〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る表示装置の外観構成例を示している。図1に示す構成は一例であり、本開示の技術が斯かる構成に限定されない。
図1に示す表示装置2は、本開示の表示装置の一例であり、図示しない情報処理装置で生成された画像情報を表示する。表示装置2は、たとえば外装ケース4の一面側に形成された窓部6内にディスプレイ8が収納される。また表示装置2は、ケース部材4の一面側に、窓部6から露出したディスプレイ8の前面を覆うようにパネル10が設置される。
表示装置2は、たとえば図示しない外部のPC(Personal Computer)やその他の情報処理装置などに有線または無線で接続され、生成した画像情報を受けて表示を行う。また、表示装置2は、たとえば外装ケース4内に情報処理機能部品が搭載されたタブレットPCや携帯端末装置などであってもよい。そして表示装置2は、窓部6内のディスプレイ8が発した画像がパネル10を介して利用者に目視可能になる。
<表示装置2の構成例について>
図2は、表示装置の構成例の構成例を示している。
表示装置2は、たとえば図2に示すように、ディスプレイ8がフロントケース12とリアケース14内に収納される。さらにフロントケース12の前面側には、パネル10が接着部品16を介して設置される。
フロントケース12は外装ケース4の構成部品の一例であり、たとえば平面部分の中央に配置されるディスプレイ8の周縁部分を保持する枠体15により、ディスプレイ8の表示面を表示装置2の外部に露出させる窓部6が形成される。リアケース14は外装ケース4の構成部品の一例であり、フロントケース12と接合することでディスプレイ8を保持し、収納する。フロントケース12の枠体の背面側やリアケース14の一部には、ディスプレイ8に対する支持構造が形成されてもよい。
ディスプレイ8は本開示の表示手段の一例であり、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)表示素子や有機EL(Organic Electro luminescence)表示素子などが含まれる。
パネル10は、本開示の保護部材の一例であり、ディスプレイ8の前面側を覆って、外部からディスプレイ8への異物の接触から防護する。またパネル10は、たとえば表示画面に基づいて利用者の生体指などを接触させて入力操作を行うタッチセンサを備えてもよい。そのほかパネル10は、単層のものに限られず、多層で形成されてもよい。パネル10は、たとえばアクリルやプラスチックなどの樹脂部材やガラスなどで形成されればよく、ディスプレイ8からの光を透過可能である。
接着部品16は、フロントケース12の枠体15とパネル10とを接着させる部材の一例である。接着部品16は、たとえば前面側および背面側の両面に粘着部材が塗布された両面テープなどが含まれ、枠体15とパネル10との間に介在して両者を接着固定させる。すなわちパネル10は、少なくともフロントケース12の枠体15に接触して設置され、窓部6内のディスプレイ8の前面側を覆えばよく、ディスプレイ8の表示面に接触されなくてもよい。
また、接着部品16は粘着部材とともに、この粘着部材による接着状態を解除してパネル10を剥離する剥離手段を備えている。この剥離手段は、表示装置2の修理(リペア)処理などにおいて、パネル10をケース部材4から剥離する場合に利用される。
そのほか、表示装置2には、たとえば図示しないコンピュータを構成するプロセッサやメモリを含む基板などが搭載されてもよい。
<接着部品16の構成および設置状態について>
接着部品16は、たとえば図3に示すように、フロントケース12の枠体15上に対し、窓部6の全周、または一面に沿って設置される。接着部材16の長辺方向の長さは、設置される枠体15の長さに応じて設定すればよく、たとえば枠体15が長い場合、複数の接着部材16を枠体15の一辺に沿って、直線上に並べてもよい。
