JP6226297B2 - 基板処理装置 - Google Patents
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Description
スピンチャックに保持された基板に対して薬液が供給される。その後、リンス液が基板に供給される。これにより、基板上の薬液がリンス液に置換される。その後、基板上のリンス液を排除するためのスピンドライ工程が行われる。スピンドライ工程では、基板が高速回転されることにより、基板に付着しているリンス液が振り切られて除去(乾燥)される。
特許文献1のように、スピンドライ工程の前に有機溶剤の液体を基板に供給する場合には、表面張力の低い有機溶剤の液体がパターン間に存在するので、基板の乾燥時にパターンに加わる力が低下する結果、パターン倒壊を防止できると考えられている。
外方誘導面が基板上の処理液の液膜に接触すると、基板上の処理液を外方に誘導する力が基板上の処理液の液膜に加わる。複数の外方誘導面が基板の周方向に等間隔で配列されているので、複数の外方誘導面は、基板の周方向に等間隔で離れた複数の位置で、基板上の処理液の液膜に接触する。したがって、基板上の処理液の液膜は、複数の外方誘導面によって均一に外方に誘導される。そのため、基板上の処理液の液膜を偏りなく基板から排除できる。
この構成によれば、外方誘導面が基板の周縁部に沿って延びているので、外方誘導面と液膜との接触面積を増加させることができる。これにより、基板上の処理液を外方に誘導する力を増加させることができる。
この構成によれば、外方誘導面が基板の全周にわたって連続しているので、外方誘導面と液膜との接触面積をさらに増加させることができる。これにより、基板上の処理液を外方に誘導する力をさらに増加させることができる。さらに、環状の外方誘導面が液膜の周縁部の全周に接触するので、基板上の処理液の液膜は、環状の外方誘導面によって均一に外方に誘導される。そのため、基板上の処理液の液膜を偏りなく基板から排除できる。
請求項6に記載の発明は、前記基板保持手段は、基板の周縁部に押し付けられる可動把持部を含む可動ピンと、前記可動把持部が基板の周縁部に押し付けられる閉位置と前記可動把持部が基板の周縁部から離れる開位置との間で前記可動ピンを移動させるチャック開閉ユニットとを含み、前記基板処理装置は、前記可動ピンが前記開位置に位置している状態で、処理液の液膜と基板の上面との間に気相が形成されるように、前記チャック開閉ユニットおよび加熱手段を制御する制御装置をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、処理液の液膜と基板の上面との間に気相が形成されている状態で、基板の上面の一部の領域である吹き付け位置に気体が吹き付けられる。吹き付け位置にある処理液は、気体の供給によってその周囲に押し退けられる。これにより、吹き付け位置に乾燥領域が形成される。さらに、処理液が気体の供給によって吹き付け位置からその周囲に移動するので、基板の周縁部に向かう外向きの流れが処理液の液膜に形成される。したがって、気体の供給と誘導部材とを併用することにより、基板上の処理液の液膜を基板から素早く短時間で排除できる。
この構成によれば、基板の上面に向けて気体が吐出される。これにより、基板の上面の一部から処理液が排除され、乾燥領域が基板の上面に形成される。その結果、誘導部材に向かう流れが処理液の液膜に形成される。さらに、気体が基板の上面に沿って誘導部材に向かって流れるので、誘導部材に向かう処理液の流れが、基板の上面に沿って誘導部材に向かう気流によって促進される。したがって、基板上の処理液の液膜を効率的に排除できる。そのため、液膜の排除に要する時間を短縮できる。
この構成によれば、誘導部材に向けて吐出された気体によって、誘導部材に付着している液体が吹き飛ばされる。そのため、誘導部材に付着している液体に起因するパーティクルの発生を低減できる。
この構成によれば、基板の上面中央部を覆う処理液の液膜の中央部がその周囲の部分よりも高温になる。そのため、液膜の周縁部に向かう放射状の流れが、処理液の液膜に形成される。したがって、温度差の発生と誘導部材とを併用することにより、基板上の処理液の液膜を基板から素早く短時間で排除できる。さらに、高温領域が最初に形成される位置が基板の上面周縁部である場合よりも、処理液の液膜を排除する時間を短縮できる。
