以下、本発明の消火栓装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
図1はこの発明の一実施の形態に係る消火栓装置を示す正面図、図2はこの発明の一実施の形態に係る消火栓装置の設置状態を示す側断面図、図3はこの発明の一実施の形態に係る消火栓装置の消火栓扉開放状態を示す正面図、図4はこの発明の一実施の形態に係る消火栓装置における消火栓弁ユニットを示す上面図、図5はこの発明の一実施の形態に係る消火栓装置における遠隔開閉手段を構成する操作部を示す上面図、図6はこの発明の一実施の形態に係る消火栓装置における遠隔開閉手段を構成する受動部を説明する図であり、図6の(a)は上面図、図6の(b)は断面図である。図7はこの発明の一実施の形態に係る消火栓装置におけるインナーワイヤの張力調整手段の構成を説明する要部断面図、図8はこの発明の一実施の形態に係る消火栓装置における防滴カバーの装着状態を示す断面図である。なお、図5および図6では、説明の便宜上、ボックスのカバーを外した状態を示している。
図1から図3において、トンネルのコンクリート躯体1が車線(図示せず)に対して蒲鉾状に構築され、監視員通路2が路肩の一方に所定の高さに構築されている。監視員通路2の下部には、ダクト3が形成され、配水本管5、配水本管5から分岐する分岐管6、分岐管6に結合された接続配管7、接続配管7に接続された止水弁8などが敷設されている。消火栓装置10は、トンネルのコンクリート躯体1の監視員通路2、或いは車線(図示せず)から操作可能な壁面に凹設された箱抜き4内に設置された消火栓本体11と、ダクト3内で配水本管5から分岐する分岐管6に接続配管7および止水弁8を介して接続される消火栓弁ユニット30と、消火栓本体11側から消火栓弁ユニット30を開閉操作する遠隔開閉手段40と、を備える。
消火栓本体11は、前面に開口する直方体の箱形に作製された箱体12と、箱体12の前面を覆う前面パネル13と、からなる筐体を備えている。筐体の内部には、先端に消火用ノズル15aを有する消火用ホース15、消火用ホース15を内巻き式に収納するホースバケット16、消火器17、継ぎ部材24、各種電気機器(図示せず)などが収納されている。この箱体12は、箱抜き4の床面に固定されるベース枠14にボルト締めなどによって固定される。
ここでは、消火器17が筐体の内部の左側のスペースに収納され、残るスペースが消火用ホース収納スペースとなる。そして、継ぎ部材24は、消火用ホース収納スペースのホースバケット16の右側に配設され、消火用ホース15が接続されるとともに、供給配管である接続用ホース25が接続される。接続用ホース25は、消火用ホース15と同じ材料で作製されたホース、つまり保形ゴム引布ホースであり、消火栓弁ユニット30の継ぎ手部34(図4)と継ぎ部材24とを接続し、消火用水を消火用ホース15に供給する。
前面パネル13には、消火用ホース収納スペースに面する横長の開口部13aと消火器収納スペースに面する縦長の開口部13bが設けられている。そして、前に倒れる前倒式の消火栓扉18が横長の開口部13aに取り付けられ、横開き式の消火器扉20が縦長の開口部13bに取り付けられている。横長の開口部13aは、図3に示されるように、消火栓扉18の開放時に、消火栓扉18の上端部が、前面パネル13の下端部と略同じ高さに位置するように、前面パネル13に設けられている。なお、前面パネル13は一枚のパネルで構成されているが、例えば、左右に分割された2枚のパネルで構成されてもよい。
消火栓扉18は、下端を蝶番で連結されて、横長の開口部13aを開閉可能に前面パネル13に取り付けられている。消火栓扉18の裏面には、消火用ノズル15aと、後述する遠隔開閉手段40の操作部41とが、取り付けられている。この消火栓扉18は、例えば、磁石の磁力により閉状態が維持されており、ハンドル19を手前に引くことで磁石の磁力による結合を解き、前傾方向に回動して垂れ下がって開口部13aを開放する。
消火器扉20は、左側端部を蝶番で連結されて、縦長の開口部13bを開口可能に前面パネル13に取り付けられる。この消火器扉20は、例えば、磁石の磁力により閉状態が維持されており、ハンドル21を手前に引くことで磁石の磁力による結合を解き、開口部13bを開放し、使用者が消火器17を持って消火活動できるようになっている。
