次に、本発明に係る使い捨ておむつの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
図1は、本実施形態に係る使い捨ておむつ10の展開平面図である。図2は、図1に示したF1-F1線に沿った使い捨ておむつ10の断面図である。図3は、図1に示したF2-F2線に沿った使い捨ておむつ10の断面図である。図1に示す展開平面図は、使い捨ておむつを構成するトップシート50、サイドフラップ70等の皺が形成されない状態まで、レッグ伸縮部75及びレッグサイドギャザー80の弾性部材71を伸長させた状態の図である。
使い捨ておむつ10は、前胴回り域20と、股下域25と、後胴回り域30とを有する。前胴回り域20は、着用者の前胴回り部(腹部分)と接する部分である。また、後胴回り域30は、着用者の後胴回り部(背部分)と接する部分である。股下域25は、前胴回り域20と後胴回り域30との間に位置する。
また、使い捨ておむつ10には、一対の脚回り開口部35が形成される。脚回り開口部35は、使い捨ておむつの製品幅方向の側端部に設けられており、使い捨ておむつが着用者に着用された状態で、着用者の脚回りに沿って配置される部分である。
なお、本実施形態では、前胴回り域20から後胴回り域30に向かう方向を製品長手方向Lと呼び、製品長手方向Lと直交する方向を製品幅方向Wと呼ぶ。
使い捨ておむつ10は、股下域25を跨ぎ、かつ股下域25から前胴回り域20及び後胴回り域30のうち少なくともいずれか一方に向かって延びる吸収体40を備える。吸収体40は、吸収性コア40aとコアラップ40bとによって構成される。
吸収性コア40aは、従来の使い捨ておむつと同様であり、粉砕パルプや高吸収ポリマーなど、公知の部材や材料を用いて適宜構成することができる。吸収性コア40aは、シート状のコアラップ40bによって包まれている。
コアラップ40bは、吸収性コア40aを被覆するシートである。コアラップ40bの少なくとも肌面側の一部は、透液性を有する各種の繊維不織布もしくはティッシュシートによって構成される。例えば、質量約10〜30g/m2のエアースルー繊維不織布、スパンボンド不織布、SMS(スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド)不織布、または質量約10〜30g/m2のティッシュシートを用いることができる。
吸収体40の表面側(肌当接面側)には、液透過性のトップシート50が備えられる。また、吸収体40の裏面側(非肌当接面側)には、液不透過性のバックシート60aが備えられる。
吸収体40の製品幅方向Wにおける側縁部には、サイドフラップ70がそれぞれ備えられる。サイドフラップ70は、1枚または2枚以上の複数枚重ねた不織布によって構成されている。また、一対のサイドフラップ70には、ファスニングテープ90がそれぞれ備えられる。
ファスニングテープ90は、後胴回り域30において、製品幅方向Wに沿って延び、前胴回り域20の非肌当接面に止着されることにより、使い捨ておむつ10を着用者の身体に保持する。
ターゲット部95は、前胴回り域内の非肌当接面に配置され、一対のファスニングテープ90がそれぞれ止着するように構成されている。
本実施形態において、前胴回り域20、後胴回り域30、及びファスニングテープ90によって胴回り保持部が構成される。後胴回り域30の胴回り保持部は、ファスニングテープ90の係合部材が設けられた領域から幅方向に延びる範囲である。前胴回り域20の胴回り保持部は、ターゲット部95が設けられた領域から幅方向に延びる範囲である。
また、使い捨ておむつ10は、股下域25の吸収体に重なる領域に配置された形成され、製品長手方向Lに伸縮可能なクロッチ伸縮部200を備えている。具体的には、クロッチ伸縮部200は、股下域25に配置されている。なお、クロッチ伸縮部200の構成については、後述にて詳細に説明する。
吸収体40の表面側(トップシート50側)は、脚回り開口部35の周囲に形成され、製品長手方向Lに伸縮可能な一対のレッグ伸縮部75が備えられる。
レッグ伸縮部75は、製品長手方向Lにおいて、クロッチ伸縮部200よりも長いと共に、製品幅方向Wにおいて、クロッチ伸縮部200よりも外側に備えられている。
レッグ伸縮部75は、脚回り開口部35を製品長手方向に伸縮できるように構成されていればよく、脚回り開口部35に沿って配置されていてもよいし、一部が脚回り開口部35に対して傾斜した状態で配置されていてもよい。
また、レッグ伸縮部75は、伸縮性シート等によって実質的に製品長手方向に収縮する部分であり、収縮力が発揮されない状態で伸縮性シートが配置された部分を除く概念である。なお、レッグ伸縮部75の構成については、後述にて詳細に説明する。
また、一対のレッグ伸縮部75の内側(製品幅方向Wにおける中央寄り)には、製品長手方向Lに沿って延びる一対のレッグサイドギャザー80が備えられる。レッグサイドギャザー80は、サイドフラップ70の製品幅方向の内側端部に設けられており、レッグ伸縮部75よりも製品幅方向内側に配置される起立性の伸縮ギャザーである。レッグサイドギャザー80は、レッグ伸縮部75よりも製品幅方向内側に配置されている。レッグサイドギャザー80は、従来において周知の構成を採用することができ、具体的には、サイドフラップ70と別のシート材によって構成されていてもよい。
サイドフラップ70は、製品幅方向における内側端部において表面シート側に折り返されており、2層積層されている。この2層のサイドフラップ70間に、長手方向に伸長された状態で弾性部材71(図2参照)が設けられている。このサイドフラップ70と弾性部材71とでレッグサイドギャザー80が形成される。
レッグサイドギャザー80は、トップシート50又はバックシート60aに接合される接合部分81と、弾性部材が配置された自由端部分82とを有する。自由端部分82のうち、股下域25を含む長手方向中央部分は、弾性部材71によって製品長手方向に収縮し、収縮部84を構成する。レッグサイドギャザー80は、着用時には接合部分81を基端部として立ち上がり、自由端部分82の収縮部84が頂点部として着用者の肌と接触する。すなわち、接合部分は、レッグサイド伸縮部の立ち上がりの基端部となる。