この構成によれば、基板の上面周縁部を覆う処理液の液膜の周縁部が液膜の他の部分よりも高温になる。そのため、液膜の周縁部に向かう流れが処理液の液膜に形成される。したがって、温度差の発生と誘導部材とを併用することにより、基板上の処理液の液膜を基板から素早く短時間で排除できる。
この構成によれば、処理液の液膜内に温度差が発生するので、低温の方に移動する流れが処理液の液膜に形成される。さらに、低温領域と高温領域との境界を低温領域に方に移動させるので、液膜内において低温の方に移動する流れが促進される。これにより、基板上の処理液の液膜を効率的に排除できる。
この構成によれば、基板に供給される液体の表面張力が小さいので、隣接する2つの構造物に跨る液面が、一時的に形成されたとしても、パターンに加わる表面張力が小さい。したがって、パターン倒壊の発生を低減できる。さらに、蒸発し易い液体が基板に供給されるので、加熱手段の温度を抑えながら、処理液の液膜と基板の上面との間に気相を形成できる。
この構成によれば、基板保持手段を収容するインナーチャンバーが、アウターチャンバー内に配置されている。インナーチャンバーが開閉可能なので、インナーチャンバーの内部をインナーチャンバーを除くアウターチャンバーの内部から必要に応じて隔離できる。したがって、インナーチャンバーおよびアウターチャンバーにより二重に覆われた密閉度の高い空間を必要に応じて形成できる。そのため、密閉度の高い空間内で基板の加熱などの処理を実施できる。さらに、インナーチャンバーを開けば、気体または液体を吐出するノズルをインナーチャンバーの中とインナーチャンバーの外との間で行き来させることができるので、このようなノズルをインナーチャンバー内に配置しなくてもよい。したがって、インナーチャンバーの大型化を抑制または防止できる。
この構成によれば、基板保持手段を収容するインナーチャンバーの内部に不活性ガスを供給するので、インナーチャンバー内の空気を不活性ガスに置換でき、インナーチャンバー内の酸素濃度を低減できる。したがって、ウォーターマークなどの酸素に起因する問題の発生を防止できる。
基板処理装置1は、シリコンウエハなどの円板状の基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。図1に示すように、基板処理装置1は、処理液で基板Wを処理する複数の処理ユニット2と、処理ユニット2で処理される複数枚の基板Wを収容するキャリアCが載置されるロードポートLPと、ロードポートLPと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する搬送ロボットIRおよび搬送ロボットCRと、基板処理装置1を制御する制御装置3とを含む。
図2に示すように、処理ユニット2は、さらに、第1保持ユニット15および第2保持ユニット29を収容する開閉可能なインナーチャンバー7と、回転軸線A1まわりにインナーチャンバー7を取り囲む筒状のカップ38と、インナーチャンバー7およびカップ38を収容するアウターチャンバー4とを含む。
図2に示すように、ホットプレート30は、水平で平坦な円形の上面31aを有するプレート本体31と、基板Wの下面がプレート本体31の上面31aに近接した状態で基板Wをプレート本体31の上方で支持する複数の支持ピン32と、複数の支持ピン32に保持されている基板Wをその下方から室温(たとえば、20〜30℃)よりも高い温度で加熱する複数のヒータ33とを含む。複数のヒータ33は、加熱手段の一例である。
リンス液ノズル46から吐出されるリンス液は、純水(脱イオン水:Deionzied Water)である。リンス液ノズル46から吐出されるリンス液は、純水に限らず、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、および希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水のいずれかであってもよい。
上溶剤ノズル54から吐出される溶剤の液体は、室温のIPAの液体である。IPAの液体は、水よりも表面張力が小さく、水よりも沸点が低い低表面張力液の一例である。低表面張力液は、IPAに限らず、HFE(ハイドロフロロエーテル)の液体であってもよい。
