以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7を定義し、操作パネル13が設けられている側を手前側として前後方向8を定義し、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9を定義する。
[複合機10の概略構成]
図1に示されるように、複合機10は、プリンタ機能とスキャナ機能とを一体的に備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)である。複合機10は、プリンタ筐体11と、プリンタ筐体11の直上に配置されたスキャナ筐体12とを有する。複合機10は、プリンタ筐体11の直上にスキャナ筐体12が積み重ねられた状態(図1に示された状態)において、全体として概ね直方体の外形をなしている。複合機10の前面には、各種操作ボタン及び液晶表示部を備える操作パネル13が設けられている。複合機10が画像記録装置に相当する。プリンタ筐体11が第1筐体に相当する。スキャナ筐体12が第2筐体に相当する。
プリンタ筐体11は、図1に示される使用状態において、下面側の平面視の外形より上面側の平面視の外形が大きい。スキャナ筐体12は、図1に示される状態(近接位置)において、上面側の平面視の外形より上面側の平面視の外形が大きい。つまり、複合機10は、平面視においてプリンタ筐体11の上面及びスキャナ筐体12の下面が最も大きく、プリンタ筐体11とスキャナ筐体12の筐体が最も外側に突出している。なお、操作パネル13は、プリンタ筐体11に対して回動可能なので、操作パネル13の回動姿勢によっては、複合機10の前面側において、操作パネル13の一部が最も外側へ突出している場合もある。
プリンタ筐体11内には、記録用紙などのシートに画像を記録するプリンタ部が構成されている。プリンタ部は、シートに画像を記録するプリンタとして公知の構成が適宜採用される。例えば、給紙トレイ14から給送された記録用紙に画像を記録し、画像が記録された記録用紙を排紙トレイ15に排出する。給紙トレイ14及び排紙トレイ15は、プリンタ筐体11の前面に設けられた開口16に着脱可能に取り付けられている。一例であるインクジェット方式を採用するプリンタ部であれば、記録用紙の搬送方向と直交する走査方向に往復動するキャリッジ23と、キャリッジ23に搭載されており、記録用紙へ向けてノズルからインクを吐出する記録ヘッド24とを備えている。なお、図2では、給紙トレイ14及び排紙トレイ15が省略されている。プリンタ部が記録部に相当する。
図3に示されるように、プリンタ筐体11内には、プリンタ部の動作を制御する第1制御部20が設けられている。図10に示されるように、第1制御部20は、基板40と、基板40の上面に実装された複数の電子部品と、ケーブルを接続する複数の端子41、42、43、44とを有する。第1制御部20は、搬送用モータ21や、キャリッジ駆動用モータ22、記録ヘッド24などの動作を制御する。搬送用モータ21は、記録用紙を搬送する各種ローラ(不図示)を回転させるための駆動源である。キャリッジ駆動用モータ22は、キャリッジ23を走査方向に往復動させるための駆動源である。第1制御部20は外部電源と接続されて、複合機10の各部に電力を供給する。
画像記録動作として例えば、第1制御部20は、操作パネル13を通じてユーザから取得した画像記録指示に基づいて、搬送用モータ21を駆動させて給紙トレイ14上の記録用紙を記録位置まで搬送し、キャリッジ駆動用モータ22を駆動させてキャリッジ23を所定位置に移動させ、記録位置に搬送された記録用紙に対して記録ヘッド24にインクを吐出させ、さらに搬送用モータ21を駆動させて画像が記録された記録用紙を排紙トレイ15に排出させる。これにより、記録用紙に画像が記録される。
[スキャナ筐体12]
図7及び図8に示されるように、スキャナ筐体12は、プリンタ筐体11の上面の後端において、左右方向9に延びる回動軸線C1の周りに回動可能にプリンタ筐体11によって支持されている。より詳細には、プリンタ筐体11及びスキャナ筐体12の左右方向9の一方側端部及び他方側端部の2カ所に、ヒンジ部材19が設けられている。ヒンジ部材19は、プリンタ筐体11に取り付けられた第1部材19Aと、スキャナ筐体12に取り付けられた第2部材19Bと、を有する。第1部材19Aと第2部材19Bとが組み付けられて、左右方向9に延びる回動軸線C1の周りを、両部材が相互に回動可能となっている。スキャナ筐体12は、ヒンジ部材19によりプリンタ筐体11に回動可能に連結され、プリンタ筐体11の上面に近接した近接位置(図1参照)と、プリンタ筐体11の上面から離間した離間位置(図2参照)とに回動可能である。
なお、本実施形態における近接位置とは、プリンタ筐体11の上面とスキャナ筐体12の下面とが対面し、且つ対面する2つの面の間に形成される空間に複合機10の外部からアクセスできない状態を指す。本実施形態では、互いに対面するプリンタ筐体11の上面とスキャナ筐体12の下面とは、少なくともその一部において当接され、プリンタ筐体11がスキャナ筐体12を下方から支持している。本実施形態では、近接位置におけるプリンタ筐体11及びスキャナ筐体12は、その外縁部同士が当接されている。しかしながら、プリンタ筐体11とスキャナ筐体12とが外縁部の全周にわたって当接している必要は必ずしもない。すなわち、本実施形態における近接位置は、プリンタ筐体11とスキャナ筐体12との間の空間に複合機10の外部からアクセスできない状態を示しており、プリンタ筐体11とスキャナ筐体12との間に内部の空間にアクセスできない程度の小さな隙間が形成されていてる状態も含まれる。