なお、収縮部84は、弾性部材71によって実質的に製品長手方向に収縮した部分であり、収縮力が発揮されない状態で弾性部材71が配置された部分を除く概念である。また、図2に、レッグサイドギャザーにおいて、サイドフラップ70とトップシート50(又はバックシート60a等)とが接合された接合部分81に斜線を付して示す。
接合部分81は、複数設けられており、第1接合部分81Aは、収縮部84よりも製品長手方向外側に配置され、第2接合部分81Bは、収縮部84よりも製品幅方向外側に配置されている。よって、レッグサイドギャザー80は、股下域25を含む製品長手方向の中央部分が着用者側に立ち上がるように構成される。
レッグサイドギャザー80の接合部分81のうち、収縮部84よりも製品長手方向外側に配置されている第1接合部分81Aは、トップシート50に接合される。
レッグサイドギャザー80の接合部分81のうち、収縮部84よりも製品幅方向外側に配置されている第2接合部分81Bは、製品幅方向Wにおいて、クロッチ伸縮部200とレッグ伸縮部75との間に配置される。第2接合部分81Bは、製品長手方向の全長にてバックシート60a(及び一部において外装シート60)に接合される。なお、バックシート60aは、吸収体40と外装シート60との間に配置されており、防漏シートとして機能する。
レッグサイドギャザー80の接合部分81のうち、収縮部84よりも製品長手方向外側に配置されている第1接合部分81Aは、トップシート50に接合される。
なお、レッグサイドギャザー80の接合部分81は、種々の構成を採用できる。接合部分は、例えば、製品長手方向に股下部から前胴回り域及び後胴回り域に延び、トップシートに接合される部分であってもよいし、吸収性コア40aよりも幅方向外側において液不透過性のバックシートや外装シートに接合される部分であってもよく、起立の基端部となるように構成される。
また、レッグサイドギャザーは、レッグ伸縮部よりも製品幅方向内側に配置される起立性のギャザーであればよく、上記構成に限定されず、従来において周知のレッグサイドギャザーの構成を採用できることは勿論である。
また、製品幅方向における一対のファスニングテープ間には、製品幅方向に伸縮可能な腰回り伸縮部85が設けられている。腰回り伸縮部85は、ファスニングテープ間を幅方向に収縮する。
本実施形態において、腰回り伸縮部85は、伸縮性シートによって構成されている。腰回り伸縮部85を構成する部材については、特に限定されないが、出来る限り薄くて曲げ剛性が低く、幅入り率が小さいものを用いることが好ましい。曲げ剛性を低い材料によって腰回り伸縮部85を構成することにより、腰回り伸縮部85が身体に沿って曲がりやすくなり、着用者の身体に負荷をかけずに腰回り伸縮部85を身体に沿わせてフィットさせることができる。また、幅入りが小さい材料によって腰回り伸縮部85を構成することにより、使い捨ておむつが製品幅方向に伸長した場合における使い捨ておむつの製品長手方向の収縮を抑制し、着用者の腰回りにおいて使い捨ておむつが股下側に引き下がることを抑制できる。
本実施形態では、腰回り伸縮部85として、目付けが20〜45g/m2の伸縮性フィルムを用いた。
腰回り伸縮部85は、非伸長状態(自然状態)における長さの1.5〜2.5倍に引き延ばされた後、ホットメルト接着剤又は加熱処理等によって外装シート60に接着される。
本実施の形態では、腰回り伸縮部85は、外装シート60とバックシート60aとの間に配置されている。しかし、コアラップ40bが吸収性コア40aよりも製品長手方向外側に延出する構成にあっては、腰回り伸縮部85は、コアラップ40bと、バックシート60a又は外装シート60と、の間に配置されていてもよい。腰回り伸縮部の位置は、特に限定されない。が、好ましくは、吸収体40よりも非肌当接面側に配置される。また、吸収体が配置されない領域にあっては、サイドフラップ70と、バックシート60a又は外装シート60と、の間に配置されていてもよい。
なお、本実施の形態に係る腰回り伸縮部は、製品幅方向に伸縮するように構成されているが、腰回り伸縮部が製品幅方向と製品長手方向に伸縮するように構成されていてもよい。
後胴回り域の吸収体40には、吸収体の他の部位よりも目付けが低い、または吸収性コア40aが存在しない低剛性領域としての切欠き110が設けられている。切欠き110は、吸収体40の後胴回り域側の端部の製品幅方向中央から前胴回り域側に向かって徐々に製品幅方向の長さが短くなる形状である。より具体的には、使い捨ておむつの平面視においてくさび形状である。また、吸収性コア40aの切欠き110との境界は、製品幅方向Wの中心に向けて凸となるような円弧で形成される。切欠き110よりも製品幅方向外側の吸収体40は、後胴回り域側の端部に向けて凸となる台形形状である。
切欠き110の一部は、使い捨ておむつの平面視において、腰回り伸縮部85と重なって配置されている。なお、本実施形態では、腰回り伸縮部85は、切欠き110の一部と重なって配置されているが、腰回り伸縮部85の全てと切欠き110が重なって配置されていてもよい。
このような切欠き110が形成されていることにより、腰回り伸縮部85の伸縮を阻害せず、腰回り伸縮部85が収縮しても、切欠き110が狭まり、切欠き110よりも製品幅方向両側の吸収体間の間隔が狭くなるため、吸収体40が意図しない形状で隆起し難くなる。なお、切欠き110は、排泄物の漏れ防止を考慮すると、腰回り伸縮部85の幅より狭いことが好ましい。
また、腰回り伸縮部85によって吸収体40が製品幅方向Wにおいて収縮させられて、切欠き110よりも製品幅方向両側の吸収体間の間隔が狭くなると、切欠き110の後胴回り域30側の端部寄りの部位が股下域25寄りの部位よりも大きく製品幅方向W中央に寄せられるため、後胴回り域30側の部位と股下域25寄りの部位とでは製品幅方向Wにおける収縮量の差が発生し、後胴回り域30が起立するようになる。
すなわち、製品幅方向Wに伸縮可能な腰回り伸縮部85とくさび状の切欠き110とを有するため、使い捨ておむつ10の装着時に、非肌面側に使い捨ておむつ10が膨らむカップ形状が形成され易い。
