JP6229931B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真感光体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6229931B2
JP6229931B2 JP2013191290A JP2013191290A JP6229931B2 JP 6229931 B2 JP6229931 B2 JP 6229931B2 JP 2013191290 A JP2013191290 A JP 2013191290A JP 2013191290 A JP2013191290 A JP 2013191290A JP 6229931 B2 JP6229931 B2 JP 6229931B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating
coating liquid
flow path
spray
photosensitive member
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2013191290A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015058367A (ja
Inventor
晃 中村
晃 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2013191290A priority Critical patent/JP6229931B2/ja
Priority to US14/484,347 priority patent/US9846376B2/en
Priority to CN201410471619.0A priority patent/CN104437925A/zh
Priority to EP14184990.1A priority patent/EP2851127A1/en
Publication of JP2015058367A publication Critical patent/JP2015058367A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6229931B2 publication Critical patent/JP6229931B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B05SPRAYING OR ATOMISING IN GENERAL; APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05BSPRAYING APPARATUS; ATOMISING APPARATUS; NOZZLES
    • B05B7/00Spraying apparatus for discharge of liquids or other fluent materials from two or more sources, e.g. of liquid and air, of powder and gas
    • B05B7/02Spray pistols; Apparatus for discharge
    • B05B7/06Spray pistols; Apparatus for discharge with at least one outlet orifice surrounding another approximately in the same plane
    • B05B7/062Spray pistols; Apparatus for discharge with at least one outlet orifice surrounding another approximately in the same plane with only one liquid outlet and at least one gas outlet
    • B05B7/066Spray pistols; Apparatus for discharge with at least one outlet orifice surrounding another approximately in the same plane with only one liquid outlet and at least one gas outlet with an inner liquid outlet surrounded by at least one annular gas outlet
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B05SPRAYING OR ATOMISING IN GENERAL; APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05BSPRAYING APPARATUS; ATOMISING APPARATUS; NOZZLES
    • B05B1/00Nozzles, spray heads or other outlets, with or without auxiliary devices such as valves, heating means
    • B05B1/30Nozzles, spray heads or other outlets, with or without auxiliary devices such as valves, heating means designed to control volume of flow, e.g. with adjustable passages
    • B05B1/3033Nozzles, spray heads or other outlets, with or without auxiliary devices such as valves, heating means designed to control volume of flow, e.g. with adjustable passages the control being effected by relative coaxial longitudinal movement of the controlling element and the spray head
    • B05B1/304Nozzles, spray heads or other outlets, with or without auxiliary devices such as valves, heating means designed to control volume of flow, e.g. with adjustable passages the control being effected by relative coaxial longitudinal movement of the controlling element and the spray head the controlling element being a lift valve
    • B05B1/3046Nozzles, spray heads or other outlets, with or without auxiliary devices such as valves, heating means designed to control volume of flow, e.g. with adjustable passages the control being effected by relative coaxial longitudinal movement of the controlling element and the spray head the controlling element being a lift valve the valve element, e.g. a needle, co-operating with a valve seat located downstream of the valve element and its actuating means, generally in the proximity of the outlet orifice
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B05SPRAYING OR ATOMISING IN GENERAL; APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05BSPRAYING APPARATUS; ATOMISING APPARATUS; NOZZLES
    • B05B7/00Spraying apparatus for discharge of liquids or other fluent materials from two or more sources, e.g. of liquid and air, of powder and gas
    • B05B7/02Spray pistols; Apparatus for discharge
    • B05B7/12Spray pistols; Apparatus for discharge designed to control volume of flow, e.g. with adjustable passages
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G5/00Recording members for original recording by exposure, e.g. to light, to heat, to electrons; Manufacture thereof; Selection of materials therefor
    • G03G5/02Charge-receiving layers
    • G03G5/04Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
  • Nozzles (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)

