JP6230375B2 - 管路更新計画立案支援システムおよび管路更新計画立案支援方法 - Google Patents

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Description

本発明は、管路更新計画立案支援システムおよび管路更新計画立案支援方法に関するものであり、具体的には、管路のライフサイクルコストを最小化する最適な管路更新計画の立案を支援可能とする技術に関する。
上水道等を構成する配水管などの各種管は、その老朽化に伴って、漏水事故の多発や配水する水の水質劣化などの問題が生じる確率が高まる。このため適切な時期に管を更新することが望まれる。こうした管の更新に際しては、予算や人員等のリソース確保が当然必要となるため、管理機関における更新計画立案が行われることになる。
管路更新計画の立案に関する従来技術としては、例えば、配水区を複数のメッシュに分割し、当該メッシュごとの漏水量を求めて、その情報を活用することで管路更新計画立案を効率化する技術(特許文献1参照)などが提案されている。また、圧力、流量計測値のリアルタイム周波数分析により配水ブロックの老朽化を検証することで、老朽化に伴う漏水が発生しそうな管路を特定し、管路更新を効率化する技術(特許文献2参照)も提案されている。更に、漏水による損失と調査コストの和で年間のコストを与えて、それを最小にするような漏水調査周期を決定する技術(非特許文献1参照)も提案されている。
特開2009−192329号公報 特開2005−114582号公報 Recent Advances in Calculation Economic Intervention Frequency for Active Leakage Level, IWA International Conference on Water Economics, Statistics, and Finance, Rethymno, Greece, 8−10 July 2005
従来技術においても管路更新計画をある程度効率化する効果は期待できるが、最適化を図ることは出来ていない。例えば、最適化の検討に必要となる、管の更新時期や漏水調査時期、それらを踏まえた管路のライフサイクルコストといった様々な要素を考慮しない構成となっており、ライフサイクルコストを真に最小化する管路更新計画の立案に必要な情報を提供できていないという問題がある。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、管路のライフサイクルコストを最小化する最適な管路更新計画の立案を支援可能とする技術を提供することにある。
上記課題を解決する本発明の管路更新計画立案支援システムは、管路の属性情報を含むコスト算定用情報を格納した記憶装置と、前記コスト算定用情報に基づき、配水管路更新に要する更新導入コストと、配水管での漏水に伴って生じる配水管の維持管理コストとを計算し、前記計算した更新導入コスト及び維持管理コストから配水管のライフサイクルコストを計算し、前記計算したライフサイクルコストを最小にする最適な配水管路更新時期を計算し、前記計算した更新導入コスト、維持管理コスト、ライフサイクルコスト、および最適な配水管路更新時期の各情報を出力装置に表示する演算装置とを備えることを特徴とする。
また、本発明の管路更新計画立案支援方法は、管路の属性情報を含むコスト算定用情報を格納した記憶装置を備えるコンピュータが、前記コスト算定用情報に基づき、配水管路更新に要する更新導入コストと、配水管での漏水に伴って生じる配水管の維持管理コストとを計算し、前記計算した更新導入コスト及び維持管理コストから配水管のライフサイクルコストを計算し、前記計算したライフサイクルコストを最小にする最適な配水管路更新時期を計算し、前記計算した更新導入コスト、維持管理コスト、ライフサイクルコスト、および最適な配水管路更新時期の各情報を出力装置に表示する、ことを特徴とする。
本発明によれば、管路のライフサイクルコストを最小化する最適な管路更新計画の立案支援が可能となる。
第1実施形態における管路更新計画立案支援システムの構成例を示す図である。 第1実施形態におけるコスト算定用情報データベースが格納する管路情報例を示す図である。 第1実施形態における更新対象の配水管路構成を示す図である。 配水管からの漏水量の時間推移例を示す図である。 修繕が完全でない場合の配水管からの漏水量の時間推移例を示す図である。 配水管路に関する各種コストと更新時期の関係例を示す図である。 第1実施形態における管路更新計画立案支援方法の処理フロー例を示す図である。 第2実施形態における管路更新計画立案支援システムの構成例を示す図である。 給水管からの漏水量の時間推移例を示す図である。 第2実施形態におけるコスト算定用情報データベースのデータ構造例を示す図である。 給水管の調査周期と各種コストの関係例を示す図である。 配水管路の更新周期と各種コストの関係例を示す図である。 第2実施形態における漏水調査周期別の各種コスト、配水管最適更新時期の結果例を示す図である。 第2実施形態における管路更新計画立案支援方法の処理フロー例を示す図である。 第3実施形態における最適更新時期を用いた場合と各年度の更新コストに上限を設けた場合の各年度の配水管路更新本数と更新コストを示す図である。 第3実施形態における更新対象の管路ごとの更新コスト例を示す図である。 第1実施形態における手法で算出した最適更新時期を用いて更新を行う場合の各年度の更新対象管路と更新コストの例を示す図である。 第3実施形態における手法で算出した、更新コストに上限を設けた場合の各年度の更新対象管路と更新コストの例を示す図である。 ユーザが設定する配水管路のライフサイクルコスト特性の例を示す図である。 第3実施形態における管路更新計画立案支援方法の処理フロー例を示す図である。
−−−第1実施形態−−−
