(第1実施例) 図1から図5に、本発明を手持ち型のマッサージ器(美容機器)(以下、単にマッサージ器と言う。)に適用した第1実施例を示す。なお、本発明における前後、左右、上下とは、図1、図2および図4に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2においてマッサージ器は、上下縦長の本体ケース1を備え、本体ケース1の上半部がマッサージヘッド2として構成されており、マッサージヘッド2の内部には、マッサージユニット3が配置されている。本体ケース1の下半部はグリップ4を兼ねており、その内部には、マッサージユニット3を駆動するモーター5と、モーター5に駆動電流を供給する電池6と、モーター5の動作を制御する制御基板7などが配置されている。モーター5は、グリップ4の前面に設けられた作動スイッチ8をオン操作することにより起動して、マッサージユニット3を駆動する。図2において、符号9はモーター5の回転方向を切り換える正逆転スイッチである。
図および図4に示すように、マッサージユニット3は、支持ベース12と、支持ベース12上に配置される駆動機構13と、駆動機構13で回転駆動される円盤状の3個の回転台(回転体)14と、各回転台14に設けられる押圧棒(押圧体)15などで構成されている。押圧棒15は、上端部が半球状に形成されたローラー軸16と、ローラー軸16で回転自在に軸支される筒状のローラー17とで構成される棒状体からなり、ローラー軸16の下端が回転台14の回転平面に固定されている。ローラー17の横断面形状は、円形状に形成されている。押圧棒15が、ローラー軸16とローラー17とで構成されていると、押圧刺激を付与する際に、押圧棒15と後述するカバー29との間の摩擦を軽減することができ、カバー29が破損するのを防止できる。
図1に示すように、各回転台14には2個の押圧棒15が設けられており、各押圧棒15は回転台14の回転中心に対して点対称位置に設けられている。回転台14が回転駆動されるときの各押圧棒15の回転軌跡(T)の直径は同一に設定されている。押圧棒15は、ローラー軸16上端の半球状の半球面(先端部)15aと、半球面15aに連続するローラー17の周面(周面部)15bとで、肌面に押圧刺激を付与できる。各回転台14は、それぞれの回転中心が同一平面上に並列する状態で、かつ隣接する押圧棒15の回転軌跡(T)が干渉しないように配置されている。3個の回転台14は同一部材であり、後述する駆動軸20にそれぞれ固定されている。
図3および図4に示すように、駆動機構13は中央の駆動軸20に固定される駆動ギヤ19と、左右両側の駆動軸20に固定される受動ギヤ21と、これら両ギヤ19・21の間に配置されるカウンターギヤ22とで構成されている。駆動軸20とカウンターギヤ22を支持するギヤ軸23のそれぞれは、支持ベース12に設けられた図示しない軸受体で回転自在に軸支されており、中央の駆動軸20は、支持ベース12を貫通して下方に延伸されている。モーター5のモーター軸は、減速機25に接続されており、減速機25の出力軸と中央の駆動軸20の下端とがカップリング26で連結されている。
作動スイッチ8をオン操作してモーター5を駆動すると、減速機25を介して中央の駆動軸20が回転駆動され、中央の回転台14および駆動ギヤ19が回転駆動される。駆動ギヤ19の回転は、両カウンターギヤ22を介して左右の受動ギヤ21に伝動され、左右の駆動軸20に固定された回転台14を回転駆動する。このとき、3個の回転台14は同一方向に回転駆動される。駆動ギヤ19と2個の受動ギヤ21の歯数は同じであり、また、2個のカウンターギヤ22の歯数も同じであるので、各回転台14の回転速度は同一に設定されている。モーター5を正転させたとき、各回転台14は図1において反時計回りに回転するように設定されており、その回転数は60rpmに設定した。
図1および図4に示すように、マッサージヘッド2には、上面と、上面に連続する前後面にわたって開口28が形成されている。各回転台14の押圧棒15は、この開口28に臨む状態で配置されており、各押圧棒15の回転軌跡(T)は、開口28の前後面から本体ケース1の外側に食み出している。また、各押圧棒15の先端部分も開口28の上面から本体ケース1の外側に食み出している。開口28は、柔軟性を有するカバー29で覆われており、本体ケース1の外側に食み出す押圧棒15の一部が直接肌面などに接触しないようになっている。モーター5を駆動して、マッサージヘッド2を肌面に当接させることにより、カバー29を介して各押圧棒15の半球面15aあるいは周面15bで肌面に押圧刺激を付与することができる。マッサージヘッド2の前面または後面を肌面に当接させた場合には、押圧棒15の周面15bで回転方向に沿って直線状の押圧刺激を肌面に付与することができ、また、マッサージヘッド2の上面を肌面に当接させた場合には、半球面15aで回転する押圧刺激を肌面に付与することができる。
本実施例においては、各回転台14に設けた押圧棒15の位相位置を、隣接する回転台14で異ならせる点に特徴がある。図1に示すように、右端に配置された回転台14の押圧棒15が前後端の位置にあるとき、中央に配置された回転台14の押圧棒15のそれぞれは、平面視において時計回り方向に60度位相を異ならせた位置に設けられている。また、左端に配置された回転台14の押圧棒15は、時計回り方向にさらに60度位相を異ならせた位置に設けられている。これにより、例えばマッサージヘッド2の後面を肌面に当接させたときには、右側の回転台14の押圧棒15が肌面に押圧刺激を付与したのち(図5(a))、中央の回転台14の押圧棒15が肌面に押圧刺激を付与する(図5(b))。次いで、左側の回転台14の押圧棒15が肌面に押圧刺激を付与する(図5(c))。このように、回転台14の回転方向上手側から下手側へと押圧棒15の周面15bで順に肌面に回転方向に沿った直線状の押圧刺激を付与できる。回転台14の回転方向と血液の流れ方向とを一致させてマッサージヘッド2を肌面に当接させた場合には、直線状の押圧刺激を肌面に付与して、血液やリンパ液を回転方向下手側に圧送することができる。
また、本実施例に係るマッサージ器は、1個のモーター(駆動源)5で3個の回転台14を回転駆動している。このため、例えば、隣接する押圧棒15の位相位置が同じであると、3個の押圧棒15が同じタイミングで肌面を押圧するため、押圧刺激を付与している間のモーター5には大きな負荷が作用する。しかし、各回転台14に設けた押圧棒15の位相位置を、隣接する回転台14で異ならせると、複数の押圧棒15が同じタイミングで肌面に押圧刺激を付与することがなく、モーター5に作用する負荷が大きくなることを回避して、モーター5の寿命を向上できる。
以上のように、本実施例のマッサージ器においては、各回転台14に設けた押圧棒15の位相位置を、隣接する回転台14で異ならせたので、隣接する回転台14の押圧棒15が同時に肌面に接触して押圧刺激を付与することを回避できる。これにより、押圧棒15で圧送された血液やリンパ液の流れが、下手側の押圧棒15で堰き止められて圧送効果が低下することを防止できる。従って、押圧刺激による血液やリンパ液の圧送効果を向上して、効果的に美容効果を得ることができる。各回転台14に設けた押圧棒15の位置は、回転台14の組付け時に、各回転台を所定角度(本実施例では60度)ずつずらして組付けるだけで、位相位置を異ならせることができるので、マッサージユニット3の構造が複雑化することはない。
また、各押圧棒15の回転軌跡(T)の直径を同一に設定するので、押圧棒15の肌面への接触状態を各押圧棒15で同一にすることができ、押圧刺激を付与する際の肌当たりを均一にできる。さらに、各回転台14の回転速度を同一に設定するので、肌面へリズムよく押圧刺激を付与でき、心地よく快適にマッサージ器を使用することができる。具体的には、本実施例では、右側の回転台14から左側の回転台14へ行くに従って、押圧棒15の位相位置を回転台14の回転方向とは反対である時計回り方向に60度ずつ位相をずらした状態で配置してある。これにより、例えばマッサージヘッド2の後面を肌面に当接させた場合には、右側の回転台14の押圧棒15から左側の回転台14の押圧棒15へと順を追って規則的に肌面に押圧刺激を付与する。すなわち、右、中央、左、次いで右と、それぞれ同一の時間差でもって、順に押圧棒15による押圧刺激を肌面に付与できる。
回転台14から突出する棒状体からなる押圧棒15の半球面15aおよび半球面15aに連続する周面15bとで肌面に押圧刺激を付与できるようにしたので、押圧棒15の半球面15aと周面15bとで、回転する押圧刺激と直線状の押圧刺激との異なる押圧刺激を肌面に付与でき、多様な押圧刺激を肌面に付与できるマッサージ器を提供できる。
上記構成を備えたマッサージ器(美容機器)は、次の形態で実施できる。すなわち、平行な軸回りに回転駆動される複数個の回転台(回転体)14を備え、各回転台14には、肌面に押圧刺激を付与する少なくとも1個の押圧棒(押圧体)15が設けられており、各回転台14が、1個のモーター(駆動源)5で駆動される駆動機構13で同一方向へ回転駆動されており、各回転台14に設けた押圧棒15の位相位置が、隣接する回転台14で異ならせてあるマッサージ器。
上記のように、各回転台14に設けた押圧棒15の位相位置を、隣接する回転台14で異ならせると、モーター5の寿命を向上できる。具体的には、例えば、隣接する押圧棒15の位相位置が同じであると、複数個の押圧棒15が同じタイミングで肌面を押圧し、押圧刺激を付与している間のモーター5には大きな負荷が作用する。しかし、各回転台14に設けた押圧棒15の位相位置を、隣接する回転台14で異ならせると、複数の押圧棒15が同じタイミングで肌面に押圧刺激を付与することがない。従って、モーター5に作用する負荷が大きくなることを回避して、モーター5の寿命を向上できる。また、モーター5に大きな負荷が作用することによる電池6の消耗を抑制できる。さらに、負荷によるモーター5の加熱を防止して、マッサージ器の信頼性を向上できる。
上記の実施例では、押圧棒15(ローラー17)の横断面形状は円形に形成したが、非円形コロ形状、楕円形状、または多角形状に形成してもよい。押圧棒15は、ローラー軸16と、ローラー17とで構成する必要はなく、先端が丸められた丸軸であってもよい。この場合には、丸められた先端が先端部15aとして機能し、丸軸の周囲面が周面部15bとして機能する。
(第2実施例) 図6に本発明に係る美容機器の第2実施例を示す。第2実施例に係る美容機器(マッサージ器)は、押圧棒15のローラー17の形状を変更した点が第1実施例のマッサージ器と異なる。なお、それ以外の点は、先の第1実施例と同様であるので、同一の部材には、同一の符号を付して、その説明を省略する。以下の実施例においても同様とする。
ローラー17は、ローラー筒32と、ローラー筒32の外周面に周回状に突出する4個の刺激ローラー33とで構成されている。このように、ローラー筒32の外周面に、刺激ローラー33を形成すると、押圧棒15と肌面との接触面積を小さくして、肌面にマッサージヘッド2を軽く押し当てるだけで、強い押圧刺激を肌面に付与できる。本実施例においても回転台14の回転数を60rpmに設定した。
(第3実施例) 図7から図10に、本発明に係る美容機器の第3実施例を示す。第3実施例に係る美容機器(マッサージ器)は、左右に長い本体ケース1の前面に開口28を設けた点と、マッサージユニット3の構成を変更した点が、第1実施例のマッサージ器と異なる。図7においてマッサージ器は、左右横長の本体ケース1を備え、本体ケース1の左半部がマッサージヘッド2として構成されており、マッサージヘッド2の内部にマッサージユニット3が配置されている。本体ケース1の右半部はグリップ4を兼ねており、その内部には、モーター5、電池6、制御基板7などが配置されている。作動スイッチ8および正逆転スイッチ9は、グリップ4の上面部に設けられている。
図8から図10に示すように、マッサージユニット3は、上下に配置した一対の支持ベース12と、一対の支持ベース12の間に配置される駆動機構13と、駆動機構13で回転駆動される円盤状の3個の回転台(回転体)14と、各回転台14に設けられる円柱状の押圧棒(押圧体)15などで構成されている。回転台14は駆動軸20に固定されており、隣接する回転台14が、各駆動軸20の一端寄りと他端寄りに交互に配置されて回転軸心方向に対向させてある。各回転台14には、1個の押圧棒15が対向相手側の回転台14へ向かって突設されている。3個の回転台14は同一部材であり、それぞれの回転中心が同一平面上に並列する状態で、かつ隣接する回転台14の外郭形状が重複する状態で配置されている。回転台14が回転駆動されたときの各押圧棒15の回転軌跡(T)の直径は同一に設定されており、図8に示すように、隣接する押圧棒15の回転軌跡(T)はオーバーラップしている。
図7および図9に示すように、駆動機構13は、3個の駆動軸20と、各駆動軸20に固定される受動ギヤ21と、各受動ギヤ21を駆動するウォーム軸35と、ウォーム軸35の右端に設けられる駆動ギヤ36とで構成されている。各駆動軸20は、一対の支持ベース12に設けられた図示しない軸受体で回転自在に軸支されている。モーター5のモーター軸には、ギヤ群で構成される減速機構37の初段ギヤが固定されており、減速機構37の終段ギヤが駆動ギヤ36に噛合されている。
作動スイッチ8をオン操作してモーター5を駆動すると、減速機構37を介して駆動ギヤ36およびウォーム軸35が回転駆動される。これにより、ウォーム軸35で3個の受動ギヤ21が回転駆動されて、各駆動軸20に固定された回転台14を同一方向に回転駆動できる。3個の受動ギヤ21は同一の歯数のギヤで構成されており、各回転台14の回転速度は同一に設定されている。モーター5を正転させたとき、各回転台14は図8において時計回りに回転するように設定されており、その回転数は60rpmに設定した。
図9および図10に示すように、マッサージヘッド2には、前面に開口28が形成されており、開口28は柔軟性を有するカバー29で覆われている。各回転台14の押圧棒15の回転軌跡(T)は、開口28の前後面から本体ケース1の外側に食み出している。マッサージヘッド2の前面を肌面に当接させると、押圧棒15の周面15bで回転方向に沿って直線状の押圧刺激を肌面に付与することができる。
図8に示すように、右端に配置された回転台14の押圧棒15が前端の位置にあるとき、中央に配置された回転台14の押圧棒15は、平面視において反時計回り方向に60度位相を異ならせた位置に設けられている。左端に配置された回転台14の押圧棒15は、反時計回り方向にさらに60度位相を異ならせた位置に設けられている。これにより、マッサージヘッド2の前面を肌面に当接させると、右側の回転台14の押圧棒15が肌面に押圧刺激を付与したのち、中央の回転台14の押圧棒15が肌面に押圧刺激を付与する。次いで、左側の回転台14の押圧棒15が肌面に押圧刺激を付与する。このように、回転台14の回転方向上手側から下手側へと押圧棒15の周面15bで順に肌面に直線状の押圧刺激を付与できる。
以上のように、本実施例のマッサージ器においては、各回転台14を、隣接する押圧棒15の回転軌跡(T)どうしがオーバーラップする状態で配置したので、隣接する押圧棒15どうしの距離を近づけることができる。これにより、隣接する押圧棒15の間に位置して押圧刺激が付与されない肌面部分を可及的に狭くすることができ、血液やリンパ液などの圧送効果を向上できる。また、押圧棒15の隣接距離が小さくなる分だけマッサージ器を小形化しコンパクト化できる。
隣接する回転台14が、各駆動軸20の一端寄りと他端寄りに交互に配置されて回転軸心方向に対向しており、各回転台14における押圧棒15が、対向相手側の回転台14へ向かって突設されていると、押圧棒15による押圧刺激の付与範囲を直線状に連続させて、回転台14の回転方向の上手側から下手側へ向かって、血液やリンパ液を確実に圧送することができる。
(第4実施例) 図11から図13に、本発明に係る美容機器の第4実施例を示す。第4実施例に係る美容機器(マッサージ器)は、本体ケース1の上面に開口28を設けた点と、マッサージユニット3の構成を変更した点が、第1実施例のマッサージ器と異なる。図11においてマッサージ器は、本体ケース1を備え、本体ケース1の上半部がマッサージヘッド2として構成されており、マッサージヘッド2の内部にマッサージユニット3が配置されている。マッサージヘッド2の後端から下方に伸びる本体ケース1はグリップ4を兼ねており、その内部には、モーター5、電池6、制御基板7などが配置されている。
図12および図13に示すように、マッサージユニット3は、前後一対の支持ベース12と、一対の支持ベース12の間に配置される駆動機構13と、駆動機構13で回転駆動される円形の板状体からなる4個の回転体14と、各回転体14に設けられる押圧体15などで構成されている。押圧体15は、回転体14の周面に、外突状の突部40として形成されており、各回転体14には等角度間隔で3個の突部40が設けられている。
回転体14は駆動軸20に固定されており、隣接する回転体14は、回転軸心方向にずらした状態で、その外郭形状が重複する状態で配置されている。4個の回転体14は同一部材であり、回転体14が回転駆動されたときの各押圧体15の回転軌跡(T)の直径は同一に設定されており、突部40の回転軌跡(T)はオーバーラップしている。
図12および図13に示すように、駆動機構13は、2個の駆動軸20と、各駆動軸20に固定される受動ギヤ21と、受動ギヤ21間に配置される駆動ギヤ41とで構成されている。駆動軸20は、支持ベース12に設けられた図示しない軸受体で回転自在に軸支されている。左右の受動ギヤ21は歯数を異ならせてあり、右側の駆動軸20に固定される受動ギヤ21aよりも、左側の駆動軸20に固定される受動ギヤ21bの方が、歯数が少なく設定されている。モーター5のモーター軸には、ピニオンギヤとフェースギヤとで構成される減速機構42のピニオンギヤが固定されており、フェースギヤと駆動ギヤ41とは、回転軸で連結されている。モーター5の出力軸にはピニオンギヤが固定されており、このピニオンギヤとフェースギヤとで減速機構42が構成されている。フェースギヤに固定したギヤ軸に先の駆動ギヤ41が固定されている。
作動スイッチ8をオン操作してモーター5を駆動すると、減速機構42を介して駆動ギヤ41が回転駆動され、これにより、左右の受動ギヤ21a・21bが駆動されて、各駆動軸20に装着した回転体14を回転駆動できる。各回転体14は図12において反時計回りに回転するように設定されている。左側の受動ギヤ21bの歯数が少なく設定されているので、回転方向下手側である左側の回転体14の回転速度は、右側の回転体14の回転速度よりも速く回転駆動される。本実施例では、左側の回転体14の回転速度は80rpmに設定し、右側の回転体14の回転速度は60rpmに設定した。
図12に示すように、マッサージヘッド2には、上面に開口28が形成されており、開口28は柔軟性を有するカバー29で覆われている。各回転体14は、この開口28に臨む状態で配置されており、各突部40の回転軌跡(T)は、開口28の前後面から本体ケース1の外側に食み出している。右側に配置された回転体14と左側に配置された回転体14とは、突部40の位置を60度ずらした状態で駆動軸20に固定されている。マッサージヘッド2の上面を肌面に当接させると、突部40で直線状の押圧刺激を肌面に付与することができる。本実施例においても、突部40の回転軌跡(T)がオーバーラップしているので、隣接する突部40どうしの距離を近づけることができ、押圧刺激による血液やリンパ液の圧送効果を向上できる。
また、本実施例では、マッサージ器の組立て時に突部40の位相位置を60度ずらした状態で駆動軸20に固定するが、マッサージ器を動作させると、左右の回転体14の回転速度が異なるため、突部40の位相位置は常に変化することになる。従って、両回転体14の突部40が同時に肌面に接触する場合も発生するが、これは一時的なものであり、押圧刺激を肌面に付与する際のほとんどは左右の突部40が異なるタイミングで接触して押圧刺激を付与できる。
以上のように、隣接する回転体14のうち、回転方向下手側に位置する回転体14の回転速度を、回転方向上手側に位置する回転体14の回転速度より速く設定すると、下手側の突部40は、上手側から圧送されてきた血液やリンパ液を滞ることなくすばやく圧送できる。従って、押圧刺激による血液やリンパ液の圧送効果をさらに向上して、効果的に美容効果を得ることができる。
(第5実施例) 図14に、本発明に係る美容機器の第5実施例を示す。第5実施例に係る美容機器(マッサージ器)は、突部40を回転体14と別体で構成した点が第4実施例のマッサージ器と異なる。図14に示すように、突部40は、回転体14の周面に形成された保持凹部44に嵌め込まれた球体45で構成されている。このように、突部40を球体45で構成すると、押圧刺激を付与する際に、突部40とカバー29との間の摩擦を軽減することができ、カバー29が破損するのを防止できる。本実施例においても、左側の回転体14の回転速度は80rpmに設定し、右側の回転体14の回転速度は60rpmに設定した。
上記の第1実施例から第5実施例では、回転台(回転体)14と駆動ギヤ19あるいは受動ギヤ21が固定される駆動軸20およびカウンターギヤ22が固定されるギヤ軸23は、支持ベース12に対して回転自在に支持したが、駆動軸20およびギヤ軸23は支持ベース12に固定することができる。その場合には、回転台14と受動ギヤ21とを連結固定し、これら14・21を支持ベース12に固定した駆動軸20に対して回転自在に支持する構造とする。
(第6実施例) 図15から図17に、本発明を手持ち型のマッサージ器(美容機器)に適用した第6実施例を示す。図15においてマッサージ器は、本体ケース1と、本体ケース1の右側面から外側に伸びるマッサージヘッド2とで構成されている。マッサージヘッド2は、マッサージユニット3とマッサージユニット3を覆うユニットカバー55とで構成されている。本体ケース1はグリップ4を兼ねており、その内部には、モーター5、電池6、制御基板7などが配置されている。作動スイッチ8および正逆転スイッチ9は、グリップ4の前面部に設けられている。
図15および図17に示すように、マッサージユニット3は、駆動機構13と、駆動機構13で回転駆動される上下一対の回転台(回転体)14と、各回転台14に設けられる押圧棒(押圧体)15と、隣接する駆動軸20どうしを軸支する上下一対の可動フレーム(フレーム)51などで構成されている。押圧棒15は、一対の回転台14の間に配置されており、ローラー軸16とローラー軸16で回転自在に軸支される筒状のローラー17とで構成される棒状体からなる。ローラー軸16の上下端は、上下の回転台14に固定されており、ローラー17の横断面形状は、円形状に形成されている。
図17に示すように、一対の回転台14の間には2個の押圧棒15が設けられており、これらの押圧棒15は回転台14の回転中心に対して点対称の位置に設けられている。回転台14が回転駆動されるときの各押圧棒15の回転軌跡(T)の直径は同一に設定されており、押圧棒15は、ローラー17の周面(周面部)15bで、肌面に押圧刺激を付与できる。各回転台14は、駆動軸20に固定されている。
図15に示すように、駆動機構13は、5個の駆動軸20と、各駆動軸20に固定されてモーター5からの動力を回転台14に伝動する受動ギヤ21と、隣接する受動ギヤ21間に配置されて噛み合い連動するカウンターギヤ22とを含んで構成されている。隣接する駆動軸20どうしは、上下一対の可動フレーム51で前後方向に回転自在に軸支されており、各駆動軸20および各可動フレーム51の全体は、左端の駆動軸20が、本体ケース1に固定されたベースフレーム52で前後方向に回転自在に軸支されて本体ケース1に支持されている。これにより、隣接する回転台14および可動フレーム51が、隣接相手側の駆動軸20を回動中心にして回動できる。可動フレーム51およびベースフレーム52と駆動軸20との間には図示しない軸受体が設けられている。また、カウンターギヤ22は、両フレーム51・52に回転自在に軸支されたギヤ軸23に固定されている。
図16および図17に示すように、受動ギヤ21の回転軸心と、駆動軸20の軸心(P)とは一致させてある。これにより、隣接相手側の駆動軸20の軸心(P)を回動中心にして回転台14を回動させると、受動ギヤ21に対してカウンターギヤ22は、噛合深さが変化することなく回転台14を回動させた角度だけ噛合位置が移動する。各々隣接する回転台14を回動させた場合も同様である。このように、回転台14に動力を伝動する受動ギヤ21の回転軸心と、駆動軸20の軸心(P)とを一致させると、隣接する受動ギヤ21と、受動ギヤ21と噛み合い連動するカウンターギヤ22との噛合深さが変化することなく、隣接する回転台14どうしを各駆動軸20の軸心(P)を回動中心にして互いに屈折させることができる。従って、回転台14の全体の配置形態を様々に変更した場合でも、噛合部分で騒音発生やがたつきが発生するのを防止でき、また、各回転台14に動力を確実に伝動することができる。
