JP6226584B2 - 歯磨剤のスクリーニング方法 - Google Patents

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本発明は、歯磨剤のスクリーニング方法に関する。
従来より、歯表面に付着した歯垢や歯石、着色汚れ等を良好に除去すべく、各種の歯磨剤が開発されており、かかる歯磨剤による汚れ除去効果を評価するにあたっても種々の評価方法が採用されている。
例えば、特許文献1では、汚れを付着させたハイドロキシアパタイトペレットを歯表面モデルとして用い、これに歯磨剤をのせてブラッシングした後、かかるペレットの表面色を色差計で測定する評価方法を採用している。また、特許文献2では、牛の抜去歯を研磨した後に着色汚れを付着させ、これを歯表面モデルとして用いることによって、ブラッシング後の変化を評価している。
一方、特許文献3では、ガラス管を複数並べて固定し、形成されたガラス管の溝を歯間モデルとして用いた評価方法を採用しており、特許文献4では、ビデオテープを歯表面としてアルミブロックに取り付けて歯間モデルを形成し、ビデオテープに印刷したインクの除去面積を元に評価する方法を用いている。
特開2009−155286号公報 特表2013−500969号公報 特開2012−92065号公報 特開2011−121916号公報
他方、口腔内における実際の歯では、歯磨き後にも歯の表面の最も目立つ部位である唇面溝に着色汚れが残っており、かかる唇面溝には、微細ではあるが深い凹凸が存在しているため、かかる凹凸に付着又は残存する汚れが着色汚れとなる。そのため、歯磨剤による汚れ除去効果を現状に則して評価するには、実際の歯の唇面溝の表面に極近似した歯表面モデルを用いるのが望ましい。
しかしながら、特許文献1で用いるハイドロキシアパタイトペレットは、ほぼ凹凸のない平滑な表面であり、微細な凹凸が散在する実際の歯の表面とは全く異なる形状を呈するモデルである。また、特許文献2で用いる抜去歯も、予め研磨しているために実際の歯の表面とはかけ離れた形状を呈するモデルである。さらに、特許文献3〜4で採用する方法は、歯間の清掃性を評価するには適しているものの、モデルとして用いるガラス管やビデオテープの表面には唇面溝に近似した凹凸が存在しないため、実際の歯の表面に付着した着色汚れに対する除去効果を正当に評価するのは困難である。
したがって、本発明は、歯の表面の最も目立つ部位である唇面溝に存在する微細な凹凸に付着又は残存する着色汚れに対し、優れた除去効果を発揮することができる歯磨剤をスクリーニングする方法に関する。
実際の使用場面を検討したところ、本発明者らにより、歯磨剤を用いて歯ブラシで長時間ブラッシングしても、なお取り除かれることなく残存する黄ばみ等の着色汚れが、歯の表面に存在する周波条以上の深さの溝に汚れが付着したままとなることに起因すると判明した。そして、歯磨剤を用いた歯磨きにおいて、周波条以上の深さの溝をも含め、大小様々に存在する微細な凹凸の凹部に付着又は残存する汚れまでも除去し得ることが、歯の白さが際立ったという満足感に繋がることも判明した。そこで本発明者らは、特定の溝状凹部が形成された面を有する板状歯表面モデルを用いつつ、特定の工程を備えることにより、歯磨剤による効果的な汚れ除去効果について、実際の使用場面に則して評価することのできる歯磨剤のスクリーニング方法を見出した。
すなわち、本発明は、短手方向の幅が25μm以上150μm以下であり、深さが25μm以上150μm以下であり、さらに深さと短手方向の幅の比(深さ/幅)が0.7〜1.5である溝状凹部が並んで複数形成された面を有する板状歯表面モデルを用い、かつ次の工程(A)、(B)並びに(C):
(A)溝状凹部に固形又はペースト状の疑似汚れ物質を充填する工程、
(B)溝状凹部が形成された板状歯表面モデルの面上を歯磨剤と歯ブラシを用いてブラッシングする工程、並びに
(C)ブラッシングした後の溝状凹部における疑似汚れ物質の残存量又は除去量を測定及び評価する工程
を備える歯磨剤のスクリーニング方法に関する。
また、本発明は、短手方向の幅が25μm以上150μm以下であり、深さが25μm以上150μm以下である溝状凹部が並んで複数形成された面を有し、溝状凹部の深さ又は短手方向の幅、或いは深さ及び短手方向の幅の大きさが異なる2以上の板状歯表面モデルを用い、かつ次の工程(A)、(B)並びに(C):
(A)溝状凹部に固形又はペースト状の疑似汚れ物質を充填する工程、
(B)溝状凹部が形成された板状歯表面モデルの面上を歯磨剤と歯ブラシを用いてブラッシングする工程、並びに
(C)ブラッシングした後の溝状凹部における疑似汚れ物質の残存量又は除去量を測定及び評価する工程
を備える歯磨剤のスクリーニング方法に関する。
本発明の歯磨剤のスクリーニング方法によれば、汚れが付着したままになりがちな実際の歯の表面に存在する周波条以上の深さの溝について、有効な汚れ除去効果を評価することが可能であり、大小様々に存在する微細な凹凸の凹部に付着又は残存する汚れを効果的に除去しうる歯磨剤であるか否かについて、実際の使用場面に則して正当に評価することができる。