以下に本発明の第1実施形態について図1〜図7の各図面を用いて詳細に説明する。図1は、第1実施形態における管路更新計画立案支援システム100の構成例を示す図である。図1に示す管路更新計画立案支援システム100は、管路のライフサイクルコストを最小化する最適な管路更新計画の立案支援が可能となるコンピュータシステムである。
管路更新計画立案支援システム100のハードウェア構成は以下の如くとなる。管路更新計画立案支援システム100は、ハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶装置で構成される記憶装置101、RAMなど揮発性記憶装置で構成されるメモリ103、記憶装置101に保持されるプログラム102をメモリ103に読み出すなどして実行し装置自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPUなどの演算装置104、管路更新計画の立案者からの計算開始指示や出力内容の指定などに対応した各種キー入力や音声入力を受け付ける入力装置105(或いは、外部のネットワークからデータを取り込むネットワークインターフェースであってもよい)、処理データの表示を行うディスプレイ等の出力装置106を備える。なお、記憶装置101内には、本実施形態の管路更新計画立案支援システム100として必要な機能を実装する為のプログラム102と、コスト算定用情報(コスト算定用情報データベース125の格納情報)が少なくとも記憶されている。
なお、記憶装置101に格納されたコスト算定用情報データベース125は、予め分類された配水管路ごとの属性情報を記憶するデータベースである。なお、第1実施形態においては、図3に例示するような配水管路41〜44の構成を想定するものとする。図3における当該構成において、各配水管路41〜44は、少なくとも同一の管種、口径、埋設年数の管が接続されて形成されたものであり、それぞれ数百mから数十kmに及ぶ路長を有している。図3の例において、図面上、白丸が各配水管路41〜44の接続点になる。また、各配水管路41〜44には複数の給水管401が接続されているものとする。
こうした状況に対応した場合のコスト算定用情報データベース125は、図2にて例示するように、配水管路のナンバーをキーとして、該当配水管路に関する属性データ(管路長、口径、管種、供用年数、修理回数、地盤情報、漏水調査周期、仕様、不可避漏水量、最適更新時期)が対応付けたレコードの集合体となっている。ただし、最適更新時期の値以外は、ユーザすなわち管路更新計画の立案者が事前設定するものである。一方、最適更新時期の値に関しては、後述の計算により管路更新計画立案支援システム100が算出し、該当欄に設定するものである。また、当該コスト算定用情報データベース125には、後述する各種コストの計算結果も格納する。
続いて、第1実施形態の管路更新計画立案支援システム100が備える機能部について説明する。上述したように、以下に説明する機能部は、例えば管路更新計画立案支援システム100が備えるプログラム102を実行することで実装される機能と言える。
管路更新計画立案支援システム100は、配水管導入コスト計算部111、配水管維持管理コスト計算部112、配水管LCC(ライフサイクルコスト)計算部113、および最適更新時期計算部114を実装する。そのうち配水管導入コスト計算部111は、各配水管路を構成する古い配水管を新しい配水管に交換する時のコストCIを単位年度当たりのコストCIに換算する計算を実行するものである。ここで、配水管の交換コストは配水管交換のための土木工事や配水管の部材コストが含まれる。単年度当たりのコストは、例えば、次式により計算できる。
ここに、CI:単年度当たりの配水管導入コスト、CI:配水管導入コスト、n:更新周期(年)(管路の供用年数に相当)、i:資本コスト、L:配水管路の延長(m)、配水管の口径(mm)である。 なお、この[数1]の式において管種を考慮してコストを設定しても良い。配水管導入コスト計算部111は、当該式を用いることで、例えば入力装置105で範囲指定を受けている様々な更新周期nに対する単位年度当たりの配水管導入コストCIを、各配水管路について計算し、その結果をコスト算定用情報データベース125における該当配水管路に対応付けて保存する。
また、配水管維持管理コスト計算部112は、配水管路の維持管理に必要なランニングコストを計算して、それを単年度当たりのコストに換算するものである。ランニングコストの主なものは、漏水事故対応コストCR、漏水が修理されず放置されることによる漏水損失コストCLである。これら以外のコストとして事故時の補償コストや事故対応の人件費などが含まれるが、これらのコストを含めて計算しても良い。配水管路の漏水事故対応コストは、漏水を起こした箇所を修繕するためのコストであり、配水管維持管理コスト計算部112が、次式により計算する。
ここに、CR(t):t年目の漏水事故対応コスト、CR:事故1件当たりのコスト、
(t):t年目の事故件数、N(t):t年目の単位管路長当たりの漏水事故件数、D:更新対象管路の管路口径(mm)、L:更新対象管路の管路長(m)、t:供用年数である。このうち事故件数の値に関しては、実績値がコスト算定用情報データベース125に予め保持されている場合はそれを利用し、実績値が無い場合、すなわち将来の事故件数に関しては、コスト算定用情報データベース125の該当レコードに保持されている属性情報を数3、数4に適用し算定する期待値を用いる。
ここに、N(t):t年目の単位管路長当たりの漏水事故件数期待値、F(t):t年目の管種m(m=DIP、SP、VP、CIP)の単位管路長当たりの漏水事故件数期待値、C:仕様に関する補正係数(ポリエチレンスリーブあり・なし、溶接継手、ねじ継手、TS継手、RR継手など)、C:口径に関する補正係数、C:地盤条件に関する補正係数である。[数4]の数式は、(財)水道技術研究センター発行の報告書「持続可能な水道サービスのための管路技術に関する研究」で参照できる。
