[第一実施形態]
はじめに、本発明の第一実施形態について説明する。
<燃料電池モジュール>
図1,図2に示されるように、第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1は、燃料電池セルスタック10と、容器20と、断熱層130と、断熱材140とを備える。
<燃料電池セルスタック>
燃料電池セルスタック10には、一例として、固体酸化物形燃料電池(SOFC)が適用されている。この燃料電池セルスタック10は、一例として、鉛直方向に積層された複数の平板形のセル12と、マニホールド14と有している。各セル12は、燃料極(アノード極)、電解質層、空気極(カソード極)を有する。
各セル12の燃料極には、改質ガスが供給され、各セル12の空気極には、酸化剤ガスが供給される。各セル12は、酸化剤ガスと燃料ガスとの電気化学反応により発電すると共に、発電に伴い発熱する。
<容器>
容器20は、同心状に配置された複数(九個)の管材21〜29により構成されている。この複数の管材21〜29は、いずれも横断面が真円形状である円筒状に形成され、伝熱性の高い金属で形成される。この複数の管材21〜29は、容器20の内側から外側に順に配置されている。
一番目の管材21は、燃料電池セルスタック10の上方から容器20の上端部に亘って設けられている。二番目の管材22及び三番目の管材23は、一番目の管材21の上部に対応する長さで形成されており、二番目の管材22は、一番目の管材21の外側から管材21の上部に接合されている。四番目の管材24は、容器20の高さ方向の中央部に設けられており、五番目の管材25及び六番目の管材26は、容器20の下端部から上端部に亘って設けられている。七番目の管材27、八番目の管材28、及び、九番目の管材29は、容器20の高さ方向の中央部から上端部に亘って設けられている。
六番目の管材26と七番目の管材27とは、水平方向に延びる連結部31を介して連結され、五番目の管材25と八番目の管材28とは、水平方向に延びる連結部32を介して連結されている。また、九番目の管材29の上端部は、水平方向に延びる連結部33を介して三番目の管材23の上端部に固定されている。
五番目の管材25の下端部は、底壁部34に接合されており、六番目の管材26の下端部は、底壁部35に接合されている。底壁部34には、燃料電池セルスタック10が載置されており、また、底壁部34と底壁部35とは、スペーサ36により固定されている。
この複数の管材21〜29によって構成される容器20は、機能別には、気化部40と、改質部60と、燃焼部90と、予熱部100(収容部)と、熱交換部110とを有する。
<気化部>
気化部40は、図2〜図4に示されるように、四重の筒状壁41〜44によって構成されている。四重の筒状壁41〜44のうち最も内側に位置する筒状壁41は、一番目の管材21の上部と、二番目の管材22とによって構成され、四重の筒状壁41〜44のうち内側から二番目の筒状壁42は、三番目の管材23によって構成されている。また、四重の筒状壁41〜44のうち内側から三番目の筒状壁43は、五番目の管材25の上部によって構成され、四重の筒状壁41〜44のうち最も外側の筒状壁44は、六番目の管材26の上部によって構成されている。
この四重の筒状壁41〜44によって構成された気化部40は、後述する改質部60の上方に改質部60と同軸上に設けられている。図3に示されるように、この気化部40を構成する四重の筒状壁41〜44は、互いの間に隙間を有しており、この四重の筒状壁41〜44の内側から外側には、断熱空間45、気化流路46、燃焼排ガス流路47、及び、酸化剤ガス流路48が順に形成されている。
つまり、一番目の筒状壁41の内側の空間は、断熱空間45として形成され、一番目の筒状壁41と、二番目の筒状壁42との間の隙間は、気化流路46として形成されている。また、二番目の筒状壁42と、三番目の筒状壁43との間の隙間は、燃焼排ガス流路47として形成され、三番目の筒状壁43と、四番目の筒状壁44との間の隙間は、酸化剤ガス流路48として形成されている。図3において、断熱空間45は、空洞とされているが、この断熱空間45には、断熱材49が充填されても良い。
気化流路46の上端部には、容器20の径方向外側に延びる原燃料供給管50が接続されている。この気化流路46には、原燃料供給管50から供給された原燃料161が鉛直方向上側から下側に流れる。原燃料供給管50から供給される原燃料161としては、例えば、都市ガス等の炭化水素系ガス又は炭化水素系液体である炭化水素系燃料に改質用の水が混合されたものが使用される。
この気化流路46には、気化部40の軸方向回りに螺旋状に形成された螺旋部材51が設けられており、この螺旋部材51により、気化流路46は、気化部40の軸方向回りに螺旋状に形成されている。
図4に示されるように、燃焼排ガス流路47の下端部は、後述する改質部60に形成された燃焼排ガス流路66を介して燃焼部90に形成された燃焼室94(図5参照)と連通されている。この燃焼排ガス流路47には、燃焼部90から排出されると共に改質部60の燃焼排ガス流路66を通じて供給された燃焼排ガス166が鉛直方向下側から上側に流れる。
図3に示されるように、燃焼排ガス流路47の上端部には、この燃焼排ガス流路47の周方向に沿って環状に形成された整流板52が設けられている。この整流板52には、周方向に間隔を空けて複数のオリフィス53が形成されている。この複数のオリフィス53は、整流板52の板厚方向に貫通している。なお、この整流板52は、省かれても良い。
酸化剤ガス流路48の上端部は、後述する熱交換部110に形成された酸化剤ガス流路117と連通されている。この酸化剤ガス流路48には、熱交換部110の酸化剤ガス流路117から供給された酸化剤ガス164が鉛直方向上側から下側に流れる。
<改質部>
図4に示されるように、改質部60は、上述の気化部40の下方に気化部40と同軸上に設けられており、四重の筒状壁61〜64によって構成されている。四重の筒状壁61〜64のうち最も内側に位置する筒状壁61は、一番目の管材21の下部によって構成され、四重の筒状壁61〜64のうち内側から二番目の筒状壁62は、四番目の管材24によって構成されている。また、四重の筒状壁61〜64のうち内側から三番目の筒状壁63は、五番目の管材25における高さ方向の中央部によって構成され、四重の筒状壁61〜64のうち最も外側の筒状壁64は、六番目の管材26における高さ方向の中央部によって構成されている。
この改質部60を構成する四重の筒状壁61〜64は、互いの間に隙間を有している。そして、この四重の筒状壁61〜64の内側から外側には、断熱空間65、燃焼排ガス流路66、改質流路67、及び、酸化剤ガス流路68が順に形成されている。
つまり、一番目の筒状壁61の内側の空間は、断熱空間65として形成され、一番目の筒状壁61と、二番目の筒状壁62との間の隙間は、燃焼排ガス流路66として形成されている。また、二番目の筒状壁62と、三番目の筒状壁63との間の隙間は、改質流路67として形成され、三番目の筒状壁63と、四番目の筒状壁64との間の隙間は、酸化剤ガス流路68として形成されている。
断熱空間65は、上述の気化部40の断熱空間45と連通している。図4において、断熱空間65は、空洞とされているが、この断熱空間65には、断熱材69が充填されても良い。燃焼排ガス流路66の下端部は、後述する燃焼部90に形成された燃焼室94(図5参照)と連通されている。この燃焼排ガス流路66には、後述する燃焼部90から排出された燃焼排ガス166が鉛直方向下側から上側に流れる。
<混合部及び分散部>
改質部60の上端部には、鉛直方向上側に延長された混合部80が形成されている。この混合部80は、気化部40と改質部60との間、すなわち、より具体的には、改質部60の上側且つ気化部40の下端部の径方向外側に位置する。気化部40の下端部における周方向の一部からは、連結管81が径方向外側に延びている。
連結管81は、混合部80における気化部40との接続部を構成しており、この連結管81の内側は、水平方向に貫通するオリフィス82として形成されている。連結管81(オリフィス82)は、気化流路46の径方向外側に位置しており、気化流路46の下端部と連通する。混合部80は、連結管81(オリフィス82)を一つのみ有する。この混合部80には、オリフィス82に対する改質流路67側(径方向外側)に位置しオリフィス82と対向する対向壁部86が設けられている。
改質流路67の入口(上端)は、混合部80及び連結管81を介して気化流路46と連通されている。この改質流路67には、気化流路46から供給された原燃料ガス162が鉛直方向上側から下側に流れる。