図2に示すように、カップ38は、上位置(図2に示す位置)と下位置との間で鉛直方向に昇降可能である。上位置は、カップ38の上端がインナーチャンバー7の下周壁部10の上端とノズルアーム49との間の高さに位置する処理位置である。下位置は、カップ38の上端がインナーチャンバー7の下周壁部10の上端よりも下方に位置する退避位置である。処理ユニット2は、カップ38を上位置と下位置との間で鉛直方向に昇降させるカップ昇降ユニット(図示せず)を含む。上蓋11およびカップ38が上位置に位置している状態では、第1保持ユニット15に保持されている基板Wからその周囲に排出された処理液が、カップ38によって受け止められ、カップ38内に集められる。そして、カップ38内に集められた処理液は、図示しない回収装置または排液装置に送られる。
図11Aに示すように、パターン101は、凸形状(柱状)を有する構造物102が行列状に配置されたものであってもよい。この場合、構造物102の線幅W1はたとえば10nm〜45nm程度であり、隣接する構造物102間の隙間W2はたとえば10nm〜数μm程度である。
また、パターン101は、薄膜に、複数の微細孔(ボイド(void)またはポア(pore))を設けることにより形成されていてもよい。
パターン101は、たとえば絶縁膜を含む。また、パターン101は、導体膜を含んでいてもよい。より具体的には、パターン101は、複数の膜を積層した積層膜により形成されていてもよい。積層膜は、絶縁膜と導体膜とを含んでいてもよい。パターン101は、単層膜で構成されるパターンであってもよい。絶縁膜は、シリコン酸化膜(SiO2膜)やシリコン窒化膜(SiN膜)であってもよい。また、導体膜は、低抵抗化のための不純物を導入したアモルファスシリコン膜であってもよいし、金属膜(たとえば金属配線膜)であってもよい。
次に、処理ユニット2によって行われる基板Wの処理の一例について説明する。以下では、図2および図10を参照する。処理ユニット2によって基板Wが処理されるときには、アウターチャンバー4内に基板Wを搬入する搬入工程(図10のステップS1)が行われる。
具体的には、制御装置3は、アーム揺動ユニット50を制御することにより上蓋11が上位置に退避し、ホットプレート30が基板Wから離れた状態で、ノズルアーム49を退避位置から処理位置に移動させる。これにより、薬液ノズル43は、インナーチャンバー7の下周壁部10とインナーチャンバー7の上周壁部13との間を通って、基板Wの上方に移動する。制御装置3は、薬液ノズル43を基板Wの上方に移動させた後、薬液バルブ45を開いて、回転している基板Wの上面に向けて薬液を薬液ノズル43に吐出させる。制御装置3は、この状態でアーム揺動ユニット50を制御することにより、基板Wの上面に対する薬液の着液位置を中央部と周縁部との間で移動させる。そして、薬液バルブ45が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置3は、薬液バルブ45を閉じて、薬液の吐出を停止させる。
具体的には、制御装置3は、ノズルアーム49に保持されているリンス液ノズル46が基板Wの上方に位置しており、ホットプレート30が基板Wから離れた状態で、リンス液バルブ48を開く。これにより、純水が、回転している基板Wの上面中央部に向けてリンス液ノズル46から吐出される。そのため、基板W上の薬液が純水によって洗い流され、基板Wの上面全域を覆う純水の液膜が形成される。そして、リンス液バルブ48が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置3は、リンス液バルブ48を閉じて、純水の吐出を停止させる。その後、制御装置3は、アーム揺動ユニット50を制御することにより、ノズルアーム49を処理位置から退避位置に移動させる。
具体的には、制御装置3は、蓋昇降ユニット14を制御することにより、ノズルアーム49が退避位置に退避しており、基板Wの上面全域が純水の液膜で覆われている状態で、上蓋11を上位置から下位置に移動させる。これにより、上蓋11の上周壁部13とチャンバー本体8の下周壁部10との間の隙間が密閉される。このとき、基板Wは、固定ピン16および可動ピン19に把持されている。また、ホットプレート30は、仮にヒータ33が発熱していてもヒータ33の熱が基板Wに十分伝わらない高さまで基板Wから離れている。
具体的には、制御装置3は、上蓋11が下位置に移動した後、上リンス液バルブ53を開いて、回転している基板Wの上面中央部に向けて上リンス液ノズル51に純水を吐出させる。これにより、基板Wの上面全域を覆う液膜が、上リンス液ノズル51から吐出された純水によって形成される。また、基板Wの周縁部からその周囲に飛散した純水は、チャンバー本体8の底壁部9から排出される。上リンス液バルブ53が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置3は、上リンス液バルブ53を閉じて、純水の吐出を停止させる。
