JP6223890B2 - 眼科用組成液及びその使用方法 - Google Patents

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本発明は、眼科用組成液及びその使用方法に関する。
従来、眼科用組成液としては、例えば、清涼化剤と、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、多価アルコールとを所定割合で含有したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この組成液では、潤い効果を良好に発揮し、コンタクトレンズのぬれ性を高度に確保し、より一層優れた使用感を実現すると共に、保存安定性も優れるものとすることができる。また、眼科用組成液としては、メントールを含むソフトコンタクトレンズに用いられるものであって、ポリオキシエチレンソルビタンエステルを含有するものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この組成液では、ソフトコンタクトレンズと接触させるとぬれ性を向上させ、含水率の減少を抑制することによりソフトコンタクトレンズの装着時に生じうる乾燥感、異物感の発生をより減少することができるとしている。また、眼科用組成液としては、ビタミンAと、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとを含有し、カチオン界面活性剤及び疎水性防腐剤の含有量が所定量以下であるものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。この組成液では、ビタミンAの角膜・結膜損傷治療効果が向上するとしている。
特開2005−8568号公報 特開平11−130667号公報 特開2011−6348号公報
ところで、現在、コンタクトレンズは多種多様な商品が流通されており、コンタクトレンズを構成するモノマー成分はもちろんのこと、顔料(染料)、流通保存液(パッケージング液)成分、切削あるいはモールド製法などの製造方法、モダリティ(使用日数、使用時間)に至るまで様々なものがある。このため、従来の「ソフト(含水・非含水、シリコーンハイドロゲルを含む)」、「ハード(酸素透過性ハードを含む)」という大分類でコンタクトレンズ用剤としての適不適を議論することは難しくなっている。したがって、コンタクトレンズを総合的に理解する必要があり、それらに適するコンタクトレンズ用剤が求められている。上述した特許文献1〜3では、様々な効果を有するものではあるが、コンタクトレンズの材質の違いや製造方法の違いなどについてまで細かに検討されてはおらず、まだ十分ではなかった。このように、コンタクトレンズの使用感をより高めたり、コンタクトレンズやこれら眼科用剤の安全性をより高め、コンタクトレンズ装用時の不快感を解消させることが求められていた。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、コンタクトレンズの使用感及び、コンタクトレンズや眼科用剤としての安全性をより向上した眼科用組成液及びその使用方法を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、平均重合度の割合が所定範囲のポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールと、多価カルボン酸及び/又はその塩と、清涼化剤と、を含有し、ジブチルヒドロキシトルエンの濃度を所定範囲とすると、コンタクトレンズの使用感及び、コンタクトレンズ乃至は眼科用液としての安全性をより向上することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の眼科用組成液は、
エチレンオキシドの平均重合度(EO)とプロピレンオキシドの平均重合度(PO)との割合EO/POが1.0以上5.0以下の範囲であるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールと、
多価カルボン酸及び多価カルボン酸塩から選ばれる1以上と、
清涼化剤と、を含有し、
IC50値が1.0%以上であり、且つ組成液中のジブチルヒドロキシトルエン(BHT)の濃度が1.5ppm未満であるものである。
本発明の眼科用組成液の使用方法は、
エチレンオキシドの平均重合度(EO)とプロピレンオキシドの平均重合度(PO)との割合EO/POが1.0以上5.0以下の範囲であるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールと、多価カルボン酸及び多価カルボン酸塩から選ばれる1以上と、清涼化剤と、を含有し、IC50値が1.0%以上であり、且つ組成液中のジブチルヒドロキシトルエン(BHT)の濃度が1.5ppm未満である眼科用組成液を、モールド製法にて製造されたハードコンタクトレンズ及び/又はソフトコンタクトレンズに対して用いるものである。
本発明の眼科用組成液及びその使用方法では、コンタクトレンズの使用感及び、コンタクトレンズ装用や眼科用剤としての安全性をより向上することができる。本発明者は、上記のごとく複雑化するコンタクトレンズについて、解決すべき点も多種多様となることを背景とし、特にモールド製法にて製造されたハードコンタクトレンズと、それらに適するコンタクトレンズ用の組成液について鋭意研究を行った。その結果、眼科用組成液に一般的に使用されるポロクサマー類と清涼化剤との併用が、モールド製法にて製造されたハードコンタクトレンズのベースカーブを変化させる要因であるという知見を得た。ハードコンタクトレンズのベースカーブの変化は、コンタクトレンズ装用感の悪化を引き起こし、装用時の不快感を惹起する。更に、ソフトコンタクトレンズの装用感についても鋭意研究を重ねた結果、ソフトコンタクトレンズに関しても、また、ポロクサマー類と清涼化剤との併用が、装用期間中のコンタクトレンズベースカーブに対して影響を及ぼす要因であるという知見を得た。そして、エチレンオキシドの平均重合度(EO)とプロピレンオキシドの平均重合度(PO)との割合EO/POを好適な範囲とし、更に多価カルボン酸及び多価カルボン酸塩から選ばれる1以上を眼科用組成液に添加することにより、これらコンタクトレンズのベースカーブの変化をより低減することができることを見出した。また、上記組成とすることにより、例えば、コンタクトレンズへの脂質付着量をより抑制することができることを見出した。そしてさらには、当該眼科用組成液がコンタクトレンズの屈折率を向上させ、それにより装用時の視界鮮明性をも得ることができることも見出したのである。これら見出された有利な点により、コンタクトレンズの使用感の向上、つまりはハードコンタクトレンズまたはソフトコンタクトレンズを装用しているときの不快感を低減する効果を得ることができる。また、BHT濃度が1.5ppm未満であることを含む、上記組成とすることにより、コンタクトレンズ装用や眼科用剤としての安全性をより向上することができる。
本発明の眼科用組成液は、エチレンオキシドの平均重合度(EO)とプロピレンオキシドの平均重合度(PO)との割合EO/POが1.0以上5.0以下の範囲であるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール(ポロクサマー類;成分A)と、多価カルボン酸及び多価カルボン酸塩から選ばれる1以上(成分B)と、清涼化剤(成分C)と、を含有している。また、本発明の眼科用組成液は、IC50値が1.0%以上であり、且つ眼科用組成液(製剤)中のジブチルヒドロキシトルエン(BHT)の濃度が1.5ppm未満である。
成分Aであるポロクサマー類は、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの平均重合度の違いやブロック共重合体、ランダム共重合体、エチレンジアミン誘導体など、異なる形態が種々存在する。なお、ポロクサマー(poloxamer)とはUnited States Pharmacopeia NF32にも記載があるように、狭義ではプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドのブロック共重合体であるが、本願においては種々存在する上記共重合体をまとめてポロクサマー類として記述する。その中でも例えば、ポロクサマー124(プルロニック(登録商標)L−44、平均分子量2200)、ポロクサマー188(プルロニック(登録商標)F−68、平均分子量8400)、ポロクサマー235(プルロニック(登録商標)P−85、平均分子量4600)およびポロクサマー407(プルロニック(登録商標)F−127、プロノン(登録商標)#407P、平均分子量12600)。ユニルーブ(登録商標)70DP−950B、ユニルーブ(登録商標)75DE−2620Rなどが挙げられる。さらにはエチレンジアミン誘導体として、例えば、テトロニック(登録商標)707(平均分子量12000)、テトロニック(登録商標)908(平均分子量22500)、テトロニック(登録商標)1107(平均分子量14500)、テトロニック1307(平均分子量18600)、テトロニック(登録商標)1508(平均分子量26600)などが挙げられ、その中で本発明にて好ましくは、ポロクサマー188、ポロクサマー235およびポロクサマー407(プルロニック(登録商標)F−127、プロノン(登録商標)#407P)、ユニルーブ(登録商標)70DP−950B、ユニルーブ(登録商標)75DE−2620R、テトロニック(登録商標)1107が特に好ましい。これらポロクサマー類の好ましい割合EO/POは1.0〜5.0の範囲であるが、2.0以上4.0以下の範囲であることがより好ましい。ポロクサマー類は、BASF Wyandotte Corporation、日油(株)、(株)ADEKA等から市販品を入手できる。これら上記好ましいポロクサマー類から少なくとも1種が選択され、配合される。
