以下に添付図面を参照して、本発明にかかる解析支援方法、および解析支援プログラムの実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明にかかる解析支援装置による一動作例を示す説明図である。解析支援装置100は、故障の特定を支援するコンピュータである。例えば、解析支援装置100は、特に露光起因の故障であるか否か、いずれの層の露光起因の故障であるか、いずれの露光条件ecでの露光起因の故障であるかなどの特定を支援する。
図1(1)に示すように、解析支援装置100は、対象回路に含まれる複数の第1セルc1nの各々の所定層の転写パターンtpの露光シミュレーションに基づく第1特徴値W1を導出する。転写パターンは、複数の第1セルc1nの所定層のレイアウトパターンlpを用いて所定の露光条件ecによって露光した場合における転写パターンである。また、図1(2)に示すように、解析支援装置100は、対象回路に含まれ複数の第1セルc1nと異なる複数の第2セルc2mの各々の所定層の転写パターンtpの露光シミュレーションに基づく第2特徴値W2を導出する。転写パターンtpは、複数の第2セルc2mの所定層のレイアウトパターンlpを用いて所定の露光条件ecによって露光した場合における転写パターンである。
複数の第1セルc1nは、例えば、対象回路に含まれる複数のセルのうち、異常セルであると推定されたセルである。異常セルについては、例えば、利用者によって指定されてもよいし、本実施の形態で後述するように故障診断結果などに基づいて特定されてもよい。図1の例では、第1セルc11としては、2入力の否定論理和(OR)セルを挙げ、第1セルc12としては否定(INVERTER(省略して以下「INV」と表す))セルを挙げてある。複数の第2セルc2mは、例えば、対象回路に含まれる複数のセルのうち、異常セルでない正常セルである。正常セルは、例えば、利用者によって指定されてもよいし、異常セル以外のセルすべてを正常セルとしてもよい。図1の例では、第2セルc21としては2入力の否定論理積(AND)セルが挙げられ、第2セルc22としてはバッファセルを挙げてある。
所定層については、例えば、露光が行われる層であり、詳細な層例は図2を用いて説明する。レイアウトパターンlpは、レイアウト設計において設計されたパターンであり、レイアウトデータによって定義される。図1の例では、複数の第1セルc1n(n>1)のレイアウトパターンlp1nと、複数の第2セルc2m(m>1)のレイアウトパターンlp2mと、を示す。例えば、第1セルc11の所定層のレイアウトパターンはレイアウトパターンlp11であり、第1セルc12の所定層のレイアウトパターンはレイアウトパターンlp12である。また、例えば、第2セルc21の所定層のレイアウトパターンはレイアウトパターンlp21であり、第2セルc22の所定層のレイアウトパターンはレイアウトパターンlp22である。
また、所定の露光条件ecは、例えば、露光時のレンズの高さや露光量などの光の強度などが挙げられる。図1の例では、フォーカスとして規定のレンズの高さに対して10[nm]高い位置にレンズがある場合と、規定の露光量に対して10[%]多い露光量である場合と、を露光条件ecとする。露光シミュレーションでは、レイアウトパターンlpを用いて露光条件ecに基づき露光することを模擬可能である。
転写パターンtpは、レイアウトパターンlpを用いて露光された場合に転写されるパターンである。図1の例では、複数の第1セルc1nの転写パターンtp1nと、複数の第2セルc2mの転写パターンtp2mと、を示す。例えば、第1セルc11についての転写パターンは転写パターンtp11であり、第1セルc12についての転写パターンは転写パターンtp12である。また、例えば、第2セルc21についての転写パターンは転写パターンtp21であり、第2セルc22についての転写パターンは転写パターンtp22である。
第1特徴値W1および第2特徴値W2は、例えば、故障を判定可能な値である。例えば、故障となる例の詳細は図3に示す。図1の例では、転写パターンtpの最小の配線幅を第1特徴値W1および第2特徴値W2とする。図1の例では、複数の第1セルc1nについての複数の第1特徴値W1nと、複数の第2セルc2mについての複数の第2特徴値W2mと、を示す。例えば、第1セルc11についての第1特徴値は第1特徴値W11であり、第1セルc12についての第1特徴値は第1特徴値W12である。例えば、第2セルc21についての第2特徴値は第2特徴値W21であり、第2セルc22についての第2特徴値は第2特徴値W22である。
また、解析支援装置100は、第1セルc1の各々についての第1特徴値W1の導出と、第2セルc2の各々についての第2特徴値W2の導出と、を順に行ってもよい。または、解析支援装置100は、対象回路に含まれるすべてのセルについて特徴値を導出した後に、第1特徴値W1と、第2特徴値W2と、グループ分けしてもよい。
図1(3)に示すように、解析支援装置100は、複数の第1セルc1nの各々について導出した第1特徴値W1と、複数の第2セルc2mの各々について導出した第2特徴値W2と、の間の有意差を示す指標値ivを算出する。有意差を示す指標値ivとしては、例えば、p値、平均値の差分などが挙げられる。p値は、例えば、導出した第1特徴値W1と導出した第2特徴値W2とに基づく、レイアウトパターンlp1を用いて実際に露光した場合の第1特徴値W1と、レイアウトパターンlp2を用いて実際に露光した場合の第2特徴値W2と、の間に差がない確率である。平均値の差分とは、例えば、導出した第1特徴値W1の平均値と、導出した第2特徴値W2の平均値と、の差分である。
図1(4)の例では、指標値ivをp値とする。解析支援装置100は、算出した指標値ivに基づき有意差があるか否かを判断する。例えば、解析支援装置100は、指標値ivと閾値thとを比較することによって有意差があるか否かを判断する。例えば、閾値thについては、予め利用者によって定められ、解析支援装置100がアクセス可能な記憶装置に記憶されてある。図1(4)の例では、閾値thは0.05である。換言すると、第1特徴値W1と第2特徴値W2との間に差がない確率が5[%]以上であるか否かが判断される。5[%]以上であれば、第1特徴値W1と第2特徴値W2との間に差がない確率が高いと判断され、5[%]未満であれば、第1特徴値W1と第2特徴値W2との間に差がない確率が低いと判断される。そのため、図1(4)の例では、解析支援装置100は、指標値ivが閾値th以上であれば、有意差がないと判断し、指標値ivが閾値th未満であれば、有意差があると判断する。図1(4)の例では、解析支援装置100は有意差があると判断する。
