JP6238401B2 - 生理活性ペプチド徐放性微粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
徐放性製剤とする方法としては、生分解性高分子であるポリ乳酸(PLA)及びポリ乳酸グリコール酸(PLGA)を用いた放出制御型製剤とする方法がある。すなわち、PLAまたはPLGAを基剤として、有効成分である生理活性ペプチドを含んだ徐放性微粒子を調製することで、当該ペプチドを1カ月間または3カ月以上にわたり徐放をさせることが可能となる。
一方、ペプチドとPLGAまたはPLAを用いた徐放性微粒子製剤の製造において、氷酢酸を製造溶媒に用いる例が知られている。特許文献3においてLHRHアゴニストの一種とPLGAまたはPLAを氷酢酸に溶解して均一な溶液とし、それを噴霧乾燥して微粒子体を調製し、得られた微粒子をポリビニルアルコール含有水溶液に分散させ、その分散液を蒸留水で洗浄し、凍結乾燥を行うことで良好な徐放性微粒子が得られている。しかしながら、この製造方法で使用されている氷酢酸は、全ての生理活性ペプチドに対して有効な溶剤であるとは言えず、また酸性溶剤であることから製造工程中での生理活性ペプチドの安定性に対する影響や、酢酸の残留により製剤の安定性に影響を及ぼすことが懸念される。また、氷酢酸は人体の皮膚や目に触れた場合、重篤な損傷を及ぼすことが知られているため、使用に注意が必要であり、医薬品の実生産には使用が制限される。更にこの方法であっても、噴霧乾燥で得られる徐放性微粒子の付着防止剤が必要とされている。
[1]生理活性ペプチド、生分解性高分子及び溶媒を混合して溶液を調製する工程、前記溶液を噴霧乾燥する工程により、生理活性ペプチド徐放性微粒子を製造する方法において、前記溶媒は、メタノール、エタノール、1‐プロパノール、2‐プロパノール及びtert‐ブタノールから選択される1種以上のアルコール類、並びに酢酸エチル、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル及びN,N‐ジメチルホルムアミドから選択される1種以上の有機溶剤類の混合溶媒と水を含有する含水溶媒であることを特徴とする生理活性ペプチド徐放性微粒子の製造方法。
[2]前記溶媒が、5〜20容量%の水と10〜50容量%のメタノール、エタノール及び2‐プロパノールから選択される1種以上のアルコール類、並びに40〜80容量%の酢酸エチル及びアセトンから選択される1種以上の有機溶剤類の混合溶媒である前記[1]に記載の生理活性ペプチド徐放性微粒子の製造方法。
[3]前記溶液が、生理活性ペプチドと生分解性高分子の総量含有量が5〜20質量%の溶液である前記[1]または[2]に記載の生理活性ペプチド徐放性微粒子の製造方法。
[4]前記生理活性ペプチドの前記生分解性高分子に対する含有量が5〜20質量%である前記[1]〜[3]の何れか一項に記載の生理活性ペプチド徐放性微粒子の製造方法。
[5]前記生理活性ペプチドが黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)及びその誘導体、並びにソマトスタチン及びその誘導体から選択される選択されることを特徴とする、前記[1]〜[4]の何れか一項に記載の生理活性ペプチド徐放性微粒子の製造方法。
[6]前記生理活性ペプチドがリュープロレリン、ゴセレリン及びそれらの塩の中から選ばれる前記[1]〜[5]の何れか一項に記載の生理活性ペプチド徐放性微粒子の製造方法。
[7]前記生分解性高分子が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸グリコール酸、ポリオルトエステル、ポリアンヒドリド、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリアルキルカーボネート及びそれらの誘導体からなる群から選択される1種以上である前記[1]〜[6]の何れか一項に記載の生理活性ペプチド徐放性微粒子の製造方法。