本発明で用いる板状歯表面モデルの短手方向縦断面図である。 参考例1において、歯磨剤1及び歯磨剤2について求めた汚れ除去面積を示すグラフである。 実施例1における評価での歯磨剤1の歯を示す写真である。 実施例1における評価での歯磨剤2の歯を示す写真である。 歯の凹凸をマイクロスコープ(ワンショット3D、キーエンス社製)で測定した評価対象の歯の凹凸を示す図である。 実施例1で用いたブラッシングマシーンの概略図(正面図及び側面図)である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のスクリーニング方法に用いる板状歯表面モデルは、短手方向の幅が25μm以上150μm以下であり、深さが25μm以上150μm以下であり、さらに深さと短手方向の幅の比(深さ/幅)が0.7〜1.5である溝状凹部が並んで複数形成された面を有する。溝状の凹部は、板状歯表面モデルの一方の面の端縁から端縁に至るまで連続して延びる溝であることが好ましいが、不連続に延在する溝(例えば破線状に延びる溝)であってもよい。板状歯表面モデルの面上において、溝状の凹部は、直線状、ジグザグ状、湾曲状などの形状を呈するよう形成されればよく、なかでも溝の製造性の観点から、直線状を呈するよう形成されることが好ましい。また、かかる溝状の凹部は、板状歯表面モデルの評価のしやすさの点から、板状歯表面モデルの面上に互いに平行に複数形成されていることが好ましい。なお、溝状の凹部は、実際の歯の唇面溝の凹部に類似するように、凹部の中にさらに凹部を形成してもよい。図1に示すように、かかる溝状凹部2は、板状歯表面モデル1の短手方向縦断面において凹状の形状を呈し、特定の短手方向の幅d及び深さhを有しており、さらに深さh/幅dが0.7〜1.5であるように、幅の大きさに比べて深さが大きい深い溝であるため、周波条の微小な凹部よりも深く、従来より歯磨きの後にまで着色汚れが残存しがちであった、歯の唇面溝の表面に存在する微小な深い凹部に近似している。そのため、この溝状凹部2が形成された面を有する板状歯表面モデル1を用いれば、歯の唇面溝において大小様々に存在する微細な深い凹凸の凹部に付着又は残存する汚れの除去効果に優れる歯磨剤であるか否かを実際の使用場面に則して評価することが可能である。
溝状凹部2における短手方向の幅dは、歯の表面に存在する周波条以上の深さの溝の幅に近似させる観点から、25μm以上であって、好ましくは35μm以上であり、より好ましくは45μm以上であり、150μm以下であって、好ましくは120μm以下であり、より好ましくは100μm以下である。また、溝状凹部2における短手方向の幅dは、25〜150μmであって、好ましくは35〜120μmであり、より好ましくは45〜100μmである。なお、溝状凹部2における短手方向の幅dとは、形成された溝状凹部の空隙部分において、短手方向の最大距離を意味する。すなわち、溝状凹部2の板状歯表面モデル1の端部から端部まで、面に対して水平方向での最短距離を意味する。
溝状凹部2における深さhは、歯の表面に存在する周波条以上の深さの溝に近似させる観点から、25μm以上であって、好ましくは35μm以上であり、より好ましくは45μm以上であり、150μm以下であって、好ましくは120μm以下であり、より好ましくは100μm以下である。また、溝状凹部2における深さhは、25μm〜150μmであって、好ましくは35〜120μmであり、より好ましくは45〜100μmである。なお、溝状凹部2における深さhとは、凹部の開口部から底面まで、面に対して垂直方向での最大距離を意味し、溝状凹部2が凹部の中にさらに凹部が形成されている場合は、凹部の最も深い底面から開口部まで、面に対して垂直方向での最大距離を意味する。
溝状凹部2における深さhと幅dとの比(h/d)は、唇面溝が備える周波条よりも深い溝に近似させる観点から0.7〜1.5であって、好ましくは0.8〜1.5であり、より好ましくは1〜1.2である。溝状凹部は、幅dに比して深さhが大きくなるほど、溝状凹部2に存在する汚れを除去しにくくなることから、通常の歯磨き行為によって唇面溝に残る着色汚れを効果的に除去できる歯磨剤を適切にスクリーニングすることができる。
なお、歯の唇面溝には大小様々な溝が形成されていることから、深さh又は幅d、或いは深さh及び幅dの大きさが異なる溝状凹部2が形成された2以上の板状歯表面モデルを併用し評価することが好ましい。このように、2以上の板状表面モデルを併用すれば、いずれの大きさの板状歯表面モデルにおいても汚れ除去効果の高い歯磨剤をスクリーニングすることが可能となり、現実の歯の唇面溝に形成された大小様々で深い微小な溝の着色汚れを効果的に除去できる歯磨剤を選択することができる。かかる観点から、例えば、幅dが25〜70μmの溝状凹部を備える板状歯表面モデルと、幅dが50〜120μmの溝状凹部を備える板状歯表面モデルとを互いに大きさの異なる幅dを有する溝状凹部を備えるモデルとして併用することが好ましい。
なお、溝状凹部2における底部の形状は、平滑面を有し、底部の端部においてほぼ垂直に角部を形成しながら底部の内壁側面に連続していてもよく、また滑らかな曲面を呈しながら底部の内壁側面に連続していてもよい。また、板状歯表面モデル1の最表面と溝状凹部2の内壁側面とで形成する稜線である角部aは、板状歯表面モデルの短手方向縦断面において、70〜110度の角度を有することが好ましく、80〜100度の角度を有することが好ましい。
