JP6232840B2 - ブラインド - Google Patents

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Description

本発明は、ブラインドに関する。
従来、窓など建屋の開口部に設置して、屋内に入る太陽からの日射(日光の入射)を調整し、また、屋外から屋内が見えるのを防ぐために、ブラインドが使用されている。ブラインドは複数の長物形状のスラット(羽根とも言う)を配列して備えることで、スラットの傾斜角(以下、スラット角ともいう)を変えれば、屋内への日射の取り込み量を調整でき、また、屋外から屋内が見える外視線を防ぐこともできる(特許文献1、特許文献2)。また、スラット角の調整で、屋内から屋外が見える内視線を確保することもできるし、日射を取り込みつつ屋外から屋内が見える外視線を防ぐこともできる。さらに、垂下したスラットを巻き上げれば、ブラインド全体の開閉を行うこともできる。
実公昭7−6501号公報 実公昭7−11673号公報
ただ、従来のブラインドは、スラットに使用される材料が、金属、木材、樹脂などが主流であり、しかも一般的に不透明な材料が使用されている。このため、従来のブラインドは、ブラインドを垂下した状態では、日射の取り込み量の調整、並びに、ブラインドをとおしての外視線及び内視線に対する透視性の調整について、スラット角を変化させても調整できる範囲におのずと限界があった。
すなわち、本発明の課題は、日射調整と、ブラインドをとおしての屋内と屋外間の透視性調整との関係について、新しい関係の調整機能を有するブラインドを提供することである。
そこで、本発明では、次の様な構成のブラインドとした。
(1)透明調光体をスラットとして備えるブラインドであって、
前記透明調光体は、透明基材と、
前記透明基材の少なくとも一方の面に形成された凹凸面と、
前記凹凸面上に前記凹凸面に沿うように形成された金属膜とを有し、
前記凹凸面は、複数の微小突起の集合体である微小突起群によって形成されたモスアイ構造であり、前記微小突起の平均突起間距離Dave180nm以上300nm以下、前記微小突起の平均突起高さ150nm以上、前記微小突起のアスペクト比0.5〜2.0であり、
前記金属膜は、厚み5nm以上80nm以下である、
前記スラットの傾きによって、前記スラットを通して入射する日射の取り込みに関する光の透過率と、前記日射とは入射角の異なる屋内および屋外間の透視性に関する光の透過率とが異なる状態となる、
ブラインド。
(2)前記(1)のブラインドが一対の透明板で挟まれる空間内に配置されている、ブラインド。

本発明のブラインドによれば、透過率が入射角に依属して異なる透過率異方性を透明調光体が示すため、日射の取り込み調整と、ブラインドをとしての屋内と屋外間の透視性調整との関係について、新しい関係の調整機能が得られる。
本発明によるブラインドの一実施形態として建物開口部に設置された場合を説明する説明図(a)と、その透明調光体であるスラットの断面図(b)及び部分拡大断面図(c)。 平均突起間距離Daveの算出方法を説明する為のドロネー図を示す図。 透過率異方性として入射角依存性を示すグラフ。 スラット角の定義を説明する説明図。 図1とは異なるスラット角のときの調整機能を説明する図。 本発明によるブラインドの変形形態(透明調光体を透明板間の空間に配置)を説明する断面図。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面は概念図
であり、説明上の都合に応じて適宜、構成要素の縮尺関係、縦横比等は誇張されていることがある。
《1》用語の定義
ここで、本発明で用いる主要な用語の定義を説明しておく。
「微小突起」における「微小」とは、「微小突起」の平均突起間距離Daveが可視光の最短波長λminに対して、Dave≦λminとなる小ささを意味する。
可視光の波長帯域は個人差、照明条件等にも多少依存するが、通常、380〜780nmとされ、本発明ではこれにならう。
「入射角」とは、透明調光体において、微小突起4によって形成される「凹凸面2s」の包絡面に対して垂直に光が入射するときをゼロとする。すなわち、「入射角」とは、「凹凸面」の包絡面の垂線(曲面の場合は法線)からの角度である。
「凹凸面」と単に言うときは、本発明においては、特に断りのない限り、凹凸を形成する個々の微小突起4の集合体として形成される微小突起群4Gがなす凹凸の面を意味する。尚、凹凸面2sの包絡面は別途符号2seを付して包絡面2seで表す。
「スラット角β」とは、スラットとして用いられる透明調光体において、配列された複数のスラットが全体としてなす面、換言すると複数のスラットが配列された状態のときにブラインドがなす包絡面に直交し且つ複数のスラットの配列方向に平行となる面で、スラットを切断したときのスラット断面おいて、注目するスラットの凹凸面の包絡面2seが、複数のスラットの配列方向に直交する方向からなす角度である。さらに、スラット角には正負の定義がある。例えば、複数のスラットの配列方向が地面に垂直な鉛直方向で、それぞれのスラットがその長物形状の延在方向が水平方向で、配列された複数のスラットが全体としてなす面が鉛直面となるとき、この鉛直面に垂直な方向で且つ複数のスラットの配列方向に直交する方向は水平方向であり、水平方向がスラット角の基準となる。そして、スラットの凹凸面の包絡面2seが天側を向いて水平なとき、スラット角は0°である。スラットの凹凸面の包絡面2seが地面側を向いた状態と区別するために、本発明においては、ブラインドを隔てて日射側或いはより明るくなるときがある側を凹凸面の包絡面2seが向いているときをプラスの角度とし、この反対側を向いているときをマイナスの角度とする(後述図4参照)。なお、凹凸面2sを両面に有する形態においては、正負の区別はない。