また、本実施形態では、切欠き110には、吸収性コア40aが存在せず、切欠き110と重なるように腰回り伸縮部85が存在するため、製品長手方向Lにおける後胴回り域30側の端部寄りの部位が吸収性コア40aの端部位置よりも大きく製品幅方向W中央に寄せられ、後胴回り域30の立ち上がりがより顕著になるため、カップ形状をより安定して形成し得る。
本実施形態では、腰回り伸縮部85は、吸収性コア40aの製品幅方向Wにおける側縁を超えて存在するため、使い捨ておむつ10をカップ形状に形成しつつ、製品長手方向Lにおける後胴回り域30側の端部側より位置の吸収性コア40aについては着用者の体に積極的に沿わせることができる。さらには、腰回り伸縮部85及び切欠き110の少なくとも一部は、一対のファスニングテープ90から幅方向に延びる領域に存在する。よって、使い捨ておむつ10を下に敷いて着用者を寝かせた状態で使い捨ておむつ10を装着する際でも、吸収性コア40aの製品幅方向Wにおける側縁を超えて存在する腰回り伸縮部85が着用者の身体の下に敷かれない。したがって、ファスニングテープ90を引っ張ることによって腰回り伸縮部85の側縁が伸長し、カップ形状のウエスト側より位置をより確実に体に沿わせることが容易となる。
本実施形態では、切欠き110よりも製品幅方向外側の吸収性コア40aが、後胴回り域側に向かって凸形状である。このため、上述したように非肌面側に使い捨ておむつ10が膨らむカップ形状が形成され易くすることに加え、吸収性コア40aの表面面積が維持されるため、吸収性コア40a端部からの排泄物の漏れを防止し得る。
本実施形態では、切欠き110はくさび状であり、吸収性コア40aの切欠き110との境界は、股下域25に向けて凸となるような円弧である。なお、円弧の半径は50mm〜200mmである。このため、切欠き110の製品幅方向Wにおける幅は、製品長手方向Lにおける後胴回り域30側の端部に行くに連れて非線形に大きくなり、後胴回り域30の立ち上がりがより顕著になるため、カップ形状をより安定して形成し易い。さらに、吸収性コア40aの切欠き110との境界が股下域25に向けて凸となるような円弧であるため、切欠き110の収縮によって後胴回り域30が丸みのあるカップ形状となり、着用者の丸みのある臀部に沿い易い形状となる。
また、切欠き110が形成されていることで、吸収体40の後胴回り域側の端部には、左右それぞれに後回り域側に向かう凸形状が形成されている。この吸収体形状は、おしりを載せることを想起させるため、より使用者がおむつを着用者にとって正しい位置に合わせやすくなるという効果がある。
本実施の形態における曲げ剛性は、テーバー法(JISP8125)に準拠した剛性値に基づいており、以下の方法によって測定される。まず、使い捨ておむつを展開状態にて、曲げ剛性の測定対象部分のサンプル(例えば、吸収体)を採取する。サンプルは、測定対象部分について、製品幅方向の長さ70mm×製品長手方向38mmの寸法とする。サンプル中に伸縮弾性部材が含まれる場合には、弾性部材を取り除いておく。なお、剛性値の測定の試験器は、(株)安田精機製作所製のテーバースティフネステスターを使用する。また、サンプル数は、10であり、各サンプルについて測定し、その平均値を剛性値とする。
測定の手順は、以下の(a)〜(e)の通りである。
(a)採取したサンプルの厚み(A)を測定する。
(b)次いで、試験機のチャック(下側)の中心に触れる程度にサンプルを挟み込む。
(c)支持ローラとサンプルとの左右隙間の合計を(A)×0.80(mm)に調節する。
(d)指示荷重目盛が最大目盛りの15〜85%の範囲に入るように、補助おもりを適切に選択する。
(e)サンプルを左右両方向に回転させ、15度支持刻線と振り子の中心刻とが一致した点で停止させ、試験機の目盛りを読み取る。目盛りの左側の数値を(B)とし、目盛りの右側の数値を(C)とする。
剛性値は、以下の式によって求められる。
式: 剛性値(mN・m)=(((B)+(C))/2)×(補助おもり係数)×9.81×10-2
なお、試験片の幅が38mmを採取できない場合には、38mm幅の曲げモーメントへ換算を行う。
このように測定した剛性値が高いほど、曲げ剛性が高く、剛性値が低い程、曲げ剛性が低くなる。
ファスニングテープ90は、後胴回り域30に対応するサイドフラップ70の領域に取り付けられている。ファスニングテープ90は、サイドフラップ70に連結された基材シート91と、複数の係合部材としての係合フック(図示せず)が設けられ、基材シート91に固定されたフックシート92と、を備える。フックシート92は、係合部材が設けられた領域であり、上述の胴回り保持部は、フックシート92から幅方向に延びる領域である。
フックシート92は、基材シート91に固定、具体的には接合されている。フックシート92と基材シート91との接合は、ファスニングテープ90の剛性が必要以上に高くなることがないようされていることが好ましい。具体的には、フックシート92と基材シート91とは、点状、線状或いはスパイラル状のような間欠的に塗布されたホットメルト接着剤によって接合されていることが好ましい。なお、フックシート92と基材シート91とは、熱シールなどで接合されてもよい。
基材シート91は、1枚または2枚以上の複数枚重ねた不織布によって構成されている。基材シート91としては、スパンボンド(SB)またはスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)などの製法によって製造された不織布を用いることができる。基材シート91を構成する不織布の目付け(複数枚の場合は合計目付け)は、30〜120g/m2であり、好ましくは40〜90g/m2である。
ターゲット部95は、前胴回り域の外装シート60の非肌当接側の面に設けられている。ターゲット部95は、ファスニングテープの係合フックが引っ掛かるように構成されており、フックとループの係止システムのループとして機能する。ターゲット部としては、例えば、エアースルー不織布を用いることができる。
