図1は、本発明を適用可能な印刷装置の概略構成を模式的に例示する正面図である。なお、図1では、装置各部の配置関係を明確にするために、印刷装置1の左右方向X、前後方向Yおよび鉛直方向Zに対応したXYZ直交座標系を表示する。
印刷装置1では、繰出部2、プロセス部3および巻取部4が左右方向Xに配列されており、これら各機能部2、3、4がハウジング部材10に取り囲まれる内部空間ISに収容されている。繰出部2および巻取部4はそれぞれ繰出軸20および巻取軸40を有している。そして、繰出軸20および巻取軸40に記録媒体たるシートS(ウェブ)の両端がロール状に巻き付けられ、それらの間に張架されている。こうして経路Pcに沿ってシートSが繰出軸20からプロセス部3に搬送されてプロセスユニット3Uによる印刷処理を受けた後、巻取軸40へと搬送される。シートSの種類は、紙系とフィルム系に大別される。具体例を挙げると、紙系には上質紙、キャスト紙、アート紙、コート紙等があり、フィルム系には合成紙、PET(Polyethylene terephthalate)、PP(polypropylene)等がある。なお、以下の説明では、シートSの両面のうち、画像が記録される面を表面と称する一方、その逆側の面を裏面と称する。
繰出部2は、シートSの端を巻き付けた繰出軸20と、繰出軸20から引き出されたシートSを巻き掛ける従動ローラー21とを有する。繰出軸20は、シートSの表面を外側に向けた状態で、シートSの端を巻き付けて支持する。そして、繰出軸20が図1の紙面において時計回りに回転することで、繰出軸20に巻き付けられたシートSが従動ローラー21を経由してプロセス部3へと繰り出される。ちなみに、シートSは、繰出軸20に着脱可能な芯管(図示省略)を介して繰出軸20に巻き付けられている。したがって、繰出軸20のシートSが使い切られた際には、ロール状のシートSが巻き付けられた新たな芯管を繰出軸20に装着して、繰出軸20のシートSを取り換えることが可能となっている。
プロセス部3は、繰出部2から繰り出されたシートSを回動ドラム30で支持しつつ、回動ドラム30の外周面に沿って配置されたプロセスユニット3Uにより処理を適宜行って、シートSに画像を印刷するものである。このプロセス部3では、回動ドラム30の両側に前駆動ローラー31と後駆動ローラー32とが設けられており、前駆動ローラー31から後駆動ローラー32へと搬送されるシートSが回動ドラム30に支持されて、画像の印刷を受ける。
前駆動ローラー31は、溶射によって形成された複数の微小突起を外周面に有しており、繰出部2から繰り出されたシートSを裏面側から巻き掛ける。そして、前駆動ローラー31は図1の紙面において時計回りに回転することで、繰出部2から繰り出されたシートSを搬送経路の下流側へと搬送する。なお、前駆動ローラー31に対してはニップローラー31nが設けられている。このニップローラー31nは、前駆動ローラー31側へ付勢された状態でシートSの表面に当接しており、前駆動ローラー31との間でシートSを挟み込む。これによって、前駆動ローラー31とシートSの間の摩擦力が確保され、前駆動ローラー31によるシートSの搬送を確実に行なうことができる。
回動ドラム30は、Y方向に並行な中心線を持つ円筒形状のドラムであり、その外周面にシートSを巻き掛ける。さらに回動ドラム30は、その円筒形状の中心線を通って軸方向に延びる回動軸302を有している。回動軸302は、図示を省略する支持機構によって回動可能に支持されており、回動ドラム30は、回動軸302を中心に回動する。
このような回動ドラム30の外周面に、前駆動ローラー30から後駆動ローラー32へと搬送されるシートSが裏面側から巻き掛けられる。そして、回動ドラム30は、シートSとの間の摩擦力を受けてシートSの搬送方向Dsに従動回転しつつ、シートSを裏面側から支持する。ちなみに、プロセス部3では、回動ドラム30への巻き掛け部の両側でシートSを折り返す従動ローラー33、34が設けられている。これらのうち従動ローラー33は、前駆動ローラー31と回動ドラム30の間でシートSの表面を巻き掛けて、シートSを折り返す。一方、従動ローラー34は、回動ドラム30と後駆動ローラー32の間でシートSの表面を巻き掛けて、シートSを折り返す。このように、回動ドラム30に対して搬送方向Dsの上・下流側それぞれでシートSを折り返すことで、回動ドラム30へのシートSの巻き掛け部を長く確保することができる。
後駆動ローラー32は、溶射によって形成された複数の微小突起を外周面に有しており、回動ドラム30から従動ローラー34を経由して搬送されてきたシートSを裏面側から巻き掛ける。そして、後駆動ローラー32は図1の紙面において時計回りに回転することで、シートSを巻取部4へと搬送する。なお、後駆動ローラー32に対してはニップローラー32nが設けられている。このニップローラー32nは、後駆動ローラー32側へ付勢された状態でシートSの表面に当接しており、後駆動ローラー32との間にシートSを挟み込む。これによって、後駆動ローラー32とシートSの間の摩擦力が確保され、後駆動ローラー32によるシートSの搬送を確実に行なうことができる。