[8]前記噴霧乾燥を行う条件が、生理活性ペプチド、生分解性高分子及び溶媒を混合して溶液を、入口温度40〜70℃、噴霧液の流速が1〜10mL/minを特徴とする前記[1]〜[7]の何れか一項に記載の生理活性ペプチド徐放性微粒子の製造方法。
[9]生理活性ペプチド、生分解性高分子及び溶媒を混合して溶液を調製し、前記溶液を噴霧乾燥して得られる生理活性ペプチド徐放性微粒子において、前記溶媒が、メタノール、エタノール、1‐プロパノール、2‐プロパノール及びtert‐ブタノールから選択される1種以上のアルコール類、並びに酢酸エチル、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル及びN,N‐ジメチルホルムアミドから選択される1種以上の有機溶剤類の混合溶媒と水を含有する含水溶媒であることを特徴とする生理活性ペプチド徐放性微粒子。
[10]前記溶媒が、5〜20容量%の水と10〜50容量%のメタノール、エタノール及び2‐プロパノールから選択される1種以上のアルコール類、並びに40〜80容量%の酢酸エチル及びアセトンから選択される1種以上の有機溶剤類の混合溶媒である前記[9]に記載の生理活性ペプチド徐放性微粒子。
[11]前記生理活性ペプチドが黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)及びその誘導体、並びにソマトスタチン及びその誘導体から選択される選択されることを特徴とする、前記[9]または[10]に記載の生理活性ペプチド徐放性微粒子。
[12]前記生理活性ペプチドがリュープロレリン、ゴセレリン及びそれらの塩の中から選ばれる、前記[9]〜[11]の何れか一項に記載の生理活性ペプチド徐放性微粒子。
[13]前記生分解性高分子が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸グリコール酸、ポリオルトエステル、ポリアンヒドリド、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリアルキルカーボネート及びそれらの誘導体からなる群から選択される1種以上である、前記[9]〜[12]の何れか一項に記載の生理活性ペプチド徐放性微粒子。
[14]前記[9]〜[13]の何れか一項に記載の生理活性ペプチド徐放性微粒子を2種以上混合して徐放期間を調整した混合微粒子。
生理活性を持つオリゴペプチドとしては、インシュリン、ソマトスタチンおよびそれらの誘導体、成長ホルモン、プロラクチン、副腎皮質刺激ホルモン、メラニン細胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンおよびそれらの塩と誘導体、甲状腺刺激ホルモン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)およびそれらの塩と誘導体、黄体ホルモン、卵胞刺激ホルモン、バソプレシンおよびそれらの誘導体、オクシトシン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、グルカゴン、ガストリン、セクレチン、パンクレオザイミン、コレシストキニン、アンジオテンシン、ヒト胎盤性ラクトーゲン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、エンケファリンおよびそれらの誘導体などがある。
ポリペプチドとしては、エンドルフィン、インタフェロン(α、β、γ型)、インターロイキン、タフトシン、サイモポエチン、サイモシン、サイモスチムリン、胸腺液性因子(THF)、血清胸腺因子およびそれらの誘導体、腫瘍壊死因子(TNF)、コロニー刺激因子(CSF)、モチリン、ダイノルフィン、ボンベシン、ニューロテンシン、ブラジキニン、セルレイン、ウロキナーゼ、アスパラギナーゼ、カリクレイン、サブスタンスP、神経成長因子、血液凝固因子VIIIおよびIX、リゾチーム、ポリミキシンB、コリスチン、グラミシジン、バシトラシン、タンパク質合成刺激ペプチド、血管活性腸管ポリペプチド、血小板由来成長因子、成長ホルモン放出因子、骨形成タンパク質、上皮成長因子、エリスロポエチンなどがある。