ターゲット部95は、例えばポリオレフィン系の熱可塑性合成樹脂繊維から作られた繊維不織布またはポリオレフィン系の熱可塑性合成樹脂フィルムを用いることができる。また、ターゲット部に取り付けられたループは、ポリオレフィン系の熱可塑性合成樹脂によって形成できる。
更に、ターゲット部95として、嵩高の不織布であって、その一部をエンボスすることで不織布表面の毛羽立ちを防止した不織布を用いてもよい。
また、使い捨ておむつの外装シート60を不織布によって形成し、ファスニングテープ90の取り付け位置を示す図柄をバックシート60a又は外装シート60の非肌当接側の面に印刷する、若しくは図柄のシートをバックシート60a又は外装シート60の非肌当接側に配置することによってもターゲット部とすることができる。
レッグ伸縮部75は、吸収体40よりも製品幅方向外側に設けられた脚回り開口部35に沿って配置され、製品長手方向Lに伸縮可能に構成されている。脚回り開口部35及びレッグ伸縮部75は、幅方向における位置が股下域において最も内側に位置する幅方向内端領域75Iを有している。脚回り開口部35及びレッグ伸縮部75は、特に後胴回り域において、股下域25から製品長手方向外側に向かうにつれて製品幅方向外側に向かって延びている。なお、レッグ伸縮部75の幅方向内端領域75Iは、製品長手方向に連続して配置されていてもよいし、製品長手方向に連続していなくてもよい。本実施の形態では、脚回り開口部35の幅方向における位置が股下域において最も内側に位置する領域は、レッグ伸縮部75の幅方向内端領域75Iと一致しているが、必ずしも一致していなくてもよい。
本実施の形態のレッグ伸縮部75は、伸縮性シートによって構成されている。例えば、かかる伸縮性シートとしては、ウレタンやスチレンのような熱可塑性エラストマ樹脂を溶融しフィルム状とした伸縮性フィルムや、伸縮繊維からなる伸縮性不織布や、伸縮性フィルムや伸縮性不織布に部分的に切断され又は脆弱化された非伸張性シートを張り合わせた複合シート等を用いることができる。
また、かかる伸縮性シートの代わりに、ポリウレタン弾性繊維や天然ゴムからなる糸状・帯状の弾性部材を、1本又は複数本配置することによってレッグ伸縮部75を構成してもよい。
レッグ伸縮部75は、サイドフラップ70と外装シート60との間に配置されている。或いは、吸収体40と外装シート60との間に配置されるバックシート60aが備えられる領域では、レッグ伸縮部75は、バックシート60aとサイドフラップ70との間に配置されている。
レッグ伸縮部75を構成する伸縮性シートは、少なくとも股下域25において、幅5mm(使い捨ておむつ10の自然状態における製品幅方向Wにおける幅)以上45mm以下、より好ましくは、12.5mm以上35mm以下であることが好ましい。5mm未満では、実質的に面で着用者の脚回りに沿うことで、部分的に締め付ける力が集中せずに、弾性要素による肌への負荷を下げるという効果が発現せず、45mmを超えると、使い捨ておむつ全体の製品幅方向の長さと比較して脚回りに沿う領域が広くなり過ぎてしまい、伸縮性シートが着用者の身体側に巻き込んだり、めくれたりし易くなってしまう。
レッグ伸縮部75の伸長率は、1.6〜2.3倍であることが好ましい。本実施形態では、レッグ伸縮部75の伸長率は、1.8〜2.0倍に設定される。なお、伸長率とは、レッグ伸縮部の伸長の程度を意味し、以下のように規定される。
伸長率=(伸長状態のレッグ伸縮部の長さ)÷(自然状態のレッグ伸縮部の長さ)
なお、本明細書において、かかる伸長率は、例えば、次のように測定されるものとする。
第1に、使い捨ておむつ10がパッケージ等に封入されている場合には、パッケージから使い捨ておむつ10を取り出す。次いで、レッグ伸縮部の配置領域を切り出す。このとき、レッグ伸縮部に接合される外装シートも含めて切り出す。切り出した後のレッグ伸縮部のサンプルの伸長率を測定して、レッグ伸縮部の伸長率を計測する。
各サンプルについて、20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において60分間放置し、伸縮方向に沿ってレッグ伸縮部の長さを測定する。この長さを、「自然状態のレッグ伸縮部の長さ」とする。
第2に、かかる状態(すなわち、自然状態)における所望領域の伸縮方向における長さ、及び、自然状態から弾性部材による皺が非伸縮性シート上に目視にて確認できない状態まで延伸した時の所望領域の伸縮方向における長さを測定する。この長さを、「伸長状態におけるレッグ伸縮部の長さ」とする。
これら測定結果を用い、上述の式にて算出することで伸長率が測定される。
また、左右一対のレッグ伸縮部75の製品幅方向Wにおける内側端の間隔は、股下域25から前胴回り域20に向かうに連れて広くなるとともに、股下域25から後胴回り域30に向かうに連れて広くなる。着用者の体におむつを装着する場合、股下部にて狭く、前後の胴回りに向かって広がる形状にレッグ伸縮部を配置することで、よりレッグ伸縮部が身体のラインに沿うことが可能となり、着用者の脚回りに好適にレッグ伸縮部が伸長配置されることとなる。
さらに、左右一対のレッグ伸縮部75の前胴回り域20の端部における当該間隔(図中のD1)は、左右一対のレッグ伸縮部75の後胴回り域30の端部における間隔(図中のD2)よりも狭い。なお、当該間隔は、使い捨ておむつ10を自然状態からしわがない状態に製品長手方向L及び製品幅方向Wに拡幅して保持した後、左右一対のレッグ伸縮部75の製品幅方向Wにおける内側端間の距離を測定したものである。
着用者の身体の皮膚表面の伸びは、臀部において特に大きく、その幅方向外側寄りの位置にて顕著である。また、レッグ伸縮部75は、着用者の身体に密着している。そこで、D2>D1とすることで、着用者の動きが使い捨ておむつ10に加わった場合でも、臀部側でのレッグ伸縮部75が密着したまま伸びることができ、伸びの変化量が大きくてもレッグ伸縮部75が突っ張ることがない。従って、レッグ伸縮部75による使い捨ておむつ10のズレを抑制し得る。