次に、漏水が修理させず放置されることによる漏水損失コストCL(t)の計算方法について説明する。一般に、漏水は地上に現れる地上漏水と地上に現れない地下漏水に分類される。地上漏水については、周辺住民等の通報などにより発見されて迅速に対応措置を講じることができるが、地下漏水については、定期的に実施される漏水調査によって発見するしか対応措置が講じられる機会が無い。すなわち地下漏水は漏水調査が実施されるまで放置されることになる。ある配水管路からの地下漏水量の時間推移の一例を図4にて示す。図4における点線23は、配水管路からの不可避漏水量であり、次式で計算できる。
ここに、UARL_d:配水管からの不可避漏水(l/day)、Lm:対象配水管路の総延長(km)、P:対象配水管路の平均水圧(m)である。いずれの代入値も、コスト算定用情報データベース125に予め格納されているか、計算にあたって入力装置105にて受け付けたものである。図4における点線21は、地下漏水の調査、修繕を行わない場合の漏水量の時間推移を表わし、次式で計算されるものである。
ここに、Q(t):対象配水管路のt年目の地下漏水量、Q:対象配水管路の不可避漏水量、k:全体の漏水量に占める地下漏水の割合(例えば、0.1)、N(t):対象配水管路のt年目の地下漏水件数(件)、S:漏水1件当たりの平均亀裂面積、P:平均圧である。いずれの代入値も、コスト算定用情報データベース125に予め格納されているか、計算にあたって入力装置105にて受け付けたものである。この数式において、S・P0.5は、漏水事故1件当たりの地下漏水量であり、その値が既知であれば、S・P0.5のかわりに、その既知の値を利用しても良い。
なお、図4においてTは漏水の調査周期であり、そのタイミングで地下漏水がすべて発見され修繕された場合の漏水量の応答が実線22に示すものとなる。実線22が示す漏水量の応答は、次式により計算できる。
ここに、T:漏水調査周期(年)、n:0以上の整数である。漏水箇所に対する修繕により、配水管路の漏水量は不可避漏水量23のレベルに低下するが、経年によって配水管路の劣化は進行するため、修繕以前の漏水レベルへの漏水復元スピードは徐々に大きくなる。図4から、平均的な漏水量は、時間の経過とともに大きくなることがわかる。[数7]で計算される漏水調査・修繕を行う場合の地下漏水量Q(t)を用いて、配水管維持管理コスト計算部112は、管路埋設からt年目における該当配水管路に関する漏水損失コストを次式により算出する。
ここに、C(t):管路を埋設してからt年目の漏水損失コスト、CL0:単位造水量のコストである。いずれの代入値も、コスト算定用情報データベース125に予め格納されているか、計算にあたって入力装置105にて受け付けたものである。図4にて示す地下漏水量の時間推移は、漏水損失コストの計算モデル115の1つとなる。
一方、図5は、地下漏水がすべて発見・修繕されない場合の漏水量の時間推移例を示す。漏水調査・修繕を実施しない場合の漏水量21、及び、不可避漏水量23は、図4に示すものと同じである。他方、漏水調査・修繕を実施する場合の漏水量32は、修繕によっても完全には不可避漏水23のレベルまで落ちないので、図4で示した漏水量22と比べて大きくなっている。図5における黒丸34は、漏水調査・修繕のタイミングにおける漏水量であり、その値をΔQで表現している。この漏水量ΔQは、累積漏水修繕実績を用いて、次式で計算される。
ここに、N(t):t年目の漏水事故件数、N(t):t年目の漏水修繕件数、ΔN(t):t年目までの未修繕漏水の総件数である。いずれの代入値も、コスト算定用情報データベース125に予め格納されているか、計算にあたって入力装置105にて受け付けたものである。
また、漏水調査・修繕を実施する場合の漏水量32は、次式で与えられる。
ここに、QB2(t):完全に漏水を修繕できない場合の漏水量である。
この場合の漏水損失コストC(t)は、次式で計算できる。
以上の[数2]によるt年目の漏水事故対応コストC(t)、数8、あるいは、[数11]によるt年目の漏水損失コストC(t)から、次式によりt年目の配水管の維持管路コストC(t)が次式により計算できる。
配水管維持管理コスト計算部112は、[数12]のC(t)を用いて、例えば入力装置105で範囲指定を受けている様々な更新周期n(年)に対する単年度当たりの維持管理コストCM0を、各配水管路について次式で計算し、結果をコスト算定用情報データベース125において該当配水管路に対応付けて格納する。
ここに、CM0:単年度当たりの配水管維持管理コスト、n:更新周期(年)、i:資本コスト、C(t):t年目の維持管理コストである。数8、あるいは、数11が、漏水損失コストの計算モデル115の1つとなる。
次に配水管LCC(ライフサイクルコスト)計算部113、および、最適更新時期計算部114について説明する。配水管LCC計算部113は、上述の[数2]と[数13]から導出される次式に基づいて、例えば入力装置105で範囲指定を受けている様々な更新周期nに対する単年度当たりの配水管LCCを配水管路ごとに計算し、その計算結果をコスト算定用情報データベース125における該当レコードに記憶する。
また、最適更新時期計算部114は、上述のごとく配水管LCC計算部113が算定した配水管LCCの値が最小となる更新時期nを特定し、該当更新時期の値を、コスト算定用情報データベース125における該当レコード中の更新時期欄に格納する。
以上の管路更新計画立案支援システム100の各計算は、図2に示したような各配水管路41〜44に対して実施され、計算された単年度の配水管路導入コスト、配水管路の維持管理コスト、配水管路LCC、最適更新時期は、すべてコスト算定用情報データベース125に格納される。
