以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
(構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる、内視鏡リプロセッサ1の構成を説明する図である。図1では、電気信号線の図示は、省略する。
内視鏡リプロセッサ1は、汚染された内視鏡、および、内視鏡の部品または付属品等の再生処理を行う装置である。ここでいう再生処理とは、特に限定されるものではなく、水によるすすぎ、有機物等の汚れを落とす洗浄、所定の微生物を無効化する消毒、全ての微生物を排除、もしくは、死滅させる滅菌、または、これらの組み合わせのいずれであってもよい。
内視鏡リプロセッサ1は、トップカバー11と、装置本体21と、を有する。トップカバー11は、装置本体21の上部に開閉自在に設けられる。トップカバー11が開かれると、処理槽31は、外部に露出する。
処理槽31は、凹状に形成され、内部に、内視鏡を配置し、液体を貯留することができる。処理槽31は、循環口32、33と、送気送水コネクタ34と、洗浄ケース35と、循環ノズル36と、洗剤ノズル37と、薬液ノズル38と、排液口39と、を有する。処理槽31は、処理槽31に貯留された液体に対し、超音波振動子41によって超音波出力が可能であり、ヒータ42によって加温が可能であり、温度検知センサ43によって温度検知が可能である。
循環口32は、循環管路61と連通する。循環管路61は、チャンネル管路71および送液管路81の各々に分岐する。
チャンネル管路71は、チャンネルポンプ72、チャンネルブロック73、チャンネル電磁弁74を介し、送気送水コネクタ34と連通する。
チャンネルブロック73は、送気用逆止弁75a、送気管路44およびエアフィルタ75bを介し、エアポンプ75cと連通する。また、チャンネルブロック73は、アルコール用電磁弁76aおよびアルコール供給ポンプ76bを介し、アルコールタンク76cと連通する。チャンネル管路71は、チャンネルブロック73およびチャンネル電磁弁74の間において分岐し、リリーフ弁77aを介し、洗浄ケース35と連通する。
送気送水コネクタ34は、図示しない接続チューブを取付け可能であり、接続チューブによって内視鏡に接続される。送気送水コネクタ34は、循環口32から取り込まれた液体、エアポンプ75cによって送気される気体、または、アルコールタンク76cから送液されるアルコールを内視鏡に送出し、内視鏡を洗浄消毒可能である。
洗浄ケース35は、内視鏡の部品または付属品を収容可能である。洗浄ケース35は、循環口32から取り込まれた液体、または、エアポンプ75cによって送気される気体により、収容された内視鏡の部品または付属品を洗浄消毒可能である。
送液管路81は、送液ポンプ82および三方電磁弁83を介して循環ノズル36と連通する。三方電磁弁83は、給水管路84、給水フィルタ85、三方電磁弁86、逆止弁87および給水電磁弁88を介して給水ホース接続口89にも連通する。三方電磁弁86は、ポンプ86aおよび逆止弁86bを介して循環口33に接続される。給水ホース接続口89は、チューブTを介して水道栓Wに接続される。
循環ノズル36は、循環口32から取り込まれた処理槽31の液体、水道栓Wから給水される水、または、循環口33から取り込まれた液体、のいずれかを処理槽31に供給する。
洗剤ノズル37は、洗剤用ポンプ37aを介して洗剤タンク37bと連通する。洗剤ノズル37は、洗剤タンク37b内の洗剤を処理槽31に供給する。
薬液ノズル38は、薬液タンク91に貯留される薬液を処理槽31に供給可能である。薬液ノズル38は、後述する第1送液部92によって薬液タンク91と連通する。
排液口39は、処理槽31内の液体を薬液タンク91に排液可能である。排液口39は、後述する第2送液部93によって薬液タンク91と連通する。また、排液口39は、排液弁39aおよび排液ポンプ39bを介し、外部排液手段EDと連通し、外部排液手段EDに処理槽31の液体を排液可能である。
濃度測定室である薬液タンク91は、原液または実用液等の薬液を貯留可能である。薬液タンク91は、原液供給部94および希釈液供給部95に接続される。薬液タンク91は、保持部96に保持される濃度センサ97を有し、貯留された薬液の濃度を測定できるように構成される。
第1送液部92は、薬液ポンプ92aおよび薬液管路92bを有して構成される。第1送液部92は、薬液を処理槽31に送液して内視鏡と接触させる。
第2送液部93は、薬液回収弁93aおよび薬液回収管路93bを有して構成される。第2送液部93は、内視鏡と接した薬液を薬液タンク91に送液する。