また、着用者の両脚の間隔は、股下域が最も狭く、股下域から腹側や背側に向かって広がる形状である。脚回り開口部及びレッグ伸縮部75は、股下域から長手方向外側に向かって幅方向外側に向かって延びる形状であるため、着用者の脚繰りに沿って脚回り開口部及びレッグ伸縮部75を配置でき、局所的な応力集中を抑制できるため、比較的低い伸長率にて着用者に密着でき、肌への負担を減らすことが可能となる。
レッグ伸縮部75は、着用者の脚回りに沿って使い捨ておむつを湾曲させて収縮するように構成されている。レッグ伸縮部75の製品長手方向端部は、幅方向に広がるように配置されており、胴回り保持部の近傍に配置される。よって、レッグ伸縮部75の製品長手方向端部は、胴回り保持部と共に幅方向に収縮するように作用する。レッグ伸縮部が配置されたレッグ配置領域には、レッグ伸縮部の伸縮方向に沿う目印部31が設けられている。目印部については、後述にて詳細に説明する。
次に、クロッチ伸縮部200の形状について説明する。クロッチ伸縮部200は、吸収体40の他の部分よりも、使い捨ておむつの着用時において股下域の一部に平坦な形状を維持できるように構成されている。クロッチ伸縮部200は、少なくとも製品長手方向Lまたは製品幅方向Wに伸縮可能に構成されている。
クロッチ伸縮部200は、レッグ伸縮部75とは個別独立して設けられており、吸収性コア40aと重なる位置(本実施形態では、吸収性コア40aを包むコアラップ40bとバックシート60aとの間の位置)において、当該重なる位置における吸収性コア40aの幅方向の長さの60%以上を収縮させるように構成されている。このように、クロッチ伸縮部200によって吸収性コア40aが配置された部分を収縮させることにより、吸収性コア40aが縮み、吸収性コア40aが縮まない部分と比較して平坦な形状を維持し易くなる。
一方、クロッチ伸縮部200よりも製品長手方向外側に位置する前胴回り域や後胴回り域に位置する吸収性コア40aは、クロッチ伸縮部200によって収縮していない。したがって、ファスニングテープにより、着用者の腰・ウエスト周りに保持された状態において、使い捨ておむつの股下部に平坦な形状で維持されるクロッチ伸縮部200が過度に身体に密着することなく、結果、クロッチ伸縮部200が適度に身体に沿って配置される。
また、クロッチ伸縮部200が、製品長手方向Lに沿って伸縮可能である場合、前胴回り域20及び後胴回り域30が、クロッチ伸縮部200の収縮によって立ち上がり易くなり、着用時には、着用者の股部にて身体に沿って平坦な股下域を形成することができる。
その結果、クロッチ伸縮部200から前胴回り域20及び後胴回り域30が立ち上がるので、使い捨ておむつ10の着用者へのフィット性が向上する。
すなわち、クロッチ伸縮部200の収縮によって、使い捨ておむつ10の股下域25が、着用者の股下部に配置されるように、安定して使い捨ておむつ10を装着することができる。
クロッチ伸縮部200は、伸縮性シートによって構成されることが好ましい。
伸縮性シートによってクロッチ伸縮部200を構成することにより、伸縮性シートを配置した領域の吸収性コア40aが一様に縮められ、平坦な形状維持がより容易になる。なお、伸縮性シートは、例えば、レッグ伸縮部75と同様の伸縮性シートによって構成することができる。
また、かかる伸縮性シートの代わりに、ポリウレタン弾性繊維や天然ゴムからなる糸状・帯状の弾性部材を、複数本配置することによってクロッチ伸縮部200を構成してもよい。この場合、クロッチ伸縮部200によって吸収性コア40aを一様に縮めるためには、弾性部材同士の間隔を7mm以下、より好ましくは5mm以下であるとよい。また、吸収性コア40aを一様に縮めるために、隣り合う弾性部材の間隔の差は、2mm以下であることが望ましい。
また、クロッチ伸縮部200の伸長率は、具体的には、1.2倍以上、1.8倍以下であることが好ましい。本実施形態では、クロッチ伸縮部200の伸長率は、1.4倍に設定される。伸長率は、クロッチ伸縮部200の伸縮方向(製品長手方向L)における伸長の程度を意味し、以下のように規定される
伸長率は、伸縮方向(本実施形態では、製品長手方向L)におけるクロッチ伸縮部200の伸長の程度を意味し、以下のように規定される。
伸長率=(最大伸張状態におけるクロッチ伸縮部200の伸縮方向における長さ)/(自然状態におけるクロッチ伸縮部200の伸縮方向における長さ)
なお、本明細書において、かかる伸長率は、例えば、次のように測定されるものとする。
第1に、使い捨ておむつ10がパッケージ等に封入されている場合には、パッケージから使い捨ておむつ10を取り出し、その状態にて20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において60分間放置し、伸縮方向に沿ってクロッチ伸縮部の長さを測定する。この長さを、「自然状態におけるクロッチ伸縮部200の伸縮方向における長さ」とする。
第2に、かかる状態(すなわち、自然状態)における所望領域の伸縮方向における長さ、及び、自然状態から弾性部材による皺が目視にて確認できない状態まで延伸した時の所望領域の伸縮方向における長さを測定する。この長さを、「最大伸張状態におけるクロッチ伸縮部200の伸縮方向における長さ」とする。
これら測定結果を用い、上述の式にて算出することで伸長率が測定される。
このように、クロッチ伸縮部200の伸長率を、1.2倍以上1.8倍以下とすることによって、着用者の皮膚の伸縮に好適に追従することができる。
例えば、着用者が、身体前側が縮むような前屈みの姿勢をとると、着用者の臀部側の皮膚において、身体を伸ばした状態に対して30%程度伸びる部位が存在する。
つまり、クロッチ伸縮部200の伸長伸縮率を1.2倍以下とすると、自然状態におけるクロッチ伸縮部200の収縮が十分でなく、クロッチ伸縮部200が設けられていない場合と比較して、使い捨ておむつ10の股部における吸収体領域の収縮が小さく、着用者の股部において、身体に沿うように平坦な形状をとる事が不十分になってしまう。
一方、クロッチ伸縮部200の伸長率を1.8倍よりも大きくすると、クロッチ伸縮部200の収縮方向における収縮寸法が大きくなり過ぎるため、クロッチ伸縮部200が存在する領域が、身体に沿うよりも密着する状態となり易く、使い捨ておむつ10が、着用者の下方にズレ易くなってしまう。