《2》ブラインド
先ず、本発明によるブラインドを、図1に示す一実施形態例を参照して説明する。
図1(a)は、本発明によるブラインド10の一実施形態として、ブラインド10が建物開口部に設置された場合を説明する説明図であり、図1(b)は、ブラインド10を構成する透明調光体1であるスラットの断面図、図1(c)は透明調光体1であるスラットの部分拡大断面図である。
本発明によるブラインド10は、その一構成部材として透明調光体1を備える。本実施形態のブラインド10は、透明調光体1がスラットとして用いられ、複数の透明調光体1を備える。透明調光体1は長物形状をしており、その延在方向が紙面に垂直な水平方向となっている。図1(a)は、ブラインド10が建物の開口部である窓に設置された状態を示す。同図では、ブラインド10は、その複数のスラット、すなわち複数の透明調光体1が鉛直方向に配列した状態で降ろされた状態であり、複数の透明調光体1の配列方向が開口部の窓面に平行に、図面上下方向となる鉛直方向に配列している状態である。
透明調光体1は、図1(c)で示すように、透明基材2と、透明基材2の一方の面に形成された凹凸面2sと、凹凸面2s上に凹凸面2sに沿うように形成された金属膜3とを有する。しかも、凹凸面2sは、複数の微小突起4の集合体である微小突起群4Gによって形成され、微小突起4の平均突起間距離Daveが、可視光の最短波長λminに対して、Dave≦λminとなっている。
こうした構成の透光性調光体1は、図1(b)で示すように、凹凸面2sへ入射する光Lの透過率が、入射角αを凹凸面2sに対する垂線(より厳密に言うと凹凸面2sの包絡面に対する垂線)からの角度と定義したときに、入射角αが大きいほど小さい入射角依存性を示す。つまり、この透明調光体1は、透過率異方性を示す。
一方、本実施形態においては、透明調光体1の他方の面は平坦面となっている。
凹凸面2sは、その微小突起4の平均突起間距離Daveが、可視光の最短波長λminに対して、Dave≦λminであることによって、金属膜3が存在しなければ、所謂モスアイ(moth eye)構造により、可視光及び可視光よりも長波長側の赤外光に対して反射防止性を示す。
本発明においては、各微小突起4は凹凸面2sと平行な切断面で切断した場合の断面積が、微小突起4の頂部に近づくにつれて減少する形状であることが好ましい。本実施形態においては、このようになっている。
本発明においては、透明基材2は単層から構成されていてもよいが、複層から構成されていてもよい。本実施形態においては、図1(c)の部分拡大断面図で示す如く、透明基材2は、複層から構成されており、基材本体部2aと、凹凸面2sを透明基材2に付与するための凹凸面形成部2bとの2層を有する。
本実施形態においては、基材本体部2aは無色透明なポリカーボネート板であり、凹凸面形成部2bは、形成用基材層としての無色透明なポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、紫外線硬化性アクリル樹脂と成形型を用いた2P法(フォトポリマー法)によって形成されている。そして、この透明基材2の凹凸面2sに沿うように、アルミニウムをスパッタリンクによる金属膜3が形成されている。
なお、基材本体部2aと凹凸面形成部2bとの積層は、凹凸面形成部2b側の面に、アクリル系粘着剤層を形成し、この粘着層によって接着積層してある。
そして、図1(a)では、ブラインド10がスラットとして備える透明調光体1は、その凹凸面2sが日射Lsの方向を向くようなスラット角に調整されている。このため、日射Lsは凹凸面2sに対して入射角αが0°で垂直に入射する。また、入射角αが0°より大きい角度で凹凸面2sに入射する光の透過率は、入射角αが0°のときの透過率よりも小さくなっている。したがって、同図に示すように、プラスのスラット角で水平方向に対して傾斜した透明調光体1に対して、地面に平行方向、つまり水平方向の光の透過率は、小さくなっている。このため、屋内から屋外の景色や人物を観察する内視線Viは、ハーフミラー調フィルムやスモークフィルムが窓に貼り付けられたように、暗くはなるが景色や人物の輪郭がはっきり見える。一方、屋外から屋内を見る外視線Voに対しては、屋内は屋外に比べて暗く、且つ透明調光体1は入射角αが相対的に大きい外視線Voに対する透過率が入射角αが相対的に小さい日射に対する透過率よりも小さくなっているため、屋内から来る光が透明調光体1の反射光よりも相対的に小さくなるため反射光に隠蔽されて屋内は見ることができない。また、透明調光体1はその半透過の厚みとなる金属膜3が銀色を呈することでも、外視線Voから屋内は見ることができない。
こうした日射、並びに外視線Vo及び内視線Viに対する調整機能は、スラットに金属などの不透明体を用いた従来のブラインドでは、図1(a)のスラット角では、屋外から屋内を見る外視線Voは防げるが、屋内から屋外を見る内視線Viも遮断され、また日射を透過光として取り込むこともできない。
一方、本実施形態においては、図1(a)のようなスラット角では、屋内から屋外を見る内視線Viにて物の輪郭もはっきりと観察することもできるし、さらに、日射Lsの取り込みは、内視線Viに対する透過率より大きな透過率で取り込むこともできる。