具体的には、制御装置3は、インナーチャンバー7が閉じられており、基板Wの上面全域が純水の液膜で覆われている状態で、上溶剤バルブ56を開く。このとき、基板Wは、固定ピン16および可動ピン19に把持されており、ホットプレート30は、基板Wから離れている。上溶剤ノズル54から吐出されたIPAの液体は、回転している基板Wの上面中央部に着液し、基板Wの上面に沿って外方に流れる。これにより、基板W上の純水がIPAの液体に置換され、基板Wの上面全域を覆うIPAの液膜が形成される。そして、上溶剤バルブ56が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置3は、上溶剤バルブ56を閉じて、IPAの吐出を停止させる。
具体的には、制御装置3は、ヒータ33への通電を開始することにより、ヒータ33を発熱させる。ヒータ33の発熱は、基板Wがホットプレート30に支持されるのと同時に開始されてもよいし、基板Wがホットプレート30に支持される前または後に開始されてもよい。ヒータ33の発熱により、ホットプレート30の温度(プレート本体31の温度)が、IPAの沸点(82.4℃)よりも高い液膜浮上温度(たとえば、IPAの沸点より10〜50℃高い温度)に達し、その温度に維持される。これにより、基板Wの上面の全ての位置でIPAの液体が蒸発し、IPAの液膜が基板Wの上面から離れる。なお、このとき、基板Wと複数の誘導部材60とは、浮上後のIPAの液膜が複数の誘導部材60の外方誘導面63および下方誘導面64に接しない位置関係に設定されている。IPAの液膜の浮上の詳細については後述する。
次に、第2保持ユニット29から第1保持ユニット15に基板Wを移動させる第2基板受け渡し工程(図10のステップS10)が行われる。具体的には、制御装置3は、支持リング23の回転角とホットプレート30の高さとを制御することにより、チャック開閉ユニット25が可動ピン19を駆動可能な位置までチャック開閉ユニット25および可動ピン19を移動させる。チャック開閉ユニット25は常時閉のユニットであるから、可動ピン19は閉位置に配置されている。そのため、制御装置3は、チャック開閉ユニット25を制御することにより、可動ピン19を閉位置から開位置に移動させる。制御装置3は、プレート昇降ユニット37を制御することにより、この状態でホットプレート30を下方に移動させる。これにより、複数の固定ピン16が基板Wの下面に接触し、ホットプレート30が基板Wの下面から離れる。
具体的には、制御装置3は、蓋昇降ユニット14を制御することにより、上蓋11を下位置から上位置に移動させる。このとき、ホットプレート30は、基板Wから離れているものの、チャック開閉ユニット25が可動ピン19を駆動可能な位置に配置されている。チャック開閉ユニット25は、可動ピン19を開位置に位置させている。制御装置3は、上蓋11が上位置に退避しており、カップ38が下位置に位置している状態で、搬送ロボットCRのハンドHをアウターチャンバー4内に進入させる。そして、制御装置3は、複数の固定ピン16に支持されている基板Wを搬送ロボットCRのハンドHに支持させる。その後、制御装置3は、搬送ロボットCRのハンドHをアウターチャンバー4内から退避させる。これにより、処理済みの基板Wがアウターチャンバー4から搬出される。
上面全域がIPAの液膜で覆われた基板Wは、前述の有機溶剤加熱工程(図10のステップS8)において液膜浮上温度で均一に加熱され、液膜浮上温度に維持される。さらに、基板W上のIPAの液膜の加熱は、基板Wが回転しておらず、静止している状態で行われる。液膜浮上温度は、IPAの沸点(82.4℃)よりも所定温度(たとえば、10〜50℃)高い温度である。液膜浮上温度は、浮上しているIPAの液膜が沸騰しない程度の温度である。
図11Aに示すように、パターン101の内部(隣接する2つ構造物の間の空間または筒状の構造物の内部空間)は、IPAの液体で満たされている。IPAの蒸気の発生によって、パターン101の内部は気体で満たされる。つまり、図11Bに示すように、パターン101内のIPAの液体は、基板Wの加熱によりパターン101内から瞬時に排出される。さらに、基板W上のIPAの液膜111は、IPAの蒸気の発生によって徐々に持ち上げられ、パターン101から離れる。つまり、IPAの蒸気を含む気相112が、パターン101の上面(構造物102の上面102A)とIPAの液膜111との間に介在し、IPAの液膜111が、気相112を介して基板Wに支持される。