また、クロッチ伸縮部200の製品長手方向Lにおける収縮量は、使い捨ておむつ10の製品長手方向Lにおける長さの2〜8%となるように構成されていてもよい。
なお、収縮量は、皺が十分に小さくなり、サンプルの表面が平滑に近くなるように伸長した状態での長さ「b(mm)」と、サンプルの伸縮方向に沿う向きにおける自然状態での長さ「a(mm)」との差であり、(b-a)によって算出されることができる。
本発明者は、クロッチ伸縮部200の製品長手方向Lにおける収縮量を、使い捨ておむつ10の製品長手方向Lにおける長さの2〜8%とすると、使い捨ておむつ10を着用者に対して装着する過程において、クロッチ伸縮部200が、好ましく着用者の身体に沿い易くなることを確認することができた。
ここで、クロッチ伸縮部200の製品長手方向Lにおける収縮量を、8%より大きくすると、クロッチ伸縮部200が、縮み過ぎてしまい、使い捨ておむつ10の製品長手方向Lにおける長さが足りず、使い捨ておむつ10を着用者の身体に付け難くなったり、使い捨ておむつ10及び着用者の身体が、股下域25において、過度に密着してズレ易くなったりしてしまう。
一方、クロッチ伸縮部200の製品長手方向Lにおける収縮量を、2%以下とすると、使い捨ておむつ10を着用者の身体に近付けるというクロッチ伸縮部200の効果そのものが発現し難くなってしまう。
また、製品長手方向Lにおけるクロッチ伸縮部200の中心は、製品長手方向Lにおける使い捨ておむつ10の中心よりも、前胴回り域20側に配置されている。また、クロッチ伸縮部200は、製品長手方向Lにおける使い捨ておむつ10の中心を跨ぐように配置されている。
かかる場合、吸収性コア40aの剛性及び使い捨ておむつ10を構成する他の部材の剛性を考慮して、用いる弾性部材の太さや配置するピッチを適宜選択できるが、使い捨ておむつ10本体を自然状態(非伸張状態)とした際に、吸収性コア40aの製品幅方向Wにおける側縁部全域が収縮した状態となるようにすることが好ましい。
また、吸収体40の股下域25には、切欠き115(切欠き125)が形成される。切欠き115及び切欠き125は、吸収体40を構成する吸収性コア40aが存在しない領域である。本実施形態において、切欠き115及び切欠き125は、吸収性コア40aの目付けが吸収性コア40aの他の部分よりも低い低剛性部に該当する。なお、切欠き115及び切欠き125を形成することに代えて、切欠き115及び切欠き125の領域を、吸収性コア40aの目付けが吸収性コア40aの他の部分よりも低くするようにしてもよい。
切欠き115及び切欠き125は、クロッチ伸縮部200の製品長手方向Lにおける縁部に沿って存在する。なお、切欠き115及び切欠き125が形成されていても、前胴回り域20及び後胴回り域30に位置する吸収性コア40aと、股下域25に位置する吸収性コア40aとは、完全に切り離されることなく特に幅方向において連続していることが好ましい。
切欠き115及び切欠き125は、製品幅方向W外側に行くに連れて製品長手方向Lにおける長さが広くなっている。このような形状により、吸収性コア40aの製品幅方向W外側がより縮み易くなるため、平坦な「底部」がより容易に形成される。更には、切欠き115よりも前胴回り域20寄りに位置する吸収性コア40a、及び切欠き125よりも後胴回り域30寄りに位置する吸収性コア40aが、「底部」から立ち上がり、着用者の体(腹部および臀部)の丸みに沿うように湾曲し易くなるため、使い捨ておむつそのものの形状が着用者の体の形により近づくことができる。
また、切欠き115(切欠き125)の前胴回り域20(後胴回り域30)寄りの縁部は、円弧状である。切欠き115(切欠き125)の縁部は、円弧の中心が当該縁部よりも後胴回り域30(前胴回り域20)に位置するような形状である。このような形状により、着用者の体の丸みに沿った変形がより容易かつ顕著に起き易い。
ここで、クロッチ伸縮部200の引張係数は、レッグ伸縮部75の引張係数よりも大きくなるように構成されていてもよい。
なお、引張係数は、どの程度、各部位が伸張し易い状態にあるかについて規定する係数である。例えば、以下のような方法によって、かかる引張係数を算出することができる。
第1に、測定対象の製品(使い捨ておむつ10)から、測定対象の部位(クロッチ伸縮部200やレッグ伸縮部75)を、そのままの状態で、サンプルとして切り出す。
具体的には、クロッチ伸縮部200やレッグ伸縮部75に接合されている非伸縮性部材を含めて切り出す。ここで、吸収体が配置されている領域では、吸収体ごと切り出す。
第2に、切り出したサンプルを、引張り負荷をかけずに、自然状態にて、20℃で、60RH雰囲気下にて、60分間、放置する。
第3に、サンプルの伸縮方向に沿って、伸縮方向に直交する幅方向の中央位置に線Lを引き、自然状態での線Lの長さを測定する。この際、水平な台状にて、なるべくサンプルに負荷をかけずに線Lを引き、線Lの長さを測定する。ここで、線Lの長さを初期長さ「A」とする。
また、サンプルにおいて、なるべく長くなるように線Lを引くことが、測定誤差を小さくするためには、好ましいが、次の引張試験機のチャックに挟む部位と線Lとが重ならないようにする必要がある。
第4に、島津製作所社製オートグラフ等の引張試験機に、サンプルの伸縮方向の両端部を保持し、0.8Nの負荷がかかるまで、サンプルを伸長し、伸長時における線Lの長さを測定し、係る状態の線Lの長さ「A’」とする。
例えば、引張試験機において、引張り速度100mm/分で、サンプルの伸縮方向に沿って引っ張る(水平面に対して、垂直上方に引っ張る)。
第5に、以下の式によって、引張係数を算出する。
引張係数=(A’−A)/A
ここで、レッグ伸縮部75において伸縮可能な範囲の前胴回り域20側の端部E2は、クロッチ伸縮部200において伸縮可能な範囲の前胴回り域20側の端部E3よりも、使い捨ておむつ10の前胴回り域20側の端部E4に近接するように構成されていてもよい。