これらポロクサマー類は、製造時あるいは保存時に不純物であるプロピオンアルデヒドが生成されることがある。この不純物の発生を防ぐためにポロクサマー類には酸化防止剤として、例えば、dl-αトコフェロールやジブチルヒドロキシトルエン(BHT)が予め配合されることがある。しかしながら、これら酸化防止剤、特にBHTを含む原料を用いた組成液は、当該酸化防止剤の配合により細胞毒性を上げてしまうため、BHTなどの酸化防止剤を含まない、あるいは低濃度に含むポロクサマー類を使用することがさらに好ましい。さらにBHTはコンタクトレンズ材料に吸着・吸蔵されやすいという課題が従来からあり、製剤中に吸着を抑制する成分を配合することで有効な解決を図っていたが、さらなる有用な方法が望まれていた。すなわち、眼科用組成液中のBHT濃度は、10ppm未満、好ましくは1.5ppm未満、より好ましくは1ppm以下、更に好ましくは0.7ppm以下の範囲とする。この様な範囲にするに際して、BHTを含む原料の配合量を制限したり、公知の方法により原料を加熱又は加湿処理を施し、BHTを蒸散除去させることが挙げられる。また酸化防止剤無添加の原料も市販で入手は可能である。その場合、たとえば日油(株)製プロノン(登録商標)#407P(ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール)、ユニルーブ(登録商標)70DP−950B(ポリオキシエチレン(200)ポリオキシプロピレン(70)グリコール)が好適に使用される。なお、BHTを含む原料ポロクサマー類を本願発明の眼科用組成液に使用する場合、眼科用組成液中のBHT濃度は0.001ppm〜0.7ppmの範囲に制限すべきである。
この成分Aの眼科用組成液における濃度は、本願発明による効果を発揮させる範囲であれば良いが、具体的には、0.0005質量%以上5質量%以下の範囲とすることが好ましく、0.001質量%以上1.5質量%以下の範囲であることがより好ましい。この濃度が0.0005質量%以上では、コンタクトレンズ表面の涙濡れ効果や汚れ付着防止効果、眼瞼摩擦の低下効果が十分に得られ、コンタクトレンズ用液として適用しやすい。また、この濃度が5質量%以内では、コンタクトレンズの規格の観点から好ましい。
成分Bである多価カルボン酸としては、例えば、エデト酸、クエン酸、ヒアルロン酸、カルボキシビニルポリマーから選ばれる1以上が挙げられる。また、多価カルボン酸塩としては、例えば、エデト酸塩、クエン酸塩、ヒアルロン酸塩、カルボキシビニルポリマー塩から選ばれる1以上が挙げられる。エデト酸塩としては、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸二ナトリウム水和物、エデト酸三ナトリウム、エデト酸三ナトリウム水和物、エデト酸ナトリウム水和物、エデト酸四ナトリウム、エデト酸四ナトリウム四水塩などが挙げられる。本発明で用いられるエデト酸(塩)は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。エデト酸(塩)の製剤中の配合量は、0.0001質量%以上0.5質量%以下の範囲が好ましく、より好ましくは0.001質量%以上0.1質量%以下の範囲である。また、クエン酸塩としては、クエン酸カルシウム、クエン酸ナトリウム水和物、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウムなどが挙げられる。本発明で用いられるクエン酸(塩)は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。クエン酸(塩)の製剤中の配合量は、0.0001質量%以上2質量%以下の範囲が好ましく、より好ましくは0.001質量%以上1質量%以下の範囲である。
ヒアルロン酸は、グルクロン酸(GlcUA)とN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)が結合したGlcUA−GlcNAcの基本構造(繰り返し単位)から構成されているポリマーである。本発明で用いられるヒアルロン酸及びその塩は、公知の化合物であり、公知の方法により製造してもよく、市販品として入手することもできる。ヒアルロン酸及びその塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明で用いられるヒアルロン酸は、天然物、鶏冠抽出由来、発酵法による合成品のいずれであってもよい。本発明で用いられるヒアルロン酸の分子量は、特に限定されないが、質量平均分子量で、百〜500万、好ましくは千〜400万、更に好ましくは1万〜300万、より更に好ましくは10万〜250万、特に好ましくは50万〜200万である。本発明で用いられるヒアルロン酸の塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される塩の形態のものであれば特に制限されない。具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が例示でき、好ましくは、ヒアルロン酸ナトリウムである。第十六改正日本薬局方やUnited States Pharmacopeia、European Pharmacopoeiaなどの規格に適合あるいはそれらの規格に準ずるヒアルロン酸ナトリウムがさらに好ましい。本発明で用いられるヒアルロン酸の塩は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。ヒアルロン酸(塩)の製剤中の配合量は、0.0001質量%以上1質量%以下の範囲が好ましく、より好ましくは0.001質量%以上0.5質量%以下の範囲である。
カルボキシビニルポリマー(CVP)としては、ポリ(メタ)アクリル酸のナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩;ポリ(メタ)アクリル酸のモノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩のようなアミン塩;ポリ(メタ)アクリル酸のアンモニウム塩などを使用できる。中でも、アルカリ金属塩が好ましい。また、ポリ(メタ)アクリル酸またはその塩は架橋型、又は非架橋型のいずれであってもよく、目的とする製剤によって分子量(粘度規格)や有効pH範囲が適宜選択される。このCVPは市販品を利用できる。市販品としては、カーボポール(商品名)(ルーブリゾール社)、シンタレン(商品名)、ハイビスワコー(商品名)(和光純薬社)、アクペック(商品名)(住友精化)、ジュンロン(商品名)(日本純薬)等を使用することができる。CVPは1種を単独で、又は2種以上を混合して使用できる。カルボキシビニルポリマーの製剤中の配合量は、0.0001質量%以上1質量%以下の範囲が好ましく、より好ましくは0.001質量%以上、0.5質量%以下の範囲である。
以上に示した成分Bの眼科用組成液における濃度は、本願発明による効果を発揮させる範囲であり、また眼科用組成液製造時の濾過性が良好である範囲であればよい。これら上に示した濃度範囲であれば、本願発明による効果であるコンタクトレンズのベースカーブ変化の抑制効果を十分に得ることができる。さらには、前眼部への投与直後の良好な視界や使用感が得られる。また、本願発明の眼科用組成液の製造時においては、良好な濾過性が得られ好ましい。
成分Cの清涼化剤としては、例えば、L−メントールが挙げられる。この清涼化剤の眼科用組成液における濃度は、本願発明による効果を発揮させる範囲であればよいが、具体的には例えば、1.0質量%以下の範囲であることが好ましい。また、この濃度は、0.0001質量%以上であることが好ましく、0.001質量%以上であることがより好ましい。また、この濃度は、0.1質量%以下であることがより好ましい。これら濃度範囲であれば、本願発明による効果であるコンタクトレンズのベースカーブ変化の抑制効果を十分に得ることができる。さらには、前眼部への投与直後の良好な使用感や爽快な清涼感が得られ、コンプライアンス(用量用法の厳守)の観点からも好ましい。
本発明の眼科用組成液には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、成分A〜Cとは異なる他の成分を含むものとしてもよい。このような成分としては、公知の眼科用組成物に用いられる薬効を期待した有効成分や製剤設計上必要とされる添加剤等が配合されていてもよい。具体的には、例えば公知の緩衝剤、pH調整剤、界面活性剤、増粘剤、等張化剤、キレート剤、湿潤剤、安定剤、香料又は清涼化剤、薬剤、抗菌剤、防腐剤・殺菌剤等が、一種又は二種以上組み合わされて配合され得る。一方で、眼科的に許容される範囲の成分や濃度であっても、医療機器、たとえばコンタクトレンズや眼内レンズの作用効果を損ねると思われる成分は配合しないことが望ましい。
配合される緩衝剤としては、例えばホウ酸、ホウ砂及びホウ酸塩緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、クエン酸及びクエン酸塩緩衝剤、酢酸等のカルボン酸類、オキシカルボン酸等の酸やその塩、アミノエチルスルホン酸、アスパラギン酸(塩)、グリシン、アルギニン、グルタミン酸等のアミノ酸類、ε−アミノカプロン酸、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパン(AMP)緩衝剤、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)緩衝液、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis−Tris)、リン酸及びリン酸塩緩衝剤、Good−Buffer等が挙げられる。
配合されるpH調整剤としては、例えば塩酸、クエン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のリン酸塩、硫酸等が挙げられる。
