以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、同一または相当する部分には同一符号を付してその説明を簡略化ないし省略する。
実施の形態1.
[実施の形態1の飛行装置の全体構成]
図1は本発明の実施の形態1における飛行装置を説明するための模式図である。図1(a)は上面図、図1(b)は側面図を表している。図1における飛行装置の本体としての浮遊体2を有している。浮遊体2は、ここでは長さ1m前後の風船上の物体であり、内部には空気より密度の低いガスが充填され、気嚢として機能する。
尚、以下の実施の形態において、浮遊体2の前後方向に平行で、かつ、浮遊体2の浮力中心Oを通る軸をx軸、左右方向に平行で浮力中心Oを通る軸をy軸、上下方向に平行で浮力中心Oを通る軸をz軸として説明する。また、各図又はその説明において、x軸、y軸、z軸、前後方向、左右方向、上下方向という場合、浮遊体2に対する相対的な軸及び相対的な方向を示すものとする。また、鉛直方向という場合、絶対的な鉛直方向を示すものとし、中心Oを通る鉛直方向の軸をZa軸で示し説明する。また、上下方向、左右方向、前後方向のそれぞれは、飛行装置が設計上の浮遊体2の形状を保ち定姿勢で安定して浮遊する場合における、飛行装置の上下方向、左右方向、前後方向を意味するものとする。
浮遊体2の側面にはプロペラ4a、4bが設置されている。プロペラ4a、4bは、浮遊体2のy軸の延長線上近傍の位置に、互いに左右対称に設置されている。プロペラ4a、4bの近傍にはそれぞれモータ6a、6bが設置されている。モータ6aが駆動することでプロペラ4aが回転し、モータ6bが駆動することでプロペラ4bが回転する。モータ6a及び6bを同じ方向に回転させることで、前進方向又は後進方向の力が発生する。一方、モータ6a及び6bを互いに逆方向に回転させることで、ヨー方向の旋回が可能となる。また、浮遊体2には、浮遊体の姿勢を検知するための姿勢検出器(図示せず)が設置されている。姿勢検出器としては例えば、ジャイロスコープ、地磁気センサ、加速度センサ、9軸センサ等が用いられる。
[重心移動装置10の構成]
図1に示されるように浮遊体2の内部には重心移動装置10が設置されている。図2は、重心移動装置10を拡大して表した図である。図2を参照して、重心移動装置10は、円形の枠体12を有している。枠体12の円形の面は浮力中心Oを中心とする面であり、かつ、浮力中心Oを含む左右方向に垂直な面内、即ちxz平面上に配置される。
枠体12内には変位可能な状態で錘14が設置されている。錘14には、第1〜第4の4つの伸縮駆動体16、18、20、22のそれぞれ一端が接続されている。第1〜第4伸縮駆動体16、18、20、22の他端は、それぞれモータ16a、18a、20a、22aに接続されている。モータ16a〜22aは、枠体12の互いに異なる位置に接続されている。具体的に、第1伸縮駆動体16のモータ16aはz軸と枠体12との上側の交点付近に設置され、第2伸縮駆動体18のモータ18aは下側の交点付近に接続されている。第3伸縮駆動体20のモータ20aは、x軸と枠体12との前側の交点付近に接続され、第4伸縮駆動体22のモータ22aは、後ろ側の交点付近に接続されている。第1〜第4伸縮駆動体16〜22は、それぞれのモータ16a〜22aが駆動することでその長さが変更され、伸縮可能に構成されている。
図3は、本発明の実施の形態1における錘14の内部の構成を説明するための模式図である。図3において、(a)は図2の錘14のA−A断面を、図2の右側(即ち、浮遊体2の前方)から見た図であり、(b)は図3(a)のB−B断面を右側から見た図である。
図3に示されるように、錘14内には錘の位置を制御するための制御機構が内蔵されている。具体的に、錘14には、無線通信回路30と制御装置32が配置されている。無線通信回路30は外部からの操作信号を受信するための回路である。制御装置32の入力部には無線通信回路30からの信号及び位置検出器からの信号が入力される。一方、制御装置32の出力部から、第1〜第4伸縮駆動体16〜22の各モータ16a〜22aに制御信号が出力される。また、錘14内には、バッテリ34が配置されている。バッテリ34により、モータ6a、6bやモータ16a〜22aの駆動等、本実施の形態1の飛行装置において必要な電力が供給される。
上記のように錘14内に制御機構が設置されることで、飛行装置全体の浮力に対する約9割の荷重が錘14に集中する。これにより錘14は飛行装置の重心位置を変えるだけの荷重を有するように構成されている。重心移動装置10は錘14の、枠体12内での位置を後述するように変位させることで、飛行装置の重心を移動させる。
[重心移動装置の動作]
図4は本発明の実施の形態1の重心移動装置10内で、錘14が移動した状態を説明するための図である。図4の(a)では錘14をz軸上側に移動させた例を示している。この例では、モータ16aの駆動により、第1伸縮駆動体16が所定の長さ分巻き取られ、第1伸縮駆動体16の長さは少なくとも枠体12の半径から錘14の半径を引いた長さより短くなる。これに伴い、第2〜第4伸縮駆動体18〜22が所定の長さ分巻き出され、長い状態となる。その結果、第1伸縮駆動体16が巻き取られた分、錘14がz軸上方側に移動する。
また図4の(b)では、モータ16a及びモータ22aが駆動することで、第1及び第4伸縮駆動体16、22がそれぞれ所定の長さ分巻き取られる。これに伴い、第2及び第3伸縮駆動体18、20は所定の長さ分巻き出される。これにより錘14は、図4(b)に示されるように、第1、第4伸縮駆動体16、22により引かれ、飛行装置に対して上斜め後ろ側に移動する。
このように第1〜第4伸縮駆動体16〜22をモータ16a〜22aの駆動により巻き取ることで、錘14を自在に変位させ、結果として飛行装置の重心の位置を、前後両方向の斜め下45度の方角より上側にある方角を含む枠体12内の全方角に、自在に変位させることができる。
[重心移動による飛行装置の動作]
図5及び図6は本発明の実施の形態1における飛行装置の側面側の断面を表す図である。即ち図5及び図6はxz面における断面を表し、それぞれ飛行装置の動きを説明するための図である。例えば、図5(a)に示されるように、錘14が浮力中心にある状態から、第2、第4伸縮駆動体を巻き取ることで錘14を下側斜め後ろに移動させると、飛行装置の重心が錘14に伴って移動する。その結果、錘14には、浮力中心Oに対して鉛直下側の位置に移動する力が働く。錘14は伸縮駆動体16〜22によって枠体12に接続され枠体12は浮遊体2に固定されている。従って、錘14の動きに伴って飛行装置全体の姿勢が変化する。ここでは、錘14の移動に伴い、飛行装置は前方先端が下がるようにピッチ方向に回転することとなる。
また例えば、図6に示されるように、第4伸縮駆動体22を巻き取って錘14をx軸後ろ側に移動させる。その結果、錘14は浮力中心Oに対して鉛直下側に移動する。錘14の移動に伴い図6に示されるように、浮遊体2は真上を向いた状態となる。
なお本実施の形態において、鉛直方向と浮遊体2の上下方向が概ね一致する定位置で浮遊しあるいは水平飛行を行う場合、錘14は枠体12の中心(即ち、浮力中心)に維持される。これにより飛行装置は、重心と浮力中心とが概ね一致した状態で安定的に水平飛行又は浮遊することができる。
本発明において、枠体12内における錘14の浮力中心Oに対する方向とそれによる飛行装置の姿勢との対応関係は、予め計算され、制御装置32のメモリ(図示せず)等に記憶されているものとする。