他方、本実施形態における離間位置とは、近接位置において対面していたプリンタ筐体11の上面とスキャナ筐体12の下面とが離間され、プリンタ筐体11とスキャナ筐体12との間に形成される空間に複合機10の外部からアクセス可能な状態を指す。本実施形態では、スキャナ筐体12が45°程度回動され、プリンタ筐体11から離間されている。これにより、ユーザは、プリンタ筐体11とスキャナ筐体12との間の空間に、複合機10の前面側からアクセスしやすい。
スキャナ筐体12には、画像読取部(FBS:Flat bed Scanner)17と、画像読取部17の上方に積層された原稿送り機構(ADF:Auto Document Feeder)18とが設けられている。
画像読取部17は、フラットベッドスキャナと称される公知の構成が採用される。例えば、図3に示されるように、画像読取部17は、原稿が載置されるコンタクトガラス(不図示)と、コンタクトガラスの下方において往復動可能に設けられたCIS(Contact Image Sensor)ユニット32とを備える。CISユニット32は、コンタクトガラス上に載置された原稿、或いは原稿送り機構18によって搬送された原稿に記録されている画像を読み取るイメージセンサ33を有している。
原稿送り機構18は、オートドキュメントフィーダと称される公知の構成が採用される。例えば、原稿送り機構18は、画像読取部17の上面に設けられたコンタクトガラスを開閉する原稿カバーに設けられている。原稿送り機構18は、原稿トレイ26に載置された原稿をコンタクトガラス上のCISユニット32の読取位置に搬送し、CISユニット32によって画像が読み取られた原稿を排出トレイ27に排出する。
図3に示されるように、スキャナ筐体12には、画像読取部17及び原稿送り機構18の動作を制御する第2制御部30が設けられている。各図には現れていないが、第2制御部30は、基板と、基板の上面に実装された複数の電子部品と、ケーブルを接続する複数の端子とを有する。第2制御部30は、画像読取部17を構成する構成要素の一例であるCISモータ31やイメージセンサ33等の動作を制御したり、原稿送り機構18を構成する構成要素の一例であるADFモータ34やセンサ35等の動作を制御したりする。CISモータ31は、CISユニット32を往復動させるための駆動源である。ADFモータ34は、原稿を搬送する各種ローラ(不図示)を回転させるための駆動源である。センサ35は、原稿送り機構18内における原稿の位置を検知する。
画像読取動作として、例えば、第2制御部30は、操作パネル13を通じてユーザから取得した画像読取指示に基づいて、ADFモータ34を駆動させて原稿トレイ上の原稿を読取位置に搬送し、CISモータ31を駆動させてCISユニット32を読取位置に移動させ、読取位置に搬送された原稿に記録されている画像をイメージセンサ33に読み取らせ、さらにADFモータ34を駆動させて画像が読み取られた原稿を排出トレイに排出させる。これにより、原稿の画像が読み取られる。
図3に示されるように、プリンタ筐体11に搭載された第1制御部20と、スキャナ筐体12に搭載された第2制御部30とは、フラットケーブル45、駆動ケーブル46、及び制御ケーブル47を含む複数のケーブルによって、電気的に接続されている。これら各ケーブルは、第1制御部20と第2制御部30との間の延出経路において保持部材50(図4〜図6参照)によって保持される。保持部材50の詳細は後述される。
フラットケーブル45は、所謂フレキシブル・フラット・ケーブル(FFC:Flexible Flat Cable)であって、可撓性を有する帯状のケーブルである。フラットケーブル45は、画像読取部17(より詳細には、イメージセンサ33)で読み取られた画像データを、第2制御部30から第1制御部20に伝達する。本実施形態では、図4〜図6に示されるように、2本のフラットケーブル45A、45Bによって第1制御部20と第2制御部30とが電気的に接続される。フラットケーブル45を構成する面のうち、表面積の大きい面を「平面」と表記し、平面より表面積の小さい面を「端面」と表記する。すなわち、フラットケーブル45は、互いに対向する一対の平面と、互いに対向する一対の端面とで構成される。
なお、本実施形態におけるイメージセンサ33は、第1イメージセンサと第2イメージセンサとを備えている。そして、第1イメージセンサで読み取られた画像データがフラットケーブル45Aを通じて第1制御部20に伝達され、第2イメージセンサで読み取られた画像データがフラットケーブル45Bを通じて第1制御部20に伝達される。なお、イメージセンサは1つであってもよく、その場合にはフラットケーブルも1つでよい。
駆動ケーブル46及び制御ケーブル47は、延出方向に直交する断面積が略円形のケーブルである。駆動ケーブル46は、スキャナ筐体12に搭載されたCISモータ31及びADFモータ34を駆動させる駆動電流を、第1制御部20から第2制御部30に伝達する。制御ケーブル47は、スキャナ筐体12に搭載されたセンサ35の検知信号を、第2制御部30から第1制御部20に伝達する。本実施形態では、図6に示されるように、2本の駆動ケーブル46A、46Bと、2本の制御ケーブル47A、47Bとによって第1制御部20と第2制御部30とが電気的に接続される。駆動ケーブル46及び制御ケーブル47がワイヤーハーネスに相当する。