管路更新計画立案支援システム100は、上述の各計算の結果を出力装置106に表示する。図6はその出力結果の一例であり、配水管路に関する各種コストと更新時期の関係例を示す。ここに示す例では、管路導入コスト61と管路維持管理コスト62はトレードオフの関係にあり、それらの総和である配水管LCC63は下に凸の曲線になり、最小値が存在する。また、図6において、配水管LCC最小を与える更新時期が最適更新時期となる。管路更新計画立案支援システム100は、図2に例示した各配水管路41〜44について上述の各計算を実行し、当該計算結果に基づいて図6に例示したグラフを計算結果として生成し出力装置106に表示させる。実施例では、4つの管路を計算の対象にしているが、実際の配水管路の数は、これ以上あることが多く(例えば、数百から数千)、この場合、全ての管路を対象に前述の計算を行う。なお、管路更新計画立案支援システム100は、管路更新計画の立案者等のユーザから指示を受けて、図6のグラフとしての計算結果のみならず、コスト算定用情報データベース125の格納情報(最適更新時期の値が設定されたもの)を出力装置106に表示するか、あるいはファイル出力するとしてもよい。
続いて、第1実施形態における管路更新計画立案支援方法の実際手順について図に基づき説明する。以下で説明する管路更新計画立案支援方法に対応する各種動作は、管路更新計画立案支援システム100がメモリ等に読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
図7は、第1実施形態における管路更新計画立案支援方法のフロー例を示す図である。まず、管路更新計画立案支援システム100は、メモリ103において、管路No.に対応した変数Nとして「1」をセットする(701)。続いて管路更新計画立案支援システム100は、全ての配水管路に対して計算すなわち最適更新時期の計算が終了したか判定する(702)。管路更新計画立案支援システム100は、コスト算定用情報データベース125における各配水管路について最適更新時期の計算を実行し、「最適更新時期」欄に計算結果の値を設定するため、コスト算定用情報データベース125における「最適更新時期」欄に値が格納されていない配水管路があれば、全ての配水管路に対して最適更新時期の計算が終了していないと判定できる。
上述のステップ702の判定の結果、全配水管路について計算が終了していないと判明した場合(702:N)、管路更新計画立案支援システム100は、処理をステップ703以降の処理に進める。他方、上述のステップ702の判定の結果、全配水管路について計算が終了したと判明した場合(702:Y)、管路更新計画立案支援システム100は、ステップ709の処理に進む。
全配水管路について計算が終了していないと判明した場合(702:N)、管路更新計画立案支援システム100は、対象管路すなわち最適更新時期の計算が未了である配水管路Nの属性データ(管路長、口径、管種等の値で各種計算に必要なもの)を、コスト算定用情報データベース125の該当レコードから読み出す(703)。
続いて管路更新計画立案支援システム100の配水管導入コスト計算部111は、ステップ703で得た属性データを既述の[数1]に適用し、様々な更新周期の配水管導入コストを計算する(704)。当然ながら、配水管導入コスト計算部111は、計算に必要となる当該[数1]に対応する数式を予め保持しているものとする(以下、他の機能部、他の数式に関しても同様)。[数1]を用いた配水管導入コストの計算手順等については既に述べた通りである。
次に管路更新計画立案支援システム100の配水管維持管理コスト計算部112は、ステップ703で得ている上述の属性データを既述の[数13]に適用し、様々な更新周期の配水管維持管理コストを計算する(705)。[数13]を用いた配水管維持管理コストの計算手順等については既に述べた通りである。
また、管路更新計画立案支援システム100の配水管LCC計算部113は、[数14]を利用して、様々な更新周期に対する配水管LCCを計算する(706)。[数14]を用いた配水管LCCの計算手順等については既に述べた通りである。
ステップ706での配水管LCCの計算結果を受けた、最適更新時期計算部114は、当該結果に基づいて、最小の配水管LCCを与える更新時期を最適更新時期として特定する(707)。この処理は、図6に例示したグラフにおいて、配水管LCC63が最小値を示す更新時期を特定することでなされる。
上述のごとく、対象の配水管路に関して最適更新時期の計算が完了したならば、管路更新計画立案支援システム100の最適更新時期計算部114は、ステップ701でメモリ103で設定した「N」の値を1だけ増加させ(708)、処理をステップ702に戻す。
管路更新計画立案支援システム100は、全ての配水管路に対する最適更新時期の計算が終了するまで、上述のステップ702からステップ708の処理を繰り返し実行する。全ての配水管路に関して最適更新時期の計算が終了した場合(702:Y)、管路更新計画立案支援システム100は、各配水管路毎の最適更新時期の値をコスト算定用情報データベース125の該当レコードに保存し、出力装置106に表示して(709)処理を終了する。なお、管路更新計画立案支援システム100が出力装置106に計算結果を表示する際、例えば入力装置105を介して管路更新計画の立案者からの形式指定を受け付け、該当形式に対応した雛形(記憶装置101に予め保持)に計算結果を設定して画面データを生成し、これを出力装置106に表示するとすればよい。その一例は、図6に示すような、ある配水管路に関する導入、維持の各コストと更新時期の対応関係において最適更新時期を明示したグラフとなる。
−−−第2実施形態−−−
次に、本発明の第2実施形態について図8から図14を参照して説明する。この第2実施形態においては、配水管路に加えて給水管の維持管理コストに関しても考慮を行って、配水管路の最適更新時期や最適調査周期について更に精度良く特定する技術につき示すものとする。図8は、第2実施形態における管路更新計画立案支援システム100の構成例を示す図である。このうち、メモリ103、演算装置104、入力装置105、出力装置106、コスト算定用情報データベース125、および記憶装置101における配水管導入コスト計算部111と配水管維持管理コスト計算部112、に関しては、第1実施形態と同様である。