[制御機構について]
図7は、本発明の実施の形態1における制御について説明するためのブロック図である。図7に示されるように、姿勢検出器において検出された現在の姿勢に関する情報、及び、無線通信回路30において受信された目標姿勢に関する情報が制御装置32に入力される。制御装置32はこれに応じて、ヨー方向の移動角と、ピッチ方向の移動角とをそれぞれ算出する。算出されたヨー方向の移動角に応じて、モータ6a及び6bに制御信号が発せられる。この信号に従ってモータ6a、6bは回転し、それぞれの回転によりプロペラ4a及び4bが回転し、前後方向への移動又はヨー方向の回転が実行される。一方、ピッチ方向の移動角に応じた位置に錘14が方向するように、第1〜第4伸縮駆動体16〜22それぞれのモータ16a〜22aに制御信号が発せられ、伸縮駆動体16〜22が巻き取り、又は巻き出しされる。その結果、錘14が所望の方向に移動して、飛行装置がピッチ方向に回転する。
[飛行装置の回転の具体的な制御について]
図8は、本発明の実施の形態1において制御装置32が実行する制御について説明するためのフローチャートである。図8に示される例は、ピッチ方向の回転のみ行う場合の例である。無線通信回路30が飛行装置の操作者からの操作信号を受信すると、制御装置32は無線通信回路30から目標姿勢θを取得すると共に、現在の飛行装置の姿勢を取得する(ステップS102)。
次に、制御装置32は目標姿勢と現在姿勢とに応じて、錘14の移動量を算出する(S104)。次に、移動量に応じて第1〜第4伸縮駆動体16〜22のモータ16a〜22aを駆動させる(S106)。即ち、第1〜第4伸縮駆動体16〜22が巻き取り又は巻き出しされる。これにより錘14が移動する。
次に、姿勢検出器の出力が検出されて現在姿勢が取得され(S108)、現在の姿勢が目標姿勢と一致するかが確認される(S110)。その結果、現在の姿勢が目標姿勢と一致していない場合には、ステップS112の処理へ進み、現在の姿勢と目標姿勢との角度差に応じて、錘14の位置の補正量が算出される。次に、再びS106に進み、モータ16a〜22aにより伸縮駆動体16〜22が駆動される。現在姿勢が目標姿勢と一致するまで、ステップS112〜S110の処理が繰り返される。一方、ステップS110において、現在姿勢と目標姿勢との一致が認められた場合、今回の処理は終了する。
以上説明したように、本実施の形態1によれば、飛行装置内部に設置された重心移動装置10により、飛行装置の重心をxz平面内で自在に移動させることができる。これにより、ピッチ方向の回転を自在とすることができ、浮遊体2の姿勢を自在に変更させることができる。
図9〜図10は、本発明の実施の形態1の機構により可能となる飛行装置の移動の例を説明するための図である。例えば、図9に示されるように、プロペラ4a、4bによる前進と共に、錘14の位置を徐々に移動させることで、図9に示されるようなピッチ方向の旋回が可能となる。同様に、図10に示されるように、ピッチ方向の向きを変えることにより、狭い空間への侵入も可能となる。また、プロペラ4a、4bによる推力を発生させず、錘14のみを移動させることで、その場でのピッチ方向の回転も可能となる。
[重心移動装置10の他の構成例]
上記の実施の形態1ではモータ16a〜22aを設置し、伸縮駆動体16〜22を巻き取ることで、その長さを変更する場合について説明した。しかし、本発明において、錘14を移動させる駆動手段は、これに限られるものではない。例えば、伸縮駆動体16〜22及びモータ16a〜22aに替えて、形状記憶合金を伸縮駆動体として用いることができる。形状記憶合金を用いる場合にも、伸縮駆動体16〜22と同様の配置で、4つの形状記憶合金からなる伸縮駆動体を設置する。形状記憶合金は、電流が流され所定の温度に加熱されることにより記憶された記憶形状となる。この記憶形状の状態において、形状記憶合金の長さが、少なくとも枠体12の半径から錘14の半径を引いた長さより短くなるように構成する。
これにより、いずれかの伸縮駆動体に電流が流されるとその伸縮駆動体は、記憶形状の短い状態となる。一方、加熱されていない形状記憶合金は剛性が低いため、通電された伸縮駆動体に引かれその長さが伸びた状態となる。その結果、錘14が通電された伸縮駆動体側に移動する。
ここで用いられる形状記憶合金からなる伸縮駆動体の長さが、枠体12から錘14の半径を引いた長さより短くなるのは、記憶形状の状態となった場合のみであり、記憶形状は予め定められた形状である。従って4つの形状記憶合金のいずれか1つ又は2つを加熱することで得られる錘14の位置は、x軸前方向を0度方向とした場合に、xz平面を左回りに約0度方向、約45度方向、約90度方向、約135度方向、約180度方向、約225度方向、約270度方向、約315度方向、約345度方向となる。このように形状記憶合金を伸縮駆動体として用いる場合、錘14の移動方向が制約される。しかし、この場合でも、枠体12内の少なくとも、前後両方向の斜め下45度の方角より上側にある方角(即ち、ここでは約0度方向、約180度方向、約225度方向、約270度方向、約315度方向、約345度方向)を含む領域内で、錘14の移動が可能である。このように形状記憶合金を用いる場合でも、8方向の錘14の移動が可能であり、飛行装置をある程度自由に回転させることができる。
また、本発明における伸縮駆動体は、形状記憶合金に限られるものではない。例えば、伸縮駆動体16〜22に替えて、気圧により伸縮可能な空気圧アクチュエータを用いることもできる。またこれに限られるものではなく、気圧、水圧、油圧、電圧、熱源等によって伸縮可能な駆動体を伸縮駆動体16〜22に替えて用いることができる。これは他の実施の形態において本実施の形態が適用される場合にも同様である。
また、伸縮駆動体16〜22の端部を、z軸とx軸と枠体12との各交点付近の位置に設置する場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限られるものではなく、伸縮駆動体の端部が他の位置に設置されているものであってもよい。この場合、隣り合う伸縮駆動体により形成される角が90度になるように配置されるものにも限られず、錘14を安定的に枠体12内で移動させることができるものであれば、伸縮駆動体の設置方向、設置位置は限定されるものではない。これは他の実施の形態において本実施の形態が適用される場合にも同様である。
また、伸縮駆動体は必ずしも4つに限られない。例えば、3つの伸縮駆動体により錘14を移動させるものであってもよく、5以上の伸縮駆動体によって錘を支えるものであってもよい。これは他の実施の形態において本実施の形態が適用される場合にも同様である。
また、本実施の形態1においては枠体12の中心が、浮力中心と一致する場合について説明した。これにより飛行装置の姿勢を安定的に移動させることができる。しかしながら、浮力中心と枠体の中心は必ずしも一致するものに限られない。但し、錘14が移動する範囲内に浮力中心Oがあることが必要である。これは他の実施の形態において本実施の形態が適用される場合にも同様である。