Description

本発明は、電子写真感光体の製造方法に関するものである。
電子写真感光体などの加工対象を構成する各種層を形成するための塗工方法としては、従来、浸漬塗工法が採用されていたが、最近は、スプレー塗工法も採用されることが多くなっている(特許文献1〜4等)。スプレー塗工法は、スプレーガンから噴霧されるミスト状の塗工液を塗工対象物に吹き付けて塗工膜を形成する方法である。このスプレーガンは、塗工液ノズルから供給される塗工液を高速の空気(以下「霧化エア」という。)によってせん断し、ミスト状になった塗工液を、その霧化エアに乗せて塗工対象物に吹き付ける。この霧化エアは、塗工液ノズルとこれを取り囲むように設けられたエアキャップ(流路形成部材)との間に形成される流路を通過して塗工液ノズルの先端に供給され、塗工液ノズルから供給される塗工液をせん断、霧化(ミスト化)する。
近年、電子写真感光体は、高信頼化・高寿命化が要求されており、耐磨耗性の向上を目的として感光層の上に表面保護層(OverCoat Layer:OCL)を塗工した製品が上市されている。電子写真感光体の表面保護層は、電子写真感光体の感光層、より詳しくは電荷輸送層(Charge Transport Layer:CTL)の上に形成されることが多い。この表面保護層を浸漬塗工法により形成すると、これに使用する溶媒の種類によっては、すでに形成されている感光層(電荷輸送層)が溶け出してしまうという不具合が判明した。この不具合は、スプレー塗工法により表面保護層を形成することで回避できることが確認されたが、スプレー塗工法により表面保護層を形成すると、次のような問題が生じることが新たに判明した。
スプレー塗工法に用いるスプレーガンは、塗工液ノズルの先端を通過するときの霧化エアの流速が高いほど、塗工液のせん断力が高まり、塗工液の微粒化を促進することができる。スプレー塗工法においては、塗工ムラ等の観点から、塗工液の微粒化が促進されることは望ましいことである。そのため、従来は、塗工液ノズルの先端を通過するときの霧化エアの流速、すなわち、塗工液ノズルから排出される塗工液に接触するときの霧化エアの流速、を高めることを中心に開発がなされてきた。
一般に、スプレーガンでは、塗工液ノズルとエアキャップとの間のエア流路が、その出口に向けて徐々に狭まるように構成し、これによりエア流路内の霧化エアの流速を加速させ、塗工液接触時の霧化エアの流速を高めている。したがって、エア流路の最狭部の間隔を狭めるほど、そのエア流路から吹き出す霧化エアの流速が高まり、塗工液接触時の霧化エアの流速が高まって塗工液の微粒化が進むものと考えられている。しかも、エア流路の最狭部の間隔を狭めるほど、エア流路から吹き出た霧化エアの流速の減速度合いも大きくなることから、霧化エアによってミスト状の塗工液が塗工対象物に吹き付けられる力が弱まることも確認されている。この点でも、エア流路の最狭部の間隔を狭めることは、ムラの少ない塗工液の塗工を可能としている。
ところが、本発明者の研究の結果、エア流路の最狭部の間隔を狭くした場合に、塗工対象物の表面が荒れてしまうという問題が判明した。具体例を挙げれば、電子写真感光体の表面保護層をスプレー塗工法により形成する際、その塗工前に形成されている感光層(電荷輸送層)の表面が荒れてしまい、感光層(電荷輸送層)がもつ機能が損なわれるなどの問題が生じるものである。
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、エア流路の最狭部の間隔を狭くして塗工ムラを抑制しつつ、塗工前に形成されている電子写真感光体の層を荒らすことなく、その上層を塗工することができる電子写真感光体の製造方法を提供することである。
前記目的を達成するために、本発明は、塗工液供給手段から供給される塗工液を排出口から排出する塗工液ノズ及び、前記塗工液ノズルの外周面を取り囲んで、該塗工液ノズルの外周面との間に霧化エア供給手段により供給される霧化エアが通過するエア流路を形成する流路形成部材を有し、前記塗工液ノズルの排出口から供給された塗工液を、前記エア流路から供給される霧化エアにより霧化して塗工対象物へ吹き付けるスプレーガンと、塗工対象物を回転させながら支持する回転支持手段と、前記スプレーガンを前記回転支持手段の回転軸方向へ移動させる移動手段とを備えたスプレー塗工装置を用いて、電子写真感光体を構成する所定層を塗工し、該電子写真感光体を製造する電子写真感光体の製造方法において、前記エア流路の最狭部の間隔Tは、0.48[mm]以下に設定されており、前記エア流路の最狭部の間隔Tと該最狭部から前記塗工液ノズルの排出口が開口した先端面までの距離Lとの比率T/Lが0.6以上となるように、該距離Lが設定されていることを特徴とする。
本発明によれば、エア流路の最狭部の間隔を狭くして塗工ムラを抑制しつつ、塗工前に形成されている電子写真感光体の層を荒らすことなく、その上層を塗工することができるという優れた効果が奏される。
実施形態における電子写真感光体用のスプレー塗工装置の概略構成を示す模式図である。 同スプレー塗工装置に用いられるスプレーガンの一例を示す模式図である。 同スプレーガンの先端部分の概略構成を示す拡大図である。 同スプレー塗工装置を用いて塗工前の電子写真感光体上に表面保護層用の塗工液をスプレー塗工する場合の塗工システムの一構成例を示す模式図である。 霧化エアによる塗工液のせん断時の様子を示す模式図である。 実験条件及び実験結果をまとめた表である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態における電子写真感光体用のスプレー塗工装置の概略構成を示す模式図である。
本実施形態のスプレー塗工装置1は、塗工液供給手段2と、霧化エア供給手段3と、スプレーガン4とを備えている。スプレーガン4は、塗工液供給手段2及び霧化エア供給手段3にそれぞれ接続されていて、これらから塗工液2Aと霧化エア3Aが供給されるように構成されている。スプレーガン4は、塗工液供給手段2から供給される塗工液2Aを排出口から排出する塗工液ノズル5と、塗工液ノズル5の外周面を取り囲んで塗工液ノズル5の外周面との間に霧化エア供給手段3により供給される霧化エア3Aが通過するエア流路を形成する流路形成部材としてのエアキャップ6とから構成されている。
塗工液供給手段2からは、粘度や溶媒の蒸気圧などが調整された塗工液2Aが供給され、霧化エア供給手段3からは、圧力調整(流量調整によって制御可能)された霧化エアが供給される。これにより、スプレーガン4からは、塗工液ノズル5から排出される塗工液2Aを霧化エアによってせん断し、ミスト状になった塗工液を、その霧化エアに乗せて塗工対象物(塗工前の電子写真感光体)に吹き付ける。
図2は、本実施形態におけるスプレーガン4の一例を示す模式図である。
本実施形態のスプレーガン4は、円錐台状の塗工液ノズル5と中空円錐台状のエアキャップ6とから構成されている。塗工液ノズル5は塗工液2Aを供給する塗工液流路7を内部に備えており、この塗工液流路7は塗工液ノズル5の先端面に開口した排出口8に連通している。また、エアキャップ6と塗工液ノズル5との間に形成されている霧化エア3Aを供給するエア流路9の出口10は、塗工液ノズル5の先端面の近傍の開口している。
図3は、スプレーガン4の先端部分の概略構成を示す拡大図である。
