JP6234708B2 - X線診断装置、医用画像処理装置及び医用画像処理プログラム - Google Patents

X線診断装置、医用画像処理装置及び医用画像処理プログラム Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、X線診断装置、医用画像処理装置及び医用画像処理プログラムに関する。
X線診断装置による診断法の1つとして、経時差分法が知られている。経時差分法は、異なる日時に撮影したX線画像の差分処理を行うことによって経時的な変化を検出する手法である。また、X線診断装置による別の診断法として、ディジタルサブトラクションアンギオグラフィー(DSA: digital subtraction angiography)が知られている。DSAは、ヨウ素等の造影剤を血管内に投与して撮影されたX線造影画像と非造影画像との差分処理を行うことによって血管が描出された画像を取得する手法である。
このように、X線診断装置を用いた診断では、しばしば診断目的に応じた差分処理が実行される。
特開2006−101926号公報
新井康夫 「SOI技術による一体化ピクセル検出器の開発」 2007年6月、高エネルギーニュース、Vol26 No. 1、 2007年6月1日
X線画像データ間で比較や差分処理を行う場合において、撮影条件や撮影に使用されたX線診断装置の特性に相違があると、適切な比較結果又は適切なコントラストを有する差分画像を得ることが困難となる。従って、被検体の定量情報が反映されたX線画像データを生成することが重要である。これは、比較や差分処理を伴わないX線撮影においても同様である。
そこで、本発明は、装置の特性の影響が低減された定量的な被検体のX線画像データを生成することが可能なX線診断装置、医用画像処理装置及び医用画像処理プログラムを提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係るX線診断装置は、X線照射部、X線検出器データ処理系、参照データ保存部及び吸収係数保存部を備える。X線照射部は、被検体にX線を照射する。X線検出器は、前記被検体を透過したX線の光子を、複数の画素位置についてそれぞれ複数のエネルギ帯域別に計数することによってX線検出データを収集する。データ処理系は、前記X線検出データに基づいて前記被検体に固有の情報を表すX線画像データを生成する。参照データ保存部は、複数のX線の照射条件に対応する複数の参照データを保存する。吸収係数保存部は、複数の部位に対応する複数のX線吸収係数を保存する。前記データ処理系は、前記複数の参照データのうち、前記被検体に照射された前記X線の照射条件に対応する参照データを参照し、かつ前記複数のX線吸収係数のうち、前記被検体の部位に対応するX線吸収係数を用いて前記X線画像データを生成するように構成される。
また、本発明の実施形態に係るX線診断装置は、X線照射部、X線検出器、データ処理系、吸収係数保存部及びエネルギ帯域設定部を備える。X線照射部は、被検体にX線を照射する。X線検出器は、前記被検体を透過したX線の光子を、複数の画素位置についてそれぞれ複数のエネルギ帯域別に計数することによってX線検出データを収集する。データ処理系は、前記X線検出データに基づいて前記被検体に固有の情報を表すX線画像データを生成する。吸収係数保存部は、複数の部位に対応する複数のX線吸収係数を保存する。エネルギ帯域設定部は、前記X線検出器において前記X線の光子を計数するための前記複数のエネルギ帯域を設定する。前記データ処理系は、前記複数のX線吸収係数のうち、前記被検体の部位に対応するX線吸収係数を用いて前記X線画像データを生成するように構成される。
また、本発明の実施形態に係るX線診断装置は、X線照射部、X線検出器、データ処理系及び吸収係数保存部を備える。X線照射部は、被検体にX線を照射する。X線検出器は、前記被検体を透過したX線の光子を、複数の画素位置についてそれぞれ複数のエネルギ帯域別に計数することによってX線検出データを収集する。データ処理系は、前記X線検出データに基づいて前記被検体に固有の情報を表すX線画像データを生成する。吸収係数保存部は、複数の部位に対応する複数のX線吸収係数を保存する。前記データ処理系は、前記複数のX線吸収係数のうち、前記被検体の部位に対応するX線吸収係数を用いて前記X線画像データを生成し、かつ画素ごとの前記被検体の部位の特定情報を前記X線画像データに付帯させるように構成される。
また、本発明の実施形態に係る医用画像処理装置は、データ取得部データ処理系、参照データ保存部及び吸収係数保存部を備える。データ取得部は、被検体に照射され、前記被検体を透過したX線の光子を、複数の画素位置についてそれぞれ複数のエネルギ帯域別に計数することによって収集されたX線検出データを取得する。データ処理系は、前記X線検出データに基づいて前記被検体に固有の情報を表すX線画像データを生成する。参照データ保存部は、複数のX線の照射条件に対応する複数の参照データを保存する。吸収係数保存部は、複数の部位に対応する複数のX線吸収係数を保存する。前記データ処理系は、前記複数の参照データのうち、前記被検体に照射された前記X線の照射条件に対応する参照データを参照し、かつ前記複数のX線吸収係数のうち、前記被検体の部位に対応するX線吸収係数を用いて前記X線画像データを生成するように構成される。
また、本発明の実施形態に係る医用画像処理装置は、データ取得部、データ処理系、吸収係数保存部及びエネルギ帯域設定部を備える。データ取得部は、被検体に照射され、前記被検体を透過したX線の光子を、複数の画素位置についてそれぞれ複数のエネルギ帯域別に計数することによって収集されたX線検出データを取得する。データ処理系は、前記X線検出データに基づいて前記被検体に固有の情報を表すX線画像データを生成する。吸収係数保存部は、複数の部位に対応する複数のX線吸収係数を保存する。エネルギ帯域設定部は、前記X線検出データを収集するX線検出器において前記X線の光子を計数するための前記複数のエネルギ帯域を設定する。前記データ処理系は、前記複数のX線吸収係数のうち、前記被検体の部位に対応するX線吸収係数を用いて前記X線画像データを生成するように構成される。
また、本発明の実施形態に係る医用画像処理装置は、データ取得部、データ処理系及び吸収係数保存部を備える。データ取得部は、被検体に照射され、前記被検体を透過したX線の光子を、複数の画素位置についてそれぞれ複数のエネルギ帯域別に計数することによって収集されたX線検出データを取得する。データ処理系は、前記X線検出データに基づいて前記被検体に固有の情報を表すX線画像データを生成する。吸収係数保存部は、複数の部位に対応する複数のX線吸収係数を保存する。前記データ処理系は、前記複数のX線吸収係数のうち、前記被検体の部位に対応するX線吸収係数を用いて前記X線画像データを生成し、かつ画素ごとの前記被検体の部位の特定情報を前記X線画像データに付帯させるように構成される。
また、本発明の実施形態に係る医用画像処理プログラムは、コンピュータを、データ取得部データ処理系、参照データ保存部及び吸収係数保存部として機能させる。データ取得部は、被検体に照射され、前記被検体を透過したX線の光子を、複数の画素位置についてそれぞれ複数のエネルギ帯域別に計数することによって収集されたX線検出データを取得する。データ処理系は、前記X線検出データに基づいて前記被検体に固有の情報を表すX線画像データを生成する。参照データ保存部は、複数のX線の照射条件に対応する複数の参照データを保存する。吸収係数保存部は、複数の部位に対応する複数のX線吸収係数を保存する。前記データ処理系は、前記複数の参照データのうち、前記被検体に照射された前記X線の照射条件に対応する参照データを参照し、かつ前記複数のX線吸収係数のうち、前記被検体の部位に対応するX線吸収係数を用いて前記X線画像データを生成する。
また、本発明の実施形態に係る医用画像処理プログラムは、コンピュータを、データ取得部、データ処理系、吸収係数保存部及びエネルギ帯域設定部として機能させる。データ取得部は、被検体に照射され、前記被検体を透過したX線の光子を、複数の画素位置についてそれぞれ複数のエネルギ帯域別に計数することによって収集されたX線検出データを取得する。データ処理系は、前記X線検出データに基づいて前記被検体に固有の情報を表すX線画像データを生成する。吸収係数保存部は、複数の部位に対応する複数のX線吸収係数を保存する。エネルギ帯域設定部は、前記X線検出データを収集するX線検出器において前記X線の光子を計数するための前記複数のエネルギ帯域を設定する。前記データ処理系は、前記複数のX線吸収係数のうち、前記被検体の部位に対応するX線吸収係数を用いて前記X線画像データを生成する。
また、本発明の実施形態に係る医用画像処理プログラムは、コンピュータを、データ取得部、データ処理系及び吸収係数保存部として機能させる。データ取得部は、被検体に照射され、前記被検体を透過したX線の光子を、複数の画素位置についてそれぞれ複数のエネルギ帯域別に計数することによって収集されたX線検出データを取得する。データ処理系は、前記X線検出データに基づいて前記被検体に固有の情報を表すX線画像データを生成する。吸収係数保存部は、複数の部位に対応する複数のX線吸収係数を保存する。前記データ処理系は、前記複数のX線吸収係数のうち、前記被検体の部位に対応するX線吸収係数を用いて前記X線画像データを生成し、かつ画素ごとの前記被検体の部位の特定情報を前記X線画像データに付帯させる。
本発明の実施形態に係るX線診断装置の構成図。 図1に示すX線検出器の詳細構成例を示す図。 図1に示す医用画像処理装置の機能ブロック図。 図3に示す閾値設定部において設定される閾値電圧と弁別されるX線光子のエネルギとの関係の一例を示す図。 図3に示す閾値設定部における閾値の設定により弁別されるX線光子のエネルギ分布を示す図。 図3に示すX線画像生成部において実行される処理の第1の例を示す図。 図3に示すX線画像生成部において実行される処理の第2の例を示す図。 図3に示すX線画像生成部において実行される処理の第3の例を示す図。 図3に示すDSA画像生成部において実行される処理を示す図。 図3に示す疑似画像生成部において実行される処理を示す図。
本発明の実施形態に係るX線診断装置、医用画像処理装置及び医用画像処理プログラムについて添付図面を参照して説明する。
(構成および機能)
図1は本発明の実施形態に係るX線診断装置の構成図である。
X線診断装置1は、撮影系2、制御系3、データ処理系4、入力装置5及び表示装置6を備えている。撮影系2は、X線照射部7、X線検出器8、駆動機構9及び寝台10を有する。制御系3は、高電圧発生装置3A、撮影位置制御装置3B及びシステム制御部3Cを有する。