溝状凹部2は、板状歯表面モデル1が有する面に並んで複数形成されてなる。隣り合う溝状凹部2と溝状凹部2との間隙は、実際の歯の表面に多数の凹凸が散在する状況に近似させる観点、及び効率的にスクリーニングを行う観点から、好ましくは0.1mm以上であり、より好ましくは0.2mm以上であり、さらに好ましくは0.5mm以上であり、好ましくは1.5mm以下であり、より好ましくは1mm以下であり、さらに好ましくは0.8mm以下である。また、溝状凹部2と溝状凹部2との間隙は、好ましくは0.1〜1.5mmであり、より好ましくは0.2〜1mmであり、さらに好ましくは0.5〜0.8mmである。
板状歯表面モデル1が有する面における溝状凹部2が形成される領域の面積は、効率的にスクリーニングを行う観点及び歯ブラシを用いた評価の観点から、好ましくは100mm2以上であり、より好ましくは150mm2以上であり、好ましくは400mm2以下であり、より好ましくは300mm2以下である。なお、溝状凹部2が形成される板状歯表面モデル1が有する面は、板状歯表面モデル1の少なくとも片面であればよい。また、少なくとも片面の全領域に溝状凹部2を形成してもよく、片面の一部の領域に溝状凹部2を形成してもよい。
板状歯表面モデル1の厚みHは、溝状凹部の深さ以上であれば特に制限されないが、溝状凹部2の形成性や取扱い性等の観点から、好ましくは2〜10mmであり、より好ましくは3〜8mmである。
溝状凹部2は、板状歯表面モデル1が有する面において互いに平行して複数形成されることが好ましい。板状歯表面モデル1が有する一面に形成される溝状凹部2の本数(短手方向における個数)は、溝状凹部2の大きさや板状歯表面モデル1の面における面積等によっても変動し得るが、溝状凹部2の形成性や取扱い性等の観点から、好ましくは7〜30本であり、より好ましくは9〜25本である。
板状歯表面モデル1の材質は、溝状凹部2の形成性や耐久性の観点、及び実際の歯の材質や使用場面に近似させる観点から、好ましくは金属、ハイドロキシアパタイト、合成樹脂から選ばれる1種又は2種以上である。金属としては、ステンレス鋼、アルミニウム、鉄鋼、真鍮等が挙げられるが、耐久性の観点からステンレス鋼が好ましい。合成樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂が挙げられる。板状歯表面モデルの材質は、繰り返し使用する観点、及び耐久性の観点から、より好ましくは金属であり、さらに好ましくはステンレス鋼である。
本発明のスクリーニング方法に用いる板状歯表面モデルとして、短手方向の幅が25μm以上150μm以下であり、深さが25μm以上150μm以下である溝状凹部が並んで複数形成された面を有し、溝状凹部の深さ又は短手方向の幅、或いは深さ及び短手方向の幅の大きさが異なる2以上の板状歯表面モデルを用いることもできる。このように2以上の板状歯表面モデルと用いることによって、上記板状歯表面モデルのように、溝状凹部2において、必ずしも深さhと短手方向dの幅の比(深さh/幅d)が0.7〜1.5でなくとも、汚れ除去効果の高い歯磨剤をスクリーニングすることが可能となり、現実の歯の唇面溝に形成された大小様々で深い微小な溝の着色汚れを効果的に除去できる歯磨剤を選択することができる。
なお、これら板状歯表面モデルにおける溝状凹部の形状や形成される態様、及び板状歯表面モデルの材質等は、上記板状歯表面モデルと同様である。
各板状歯表面モデルの溝状凹部2において、現実の歯の唇面溝に形成された大小様々で深い微小な溝の着色汚れを効果的に除去できる歯磨剤を効果的に選択する観点から、溝状凹部の短手方向の幅dの大きさが異なることが好ましく、また溝状凹部の深さh及び短手方向の幅dの大きさが異なることが好ましい。例えば、深さhが25μm以上100μm以下であり、かつ幅dが25μm以上70μm未満の溝状凹部を備える板状歯表面モデルと、深さが50μm以上150μm以下であり、かつ幅dが70μm以上120μm以下の溝状凹部を備える板状歯表面モデルとを併用することができる。
本発明のスクリーニング方法は、上記板状歯表面モデルを用い、次の工程(A)、(B)並びに(C)を備える。
工程(A)は、溝状凹部に固形又はペースト状の疑似汚れ物質を充填する工程である。固形又はペースト状の疑似汚れ物質は、歯の表面に付着してブラッシングや歯磨きによって除去しにくい疎水性の汚れ、有機物と無機物が混合した汚れ、及びバイオフィルムやペリクルに類似した物質から選ばれる物質であることが好ましい。これら疑似汚れ物質を溝状凹部に充填することにより、実際の歯磨きにおいて、歯の表面に多数存在する凹凸に汚れが残存して除去しにくい状態を模擬的に再現することが可能となり、また、これらの汚れの除去性能を適切に評価することができる。固形又はペースト状であるとは、25℃で固形を呈するか、又はペースト状を呈する物質であることを意味する。かかる疑似汚れ物質としては、具体的には、マスカラ、アイライナー、眉墨、口紅、ファンデーション等の有色の油性化粧料や疎水性化粧料、クレヨン等の油性固形物、人工プラーク等の疑似ペリクルが挙げられる。