[保持部材50]
図4〜図6に示されるように、保持部材50は、隔離壁51と、フラットケーブル45A、45Bを保持する第1保持部60と、駆動ケーブル46A、46B及び制御ケーブル47A、47Bを保持する第2保持部70とで構成されており、第1方向57の長さより第2方向58の長さが長い長尺の部材である。隔離壁51は、第1方向57及び第3方向59に比較して、第2方向58に長い平板形状である。第1方向57において、隔離壁51の一方側(図4の右側)には第1保持部60が形成されており、隔離壁51の他方側(図4の左側)には第2保持部70が形成されている。すなわち、隔離壁51は、第1保持部60と第2保持部70とを隔離している。なお、本実施形態における第1方向57と第2方向58と第3方向59とは、互いに交差(直交)する方向である。
第1保持部60は、第1保持壁61と、対向壁62と、複数の第1挟持片63と、複数の第2挟持片64と、を備える。第1保持壁61及び対向壁62は、隔離壁51と同様に、第1方向57及び第3方向59と比較して第2方向58に長い平板形状である。第1保持部60は、フラットケ−ブル45A、45Bを第2方向58に延出させた状態で保持する。より詳細には、第1保持部60は、第3方向59において対向する第1保持壁61の一対の壁面のうち、一方側の壁面である第1壁面61Aに沿ってフラットケーブル45Aを第2方向58に延出させた状態で保持し、第1壁面61Aと反対側の壁面である第2壁面61Bに沿ってフラットケーブル45Bを第2方向58に延出させた状態で保持する。
第1保持壁61は、第1方向57において対向する隔離壁51の一対の壁面のうちの一方側(図4の右側)の壁面から第1方向57に突設され、且つ第2方向58に延設されている。第3方向59において、第1保持壁61の位置は、隔離壁51の概ね中央である。第1保持壁61の固定軸52から遠い側の端部には、第3方向59において第2保持壁71から離間する向きに傾斜する傾斜部65が形成されている。
対向壁62は、第1保持壁61の突設端において隔離壁51と対向して設けられている。換言すれば、第1保持壁61は、隔離壁51から対向壁62に向けて突設されている。さらに換言すれば、隔離壁51及び対向壁62は、第1保持壁61の第1方向57の一方側及び他方側の端部において、第3方向59の両側に向けて突設されている。
第1挟持片63は、第3方向59において第1壁面61Aと対面して設けられている。第1保持壁61は、第1挟持片63と第3方向59に対向する位置において貫通孔が形成されている。すなわち、第1挟持片63は、第1壁面61Aを第2方向58に延長した平面に対面しているが、以下、この状態を第1壁面61Aに対面していると表記する。第3方向59における第1壁面61Aと第1挟持片63との間隔は、フラットケーブル45Aの厚みより僅かに大きく設定されている。フラットケーブル45Aは、第1壁面61Aと第1挟持片63とによって挟持される。換言すれば、フラットケーブル45Aは、その一対の平面のうちの一方が第1壁面61Aに対面し、他方が第1挟持片63に対面するように、第1保持部60に保持され且つ第2方向58に延出される。
第1挟持片63の一部は、対向壁62に対面する隔離壁51の壁面(すなわち、第1保持壁61が連結されている壁面)から対向壁62に向けて突設されている。第1挟持片63の他の一部は、隔離壁51に対面する対向壁62の壁面から隔離壁51に向けて突設されている。第1方向57における第1挟持片63の突設長さは、隔離壁51と対向壁62との間隔の半分以下に設定されている。隔離壁51及び対向壁62には、それぞれ第2方向58に離間した複数(図4の例では2カ所)の位置に第1挟持片63が設けられている。隔離壁51の第1挟持片63と、対向壁62の第1挟持片63とは、第2方向58にずれた位置に設けられている。複数の第1挟持片63は、第2方向58の一方側から他方側に向かって、隔離壁51及び対向壁62に交互に突設されている。
第2挟持片64は、第3方向59において対向する第1保持壁61の一対の壁面のうちの他方側(図5の下側)の第2壁面61Bと対面して設けられている。第1保持壁61は、第2挟持片64と第3方向59に対向する位置において貫通孔が形成されている。すなわち、第2挟持片64は、第2壁面61Bを第2方向58に延長した平面に対面しているが、以下、この状態を第2壁面61Bに対面していると表記する。フラットケーブル45Bは、第2壁面61Bと第2挟持片64とによって挟持される。換言すれば、フラットケーブル45Bは、その一対の平面のうちの一方が第2壁面61Bに対面し、他方が第2挟持片64に対面するように、第1保持部60に保持され且つ第2方向58に延出される。第2挟持片64のその他の構成は第1挟持片63と共通するので、詳細な説明は省略される。
第2保持部70は、第2保持壁71と、挟持壁72、73、74とを備える。第2保持壁71及び挟持壁72、73、74は、第1方向57及び第3方向59と比較して第2方向58に長い平板形状である。第2保持部70は、駆動ケーブル46A、46B及び制御ケーブル47A、47Bを第2方向58に延出させた状態で保持する。より詳細には、第2保持部70は、第3方向59において対向する第2保持壁71の一対の壁面のうちの第1保持壁61の突設位置と反対側(すなわち、図5の下側)を向く背面71Aと、挟持壁72、73、74とによって区画された保持空間において、駆動ケーブル46A、46B及び制御ケーブル47A、47Bを第2方向58に延出させた状態で保持する。