また、消火栓扉18と消火器扉20の間には、表示灯22、発信機23などが取り付けられている。
消火栓弁ユニット30は、図4に示されるように、開閉弁31と、開閉弁31の二次側に配置されて、所定圧の消火用水を供給する自動調圧弁32と、開閉弁31の二次側に配置されて、非放水時の無加圧の消火用水を排出する自動排水弁33と、接続用ホース25が接続される継ぎ手部34と、を備える。自動排水弁33は、図2に示されるように、自動調圧弁32の下部に配置されている。さらに、開閉腕36が、開閉弁31の開閉軸35に固定され、開閉軸35と供回り可能に構成されている。開閉腕36は、開閉軸35から径方向に延び出ており、後述する連結部材の一例としての連結ピン53が嵌め込まれる連結穴37が開閉腕36の先端側に形成されている(図9〜図11参照)。そして、消火栓弁ユニット30は、開閉弁31を止水弁8および接続配管7を介して分岐管6に接続され、配水本管5の分岐部に配設される。
遠隔開閉手段40は、消火栓扉18の裏面に配設された操作部41と、開閉弁31の開閉軸35を回動する受動部46と、操作部41の動きを受動部46に伝達する伝達部54と、を備える。
操作部41は、図5に示されるように、操作軸43を操作側筐体であるボックス42に軸支し、操作側プーリ44を操作軸43に固定し、開閉レバー45を操作側プーリ44に固定し、開閉レバー45の操作により、操作側プーリ44を操作軸43周りに回動可能に構成されている。開閉レバー45は、消火栓扉18の扉面と平行に回動可能に構成されている。
受動部46は、図6に示されるように、受動軸48を受動側筐体であるボックス47の底板に貫通状態で軸支し、受動側プーリ49を受動軸48のボックス47内の端部に固定し、動力伝達腕50を受動軸48のボックス47からの突出部に固定し、受動側プーリ49および動力伝達腕50が受動軸48と供回り可能に構成されている。嵌合凹部51が受動軸48のボックス47からの突出端の軸心位置に凹設されている。動力伝達腕50は、受動軸48から径方向に延び出ており、連結ピン53が嵌め込まれる連結穴52が動力伝達腕50の先端側に形成されている。
伝達部54は、アウターワイヤ55と、アウターワイヤ55内に通されたインナーワイヤ56と、から構成されている。アウターワイヤ55は、操作部41側では、アウターワイヤ55の一端部に設けられた雄ねじ部57に螺着されたナット58,59でボックス42の側壁を挟み込んで取り付けられ、受動部46側では、アウターワイヤ55の他端部に設けられた雄ねじ部60に螺着されたナット61,62でボックス47の側壁を挟み込んで取り付けられている。そして、インナーワイヤ56は、アウターワイヤ55内に通されて無端状に構成され、操作部41側で、操作側プーリ44に巻き掛けられて操作側プーリ44に固定され、受動部46側で、受動側プーリ49に巻き掛けられて受動側プーリ49に固定される。これにより、インナーワイヤ56は、アウターワイヤ55により弛みが規制され、操作側プーリ44と受動側プーリ49とに掛け渡され、操作側プーリ44の回動トルクを受動側プーリ49に伝達する。
アウターワイヤ55は、図7に示されるように、2つのアウターワイヤ片をターンバックル63により連結して構成される。ターンバックル63は、インナーワイヤ56の張力調整手段の一例であり、両端に雌ねじ部が形成された中空の胴部64と、アウターワイヤ片のそれぞれの端部に固定された中空のボルト65a,65bと、から構成され、ボルト65a,65bを胴部64の両端の雌ねじ部に螺着して構成される。そして、インナーワイヤ56が、胴部64およびボルト65a,65b内を通っている。胴部64の両端の雌ねじ部の一方は右ねじ、他方は左ねじとなっており、胴部64の回転方向を変えることで、アウターワイヤ55の長さが調整される。これにより、アウターワイヤ55の配設経路長さが調整され、インナーワイヤ56の張力が調整される。また、ボルト65a,65bには、ナット66,67が螺着されており、ナット66,67で胴部64を挟み付けることで、胴部64の位置が固定され、アウターワイヤ55の配設経路長さが維持される。