一方、第2実施形態の管路更新計画立案支援システム100においては、給水管維持管理コスト計算部116を備えている。また、第2実施形態における管路更新計画立案支援システム100では、第1実施形態における配水管LCC計算部113および最適更新時期計算部114は備えず、トータル管路LCC計算部117及び最適更新時期・最適調査周期計算部118を備えている。
こうした第2実施形態の管路更新計画立案支援システム100は、配水管LCCに給水管LCC(給水管維持管理コスト)を加算したトータルLCCを計算し、それを最小にする配水管路更新時期と漏水調査周期を求めることとなる。以後、第2実施形態のうち、第1実施形態における構成、処理内容と差異がある部分について説明する。
第2実施形態における管路更新計画立案支援システム100が特に備える機能部のうち、給水管維持管理コスト計算部116は、各配水管路に接続された給水管の維持管理コストを計算する機能部である。この給水管維持管理コスト計算部116における給水管維持管理コスト算出の考え方を図9に基づいて説明する。
図9は、ある配水管路、例えば、図3における配水管路のうち配水管路41に接続する全ての給水管から発生する漏水量の時間推移を示すグラフである。通常、各配水管路には、新しい給水管から古い給水管まで新旧様々な管が接続されており、ある配水管路に接続された給水管間での平均的な老朽度は一定とみなす。その場合、給水管での漏水増加スピードは一定速度Vとなる。この速度Vの値は過去の漏水実績から推定されるものとする。こうした状況において、漏水調査周期Tごとに実行される配水管路での漏水調査のタイミングで、配水管路と同様に給水管での地下漏水箇所は修繕されるため、漏水量92は不可避漏水93のレベルまで一旦低下する。しかしその後、給水管の経年劣化により漏水が再び生じ、その量92は速度Vで直線的に増加する。こうした事象は漏水調査周期ごとに繰り返されることとなる。なお、漏水調査およびそれに伴う修繕を実施しない場合の漏水量91は、不可避漏水量93に低減することなく一定速度Vで増大し続ける。
給水管維持管理コスト計算部116は、ある配水管路に接続された給水管からの不可避漏水量を次式により算出する。
ここに、Nc:給水管取り出し件数、Lc:対象配水管路に接続する給水管の総延長(km)、P:対象配水管路の平均水圧(m)である。いずれの代入値も、コスト算定用情報データベース125に予め格納されているか、計算にあたって入力装置105にて受け付けたものである。なお、第2実施形態におけるコスト算定用情報データベース125は、図10に例示するように、各配水管路に接続されている給水管の属性情報が該当配水管路のレコードに対応付けて格納されたデータ構造となっている。
また、給水管維持管理コスト計算部116は、図9のグラフ(漏水損失計算モデル115)に基づいて、該当配水管路に接続された給水管からの、期間Tにおける1年間の平均漏水量Qlsを次式で算出する。
ここに、V:漏水増加スピード(m/year)である。
また、給水管維持管理コスト計算部116は、該当配水管路に接続された給水管からの漏水による年間損失コストClsを次式で計算する。
ここに、CL0:単位造水量当たりの原価(円/m3)である。
一方、配水管路(及びこれに接続された給水管)に対する漏水調査に伴う、1年間の平均調査コストについて、給水管維持管理コスト計算部116は上述の調査周期Tから次式により計算する。
ここに、Cis0:配水管単位長さ当たりの調査コスト、L:対象となる配水管総延長、T:漏水調査周期である。
そこで給水管維持管理コスト計算部116は、給水管維持管理コスト(給水管LCC)を、上述の[数17]と[数18]の和とした次式により算出する。
給水管維持管理コスト計算部116は、上述の[数19]を用いて、様々な調査周期に対する給水管LCCを計算し、その計算結果をコスト算定用情報データベース125における該当配水管のレコードに記憶する。
ここで、図11と図12に基づいて、配水管LCCと給水管維持管理コスト(給水管LCC)の和であるトータルライフサイクルコストを計算し、それを最小化する配水管路更新時期と漏水調査周期を計算する意義について説明する。
図11は、上述の[数17]、[数18]、[数19]それぞれで計算される漏水損失コストCls、調査コストCis、単年度の給水管LCC(給水管維持管理コスト)を、調査周期Tの関数として管路更新計画立案支援システム100が描いたグラフである。当該グラフ中、漏水損失コストは線83、調査コストは線82、単年度の給水管LCCは線81として示している。
図11のグラフによれば、給水管LCC81が最小となる調査周期84が存在することがわかる。管路更新計画立案支援システム100において、この調査周期84を用いて、配水管路の維持管理コスト1103Aを計算し、さらに、単年度配水管LCC1101Aと最適更新時期1104Aを算出し、それぞれ描画した結果が、図12のグラフ中の各点線である。
漏水調査周期を、図11で求めた漏水調査周期84より短い、漏水調査周期とした場合、配水管維持管理コストは減少して実線1103Aから実線1103Bになる。従って、配水管LCC1101Aは、図12の破線すなわち配水管LCC1101Bになる。図11のグラフにおいて漏水調査周期84を短くすると給水管LCC81は増すが、一方、図12のグラフにおいては、配水管維持管理コスト1103Aが破線の配水管維持管理コスト1103Bへと小さくなり、従って、配水管LCC(その最小値)は、実線1101Aから破線1101Bの値へと小さくなる。従って配水管LCC(最小値)と給水管LCCの総和であるトータルライフサイクルコストを最小にする調査周期は、図11の最適調査周期と異なる場合があることがわかる。すなわち、トータルライフサイクルコストを最小とする配水管路更新時期と漏水調査周期を求めることで、ライフサイクルコストを更に削減できる可能性がある。