また、例えば、指標値ivが平均値の差分である場合、例えば、制御部は、閾値th以上であるか否かによって有意差があるか否かを判定する。例えば、指標値ivが閾値th以上である場合、制御部は、有意差があると判定する。例えば、指標値ivが閾値th未満である場合、制御部は、有意差がないと判定する。例えば、閾値thについては、予め利用者によって定められ、解析支援装置100にアクセス可能な記憶部に記憶されてある。
このように、解析支援装置100は、異常セル群と正常セル群との各々について、同一層の転写パターンtpの特徴値を同一の露光条件ecの露光シミュレーションにより導出し、該特徴値の間の有意差を判定する。これにより、層と露光条件ecとの組み合わせにおいて故障が発生した可能性があるかが判定される。
例えば、有意差がないと判定された場合、層と露光条件ecとの組み合わせにおいて故障が発生していないと判定できる。そのため、例えば、故障要因の解析者は、当該組み合わせにおいて、物理的な解析を行う際に、当該組み合わせについての優先順位を下げるなどの判断を行うことができる。物理的な解析とは、物理的な断面解析や物理的な剥離解析である。また、例えば、有意差があると判定された場合、セルと層と露光条件ecとの組み合わせにおいて故障が発生している可能性があると判定され、故障要因の解析者は、当該組み合わせに基づいて物理的な解析を行ってもよい。このように、故障特定にかかる時間の短縮を図ることができる。また、セル単位で露光シミュレーションが行われるため、対象回路全体でシミュレーションを実施する場合よりも露光シミュレーションにかかる時間の短縮を図ることができる。また、同一種類のセルについては、1回の露光シミュレーションでよいため、露光シミュレーションにかかる時間の短縮を図ることができる。
図2は、積層構造例を示す説明図である。図2には、半導体装置内の配線の積層構造について、断面の模式図を示す。セルに含まれるトランジスタは、Active層と、Poly層と、配線のMetal層と、それぞれを接続するContact層やVia層と、によって形成される。Active層は、nチャネルやpチャネルの活性層である。配線のMetal層には、例えば、Metal1層、Metal2層、Metal3層などがある。Via層には、例えば、Via1層、Via2層などがある。
Contact層のContactは、例えば、Poly層の配線と、Metal1層の配線と、を接続する。Via1層のViaは、例えば、Metal1層の配線と、Metal2層の配線と、を接続する。Via2層のViaは、例えば、Metal2層の配線と、Metal3層の配線と、を接続する。本実施の形態では、Active層、Poly層、Metal層などが、露光が行われる層として故障要因の解析対象となる。
図3は、線幅と抜き幅との例を示す説明図である。図3には、レイアウトパターンlpと、転写パターンtpと、転写パターンtpの特徴値と、を示す。レイアウトパターンlpは、レイアウト設計によって設計されたパターンである。転写パターンtpは、レイアウトパターンlpを用いて所定の露光条件ecの露光シミュレーションに基づくパターンである。露光条件ecについては後述する。転写パターンtpの特徴値としては、配線幅と、抜き幅と、が挙げられる。配線幅とは配線の幅である。配線幅が小さすぎると、配線が断線してしまうという故障が発生するため、配線幅が最も狭い最小配線幅が転写パターンtpの特徴値となる。配線幅による故障をNeckingとも称する。また、抜き幅とは、配線パターン間の距離であり、抜き幅が狭くなると、配線間がくっついてしまうという故障が発生するため、抜き幅が最も狭い最小抜き幅が転写パターンtpの特徴値となる。抜き幅による故障をBridgingとも称する。
図4は、システム例を示す説明図である。システム400は、対象回路を複数有するウェハを試験可能なテスタ401と、解析支援装置100と、を有する。テスタ401と、解析支援装置100とは、ネットワークNETを介して接続される。また、解析支援装置100は、例えば、セルデータ412、回路情報413、テストパターン414、露光シミュレーション結果であるテーブル415などを有する。また、テスタ401は対象回路を複数有するウェハをテスト可能であり、故障が検出された場合の故障データ411を有する。また、解析支援装置100に含まれる記憶装置に記憶されてあってもよい。解析支援装置100は、故障診断による異常セルの特定、露光シミュレーション、故障要因分析などの処理を行う。
(解析支援装置100のハードウェア構成例)
図5は、解析支援装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。図5において、解析支援装置100は、CPU(Central Processing Unit)501と、ROM(Read Only Memory)502と、RAM(Random Access Memory)503と、ディスクドライブ504と、ディスク505と、を有する。解析支援装置100は、I/F(Inter/Face)506と、入力装置507と、出力装置508と、を有する。また、各部はバス500によってそれぞれ接続されている。
ここで、CPU501は、解析支援装置100の全体の制御を司る。ROM502は、ブートプログラムなどのプログラムを記憶している。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。ディスクドライブ504は、CPU501の制御にしたがってディスク505に対するデータのリード/ライトを制御する。ディスク505は、ディスクドライブ504の制御で書き込まれたデータを記憶する。ディスク505としては、磁気ディスク、光ディスクなどが挙げられる。