1つ目の要因は、基板Wの長時間の加熱による多量のIPAの蒸気の発生またはIPAの液膜111の沸騰である。多量のIPAの蒸気が発生したり、IPAの液膜111が沸騰すると、IPAの蒸気がその上方のIPAの液膜111を突き破って当該IPAの液膜111の上方に噴き出し、その結果、IPAの液膜111に亀裂等113を生じさせるおそれがある。1つ目の要因は、液膜浮上温度や液膜の加熱時間を調整することで対処している。
気相がIPAの液膜と基板Wの上面との間の介在しているとき、基板W上のIPAの液膜に働く摩擦抵抗は、零と見なせるほど小さい。そのため、基板Wの上面に平行な方向の力が、浮上しているIPAの液膜に加わると、IPAの液膜は簡単に移動する。
本発明の第1実施形態の説明は以上であるが、本発明は、第1実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の変更が可能である。
この構成によれば、外方誘導面63が基板Wの周縁部に沿って延びているので、外方誘導面63と液膜との接触面積を増加させることができる。これにより、基板W上のIPAの液体を外方に誘導する力を増加させることができる。さらに、誘導部材60が環状の場合は、環状の外方誘導面63が液膜の周縁部の全周に接触するので、基板W上のIPAの液膜は、環状の外方誘導面63によって均一に外方に誘導される。そのため、基板W上のIPAの液膜を偏りなく基板Wから排除できる。
対向部材65に取り付けられた誘導部材60を用いた場合におけるホットプレート30の昇降動作は、第1実施形態の場合と同様である。すなわち、第1基板受け渡し工程(図10のステップS7)では、ホットプレート30は基板W上のIPAの液膜が誘導部材60の外方誘導面63および下方誘導面64に接触する手前まで上昇する。また、有機溶剤排除工程(図10のステップS9)では、ホットプレート30は基板W上のIPAの液膜が誘導部材60の外方誘導面63に接触可能な高さまで(かつ、対向面66には接触しない高さまで)上昇する。但し、誘導部材60を有機溶剤加熱工程(図10のステップS8)の段階からIPAの液膜に接触させておく場合には、有機溶剤排除工程(ステップS9)における基板Wの上記上昇は不要である。
第1基板受け渡し工程(図10のステップS7)の実行時に、可動ピン19は中間位置まで移動する。これにより、可動ピン19の可動把持部20が基板Wの周縁部から離れ、基板Wは固定ピン16のみによって支持されるようになる。その後、ホットプレート30が上昇し、基板Wは固定ピン16からホットプレート30に受け渡される。そして、この状態で有機溶剤加熱工程(図10のステップS8)が実行されて基板W上のIPAの液膜が浮上する。
第1実施形態の場合、有機溶剤加熱工程(ステップS8)から有機溶剤排除工程(ステップS9)に移行する際に基板Wを微小量上昇させて、誘導部材60をIPAの液膜に接触させる必要があった。これに対して、図17A、図17Bの誘導部材60を用いた場合には、可動ピン19および誘導部材60が一体化された把持誘導部材を移動させることにより誘導部材60をIPAの液膜に接触する位置と接触しない位置との間で移動させることができるので、有機溶剤加熱工程(ステップS8)から有機溶剤排除工程(ステップS9)に移行する際に基板Wを微小量上昇させる必要がない。
また、図18に示すように、可動ピン19の可動把持部22は、内向きに開いたV字状の鉛直断面を有する収容溝を形成する2つの傾斜面(上傾斜面67および下傾斜面68)を含んでいてもよい。誘導部材60の外方誘導面63は、上傾斜面67に設けられている。
この構成によれば、基板Wの上面周縁部に向けて窒素ガスが吐出される。これにより、基板Wの上面周縁部からIPAの液体が排除され、乾燥領域が基板Wの上面周縁部に形成される。その結果、誘導部材60に向かう流れがIPAの液膜に形成される。さらに、窒素ガスが基板Wの上面に沿って誘導部材60に向かって流れるので、誘導部材60に向かうIPAの液体の流れが、基板Wの上面に沿って誘導部材60に向かう気流によって促進される。したがって、基板W上のIPAの液膜を効率的に排除できる。そのため、液膜の排除に要する時間を短縮できる。