また、本実施の形態では枠体12の円形の面が浮力中心Oを通るxz平面上にあるものとし、xz平面上で錘14が移動できる構成とする場合について説明した。しかしこの発明はこれに限られるものではない。例えば、必要に応じて、枠体12の円形の面が、浮力中心Oを通るyz平面上に配置されるものであってもよい。このようにyx平面上の向き、即ち前後方向の軸に垂直の枠体12を設置して、錘14を移動させることで、ピッチ方向の回転に替えて、ロール方向の回転を自由に操作できるようにすることができる。このような場合にも、錘14を変位させ、結果として飛行装置の重心の位置を変位させる領域は、前後両方向斜め下45度の方向の線を上下方向の軸を中心に回転させた位置よりも上側にある位置のうち、錘14が変位する枠体12のyx面内にある位置を少なくとも1つ含む領域とする。つまり、枠体12を前後方向の軸に垂直な方向に設置する場合、錘14を変位させることにより重心の位置を変位させる領域は、左右両方向斜め下45度の方角よりも上側にある方角を含む領域とする。これは他の実施の形態において本実施の形態が適用される場合にも同様である。
また、本実施の形態では錘14内部に無線通信回路30、制御装置32、及びバッテリ34を含む制御機構を内蔵する場合について説明した。これにより錘14に荷重を集中させることができ、飛行装置の操作性を向上させることができる。しかし本発明はこれに限られるものではなく、制御機構全体、またはその一部を錘14の外に設置するものであってもよい。この場合にも、錘14の重量自体を、全体の重さに対して、重心を移動できる程度の重量にすることで、本発明の構成を実現することができる。これは他の実施の形態において本実施の形態が適用される場合にも同様である。
また、本実施の形態において図示した浮遊体2の形状等は本発明を限定するものではない。また、本発明は浮遊体2の左右対称にプロペラ4a、4bを有する構成に限られるものでもなく、例えば、浮遊体2の後部にヒレ等を設置してこれをモータ等により駆動することで推進力を得る構成としてもよい。また、このようなプロペラ等の推進力を発する機構が搭載されたものに限られず、これらの機構を有さないものであってもよい。この場合にも、本発明の重心移動装置10により、浮遊体2のピッチ方向の旋回を確保することができる。これは他の実施の形態において本実施の形態が適用される場合にも同様である。
実施の形態2.
図11は本発明の実施の形態2における重心移動装置40について説明するための図である。図11の重心移動装置40は、実施の形態1の重心移動装置10に替えて用いられる。図11の重心移動装置40は、実施の形態1と同様に、浮力中心Oを含むxz平面に、枠体12の円形の面が配置されるように設置され、飛行装置のピッチ方向の回転をコントロールするものである。
具体的に、重心移動装置40において、枠体12内円に沿ってレール42が設置されている。レール42には、レール42と組み合わされて錘44が設置されている。錘44は後述する機構によりレール42上を、浮力中心Oを中心とし、枠体12内の全方角を自由に移動することができる。
図12は、本発明の実施の形態2における錘44の構成について説明するための図である。図12において、(a)は錘44のC−C方向の断面を表し、(b)は(a)におけるD−D方向の断面を表している。図12に示されるように、錘44は、図3の錘14と同様に、無線通信回路30、制御装置32及びバッテリ34を備えている。また、錘44はモータ46を有する。モータ46にはシャフト48が接続され、シャフト48には平歯車50とタイヤ52とが紙面左右対称に設置されている。各平歯車50に噛み合うように、紙面左右対称に平歯車54が設置されている。平歯車54の内側にはタイヤ56が紙面左右対称に設置されている。平歯車54とタイヤ56の中心には、シャフト58が取り付けられている。タイヤ52とタイヤ56との間にはレール42が設置され、タイヤ52とタイヤ56とはレール42に接している。
モータ46が駆動すると、シャフト48が所定の方向に回転し、これによりタイヤ52及び平歯車50が回転する。平歯車50の回転により、平歯車54が回転し、これによりシャフト58が回転し、タイヤ56がタイヤ52とは逆周りに回転することとなる。これによりレール42上を、錘44が移動することができる。なお、モータ46を正逆の方向に回転させることで、錘44の前後両方向への移動が可能となる。
なお本実施の形態において、鉛直方向と浮遊体2の上下方向が概ね一致する定位置で浮遊しあるいは水平飛行を行う場合、錘44はz軸と枠体12との下側の交点付近の定位置に維持される。つまり飛行装置が定位置で浮遊又は飛行する状態において、錘44は浮力中心Oの鉛直下方向に配置される。また、制御装置32には錘44の位置と飛行装置の姿勢との対応関係が予め記憶されている。
図13は、本発明の実施の形態2における制御について説明するためのブロック図である。本実施の形態2における制御は、ピッチ方向の回転を行う場合に、モータ46に制御信号を出力し錘44を移動させる点を除き、実施の形態1の制御と同一である。具体的に、制御装置32は、姿勢検出器と無線通信回路30からの信号の入力を受けて、現在姿勢と目標姿勢とを検知する。そして現在姿勢と目標姿勢とのピッチ方向の角度の差分から錘44の移動角度を定め、モータ46の駆動量及びその方向を決定する。決定された駆動量及び方向に応じて、モータ46に制御信号が発せられ錘44が移動する。
本実施の形態2の具体的な制御は、図8のステップS104又はステップS112において、錘44の移動量を算出し、ステップS106において、伸縮駆動体16〜22を駆動する処理に替えて、モータ46により錘44を移動させることで同様に実現することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、浮力中心Oを通るxz平面にある枠体12に沿って錘44の位置を自由に移動させることができる。これにより、実施の形態1の構成と同様に、浮遊体2をピッチ方向に自在に旋回させることができ、浮遊体2の操作性を向上させることができる。
なお、本実施の形態2において説明したレール42に沿って錘44を移動させる機構は、本発明を拘束するものではない。即ち、枠体12に沿って、錘44を自由に移動させることができる機構であれば、他の機構を用いてもよい。これは他の実施の形態において本実施の形態が適用される場合にも同様である。
また、本発明において、レールに沿って錘を移動させる機構は、本実施の形態のようにレール42が枠体12の内円周に沿って配置されるものに限られない。例えば、実施の形態1のように、浮力中心Oを通り、直交する枠体12の直径方向にレールを設置し、このレール上に錘を動かすものであってもよい。またレールが直交する場合に限られるものでもなく、例えば枠体12の中心から放射線状に複数の方向にレールを配置し、このレール上に錘を動かすようにしたものであってもよい。これは他の実施の形態において本実施の形態が適用される場合にも同様である。
実施の形態3
実施の形態3の飛行装置は、実施の形態2の飛行装置と重心移動装置が異なる点を除き同一ものである。図14は本発明の実施の形態3における重心移動装置について説明するための模式図である。この重心移動装置60は、実施の形態2の重心移動装置40に替えて用いられるものである。重心移動装置60は、浮力中心Oを中心とする3次元空間内に錘を移動させることができる。
具体的に、重心移動装置60は枠体12を有している。枠体12は実施の形態2と同様に、xz平面上に円形の面が配置されるように浮遊体2に取り付けられている。枠体12の内側には、円形の枠体62が設置されている。枠体62の中心は、浮力中心Oと概ね一致する。円形の枠体62の内円周に沿ってレール64が設置されている。レール64には、実施の形態2の錘44と同一の構成の錘44がレール64に組み合わされ、レール64上を移動可能に取り付けられている。重心移動装置60はモータ66を有している。モータ66は枠体12に設置されている。モータ66にはシャフト68が接続され、シャフト68は枠体62に接続されている。シャフト68はx軸と概ね一致する位置に配置される。