I/F506は、通信回線を通じてLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネットなどのネットワークNETに接続され、このネットワークNETを介して他の装置に接続される。そして、I/F506は、ネットワークNETと内部のインターフェースを司り、外部装置からのデータの入出力を制御する。I/F506には、例えばモデムやLANアダプタなどを採用することができる。
入力装置507は、キーボード、マウス、タッチパネルなど利用者の操作により、各種データの入力を行うインターフェースである。また、入力装置507は、カメラから画像や動画を取り込むこともできる。また、入力装置507は、マイクから音声を取り込むこともできる。出力装置508は、CPU501の指示により、データを出力するインターフェースである。出力装置508には、ディスプレイやプリンタが挙げられる。
(解析支援装置100の機能的構成例)
図6は、解析支援装置の機能的構成例を示すブロック図である。解析支援装置100は、制御部601と、記憶部602と、を有する。記憶部602は、ROM502、RAM503、ディスク505などによって実現される。制御部601の処理は、例えば、CPU501がアクセス可能な記憶装置に記憶された解析支援プログラムにコーディングされている。そして、CPU501が記憶装置から解析支援プログラムを読み出して、解析支援プログラムにコーディングされている処理を実行する。これにより、制御部601の処理が実現される。また、制御部601の処理結果は、例えば、RAM503、ディスク505などの記憶装置に記憶される。
記憶部602は、例えば、セルデータ412と、回路情報413と、テストパターン414と、を有する。セルデータ412は、対象回路に含まれるセルの各々についてセルを示すレイアウトデータである。また、セルデータ412は、図2に示したセルを形成する層ごとにレイアウトパターンlpを示す。セルデータ412は、例えば、セルの種類ごとに用意されるデータである。セルの種類とは、例えば、性能と演算機能との組み合わせによって定まる。例えば、演算種類が同一であっても端子数が異なる2つのセルは演算機能が異なるため、2つのセルは異なる種類のセルとなる。また、演算機能が同一であってもセルに含まれるトランジスタの能力などの性能が異なる場合があるため、性能が異なる2つのセルは異なる種類のセルとなる。
回路情報413は、対象回路を示すネットリストである。回路情報413は、例えば、ハードウェア記述言語などによって記述される。テストパターン414は、テスタ401を用いて対象回路に含まれる入力端子に入力可能な信号を示す情報である。テスタ401を用いて対象回路にテストパターン414を与えることによって対象回路の所望の故障の発生の有無が検出される。また、テストパターン414は複数であってもよい。
また、記憶部602は、解析支援装置100によって作成されるテーブル611と、テーブル415と、リスト612と、ランキング結果613と、を有する。解析支援装置100によって生成される各情報は後述する。
また、制御部601による処理は、例えば、<1>異常セルを特定する処理と、<2>露光シミュレーションテーブルを作成する処理と、<3>露光故障要因を分析する処理と、の大きく3つの処理に分類できる。<1>異常セルを特定する処理は、図1を用いて説明した複数の第1セルc1nを特定する処理である。また、<2>露光シミュレーションテーブルを作成する処理は、図1で説明した各特徴値を導出する処理である。<3>露光故障要因を分析する処理では、図1で説明した有意差を示す指標値ivに基づいて有意差の有無を判定する処理である。
まず、制御部601による<1>異常セルを特定する処理について詳細に説明する。制御部601は、対象回路に含まれる入力端子に特定の信号が入力され、かつ対象回路に故障が発生した場合に対象回路に含まれる出力端子から出力される信号に基づいて故障の候補の位置の各々に対応するセルを特定する。特定の信号は、例えば、テストパターン414である。出力される信号は、故障データ411である。ここで、特定したセルは故障候補セルとも称する。
例えば、制御部601は、テスタ401から、テストパターン414を与えた場合に故障であると判定された時の故障データ411を取得する。そして、例えば、制御部601は、故障データ411と、回路情報413と、テストパターン414と、を用いて故障診断を実行することによって故障候補の位置を特定する。故障診断は、回路情報413、テストパターン414、故障データ411などに基づいて、対象回路の動作をコンピュータ上で再現することにより、故障の候補の位置を論理的に絞り込む技術である。例えば、故障の候補の位置とは、セル間を接続するネット単位で推定されるため、故障の候補の位置は、例えば、故障推定ネットとも称する。
例えば、制御部601は、故障診断の推定精度が高く、かつ単一のネットまたは少数ネットまで絞り込まれた場合に、故障推定ネットとして特定する。推定精度が高いとは、例えば、配線単位で断線していることが判別可能な程度まで診断可能な場合である。そして、制御部601は、特定した故障推定ネットに接続するセルを特定する。ここでの故障推定ネットに接続するセルが、故障候補の位置に対応するセルである。ここで、特定されたセルを故障候補セルとも称する。
また、SRAM(Static RAM)マクロにおいて故障が検出された場合において、SRAMマクロごとに個別のテスト機構によって試験している場合、制御部601は、故障を検出したテストパターン414単位で故障候補SRAMマクロを特定する。ここでのテスト機構とは、例えば、メモリBIST(Built−In Self Test)回路である。
また、例えば、複数のSRAMマクロを共通のテスト機構によって試験している場合、制御部601は、故障を検出したテストパターン414と共に不良試験端子やテストパターン414の不良サイクル数などから故障候補SRAMマクロを特定する。ここでのテスト機構とは、例えば、メモリBIST回路である。また、故障候補SRAMマクロが特定されると、制御部601は、FBM(Fail Bit Map)試験を用いて、故障候補SRAMマクロ内のメモリセルを故障候補セルとして特定することが可能である。FBM試験は、テスタ401を用いてすべてのメモリセルに対して電気的特性試験を行い、該電気的特性試験の試験結果をそれぞれのメモリセルに対応する位置に表示したものである。