この場合、基板Wの上面周縁部を覆うIPAの液膜の周縁部が液膜の他の部分よりも高温になる。そのため、誘導部材60に向かう流れがIPAの液膜に形成される。その結果、図24Aおよび図24Bに示すように、基板Wの上面周縁部からIPAの液体がなくなり、IPAの液体が排除された部分の面積が増加していく。したがって、温度差の発生と誘導部材60とを併用することにより、基板W上のIPAの液膜を基板Wから素早く短時間で排除できる。さらに、低温領域と高温領域との境界を低温領域に方に移動させる場合には、液膜内において低温の方に移動する流れが促進される。これにより、基板W上のIPAの液膜を効率的に排除できる。
また、第1実施形態では、有機溶剤加熱工程(図10のステップS8)においてIPAの液膜を浮上させる場合について説明したが、IPA以外の液膜を浮上させてもよい。たとえば、有機溶剤加熱工程に相当する液膜加熱工程において純水の液膜を浮上させ、有機溶剤排除工程に相当する液膜排除工程において純水の液膜を排除してもよい。
また、第1実施形態では、ホットプレート30を基板Wの裏面に接触させることにより基板Wを加熱した(有機溶剤加熱工程(図10のステップS8))。しかし、有機溶剤加熱工程(ステップS8)は、ホットプレート30を基板Wから離隔させた状態で実行されてもよい。この場合、基板Wを固定ピン16とホットプレート30との間で受け渡す必要がない。また、可動ピン19による基板Wの把持状態を基板処理の途中で一時的に解除する必要もない。
また、前述の全ての実施形態のうちの2つ以上が組み合わされてもよい。
3 :制御装置
4 :アウターチャンバー
7 :インナーチャンバー
15 :第1保持ユニット(基板保持手段)
16 :固定ピン
19 :可動ピン
22 :可動把持部
25 :チャック開閉ユニット
29 :第2保持ユニット(基板保持手段)
30 :ホットプレート
33 :ヒータ(加熱手段)
51 :上リンス液ノズル(処理液供給手段)
53 :上リンス液バルブ(処理液供給手段)
54 :上溶剤ノズル(処理液供給手段)
56 :上溶剤バルブ(処理液供給手段)
57 :上気体ノズル(気体吐出手段、不活性ガス供給手段)
59 :上気体バルブ(気体吐出手段、不活性ガス供給手段)
60 :誘導部材
61 :第1部分
62 :第2部分
63 :外方誘導面
64 :下方誘導面
65 :対向部材
66 :対向面
69 :外気体ノズル(液残り防止手段)
71 :外気体バルブ(液残り防止手段)
72 :赤外線ヒータ
101 :パターン
102 :構造物
111 :液膜
W :基板
Claims (18)
- 基板を水平に保持する基板保持手段と、
前記基板保持手段に保持されている基板の上面に処理液を供給することにより、基板の上面全域を覆う処理液の液膜を形成する処理液供給手段と、
前記基板保持手段に保持されている基板を、基板の上面全域が処理液の液膜で覆われている状態で、処理液の沸点以上の温度で加熱することにより、処理液を蒸発させて、処理液の液膜と基板の上面との間に気相を形成する加熱手段と、
処理液の液膜と基板の上面との間に気相が介在している状態で前記基板保持手段に保持されている基板上の処理液の液膜の周縁部に接触する外方誘導面を含み、前記外方誘導面と処理液の液膜との接触により、処理液を基板の上面から基板の周囲に誘導する誘導部材とを含む、基板処理装置。 - 前記誘導部材は、等間隔で基板の周方向に配列された複数の外方誘導面を含む、請求項1に記載の基板処理装置。
- 前記外方誘導面は、基板の周縁部に沿って延びる環状または円弧状である、請求項1または2に記載の基板処理装置。
- 前記外方誘導面は、基板の全周にわたって連続した環状である、請求項3に記載の基板処理装置。
- 前記基板処理装置は、前記基板保持手段に保持されている基板の上面に対向する対向面を有する対向部材をさらに含み、
前記誘導部材は、前記対向面から下方に突出している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置。 - 前記基板保持手段は、基板の周縁部に押し付けられる可動把持部を含む可動ピンと、前記可動把持部が基板の周縁部に押し付けられる閉位置と前記可動把持部が基板の周縁部から離れる開位置との間で前記可動ピンを移動させるチャック開閉ユニットとを含み、