なお、スラットに曇りガラスや凹凸ガラスを採用した従来のブラインドでは透過光及び反射光共に拡散光となる為、同じスラット角の場合では、屋内から屋外の内視線Viにて物の輪郭まではっきりと観察することまではできない。また、閉塞感が生じることがある。
以上のような構成によって、本実施形態におけるブラインド10は、そのスラットが本発明固有の透明調光体1から構成されているため、透過率が入射角αに依属して異なる透過率異方性を透明調光体1が示す結果、日射の遮蔽を含めた取り込み調整と、ブラインドをとおしての屋内から屋外を見る内視線Viの透視性、及び屋外から屋内を見る外視線Voの透視性について、新規な組み合わせの調整機能を得ることができる。
以下、構成要素毎に、さらに詳述する。
《透明調光体1》
透明調光体1は、少なくとも片面が凹凸面2sをなす透明基材2と、この凹凸面2sに沿って形成された金属膜3とを、少なくとも有する。
凹凸面2sは、それ自体は可視光に対して反射防止性を呈する凹凸であり、金属膜3は、その厚みが可視光に対して透明性と反射性とを示す半透過膜として形成される。
透明調光体1の外形形状は、任意である。本実施形態においては、透明調光体1はスラットとして用いられているため、長物形状をしており、具体的には直方体形状をしている。
透明調光体1は、凹凸面2sと、この凹凸面2sに沿って形成された金属膜3とによって、凹凸面2sへ入射する光Lの透過率が、入射角αが大きいほど小さく反射率は大きい入射角依存性を示す。すなわち、透明調光体1は透過率異方性を示す。
ここで、本発明において透過率とは、波長380〜780nmの可視光に対する全光線透過率のことを意味する。したがって、透過率は、平行光線透過率と拡散光線透過率の和となる。全光線透過率は、JIS K 7361−1(1997)に準拠して、市販の測定機で測定することができる。
可視光としては、その代表光として例えば波長550nmの光を用いてもよい。
〔透明基材2〕
透明基材2としては、少なくとも可視光域の光に対して透明な基材であれば特に制限はない。例えば、透明基材2の材料としては、樹脂、ガラス、セラミックスなどの1種からなる単層体又は2種以上からなる積層体を用いることができる。樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの樹脂を用いることができる。
透明基材2は無色透明であっても良く、或いは透明であれば、有彩色或いは無彩色に着色していてもよい。透明基材2は、少なくともその一方の面が凹凸面2sとなっていればよい。他方の面は、凹凸面2sでもよいし、凹凸面2sでなくてもよい。他方の面が凹凸面2sでないとき、他方の面は、鏡面など平滑で平坦な平坦面以外に、ガラス板の例で言えば、霞(かすみ)ガラスや梨地ガラスなどの凹凸ガラスのように模様状凹凸面、曇りガラスのように一様な凹凸面であってもよい。
尚、平坦面とは、本発明特定の微小突起群4Gの表面のなす凹凸面2sに比べて表面の凹凸の程度が小さく、微小突起群4Gが奏する特有の反射防止効果を奏さない面である。平坦面の具体的な凹凸の程度は、JIS B0601(1994)規定の10点平均粗さRz及が、Rz≦10nmである。
透明基材2の厚みは、機械的強度などの点で、例えば0.3〜5mm程度とすることができる。
透明基材2の外形形状は、前記透明調光体1の外形形状に順ずる。
〔凹凸面2s〕
凹凸面2sは、透明基材2の表面であり、複数の微小突起4の集合体である微小突起群4Gによって形成され、それ自体では、つまり金属膜3が未形成の状態では、可視光に対して反射防止性能を示す凹凸である。凹凸面2sは、可視光の最短波長λmin以下となる平均突起間距離Daveで複数の微小突起4が配置されてなる微小突起群4Gによって形成される。
[微小突起4]
微小突起4は、その平均突起間距離Daveが、可視光波長帯域の最短波長λminに対して、Dave≦λminとなっている微小な突起である。
本発明においては、前記の如く、可視光の最短波長λminは380nmとする。この条件は、可視光波長帯域の最短波長λmin以上の波長の光に対しては、凹凸面2sそれ自体として反射防止効果を奏する条件である。この結果、微小突起4の集合体である微小突起群4Gを有する凹凸面2sそれ自体は、可視光及び可視光よりも長波長の赤外光に対する反射防止性能を有するものとなる。
平均突起間距離Daveは、300nm以下であることが好ましい。平均突起間距離Daveが300nm超過であると、透過率異方性として透過率の入射角依存性が充分に得られないことがあるからである。
平均突起間距離Daveは、200nm以上であることが好ましい。本発明者らが測定、確認した知見によれば、微小突起群4GはDave≧200nmの領域に於いて、微小突起群4Gの凹凸面2sの包絡面2seに斜入射する光に対して光拡散性が増大することが判明した。この特性は凹凸面2sに沿うように光透過性の金属膜を形成した状態に於いても発現する。
その為、後述する(表1及びその説明参照)可視光線の最短波長以下の膜厚の金属膜による斜入射光の透過率低下の現象と協同して、図1及びその説明で述べたような光学特性の異方性による効果(図1の場合に於いては、外視線Voの遮断と日射の透過との両立)を、より良好に奏する。即ち、微小突起群4Gによる入射角α≧45°の斜入射光に対する光の拡散性は、微小突起群4Gの平均突起間距離Daveに依存する。Dave=180nm近辺に臨界値が存在する。平均突起間距離Daveが比較的小さくDave<180nmの場合には入射光に対する拡散性は目視で白濁を認められない程度に低い。Dave≧180nmの場合に該斜入射光の拡散性は白濁が目視で認識可能な程度となり、特にDave≧200nmの場合に斜入射光の拡散性は増加し、目視での白濁は大きくなる。尚、Daveの数値如何によらず(但し、本発明に於いては前記の如くDave≦λmin)、入射角α<45°の正面入射光に対する拡散性は低く、目視で白濁を認識しない程度である。