ここでは、例えば、特定した複数の故障候補セルを異常セルとして図1で説明した複数の第1セルc1nとしてもよい。これにより、実際に故障した対象回路によって異常セル群と正常セル群とが区別される。そのため、故障推定の精度の向上を図ることができる。
また、制御部601は、第1基板に含まれる対象回路の各々について、対象回路に含まれる出力端子から出力される信号に基づいて故障の候補の位置の各々に対応するセルを特定する。出力される信号は、対象回路に含まれる入力端子に特定の信号が入力され、かつ対象回路に故障が発生した場合に対象回路に含まれる出力端子から出力される。また、制御部601は、第1基板と同一数の対象回路を有する第2基板に含まれる対象回路の各々について、故障の候補の位置の各々に対応するセルを特定する。第2基板はウェハであり、ロット単位のように複数であってもよい。
ここで、第1基板はウェハであり、第2基板はウェハであり、ロット単位のように複数であってもよい。ここでは、第1基板は第1ウェハとも称し、第2基板は第2ウェハとも称する。例えば、第1ウェハは、量産レベルに比べて歩留まりが低い異常ウェハである。また、例えば、第2ウェハは、量産レベルの歩留まりの正常なウェハである。また、第1ウェハと第2ウェアとはそれぞれロット単位のように複数であってもよい。第1ウェハを含むロットを第1ロットとも称し、第2ウェハを含むロットを第2ロットとも称する。例えば、第1ロットは、量産レベルに比べて歩留まりが低い異常ロットである。また、例えば、第2ロットは、量産レベルの歩留まりである正常なロットである。また、第1ロットが複数ある場合、第1ロット群と称し、第2ロットが複数ある場合、第2ロット群と称する。
例えば、制御部601は、第1ロットについての故障データ411と、第2ロットについての故障データ411と、をテスタ401から取得する。そして、例えば、制御部601は、第1ロットについて取得した故障データ411を用いて故障診断を実行することによって、故障推定ネットを特定する。制御部601は、特定した故障推定ネットに接続する故障候補セルを特定する。また、例えば、制御部601は、第2ロットについて取得した故障データ411を用いて故障診断を実行することによって、故障推定ネットを特定する。制御部601は、特定した故障推定ネットに接続する故障候補セルを特定する。
また、例えば、制御部601は、SRAMマクロにおいて故障が検出された場合、上述したように故障候補セルを特定することができる。
つぎに、制御部601は、特定した故障候補セルを故障候補セル一覧にテーブル化する。テーブル化例は、図7に示す。
図7は、故障候補セル一覧例を示す説明図である。テーブル611は、故障候補セルの一覧を示す。テーブル611は、ロットID、ウェハID、ダイ#、ロジックセル、SRAMマクロのフィールドを有する。各フィールドに情報が設定されることによってレコード(例えば、700−1〜700−n)として記憶される。
ロットIDのフィールドには、ロットを識別可能な識別情報が設定される。ウェハIDのフィールドには、ロット内のウェハを識別可能な識別情報が設定される。ダイ#のフィールドには、ウェハ内のダイを識別可能な識別情報が設定される。
ロジックセルのフィールドには、ロジックのセルの種類ごとに故障候補セルとして特定されたロジックセルの数が設定される。ロジックのセルの種類とは、例えば、ディジタル回路に用いられるセルの種類であって、演算種類、入出力端子、配線、トランジスタの能力などによって区別される。例えば、2入力のNORセルと3入力のNORセルとは、いずれも否定論理和演算であるが、入出力端子数が異なるため、異なる種類のセルとなる。また、例えば、同一演算、同一入出力端子であっても、配線方法やトランジスタが異なると、異なる種類のセルとして扱われる。SRAMマクロのフィールドには、SRAMマクロの種類ごとに故障候補SRAMマクロとして特定されたSRAMマクロの数が設定される。例えば、レコード700−1では、故障候補セルとしてセルBとセルDとがそれぞれ1個あるが、故障候補SRAMマクロはない。例えば、レコード700−2では、故障候補セルはないが、故障候補SRAMマクロとしてSRAMマクロbが1個ある。
また、例えば、テーブル611には、異常ロット群である第1ロット群についてのレコード700と、正常ロット群である第2ロット群についてのレコード700と、が区別なく記憶されてある。そこで、制御部601は、テーブル611において、第1ロット群についてのレコード700と、第2ロット群についてのレコード700と、に区別して記憶させる。
つぎに、制御部601は、対象回路に含まれるセルの複数の種類の各々について、第1ウェハについて該種類に該当する故障候補セルの第1数と、第2ウェハについて該種類に該当する故障候補セルの第2数と、を導出する。そして、制御部601は、複数の種類のうち、導出した第1数と、導出した第2数と、の差に基づく種類を特定する。第1数と第2数とは、セル不良数とも称する。また、第1ロット群に含まれる対象回路の数と、第2ロット群に含まれる対象回路の数と、は対象チップ数とも称する。例えば、制御部601は、以下のように第1ロット群と第2ロット群との各々について、以下式(1)に基づきセル不良発生率を算出する。
セル不良発生率=セル不良数/対象チップ数・・・(1)
そして、例えば、制御部601は、複数の種類のうち、第1ロット群についてのセル不良発生率と、第2ロット群についてのセル不良発生率と、の差分が所定条件を満たす種類を特定する。または、例えば、制御部601は、複数の種類のうち、第1ロット群についてのセル不良発生率と、第2ロット群についてのセル不良発生率と、の差分が高い順に所定数の種類を特定してもよい。