図3に示すように、塗工液ノズル5の塗工液流路7の内部には、ニードル5nが設けられている。このニードル5nは、図示しないニードル移動手段により塗工液流路7の排出口8に対して進退可能に構成されている。ニードル5nが図3に示すような後退位置に位置するとき、塗工液流路7の排出口8とニードル5nとの間に隙間ができ、塗工液流路7内の塗工液2Aが排出口8から排出される。一方、ニードル5nが前進位置(不図示)に位置するとき、塗工液流路7の排出口8がニードル5nによって塞がり、塗工液流路7内の塗工液2Aが排出口8から排出できない状態になる。
図4は、本実施形態におけるスプレー塗工装置1を用いて塗工対象物である塗工前の電子写真感光体上に表面保護層用の塗工液をスプレー塗工する場合の塗工システムの一構成例を示す模式図である。
塗工対象物51は、塗工ブース52内において、図示しない回転支持手段により回転させながら支持される。スプレーガン4は、塗工対象物51の軸線方向に沿って移動可能にガイドレール54に取り付けられている。塗工ブース52には、スプレーガン4から噴霧された余分のスプレーミストを排除するため、クリーンエア供給口55と排気口56が設けられている。そして、塗工液供給手段2の塗工液タンク58から塗工液2Aがポンプ59によって供給されるとともに、霧化エア供給手段3の霧化エアタンク61から霧化エア3Aがポンプ62によって供給され、塗工液2Aが微粒子化され、スプレーガン4から塗工対象物51上に噴霧される。
ここで、本実施形態における電子写真感光体の製造方法において用いるスプレーガン4の塗工液ノズル5とエアキャップ6の相互の位置関係や寸法は、後述するように、エア流路9の最狭部の間隔Tが0.48[mm]以下に設定され、エア流路9の最狭部の間隔Tと当該最狭部から塗工液ノズル5の先端面5aまでの距離Lとの比率T/Lが0.6以上となるように距離Lが設定されている。このように調整したスプレーガンを用いることによって、後述するように、スプレーガン4による表面保護層の塗工前における電子輸送層へのダメージを軽減して、電子輸送層の機能を損なわない塗工が実現される。
また、スプレーガン4を備えたスプレー塗工装置1を用いて電子写真感光体を製造する場合、供給される霧化エア3Aの圧力は、スプレーガン4に導入される直前において0.01MPa以上0.2MPa以下あることが好ましい。より好ましい範囲は、0.02MPa以上0.1MPa以下であり、特に好ましい範囲は0.04MPa以上、0.07MPa以下である。霧化エアの圧力が0.01MPaより低いと、塗工液2Aの微粒子化が不十分になり、塗膜ムラが発生する。また、圧力が0.2MPaより大きいと、ミスト状の塗工液2Aを塗工対象物51に吹き付ける力が強すぎて、塗膜ムラが発生する。なお、霧化エア3Aの圧力は、流量を調整することによって制御することができる。
また、スプレーガン4を備えたスプレー塗工装置1を用いて電子写真感光体を製造する場合、塗工液ノズル5の排出口8から排出する塗工液2Aの排出速度は、1cc/min以上30cc/min以下であるのが好ましい。より好ましい範囲は、2cc/min以上15cc/min以下である。
また、スプレーガン4を備えたスプレー塗工装置1を用いて電子写真感光体を製造する場合、スプレーガン4の先端から塗工対象物51までの距離は、10mm以上100mm以下であることが好ましい。より好ましい範囲は30mm以上70mm以下である。
図5は、霧化エア3Aによる塗工液2Aのせん断時の様子を示す模式図である。
本実施形態のスプレーガン4において、塗工液供給手段2から供給された塗工液2Aは、塗工液流路7を経由して排出口8から排出されるとともに、霧化エア供給手段3から供給された霧化エア3Aがエア流路9を経由してその出口10から吹き出す。塗工液流路7の排出口8から排出された塗工液2Aは、エア流路9から吹き出す霧化エアの流れによって生じる負圧効果により、塗工液ノズル5の先端面5aを伝って、エア流路9の出口10へ移動する。そして、先端面5aと出口10との境界付近まで近づいた塗工液2Aは、霧化エア3Aによりせん断され、ミスト状になって飛散し、霧化エア3Aの流れに乗ってスプレーガン4から噴霧される。
スプレーガン4から噴霧されるミスト状の塗工液2Aは、その粒径が小さいほど、塗布ムラの軽減等の観点から好ましい。そして、この塗工液2Aの微細化には、霧化エア3Aによる塗工液2Aのせん断力を高めることが有効であり、そのためには塗工液2Aとの接触時における霧化エア3Aの流速を高めることが有効である。そのため、本実施形態のスプレーガンは、エア流路9をその出口10に向けて徐々に狭まるように構成し、エア流路9内で霧化エア3Aの流速を加速させている。このような構成においては、エア流路9の最狭部の間隔Tが、エア流路9から吹き出す霧化エアの流速に大きく影響する。具体的には、エア流路9の最狭部の間隔Tを狭くするほど、塗工液接触時の霧化エアの流速が高まり、塗工液の微粒化が進む。しかも、エア流路9の最狭部の間隔Tを狭めるほど、エア流路9から吹き出た霧化エア3Aの流速の減速度合いも大きくなり、霧化エア3Aによってミスト状の塗工液2Aが塗工対象物(塗工前の電子写真感光体)に吹き付けられる力が弱まる。一般に、吹き付けられる力が弱いほど、塗工ムラにとっては有利である。したがって、エア流路9の最狭部の間隔Tを狭めることは、吹き付ける塗工液2Aの微細化と吹き付ける力の減少を実現して、塗工ムラの少ない塗工液2Aの塗工を可能にする。
ところが、上述したとおり、エア流路9の最狭部の間隔Tを狭くして塗工を行った場合、塗工前に形成されている層の表面が荒れてしまい、その層がもつ本来の機能が損なわれるなどの不具合をもたらすという問題が確認された。具体的には、電子写真感光体の表面保護層をスプレー塗工法により塗工する際、その塗工前に形成されている感光層(電荷輸送層)の表面が荒れてしまい、感光層(電荷輸送層)がもつ機能が損なわれるなどの問題が生じた。
上述したとおり、エア流路9の最狭部の間隔Tを狭くしているので、吹き付ける塗工液2Aの微細化が進んでおり、かつ、吹き付ける力も弱まっている。よって、塗工液2Aが塗工対象物(塗工前の電子写真感光体)に衝突するときのダメージが軽減されており、通常であれば、塗工前の感光層の表面が荒れてしまうことは考えにくい。そこで、本発明者は、塗工前に形成されている層の表面が荒れてしまう原因について詳細に検討し、次のような結論に達した。
まず、塗工前に形成されている感光層(電荷輸送層)の表面が荒れている箇所は、比較的長い周期をもって存在している。これは、塗工時間がある時間経過するたびに、塗工前の感光層(電荷輸送層)の表面を荒らすほどのダメージを与える塗工処理がされていることを意味する。また、このようなダメージを負っていない箇所を観察すると、塗工ムラが十分に抑制されていていることが確認されている。よって、ダメージを負っていない箇所については、霧化エア3Aによるせん断力で塗工液2Aを十分に微粒化できており、吹きつけ力も十分に弱く、塗布ムラの抑制が十分になされている。
これらの検討結果及びその他の情報も含めて総合的に考察すると、次のように考えられる。
図5に示したように、塗工液流路7の排出口8から排出された塗工液2Aは、霧化エア3Aの負圧効果により塗工液ノズル5の先端面5aを伝って移動する。そして、塗工液ノズル5の先端面5aとエア流路9の出口10との境界付近で霧化エア3Aによるせん断を受けて、先端面5aに付着している液体本体から粒子状の塗工液2Aが切り出される。その後、切り出された粒子状の塗工液2Aは、霧化エア3Aに乗って搬送されるとともに、霧化エア3Aによる攪拌を受けて更に微細化するものと考えられる。