(平均突起間距離Daveとその計測法)
平均突起間距離Daveとは、微小突起4が、その配置に一定の周期で規則的配列をしている場合には、その配列周期に等しい。
本実施形態においては、微小突起4は一定の配列周期を持たない。したがって、個々の微小突起4に注目すると、その微小突起4の周囲に隣接して配置される微小突起4との距離は一定ではなく、ばらつきを有する。このように、隣接する微小突起4同士の間の距離が一定ではなく、ばらつきを有するときは、隣接する微小突起4同士の間の距離の「平均的な値」を、「平均突起間距離Dave」とする。より具体的には、本発明においては、有限の個数の微小突起4についてみた有限の突起間距離Dから、統計的手法を用いて、「平均突起間距離Dave」を定義する。以下、その説明をする。
(1)先ず、凹凸面2sについて、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope;AFM)、或いは走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて、凹凸面2sにおける微小突起4の配置を検出する。
本実施形態においては、微小突起4の配置の検出に、原子間力顕微鏡を用いたが、本発明においては、これ以外の検出方法を採用してもよい。
微小突起4の配置を検出する領域の面積は、透明調光体1に要求される調整機能に関与する平均突起間距離Daveを、統計的手法で算出される平均値に対して許容される誤差範囲内で算出し得る程度以上の微小突起4の計測個数となる面積であれば十分である。例えば、微小突起4の個数で言えば200個以上、より高精度とするならば、500個以上とするとよい。
(2)次に、個々の微小突起4における高さの極大点を求める。図2は凹凸面2sを形成する微小突起群4Gを模式的に示す平面図である。同図は、凹凸面2sの包絡面2seに対してその法線方向から微小突起群4Gを観察したときの平面視の図面である。図2では、極大点を符号4pで、微小突起4に黒点を付して示してある。同図は説明のための概念図であるので、微小突起4の平面視形状は真円で示してあるが、実際の微小突起4の平面視形状はこの限りではない。
極大点の計測は、微小突起4の配置を検出した画像データ(画像中では高さを濃淡にて表示した三次元座標データ)を、画像処理することによって求めることができる。本実施形態においては、画像データの画像処理により求めたが、本発明においては、これ以外の方法によってもよい。
高さの基準となる基準高さは任意である。ただし、微小突起4の谷部を連結する部分の高度にうねりが存在する場合は、うねりを除去した高さを基準高さとする。うねりが存在すると、平均突起間距離Daveの寸法に比べて凹凸面2sの包絡面に平行な方向で大きな寸法で、微小突起4の極大点の基準高さとの高度差ではない絶対高度が変化する。うねりの除去は、例えば、微小突起4間の谷底の高度について、複数の谷底の高度の平均値が収束するに足る面積の中で算出し、この平均値の高度を基準高さとする。前記平均値を算出する面積の領域を移動させることで、前記面積よりも大きい面積におけるうねりを除去した基準高さを得ることができる。
(3)次に、検出した極大点を母点とするドロネー図(Delaunary Diagram)を作成する。ドロネー図とは、各極大点を母点としてボロノイ分割を行った場合に、ボロノイ領域が隣接する母点同士を隣接母点と定義し、各隣接母点同士を線分で結んで得られる三角形の集合体からなる網状図形である。各三角形は、ドロネー三角形と呼ばれ、各三角形の辺は、隣接母点同士を結ぶ線分に該当し、ドロネー線と呼ばれる。図2は、ドロネー図のドロネー線を黒い線分として示してある。ドロネー線の長さが、隣接する極大点同士の間の距離であり、これを、「隣接極大点間距離」と呼ぶことにする。
微小突起群4Gを構成する微小突起4のなかに、後述する一つの微小突起4が複数の極大点を有する多峰性微小突起が存在しないときは、「隣接極大点間距離」が、「平均突起間距離Dave」を統計的に算出する元になる平均化前の「突起間距離D」でもある。
(4)次に、隣接極大点間距離の度数分布を求める。
なお、微小突起4の中には、その頂部に複数の極大点(頂点)を有する多峰性微小突起が存在することがある。多峰性微小突起が存在すると、1つの微小突起が複数の極大点を与えることになり、微小突起4の個数と、極大点の個数とが一致しなくなる。
そこて、平均突起間距離Daveの算出にあたって、多峰性微小突起が存在するときは、次のようにして、多峰性微小突起に起因する隣接極大点間距離を除外するとよい。
1つの多峰性微小突起について、その1つの多峰性微小突起に属する複数の極大点同士から得られる隣接極大点間距離は、複数の単峰性微小突起から得られる隣接極大点間距離とは、明らかに大きく異なる。そこで、5〜20個程度の互いに隣接する単峰性微小突起を選んで標本抽出して、この標本抽出した中での隣接極大点間距離の複数の値の数値範囲から、明らかに外れる値を除外する。例えば、標本抽出した中での隣接極大点間距離の平均値の1/2以下の値を除外する。
(5)次に、隣接極大点間距離の度数分布から、平均突起間距離Daveを算出する。
(最大突起間距離Dmax)
