JP6241462B2 - Si含有熱延酸洗鋼板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明のSi含有熱延酸洗鋼板は、その表面が図1に例示したように晶癖面を呈する窪んだ部と、それよりも盛り上がった部分である平滑部から構成されている。この表面構造は、酸洗前の黒皮材におけるスケール構造の影響を受ける。特に、Si含有熱延酸洗鋼板では、熱間圧延中に鋼板表面にスケールが生成しやすい。スケールの生成量が多くなると、スケールを除去しようとしても、スケールが残存する場合がある。スケールの残存は、特に冷延外板素材(自動車用の外板パネル材など、めっきや塗装が施される素材)では最終的な外観が不良の要因となる。このため、スケール生成量を低減し、可能な限りスケールの厚みを薄くし、できるだけ酸洗によってスケールを除去するのが望ましい。また、上記の通り、スケールの除去以外に、黒皮材におけるスケール構造を調整することも必要であり、具体的には、黒皮材におけるスケール構造を出来るだけ均一にすることが望ましい。
続いて、本発明のSi含有熱延酸洗鋼板の成分組成について説明する。以下の成分組成の説明において、成分の含有量の単位である「%」は特に断らない限り「質量%」を意味するものとする。
本発明は、化成処理性に劣る傾向にあるSi含有熱延酸洗鋼板の表面状態を制御することで、高強度でありながら、化成処理性に優れたSi含有熱延酸洗鋼板とすることに特徴がある。このように、本発明は鋼板がSiを含有することにより生じる課題を解決する発明であり、成分組成についてはSiのみ特定し、その他は特に限定しない。即ち、成分組成は、必須成分であるSiと、任意成分である元素と、Fe及び不可避的不純物からなる残部とから構成される。
Cは、鋼を高強度化するのに有効な元素である。C含有量を0.05%以上とすることで、TS≧590MPaに調整しやすい。よって、C含有量を0.05%以上とすることが好ましい。一方、C含有量が0.10%を超えると強度が過剰となる。このため、C含有量は0.10%以下とすることが好ましい。
Siは、成形性を大きく損なうことなく、高強度化を図る元素である。本発明では、上記の通り、強度確保のため、Si含有量を0.5%以上とする必要がある。一方、Si含有量が1.0%を超えると、本発明でも化成処理性が低下する場合がある。このため、Si含有量は1.0%以下とすることが好ましい。
Mnは、鋼を固溶強化するのに有効な元素である。Mn含有量を1.0%以上とすることで、TS≧590MPaに調整しやすい。よって、Mn含有量は1.0%以上とすることが好ましい。一方、Mn含有量が2.0%を超えると焼入れ性が高まり強度過剰になる。このため、Mn含有量は2.0%以下とすることが好ましい。より好ましくは1.5%以下である。
Pは、鋼中の代表的な不可避的不純物である。本発明において、P含有量は0.010%以下とすることが好ましい。
Sは、圧延時の熱間脆性を引き起こす不純物である。このため、S含有量は0.004%以下とすることが好ましい。
Alは製鋼工程で脱酸材として、添加される元素である。また、Alは、非金属介在物をスラグとして分離するのに有効な元素である。このため、Al含有量を0.02%以上とすることが好ましい。但し、過剰なAlの添加は粗大なAl2O3の凝集合体による割れ発生を誘起するためAl含有量は0.05%以下とすることが好ましい。
Nは、鋼の耐時効性を劣化させる元素であるため、N含有量は0.0045%以下とすることが好ましい。
Ti、Nbは、極めて強い炭窒化物形成元素であり、TS:590MPa以上という強度達成に効果がある元素である。本発明ではTiの場合はTi含有量を0.04%以上、Nbの場合はNb含有量を0.005%以上として、Ti、Nbのいずれか1種以上を含有することが好ましい。一方、これら元素は希少で原料コスト増大を招くため、これらの元素を含有させる場合は、Ti含有量については0.10%以下、Nb含有量については0.005%以下とすることが好ましい。
V、Moは、強い炭窒化物形成元素であり、TS:590MPaを超える強度達成に効果がある元素である。本発明では、Vの場合はV含有量を0.05%以上、Moの場合はMo含有量を0.1%以上として、V、Moのいずれか1種以上を含有することが好ましい。一方、これら元素を過剰に添加すると著しい化成処理性の低下を招くため、V含有量については0.30%以下、Mo含有量については0.20%以下とする。
熱間圧延ステップとは、所望の板厚みに減厚するために、上記の成分組成を有する鋼スラブ等の鋼素材を熱間圧延するステップである。熱間圧延は多段の粗圧延と多段の仕上げ圧延からなる。鋼素材加熱後の高温域で行う粗圧延工程においては、スケール生成が特に顕著であり、通常、これを仕上げ圧延前に除去するデスケーリング装置が粗圧延工程直後に設置されている。本発明においては、粗圧延工程直後にノズル水圧(ノズルから出る水の水圧)が30MPa以上の条件でデスケーリングを行う。本発明の効果を得るためには、この高圧水によりデスケーリングを強化することが必須である(ただし、後述する表面調整ステップを行う場合には必須ではない)。このデスケーリングで除去しきれなかった残存スケールは、引続き行われる仕上げ圧延時に鋼板に噛み込み、顕著な凹凸の要因となる。