また、レッグ伸縮部75において伸縮可能な範囲の後胴回り域30側の端部E5は、クロッチ伸縮部200において伸縮可能な範囲の後胴回り域30側の端部E6よりも、使い捨ておむつ10の後胴回り域30側の端部E7に近接するように構成されていてもよい。
このように、引張係数及び端部E2〜E7の関係性を規定することによって、使い捨ておむつ10を製品長手方向Lに引っ張った場合に、レッグ伸縮部75が伸張する一方、クロッチ伸縮部200が伸張しない状態を維持することができる。
次いで、このように構成された使い捨ておむつの折り畳み態様について、説明する。使い捨ておむつは、図1に示す展開状態から、使い捨ておむつの製品幅方向両端部が製品幅方向内側に折り畳まれた後に、製品長手方向に折り畳まれるように構成されている。図5は、折り畳まれた状態の使い捨ておむつを示している。使い捨ておむつは、製品長手方向に沿った第1折り目FL1を基点に使い捨ておむつの製品幅方向両端部が、製品幅方向内側に折り畳まれる。次いで、使い捨ておむつは、製品幅方向に沿った第2折り目FL2を基点に使い捨ておむつが製品長手方向において2つに折り畳まれる。第1折り目は、展開状態においてレッグ伸縮部75よりも製品長手方向内側に配置されている。よって、展開状態において、レッグ伸縮部よりも製品幅方向内側には、使い捨ておむつの肌当接面側に第1折り目FL1による谷折りが形成される。
このように構成された使い捨ておむつを装着する際は、使い捨ておむつの肌当接面が上になるように、使い捨ておむつを展開する。そして、着用補助者は、着用者の脚を上げて、着用者の臀部相当位置に使い捨ておむつを敷き、着用者のおへその位置(高さ)に合わせて使い捨ておむつ10を着用者の臀部の下に敷く。次いで、着用補助者が、使い捨ておむつ10を製品長手方向Lに引っ張ると、クロッチ伸縮部200及び吸収体40が、着用者の身体(股下部)に近づいた後、レッグ伸縮部75が、着用者の身体(脚回り部)に近づく。次いで、着用補助者は、左右のファスニングテープ90を引っ張り、左右対称になるように係合する。このように装着することにより、使い捨ておむつを着用者に装着できる。
しかし、使い捨ておむつは、使用前の状態で製品長手方向及び製品幅方向に折り畳まれているため、展開した状態で製品長手方向及び製品幅方向に沿った折り目が形成されている。そのため、一旦使い捨ておむつを展開した場合であっても、折り目を基点に展開した部分が元の状態に折り返され、当該折り返された状態で着用者に装着してしまうことがある。
このように使い捨ておムツの一部が、身体と使い捨ておむつとの間に巻き込まれた場合には、着用補助者は、当該巻き込まれた部分を引き出し、正しい位置に配置することができる。このとき、装着補助者は、レッグ配置領域に設けられた目印部31を目安として、レッグ伸縮部の位置を直すことができる。
次いで、目印部31について詳細に説明する。目印部31は、レッグ伸縮部が配置された領域の少なくとも一部に配置されており、レッグ伸縮部と厚み方向に重なって配置されている。レッグ伸縮部と目印部31とが厚み方向に重なっているとは、レッグ伸縮部と目印部31とが当接した状態で重なっている構成のみならず、レッグ伸縮部と目印部31との間に他の部材が配置され、レッグ伸縮部と目印部31とが間接的に重なっている構成も含むものである。
目印部31は、レッグ伸縮部の伸縮方向に沿って配置されている。レッグ伸縮部の伸縮方向とは、レッグ伸縮部75の伸縮方向であり、本実施の形態では、レッグ伸縮部75の長手方向又は使い捨ておむつの製品長手方向の少なくとも一方に沿う方向である。レッグ伸縮部の伸縮方向に沿って配置されているとは、レッグ伸縮部75の長手方向又は使い捨ておむつの製品長手方向の少なくとも一方に延びる形状、又はレッグ伸縮部75の長手方向又は使い捨ておむつの製品長手方向の少なくとも一方に延びる方向に並んで配置された構成を含むものである。
目印部31は、使い捨ておむつの非肌当接面から視認可能に構成されている。具体的には、目印部31が外装シート60に設けられている場合には、外装シート60自体が使い捨ておむつの非肌当接面となるため、当該外装シート60の目印部31が視認可能であればよい。また、目印部31がバックシート60aに設けられている場合には、バックシート60aよりも非肌当接面側に外装シートが配置されているため、当該外装シート60を介して目印部31が視認可能であればよい。また、目印部31がレッグ伸縮部75に設けられている場合には、レッグ伸縮部75よりも非肌当接面側にバックシート60a及び外装シート60が配置されているため、当該バックシート60a及び外装シート60を介して目印部31が視認可能であればよい。
目印部31が設けられているため、装着補助者は、目印部31を介して、レッグ伸縮部の位置を把握し易くなる。よって、レッグ伸縮部の位置を装着後に調整すべきか否かを容易に判断できる。また、レッグ伸縮部は、一般的に使い捨ておむつの外装体を構成するシート材と同色であったり、その径や寸法が小さかったりして、目視にて把握し認し難い。更に、レッグ伸縮部が伸縮した状態では、収縮した外装体に埋もれてしまい、レッグ伸縮部自体の正確な位置を把握し難い。しかし、目印部31を設けることにより、レッグ伸縮部の位置を装着後に調整すべきか否かを容易に判断でき、かつレッグ伸縮部の位置を調整する場合にあっては、調整後に伸縮方向に沿って正しくレッグ伸縮部が配置されたことを容易に目視にて確認できる。
本実施の形態に係る目印部31は、外装シート60に設けられた花柄の目印図柄M31である。使い捨ておむつのレッグ配置領域以外の領域には、目印図柄M31と異なる図柄からなる装飾図柄M32が設けられている。装飾図柄M32は、使い捨ておむつの非肌当接面から視認可能に構成されている。目印図柄M31と装飾図柄M32は、色、大きさ、柄、模様のうち、少なくともいずれかが異なっていればよく、相似関係であってもよい。また、目印図柄や装飾図柄は、花柄や動物の図柄に限定されず、点状であってもよいし、記号であってもよいし、その構成は限定されない。