界面活性剤としては、従来から公知のアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤の何れもが、適宜に採用され得る。このような界面活性剤としては、例えばポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(高純度ポリソルベート、ポリソルベート類)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンステロール、ポリオキシエチレン水素添加ステロール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキル脂肪酸塩、アルキルリン酸塩、N−アシルタウリン塩、アルキルグルタミン酸塩、アルキルグリシン塩、アルキルアラニン塩、ココイル脂肪酸アルギニン、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸ベタイン型両面活性剤、アルキルオキシヒドロキシプロピルアルギニン塩、ココイルアルギニンエチルPCA等が挙げられる。
増粘剤としては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール(完全ケン化物もしくは部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸及び塩、Copolymer845(ポリビニルピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合ポリマー)等の合成有機高分子化合物等や、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体や、スターチ誘導体、アルギン酸(塩)、ペクチン、キトサン及びそれらの塩、カチオン化キトサン等のキトサン誘導体の多糖類、ジェランガム等ヘテロ多糖類や、コンドロイチン硫酸(塩)等のムコ多糖類等を加えてもよい。
等張化剤としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等の無機塩類、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール若しくはそのエーテル又はエステル等が挙げられる。
キレート剤としては、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びその塩(エチレンジアミン四酢酸・2ナトリウム(EDTA・2Na)、エチレンジアミン四酢酸・3ナトリウム(EDTA・3Na)、エチレンジアミン四酢酸・4ナトリウム(EDTA・4Na)等)、フィチン酸、クエン酸等が挙げられる。
湿潤剤としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリプロピレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、エリトリトール、トレハロース、ブドウ糖、スクロース、マルトース、ラクトースなどの多価アルコールや糖、糖アルコール、グルコサミン(塩)、アセチルグルコサミン、ガラクトサミン、アセチルガラクトサミン等のアミノ糖、グルコシルトレハロースなどの糖誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸及び塩、Copolymer845(ポリビニルピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合ポリマー)、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン等のポリビニル化合物等、カチオン化セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、エタノール、イソプロパノール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール等の低級あるいは高級アルコール類、アルモンド油、ラノリン、オリーブ油、オレイン酸及び/又はその塩、流動パラフィン、トリグリセリド、スクワラン、ワセリン、シリコン油、ゴマ油、シソ油、ダイズ油、ツバキ油、ホホバ油、トウモロコシ油、ヒマシ油等の油脂類等が挙げられる。なお、眼に対して安全であり、しかもコンタクトレンズに対する影響を少なくすること、さらにはコンタクトレンズ用組成物の使用感を向上させるという理由から、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、エリトリトール、トレハロース、ブドウ糖、スクロース、マルトース、ラクトースなどの多価アルコールや糖、糖アルコール、グルコシルトレハロースなどの糖誘導体、ポリビニルアルコール(完全ケン化物もしくは部分ケン化物)ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸及び塩、Copolymer845(ポリビニルピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合ポリマー)、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン等のポリビニル化合物等、カチオン化セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体が選択されることが好ましい。
安定剤としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸グルコシド、エデト酸ナトリウム、シクロデキストリン、縮合リン酸、亜硫酸塩、クエン酸、トロメタモール、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、シアノコバラミン、塩酸ピリドキシン、トコフェロール、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノエタノールアミン、モノステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。
香料又は清涼化剤としては、例えばアネトール、オイゲノール、カンフル、クロロブタノール、ゲラニオール、シネオール、ボルネオール、メントール、リモネン、リュウノウ、ウイキョウ油、クールミント油、ケイヒ油、スペアミント油、ハッカ水、ハッカ油、ペパーミント油、ベルガモット油、ユーカリ油、ローズ油などが挙げられる。
薬剤としては、例えばクロモグリク酸、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、アンレキサノクス、イブジラスト、ペミロラストカリウム、フマル酸エメダスチン、フマル酸ケトチフェン、塩酸オロパタジン、エバスチン、レボカバスチン、塩酸セチリジン等の抗アレルギー剤や、グリチルリチン酸及びその塩、ε−アミノカプロン酸、アラントイン、アズレンスルホン酸ナトリウム、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、リゾチーム、フルオロメトロン等のステロイド系または非ステロイド系の消炎剤、エピネフィリン、塩酸エピネフィリン、塩酸エフェドリン、塩酸ナファゾリン、硝酸ナファゾリン、塩酸フェニレフリン、塩酸テトラヒドロゾリン等の血管収縮剤、メチル硫酸ネオスチグミン等のピント調節機能改善剤、ベタキソロール、チモロール、ジピベフリン、カルテオロール、ラタノプラスト、タフルプラスト、トラボプラスト、ニプラジロール、レボブノール等の眼圧降下剤、レバミピド、ジクアホソルナトリウム等の涙液・ムチン分泌産生促進剤等、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、酢酸トコフェロール、アスコルビン酸、アスコルビン酸グルコシド等のビタミン類、アスパラギン酸及びその塩、アミノエチルスルホン酸、コンドロイチン硫酸塩、アルギニン、アラニン、リジン、グルタミン酸等のアミノ酸類等が挙げられる。
抗菌剤としては、例えばスルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、スルフィソキサゾール、スルフィソミジンナトリウム等のサルファ剤、オフロキサシン、ノルフロキサシン、レボフロキサシン、ガチフロキサシン、モキシフロキサシン、トスフロキサシン、ロメフロキサシン、シプロフロキサシン等のニューキノロン系抗菌剤、トブラマイシン、ゲンタマイシン、ミクロノマイシン、ジベカシン、シソマイシン等のアミノグリコシド系抗菌剤、テトラサイクリン、ミノサイクリン等のテトラサイクリン系抗菌剤、エリスロマイシン等のマクロライド系抗菌剤、クロラムフェニコール等のクロラムフェニコール系抗菌剤、セフメノキシム等のセフェム系抗菌剤等が挙げられる。
防腐剤・殺菌剤としては、例えばソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸或いはその塩、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチル、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウム、塩酸ポリヘキサニド(ポリヘキサメチレンビグアニド;PHMB)、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、塩化セチルピリジニウム(CPC)、クロルヘキシジン、アレキシジン、クロルフェニラミン又はその塩、アラントイン、過酸化水素、二酸化塩素、安定化二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、塩化ポリドロニウム等のポリクオタニウム類等が挙げられる。この中でも保存効力と安全性とのバランスを考慮した場合、さらにはコンタクトレンズへの適用を考慮した場合、ソルビン酸カリウム、塩酸ポリヘキサニド(ポリヘキサメチレンビグアニド;PHMB)、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、クロルヘキシジン、亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、過ホウ酸ナトリウム、塩化ポリドロニウムなどがより好ましい。