X線照射部7は、X線管及びビームフィルタを備え、寝台10にセットされた被検体Oを挟んでX線検出器8と対向配置される。X線照射部7及びX線検出器8は、駆動機構9の駆動によって相対位置を維持しながら被検体Oに対する角度及び相対位置を変えることができる。具体的には、回転機能を備えたC型アームの両端にX線照射部7及びX線検出器8が固定される。そして、X線照射部7は、X線管により被検体Oに向けて所定の角度からX線を照射し、被検体Oを透過したX線をX線検出器8で検出できるように構成される。
また、寝台10の天板の傾斜及び位置を駆動機構9によって調整することができる。更に、寝台10にセットされた被検体Oの近傍には、被検体Oに造影剤を注入するための造影剤注入装置13が設けられる。
尚、図1にはX線診断装置1が循環器用である場合の例を示しているが、乳房撮影用など用途に応じてX線照射部7、X線検出器8及び寝台10の配置が異なる場合もある。
制御系3の高電圧発生装置3Aは、X線照射部7のX線管に高電圧を印加することによって、所望のエネルギを有するX線を被検体Oに向けて照射させる装置である。撮影位置制御装置3Bは、駆動機構9に制御信号を出力して制御する装置である。すなわち、X線照射部7及びX線検出器8の回転角度及び位置並びに寝台10の天板の傾斜及び位置は、撮影位置制御装置3Bから駆動機構9に出力される制御信号によって制御される。
システム制御部3Cは、高電圧発生装置3A、撮影位置制御装置3B及びデータ処理系4を含むX線診断装置1の各構成要素を制御するシステムである。
データ処理系4は、X線検出器8において検出されたX線検出データに基づいて被検体Oに固有の情報を表すX線画像データを生成するシステムである。データ処理系4は、コンピュータ15で構成することができる。コンピュータ15は、医用画像処理プログラムを実行することにより医用画像処理装置15として機能する。すなわち、X線診断装置1には、医用画像処理装置15が内蔵される。
但し、同様な機能を有する独立した医用画像処理装置を、ネットワークを介してX線診断装置1に接続するようにしても良い。その場合には、医用画像処理装置に、X線診断装置1からネットワークを介してX線検出データを取得するデータ取得部としての機能が備えられる。また、X線診断装置1に内蔵される医用画像処理装置15又はX線診断装置1とネットワークを介して接続される医用画像処理装置を構成するために回路を用いてもよい。
次に、X線検出器8の構成及び機能について説明する。
図2は、図1に示すX線検出器8の詳細構成例を示す図である。
X線検出器8は、2次元状に配列された光子計数型の複数の画像センサ20を用いて構成される。各画像センサ20は、画素に対応している。従って、画素数だけ画像センサ20が設けられる。
このため、X線検出器8の画素が1次元の場合には、画像センサ20を1次元的に配列することによってX線検出器8を構成することができる。但し、ここでは、実用的な2次元の画素を有するX線検出器8を例に説明する。
各画像センサ20は、入射したX線の光子を検出し、エネルギレベル毎にX線光子を計数する機能を有している。従って、各画像センサ20では、入射したX線光子のエネルギの弁別が行われる。具体的には、各画像センサ20では、入射したX線光子のエネルギに応じた電気パルスの生成と、生成された電気パルスのパルス波高を複数のレベルに分けてレベルごとに計数する処理とが実行される。尚、電気パルスの波高値が所定の閾値よりも小さい場合には計数しないようにすることによって、ノイズを低減することができる。
図2に示す例では、上述のような機能を備えるために、半導体セル21、チャージアンプ22、波形整形回路23、複数の比較器24、複数のスイッチ25、閾値論理回路26及び複数のカウンタ(計数器)27を用いて各画像センサ20が構成されている。
半導体セル21は、テルル化カドミウム(CdTe)半導体、テルル化カドミウム亜鉛(CdZnTe) 半導体、シリコン(Si)半導体等によって構成することができる。半導体セル21の出力側には、チャージアンプ22が接続される。
チャージアンプ22は、半導体セル21に入射したX線光子に応答して集電される電荷をチャージアップして電気量のパルス信号として出力する。チャージアンプ22の出力側には、波形整形回路23が接続される。
波形整形回路23は、チャージアンプ22から出力されるパルス信号の周波数特性を調整し、かつゲイン及びオフセットを与えることによってパルス信号の波形を整形する回路である。波形整形のためのゲイン及びオフセットは、半導体セル21及びチャージアンプ22毎の特性の不均一性が低減させるように調整される。これにより、波形整形回路23から出力されるパルス信号は、半導体セル21に入射したX線光子のエネルギ量に対応する特性を有する信号となる。
波形整形回路23の出力側には、m個の比較器24が並列に接続される。m個の比較器24の後段には、それぞれスイッチ25が接続されている。そして、波形整形回路23から出力されるパルス信号は、対応するX線光子のエネルギ量に応じていずれかの比較器24を経由し、経由した比較器24に接続された1つのスイッチ25をONに切換えるように構成されている。
具体的には、各比較器24の基準入力端には、それぞれ互いに異なる閾値電圧TH1, TH2, TH3, ..., THmが印加される。すなわち、各比較器24に入力されるパルス信号の振幅は、それぞれ閾値電圧TH1, TH2, TH3, ..., THmと比較される。この結果、閾値電圧TH1, TH2, TH3, ..., THmを超えたパルス信号のみが対応する比較器24から出力され、比較器24に接続されたスイッチ25をONに切換える。尚、最も小さい閾値電圧TH1以下の振幅を有するパルス信号は、ノイズとみなされて除去される。
閾値論理回路26の入力側は、複数のスイッチ25と接続される。また、閾値論理回路26の出力側には、弁別されるX線光子のエネルギ帯域に対応する複数のカウンタ27が並列に接続される。閾値論理回路26は、各スイッチ25がON状に切換ったか否かを判定することによって、パルス信号の振幅が、どの閾値電圧TH1, TH2, TH3, ..., THm間であるかを計測する回路である。閾値論理回路26におけるパルス信号の振幅の計測結果は、エネルギ弁別信号として対応するカウンタ27に出力される。
これにより、各カウンタ27において、半導体セル21に入射したX線光子の数をエネルギ帯域別に計数することができる。各カウンタ27からは、X線光子の計数結果がデジタルデータとして出力される。従って、X線検出器8の1つの画素に対応する画像センサ20からは、複数のエネルギ帯域に対応する計数結果がX線検出データとして出力されることとなる。
次に、医用画像処理装置15の機能について説明する。
図3は、図1に示す医用画像処理装置15の機能ブロック図である。
医用画像処理装置15は、検査情報管理部30、制御信号生成部31、閾値設定部32、閾値保存部33、X線画像生成部34、キャリブレーションデータ保存部35、吸収係数保存部36、画像データ保存部37、DSA画像生成部38、部位判定部39、疑似画像生成部40及び表示処理部41を有する。
検査情報管理部30は、被検体Oの識別情報や撮影部位等の検査情報を管理する機能を有する。検査情報は、ネットワークを介して検査オーダ情報等として取得することができる。
制御信号生成部31は、制御系3のシステム制御部3Cに検査情報に応じた制御信号を出力することにより、高電圧発生装置3A及び撮影位置制御装置3Bを通じてX線照射部7及び駆動機構9を制御する機能を有する。
閾値設定部32は、X線検出器8の各画像センサ20においてX線光子のエネルギを弁別するための閾値を設定し、設定した閾値に対応する閾値電圧TH1, TH2, TH3, ..., THmを各比較器24に印加する機能を有する。すなわち、閾値設定部32における閾値電圧TH1, TH2, TH3, ..., THmの設定により、X線光子を弁別するための複数のエネルギ帯域を決定することができる。
従って、閾値設定部32は、X線検出器8においてX線の光子を計数するための複数のエネルギ帯域を設定するエネルギ帯域設定部としての機能を有している。そして、閾値設定部32では、X線の照射条件に応じて複数のエネルギ帯域を可変設定できるように構成されている。
図4は、図3に示す閾値設定部32において設定される閾値電圧と弁別されるX線光子のエネルギとの関係の一例を示す図であり、図5は、図3に示す閾値設定部32における閾値の設定により弁別されるX線光子のエネルギ分布を示す図である。
図4において横軸はX線検出器8の画像センサ20に入射するX線光子のエネルギ[keV]を示し、縦軸は画像センサ20の比較器24に印加される閾値電圧[V]を示す。図4に示すように、各比較器24に印加される閾値電圧の調整によって、エネルギ帯域の境界を可変設定することができる。
図5において横軸はX線管から放出されるX線光子のアルミニウムフィルタによるフィルタ後のエネルギ[keV]を示し、縦軸はX線管から放出されるX線光子のアルミニウムフィルタによるフィルタ後の数を示す。図5に示すように、X線管から放出されるX線光子のスペクトルは、非線形かつ不連続なカーブを有するスペクトルとなる。従って、X線検出器8には、図5に示すようなX線スペクトルに応じたエネルギ分布を有するX線光子が入射することになる。
そこで、閾値電圧TH1, TH2, TH3, ..., THmの設定によってエネルギ方向を複数のエネルギ帯域に分割し、エネルギ帯域ごとにX線光子を計数することができる。図5に示す例では、3つの閾値電圧TH1, TH2, TH3によって3つのエネルギ帯域EB1, EB2, EB3が形成されている。また、最も小さい閾値電圧TH1よりもエネルギが小さいX線光子については、ノイズとみなして計数対象から除外することができる。
閾値保存部33には、比較器24に印加される閾値電圧TH1, TH2, TH3, ..., THmの組合せと、X線の照射条件とを関連付けたテーブルが保存される。すなわち、閾値保存部33は、X線の複数の照射条件に対応する、複数のエネルギ帯域の複数の組合せを保存するエネルギ帯域設定情報保存部としての機能を有している。
そして、閾値設定部32は、閾値保存部33に保存されたテーブルを参照することによって、X線の照射条件に応じた適切なX線光子のエネルギ帯域を設定できるように構成されている。すなわち、閾値設定部32では、閾値保存部33に保存された複数のエネルギ帯域の複数の組合せのうち、X線の照射条件に対応する複数のエネルギ帯域の組合せを設定することができる。尚、エネルギ帯域を設定するためのX線の照射条件は、制御信号生成部31から取得することができる。
X線画像生成部34は、X線検出器8の各画素に対応する画像センサ20からそれぞれエネルギ帯域別のX線光子の計数結果として出力されるX線検出データに基づいて、被検体Oの画素ごとの厚さ情報としてX線画像データを生成する機能を有する。特に、X線画像生成部34は、X線管から放出されるX線光子のスペクトル、X線検出器8固有のX線吸収特性及び被検体O固有のX線吸収特性の影響が除去された被検体O固有の厚さを示す情報としてX線画像データを生成するように構成されている。