このとき、エア流路9の最狭部の間隔Tを狭くすることで、その最狭部を通過する時点の霧化エア3Aの流速を高めることはできる。しかしながら、その最狭部を通過してから塗工液2Aに接触するまでの流路の状況によっては、霧化エア3Aの気流に乱れが生じ、塗工液2Aと接触する部分の霧化エア3Aの気流が乱れることが推測される。このような霧化エア3Aの気流の乱れが生じていなければ、塗工液ノズル5の先端面5aに沿って移動する塗工液2Aを、一定の地点で連続的に切り出すことができる。しかしながら、このような霧化エア3Aの気流の乱れが生じていると、塗工液2Aを一定の地点で切り出すことができず、塗工液ノズル5の先端面5aに沿って移動する塗工液2Aはエア流路9の出口10内へ徐々に迫り出してくる。そして、ある程度の時間が経ってある程度の量が迫り出したときに、霧化エア3Aによって一気に切り出される。このときに切り出される塗工液2Aは、通常よりも大きな粒径となっているため、これが霧化エアに乗って塗工対象物に吹き付けられると、これが衝突した塗工対象物の表面部分に大きなダメージを与えることになる。このように、塗工液2Aがエア流路9の出口10内へ徐々に迫り出して霧化エア3Aにより一気に切り出されるという現象が一定の周期で繰り返されることにより、塗工前に形成されている層の表面が荒れてしまうという問題が生じるものと推測される。
そして、本発明者は、以上のような考察をもとに、その最狭部を通過してから塗工液2Aに接触するまでのエア流路部分で上述したような現象を生じさせるような気流に乱れが発生するのを抑制するには、当該エア流路部分の長さLを短くすることが有効であることを見出した。ただし、以下に説明する実験結果から、最狭部の間隔Tが狭いほど、当該エア流路部分での気流の乱れを抑制できる当該エア流路部分の長さLの許容範囲(上限値)が狭くなることが考えられる。しかも、最狭部の間隔Tがある一定間隔以上広い場合には、当該エア流路部分の長さLを短くしても、当該エア流路部分での気流の乱れを十分に抑制できず、上述した現象の発生を抑制することが困難であることが判明した。
図6は、本発明者が行った主な実験条件と実験結果をまとめた表である。
本実験では、以下に説明する実施例1〜10と比較例3〜6に係る各条件で電子写真感光体の表面保護層を塗工し、そのときの電荷輸送層に与えるダメージ(表面の荒れ)を評価した。なお、以下に説明する部は、すべて重量部である。
<実施例1>
直径60mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を、順次、塗工、乾燥することにより、2.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、25μmの電荷輸送層を形成した。これらの層の塗工はすべて浸漬塗工法にて行った。さらに、電荷輸送層の上には、下記組成の表面保護層用塗工液を二流体スプレーガンにて塗工した。本実験における塗工には、図4に示した塗工システムを用い、二流体スプレーガンの基本構成は、本実施形態のものと同じである。そして、スプレーによる塗工後には、Fusion社製UV照射装置にてUV照射を行い、乾燥を経て3.5μmの表面保護層を形成した。
[下引き層用塗工液]
アルキッド樹脂: 6部
(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂: 4部
(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業製)
酸化チタン: 40部
メチルエチルケトン: 50部
[電荷発生層用塗工液]
下記構造式(I)のチタニルフタロシアニン顔料: 1.5部
ポリビニルブチラール(XYHL、UCC製): 1.0部
メチルエチルケトン: 80部
Figure 0006229931
[電荷輸送層用塗工液]
ビスフェノールZポリカーボネート: 10部
(パンライトTS−2050、帝人化成製)
下記構造式(II)の低分子電荷輸送物質: 10部
テトラヒドロフラン: 100部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液: 0.2部
(KF50−100CS、信越化学工業製)
Figure 0006229931
[保護層用塗工液]
〔ミルベース〕
アルミナフィラー: 8部
(スミコランダムAA03、平均一次粒径:0.3μm、住友化学工業製)
ポリカルボン酸化合物: 0.2部
(低分子量不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液、BYK−P104、
不揮発分50%、酸価180mgKOH/g、BYKケミー社製)
シクロペンタノン: 8部
テトラヒドロフラン: 12部
〔保護層塗工液〕
ミルベース: 6.5部
電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物: 10部
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー:
トリメチロールプロパントリアクリレート 5部
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製、分子量:296、官能基数:3官能)
ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート 5部
(KAYARAD DPCA−120、日本化薬製、分子量:1947、
官能基数:6官能)
光重合開始剤: 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、日本化薬製、分子量:204)
レベリング剤: 0.2部
BYK−UV3570(ビックケミー製)
溶媒: 115部
テトラヒドロフラン
[スプレーガン寸法及び角度]
T=0.18mm
L=0.10mm
T/L=1.80
θ1=15度
θ2=0度
[スプレー塗工条件]
スプレー距離:40mm
塗工液排出速度:4.7cc/min
スプレー移動速度:6mm/s
ドラム回転速度:165rpm
霧化エア圧力:55kPa
塗工回数:1回
<実施例2>
実施例1と同様であるが、スプレーガンの寸法と角度、及びスプレー塗工条件のみ下記のように変更した。
[スプレーガン寸法及び角度]
T=0.18mm
L=0.30mm
T/L=0.60
θ1=15度
θ2=0度
[スプレー塗工条件]
スプレー距離:40mm
塗工液排出速度:4.7cc/min
スプレー移動速度:6mm/s
ドラム回転速度:165rpm
霧化エア圧力:55kPa
塗工回数:1回
<実施例3>
実施例1と同様であるが、スプレーガンの寸法と角度、及びスプレー塗工条件のみ下記のように変更した。
[スプレーガン寸法及び角度]
T=0.24mm
L=0.14mm
T/L=1.71
θ1=15度
θ2=0度
[スプレー塗工条件]
スプレー距離:40mm
塗工液排出速度:4.7cc/min
スプレー移動速度:6mm/s
ドラム回転速度:165rpm
霧化エア圧力:55kPa
塗工回数:1回
<実施例4>
実施例1と同様であるが、スプレーガンの寸法と角度、及びスプレー塗工条件のみ下記のように変更した。
[スプレーガン寸法及び角度]
T=0.24mm
L=0.40mm
T/L=0.60
θ1=15度
θ2=0度
[スプレー塗工条件]