これら疑似汚れ物質のなかでも、口腔内に存在する汚れにより近似させる観点、及び疑似汚れ物質の残存量又は除去量の判別性を高める観点から、油剤、水不溶性ポリマー、及び着色成分から選ばれる1種又は2種以上を含有する物質が好ましく、溝状凹部への擦り込み容易性の観点から、25℃で固形のワックス等の油剤と着色成分を含有するものがさらに好ましい。かかる観点から、疑似汚れ物質としては、マスカラ、アイライナー、アイブローペンシル、眉墨及びクレヨンから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、また狭い溝への充填性の観点から、25℃で固形のアイライナー、アイブローペンシル、眉墨及びクレヨンから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、アイライナー、アイブローペンシル及び眉墨から選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
なお、着色成分としては、顔料、色素から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。
顔料としては、例えば、β−カロチン、カルサミン、カルミン、クロロフィル等の着色顔料;酸化チタン、亜鉛華等の白色顔料;タルク、カオリン、マイカ、セリサイト、炭酸カルシウム、無水ケイ酸、硫酸バリウム等の体質顔料;雲母チタン、魚鱗箔等のパール顔料;カーボンブラック、酸化鉄等が挙げられる。色素としては、例えば、赤色201号、赤色202号、赤色223号、黄色4号、黄色5号、黄色401号、青色1号、青色404号等が挙げられる。これらの顔料及び色素の中で、評価のしやすさの観点からは、酸化鉄、カーボンブラック、マイカ、タルクから選ばれる顔料が好ましく、酸化鉄、カーボンブラックから選ばれる顔料が好ましい。
油剤としては、例えば、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ビーズワックス、モクロウ、ゲイロウ、ジロウ、モンタンワックス等の25℃で個体のワックスを含有することが好ましい。さらに、疑似汚れ物質の充填性や擦り込みやすさの観点から、ステアリン酸、パルミチン酸、2−エチルヘキサン酸等の脂肪酸;マカデミアナッツ油、オリーブ油、ツバキ油、アボガド油、トウモロコシ油等の油脂、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル等のエステル;セチルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール等の高級アルコール;流動パラフィン、ポリブテン、スクワラン、ワセリン等の炭化水素油;高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン系油;フッ素油;ラノリン誘導体等が挙げられる。
水不溶性ポリマーとしては、水に不溶であり、水中で安定に分散したエマルジョン又はラテックスを形成するため、実際の歯に堅固に付着する汚れとして代用するのに適している。かかる水不溶性ポリマーとしては、ロジン酸系樹脂、トリメチルシロキシケイ酸、アクリル変性シリコーン、高重合度ジメチルポリシロキサン、キャンデリラ樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリブテン、ポリイソブチレン等の油溶性樹脂、溶媒に分散させたものとして、アクリル酸アルキル共重合体エマルション、アクリル酸アルキル・スチレン共重合体エマルション、アクリル酸アルキル・酢酸ビニルエマルション、ビニルピロリドン・スチレン共重合体エマルション、ポリ酢酸ビニルエマルション、ポリウレタンエマルション等のポリマーエマルションなどが挙げられ、これらから選ばれる1種又は2種以上のポリマー又はコポリマーを用いることができる。これらの中でも、メタアクリル酸、アクリル酸及びこれらのエステルから選ばれるモノマーを構成単位とするポリマー又はコポリマーが好ましい。
人工プラークとしては、フッ化ナトリウム等のフッ素化合物、色素、及びイソヘキサン、ベンジン等の溶剤を含有する組成物が挙げられる。
工程(A)は、上記の疑似汚れ物質を溝状凹部に充填する工程を備える。疑似汚れ物質を溝状凹部に充填する方法は、溝状凹部に疑似汚れ物質を塗布したり、押し込んだり、又は擦り込んだりして、溝状凹部の底部まで疑似汚れ物質を充填する方法である。疑似汚れ物質を溝状凹部に充填した後に、表面に付着したり表面から突出したりした疑似汚れ物質を取り去る工程を備えることが好ましい。溝状凹部以外の表面領域の汚れを除去し、溝状凹部から板状モデルの表面よりも突出した汚れを除去することにより、微小な凹部の清掃性を適切に評価することができる。表面に付着している疑似汚れ物質、又は溝状凹部から表面よりも突出している疑似汚れ物質は、板状モデルの表面を滑らせることができる平坦な面を備えるヘラ等を滑らせて除去することが好ましい。
