17に記載の電磁波吸収ケーブルにおいて、前記金属薄膜がアルミニウムの蒸着膜であることを特徴とする電磁波吸収ケーブル。
JP2017134061A 2017-03-17 2017-07-07 電磁波吸収ケーブル Active JP6243078B1 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017134061A JP6243078B1 (ja) 2017-03-17 2017-07-07 電磁波吸収ケーブル
TW107120963A TWI668708B (zh) 2017-07-07 2018-06-19 電磁波吸收纜線
EP18178675.7A EP3425641B1 (en) 2017-07-07 2018-06-20 Electromagnetic wave absorption cable
US16/018,482 US10654257B2 (en) 2017-07-07 2018-06-26 Electromagnetic wave absorption cable
KR1020180077849A KR102087844B1 (ko) 2017-07-07 2018-07-04 전자파 흡수 케이블
CN201810730095.0A CN109215858B (zh) 2017-07-07 2018-07-05 电磁波吸收电缆

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017053336 2017-03-17
JP2017053336 2017-03-17
JP2017134061A JP6243078B1 (ja) 2017-03-17 2017-07-07 電磁波吸収ケーブル

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6243078B1 true JP6243078B1 (ja) 2017-12-06
JP2018156925A JP2018156925A (ja) 2018-10-04

Family

ID=60570343

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017134061A Active JP6243078B1 (ja) 2017-03-17 2017-07-07 電磁波吸収ケーブル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6243078B1 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3425641A1 (en) * 2017-07-07 2019-01-09 Seiji Kagawa Electromagnetic wave absorption cable
JP7055854B2 (ja) 2020-10-29 2022-04-18 ヤンマーパワーテクノロジー株式会社 トラクタ
CN114864174A (zh) * 2022-04-15 2022-08-05 贸联电子(昆山)有限公司 一种信号线缆

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012133991A (ja) * 2010-12-21 2012-07-12 Hitachi Cable Ltd 差動信号用ケーブル
JP2012519939A (ja) * 2009-03-03 2012-08-30 パンドウィット・コーポレーション 通信ケーブルにおける使用のためのモザイクテープを製造するための方法および装置
JP2013084864A (ja) * 2011-10-12 2013-05-09 Seiji Kagawa 電磁波吸収フレキシブル回路基板及びそれに用いる電磁波吸収フレキシブル基板シート
US9424964B1 (en) * 2013-05-08 2016-08-23 Superior Essex International LP Shields containing microcuts for use in communications cables

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012519939A (ja) * 2009-03-03 2012-08-30 パンドウィット・コーポレーション 通信ケーブルにおける使用のためのモザイクテープを製造するための方法および装置
JP2012133991A (ja) * 2010-12-21 2012-07-12 Hitachi Cable Ltd 差動信号用ケーブル
JP2013084864A (ja) * 2011-10-12 2013-05-09 Seiji Kagawa 電磁波吸収フレキシブル回路基板及びそれに用いる電磁波吸収フレキシブル基板シート
US9424964B1 (en) * 2013-05-08 2016-08-23 Superior Essex International LP Shields containing microcuts for use in communications cables

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3425641A1 (en) * 2017-07-07 2019-01-09 Seiji Kagawa Electromagnetic wave absorption cable
JP7055854B2 (ja) 2020-10-29 2022-04-18 ヤンマーパワーテクノロジー株式会社 トラクタ
CN114864174A (zh) * 2022-04-15 2022-08-05 贸联电子(昆山)有限公司 一种信号线缆
CN114864174B (zh) * 2022-04-15 2024-04-12 贸联电子(昆山)有限公司 一种信号线缆

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018156925A (ja) 2018-10-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102087844B1 (ko) 전자파 흡수 케이블
JP6208394B1 (ja) 電磁波吸収フィルタ
JP4685977B2 (ja) 線状痕付き金属薄膜−プラスチック複合フィルム及びその製造装置
KR101790684B1 (ko) 복합 전자파 흡수 시트
JP5726903B2 (ja) 近傍界電磁波吸収体
JP6243078B1 (ja) 電磁波吸収ケーブル
JP5542139B2 (ja) 複合電磁波吸収フィルム
JP5302287B2 (ja) 電磁波吸収体
EP3582235B1 (en) Cable having shielding tape with conductive shielding segments
JP6461416B1 (ja) 電磁波吸収複合シート
JP5559668B2 (ja) 電磁波吸収体
JP2012221739A (ja) ケーブル
JP5186535B2 (ja) 透明電磁波吸収フィルム
JPS6238262Y2 (ja)
JP2001028210A (ja) 信号ケーブル
JP2012150980A (ja) ケーブル、その接続構造およびモータ駆動制御システム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170711

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20170711

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20170726

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170822

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171023

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171107

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171108

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6243078

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250