なお、上記のような防腐剤を使用した場合、製品の開封後における使用期限の目安として例えば1〜3ヶ月とすることも可能である。具体的には製剤中の塩酸ポリヘキサニド(ポリヘキサメチレンビグアニド;PHMB)を0.5ppm以上1.5ppm以下の範囲で配合すること、もしくはホウ酸を0.5%以上2.0%以下の範囲で配合すること、あるいはそれら組み合わせを満たすことで、製品開封後における使用期限を1〜3ヶ月(開封後1〜2ヶ月、開封後2〜3ヶ月を含む)に設定することができる。なお、製品開封後期限の設定にはISO14730(2000)に記載の方法を準用することや、安定性試験(例えば40℃±1℃、75%RH±5%にて所定期間保存)での結果から開封後の耐菌汚染性を判断することができる。一方、本実施形態に従う眼科用組成液は、防腐剤を添加しない、いわゆる防腐剤フリーとすることも可能である。防腐剤フリーとする場合には、通常のマルチドーズタイプのほかに、1回で使い切るシングルドーズタイプ(片眼への投与を1回としてもよいし、両眼への投与を1回としてもよい)としたり、複数回使用可能なマルチドーズタイプ、あるいは組成物内で細菌等の繁殖が起こらない様に無菌性を維持し得る構造のフィルター付き吐出容器を使用したマルチドーズタイプなどの態様を、適宜選択することができる。なお、一回使いきりでの態様の場合、製品開封後期限は設定されず、使用後すみやかに廃棄される。
容器としては平成8年3月28日付通知 点眼剤用プラスチック容器の規格及び試験法について(薬発第336号通知)に準じたものであれば好ましく、材質についても、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体などが選択される。容器の成形方法についても、インジェクション成形、ダイレクトブロー成形、二軸延伸ブロー成形、チューブ成形、サーモフォーミング成形、ブローフィルシールが挙げられるが、特に本発明においては、無菌製剤として調製されるため、特に容器本体(瓶)については、成形性や成形精度、機密性に優れたインジェクション成形、ダイレクトブロー成形、二軸延伸ブロー成形、ブローフィルシールから選択されたものがより好ましい。
一方、本発明による眼科用組成液を特にコンタクトレンズ用液として本発明を適用する場合には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、以下から選択される成分(成分D)を任意で適宜配合することで、コンタクトレンズ装用時(コンタクトレンズ装用前の適用時、コンタクトレンズ装用中の適用時)において、当該コンタクトレンズの屈折率を上げることができる。つまりは、よりコンタクトレンズを介した視界の鮮明性を得ることが可能となる。成分Dとして好ましい成分は、特に芳香族類と無機塩類が挙げられるが、例えば、好ましい芳香族類としては、塩酸テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、メチル硫酸ネオスチグミン、ベルベリン、アズレンスルホン酸ナトリウム、クロルフェニラミンマレイン酸塩、フマル酸ケトチフェン、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、塩酸ピリドキシン、酢酸トコフェロール、スルファメトキサゾール、ラタノプロスト、ニプラジロール、レバミピド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなどが挙げられる。好ましい無機塩類としては、塩化ナトリウム、ホウ酸、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、塩化カルシウムなどが挙げられ、期待する薬理作用やコンタクトレンズ屈折率の向上度合いなどの必要に応じてこれら上記芳香族類成分や無機塩類成分から選ばれる少なくとも1種が配合される。なお、本願発明に係る眼科用組成液における成分Dは、コンタクトレンズの屈折率を向上させる成分として配合してもよいし、成分Dが持つ薬理作用を期待しての配合を兼ねても良い。成分Dの配合理由によらず、成分Dを含む眼科用組成液が、結果としてコンタクトレンズの屈折率を向上させることが出来ればよいのである。
これらのうち、芳香族類については分子内における芳香環の数によって配合量を範囲化することができる。具体的には分子内に芳香環が1つのものについては、0.001質量%以上0.2質量%以下の範囲、分子内に芳香環が2つ以上存在するものについては、0.0005質量%以上0.1質量%以下の範囲にて配合されることが好ましい。一方、無機塩類の中でも塩化ナトリウム、ホウ酸に関しては特に好適に用いることができるため、これらを配合する場合に限っては、これらから選ばれる少なくとも1種の濃度として0.4質量%以上を配合することがさらに好ましい。ただし、コンタクトレンズの屈折率の上昇は、たとえ一過性であったとしても、過度に達成すること、すなわち過矯正の状態を生むことは好ましくなく、塩化ナトリウム、ホウ酸についてはそれぞれ2質量%を上限として配合するべきである。
これらを配合した本願発明による眼科用組成液は、コンタクトレンズ用液として適用する場合、コンタクトレンズと接触すると、コンタクトレンズの屈折率が一時的に向上するのであるが、本願発明の態様としては、成分A〜Cを配合し、さらに上記成分Dを配合した、コンタクトレンズの屈折率を向上させることを特徴とする液として、さらには、コンタクトレンズの表面(前面、後面、あるいは前後両方の曲面)に当該用液が接触することによって、このようなコンタクトレンズを介した視界の鮮明性を得る方法も含むのである。
さらには、本発明に係る眼科用組成液乃至は眼科用組成液中に含まれる成分がコンタクトレンズ内部やコンタクトレンズ表面上に存在しているときには、コンタクトレンズ屈折率が向上している状態であるのに対し、涙液分泌によって経時的に本発明に係る眼科用組成液乃至は眼科用組成液中に含まれる成分は希釈される。コンタクトレンズの屈折率が向上されている時間は一時的なものであるが、本発明における成分A〜Cが成分Dのコンタクトレンズへの取り込み量や放出速度、ならびにコンタクトレンズ表面における滞留時間をコントロールする働きをも兼ねている。したがって、本発明に係る眼科用組成液の態様の一つには、上述のように、成分Dのコンタクトレンズからの取り込み・放出、コンタクトレンズ表面上での滞留時間をコントロールする方法も含むのである。
特に、コンタクトレンズの屈折率が向上されている時間は、長期である必要はなく、過矯正の状態を避けるため、むしろ短時間であることが必要である。具体的には、前眼部にて、本発明に係る眼科用組成液乃至は眼科用組成液中に含まれる成分とコンタクトレンズとが接触している時間はたとえば60分以内を限度とすべきである。
屈折率は、JIS K0062に準じた一般的な測定方法により測定できる。そして屈折率の向上効果については、以下の方法が採用される。すなわち、コンタクトレンズについて本願発明による眼科用組成液並びに日本薬局方精製水(以下、精製水)にそれぞれ4時間浸漬した後、アッベ屈折率計((株)アタゴ製1T)を用い、コンタクトレンズ(頂点屈折力が−0.50Dであるコンタクトレンズ)の20℃における屈折率(ナトリウム−D線)を測定する。本願発明の眼科用組成液および精製水にて処理した後のコンタクトレンズについての測定値に対して、式1を用いて屈折率向上率(%)を求めることができる。本願発明においては、上記屈折率向上率が0.5%以上15%以下、さらに好ましくは2.5%以上10%以下であることが好ましい。
[式1]
屈折率向上率(%)=({(本発明の眼科用組成液を用いたときの屈折率)/(精製水を用いたときの屈折率)}−1)×100
本発明の眼科用組成液は、ISO10993−5に記載されるような細胞毒性試験にて安全性が評価され、例えば対照と比較してコロニー形成阻害率が50%のときの濃度(IC50)で評価される。本発明の眼科用組成液は、IC50の値が1.0%以上であり、より好ましくは2.0%以上である。IC50の値が1.0%以上では、細胞毒性がより低く、より安全性が高く好ましい。なお、BHTを含む原料ポロクサマー類を本願発明の眼科用組成液に使用する場合、製剤中のBHT濃度は0.001ppm以上0.7ppm以下の範囲に制限すべきである。
本発明の眼科用組成液は、BHTの濃度が1.5ppm未満である。この範囲では、より安全性が高い。このBHTの濃度は、1.0ppm以下であることが好ましく、0.7ppm以下であることがより好ましく、BHTが含まれないことが更に好ましい。なお、必要に応じてBHTを含む原料ポロクサマー類を本願発明の眼科用組成液に使用する場合には、製剤中のBHT濃度は0.001ppm以上0.7ppm以下の範囲に制限すべきである。製剤中のBHTが可能な限り低濃度で存在することで、眼科用組成液として、ならびにコンタクトレンズ装用における安全性がより高まるためである。