原液供給部94は、検査対象物を第1濃度含む原液を薬液タンク91に供給することができるように構成される。原液供給部94は、薬液ボトル94aと、原液供給管路94bと、を有して構成される。薬液ボトル94aは、原液を所定容量収容可能である。薬液ボトル94aが装置本体21に取り付けられると、薬液ボトル94aは、原液供給管路94bを介して薬液タンク91と連通し、薬液ボトル94a内に収容される原液は、原液供給管路94bを流れ、薬液タンク91に供給される。薬液タンク91に供給される原液の量は、薬液ボトル94aの容量によって規定されるが、これに限定されない。例えば、薬液タンク91が有する水位センサ99によって測定してもよい。
検査対象物の第1濃度は、予め設定される。例えば、検査対象物は過酢酸であり、第1濃度は6%であり、原液は過酢酸を6%含む薬液である。なお、第1濃度は、6%に限定されないし、検査対象物は、過酢酸に限定されない。
希釈液供給部95は、検査対象物を第2濃度含む実用液が調合されるように、薬液タンク91に原液を希釈する希釈液を供給することができるように構成される。希釈液供給部95は、管路95aと電磁弁95bを有して構成される。管路95aは、給水管路84および薬液タンク91と連通する。制御部101によって給水電磁弁88および電磁弁95bが開状態にされると、水道栓Wから給水される水は、給水管路84および管路95aを流れ、薬液タンク91に供給される。薬液タンク91に供給される希釈液の量は、薬液タンク91が有する水位センサ99によって測定されるが、これに限定されない。例えば、希釈液供給部95が有する電磁弁95bの開時間によって規定してもよい。
検査対象物の第2濃度は、予め設定される。例えば、第2濃度は0.3%であり、希釈液は水である。なお、第2濃度は、0.3%に限定されないし、希釈液は、水に限定されない。
保持部96は、原液および実用液を含む薬液に接触することができるように、濃度センサ97を保持する。また保持部96は、ユーザ自身が濃度センサ97を交換できるような位置に設置されていてもよい。
濃度センサ97は、電気化学センサ等のセンサによって構成される。濃度センサ97は、薬液タンク91内の薬液中の検査対象物の濃度を測定可能である。より具体的には、濃度センサ97は、薬液の酸化還元反応により、薬液中の検査対象物の濃度に応じてセンサ出力値である電流値を変化させる。濃度センサ97は、制御部101に接続され、制御部101の制御の下、センサ出力値である電流値を制御部101に出力する。なお、出力は電流値に限定されず、検査対象物の濃度に応じた電圧値やパルス出力等でもよい。
薬液タンク91では、原液供給部94から原液が供給され、希釈液供給部95から希釈液が供給され、原液および希釈液によって所定濃度の実用液が調合される。調合された実用液は、薬液タンク91内に貯留される。薬液タンク91に貯留された実用液は、吸引フィルタ92cを介して薬液ポンプ92aによって吸引され、薬液ノズル38から処理槽31に供給される。内視鏡の再生処理の終了後、処理槽31内の実用液は、排液口39を介して薬液タンク91に排液される。実用液は、繰り返して使用されるうちに、処理槽31において他の液体と混ざり、また、実用液自体の反応が進み、徐々に濃度が低下する。
装置本体21内には、制御部101が設けられる。制御部101は、図示しない電気信号線によって内視鏡リプロセッサ1内の各部と接続され、内視鏡リプロセッサ1の各部の動作の制御を行う。制御部101は、電源装置111に接続される。電源装置111は、外部電源EPに接続される。
制御部101は、中央処理装置(以下「CPU」という)102と、ROMおよびRAM等によって構成されるメモリ103と、を有して構成される。制御部101の機能は、CPU102がメモリ103に記憶される各処理部のプログラムおよびデータを読み出して実行することによって実現される。
メモリ103は、濃度センサ97の検量線Lsの情報を記憶する検量線記憶部104を有して構成される。
メモリ103には、内視鏡リプロセッサ1の各部の動作の制御を行うプログラム、検量線作成処理のプログラムおよび測定精度検出処理のプログラムの他、処理部である、濃度センサ97の検量線Lsおよび仮想検量線Lcの情報を作成する検量線作成部105と、検量線Lsと仮想検量線Lcとの乖離度を算出する算出部106と、算出部106が算出した乖離度から仮想検量線Lcの有効/無効を判定する判定部107と、を構成するプログラムも記憶される。
装置本体21は、表示部121を有して構成される。表示部121は、例えば、LCD等の表示装置によって構成される。表示部121は、制御部101に接続され、制御部101から入力される制御信号に基づく表示が可能である。
(作用)
(検量線作成処理)
第1の実施形態に係わる、内視鏡リプロセッサ1の検量線作成処理について、説明をする。