また、例えば、制御部601は、各ロット群のロット単位、ウェハ単位、チップ単位でセル不良発生率を算出してもよい。ここでは、ロット単位で算出した場合を例に挙げる。そして、例えば、制御部601は、複数種類の各々について、第1ロット群の各々について算出した各セル不良発生率と、第2ロット群の各々について算出した各セル不良発生率と、の間の有意差を示す指標値ivを算出する。ここでの指標値ivは、平均値の差分やp値などのいずれであってもよい。そして、制御部601は、複数の種類のうち、算出した指標値ivに基づき有意差がある種類を特定する。または、例えば、制御部601は、複数の種類のうち、算出した指標値ivの順に所定数の種類を特定してもよい。
ここで、特定した種類に該当するセルが異常セルであり、異常セルを図1で説明した複数の第1セルc1nとする。異常セルは異常の候補のセルである。また、複数の第1セルc1nの各々は、異なる種類のセルである。また、特定した種類に該当しないセルを正常セルとし、正常セルを図1で説明した複数の第2セルc2mとする。また、複数の第2セルc2mの各々は、異なる種類のセルである。
つぎに、上述した<2>露光シミュレーションテーブルを作成する処理について説明する。まず、制御部601は、複数の第1セルc1nの各々の所定層の転写パターンtp1の露光シミュレーションに基づく第1特徴値W1を導出する。転写パターンtp1は、複数の第1セルc1nの所定層のレイアウトパターンlp1を用いて所定の露光条件ecによって露光した場合における転写パターンである。そして、制御部601は、対象回路に含まれ複数の第1セルc1nと異なる複数の第2セルc2mの各々の所定層の転写パターンtp2の露光シミュレーションに基づく第2特徴値W2を導出する。転写パターンtp2は、複数の第2セルc2mの所定層のレイアウトパターンlp2を用いて所定の露光条件ecによって露光した場合における転写パターンである。
ここでは、上述したように、第1セルc1が異常セルであり、第2セルc2が正常セルである。所定層とは、露光が行われる層であり、図2を用いて説明したActive層、Poly層、Metal層などが挙げられる。本実施の形態では、露光が行われるすべての層を露光シミュレーションの対象とする。所定の露光条件ecとしては、フォーカス振りと、露光量振りと、の組み合わせが挙げられる。フォーカス振りとは、露光用のレンズの高さを上下に調整することであり、例えば、規定のレンズの高さに対して、0,±20,±40,±60[nm]などの条件が挙げられる。露光量振りとは、光源の光の強度を調整することであり、例えば、光源の規定の強度に対して、0,±10[%]などの条件が挙げられる。また、第1特徴値W1および第2特徴値W2としては、図3に示した転写パターンtpの最小線幅や最小配線抜き幅が挙げられる。所定層のレイアウトパターンlpについては、セル情報が示すセルの各層のレイアウトパターンlpから得られる。
本実施の形態では、例えば、制御部601は、対象回路に含まれるセルの各々について、層と、露光条件ecと、の組み合わせのすべての露光シミュレーションを行った後に、異常ロット群と、正常ロット群と、のグループにシミュレーション結果を分ける。ここでは、セルの種類ごとに露光シミュレーションが行われる。セルの種類が同一であれば、レイアウトパターンlpが同一であるため、露光シミュレーションによって得られる特徴値は同一になる。そのため、上述したように、複数の第1セルc1nの各々は異なる種類のセルであり、複数の第2セルc2mの各々は異なる種類のセルである。これにより、様々な種類の特徴値が得られるため、故障推定の精度の向上を図ることができる。
図8および図9は、露光シミュレーションの出力結果を示す説明図である。例えば、図8には、セルAAAについての露光シミュレーション結果を示し、図9には、セルBBBについての露光シミュレーション結果を示す。また、図8と図9については、Metal2層まで示すが、実際には、露光対象となるすべての層について露光シミュレーションが行われる。また、図8と図9についてはセルAAAとセルBBBとの2つの種類のセルについて露光シミュレーション結果を示すが、実際には、例えば、対象回路に搭載されるすべてのセルの種類の各々について露光シミュレーションが行われる。
図10は、露光シミュレーション結果のテーブル化例を示す説明図である。制御部601は、露光シミュレーション結果をテーブル化する。テーブル415は、例えば、セル名、層、露光量、フォーカス、抜/線幅、シミュレーション値のフィールドを有する。各フィールドに情報が設定されることによってレコード(例えば、1000−1,1000−2など)として記憶される。
セル名のフィールドには、セルの種類を一意に特定可能な識別情報が設定される。上述したように、セルの種類が同一であると、露光シミュレーションによって得られる特徴値は同一である。レコード1000−1を例に挙げると、セル名のフィールドには、「AAA」が設定されてある。層のフィールドには、層を一意に特定可能な識別情報が設定される。レコード1000−1を例に挙げると、層のフィールドには「Active」が設定されてあり、Active層を示す。
露光量のフィールドには、規定の強度に対して何パーセント増減させたかを示す値[%]が設定される。レコード1000−1を例に挙げると、露光量のフィールドには「0」が設定されてある。フォーカスのフィールドには、規定の高さに対してどの程度上下させたかを示す値[nm]である。レコード1000−1を例に挙げると、フォーカスのフィールドには「0」が設定されてある。
抜/線幅のフィールドには、最小配線抜き幅と、最小線幅と、のいずれのシミュレーション値を示すかが設定される。レコード1000−1を例に挙げると、「抜き幅」が設定されてある。シミュレーション値のフィールドには、露光シミュレーションによって得られた特徴値である最小配線抜き幅または最小線幅[nm]が設定される。レコード1000−1を例に挙げると、「10」が設定されてある。
つぎに、<3>露光故障要因分析について説明する。まず、制御部601は、複数のシミュレーション条件のうち、いずれかのシミュレーション条件を選択する。シミュレーション条件は、層と、露光条件ecと、特徴値の種類と、の組み合わせである。層としては上述したように露光が行われる層であり、露光条件ecとしては上述したようにフォーカス振りと露光量振りとが挙げられる。特徴値の種類としては、上述したように最小配線抜き幅と、最小線幅と、が挙げられる。制御部601は、テーブル415から、選択したシミュレーション条件に対応するレコード1000を取得する。