本発明の眼科用組成液は、各種の公知のコンタクトレンズに対して使用することができる。具体的には、ハードコンタクトレンズ、ソフト(ハイドロゲル)コンタクトレンズ、非視力補正用ソフト(ハイドロゲル)コンタクトレンズなどが含まれる。なお、非視力補正用ソフト(ハイドロゲル)コンタクトレンズとは、コンタクトレンズの効能・効果に「虹彩又は瞳孔の外観(色、模様、形)を変えること」を含むものであり、いわゆる「おしゃれ用ソフトコンタクトレンズ」である。このソフトコンタクトレンズには、外観を変える目的で染料や顔料(あわせて色素と呼ぶ)がコンタクトレンズに含まれているが、その色素がコンタクトレンズ表面に暴露されているものや、あるいは色素がコンタクトレンズポリマーの層に覆われて内包されるもの(いわゆるサンドイッチ構造)を含む。このうち、本発明の眼科用組成液との併用にあたっては、色素を有するコンタクトレンズは、サンドイッチ構造を持つものが望ましい。また、コンタクトレンズには、ISO18369−1(2006およびAmendment1,2009) にてグループI〜Vとして分類されるハイドロゲル素材(hydrogel materials)のもの、ならびにグループI〜IVとして分類される非ハイドロゲル素材(non−hydrogel materials)のものも含まれる。ハードコンタクトレンズには、ポリメチルメタクリレートを主成分とする非酸素透過性ハードコンタクトレンズや、シリコーンやフッ素を含み酸素透過性を付与した酸素透過性ハードコンタクトレンズ(RGP)も含まれる。更に、コンタクトレンズには、眼の保護、前房の封鎖、薬剤の送達、角膜曲率の変更、網膜の治療等に使用される治療用コンタクトレンズも含まれる。本発明においては、これらハードコンタクトレンズの中においても、上記ISO18369−1(2006)に記載のnon−hydrogel materialsグループIIIのレンズ、すなわちシリコーン成分とフッ素成分を双方含むハードコンタクトレンズが好ましい。
本発明の眼科用組成液は、コンタクトレンズ用液としての使用については、切削・研磨加工により製造されたハードコンタクトレンズに対して使用されてもよいが、特にモールド製法にて製造されたハードコンタクトレンズに対して使用することがより好ましい。さらには、モールド製法にて製造されたハードコンタクトレンズの使用については、1日使い捨てなど再使用禁止の使い捨てタイプや、1年未満であり1か月〜数か月に渡って使用されその期間後は交換される頻回交換型、1か月〜1週間に渡って使用されその期間後は交換される定期交換型、1年以上に渡って使用される従来型が挙げられるが、いずれの期間のハードコンタクトレンズであってもよい。モールド製法にて製造されたハードコンタクトレンズについては、その製法が両面モールド、片面モールド、半面モールド等レンズ表面の全面ないしは一部がモールド型にて作成されたものであればよい。さらには、その製造後に表面処理が施されていてもよく、たとえば表面グラフト重合によるもの、IPN(Interpenetrating Polymer Network)によるもの、プラズマ処理によるもの、いずれの表面処理が選択されてもよい。もちろん、表面処理が施されていなくともよい。
本発明の眼科用組成液が使用されるコンタクトレンズとしては、眼の保護、前房の封鎖、薬剤の送達、角膜曲率の変更(オルソケラトロジー用コンタクトレンズを含む)、網膜の治療等に使用される治療用コンタクトレンズや検査用コンタクトレンズ、涙液成分などから疾患を診断する診断用コンタクトレンズ、視界のコントラストの増幅や低減、入射光線の低減や偏光、調光などの機能を持つサングラスコンタクトレンズ、画像を網膜上に投影するモニターコンタクトレンズも含む。
ソフトコンタクトレンズ素材に関しては、イオン性、非イオン性、表面ゼータ電位、含水率、表面処理の有無(表面処理の例としては、たとえば表面グラフト重合によるもの、プラズマ処理によるもの、IPNによるもの)、流通保存液種類(生理食塩液やレンズに対してうるおい効果を示すような湿潤剤や界面活性能を有する成分を含ませたものなど)、イオン透過係数、酸素透過係数、ヤング率、屈折率、表面摩擦係数等の物性や特徴があり、さらにこれらの製造方法もレースカット製法、モールド製法(スタティックモールド製法、スピンキャスト製法、表面多層モールド製法)、射出成型等を含め様々なコンタクトレンズ材料が提案されているが、本発明の眼科用組成液についてはすべてのソフトコンタクトレンズに適用が可能である。なお、これら上述の様々なコンタクトレンズから、機能上あるいは商業上などといった観点から特に好ましいコンタクトレンズ素材を選び、本発明のコンタクトレンズ用液を適用することも可能である。
コンタクトレンズの形状に関しても、角膜コンタクトレンズ、セミ強膜コンタクトレンズ、強膜コンタクトレンズ、ハイブリッドコンタクトレンズ(酸素透過性ハードコンタクトレンズとソフトコンタクトレンズとを組み合わせたコンタクトレンズなど、2種以上の素材を組み合わせてなるコンタクトレンズ)であってもよい。また、近視用、遠視用はもちろん、乱視用、遠近両用、近視抑制用コンタクトレンズといった如何なるコンタクトレンズデザインであってもよい。コンタクトレンズの使用形態も、1日又は1週間から数ヶ月間等の短期間のみ使用される使い捨て用のコンタクトレンズであってもよいし、より長期間使用される通常のコンタクトレンズであってもよい。
本発明の眼科用組成液は、「一般点眼薬」「抗菌性点眼薬」「人工涙液」「コンタクトレンズ装着液」や、「コンタクトレンズ装着薬」、さらには、「コンタクトレンズ洗浄剤」「コンタクトレンズ用保存剤」「コンタクトレンズ洗浄保存剤」、「コンタクトレンズ用すすぎ液」、コンタクトレンズの流通の際にコンタクトレンズを浸漬する液(パッケージング液)や、ハードコンタクトレンズ殺菌液として用いることができる。またソフトコンタクトレンズ用剤については、ソフトコンタクトレンズ用消毒剤、ソフトコンタクトレンズ用多目的液剤などが例示される。すなわち、コンタクトレンズの装用前、装用中あるいは脱着後に、当該コンタクトレンズに接触する液として用いることができる。また、この眼科用組成液は、例えばコンタクトレンズ装着薬だけではなく、同一処方の製剤にて点眼も可能な、いわゆる「コンタクトレンズ装着・点眼液」やコンタクトレンズの流通保存液とコンタクトレンズ装着薬との組み合わせや、「コンタクトレンズ用すすぎ液」と「コンタクトレンズ装着液(コンタクトレンズ装着薬)」との組み合わせ、「コンタクトレンズ用多目的液剤(洗い・すすぎ・消毒・保存)」と「コンタクトレンズ装着液」「点眼液」を1液(同一処方)で適用することも可能である。このように、コンタクトレンズ用液として多目的の機能も持たせることにより、従来は「コンタクトレンズ装着薬の使用後は時間をおいて点眼すること」といった結膜嚢内の製剤滞留性から製剤同士の相互作用を懸念することが一切なく、さらには誤用防止の観点からも有用である。なお、後述の実施例で具体的に示すが、本発明のコンタクトレンズ用液は、ハードコンタクトレンズやソフトコンタクトレンズ装用中のベースカーブ変化を抑え、さらには防汚効果も顕著に示すことから、角膜屈折矯正手術(LASIK;Laser assisted in Situ Keratomileusis)後にコンタクトレンズにて視力矯正が必要な場合に使用される液としても有用である。
本発明の眼科用組成液の示性値として、例えばpHであれば、3.0以上9.0以下の範囲が好ましく、更に好ましくは5.0以上8.5以下の範囲である。浸透圧としては100mOsm/kg以上900mOsm/kg以下の範囲、更に好ましくは150mOsm/kg以上500mOsm/kg以下の範囲である。
本発明の眼科用組成液は、モールド製法にて製造されたハードコンタクトレンズのベースカーブ変化を抑制したり、さらにはソフトコンタクトレンズの装用期間中のベースカーブ変化を抑制することができるため、効率よくそれらの効果を得るためには、コンタクトレンズに接触させる使用方法が好ましいが、特にコンタクトレンズの後曲面(ベースカーブ面)に接触させることがさらに好ましい。本発明の眼科用組成液の使用については、装用前のコンタクトレンズのベースカーブ面に滴下したのち当該コンタクトレンズを装用することや、コンタクトレンズ装用中に本発明の眼科用組成液の1〜3滴を点眼し数回瞬目することや、点眼後しばらく(たとえば3分間以内)目頭を軽く押さえること、あるいは点眼後しばらく閉眼すること、によって、装用中のコンタクトレンズの前曲面(フロントカーブ面)だけではなく、ベースカーブ面に当該液を行き渡らせる方法が挙げられる。これらの点眼後の方法については、個人的にのみ使用されるものではなく、コンタクトレンズのより快適な使用につながるものである。つまりは、コンタクトレンズ産業の視点から考察するに、これらの使用方法は業の発展に寄与するものであり、業として利用できることは、いうまでもない。なお、本発明の眼科用組成液を前眼部に投与する場合、結膜嚢に収納される容量があれば十分であるが、特に容器から滴下される1滴容量は0.005mL〜0.05mLとされる。
本発明の眼科用組成液は、エチレンオキシドの平均重合度(EO)とプロピレンオキシドの平均重合度(PO)との割合EO/POが1.0以上5.0以下の範囲であるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールと、多価カルボン酸及び多価カルボン酸塩から選ばれる1以上と、清涼化剤と、を含有し、IC50値が1.0%以上であり、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)の濃度が1.5ppm未満である眼科用組成液を、モールド製法にて製造されたハードコンタクトレンズ、及び/又はソフトコンタクトレンズに対して用いるものである。この使用方法において、上述したコンタクトレンズに用いるものとしてもよく、そのうち、モールド製法にて製造されたハードコンタクトレンズに対して用いることが、コンタクトレンズの使用感・装用感の向上をより図ることができ、すなわち本発明の眼科用組成液を使用することで、コンタクトレンズを装用しているときの不快感に対する効果を得ることができる。一方、ソフトコンタクトレンズに対しても好適に使用することが出来、そのうちISO18369−1にて規定されるソフトコンタクトレンズ分類グループIVやグループVに対して、これらコンタクトレンズの装用中のベースカーブ変化を効果的に抑制できること、あるいはコンタクトレンズの屈折率を効果的に向上できることから、さらに好ましい。