防錆カバー68は、例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM)で蛇腹状に作製され、ターンバックル63を覆うようにアウターワイヤ55に装着されている。そして、防錆カバー68は、通常時は、蛇腹部を伸ばされて、ターンバックル63を覆い、かつ両端でアウターワイヤ片に全周にわたって弾性的に接し、アウターワイヤ55を伝わってきた水などのターンバックル63への侵入や水などのターンバックル63への飛来を阻止する。また、防錆カバー68は、インナーワイヤ56の張力調整の際には、蛇腹部を縮めて、ターンバックル63を露出させ、インナーワイヤ56の張力調整作業を可能とする。
防滴カバー69は、図8に示されるように、例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM)で底部中央に貫通穴を有する椀状に作製され、開口を下方に向けて貫通穴にアウターワイヤ55を通して装着されている。防滴カバー69は、貫通穴の内周面をアウターワイヤ55に全周にわたって弾性的に接し、アウターワイヤ55を伝わってきた水などがアウターワイヤ55を伝わってさらに下降するのを阻止する。
このように構成された遠隔開閉手段40は、図3に示されるように、操作部41がボックス42を消火栓扉18の裏面に固定して消火栓扉18に取り付けられ、受動部46が開閉弁31に取り付けられ、アウターワイヤ55が操作部41から引き出され、開口部13a内に引き込まれ、消火用ホース収納スペース内を下降してダクト3内に導かれ、受動部46に連結される。そして、ターンバックル63が消火用ホース収納スペース内に配設され、防滴カバー69が、アウターワイヤ55のダクト3内の部分に複数装着される。
つぎに、遠隔開閉手段40の受動部46の取り付け方法について図9から図11を参照しつつ説明する。図9から図11はそれぞれこの発明の一実施の形態に係る消火栓装置における遠隔開閉手段の受動部の取り付け方法を説明する図である。
まず、遠隔開閉手段40は組み立てられ、操作部41を消火栓扉18の裏面に取り付けられた状態で、消火栓装置10の据え付け現場に搬入される。なお、遠隔開閉手段40は、ターンバックル63を操作して、操作側プーリ44の回転と受動側プーリ49の回転との間に遊びが生じるように、インナーワイヤ56の張力が緩めてられている。そして、ベース枠14が箱抜き4の床面に設置され、箱体12をベース枠14にボルト締めなどによって固定し、消火栓本体11が設置される。ついで、開閉弁31を止水弁8に結合して、消火栓弁ユニット30を取り付ける。さらに、接続用ホース25の一端を継ぎ部材24に接続し、他端を継ぎ手部34に接続する。
そして、図9に示されるように、嵌合凹部51内に開閉軸35の突出端を嵌め込み、受動部46のボックス47の底板を開閉弁31のフランジ部31aにボルト70で締着固定して、受動部46を開閉弁31に装着する。そして、図10に示されるように、動力伝達腕50を開閉腕36に重ね、連結ピン53を連結穴52,37に差し込み、動力伝達腕50と開閉腕36とを連結する。ついで、図11に示されるように、連結された開閉腕36と動力伝達腕50を閉位置に位置させる。さらに、操作部41の開閉レバー45を閉位置(図3に示す位置)に位置させる。
ついで、防錆カバー68の蛇腹部を縮めてターンバックル63を露出させる。そして、ナット66,67を緩め、例えば、A90の硬度のゴム製のスパナを用いて胴部64が回せなくなるまで回して、インナーワイヤ56を所定の張力(例えば、設定トルク:約0.1N・m)に調整する。その後、ナット66,67を締め付けて胴部64を固定し、ターンバックル63を覆うように防錆カバー68の蛇腹部を伸長させる。さらに、止水弁8を開けて、消火栓装置10の据え付けが完了する。
このように据え付けられた消火栓装置10では、使用者が、ハンドル19を手前に引くことで、消火栓扉18が前傾方向に回動して垂れ下がって開口部13aを開放する。そこで、使用者が、操作部41の開閉レバー45を、図3に示す閉位置から下方向の開位置に回す。この開閉レバー45の回動トルクが、操作側プーリ44、インナーワイヤ56、受動側プーリ49および動力伝達腕50を介して開閉腕36に伝達され、開閉弁31が開放される。これにより、消火用水が配水本管5から消火栓弁ユニット30および接続用ホース25を介して消火用ホース15に供給される。そして、使用者は、消火用ノズル15aを持って消火用ホース15を引き出しながら火災発生現場に向かい、消火用ノズル15aから放水して消火活動を行う。