この改質流路67の入口には、改質流路67の周方向に沿って環状に形成された仕切板83が設けられている。この仕切板83には、周方向に一定の間隔を空けて複数のオリフィス84が形成されている。この複数のオリフィス84は、仕切板83の板厚方向(鉛直方向)に貫通しており、改質流路67には、複数のオリフィス84を通じて原燃料ガス162が流入する。この仕切板83は、鉛直方向に間隔を空けて複数設けられていても良い。
改質流路67の入口の径方向外側には、酸化剤ガス流路68が位置している。改質流路67には、原燃料ガス162から燃料ガス(改質ガス)を生成するための改質触媒層70が改質流路67の周方向及び軸方向の全長に亘って設けられている。改質触媒層70には、例えば、活性金属としてニッケル、ルテニウム、白金、ロジウム等の金属を担持した粒状触媒又はハニカム触媒等が用いられる。
酸化剤ガス流路68の上端部は、上述の気化部40に形成された酸化剤ガス流路48と連通されている。この酸化剤ガス流路68には、気化部40の酸化剤ガス流路48から供給された酸化剤ガス164が鉛直方向上側から下側に流れる。
<燃焼部>
図5に示されるように、燃焼部90は、上述の改質部60の下方に設けられており、周壁部91と、点火電極92と、隔壁部93とを有する。周壁部91は、上述の改質部60を構成する四重の筒状壁61〜64のうち最も内側の筒状壁61を除く残りの筒状壁62〜64に一体に形成されている。
つまり、四重の筒状壁61〜64のうち最も内側の筒状壁61を除く残りの筒状壁62〜64は、内側の筒状壁61に対して下方に延びている。そして、この筒状部62〜64における下方に延びた延長部分は、燃焼部90の周壁部91として形成されている。この周壁部91を構成する三重の筒状壁62〜64において、筒状壁62と筒状壁63との間には、改質部60の改質流路67が延長して形成されており、筒状壁63と筒状壁64との間には、改質部60の酸化剤ガス流路68が延長して形成されている。
この周壁部91は、燃料電池セルスタック10の上方に位置すると共に、後述する燃料電池セルスタック10の周囲を囲う予熱部100と同軸上に設けられている。この周壁部91の内側は、燃焼室94として形成されており、この燃焼室94は、後述する予熱部100の内側空間104と、上述の改質部60の燃焼排ガス流路66とに連通されている。
周壁部91の内側には、テーパ部95が設けられている。このテーパ部95は、上述の改質部60を構成する四重の筒状壁61〜64のうち最も内側の筒状壁61の下端部に一体に形成されている。このテーパ部95は、改質部60の側から燃焼部90の側に突出すると共に、燃焼部90の側から改質部60の側に向かうに従って拡径するテーパ状に形成されている、
点火電極92は、テーパ部95の先端部(下端部)から燃焼室94内に突出されており、燃焼室94の中心部に配置されている。この点火電極92は、燃料電池セルスタック10の上方に燃料電池セルスタック10と離間して設けられている。上述の気化部40及び改質部60を構成する一番目の管材21の内側には、パイプ150が収容され、このパイプ150の内側には、点火電極92と接続され碍子で絶縁された導電部151が挿入されている。パイプ150及び導電部151の上端部には、パイプ150と導電部151との間をシールするシール部材146が設けられている。シール部材146は、シール板147及びベース部材148を有する。シール板147及びベース部材148の間には、Oリングが配置される。
隔壁部93は、周壁部91の内周面に沿って環状に形成されている。この隔壁部93は、点火電極92と燃料電池セルスタック10との間に開口する絞り孔96を有している。この絞り孔96には、燃料電池セルスタック10から排出されたスタック排ガス165が通過する。絞り孔96を通過したスタック排ガス165は、点火電極92とパイプ150等との間に形成されるスパークによって燃焼される。燃焼室94にて発生した燃焼排ガス166は、上方(燃料電池セルスタック10と反対側)に排出され、テーパ部95に沿って改質部60の燃焼排ガス流路66に流入する。
<予熱部>
予熱部100(収容部)は、上述の燃焼部90の下方に設けられており、二重の筒状壁101,102によって構成されている。二重の筒状壁101,102のうち内側の筒状壁101は、五番目の管材25の下部によって構成され、二重の筒状壁101,102のうち外側の筒状壁102は、六番目の管材26の下部によって構成されている。
この予熱部100は、燃料電池セルスタック10の周囲に設けられており、燃料電池セルスタック10を収容している。予熱部100の内側には、内側空間104が形成されており、予熱部100を構成する二重の筒状壁101,102の間には、予熱流路105が形成されている。
この予熱流路105には、予熱部100の軸方向回りに螺旋状に形成された螺旋部材106が設けられており、この螺旋部材106により、予熱流路105は、予熱部100の軸方向回りに螺旋状に形成されている。
この予熱流路105の上端部は、上述の改質部60の酸化剤ガス流路68と連通され、予熱流路105の下端部は、図2に示される底壁部34と底壁部35との間に形成された導入路37を通じて燃料電池セルスタック10の酸化剤ガス取入口15と連通されている。
また、予熱部100の内側には、上述の改質流路67と、燃料電池セルスタック10の燃料ガス取入口16(図2参照)とを接続する燃料ガス配管107が設けられている。図5に示されるように、上述の隔壁部93の外周部には、水平方向に延在する仕切板97が一体に形成されており、この仕切板97には、鉛直方向に貫通するオリフィス98が仕切板97の周方向に間隔を空けて複数形成されている。改質流路67と燃料ガス配管107の内側とは、オリフィス98を通じて連通されている。
<熱交換部>
図3に示されるように、熱交換部110は、上述の気化部40及び改質部60の周囲に設けられており、三重の筒状壁111〜113によって構成されている。三重の筒状壁111〜113における内側の筒状壁111は、七番目の管材27によって構成され、三重の筒状壁111〜113における中央の筒状壁112は、八番目の管材28によって構成され、三重の筒状壁111〜113における外側の筒状壁113は、九番目の管材29によって構成されている。
この熱交換部110を構成する三重の筒状壁111〜113は、互いの間に隙間を有している。そして、内側の筒状壁111と中央の筒状壁112との間には、酸化剤ガス流路117が形成され、外側の筒状壁113と中央の筒状壁112との間には、燃焼排ガス流路118が形成されている。
酸化剤ガス流路117には、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成された螺旋部材120が設けられており、この螺旋部材120により、酸化剤ガス流路117は、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成されている。同様に、燃焼排ガス流路118には、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成された螺旋部材121が設けられており、この螺旋部材121により、燃焼排ガス流路118は、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成されている。
酸化剤ガス流路117の下端部には、容器20の径方向外側に延びる酸化剤ガス供給管122(図2参照)が接続されている。連結部31と連結部32との間の隙間は、容器20の径方向に延びる連結流路38として形成されており、酸化剤ガス流路117の上端部は、連結流路38を介して上述の気化部40に形成された酸化剤ガス流路48と連通されている。この酸化剤ガス流路117には、酸化剤ガス供給管122(図2参照)から供給された酸化剤ガス164が鉛直方向下側から上側に流れる。
また、連結部32と連結部33との間の隙間は、容器20の径方向に延びる連結流路39として形成されており、燃焼排ガス流路118の上端部は、連結流路39を介して上述の気化部40に形成された燃焼排ガス流路47と連通されている。この燃焼排ガス流路118の下端部には、容器20の径方向外側に延びるガス排出管123(図2参照)が接続されており、燃焼排ガス流路118には、気化部40の燃焼排ガス流路47から供給された燃焼排ガス166が鉛直方向上側から下側に流れる。
<断熱層及び断熱材>
図2に示されるように、気化部40及び改質部60と、熱交換部110とは、容器20の径方向に離間しており、この気化部40及び改質部60と熱交換部110との間(つまり、熱交換部110を構成する三重の筒状壁111〜113の内側に形成された断熱空間115)には、円筒状の断熱層130が充填されている。