一般的に、徐放性微粒子における生理活性ペプチドの放出様相は、高分子の水和速度と分解速度、薬物と高分子の親和程度及び微粒子内外の形などによって大きく左右される。ポリ乳酸(PLA)等の疎水性高分子を用いると、生理活性ペプチドの放出が緩徐な徐放性微粒子が調製される。これに対し、ポリグリコール酸(PGA)やポリ乳酸グリコール酸(PLGA)等の親水性高分子を用いると生理活性ペプチドの放出が比較的速い徐放性微粒子を調製することができる。
また、ポリ乳酸グリコール酸(PLGA)又はポリ乳酸(PLA)等のポリエステル型高分子の場合、末端のカルボキシル残基が自由状態で残っている高分子は、ドデシル基などのアルキル基で末端カルボキシル基が置換された高分子より水に対する親和性が高いため水和速度が一層速く、結果的に生体内における分解速度も速くなる。生分解性高分子の末端基の官能基により、徐放性微粒子の放出速度の制御を調製できる。
ポリ乳酸グリコール酸(PLGA)等の共重合体高分子を用いる場合、共重合に用いるモノマー成分の構成割合によっても徐放性微粒子の放出速度が大きく左右される。PLGAの場合、グリコール酸成分が多い共重合体(PLGA)は生分解速度が速く、生理活性ペプチドの放出が速くなる傾向にある。
本発明において生分解性高分子は、生理活性ペプチドの相溶性と共に、生理活性ペプチドの放出速度を制御する観点で選択されるべきである。特に好ましくは、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸グリコール酸(PLGA)であり、これらを単独または2種類以上を混合して用いることが好ましい。
一般的に、生分解性高分子の分子量が大きくなると、生理活性ペプチドの放出速度は緩徐な徐放性微粒子となる傾向にある。一方、分子量が小さい生分解性高分子を用いると生理活性ペプチドの放出速度が速い徐放性微粒子を調製できる。本発明において生分解性高分子は、生理活性ペプチドの相溶性と共に、生理活性ペプチドの放出速度を制御する観点で選択されるべきである。
一般的に、生理活性ペプチドに対して用いる生分解性高分子の使用量を高くすると、生理活性ペプチドの放出量が少なく放出性が緩徐な徐放性微粒子が調製される。一方、生理活性ペプチドに対して用いる生分解性高分子の使用量を低くすると、生理活性ペプチドの放出性が比較的速い徐放性微粒子を調製できる。本発明において生分解性高分子の使用量は、生理活性ペプチドの相溶性と共に、生理活性ペプチドの放出速度を制御する観点で選択されるべきである。
本発明における溶媒は、生理活性ペプチド及び生分解性高分子を溶解させるのに十分量を用いることが必要である。しかしながら、使用溶媒量が多い場合は、後述する噴霧乾燥工程が煩雑になり、また調製される生理活性ペプチド徐放性微粒子の粒径制御が困難になることから好ましいとは言えない。好ましい溶媒使用量は、生理活性ペプチドと生分解性高分子の総量に対して1〜50質量%(w/v)であり、5〜20質量%(w/v)がより好ましい。すなわち、生理活性ペプチドと生分解性高分子の総量を1質量部とするのに対し該溶媒は2〜100容量部を用いることが好ましく、5〜20容量部を用いることがより好ましい。
生理活性ペプチドと生分解性高分子を含む噴霧溶液の調製方法としては、生理活性ペプチドと生分解性高分子を前記の3種類の溶媒を混合した含水溶媒に一度に混ぜ、場合によっては攪拌をすることにより、均一溶液として調製する方法がある。また、生理活性ペプチドを水に、生分解性高分子を前記アルコール類及び前記有機溶剤の混合液にそれぞれ溶解し、調製した各溶液を混合することにより、均一溶液を調製する方法が挙げられる。または、生理活性ペプチドを水と前記アルコール類の混合溶液に、生分解性高分子を前記有機溶剤にそれぞれ溶解し、それらの溶液を混合することにより、均一溶液を調製する方法がある。好ましい方法としては、生理活性ペプチドを水と前記アルコール類の混合溶液に、生分解性高分子を前記アルコール類と前記有機溶剤の混合溶液に溶解し、それらの溶液を混合することにより、均一溶液を調製する方法である。溶液調製する温度は、生理活性ペプチドの活性が維持される温度であれば特に限定されないが、5〜60℃で調製することが好ましい。本発明に係る生理活性ペプチドと生分解性高分子を含有する溶液は均一溶液であることから、この工程で任意に滅菌等を目的とした濾過工程を組み入れることができる。