このように、前駆動ローラー31から後駆動ローラー32へと搬送されるシートSは、回動ドラム30の外周面に支持される。また、プロセス部3では、回動ドラム30に支持されるシートSの表面に対してカラー画像を印刷するために、プロセスユニット3Uが設けられている。このプロセスユニット3Uは、印刷ヘッド36a〜36d、UV照射器37、38をユニット支持部材35で支持した構成を具備する。このユニット支持部材35は、回動ドラム30の円周形状に沿った円弧形状を有する2枚のユニット支持平板によって、印刷ヘッド36a〜36d、UV照射器37、38を前後方向Yから挟み込んで支持する。なお、図1に示すように、ユニット支持部材35(のユニット支持平板)と回動ドラム30との間には隙間Δが空いている。
搬送方向Dsに順番に並ぶ4個の印刷ヘッド36a〜36dは、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックに対応し、インクジェット方式で対応する色のインクをノズルから吐出する。これら4個の印刷ヘッド36a〜36dは回動ドラム30の回動軸302から放射状に配置されて、回動ドラム30の外周面に沿って並ぶ。そして、各印刷ヘッド36a〜36dは、ユニット支持部材35によって回動ドラム30に対して位置決めされ、若干のクリアランス(ペーパーギャップ)を空けて回動ドラム回動ドラム30に対向する。これによって、各印刷ヘッド36a〜36dは、所定のペーパーギャップを空けて、回動ドラム30に巻き掛けられたシートS表面に対向する。こうしてユニット支持部材35によってペーパーギャップが規定された状態で、各印刷ヘッド36a〜36dがインクを吐出することで、シートS表面の所望の位置にインクが着弾して、シートS表面にカラー画像が形成される。
印刷ヘッド36a〜36dで使用するインクとしては、紫外線(光)を照射することで硬化するUV(ultraviolet)インク(光硬化性インク)が用いられる。そこで、プロセスユニット3Uでは、インクを硬化させてシートSに定着させるために、UV照射器37、38が設けられている。なお、このインク硬化は、仮硬化と本硬化の二段階に分けて実行される。4個の印刷ヘッド36a〜36dの各間には、仮硬化用のUV照射器37が配置されている。つまり、UV照射器37は比較的弱い照射強度の紫外線を照射することで、インクの濡れ広がり方が紫外線を照射しない場合に比べて十分に遅くなる程度にインクを硬化(仮硬化)させるものであり、インクを本硬化させるものではない。一方、4個の印刷ヘッド36a〜36dに対して搬送方向Dsの下流側には、本硬化用のUV照射器38が設けられている。つまり、UV照射器38は、UV照射器37より強い照射強度の紫外線を照射することで、インクの濡れ広がりが停止する程度に硬化(本硬化)させるものである。こうして仮硬化・本硬化を実行することで、複数の印刷ヘッド36a〜36dが形成したカラー画像をシートS表面に定着させることができる。
このように印刷ヘッド36a〜36d、UV照射器37、38がユニット支持部材35に装着されて、プロセスユニット3Uが構成されている。なお、ユニット支持部材35は、前後方向Yに延びる2本のレール351により支持されており、さらに印刷ヘッド36a〜36d、UV照射器37、38を伴ってレール351上を前後方向Yに移動可能となっている。つまり、プロセスユニット3Uは、前後方向Yへ移動可能となっている。これにより、プロセスユニット3Uは、前後方向Yにおいて繰出部2および巻取部4とほぼ同じ位置に並ぶ印刷位置と、繰出部2および巻取部4とはY方向位置が大きく異なるメンテナンス位置との間で移動可能となっている。プロセスユニット3Uが印刷位置に位置する状態で、繰出部2からプロセス部3を経て巻取部4に至るシートSの搬送経路Pcが形成可能となり、プロセスユニット3UがシートSへの印刷を行うことができる。一方、プロセスユニット3Uがメンテナンス位置にある状態では、プロセスユニット3Uが外部空間に露出して、オペレータによる部品交換等の各種のメンテナンス作業が可能となる。
プロセス部3によりカラー画像の形成されたシートSは、後駆動ローラー32によって巻取部4へと搬送される。この巻取部4は、シートSの端を巻き付けた巻取軸40の他に、巻取軸40と後駆動ローラー32の間でシートSを裏面側から巻き掛ける従動ローラー41を有する。巻取軸40は、シートSの表面を外側に向けた状態で、シートSの端を巻き取って支持する。つまり、巻取軸40が図1の紙面において時計回りに回転すると、後駆動ローラー32から搬送されてきたシートSが従動ローラー41を経由して巻取軸40に巻き取られる。ちなみに、シートSは、巻取軸40に着脱可能な芯管(図示省略)を介して巻取軸40に巻き取られる。したがって、巻取軸40に巻き取られたシートSが満杯になった際には、芯管ごとシートSを取り外すことが可能となっている。
ところで、次に説明するように、UV照射器38は、紫外線を照射する光源を冷却するための冷却機構を具備する。この冷却機構は、ハウジング部材10外部から空気を取り込んでハウジング部材10外部へ空気を排出する気流を用いて光源を冷却する。そこで、ハウジング部材10には、外部から空気を取り入れる吸気口51と、外部へ空気を吐き出す排気口53とが、UV照射器38に対して設けられている。具体的には、吸気口51および排気口53は、ハウジング部材10に開口するルーバー等で構成される。さらに、ハウジング部材10の内部には、吸気口51からUV照射器38に至る吸気ダクト55と、UV照射器38から排気口53へ至る排気ダクト57とが、UV照射器38に対して設けられている。