第2保持壁71は、第1方向57において対向する隔離壁51の一対の壁面のうちの他方側(図4の左側)の壁面から第1方向57に突設され、且つ第2方向58に延設されている。また、第2保持壁71の突設位置は、第3方向59における隔離壁51の一方側の端部である。すなわち、第3方向59において、第2保持壁71は、第1保持壁61の突設位置とずれた位置において、隔離壁51に突設されている。
挟持壁72、73、74は、第2保持壁71の背面71Aから第3方向59(図5の下向き)に突設され且つ第2方向58に延設されている。挟持壁72、73、74は、第1方向57において互いに対向している。第1方向57において、挟持壁72は第2保持壁71の先端側(隔離壁51から最も遠い位置)に設けられ、挟持壁74は第2保持壁71の基端側(隔離壁51に最も近い位置)に設けられ、挟持壁73は挟持壁72、74の間に設けられている。
第2保持壁71の背面71A及び挟持壁72、73によって区画される保持空間に駆動ケーブル46Aが保持され、第2保持壁71の背面71A及び挟持壁73、74によって区画される保持空間に駆動ケーブル46B及び制御ケーブル47A、47Bが保持される。
駆動ケーブル46Aの直径は、第1方向57における一対の挟持壁72、73の間隔より大きいので、駆動ケーブル46Aは、一対の挟持壁72、73の間に圧入される。駆動ケーブル46B及び制御ケーブル47A、47Bの直径は、第1方向57における一対の挟持壁73、74の間隔より小さい。第1方向57における一対の挟持壁73、74の間隔が駆動ケーブル46B及び制御ケーブル47A、47Bの直径より狭くした幅狭部(不図示)が、少なくとも1カ所、好ましくは第2方向58に離間した複数の位置に設けられる。
保持部材50において、第1保持部60と第2保持部70とは、隔離壁51を挟んで第1方向57の反対側に設けられている。第2保持壁71の背面71Aと、第1保持壁61の第1壁面61A及び第2壁面61Bとは、第3方向59においてずれている。換言すれば、第1保持壁61と第2保持壁71を構成する壁面のうち、第1方向57及び第2方向58を含む平面上に延設された壁面は、第3方向59においてずれた位置に配置される。フラットケーブル45A、45B(第1ケーブル)と、駆動ケーブル46A、46B及び制御ケーブル47A、47B(第2ケーブル)とは、第1方向57及び第3方向59にずれた位置において保持部材50により第2方向58に延出させた状態で保持される。
図4及び図5に示されるように、保持部材50の第1保持部60の長手方向(すなわち、第2方向58)の一端側には、第1方向57において隔離壁51から遠ざかる向き(図4における左向き)に突設された固定軸52が設けられている。固定軸52は、スキャナ筐体12に設けられた軸孔82(図9参照)に取り付けられる。固定軸52の突出先端は周方向に沿って面取りされている。固定軸52が第2軸に相当する。
図4及び図5に示されるように、保持部材50の第1保持部60の長手方向(すなわち、第2方向58)の一端側には、対向壁62から第2方向58に沿って延出された弾性支持部66が設けられている。弾性支持部66は、対向壁62の一端側から概ねU字形状に湾曲して第2方向58の外側(図4における後ろ向き)へ延出されて、その先端側固定軸52と対向する位置に至っている。弾性支持部66は、その先端側が概ね第1方向57へ弾性的に変位可能である。この変位によって、弾性支持部66の先端側と固定軸52との第1方向57の距離が変動する。
弾性支持部66には、第1方向57において弾性支持部66から遠ざかる向き(図4における右向き)に突設された移動軸67が設けられている。移動軸67は、スキャナ筐体12に設けられた軸孔82(図9参照)に取り付けられる。移動軸67は、固定軸52とは第1方向57に沿った相反する向きへ突出している。一対の軸孔82に固定軸52及び移動軸67がそれぞれ支持されることによって、固定軸52と移動軸67とは、スキャナ筐体12の回動軸線C1上に位置される。
図4及び図5に示されるように、保持部材50の長手方向(すなわち、第2方向58)の他端側には、第1方向57において保持部材50から遠ざかる向きに突設された第1被係止部53が設けられている。より詳細には、第1被係止部53は、弾性支持部54によって保持部材50に連結されている。弾性支持部54は、板状の部材を屈曲させて概ねU字状に形成され、第1被係止部53を保持部材50に対して突設方向(すなわち、第1方向57)に変位可能に支持している。第1被係止部53は、スキャナ筐体12の下面に設けられた係止部81(図7参照)に係止される。
図4及び図5に示されるように、保持部材50の長手方向の他端側には、第2被係止部55が設けられている。第2被係止部55は、保持部材50の第2方向58の先端から第3方向59に突設され、その突設端に爪部56が設けられている。第2被係止部55は、保持部材50との接続部分を基点として、爪部56を第2方向58に変位させるように弾性変形可能に構成されている。第2被係止部55の爪部56は、プリンタ筐体11に設けられた係止部85(図10及び図11参照)に係止される。