工程2の噴霧溶液の濃度については、生理活性ペプチド及び生分解性高分子が均一溶液として溶解し、噴霧乾燥が可能であるように選択されるべきである。好ましくは、生理活性ペプチドと生分解性高分子の重量の合計が噴霧溶液容量に対して5〜20%(w/v)となるのが好ましい。溶液調製における温度としては、噴霧溶液が均一溶液となる温度となれば、どの温度でもよいが、好ましくは10℃〜50℃である。
噴霧乾燥は既存の噴霧乾燥装置を用いて行うことができる.溶媒のスプレー方式は、例えば二流体ノズルスプレー方式、回転円盤ノズルスプレー方式、超音波ノズルスプレー方式等種々の方式があるが、本発明に用いられる溶媒のスプレーは、これらのいずれのスプレー方式にもとらわれるものではない。
噴霧乾燥条件において、噴霧温度は好ましくは30℃〜80℃であるが、特に40℃〜70℃が好ましい。噴霧ガスの流速はあまり低すぎてはならない。さもないと糸形成が起こり、粒子が形成されないことがある。より良好に乾燥された生理活性ペプチド徐放性微粒子を得るには、例えば、ミニスプレードライヤー B290(ビュッヒ(Buechi))に用いられる二流体ノズルスプレーにおいては、液滴の形成にキャブレター方式が用いられているが、ここで用いられる噴霧ガスの流速は300NL/時〜700NL/時が好ましい。また、溶液の噴霧流量も粒子形成に影響を及ぼす。好ましくは1〜20mL/分であるが、特に1〜10mL/分が好ましい。噴霧乾燥によって製造された生理活性ペプチド徐放性微粒子は粒径が1〜50μmであり、注射により皮下投与することができる。
本発明方法で製造される生理活性ペプチド徐放性微粒子は、注射による皮下投与が好ましい。本発明方法で製造される生理活性ペプチド徐放性微粒子は、LHRHアゴニストが内封されている場合、子宮内膜症、子宮筋腫、閉経前乳癌、前立腺癌等の疾患に使用することができる。
以下実施例により本発明を更に詳細に説明する。実施例において部は重量部を、%は重量%をそれぞれ意味する。
有効成分含有率99.1%、回収された粉末中の有効成分量に対する徐放性微粒子に内封した有効成分量の割合(内封率)は97.0%。
ゴセレリン酢酸塩0.35gを水及びエタノールが1:1の割合で混合した溶液2.8mLに溶解した。その溶液を酢酸エチル30.6mL、エタノール6.7mL及び水1.6mLが混合した溶液中にポリ乳酸グリコール酸(RG752H、エボニック、乳酸;75とグリコール酸;25の共重合体)3.0gが溶解した溶液中に滴下し、攪拌することで均一溶液を得た。その溶液を噴霧乾燥機(ミニスプレードライヤー B290、Buechi)を使用し、次の条件下で噴霧乾燥した:噴霧入口温度70℃、アスピレータ100%、噴霧ガス量400L/hr、噴霧薬液速度3.5mL/min。徐放性微粒子が白色の粉末として生じた。
有効成分含有率98.1%、回収された粉末中の有効成分量に対する徐放性微粒子に内封した有効成分量の割合(内封率)は98.6%。
ゴセレリン酢酸塩1.06gを水及びエタノールが1:1の割合で混合した溶液17.0mLに溶解した。その溶液を酢酸エチル55.9mL、エタノール24mLが混合した溶液中にポリ乳酸(R202H、エボニック)7.6gが溶解した溶液中に滴下し、攪拌することで均一溶液を得た。その溶液を噴霧乾燥機(ミニスプレードライヤー B290、Buechi)を使用し、次の条件下で噴霧乾燥した:噴霧入口温度60℃、アスピレータ100%、噴霧ガス量400L/hr、噴霧薬液速度3.5mL/min。徐放性微粒子が白色の粉末として生じた。
有効成分含有率96.0%、回収された粉末中の有効成分量に対する徐放性微粒子に内封した有効成分量の割合(内封率)は95.1%。