スプレー距離:40mm
塗工液排出速度:4.7cc/min
スプレー移動速度:6mm/s
ドラム回転速度:165rpm
霧化エア圧力:55kPa
塗工回数:1回
<実施例5>
実施例1と同様であるが、スプレーガンの寸法と角度、及びスプレー塗工条件のみ下記のように変更した。
[スプレーガン寸法及び角度]
T=0.36mm
L=0.20mm
T/L=1.80
θ1=15度
θ2=0度
[スプレー塗工条件]
スプレー距離:40mm
塗工液排出速度:4.8cc/min
スプレー移動速度:6mm/s
ドラム回転速度:165rpm
霧化エア圧力:55kPa
塗工回数:1回
<実施例6>
実施例1と同様であるが、スプレーガンの寸法と角度、及びスプレー塗工条件のみ下記のように変更した。
[スプレーガン寸法及び角度]
T=0.36mm
L=0.60mm
T/L=0.60
θ1=15度
θ2=0度
[スプレー塗工条件]
スプレー距離:40mm
塗工液排出速度:4.8cc/min
スプレー移動速度:6mm/s
ドラム回転速度:165rpm
霧化エア圧力:55kPa
塗工回数:1回
<実施例7>
実施例1と同様であるが、スプレーガンの寸法と角度、及びスプレー塗工条件のみ下記のように変更した。
[スプレーガン寸法及び角度]
T=0.48mm
L=0.28mm
T/L=1.71
θ1=15度
θ2=0度
[スプレー塗工条件]
スプレー距離:40mm
塗工液排出速度:4.8cc/min
スプレー移動速度:6mm/s
ドラム回転速度:165rpm
霧化エア圧力:55kPa
塗工回数:1回
<実施例8>
実施例1と同様であるが、スプレーガンの寸法と角度、及びスプレー塗工条件のみ下記のように変更した。
[スプレーガン寸法及び角度]
T=0.48mm
L=0.80mm
T/L=0.60
θ1=15度
θ2=0度
[スプレー塗工条件]
スプレー距離:40mm
塗工液排出速度:4.8cc/min
スプレー移動速度:6mm/s
ドラム回転速度:165rpm
霧化エア圧力:55kPa
塗工回数:1回
<実施例9>
実施例1と同様であるが、スプレーガンの寸法と角度、及びスプレー塗工条件のみ下記のように変更した。
[スプレーガン寸法及び角度]
T=0.18mm
L=0.10mm
T/L=1.80
θ1=0度
θ2=0度
[スプレー塗工条件]
スプレー距離:40mm
塗工液排出速度:4.8cc/min
スプレー移動速度:6mm/s
ドラム回転速度:165rpm
霧化エア圧力:55kPa
塗工回数:1回
<実施例10>
実施例1と同様であるが、スプレーガンの寸法と角度、及びスプレー塗工条件のみ下記のように変更した。
[スプレーガン寸法及び角度]
T=0.18mm
L=0.10mm
T/L=1.80
θ1=15度
θ2=15度
[スプレー塗工条件]
スプレー距離:40mm
塗工液排出速度:4.8cc/min
スプレー移動速度:6mm/s
ドラム回転速度:165rpm
霧化エア圧力:55kPa
塗工回数:1回
<比較例1>
実施例1と同様であるが、スプレーガンの寸法と角度、及びスプレー塗工条件のみ下記のように変更した。
[スプレーガン寸法及び角度]
T=0.60mm
L=0.33mm
T/L=1.82
θ1=15度
θ2=0度
[スプレー塗工条件]
スプレー距離:40mm
塗工液排出速度:4.8cc/min
スプレー移動速度:6mm/s
ドラム回転速度:165rpm
霧化エア圧力:55kPa
塗工回数:1回
<比較例2>
実施例1と同様であるが、スプレーガンの寸法と角度、及びスプレー塗工条件のみ下記のように変更した。
[スプレーガン寸法及び角度]
T=0.60mm
L=1.00mm
T/L=0.6
θ1=15度
θ2=0度
[スプレー塗工条件]
スプレー距離:40mm
塗工液排出速度:4.8cc/min
スプレー移動速度:6mm/s
ドラム回転速度:165rpm
霧化エア圧力:55kPa
塗工回数:1回
<比較例3>
実施例1と同様であるが、スプレーガンの寸法と角度、及びスプレー塗工条件のみ下記のように変更した。
[スプレーガン寸法及び角度]
T=0.18mm
L=0.60mm
T/L=0.30
θ1=15度
θ2=0度
[スプレー塗工条件]
スプレー距離:40mm
塗工液排出速度:4.6cc/min
スプレー移動速度:6mm/s
ドラム回転速度:165rpm
霧化エア圧力:55kPa
塗工回数:1回
<比較例4>
実施例1と同様であるが、スプレーガンの寸法と角度、及びスプレー塗工条件のみ下記のように変更した。
[スプレーガン寸法及び角度]
T=0.24mm
L=0.80mm
T/L=0.3
θ1=15度
θ2=0度
[スプレー塗工条件]
スプレー距離:40mm
塗工液排出速度:4.6cc/min
スプレー移動速度:6mm/s
ドラム回転速度:165rpm
霧化エア圧力:55kPa
塗工回数:1回
<比較例5>
実施例1と同様であるが、スプレーガンの寸法と角度、及びスプレー塗工条件のみ下記のように変更した。
[スプレーガン寸法及び角度]
T=0.36mm
L=1.20mm
T/L=0.3
θ1=15度
θ2=0度
[スプレー塗工条件]
スプレー距離:40mm
塗工液排出速度:4.7cc/min
スプレー移動速度:6mm/s
ドラム回転速度:165rpm
霧化エア圧力:55kPa
塗工回数:1回
<比較例6>
実施例1と同様であるが、スプレーガンの寸法と角度、及びスプレー塗工条件のみ下記のように変更した。
[スプレーガン寸法及び角度]
T=0.60mm
L=2.00mm
T/L=0.3
θ1=15度
θ2=0度
[スプレー塗工条件]
スプレー距離:40mm
塗工液排出速度:4.8cc/min
スプレー移動速度:6mm/s
ドラム回転速度:165rpm
霧化エア圧力:55kPa
塗工回数:1回
<実施例および比較例の評価>
以上のようにして作製された実施例1〜10及び比較例1〜6の電子写真感光体に対し、まず、ブラックライト灯下での目視検査を行った。ブラックライトを照射すると、下地である電荷輸送層が発光するので、表面保護層のスプレー塗工に起因する電荷輸送層のダメージを発光ムラの形で視認することができる。目視検査の際の評価基準は、下記の表1に示すとおりである。
Figure 0006229931
続いて、実施例1〜10及び比較例1〜6の電子写真感光体に対し、画像評価を行った。この画像評価には、評価する電子写真感光体をプロセスカートリッジに装着し、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、定着手段、クリーニング手段、滑剤塗布手段、除電手段を搭載したリコー製デジタルフルカラー複写機RICOH Pro C751EXの改造機を用いた。評価する電子写真感光体には、事前にNOxガス暴露試験を行い、低温低湿環境(10℃15%RH)にて2万枚通紙(フルカラー、A4、画像面積率5%)した後に出力した画像の濃度ムラを評価した。評価に用いた画像は、2ドットハーフトーンのA3画像とし、評価は目視で行った。画像ムラの評価基準は、下記の表2に示すとおりである。
Figure 0006229931
電子写真感光体の目視検査、画像評価の結果は、図6に示したとおりである。
目視検査・画像検査ともに、「○」以上の評価ランクである場合には、表面保護層のスプレー塗工に起因する電荷輸送層のダメージが十分に抑制できているものと評価できる。