以上詳述した本実施形態の眼科用組成液及びその使用方法は、コンタクトレンズへの使用に関し、使用感及び安全性をより向上することができる。これは、例えば、成分A〜Cを含有することによって、コンタクトレンズのベースカーブの変化をより抑制することができるため、コンタクトレンズの使用感・装用感をより向上することができる。また、成分A〜Cを含有することによって、例えば、コンタクトレンズへの脂質付着量をより抑制することができるため、使用感をより向上することができる。また、IC50値が1.0%以上であり、BHTの濃度が1.5ppm未満であるため、安全性がより向上する。またさらに成分Dを配合することにより、コンタクトレンズの屈折率を向上させ、より一層のコンタクトレンズの使用感・装用感を高めることが出来るのである。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
以下には、本発明の眼科用組成液を具体的に作製、使用した例を実験例として説明する。なお、実験例1〜12、19〜30、34〜45、59〜66、77〜88、102〜111、116、117、120〜130が本発明の実施例に相当し、実験例13〜18、31〜33、46〜58、67〜76、89〜101、112〜115、118、119、131〜133が比較例に相当する。
[実験例1〜58の眼科用組成液]
表1〜6に示すような組成で各化合物を混合し、組成液とした。多価カルボン酸又は塩として、エデト酸ナトリウム水和物、クエン酸水和物、ヒアルロン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー(和光純薬工業(株)製ハイビスコワコー105)を用いた。また、ポリ
オキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールとして、エチレンオキシドの平均重合度(EO)とプロピレンオキシドの平均重合度(PO)との割合EO/POが2.93であるポロクサマー407(平均分子量12600,共重合体A)を用いた。また、共重合体として、割合EO/POが0.63であるポロクサマー403(平均分子量5750,共重合体B)、割合EO/POが1.0であるプルロニックL−44(平均分子量2200,共重合体C)、割合EO/POが2.86であるユニルーブ70DP−950B(共重合体D)、割合EO/POが4.0であるプルロニックF−87(平均分子量7700,共重合体E)、割合EO/POが5.3であるプルロニックF−68(平均分子量8400,共重合体F)などを用いた。また、L−メントールと、その他の成分としてホウ酸、塩化ナトリウム、塩酸ポリヘキサニド、pH調節剤(水酸化ナトリウム/希塩酸)、精製水を加え、pHが7.3、全量が100mLの組成液を得た。
[ハードコンタクトレンズの作製]
試験レンズ(1)は、以下のように作製した。原料の配合は、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレートを60質量部、トリフルオロイソプロピルメタクリレートを30質量部、メチルメタクリレートを10質量部、エチレングリコールジメタクリレートを5質量部、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.05質量部とした。このモノマー混合液を公知の方法により、試験管内にて熱重合した。得られた塊状重合体を旋盤にて切削・研磨加工し、ベースカーブ(BC)/Power/Dia=7.80mm/−7.00D/9.2mmのレンズに加工した(切削研磨加工、表面処理なし)。
試験レンズ(2)は、以下のように作製した。原料の配合は、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレートを60質量部、トリフルオロイソプロピルメタクリレートを30質量部、メチルメタクリレートを10質量部、エチレングリコールジメタクリレートを5質量部、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.05質量部とした。このモノマー混合液を公知の方法により、ポリプロピレン製キャストモールド型にて重合し、BC/Power/Dia=7.80mm/−7.00D/9.2mmのレンズに成形した(モールド製法、表面処理なし)。
試験レンズ(3)は、以下のように作製した。原料の配合は、トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレンを40質量部、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレートを40質量部、メチルメタクリレートを10質量部、エチレングリコールジメタクリレートを5質量部、ビニルベンジルメタクリレートを5質量部、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.05質量部とした。このモノマー混合液を公知の方法により、試験管内にて熱重合した。得られた塊状重合体を旋盤にてレンズ状に切削・研磨加工し、その後、重合体に酸素雰囲気下でプラズマ処理(RF出力50W、100Pa)を施し、BC/Power/Dia=7.80mm/−7.00D/9.2mmのレンズに加工した(切削研磨加工、表面処理あり)。
試験レンズ(4)は、以下のように作製した。原料の配合は、トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレンを40質量部、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレートを40質量部、メチルメタクリレートを10質量部、エチレングリコールジメタクリレートを5質量部、ビニルベンジルメタクリレートを5質量部、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.05質量部とした。このモノマー混合液を公知の方法により、ポリプロピレン製キャストモールド型にてレンズ形状の重合体を作成し、その後、当該重合体に酸素雰囲気下でプラズマ処理(RF出力50W、100Pa)を施し、BC/Power/Dia=7.80mm/−7.00D/9.2mmのレンズに成形した(モールド製法、表面処理あり)。
(ハードコンタクトレンズのベースカーブ測定)
以下に示す試験レンズに対してのベースカーブ(後面曲率半径)は、(株)ナイツ製コンタクトゲージCGXを用いて20±5℃の恒温環境下で測定した。試験レンズは、予めISO18369−3(2006)で規定される生理食塩液(ISO生食)に8時間以上、20±5℃の温度下で浸漬させた。所定の浸漬時間後、初期値としてベースカーブを0.01mmの単位まで測定した。その後、ハードコンタクトレンズを取り出し、組成液に8時間、20±5℃の温度下で浸漬させた。所定時間後、測定値としてベースカーブを0.01mmの単位まで測定した。試験に供したハードコンタクトレンズは、各組成液について10枚用い、その平均を0.01mmの単位で求めた。得られた初期値の平均(BCs)および測定値の平均(BCm)から、以下式(1)を用いてベースカーブ(BC)の変化率を求め、その値から式(2)に従い、ベースカーブ変化の抑制効果指数を求めた。
BC変化率(%)=(BCs−BCm)/BCs)×100 …(1)
抑制効果指数=100×[α(%)−BC変化率(%)]/α(%) …(2)
但し、αは、同一の共重合体を同配合量で配合し、かつ多価カルボン酸成分を含まない処方におけるベースカーブ変化率(%)とする。即ち、抑制効果指数は、ポロクサマーとメントールによって起こされるBC変化抑制を0点、ISO生食での点数を100点とした場合の変化抑制点数である。即ち、試験レンズ(1)では、表1,2において、実験例1と実験例13とで、実験例13のBC変化率(3.21)と実験例1のBC変化率(1.52)とから、実験例1の抑制効果指数は、(3.21−1.52)/3.21×100により求めることができる。
(BC変化率及び抑制効果指数の測定結果と考察)
測定結果を表1〜6に示す。表1〜6に示すように、EO/POが1.0以上5.0以下の範囲であるポロクサマーと、多価カルボン酸又はその塩と、L−メントールとを含有する組成液では、BC変化率がより小さく、抑制効果指数が高い傾向を示した。一方、これらの3成分のうち1以上を含有しない組成液では、BC変化率が大きい傾向を示した。また、切削加工したハードコンタクトレンズに比して、モールド成形したハードコンタクトレンズの方が、BC変化率が更に小さく、抑制効果指数がより高いことがわかった。即ち、EO/POが1.0以上5.0以下の範囲であるポロクサマーと、多価カルボン酸又はその塩と、L−メントールとを含有する組成液は、モールド成形したハードコンタクトレンズに用いることがより好ましいことがわかった。
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[実験例59〜101の眼科用組成液]
表7〜10に示すような組成で各化合物を混合し、組成液とした。多価カルボン酸又は塩として、エデト酸ナトリウム水和物、クエン酸水和物、ヒアルロン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマーを用いた。また、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールとして、共重合体A(EO/PO=2.93)、共重合体B(EO/PO=0.62)、共重合体C(EO/PO=1.0)、共重合体D(EO/PO=2.86)、共重合体E(EO/PO=4.0)、共重合体F(EO/PO=5.3)などを用いた。また、L−メントールと、その他の成分としてホウ酸、塩化ナトリウム、塩酸ポリヘキサニド、pH調節剤(水酸化ナトリウム/希塩酸)、精製水を加え、pHが7.3、全量が100mLの組成液を得た。
[ハードコンタクトレンズの作製]
試験レンズプレート(X)は、以下のように作製した。原料の配合は、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレートを60質量部、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレートを30質量部、メチルメタクリレートを10質量部、エチレングリコールジメタクリレートを5質量部、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.05質量部とした。このモノマー混合液を公知の方法により、試験管内にて熱重合した。得られた棒材を旋盤にて切削・研磨加工し、直径20mm、厚さt=0.2mmのプレートを作製し、これを試験レンズプレート(X)とした。
試験レンズプレート(Y)は、以下のように作製した。原料の配合は、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレートを60質量部、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレートを30質量部、メチルメタクリレートを10質量部、エチレングリコールジメタクリレートを5質量部、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.05質量部とした。このモノマー混合液を公知の方法により、ポリプロピレン製キャストモールド型にて直径20mm、厚さt=0.2mmのプレートとなるよう熱重合し、これを試験レンズプレート(Y)とした。
(脂質付着抑制効果試験)
脂質付着抑制効果の試験は、日本コンタクトレンズ学会誌37、p.58、(1995)に記載の人工眼脂ならびに方法を参考に行った。すなわち、試験レンズプレート(X)、試験レンズプレート(Y)各1枚に対して、各組成液数滴でレンズの両面を濡らしたのち、人工眼脂2.0mLの入ったガラス製バイアル瓶に移した。このバイアル瓶を37℃の恒温下に5時間静置した。その後、各レンズを取り出し蒸留水にてすすいだ後、乾燥させた。乾燥させた試験レンズをエタノール:ジエチルエーテル=3:1の混合溶液1mL中に10分間浸漬し、抽出液を得た。この抽出液の総脂質量の定量を上記文献に記載の硫酸・リン酸・バニリン法にて定量した。コントロールとしてISO生食を組成液として用いたときの定量値を用いて、以下の式により脂質付着抑制効果を求めた。各組成液について各レンズ5枚を用いて5回の実験を行い、その平均値を脂質付着抑制効果とした。
脂質付着抑制効果(%)=100×{1−(試料の定量結果(mg/cm2)/コントロールの定量結果(mg/cm2))}
(脂質付着抑制効果の測定結果と考察)
測定結果を表7〜10に示す。表7〜10に示すように、EO/POが1.0以上5.0以下の範囲であるポロクサマーと、多価カルボン酸又はその塩と、L−メントールとを含有する組成液では、総脂質付着量が少なく、脂質付着抑制効果がより高い傾向を示した。一方、これらの3成分のうち1以上を含有しない組成液では、脂質付着量が大きい傾向を示した。また、コンタクトレンズの製造方法の違い、すなわち切削・研磨(X)、及びモールド成形(Y)の違いにより、組成液を使用した場合の脂質付着抑制効果を比較したところ、特にモールド成形により得られたコンタクトレンズに対しての脂質付着抑制効果がより高いことが確認された。即ち、EO/POが1.0以上5.0以下の範囲であるポロクサマーと、多価カルボン酸又はその塩と、L−メントールとを含有する組成液は、モールド成形したハードコンタクトレンズに用いることがより好ましいことがわかった。
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[実験例102〜115の眼科用組成液]
表11に示すような組成で各化合物を混合し、組成液とした。多価カルボン酸又は塩として、エデト酸ナトリウム水和物、クエン酸水和物、ヒアルロン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマーを用いた。また、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールとして、共重合体A(EO/PO=2.93、BHT無配合)、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を100ppm含む共重合体A、共重合体B(EO/PO=0.62)、共重合体D(EO/PO=2.86)を用いた。また、L−メントールと、その他の成分としてd−カンフル、ホウ酸、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HCO−60)、ポリソルベート80、塩化ナトリウム、塩化カリウム、アミノエチルスルホン酸、プロピレングリコール、ブドウ糖、ヒプロメロース、ヒドロキシルエチルセルロース、BHT、ソルビン酸カリウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸ポリヘキサニドを適宜用い、pH調節剤(水酸化ナトリウム/希塩酸)、精製水を加え、pHが6.8〜7.4、全量が100mLの組成液を得た。
(コロニー形成阻害試験−細胞毒性試験)
ISO10993−5を参考に、チャイニーズハムスター肺(V79)細胞を用いたコロニー形成阻害試験を行った。即ち、チャイニーズハムスター肺細胞(以下V79とする)を組織培養用フラスコに増殖させ、0.05%トリプシン−EDTA溶液で処理してフラスコからV79をはがし、MO培地(Minimum Essential Medium)9.39gを950mLの超純水に溶解し、190mLずつ200mL瓶に分注した。その後、これを121℃で15分間、高圧蒸気滅菌し、1瓶当たり7.5w/v%炭酸水素ナトリウム溶液6mL、200mMのL−グルタミン溶液2mL、10mMのMEM非必須アミノ酸溶液2mL、100mMのピルビン酸ナトリウム溶液2mL、及び牛胎児血清10mLを加えて、調製した培地(以後単に「培地」という)に浮遊させて5×102cells/mlの細胞浮遊液を調製した。1mLの培地の入った組織培養用プレートに、この細胞浮遊液を0.1mLずつ(12ウェル)入れ、CO2インキュベーター内(37℃、5%CO2、飽和蒸気下)に静置し、20時間培養して、V79をウェルの底面に接着させた。細胞浮遊液中の培地を除去して新たに培地0.9mlを添加し(無処理(コントロール)は培地1.0ml添加)、さらに組成液をIC50算出のために適宜希釈したものを0.1mL追加(すなわち、組成液は全体の最大10v/v%添加)して、CO2インキュベーター内で6日間培養した。培養終了後、リン酸バッファおよびメタノールにより洗浄して、ウェルに細胞を固定して、ギムザ染色液により細胞を染色し、そのコロニー数を計測した。そしてコントロールのコロニー数と比較して、コロニー形成の50%を阻害する時の濃度(IC50)を算出した。
(細胞毒性試験−IC50の測定結果と考察)
測定結果を表11に示す。表11に示すように、EO/POが1.0以上5.0以下の範囲であるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールと、多価カルボン酸又はその塩と、L−メントールとを含有する組成液では、IC50が2.0%以上であり、細胞毒性が低いことがわかった。一方、これらの3成分のうち1以上を含有しない組成液では、細胞毒性が高い傾向を示した。また、細胞毒性は、組成液のBHT濃度にも依存し、BHT濃度が0.7ppm以下を満たすと、IC50が2.0%以上であり、細胞毒性が低いことがわかった。これに対して、製剤中のBHT濃度が実質的に1.0ppmである実験例111では、IC50が1.0%以上2.0%未満の範囲であった。また、製剤中のBHT濃度が1.5ppmである実験例114および実験例115では、IC50が1.0%未満であり、細胞毒性がより高いことがわかった。
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[実験例116〜119の眼科用組成液]
表12に示すような組成で各化合物を混合し、組成液とした。多価カルボン酸又は塩として、エデト酸ナトリウム水和物、ヒアルロン酸ナトリウムを用いた。また、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールとして、共重合体A(EO/PO=2.93)、共重合体B(EO/PO=0.62)、共重合体D(EO/PO=2.86)を用いた。また、L−メントールと、その他の成分としてホウ酸、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HCO−60)、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ヒプロメロース、塩酸ポリヘキサニド、pH調節剤(水酸化ナトリウム/希塩酸)、精製水を加え、pHが7.3、全量が100mLの組成液を得た。
(ソフトコンタクトレンズのベースカーブ測定)
ISO18369−3:2006を参考に、ソフトコンタクトレンズアナライザー((株)オプティメック製JCF型)を用いて、20℃±1℃に保たれたISO生食中にソフトコンタクトレンズを浸漬した状態でベースカーブを測定した。
(ソフトコンタクトレンズの装用試験)
コンタクトレンズを常用する健常ボランティアを募り、10名20眼(男性6名、女性4名 平均年齢34.2歳)により、実験例116〜119のいずれかの眼科用組成液を、点眼の場合は1日6回にて計14日間、コンタクトレンズ装用中に適用した。そして、点眼後しばらく(3分間以内)閉眼したまま目頭を軽く押さえることを指導した。なお、コンタクトレンズの日常の消毒ならびにケアは、ケア用品成分によるコンタクトレンズへの影響を極力避けるため、過酸化水素(AOセプト:チバビジョン製)による消毒システムを使用し、装用時のすすぎはオートクレーブ滅菌したISO生食を用いた。コンタクトレンズは、以下の2週間装用型のソフトコンタクトレンズA,Bのいずれかを両眼に装用し、コンタクトレンズの規格はすべての装用者に共通のものとし、頂点屈折力が合致しない場合は眼鏡にて補正した。一日の平均装用時間を約13時間とするよう、装用指導を行った。