ゴセレリン酢酸塩0.66gを水及びエタノールが1:1の割合で混合した溶液10.6mLに溶解した。その溶液を酢酸エチル34.9mL、エタノール15mLが混合した溶液中にポリ乳酸(R202H、エボニック)4.63g及びポリ乳酸グリコール酸(RG752H、エボニック、乳酸;75とグリコール酸;25の共重合体)0.12gが溶解した溶液中に滴下し、攪拌することで均一溶液を得た。その溶液を噴霧乾燥機(ミニスプレードライヤー B290、Buechi)を使用し、次の条件下で噴霧乾燥した:噴霧入口温度70℃、アスピレータ100%、噴霧ガス量400L/hr、噴霧薬液速度3.5mL/min。徐放性微粒子が白色の粉末として生じた。
有効成分含有率89.2%、回収された粉末中の有効成分量に対する徐放性微粒子に内封した有効成分量の割合(内封率)は91.9%。
ゴセレリン酢酸塩0.66gを水及びエタノールが1:1の割合で混合した溶液10.6mLに溶解した。その溶液を酢酸エチル34.9mL、エタノール15mLが混合した溶液中にポリ乳酸(R202H、エボニック)4.51g及びポリ乳酸グリコール酸(RG752H、エボニック、乳酸;75とグリコール酸;25の共重合体)0.24gが溶解した溶液中に滴下し、攪拌することで均一溶液を得た。その溶液を噴霧乾燥機(ミニスプレードライヤー B290、Buechi)を使用し、次の条件下で噴霧乾燥した:噴霧入口温度70℃、アスピレータ100%、噴霧ガス量400L/hr、噴霧薬液速度3.5mL/min。徐放性微粒子が白色の粉末として生じた。
有効成分含有率92.0%、回収された粉末中の有効成分量に対する徐放性微粒子に内封した有効成分量の割合(内封率)は92.8%。
ゴセレリン酢酸塩0.66gを水及びエタノールが1:1の割合で混合した溶液10.6mLに溶解した。その溶液を酢酸エチル34.9mL、エタノール15mLが混合した溶液中にポリ乳酸(R202H、エボニック)4.28g及びポリ乳酸グリコール酸(RG752H、エボニック、乳酸;75とグリコール酸;25の共重合体)0.48gが溶解した溶液中に滴下し、攪拌することで均一溶液を得た。その溶液を噴霧乾燥機(ミニスプレードライヤー B290、Buechi)を使用し、次の条件下で噴霧乾燥した:噴霧入口温度70℃、アスピレータ100%、噴霧ガス量400L/hr、噴霧薬液速度3.5mL/min。徐放性微粒子が白色の粉末として生じた。
有効成分含有率96.3%、回収された粉末中の有効成分量に対する徐放性微粒子に内封した有効成分量の割合(内封率)は91.6%。
ゴセレリン酢酸塩0.21g及びポリ乳酸グルコール酸(RG503H、エボニック)1.9gを酢酸エチル40mL、酢酸1mL及び水2mLの混液に投入し、ホモジナイザー(ウルトラタラックス)にて9000rpmで2分間ホモジナイズし、懸濁液を得た。その懸濁液を噴霧乾燥機(ミニスプレードライヤー B290、Buechi)を使用し、次の条件下で噴霧乾燥した:噴霧入口温度60℃、アスピレータ100%、噴霧ガス量360L/hr、噴霧薬液速度3.5mL/min。徐放性微粒子が白色の粉末として生じた。
有効成分含有率54.7%、回収された粉末中の有効成分量に対する徐放性微粒子に内封した有効成分量の割合(内封率)は65.0%。
ゴセレリン酢酸塩0.21gを水2.5mLに溶解した。その溶液を酢酸エチル36mLとポリオキシエチレン硬化ヒマシ油0.05gが混合した溶液中にポリ乳酸グルコール酸(RG503H、エボニック)1.9gが溶解した溶液に滴下し、ホモジナイザー(ウルトラタラックス)にて9000rpmで数分ホモジナイズし、乳濁液を得た。この乳濁液を噴霧乾燥機(ミニスプレードライヤー B290、Buechi)を使用し、次の条件下で噴霧乾燥した:噴霧入口温度60℃、アスピレータ100%、噴霧ガス量360L/hr、噴霧薬液速度3.5mL/min。徐放性微粒子が白色の粉末として生じた。
有効成分含有率85.2%、回収された粉末中の有効成分量に対する徐放性微粒子に内封した有効成分量の割合(内封率)は79.3%。