接着部品16は、たとえば枠体15の前面側に、枠体15の形状に沿って所定の間隔をもって並列に配置された両面テープ20と、この両面テープ20の貼付位置に沿って配置された操作タグ22が含まれる。この両面テープ20は本開示の接着部材の一例である。操作タグ22は、剥離手段の構成部品の一例である。操作タグ22の一端には、剥離手段の構成部品である剥離部24が設置される。
この接着部品16は、剥離部24の側面側に両面テープ20を接触させない。これにより剥離部24は、剥離処理における操作タグ22に対する引張り操作に対して変位可能になり、両面テープ20の接着面に対して摺動することができる。また、操作タグ22は、たとえばパネル10の分解処理の実行以外で剥離部24を移動させないために、側面側の一部または全部を両面テープ20の側面側の粘着力で保持させてもよい。
接着部品16は、たとえば図4に示すように、並列に配置された2枚の両面テープ20の間に操作タグ22が設置される。枠体15上に配置される両面テープ20の長さは、たとえば操作タグ22よりも短く形成されており、剥離部24に接触させない位置に貼付されている。剥離部24は、たとえば摺動方向に対する幅L1が操作タグ22の幅L2よりも幅広であり、剥離部24の一辺の中央側で操作タグ22の端部が接続されている。これにより操作タグ22と剥離部24は、「T」字形状になっている。剥離部24は、たとえば操作タグ22との連結部分の両側に並んで剥離刃26が形成されている。
剥離刃26は、パネル10の剥離処理において操作タグ22の引込み操作により両面テープ20の接着面に摺動して接着状態を解除させる手段の一例である。剥離刃26は、たとえば操作タグ22の引張り方向であって剥離部24の摺動方向に向けて凹凸形状に形成され、少なくともその一部が鋭角状に突出している。そしてこの剥離刃26は、形成された凹凸面が両面テープ20の端部に隣接して配置される。すなわち、剥離刃26は、操作タグ22が剥離方向に引かれると、凹凸面が両面テープ20の端面側に接触して両面テープ20を押圧する。
また、操作タグ22は、図5に示すように、剥離部24が形成されない端部側が枠体15の一部からフロントケース12の背面側に挿通され、外装ケース4の内部に配置される。フロントケース12の枠体15には、操作タグ22をケース内部に導くガイド孔30が形成されている。ガイド孔30の開口幅は、操作タグ22の幅L2(図4)と同等に設定されており、後述する剥離処理の引張りにより操作タグ22が左右に振れるのを阻止する。
両面テープ20は、たとえば図6に示すように、一端側がガイド孔30の開口部分に配置され、操作タグ22および剥離部24の移動する長さに合わせて設定される。ガイド孔30は、たとえばフロントケース12上において、縦方向の枠体15と横方向の枠体15とが合流する角部側に形成されている。すなわちフロントケース12には、一部に操作タグ22の引込み位置を集めるように形成されている。これによりパネル10の剥離処理では、たとえば両面テープ20の貼付位置に沿って表示装置2を回転させたり、操作タグ22を操作するために表示装置の向きを変えたりする必要がなく、操作タグ22に対する引張り操作の煩雑化が解消される。
フロントケース12の背面側には、たとえば図7に示すようにガイド孔30から差し込まれた操作タグ22の端部が突出する。操作タグ22の長さは、たとえば両面テープ20の長さやフロントケース12内への突出長さによって設定されればよい。操作タグ22は、たとえばフロントケース12とリアケース14の接合によって形成される収納部内に収納される。操作タグ22は、たとえば収納部内の他の部品との干渉や接触による損傷を回避するとともに、剥離処理において作業者が操作タグ22の端部側の一部を把持して操作可能な突出長さが設定される。
<フロントケース12とパネル10の接着状態について>
図8および図9は、フロントケースおよびパネルの接着状態例を示している。
パネル10は、図8に示すように枠体15に対し、2枚の両面テープ20とともに、この両面テープ20に沿って枠体15上に配置された剥離手段である操作タグ22および剥離部24を介して接着されている。パネル10は、たとえば枠体15との接着部分を表示装置2の外部に透過させないように、着色し、または遮光部材を貼り付けてもよい。2枚の両面テープ20による接着間隔L3は、操作タグ22の幅L2と同等または広く設定される。このように操作タグ22は、両面テープ20によって挟まれることで、剥離処理における引張り操作に対し、操作部24が左右のいずれかに変位するのを阻止される。