断熱材140は、円筒状の本体部141と、円盤状の上部142及び下部143とを有し、容器20を覆っている。つまり、本体部141は、容器20の周囲に設けられており、容器20を外側から覆っている。上部142は、本体部141を鉛直方向上側から覆うと共に、容器20の上部の周囲に設けられている。上部142は、鉛直方向上側から固定部材144により固定されている。下部143は、容器20及び本体部141を鉛直方向下側から覆っている。この断熱材140の表面は、被覆シート145によって覆われている。
<高温側構造体及び低温側構造体>
図1,図2に示されるように、以上の気化部40、改質部60、燃焼部90、予熱部100、熱交換部110を有する容器20は、高温側構造体201(第一構造体)と、低温側構造体202(第二構造体)とに分割されている。この高温側構造体201と低温側構造体202とは、より具体的には、改質流路67の下端部の位置Pにて容器20の高さ方向に二分割されている。
そして、図6に示されるように、高温側構造体201は、複数の第一部材の一例として、隔壁部93を含む隔壁部93よりも下側の部分、すなわち、隔壁部93、管材25の下部25A、管材26の下部26A、底壁部34,35、スペーサ36、螺旋部材106、燃料ガス配管107等を有している。
一方、図7に示されるように、低温側構造体202は、複数の第二部材の一例として、上述の隔壁部93よりも上側の部分、すなわち、管材21〜24、管材25の上部25B、管材26の上部26B、管材27〜29、連結部31〜33、原燃料供給管50、螺旋部材51、整流板52、連結管81、仕切板83、螺旋部材120,121、酸化剤ガス供給管122、ガス排出管123、固定部材144、ベース部材148、パイプ150等を有している。
第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1の稼働時に、図6に示される高温側構造体201は、燃料電池セルスタック10の周囲に位置するため、600℃以上に加熱されるが、図7に示される低温側構造体202の接合部は、燃料電池セルスタック10の上方に離間するため、600℃未満とされる。高温側構造体201を構成する複数の部材は、溶接により接合されているが、低温側構造体202を構成する複数の部材は、ロウ付けにより接合されている。低温側構造体202のロウ付けには、例えば、ニッケルロウ等のロウ材が使用される。また、高温側構造体201における溶接には、種々の溶接方法が適用可能である。
なお、図8に示されるように、低温側構造体202を構成する複数の部材のうちの一の部材Aには、折曲片203が形成され、この折曲片203は、低温側構造体202を構成する複数の部材のうちの他の部材Bに重ね合わされた状態でロウ付けされても良い。図8において、符号204は、ロウ材を示している。折曲片203と他の部材Bとの間には、組付用の隙間が確保されており、この隙間には、ロウ材204が入り込んでいる。
また、低温側構造体202を構成する複数の部材のうち幾つかの部材は、ロウ付けではなく他の方法(例えば溶接など)により接合されても良い。また、低温側構造体202を構成する複数の部材のうち幾つかの部材の位置決めのために溶接が使用されても良い。さらに、高温側構造体201を構成する複数の部材のうち幾つかの部材についても、溶接ではなく他の方法により接合されても良い。
図9に示されるように、気化流路46に設けられた螺旋部材51は、気化流路46を形成する一対の管材22,23のそれぞれにロウ付けされている。図9において、符号205は、ロウ材を示している。螺旋部材51は、より好ましくは、その全長に亘って一対の管材22,23のそれぞれにロウ付けされる。
この気化流路46に設けられた螺旋部材51と同様に、図7に示される熱交換部110の酸化剤ガス流路117に設けられた螺旋部材120は、酸化剤ガス流路117を形成する一対の管材27,28のそれぞれにロウ付けされており、熱交換部110の燃焼排ガス流路118に設けられた螺旋部材121は、燃焼排ガス流路118を形成する一対の管材28,29のそれぞれにロウ付けされている。
次に、第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1の製造方法(組立方法)について説明する。
先ず、図7に示されるように、管材21〜24、管材25の上部25B、管材26の上部26B、管材27〜29、連結部31〜33、原燃料供給管50、螺旋部材51、整流板52、連結管81、仕切板83、螺旋部材120,121、酸化剤ガス供給管122、ガス排出管123、固定部材144、ベース部材148、パイプ150等(複数の第二部材)がロウ付けにより接合されて、低温側構造体202が組み立てられる(低温側構造体組立工程)。
なお、低温側構造体202を構成する複数の部材のうち幾つかの部材は、ロウ付けではなく溶接により接合されても良い。また、この溶接による接合は、幾つかの部材の位置決めのために使用されても良い。
そして、低温側構造体202の組立後、改質流路67の下端部から改質流路67に改質触媒が挿入されて改質触媒層70が形成される。
続いて、図6に示される高温側構造体201のうち、隔壁部93、管材25の下部25A、管材26の下部26A等が図7に示される低温側構造体202に溶接により接合される。
このとき、螺旋部材106は、管材25の下部25A及び管材26の下部26Aのいずれかに予め溶接により接合されるか、又は、管材25の下部25A及び管材26の下部26Aが低温側構造体202に接合される際に適宜タイミングにて管材25の下部25A及び管材26の下部26Aのいずれかに溶接により接合される。
同様に、燃料ガス配管107は、隔壁部93及び管材25の下部25Aに予め溶接により接合されるか、又は、隔壁部93及び管材25の下部25Aが低温側構造体202に接合される際に適宜タイミングにて隔壁部93及び管材25の下部25Aに溶接により接合される。
そして、管材25の下部25Aの内側に燃料電池セルスタック10が収容された状態で、燃料電池セルスタック10の燃料ガス取入口16と燃料ガス配管107とが接続される。また、管材25の下部25A及び管材26の下部26Aの下端部に底壁部34,35が溶接により接合される。このとき、適宜タイミングにて底壁部34と燃料電池セルスタック10とが固定される。
また、スペーサ36は、底壁部34,35に予め溶接により接合されるか、又は、管材25の下部25A及び管材26の下部26Aに底壁部34,35が接合される際に適宜タイミングにて底壁部34,35に溶接により接合される。以上により、高温側構造体201が組み立てられて、高温側構造体201及び低温側構造体202により容器20が構成される(高温側構造体組立工程)。
そして、容器20が構成された後、気化部40及び改質部60と熱交換部110との間の断熱空間115に断熱層130が充填される。また、パイプ150の内側に導電部151が挿入され、このパイプ150の先端から点火電極92が突出されると共に、ベース部材148にシール板147及びOリングが組み付けられる。また、容器20に断熱材140等が組み付けられ、燃料電池モジュールM1が完成する。
次に、第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1の動作について説明する。
図2に示される原燃料供給管50を通じて図3に示される気化流路46に原燃料161(炭化水素系燃料に改質用の水が混合されたもの)が供給されると、この原燃料161は、螺旋状に形成された気化流路46を鉛直方向上側から下側へ流れる。このとき、気化部40では、燃焼部90(図5参照)から排出された燃焼排ガス166が燃焼排ガス流路47を鉛直方向下側から上側に流れる。気化流路46に隣接する燃焼排ガス流路47に燃焼排ガス166が流れると、気化流路46を流れる原燃料161と燃焼排ガス166との間で熱交換される(燃焼排ガス166から原燃料161に気化熱が与えられる)。そして、気化流路46では、原燃料161が気化されて原燃料ガス162(図4参照)が生成される。
図4に示されるように、気化流路46で気化された原燃料ガス162は、連結管81の内側に形成されたオリフィス82を通り、改質部60の上方に形成された混合部80の内側空間85に流入する。このとき、気化流路46で気化された原燃料ガス162は、連結管81の内側のオリフィス82を通過する際に流速が高められて噴流となり、混合部80における径方向外側の対向壁部86に衝突する。そして、原燃料ガス162が対向壁部86に衝突することにより乱流が生じ、原燃料ガス162に含まれる炭化水素系ガス及び水蒸気が混合される。
このようにして混合された原燃料ガス162は、対向壁部86に衝突することにより径方向外側から鉛直方向下側に向きを変え、改質流路67の入口に形成された複数のオリフィス84を通じて改質流路67に流入する。複数のオリフィス84は、改質流路67の周方向に一定の間隔を空けて並んでいるので、この複数のオリフィス84を通過することで、改質流路67には、原燃料ガス162が周方向に分散して流入する。