吸気ダクト55の内部には吸気ファン67が設けられ、排気ダクト57の内部には排気ファン68が設けられており、これらのファンの作動により、吸気口51から吸入されて、吸気ダクト55の内部に形成される気流路Pg1、UV照射器38の上端部、および排気ダクト57の内部に形成される気流路Pg2を経て排気口53から排出される気流AFが発生する。この気流AFにより、UV照射器38から発せられる熱が装置外へ排出される。
以上が印刷装置1の構成の概要である。先に述べたとおり、印刷装置1では、比較的強い照射強度の光を照射するUV照射器38が設けられている。このようなUV照射器38は、強い照射強度の紫外線を照射するようにLED(Light Emitting Diode)等で構成された光源を駆動するため、光源の温度が上昇する。ただし、温度上昇に伴って、光源の照度は変化してしまう。そこで、UV照射器38は、光源を冷却する冷却機構により、光源の照度の安定化を図っている。続いて、このようなUV照射器38および関連する構成について説明する。
図2はUV照射器の概略構成を模式的に例示する図である。なお、図2では、UV照射器38が対向する領域においてシートSおよびシート搬送方向Dsが示されている。上述のとおり、シートSおよびシート搬送方向Dsは、回動ドラム30の外周面に沿って湾曲している。ただし、図2では、UV照射器38が対向する短い領域では、これらは直線状に近似できるとして直線で表されている。また、図2はUV照射器38のY方向両側面に設けられた側板380が取り外されて内部構造が露出した状態を示している。
UV照射器38は、平板形状を有する光源基板61の表面61aに、UV光を出射する例えばLEDのような発光素子Eを複数配列した構成を具備する。光源基板61では、前後方向Yおよび前後方向Yに直交するシート搬送方向Dsの両方向において複数の発光素子Eが並んでおり、換言すれば、前後方向Yおよびシート搬送方向Dsにおいて複数の発光素子Eがマトリックス状に配列されている。光源基板61の表面61aはシートSに対向しており、表面61aに配列された各発光素子Eは、UVインクを本硬化させる程度の強い照射強度の紫外線をシートSに向けて照射する。
発光素子EとシートSとの間には、発光素子Eを保護するために透明なガラス板63が設けられている。具体的には、光源基板61の表面61aに対してスペーサー64を介してガラス板63が装着されており、スペーサー64によりガラス板63が発光素子Eから離間した状態で、光源基板表面61aから一定の距離に保持されている。ガラス板63により、シートSが発光素子Eに接触したり、シートSから発生する紙粉等により発光素子Eが汚染されるといった問題が防止される。
また、UV照射器38は、光源基板61を支持する平板形状の固定基板62を有する。具体的には、光源基板61の裏面61b(表面61aの逆側の面)と固定基板62の表面62aとを熱伝導グリース層を介して接合した状態で、光源基板61が固定基板62にねじなどの固定部材629(図5)により固定されている。固定基板62は銅やアルミニウムといった金属であって、光源基板61よりも高い熱伝導率を有する熱伝導部材である。
さらに、UV照射器38は、固定基板62に接続されたヒートパイプ65を有する。ヒートパイプ65は棒を屈曲させたような形状を具備しており、前後方向Yに3本設けられている。具体的には、ヒートパイプ65の一端に設けられた被接続部分65aが、固定基板62の裏面62b(表面62aの逆側の面)に半田層を介して半田接合されている(換言すると固定基板62とヒートパイプ65とは半田層を介して熱的に接しているともいえる)。こうして、固定基板62を介して光源基板61に接続されたヒートパイプ65の被接続部分65aは、光源基板61の発光素子Eと熱的に接触する。つまり、発光素子Eの熱は、固定基板62を介してヒートパイプ65の被接続部分65aへと伝導する。なお、シート搬送方向Dsにおいて、被接続部分65aは、複数の発光素子Eが配列された範囲を内包するように設けられており、各発光素子Eから被接続部分65aへの高い熱伝導性が確保されている。換言すると被接続部分65aは、シート搬送方向Dsにおいて、複数の発光素子Eの配列長さよりも長く設けられている。本実施形態ではヒートパイプ65を3本設ける例を開示したが、ヒートパイプ65の本数はこれに限られず、1本以上であればよく、数が多いほどUV照射器38の冷却効果は高まる。
このヒートパイプ65は、第1領域R1と第2領域R2とに大別される。ヒートパイプ65の第1領域R1は、光源基板61の主面(表面61a、裏面61b)に並行にシート搬送方向Dsへ延びる領域であり、上述の被接続部分65aが設けられた領域である。一方、ヒートパイプ65の第2領域R2は、光源基板61の主面(表面61a、裏面61b)に交差する延設方向Diに第1領域R1から屈曲して延びることで、光源基板61に対して第1領域R1より離れる延設方向Diに延びる領域である。