以下、X線画像生成部34におけるX線画像データの生成方法について説明する。
X線検出器8の各画像センサ20において弁別されるX線光子のエネルギ帯域及びカウンタ27の数がn個である場合、i番目のカウンタ27において計数結果として出力される計数信号C(xp, Ei)は、式(1)で表される。
C(xp, Ei) = ∫dE・φ(E)・Matt(E)・Patt(E, xp)・Dabs(E, xd) (1)
但し、式(1)において、
xp:X線のパス上における被検体Oを構成する物質の厚さ
E:X線光子のエネルギ
Ei:画像センサ20で弁別されるi番目のエネルギ帯域の中心エネルギ
∫dE:(Ei-ΔE/2)から(Ei+ΔE/2)までの積分
ΔE:画像センサ20で弁別されるエネルギ帯域の幅
φ(E):対応する画素に向けてX線管から放射され、ビームフィルタを透過したエネルギEのX線光子のエネルギ密度
Matt(E):X線管とX線検出器8の検出面との間に存在するX線吸収体によるエネルギEのX線に対する吸収特性
Patt(E, xp):被検体OによるエネルギEのX線に対する吸収特性
Dabs(E, xd):X線検出器8によるエネルギEのX線に対する吸収特性
xd:X線検出器8を構成する物質の厚さ
である。
尚、X線吸収体としては天板、ブッキーカバー、グリッドのX線透過部、X線検出器8の入射部におけるカバー、乳房撮影装置の場合に使用される圧迫板等が挙げられる。
また、式(1)において、被検体OによるX線の吸収特性Patt(Ei, xp)及びX線検出器8によるX線の吸収特性Dabs(Ei, xd)は、それぞれ式(2)及び式(3)で表される。
Patt(Ei, xp) = exp{-μp(Ei)・xp} (2)
Dabs(Ei, xd) = 1-exp{-μd(Ei)・xd} (3)
但し、式(2)及び式(3)において、
μp(Ei):被検体Oを構成する物質のi番目のエネルギ帯域に対応するX線吸収係数
μd(Ei):X線検出器8を構成する物質のi番目のエネルギ帯域に対応するX線吸収係数
である。
尚、被検体Oを構成する物質には、水素H、炭素C、酸素O及び窒素Nがある。すなわち、厳密には、被検体Oは、複数の物質で構成される。但し、従来のX線診断装置では、被検体Oを構成する物質を区別せずに、被検体Oの厚さのみが輝度値で画像化される。従って、従来のX線診断装置により撮影されるX線画像と同様な特性を維持しつつ画質が改善されたX線画像を生成する観点から、被検体Oを構成する物質を代表的な1つの元素又は仮想的な1つの平均的元素として計算する。
式(1)における積分の中の関数は連続であるため、式(4)が成立するようなエネルギEi' (Ei-ΔE/2 < Ei' < Ei+ΔE/2)が存在する。
C(xp, Ei) = φ(Ei')・Matt(Ei')・Patt(Ei', xp)・Dabs(Ei', xd)・ΔE (4)
式(4)においてφ(Ei')・ΔEはi番目のエネルギ帯域におけるX線光子の数に相当する。そこで、φ(Ei')・ΔEをN(Ei, ΔE)と表記し、かつEi' ≒ Eiと近似すると、カウンタ27から出力される計数信号C(xp, Ei)は式(5)で表される。
C(xp, Ei) = N(Ei, ΔE)・Matt(Ei)・Patt(Ei, xp)・Dabs(Ei, xd) (5)
但し、式(5)において、
N(Ei, ΔE) :対応する画素に向けてX線管から放射され、ビームフィルタを透過したX線光子のうちi番目のエネルギ帯域におけるX線光子の数
である。
式(2)及び式(5)から被検体Oの厚さxpを式(6)に示すように算出することができる。
xp =ln[C(xp, Ei)/{N(Ei, ΔE)・Dabs(Ei, xd)}]/{-μp(Ei)} (6)
式(6)において、画像センサ20で弁別されるエネルギ帯域の幅ΔE、画像センサ20で弁別されるi番目のエネルギ帯域の中心エネルギEi、X線管とX線検出器8の検出面との間に存在するX線吸収体によるi番目のエネルギ帯域に対応するX線の吸収特性Matt(Ei)及びX線検出器8によるi番目のエネルギ帯域に対応するX線の吸収特性Dabs(Ei, xd)は、X線撮影に先立って既知である。
また、X線管から放射されるi番目のエネルギ帯域におけるX線光子の数N(Ei, ΔE)は、X線の曝射が終了した時点で、X線管に印加された電圧、X線管に供給された電流、X線の照射時間、X線の焦点からX線検出器8までの距離等の条件が決まるので、この時点でX線管の特性から知ることができる。
画像センサ20で弁別されるエネルギ帯域の幅ΔE及び画像センサ20で弁別されるi番目のエネルギ帯域の中心エネルギEiは、X線検出器8の設計仕様として決定することができる。また、X線管とX線検出器8の検出面との間に存在するX線吸収体によるi番目のエネルギ帯域に対応するX線の吸収特性Matt(Ei)及びX線検出器8によるi番目のエネルギ帯域に対応するX線の吸収特性Dabs(Ei, xd)は、X線診断装置1の設計仕様として概ね決定することが可能である。X線管から放射されるi番目のエネルギ帯域におけるX線光子の数N(Ei, ΔE)については上記のようにX線の曝射が終了した時点で決定することが可能である。
従って、各画素に対応する画像センサ20のカウンタ27から出力される計数信号C(xp, Ei)と既知の情報を用いて式(6)から各画素位置における被検体Oの厚さxpを算出することができる。
但し、式(6)において、X線管から放射されるX線光子の数N(Ei, ΔE)、X線吸収体によるX線の吸収特性Matt(Ei)及びX線検出器8によるX線の吸収特性Dabs(Ei, xd)には、ばらつきや経時変化が生じる可能性がある。そこで、X線診断装置1の出荷時、据付時、据付後の定期的な検査時等において、各特性値をキャリブレーションすることが望ましい。
各特性値のキャリブレーションは、X線管の焦点とX線検出器8の検出面との間における距離として定義されるSID(source image distance)と、X線の線質とを設定した後、患者やファントム等の被検体Oをセットせずに、X線撮影を行うことによって実行することができる。X線の線質は、X線管に印加される管電圧及びビームフィルタの種類によって調整することができる。また、キャリブレーションの際には、X線検出器8が飽和しないように、X線管に印加される管電圧及びX線の照射時間を調整することが必要である。
キャリブレーションにおいてカウンタ27からi番目のエネルギ帯域におけるX線光子の計数結果として出力される計数信号C(Ei)は式(7)で表される。
C(Ei) = Nu(Ei, ΔE)・mAs・Matt(Ei)・Dabs(Ei, xd) (7)
但し、式(7)において、
mAs:X線管に印加される管電圧とX線の照射時間の積
Nu(Ei, ΔE):対応する画素に向けてX線管から放射されるX線光子のうちi番目のエネルギ帯域におけるX線光子の単位mAs当たりの数
である。
式(7)で表される計数信号C(Ei)を、X線管に印加される管電流とX線の照射時間の積mAsで除算すると式(8)で示されるキャリブレーションデータCcal(Ei)が得られる。
Ccal(Ei) = C(Ei)/mAs = Nu(Ei, ΔE)・Matt(Ei)・Dabs(Ei, xd) (8)
従って、式(5)で表されるカウンタ27の計数信号C(xp, Ei)は、キャリブレーション時におけるmAsと式(8)で示されるキャリブレーションデータCcal(Ei)を用いて式(9)で表すことができる。
C(xp, Ei) = Ccal(Ei)・mAs・Patt(Ei, xp) (9)
式(9)におけるキャリブレーションデータCcal(Ei)は、X線撮影に先立って様々な条件下で取得しておくことができる。すなわち、X線撮影において使用される全ての線質、SID及び撮影角度についてそれぞれキャリブレーションを実行することにより、線質ごと、SIDごと及び撮影角度ごとのキャリブレーションデータCcal(Ei)を取得することができる。
尚、撮影角度は、例えば、X線の焦点とX線検出器8の検出面の中心を結ぶ直線と、X線検出器8の検出面の法線とのなす角度として定義することができる。従って、撮影角度が変化すると、X線検出器8の有効厚さが変わることとなる。
X線管に印加される管電圧、SID及び撮影角度が変化すると、キャリブレーションデータCcal(Ei)は連続的に変化する。そこで、管電圧、SID及び撮影角度については、各設定範囲内の複数の設定値についてキャリブレーションを行い、中間的な管電圧、SID及び撮影角度に対応するキャリブレーションデータCcal(Ei)を補間により求めるようにしてもよい。
このように、キャリブレーションデータCcal(Ei)は、エネルギ帯域、線質、SID及び撮影角度等の条件ごとに予め取得することができる。従って、キャリブレーションデータCcal(Ei)は、エネルギ帯域Ei、線質BQ、SID及び撮影角度θをパラメータとして、Ccal(Ei, BQ, SID, θ)と表記することができる。
キャリブレーションデータCcal(Ei, BQ, SID, θ)の計算は、X線画像生成部34において実行することができる。そのために、X線画像生成部34は、キャリブレーションデータCcal(Ei, BQ, SID, θ)の計算に必要な、管電圧、ビームフィルタの種類、SID、撮影角度θ及びX線管に印加される管電圧とX線の照射時間の積mAs等のX線の照射条件を、制御信号生成部31から取得できるように構成されている。また、画像センサ20で弁別されるi番目のエネルギ帯域の中心エネルギEiは、設定された閾値電圧間の中心電圧として閾値設定部32から取得することができる。
そして、X線の照射条件ごとのキャリブレーションデータCcal(Ei, BQ, SID, θ)の計算結果は、テーブルとしてキャリブレーションデータ保存部35に保存することができる。更に、X線画像生成部34は、X線撮影の際に、キャリブレーションデータ保存部35に保存されたキャリブレーションデータCcal(Ei, BQ, SID, θ)を参照データとして参照できるように構成されている。従って、キャリブレーションデータ保存部35は、複数のX線の照射条件に対応する複数の参照データを保存する参照データ保存部としての機能を有している。
X線の各照射条件に対応するキャリブレーションデータCcal(Ei, BQ, SID, θ)を取得して保存すると、被検体OのX線撮影時において、カウンタ27から出力される計数信号C(xp, Ei)に基づいて、X線診断装置1の経年変化や特性のばらつきに依存しない被検体Oの厚さxpを算出することが可能となる。すなわち、参照データ保存部としてのキャリブレーションデータ保存部35に保存された複数の参照データのうち、被検体Oに照射されたX線の照射条件に対応する参照データを参照することによってX線画像データを生成することが可能となる。
具体的には、式(9)に基づいて、式(10)によりキャリブレーションデータCcal(Ei, BQ, SID, θ)から被検体OによるX線の吸収特性Patt(Ei, xp)を計算することができる。