隣接極大点間距離が分布を有するとき、換言すると、微小突起4の配置に周期性がなく、ばらつきを有するときは、下式で算出する最大突起間距離Dmaxが、可視光の最短波長λminに対して、Dmax≦λminであることがより好ましい。凹凸面2sそれ自体について、その反射防止性能がより効果的に発揮され、透過率異方性をより確実に得ることができるからである。
最大突起間距離Dmax=Dave+2σ
(σは標準偏差である。)
(平均突起高さHaveとその計測法)
平均突起高さHaveは、個々の微小突起4の高さHの平均値である。平均突起高さHaveは、上述した平均突起間距離Daveと同様の手法で算出することができる。例えば、平均突起間距離Daveの算出に用いた原子間力顕微鏡の画像データの元になった三次元座標データから、個々の微小突起4の極大点の高さHを求め、この高さHから、平均突起高さHaveを算出することができる。
なお、多峰性微小突起が存在するときは、多峰性微小突起が有する複数の極大点の中で高度が最も高い極大点を、当該多峰性微小突起の高さHとして計測するとよい。
微小突起4のアスペクト比、すなわち、平均突起高さHaveの平均突起間距離Daveに対する比率Have/Daveは通常0.5〜2.0程度である。
平均突起高さHaveは、150nm以上であることが好ましい。平均突起高さHaveが上記値未満であると、凹凸面2sと金属膜3とによる透過率異方性が充分に得られないことがあるからである。
平均突起高さHaveが分布を有するとき、その標準偏差σは50nm以下であることが好ましい。標準偏差σが上記値超過であると、凹凸面2sの手触り時にザラツキの有る触感を生じることがあるからである。
(微小突起4の形成方法)
本発明においては、凹凸面2sを構成する微小突起4の形成方法としては特に制限はなく、公知の方法によって形成することができる。例えば、微小突起4の形成方法には、電離放射線硬化性樹脂を用いた2P法(フォトポリマー法とも言う)を利用することができ、熱硬化性樹脂を用いる場合には熱プレス法(エンボス加工)などを利用することができ、熱可塑性樹脂を用いる場合には、熱プレス法、射出成形法、押出し成形法などを利用することができる。
本実施形態においては、特許第4406553号公報に記載の如きアルミニウムの陽極酸化処理及びエッチング処理の交互の繰り返しにより成形型を作成し、この成形型で紫外線硬化性樹脂と2P法を用いて、紫外線硬化性樹脂の硬化物からなる樹脂層の表面に微小突起4を形成した。
《金属膜3》
金属膜3は、凹凸面2s上に凹凸面2sに沿うように形成された金属材料からなる層である。金属膜3それ自体の表面は、凹凸面2sがなす凹凸形状に対応した凹凸膜面3sを有している。「凹凸面2sに沿うように形成され」ているという意味は、金属膜3が凹凸面2sの凹凸を埋め尽くすことで、金属膜3の膜面が平滑面となったり、平滑面ではないがその凹凸膜面3sの凹凸が凹凸面2sの凹凸とは無関係で独立した凹凸形状となったりしないで、凹凸膜面3sが凹凸面2sの凹凸に対応した凹凸形状となるように形成されることを意味する。このためには、金属膜3の厚みは、微小突起4の高さH未満であることが必要とされる。
これに加えて、金属膜3の厚みは入射する可視光線の全波長帯域(380〜780nm)の光を全て反射することなく、少なくとも一部を透過する必要がある。更に、入射角α=5°に於ける透過率を20%以上とすることが好ましい。
この条件を満たす為には、金属膜3の厚みの上限値は可視光線の最短波長380nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下とする。
更に、本発明に於いては、特定の微小突起群4Gによる凹凸面2s上に金属膜3を形成した場合に、後述の如き(表1及びその説明文参照)光の透過率の入射角依存性(透過率の異方性とも言える)を発現する必要がある。
この条件を満たす為には、金属膜3の厚みの下限値は、後述のデータからも明らかなように、5nm以上、好ましくは10nm以上、より好ましくは30nm以上とする。
金属膜3は、金属材料によって形成された金属製の膜である。金属材料としては、本発明においては、特に限定はなく、例えば、アルミニウム、銀、銅、金、及びこれらの合金などを用いることができる。金属膜3の形成方法は、本発明においては、特に限定はなく、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、CVD法などの公知の各種気相成長法、或いは、インクジェット印刷、グラビア印刷などの公知の各種印刷法、ダイコート、ディップコート、スプレーコートなどの公知の各種塗工法を適宜採用することができる。
金属膜3の厚みは、凹凸面2sに沿う形状で凹凸膜面3sが形成可能な厚みであれば、
特に限定はなく、例えば5〜80nmである。
凹凸面2s上における金属膜3の厚みとは、凹凸面2sが光反射防止機能を有さない平坦面であったと仮定した場合に形成される厚みを意味する。
金属膜3の好ましい構成を例示すれば、金属材料としてアルミニウム又はアルミニウム合金を用い、スパッタリング法により、厚み5〜40nmで形成された金属膜3である。
本実施形態においては、金属膜3は、アルミニウムをスパッタリング法により厚み10〜30nmで形成してある。
《透過率異方性:透過率の入射角依存性》
表1及び図3は、透過率異方性として、透過率の入射角依存性の一例を示す。
表1及び図3中、
サンプルAは平均突起間距離Dave=100nm(標準偏差σ=28nm)、平均高さHave=170nm(標準偏差σ=15nm)である。
サンプルBは平均突起間距離Dave=200nm(標準偏差σ=31nm)、平均高さHave=280nm(標準偏差σ=23nm)である。