第2領域R2が第1領域R1から延びた先(ヒートパイプ65の他端)には、被冷却部分65bが設けられている。つまり、この実施形態では、光源基板61に対して被接続部分65aよりも延設方向Diに離間した位置にまで被冷却部分65bが引き出されている。例えば、本実施形態では、被冷却部分65bの少なくとも一部が、回動ドラム30の径方向において、回動ドラム30(またはシートS)から遠い側の印刷ヘッド36a〜36dの端部よりも回動ドラム30から遠ざかる側に位置するように配置されている。そして、ヒートパイプ65は、被接続部分65aで受け取った発光素子Eの熱を被冷却部分65bまで輸送する熱輸送を行う。
ヒートパイプ65の被冷却部分65bには、多数の放熱フィン660を配列して構成された放熱部材66が取り付けられている。具体的には、放熱部材66の多数の放熱フィン660を延設方向Diから貫通する貫通孔に、各ヒートパイプ65の被冷却部分65bが圧入されて、放熱部材66を構成する放熱フィン660と被冷却部分65bとが熱的に接触している。放熱部材66では平板状の放熱フィン660が多数組み合わされることでX方向に貫通する断面積の比較的小さな気流路Pg3が多数形成されており、これらの気流路Pg3に空気が流通することで放熱フィン660の熱が空気に移動し、空気の流れととともに熱が運び去られる。このようにして、放熱部材66はその内部を流通する空気に対し熱を放出する。
そして、印刷装置1は、被冷却部分65bを冷却する冷却ファンを有する。冷却ファンとしては吸気ファン67および排気ファン68が設けられている。吸気ファン67は、UV照射器38に設けられており、被冷却部分65bおよび放熱部材66に対して、延設方向Diに交差する方向(例えば直交方向)から対向しており、被冷却部分65bおよび放熱部材66へ向けて送風する。具体的には、吸気ファン67は、被冷却部分65b、放熱部材66へ向けてダクト55が吸気口51からの空気を誘導する気流路Pg1上に配置されている。そして、吸気ファン67は、吸気ダクト55を介して吸気口51から取り込んだ外気(ハウジング部材10の外側の空気)を、被冷却部分65bおよび放熱部材66へ向けて送風する。
排気ファン68はダクト57に設けられている。被冷却部分65bおよび放熱部材66を通過した空気は排気ダクト57の内壁面を側壁とする気流路Pg2に流入する。該気流路Pg2のうち排気口53に近い位置に、排気ファン68が設けられており、排気ファン68は気流路Pg2内の空気を排気口53からハウジング部材10の外部へ放出する。すなわち、この実施形態では、吸気ファン67および排気ファン68の作動により、吸気口51から気流路Pg1、被冷却部分65bおよび放熱部材66、および排気口53を経て外部へ至る気流AFを生成する。こうして、吸気ファン67および排気ファン68により生成された気流AFが被冷却部分65bおよび放熱部材66に供給されて、被冷却部分65bおよび放熱部材66が冷却される。こうして発光素子Eから発生する熱がハウジング部材10の外部へ放出される。
また、UV照射器38には、光源基板61の発光素子Eを駆動する駆動回路が搭載された3枚の駆動回路基板69が、シート搬送方向Dsに並べて配置されている。各駆動回路基板69は、延設方向Diにおける光源基板61と被冷却部分65bの間で、ヒートパイプ65に並んで配置されている。そして、各駆動回路基板69は、図示を省略する信号線を介して発光素子Eに駆動信号を供給して、発光素子Eを発光させる。なお、駆動信号の大きさに対する発光量は、発光素子Eによって異なる。そこで、各駆動回路基板69は、各発光素子Eの発光量が所定範囲に収まるように、駆動信号の大きさを発光素子E毎に調整した上で、駆動信号を各発光素子Eに供給する。
この実施形態では、光源基板61から発生する熱はヒートパイプ65によって光源基板61から離れた位置まで輸送された上で外部へ放出される。このため、発光素子E近傍のスペースは、放熱のための構成以外の構成を配置するために用いることができる。そこで、発光素子E近傍のスペースを利用して、駆動回路基板69が発光素子Eに近接して配置されている。その結果、例えば、駆動回路基板69から発光素子Eに到る信号線を短くして、信号線に乗るノイズの影響を低減できるといったことが可能となる。さらに、駆動回路基板69と発光素子Eとを近接して配置できることから、駆動回路基板69および光源基板61を交換する際に、これらを一緒に交換することができ、交換に伴う作業を簡単に行えるという効果もある。
以上に説明したように、この実施形態では、シートSに対向して配置された光源基板61を有するUV照射器38が具備され、インクに紫外線を照射する発光素子Eが光源基板61に設けられている。そして、被接続部分65aから被冷却部分65bへ熱輸送を行うヒートパイプ65の被接続部分65aが、光源基板61に接続されて、光源基板61に熱的に接触する。一方、ヒートパイプ65の被冷却部分65bは、光源基板61に対して被接続部分65aより離間した位置にあり、吸気ファン67および排気ファン68は、こうして光源基板61から引き出された被冷却部分65bに対向して配置されて、当該被冷却部分65bを冷却する。したがって、発光素子Eの熱は、光源基板61に接続されたヒートパイプ65の被接続部分65aを介して、光源基板61から離れたヒートパイプ65の被冷却部分65bまで輸送される。そして、被冷却部分65bに輸送された発光素子Eの熱が、気流路Pg1、Pg3、Pg2を通る気流AFによって奪われる。