Patt(Ei, xp) = C(xp, Ei)/{Ccal(Ei, BQ, SID, θ)・mAs} (10)
そうすると、式(2)から式(11)に示すように、被検体Oの厚さxpを算出することができる。
xp =ln[C(xp, Ei)/{Ccal(Ei, BQ, SID, θ)・mAs}]/{-μp(Ei)} (11)
式(11)に示す被検体Oの厚さxpを全ての画素について計算すると、被検体Oに固有の情報である被検体Oの厚さxpを画素値とするX線画像データを生成することができる。尚、キャリブレーションを行わない場合には、式(6)により、被検体Oの厚さxpを画素値とするX線画像データを生成することができる。
式(11)及び式(6)に示す被検体Oの厚さxpは、画像センサ20で弁別及び計数されたi番目のエネルギ帯域に対応するX線光子の計数信号C(xp, Ei)に基づいて計算されたものである。従って、i番目のエネルギ帯域に対応する被検体Oの厚さをxp(i)と表記すると、エネルギ帯域の数はn個であるから、n個の値として被検体Oの厚さxp(1), xp(2), ..., xp(n)が得られる。すなわち、X線光子の各エネルギ帯域についてそれぞれ被検体Oの厚さxp(1), xp(2), ..., xp(n)を計算することができる。従って、X線光子のエネルギ別に被検体Oの厚さxp(1), xp(2), ..., xp(n)を画素値とするX線画像データを生成することができる。
X線光子の各エネルギ帯域に対応する被検体Oの厚さxp(1), xp(2), ..., xp(n)は、いずれも被検体Oの厚さを示している。従って、X線光子の各エネルギ帯域に対応する被検体Oの厚さxp(1), xp(2), ..., xp(n)の平均をとることによって、精度を向上させることができる。
但し、各エネルギ帯域に対してX線管から放出されるX線光子の数は一般には一様ではない。そこで、式(12)に示すように、各エネルギ帯域に対応するX線光子の数に応じた重み付けを行って平均をとることが望ましい。
xp_ave = {w1・xp(1)+w2・xp(2)+w3・xp(3)+...+wn・xp(n)}/n (12)
但し、式(12)において、
xp_ave:X線光子の各エネルギ帯域に対応する被検体Oの厚さxp(1), xp(2), ..., xp(n)の加重平均値
w1, w2, w3, ..., wn:X線光子の各エネルギ帯域に対応する被検体Oの厚さxp(1), xp(2), ..., xp(n)に対する重み
である。
i番目のエネルギ帯域に対応する重みwiは、例えば式(13)で決定することができる。
wi = N(Ei, ΔE)/{N(E1, ΔE)+N(E2, ΔE)+N(E3, ΔE)+...+N(En, ΔE)} (13)
このように、X線光子のエネルギ別に被検体Oに固有の情報として求められた被検体Oの厚さxp(1), xp(2), ..., xp(n)を加重平均することによってX線画像データを生成することができる。すなわち、複数のエネルギ帯域別に計数されたX線の光子の計数結果に基づいて複数のエネルギ帯域別の複数フレームのX線画像データを生成し、複数フレームのX線画像データの重み付け加算処理によって単一フレームのX線画像データを生成することができる。
従って、X線管から放出されるX線光子のスペクトル、X線検出器8固有のX線吸収特性及び被検体O固有のX線吸収特性を含まない被検体Oの厚さxp_aveを、被検体Oの定量的なX線画像データとして生成することができる。
式(12)で得られる加重平均後の被検体Oの厚さxp_aveは、X線画像データとして画像データ保存部37に保存及び表示処理部41を通じて表示装置6に表示することができる。また、各エネルギ帯域に対応するカウンタ27からの計数信号C(xp, Ei)及びエネルギ別の被検体Oの厚さxp(1), xp(2), ..., xp(n)についても、それぞれX線画像データとして画像データ保存部37に保存及び表示処理部41を通じて表示装置6に表示することができる。
一方、DSA画像生成部38は、X線検出器8の各画素に対応する画像センサ20からそれぞれエネルギ帯域別のX線光子の計数結果として出力されるX線検出データに基づいて、造影剤の画素ごとの厚さ情報としてDSA画像データを生成する機能を有する。特に、DSA画像生成部38は、X線管から放出されるX線光子のスペクトル等の影響が除去された造影剤固有の厚さ情報としてDSA画像データを生成するように構成されている。
DSA画像データは、被検体Oの血管内に造影剤を投与して収集されたX線造影(コントラスト)画像データと被検体Oに造影剤を投与せずに収集されたマスク画像データとに基づいて生成することができる。すなわち、被検体Oに造影剤を投与して収集された複数のエネルギ帯域別のX線光子の計数結果としてのX線検出データと、被検体Oに造影剤を投与せずに収集された複数のエネルギ帯域別のX線光子の計数結果としてのX線検出データとに基づいて、被検体Oに投与された造影剤の厚さを示す情報としてX線画像データの一種であるDSA画像データを生成することができる。
以下、DSA画像生成部38におけるDSA画像データの生成方法について説明する。
造影剤が投与された被検体Oを透過したX線光子のi番目のエネルギ帯域における計数結果を示す計数信号C(xp, xc, Ei)は、式(5)を導く過程と同様な過程によって式(14)で表される。
C(xp, xc, Ei) = N(Ei, ΔE)・Patt(Ei, xp)・Dabs(Ei, xd)・Catt(Ei, xc) (14)
但し、式(13)において、
xp:X線のパス上における被検体Oを構成する物質の厚さ
xc:X線のパス上における造影剤を構成する物質の厚さ
Ei:画像センサ20で弁別されるi番目のエネルギ帯域の中心エネルギ
ΔE:画像センサ20で弁別されるエネルギ帯域の幅
N(Ei, ΔE) :対応する画素に向けてX線管から放射されるX線光子のうちi番目のエネルギ帯域におけるX線光子の数
Patt(Ei, xp):被検体Oによるi番目のエネルギ帯域に対応するX線の吸収特性
Dabs(Ei, xd):X線検出器8によるi番目のエネルギ帯域に対応するX線の吸収特性
xd:X線検出器8を構成する物質の厚さ
Catt(Ei, xc):造影剤によるi番目のエネルギ帯域に対応するX線の吸収特性
である。
式(14)をキャリブレーションデータCcal(Ei, BQ, SID, θ)を用いて表すと式(15)が得られる。
C(xp, xc, Ei) = Ccal(Ei, BQ, SID, θ)・mAs・Patt(Ei, xp)・Catt(Ei, xc) (15)
式(14)及び式(15)に示すように、被検体Oに造影剤が投与された場合には、造影剤によるX線の吸収特性を表す項Catt(Ei, xc)が乗じられる。
式(15)から被検体O及び造影剤の双方によるX線の吸収特性Patt(Ei, xp)・Catt(Ei, xc)は式(16)で表される。
Patt(Ei, xp)・Catt(Ei, xc) = C(xp, xc, Ei)/{Ccal(Ei, BQ, SID, θ)・mAs} (16)
ここで、マスク画像データとX線造影画像データとがi番目のエネルギ帯域において同一とみなせるエネルギ密度φ(Ei)を有するX線光子の照射によって撮影されていれば、X線管に印加される管電圧とX線の照射時間の積mAsは、マスク画像データの撮影時とX線造影画像データとの間において同一にすることができる。また、照射するX線の線質もマスク画像データの撮影時とX線造影画像データとの間において同一にすることができる。
そうすると、マスク画像データの生成用に収集されるX線光子の計数信号C(xp, Ei)は、造影剤を投与せずに計数されるX線光子の計数結果であるから、マスク画像データの収集時における被検体OのX線の吸収特性Patt(Ei, xp)は、式(10)で表される。
従って、式(16)及び式(10)から被検体OによるX線の吸収特性Patt(Ei, xp)を消去すると、式(17)が得られる。
Catt(Ei, xc) = C(xp, xc, Ei)/C(xp, Ei) (17)
造影剤によるX線の吸収特性Catt(Ei, xc)は、式(18)で表される。
Catt(Ei, xc) = exp{-μc(Ei)・xc} (18)
但し、式(18)において、μc(Ei)は、造影剤を構成する物質のi番目のエネルギ帯域に対応するX線吸収係数である。
従って、式(17)及び式(18)から造影剤の厚さxcを式(19)に示すように算出することができる。
xc= ln{C(xp, xc, Ei)/C(xp, Ei)}/{-μc(Ei)} (19)
式(19)に示す造影剤の厚さxcは、画像センサ20で弁別及び計数されたi番目のエネルギ帯域に対応するX線光子の計数信号C(xp, Ei), C(xp, xc, Ei)に基づいて計算されたものである。従って、i番目のエネルギ帯域に対応する造影剤の厚さをxc(i)と表記すると、エネルギ帯域の数はn個であるから、n個の値として造影剤の厚さxc(1), xc(2), ..., xc(n)が得られる。すなわち、X線光子の各エネルギ帯域についてそれぞれ造影剤の厚さxc(1), xc(2), ..., xc(n)を計算することができる。従って、X線光子のエネルギ別に造影剤の厚さxc(1), xc(2), ..., xc(n)を画素値とする画像データをDSA画像データとして生成することができる。
X線光子の各エネルギ帯域に対応する造影剤の厚さxc(1), xc(2), ..., xc(n)は、いずれも造影剤の厚さを示している。従って、X線光子の各エネルギ帯域に対応する造影剤の厚さxc(1), xc(2), ..., xc(n)の平均をとることによって、精度を向上させることができる。
但し、各エネルギ帯域に対してX線管から放出されるX線光子の数は一般には一様ではない。そこで、式(20)に示すように、各エネルギ帯域に対応するX線光子の数に応じた重み付けを行って平均をとることが望ましい。
xc_ave = {wc1・xc(1)+wc2・xc(2)+wc3・xc(3)+...+wcn・xc(n)}/n (20)
但し、式(20)において、
xc_ave:X線光子の各エネルギ帯域に対応する造影剤の厚さxc(1), xc(2), ..., xc(n)の加重平均値
wc1, wc2, wc3, ..., wcn:X線光子の各エネルギ帯域に対応する造影剤の厚さxc(1), xc(2), ..., xc(n)に対する重み
である。
i番目のエネルギ帯域に対応する重みwciは、非造影のX線画像データを求めるための式(13)と同様な計算式で決定することができる。
つまり、DSA画像データは、造影剤によるX線の吸収特性μc(Ei)とX線光子のエネルギ帯域ごとの計数結果の比で表されるエネルギ帯域ごとの造影剤の厚さ情報を加重平均することによって求めることができる。従って、X線管から放出されるX線光子のスペクトル、X線検出器8固有のX線吸収特性及び被検体O固有のX線吸収特性を含まない造影剤の厚さxp_aveを、造影剤の定量的なX線画像データを生成することができる。