操作部24は、たとえば剥離処理においてパネル10とフロントケース12との間から剥離刃26の一部を突出させないように、操作部24の幅L1(図4)が両面テープ20の設置幅L4よりも小さく形成される。また、剥離部24の幅L1および両面テープ20の接着間隔L3は、操作タグ22の左右へのブレによって剥離部24がパネル10の端部から外部に露出させないように設定される。
剥離部24と操作タグ22は、たとえば図9に示すように、同等の厚さで形成されている。パネル10とフロントケース12の接着部分の厚さd2は、剥離部24および操作タグ22の厚さd1よりも大きく設定されている。剥離部24は、両面テープ20よりも薄く形成されることで、引張り操作に対しパネル10と枠体15上面との間で上下方向に変位可能に設定されている。
<操作タグ22の引張り操作について>
図10、図11は、操作タグの引張り状態例を示している。
操作タグ22は、たとえば図10に示すように、ガイド孔30に挿通された端部側がフロントケース12の背面側から引張られることで、剥離部24が両面テープ20に沿って変位する。この変位により剥離部24は、剥離刃26によって両面テープ20の接着面を摺動して接着状態を解除させる。
パネル10の剥離処理において、操作タグ22は、たとえば剥離処理作業者により所定の引張り力Fで剥離方向に対して直交方向に引張られる。操作タグ22の引張り方向は、たとえば枠体15に形成されたガイド孔30のガイド方向によって設定され、剥離方向に対して引張り方向を鋭角状、または鈍角状にガイドしてもよい。そのほか、ガイド孔30は、たとえば操作タグ22の端部をフロントケース12の背面に沿って引張らせてもよい。操作タグ22に対する引張り力Fは、両面テープ20の粘着力や、操作タグ22と剥離部24の連結部分の強度などに応じて設定されればよい。
操作タグ22は、たとえば枠体15に形成された各ガイド孔30の全てを同じ方向に引張るように設定してもよく、またはガイド孔30毎に引張り方向を異ならせてもよい。
操作タグ22は、引張り方向に向けて引張られると、胴体部分が枠体15の上面またはパネル10の接着面側を摺動してガイド孔30内に導かれる。ガイド孔30は、両面テープ20の幅方向へのガイドとともに、操作タグ22の摺動方向に対して前後側の面30a、30bによって引張り状態を安定化させる。すなわち、ガイド孔の面30a、30bは、たとえば作業者による引張り方向の振れが大きい場合や、引張り力Fが強すぎる場合、操作タグ22の胴体部分を接触させることで方向の制限や、力の分散を図ることができる。また、操作タグ22は、剥離対象である粘着テープ20の貼付位置に沿って摺動することで、両面テープ20の粘着力により摺動時の移動方向が規制される。
ガイド孔30は、たとえば枠体15の前面側を傾斜させ、その傾斜面に接触させながら操作タグ22をフロントケース12の内部側に導いてもよい。
<パネルの剥離処理について>
図12は、表示装置の分解処理の一例を示している。図12に示す処理内容、処理手順は一例である。
図12に示す表示装置の分解処理は、本開示の表示装置のリペア方法の一例であり、フロントケース12からパネル10を剥離させるパネル剥離処理が含まれる。
この分解処理では、たとえば表示装置2からリアケース14の取り外しを行い(S1)、表示装置2の収納部を開放させ、内部部品を取出し可能な状態にする。このリアケース14の取り外しにおいて、たとえば内蔵された制御基板やその他の機能部品や保護部品などの取り外しが行われる。