そこで、第2実施形態における管路更新計画立案支援システム100が備える、トータル管路LCC計算部117は、様々な漏水調査周期に対して、上述の[数19]を用いて給水管LCCを計算し、上述の[数14]を用いて配水管LCC(その最小値)を計算し、給水管LCCと配水管LCC(最小値)を加算してトータルLCCを算出する。この計算の過程で配水管LCCを最小にする配水管路更新時期も算出されることになる。図13に、計算結果の一例を示す。この計算結果を参照し、最適更新時期・最適調査周期計算部118は、給水管LCCと配水管LCC(その最小値)の和であるトータルLCCが最小となる配水管路更新時期と漏水調査周期を算出する。
管路更新計画立案支援システム100のトータル管路LCC計算部117は、算出した配水管LCCに、給水管維持管理コスト計算部116で得た給水管LCC(給水管維持管理コスト)を加算してトータル管路LCC(ライフサイクルコスト)を計算する。トータル管路LCC計算部117および最適更新時期・最適調査周期計算部118のいずれかは、上述の計算結果を例えば図13で示すテーブル1300のフォーマットに設定し、出力装置106に表示させる。トータル管路LCCが最少となる漏水調査周期が最適であるから、テーブル1300に示す計算結果の場合、網掛け部分1301の「ケース2」、すなわち漏水調査周期は「3年」が最適であり、最適な配水管更新周期は「85年」であることを示している。管路更新計画立案支援システム100は、これらの計算結果をコスト算定用情報データベース125に格納する。
続いて、第2実施形態における管路更新計画立案支援方法の実際手順について図に基づき、第1実施形態と同様に説明する。図14は、第2実施形態における管路更新計画立案支援方法のフロー例を示す図である。まず、管路更新計画立案支援システム100は、ユーザからの漏水調査周期の刻み幅(ここでは1年)に関する指定を入力装置105にて受け付ける(1300)。
管路更新計画立案支援システム100は、続いて、メモリ103において、管路No.に対応した変数Nとして「1」をセットする(701)。また、管路更新計画立案支援システム100は、全配水管路について計算が終了したか判定する(702)。当該判定の処理は第1実施形態のステップと同様である。
上述のステップ702の判定の結果、全配水管路に関する計算が終了していなければ(702:N)、ステップ1301以降に処理を移す。他方、上述のステップ702の判定の結果、全配水管路に関する計算が終了していれば(702:Y)、管路更新計画立案支援システム100は、処理をステップ1307に進める。
管路更新計画立案支援システム100は、対象管路、すなわち管路Nの属性データをコスト算定用情報データベース125から読み出す(1301)。第2実施形態では、漏水調査周期も決定対象のため、当該フロー実行前のコスト算定用情報データベース125には、漏水調査周期の情報は書き込まれていない。
続いて管路更新計画立案支援システム100の給水管維持管理コスト計算部116は、上述のステップ1301で得た各属性データ等を[数19]に適用し、様々な調査周期に対する給水管維持管理コスト(給水管LCC)を計算する(1302)。給水管LCCの計算手法については上述した通りである。また、配水管導入コスト計算部111は、第1実施形態と同様、該当配水管路の属性データを[数1]に適用し、様々な更新周期に対する配水管導入コストを計算する(704)。
次に配水管維持管理コスト計算部112は、第1実施形態と同様に[数13]を用いて、様々な更新周期、調査周期に対する配水管維持管路コストを計算する(1303)。
また、トータル管路LCC計算部117は、様々な調査周期と更新周期に対して、配水管LCCを計算し、配水管LCCを最小にする更新時期も同時に求める(1304)。更にトータル管路LCC計算部117は、上述のステップ1302で得た給水管LCCに、ステップ1304で得た配水管LCC(最小値)を加算して、様々な調査周期に対するトータルLCCを計算する(1305)。以上の計算により、図13に例示した計算結果が得られることとなる。
続いて最適更新時期・最適調査周期計算部118は、上述のステップ1305までで得た計算結果(例:メモリ103に一旦格納されている)を参照し、トータルLCCが最少となる漏水調査周期と配水管路更新時期の組み合わせを特定して、最適な配水管路更新時期および最適な漏水調査周期として出力装置106に表示する(1306)。
上述のごとく、対象の配水管路に関して最適更新時期および最適漏水調査周期の計算が完了したならば、管路更新計画立案支援システム100は、ステップ701でメモリ103で設定した「N」の値を1だけ増加させ(708)、処理をステップ702に戻す。以上のステップ702からステップ708までの一連の処理は、ある配水管路に対する各種コストと漏水調査周期、配水管路更新時期を計算するものである。
管路更新計画立案支援システム100は、全ての配水管路に対する最適更新時期、および最適漏水調査周期の計算が終了するまで、上述のステップ702からステップ708の処理を繰り返し実行する。全ての配水管路に関して計算が終了した場合(702:Y)、管路更新計画立案支援システム100は、各配水管路毎の最適更新時期、最適漏水調査周期の各値をコスト算定用情報データベース125の該当レコードに保存し、出力装置106に表示して(1307)処理を終了する。
−−−第3実施形態−−−
次に、本発明の第3実施形態を図15から図18を用いて説明する。この第3実施形態においては、管路更新計画立案支援システム100における計算に際し、ユーザ指定の条件等を踏まえる場合の処理について示すものとする。
ここで、図15における紙面上段のグラフ1500は、第1実施形態で示した処理により算出した配水管路更新時期に基づいて配水管路の更新をした場合の、各年度(初年度から20年後まで)における更新管路数を示すものであり、グラフ1501は、同じく第1実施形態で示した処理により算出した配水管路更新時期に基づいて配水管路の更新をした場合の、各年度(初年度から20年後まで)における更新コストを示すものである。なお、各グラフ1500、1501の描画根拠となる値は、管路更新計画立案支援システム100が算定した各年度の更新対象管路と更新コストの値(図17参照)となる。