サンプルCは市販のハーフミラー調の日射調整フィルムであり、表裏両面が凹凸面2sではない10点平均粗さRz=7nmの平坦な無着色透明樹脂フィルムの片面に、アルミニウムを蒸着した金属膜3が10nmの厚みで形成されたものである。
各サンプル名の下に付した数字は、それぞれ金属膜3の厚みを示す。
透過率は、可視光の代表光として波長550nmの光で測定した値である。
Figure 0006232840
表1及び図3に示すように、透過率は、サンプルA及びサンプルBともに、光の入射角αが大きくなると低下し、入射角αが45°までは低下率は顕著ではなく、入射角αの増加に対する透過率の低下率も小さいが、とくに入射角αが60°以上となると低下傾向が顕著となり、入射角αに対する透過率の低下率も大きくなる(入射角αが45°から60°の間で角度増加に対する透過率の低下率が立ち上がる)ことが確認された。
また、金属膜3の厚みに関しては、厚みが厚くなると、入射角αの全域にわたって、透過率が低下することが確認された。これにより、全体的な透過率の調整が可能になる。
サンプルAとサンプルBの違い、つまり微小突起4の寸法の違いについては、入射角αが5°の透過率に対する入射角αが60°の透過率で比較すると、サンプルAよりも寸法が大きいサンプルBの方が、入射角αによる透過率の低下割合が大きく、透過率の入射角依存性が大きくなることが判明した。これは、サンプルBは平均突起間距離Dave=280nm≧200nm≧180nmの条件を満たす為、微小突起群4Gによる斜め入射光(入射角α≧45°の入射光)に対する拡散効果が、Dave=170nm≦180nm≦200nmであるサンプルAに較べて大きくなる為である。
一方、サンプルCは、入射角αが大きくなると極僅かに透過率が小さくなる入射角依存性を示す程度で、透過率異方性を示さないと言ってもよい程度である。このサンプルCに対して、本発明によるサンプルA及びサンプルBは明らかに大きな透過率異方性を示している。
《スラット角βによる水平方向透視性及び日射に対する調整機能》
本実施形態における、スラット角βによる水平方向透視性及び日射に対する調整機能について説明する。水平方向透視性とは、図1(a)の設置状態における、ブラインド10をとおしての屋内と屋外間の水平方向での透視性のことである。
〔スラット角βの定義〕
先ず、図4はスラット角βの定義の説明図である。スラット角βの定義は、既に定義欄で説明したが、ここでは、これから本実施形態におけるブラインド10の適用例に対応してより具体的に説明する。
図4にて、図面上下方向が透明調光体1であるスラットの配列方向Dsである。本実施形態においては、図1(a)のように、ブラインド10には透明調光体1がスラットとして複数用いられ、このブラインド10が鉛直面をなす窓面に平行に設置される。したがって、スラット配列方向Dsは地面に垂直な鉛直方向となり、地面に平行な水平方向とスラット配列方向Dsとは直交関係となる。また、図面左右方向が水平方向となり、紙面に垂直でスラット配列方向Dsに平行な面が複数のスラットが全体としてなす面、換言するとブラインド10が全体としてなすブラインド面でもあり、この面が鉛直面となる。このブラインド面に直交し且つスラットの配列方向と直交する方向は水平方向であり、本実施形態においては、この水平方向からの凹凸面2sのなす角度がスラット角βとなる。
さらに、凹凸面2sに注目すると、本実施形態においては、透明調光体1は凹凸面2sを片面に有し、且つブラインド10が日射を受ける側は図面左側である。よって、図4のように、凹凸面2sが日射側となる図面左側を向く透明調光体1の傾斜状態のとき、スラット角βをプラスの値となる。また、凹凸面2sが水平となり図面上方の天を向く状態ではスラット角βは0°となり、凹凸面2sが日射側とは反対側の図面右側を向く傾斜状態ではスラット角βはマイナスとなる。
〔水平方向透視性及び日射に対する調整機能〕
こうした設置形態のときのブラインド10について、屋内から屋外への内視線Viの水平方向での透視性、及び、屋外から屋内への外視線Voの水平方向での透視性に対する調整機能、並びに、日射の屋内への取り込み対する調整機能について、表2、並びに図1(a)、図5(a)及び図5(b)を参照して、説明する。
スラットが本発明による透明調光体1であるものは「本発明」で示し、スラットがハーフミラー調やスモーク調のような半透明の日射調整フィルムのようなものは「半透明体」で示し、スラットが金属製で不透明なものは「不透明体」で示す。
先ず、スラット角βを調整して、スラット間に水平方向で間隔が開いた状態では、内視線Vi及び外視線Voともに隙間部分によって得られる分の水平方向透視性は、スラットの材質によらずに全て同じとなる。つまり、「本発明」、「半透明体」及び「不透明体」のそれぞれのスラットで全て同じである。また、日射に対する調整機能は、スラット間に日射が到来する方向に平行に隙間が開いた状態では、隙間部分によって得られる分の日射に対する調整機能は、スラットの材質によらずに全て同じとなる。
そこで、ここでは、隙間部分によって得られる分の水平方向透視性及び日射に対する調整機能については同じであるために比較するまでもなく、本発明に特徴的な特性である透過率異方性という透過率特性の違いに注目して、その相違が、水平方向透視性及び日射に対する調整機能に対して、どのような相違が生じるかについて、比較することにする。
表2では、スラット角βが90°、30°及び0°と、さらに、−60°及び120のときの水平方向透視性及び日射に対する調整機能の相違を示す。表2中、「水平視」が水平方向透視性である。太陽は仰角60°の位置にあるものとする。