次に、パネル10の剥離処理(L)に移行する。パネル剥離処理では、たとえばフロントケース12から収納部内に挿通された操作タグ22の端部の位置を確認し、設定された方向として、表示装置2の背面側に向けて操作タグ22を引張り力Fで引込ませる(S2)。操作タグ222が引込まれると、剥離部24は、たとえば図13に示すように、両面テープ20の上面側、すなわちパネル10との接着面を摺動し、その接着状態を解除させる。また、剥離部24は、たとえば図14に示すように、引張り操作により枠体15の上面側を変位し、枠体15に対する接着面を摺動して、その接着状態を解除させてもよい。剥離部24は、たとえば引張り操作の開始時に、両面テープ20の接着面のうち剥離させ易い部分に変位して摺動を開始する。引張り操作前の状態において、剥離部24の配置位置に両面テープ20を貼付させないことで、剥離部24は、引張り操作時に上下方向に変位可能であるため、剥離位置の設定を行うことができる。
そのほか、パネル10の剥離処理では、たとえば図15に示すように、摺動に応じて両面テープ20の一部を切断し、剥離面を変更してもよい。すなわち、両面テープ20の接着力がパネル10または枠体15との接着面において一定でないことから、剥離部24は接着力の弱い部分に向けて摺動する。
操作タグ22を所定長さとして、たとえば剥離部24がガイド孔30に接触するまで引込むと、両面テープ20の接着状態が解除される。引張り操作が完了すると、図12に示すように、フロントケース12とパネル10とを分離させ(S3)、パネル剥離処理が完了する。パネル10は、たとえば作業者がパネル10の一部を把持して引き剥がしてもよく、または専用のパネル保持工具などを用いて引き剥がされる。
フロントケース12からパネル10が剥がされると、枠体15の窓部6に配置されていたディスプレイ8の取り外しが行われ(S4)、表示装置2の分解処理が完了する。
なお、パネル剥離処理は、表示装置2の分解処理を行う場合にのみ実行されるものではなく、パネル10の剥離のみを行ってもよい。すなわち、表示装置2は、たとえばパネル10のみの交換(リペア)を行う場合、ディスプレイ8やその他の機能部品を分解させずにパネル剥離処理(L)が行われればよい。また、表示装置2の分解処理において、ディスプレイ8の取り外しをパネル剥離処理の後に行う場合を示したがこれに限られない。ディスプレイ8の表示部がパネル10と接着されていない場合、パネル剥離処理に関わらず、枠体15からディスプレイ8を取り外してもよい。
<他の両面テープを利用する場合のパネル10の剥離処理について>
図16、図17は、他の両面テープを利用してフロントケース12とパネル10とが接着された場合を示している。
図16に示す両面テープ32は、本開示の接着部材の一例であり、たとえば上下面に粘着層34が形成され、その粘着層34の間に弾性層36が一体的に形成された多層構造である。弾性層36は、たとえば衝撃や振動吸収性を備えたゴムなどの樹脂材料、またはプラスチックやポリマーなどの合成樹脂材料で形成されている。これにより両面テープ32は、たとえば接着したパネル10やフロントケース12に対する外部負荷を吸収し、接着面の剥離や破断の回避を図ることができる。
両面テープ32は、たとえば枠体15の上面側に操作タグ22が配置可能な間隔を持って2つ設置されている。この両面テープ32の設置幅や図示しないパネル10の平面方向への長さは、上記の場合と同様に設定されればよい。これにより、両面テープ32は、剥離部24の側面側に配置させない長さ設定される。
両面テープ32の弾性層36は、たとえば図17に示すように、剥離刃26の摺動により剪断可能な剛性またはその他の物性を備えている。この弾性層36の剛性は、たとえば粘着層34の粘着強さよりも脆弱に設定されており、剥離部24の摺動により破断し易くなっている。これにより、剥離処理において剥離部24は、操作タグ22が引込まれると、剛性の弱い弾性層36の高さに変位して摺動することで、剥離刃26によって弾性層36を剪断する。これによりパネル10およびフロントケース12は、それぞれ粘着層34と分断された弾性層36が付着した状態で接着状態が解除される。
このような両面テープ32を利用することで、パネル10とフロントケース12との分断位置が予め設定できる。また、剥離刃26をパネル10の表面や枠体15の表面に摺動させないので、剥離処理において部品の損傷を回避できる。
<表示装置の組立て処理について>
図18は、表示装置の組立て処理の一例を示している。図18に示す処理内容、処理手順は一例である。