図2は、本発明の第1の実施形態に係わる、内視鏡リプロセッサ1の検量線作成処理の流れを示すフローチャートである。図3は、本発明の第1の実施形態に係わる、内視鏡リプロセッサ1の測定精度検出処理の流れを示すフローチャートである。図4は、本発明の第1の実施形態に係わる、内視鏡リプロセッサ1の測定精度検出処理における電流値差DA1、DA2を説明する説明図である。
検量線作成処理は、工場出荷前、または、濃度センサ97の交換時等、内視鏡リプロセッサ1に濃度センサ97を取り付けた際に行われる。
原液の濃度を測定する(S1)。S1では、原液供給部94から薬液タンク91に原液を供給する。具体的には、薬液ボトル94aを装置本体21に取り付け、薬液ボトル94a内の検査対象物を第1濃度含む原液を薬液タンク91に供給する。原液が薬液タンク91内に供給されると、濃度センサ97は、原液に接触する。制御部101は、濃度センサ97を駆動させるための制御信号を濃度センサ97に出力する。制御信号が入力された濃度センサ97は、原液の濃度を測定し、センサ出力値である電流値を制御部101に出力する。
実用液の濃度を測定する(S2)。S2では、希釈液供給部95から希釈液を薬液タンク91に供給する。具体的には、制御部101は、開弁させるための制御信号を給水電磁弁88および電磁弁95bに出力し、給水電磁弁88および電磁弁95bを開状態にさせる。給水電磁弁88および電磁弁95bが開状態になると、水道栓Wから給水される希釈液は、給水管路84および管路95aを流れ、薬液タンク91に供給される。希釈液が供給されると、薬液タンク91では、検査対象物を第2濃度含む実用液が調合される。制御部101は、濃度センサ97を駆動させるための制御信号を濃度センサ97に出力する。制御信号が入力された濃度センサ97は、実用液の濃度を測定し、センサ出力値である電流値を制御部101に出力する。
検量線Lsの情報を作成する(S3)。制御部101は、X軸が電流値を示し、かつY軸が濃度を示すXY平面上に、検量線Lsを有する情報を作成する。具体的には、制御部101は、S1におけるセンサ出力値である電流値と、第1濃度と、が対応付けられた測定点Q1と、S2におけるセンサ出力値である電流値と、第2濃度と、が対応付けられた測定点Q2と、に基づいて、XY平面上に検量線Lsを有する情報を作成する(図4)。
検量線Lsの情報を記憶する(S4)。制御部101は、S3において作成された検量線Lsの情報を検量線記憶部104に記憶させる。
(測定精度検出処理)
次に、測定精度検出処理について説明をする。測定精度検出処理は、例えば、新たに実用液を調合する際の濃度測定時に、行われる。
S11およびS12は、S1およびS2と同じであるため、説明を省略する。
仮想検量線Lcの情報を作成する(S13)。制御部101は、XY平面上における、測定点である、第1点R1と、第2点R2とに基づいて、仮想検量線Lcの情報を作成する。すなわち、仮想検量線Lcは、原液の濃度測定時のセンサ出力値である電流値および第1濃度が対応付けられた第1点R1と、実用液の濃度測定時のセンサ出力値である電流値および第2濃度が対応付けられた第2点R2とに基づいて作成される。
電流値差DA1、DA2を算出する(S14)。制御部101は、電流値差DA1と、電流値差DA2とを算出する(図4)。電流値差DA1は、次の数式(1)に示すように、仮想検量線Lc上の第1濃度に対応する電流値Ac1と、検量線Ls上の第1濃度に対応する電流値As1と、の差である。電流値差DA2は、次の数式(2)に示すように、検量線Lc上の第2濃度に対応する電流値Ac2と、検量線Ls上の第2濃度に対応する電流値As2と、の差である。
DA1=Ac1−As1・・・(1)
DA2=Ac2−As2・・・(2)
電流値差DA1、DA2が所定範囲内であるか否かを判定する(S15)。S14によって算出された電流値差DA1、DA2の各々が所定範囲内であると、制御部101が判定するとき(S15:YES)、処理は終了する。一方、電流値差DA1、DA2の少なくとも一方が所定範囲外であると、制御部101が判定するとき(S15:NO)、処理はS16に進み、表示部121に警告メッセージが表示される。電流値差DA1、DA2の所定範囲は、濃度センサ97の測定精度の低下を検出できるように、経験的または実験的に予め設定される。
S16では、警告メッセージを表示する。制御部101は、警告メッセージを表示させるための制御信号を表示部121に出力し、ユーザに対して濃度センサ97の測定精度の低下を知らせるための警告メッセージを表示部121に表示させる。警告メッセージが表示された後、処理は終了する。表示部121に警告メッセージが表示されることにより、ユーザは、濃度センサ97の測定精度の低下に気付くことができ、濃度センサ97の交換をすることができる。
S1からS4の処理が、第1の実施形態に係る検量線作成処理を構成する。
S11からS16の処理が、第1の実施形態に係る測定精度検出処理を構成する。