工程(B)は、溝状凹部が形成された板状歯表面モデルの面上を歯磨剤と歯ブラシを用いてブラッシングする工程である。かかる工程(B)は、溝状凹部に充填された疑似汚れ物質を除去する、いわゆる歯磨剤を用いた歯磨き行為に類似する工程である。ブラッシングするにあたり、凹凸が多々存在する実際の歯表面を歯磨きする使用場面に近似させる観点、歯磨剤の有する汚れ除去効果を正当に評価する観点、及びローリング法等のブラッシング方法の評価の観点から、ブラッシングの動作方向は、溝状凹部の長手方向に対して板状歯表面モデルの面に沿って平行であるのが好ましい。一方、横磨き(水平法)のブラッシング方法の評価の観点からは、ブラッシングの動作方向は、溝状凹部の長手方向に対して板状歯表面モデルの面に沿って垂直方向であるのが好ましい。他方、歯磨剤の汚れ除去効果の評価のしやすさの観点から、ブラッシングの動作方向は、溝状凹部の長手方向に対して板状歯表面モデルの面に沿って平行であるのが好ましい。歯ブラシとしては、通常の市販のものを用いてよく、また、例えば、特開2011−121916号公報に記載されるようなブラッシングマシーンを用いることもできる。
なお、歯磨剤としては、本発明のスクリーニング方法を有効に活用する観点から、顆粒及び研磨剤から選ばれる1種又は2種以上の粉体を含有するものが好ましく、顆粒を含有するものがより好ましい。本発明のスクリーニング方法は、顆粒を含有する歯磨剤の評価に好適である。
さらに、上記工程(B)において、ブラッシングの動作方向を、溝状凹部の長手方向に対して板状歯表面モデルの面に沿って垂直方向にする場合、上記板状歯表面モデルの代わりに又は上記板状歯表面モデルと併用して、短手方向の幅が150μm超1500μm以下であり、深さが50μm以上であり、好ましくは深さが100μm以上300μm以下である溝状凹部が並んで複数形成された面を有する板状歯表面モデルを用いることが好ましい。このようにすることで、より深い溝の着色汚れを効果的に除去できる歯磨剤を効果的に選択することができる。
工程(C)は、ブラッシングした後の溝状凹部における疑似汚れ物質の残存量又は除去量を測定及び評価する工程である。疑似汚れ物質の残存量又は除去量を測定し、これを指標とすることにより、実際の使用場面に則した歯磨剤のスクリーニングが可能となる。なお、ブラッシングした後の溝状凹部以外の表面には、歯磨剤が残っていることから、疑似汚れ物質の残存量又は除去量を測定する前に、十分に水洗いをして残留した歯磨剤を除去し、板状モデルの表面を紙又は布の平らな面にスライドさせて、予め溝状凹部以外の汚れや歯磨剤を除去することが好ましい。
疑似汚れ物質の残存量又は除去量の測定としては、具体的には、例えば疑似汚れ物質の色相又は明度を測定する方法を用いることができる。かかる方法を用いる場合、疑似汚れ物質と板状歯表面モデルとが異なる色相又は明度の色を呈するのがよく、目視による判別のほか、画像解析ソフトや色差計等を用いた測定も可能となる。なかでも、簡便性の観点及びより正確な測定を実現する観点から、疑似汚れ物質に顔料及びカーボンから選ばれる色素又はこれらの顔料や色素とワックスを含有させることによって特有の色相又は明度を付与し、これを測定するのが好ましく、また蛍光性を有する色素を含有させることによって蛍光色を付与し、蛍光色の強度を測定するのが好ましい。なお、測定した蛍光色の強度は、その残存量又は除去量に換算すればよい。
疑似汚れ物質と板状歯表面モデルとが、異なる色相又は明度の色を呈する場合は、ブラッシング後の溝状凹部をデジタルカメラでフラッシュ光及び反射光を防止する偏光フィルターを用いて撮影し、撮影した画像を画像解析することにより、評価対象領域の疑似汚れ物質の残存面積を求めることができる。さらに、評価対象領域の溝状凹部の疑似汚れ物質が充填されている全面積(平面視の全面積)に対する疑似汚れ物質の残存面積(平面視の残存面積)の割合を汚れ除去率として算出することができる。ここで、評価対象領域とは、板状歯表面モデルにおいてブラッシングされた領域における一定の範囲をいう。
また、疑似汚れ物質の残存量又は除去量の測定としては、(c1)板状歯表面モデルに付着した疑似汚れ物質を洗浄して、疑似汚れ物質を含有する抽出液を得る工程と、(c2)得られた抽出液の吸光度を測定する工程を備える方法を用いることもできる。これにより、抽出液の吸光度の測定値に基づき、間接的に疑似汚れ物質の残存量又は除去量を測定することが可能となる。例えば、疑似汚れ物質として口紅を用いた場合、(c1)エタノールに板状歯表面モデルを浸漬してエタノール溶液を得、(c2)得られたエタノール溶液における吸光度(Abs)を測定して、板状歯表面モデルの溝状凹部に残存する口紅の溶出量を測定すればよい。
上述した実施態様に関し、本発明はさらに以下の歯磨剤のスクリーニング方法を開示する。
[1]短手方向の幅が25μm以上150μm以下であり、深さが25μm以上150μm以下であり、さらに深さと短手方向の幅の比(深さ/幅)が0.7〜1.5である溝状凹部が並んで複数形成された面を有する板状歯表面モデルを用い、かつ次の工程(A)、(B)並びに(C):
(A)溝状凹部に固形又はペースト状の疑似汚れ物質を充填する工程、
(B)溝状凹部が形成された板状歯表面モデルの面上を歯磨剤と歯ブラシを用いてブラッシングする工程、並びに
(C)ブラッシングした後の溝状凹部における疑似汚れ物質の残存量又は除去量を測定及び評価する工程
を備える歯磨剤のスクリーニング方法。
[2]短手方向の幅が25μm以上150μm以下であり、深さが25μm以上150μm以下である溝状凹部が並んで複数形成された面を有し、溝状凹部の深さ又は短手方向の幅、或いは深さ及び短手方向の幅の大きさが異なる2以上の板状歯表面モデルを用い、かつ次の工程(A)、(B)並びに(C):
(A)溝状凹部に固形又はペースト状の疑似汚れ物質を充填する工程、