まず、実施例1〜8を見ると、エア流路9の最狭部の間隔Tを0.48mm以下に狭めれば、目視検査・画像検査が「○」以上の評価ランクが得られている。ただし、比較例3〜5を見ると、エア流路9の最狭部の間隔Tが0.48mm以下であっても、目視検査・画像検査の評価ランクが「×」となっている。この点は、エア流路9の最狭部から塗工液ノズル5の先端面5aまでの距離Lが影響しているものと考えられる。その理由は、エア流路9の最狭部から塗工液ノズル5の先端面5aまでのエア流路部分で霧化エアが乱れることに原因があるという上述した考察によれば、このエア流路部分の距離Lが短いほど、そのエア流路部分での霧化エアの乱れは小さくなるものと考えられるからである。
ところが、比較例3及び比較例4は、エア流路9の最狭部から塗工液ノズル5の先端面5aまでの距離Lがそれぞれ0.6mm、0.8mmと比較的短いにも関わらず、目視検査・画像検査の評価ランクが「×」となっている。これに比較して、実施例6及び実施例8は、エア流路9の最狭部から塗工液ノズル5の先端面5aまでの距離Lが、これらの比較例と同じく、それぞれ0.6mm、0.8mmであるが、目視検査・画像検査の評価ランクが「○」となっている。この違いについて検討すると、比較例3及び比較例4は、エア流路9の最狭部の間隔Tが0.18mm、0.24mmと比較的狭く設定されているのに対し、実施例6及び実施例8の間隔Tは、0.36mm、0.48mmと比較的広く設定されている。この結果からエア流路9の最狭部の間隔Tが狭まるほど、目視検査・画像検査の評価ランクを「○」以上にするために要求される距離Lの範囲(上限値)が狭くなると考えられる。これは、エア流路9の最狭部の間隔Tが狭まるほど、その最狭部から吹き出る霧化エアの勢いが強いため、その最狭部から塗工液ノズル5の先端面5aまでのエア流路部分で霧化エアが乱れやすくなるものと推測される。
そして、比率T/Lを指標値として見ると、最狭部の距離Tに対し、比率T/Lが0.6以上であるという条件が満たされるように距離Lを設定すれば、目視検査・画像検査の評価ランクを「○」以上にすることができる。
ただし、比較例1及び比較例2を見ると、比率T/Lが0.6以上であっても、目視検査・画像検査の評価ランクを「△」となっている。特に、比較例1は、エア流路9の最狭部から塗工液ノズル5の先端面5aまでの距離Lが0.33と狭く設定されているにも関わらず、評価ランクが「△」である。この結果から、エア流路9の最狭部の距離Tが0.6以上と長い場合には、距離Lを短く設定しても、評価ランクを「○」以上にすることは難しいと思われる。これは、エア流路9の最狭部の距離Tが0.6以上と長い場合には、霧化エアの流速が遅くて微粒化が不十分であるとともに、塗工対象物に対する吹きつけ力が強いため、電荷輸送層へのダメージが生じているものと考えられる。このときには、エア流路9の出口10内へ塗工液2Aが徐々に迫り出してある瞬間に一気に霧化エア3Aによって大粒径の塗工液が切り出されるという上述の現象は生じていないものと考えられ、距離Lを短く設定して気流の乱れを抑制しても効果がないものと推測される。
なお、本実施形態のスプレーガン4において、図5に示したように、エア流路9を形成する塗工液ノズル5の先端テーパー部の外周面とスプレーガン中心軸Oとのなす角度θ1や、エア流路9の最狭部からエアキャップ6の先端までのエア流路部分を形成するエアキャップ6の内壁面とスプレーガン中心軸Oとのなす角度θ2には、特に制限はないが、θ1≧θ2、θ1≧0°、θ2≧0°という条件を満たすのが好ましい。
また、本実施形態は、塗工対象物が塗工前の電子写真感光体であり、表面保護層を塗工する場合に本発明を適用した例であったが、これに限らず、塗工によってダメージを負いやすい塗工対象物を塗工する場合であれば、本発明を広く適用することができる。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
塗工液供給手段2から供給される塗工液2Aを排出口8から排出する塗工液ノズル5と、前記塗工液ノズルの外周面を取り囲んで、該塗工液ノズルの外周面との間に霧化エア供給手段3により供給される霧化エア3Aが通過するエア流路9を形成するエアキャップ6等の流路形成部材とを有し、前記塗工液ノズルの排出口8から供給された塗工液2Aを、前記エア流路9から供給される霧化エア3Aにより霧化して電子写真感光体(表面保護層塗工前)等の塗工対象物51へ吹き付けるスプレーガン4において、前記エア流路の最狭部の間隔Tは、0.48[mm]以下に設定されており、前記エア流路の最狭部の間隔Tと該最狭部から前記塗工液ノズルの排出口8が開口した先端面5aまでの距離Lとの比率T/Lが0.6以上となるように、該距離Lが設定されていることを特徴とする。
塗工対象物の表面が荒れてしまう理由は、上述した考察のとおり、塗工液ノズル5の先端面5aに沿って移動する塗工液2Aがエア流路9の出口10内へ徐々に迫り出し、ある瞬間に一気に塗工液が切り出されるという現象が繰り返されることによるものである。すなわち、この現象が繰り返されることで、大粒径の塗工液が周期的に塗工対象物に吹き付けられ、そのときの衝突により塗工対象物の表面がダメージを負い、塗工対象物の表面が荒れてしまうのである。本態様のように、エア流路の最狭部の間隔Tを0.48[mm]以下の範囲で設定した上で、比率T/Lが0.6以上となるように距離Lを狭く設定することで、エア流路の最狭部から塗工液ノズル5の先端面5aまでのエア流路部分で生じ得る霧化エアの乱れを抑制できる。その結果、霧化エアによる安定した切り出し(せん断)が可能となり、上述した現象の発生が抑制される。
(態様B)
前記態様Aにおいて、前記エア流路の最狭部の間隔Tは、0.24[mm]以下に設定されていることを特徴とする。
これによれば、塗工対象物の表面が荒れてしまうのを更に良好に抑制できる。
(態様C)
スプレー塗工装置1において、前記態様A又はBに係るスプレーガン4と、塗工対象物を回転させながら支持する回転支持手段と、前記スプレーガンを前記回転支持手段の回転軸方向へ移動させるガイドレール54等の移動手段とを有することを特徴とする。
これによれば、塗工対象物の表面を荒らすことなく、塗工対象物に塗工液を塗工することができる。
(態様D)
電子写真感光体の製造方法において、前記態様Cに係るスプレー塗工装置1を用いて電子写真感光体を構成する所定層を塗工し、該電子写真感光体を製造することを特徴とする。
これによれば、塗工前に形成されている電子写真感光体の層を荒らすことなく、その上層を塗工することができる。
(態様E)
前記態様Dにおいて、前記所定層は、前記電子写真感光体を構成する表面保護層であり、前記電子写真感光体を構成する感光層の上に前記表面保護層を塗工して、該電子写真感光体を製造することを特徴とする。
これによれば、塗工前に形成されている電子写真感光体の感光層を荒らすことなく、その上に表面保護層を塗工することができる。
1 スプレー塗工装置
2 塗工液供給手段
2A 塗工液
3 霧化エア供給手段
3A 霧化エア
4 スプレーガン
5 塗工液ノズル
5a 先端面
5n ニードル
6 エアキャップ
7 塗工液流路
8 排出口
9 エア流路
10 出口
51 塗工対象物
52 塗工ブース
54 ガイドレール
55 クリーンエア供給口
56 排気口
58 塗工液タンク
59,62 ポンプ
61 霧化エアタンク
特開2005−315963号公報 特開2006−227179号公報 特開2008−70809号公報 特開2011−125769号公報