S3及びS13の処理が、第1の実施形態に係る検量線作成部105の処理を構成する。
S14の処理が、第1の実施形態に係る算出部106の処理を構成する。
S15の処理が、第1の実施形態に係る判定部107の処理を構成する。
上述の第1の実施形態によれば、内視鏡リプロセッサ1は、濃度センサ97を備え、原液および使用前の実用液の各々の濃度を測定して仮想検量線Lcを作成し、検量線Lsと仮想検量線Lcとの乖離度である電流値差DA1、DA2を算出し、濃度センサ97の測定精度の低下を検出することができる。
なお、上述の第1の実施形態の説明では、一例として、検量線Lsの作成時と同じ濃度を測定した測定点によって仮想検量線Lcを作成しているが、検量線Lsの作成時とは異なる濃度を測定した測定点によって仮想検量線Lcを作成し、検量線Lsおよび仮想検量線Lcの乖離度を算出してもよい。
なお、詳細は後述するが、検量線Lsの情報は、内視鏡リプロセッサ1によって作成されなくても構わない。
(第1の実施形態の変形例1)
第1の実施形態では、乖離度の一例として、電流値差DA1、DA2が算出されるが、検量線Lsと仮想検量線Lcとの傾き角度差Dθが算出されても構わない。
図5は、本発明の第1の実施形態の変形例1に係わる、内視鏡リプロセッサ1の測定精度検出処理の流れを示すフローチャートである。図6は、本発明の第1の実施形態の変形例1に係わる、内視鏡リプロセッサ1の測定精度検出処理における傾き角度差Dθを説明する説明図である。
第1の実施形態の変形例1に係る測定精度検出処理について説明をする。第1の実施形態の変形例1の説明では、第1の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。
S21からS23の処理は、S1からS3、または、S11からS13の処理と同じで構わないため、説明を省略する。
傾き角度差Dθを算出する(S24)。図6に示すように、制御部101は、XY平面上における、検量線Lsの傾き角度θ1と、S23において作成された仮想検量線Lcの傾き角度θ2と、の各々を所定の演算処理によって求める。続いて、制御部101は、次の数式(3)に示すように、乖離度として、検量線Lsの傾き角度θ1と、仮想検量線Lcの傾き角度θ2との差である傾き角度差Dθを算出する。すなわち、制御部101は、算出部106の処理により、検量線Lsの傾きθ1と、仮想検量線Lcの傾きθ2との乖離度を算出する。
Dθ=θ1−θ2・・・(3)
傾き角度差Dθが所定範囲内であるか否かを判定する(S25)。制御部101は、S24において算出された傾き角度差Dθが、所定範囲内であるか否かを判定する。仮想検量線Lcの傾き角度θ2は、濃度センサ97の測定精度の低下がないときの傾き角度θ1と同じであり、濃度センサ97の測定精度の低下に応じ、傾き角度θ1との傾き角度差Dθが大きくなる。したがって、傾き角度差Dθが所定範囲内であるとき、S23によって作成された仮想検量線Lcは有効であると判定され、一方、傾き角度差Dθが所定範囲外であるとき、仮想検量線Lcは無効であると判定される。S24において算出された傾き角度差Dθが所定範囲内であるとき(S25:YES)、処理は終了する。一方、傾き角度差Dθが所定範囲外であるき(S25:NO)、処理はS26に進む。傾き角度差Dθの所定範囲は、濃度センサ97の測定精度の低下を検出できるように、経験的または実験的に予め設定される。
S26は、S16と同じであるため、説明を省略する。
S21からS26の処理が、第1の実施形態の変形例1に係る測定精度検出処理を構成する。
S24の処理が、第1の実施形態の変形例1に係る算出部106の処理を構成する。
S25の処理が、第1の実施形態の変形例1に係る判定部107の処理を構成する。
(第1の実施形態の変形例2)
第1の実施形態の変形例1では、乖離度の一例として、傾き角度差Dθが算出されるが、所定の電流値範囲Apにおける検量線Lsと仮想検量線Lcとによって区画される領域の面積DSが算出されても構わない。
図7は、本発明の第1の実施形態の変形例2に係わる、内視鏡リプロセッサ1の測定精度検出処理の流れを示すフローチャートである。図8は、本発明の第1の実施形態の変形例2に係わる、内視鏡リプロセッサ1の測定精度検出処理における面積DSを説明する説明図である。
第1の実施形態の変形例2に係る測定精度検出処理について説明をする。第1の実施形態の変形例2の説明では、第1の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。
S31からS33の処理は、S1からS3、S11からS13、または、S21からS23のいずれか1つの処理と同じで構わないため、説明を省略する。