図11は、シミュレーション条件に応じたシミュレーション結果のリスト例を示す説明図である。図11の例では、リスト612は、テーブル415から、シミュレーション条件={層=Metal1,フォーカス=+20,露光量=−10[%],抜/線幅=抜き幅}に対応するレコード1000が取得された結果である。
つぎに、制御部601は、リスト612について、異常ロット群である第1ロット群と、正常ロット群である第2ロット群と、の2つのグループに分類する。第1ロット群のグループを第1グループと称し、第2ロット群のグループを第2グループと称する。
図12は、グループ例を示す説明図である。第1グループには、セルBBBとセルFFFとセルJJJとが含まれ、第2グループには、セルBBBとセルFFFとセルJJJ以外のすべてのセルが含まれる。
つぎに、制御部601は、複数の第1セルc1nの各々について導出した第1特徴値W1と、複数の第2セルc2mの各々について導出した第2特徴値W2と、の間の有意差を示す指標値ivを算出する。具体的に、例えば、制御部601は、異常候補セルのグループの特徴値と、正常セルのグループの特徴値と、の間の有意差を示す指標値ivを算出する。有意差を示す指標値ivとしては、例えば、p値、平均値の差分などが挙げられる。p値とは、例えば、第1特徴値W1と、第2特徴値W2と、の間に差がない確率である。平均値の差分とは、例えば、第1特徴値W1の平均値と、第2特徴値W2の平均値と、の差分である。
例えば、指標値ivがp値の場合、制御部601は、指標値ivが閾値th以上であるか否かによって有意差があるか否かを判定する。例えば、指標値ivが閾値th以上である場合、制御部601は、有意差がないと判定する。例えば、指標値ivが閾値th未満である場合、制御部601は、有意差があると判定する。例えば、閾値thについては、予め利用者によって定められ、記憶部602に記憶されてある。例えば、閾値thは0.05とする。
また、例えば、指標値ivが平均値の差分である場合、例えば、制御部601は、差分の絶対値である指標値ivが閾値th以上であるか否かによって有意差があるか否かを判定する。例えば、指標値ivが閾値th以上である場合、制御部601は、有意差があると判定する。例えば、指標値ivが閾値th未満である場合、制御部601は、有意差がないと判定する。例えば、閾値thについては、予め利用者によって定められ、記憶部602に記憶されてある。
また、例えば、制御部601は、シミュレーション条件の各々について指標値ivを算出した後に、シミュレーション条件と指標値ivとの組み合わせを指標値ivの順に並べてもよい。
図13は、指標値に基づくランキング例を示す説明図である。図13の例では指標値ivがp値であるため、ランキング結果613では、指標値ivが大きい順に並べられてある。ランキング結果613は、ランキング、層、抜/線幅、露光量、フォーカス、T検定p値のフィールドを有する。各フィールドに情報が設定されることによってレコード(例えば、1300−1,1300−2など)として記憶される。層、抜/線幅、露光量、フォーカスのフィールドについては、テーブル415にあるフィールドと同じであるため、詳細な説明を省略する。ランキングのフィールドには、T検定p値に基づく順位が設定される。T検定p値のフィールドには、算出されたT検定p値が設定される。例えば、制御部601は、ランキングが上位の順に、指標値ivが閾値th以上であるか否かによる有意差があるか否かを判定する。
有意差があると判定された場合、制御部601は、シミュレーション条件における露光が故障起因であることを示す情報を出力する。有意差がないと判定された場合、制御部601は、シミュレーション条件における露光が故障起因でないことを示す情報を出力する。出力形式としては、例えば、ディスプレイなどの出力装置508への出力やネットワークNETを介して他の装置への出力などが挙げられる。
また、例えば、有意差があると判定された場合、制御部601は、あらたにつぎの順位について指標値ivが閾値th以上であるか否かを判断する。また、例えば、有意差がないと判定された場合、制御部601は、つぎの順位について指標値ivが閾値th以上であるか否かの判定を行わずに終了する。例えば、最もランキングが高いシミュレーション条件についての指標値ivが閾値th未満である場合、制御部601は、有意差がないため、露光起因による故障の疑いがないことを示す情報を出力してもよい。
(解析支援装置100による解析支援処理手順例)
図14は、解析支援装置による解析支援処理手順例を示すフローチャートである。まず、解析支援装置100は、異常セルの特定処理を行う(ステップS1401)。解析支援装置100は、露光シミュレーションテーブルの作成処理を行う(ステップS1402)。露光シミュレーションテーブルとは、例えば、テーブル415である。そして、ステップS1401およびステップS1402の処理の後に、解析支援装置100は、露光故障要因の分析処理を行う(ステップS1403)。
図15は、図14で示した異常セルの特定処理の詳細な説明を示すフローチャートである。解析支援装置100は、故障データ411を取得する(ステップS1501)。解析支援装置100は、ロジックの故障診断を実施する(ステップS1502)。つぎに、解析支援装置100は、ロジックの故障候補セルを特定する(ステップS1503)。
解析支援装置100は、SRAMマクロの故障候補セルを特定する(ステップS1504)。ステップS1503およびステップS1504の処理の後に、解析支援装置100は、故障候補セル一覧であるテーブル611を作成する(ステップS1505)。解析支援装置100は、異常ロット群と正常ロット群とを区別する(ステップS1506)。異常ロット群は第1ロット群である。正常ロット群は第2ロット群である。解析支援装置100は、異常セル群を特定し(ステップS1507)、一連の処理を終了する。上述したように、異常セル群が複数の第1セルc1nである。