尚、キャリブレーションデータCcal(Ei, BQ, SID, θ)を用いない場合には、式(14)及びX線診断装置1の既知の特性値を用いて表される式(5)によって被検体OによるX線の吸収特性Patt(Ei, xp)を消去することができる。そして、DSA画像データを求めるための同様な計算式を導くことができる。
式(20)で得られる加重平均後の造影剤の厚さxc_aveは、DSA画像データとして画像データ保存部37に保存及び表示処理部41を通じて表示装置6に表示することができる。また、各エネルギ帯域に対応するカウンタ27からの計数信号C(xp, xc, Ei)及びエネルギ別の造影剤の厚さxc(1), xc(2), ..., xc(n)についても、それぞれエネルギ別のDSA画像データとして画像データ保存部37に保存及び表示処理部41を通じて表示装置6に表示することができる。
表示処理部41は、X線画像生成部34、DSA画像生成部38及び疑似画像生成部40等の医用画像処理装置15の構成要素において生成されたX線画像データに輝度値の割り当てなどの必要な表示処理を施して表示装置6に表示させる機能を有する。
画像データ保存部37は、X線画像生成部34、DSA画像生成部38及び疑似画像生成部40等の医用画像処理装置15の構成要素において生成されたX線画像データを保存するための記憶装置である。
画像データ保存部37に一旦保存されたX線画像データxp_ave, xp(1), ..., xp(n)及び計数信号 C(xp, E1), ..., C(xp, En)は、ネットワークを介して医用画像処理装置等の他の医用システムに外部出力することもできる。その場合、X線画像データの付帯情報として、対応するエネルギ帯域を特定する情報を付帯させることが、X線画像データに基づく様々な画像処理を効果的に行えるようにする観点から望ましい。
そこで、X線画像生成部34は、X線画像データxp(1), ..., xp(n)及び計数信号 C(xp, E1), ..., C(xp, En)に、エネルギ帯域を特定する情報を付帯情報として付帯させるように構成される。DSA画像データについても同様である。このため、DSA画像生成部38も、DSA画像データ xc(1), ..., xc(n)及び計数信号 C(xp, E1), ..., C(xp, En), C(xp, xc, E1), ..., C(xp, xc, En)に、エネルギ帯域を特定する情報を付帯情報として付帯させるように構成される。
このように、X線画像生成部34及びDSA画像生成部38において、単一のエネルギ帯域のエネルギを有するX線の光子の計数結果に基づいて単一のエネルギ帯域に対応し、かつ単一のエネルギ帯域を特定する情報を付帯情報として付帯させたX線画像データ及び計数信号を生成することができる。
疑似画像生成部40は、X線検出器8からX線検出データとして出力されるX線光子のエネルギ別の計数信号或いは、画像データ保存部37にエネルギ別の非造影X線画像データ又はエネルギ別のDSA画像データとして保存されたX線光子のエネルギ別の計数信号に基づいて、光子計数型でない従来の積分型のX線検出器を備えたX線診断装置により撮影されたX線画像データとの比較用の画像データを生成する機能を有する。
従来の積分型のX線検出器は、1画素に入射したX線光子によって発生した電荷を全エネルギに渡って積分して得られる信号をその画素の出力信号としている。比較用の画像データは、従来の積分型のX線診断装置により撮影されたX線画像データの特徴と同様な特徴が疑似的に付与された疑似画像データとして生成される。
疑似画像データは、式(21)より生成することができる。
Σ{Ei・C(xp, Ei)} = Σ{Ei・N(Ei, ΔE)・Matt(Ei)・Patt(Ei, xp)・Dabs(Ei, xd)}
(21)
但し、式(21)においてΣは、i=1からi=nまでの和を示す。
式(21)に示すように、X線光子のエネルギ帯域別の計数信号C(xp, Ei)に、対応するエネルギ帯域の中心エネルギEiを乗算し、かつ各エネルギ帯域についての乗算結果を加算することによって疑似画像データを生成することができる。
そうすると、光子計数型でない従来のX線検出器を備えたX線診断装置により撮影されるX線画像データと同様の特徴を有する疑似画像データを生成することができる。つまり、複数のエネルギ帯域別に計数されたX線の光子の各計数結果にそれぞれ対応するエネルギ帯域の中心エネルギを乗じた乗算結果を、複数のエネルギ帯域間において加算することによって、被検体Oに固有でない情報を含むX線画像データを疑似画像データとして生成することができる。このように生成される疑似画像データは、X線管から放出されるX線光子のスペクトル等の装置の特性の影響を含むX線画像データとなる。
同様に、造影剤の投与を伴って収集されたX線光子のエネルギ帯域別の計数信号C(xp, xc, Ei)からX線造影画像データの疑似画像データを生成することができる。その場合、疑似画像データとして生成されたマスク画像データと疑似画像データとして生成されたX線造影画像データとの差分処理によって、DSA画像データの疑似画像データを生成することもできる。
尚、X線検出器8から出力されるX線光子のエネルギ別の計数信号C(xp, Ei)を元データとして疑似画像データを生成する場合には、閾値設定部32において設定された閾値に基づいてエネルギ帯域の中心エネルギEiを特定することができる。一方、画像データ保存部37に画像データとして保存されたX線光子のエネルギ帯域別の計数信号C(xp, Ei)を元データとして疑似画像データを生成する場合には、画像データに付帯する付帯情報を参照してエネルギ帯域の中心エネルギEiを特定することができる。
このように、X線光子のエネルギ帯域別の計数信号C(xp, Ei)に中心エネルギEiを付帯させて画像データ保存部37に保存すれば、X線光子のスペクトル等の影響が除去され定量的なX線画像データのみならず、X線光子のスペクトル等の影響を受けた疑似画像データを後処理として生成することが可能となる。
ところで、X線画像生成部34におけるX線画像データの生成処理では、被検体Oを構成する物質を代表的な元素或いは仮想的な平均的元素として扱ったが、撮影部位に応じて平均的元素を変えてX線画像データを生成することもできる。例えば、撮影部位が胸部であれば、撮影対象は、肋骨、肺、心臓、上部消化管等である。一方、撮影部位が四肢であれば、撮影対象は、主として骨及び筋肉である。従って、撮影部位に応じて、被検体Oを構成する物質の組成が異なる。
そこで、吸収係数保存部36には、複数の部位と被検体Oを構成する物質のi番目のエネルギ帯域に対応するX線吸収係数μp(Ei)とを関連付けたテーブルが保存される。すなわち、吸収係数保存部36には、複数の部位に対応する複数のX線吸収係数μp(Ei)が保存されている。
そして、X線画像生成部34は、検査情報管理部30から検査情報に含まれる撮像部位の特定情報を取得し、撮像部位に対応する被検体OのX線吸収係数μp(Ei)を吸収係数保存部36から読み込んでX線画像データの生成処理に用いるように構成される。すなわち、吸収係数保存部36に保存された複数のX線吸収係数μp(Ei)のうち、被検体Oの部位に対応するX線吸収係数μp(Ei)を用いてX線画像データを生成することができる。これにより、より正確なX線吸収係数μp(Ei)に基づくX線画像データの生成が可能となる。
被検体OのX線吸収係数μp(Ei)の可変設定は、X線画像データのフレーム単位に限らず、画素単位に行うこともできる。すなわち、1フレームのX線画像データの画素ごとに被検体Oの骨、組織、臓器、器官等の部位を特定し、特定された部位に応じて画素ごとに適切なX線吸収係数μp(Ei)を用いてX線画像データを生成することができる。
部位判定部39は、任意の1フレームのX線画像データに基づいて、各画素が被検体Oのどの部位に対応しているのかを判定する機能を有する。換言すれば、部位判定部39は、X線画像データの画素位置ごとに被検体Oの部位を判定する機能を有している。
部位の判定用のX線画像データには、疑似画像生成部40において生成された疑似画像データを用いることもできる。すなわち、疑似画像データに基づいて、部位を判定することができる。疑似画像データは、式(21)の左辺に示すように、X線検出器8から出力されるX線光子のエネルギ帯域別の計数信号C(xp, Ei)とエネルギ帯域の中心エネルギEiから計算することができる。
そこで、一旦、X線検出器8から出力されるX線検出データに基づいて疑似画像データを生成し、疑似画像データに基づいて各画素が対応している部位を判定することが実用的である。そして、疑似画像データに基づいて判定された画素ごとの部位情報に応じて、画素ごとに適切なX線吸収係数μp(Ei)を用いてX線画像データを生成することができる。
部位の判定は、X線画像データに対する2値化処理、エッジ抽出処理、解剖学情報に基づくパターンマッチング等の公知の画像認識処理によって行うことができる。すなわち、画像認識によって、X線画像データにおいて臓器や器官等の部位が占める領域を特定することができる。そうすると、X線画像データの各画素に部位を割り当てることができる。
そして、X線画像生成部34は、部位判定部39から取得した画素ごとの部位の特定情報に基づいて、画素ごとに部位に適切なX線吸収係数μp(Ei)を吸収係数保存部36から取得してX線画像データを生成できるように構成されている。これにより、部位判定部39における部位の判定結果に基づいて、画素位置ごとに部位に対応するX線吸収係数μp(Ei)を用いてX線画像データを生成することができる。
従って、より高品質なX線画像データを生成することが可能となる。例えば、ある画素が骨に対応していれば、骨のX線吸収係数μp(Ei)を用い、軟部組織に対応していれば、軟部組織のX線吸収係数μp(Ei)を用いてX線画像データを生成することができる。
但し、骨や筋肉等の部位に対応するX線吸収係数μp(Ei)を用いて被検体Oの厚さxp_aveを画素値とするX線画像データを生成しても、部位の厚さが同等であると異なる部位間において画素値も同等となる。その場合、骨や筋肉等の隣接する部位の区別が困難となる可能性がある。
そこで、X線画像生成部34は、画素ごとの部位の特定情報をX線画像データに付帯情報として付帯させる機能を有している。これにより、X線画像データには、被検体Oの厚さ情報を表す画素値に加え、部位情報も画素ごとに保存されることとなる。そして、表示処理部41では、X線画像データに付帯する部位の特定情報に基づいて、部位ごとに異なる色で表示させる表示処理等の部位の識別表示のための表示処理が可能となる。
(動作および作用)
次にX線診断装置1の動作および作用について説明する。
始めに、被検体Oの非造影のX線画像データを生成する場合の流れについて説明する。