(B)溝状凹部が形成された板状歯表面モデルの面上を歯磨剤と歯ブラシを用いてブラッシングする工程、並びに
(C)ブラッシングした後の溝状凹部における疑似汚れ物質の残存量又は除去量を測定及び評価する工程
を備える歯磨剤のスクリーニング方法。
[3]溝状凹部における短手方向の幅は、好ましくは35μm以上であり、より好ましくは45μm以上であり、好ましくは120μm以下であり、より好ましくは100μm以下である上記[1]又は[2]の歯磨剤のスクリーニング方法。
[4]溝状凹部2における深さは、好ましくは35μm以上であり、より好ましくは45μm以上であり、好ましくは120μm以下であり、より好ましくは100μm以下である上記[1]〜[3]いずれか1の歯磨剤のスクリーニング方法。
[5]溝状凹部2における深さと短手方向の幅との比(h/d)は、好ましくは0.8〜1.5であり、より好ましくは1〜1.2である上記[1]〜[4]いずれか1の歯磨剤のスクリーニング方法。
[6]溝状凹部と溝状凹部との間隙は、好ましくは0.1mm以上であり、より好ましくは0.2mm以上であり、さらに好ましくは0.5mm以上であり、好ましくは1.5mm以下であり、より好ましくは1mm以下であり、さらに好ましくは0.8mm以下である上記[1]〜[5]いずれか1の歯磨剤のスクリーニング方法。
[7]板状歯表面モデルが有する面における溝状凹部が形成される領域の面積は、好ましくは100mm2以上であり、より好ましくは150mm2以上であり、好ましくは400mm2以下であり、より好ましくは300mm2以下である上記[1]〜[6]いずれか1の歯磨剤のスクリーニング方法。
[8]板状歯表面モデルの厚みは、好ましくは2〜10mmであり、より好ましくは3〜8mmである上記[1]〜[7]いずれか1の歯磨剤のスクリーニング方法。
[9]板状歯表面モデルが有する一面に形成される溝状凹部の本数(短手方向における個数)は、好ましくは7〜30本であり、より好ましくは9〜25本である上記[1]〜[8]いずれか1の歯磨剤のスクリーニング方法。
[10]板状歯表面モデルの材質は、好ましくは金属、ハイドロキシアパタイト及び合成樹脂から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは金属であり、さらに好ましくはステンレス鋼である上記[1]〜[9]いずれか1の歯磨剤のスクリーニング方法。
[11]疑似汚れ物質は、好ましくは疎水性の汚れ、有機物と無機物が混合した汚れ、及びバイオフィルムやペリクルに類似した物質から選ばれる物質であり、より好ましくは有色の油性化粧料や疎水性化粧料、油性固形物、疑似ペリクルである上記[1]〜[10]いずれか1の歯磨剤のスクリーニング方法。
[12]疑似汚れ物質は、好ましくは25℃で固形のアイライナー、アイブローペンシル、眉墨及びクレヨンから選ばれる1種又は2種である上記[1]〜[11]いずれか1の歯磨剤のスクリーニング方法。
[13]工程(B)において、板状歯表面モデルの表面でのブラッシングの動作方向は、好ましくは溝状凹部の長手方向に対して板状歯表面モデルの面に沿って平行であり、また好ましくは溝状凹部の長手方向に対して板状歯表面モデルの面に沿って垂直方向であり、また好ましくは溝状凹部の長手方向に対して板状歯表面モデルの面に沿って平行である上記[1]〜[12]いずれか1の歯磨剤のスクリーニング方法。
[14]疑似汚れ物質と板状歯表面モデルとが異なる色相又は明度の色を呈し、工程(C)における疑似汚れ物質の残存量又は除去量の測定が、疑似汚れ物質の色相又は明度の測定である上記[1]〜[13]いずれか1の歯磨剤のスクリーニング方法。
[15]工程(C)において、疑似汚れ物質の残存量又は除去量の測定が、好ましくは
(c1)板状歯表面モデルに付着した疑似汚れ物質を洗浄して、疑似汚れ物質を含有する抽出液を得る工程と、
(c2)得られた抽出液の吸光度を測定する工程
を備える上記[1]〜[14]いずれか1の歯磨剤のスクリーニング方法。
[16]歯磨剤は、好ましくは顆粒及び研磨剤から選ばれる1種又は2種以上の粉体を含有し、より好ましくは顆粒を含有する上記[1]〜[15]いずれか1の歯磨剤のスクリーニング方法。
[17]好ましくは深さ又は短手方向の幅、或いは深さ及び短手方向の幅の大きさが異なる幅の溝状凹部を備える2以上の板状歯表面モデルを併用する上記[1]又は[2]〜[16]いずれか1の歯磨剤のスクリーニング方法。
[18]短手方向の幅が150μm超1500μm以下であり、深さが50μm以上、好ましくは100μm以上、300μm以下である溝状凹部が並んで複数形成された面を有する板状歯表面モデルを用い、かつ次の工程(A)、(B)並びに(C):
(A)溝状凹部に固形又はペースト状の疑似汚れ物質を充填する工程、
(B)溝状凹部が形成された板状歯表面モデルの面上を歯磨剤と歯ブラシを用いてブラッシングし、ブラッシングの動作方向が、溝状凹部の長手方向に対して板状歯表面モデルの面に沿って垂直である工程、並びに
(C)ブラッシングした後の溝状凹部における疑似汚れ物質の残存量又は除去量を測定及び評価する工程
を備える歯磨剤のスクリーニング方法。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