使い捨ておむつの非肌当接面から視認可能に目印図柄M31と装飾図柄M32を設けることにより、使い捨ておむつ全体として装飾効果を高めることができる。目印図柄M31は、装飾図柄M32と異なるため、着用補助者は、目印図柄を把握することができる。目印図柄は、外装シート60に設けられていなくてもよく、外装体を構成する外装シート60及びバックシート60aの少なくともいずれか一方に設けられていてもよいし、吸収体等、使い捨ておむつを構成する他の構成部材に設けられていてもよい。
なお、バックシートは、不液透過性のシートであり、伸長状態において平面視にて長方形状である。バックシート60aは、吸収性コア40aの製品幅方向における外側端部よりも製品幅方向外側に延出しており、かつ吸収性コアの製品長手方向における外側端部よりも製品長手方向外側に延出している。
バックシート60aの製品幅方向両端部は、吸収性コア40aの製品幅方向両端部よりも製品幅方向外側であって、使い捨ておむつの製品幅方向両端部(外装シート及びサイドフラップの製品幅方向両端部)よりも製品幅方向内側である。バックシート60aの製品長手方向両端部は、吸収性コア40aの製品長手方向両端部よりも製品長手方向外側であって、使い捨ておむつの製品長手方向両端部(外装シート及びサイドフラップの製品長手方向両端部)よりも製品長手方向内側である。バックシート60aの製品長手方向両端部は、レッグ伸縮部の一部に重なっている。
目印部31は、レッグ伸縮部の伸縮方向に沿って間欠的に複数設けられている。レッグ伸縮部の伸縮方向に沿って間欠的に複数設けられているため、レッグ伸縮部の伸縮方向を容易に把握することができ、レッグ伸縮部の伸び方向を脚回りに方向に沿って配置できる。
次に、本実施形態に係る吸収性物品の製造方法の一例について説明する。なお、本実施の形態において説明しない方法については、既存の方法を用いることができる。また、以下に説明する製造方法は、一例であり、他の製造方法によって製造することもできる。吸収性物品の製造方法は、構成部品形成工程と、構成部品載置工程と、脚回り形成工程と、切断工程とを少なくとも含む。
構成部品形成工程では、吸収性物品を構成する構成部品を形成する。具体的には、例えば、吸収材料を積層して吸収体40を成型したり、外装体を構成する外装シート60又はバックシート60aに目印部31を印刷したりする。
構成部品載置工程では、バックシートを構成するウェブ上に、レッグ伸縮部75を構成する伸縮性シートや、トップシートを構成するウェブ等の他のウェブ、防漏シート、吸収体等の使い捨ておむつ10を構成する構成部品を載置する。
より具体的には、レッグ伸縮部75を構成する伸縮性シートを伸長させ、更に幅方向に変位させつつ間欠ドラム上に転写し、間欠ドラム上で個々の製品長さに伸縮性シートを切断する。間欠ドラムの回転に伴って伸縮性シート同士の間隔を設け、伸縮性シートを連続するウェブ上に転写する。このようにしてレッグ伸縮部を曲線状に配置できる。
脚回り形成工程は、レッグ伸縮部75の幅方向外側端部に沿って、トップシート50、外装シート60、及びバックシート60aを切断する。これにより、着用者の脚回りに配置される脚回り開口部35が形成される。
切断工程では、トップシート50、バックシート60a、吸収体40等が配置された連続体を製品幅方向Wに沿って一製品の大きさに切断する。これにより、使い捨ておむつ10が製造される。
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
次いで、変形例に係る使い捨ておむつを、図6及び図7に基づいて説明する。なお、変形例の説明において、実施の形態と同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。図6は、変形例1に係る使い捨ておむつの展開背面図である。変形例1に係る使い捨ておむつ10Aの目印部31は、レッグ配置領域に設けられた目印図柄M31によって構成されている。
図6において左側に位置する目印図柄M31は、点状であって、レッグ配置領域の製品幅方向の外側端部に設けられている。レッグ配置領域の製品幅方向の外側端部とは、レッグ伸縮部75の幅方向中心よりも幅方向外側の領域である。目印図柄M31は、レッグ伸縮部75の幅方向外側端部の形状に沿って配置されている。レッグ配置領域の製品幅手方向の外側端部は、脚回りにおいて最も外側に配置する部分である。当該レッグ伸縮部の製品幅方向端部の位置に目印部31を設けることにより、レッグ伸縮部の位置を直した際に、レッグ伸縮部の位置が正確に直ったか否かをより容易に把握できる。
図6において左側に位置する目印図柄M31は、レッグ伸縮部の伸縮方向に沿って連続して設けられている。レッグ伸縮部の伸縮方向に沿って連続して設けられている構成とは、伸縮方向に延びる直線や曲線であり、目印部31の一部が伸縮方向に延びていればよく、それ以外の部分が伸縮方向以外の方向に延びる直線や曲線を含んでいてもよい。
レッグ伸縮部の伸縮方向に沿って連続して設けられているため、レッグ伸縮部の伸縮方向を容易に把握することができ、レッグ伸縮部の伸び方向を脚回りに方向に沿って配置できる。
図7は、変形例2に係る使い捨ておむつ10Bの展開背面図である。図7において左側に位置する目印部31は、レッグ伸縮部に着色された着色領域である。
図7において右側に位置する目印部31は、バックシートに設けられた点状の目印図柄M31によって構成されている。目印図柄M31は、バックシートの製品幅方向の端部に沿って配置されている。
バックシートは、一般的に、他の伸縮部材要素と比べて、伸長された状態で配置されていない。よって、例えば、バックシートに目印部を設け、かつ他の伸縮性部材要素に同一又は相似形状の目印部を設けた場合であっても、非伸縮状態のバックシートの目印部と、伸縮状態の伸縮性部材要素の目印部とにおいて、目印部の印象に変化を生じさせ易くなる。よって、レッグ配置領域の目印部を装着補助者等に認識させ易くできる。
なお、変形例2に係る目印図柄M31は、レッグ配置領域と、レッグ配置領域外の領域と、に設けられている。このように目印部は、レッグ配置領域のみならず、レッグ配置領域以外の領域にも設けられていてもよい。
本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。