これらグラフ1500、1501から明らかなように、年度によって更新管路数は上下に変動し、これに応じて更新コストも年度間で大きくばらつくことになる。一方、配水管路の維持、運営を行う組織では、年度ごとの配水管路更新予算は定められているため、グラフ1501で示したような更新コストの激しい変動は抑制されたほうが望ましい。
そこで第3実施形態における管路更新計画立案支援システム100は、各年度の配水管路の更新コストに上限を設けた上で、単年度配水管LCCが最小になる各管路の配水管路更新時期を算出する処理について示す。ここでは、管路更新計画立案支援システム100が、以下の最適化問題を解き、配水管路ごとの新たな更新時期を算出するものとする。管路更新計画立案支援システム100は、当然ながら、こうした最適化問題を解くためのアルゴリズム(既存のものでよい)に対応したプログラムを記憶装置101にて予め保持し、機能部が適宜利用可能であるものとする。
管路更新計画立案支援システム100が、当該第3実施形態において特に用いる数式は以下の通りである。
このうち、[数20]は最適化問題を表現した数式となる。これは、LCC_totalを最小にするtiを求める最適化問題を意味する。
当該数式において、LCC_totalは、全更新対象の配水管路の単年度配水管LCCの総和であり、[数23]で算定する。この[数23]において、配水管LCCは、配水管路iを対象とする配水管LCCであり、更新周期tの関数になる。関数(配水管LCC)は、[数14]のnをtに置き換えて求めることができる。
また、[数20]におけるIC_maxは、更新コストの最大値であり[数22]で与えられる。MAXは、{}内の変数の最大値を求める関数である。また、ICは更新コストの上限であり、ユーザ指定の値である。なお[数22]におけるIC(T)は、T年度(T年目)の更新コストであり、[数21]により計算される。ICiは、配水管路iの更新コストである。
管路更新計画立案支援システム100は、上述の[数20]の最適化問題を解くことにより、図16に例示する更新対象の配水管路ごとの更新コスト、更には、図18に例示する各年度の更新対象管路と更新コストの値を算出する。この場合、トータルLCCは、第1実施形態の最適配水管路更新時期を用いた場合に比べ若干増加するが、各年度の更新コストの上限を設けて配水管路更新時期を算出するので、更新コストを平滑化することができる。図15の紙面下段のグラフ1510、1511は、管路更新計画立案支援システム100が[数20]の最適化問題を解いた計算結果をグラフ化して出力装置106に表示した例となる。グラフ1510、1511から明らかなように、各年度の更新コスト上限(ここでは、0.8億円)の存在により、更新コストが平滑化されているのがわかる。
なお、図19のグラフ1900にて示すように、ある配水管路については、[数14]を用いて算出される単年度配水管LCC1401のかわりに、ユーザ設定の単年度配水管LCC1402を用いて更新時期の計算を行ってもよい。これにより、対象となる配水管路を、上述までの各実施形態で得られる最適更新時期より所定期間だけ早めに更新したり、或いは逆に所定期間だけ遅めに更新するといった、管路更新計画を立案することができる。こうした状況は、例えば、重要な配水管路であるため一定範囲でのコスト上昇を許容した早めの更新をすべき、などの管路更新計画立案者における諸々の事情を配慮した、管路更新計画立案を行うことが可能になる。
以下に、第3実施形態における管路更新計画立案支援方法の実際手順について図に基づき説明する。図20は、第3実施形態における管路更新計画立案支援方法のフロー例を示す図である。この場合、管路更新計画立案支援システム100は、更新対象年数(例:図15の例であれば20年)、更新コストの上限IC、および、単年度配水管LCCの数式(図19における線1402を示すもの)のユーザ指定を入力装置105にて受け付ける(1601)。
続いて管路更新計画立案支援システム100は、ステップ1601で得たユーザ指定を条件とし、上述した[数20]の最適化問題を解いて、各配水管路の最適更新時期を算出する(1602)。更に管路更新計画立案支援システム100は、ステップ1602で算出した計算結果のうち最適更新時期を、コスト算定用情報データベース125における該当配水管路のレコード中に格納するとともに、計算結果に基づいて更新年度ごとの更新管路数、更新コストをそれぞれ示すグラフ(図15におけるグラフ1510、1511と同様のもの)を描画し、これを出力装置106に表示させる(1603)。
以上、本発明を実施するための最良の形態などについて具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
本実施形態によれば、管路のライフサイクルコストを最小化する最適な管路更新計画の立案支援が可能となる。
本明細書の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。すなわち、本実施形態の管路更新計画立案支援システムにおいて、前記維持管理コストの計算において、配水管に対する所定周期の漏水調査周期と前記コスト算出用情報に基づいて漏水発生に伴う損失コストを計算し、これに基づいて前記維持管理コストを計算するものである、としてもよい。
これによれば、修繕されず維持される配水管からの漏水を含めて各配水管路のライフサイクルコストを最小にする配水管路更新時期を精緻に決定しユーザに提示できるため、配水管のライフサイクルコストを効果的に削減した管路更新計画の立案支援が可能である。
また、本実施形態の管路更新計画立案支援システムにおいて、前記演算装置は、前記コスト算定用情報に基づき、給水管での漏水に伴って生じる給水管の維持管理コストを計算し、当該給水管の維持管理コストと前記配水管のライフサイクルコストとから配水管と給水管のトータルライフサイクルコストを計算し、当該計算したトータルライフサイクルコストを最小にする配水管路更新時期と漏水調査周期を決定するものである、としてもよい。