[参考例1:2種の歯磨剤を用いた実際の使用環境下における汚れ除去試験]
表1に示す顆粒入り歯磨剤1と、顆粒を含まない歯磨剤2について、アンケートにより歯磨き後も歯に着色があると回答した被験者16名ずつを対象に、各被験者が所有する歯ブラシを用いて4週間の間、毎日歯磨きを行い、評価開始前の黄ばみ汚れの量として初回の歯磨き後の歯の黄ばみ汚れの量を測定し、また4週間後の歯磨き後の黄ばみ汚れの量を測定した。なお、黄ばみ汚れの測定は、上顎と下顎の右側側切歯、右側中切歯、左側中切歯、左側側切歯の合計8本の唇側の表面を対象とした。黄ばみ汚れの量は、デジタルカメラで歯を撮影し、撮影した画像データをコンピューターにより色補正し(ADOBE Photoshop)、画像解析ソフト「WinROOF」(三谷商事株式会社)を用いて汚れの面積を定量することによって評価した。なお、デジタルカメラによる撮影はフラッシュ光を用い、偏光フィルターによって反射光の抽出を防止した。
各被験者について、評価開始前の汚れの面積から4週間後の汚れの面積への差を求め、得られた値を汚れ除去面積とした。
得られた各被験者の汚れ除去面積の平均値を図2に示す。また、歯磨剤1による評価開始前の歯と4週間後の歯における汚れの状況を撮影した写真を図3に示す。なお、図3(a)は評価を行った歯の一部を示す写真であり、図3(b)はその歯と歯の間を拡大した写真である。同様に、歯磨剤2による写真を図4に示す。なお、図4(a)は評価を行った歯の一部を示す写真であり、図4(b)はその歯と歯の間を拡大した写真である。さらに、評価の対象とした歯の表面の凹凸を解析した結果を、図4に示す。
図2及び図4に示すように、歯磨剤2によれば、黄ばみ汚れの除去性能が不十分であり、歯の遠心唇面溝又は近心唇面溝に黄ばんだような汚れが残っていることが認められる。これに対して図2及び図3に示すように、歯磨剤1によれば、黄ばみ汚れの除去性能が高く、歯の遠心唇面溝又は近心唇面溝に付着した汚れも除去されていた。
また、図5に示すように、歯の表面には数10μm〜100μmの微細な凹部が存在しており、特に黄ばみ汚れが付着している歯の遠心唇面溝又は近心唇面溝、及び歯間部などに微細な凹部が形成しており、微細な凹部において黄ばみ汚れが強固に付着していることが推測される。
[製造例1:板状歯表面モデル1〜3の作製]
板状の基材(ステンレス製、厚み3mm、縦15mm、横15mm)の片面に、以下の大きさを有する溝状凹部を形成し、板状歯表面モデル1〜3を作製した。
板状歯表面モデル1:溝状凹部の短手方向の幅50μm×深さ50μm、隣り合う溝状凹部の間隙0.62mm
板状歯表面モデル2:溝状凹部の短手方向の幅100μm×深さ100μm、隣り合う溝状凹部の間隙0.62mm
板状歯表面モデル3:溝状凹部の短手方向の幅1000μm×深さ150μm、隣り合う溝状凹部の間隙0.67mm
[実施例1:板状歯表面モデルを用いた汚れ除去試験]
製造例1で得られた各板状歯表面モデルを用い、形成された溝状凹部に擬似汚れ物質としてアイライナー(サナ スーパークイックアイライナーEX 01、常盤製薬工業社製)を擦り込んだ。次に、溝状凹部以外の表面に残った疑似汚れ物質及び溝状凹部から表面よりも突出している疑似汚れ物質をヘラで擦り除去した。次に、図6に示す試験台にアルミ板(30mm×80mm×5mm)を配置し、かかるアルミ板の中央に設けた15mm×15mm×3mmの正方形の凹部に各試験板を嵌めて固定し、さらに各試験板の上に各歯磨剤を塗布して、以下の条件下で刷掃した。歯ブラシはチェックスタンダード(花王(株)製)を用いた。なお、アルミ板の中央の正方形の凹部は、正方形の角部の外側に、試験板を取り出し容易にするための凹部が設けられている。
刷掃条件:荷重200g、速度120rpm、振幅30mm刷掃回数往復30回
なお、板状歯表面モデルの溝状凹部に対して平行な方向にブラッシングを行った場合を試験1、板状歯表面モデルの溝状凹部に対して垂直な方向にブラッシングを行った場合を試験2とした。
次いで、各板状歯表面モデルをアルミ板から取り出し、歯表面モデルの表面に残留している歯磨剤を水で洗い流し、板状表面モデルの表面をコピー用紙(PPC用紙A4サイズ、コクヨ)の表面にスライドさせて、表面に残った歯磨剤を除去した。
各板状歯表面モデルを、評価前後においてデジタルカメラで撮影して評価した。具体的には、アイライナーを擦り込んだ領域を画像解析して着色領域面積(mm2)とし、着色領域面積において歯ブラシが刷掃した領域を評価領域面積とした。かかる評価領域においてアイライナーが落ちて凹部の底面が露出した(白くなった)部分の面積(mm2)を汚れ除去面積とし、下記式(1)により汚れ除去率(%)を算出した。前述の着色領域面積は、デジタルカメラで撮影した際に、疑似汚れ物質による着色が検知された領域の面積であり、その領域において歯ブラシが刷掃した領域を評価領域とした。
汚れ除去率(%)=(汚れ除去面積/評価領域面積全体)×100 ・・・(1)
なお、板状歯表面モデルの溝状凹部に擦り込んだアイライナーは、平坦な面で歯ブラシのみで刷掃した場合でも、所定の荷重をかければアイライナーが落ちて板状歯表面モデルの面が露出するものである。
試験1及び試験2の結果を表1に示す。