面積DSを算出する(S34)。制御部101は、図8に示すように、XY平面上の所定の電流値範囲Apにおける、検量線Lsおよび仮想検量線Lcによって区画される領域の面積DSを、所定の演算処理によって算出する。所定の電流値範囲Apは、面積DSを算出するための電流値を規定する範囲として、予め設定される。
面積DSが所定範囲内であるか否かを判定する(S35)。S34によって算出された面積DSが所定範囲内であると、制御部101が判定するとき(S35:YES)、処理は終了する。一方、面積DSが所定範囲外であると、制御部101が判定するとき(S35:NO)、処理はS36に進む。面積DSの所定範囲は、濃度センサ97の測定精度の低下を検出できるように、経験的または実験的に予め設定される。
S36は、S16、または、S26と同じであるため、説明を省略する。
S34の処理が、第1の実施形態の変形例2に係る算出部106の処理を構成する。
S35の処理が、第1の実施形態の変形例2に係る判定部107の処理を構成する。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、仮想検量線Lcは、原液および使用前の実用液の各々の濃度を測定して作成されるが、原液および所定のN回使用した実用液の各々の濃度を測定して作成されても構わない。ここでいうNは1以上である。
図9は、本発明の第2の実施形態に係わる、内視鏡リプロセッサ1の測定精度検出処理の流れを示すフローチャートである。第2の実施形態の説明では、第1の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、説明は省略する。
制御部101は、計数部108を有する(図1の2点鎖線)。計数部108は、薬液タンク91内の薬液が再生処理に使用された回数を計数可能である。例えば、計数部108は、制御部101が薬液ポンプ92aに対して送液をさせるための制御信号を出力した回数を計数することにより、薬液タンク91の薬液が処理槽31に送液された回数を計数する。
第2の実施形態に係る測定精度検出処理について説明をする。第2の実施形態の説明では、第1の実施形態及び変形例と同じ構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。
S41の処理は、S1、S11、S21およびS31のいずれか1つと同じで構わないため、説明を省略する。
所定のN回使用された実用液の濃度を測定する(S42)。まず、希釈液供給部95から希釈液を薬液タンク91に供給し、検査対象物を第2濃度含む実用液を調合する。次に、所定のN回だけ実用液を処理槽31に送液して使用する。処理槽31への送液回数は、計数部108によって計数される。続いて、制御部101は、所定のN回使用された実用液の濃度を濃度センサ97に測定させ、濃度センサ97からセンサ出力値である電流値Ac3を取得する。
仮想検量線Lcの情報を作成する(S43)。制御部101は、XY平面上における、第1点R1と、第3点R3とに基づいて、仮想検量線Lcを作成する。第3点R3は、S42におけるセンサ出力値である電流値Ac3と、第3濃度とが対応付けられた測定点である(図4)。
第3濃度は、所定のN回使用された実用液の濃度である。第3濃度は、次の数式(4)によって算出される。次の数式(4)において、C3(%)は、第3濃度であり、N(回)は、処理槽31への所定の送液回数であり、C2(%)は、第2濃度であり、x(%)は、所定の1回の使用による実用液の濃度低下量である。
C3(%)=C2(%)−N(回)×x(%)・・・(4)
例えば、第2濃度が0.3(%)、1回の使用による実用液の濃度低下量が0.005(%)、処理槽31への送液回数が10(回)であるとき、第3濃度は、0.25(%)である。
S44からS46の処理は、S14からS16、S24からS26、または、S34からS36のいずれか1つの処理と同じで構わないため、説明は省略する。
すなわち、第2の実施形態では、検量線作成部105は、処理槽31に所定のN回(Nは、1以上)送液された薬液の濃度測定時の電流値Ac3、および、第2濃度からN×x(xは、正の数)を減算した第3濃度が対応付けられた第3点R3に基づいて、仮想検量線Lcの情報を作成することができるように構成される。
S41からS46の処理が、第2の実施形態に係る測定精度検出処理を構成する。
S43の処理が、第2の実施形態に係る検量線作成部105の処理を構成する。
上述の第2の実施形態によれば、内視鏡リプロセッサ1は、濃度センサ97によって原液および所定のN回使用された実用液の濃度を測定し、濃度センサ97の測定精度の低下を検出することができる。なお、上述の例では、第1濃度が対応付けられた第1点R1と、第3濃度が対応付けられた第3点R3とに基づいて仮想検量線Lcを作成しているが、第2濃度が対応付けられた第2点R2と、第3濃度が対応付けられた第3点R3とに基づいて仮想検量線Lcを作成してもよいし、第1点R1と、第2点R2、および第3点R3に基いて仮想検量線Lcを作成してもよい。