Claims (3)

  1. 塗工液供給手段から供給される塗工液を排出口から排出する塗工液ノズ及び、前記塗工液ノズルの外周面を取り囲んで、該塗工液ノズルの外周面との間に霧化エア供給手段により供給される霧化エアが通過するエア流路を形成する流路形成部材を有し、前記塗工液ノズルの排出口から供給された塗工液を、前記エア流路から供給される霧化エアにより霧化して塗工対象物へ吹き付けるスプレーガンと、塗工対象物を回転させながら支持する回転支持手段と、前記スプレーガンを前記回転支持手段の回転軸方向へ移動させる移動手段とを備えたスプレー塗工装置を用いて、電子写真感光体を構成する所定層を塗工し、該電子写真感光体を製造する電子写真感光体の製造方法において、
    前記エア流路の最狭部の間隔Tは、0.48[mm]以下に設定されており、
    前記エア流路の最狭部の間隔Tと該最狭部から前記塗工液ノズルの排出口が開口した先端面までの距離Lとの比率T/Lが0.6以上となるように、該距離Lが設定されていることを特徴とする電子写真感光体の製造方法
  2. 請求項1の電子写真感光体の製造方法において、
    前記エア流路の最狭部の間隔Tは、0.24[mm]以下に設定されていることを特徴とする電子写真感光体の製造方法
  3. 請求項1又は2の電子写真感光体の製造方法において、
    前記所定層は、前記電子写真感光体を構成する表面保護層であり、
    前記電子写真感光体を構成する感光層の上に前記表面保護層を塗工して、該電子写真感光体を製造することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
JP2013191290A 2013-09-17 2013-09-17 電子写真感光体の製造方法 Expired - Fee Related JP6229931B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013191290A JP6229931B2 (ja) 2013-09-17 2013-09-17 電子写真感光体の製造方法
US14/484,347 US9846376B2 (en) 2013-09-17 2014-09-12 Spray gun for coating, spray coating device, and method for producing electrophotographic photoconductor
CN201410471619.0A CN104437925A (zh) 2013-09-17 2014-09-16 涂布用喷枪、喷涂装置和生产电子照相感光体的方法
EP14184990.1A EP2851127A1 (en) 2013-09-17 2014-09-16 Spray gun for coating, spray coating device, and method for producing electrophotographic photoconductor