図18に示す組立て処理は、表示装置2のリペア方法の一例である。組立て処理では、フロントケース12の窓部6にディスプレイ8を設置する(S11)。フロントケース12の枠体15には、前面側の所定位置に両面テープ20を貼付する(S12)とともに、この両面テープ20の位置に合わせて剥離手段を設置する。剥離手段の設置処理では、両面テープ20に沿って操作タグ22を配置し(S13)、両面テープ20の端面側に隣接して剥離部24を配置させる。
操作タグ22は、一端側をフロントケース12に形成されたガイド孔30に挿通させて(S14)、剥離手段の設置が完了する。剥離手段および両面テープ20が設置されたフロントケース12に対し、パネル10を前面側に設置し(S15)、両面テープ20によって接着固定する。
表示装置2は、フロントケース12の背面側にリアケース14を接合させ(S16)、組立て処理が完了する。
<表示装置の実施例>
図19は、表示装置を利用する情報処理装置の一例を示している。
表示装置42は、たとえばPCなど外部に接続された情報処理装置44で生成された表示情報を受信し、表示画面を表示する。表示装置42と情報処理装置44は、たとえば同一の外装ケースによって一体化して形成されてもよい。
なお、この実施の形態では、2枚の両面テープによってフロントケース12とパネル10とが接着される場合を示したがこれに限られない。フロントケース12の枠体15上に1枚の両面テープが貼り付けられる場合も含まれる。この場合剥離手段を形成する剥離部24は、たとえば両面テープ20に並列に設置された操作タグ22の端部に対し、両面テープ20が貼り付けられた方向に幅広に形成されてもよい。すなわち操作タグ22と剥離部24は、たとえば「L」字形状に形成され、剥離部24の幅広部分に剥離刃26を形成してもよい。
斯かる構成によれば、操作タグ22の引込み操作により両面テープ20を剥離してフロントケース12とパネル10との分解が可能な状態にすることができ、作業処理の簡素化が図れる。簡易な引込み操作による剥離作業が行え、作業精度のばらつきが減ることで、パネル10やディスプレイ8に対する影響を軽減することができる。パネル10が外部に露出した表示装置2、42であっても、操作タグ22を表示装置2、42の外部に露出させないので、表示装置2、42の安全性の向上とともに表示装置2、42の美観の確保が図れる。また、操作タグ22を一方向に引張ることで両面テープ20の接着状態を解除でき、表示装置2の全周に亘って剥離操作を行う必要がないので、剥離作業の簡易化、作業スペースの省略が図れる。パネル10の剥離作業が作業者の技術によらず略一定に行うことができ、作業効率の向上および作業時間の短縮化が図れる。外装ケース4内部の他の収納部品や、空間状態に応じて操作タグ22の長さや端部側の配置位置が設定できるので、利便性を高めることができる。
〔第2の実施の形態〕
図20は、第2の実施の形態に係る表示装置のパネル剥離状態例を示している。
図20のAに示す剥離部50は、本開示の剥離手段の一例であり、剥離部50と一体に形成された図示しない操作タグの引張りに基づいて、両面テープ20に向けて摺動して、両面テープ20による接着状態を解除させる。この剥離部50は、フロントケース12上に載置された両面テープ20の貼付位置に沿って設置された操作タグの一端に、操作タグよりも幅広に形成されている。そして剥離部50の幅広な部分には、たとえば両面テープ20の端部に隣接して剥離刃52が形成される。
剥離部50は、操作タグの摺動方向に向けて先端側の厚さを全体の厚さから異ならせて剥離刃52が形成される。この剥離刃52は、たとえば両面テープ20に隣接する端面の幅方向の中心線を頂点とし、剥離部50の厚さ方向に対して上下方向に傾斜面を備えた三角柱形状に形成される。剥離刃52の傾斜面は、たとえば頂点部分を基準に、剥離部50の厚さ方向に同等の角度で形成される。
剥離刃52は、たとえば図20のBに示すように、操作タグの引張り操作によって両面テープ20側に変位すると、先端部分で両面テープ20の一部を押圧し、接着面を押し広げる。そして剥離刃52は、押し広げられた接着面に先端部を押込ませると、傾斜面を通じて接着面をさらに押し広げていく。剥離部50の変位に応じて剥離刃52が接着面を押し広げながら摺動することで、パネル10とフロントケース12との接着状態を解除させる。