ソフトコンタクトレンズを開封し、流通保存液の影響を避けるため、あらかじめISO生食に浸漬し、上記の方法にてベースカーブ測定し、記録した。その後、ソフトコンタクトレンズをISO生食にてすすいだのち、装用した。2週間(14日間)装用後のコンタクトレンズを回収し、ISO生食に一時的(最大4時間)に浸漬したのち、速やかにベースカーブ測定を行った。ソフトコンタクトレンズAは、2ウィークメニコンプレミオ((株)メニコン製、非イオン性、asmofilcon A、グループV、BC:8.6mm、Power:−3.00D、Dia:14.0mm)とした。また、ソフトコンタクトレンズBは、ワンデーアキュビューディファイン(ジョンソンエンドジョンソン(株)製、イオン性、etafilcon A、グループIV、ナチュラルシャイン、BC:8.5mm、Power:−3.00D、Dia:14.2mm;おしゃれ用ソフトコンタクトレンズ、サンドイッチ構造)とした。コントロール期間として、装用者には2週間、上記コンタクトレンズを使用させ、装用中にはコンタクトレンズ装着液や点眼薬などの使用を禁止する指導を行った。14日間後、装用したコンタクトレンズを回収し、上記方法に従い、ベースカーブ測定を行い、装用前後の差を求めた。各試験液の使用としては、実験例116、117、実験例118、119について、装用者の片眼を実験例116又は117、もう一方の眼を実験例118又は119として14日間所定の組成液を使用させた。なお、実験例116、実験例118については、コンタクトレンズ装着液及び点眼薬の両方として評価を行った。すなわち、コンタクトレンズ装着・点眼液として、(1)コンタクトレンズ装着時に直接コンタクトレンズに滴下し、コンタクトレンズの両面もしくは片面を濡らし、(2)該コンタクトレンズを目に装着し、(3)該コンタクトレンズ装用中に点眼して使用すること、もあわせて行った。
(装用試験考察の測定結果と考察)
測定結果を表13に示す。表13に示すように、点眼等を使用しないコントロールにおいては、両レンズのベースカーブは0.12〜0.16の減少が見られた。実験例116,117の組成液を点眼剤としてコンタクトレンズ装用中に適用したところ、装用後のベースカーブはコンタクトレンズA、B共に0.04〜0.07の減少に抑えることができた。即ち、EO/POが1.0以上5.0以下の範囲であるポロクサマーと、多価カルボン酸又はその塩と、L−メントールとを含有する組成液では、装用後のベースカーブの変化が小さく、好ましいことがわかった。一方、多価カルボン酸又はその塩を含まない実験例118や、EO/POが1.0未満であるポロクサマーを用いた実験例119では、装用後のベースカーブの変化が大きかった。また、装着剤及び点眼剤として用いた実験例116では、双方のコンタクトレンズのベースカーブの減少を顕著に(0.01〜0.02)抑えることができた。なお、コントロール群において、コンタクトレンズの装用により、装用に供したコンタクトレンズのベースカーブが減少することについて、コンタクトレンズと涙液中の何らかの成分との相互作用や、フィッティングの影響など様々な要因が考えられるものの、原因としての詳細は不明である。
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[屈折率向上機能試験]
試験用コンタクトレンズは、ワンデーアキュビューディファイン(ジョンソンエンドジョンソン(株)製、イオン性、etafilcon A、グループIV、ナチュラルシャイン、BC:8.5mm、Power:−0.50D、Dia:14.2mm)を準備した。この試験用コンタクトレンズについて、JIS K0062に準じた一般的な測定方法により屈折率を測定した。すなわち、試験用コンタクトレンズについて実験例120〜133の各液および日本薬局方精製水(以下、精製水)にそれぞれ4時間浸漬した後、アッベ屈折率計((株)アタゴ製1T)を用い、各コンタクトレンズの20℃における屈折率(ナトリウム−D線)を測定した。
各液剤について試験用コンタクトレンズを5枚用いて5回の測定を行った。各液剤について得られた屈折率は、精製水に浸漬した試験用コンタクトレンズの屈折率を基準として、それに対する向上率を下式によって求めることにより評価した。なお、表14には各液剤について5回測定した屈折率からそれぞれ式1により屈折率向上率を求め、その平均値を記載した。
[式1]
屈折率向上率(%)=({(各液剤を用いたときの屈折率)/(精製水を用いたときの屈折率)}−1)×100
表14に示すように、本願発明の実験例120〜130の眼科用組成液を用いれば、試験用コンタクトレンズにおいて、精製水を用いた場合に比して、2.5%以上10%以下の屈折率向上率が確保されており、本発明に従う眼科用組成液による屈折率向上機能が安定して発揮されていることが分かった。
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[処方例1〜36]
処方例1〜36を表15〜17に示す。表15,16に示すような組成で各化合物を混合し、組成液とすれば、点眼剤、装着薬、コンタクトレンズパッケージング液、コンタクトレンズ多目的液剤、コンタクトレンズ殺菌液、コンタクトレンズ洗浄剤、コンタクトレンズ保存剤及びコンタクトレンズすすぎ液などの様々な用途に本願発明を適用することができる。また表17においては処方例25〜36として、より具体的な用途例を示した。処方例25、26については製剤調製後、無菌濾過を施し、ポリエチレンテレフタレート製容器(容量500mL)に充填した。また処方例27〜31、処方例33〜36については、二軸延伸ブロー成形にて得られたポリエチレンテレフタレート製容器(容量20mL以下)に製剤を無菌濾過後、充填した。なお処方例32については、ブローフィルシール製法(容器材質:低密度ポリエチレン:容量0.4mL)にて製剤の無菌濾過後に充填した。なお、処方例32を除く処方例25〜36については、ISO14730(2000)の方法を準用し、開封後有効期限を設定した。
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本発明の眼科用組成液及びその使用方法は、点眼剤、装着薬、コンタクトレンズパッケージング液、コンタクトレンズ多目的液剤、コンタクトレンズ殺菌液、コンタクトレンズ洗浄剤、コンタクトレンズ保存剤及びコンタクトレンズすすぎ液等の様々な用途に用いることができる。

Claims (5)

  1. エチレンオキシドの平均重合度(EO)とプロピレンオキシドの平均重合度(PO)との割合EO/POが1.0以上5.0以下の範囲であるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールを0.001質量%以上5質量%以下と、
    多価カルボン酸及び多価カルボン酸塩としてのエデト酸、エデト酸塩、クエン酸、クエン酸塩、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、カルボキシビニルポリマー、カルボキシビニルポリマー塩から選ばれる1以上と、
    清涼化剤である1.0質量%以下のL−メントールと、
    ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80から選ばれる1以上と、を含有し(ただし、ヒスチジン誘導体、トラネキサム酸塩及びトラネキサム酸誘導体のいずれも含まず、さらに、アルギン酸及び/又はその塩、ジェランガム、ペクチンから選ばれる1以上を含み且つ張度が塩化ナトリウムで0.5w/v%以上、0.9w/v%未満であるものを除く)
    IC50値が1.0%以上であり、
    且つ組成液中のジブチルヒドロキシトルエン(BHT)の濃度が1.5ppm未満であり、
    モールド製法にて製造されたハードコンタクトレンズに対して用いられる、
    眼科用組成液。
  2. 前記モールド製法にて製造されたハードコンタクトレンズは、シリコーン成分とフッ素成分とを両方含む、請求項1に記載の眼科用組成液。
  3. 数式(1)により算出される屈折率向上率が、2.5%以上10%以下である、請求項1又は2に記載の眼科用組成液。
    屈折率向上率(%)=({(前記眼科用組成液を用いたときの屈折率)/(精製水を用いたときの屈折率)}−1)×100・・・数式(1)
  4. 前記眼科用組成液は、点眼剤、コンタクトレンズ装着薬、コンタクトレンズパッケージング液、コンタクトレンズ多目的液剤、コンタクトレンズ殺菌液、コンタクトレンズ洗浄剤、コンタクトレンズ保存剤及びコンタクトレンズすすぎ液から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜のいずれか1項に記載の眼科用組成液。
  5. エチレンオキシドの平均重合度(EO)とプロピレンオキシドの平均重合度(PO)との割合EO/POが1.0以上5.0以下の範囲であるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールを0.001質量%以上5質量%以下と、
    多価カルボン酸及び多価カルボン酸塩としてのエデト酸、エデト酸塩、クエン酸、クエン酸塩、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、カルボキシビニルポリマー、カルボキシビニルポリマー塩から選ばれる1以上と、
    清涼化剤である1.0質量%以下のL−メントールと、
    ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80から選ばれる1以上と、を含有し(ただし、ヒスチジン誘導体、トラネキサム酸塩及びトラネキサム酸誘導体のいずれも含まず、さらに、アルギン酸及び/又はその塩、ジェランガム、ペクチンから選ばれる1以上を含み且つ張度が塩化ナトリウムで0.5w/v%以上、0.9w/v%未満であるものを除く)、
    IC50値が1.0%以上であり、
    且つ組成液中のジブチルヒドロキシトルエン(BHT)の濃度が1.5ppm未満である眼科用組成液を、
    モールド製法にて製造されたハードコンタクトレンズに対して用いる、眼科用組成液の使用方法。
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