実施例1で製造されたゴセレリン酢酸塩徐放性微粒子を懸濁液(5%マンニトール、0.5%カルメロースナトリウム、0.1%ポリソルベート80)に懸濁させた後、ラット(n=3)に薬物量で9mg/kgの用量で1回皮下注射した。尾静脈から投与後1時間、3時間、8時間、1日、2日、4日、8日、14日、その後からは7日間隔にして56日まで血液を採取した。採取した血液中のテストステロンについてLC‐MS/MSを用いて定量した。そのラット3匹の血液中のテストステロンの濃度の平均値の経時的変化を図1に示した。
この結果より、本発明に係る実施例1のゴセレリン酢酸塩徐放性微粒子を1回投与することで、35日間テストステロンの生成を有意に抑制していることから、当該徐放性微粒子はゴセレリン酢酸塩が35日間にわたり持続的に放出されたことが分かる。
実施例4で製造されたゴセレリン酢酸塩徐放性微粒子を懸濁液(5%マンニトール、0.5%カルメロースナトリウム、0.1%ポリソルベート80)に懸濁させた後、ラット(n=3)に薬物量で9mg/kgの用量で1回皮下注射した。尾静脈から1時間、3時間、8時間、24時間、96時間、1週、2週、3週、4週、6週、8週、10週、13週、16週、19週、22週まで血液を採取した。採取した血液中のテストステロンについてLC‐MS/MSを用いて定量した。そのラット3匹の血液中のテストステロンの濃度の平均値の経時的変化を図2に示した。
この結果より、本発明に係る実施例4のゴセレリン酢酸塩徐放性微粒子を1回投与することで、19週間テストステロンの生成を有意に抑制していることから、当該徐放性微粒子はゴセレリン酢酸塩が19週間にわたり持続的に放出されたことが分かる。
Claims (6)
- 生理活性ペプチド、生分解性高分子及び溶媒を混合して均一相の溶液を調製する工程、
前記溶液を噴霧乾燥する工程により、
生理活性ペプチド徐放性微粒子を製造する方法において、
前記溶媒は、5〜20容量%の水と10〜50容量%のメタノール、エタノール及び2-プロパノールから選択される1種以上のアルコール類、並びに40〜80容量%の酢酸エチル及びアセトンから選択される1種以上の有機溶剤類の混合溶媒を含有する含水溶媒であり、
前記生理活性ペプチドがリュープロレリン、ゴセレリン及びそれらの塩の中から選ばれる1種であり、
前記生分解性高分子が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、及びポリ乳酸グリコール酸からなる群から選択される1種以上であり、
付着防止剤を用いないことを特徴とする生理活性ペプチド徐放性微粒子の製造方法。 - 前記溶液が、生理活性ペプチドと生分解性高分子の総量含有量が5〜20質量%の溶液である請求項1に記載の生理活性ペプチド徐放性微粒子の製造方法。
- 前記生理活性ペプチドの前記生分解性高分子に対する含有量が5〜20質量%である請求項1または2に記載の生理活性ペプチド徐放性微粒子の製造方法。
- 前記噴霧乾燥を行う条件が、生理活性ペプチド、生分解性高分子及び溶媒を混合して溶液を、入口温度40〜70℃、噴霧液の流速が1〜10mL/minを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の生理活性ペプチド徐放性微粒子の製造方法。
- 生理活性ペプチド、生分解性高分子及び溶媒を混合して均一相の溶液を調製し、前記溶液を噴霧乾燥して得られる生理活性ペプチド徐放性微粒子において、
前記溶媒が、5〜20容量%の水と10〜50容量%のメタノール、エタノール及び2-プロパノールから選択される1種以上のアルコール類、並びに40〜80容量%の酢酸エチル及びアセトンから選択される1種以上の有機溶剤類の混合溶媒であるを含有する含水溶媒であり、
前記生理活性ペプチドがリュープロレリン、ゴセレリン及びそれらの塩の中から選ばれる1種であり、
前記生分解性高分子が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、及びポリ乳酸グリコール酸からなる群から選択される1種以上であり、
付着防止剤を用いないことを特徴とする生理活性ペプチド徐放性微粒子。 - 請求項5に記載の生理活性ペプチド徐放性微粒子を2種以上混合して徐放期間を調整した混合微粒子。
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