図5に示されるように、保持部材50の第1保持部60の隔離壁51における第2壁面61B側には、隔離壁51から第1方向57の第2保持部70側(図5における左向き)へ突出する複数の係合部68が設けられている。複数の係合部68は、隔離壁51において第2方向58に離間されて3つが設けられている。各係合部68は爪形状に突出している。各係合部68の第2方向58の両側には、隔離壁51に第3方向59に沿ったスリット69が形成されている。スリット69によって、係合部68が設けられた隔離壁51の一部分が第2方向58に弾性変形可能である。各係合部68は、隔離壁51に設けられているので、第2方向58において固定軸52とほぼ同じ位置である。各係合部68は、プリンタ筐体11の被係合部86(図10参照)と係合する。
図4及び図5に示されるように、保持部材50の第1保持部60において、固定軸52と各係合部68との間には切欠き75が形成されている。切欠き75は、隔離壁51を第2方向58に分断し、且つ第1保持壁61を第1方向57に沿って対向壁62付近まで延びている。切欠き75によって、第2方向58において、固定軸52と各係合部68との間に空間が形成されている。切欠き75によって破断されていない第1保持部61の一部と対向壁62が、第2方向58において、移動軸67と各係合部68とを連結する連結部77として機能する。
[軸孔82及び係止部81]
図8に示されるように、保持部材50は、ヒンジ部材19に近接した位置においてスキャナ筐体12に取り付けられる。図9に示されるように、スキャナ筐体12の下面側における一方側(図8における左側)のヒンジ部材19に左右方向9に隣り合って、一対の軸孔82が形成されている。軸孔82は、左右方向9に離間されて対向して配置されている。軸孔82により定められる保持部材50の回動軸線C2は、スキャナ筐体12の回動軸線C1と平行である。なお、スキャナ筐体12の回動軸線C1と保持部材50の回動軸線C2とは、少なくとも平行であることが望ましく、近接していることが更に望ましく、一致していることが最も望ましい。
左側の軸孔82に保持部材50の固定軸52が挿入され、右側の軸孔82に軸67が挿入されることによって、保持部材50は、回動軸線C2周りに回動可能にスキャナ筐体12によって支持される。より詳細には、図2に示されるように、スキャナ筐体12を離間位置に回動させた状態(或いは、スキャナ筐体12をプリンタ筐体11から取り外した状態)において、保持部材50は、スキャナ筐体12の下面から離間した位置(図7参照)と、スキャナ筐体12の下面に近接(当接)した位置(図8参照)との間を回動可能である。なお、保持部材50が図8に示されるように配置された状態において、第2方向58及び第3方向59は、前後方向8及び上下方向7とは一致しない。
図7に示されるように、スキャナ筐体12の下面には、係止部81が設けられている。係止部81は、板状の部材を屈曲させて概ね馬蹄形に形成され、その先端がスキャナ筐体12の下面に連結されることによって、スキャナ筐体12の下面との間に左右方向9に開口された略直方体の空間を形成している。係止部81は、保持部材50がスキャナ筐体12の下面に近接する位置に回動された際に、第1被係止部53に対応する位置に配置されている。図8に示されるように、保持部材50をスキャナ筐体12の下面に近接する位置に回動させた後、第1被係止部53を、保持部材50に近づく向きに弾性変位させ、再び保持部材50から遠ざかる向きに弾性変位させることにより、第1被係止部53が係止部81に係止される。係止部81が支持部に相当する。
[プリンタ筐体11とスキャナ筐体12との組み立て]
以下、プリンタ筐体11とスキャナ筐体12との組み立て作業が説明される。図示は省略するが、まず、プリンタ筐体11及びスキャナ筐体12が別々に組み立てられる。このとき、フラットケーブル45A、45B、駆動ケーブル46A、46B、及び制御ケーブル47A、47Bは、第2制御部30に接続された状態で、スキャナ筐体12の回動基端側において、軸孔82の近傍からバラバラに延出されている。
次に、保持部材50の固定軸52及び移動軸67がスキャナ筐体12の軸孔82にそれぞれ取り付けられる。そして、図7に示されるように、スキャナ筐体12の下面から離間した位置に保持部材50を回動させた状態で、フラットケーブル45Aが第1保持部60に取り付けられる。より詳細には、フラットケーブル45Aは、保持部材50の回動平面(回動された保持部材50が通過し得る平面)に沿う方向、すなわち、上下方向7における保持部材50の上方から第1壁面61Aに取り付けられる。
次に、図8に示されるように、スキャナ筐体12の下面に近接した位置に保持部材50が回動されて、第1被係止部53が係止部81に係止される。すなわち、図8の状態における保持部材50は、第2方向58の両端がスキャナ筐体12に支持されている。そして、フラットケーブル45B、駆動ケーブル46A、46B、及び制御ケーブル47A、47Bが第1保持部60及び第2保持部70に取り付けられる。より詳細には、これらのケーブルは、保持部材50の回動平面に沿う方向、すなわち、前方斜め下から後方斜め上に向かって第2壁面61B及び背面71Aに取り付けられる。