光源基板61から引き出されたヒートパイプ65の被冷却部分65bおよび放熱部材66は装置外部から取り込まれた外気により冷やされる。装置内、具体的にはハウジング部材10により囲まれる装置の内部空間には種々の熱源が設けられるため、装置内の空気の温度は外気温度より高い場合が多い。したがって、外部から取り入れられた比較的冷たい空気によって被冷却部分65bを冷却することで、被冷却部分65bにまで輸送された発光素子Eの熱を効率的に奪うことができる。その結果、この実施形態では、UV照射器38の発光素子Eを効率的に冷却することが可能となっている。
図3はUV照射器の主要部の外観を示す図である。より詳しくは、図3(a)は図2の矢印A方向から見たUV照射器38の主要部を示す図であり、図3(b)は図2の矢印B方向から見たUV照射器38の主要部を示す図である。これらの図および以下の各図においては、UV照射器38の構成を明示するため、側板380および吸気ファン67を取り外した状態が示されている。
図3(a)に示すように、UV照射器38は、表面に光源Eをマトリクス配列した光源基板61と、5つの冷却ユニット601〜605とを備えている。この例の光源基板61では、その表面61aの中央部分61cに、シート搬送方向Dsに沿って10個の発光素子Eを一列に並べてなる発光素子の列(発光素子列)が、Y方向に88列配置されている。なお、発光素子の個数はこれらの数値に限定されるものではない。これらの発光素子Eは、Y方向においては一定の配列ピッチで配列されている。また、シート搬送方向Dsにおいても発光素子Eは概ね一定ピッチで配列されているが、一部の列においては変則的な配置となっている。この点については後に詳述する。
5つの冷却ユニット601〜605のうち、図3(a)において右端、図3(b)において左端の1つの冷却ユニット605を除く4つの冷却ユニット601〜604の構造は互いに同一である。また、冷却ユニット605は、後述するベース部材の形状が一部異なる点を除き、他の4つの冷却ユニット601〜604と同じ構造を有している。
具体的には、冷却ユニット601はベース部材621、9本のヒートパイプからなるヒートパイプ群651、放熱部661を有する。各ヒートパイプの一端はベース部材621に半田接合され、他の一端は放熱部661に圧入されている。同様に、冷却ユニット602はベース部材622、ヒートパイプ群652、放熱部662を有する。また、冷却ユニット603はベース部材623、ヒートパイプ群653、放熱部663を有する。また、冷却ユニット604はベース部材624、ヒートパイプ群654、放熱部664を有する。また、冷却ユニット605はベース部材625、ヒートパイプ群655、放熱部665を有する。
ヒートパイプ群651〜655の構造は互いに同一であり、その構造および機能は先に説明したヒートパイプ65と変わりない。そこで、以下ではこれらのヒートパイプを代表的に符号65により表す。また、放熱部661〜665の構造も互いに同一であり、その構造および機能は先に説明した放熱部66と変わりない。そこで、以下ではこれらの放熱部を代表的に符号66により表す。
複数の冷却ユニットを設けた利点は次の通りである。UV照射器の冷却機構を一体に構成した場合、シートSの幅に対応する長さの冷却機構が必要となるため、大版のシートSに対応させた冷却機構は非常に大型となり、その組み立てやメンテナンスなどの取り扱いが難しくなる。いくつかのユニットに分割することで、製造およびメンテナンスにおける利便性を高めることができる。また、ユニット数を増減することにより種々のシート幅に対応することが容易である。また、冷却機構を同一構成の複数ユニットに分割することで、部品の共通化により装置の製造コストの低減を図ることが可能となる。
特に、ベース部材621等にヒートパイプ65を半田接合するのに際しては、半田層を溶融させるために、ベース部材621等にヒートパイプ65を組み付けた状態でリフロー炉に入れる場合がある。この場合、シート幅に対応させた構造物を処理するためには大規模なリフロー炉が必要となるが、上記のように複数のユニットに分割することで、小型のリフロー炉でも処理が可能となる。これにより、冷却機構の製造コストが大きく低減される。
図4はUV照射器の固定基板の構造を示す図である。より具体的には、図4(a)は固定基板62の分解図であり、図4(b)は固定基板62の平面図である。また図4(c)は固定基板62の組み立ての様子を示す図である。図4(a)および図4(b)に示すように、光源基板61を支持する固定基板62は、それぞれ平板形状を有しY方向に並べられた5つのベース部材621〜625と、これらをシート搬送方向Dsの両側から挟み込んで連結する1対の連結部材626,627とに分割されている。これらはいずれも熱伝導率の高い材料、例えば銅やアルミニウムなどの金属材料により構成される。なお、連結部材626,627については、例えばステンレス鋼のようなより寸法精度の高い材料を用いてもよい。