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013191290A JP6229931B2 (ja) 2013-09-17 2013-09-17 電子写真感光体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015058367A JP2015058367A (ja) 2015-03-30
JP6229931B2 true JP6229931B2 (ja) 2017-11-15

Family

ID=51609911

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013191290A Expired - Fee Related JP6229931B2 (ja) 2013-09-17 2013-09-17 電子写真感光体の製造方法

Country Status (4)

Country Link
US (1) US9846376B2 (ja)
EP (1) EP2851127A1 (ja)
JP (1) JP6229931B2 (ja)
CN (1) CN104437925A (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104749907A (zh) * 2015-04-22 2015-07-01 天津复印技术研究所 一种大幅面有机光导鼓的制备方法及制备得到的有机光导鼓
CN108580153B (zh) * 2018-07-09 2024-04-09 中国船舶重工集团公司第七0三研究所 一种大流量超声精细雾化喷嘴
WO2022130902A1 (ja) * 2020-12-17 2022-06-23 富士フイルム株式会社 多層フィルムの製造方法及び塗布装置
CN115870117B (zh) * 2023-02-07 2023-05-19 山东浩纳新材料科技集团有限公司 一种新型喷雾喷嘴

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5954112A (en) * 1998-01-27 1999-09-21 Teledyne Industries, Inc. Manufacturing of large diameter spray formed components using supplemental heating
JP2005125161A (ja) * 2003-10-22 2005-05-19 Sps:Kk ロータリ式塗装装置
JP4264947B2 (ja) * 2004-04-27 2009-05-20 株式会社リコー 電子写真感光体用のスプレー塗工装置と電子写真感光体の製造方法
JP4414352B2 (ja) 2005-02-16 2010-02-10 株式会社リコー 電子写真感光体用スプレー塗布装置および電子写真感光体の製造方法
US7717059B2 (en) * 2005-06-15 2010-05-18 Spraying Systems Co. Liquid adhesive dispensing system
JP4838673B2 (ja) * 2006-09-15 2011-12-14 株式会社リコー 電子写真装置の部品用スプレー塗布装置および電子写真感光体の製造方法
DE102007055936B4 (de) 2007-12-30 2013-06-27 Georg-August-Universität Göttingen Stiftung Öffentlichen Rechts Aerosolerzeugerdüse, Aerosolerzeugersystem, Beschichtungssystem und Verfahren
JP5429610B2 (ja) 2009-03-13 2014-02-26 株式会社リコー 電子写真用キャリアの製造方法
JP2011125769A (ja) 2009-12-15 2011-06-30 Meiji Kikai Seisakusho:Kk エアースプレーガン
JP2012005949A (ja) * 2010-06-24 2012-01-12 Fuji Xerox Co Ltd ノズル及び塗布膜の製造方法
NZ609622A (en) 2010-11-12 2014-05-30 Ricoh Co Ltd Flange member, photosensitive drum, process cartridge, image forming apparatus, and image forming method

Also Published As

Publication number Publication date
US20150079275A1 (en) 2015-03-19
EP2851127A1 (en) 2015-03-25
JP2015058367A (ja) 2015-03-30
US9846376B2 (en) 2017-12-19
CN104437925A (zh) 2015-03-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6229931B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP4414352B2 (ja) 電子写真感光体用スプレー塗布装置および電子写真感光体の製造方法
JP6614757B2 (ja) 回転霧化頭型塗装機
JP6434676B2 (ja) 回転霧化頭型塗装機
JP5162857B2 (ja) 塗装品の製造方法、塗装装置及び電子写真装置用部品の製造方法
JP2001113207A (ja) 静電塗装装置
US20090280420A1 (en) Organic photoreceptor, image forming method, image forming apparatus, and image forming unit
JP4838673B2 (ja) 電子写真装置の部品用スプレー塗布装置および電子写真感光体の製造方法
JP2012005949A (ja) ノズル及び塗布膜の製造方法
JP4264947B2 (ja) 電子写真感光体用のスプレー塗工装置と電子写真感光体の製造方法
JP2006239837A (ja) 円筒形部品の内面洗浄方法および装置
US9808828B2 (en) Electrostatic painting method
JP6634532B2 (ja) 車両ボディの塗装方法および車両ボディの塗装システム
JP6772996B2 (ja) 防錆処理方法
JP2011123442A (ja) 円筒体の処理方法および外周面が粗面化された円筒状電子写真感光体の製造方法
JP2005087960A (ja) 塗布方法及び塗布装置
JP5986754B2 (ja) 管内面塗装装置および管内面塗装方法
CN211190629U (zh) 一种喷嘴
JPH02272567A (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP4310225B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP2000267396A (ja) 画像形成装置用部材の製造方法
CN117583142A (zh) 旋转雾化头型涂装机及静电涂装装置
JPH06328039A (ja) 塗装方法
JPH01104363A (ja) スプレー塗布装置
JP2005262416A (ja) 円筒状基体の製造方法、製造装置および円筒状基体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160908

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170711

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170714

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170907

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170922

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171005

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6229931

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees