JP6225691B2 - バッテリ制御装置 - Google Patents
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Description
たとえば、下記特許文献1では、電池の満充電時の出力パワーに対して、現在の放電度合いを表す放電深度を電池制御部で求めておき、この算出された放電深度に応じて、電池の出力パワーの制限を開始する出力制限開始温度を求める。温度検出器で検出された電池温度の方が出力制限開始温度よりも大きい場合には、電池温度に応じて電池の出力パワーを制限するための出力制限値を求めることで、この出力制限値に基づいて、電池の出力パワーを制限している。
請求項2の発明にかかるバッテリ制御装置は、前記閾値劣化度は、前記充電率が低いほど小さい値に設定される、ことを特徴とする。
請求項3の発明にかかるバッテリ制御装置は、前記劣化度が前記閾値劣化度以上の場合に前記出力抑制が行われる可能性がある旨を報知する報知手段をさらに備える、ことを特徴とする。
請求項4の発明にかかるバッテリ制御装置は、前記出力制御手段は、前記出力抑制時に前記出力の上限値を設定し、前記要求出力が前記上限値を上回る場合には前記出力を前記要求出力に対して1未満の係数をかけ合わせた値とし、前記要求出力が前記上限値以下の場合には前記出力を前記要求出力とする、ことを特徴とする。
請求項5の発明にかかるバッテリ制御装置は、前記閾値劣化度は、前記充電率に対して複数設定されており、前記出力制御手段は、前記劣化度が前記複数の閾値劣化度のうち、より大きい値を上回るほど前記上限値を小さくする、ことを特徴とする。
請求項6の発明にかかるバッテリ制御装置は、前記劣化度が前記閾値劣化度以上の場合に前記出力抑制が行われる可能性がある旨を報知する報知手段をさらに備え、前記報知手段は、前記劣化度が前記閾値劣化度を上回っている場合に、前記複数の閾値劣化度のいずれを上回っているかを識別可能に報知する、ことを特徴とする。
請求項2の発明によれば、バッテリの充電率が低いほど閾値劣化度を低い値にしているので、バッテリの充電率が低く高出力が困難な状況で出力抑制に移行しやすくすることができる。また、バッテリの出力が低下する大きな要因である充電率と劣化度とを連動させることによって、適切な時期にバッテリの出力抑制を開始することができる。
請求項3の発明によれば、バッテリの劣化度と充電率とに基づいて出力抑制を行う際に、出力抑制が行われる可能性がある旨を報知する報知手段を備えたので、負荷装置の使用者(運転者)は実際に出力抑制が行われる前に出力抑制の可能性を認識することができ、出力抑制によって負荷装置が意図した動作とならない場合にも落ち着いて負荷装置の操作を継続することができる。
請求項4の発明によれば、出力抑制時に出力の上限値(出力上限値)を設定し、要求出力が上限値を上回る場合にはバッテリからの出力を要求出力未満とし、要求出力が出力上限値以下の場合にはバッテリからの出力を要求出力とする。これにより、出力上限値を変更することによって出力抑制の度合いを変更することができ、バッテリ制御装置における制御の自由度を向上させることができる。
請求項5の発明によれば、複数の閾値劣化度を設定し、より大きな閾値劣化度を上回るほど出力上限値を低くするので、出力抑制を段階的に行うことができ、バッテリの状態に合わせてきめ細かく出力を制御することができる。
請求項6の発明によれば、バッテリの劣化度が複数の閾値劣化度のいずれを下回っているかを識別可能に報知するので、使用者はどのような度合いの出力抑制が行われるかを事前に認識することができ、たとえば負荷装置に対する操作を加減したり、バッテリに対するメンテナンスを行うタイミングを認識することができる。
図1は、実施の形態にかかるバッテリ制御装置10の構成を示す説明図である。
本実施の形態では、バッテリ20に蓄電された電力を用いて駆動する負荷装置として、電動車を駆動するモータ30を例にしており、バッテリ制御装置10は電動車に搭載されているものとする。
実施の形態にかかるバッテリ制御装置10は、バッテリ20に蓄電された電力を用いて駆動するモータ30へのバッテリ20からの出力を制御する。
バッテリ20は、複数の電池セルを直列に接続した組電池であり、図示しない充電口から外部電源の供給を受けて充電される。