まず、寝台10の天板に被検体Oがセットされる。そして、制御系3の撮影位置制御装置3Bから撮像条件に応じた制御信号が出力され、駆動機構9が駆動する。これにより、X線照射部7及びX線検出器8が所定の位置に位置決めされる。一方、制御系3の高電圧発生装置3AからX線照射部7のX線管に高電圧が印加される。これにより、X線照射部7のX線管から被検体Oの撮像部位にX線が照射される。
そして、被検体Oを透過したX線の光子が、X線検出器8によりX線検出データとして収集される。具体的には、X線検出器8において、複数の画素位置についてそれぞれ複数のエネルギ帯域別にX線の光子を計数することによってX線検出データが収集される。
続いて、X線検出器8は、画素別かつエネルギ帯域別のX線光子の計数結果を、X線光子の計数信号としてX線画像生成部34に出力する。そして、X線画像生成部34では、X線画像データの生成処理が実行される。
図6は、図3に示すX線画像生成部34において実行される処理の第1の例を示す図である。
図6は、X線診断装置1の既知の特性値を用いて、エネルギ帯域間における加重平均後の被検体Oの厚さxp_aveをX線画像データとして生成する場合の例を示している。尚、図6において矩形枠は2次元的に配列された数値を示し、角丸四角形は、1つの数値を示している。以降の図においても同様である。
X線撮影が行われると、X線画像生成部34には、X線検出器8の各画素に対応する画像センサ20からi番目のエネルギ帯域におけるX線光子の計数結果が計数信号C(xp, Ei)として出力される。すなわち、図6に示すように、1番目のエネルギ帯域におけるX線光子の計数信号C(xp, E1)からn番目のエネルギ帯域におけるX線光子の計数信号C(xp, En)が各画像センサ20からX線画像生成部34に出力される。
そうすると、X線画像生成部34は、式(6)に従ってX線光子のエネルギ帯域別にX線画像データを生成する。すなわち、まずエネルギ帯域ごとの計数信号C(xp, Ei)を、それぞれX線管から放射されるX線光子のうち対応するエネルギ帯域におけるX線光子の数N(Ei, ΔE)で除算する。X線光子の数N(Ei, ΔE)を求めるためのエネルギ帯域の幅ΔE及び中心エネルギEiは、閾値設定部32から画像センサ20の比較器24に印加される閾値電圧を取得することによって特定することができる。
続いて、X線のエネルギ帯域ごとのX線検出器8によるX線の吸収特性Dabs(Ei, xd)での除算処理、対数変換処理、X線のエネルギ帯域ごとの被検体OによるX線吸収係数μp(Ei)での除算処理が実行される。これにより、X線のエネルギ帯域ごとの被検体Oの厚さxp(i)が得られる。
次に、式(12)に示すように、X線のエネルギ帯域ごとの被検体Oの厚さxp(i)が、エネルギ帯域ごとの重みwiを用いて重み付け加算される。この結果、X線画像データとして加重平均後の被検体Oの厚さxp_aveを求めることができる。
図7は、図3に示すX線画像生成部34において実行される処理の第2の例を示す図である。
図7は、予めキャリブレーションによって取得したキャリブレーションデータCcal(Ei)を用いて、エネルギ帯域間における加重平均後の被検体Oの厚さxp_aveをX線画像データとして生成する場合の例を示している。
X線撮影が行われると、X線画像生成部34には、X線検出器8の各画素に対応する画像センサ20からi番目のエネルギ帯域におけるX線光子の計数結果が計数信号C(xp, Ei)として出力される。すなわち、図7に示すように、1番目のエネルギ帯域におけるX線光子の計数信号C(xp, E1)からn番目のエネルギ帯域におけるX線光子の計数信号C(xp, En)が各画像センサ20からX線画像生成部34に出力される。
そうすると、X線画像生成部34は、式(11)に従ってX線光子のエネルギ帯域別にX線画像データを生成する。そのために、X線画像生成部34は、制御信号生成部31からX線管に印加された管電圧及びX線の照射時間を取得する。そして、X線画像生成部34は、X線管に印加された管電圧とX線の照射時間との積mAsを計算する。
一方、X線画像生成部34は、キャリブレーションデータ保存部35からX線の照射条件に対応するエネルギ帯域別のキャリブレーションデータCcal(Ei, BQ, SID, θ)を取得する。そして、X線画像生成部34は、管電圧とX線の照射時間との積mAsをキャリブレーションデータCcal(Ei, BQ, SID, θ)と掛け合わせて得られる値で、エネルギ帯域別のX線光子の計数信号C(xp, En)を除算する。
その後、図6に示す対数変換処理以降の処理と同様の処理が実行される。その結果、X線画像データとして加重平均後の被検体Oの厚さxp_aveを求めることができる。
図8は、図3に示すX線画像生成部34において実行される処理の第3の例を示す図である。
図8は、図6に示す処理において、被検体OのX線吸収係数μp(Ei)を画素位置ごとに変える場合の例を示している。この場合には、X線検出器8からエネルギ帯域別のX線光子の計数信号C(xp, Ei)がX線画像生成部34及び疑似画像生成部40の双方に出力される。そして、疑似画像生成部40において疑似画像データが生成される。生成された疑似画像データは、部位判定部39に与えられる。
そうすると、部位判定部39は、疑似画像データに対する画像認識処理によって部位を判定し、判定結果を各画素に関連付ける。この結果、画素ごとに部位を特定する情報が生成される。部位判定部39において生成された画素ごとの部位の特定情報は、X線画像生成部34に与えられる。
X線画像生成部34では、図6に示す処理と同様な処理が実行される。但し、X線画像生成部34は、部位判定部39から取得した画素ごとの部位の特定情報に基づいて、画素ごとに部位に対応する被検体OのX線吸収係数μp(Ei)を吸収係数保存部36から取得する。例えば、図示されるように骨のX線吸収係数μp(Ei)と軟部組織のX線吸収係数μp(Ei)とを、画素ごとに切換えて吸収係数保存部36から取得することができる。そして、画素ごとに選択されたX線吸収係数μp(Ei)を用いてX線画像データの生成処理が実行される。
また、X線画像生成部34は、画素ごとの部位の特定情報をX線画像データに付帯情報として付帯させる。これにより、X線画像データxp_aveには被検体Oの厚さ情報である画素値とともに部位判定部39から出力される部位情報も画素ごとに保存される。従って、X線画像データを受け取る表示処理部41では、部位情報により表示色を変え、厚さ情報により表示色の濃淡を変えて表示する表示処理等を施すことができる。これにより、部位を識別することが可能なX線画像を表示装置6に表示させることができる。
次に、被検体OのDSA画像データを生成する場合の流れについて説明する。
図9は、図3に示すDSA画像生成部38において実行される処理を示す図である。
DSA画像データを生成する場合には、DSA画像生成部38において式(19)及び式(20)に示す演算が実行される。そのために、非造影でマスク画像データの撮影が行われる。この場合、X線検出器8からエネルギ帯域別のX線光子の計数信号C(xp, Ei)がDSA画像生成部38に出力される。そうすると、DSA画像生成部38は、処理上のスイッチを切換えてX線光子の計数信号C(xp, Ei)をマスク画像データとして画像データ保存部37に保存する。
次に、X線造影撮影が実行される。この場合、造影剤を透過したエネルギ帯域別のX線光子の計数信号C(xp, xc, Ei)がX線検出器8からDSA画像生成部38に出力される。そうすると、DSA画像生成部38は、処理上のスイッチを切換えて、造影剤を透過したエネルギ帯域別のX線光子の計数信号C(xp, xc, Ei)を、マスク画像データとして画像データ保存部37に保存されたエネルギ帯域別のX線光子の計数信号C(xp, Ei)で除算する処理を行う。
その後、図6に示す対数変換処理以降の処理と同様の処理が実行される。但し、被検体OのX線吸収係数μp(Ei)ではなく、造影剤のX線吸収係数μc(Ei)での除算処理が行われる。また、重み付け加算処理は、式(20)に示すように、造影剤の厚さxc(i)に対する重みwciを用いた処理となる。これにより、DSA画像データとして加重平均後の造影剤の厚さxc_aveを求めることができる。
次に、被検体Oの疑似画像データを生成する場合の流れについて説明する。
図10は、図3に示す疑似画像生成部40において実行される処理を示す図である。
疑似画像データとして被検体OのX線透視画像データを生成する場合には、X線検出器8からエネルギ帯域別のX線光子の計数信号C(xp, Ei)が医用画像処理装置15に出力される。疑似画像データは、リアルタイム処理又は後処理として生成することができる。
X線撮影時にリアルタイムに疑似画像データを生成する場合には、X線検出器8の出力側が疑似画像生成部40の入力側と接続されるように、医用画像処理装置15に設けられる処理上の第1のスイッチ(SW1)及び第2のスイッチ(SW2)が切換る。従って、エネルギ帯域別のX線光子の計数信号C(xp, Ei)が疑似画像生成部40に入力される。
そして、疑似画像生成部40では、式(21)に示す演算処理が実行される。すなわち、X線光子のエネルギ帯域別の計数信号C(xp, Ei)に、対応するエネルギ帯域の中心エネルギEiが乗算される。そして、エネルギ帯域別の乗算結果を互いに加算することによって疑似画像データが生成される。
一方、X線撮影後に、後処理として疑似画像データを生成する場合には、X線検出器8の出力側がX線画像生成部34を通じて画像データ保存部37と接続されるように、医用画像処理装置15に設けられる処理上の第1のスイッチ(SW1)が切換る。従って、エネルギ帯域別のX線光子の計数信号C(xp, Ei)が画像データ保存部37に保存される。但し、X線画像生成部34が、エネルギ帯域別のX線光子の計数信号C(xp, Ei)を、各エネルギ帯域の中心エネルギEiの特定情報を付帯させたエネルギ帯域別のX線画像データとして画像データ保存部37に保存する。
そして、X線撮影後の任意のタイミングで、疑似画像生成部40が画像データ保存部37にアクセスできるように第2のスイッチ(SW2)が切換る。そうすると、疑似画像生成部40は、画像データ保存部37からエネルギ帯域別のX線光子の計数信号C(xp, Ei)を画素値とするX線画像データを読み込む。続いて、疑似画像生成部40は、式(21)に示す演算処理を実行する。これにより、疑似画像データが事後的に生成される。尚、エネルギ帯域の中心エネルギEiは、X線画像データに付帯する付帯情報から取得することができる。
つまり以上のようなX線診断装置1は、光子計数型のX線検出器8を用いてエネルギ帯域別にX線光子の計数を行い、エネルギ帯域別のX線光子の計数結果に基づいて、被検体Oの固有情報又は被検体Oに投与された造影剤の固有情報としてX線スペクトル等の影響のないX線画像データを生成できるようにしたものである。更に、X線診断装置1は、光子計数型でないX線検出器を備えた従来のX線診断装置によって撮影されたX線画像データと比較できるように、エネルギ帯域別のX線光子の計数結果に基づいて、X線スペクトル等の影響を受けた従来と同等なX線画像データを疑似画像データとして生成できるようにしたものである。