また、このとき、改質部60では、燃焼部90(図5参照)から排出された燃焼排ガス166が燃焼排ガス流路66を鉛直方向下側から上側に流れる。改質流路67に隣接する燃焼排ガス流路66に燃焼排ガス166が流れると、改質流路67を流れる原燃料ガス162と燃焼排ガス166との間で熱交換される。そして、改質流路67では、燃焼排ガス166の熱を利用して改質触媒層70により原燃料ガス162から燃料ガス163(改質ガス)が生成される。
改質流路67にて生成された燃料ガス163は、図5に示されるように、仕切板97に形成されたオリフィス98を通過し、燃料ガス配管107の内側に流入する。そして、この燃料ガス163は、燃料ガス配管107を通じて燃料電池セルスタック10の燃料ガス取入口16(図2参照)に供給される。
一方、このとき、図3に示される熱交換部110では、酸化剤ガス供給管122(図2参照)を通じて酸化剤ガス流路117に酸化剤ガス164が供給される。この酸化剤ガス164は、螺旋状に形成された酸化剤ガス流路117を鉛直方向下側から上側に流れる。このとき、熱交換部110では、燃焼部90(図5参照)から排出された燃焼排ガス166が燃焼排ガス流路118を鉛直方向上側から下側に流れる。この燃焼排ガス166は、図2に示されるガス排出管123を通じて燃料電池モジュールM1の外部に排出される。
図3に示されるように、酸化剤ガス流路117に隣接する燃焼排ガス流路118に燃焼排ガス166が流れると、酸化剤ガス流路117を流れる酸化剤ガス164と燃焼排ガス166との間で熱交換される。そして、燃料電池モジュールM1の外部へ排出される燃焼排ガス166の温度が低下され、燃料電池モジュールM1の外部への放熱が抑制される。一方、酸化剤ガス164は、燃焼排ガス166の熱を吸収し、予熱される。この熱交換部110にて予熱された酸化剤ガス164は、連結流路38を通じて気化部40の酸化剤ガス流路48に流入し、その後、気化部40の酸化剤ガス流路48及び改質部60の酸化剤ガス流路68(図4,図5参照)を鉛直方向上側から下側に流れる。
図4に示される気化部40では、上述の通り、燃焼部90(図5参照)から排出された燃焼排ガス166が燃焼排ガス流路47を鉛直方向下側から上側に流れる。酸化剤ガス流路48に隣接する燃焼排ガス流路47に燃焼排ガス166が流れると、酸化剤ガス流路48を流れる酸化剤ガス164と燃焼排ガス166との間で熱交換され、酸化剤ガス164がさらに予熱される。
同様に、改質部60では、燃焼部90(図5参照)から排出された燃焼排ガス166が燃焼排ガス流路66を鉛直方向下側から上側に流れる。改質流路67を挟んだ酸化剤ガス流路68と反対側の燃焼排ガス流路66に燃焼排ガス166が流れると、酸化剤ガス流路68を流れる酸化剤ガス164と燃焼排ガス166とが改質流路67(改質触媒層70)を介して熱交換し、このことによっても、酸化剤ガス164が予熱される。
このように酸化剤ガス流路48,68を流れることで予熱された酸化剤ガス164は、図5に示される予熱流路105に流入し、この螺旋状に形成された予熱流路105を鉛直方向上側から下側に流れる。この予熱流路105を流れる酸化剤ガス164は、燃料電池セルスタック10の熱によってさらに予熱される。そして、この予熱流路105にて予熱された酸化剤ガス164は、燃料電池セルスタック10の酸化剤ガス取入口15(図2参照)に供給される。
以上のようにして、図2に示される燃料電池セルスタック10の燃料ガス取入口16に燃料ガスが供給されると共に、燃料電池セルスタック10の酸化剤ガス取入口15に酸化剤ガスが供給されると、燃料電池セルスタック10では、各セル12において、酸化剤ガスと燃料ガスとの電気化学反応により発電する。また、各セル12は、発電に伴い発熱する。
図5に示されるように、燃料電池セルスタック10からは、燃料極排ガス及び空気極排ガスを含むスタック排ガス165が排出される。この燃料電池セルスタック10から排出されたスタック排ガス165は、隔壁部93に形成された絞り孔96を通じて燃焼部90の内側に形成された燃焼室94に流入する。このとき、燃料極排ガス及び空気極排ガスを含むスタック排ガス165は、絞り孔96を通過することで混合される。
この燃焼室94に流入したスタック排ガス165には、各セル12において未反応の水素及び酸素が含まれており、この水素を含むスタック排ガス165は、点火電極92とパイプ150等との間に形成されるスパークによって燃焼される。点火電極92は、燃料電池セルスタック10と鉛直方向に離間しているため、スタック排ガス165は、燃料電池セルスタック10から離れた位置で燃焼される。
そして、このようにして燃焼室94においてスタック排ガス165が燃焼されると、燃焼室94にて燃焼排ガス166が発生する。この燃焼室94にて発生した燃焼排ガス166は、上方(燃料電池セルスタック10と反対側)に排出され、テーパ部95に沿って改質部60の燃焼排ガス流路66に流入する。また、この燃焼部90から排出され改質部60の燃焼排ガス流路66に流入した燃焼排ガス166は、上述の通り、改質部60の燃焼排ガス流路66、気化部40の燃焼排ガス流路47(図4参照)、連結流路39及び熱交換部110の燃焼排ガス流路118(図3参照)を流れた後、図2に示されるガス排出管123を通じて燃料電池モジュールM1の外部に排出される。
次に、第一実施形態の作用及び効果について説明する。
以上詳述したように、第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1によれば、容器20は、図6,図7に示される高温側構造体201と低温側構造体202とに分割されており、この容器20のうちの低温側構造体202を構成する複数の部材は、ロウ付けにより接合されている。従って、この複数の部材を一度にロウ付けできる分、容器20を構成する複数の部材の全体を溶接により接合する場合に比して、作業工数を低減することができる。
しかも、容器20のうちの低温側構造体202をロウ付け用の高温炉に入れれば良く、ロウ付け用の高温炉の中に一度に入れる低温側構造体202の台数を確保できるので、量産効果を得ることができる。以上より、容器20の製造コスト、ひいては、燃料電池モジュールM1の製造コストを低減することができる。
また、ロウ付けは、燃料電池セルスタック10を収容する予熱部100を有する高温側構造体201ではなく、低温側構造体202に使用される。従って、燃料電池セルスタック10が発電に伴い発熱した場合でも、低温側構造体202に使用されたロウ材が溶融することを抑制できる。一方、高温側構造体201には、一般に高温にも耐えることができる溶接が使用される。以上より、燃料電池モジュールM1の耐久性を確保することができる。
また、低温側構造体202において、気化部40及び改質部60における流路は、同心状に配置された複数の管材21〜26によって形成されているので、低温側構造体202の組立が容易になると共に、低温側構造体202を小型化することができる。これにより、ロウ付け用の高温炉の中に一度に入れる低温側構造体202の台数を増加することができるので、量産効果を高めることができる。
また、気化部40に形成された気化流路46は、螺旋部材51により螺旋状に形成されている。従って、低温側構造体202を小型化しつつ、気化流路46の長さを長くすることができるので、気化効率を向上させることができる。
また、気化流路46に設けられた螺旋部材51は、気化流路46を形成する一対の管材22,23のそれぞれにロウ付けされているので(図9参照)、一対の管材22,23の剛性、ひいては、容器20の剛性を向上させることができる。
また、図9に示されるように、一対の管材22,23の間に設けられた螺旋部材51を通じて一対の管材22,23間で熱伝達されるので、一対の管材22,23の温度差、ひいては、熱膨張差を低減できる。さらに、螺旋部材51によって連結されることで一対の管材22,23の剛性が増すことにより、一対の管材22,23が熱膨張差による熱応力に十分に耐えられるようになる。この結果、必要な強度に応じた板厚まで一対の管材22,23を薄くできるので、軽量化及びコストダウンを実現することができる。
また、気化流路46に設けられた螺旋部材51は、全長に亘って一対の管材22,23のそれぞれにロウ付けされているので、組立上必要とされる螺旋部材51と一対の管材22,23の一方との間の隙間を螺旋部材51の全長に亘ってロウ材205により塞ぐことができる。これにより、螺旋部材51の全長に亘ってショートパスを抑制することができるので、気化効率を向上させることができ、ひいては燃料電池モジュールM1の効率及び運転安定性を向上させることができる。