バッテリ20に蓄電された電力は、電力線Lを介してモータ30に供給される。なお、バッテリ20は、モータ30の他、他の負荷装置(たとえば電動車の空調装置など)に対しても電力供給を行っていてもよい。
電圧センサ114は、バッテリ20のバッテリ電圧Vを測定する。電圧センサ114は、たとえばバッテリ20を構成する各電池セルの電圧であるセル電圧を測定する。
電流センサ116は、バッテリ20からモータ30に供給される電流Iを測定する。
処理部12は、CPU、制御プログラムなどを格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、各種データを書き換え可能に保持するEEPROM、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成される。
処理部12は、たとえば電動車全体の制御を行うECUやバッテリ20の制御を行うBMU(Battery Management Unit)などである。
なお、処理部12はECUやBMU単体ではなく、これらが連携して後述する処理を行ってもよい。
要求出力取得手段120は、負荷装置であるモータ30からの要求出力Pを取得する。
要求出力取得手段120は、たとえば運転者によるアクセルペダル26の操作量を検知し、当該アクセル操作量に対応するモータ30の回転数および当該回転数を実現するためにモータ30に供給すべき電力量を要求出力Pとして算出する。
充電率検知手段124は、バッテリ20の充電率S(SOC)を検知する。
充電率検知手段124は、たとえばバッテリ20の充電率とバッテリ電圧との関係を示すSOCマップを記憶し、電圧センサ114で測定されたバッテリ電圧に対応する充電率の値をSOCマップから読み出す。なお、電圧センサ114でセル電圧を測定している場合、充電率検知手段124は、セル電圧の平均値をバッテリ電圧とする。セル電圧からのバッテリ電圧Vの算出は、電圧センサ114で行ってもよい。この場合、充電率検知手段124は、電圧センサ114で算出されたバッテリ電圧Vの値を取得して、バッテリ20の充電率Sを算出する。
劣化度検知手段126は、バッテリ20の劣化度Xを検知する。
劣化度検知手段126は、たとえば電圧センサ114で測定されたバッテリ電圧Vと電流センサ116で測定された電流Iとに基づいてバッテリ20の内部抵抗および開放電圧を求め、これらの値を元にバッテリ20の現在の最大出力を算出する。そして、算出した現在の最大出力とバッテリ20の初期状態(劣化度0時)の最大出力とを比較して劣化度Xを算出する。バッテリ20の劣化は、使用開始からの年月に比例する経年劣化と、使用頻度に比例する使用劣化が知られており、劣化度検知手段126は、これらの劣化を総合してバッテリ20の劣化度Xを検知する。
具体的には、出力制御手段130は、バッテリ20の劣化度Xが充電率Sに基づいて決定される閾値劣化度XL未満か否かを判定し、劣化度Xが閾値劣化度XL以上の場合はバッテリ20からの出力を要求出力P未満とする出力抑制を行う。
また、出力制御手段130は、本実施の形態では、劣化度Xが閾値劣化度XL未満の場合はバッテリ20からの出力を要求出力Pとする。このように、バッテリ20からの出力=要求出力Pとする出力形態を、以下「通常出力」という。
ここで、従来から、バッテリ20の充電率Sが低下した際には、航続距離を伸ばすこと等を目的として出力抑制を行うことが知られている。
また、一般に、バッテリ20は劣化が進むとバッテリ性能が低下することが知られている。すなわち、バッテリ20の劣化度が高い場合には、バッテリ20が新品の場合と比較して出力が低下する。このため、出力制御手段130は、バッテリ20の劣化度Xが閾値劣化度XL未満の場合には出力抑制を行い、バッテリ20からの出力をバッテリ20の性能範囲内に制御している。
図2において、縦軸はバッテリ20の劣化度X、横軸は充電率S(SOC)である。縦軸の劣化度Xは百分率で示しており、縦軸上方ほど小さく(0%に近く)、縦軸下方ほど大きく(100%に近く)なっている。すなわち、劣化度0%はバッテリ20が新品状態であることを示し、劣化度100%はバッテリ20が最も劣化した状態を示している。
出力制御手段130は、充電率Sに基づいて出力判定マップ上の閾値劣化度XLを特定し、バッテリ20の劣化度Xが閾値劣化度XL以上か否かを判定する。