スラット角β=90°は、スラットの凹凸面2sが鉛直で屋外を向き、スラット間に隙間が生じない状態であり、水平方向透視性及び日射の調整機能に、スラットの透過率が関係する状態である。
スラット角β=30°は、仰角60°の太陽からの日射を入射角α=90°で凹凸面2sに垂直に受ける状態であり、水平方向透視性及び日射の調整機能に、スラットの透過率が関係する状態である。図1(a)が、おおよそこの状態である。
スラット角β=0°は、スラット間に最大の隙間が生じ、この隙間による完全な水平方向透視性が生じる状態であり、スラットの透過率が関係しない状態である。一方、日射の調整機能には、スラットの透過率が関係する状態である。
スラット角β=−60°は、スラットの凹凸面2sが屋内側を向き、且つスラット間の隙間による仰角60°の太陽からの日射をスラットに遮られることなく完全に取り込める状態であり、日射の調整機能にはスラットの透過率が関係しない状態である。一方、水平方向透視性の調整機能にはスラットの透過率が関係する状態である。
スラット角β=120は、スラット角β=−60°と、凹凸面2sの向きが表裏逆転した状態であり、スラットの凹凸面2sは屋外側を向き、スラット間の隙間による仰角60°の太陽からの日射をスラットに遮られることなく完全に取り込める状態であり、日射の調整機能にはスラットの透過率が関係しない状態である。一方、水平方向透視性の調整機能にはスラットの透過率が関係する状態である。図5(a)が、おおよそこの状態である。
以上のスラット角βにおける、透過率乃至は透視性の状態について、表2では、
水平方向透視性の全透視、乃至は日射の全通過を「○」で示し、
水平方向透視性の半透視、乃至は日射の半通過を「△」で示し、
水平方向透視性の不透視、乃至は日射の全遮蔽を「×」で示す。
このうち、「△」及び「×」がスラットの透過率が関係する状態のスラット角βとなる。「○」は、スラット間の隙間が関係する状態であり、スラットの透過率は無関係の状態である。
Figure 0006232840
表2から判るように、スラットの透過率が0よりも大きく、光をある程度透過し、その透過率が関係するスラット角βの状態は、半透視乃至は半通過「△」が生じる状態である。したがって、全透視乃至は全通過「○」及び不透視乃至は全遮蔽「×」の状態は、スラットの0を越える透過率は無関係である。つまり、本発明固有の透過率異方性が関係するのは、半透視乃至は半通過「△」が生じる状態である。半透視乃至は半通過「△」が生じる状態となるスラット角βは、表2では90°と30°の2状態のみである。また、スラットの材質においては、透明調光体1である「本発明」と、ハーフミラー調乃至はスモーク調の「半透過体」の2つであり、金属製の「不透明体」は除外される。
そこで、このスラット角βが90°とスラット角βが30°の2状態について、さらに、その透過率異方性の有無による、水平方向透視性及び日射取り込みに対する調整機能について考察する。
まず、半透明体は透過率が入射角依存性を有さず透過率異方性は示さない。このため、水平方向透視性に関する光のスラットへの入射角αと、日射に関する光のスラットへの入射角αが異なっても、これらの透過率は同じである。これを表2では、半透明体の水平視の「△」印と、日射の「△」印との間に等号「=」を付して示してある。
一方、本発明では、透過率が入射角依存性を有し透過率異方性を示す。このため、水平方向透視性に関する光のスラットへの入射角αと、日射に関する光のスラットへの入射角αが異なるため、これらの透過率が異なる。これを表2では、「本発明」の水平視の「△」印と、日射の「△」印との間に不等号「<」又は「>」を付して示してある。具体的には、スラット角βが90°のときは、入射角α=0(法線方向入射となる)水平視に対する透過率よりも、入射角αがより大きくなる日射に対する透過率が小さくなるため不等号は「>」となり、スラット角βが30°のときは、水平視に対する透過率よりも、入射角αがより小さくなる(α=0)日射に対する透過率が大きくなるため不等号は「<」となる。
このように、本発明では、水平方向透視性と日射に対して、これらが半透視乃至は半通過「△」の状態となるときに、これらに互いに異なった透過率を適用することができる。
このため、例えば、スラット角βが90°のときでは、日射よりも水平方向透視性に大きな透過率を適用することができる。これは、半透明体に比べて、日射はなるべく遮蔽しつつ、また、屋外から屋内への外視線Voは遮蔽して、屋内から屋外への内視線Viをより確保できることを意味する。
尚、ここで、内視線Viよりも外視線Voの方が視認性が低下する理由は、屋外よりも屋内の方が暗い為、屋内から外視線Vo方向に来る弱い屋内(の光景を構成する)光よりもスラットで反射する屋外光の方が強く、この反射した屋外光によって屋内から来る(屋内の光景を構成する)光が隠蔽される。一方、スラットで反射される屋内光は屋外から入射する(屋外の光景を構成する)光よりも弱い為、屋外の光景を隠蔽しない。
また、スラット角βが30°のときでは、水平方向透視性よりも日射に大きな透過率を適用できる。これは、半透明体に比べて、屋外から屋内への外視線Voは遮断して、屋内から屋外への内視線Viはある程度確保しつつ、日射はより確保できることを意味する。
なお、表2で示した、スラット角βが0°、−60°、120°のときは、本発明のブラインド10は、半透明体と同様の調整機能を発揮することができる。
また、図5(b )で例示するような、スラット角βが−30°で、凹凸面2sが屋内側で天方向を向いたときも同様である。この場合、日射が凹凸面2sに入射すると一部反射して、反射光としても日射を取り込むことができる。また、透明調光体1からなるスラット間に生じる隙間の寄与分としての内視線Vi及び外視線Voの水平視が生じる。