なお、剥離部50による両面テープ20の剥離は、フロントケース12に対する接着面に限られず、パネル10に対する接着面であってもよい。剥離される接着面は、たとえば両面テープ20による接着強さなどにより決まり、剥離部50が操作タグの引張り開始時に接着力の弱い方に変位する。
<剥離刃の他の構成例について>
図21、図22は、剥離刃の他の構成例を示している。
剥離部54は、たとえば図21に示すように、両面テープ20に接触させる端面部分に対し、フロントケース12に近接する下方側が長くなるように傾斜面を形成した剥離刃56を備えている。剥離刃56は、突出した薄刃状の先端部がフロントケース12上に沿って接着部分に進入してフロントケース12から両面テープ20を分断させたのち、この分断部分を傾斜面によって拡開させる。これによりこの剥離部54は、パネル10の剥離処理において、フロントケース12の上面側で両面テープ20の剥離を行うように設定されている。
剥離部58は、たとえば図22に示すように、両面テープ20に接触させる端面部分に対し、パネル10に近接する上方側を長くして傾斜面が形成された剥離刃60を備えている。剥離刃60は、突出した薄刃状の先端部がパネル10に沿って接着部分に進入して接着面を分断させたのち、この分断部分を傾斜面によって拡開させる。これにより剥離部58は、パネル10との接触面において両面テープ20の剥離を行うように設定されている。
このような剥離刃56、60は、薄刃状の先端部分によってパネル10やフロントケース12と両面テープ20との接着部分の分断機能が高められる。また、傾斜面を大きくとることで分断部分を大きく拡開させることができ、パネル10の取り外しを容易化できる。
なお、剥離部54、58は、剥離刃56、60の傾斜面により両面テープ10の剥離位置を設定しているが、たとえば粘着力の強弱により、設定した位置以外で両面テープ20に摺動させ、接着状態を解除させる場合も含まれる。
そのほか剥離刃52、56、60は、たとえば既述の剥離刃26のように、両面テープ20と隣接する面に凸部を形成し、この凸部の先端部分を頂点として、剥離部50、54、58に対して厚さを異ならせた傾斜面を備える角錐形状に形成されてもよい。
斯かる構成によれば、剥離刃による両面テープ20の接着面の剥離機能を向上させ、パネル10やフロントケース12の損傷や変形などの影響を軽減できる。また剥離機能の向上により、剥離処理に要する力の軽減や作業時間の短縮化を図ることができる。
〔第3の実施の形態〕
図23、図24は、第3の実施の形態に係る表示装置の剥離処理の状態例を示している。
<フロントケース12に沿って剥離処理を実行する構成について>
図23に示す剥離部24は、パネル10の剥離処理において、フロントケース12の上面に沿って、フロントケース12と両面テープ20との接着面に摺動させている。上記実施の形態では、剥離部24が両面テープ20に対して摺動する高さはたとえば両面テープ20の接着力などに基づいて決まる。これに対しこの表示装置2では、剥離部24の摺動高さを操作タグ22の設置高さを決めることで剥離部24の摺動高さを設定する。
フロントケース12には、たとえば図24に示すように、枠体15の上面側に、操作タグ22を載置させるガイド溝62が形成されている。このガイド溝62は、本開示のガイド部の一例であって、枠体15の平面部分よりも低い位置で操作タグ22を載置させ、剥離処理において剥離刃26をフロントケース12の上面に沿って変位させる。またガイド溝62は、操作タグ22の両端側をガイドすることで、引張り操作に対し、左右方向への振れを阻止する。
剥離部24および剥離刃26は、フロントケース12の上面に載置させる必要があり、ガイド溝62内に配置されると、剥離処理において操作タグ22の引張り操作が行えない。そこで、剥離部24および剥離刃26は、たとえば操作タグ22の厚さに対し、ガイド溝62の深さに応じてフロントケース12側を薄く形成すればよい。
このような構成により、剥離処理において操作タグ22がフロントケース12の背面側から引張られると、剥離部24は、操作タグ22がガイド溝62内を変位することで、フロントケース12の上面に沿って摺動する。