表1の試験1の結果に示すように、板状歯表面モデルを用いた実施例では、板状歯表面モデル2における100μmの凹部において、歯磨剤2では殆ど汚れ除去効果がないのに対して、歯磨剤1は汚れ除去効果を示しており、この結果は、実際の人の歯における試験の結果と類似する。一方、板状歯表面モデル1における1000μmの凹部においては、歯磨剤1及び歯磨剤2のいずれも同程度の効果を発揮しており、現実の歯において100μm以下の凹部の汚れを落としにくいことと相関している。
なお、50μmの凹部においても、歯磨剤1は歯磨剤2に比べて汚れ除去効果が優れており、現実の歯に存在する、100μm前後の大きさの凹部から50μmの大きさの凹部において、歯磨剤2では十分に除去しにくい黄ばみ汚れが強固に付着しているものと推測される。さらに、歯磨剤1は、板状表面モデル1と板状表面モデル2を併用することによって、幅50μm深さ50μmの凹部から幅100μm深さ100μmの凹部の大小様々な深い凹部に付着した除去しにくい黄ばみ汚れを除去できるものと評価することができる。
また、表1の試験2の結果に示すように、板状歯表面モデルの溝状凹部に対して垂直な方向にブラッシングを行った場合には、1000μmの比較的大きな凹部の板状歯表面モデル3においても、100μmの凹部の板状歯表面モデル2においても歯磨剤1は歯磨剤2よりも高い汚れ除去率が認められる。但し、垂直な方向のブラッシングにおいては、溝への歯磨剤の送達性の課題もあり、歯磨剤の性能差を評価する観点からは、溝状凹部に対して平行な方向にブラッシングを行うことが好ましいと考えられる。
1:板状歯表面モデル
2:溝状凹部
a:板状歯表面モデル1の最表面と溝状凹部2の内壁側面とで形成する稜線である角部
d:溝状凹部の短手方向の幅
h:溝状凹部の深さ
H:板状歯表面モデル1の厚み

Claims (8)

  1. 短手方向の幅が25μm以上150μm以下であり、深さが50μm以上150μm以下であり、さらに深さと短手方向の幅の比(深さ/幅)が〜1.5である溝状凹部が並んで複数形成された面を有する板状歯表面モデルを用い、かつ次の工程(A)、(B)並びに(C):
    (A)溝状凹部に似汚れ物質としてアイライナーを充填し、次いで溝状凹部以外の表面に残存するアイライナーを除去する工程、
    (B)溝状凹部が形成された板状歯表面モデルの面上を歯磨剤と歯ブラシを用いてブラッシングする工程、並びに
    (C)ブラッシングした後の溝状凹部におけるアイライナーの残存量又は除去量を測定及び評価する工程
    を備え、かつ工程(C)における評価が、歯の表面に存在する周波条以上の深さの溝における着色汚れ除去効果の評価である、歯磨剤のスクリーニング方法。
  2. 短手方向の幅が25μm以上150μm以下であり、深さが50μm以上150μm以下であり、さらに深さと短手方向の幅の比(深さ/幅)が1〜1.5である溝状凹部が並んで複数形成された面を有し、溝状凹部の深さ又は短手方向の幅、或いは深さ及び短手方向の幅の大きさが異なる2以上の板状歯表面モデルを用い、かつ次の工程(A)、(B)並びに(C):
    (A)溝状凹部に似汚れ物質としてアイライナーを充填し、次いで溝状凹部以外の表面に残存するアイライナーを除去する工程、
    (B)溝状凹部が形成された板状歯表面モデルの面上を歯磨剤と歯ブラシを用いてブラッシングする工程、並びに
    (C)ブラッシングした後の溝状凹部におけるアイライナーの残存量又は除去量を測定及び評価する工程
    を備え、かつ工程(C)における評価が、歯の表面に存在する周波条以上の深さの溝における着色汚れ除去効果の評価である、歯磨剤のスクリーニング方法。
  3. 板状歯表面モデルが有する面において、溝状凹部が互いに平行して複数形成されてなり、かつ隣り合う溝状凹部と溝状凹部との間隙が0.1〜1.5mmである請求項1又は2に記載の方法。
  4. 疑似汚れ物質としてのアイライナーと板状歯表面モデルとが異なる色相又は明度の色を呈し、工程(C)におけるアイライナーの残存量又は除去量の測定が、アイライナーの色相又は明度の測定である請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯磨剤のスクリーニング方法。
  5. 工程(C)において、アイライナーの残存量又は除去量の測定が、
    (c1)板状歯表面モデルに付着したアイライナーを洗浄して、アイライナーを含有する抽出液を得る工程と、
    (c2)得られた抽出液の吸光度を測定する工程
    を備える請求項1〜のいずれか1項に記載の歯磨剤のスクリーニング方法。
  6. 工程(B)において、ブラッシングの動作方向が、溝状凹部の長手方向に対して板状歯表面モデルの面に沿って平行である請求項1〜のいずれか1項に記載の歯磨剤のスクリーニング方法。
  7. 板状歯表面モデルの材質が、金属、ハイドロキシアパタイト、合成樹脂から選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜のいずれか1項に記載の歯磨剤のスクリーニング方法。
  8. 歯磨剤が、顆粒及び研磨剤から選ばれる1種又は2種以上の粉体を含有する請求項1〜のいずれか1項に記載の歯磨剤のスクリーニング方法。
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