図16は、図14で示した露光シミュレーションテーブルの作成処理の詳細な説明を示すフローチャートである。まず、解析支援装置100は、層と露光条件ecとの組み合わせの各々についてセルの種類ごとに露光シミュレーションによって各特徴値を導出する(ステップS1601)。そして、解析支援装置100は、シミュレーション結果をテーブル化し(ステップS1602)、一連の処理を終了する。
図17は、図14で示した露光故障要因の分析処理の詳細な説明を示すフローチャートである。まず、解析支援装置100は、未選択のシミュレーション条件があるか否かを判断する(ステップS1701)。未選択のシミュレーション条件があると判断された場合(ステップS1701:Yes)、解析支援装置100は、未選択のシミュレーション条件から1つのシミュレーション条件を選択する(ステップS1702)。
解析支援装置100は、テーブル415から、選択したシミュレーション条件に応じた特徴値を取得する(ステップS1703)。解析支援装置100は、異常セル群の第1特徴値と正常セル群の第2特徴値との間の有意差を示す指標値ivを算出し(ステップS1704)、ステップS1701へ戻る。異常セル群は複数の第1セルc1nであり、正常セル群は複数の第2セルc2mである。未選択のシミュレーション条件がないと判断された場合(ステップS1701:No)、解析支援装置100は、指標値ivに基づきソートする(ステップS1705)。ソート結果がランキング結果613である場合、解析支援装置100は、未選択のシミュレーション条件があるか否かを判断する(ステップS1706)。
未選択のシミュレーション条件があると判断された場合(ステップS1706:Yes)、解析支援装置100は、未選択のシミュレーション条件から指標値ivが最も高いシミュレーション条件を選択する(ステップS1707)。解析支援装置100は、有意差があるか否かを判断する(ステップS1708)。有意差があると判断された場合(ステップS1708:Yes)、解析支援装置100は、シミュレーション条件が故障起因である可能性が高いことを示す情報を出力し(ステップS1709)、ステップS1706へ戻る。有意差がないと判断された場合(ステップS1708:No)、解析支援装置100は、シミュレーション条件が故障起因である可能性が低いことを示す情報を出力し(ステップS1710)、一連の処理を終了する。
また、未選択のシミュレーション条件がないと判断された場合(ステップS1706:No)、解析支援装置100は、露光による故障である可能性が低いことを示す情報を出力し(ステップS1711)、一連の処理を終了する。ステップS1709、ステップS1710、ステップS1711における出力形式は、例えば、ネットワークNETを介して他の装置への出力、ディスプレイなどの出力装置508への出力、記憶部への出力などが挙げられる。
以上説明したように、解析支援装置は、異常セル群と正常セル群との各々について、同一層の転写パターンの特徴値を同一の露光条件の露光シミュレーションにより導出し、該特徴値の間の有意差を判定する。これにより、層と露光条件との組み合わせにおいて故障が発生した可能性があるかが判定され、故障特定にかかる時間の短縮を図る。
例えば、有意差がないと判定された場合、層と露光条件との組み合わせにおいて故障が発生していないと判定できる。そのため、例えば、故障要因の解析者は、当該組み合わせにおいて、物理的な解析を行う際に、当該組み合わせについての優先順位を下げるなどの判断を行うことができる。物理的な解析とは、物理的な断面解析や物理的な剥離解析である。また、例えば、有意差があると判定された場合、セルと層と露光条件との組み合わせにおいて故障が発生している可能性があると判定され、故障要因の解析者は、当該組み合わせに基づいて物理的な解析を行ってもよい。このように、故障特定にかかる時間の短縮を図ることができる。また、セル単位で露光シミュレーションが行われるため、対象回路全体でシミュレーションを実施する場合よりも露光シミュレーションにかかる時間の短縮を図ることができる。また、同一種類のセルについては、1回の露光シミュレーションでよいため、露光シミュレーションにかかる時間の短縮を図ることができる。
また、解析支援装置は、故障データに基づいて故障の候補の位置の各々に対応する故障候補セルを異常セル群として特定する。これにより、異常である可能性が高いセルが特定されるため、故障推定の精度の向上を図ることができる。
また、解析支援装置は、複数の種類のうち、異常ウェハについてのセルの種類に該当する故障候補セルの数と、正常ウェハについてのセルの種類に該当する故障候補セルの数と、に基づき特定した種類に該当するセルを異常セルとする。これにより、異常である可能性が高いセルの種類が特定されるため、故障推定の精度の向上を図ることができる。
また、異常セル群の各々は種類が異なるセルである。正常セル群の各々は種類が異なるセルである。これにより、より多くの特徴値が得られるため、故障推定の精度の向上を図ることができる。
また、有意差を示す指標値は、例えば、導出した第1特徴値と導出した第2特徴値とに基づく、異常セル群の各々の実際の所定層の転写パターンの第1特徴値と、正常セル群の各々の実際の所定層の転写パターンの第2特徴値と、の間に差がない確率である。これにより、有意差を判定することができ、故障推定にかかる時間の短縮を図ることができる。
また、有意差を示す指標値は、例えば、第1特徴値の平均値と第2特徴値の平均値との差である。これにより、有意差を判定することができ、故障推定にかかる時間の短縮を図ることができる。
なお、本実施の形態で説明した解析支援方法は、予め用意された解析支援プログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。本解析支援プログラムは、磁気ディスク、光ディスク、USB(Universal Serial Bus)フラッシュメモリなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、解析支援プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)コンピュータが、