また、図2に示されるように、気化部40は、四重の筒状壁41〜44によって構成されているので、気化部40における構造を簡素化できると共に、気化部40の組立が容易になる。同様に、改質部60は、四重の筒状壁61〜64によって構成され、熱交換部110は、三重の筒状壁111〜113によって構成されているので、改質部60及び熱交換部110についても、構造を簡素化できると共に組立が容易になる。これにより、燃料電池モジュールM1の製造コストをより低減することができる。
また、図7に示される低温側構造体202は、改質流路67を形成する一対の管材24,25を有し、この低温側構造体202と図6に示される高温側構造体201とは、改質流路67の下端部の位置Pにて分割されている。従って、高温側構造体201を低温側構造体202に組み付ける前の状態では、改質流路67の下端部が開放されるので、この改質流路67の下端部から改質流路67(一対の管材24,25の内側)に改質触媒を容易に挿入することができる。これにより、改質部60の組立が容易になるので、燃料電池モジュールM1の製造コストをより低減することができる。
また、燃料電池モジュールM1は、酸化剤ガスと燃焼排ガスとの間で熱交換する熱交換部110を備えるので、燃料電池セルスタック10に供給される酸化剤ガスを燃焼排ガスの熱を利用して予熱することができる。これにより、熱効率を向上させることができる。
また、熱交換部110についても、酸化剤ガス流路117及び燃焼排ガス流路118が螺旋部材120,121により螺旋状に形成されるので、低温側構造体202を小型化しつつ、酸化剤ガス流路117及び燃焼排ガス流路118の長さを長くすることができる。これにより、熱交換効率を向上させることができる。
また、螺旋部材120,121は、酸化剤ガス流路117及び燃焼排ガス流路118を形成する複数の管材27〜29のそれぞれにロウ付けされているので、複数の管材27〜29の剛性、ひいては、容器20の剛性を向上させることができる。
さらに、複数の管材27〜29の間に設けられた螺旋部材120,121を通じて複数の管材27〜29間で熱伝達されるので、複数の管材27〜29の温度差、ひいては、熱膨張差を低減できる。さらに、螺旋部材120,121によって連結されることで複数の管材27〜29の剛性が増すことにより、複数の管材27〜29が熱膨張差による熱応力に十分に耐えられるようになる。この結果、必要な強度に応じた板厚まで複数の管材27〜29を薄くできるので、より一層軽量化及びコストダウンができる。
また、図2に示されるように、燃料電池セルスタック10の周囲には、燃料電池セルスタック10に供給される酸化剤ガスを燃料電池セルスタック10の排熱で予熱する予熱部100が設けられているので、燃料電池セルスタック10に供給される酸化剤ガスを燃料電池セルスタック10の排熱を利用して予熱することができる。これにより、熱効率を向上させることができる。
また、予熱部100は、二重の筒状壁111,112によって構成されているので、予熱部100における構造を簡素化できると共に、予熱部100の組立が容易になる。これにより、燃料電池モジュールM1の製造コストをより低減することができる。
また、図8に示されるように、低温側構造体202を構成する複数の部材のうちの一の部材Aには、折曲片203が形成され、この折曲片203は、低温側構造体202を構成する複数の部材のうちの他の部材Bに重ね合わされた状態でロウ付けされる。従って、この折曲片203によって、ロウ付けによる接合面積を確保することができるので、一の部材Aと他の部材Bとの接合強度を増加させることができる。
また、ロウ材204の表面には、フィレット(曲面)が形成されるので、ロウ材204による接合部に切欠き等などの鋭い角部が形成されることを抑制できる。これにより、接合部に応力が集中することを抑制することができる。
また、図7に示されるように、低温側構造体202には、原燃料供給管50、連結管81、酸化剤ガス供給管122、及び、ガス排出管123などの配管が含まれる。これらの配管は、従来、溶接作業の自動化が難しく手作業での溶接となるが、手作業での溶接の場合、配管の接合部の品質にばらつきが生じやすい。この点、本実施形態では、ロウ付けによる接合であり、ロウ材が隙間に入り込むので、配管の接合部の品質を高めることができる。
また、溶接の場合、接合面積を大きくできないが、ロウ付けの場合、接合面積を大きくすることができるので、接合部の強度を高めることができると共に、熱伝導度も高めることができる。この結果、燃料電池モジュールM1の効率及び耐久性を向上させることができる。
また、溶接の場合、部材の板厚が薄いと溶接の入熱が周囲に拡散できず一箇所に集中して容易に穴が開いてしまうため、部材の板厚を薄くできないが、本実施形態では、ロウ付けであるため、部材に穴が開くことが無い。従って、必要な強度に応じた板厚まで部材を薄くできるので、軽量化及びコストダウンを実現することができる。
また、固体酸化物形燃料電池セルスタックのカソード極は、一般にクロム金属の蒸気により大きく性能が低下する。そのため、従来は、クロム金属が揮発しないように、燃料電池セルスタック周辺の高温部には一般のステンレス材を使用できなかった。しかしながら、本実施形態では、ロウ材にニッケルロウを用いることにより、ロウ付けの際にステンレス材の表面にロウ材が流れ、このステンレス材の表面をニッケルでコーティングすることができる。これにより、クロム金属の揮発を防ぐことができる。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
図10に示される第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2は、上述の第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1に対し、次のように構造が変更されている。
<容器>
すなわち、第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2において、容器20は、上述の第一実施形態よりも四つ少ない五個の管材21〜25により構成されている。この複数の管材21〜25は、容器20の内側から外側に順に配置されている。
一番目の管材21は、容器20の高さ方向の中央下部から中央部に亘って設けられており、二番目の管材22は、容器20の高さ方向の中央下部から中央上部に亘って設けられている。また、三番目の管材23は、容器20の高さ方向の中央部から上端部に亘って設けられており、四番目の管材24及び五番目の管材25は、容器20の下端部から上端部に亘って設けられている。
一番目の管材21の上端部は、二番目の管材22の高さ方向の中央部に接合され、二番目の管材22の上端部は、三番目の管材23の高さ方向の中央部に接合されている。また、二番目の管材22の下端部は、隔壁部93の外周部を介して四番目の管材24の高さ方向の中央下部に固定されており、三番目の管材23の下端部は、四番目の管材24の高さ方向の中央部に接合されている。
三番目の管材23の上端部は、容器20の上端部に設けられた天壁部181に接合され、四番目の管材24の上端部は、三番目の管材23の上端部に接合され、五番目の管材25の上端部は、四番目の管材24の上端部に接合されている。また、四番目の管材24の下端部は、底壁部34に接合されており、五番目の管材25の下端部は、底壁部35に接合されている。
<熱交換部>
熱交換部110は、気化部40の上方に気化部40と同軸上に設けられており、三重の筒状壁111〜113によって構成されている。三重の筒状壁111〜113における内側の筒状壁111は、三番目の管材23の上部によって構成され、三重の筒状壁111〜113における中央の筒状壁112は、四番目の管材24の上部によって構成されている。また、三重の筒状壁111〜113における外側の筒状壁113は、五番目の管材25の上部によって構成されている。
図11に示されるように、熱交換部110を構成する三重の筒状壁111〜113の内側から外側には、断熱空間115、燃焼排ガス流路118、及び、酸化剤ガス流路117が順に形成されている。第一実施形態と同様に、酸化剤ガス流路117は、螺旋部材120により熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成されており、燃焼排ガス流路118は、螺旋部材121により、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成されている。
酸化剤ガス流路117の上端部には、容器20の径方向外側に延びてから容器20の上側に延びる酸化剤ガス供給管122が接続されており、燃焼排ガス流路118の上端部には、容器20の径方向内側に延びてから容器20の上側に延びるガス排出管123(図10参照)が接続されている。
<気化部>