図2に示すように、閾値劣化度XLは、充電率Sが低いほど小さい値となっている。すなわち、充電率Sが低い場合は劣化度Xが低いうちから出力抑制が開始される。
バッテリ20の劣化度Xが閾値劣化度XL以上の場合は、出力判定マップの通常出力エリアに対応し、バッテリ20からの出力=要求出力とする通常出力を行う。一方、バッテリ20の劣化度Xが閾値劣化度XL未満の場合は、出力判定マップの出力抑制エリアに対応し、バッテリ20からの出力<要求出力とする出力抑制を行う。
すなわち、出力制御手段130は、図2に示す出力判定マップ上にバッテリ20の充電率Sおよび劣化度Xが交差する点をプロットし、当該プロットが通常出力エリアにあるか出力抑制エリアにあるかによって、出力抑制を行うか否かを判定する。
なお、図2を充電率Sの閾値充電率のグラフとして読み替え、バッテリの劣化度Xに基づいて閾値充電率を特定し、バッテリ20の充電率Sが閾値充電率以上か否かを判定してもよいことは無論である。
図4において、縦軸は0から1の範囲の係数(ゲイン)Kであり、横軸はアクセル開度(アクセル操作量)である。なお、横軸のアクセル開度は、モータ30からの要求出力Pの大きさと擬制することができる。
出力制御手段128は、出力抑制時には負荷装置からの要求出力Pに対して図4の縦軸に示す係数Kをかけた値をバッテリ20からの出力とする。図4に示すグラフでは、アクセル開度0%以上80%未満では係数K=1、すなわち要求出力をそのままバッテリ20からの出力とする。一方、アクセル開度80%以上100%以下では、アクセル開度に比例して小さくなる係数Kを要求出力にかけ合わせる。言い換えると、要求出力が大きいほど出力の抑制度合いを大きくする。このような方法により、バッテリ20からの出力をバッテリ20の出力性能範囲内に抑えている。
すなわち、出力制御手段128は、出力抑制時に出力の上限値(出力上限値PMX:図4におけるアクセル開度80%)を設定し、要求出力Pが出力上限値PMXを上回る場合には出力を要求出力Pに対して1未満の係数Kをかけ合わせた値とし、要求出力Pが出力上限値PMX以下の場合には出力を要求出力Pとする。
なお、出力抑制時の出力を決定する他の方法として、たとえばバッテリ20からの上限出力を定めておき、負荷装置からの要求出力が上限出力を上回る場合には一律に上限出力を出力するようにしてもよい。
すなわち、充電率Sが下限充電率SMIN以下の場合には、バッテリ20の充電率Sが0%に近づき、過放電となる可能性があるため出力を制限する低SOC抑制が行われる。
また、図3には示されないが、バッテリ温度Tが上限温度TMX以上の場合には、バッテリ20が高温状態にあり故障等の可能性があるため出力を制限する高温抑制が行われる。
これらの高温抑制や低SOC抑制は、たとえば電動車をリンプホーム状態とするなど、本実施の形態における出力抑制とは異なる制御を行うため、本実施の形態では説明を省略する。
上述のように、実際に出力抑制が行われるのは、バッテリ20の劣化度Xが閾値劣化度XL以上かつ出力上限値PMXを要求出力Pが上回った場合である。一方で、報知手段14は、バッテリ20の劣化度Xが閾値劣化度XL以上の場合には、出力制限が行われる可能性があるものとして運転者に対して報知を行う。これにより、出力抑制によって運転者の意図する加速等ができない場合でも、運転者が落ち着いて運転できる可能性が高くなる。
報知手段14は、具体的には、たとえばインスツルメントパネル内の警告灯やディスプレイ、音声を出力するスピーカなどであり、これらを複数組み合わせてもよい。報知手段14は、出力抑制が行われる可能性がある場合には、警告灯を点灯させたり、ディスプレイ上に出力抑制が行われる可能性がある旨のメッセージやアイコン等を表示させたり、上記メッセージを音声出力する。
また、報知手段14は、どの程度のアクセル開度(要求出力P)で出力抑制が行われるかを報知してもよい。たとえば、「アクセル開度80%を超えると出力が制限されます」とメッセージや音声を出力したり、「80%」のアイコン等を表示するなどである。
まず、バッテリ制御装置10は、充電率検知手段124によってバッテリ20の充電率Sを検知する(ステップS10)。また、バッテリ制御装置10は、劣化度検知手段126によってバッテリ20の劣化度Xを検知する(ステップS12)。