この発明によれば、受動部46の受動軸48の端部の軸心位置に嵌合凹部51を形成し、動力伝達腕50を受動軸48の端部側に固定して、受動軸48の径方向に延出させている。開閉腕36を開閉弁31の開閉軸35の突出端側に固定して、開閉軸35の径方向に延出させている。そして、嵌合凹部51内に開閉軸35の突出端を収納し、動力伝達腕50を開閉腕36に連結している。そこで、受動部46の消火栓弁ユニット30への取付が簡易となるので、狭いダクト3内でも、受動部46を消火栓弁ユニット30に簡易に取り付けることができ、消火栓装置10の据え付け作業性が高められる。
また、操作側プーリ44の回転と受動側プーリ49の回転との間に遊びが生じるように、インナーワイヤ56の張力を緩めておき、動力伝達腕50を開閉腕36に連結させた後、開閉腕36および開閉レバー45を閉位置に位置させ、ターンバックル63を操作してインナーワイヤ56に張力を生じさせるだけで、開閉レバー45と開閉弁31の位置調整が行われ、据え付け作業性が高められる。
また、受動軸48の回動トルクが、動力伝達腕50と開閉腕36の連結部を介して、開閉軸35に伝達される。これにより、受動軸48の小さな回動トルクで開閉弁31を開閉動作させることができ、遠隔開閉手段40による開閉弁31の開閉作業が容易となる。
動力伝達腕50に形成された連結穴52と開閉腕36に形成された連結穴37とを重ね合わせ、重ね合わされた連結穴52,37に連結ピン53を嵌め込んで、動力伝達腕50と開閉腕36を連結一体化している。これにより、動力伝達腕50と開閉腕36との位置合わせが簡易となり、消火栓装置10の据え付け作業性が高められる。なお、連結ピン53の代わりに、その他の連結部材を用いるようにしてもよい。また、連結部材である連結ピン53は、動力伝達腕50及び開閉腕36とは別部材として説明したが、連結ピンを動力伝達腕50および開閉腕36の一方に同一部材として一体に形成し、動力伝達腕50および開閉腕36の他方に連結穴を形成し、連結ピンを連結穴に嵌め込んで、動力伝達腕50と開閉腕36を連結一体化してもよい。
さらに、動力伝達腕50と開閉腕36との連結解除を防止する部材(連結部材の抜け防止部材)として、詳細には説明しなかったが、実施の形態では、連結ピン53にOリングを設けていたが、その他の連結部材の抜け防止部材を用いるようにしてもよい。例えば、連結部材に係止するスナップピン、ナットなどでもよい。
ターンバックル63がアウターワイヤ55の長さ方向の一部(途中)に配設されているので、ターンバックル63の胴部64を回すだけで、アウターワイヤ55の配設経路長さを調整できる。これにより、インナーワイヤ56の張力調整作業が簡易となり、消火栓装置10の据え付け作業性が高められる。なお、インナーワイヤ56の張力調整手段として、ターンバックル63の代わりに、その他のインナーワイヤ56の張力調整手段を用いるようにしてもよい。
トンネルのコンクリート躯体1から染み出す水には、腐食成分が含まれており、アウターワイヤ55を伝って下降し、ターンバックル63や遠隔開閉手段40の受動部46に侵入し、金属部品を腐食する危険性がある。この発明では、防錆カバー68が、蛇腹部を伸ばされて、ターンバックル63を覆い、かつ両端でアウターワイヤ片に全周にわたって弾性的に接するように、アウターワイヤ55に装着されているので、防錆カバー68が、アウターワイヤ55を伝わって下降する腐食成分を有する水のターンバックル63への侵入、あるいは腐食成分を有する水のターンバックル63への飛来を阻止する。これにより、胴部64やボルト65a,65bの腐食の発生が抑制され、ターンバックル63によるインナーワイヤ56の張力調整作業を長期的に安定して行える。
なお、ターンバックル63は、定期点検による張力調整作業を行いやすくするために、消火栓扉18を開いて開口部13aから操作できるように配設することが望ましく、例えばホースバケット16の側面板16a(図3)や、筐体の背面、右側面などに配設するようにしてもよい。このとき、ターンバックル63をカバープレートで覆うように配設すると、不要な誤操作を防止することができる。