(第3の実施形態)
第1及び第2の実施形態並びに実施形態の変形例では、内視鏡リプロセッサ1では、原液および実用液の各々の濃度が測定されるが、希釈しないで使用する実用液の濃度が測定されても構わない。
図10は、本発明の第3の実施形態に係わる、内視鏡リプロセッサ1aの構成を説明する図である。図11は、本発明の第3の実施形態に係わる、内視鏡リプロセッサ1aの測定精度検出処理の流れを示すフローチャートである。
第3の実施形態に係る内視鏡リプロセッサ1aについて説明をする。第3の実施形態の説明では、第1及び第2の実施形態並びに実施形態の変形例と同じ構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。
第3の実施形態では、希釈しないで使用する実用液の濃度が測定される。
内視鏡リプロセッサ1aは、検査対象液を濃度測定室である薬液タンク91に供給する検査対象液供給部98を有して構成される。検査対象液供給部98は、検査対象液である実用液を薬液タンク91に供給可能である。
第3の実施形態に係る測定精度検出処理について説明をする。
所定のN回使用した検査対象液の濃度を測定する(S51)。まず、検査対象液供給部98から検査対象液を薬液タンク91に供給する。次に、所定のN回だけ検査対象液を処理槽31に送液して使用する。処理槽31への送液回数は、計数部108によって計数される。続いて、制御部101は、濃度センサ97に検査対象液の濃度を測定させ、濃度センサ97からセンサ出力値である電流値を取得する。
所定のN+m回使用した検査対象液の濃度を測定する(S52)。S51において所定のN回だけ検査対象液が使用された後、さらに、所定のm回だけ検査対象液を使用する。制御部101は、濃度センサ97に検査対象液の濃度を測定させ、濃度センサ97からセンサ出力値である電流値を取得する。mは1以上の数を示す。
仮想検量線Lcの情報を作成する(S53)。制御部101は、XY平面上における、第4点と、第5点とに基づいて、仮想検量線Lcの情報を作成する。第4点は、S51におけるセンサ出力値である電流値と、第4濃度とが対応付けられた測定点である。第5点は、S52におけるセンサ出力値である電流値と、第5濃度とが対応付けられた測定点である。
第4濃度は、次の数式(5)によって算出される。数式(5)において、C4(%)は、第4濃度であり、N(回)は、0以上の処理槽31への所定の送液回数であり、C0(%)は、所定の未使用の検査対象液の濃度であり、y(%)は、所定の1回の使用による検査対象液の濃度低下量である。
C4(%)=C0(%)−N(回)×y(%)・・・(5)
第5濃度は、次の数式(6)によって算出される。数式(6)において、C5(%)は、第5濃度であり、m(回)は、1以上の処理槽31への所定の送液回数であり、C4(%)は、第4濃度であり、y(%)は、所定の1回の使用による検査対象液の濃度低下量である。
C5(%)=C4(%)−m(回)×y(%)・・・(6)
すなわち、制御部101は、検量線作成部105の処理により、処理槽31に所定のN回(Nは、0以上)送液された検査対象液の濃度測定時のセンサ出力値である電流値および第4濃度に対応付けられた第4点と、処理槽31に所定のN+m回(mは、1以上)送液された検査対象液の濃度測定時のセンサ出力値である電流値および第4濃度からm×yを減算した第5濃度に対応付らけれた第5点とに基づいて、仮想検量線Lcを作成可能である。
S54からS56の処理の処理は、S24からS26と同じであるため、説明を省略する。
S51からS56の処理が、第3の実施形態に係る測定精度検出処理を構成する。
S53の処理が、第3の実施形態に係る検量線作成部105の処理を構成する。
上述の第3の実施形態によれば、内視鏡リプロセッサ1aは、濃度センサ97により、所定のN回使用した検査対象液の濃度と、所定のN+m回使用した検査対象液の濃度とを測定し、濃度センサ97の測定精度の低下を検出することができる。
なお、第3の実施形態では、N=0に設定することにより、使用前の検査対象液の濃度と、所定のm回使用された検査対象液の濃度とを測定し、濃度センサ97の測定精度の低下を検出することができる。
(第3の実施形態の変形例1)
第3の実施形態では、希釈しないで使用する実用液の濃度が測定されるが、希釈して使用される実用液の濃度が測定されても構わない。
図12は、本発明の第3の実施形態の変形例1に係わる、内視鏡リプロセッサ1の測定精度検出処理の流れを示すフローチャートである。第3の実施形態の変形例1の説明では、第3の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。
図1に示すように、内視鏡リプロセッサ1は、原液供給部94および希釈液供給部95を有して構成される。