ベース部材621〜624は互いに同一形状であり、図4(b)に示すように、シートSに向く面の形状が平行四辺形となっている。シート搬送方向Dsに対する斜辺の傾きθは、例えば5度程度である。ベース部材621〜624は、もう1つのベース部材625とともにY方向に密着して順番に並べられる。図4(b)において右端のベース部材625の表面形状は、隣接するベース部材624と接する辺がベース部材624の斜辺と同じ傾きθを有するが、その対辺はシート搬送方向Dsと並行な台形である。これらが連結部材626,627により挟み込まれて固定基板62が構成される。
図4(a)、図4(b)では記載を省略しているが、前記した通り、各ベース部材621〜625の一方面にはヒートパイプ65が予め取り付けられている。固定基板62の組み立てに際しては、図4(c)に示すように、ベース部材621〜625のうちヒートパイプ65が取り付けられた面とは反対の面と、連結部材626,627の一主面とが定盤SPにより平面出しされた状態で、例えばねじなどの適宜の連結具628により互いに連結される。こうして各部材621〜627が一体化されて固定基板62が構成される。平面出しがなされた方の面が固定基板62の表面(固定面)62aとして、またこれとは反対側のヒートパイプ65が装着された面が裏面62bとして機能する。このように構成された固定基板62に、発光素子Eが配された光源基板61が固定される。
なお、図4(b)に示すように、固定基板62を構成する各部材621〜627のうち固定基板62の表面62aとなる面には、光源基板61を固定するためのねじ穴がそれぞれ設けられている。具体的には、連結部材626,627には、それぞれその長手方向(Y方向)に沿って複数のねじ穴626a,627aが1列に設けられている。また、各ベース部材621〜625それぞれの略中央部にも1つずつ、ねじ穴621a〜625aが設けられている。
図5は固定基板への光源基板の固定の状態を示す図である。より具体的には、図5(a)は固定基板62への光源基板61の固定方法を示す分解組立図であり、図5(b)は固定基板62に光源基板61を組み付けた状態での各部の寸法関係を示す図である。図5(a)に示すように、光源基板61の周縁部に設けられた貫通孔611および中央部に設けられた貫通孔612に例えばねじなどの固定部材629が挿通され、該固定部材629が固定基板62に設けられたねじ穴621a〜627aに係合することで、固定基板62に光源基板61が留め付けられる。
光源基板61は固定基板62を構成する各部材、すなわちベース部材621〜625および連結部材626,627にまたがって留め付けられるが、固定基板62の表面62aが平面となるように各部材621〜627が組み立てられるので、光源基板61の裏面61bと固定基板62の表面62aとが密着した状態が得られる。なお、光源基板61と固定基板62との間には熱伝導グリース層が設けられる。
この実施形態では、光源基板61の周縁部に設けられた貫通孔611に固定部材629を挿通して光源基板61の周縁部を固定基板62に固定するほか、光源基板61の中央部分61cにも貫通孔612が設けられて固定部材629が挿通される。光源基板の周縁部のみを固定した場合、光源基板の反りによって部分的に固定基板から離間してしまい、発光素子Eの十分な冷却を行えなくなることがある。複数の発光素子E間で冷却状態が不均一になると、位置による照射光量のばらつきに起因する印刷品質のムラが生じる。光源基板61の中央部分61cについても固定することで、光源基板61の反りによって固定基板62から浮き上がることが防止され、このような印刷品質の低下を未然に防止することができる。
ただし、光源基板61の中央部分61cは発光素子Eが配列された領域であり、光源基板61上において発光素子Eと貫通孔612との干渉を回避する必要がある。発光素子E間の間隔が広ければ、それらの間に貫通孔を設けて固定部材を装着することが可能である。しかしながら、印刷品質を確保するためには、印刷後の記録媒体(シートS)に強い光を照射することが望ましく、そのためには発光素子Eをできるだけ密集させることが必要である。このことから、基本的には発光素子Eを集中的に配置しながらも、貫通孔612を設けるために発光素子Eの配列を部分的に変更することが考えられる。
発光素子Eの配列が乱れることで、照射光量分布が不均一となって印刷品質が低下することが懸念される。この実施形態では、図5(b)に示すように、Y方向に並ぶ発光素子Eの列のいくつかについて、当該列に属する発光素子Eをシート搬送方向Dsにシフトさせて、これにより空いたスペースに貫通孔612を設けている。具体的には、1つの列について、当該列に含まれる10個の発光素子Eのうち(+Ds)側にある5つを(+Ds)方向に、他の5つを(−Ds)方向に、それぞれ一定のシフト量だけ移動させる。つまり、この列においてはその中央部で隣り合う発光素子E間の間隔が広げられる。
Ds方向において貫通孔612の両側で発光素子Eのシフト量の絶対値を同じにすることで、貫通孔612の中心を通りDs方向に直交する面に対して、当該列における発光素子Eの並びが対称となる。こうすることで、貫通孔612から見てシート搬送方向Dsの上流側および下流側で光量分布が対称となる。これにより、貫通孔612の位置での光量の落ち込みをその周囲の発光素子Eからの照射光である程度補うことができ、UV照射器38全体としての光量分布のムラを小さくすることができる。