つぎに、バッテリ制御装置10は、出力制御手段128によって、充電率Sに基づいて閾値劣化度XLを特定し、バッテリ20の劣化度Xが閾値劣化度XL以上であるか否かを判断する(ステップS14)。劣化度Xが閾値劣化度XL以上でない場合は(ステップS14:No)、ステップS24に移行して、要求出力をそのままバッテリ20からの出力とする通常出力を行う(ステップS24)。
一方、劣化度Xが閾値劣化度XL以上である場合は(ステップS14:Yes)、報知手段14によって出力抑制が行われる可能性がある旨を運転者に対して報知する(ステップS16)。
つづいて、要求出力取得手段120によってモータ30の要求出力を取得し(ステップS18)、出力制御手段128によって要求出力が出力の上限値を上回るか否かを判断する(ステップS20)。
要求出力が出力の上限値を上回る場合は(ステップS20:Yes)、バッテリ20からの出力を要求出力未満とする出力抑制を行う(ステップS22)。一方、要求出力が出力の上限値を上回らない場合は(ステップS20:No)、要求出力をそのままバッテリ20からの出力とする通常出力を行う(ステップS24)。
その後、バッテリ制御装置10はステップS10に戻り、以降の処理を繰り返す。
また、バッテリ制御装置10は、バッテリ20の充電率Sが低いほど閾値劣化度XLを低い値にしているので、バッテリ20の充電率Sが低く高出力が困難な状況で出力抑制に移行しやすくすることができる。また、バッテリ20の出力が低下する大きな要因である充電率Sと劣化度Xとを連動させることによって、適切な時期にバッテリの出力抑制を開始することができる。
また、バッテリ制御装置10は、バッテリ20の劣化度Xと充電率Sとに基づいて出力抑制を行う際に、出力抑制が行われる可能性がある旨を報知する報知手段14を備えたので、負荷装置の使用者である運転者は、実際に出力抑制が行われる前に出力抑制の可能性を認識することができ、出力抑制によってモータ30が意図した動作とならない場合にも落ち着いてモータ30(電動車)の操作を継続することができる。
また、バッテリ制御装置10は、出力抑制時に出力の上限値(出力上限値PMX)を設定し、要求出力Pが出力上限値PMXを上回る場合にはバッテリ20からの出力を要求出力P未満とし、要求出力Pが出力上限値PMX以下の場合にはバッテリ20からの出力を要求出力とする。これにより、出力上限値PMXを変更することによって出力抑制の度合いを変更することができ、バッテリ制御装置10における制御の自由度を向上させることができる。
実施の形態1では、バッテリ20の状態に応じて出力抑制を行うか否かを判定した。
実施の形態2では、バッテリ20の状態に応じて出力抑制時における出力の抑制度合いを変化させる。
なお、以下の説明において、実施の形態1と同様の構成は同じ符号を用い、詳細な説明を省略する。
図6において、縦軸はバッテリ20の劣化度、横軸は充電率(SOC)である。
図6の出力判定マップでは、2つの閾値劣化度(第1の閾値劣化度XL1、第2の閾値劣化度XL2)が設定されている。
第1の閾値劣化度XL1および第2の閾値劣化度XL2は、いずれも充電率Sが低いほど小さい値となっており、また、第2の閾値劣化度XL2の方が第1の閾値劣化度XL1よりも劣化度が大きい側に設定されている(第1の閾値劣化度XL1<第2の閾値劣化度XL2)。
バッテリ20の劣化度Xが第1の閾値劣化度XL1未満の場合は通常出力エリアに対応し、劣化度Xが第1の閾値劣化度XL1以上かつ第2の閾値劣化度XL2未満の場合は第1の出力抑制エリアに対応し、劣化度Xが第2の閾値劣化度XL2以上の場合は第2の出力抑制エリアに対応する。
出力制御手段130は、充電率Sに基づいて出力判定マップ上の2つの閾値劣化度XL1,XL2を特定し、劣化度Xが第1の閾値劣化度XL1未満の場合は通常出力を、劣化度Xが第1の閾値劣化度XL1以上かつ第2の閾値劣化度XL2未満の場合は第1の出力抑制を、劣化度Xが第2の閾値劣化度XL2以上の場合は第2の出力抑制を、それぞれ行う。
図7において、縦軸は0から1の範囲の係数(ゲイン)であり、横軸はアクセル開度(アクセル操作量)である。なお、横軸のアクセル開度は、モータ30からの要求出力の大きさと擬制することができる。