所定のN回使用した実用液の濃度を測定する(S61)。まず、所定のN回だけ実用液を処理槽31に送液して使用する。次に、制御部101は、濃度センサ97に実用液の濃度を測定させ、濃度センサ97からセンサ出力値である電流値を取得する。
所定のN+m回使用した実用液の濃度を測定する(S62)。S61において所定のN回だけ使用された後、さらに、所定のm回だけ実用液を処理層31に送液して使用する。制御部101は、濃度センサ97に実用液の濃度を測定させ、濃度センサ97からセンサ出力値である電流値を取得する。
S63からS66の処理は、S53からS56と同じであるため、説明は省略する。
(第4の実施形態)
第1、第2及び第3の実施形態並びに実施形態の変形例では、検量線作成部105は、2つの測定点を結んだ仮想検量線Lcの情報を作成するが、3つ以上の測定点に基づいて仮想検量線Lcを作成しても構わない。
図13は、本発明の第4の実施形態に係わる、内視鏡リプロセッサ1の濃度センサ97および水位センサ99の構成を説明する説明図である。図14は、本発明の第4の実施形態に係わる、内視鏡リプロセッサ1、1aの測定精度検出処理における仮想検量線Lcを説明する説明図である。第4の実施形態の説明では、第1、第2及び第3の実施形態並びに実施形態の変形例に含まれる構成は、同じ符号を付し、説明を省略する。
水位センサ99は、電極等によって構成される水位検出部99aを複数設け、所定水位W1、W2、W3、W4を検出できるように構成される。薬液タンク91内に原液供給部94または希釈液供給部95から希釈液が供給されると、薬液タンク91内の水位が上昇し、水位センサ99は、所定水位W1、W2、W3、W4を順次検出し、検出結果を制御部101に出力する。
所定水位W1、W2、W3、W4の各々に応じた所定濃度Wc1、Wc2、Wc3、Wc4は、原液投入量及び所定水位W1、W2、W3、W4における薬液の体積に基づいて、予め算出して設定される。
例えば、所定濃度Wc1が第1濃度、所定濃度Wc2、Wc3が希釈中の濃度、所定濃度Wc4が第2濃度であってもよい。
所定水位W1、W2、W3、W4の各々が水位センサ99によって検出されると、制御部101は、濃度センサ97からセンサ出力値である電流値を取得する。制御部101は、センサ出力値である電流値と、所定濃度Wc1、Wc2、Wc3、Wc4と、に対応付けられた測定点P1、P2、P3、P4をXY平面上に配置し、最小2乗法等による所定の演算処理を行い、仮想検量線Lcの情報を作成する。
上述の第4の実施形態によれば、内視鏡リプロセッサ1は、3つ以上の測定点に基づいて仮想検量線Lcの情報を作成することができ、より確実に、濃度センサ97の測定精度の低下を検出することができる。
なお、図13の水位センサ99は、4つの所定水位W1、W2、W3、W4を検出できるように構成されるが、4つに限定されるものではなく、5つ以上検出できるように構成されても構わない。
なお、第4の実施形態では、3つ以上の測定点によって仮想検量線Lcの情報が作成されるが、3つ以上の測定点によって検量線Lsの情報が作成されても構わない。
(第4の実施形態の変形例1)
第4の実施形態では、仮想検量線Lcは、水位センサ99によって水位が検出された測定点に基づいて作成されるが、水位0である測定点を含んで作成されても構わない。
図15は、本発明の第4の実施形態の変形例1に係わる、内視鏡リプロセッサ1、1aの測定精度検出処理における仮想検量線Lcを説明する説明図である。
図15に示すように、内視鏡リプロセッサ1、1aでは、水位0である測定点P0と、希釈完了時の測定点PFと、所定の回数送液したときの測定点PF1、PF2とによって仮想検量線Lcが作成される。なお、第4の実施形態の変形例1では、測定点P0を含む仮想検量線Lcの情報が作成されるが、測定点P0を含む検量線Lsの情報が作成されても構わない。
(第5の実施形態)
第1、第2、第3及び第4の実施形態並びに実施形態の変形例では、仮想検量線Lcに基づいて、濃度センサ97の測定精度の低下が検出されるが、第1検量点Pc1、第2検量点Pc2に基づいて濃度センサ97の測定精度の低下が検出されても構わない。
図16は、本発明の第5の実施形態に係わる、内視鏡リプロセッサ1の測定精度検出処理の流れを示すフローチャートである。図17は、本発明の第5の実施形態に係わる、内視鏡リプロセッサ1の測定精度検出処理における電流値差DA1、DA2を説明する説明図である。第5の実施形態の説明では、第1、第2、第3及び第4の実施形態並びに実施形態の変形例に含まれる構成は、同じ符号を付し、説明を省略する。
内視鏡リプロセッサ1は、検量点作成部109を有して構成される(図1の2点鎖線)。検量点作成部109は、原液の濃度測定時の電流値および第1濃度を対応付け、または、実用液の濃度測定時のセンサ出力値である電流値および第2濃度を対応付け、検量点を作成する。