気化部40は、図10に示されるように、四重の筒状壁41〜44によって構成されている。四重の筒状壁41〜44のうち最も内側に位置する筒状壁41は、二番目の管材22の上部によって構成され、四重の筒状壁41〜44のうち内側から二番目の筒状壁42は、三番目の管材23の下部によって構成されている。また、四重の筒状壁41〜44のうち内側から三番目の筒状壁43は、四番目の管材24の高さ方向の中央上部によって構成され、四重の筒状壁41〜44のうち最も外側に位置する筒状壁44は、五番目の管材25の高さ方向の中央上部によって構成されている。
図12に示されるように、この気化部40を構成する四重の筒状壁41〜44の内側から外側には、断熱空間45、気化流路46、燃焼排ガス流路47、及び、酸化剤ガス流路48が順に形成されている。気化流路46の上端部には、容器20の径方向内側に延びてから容器20の上側に延びる原燃料供給管50が接続されている。
燃焼排ガス流路47及び酸化剤ガス流路48は、上述の熱交換部110の燃焼排ガス流路118及び酸化剤ガス流路117とそれぞれ連通されている。第一実施形態と同様に、気化流路46は、螺旋部材51により気化部40の軸方向回りに螺旋状に形成されている。
<改質部>
改質部60は、図10に示されるように、四重の筒状壁61〜64によって構成されている。四重の筒状壁61〜64のうち最も内側に位置する筒状壁61は、一番目の管材21によって構成され、四重の筒状壁61〜64のうち内側から二番目の筒状壁62は、二番目の管材22の下部によって構成されている。また、四重の筒状壁61〜64のうち内側から三番目の筒状壁63は、四番目の管材24の高さ方向の中央下部によって構成され、四重の筒状壁61〜64のうち最も外側の筒状壁64は、五番目の管材25の高さ方向の中央下部によって構成されている。
図12に示されるように、この改質部60を構成する四重の筒状壁61〜64の内側から外側には、断熱空間65、燃焼排ガス流路66、改質流路67、及び、酸化剤ガス流路68が順に形成されている。酸化剤ガス流路68は、気化部40の酸化剤ガス流路48と連通されており、改質流路67は、気化流路46と連通されている。
改質流路67の入口には、改質流路67の周方向に沿って環状に形成された一対の仕切板193が設けられている。この一対の仕切板193は、鉛直方向に並んでいる。各仕切板193には、周方向に一定の間隔を空けて複数のオリフィス194が形成されている。この複数のオリフィス194は、仕切板193の板厚方向に貫通しており、改質流路67には、複数のオリフィス194を通じて原燃料ガス162が流入する。なお、仕切板193は、一枚でも良い。
また、上述の気化流路46の下方には、容器20の径方向に延びる連通管197が設けられている。この連通管197は、容器20の周方向の一部に設けられている。改質部60の燃焼排ガス流路66は、連通管197の内側を介して気化部40の燃焼排ガス流路47と連通されている。
<燃焼部>
図13に示されるように、燃焼部90は、上述の改質部60の下方に設けられている。燃焼部90の周壁部91を構成する三重の筒状壁62〜64において、筒状壁62と筒状壁63との間には、改質部60の改質流路67が延長して形成されており、筒状壁63と筒状壁64との間には、改質部60の酸化剤ガス流路68が延長して形成されている。周壁部91の内側は、燃焼室94として形成されており、この燃焼室94は、予熱部100の内側空間104と、上述の改質部60の燃焼排ガス流路66とに連通されている。周壁部91の内側に設けられたテーパ部95は、一例として、筒状壁61と別体に構成されており、この筒状壁61の下端部に接合されている。
隔壁部93の中央部には、点火電極92と燃料電池セルスタック10との間に開口する絞り孔96が形成されており、この絞り孔96には、燃料極排ガスが通過する複数のオリフィス212が形成されたパンチングメタル211が設けられている。また、隔壁部93において絞り孔96の周囲に形成された縦壁部には、空気極排ガスが通過する連通孔215が形成されている。
<予熱部>
予熱部100(収容部)は、二重の筒状壁101,102によって構成されている。第二実施形態において、上述の気化部40、改質部60、及び、熱交換部110を構成する複数の筒状壁は、円筒状に形成されているが、予熱部100を構成する二重の筒状壁は、一例として、楕円筒状に形成されている。この二重の筒状壁101,102のうち内側の筒状壁101は、四番目の管材24の下部によって構成され、二重の筒状壁101,102のうち外側の筒状壁102は、五番目の管材25の下部によって構成されている。
この予熱部100を構成する二重の筒状壁101,102の間には、予熱流路105が形成されている。第一実施形態と同様に、予熱流路105は、螺旋部材106により予熱部100の軸方向回りに螺旋状に形成されている。
この予熱流路105の上端部は、上述の改質部60の酸化剤ガス流路68と連通され、予熱流路105の下端部は、図14に示される底壁部34と底壁部35との間に形成された導入路を通じて燃料電池セルスタック10の酸化剤ガス取入口と連通されている。
また、底壁部34と底壁部35との間には、隔壁板213が設けられており、底壁部34と隔壁板213との間には、燃料ガス取入口16と連通する導入路214が形成されている。上述の改質流路67の下端部には、燃料ガス配管107の上端部が接続されており、この燃料ガス配管107の下端部は、導入路214に開口している。
<高温側構造体及び低温側構造体>
図10に示されるように、以上の熱交換部110、気化部40、改質部60、燃焼部90、予熱部100を有する容器20は、高温側構造体221(第一構造体)と、低温側構造体222(第二構造体)とに分割されている。この高温側構造体221と低温側構造体222との分割部は、内側から二番目の管材22の下端部の位置P1と、内側から四番目の管材24における高さ方向の中央部の位置P2とに設定されている。
そして、図15に示されるように、高温側構造体221は、複数の第一部材の一例として、管材24の下部24A、管材25、底壁部34,35、隔壁板213、螺旋部材106、燃料ガス配管107、酸化剤ガス供給管122、隔壁部93、仕切板97、パンチングメタル211等を有している。
一方、図16に示されるように、低温側構造体222は、複数の第二部材の一例として、管材21〜23、管材24の上部24B、原燃料供給管50、螺旋部材51、テーパ部95、螺旋部材120,121、ガス排出管123、ベース部材148、パイプ150、天壁部181、一対の仕切板193、連通管197等を有している。
第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2の稼働時に、図15に示される高温側構造体221は、燃料電池セルスタック10の周囲に位置するため、600℃以上に加熱されるが、図16に示される低温側構造体222の接合部は、燃料電池セルスタック10の上方に離間するため、600℃未満とされる。高温側構造体221を構成する複数の部材は、溶接により接合されているが、低温側構造体222を構成する複数の部材は、ロウ付けにより接合されている。低温側構造体222のロウ付けには、例えば、ニッケルロウ等のロウ材が使用される。また、高温側構造体201における溶接には、種々の溶接方法が適用可能である。
なお、第一実施形態と同様に、低温側構造体222を構成する複数の部材のうちの一の部材Aには、折曲片203(図8参照)が形成され、この折曲片203は、低温側構造体222を構成する複数の部材のうちの他の部材Bに重ね合わされた状態でロウ付けされても良い。
また、低温側構造体222を構成する複数の部材のうち幾つかの部材は、ロウ付けではなく他の方法(例えば溶接など)により接合されても良い。また、低温側構造体222を構成する複数の部材のうち幾つかの部材の位置決めのために溶接が使用されても良い。また、高温側構造体221を構成する複数の部材のうち幾つかの部材についても、溶接ではなく他の方法により接合されても良い。
また、気化流路46に設けられた螺旋部材51は、気化流路46を形成する一対の管材22,23のそれぞれにロウ付けされている(図9参照)。螺旋部材51は、より好ましくは、その全長に亘って一対の管材22,23のそれぞれにロウ付けされる。
また、この気化流路46に設けられた螺旋部材51と同様に、熱交換部110の燃焼排ガス流路118に設けられた螺旋部材121は、燃焼排ガス流路118を形成する一対の管材23,24(管材24の上部24B)のそれぞれにロウ付けされている。
なお、図10に示されるように、上述の高温側構造体221及び低温側構造体222により構成された容器20は、第一実施形態と同様に、断熱材140によって覆われている。
次に、第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2の製造方法(組立方法)について説明する。