(効果)
このため、X線診断装置1によれば、X線管から放出されたX線光子のスペクトル、X線検出器8固有のX線吸収特性及び被検体O固有のX線吸収特性を含まない被検体Oの固有情報又は被検体Oに投与された造影剤の固有情報としてX線画像データを生成することができる。
一方、従来の光子計数型でないX線検出器を備えたX線診断装置の場合には、X線管から放出されたX線光子のスペクトル、X線検出器8のX線吸収特性及び被検体OのX線吸収特性の影響を受けたX線画像データが撮影される。このため、従来のX線診断装置で撮影されたX線画像データの場合には、同一の被検体OであってもX線管から放出されたX線光子のスペクトル、X線管に印加される管電圧及びビームフィルタの種類に依存して変化するX線の線質に応じてコントラストが変化する。
従来のX線診断装置によって撮影されるX線画像データは、X線検出器の各画素位置において検出されるエネルギに比例する電気信号をデジタル変換することによって生成される。すなわち、2次元的に配列された画素ごとに検出されたエネルギに応じてX線検出器から出力される電気信号としてX線画像データが取得される。
厚さxpの被検体を透過したX線が従来のX線検出器の1画素で検出されるエネルギI(xp)は、式(22)で表される。
I(xp) = ∫dE・E・φ(E)・Matt(E)・exp{-μp(E)・xp}・[1-exp{-μd(E)・xd}] (22)
但し、式(22)において、
xp:X線のパス上における被検体を構成する物質の厚さ
E:X線のエネルギ
∫dE:X線のエネルギ分布の最小値から最大値までの積分
φ(E):各画素に向けてX線管から放射され、ビームフィルタを透過したX線光子のエネルギ密度
Matt(E):X線管とX線検出器の検出面との間に存在するX線吸収体によるX線の吸収特性
μp(E):被検体を構成する代表元素のX線吸収係数
μd(E):X線検出器を構成する物質のX線吸収係数
xd:X線検出器を構成する物質の厚さ
である。
式(22)において式(23)及び式(24)に示すように定義すると式(22)は式(25)に書き換えられる。
Dabs(E, xd) = 1-exp{-μd(E)・xd} (23)
Patt(E, xp) = exp{-μp(E)・xp} (24)
I(xp) = ∫dE・E・φ(E)・Patt(E, xp)・Matt(E)・Dabs(E, xd) (25)
式(22)及び式(25)に示すように、従来のX線診断装置によって撮影されるX線画像データは、被検体固有の情報である厚さxp自体を表しておらず、被検体のX線吸収係数μp(E)、X線管から放出されるX線のエネルギ密度、X線管とX線検出器の検出面との間に存在するX線吸収体によるX線の吸収特性Matt(E)及びX線検出器のX線吸収特性Dabs(E,xd)の乗算結果を積分するという変換を受けた情報を表している。すなわち、従来のX線診断装置によって撮影されるX線画像データは、被検体の厚さにX線スペクトルの情報を加重積分して得られる情報を表している。これが、従来のX線診断装置で同一の被検体を撮影してもX線の線質が異なると、異なるコントラストを有するX線画像データが撮影される理由である。
従って、異なる日時に撮影した2フレームのX線画像データを差分することによって経時的な変化を検出する経時差分法を従来のX線診断装置を用いて行うと、X線の線質の相違による影響を補正することが必要である。すなわち、従来のX線診断装置により撮影された同一の被検体の2フレームのX線画像データに対して単純な差分処理を行っても、経時的な変化を検出することが困難となる場合がある。
特に、近年では、X線診断装置によって撮影されたX線画像データが、異なる医療機関で利用される場合もある。従って、異なる医療機関において撮影された2フレームのX線画像データに対して経時的な変化を検出するための差分処理が施される場合もある。そのような場合には、X線画像データの撮影に使用されたX線診断装置が異なるため、X線の線質の相違が一層問題となる。
これに対して、X線診断装置1によれば、X線管から放出されたX線光子のスペクトル、X線管に印加される管電圧及びビームフィルタの種類に依存して変化するX線の線質に依らず、同等なコントラストを有する定量的なX線画像データを生成することができる。すなわち、式(12)に示すように、X線管から放射されるX線のスペクトルに関する情報を含まない被検体Oの厚さxp_aveとしてX線画像データが得られる。
これにより、異なる日時において撮影されたX線画像データに対する単純な差分処理や比較によって経時的な変化を検出することが可能となる。また、異なる医療機関において撮影されたX線画像データに対しても差分及び比較が容易となる。
加えて、X線診断装置1によれば、従来のX線診断装置においてDSA画像データを撮影する場合に問題となっているビームハードニングの影響を低減することができる。ビームハードニングは、従来のX線診断装置によって撮影されるX線画像データが式(22)及び式(25)に基づいて生成されることに起因している。
DSA画像データは、非造影のX線画像データをマスク画像データとしてX線造影画像データから差分処理することによって生成される差分画像データであるから、造影剤以外の情報が除去されることが望ましい。特に、被検体の構造を表す情報が除去されることが重要である。しかしながら、従来のX線診断装置において撮影されたDSA画像データからは被検体の構造を表す情報が完全に除去されない。
従来のX線診断装置において撮影されるX線造影画像データは、式(26)で表す従来のX線検出器の1画素で検出されるX線のエネルギI(xp, xc)に対応する画像データとなる。
I(xp, xc)
= ∫dE・E・φ(E)・Matt(E)・Patt(E, xp)・Dabs(E, xd)・exp{-μc(E)・xc} (26)
となる。
但し、式(26)において、xcはX線のパス上における造影剤を構成する物質の厚さであり、他のパラメータは式(25)と同じである。
式(26)において、式(27)に示すように定義すると式(26)は式(28)に書き換えられる。
Catt(E, xc) = exp{-μc(E)・xc} (27)
I(xp, xc) = ∫dE・E・φ(E)・Matt(E)・Patt(E, xp)・Dabs(E, xd)・Catt(E, xc)
(28)
一方、従来のX線診断装置において非造影で撮影されるマスク画像データは、式(25)に対応する画像データとなる。そして、DSA画像データは、対数変換後におけるマスク画像データとX線造影画像データとの差分処理によって生成される。従って、従来のX線診断装置において生成されるDSA画像データSub(xp, xc)は、式(29)で表される。
Sub(xp,xc) = ln{I(xp, xc)}-ln{I(xp)}
= ln{∫dE・E・φ(E)・Matt(E)・Patt(E, xp)・Dabs(E, xd)・Catt(E, xc)}-ln{∫dE・E・φ(E)・Matt(E)・Patt(E, xp)・Dabs(E, xd)} (29)
従って、被検体の厚さがxp+Δxpである場合には、式(29)から従来のX線診断装置において生成されるDSA画像データSub(xp+Δxp, xc)は、式(30)で表される。
Sub(xp+Δxp,xc) = ln{I(xp+Δxp, xc)}-ln{I(xp+Δxp)}
= ln{∫dE・E・φ(E)・Matt(E)・Patt(E, xp)・Patt(E, Δxp)・Dabs(E, xd)・Catt(E, xc)}-ln{∫dE・E・φ(E)・Matt(E)・Patt(E, xp)・Patt(E, Δxp)・Dabs(E, xd)} (30)
式(29)及び式(30)は、従来のX線診断装置において生成されるDSA画像データの画素値は、造影剤の厚さxcが同一であっても、被検体の厚さが異なると変化することを表している。従って、従来のX線診断装置においてDSA画像データを生成すると、造影剤の分布が被検体内で同等であっても、画素位置ごとの被検体の構造の相違に起因して異なるコントラストで表示されることとなる。これが、ビームハードニング効果と呼ばれるものである。
更に、式(29)及び式(30)に示すように、従来のX線診断装置により生成されるDSA画像データは、システムを構成するもののX線にかかわる種々の特性を乗算、積分、対数変換、差分して得られる演算結果を表している。すなわち、従来のX線診断装置により生成されるDSA画像データは、造影剤の厚さ情報そのものを表していない。その結果、血管の内径の定量評価や血流量の定量評価が困難である。
これに対して、X線診断装置1によれば、定量情報として造影剤の厚さを表すDSA画像データを生成することができる。その結果、血管の内径の定量評価や血流量の定量評価が可能となる。
加えて、X線診断装置1によれば、従来のX線診断装置において撮影されるX線画像データと特性が大きく異なるX線画像データが収集されるが、従来のX線診断装置において撮影されるX線画像データと同等の特性を有するX線画像データを疑似的に生成することもできる。従って、X線診断装置1において撮影されたX線画像データと、従来のX線診断装置において撮影されたX線画像データとを比較することも可能である。
以上、特定の実施形態について記載したが、記載された実施形態は一例に過ぎず、発明の範囲を限定するものではない。ここに記載された新規な方法及び装置は、様々な他の様式で具現化することができる。また、ここに記載された方法及び装置の様式において、発明の要旨から逸脱しない範囲で、種々の省略、置換及び変更を行うことができる。添付された請求の範囲及びその均等物は、発明の範囲及び要旨に包含されているものとして、そのような種々の様式及び変形例を含んでいる。
1...X線診断装置、2...撮影系、3...制御系、3A...高電圧発生装置、3B...撮影位置制御装置、3C...システム制御部、4...データ処理系、5...入力装置、6...表示装置、7...X線照射部、8...X線検出器、9...駆動機構、10...寝台、13...造影剤注入装置、15...医用画像処理装置(コンピュータ)、20...画像センサ、21...半導体セル、22...チャージアンプ、23...波形整形回路、24...比較器、25...スイッチ、26...閾値論理回路、27...カウンタ(計数器)、30...検査情報管理部、31...制御信号生成部、32...閾値設定部、33...閾値保存部、34...X線画像生成部、35...キャリブレーションデータ保存部、36...吸収係数保存部、37...画像データ保存部、38...DSA画像生成部、39...部位判定部、40...疑似画像生成部、41...表示処理部、O...被検体