対象回路に含まれる複数の第1セルの所定層のレイアウトパターンを用いて所定の露光条件によって露光した場合における前記複数の第1セルの各々の前記所定層の転写パターンの露光シミュレーションに基づく第1特徴値を導出し、
前記対象回路に含まれ前記複数の第1セルと異なる複数の第2セルの前記所定層のレイアウトパターンを用いて前記所定の露光条件によって露光した場合における前記複数の第2セルの各々の前記所定層の転写パターンの露光シミュレーションに基づく第2特徴値を導出し、
前記複数の第1セルの各々について導出した前記第1特徴値と、前記複数の第2セルの各々について導出した前記第2特徴値と、の間の有意差を示す指標値を算出する、
処理を実行することを特徴とする解析支援方法。
(付記2)前記コンピュータが、
前記対象回路に含まれる入力端子に特定の信号が入力され、かつ前記対象回路に故障が発生した場合に前記対象回路に含まれる出力端子から出力される信号に基づいて前記故障の候補の位置の各々に対応するセルを特定する処理を実行し、
前記複数の第1セルは、特定した前記複数のセルであることを特徴とする付記1に記載の解析支援方法。
(付記3)前記コンピュータが、
前記対象回路を複数有する第1基板に含まれる前記対象回路の各々について、前記対象回路に含まれる入力端子に特定の信号が入力され、かつ前記対象回路に故障が発生した場合に前記対象回路に含まれる出力端子から出力される信号に基づいて前記故障の候補の位置の各々に対応するセルを特定し、
前記第1基板と異なる第2基板であって前記対象回路を複数有する第2基板に含まれる前記対象回路の各々について、前記対象回路に含まれる入力端子に特定の信号が入力され、かつ前記対象回路に故障が発生した場合に前記対象回路に含まれる出力端子から出力される信号に基づいて前記故障の候補の位置の各々に対応するセルを特定し、
前記対象回路に含まれるセルの複数の種類の各々について、前記第1基板について特定した前記セルのうち前記種類に該当するセルの第1数と、前記第2基板について特定した前記セルのうち前記種類に該当するセルの第2数と、を導出し、
前記複数の種類から、導出した前記第1数と、導出した前記第2数と、に基づく複数の種類を特定する、
処理を実行し、
前記複数の第1セルは、特定した前記複数の種類のいずれかに該当するセルであることを特徴とする付記1に記載の解析支援方法。
(付記4)前記複数の第1セルの各々は種類が異なるセルであることを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の解析支援方法。
(付記5)前記複数の第2セルの各々は種類が異なるセルであることを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の解析支援方法。
(付記6)前記指標値は、導出した前記第1特徴値と導出した前記第2特徴値とに基づく、前記複数の第1セルの前記所定層のレイアウトパターンを用いて前記所定の露光条件によって露光した場合における前記複数の第1セルの各々の前記所定層の転写パターンの第1特徴値と、前記複数の第2セルの前記所定層のレイアウトパターンを用いて前記所定の露光条件によって露光した場合における前記複数の第2セルの各々の前記所定層の転写パターンの第2特徴値と、の間に差がない確率であることを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の解析支援方法。
(付記7)前記指標値は前記第1特徴値の平均値と前記第2特徴値の平均値との差であることを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の解析支援方法。
(付記8)コンピュータに、
対象回路に含まれる複数の第1セルの所定層のレイアウトパターンを用いて所定の露光条件によって露光した場合における前記複数の第1セルの各々の前記所定層の転写パターンの露光シミュレーションに基づく第1特徴値を導出し、
前記対象回路に含まれ前記複数の第1セルと異なる複数の第2セルの前記所定層のレイアウトパターンを用いて前記所定の露光条件によって露光した場合における前記複数の第2セルの各々の前記所定層の転写パターンの露光シミュレーションに基づく第2特徴値を導出し、
前記複数の第1セルの各々について導出した前記第1特徴値と、前記複数の第2セルの各々について導出した前記第2特徴値と、の間の有意差を示す指標値を算出する、
処理を実行させることを特徴とする解析支援プログラム。
(付記9)対象回路に含まれる複数の第1セルの所定層のレイアウトパターンを用いて所定の露光条件によって露光した場合における前記複数の第1セルの各々の前記所定層の転写パターンの露光シミュレーションに基づく第1特徴値を導出し、前記対象回路に含まれ前記複数の第1セルと異なる複数の第2セルの前記所定層のレイアウトパターンを用いて前記所定の露光条件によって露光した場合における前記複数の第2セルの各々の前記所定層の転写パターンの露光シミュレーションに基づく第2特徴値を導出し、前記複数の第1セルの各々について導出した前記第1特徴値と、前記複数の第2セルの各々について導出した前記第2特徴値と、の間の有意差を示す指標値を算出する制御部を有することを特徴とする解析支援装置。
(付記10)コンピュータに、
対象回路に含まれる複数の第1セルの所定層のレイアウトパターンを用いて所定の露光条件によって露光した場合における前記複数の第1セルの各々の前記所定層の転写パターンの露光シミュレーションに基づく第1特徴値を導出し、
前記対象回路に含まれ前記複数の第1セルと異なる複数の第2セルの前記所定層のレイアウトパターンを用いて前記所定の露光条件によって露光した場合における前記複数の第2セルの各々の前記所定層の転写パターンの露光シミュレーションに基づく第2特徴値を導出し、
前記複数の第1セルの各々について導出した前記第1特徴値と、前記複数の第2セルの各々について導出した前記第2特徴値と、の間の有意差を示す指標値を算出する、
処理を実行させる解析支援プログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。