図7では2つの係数曲線M1およびM2が示されている。係数曲線M1は第1の出力抑制時に用いられる。また、係数曲線M2は第2の出力抑制時に用いられる。
係数曲線M1は、アクセル開度0%以上80%未満では係数1、アクセル開度80%以上100%以下ではアクセル開度に比例して係数が小さくなっている。すなわち、第1の出力抑制における出力上限値PMX1はアクセル開度80%である。
係数曲線M2は、アクセル開度0%以上50%未満では係数1、アクセル開度50%以上100%以下ではアクセル開度に比例して係数が小さくなっている。すなわち、第2の出力抑制における出力上限値PMX2はアクセル開度50%である。
係数曲線M1と係数曲線M2とを比較すると、係数曲線2の方が係数が1未満となるアクセル開度、すなわち出力上限値P(PMX2)が低くなっており、要求出力Pが小さいうちから出力抑制を開始している。また、同じアクセル開度でも係数曲線M1と比較して係数曲線M2の方が係数が小さくなっており、出力の抑制度合いがより大きくなっている。
すなわち、第1の出力抑制と第2の出力抑制とを比較すると、第2の出力抑制の方が出力の抑制度合いがより大きくなっている。
言い換えると、実施の形態2では、閾値劣化度XLが充電率Sに対して複数設定されており、出力制御手段128は、バッテリ20の劣化度Xが複数の閾値劣化度XL1,XL2のうち、より大きい値(図6では第2の閾値劣化度XL2)を上回るほど要求出力Pの上限値を小さくしている。
これは、第1の出力抑制となる時のバッテリ20の状態と比較して、第2の出力抑制となる時のバッテリ20の状態の方が低充電率状態かつ劣化が進んだ状態にあり、出力が出しにくい状態であるからである。
このように段階的に出力抑制を行うことによって、バッテリ20の状態に合わせて適切な出力を設定することができ、バッテリ20内の電力をより効率的に活用することができる。
具体的には、たとえば報知手段14が警告灯である場合には、警告灯の色を閾値温度ごとに変える。この場合、第1の閾値劣化度XL1のみを上回っている場合には黄色で警告灯を点灯し、第2の閾値劣化度XL2を上回っている場合には赤色で警告灯を点灯して、閾値劣化度XLが上がるほど強く注意をひきつけるような表示とする。
また、報知手段14がディスプレイであり、出力抑制が行われる可能性がある旨のメッセージやアイコン等を表示させる場合や、音声でメッセージを出力する場合にも、閾値劣化度XLが上がるほど運転者の注意を強くひきつけるような表現とする。
これは、閾値劣化度XLが上がるほどバッテリ20の出力が低下し、この結果、運転者の意図する走行ができない可能性が高くなるためである。
また、実施の形態1と同様にどの程度のアクセル開度(要求出力)で出力抑制が行われるかを報知してもよい。たとえば、第1の出力抑制時であれば「アクセル開度80%を超えると出力が制限されます」と報知し、第2の出力抑制時であれば「アクセル開度50%を超えると出力が制限されます」と報知する。
このような報知を行うことにより、運転者は電動車(バッテリ20)の状態をより詳細に把握することができ、たとえばバッテリ20の充電やメンテナンス等、必要な対応を取りやすくなる。
バッテリ制御装置10は、充電率検知手段124によってバッテリ20の充電率Sを検知する(ステップS30)。また、バッテリ制御装置10は、劣化度検知手段126によってバッテリ20の劣化度Xを検知する(ステップS32)。
つぎに、バッテリ制御装置10は、出力制御手段128によって、充電率Sに基づいて第1の閾値劣化度XL1および第2の閾値劣化度XL2を特定し、バッテリ20の劣化度Xが第2の閾値劣化度XL2以上であるか否かを判断する(ステップS34)。
劣化度Xが第2の閾値劣化度XL2以上である場合は(ステップS34:Yes)、報知手段14によって第2の出力抑制が行われる可能性がある旨を運転者に対して報知する(ステップS36)。
つづいて、要求出力取得手段120によってモータ30の要求出力Pを取得し(ステップS38)、出力制御手段128によって要求出力Pが第2の出力上限値PMX2を上回るか否かを判断する(ステップS40)。