これによれば、配水管ライフサイクルコストと給水管の維持管理コスト(給水管ライフサイクルコスト)の双方を考慮したトータルコストを最小にする配水管路更新時期と漏水調査周期をユーザに提示出来るため、水道の管路全体に関するライフサイクルコストを更に効果的に削減可能となる管路更新計画の立案支援が可能となる。
また、本実施形態の管路更新計画立案支援システムにおいて、前記演算装置は、前記最適な配水管路更新時期の計算において、将来の所定期間における、各年度の前記更新導入コストが所定条件を満たし、かつ、前記所定期間において更新対象となる各配水管のライフサイクルコストの総和が最小となる配水管路更新時期を計算するものである、としてもよい。
これによれば、各年度の管路更新コストの所定制約下で配水管路更新時期を決定し、これをユーザに提示出来るため、管路更新コストに対応した各年度の予算条件を満たす管路更新計画の立案支援が可能となる。
また、本実施形態の管路更新計画立案支援システムにおいて、前記演算装置は、前記最適な配水管路更新時期の計算において、所定配水管のライフサイクルコストのユーザ指定を入力装置で受け付け、当該受け付けたユーザ指定のライフサイクルコストを含めた前記ライフサイクルコストの総和が最少となる配水管路更新時期を計算するものである、としてもよい。
これによれば、重要管路であるため早めに更新すべきなどの諸々の事情を踏まえ、対象管路を当該管路更新計画立案支援システムによる通常の計算結果より早めに更新したり、或いは重要度が他管路より相対的に低いことを踏まえ、対象管路を当該管路更新計画立案支援システムによる通常の計算結果より遅めに更新したりする、といった管路更新計画を立案することも可能となる。
100 管路更新計画立案支援システム
101 記憶装置
102 プログラム
103 メモリ
104 演算装置
105 入力装置
106 出力装置
111 配水管導入コスト計算部
112 配水管維持管理コスト計算部
113 配水管LCC計算部
114 最適更新時期計算部
115 漏水損失コスト計算モデル
116 給水管維持管理コスト計算部
117 トータル管路LCC計算部
118 最適更新時期・最適調査周期計算部
125 コスト算定用情報データベース

Claims (6)

  1. 管路の属性情報を含むコスト算定用情報を格納した記憶装置と、
    前記コスト算定用情報に基づき、配水管路更新に要する更新導入コストを計算すると共に、配水管に対する漏水事故件数期待値に基づき年間の損失漏水量を算出し、算出した損失漏水量と前記コスト算定用情報とに基づき漏水発生に伴う損失コストを計算し、計算した損失コストに基づいて配水管での漏水に伴って生じる配水管の維持管理コスト計算し、前記計算した更新導入コスト及び維持管理コストから配水管のライフサイクルコストを計算し、前記計算したライフサイクルコストを最小にする最適な配水管路更新時期を計算し、前記計算した更新導入コスト、維持管理コスト、ライフサイクルコスト、および最適な配水管路更新時期の各情報を出力装置に表示する演算装置と、
    を備えることを特徴とする管路更新計画立案支援システム。
  2. 前記演算装置は、
    前記維持管理コストの計算において、配水管に対する所定周期の漏水調査周期と前記コスト算出用情報に基づいて漏水発生に伴う損失コストを計算し、これに基づいて前記維持管理コストを計算するものである、
    ことを特徴とする請求項1に記載の管路更新計画立案支援システム。
  3. 前記演算装置は、
    前記コスト算定用情報に基づき、給水管での漏水に伴って生じる給水管の維持管理コストを計算し、当該給水管の維持管理コストと前記配水管のライフサイクルコストとから配水管と給水管のトータルライフサイクルコストを計算し、当該計算したトータルライフサイクルコストを最小にする配水管路更新時期と漏水調査周期を決定するものである、
    ことを特徴とする請求項2に記載の管路更新計画立案支援システム。
  4. 前記演算装置は、
    前記最適な配水管路更新時期の計算において、将来の所定期間における、各年度の前記更新導入コストが所定条件を満たし、かつ、前記所定期間において更新対象となる各配水管のライフサイクルコストの総和が最小となる配水管路更新時期を計算するものである、
    ことを特徴とする請求項1に記載の管路更新計画立案支援システム。
  5. 前記演算装置は、
    前記最適な配水管路更新時期の計算において、所定配水管のライフサイクルコストのユーザ指定を入力装置で受け付け、当該受け付けたユーザ指定のライフサイクルコストを含めた前記ライフサイクルコストの総和が最少となる配水管路更新時期を計算するものである、
    ことを特徴とする請求項4に記載の管路更新計画立案支援システム。
  6. 管路の属性情報を含むコスト算定用情報を格納した記憶装置を備えるコンピュータが、
    前記コスト算定用情報に基づき、配水管路更新に要する更新導入コストを計算すると共に、配水管に対する漏水事故件数期待値に基づき年間の損失漏水量を算出し、算出した損失漏水量と前記コスト算定用情報とに基づき漏水発生に伴う損失コストを計算し、計算した損失コストに基づいて配水管での漏水に伴って生じる配水管の維持管理コスト計算し、
    前記計算した更新導入コスト及び維持管理コストから配水管のライフサイクルコストを計算し、
    前記計算したライフサイクルコストを最小にする最適な配水管路更新時期を計算し、
    前記計算した更新導入コスト、維持管理コスト、ライフサイクルコスト、および最適な配水管路更新時期の各情報を出力装置に表示する、
    ことを特徴とする管路更新計画立案支援方法。
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