このように、本実施形態においては、透過率異方性を有する透明調光体1をスラットに適用したブラインド10とすることで、日射の取り込み調整と、ブラインドをとしての屋内と屋外間の透視性調整との関係について、透過率異方性を有さない従来のスラットでは得られない、新しい関係の調整機能が得られる。
《変形形態》
本発明においては、ブラインド10は、上述した形態以外の形態を適宜採用することができる。
〔透明調光体1:機能層〕
透明調光体1は、透明調光体1の透過率の角度依存性(即ち、異方性)によるブラインド10の内外視線及び日射の調整機能を阻害しない範囲内で、機能層を有していてもよい。機能層は、例えば、所定の色に着色するための着色層、着色模様を付与する着色模様層、表面を保護する表面保護層、結露防止層、汚染防止層、電磁波遮蔽層などである。これらには、公知の層を用いることができる。これらの機能層によって、その機能層が有する機能を付与することができる。また、これらの機能層は、単層で複数の機能を兼用することができる。
機能層を設ける位置は、透明調光体1の凹凸面2sとは反対側の面、透明調光体1の層内部、凹凸面2sの側の面、のうちの1以上である。ブラインド10としての機能を阻害しない為、着色、遮光、或いは光の反射性を持つ機能層を透明調光体1の一部分に局在化させることが好ましい。
〔透明調光体1:外形形状〕
透明調光体1の外形形状は、本実施形態においては、直方体形状をした長物形状であった。しかし、本発明においては、透明調光体1の外形形状は、これに限定されない。ブラインド10の用途、形態に応じた、各種形状、例えば、従来公知の各種形態のブラインドに応じた外形形状をとり得る。
例えば、透明調光体1の外形形状は、凹凸面2sの包絡面が曲面となるような断面が湾曲した長物形状でもよい。透明調光体1の断面を、湾曲した長物形状とすることで、厚みを薄くしつつ機械的強度を増やし重力によって変形しにくくすることができる。また、透明調光体1は凹凸面2sの包絡面が三次元曲面となるような曲面を有する外形形状でもよい。
〔ブラインド10自体における変形形態〕
本発明によるブラインド10は、透明調光体1を備えていれば、透明調光体1以外の構成要素については、従来公知の各種ブラインド形態を採用することができる。
例えば、前記実施形態で説明したような、透明調光体1をスラットとして備える形態では、複数のスラットのスラット角βを調整する機構、複数のスラットを纏め上げる機構などである。
また、図6で例示する変形形態のように、透明調光体1を備えるブラインドが、一対の透明板5で挟まれる空間内に配置されている構成のブラインド10としてもよい。同図では、一対の透明板5で挟まれる空間内に、前記実施形態で説明したような、複数の透明調光体1をスラットとして備えるブラインドが配置された構成のブラインド10を示してある。
こうした構成とすることによって、凹凸面2sを有する透明調光体1からなるスラットの、凹凸面2sを埃や塵などで汚れにくくすることができる。一対の透明板5としては、特に制限はないが、例えばガラス板を用いることができる。
〔透過率異方性による効果応用〕
前記実施形態では、透明調光体1が示す透過率異方性で得られる効果の一例として、水平方向透視性及び日射取り込みに対する調整機能について、ブラインド10が備える複数のスラットのスラット角βとの関係で説明した。しかし、本発明においては、ブラインド10は、それが備える透明調光体1が従来の透過率異方性を示さないブラインドに対して、透過率異方性を示すが故の効果が得られるものであればよい。
《用途》
本発明によるブラインド10の用途は、その透明調光体1による日射及びブラインドをとおしての透視性の調整機能を活用できる用途であれば、特に制限されない。例えば、本発明によるブラインド10の用途は、建築物及び乗り物の窓、扉、天窓などの開口部、屋内の間仕切、或いは、植物栽培工場の太陽光採光部などである。
1 透明調光体
2 透明基材
2a 基材本体部
2b 凹凸面形成部
2s 凹凸面
2se 凹凸面の包絡面
3 金属膜
3s 凹凸膜面
4 微小突起
4G 微小突起群
4p 極大点
5 透明板
10 ブラインド
Dave 平均突起間距離
L 光
Ls 太陽光(日射)
Vi 内視線
Vo 外視線
α 入射角
β スラット角
λmin 可視光の最短波長

Claims (2)

  1. 透明調光体をスラットとして備えるブラインドであって、
    前記透明調光体は、透明基材と、
    前記透明基材の少なくとも一方の面に形成された凹凸面と、
    前記凹凸面上に前記凹凸面に沿うように形成された金属膜とを有し、
    前記凹凸面は、複数の微小突起の集合体である微小突起群によって形成されたモスアイ構造であり、前記微小突起の平均突起間距離Dave180nm以上300nm以下、前記微小突起の平均突起高さ150nm以上、前記微小突起のアスペクト比0.5〜2.0であり、
    前記金属膜は、厚み5nm以上80nm以下であり、
    前記スラットの傾きによって、前記スラットを通して入射する日射の取り込みに関する光の透過率と、前記日射とは入射角の異なる屋内および屋外間の透視性に関する光の透過率とが異なる状態となる、
    ブラインド。
  2. 請求項1に記載のブラインドが一対の透明板で挟まれる空間内に配置されている、ブラインド。
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