次に、図2に示されるように、スキャナ筐体12がプリンタ筐体11に取り付けられる。そして、保持部材50をスキャナ筐体12の下面から離間させる向きに回動させることにより、プリンタ筐体11の上面に沿って保持部材50が前後方向8に延設される。このとき、図11に示されるように、保持部材50の第2被係止部55の爪部56がプリンタ筐体11の内部空間に設けられた係止部85に係止される。また、保持部材50の複数の係合部68がプリンタ筐体11の内部空間に設けられた被係止部86にそれぞれ係止される。係合部68は、被係止部86に係止されることによって、第2方向58及び第3方向59に対して固定される。なお、図10においては、1つの被係止部86のみが現れているが、同様の被係止部86が前後方向8において各係合部68に対応する位置に設けられている。
図2の状態の保持部材50は、保持部材50の切欠き75より第2方向58の一端(固定軸52側の端部)がスキャナ筐体12に支持され、切欠き75より第2方向58の他端(第2被係止部55側の端部)がプリンタ筐体11に支持されている。また、保持部材50は、左右方向9において、第1保持部60がプリンタ筐体11の中央側(図2の右側)に位置し、第2保持部70がプリンタ筐体11の外側(図2の左側)に位置するように配置される。
図2のように配置された保持部材50と、第1制御部20の基板40の上面(電子部品の実装面)とは、図6に示されるように、第1保持壁61の第1壁面61A及び第2壁面61Bが、一点鎖線87で示される基板40の上面の位置より上方に位置する。一方、第2保持壁71の背面71Aは、基板40の上面の位置より下方に位置する。すなわち、第1保持部60は、フラットケーブル45A、45Bを基板40の上面より上方において保持する。一方、第2保持部70は、駆動ケーブル46A、46B及び制御ケーブル47A、47Bを基板40の上面より下方において保持する。
図11に示されるように、保持部材50の基板40側の端部において、第1保持壁60の先端位置は第1位置83であり、第2保持壁71の先端位置は第2位置84である。すなわち、第1保持壁61の基板40側の端部は、第2保持壁71の基板40側の端部より回動基端(回動軸線C2)に近い側に位置している。その結果、前後方向8において、駆動ケーブル46A、46B及び制御ケーブル47A、47Bは、フラットケーブル45A、45Bよりもプリンタ筐体11の前側まで延出されている。
第1制御部20の基板40は、プリンタ筐体11の上面の前方側において水平面(前後方向8及び左右方向9に沿った面)に沿って延設されている。基板40は、左右方向9において、保持部材50よりプリンタ筐体11の中央側(図11の右側)に配置されている。基板40の上面には、フラットケーブル45A、45Bが接続される端子41、42と、駆動ケーブル46Aが接続される端子43と、制御ケーブル47Aが接続される端子44とが設けられている。なお、駆動ケーブル46B及び制御ケーブル47Bが接続される端子の説明は省略される。
左右方向9において、端子41、42は、端子43よりプリンタ筐体11の端部側(図11の左側、或いは保持部材50に近い側)に配置されている。また、前後方向8において、端子41、42は、端子44よりプリンタ筐体11の後端側(回動軸線C1に近い側)に配置されている。フラットケーブル45A、45Bは、第1位置83において基板40側に屈曲されて、端子41、42に接続される。駆動ケーブル46Aは、第2位置84において基板40側に屈曲されて、端子41、42よりプリンタ筐体11の前端側を通り、さらに端子41、42よりプリンタ筐体11の左右方向9の中央側を通って端子43に接続される。制御ケーブル47Aは、第2位置84において基板40側に屈曲されて、端子44に接続される。
なお、フラットケーブル45A、45Bは、第1位置83の前面側において傾斜部65によって上方に持ち上げられている。すなわち、フラットケーブル45A、45Bと、駆動ケーブル46A、46B及び制御ケーブル47A、47Bとの第2方向58の距離は、基板40に近い側において相対的に大きく、基板40から遠い側(回転軸線C2に近い側)において相対的に小さい。
前述したように組み付けられた保持部材50は、図2に示されるように、スキャナ筐体12を離間位置に回動させることによって露出される空間に配置される。換言すれば、保持部材50は、プリンタ筐体11の内部空間であって、スキャナ筐体12を離間位置に回動させることによってプリンタ筐体11の上面側からアクセス可能な空間に配置されている。
保持部材50は、プリンタ筐体11の左右方向9の左端において、前後方向8に延設されている。換言すれば、保持部材50は、フラットケーブル45A、45Bと、駆動ケーブル46A、46B及び制御ケーブル47A、47Bとを、上下方向7及び左右方向9にずれた位置に配置させ且つ前後方向8に延出させる。すなわち、本実施形態において、図4〜図6に図示された第1方向57は、左右方向9に一致する。また、保持部材50が図2に示されるように配置された状態において、図4〜6に図示された第2方向58は前後方向8に対応し、第3方向59は上下方向7に一致する。
図2に示されるように、プリンタ筐体11の上面のうちの保持部材50に対向する領域(すなわち、保持部材50の上方)は、蓋部材80によって覆われる。すなわち、保持部材50が配置される空間は、スキャナ筐体12を離間位置に回動させることによって直ちに露出される必要はない。換言すれば、保持部材50が配置される空間を露出させるためには、少なくともスキャナ筐体12を離間位置に回動させなければならず、本実施形態においては更に蓋部材80を取り外さなければならない。
[複合機10が落下等したときの作用]