シフトさせる発光素子Eの数を最小にして光量分布の乱れを抑えるために、固定部材629の最大径は発光素子EのY方向における配列ピッチP1以下であることが望ましい。これにより、1つの固定部材629を装着するために必要な発光素子のシフトは1列分のみで済む。したがって、固定部材629を装着する貫通孔612を設けるために必要なスペースのシート搬送方向Dsの長さも、発光素子Eの配列ピッチP1程度あればよいこととなる。このことから、シフトさせる発光素子Eの個々のシフト量としては、配列ピッチP1の(1/2)程度とすることができる。なお、このシフト量については、固定部材629のサイズや必要な貫通孔612のサイズに応じて適宜設定することができる。
発光素子Eのシフト方向をシート搬送方向Dsとするのは次の理由による。発光素子Eをシフト配置することにより、規則的な配置に比べると光量分布に若干のムラが生じることが不可避である。発光素子EをY方向にシフトした場合、光量分布のムラがY方向、つまりシートSの長手方向に直交する幅方向に現れる。このことは幅方向における印刷品質のムラの原因となる。
一方、Y方向における発光素子Eの配列を崩さず、Ds方向にシフトさせた場合には、搬送されるシートSの表面領域のうち、発光素子Eがシフトされた列との対向位置を通過する領域、発光素子Eのシフトがない列との対向位置を通過する領域のいずれにおいても、対向する発光素子Eの数には変わりがない。このため、シートS表面の各位置における照射光の総量には差がないので、印刷品質の劣化を抑えることができる。
発光素子Eの位置シフトに代えて、貫通孔を形成するために発光素子を除去した場合、当然にその列との対向位置ではシートSへの照射光量が小さくなってしまう。列内の発光素子の数を一定にして位置シフトを行うことで、このような問題は回避される。
そして、このように固定のための貫通孔612が設けられる部位を除いては、発光素子Eを密集させて配置することにより、対向位置を通過するシートSの表面に高強度の光を集中的に照射することができる。
また、この実施形態では、発光素子Eが配列された中央部分61c内に、Y方向に並ぶ複数の貫通孔612を設けるに当たり、貫通孔612の配置ピッチP2を、Y方向における発光素子Eの配列ピッチP1の自然数倍とするのが好ましい。この条件は、自然数Nを用いて次式:
P2=N・P1 … (式1)
で表すことができる。ここで貫通孔612の配置ピッチP2を発光素子Eの配列ピッチP1と同じとした場合、全ての列に貫通孔が設けられることとなるので、2以上の自然数であることがより好ましい。Nの値が小さいほど光源基板61の浮き上がりを抑える効果が高くなる。図5(b)から明らかなように、この実施形態ではN=18である。これは、搬送方向Dsに配列された発光素子Eの発光素子列中に貫通孔612が位置する発光素子列が、Y方向に配置ピッチP2で並んでいると言い換えることもできる。
さらに、貫通孔612は、固定基板62を構成するベース部材621〜625のそれぞれに対応して1つずつ設けられている。また、固定基板62を構成する連結部材626,627に対応する貫通孔611も、光源基板61には設けられている。このように、分割された固定基板62を構成する各部材のそれぞれに対応させて貫通孔を設け、それらに固定部材を挿通して光源基板61を留め付けることで、光源基板61と固定基板62とを強固に留め付けることが可能であり、特に固定基板62の表面(支持面)62aへの光源基板61の密着度を高めることができる。
ベース部材621〜624として同一形状の板状部材を用いるので、部品の互換性および加工を共通化できるという点から、ねじ穴621a〜624aの位置についても共通であることが望ましい。これを可能にするためには、固定基板62を複数のベース部材に分割するに際して、その分割ピッチ(ベース部材のY方向における幅)を貫通孔612のピッチP2の自然数倍とすればよい。具体的には、表面が平行四辺形である各ベース部材621〜624のY方向に沿った辺の長さが分割ピッチP3となる。この条件は、自然数Mを用いて次式:
P3=M・P2=MN・P1 … (式2)
で表すことができる。
例えば図5(b)に示すようにM=1とすると、互いに同一位置にねじ穴621a〜624aを設けたベース部材621〜624をY方向に並べたときに、各ベース部材に設けられたねじ穴のY方向における配置ピッチが光源基板61の貫通孔612のY方向の配置ピッチP2と同じになり、光源基板61の貫通孔の位置とベース部材62のねじ穴の位置とが一致する。そのため、各ベース部材で穴加工位置を変える必要がなく、また各ベース部材の位置を入れ替えても問題なく組み立てることが可能となる。
またMの値が2以上の場合でも、1つのベース部材にそれぞれM個のねじ穴を設ける必要が生じるが、光源基板61の貫通孔とねじ穴との位置関係については上記と同様に全て一致させることが可能である。
次に、このようにして固定基板62の表面62aに留め付けられる光源基板61と、固定基板62の裏面62bに接合されたヒートパイプ65との位置関係について、図6を参照して説明する。