<パネル10に沿って剥離処理を実行する構成について>
図25に示す剥離部24は、パネル10の剥離処理において、パネル10に沿って両面テープ20の接着面を摺動させ、接着状態を解除させる。
この表示装置2では、たとえば図26に示すように、操作タグ22と両面テープ20の設置高さをパネル10の表面側で同等にしている。フロントケース12には、たとえば枠体15の表面側の一部に、両面テープ20の厚さに応じ、パネル10の配置高さを調整するための載置溝64が形成される。また、枠体15の表面には、たとえば操作タグ22の載置高さをパネル10の配置高さに合わせるための載置面66が形成されている。この載置溝64および載置面66は、剥離手段の設置位置を規定する本開示のガイド部の一例である。このフロントケース12には、たとえば両面テープ20の厚さと操作タグ22の厚さに基づいて、載置溝64と載置面66を両方とも形成してもよく、いずれか一方のみを形成してもよい。
載置面66は、たとえばフロントケース12と一体に形成してもよく、または別途厚さを調整する部品を積層させてもよい。
載置溝64の深さまたは載置面66の形成高さは、たとえば図27に示すように剥離部24の厚さと両面テープ20の厚さの差d3によって設定される。この表示装置2では、パネル10の背面の高さに対して剥離手段の高さが合わせられるので、載置される載置面66とパネル10との配置間隔が剥離部24の厚さと同等になる。これにより表示装置2は、操作タグ22の引張りに対して剥離部24を厚さ方向に変位させず、パネル10に沿って摺動させることができる。また、表示装置2は、載置溝64により剥離部24に対して両面テープ20の厚さ分をフロントケース12内に収納させることができ、パネル10とフロントケース12との設置間隔を減らすことができる。
なお、この表示装置2では、操作タグ22が両面テープ20よりも薄い場合を示したがこれに限られない。表示装置2は、たとえば操作タグ22が両面テープ20よりも厚い場合、操作タグ22側に凹形上の載置溝を形成し、フロントケース12上に厚さを調整する凸部または厚さ調整部品を載置して両面テープ20を貼り付けてもよい。そして、この場合、剥離部24および剥離刃26は、操作タグ22よりも薄く形成される。これにより、パネル10に沿って接着状態の解除を行うことができる。
<多層で形成された両面テープ32を利用した場合の構成について>
表示装置2は、たとえば図28に示すように、粘着層34の間に弾性層36を備えた両面テープ32を利用してパネル10とフロントケース12とを接着させている。この表示装置2では、たとえば載置溝64内に肉厚の両面テープ32を設置し、載置面66上に操作タグ22や剥離部24を載置させる。両面テープ32は、剥離処理において積層された中間の弾性層36を剪断させる必要がある。そこで、表示装置2では、たとえば載置溝64や載置面66により、両面テープ32の載置位置から弾性層36の剥離位置までの高さd4に操作タグ22や剥離部24の設置位置を調整すればよい。
斯かる構成によれば、剥離部24の高さをパネル10やフロントケース12などに対する剥離位置に合わせることで、表示装置2のリペア処理において、剥離後の両面テープ20、32の付着状態を想定できるので、利便性が高められる。簡易な引込み操作による剥離作業が行え、作業精度のばらつきが減るとともに、剥離処理時に剥離部24の上下の変位を減らせるので、パネル10やディスプレイ8に対する影響を軽減することができる。パネル10が外部に露出した表示装置2であっても、操作タグ22を表示装置2の外部に露出させないので、表示装置2の安全性の向上とともに表示装置2の美観の確保が図れる。
以上説明した実施の形態について、その特徴事項や変形例を以下に列挙する。
(1) 上記実施の形態では、操作タグ22および剥離部24は直線状に形成され、フロントケース12の1辺毎に独立した剥離部品を備える場合を示したがこれに限られない。表示装置2は、たとえば隣接する枠体15上に単一の剥離手段を設けてもよく、さらに表示装置2の周囲に沿って単一の剥離手段を設けてもよい。すなわち剥離手段は、たとえば枠体15間の連結部分を通過して貼り付けられた両面テープ20に沿って設置され、操作タグ22の引張りに対し、剥離部24を枠体15に沿って摺動させてもよい。