モータ66の駆動力はシャフト68を介して枠体62に伝えられる。つまりモータ66により、枠体62及びレール64を図14の矢印E方向に自由に回転させることができる。ここで枠体62は浮力中心Oを中心に回転するように構成されている。
重心移動装置60によれば、錘44はレール64上を、矢印Fに示されるように、自由に移動することができる。またレール64はx軸上に設置されたシャフト68を回転軸として回転する。これにより、錘44は、レール64の回転によって形成される浮力中心Oを中心とする球表面を、自由に移動することができる構成となっている。
これにより重心移動装置60は、浮力中心Oを中心とする3次元空間内で自由に重心を移動させることができる。その結果、浮遊体2のピッチ方向の回転に加え、ロール方向の回転が可能となる。つまりレール64上の錘44の移動によって、x軸方向における飛行装置の重心位置が移動することで、浮遊体2はピッチ方向に旋回し、レール64の回転によって、y軸方向における飛行装置の重心位置が移動することで、浮遊体2はロール方向に旋回する。これにより浮遊体2のピッチ方向、ロール方向の回転が可能となっている。
なお本実施の形態において、鉛直方向と浮遊体2の上下方向が概ね一致する定位置で浮遊しあるいは水平飛行を行う場合、枠体62は枠体12と同一平面にある位置に固定され、錘44はz軸と枠体12との下側の交点付近の定位置に維持される。つまり飛行装置が定位置で浮遊又は飛行する状態において、錘44は浮力中心Oの鉛直下方向に配置される。また、制御装置32には錘44の位置と飛行装置の姿勢との対応関係が予め記憶されている。
図15は本発明の実施の形態3における制御について説明するためのブロック図である。図15の制御は、ロール方向の姿勢をも制御する点を除き実施の形態2の制御と同様である。即ち、姿勢検出器と無線通信回路30とによって、現在姿勢と目標姿勢とが入力されると、制御装置32は、現在姿勢と目標姿勢との差分から、錘44のレール64上の移動量と、レール64の回転量とを算出する。錘44のレール64上の移動量に応じた制御信号がモータ46に出力され、錘44が移動する。一方、レール64の回転量に応じた制御信号がモータ66に出力され、枠体62とレール64が回転する。これにより、錘44は、目標姿勢に応じた位置に移動し、浮遊体2の姿勢が制御される。
本実施の形態の具体的な制御は、図8のステップS104又はS112において、錘44の移動量を算出し、ステップS106において伸縮駆動体16〜22を駆動する処理に替えて、モータ46により錘44を移動させることで同様に実現することができる。
以上説明したように、本実施の形態3の重心移動装置60を内蔵する飛行装置は、プロペラによるピッチ方向の旋回と、重心移動装置60によるピッチ方向の旋回とロール方向の旋回とを行うことができ、より自由に空間内を移動させることができる。
なお、本実施の形態では枠体12がxz平面上に設置され、枠体62がx軸上に設置されたシャフトを中心に回転する場合について説明した。しかし、本発明はこれに限られるものではなく、逆に、枠体12がyz平面上に固定され、枠体62がy軸上に設置されたシャフトを中心に回転するものとしてもよい。この場合にも錘44は同様に、レール64により形成される球表面内を自由に移動することができ、ピッチ方向、ロール方向の回転を自在に行うことができる。また、枠体12を設置する平面、及びレール64の回転軸は、必ずしも、xy軸と一致する必要がなく、軸からずれた斜め方向の平面に設置され、あるいは、軸とは異なる斜め方向のシャフトを回転軸とするものであってもよい。これは他の実施の形態において本実施の形態が適用される場合にも同様である。
また、枠体12及びレール64の中心は共に浮力中心Oと一致する場合について説明した。しかし、本発明はこれに限られるものではなく、浮力中心Oがレール64の回転により形成される球体内にあるものであれば、枠体12やレール64の中心がずれているものであってもよい。これは他の実施の形態において本実施の形態が適用される場合にも同様である。
また、本実施の形態では、実施の形態2の錘44がレール上を移動する構成を利用して、レールを回転させる場合について説明した。しかし、本発明においてはこれに限られるものではない。例えば、実施の形態3の枠体62の回転と実施の形態1の重心移動装置10を組み合わせ、枠体62に伸縮駆動体を取り付けて錘14を移動させるものとしてもよい。この場合にも枠体62を回転させることで、浮力中心Oを中心とする3次元空間内に錘14を移動させることができ、ピッチ方向、ロール方向の回転を可能とすることができる。これは他の実施の形態において本実施の形態が適用される場合にも同様である。
実施の形態4.
図16は本発明の実施の形態4における飛行装置について説明するための図である。図16において(a)はxy断面を上面から見た図、(b)はxz断面を横から見た図である。実施の形態4の飛行装置は、実施の形態2と同一の重心移動装置40を備えている。実施の形態4では重心移動装置40は浮遊体2内に内蔵されず、重心移動装置40の枠体12に、直接4つの気嚢70を有する。気嚢70は浮力中心Oを中心に、均等に配置されている。
重心移動装置40のy軸方向の左右対称な位置には、プロペラ72とモータ74がそれぞれ取り付けられている。これにより飛行装置の前後移動及びヨー方向への回転が可能となっている。また、飛行装置の気嚢70又は重心移動装置40には、図示しない姿勢検出器が設置されている。
以上のように、重心移動装置40の外側に気嚢70を取り付けた場合にも、同様に、重心移動装置40の重心移動によって、飛行装置のピッチ方向の回転を自在に制御することができる。このように本発明の飛行装置は、重心移動装置40が浮遊体2内部に内蔵されている構成に限られず、重心移動装置40の外側に複数の気嚢を取り付けた構成にも広く適用することができる。
また、本実施の形態では実施の形態2の重心移動装置40に気嚢70を取り付けた場合について説明した。しかし、本発明はこれに限られるものでもなく、実施の形態1及び実施の形態3で説明した重心移動装置10、60にそれぞれ複数の気嚢を取り付けたものであってもよい。これは他の実施の形態において本実施の形態が適用される場合にも同様である。
また、気嚢の数は4つである場合に限られず、1又は2以上の気嚢を外部に取り付けたものであってもよい。この場合、浮力の中心が少なくとも枠体12内にあって、かつ浮力の中心又は浮力中心の鉛直下方向に、水平飛行時の錘の定位置が配置されるようにすることが望ましい。これは他の実施の形態において本実施の形態が適用される場合にも同様である。
また、本実施の形態では重心移動装置40にプロペラ72とモータ74とを設置する構成について説明した。しかし、本発明において飛行装置は、プロペラ72とモータ74とを有する構成に限られるものではない。本発明における飛行装置は、プロペラ72等に替えて、推進力を発する他の機構を搭載したものであってもよいし、このような機構を有さないものであってもよい。これは他の実施の形態において本実施の形態が適用される場合にも同様である。
実施の形態5.
図17は、本発明の実施の形態5における駆動装置について説明するための模式図である。図17において(a)は正面図であり、(b)は(a)の図を紙面左側から見た側面図である。また、図18は駆動装置の一部を拡大して表した模式図である。図17の駆動装置100、駆動装置100によって連結される物体同士の位置関係を変化させることができる装置である。従って、例えば、実施の形態1の浮遊体2の後部にヒレを設置したような構成の場合に、ヒレと浮遊体との連結部に設置し、ヒレと浮遊体との位置関係を変化させる装置として用いることができる、また、例えば、実施の形態1〜3の飛行装置のプロペラ4a、4b又は実施の形態4のプロペラ72に設置し、プロペラ4a、4b又は72の向きを変化させる装置として用いることができる。また、実施の形態1〜4に適用される場合に限らず、例えば、複数の浮遊体(又は気嚢)を連結する場合に、この連結部に設置し、隣接する浮遊体同士の位置関係を変化させる装置として用いることができる。また飛行装置の外側に設置し、飛行装置外部にある物体と飛行装置との位置関係を変化させる装置として用いることもできる。
図17の駆動装置100は、2つの第1構造物102、第2構造物104を有している。例えば、駆動装置100を飛行装置のプロペラに用いて使用する場合、第2構造物104は浮遊体本体側に固定され取り付けられる。一方、第1構造物102はプロペラ側に固定され取り付けられる。
第1構造物102と第2構造物104との間には柱状の駆動体106が設置されている。駆動体106の一端は第2構造物104に接続されている。駆動体106の長手方向は、第2構造物104との接続部近傍において、第2構造物104の接続面104aに対して概ね垂直となっている。一方、図18に示されるように、駆動体106の他端は第1構造物102に接続されている。駆動体106の長手方向は、構造部との接続部近傍において、第1構造物102の接続面102aに対して概ね平行となっている。
本実施の形態において、駆動体106は形状記憶合金により構成される。図17を参照して、駆動体106には電源回路が接続されている。この電源回路には、電源装置108及びスイッチ110が取り付けられている。スイッチ110は、図示しない制御装置によってON/OFFの切り替えが制御される。尚、駆動装置100が、実施の形態1〜4の飛行装置に搭載される場合には、制御装置32によってスイッチ110が制御されるものとしてもよい。スイッチ110の切り替えにより通電された状態となると駆動体106には所定の電流が流される。
ところで、図17は、電源回路のスイッチ110がOFFとされ、駆動体106が通電されていない状態である。この状態では形状記憶合金である駆動体106の剛性は低い状態(第1状態)であり、容易に湾曲される状態となっている。従って、駆動体106の形状は、第1構造物102及び104の位置関係又は第1構造物102及び104が設置される物体による位置関係に依存し、第1構造物102及び第2構造物104の位置関係は、駆動体106の力によっては変化しない又は変化しにくい状態となる。
図19は、駆動体106が通電されている状態を表す図である。電源回路のスイッチ110がONとされ所定の電流が流されると、駆動体106は所定の温度に昇温する。これにより駆動体106は記憶された形状(記憶形状、第2状態)に戻る性質を有する。記憶形状において駆動体106は直線形状の状態となり、このとき駆動体106は強い剛性を有する。従って図19に示されるように、第1構造物102と駆動体106との位置関係は、駆動体106の長手方向と、第1構造物102の接続面102aとが平行な状態に変化する。
なお、図19では第1構造物102が移動している場合について説明している。しかしながら、実際には、駆動体106の形状変化に伴って、第1、第2構造物102、104それぞれの動きやすさに応じて、第1、第2構造物102、104のいずれか又は両者が移動する。その結果、駆動体106と接続面102aが平行で、駆動体106と接続面104aとが垂直な状態となるように、第1構造物102及び第2構造物104の位置関係が変化する。
図20は、本発明の実施の形態5における制御について説明するためのブロック図である。図20に示されるように、制御装置は、第1、第2構造物102、104の位置関係を、駆動体106を記憶形状の状態(図19参照)とするよう指令を受信すると、それに応じて、スイッチ110がONとなるよう電源回路に制御信号を発する。その結果、駆動体106に電流が流れ、駆動体106は記憶形状となる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、スイッチ110のON、OFFにより第1構造物102と第2構造物104との位置関係を容易に変えることができる。これにより簡単かつ軽量な機構で、第1構造物102と第2構造物104とに設置される物体の位置関係を変えることができる。従って、例えばこのような機構を浮遊体に設置することにより、浮遊体の浮遊を阻害することなく、プロペラやヒレ等の駆動を行うことができる。
実施の形態6.
図21は本発明の実施の形態6における駆動装置について説明するための模式図である。図21において(a)は正面図であり、(b)は(a)の図を紙面左側から見た側面図である。図22は図21の駆動装置120の一部を拡大して表した図である。図21の駆動装置120は、図17の駆動装置100に替えて用いることができる。
図21に示されるように、駆動装置120は、図17の駆動装置100と同様に2つの第1構造物102及び第2構造物104を有している。第1構造物102と第2構造物104との間には2本の駆動体122a、122bとが設置されている。駆動体122a及び122bは形状記憶合金により構成される。駆動体122a及び122bの一端は、それぞれ第2構造物104に接続されている。駆動体122a及び122bの長手方向は、第2構造物104との接続部近傍において、第2構造物104の接続面104aに対して概ね垂直となっている。
一方、図22に示されるように、駆動体122a及び122bの他端は、それぞれ第1構造物102に接続されている。駆動体122a及び122bそれぞれの長手方向は、第1構造物102との接続部近傍において、第1構造物102の接続面102aに対して概ね平行となっている。また駆動体122aと駆動体122bとの湾曲方向は互いに逆向きとなっている。即ち、図21に示されるように、駆動体122aと駆動体122bとの長手方向の先端面は、互いに外側を向くように接続されている。
図21に示されるように、駆動体122a及び122bには電源回路が接続され、電源装置108から電圧が印加される。電源回路には制御装置によって制御されるスイッチ124a及び124bが接続されている。スイッチ124a又は124bの切り替えにより電圧が印加されている状態では、駆動体122a又は122bには所定の電流が流される。スイッチ124a及び124bの少なくとも一方がOFFとされているとき、駆動体122a及び122bは互いに電気的に絶縁されている。
ところで、図21は、電源回路のスイッチ124a及び124bがOFFとされ、駆動体122a及び122bに共に電流がながれていない状態を表している。この状態では形状記憶合金である駆動体122a及び122bの剛性は低く、容易に湾曲できる状態となっている。従って、第1構造物102と第2構造物104との位置関係に依存して、比較的自由に第1構造物102及び第2構造物104が移動する状態となる。
図23は、駆動体122a及び122bのいずれか又は両方を通電した状態を表す図である。図23において(a)は駆動体122bのみ通電した状態、(b)は駆動体122aのみ通電した状態、(c)は駆動体122a及び駆動体122bの両方を通電した状態を表している。
図23の(a)に示されるようにスイッチ124bのみがONとされ駆動体122bのみに所定の電流が流されると、駆動体122bは記憶形状(第2状態)に戻り、直線状態の強い剛性を有する状態となる。一方、駆動体122aは通電されていない状態であるので剛性の低い状態(第1状態)となる。従って、第1構造物102には駆動体122bによって、駆動体122bの長手方向と接続面102aとを平行にしようとする方向の力が働く。その結果、第1構造物102は、第2構造物104に対して、駆動体122a側に傾いた状態となる。
一方、図23の(b)に示されるようにスイッチ124aのみがONとされ駆動体122aのみに所定の電流が流されると、駆動体122aが記憶形状(第2状態)に戻る。この場合、(a)の場合とは逆に、第1構造物102には、駆動体122aによって、駆動体122aの長手方向と接続面102aとを平行しようとする方向の力が働く。その結果、第1構造物102は第2構造物104に対して駆動体122b側に傾いた状態となる。
また、図23の(c)に示されるようにスイッチ124a及び124bが共にONとされ駆動体122a及び122bに所定の電流が流されると、駆動体122a及び122bが共に記憶形状(第2状態)に戻ろうとする。このとき第1構造物102には、駆動体122aの長手方向と接続面102aとを平行にする方向の力と、駆動体122bの長手方向と接続面102aとを平行にする力とが働く。駆動体122aによる力と駆動体122bによる力とは逆向きの同じ大きさの力である。従って、駆動体122aと駆動体122bによる力とが釣り合い、第1構造物102と第2構造物104とは互いに接続面102a及び104aが平行に対向した位置関係となる。
このとき、駆動体122a及び122bは共に剛性の強い記憶形状となっていることから、第1構造物102と第2構造物104の位置関係は固定的な状態となる。この点、駆動体122a及び122bの両者に電流を流していない図21の状態、即ち、第1構造物102と第2構造物104の位置関係にある程度依存する状態とは異なっている。
図24は、本発明の実施の形態6における制御について説明するためのブロック図である。図24に示されるように、制御装置は、第1、第2構造物102、104の位置関係に関し指令を受信すると、それに応じて、スイッチ124a及び124bのいずれか又は両方がONとなるよう制御信号を発する。その結果、駆動体122a及び122bのいずれか又は両方に、電流が流される。これにより第1構造物102及び第2構造物104の位置関係が指令に応じた位置関係となる。
図25は、本発明の実施の形態6において制御装置が実行する具体的な制御について説明するためのフローチャートである。図25の制御では、制御装置が第1構造物102と第2構造物104との位置関係に関する指令を受信すると、それに応じて駆動すべき駆動体が選択される(S202)。
これに応じて、ステップS204におけるスイッチ124aをONとし、スイッチ124bをOFFとする処理、又はステップS206におけるスイッチ124aをOFFとし、スイッチ124bをONとする処理、又はステップS208におけるスイッチ124a及びスイッチ124bの両方をON処理のいずれかが実行され、この処理が終了する。
以上説明したように、本実施の形態6によれば、駆動体122aと122bの2つの駆動体を用いることにより、実施の形態5のように一方向のみの駆動体106を用いる場合に比べて、構造物の稼動範囲を大きくすることができる。また複数の駆動体を用いることで構造物の駆動をより安定して行うことができる。
実施の形態7.
図26は本発明の実施の形態7における駆動装置について説明するための模式図である。図26において(a)は正面図であり、(b)は(a)の図を紙面左側から見た側面図である。図26の駆動装置130は、図21の駆動装置120に替えて用いることができる。
図26の駆動装置130は第1構造物102及び第2構造物104に対し、一列に配置された複数の駆動体132aからなる第1駆動体群と、一列に配置された複数の駆動体132bからなる第2駆動体群とを有している。各駆動体群の駆動体132a及び132bの本数は同一であり、各駆動体132a及び132bは共に形状記憶合金により構成される。
各駆動体132a及び132bの一端は、その接続部近傍における長手方向が第2構造物104の接続面104aに対して概ね垂直となるようにして、第2構造物104に接続されている。一方、各駆動体132a及び132bの他端は、それぞれ第1構造物102に接続されている。駆動体132a及び132bそれぞれ長手方向は、第1構造物102との接続部近傍において、第1構造物102の接続面102aに対して概ね平行となるように接続されている。また、第1駆動体群の駆動体132aと第2駆動体群の駆動体132bとでは湾曲方向は互いに逆向きとなっている。即ち、各駆動体132aと各駆動体132bの長手方向の、第1構造物102側の先端面は互いに外側を向くように接続されている。
図27は本発明の実施の形態7における駆動装置について説明するための斜視図である。図27において、(a)は全体構成を説明するための斜視図であり、(b)は、駆動体132a又は132bの配線について説明するため、第1構造物102を90度回転させた状態を模式的に表したものである。
図27に示されるように、第1駆動体群の駆動体132aはそれぞれ直列に接続されている。従って、スイッチ134aがONとされることで、第1駆動体群の全ての駆動体132aは電流が流された状態となる。また第2駆動体群の駆動体132bもそれぞれ直列に接続されている。従って、スイッチ134bがONとされることで第2駆動体群のすべての駆動体132bは電流が流された状態となる。スイッチ134a及び134bの少なくとも一方のスイッチがOFFとされているとき、第1駆動体群の駆動体132aと第2駆動体群の駆動体132bとは互いに電気的に絶縁されている。
駆動装置130による第1構造物102及び第2構造物104の位置関係の移動は、駆動装置120と同一(図21及び図23参照)である。即ちスイッチ134a及び134bがOFFとされ、駆動体132a及び132bが共に通電されていない状態では、駆動体132a、132bの剛性は低く、比較的容易にその形状が変化する状態となっている。従って、第1構造物102と第2構造物104との位置関係に依存して、比較的自由に第1構造物102及び104が移動する状態となる。
スイッチ134bのみがONとされ第2駆動体群の駆動体132bのみに所定の電流が流されると、各駆動体132bは直線状態の強い剛性を有する状態となる。第1構造物102には駆動体132bによって、駆動体132bの長手方向と接続面102aとを平行にする方向の力が働く。その結果、第1構造物102は、第2構造物104に対して、駆動体132a側に傾いた状態となる。一方、スイッチ134aのみがONとされ第1駆動体群の駆動体132aのみに所定の電流が流されると、駆動体132aが記憶形状に戻る。この場合、第1構造物102には、駆動体132aによって駆動体132aの長手方向と接続面102aとを平行にする方向の力が働く。その結果、第1構造物102は、第2構造物104に対して駆動体132b側に傾いた状態となる。
スイッチ134a及び134bが共にONとされ駆動体132a及び132bに所定の電流が流されると、第1駆動体群及び第2駆動体群の全ての駆動体132a及び132bが記憶形状に戻ろうとする。ここで駆動体132aによる力と駆動体132bによる力とは逆向きの同じ大きさの力である。従って第1構造物102と第2構造物104とは互いに接続面102a及び104aが平行に対向した位置関係で固定される。
なお、このような制御は、図25及び図26によって示した制御機構および制御のフローチャートと同様に、スイッチ134a及びスイッチ134bが制御されることで、実現される。
以上説明したように、本実施の形態によれば複数の駆動体を有する第1、第2駆動体群を設けることにより、実施の形態6の場合に比べて、更に大きな駆動力を確保すると共に、第1構造物102及び第2構造物の位置関係をより安定させることができる。
実施の形態8.