図6はベース部材に固定された光源基板とヒートパイプとの位置関係を示す図である。なおここでは、図を見やすくするため、1つのベース部材622に取り付けられたヒートパイプ65のみを図示し、他のヒートパイプの図示を省略している。図6に示すように、ベース部材622はその主面が平行四辺形となった板状部材である。9本のヒートパイプ65は、平行四辺形の斜辺と並行に延びる帯状領域Rにおいてベース部材622の裏面に接している。9本のヒートパイプ65に対応する9つの帯状領域Rによって、ベース部材622の裏面のほぼ全体が覆われる。言い換えれば、ベース部材622の裏面をできるだけ広く覆うように、ヒートパイプ65がベース部材622に接合される。こうすることにより、ベース部材622からヒートパイプ65への熱伝達の効率を高めることができ、発光素子Eの冷却効率を向上させることができる。
発光素子Eの並びとの対比では、発光素子Eの配列方向(Y方向およびDs方向)に対して帯状領域Rが斜め方向に延びている。こうすることにより、ヒートパイプ間の熱輸送能力のばらつきに起因する印刷品質のムラを抑制することができる。もし例えばヒートパイプ65とベース部材622とが接する帯状領域Rの長手方向がDs方向と平行であったとすると、ヒートパイプ65間の特性ばらつきに起因する冷却効率の差がY方向に現れるため、Y方向における印刷品質のばらつきが問題となる。
一方、帯状領域Rの長手方向をY方向とすれば、ヒートパイプの先端部と中間部とで吸熱能力が異なるため、やはりY方向において冷却効率の差が生じる。
帯状領域Rの長手方向をY方向、Ds方向のいずれとも異ならせて、発光素子Eの並びに対して斜め方向に配置すると、Ds方向に沿った1つの列に含まれる発光素子Eの冷却に複数のヒートパイプを関与させることが可能となる。これにより、各ヒートパイプ65の特性ばらつきがY方向に希薄化されて、印刷品質への影響を低減することができる。このことはベース部材が薄く主面に沿った方向への熱拡散が期待できない場合に特に有効となる。
また、ヒートパイプ65を斜めに取り付けることで、被接続部分65aを長くして、1本のヒートパイプによる固定基板62への接触面積を大きくすることができる。そのため、同じ面積をヒートパイプで覆うために必要なヒートパイプの本数が少なくて済むという効果もある。
なお、複数ブロックに分割された固定基板に対してこのようにヒートパイプを斜めに取り付けるためには、分割により得られる各ブロックの境界に沿った方向が、帯状領域の長手方向と並行であることが望ましい。これらの方向が一致しない場合、各ブロックとヒートパイプとの接触面積が制限され、冷却効率が低下するからである。すなわち、本実施形態において各ベース部材621〜625の平面形状が平行四辺形または台形となっているのは、このようにヒートパイプ65を斜め方向に設置し、かつ各ベース部材621〜625とヒートパイプ65との接触面積を最大化するためである。
以上説明したように、この実施形態では、シートSが本発明の「記録媒体」に相当しており、印刷ヘッド36a〜36dが本発明の「印刷部」として機能している。また、光源基板61が本発明の「基板」として機能しており、その表面61aが本発明の「一方の面」に、裏面61bが「他方の面」に相当している。また、光源基板61に設けられた貫通孔611,612が本発明の「固定孔」として機能している。
また、固定基板62が本発明の「熱伝導部材」および「板状体」として機能している。また、各ベース部材621〜625が本発明の「ブロック」に相当している。また上記実施形態では、シート搬送方向Dsが本発明の「搬送方向」に、またY方向が「搬送方向と交差する方向」に、それぞれ対応している。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では固定基板62が複数のブロックに分割されているが、発光素子が配列された領域内で光源基板を固定することで冷却ムラを抑制するとの技術思想は、分割されていない一体の固定基板を用いた場合でも同様に有効なものである。
また例えば、上記実施形態では、固定基板62を構成する5つのベース部材のうち4つのベース部材621〜624を互いに同一形状とする一方、他の1つのベース部材625については主面の1辺をDs方向とした台形としているが、全てのベース部材が同一形状であってもよい。また、固定基板62の分割態様や分割数についても、上記したものに限定されず任意である。また、シートSの幅に対応して一体的に形成された冷却機構に対しても、本発明は有効に機能する。
また例えば、上記実施形態では固定基板62にヒートパイプ65を取り付けて、光源基板61から奪った熱を放熱部66に輸送して放熱しているが、例えば光源基板61の裏面61bあるいは固定基板62の裏面62bに放熱板を直接取り付けた構成であっても、本発明を好適に適用することが可能である。
また、上記実施形態は印刷手段として4個の印刷ヘッド36a〜36dを有しカラー画像を形成する装置であるが、印刷ヘッドおよびインク色の数はこれに限定されず、例えば単一色のインクでモノクロ画像を形成する装置に対しても、本発明を適用することができる。
また、上記実施形態の印刷装置はインクジェット方式により光硬化性インクを記録媒体としての長尺のシートSに付着させて画像を印刷する装置であるが、記録媒体の種類はこれに限定されず任意のものを使用可能である。また記録媒体に付着させるものは光硬化性を有する液体であればインクに限定されず、印刷の目的も画像形成に限定されない。