また、防滴カバー69が底部中央に貫通穴を有する椀状に作製され、開口を下方に向けて貫通穴にアウターワイヤ55を通して装着されているので、防滴カバー69が、アウターワイヤ55を伝わって下降する腐食成分を有する水のさらなる下降を阻止する。これにより、腐食成分を有する水がアウターワイヤ55を伝わって受動部46内に侵入することに起因するインナーワイヤ56の腐食の発生が抑制され、開閉レバー45の開閉トルクが開閉弁31にスムーズに伝達される。
また、開放時、略90°開放して監視員通路2上に位置する従来の前傾式の消火栓扉には、使用者が載っても破損しないような剛性が求められるので、消火栓扉の板厚を厚くしなければならず、消火栓本体の製造コストが高くなるとともに、重量が重くなり、搬送コストが高くなるという問題がある。この発明では、消火栓扉18が、前傾方向に略180°回動して垂れ下がって開口部13aを開放するように前面パネル13に取り付けられているので、使用者が消火栓扉18に載るような事態が回避される。そこで、消火栓扉18の軽量化が図られ、製造コストおよび搬送コストを削減することができる。なお、この発明の消火栓扉として、従来の前傾式の消火栓扉を採用することもできる。
また、消火用ノズル15aおよび遠隔開閉手段40の操作部41が消火栓扉18に裏面に装着されているので、消火栓扉18を開けたときに、使用者が、監視員通路2から、さらには車線側から操作部41の開閉レバー45を操作して開閉弁31を開け、消火用ノズル15aを持って消火用ホース15を引き出しながら火災発生現場に向かい、消火用ノズル15aから放水して消火活動ができる。
止水弁8の止水弁開閉レバー8aが、消火栓弁ユニット30に対して、開閉弁31の開閉軸35と逆側に配置されているので、使用者が、受動部46に邪魔されることなく、止水弁開閉レバー8aを操作でき、止水弁8の開閉動作が容易となる。なお、詳細には図示しないが、監視員通路2の路面には、下部のダクト3と連通する保守用扉が設けられているので、使用者は、消火栓弁ユニット30の交換時等の必要時に保守用扉を開いて、止水弁開閉レバー8aを操作できる。また、同様に、遠隔開閉手段40の故障時には、開閉腕36を直接操作して、開閉弁31を開放することができる。
また、操作部41、受動部46および伝達部54を組み立てて作製した遠隔開閉手段40を、操作部41を消火栓扉18の裏面に取り付けて、消火栓本体11に組み付けて、据え付け現場に搬入し、消火栓本体11を箱抜き4内に配設し、消火栓弁ユニット30を配水本管5の分岐部に取り付ける。ついで、嵌合凹部51内に開閉軸35の突出端を収納し、動力伝達腕50を開閉腕36に連結して、受動部46を消火栓弁ユニット30に取り付けている。そこで、狭いダクト3内でも、受動部46を消火栓弁ユニット30に簡易に取り付けることができ、据え付け作業性を高めることができる。
また、A90の硬度のゴム製のスパナを用い、ターンバックル63の胴部64を回せなくなるまで回して、インナーワイヤ56の張力(設定トルク)を約0.1N・mに調整している。つまり、ゴム製のスパナで胴部64を回すと、設定された張力となれば、スパナで胴部64をそれ以上回せなくなるので、インナーワイヤ56の張力をスパナの硬度に応じた張力に、簡易に、かつ精度よく調整できる。ここで、インナーワイヤ56の設定張力は、操作側プーリ44の回転と受動側プーリ49の回転との間に遊びが生じないように、0N・mよりも大きく、かつ、使用者が開閉レバー45を容易に操作可能なように、約0.2N・m以下とすればよく、これらの設定張力に応じた硬度のゴム製のスパナを用いるようにしてもよい。
なお、例えば、トルクレンチで胴部64を回してインナーワイヤ56の張力を調整する方法がある。ここで、トルクレンチは、比較的に大きな張力を設定するのに適しており、上記のような小さな張力の設定には不向きであるが、ゴム製のスパナに代えてトルクレンチ等のその他の工具を用いるようにしてもよい。
なお、上記実施の形態では、供給配管として、保形ゴム引布ホース(接続用ホース25)を用いているが、供給配管は、金属配管を用いてもよい。