先ず、図16に示されるように、管材21〜23、管材24の上部24B、原燃料供給管50、螺旋部材51、テーパ部95、螺旋部材120,121、ガス排出管123、ベース部材148、パイプ150、天壁部181、一対の仕切板193、連通管197等(複数の第二部材)がロウ付けにより接合されて、低温側構造体222が組み立てられる(低温側構造体組立工程)。
なお、低温側構造体222を構成する複数の部材のうち幾つかの部材は、ロウ付けではなく溶接により接合されても良い。また、この溶接による接合は、幾つかの部材の位置決めのために使用されても良い。
そして、図15に示される高温側構造体221のうち、管材24の下部24Aが図16に示される管材24の上部24Bに溶接により接合される。改質触媒層70は、例えばハニカム触媒や粒状触媒等で構成され、管材24の下部24Aが管材24の上部24Bに接合される前に低温側構造体222に設けられた筒状壁62の外周部に組み付けられるか、又は、管材24の下部24Aが管材24の上部24Bに接合される際に管材24の下部24Aに形成された筒状壁63の内周部に組み付けられる。
続いて、管材25が図16に示される低温側構造体222に設けられた管材24に溶接により接合される。
螺旋部材106は、管材24の下部24A及び管材25のいずれかに予め溶接により接合されるか、又は、管材24の下部24A及び管材25が低温側構造体202に接合される際に適宜タイミングにて管材24の下部24A及び管材25のいずれかに溶接により接合される。また、同様に、燃料ガス配管107、酸化剤ガス供給管122、隔壁部93、仕切板97、パンチングメタル211等についても、高温側構造体221における接合先の部材に予め溶接により接合されるか、又は、適宜タイミングにて接合先の部材に溶接により接合される。
そして、管材24の下部24Aの内側に燃料電池セルスタック10が収容された状態で、管材24の下部24A及び管材25の下端部に底壁部34,35が溶接により接合される。このとき、適宜タイミングにて底壁部34と燃料電池セルスタック10とが固定される。
また、隔壁板213は、底壁部34,35に予め溶接により接合されるか、又は、管材24の下部24A及び管材25に底壁部34,35が接合される際に適宜タイミングにて底壁部34,35に溶接により接合される。以上により、高温側構造体221が組み立てられて、高温側構造体221及び低温側構造体222により容器20が構成される(高温側構造体組立工程)。
そして、容器20が構成された後、パイプ150の内側に導電部151が挿入され、このパイプ150の先端から点火電極92が突出されると共に、ベース部材148にシール板147及びOリングが組み付けられる。また、容器20に断熱材140等が組み付けられ、燃料電池モジュールM2が完成する。
なお、このようにして製造された燃料電池モジュールM2において、熱交換部110、気化部40、改質部60、燃焼部90、予熱部100の機能は、上述の第一実施形態と同様であり、第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2は、第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1と同様に動作する。
次に、第二実施形態の作用及び効果について説明する。
以上詳述したように、第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2においても、容器20は、図15,図16に示される高温側構造体221と低温側構造体222とに分割されており、この容器20のうちの低温側構造体222を構成する複数の部材は、ロウ付けにより接合されている。従って、この複数の部材を一度にロウ付けできる分、容器20を構成する複数の部材の全体を溶接により接合する場合に比して、作業工数を低減することができる。
しかも、容器20のうちの低温側構造体222をロウ付け用の高温炉に入れれば良く、ロウ付け用の高温炉の中に一度に入れる低温側構造体222の台数を確保できるので、量産効果を得ることができる。以上より、容器の製造コスト、ひいては、燃料電池モジュールM2の製造コストを低減することができる。
また、ロウ付けは、燃料電池セルスタック10を収容する予熱部100を有する高温側構造体221ではなく、低温側構造体222に使用される。従って、燃料電池セルスタック10が発電に伴い発熱した場合でも、低温側構造体222に使用されたロウ材が溶融することを抑制できる。一方、高温側構造体221には、一般に高温にも耐えることができる溶接が使用される。以上より、燃料電池モジュールM2の耐久性を確保することができる。
また、低温側構造体222において、気化部40及び改質部60における流路は、同心状に配置された複数の管材21〜23及び管材24の上部24Bによって形成されているので、低温側構造体222の組立が容易になると共に、低温側構造体222を小型化することができる。これにより、ロウ付け用の高温炉の中に一度に入れる低温側構造体222の台数を増加することができるので、量産効果を高めることができる。
また、気化部40に形成された気化流路46は、螺旋部材51により螺旋状に形成されている。従って、低温側構造体222を小型化しつつ、気化流路46の長さを長くすることができるので、気化効率を向上させることができる。
また、気化流路46に設けられた螺旋部材51は、気化流路46を形成する一対の管材22,23のそれぞれにロウ付けされているので(図9参照)、一対の管材22,23の剛性、ひいては、容器20の剛性を向上させることができる。
また、一対の管材22,23の間に設けられた螺旋部材51を通じて一対の管材22,23間で熱伝達されるので、一対の管材22,23の温度差、ひいては、熱膨張差を低減できる。さらに、螺旋部材51によって連結されることで一対の管材22,23の剛性が増すことにより、一対の管材22,23が熱膨張差による熱応力に十分に耐えられるようになる。この結果、必要な強度に応じた板厚まで一対の管材22,23を薄くできるので、軽量化及びコストダウンを実現することができる。
また、気化流路46に設けられた螺旋部材51は、全長に亘って一対の管材22,23のそれぞれにロウ付けされているので、組立上必要とされる螺旋部材51と一対の管材22,23の一方との間の隙間を螺旋部材51の全長に亘ってロウ材205(図9参照)により塞ぐことができる。これにより、螺旋部材51の全長に亘ってショートパスを抑制することができるので、気化効率を向上させることができ、ひいては燃料電池モジュールM2の効率及び運転安定性を向上させることができる。
また、図10に示されるように、気化部40は、四重の筒状壁41〜44によって構成されているので、気化部40における構造を簡素化できると共に、気化部40の組立が容易になる。同様に、改質部60は、四重の筒状壁61〜64によって構成され、熱交換部110は、三重の筒状壁111〜113によって構成されているので、改質部60及び熱交換部110についても、構造を簡素化できると共に組立が容易になる。これにより、燃料電池モジュールM2の製造コストをより低減することができる。
また、図15,図16に示されるように、高温側構造体221と低温側構造体222との分割部は、内側から二番目の管材22の下端部の位置P1と、内側から四番目の管材24における高さ方向の中央部の位置P2とに設定されている。そして、高温側構造体221は、改質流路67を形成する一対の筒状壁62,63のうち外側の筒状壁63が形成された管材24の下部24Aを有し、低温側構造体222は、改質流路67を形成する一対の筒状壁62,63のうち内側の筒状壁62が形成された管材22を有する。
従って、高温側構造体221を低温側構造体222に組み付ける前の状態では、改質流路67を形成する内側の筒状壁62に対して外側の筒状壁63が分割された状態とされるので、一対の筒状壁62,63のいずれか(筒状壁62の外周部又は筒状壁63の内周部)に例えばハニカム触媒や粒状触媒等で構成された改質触媒層70を容易に形作ることができる。これにより、改質部60の組立が容易になるので、燃料電池モジュールM2の製造コストをより低減することができる。
また、気化部40の酸化剤ガス流路48を形成する内側の筒状壁43が形成された管材24の上部24Bは、低温側構造体222に設けられ、改質部60の酸化剤ガス流路68を形成する内側の筒状壁63が形成された管材24の下部24Aは、高温側構造体221に設けられている。これにより、管材24の下部24Aと上部24Bとで材質を異ならせることができ、例えば、管材24の下部24Aは、クロム揮発防止のための高価なステンレス鋼(例えば、SUH21)に、管材24の上部24Bは、ロウ付け可能で安価なステンレス鋼(例えば、SUS430)にすることができる。