右端に配置した上下の可動フレーム51は把持棒53で連結されており、この把持棒53が肌面に押圧刺激を付与する際の握り部として機能する。片方の手で本体ケース1を固定し、もう片方の手で把持棒53を前後方向に移動させることにより、隣接する回転台14どうしは駆動軸20を回動中心にして回動し、マッサージヘッド2を自在に屈折させることができる。図示していないが、隣接する可動フレーム51の間にはストッパー構造が設けられており、可動フレーム51を屈折させることができる角度が規制されている。
モーター5のモーター軸は、減速機25に接続されており、減速機25の出力軸には駆動ギヤ54が固定されている。駆動ギヤ54と左端の受動ギヤ21とは、カウンターギヤ22を介して噛合されており、駆動ギヤ54と、5個の受動ギヤ21と、5個のカウンターギヤ22とでギヤトレインが構成されている。これにより、駆動ギヤ54の回転が、カウンターギヤ22を介して終段の受動ギヤ21まで伝動され、各回転台14が回転駆動される。5個の受動ギヤ21の歯数は同じであり、また、5個のカウンターギヤ22の歯数も同じであるので、各回転台14は同一方向に同一速度で同時に回転駆動される。モーター5を正転させたとき、各回転台14は図17において反時計回りに回転するように設定されており、その回転数は60rpmに設定した。
図15に示すように、各回転台14に設けた押圧棒15の位相位置は、隣接する回転台14で異ならせてあり、各回転台14の回転中心が同一平面上にあるとき、隣接する押圧体15は、それぞれ60度ずつ位相位置を異ならせた状態で設けられている。
以上のように、隣接する回転体14が隣接相手側の駆動軸20を回動中心にして回動できるように支持してあると、隣接する回転体14を各駆動軸20を回動中心にして互いに屈折させて、回転体14の全体の配置形態を種々に変更することができる。例えば、図17に示すように、マッサージヘッド2を円弧状に屈折することができ、身体の曲面部分にマッサージヘッド2を沿わせた状態で押圧棒15による押圧刺激を肌面に付与することができる。
本実施例では、回転台(回転体)14と受動ギヤ21が固定される駆動軸20およびカウンターギヤ22が固定されるギヤ軸23は、可動フレーム51あるいはベースフレーム52に対して回転自在に支持したが、駆動軸20およびギヤ軸23は前記フレーム51・52に固定することができる。その場合には、回転台14と受動ギヤ21とを連結固定し、これら14・21を前記フレーム51・52に固定した駆動軸20に対して回転自在に支持する構造とする。
(第7実施例) 図18に、本発明に係る美容機器の第7実施例を示す。第7実施例に係る美容機器(マッサージ器)は、マッサージユニット3により多くの回転体14を設けてマッサージヘッド2を長尺化した点が第6実施例と異なる。マッサージヘッド2の先端側には、ユニットカバー55の後面に雄側の面ファスナー57aが縫着されており、また、マッサージヘッド2の基端側には、ユニットカバー55の前面に雌側の面ファスナー57bが縫着されている。
本実施例においては、マッサージヘッド2を長尺化したので、マッサージヘッド2を屈曲させて腕や脚などに巻きつけた状態で、押圧棒15による押圧刺激を肌面に付与できる。また、マッサージヘッド2を腕や脚などに巻きつけたのち、雄雌の面ファスナー57a・57bを接当させて固定することにより、マッサージヘッド2を円環状に保形した状態で装着でき、ハンドフリーの状態で押圧棒15による押圧刺激を肌面に付与できる。
雌側の面ファスナー57bは、本体ケース1に接着固定することができる。また、ユニットカバー55をループパイル生地で構成することにより、雌側の面ファスナー57bを廃して、ユニットカバー55に雄側の面ファスナー57aを直接固定することができる。本実施例においても、回転台14の回転数は60rpmに設定した。
本発明における美容機器(マッサージ器)を構成する回転体(回転台)14および押圧体(押圧棒)15の個数は、上記の各実施例に示した数に限られない。また、上記の各実施例では、位相位置を60度ずつ異ならせたが、60度に限られず適宜設定することができる。回転体14の回転数は、上記の各実施例に示した回転数に限られず、適宜変更することができ、第4および第5実施例においては、左側の回転体14の回転速度が右側の回転体14の回転速度よりも速ければよい。