第5の実施形態に係る測定精度検出処理について説明をする。S71およびS72の処理は、S1およびS2、S11およびS12、S21およびS22、または、S31およびS32のいずれか1つの処理と同じで構わないため、説明を省略する。
検量点を作成する(S73)。制御部101は、XY平面上に、S71におけるセンサ出力値である電流値と、第1濃度とが対応付けられた第1検量点Pc1と、S72におけるセンサ出力値である電流値と、第2濃度とが対応付けられた第2検量点Pc2とを含む、検量点を作成する。
S74からS76の処理は、S14からS16、または、S44からS46と同じで構わないため、説明を省略する。
S71からS76の処理が、第5の実施形態に係る測定精度検出処理を構成する。
S73の処理が、第5の実施形態に係る検量点作成部109の処理を構成する。
上述の第5の実施形態によれば、内視鏡リプロセッサ1は、第1検量点Pc1、第2検量点Pc2に基づいて、濃度センサ97の測定精度の低下を検出することができる。
(第5の実施形態の変形例1)
第5の実施形態では、検量点作成部109は、原液及び実用液の濃度測定によって検量点を作成するが、未使用の検査対象液及び所定のN回使用された検査対象液の濃度測定によって検量点が作成されても構わない。第5の実施形態の変形例1の説明では、第5の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。
第5の実施形態の変形例1では、制御部101は、処理槽31に送液されていない検査対象液の濃度測定時のセンサ出力値である電流値および第2濃度を対応付け、または、処理槽31に所定のN回送液された検査対象液の濃度測定時のセンサ出力値である電流値及び第3濃度を対応付けて検量点を作成する。
なお、第5の実施形態及び第5の実施形態の変形例1では、測定点と検量点が同じであるが、検量線作成部105の処理により、2点または3点以上の複数の測定点に基づいて仮想検量線Lcを作成し、仮想検量線Lc上の所定の点を検量点としても構わない。
なお、実施形態および変形例では、内視鏡プロセッサ1におけるS1からS3の処理によって検量線Lsの情報が作成されるが、検量線Lsの情報は、内視鏡プロセッサ1によって作成されなくても構わない。例えば、検量線Lsの情報は、予め用意された薬液をビーカ等に収容し、内視鏡プロセッサ1に取り付ける前の濃度センサ97によってビーカ等に収容された薬液の濃度を測定して作成されても構わない。
また、検量線情報が付与された濃度センサ97から、検量線情報を内視鏡リプロセッサ1、1aが読み取ることで検量線情報を検量線記憶部104に格納してもよい。また、検量線情報を格納した検量線記憶部104が濃度センサ97に設けられていてもよい。また、検量線情報はクラウドからダウンロードしてもよい。
なお、実施形態および変形例では、検量線作成部105は、原液、希釈液、実用液を使用して検量線作成処理を行うが、検量線作成処理に使用される薬液はこれらに限られるものではなく、他の薬液であっても構わない。
なお、実施形態および変形例では、S1からS3の処理によって作成された検量線Lsの情報が、S4の処理によって検量線記憶部104に記憶されるが、例えば、同種類の濃度センサ97の検量線を既に作成している場合等、濃度センサ97の検量線Lsと同じ検量線が既に作成されているときには、S1からS3の処理を省略し、S4の処理によって検量線Lsの情報を検量線記憶部104に記憶させても構わない。
なお、実施形態では、検量線作成部105、算出部106、判定部107、計数部108及び検量点作成部109は、制御部101と一体に構成されるが、制御部101とは別体として構成されても構わない。
本明細書における各「部」は、実施形態の各機能に対応する概念的なもので、必ずしも特定のハードウェアやソフトウェア・ルーチンに1対1には対応しない。したがって、本明細書では、実施形態の各機能を有する仮想的回路ブロック(部)を想定して実施形態を説明した。また、本実施形態における各手順の各ステップは、その性質に反しない限り、実行順序を変更し、複数同時に実行し、あるいは実行毎に異なった順序で実行してもよい。さらに、本実施形態における各手順の各ステップの全てあるいは一部をハードウェアにより実現してもよい。
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
本発明によれば、濃度センサを備え、濃度センサの不具合を検出可能である内視鏡リプロセッサを提供することができる。
本出願は、2016年7月29日に日本国に出願された特願2016−150313号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲に引用されるものとする。