Claims (21)

  1. 被検体にX線を照射するX線照射部と、
    前記被検体を透過したX線の光子を、複数の画素位置についてそれぞれ複数のエネルギ帯域別に計数することによってX線検出データを収集するX線検出器と、
    前記X線検出データに基づいて前記被検体に固有の情報を表すX線画像データを生成するデータ処理系と、
    複数のX線の照射条件に対応する複数の参照データを保存する参照データ保存部と、
    複数の部位に対応する複数のX線吸収係数を保存する吸収係数保存部と、
    を備え
    前記データ処理系は、前記複数の参照データのうち、前記被検体に照射された前記X線の照射条件に対応する参照データを参照し、かつ前記複数のX線吸収係数のうち、前記被検体の部位に対応するX線吸収係数を用いて前記X線画像データを生成するように構成されるX線診断装置。
  2. 被検体にX線を照射するX線照射部と、
    前記被検体を透過したX線の光子を、複数の画素位置についてそれぞれ複数のエネルギ帯域別に計数することによってX線検出データを収集するX線検出器と、
    前記X線検出データに基づいて前記被検体に固有の情報を表すX線画像データを生成するデータ処理系と、
    複数の部位に対応する複数のX線吸収係数を保存する吸収係数保存部と、
    前記X線検出器において前記X線の光子を計数するための前記複数のエネルギ帯域を設定するエネルギ帯域設定部と、
    を備え、
    前記データ処理系は、前記複数のX線吸収係数のうち、前記被検体の部位に対応するX線吸収係数を用いて前記X線画像データを生成するように構成されるX線診断装置。
  3. 被検体にX線を照射するX線照射部と、
    前記被検体を透過したX線の光子を、複数の画素位置についてそれぞれ複数のエネルギ帯域別に計数することによってX線検出データを収集するX線検出器と、
    前記X線検出データに基づいて前記被検体に固有の情報を表すX線画像データを生成するデータ処理系と、
    複数の部位に対応する複数のX線吸収係数を保存する吸収係数保存部と、
    を備え、
    前記データ処理系は、前記複数のX線吸収係数のうち、前記被検体の部位に対応するX線吸収係数を用いて前記X線画像データを生成し、かつ画素ごとの前記被検体の部位の特定情報を前記X線画像データに付帯させるように構成されるX線診断装置。
  4. 複数のX線の照射条件に対応する複数の参照データを保存する参照データ保存部を更に備え、
    前記データ処理系は、前記複数の参照データのうち、前記被検体に照射された前記X線の照射条件に対応する参照データを参照することによって前記X線画像データを生成するように構成される請求項2又は3記載のX線診断装置。
  5. 前記データ処理系は、前記被検体の厚さを示す情報として前記X線画像データを生成するように構成される請求項1乃至4のいずれか1項に記載のX線診断装置。
  6. 前記データ処理系は、前記複数のエネルギ帯域別に計数された前記X線の光子の計数結果に基づいて前記複数のエネルギ帯域別の複数フレームのX線画像データを生成し、前記複数フレームのX線画像データの重み付け加算処理によって単一フレームのX線画像データを生成するように構成される請求項1乃至のいずれか1項に記載のX線診断装置。
  7. 前記データ処理系は、単一のエネルギ帯域のエネルギを有するX線の光子の計数結果に基づいて前記単一のエネルギ帯域に対応し、かつ前記単一のエネルギ帯域を特定する情報を付帯情報として付帯させたX線画像データを生成するように構成される請求項1乃至のいずれか1項に記載のX線診断装置。
  8. 前記X線画像データの画素位置ごとに前記被検体の部位を判定する部位判定部を更に備え、
    前記データ処理系は、前記部位の判定結果に基づいて、前記画素位置ごとに前記部位に対応するX線吸収係数を用いて前記X線画像データを生成するように構成される請求項1乃至7のいずれか1項に記載のX線診断装置。
  9. 前記データ処理系は、画素ごとの前記被検体の部位の特定情報を前記X線画像データに付帯させるように構成される請求項1又は2記載のX線診断装置。
  10. 前記部位判定部は、前記複数のエネルギ帯域別に計数された前記X線の光子の各計数結果にそれぞれ対応するエネルギ帯域の中心エネルギを乗じた乗算結果を、前記複数のエネルギ帯域間において加算することによって生成されたX線画像データに基づいて、前記部位を判定するように構成される請求項記載のX線診断装置。
  11. 前記X線検出器において前記X線の光子を計数するための前記複数のエネルギ帯域を設定するエネルギ帯域設定部を更に備える請求項記載のX線診断装置。
  12. 前記エネルギ帯域設定部は、前記X線の照射条件に応じて前記複数のエネルギ帯域を可変設定できるように構成される請求項2又は11記載のX線診断装置。
  13. X線の複数の照射条件に対応する、前記複数のエネルギ帯域の複数の組合せを保存するエネルギ帯域設定情報保存部を更に備え、
    前記エネルギ帯域設定部は、前記複数のエネルギ帯域の前記複数の組合せのうち、前記X線の照射条件に対応する前記複数のエネルギ帯域の組合せを設定するように構成される請求項12記載のX線診断装置。
  14. 前記データ処理系は、前記被検体に造影剤を投与して収集された前記複数のエネルギ帯域別のX線光子の計数結果としてのX線検出データと、前記被検体に造影剤を投与せずに収集された前記複数のエネルギ帯域別のX線光子の計数結果としてのX線検出データとに基づいて、前記被検体に投与された前記造影剤の厚さを示すX線画像データを更に生成するように構成される請求項1乃至13のいずれか1項に記載のX線診断装置。
  15. 前記データ処理系は、前記複数のエネルギ帯域別に計数された前記X線の光子の各計数結果にそれぞれ対応するエネルギ帯域の中心エネルギを乗じた乗算結果を、前記複数のエネルギ帯域間において加算することによって、前記被検体に固有でない情報を含むX線画像データを生成できるように構成される請求項1乃至14のいずれか1項に記載のX線診断装置。
  16. 被検体に照射され、前記被検体を透過したX線の光子を、複数の画素位置についてそれぞれ複数のエネルギ帯域別に計数することによって収集されたX線検出データを取得するデータ取得部と、
    前記X線検出データに基づいて前記被検体に固有の情報を表すX線画像データを生成するデータ処理系と、
    複数のX線の照射条件に対応する複数の参照データを保存する参照データ保存部と、
    複数の部位に対応する複数のX線吸収係数を保存する吸収係数保存部と、
    を備え
    前記データ処理系は、前記複数の参照データのうち、前記被検体に照射された前記X線の照射条件に対応する参照データを参照し、かつ前記複数のX線吸収係数のうち、前記被検体の部位に対応するX線吸収係数を用いて前記X線画像データを生成するように構成される医用画像処理装置。
  17. 被検体に照射され、前記被検体を透過したX線の光子を、複数の画素位置についてそれぞれ複数のエネルギ帯域別に計数することによって収集されたX線検出データを取得するデータ取得部と、
    前記X線検出データに基づいて前記被検体に固有の情報を表すX線画像データを生成するデータ処理系と、
    複数の部位に対応する複数のX線吸収係数を保存する吸収係数保存部と、
    前記X線検出データを収集するX線検出器において前記X線の光子を計数するための前記複数のエネルギ帯域を設定するエネルギ帯域設定部と、
    を備え、
    前記データ処理系は、前記複数のX線吸収係数のうち、前記被検体の部位に対応するX線吸収係数を用いて前記X線画像データを生成するように構成される医用画像処理装置。
  18. 被検体に照射され、前記被検体を透過したX線の光子を、複数の画素位置についてそれぞれ複数のエネルギ帯域別に計数することによって収集されたX線検出データを取得するデータ取得部と、
    前記X線検出データに基づいて前記被検体に固有の情報を表すX線画像データを生成するデータ処理系と、
    複数の部位に対応する複数のX線吸収係数を保存する吸収係数保存部と、
    を備え、
    前記データ処理系は、前記複数のX線吸収係数のうち、前記被検体の部位に対応するX線吸収係数を用いて前記X線画像データを生成し、かつ画素ごとの前記被検体の部位の特定情報を前記X線画像データに付帯させるように構成される医用画像処理装置。
  19. コンピュータを、
    被検体に照射され、前記被検体を透過したX線の光子を、複数の画素位置についてそれぞれ複数のエネルギ帯域別に計数することによって収集されたX線検出データを取得するデータ取得部
    前記X線検出データに基づいて前記被検体に固有の情報を表すX線画像データを生成するデータ処理系、
    複数のX線の照射条件に対応する複数の参照データを保存する参照データ保存部、及び
    複数の部位に対応する複数のX線吸収係数を保存する吸収係数保存部、
    として機能させ
    前記データ処理系は、前記複数の参照データのうち、前記被検体に照射された前記X線の照射条件に対応する参照データを参照し、かつ前記複数のX線吸収係数のうち、前記被検体の部位に対応するX線吸収係数を用いて前記X線画像データを生成する医用画像処理プログラム。
  20. コンピュータを、
    被検体に照射され、前記被検体を透過したX線の光子を、複数の画素位置についてそれぞれ複数のエネルギ帯域別に計数することによって収集されたX線検出データを取得するデータ取得部、
    前記X線検出データに基づいて前記被検体に固有の情報を表すX線画像データを生成するデータ処理系、
    複数の部位に対応する複数のX線吸収係数を保存する吸収係数保存部、及び
    前記X線検出データを収集するX線検出器において前記X線の光子を計数するための前記複数のエネルギ帯域を設定するエネルギ帯域設定部、
    として機能させ、
    前記データ処理系は、前記複数のX線吸収係数のうち、前記被検体の部位に対応するX線吸収係数を用いて前記X線画像データを生成する医用画像処理プログラム。
  21. コンピュータを、
    被検体に照射され、前記被検体を透過したX線の光子を、複数の画素位置についてそれぞれ複数のエネルギ帯域別に計数することによって収集されたX線検出データを取得するデータ取得部、
    前記X線検出データに基づいて前記被検体に固有の情報を表すX線画像データを生成するデータ処理系、及び
    複数の部位に対応する複数のX線吸収係数を保存する吸収係数保存部、
    として機能させ、
    前記データ処理系は、前記複数のX線吸収係数のうち、前記被検体の部位に対応するX線吸収係数を用いて前記X線画像データを生成し、かつ画素ごとの前記被検体の部位の特定情報を前記X線画像データに付帯させる医用画像処理プログラム。
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