図28及び図29は、本発明の実施の形態8における駆動装置について説明するための模式図である。図28は、斜視図であり、図29の(a)は正面図、(b)は(a)の図を紙面左側から見た側面図である。本発明の実施の形態8における駆動装置140は、図26の駆動装置130に替えて用いることができる。図28の駆動装置140は、第1駆動体群の駆動体142aと第2駆動体群の駆動体142bとが互いに交互に、一列に配列されている点を除き、図26の駆動装置130と同一のものである。
具体的に、駆動装置140は第1駆動体群の駆動体142aと第2駆動体群の駆動体142bとを有する。第2構造物104との接続部近傍において、各駆動体142a及び142bの長手方向は、第2構造物104の接続面104aに対して概ね垂直な方向に接続されている。一方、第1構造物102との接続部近傍において、各駆動体142a及び142bの長手方向は、第1構造物102との接続面102aに対して概ね平行となるように接続されている。
更に、第1駆動体群の駆動体142aは、第1構造物102の接続面102aに対し同一方向に接続され、第2駆動体群の駆動体142bは、駆動体142aとは逆方向に向けて接続面102aに接続されている。第1駆動体群の駆動体142aと、第2駆動体群の駆動体142bとは、互いに交互に、一列に配列されている。駆動体142a及び142bそれぞれの本数は同一であり、各駆動体132a及び132bは形状記憶合金により構成される。
第1駆動体群の駆動体142aは、スイッチ144aを有する回路に直列に接続されている。スイッチ144aがONとされることで、第1駆動体群の全ての駆動体142aは電流が流された状態となる。一方、第2駆動体群の駆動体142bはスイッチ144bを有する回路に直列に接続されている。スイッチ144bがONとされることで第2駆動体群のすべての駆動体142bは電流が流された状態となる。スイッチ144a及びスイッチ144bの少なくとも一方がOFFとされている状態において、駆動体142aと駆動体142bとは互いに電気的に絶縁されている。
この駆動装置140による第1構造物102及び104の位置関係の移動は、駆動装置120の場合と同一(図21及び23参照)である。即ちスイッチ144a及び144bがOFFとされ、駆動体142a及び142bが共に通電されていない状態では、駆動体142a及び142bの剛性は低く、比較的容易にその形状が変化する状態となっている。従って、第1構造物102と第2構造物104との位置関係に依存して、比較的自由に第1構造物102及び104が移動する状態となる。
スイッチ144bのみがONとされ第2駆動体群の駆動体142bのみに所定の電流が流されると、各駆動体142bは直線状態の強い剛性を有する状態となる。このとき第1構造物102には駆動体142bによって、駆動体142bの長手方向と接続面102aとを平行にする方向の力が働く。その結果、第1構造物102は、第2構造物104に対して駆動体142a側に傾いた状態となる。一方、スイッチ144aのみがONとされ第1駆動体群の駆動体142aのみに所定の電流が流されると、駆動体142aが記憶形状に戻る。このとき第1構造物102には、駆動体142aによって駆動体142aの長手方向と接続面102aとを平行にする方向の力が働く。その結果、第1構造物102は、第2構造物104に対して駆動体142b側に傾いた状態となる。
スイッチ144a及び144bが共にONとされ駆動体142a及び142bに所定の電流が流されると、第1駆動体群及び第2駆動体群の全ての駆動体142a及び142bが記憶形状に戻ろうとする。駆動体142aによる力と駆動体142bによる力とは逆向きの同じ大きさの力である。従って、記憶形状に戻ろうとする力は釣り合って、第1構造物102と第2構造物104とは互いに接続面102a及び104aが平行に対向した位置関係で固定される。
なお、このような制御は、図25及び図26によって示した制御機構および制御のフローチャートと同様に、スイッチ144a及びスイッチ144bが制御されることで、実現される。
以上説明したように、本実施の形態によれば複数の駆動体を有する第1、第2駆動体群を設けることにより、実施の形態6の場合に比べて大きな駆動力を確保すると共に、第1構造物102及び第2構造物の位置関係をより安定させることができる。また、駆動体142a及び142bを一列に交互に配列しているため、実施の形態7のように駆動体132a及び132bを2列に配列する場合に比べて駆動装置の小型化を図ることができる。
実施の形態9.