図12に示されるように、複合機10は、運搬等されるときには、発泡スチロールなどの緩衝材90に包まれた状態で段ボール製などの外箱91に入れられた梱包状態にされる。梱包状態において、例えば、複合機10の前面側、つまり操作パネル13が配置されている側を下向きとして複合機10が地面や床に落下されたとする。
複合機10において、落下による衝撃が最初に加わる箇所は、前面におけるプリンタ筐体11とスキャナ筐体12との境界部分93である。プリンタ筐体11の重心位置94、及びスキャナ筐体12の重心位置95は、複合機10の上下方向7に対して異なる位置にある。したがって、落下した複合機10には、境界部分93を支点として、プリンタ筐体11の回転モーメントM1及びスキャナ筐体12の回転モーメントM2が作用する。ここで、プリンタ筐体11の重量が、スキャナ筐体12の重量より重いとして、回転モーメントM1は、回転モーメントM2より大きいものとする。
プリンタ筐体11とスキャナ筐体12とは前後方向8の後ろ側においてヒンジ部材19によって連結されている。したがって、複合機10は、プリンタ筐体11が更に下向きへ移動するように回転する(図12における反時計回りに回転する)。そうすると、プリンタ筐体11は、境界部分93に衝撃が加わった後に、更に下向きへ移動してからバウンドする。他方、スキャナ筐体12は、境界部分93に衝撃が加わった後に直ちにバウンドしようとする。このようなプリンタ筐体11とスキャナ筐体12とのバウンドのタイミングのズレによって、ヒンジ部材19の連結におけるガタや筐体の歪みなどの分だけ、プリンタ筐体11及びスキャナ筐体12にそれぞれ連結されている保持部材50に負荷が生じる。
図13は、固定軸52及び移動軸67がスキャナ筐体12の軸孔82に支持され、かつ係合部68がプリンタ筐体11の被係止部86に係合した状態において、プリンタ筐体11を取り除いた状態でスキャナ筐体12の下面側を示している。前述されたようなプリンタ筐体11とスキャナ筐体12とのバウンドのタイミングのズレによって、保持部材50には、係合部68において、第2方向58に沿って第1保持部60の係合部68側を固定軸52及び移動軸67から離れる向き(図12における下向き)への力F1が加わる。
力F1は、第1保持部60によって固定軸52及び移動軸67へも伝達されるが、第1保持部60に形成された連結部77が係合部68とは第1方向57における位置が異なるので、固定軸52に対しては、軸孔82から外れる向きの力F2が伝達され、移動軸67に対しては、移動軸67を支持する弾性支持部66が軸孔82の周辺から離れる向きの力F3が伝達される。力F3によって、弾性支持部66が固定軸52側へ弾性変形して、固定軸52と移動軸67との距離が縮まる。そして、力F2によって、固定軸52は軸孔82から外れようとする。したがって、力F1が大きければ、力F2及び力F3も大きくなる。特に、保持部材50は、第1方向57の長さより第2方向58の長さが長いので、連結部77から比較的遠い位置にある係合部60(前後方向8の前側に位置する係合部60)に加わる力F1が大きければ、連結部77から比較的近い位置にある固定軸52及び弾性支持部66にそれぞれ伝達される力F2,F3も大きくなる。この力F2,F3によって、固定軸52及び移動軸67が破損する前に、固定軸52が軸孔82から外れる。これにより、保持部材50はスキャナ筐体12とは連結されていない状態となる。したがって、プリンタ筐体11とスキャナ筐体12とのバウンドのタイミングのズレによる負荷が、更に保護部材50に加わることがない。
[本実施形態の効果]
本実施形態によれば、フラットケーブル45A、45B、駆動ケーブル46A、46B、及び制御ケーブル47A、47Bを保持部材50によって纏めて保持できるので、ケーブルの取り扱いが容易になる。また、各ケーブルを保持した状態の保持部材50をスキャナ筐体12に対して回動可能とすることにより、複合機10の組み立て時或いはメンテナンス時におけるケーブルの着脱が容易となる。なお、スキャナ筐体12の回動軸線C1と保持部材50の回動軸線C2とを近接(最も好ましくは、一致)させることにより、スキャナ筐体12をプリンタ筐体11に対して回動させるために必要な各ケーブルの撓み量を小さくできる。
また、プリンタ筐体11及びスキャナ筐体12に衝撃や外力が加わり、プリンタ筐体11への外力が保持部材50の係合部68を介して第1保持部60へ第2方向58に沿って伝達されると、弾性支持部66が弾性変形することによって、固定軸52と移動軸67との距離が縮まる。また、固定軸52には、スキャナ筐体12の軸孔82から外れる向きの力が伝達される。これにより、衝撃や外力により固定軸52及び移動軸67へ大きな力が加わると、固定軸52又は移動軸67の少なくとも一方がプリンタ筐体11の軸孔82から外れるので、固定軸52及び移動軸67に破損が生じ難い。
また、固定軸52の突出先端が面取りされているので、固定軸52が軸孔82から一層外れやすくなる。
また、保持部材50は、フラットケーブル45を保持する第1保持部60と、駆動ケーブル46及び制御ケーブル47を保持する第2保持部70と、を有しており、固定軸52及び移動軸67が第1保持部60に設けられているので、固定軸52及び移動軸67周りにおいて厚みの薄いフラットケーブル45のみを配置することができ、固定軸52及び移動軸67周りの省スペース化が図られる。