このような構成の場合、表示装置2は、たとえば枠体15同士が連結した屈曲部分に、操作タグ22や剥離部24を枠体15の屈曲に沿って変位させるために、操作タグ22や剥離部24に接触させて変位をガイドするガイド手段を設けてもよい。このガイド手段は、たとえば枠体15の連結部分において操作タグ22に接触して角度を変えさせるガイド軸を利用してもよく、またはフロントケース12の載置面に形成されたガイド溝62を利用してもよい。
(2) 上記実施の形態では、接着部材として両面テープ20、32を利用してパネル10と枠体15とを接着させる場合を示したが、これに限られない。接着部材は、たとえばパネル10や枠体15にゲル状の接着剤を直接塗布するものであってもよく、または樹脂材料で形成されたパテなどが用いられてもよい。
次に、以上述べた実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。以下の付記に本開示の技術が限定されるものではない。
(付記1)窓部から表示部を露出させて表示手段を収納するケース部材と、該表示部および該ケース部材の前面側を覆う保護部材とを備えた表示装置であって、
前記窓部を形成する枠体と前記保護部材との間に、前記枠体と前記保護部材を接着させる接着部材の貼付位置に沿って配置される剥離手段を備え、
前記剥離手段は、一端側が前記ケース部材の内部側に引き込まれることで他端側を前記接着部材の接着面に摺動させて、前記保護部材と前記ケース部材との接着状態を解除させることを特徴とする表示装置。
(付記2)前記ケース部材は、前記枠体の前記保護部材と接触する面の一部に、前記剥離手段の一端を差し込ませて前記剥離手段を前記ケース部材の内部に導くガイド孔が形成されることを特徴とする付記1に記載の表示装置。
(付記3)前記剥離手段は、前記ケース部材に設置された端部の一部に剥離刃が形成された剥離部を備え、
該剥離部は、摺動方向に対して幅広に形成され、該剥離刃を前記接着部材の端部に隣接して配置させることを特徴とする付記1または付記2に記載の表示装置。
(付記4)前記剥離手段は、少なくとも前記接着部材に対して摺動させる端部の一部であって前記接着部材と接触する部分を摺動方向に向けて厚さを異ならせて形成することを特徴とする付記1ないし付記3のいずれか1つに記載の表示装置。
(付記5)前記剥離手段は、少なくとも前記接着部材に対して摺動させる端部側の一部を摺動方向に向けて鋭角状に突出させることを特徴とする付記1ないし付記4のいずれか1つに記載の表示装置。
(付記6)前記接着部材は、隣接する摺動前の前記剥離手段を粘着力で保持するとともに、粘着力によって摺動時の前記剥離手段の移動方向を規制することを特徴とする付記1ないし付記5のいずれか1つに記載の表示装置。
(付記7)前記ケース部材は、前記枠体の一部に前記剥離手段の設置位置を規定するガイド部が形成されることを特徴とする付記1ないし付記6のいずれか1つに記載の表示装置。
(付記8)窓部から表示部を露出させて表示手段を収納するケース部材と、該表示部および該ケース部材の前面側を覆う保護部材とを供えた表示装置のリペア方法であって、
前記窓部を形成する枠体と前記保護部材との間で、接着部材の貼付位置に沿って配置される剥離手段の一端側を前記ケース部材の内部側に引き込ませ、
前記剥離手段の他端側を前記接着部材の接着面に摺動させて、前記保護部材と前記ケース部材との接着状態を解除させる、
処理を含むことを特徴とする表示装置のリペア方法。
以上、本発明の好ましい実施形態等について説明した。しかし、本開示の技術は上記実施の形態の記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または明細書に開示された技術の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論である。そして斯かる変形や変更が本開示の技術に含まれることは言うまでもない。