図30は、本発明の実施の形態9における駆動装置について説明するための模式図であり、図30の(a)は正面図、(b)は(a)の図を紙面左側から見た側面図である。本発明の実施の形態9における駆動装置150は、図26の駆動装置130に替えて用いることができる。図30の駆動装置150は、第1、第2駆動体群の駆動体132a及び132bに替えて、板状の駆動体152aと152bとを有する点を除き、図26の駆動装置130と同一のものである。
具体的に、駆動装置150の板状の駆動体152a及び152bは共に、形状記憶合金を用いて同一形状に形成されている。駆動装置150の駆動体152a、152bは一面において、第2構造物104の接続面104aに対して概ね垂直となるように第2構造物104に接続されている。
一方、駆動体152a及び152bは、駆動体152a及び152bの互いに対向する面であって上記一面とは垂直の面152c及び152dが、第1構造物102との接続部近傍において第1構造物102の接続面102aに概ね平行となるようにして、接続されている。駆動体152aと駆動体152bとの湾曲方向は互いに逆向きであり、駆動体152aと駆動体152bとは正面から見た場合に互いに外側に向かって湾曲した状態で接続されている。
図30に示されるように、駆動体152a及び152bには電源回路が接続され、電源装置108から電圧が印加される。電源回路には制御装置によって制御されるスイッチ154a及び154bが接続されている。スイッチ154aがONとされることで、駆動体152aは電流が流された状態となる。一方、スイッチ154bがONとされることで駆動体152bは電流が流された状態となる。スイッチ154a及び154bの少なくとも一方がOFFとされている状態において駆動体152aと駆動体152bとは電気的に絶縁されている。
この駆動装置150による第1構造物102及び第2構造物104の位置関係の移動は、駆動装置120の場合と同一(図21及び23参照)である。即ちスイッチ154a及び154bがOFFとされ、駆動体152a及び152bが共に通電されていない状態では、駆動体152a、152bの剛性は低く、比較的容易にその形状が変化する状態となっている。従って、第1構造物102と第2構造物104との位置関係に依存して、比較的自由に第1構造物102及び104が移動する状態となる。
スイッチ154bのみがONとされ第2駆動体群の駆動体152bのみに所定の電流が流されると、各駆動体152bは直線状態の強い剛性を有する状態となる。第1構造物102には駆動体152bによって、駆動体152bと第1構造物102との接続面同士を平行にする方向の力が働く。その結果、第1構造物102は、第2構造物104に対して駆動体152a側に傾いた状態となる。一方、スイッチ154aのみがONとされ駆動体152aのみに所定の電流が流されると、駆動体152aが記憶形状に戻る。この場合、第1構造物102には、駆動体152aによって駆動体152aと第1構造物102との接続面同士を平行にする方向の力が働く。その結果、第1構造物102は、第2構造物104に対して駆動体152b側に傾いた状態となる。
スイッチ154a及び154bが共にONとされ駆動体152a及び152bに所定の電流が流されると、駆動体152a及び152bが記憶形状に戻ろうとする。このとき駆動体152aによる力と駆動体152bによる力とは逆向きの同じ大きさの力となる。従って、記憶形状に戻ろうとする力は釣り合って、第1構造物102と第2構造物104とは互いに接続面102a及び104aが平行に対向した位置関係で固定される。
なお、このような制御は、図25及び図26によって示した制御機構および制御のフローチャートと同様に、スイッチ154a及びスイッチ154bが制御されることで実現される。
以上説明したように、本実施の形態9のように板状の形状記憶合金を駆動体として用いる場合にも、第1構造物102及び104の位置関係を容易に変化させることができる。また、このように板状の駆動体152a、152bを用いることで駆動装置の駆動力を高く確保することができる。
なお、以上の実施の形態5〜9においては、電圧印加により形状記憶合金である駆動体の形状を変化させることで第1構造物102、104を駆動する場合について説明した。しかし、本発明は駆動体として形状記憶合金を用いる場合に限られるものではなく、物理的刺激によって曲がり方、あるいは剛性が変化する特性を有する他の材料を同様に用いることができる。
本発明において、駆動体に対する物理的刺激は通電に限られず、例えば、熱源によるものであってもよい。この場合、例えば形状記憶合金である駆動体近傍に電源回路に替えて熱源を設置し、必要に応じて駆動体を加熱することで第1構造物102及び104を駆動する構成であってもよい。
図31は、熱源を用いた駆動装置について説明するための図である。図31の例では、図30の駆動装置150の電源回路に替えて、駆動体152a及び152bの近傍に熱源156a及び156bが設置されている。熱源156a及び156bは例えば制御装置に電気的に接続され、それぞれ独立して制御される構成となっている。熱源156aに電圧が印加されると、熱源156aにより駆動体152aが加熱され、これにより駆動体152aは剛性の平板形状に戻される。一方、熱源156bに電圧が印加されると、熱源156bにより駆動体152bが加熱され、これにより駆動体152bは剛性の強い平板形状に戻される。熱源156a又は156bによる加熱制御は、制御装置からの制御信号によって制御される。このような制御も、図25及び図26に示した制御機構およびフローチャートと同様に、熱源156a及び156bへの電圧印加が制御されることで実現することができる。
また、熱源による加熱により第1構造物102及び104を駆動する駆動装置の場合、駆動体の材料としては形状記憶合金を用いる場合に限らず、加熱により曲がり方あるいは剛性の変化する他の材料を用いるものであってもよい。このような駆動体の材料としては形状記憶合金の他に、例えばバイメタルが挙げられる。実施の形態5〜9の駆動体に替えてバイメタルを用いる場合にも、熱源からの加熱によりバイメタルを直線形状または平板形状とし、加熱を停止することによりバイメタルを湾曲形状に戻すことができる。従って、駆動体としてバイメタルを用いることで、同様に第1構造物102及び第2構造物104の位置関係の変更を行うことができる。
但し、バイメタルの場合、湾曲した状態と直線形状又は平板形状とで曲がり方が変化しても、剛性は変化しない場合がある。このように剛性が変化しない材料を駆動体として用いる場合、湾曲した状態であっても、第1構造物102及び104の位置関係は、第1構造物102及び104の位置関係に依存するのではなく、駆動体自体の形状に依存した第1構造物102及び104の位置関係に変化する。
また、バイメタルはそれを構成する金属によっては、その温度に応じて、直線形状、一方の金属側に湾曲した形状、他方の金属側に湾曲した形状、及び直線形状の3つの形状に変化させることができる。実施の形態5〜9の駆動体として、このようなバイメタルを用いる場合には、例えば熱源の温度を制御することで、第1構造物102と第2構造物104との位置関係を、駆動体が第1方向に湾曲した形状となる位置関係、駆動体が直線形状となる位置関係、駆動体が第1方向とは逆向きに湾曲した形状となる位置関係に変更する駆動装置を、バイメタルからなる一本または一群の駆動体によって実現することができる。
また、本発明は、油圧、水圧又は気圧による加圧により、駆動体の曲がり方あるいは剛性を変化させるものであってもよい。例えば、物理的刺激として圧力を変化させる場合の駆動体の例として空気圧アクチュエータが挙げられる。図32に駆動体として空気圧アクチュエータを用いた場合の駆動装置の例を示す。図32は、駆動装置130の駆動体132a及び132bを、それぞれ空気圧アクチュエータで構成された駆動体1321a及び1321bとした駆動装置1301を説明するための図である。
図32に示されるようにこの駆動装置1301は、加圧装置136を有している。加圧装置136には配管137aの一端が接続され、配管137aの他端は、第1駆動体群の駆動体1321aに接続されている。また加圧装置136には配管137bの一端が接続され、配管137bの他端は、第2駆動体群の駆動体1321bに接続されている。配管137a及び137bそれぞれには、弁138a及び弁138bが設置されている。弁138a及び弁138bの開閉は、制御装置により独立して制御される。
この装置において弁138a及び138bが共に閉じられている場合、駆動体1321a及び1321bは湾曲した剛性の低い状態となる。一方、弁138aが開かれることで第1駆動体群の駆動体1321aは加圧され、直線形状に伸びて剛性の強い状態となる。また、弁138bが開かれることで、第2駆動体群の駆動体1321bが加圧され、直線形状に伸びて剛性の強い状態となる。従って、弁138a及び138bの制御により駆動体1321a及び1321bへの加圧を制御することで、駆動装置130と同様に、第1構造物102及び104の位置関係を変化させることができる。
このように、実施の形態5〜9の駆動体を空気アクチュエータとすることで、同様に第1構造物102及び104の駆動を実現することができる。また、本発明は、空気圧アクチュエータを用いる場合に限らず、油圧や水圧により駆動体を伸縮できる駆動体を用いた駆動装置であってもよい。このような制御も、図25及び図26に示した制御機構およびフローチャートと同様に、弁138a、138bの開閉が制御されることで実現することができる。
なお、以上の実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、この発明が限定されるものではない。また、この実施の形態において説明する構造やステップ等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。