要求出力Pが出力上限値PMX2を上回る場合は(ステップS40:Yes)、ステップS50に移行し、図7の係数曲線M2に基づいて第2の出力抑制を行う(ステップS50)。一方、要求出力Pが第2の出力上限値PMX2を上回らない場合は(ステップS40:No)、ステップS52に移行し、要求出力をそのままバッテリ20からの出力とする通常出力を行う(ステップS52)。
また、ステップS34において、劣化度Xが第2の閾値劣化度XL2以上でない場合は(ステップS34:Yes)、バッテリ20の劣化度Xが第1の閾値劣化度XL1以上であるか否かを判断する(ステップS42)。
劣化度Xが第1の閾値劣化度XL1以上である場合は(ステップS42:Yes)、報知手段14によって第1の出力抑制が行われる可能性がある旨を運転者に対して報知する(ステップS44)。
つづいて、要求出力取得手段120によってモータ30の要求出力Pを取得し(ステップS46)、出力制御手段128によって要求出力Pが第1の出力上限値PMX1を上回るか否かを判断する(ステップS48)。
要求出力Pが出力上限値PMX1を上回る場合は(ステップS48:Yes)、図7の係数曲線M1に基づいて第1の出力抑制を行う(ステップS50)。一方、要求出力Pが第1の出力上限値PMX1を上回らない場合は(ステップS48:No)、ステップS52に移行し、要求出力をそのままバッテリ20からの出力とする通常出力を行う(ステップS52)。
また、ステップS42において、劣化度Xが第1の閾値劣化度XL1未満である場合は(ステップS42:No)、ステップS52に移行して、要求出力をそのままバッテリ20からの出力とする通常出力を行う(ステップS52)。
その後、バッテリ制御装置10はステップS30に戻り、以降の処理を繰り返す。
また、実施の形態2にかかるバッテリ制御装置10は、バッテリ20の劣化度Xが複数の閾値劣化度XL1,XL2のいずれを上回っているかを識別可能に報知するので、運転者はどのような度合いの出力抑制が行われるかを事前に認識することができ、たとえば負荷装置に対する操作(アクセル操作)を加減したり、バッテリ20に対する充電やメンテナンスを行うタイミングを認識することができる。
また、本実施の形態では、負荷装置をモータ30としたが、負荷装置はバッテリ20に蓄電された電力を用いて駆動する装置であればよく、たとえば電動車の空調装置を負荷装置としてもよい。
Claims (6)
- バッテリに蓄電された電力を用いて駆動する負荷装置への前記バッテリからの出力を制御するバッテリ制御装置であって、
前記負荷装置からの要求出力を取得する要求出力取得手段と、
前記バッテリの劣化度を検知する劣化度検知手段と、
前記バッテリの充電率を検知する充電率検知手段と、
前記劣化度が前記充電率に基づいて決定される閾値劣化度未満か否かを判定し、前記劣化度が前記閾値劣化度以上の場合は前記出力を前記要求出力未満とする出力抑制を行う出力制御手段と、
を備えることを特徴とするバッテリ制御装置。 - 前記閾値劣化度は、前記充電率が低いほど小さい値に設定される、
ことを特徴とする請求項1記載のバッテリ制御装置。 - 前記劣化度が前記閾値劣化度以上の場合に前記出力抑制が行われる可能性がある旨を報知する報知手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1または2記載のバッテリ制御装置。 - 前記出力制御手段は、前記出力抑制時に前記出力の上限値を設定し、前記要求出力が前記上限値を上回る場合には前記出力を前記要求出力に対して1未満の係数をかけ合わせた値とし、前記要求出力が前記上限値以下の場合には前記出力を前記要求出力とする、
ことを特徴とする請求項1または2記載のバッテリ制御装置。 - 前記閾値劣化度は、前記充電率に対して複数設定されており、
前記出力制御手段は、前記劣化度が前記複数の閾値劣化度のうち、より大きい値を上回るほど前記上限値を小さくする、
ことを特徴とする請求項4記載のバッテリ制御装置。 - 前記劣化度が前記閾値劣化度以上の場合に前記出力抑制が行われる可能性がある旨を報知する報知手段をさらに備え、
前記報知手段は、前記劣化度が前記閾値劣化度を上回っている場合に、前記複数の閾値劣化度のいずれを上回っているかを識別可能に報知する、
ことを特徴とする請求項5記載のバッテリ制御装置。
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