前記基板処理装置は、前記可動ピンが前記開位置に位置している状態で、処理液の液膜と基板の上面との間に気相が形成されるように、前記チャック開閉ユニットおよび加熱手段を制御する制御装置をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置。 - 前記基板保持手段は、基板の周縁部に押し付けられる可動把持部を含む可動ピンと、前記可動ピンを移動させるチャック開閉ユニットとを含み、
前記誘導部材は、前記可動ピンに設けられており、
前記チャック開閉ユニットは、前記可動把持部が基板の周縁部に押し付けられると共に、前記外方誘導面が基板上の処理液の液膜から離れる閉位置と、前記可動把持部が基板の周縁部から離れると共に、前記外方誘導面が基板上の処理液の液膜に接触する開位置との間で、前記可動ピンを移動させる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の基板処理装置。 - 前記基板保持手段は、基板の周縁部に押し付けられる可動把持部を含む可動ピンと、前記可動ピンを移動させるチャック開閉ユニットとを含み、
前記外方誘導面は、前記可動把持部に設けられており、
前記チャック開閉ユニットは、前記可動把持部が基板の周縁部に押し付けられると共に、前記外方誘導面が基板上の処理液の液膜に接触する閉位置と、前記可動把持部が基板の周縁部から離れると共に、前記外方誘導面が基板上の処理液の液膜から離れる開位置との間で、前記可動ピンを移動させる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理装置。 - 処理液の液膜と基板の上面との間に気相が形成されている状態で、前記基板保持手段に保持されている基板の上面に向けて気体を吐出することにより、処理液が排除された乾燥領域を基板の上面の一部の領域に形成する気体吐出手段をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の基板処理装置。
- 前記気体吐出手段は、前記基板保持手段に保持されている基板の上面に沿って前記誘導部材に向かって流れる気流を形成する、請求項9に記載の基板処理装置。
- 前記誘導部材に向けて気体を吐出する液残り防止手段をさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の基板処理装置。
- 前記加熱手段は、前記基板保持手段に保持されている基板の上面全域をそれぞれ独立した温度で加熱する複数のヒータを含み、
前記基板処理装置は、前記加熱手段を制御する制御装置をさらに含み、
前記制御装置は、
前記基板保持手段に保持されている基板を、基板の上面全域が処理液の液膜で覆われている状態で、処理液の沸点以上の温度で均一に加熱することにより、処理液を蒸発させて、処理液の液膜と基板の上面との間に気相を形成する均一加熱工程と、
前記均一加熱工程の後に、処理液の液膜と基板の上面との間に気相が形成されている状態で、処理液の沸点以上の低温領域と前記低温領域よりも高温の高温領域とを基板の上面に形成する温度差発生工程とを実行する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の基板処理装置。 - 前記制御装置は、前記温度差発生工程において、基板の上面中央部に高温領域を形成する、請求項12に記載の基板処理装置。
- 前記制御装置は、前記温度差発生工程において、基板の上面周縁部に高温領域を形成する、請求項12に記載の基板処理装置。
- 前記制御装置は、前記温度差発生工程の後に、前記低温領域と前記高温領域との境界を前記低温領域の方に移動させる境界移動工程をさらに実行する、請求項12〜14のいずれか一項に記載の基板処理装置。
- 前記処理液供給手段によって基板に供給される処理液は、水よりも表面張力が小さく、水よりも沸点が低い液体である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の基板処理装置。
- 前記基板処理装置は、前記基板保持手段を収容する開閉可能なインナーチャンバーと、前記インナーチャンバーを収容するアウターチャンバーとを含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の基板処理装置。
- 前記基板処理装置は、前記インナーチャンバーの内部に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段をさらに含む、請求項17に記載の基板処理装置。
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