また、燃料電池モジュールM2は、酸化剤ガスと燃焼排ガスとの間で熱交換する熱交換部110を備えるので、燃料電池セルスタック10に供給される酸化剤ガスを燃焼排ガスの熱を利用して予熱することができる。これにより、熱効率を向上させることができる。
また、低温側構造体222に形成された燃焼排ガス流路118(図11参照)についても、螺旋部材121により螺旋状に形成されるので、低温側構造体222を小型化しつつ、燃焼排ガス流路121の長さを長くすることができる。これにより、熱交換効率を向上させることができる。
また、螺旋部材121は、燃焼排ガス流路118を形成する一対の管材23,24(管材24の上部24B)のそれぞれにロウ付けされているので、一対の管材23,24の剛性、ひいては、容器20の剛性を向上させることができる。
さらに、一対の管材23,24の間に設けられた螺旋部材121を通じて一対の管材23,24間で熱伝達されるので、一対の管材23,24の温度差、ひいては、熱膨張差を低減できる。さらに、螺旋部材121によって連結されることで一対の管材23,24の剛性が増すことにより、一対の管材23,24が熱膨張差による熱応力に十分に耐えられるようになる。この結果、必要な強度に応じた板厚まで一対の管材23,24を薄くできるので、軽量化及びコストダウンを実現することができる。
また、燃料電池セルスタック10の周囲には、燃料電池セルスタック10に供給される酸化剤ガスを燃料電池セルスタック10の排熱で予熱する予熱部100が設けられているので、燃料電池セルスタック10に供給される酸化剤ガスを燃料電池セルスタック10の排熱を利用して予熱することができる。これにより、熱効率を向上させることができる。
また、図10に示されるように、予熱部100は、二重の筒状壁111,112によって構成されているので、予熱部100における構造を簡素化できると共に、予熱部100の組立が容易になる。これにより、燃料電池モジュールM2の製造コストをより低減することができる。
また、低温側構造体202を構成する複数の部材のうちの一の部材Aには、折曲片203(図8参照)が形成され、この折曲片203は、低温側構造体202を構成する複数の部材のうちの他の部材Bに重ね合わされた状態でロウ付けされる。従って、この折曲片203によって、ロウ付けによる接合面積を確保することができるので、一の部材Aと他の部材Bとの接合強度を増加させることができる。
また、第一実施形態と同様に、ロウ材204の表面には、フィレット(曲面)が形成されるので、ロウ材204による接合部に切欠き等などの鋭い角部が形成されることを抑制できる。これにより、接合部に応力が集中することを抑制することができる。
また、低温側構造体222には、原燃料供給管50、連通管197、及び、ガス排出管123などの配管が含まれる。これらの配管は、従来、溶接作業の自動化が難しく手作業での溶接となるが、手作業での溶接の場合、配管の接合部の品質にばらつきが生じやすい。この点、本実施形態では、ロウ付けによる接合であり、ロウ材が隙間に入り込むので、配管の接合部の品質を高めることができる。
また、溶接の場合、接合面積を大きくできないが、ロウ付けの場合、接合面積を大きくすることができるので、接合部の強度を高めることができると共に、熱伝導度も高めることができる。この結果、燃料電池モジュールM2の効率及び耐久性を向上させることができる。
また、溶接の場合、部材の板厚が薄いと溶接の入熱が周囲に拡散できず一箇所に集中して容易に穴が開いてしまうため、部材の板厚を薄くできないが、本実施形態では、ロウ付けであるため、部材に穴が開くことが無い。従って、必要な強度に応じた板厚まで部材を薄くできるので、軽量化及びコストダウンを実現することができる。
また、固体酸化物形燃料電池セルスタックのカソード極は、一般にクロム金属の蒸気により大きく性能が低下する。そのため、従来は、クロム金属が揮発しないように、燃料電池セルスタック周辺の高温部には一般のステンレス材を使用できなかった。しかしながら、本実施形態では、ロウ材にニッケルロウを用いることにより、ロウ付けの際にステンレス材の表面にロウ材が流れ、このステンレス材の表面をニッケルでコーティングすることができる。これにより、クロム金属の揮発を防ぐことができる。
次に、上述の第一及び第二実施形態の変形例について説明する。
第一及び第二実施形態に係る燃料電池モジュールM1,M2において、予熱部100を構成する二重の筒状壁101,102は、楕円筒状に形成されているが、他の筒状壁と同様に円筒状に形成されても良い。また、予熱部100、燃焼部90の周壁部91、改質部60、気化部40、及び、熱交換部110を構成する複数の筒状壁は、いずれも楕円筒状に形成されていても良い。
また、予熱部100、燃焼部90の周壁部91、改質部60、気化部40、及び、熱交換部110等を構成する複数の筒状壁は、円筒状に形成されたものと、楕円筒状に形成されたものの両方を含んでいても良い。
また、第一及び第二実施形態に係る燃料電池モジュールM1,M2において、気化部40は、四重の筒状壁41〜44の内側から外側に順に、断熱空間45、気化流路46、燃焼排ガス流路47、及び、酸化剤ガス流路48を有するが、四重の筒状壁41〜44の内側から外側に順に、断熱空間45、燃焼排ガス流路47、気化流路46、及び、酸化剤ガス流路48を有しても良い。
また、第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1において、熱交換部110は、内側の筒状壁111と中央の筒状壁112との間に酸化剤ガス流路117を有し、外側の筒状壁113と中央の筒状壁112との間に燃焼排ガス流路118を有する。しかしながら、熱交換部110は、内側の筒状壁111と中央の筒状壁112との間に燃焼排ガス流路118を有し、外側の筒状壁113と中央の筒状壁112との間に酸化剤ガス流路117を有するように構造が変更されても良い。
また、第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2において、酸化剤ガスが流れる酸化剤ガス流路は、熱交換部110、気化部40、及び、改質部60に亘って形成されている。しかしながら、熱交換部110、気化部40、及び、改質部60から酸化剤ガス流路が省かれても良い。また、この場合に、気化部40及び改質部60は、三重の筒状壁によってそれぞれ構成されても良く、また、酸化剤ガス供給管122は、予熱流路105の上端部に接続されても良い。
また、第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2において、熱交換部110は、三重の筒状壁111〜113によって構成されているが、四重の筒状壁によって構成されても良い。また、この場合に、熱交換部110を構成する四重の筒状壁の間には、原燃料供給管50と接続され原燃料が流れる原燃料流路、酸化剤ガスが流れる酸化剤ガス流路、及び、燃焼排ガスが流れる燃焼排ガス流路が形成されても良い。
また、この四重の筒状壁によって構成された熱交換部110において、原燃料流路、酸化剤ガス流路、及び、燃焼排ガス流路の少なくともいずれかには、螺旋部材が設けられても良い。また、この螺旋部材が設けられた流路を形成する複数の管材は、螺旋部材とそれぞれロウ付けにより接合されていても良い。
また、第一及び第二実施形態に係る燃料電池モジュールM1,M2において、気化流路46、予熱流路105、酸化剤ガス流路117、及び、燃焼排ガス流路118は、螺旋部材によって螺旋状に形成されているが、各々の流路を形成する一対の管材の少なくとも一方にコルゲート加工により螺旋状のコルゲート部が形成されることによって各流路が螺旋状に形成されても良い。
また、第一及び第二実施形態に係る燃料電池モジュールM1,M2において、熱交換部110は、省かれても良い。
また、第一及び第二実施形態に係る燃料電池モジュールM1,M2において、予熱部100は、二重の筒状壁101,102によって構成されているが、三重の筒状壁によって構成されても良い。また、この場合に、予熱部100を構成する三重の筒状壁の間には、酸化剤ガスが流れる予熱流路105と、改質流路67と連通し燃料ガスが流れる燃料ガス流路とが形成されても良い。
また、第一及び第二実施形態に係る燃料電池モジュールM1,M2において、燃料電池セルスタック10には、固体酸化物形燃料電池(SOFC)が適用されているが、その他の形式の燃料電池が適用されても良い。
また、原燃料に含まれる炭化水素系燃料として、都市ガスが用いられているが、都市ガスの代わりにメタンガスなど水素を主成分とするガスが用いられても良い。また、炭化水素系燃料は、炭化水素系液体でも良い。
また、上記複数の変形例のうち組み合わせ可能な変形例は、適宜、組み合わされて実施されても良い。
以上、本発明の第一及び第二実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。