酸洗ステップとは、熱間圧延ステップ後の鋼板を酸洗するステップである。本ステップは、熱間圧延後にスケールを除去する目的で行われる。
表面調整ステップとは、酸洗ステップ後の鋼板の表面を調整するステップであり、表面における平滑部の割合が面積率で50%以上とし、平滑部表面の凹凸の高低差を0.1μm以下とするためのステップである。
Si含有熱延酸洗鋼板から、圧延方向を引張方向とするJIS5号引張試験片を採取して、JISZ2241の規定に準拠して引張試験を行い、引張強さTSを求めた。
Si含有熱延酸洗鋼板から試験片を採取し、表面を加速電圧5kVの条件で三次元走査電子顕微鏡によって100〜200倍で3視野観察し、鳥瞰図を求めるとともに、3視野の平均値として三次元パラメータSaおよびSdrを求めた。また、通常のSEM表面観察において明らかに窪んでいる部分を画像処理により抽出し、残りの部分を平坦部として面積率を評価した。結果を表3に示した。
Si含有熱延酸洗鋼板について、メーカーで実施される脱脂性の評価も併せて行った。これは、一般に防錆油を塗布して出荷されたSi含有熱延酸洗鋼板に対して化成処理を実施するにあたって、アルカリ脱脂を行うが、この脱脂性が良好でないと、化成処理性も劣位となり、結果として化成処理皮膜のスケにより耐食性も確保できない場合があるためである。ここでは、Si含有熱延酸洗鋼板(幅30mm、長さ60mmの試験片)に対して、防錆油(パーカー興業製 ノックスラスト530F社製防錆油)を塗布した後、アルカリ脱脂液(日本パーカライジング社製 FC−E2011)に浸漬して脱脂後、60s間スプレー水洗し、試験片を30s垂直保持した後の水はじきの状態を目視で判断した。水はじき面積がおおよそ10%以上の場合を脱脂性不良(×)、5%以上10%未満の場合を△、5%未満の場合を脱脂性良好(○)と判断した。結果は表3に示した。
日本パーカライジング社製(PL−X)用いてTi系コロイド水溶液による表面調整処理を行い、同社製化成処理液(PB−L3065)を用いて、化成処理液の温度を40℃として、表2に示す化成処理時間の間、化成処理液に浸漬して化成処理を施した。
塩水噴霧試験はJIS―Z2371に従って実施した。電着塗装を施した化成処理後の熱延鋼板に表面に、カッターで長さ45mmのクロスカット疵を施した後、35℃、5質量%のNaCl水溶液で720時間の塩水噴霧試験(SST試験)を行った。SST試験後は、クロスカット疵部に粘着テープを貼り付けた後、引き剥がすテープ剥離試験を行い、クロスカット疵部左右を合わせた最大剥離全幅を測定した。ここで、測定した剥離幅が2mm以下の場合、SST試験結果が適合であり、塗装後の耐食性に優れると判断した。また、測定した剥離幅が2mmを超えた場合に、SST試験結果が不適合であり、塗装後の耐食性に劣ると判断した。
以下検討結果について説明する。鋼板No.1−5、1−6は、FSB圧力が不足することから、展開面積比Sdrが11を超えた。また、これらの脱脂性は良好でなく、結果的に化成後耐食性が得られていない。
Claims (5)
- Si含有量が0.5質量%以上であり、任意成分として、Vを含む場合はV含有量が0.30質量%以下、Moを含む場合はMo含有量が0.20質量%以下である成分組成を有し、
表面の平均振幅(Sa)が2.5μm以下であり、
表面の展開面積比(Sdr)が11以下であり、
表面が晶癖面と該晶癖面よりも盛り上がった平滑部とを有し、表面における平滑部の割合が面積率で50%以上であり、
前記平滑部には凹凸が形成されており、該凹凸の高低差は0.1μm以下であることを特徴とする化成処理性に優れるSi含有熱延酸洗鋼板。 - 前記成分組成は、質量%で、C:0.05〜0.10%、Si:0.5〜1.0%、Mn:1.0〜2.0%、P:0.010%以下、S:0.004%以下、Al:0.05%以下、N:0.0045%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成であることを特徴とする請求項1に記載の化成処理性に優れるSi含有熱延酸洗鋼板。
- 前記成分組成は、さらに、質量%で、Ti:0.04〜0.10%、Nb:0.005%以下のいずれか1種以上を含有する成分組成であることを特徴とする請求項2に記載の化成処理性に優れるSi含有熱延酸洗鋼板。
- 前記成分組成は、さらに、質量%で、V:0.05〜0.30%以下及びMo:0.1〜0.20%以下のいずれか1種以上を含有する成分組成であることを特徴とする請求項2又は3に記載の化成処理性に優れるSi含有熱延酸洗鋼板。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のSi含有熱延鋼板の製造方法であって、
鋼素材を熱間圧延する熱間圧延ステップと、該熱間圧延ステップ後の鋼板を酸洗する酸洗ステップと、該酸洗ステップ後の鋼板の表面を調整する表面調整ステップを有し、
前記熱間圧延ステップでは、粗圧延後にデスケーリングを行い、
前記酸洗ステップでは、濃度5vol%以上、温度70℃以上、合計処理時間20s超の条件で、塩酸浴による酸洗を行い、
前記表面調整ステップでは、酸洗を行うか、圧下を行うか、又は鋼板表面の研削を行なうことを特徴とするSi含有熱延酸洗鋼板の製造方法。
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