また、保持部材50は、第1方向57における長さよりも第2方向58における長さの方が長いので、第2方向58に延出されるフラットケーブル45、駆動ケーブル46及び制御ケーブル47が取り付けられたスキャナ筐体12をプリンタ筐体11に組み付ける作業が容易である。また、プリンタ筐体11への外力が保持部材50の係合部68から第2方向58に沿って伝達されたときに、固定軸52及び移動軸67への負荷が大きくなるので、前述された作用効果が顕著に奏される。
また、保持部材50において、係合部68が第2方向58に離間されて複数が配置されているので、第1保持部60がプリンタ筐体11に安定して係合され、基板40にフラットケーブル45等を接続する作業性が向上する。
また、プリンタ筐体11に、保持部材50の第1被係止部53を係止する係止部81が設けられているので、フラットケーブル45、駆動ケーブル46及び制御ケーブル47が配線されたスキャナ筐体12をプリンタ筐体11に組み付けるときに、保持部材50が邪魔にならず、作業性が向上する。
[変形例]
前述された実施形態では、保持部材50の第1保持部60において、固定軸52と各係合部68との間には切欠き75が形成されることにより、第2方向58において各係合部68と異なる位置となる連結部77により、係合部68と固定軸52とが連結される構成が示されているが、切欠き75以外の構成によって、落下などにより係合部68に加わる力F1を、固定軸52に対しては、軸孔82から外れる向きの力F2として伝達させ、移動軸67に対しては、移動軸67を支持する弾性支持部66が軸孔82の周辺から離れる向きの力F3として伝達させることができる。
詳細には、図14及び図15に示されるように、第1保持部60には切欠き75が設けられておらず、第1保持部60の長手方向(すなわち、第2方向58)の一端側に、第1方向57において対向壁62から遠ざかる向き(図14における右向き)に突設された固定軸52が設けられている。また、隔離壁51から第1方向57の第2保持部70側へU字に湾曲して第2方向58に沿って延出された弾性支持部66が設けられ、弾性支持部66には、第1方向57において弾性支持部66から遠ざかる向き(図14における左向き)に突設された移動軸67が設けられている。つまり、固定軸52と、弾性支持部66及び移動軸67の第1方向57における配置が逆になっており、第1方向57における係合部68に対して、固定軸52の位置が異なり、かつ移動軸67がほぼ同じ位置となっている。このような構成において、第1保持壁61及び隔離壁51が連結部に相当する。
このような変形例においても、図16に示されるように、前述されたようなプリンタ筐体11とスキャナ筐体12とのバウンドのタイミングのズレによって、保持部材50には、係合部68において、第2方向58に沿って第1保持部60の係合部68側を固定軸52及び移動軸67から離れる向き(図16における下向き)への力F1が加わると、力F1は、第1保持部60によって固定軸52及び移動軸67へも伝達される。固定軸52は、係合部68とは第1方向57における位置が異なるので、固定軸52に対しては、軸孔82から外れる向きの力F2が伝達される。
移動軸67には、軸孔82に対して、第2方向58の内向きへ離れる力が加わるが、この力により、隔離壁51と第1方向57に対して位置が異なる弾性支持部66が軸孔82を固定軸52へ向かって弾性変形させる力F3が伝達される。力F3によって、弾性支持部66が固定軸52側へ弾性変形して、固定軸52と移動軸67との距離が縮まる。そして、力F2によって、固定軸52は軸孔82から外れようとする。したがって、力F1が大きければ、力F2及び力F3も大きくなって、固定軸52及び移動軸67が破損する前に、固定軸52が軸孔82から外れる。これにより、保持部材50はプリンタ筐体11とは連結されていない状態となる。したがって、プリンタ筐体11とスキャナ筐体12とのバウンドのタイミングのズレによる負荷が、更に保持部材50に加わることがない。
なお、前述された実施形態では、保持部材50に固定軸52及び移動軸67が設けられ、スキャナ筐体12に軸孔82が設けられているが、これらのいずれが保持部材50又はスキャナ筐体12に選択的に設けられていてもよい。固定軸52及び移動軸67が突出する向きも、第1方向57に沿ったいずれの向きであってもよい。
また、保持部材50は、各ケーブルを回動平面に沿う方向から着脱するように構成されていたが、例えば、保持部材は、回動平面に交差する方向(すなわち、左右方向9)から各ケーブルを着脱するように構成されていてもよい。すなわち、スキャナ筐体12に対する保持部材50の移動の向きに応じて、適切な方向からケーブルを着脱可能に構成されていればよい。
また、前述された実施形態では、近接位置のスキャナ筐体12の下面がプリンタ筐体11の上面と対面しているが、例えば、プリンタ筐体11とスキャナ筐体12とは、前後方向8或いは左右方向9に隣接して設けられていてもよい。すなわち、スキャナ筐体12がプリンタ筐体11の側面に対して接離するように回動する構成であってもよい。プリンタ筐体11とスキャナ筐体12との上下方向7の位置が逆転していてもよい。
また、前述された実施形態では、第2筐体として、画像読取部17及び原稿送り機構18を備えるスキャナ筐体12の例が説明されているが、例えば、第2筐体は、赤外線やBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信によって外部装置からデータを受信するデータ受信部等であってもよい。