JP6223268B2 - 塗膜劣化予測方法 - Google Patents

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Description

本発明は、建築物、土木構造物など屋外に設置される構造物(以下「屋外構造物」という)の外装に用いられる有機系塗膜の劣化の進行を、促進耐候性試験の結果により予測する塗膜劣化予測方法に関する。
屋外構造物の外装に用いられる塗装皮膜、仕上塗材、塗膜防水材などの有機系塗膜は、紫外線、熱等の外的作用によって劣化が進行する。屋外構造物の合理的な維持管理を考えると、その設置場所の地理的環境に応じて適切な耐候性を有する塗膜を選定し、適切な時期に更新する計画をたてることが経済的に有利である。
一般によく利用される塗膜の耐候性評価試験として、屋外暴露試験と、促進耐候性試験がある。
屋外暴露試験の場合、その地理的環境下での実際の塗膜耐候性を知ることができる。ただし、屋外暴露試験により塗膜の寿命を見極めるためには数年以上の暴露を要する。
一方、促進耐候性試験はキセノンアーク灯やカーボンアーク灯などの人工光源を用い、照度や温湿度を所定条件に管理して、自然環境よりも強い劣化外力を塗膜に付与するものである。屋外設置を前提に成分設計された有機系塗膜の場合、通常、半年以内(例えば300〜4000時間程度)の試験期間で種々の塗膜の耐候性を比較することができる。しかし、実際に屋外の自然環境に設置したときにどの程度の速度で劣化が進行するかについては、その設置場所の地理的環境によって結果が大きく異なるため、塗膜を促進耐候性試験に供するだけでは任意の地点における塗膜劣化の程度を評価することは困難である。
塗膜の劣化を診断する方法や、劣化を予測する方法については、これまでに種々の手法が開示されている(例えば特許文献1〜5)。
非特許文献1には、ポリエチレンリファレンス試験片を同時に暴露して、ポリエチレンリファレンス試験片に生成したカルボニル基の量を暴露された環境の定量的な指標とする方法が記載されている。その指標としてカルボニル基の量を赤外吸収スペクトルにより定量化した「カルボニルインデックス値」が示されている。また、この文献の6〜7頁には、「屋外暴露試験と実験室光源暴露試験の相関に利用する方法の例」が示されている。それによると、屋外暴露および実験室光源暴露でポリエチレンリファレンス試験片を暴露し、ポリエチレンリファレンス試験片のカルボニルインデックス値が同じになる時間を屋外暴露と実験室光源暴露の相関関係の例として利用することが記載されている。例えば各地の暴露試験場で得られたポリプロピレン塗膜の光沢度の経時変化は暴露地によって差が大きいが、カルボニルインデックス値を共通の指標として整理すると各暴露地の結果を比較的同様の経時変化挙動として表すことができるという試験データが例示されている。同様に、ABSの色差変化やポリカーボネートの色差変化についても各地の暴露試験場での結果をカルボニルインデックス値で整理した試験データが例示されている。
特開2005−17132号公報 特開2008−32430号公報 特開2008−122170号公報 特開2010−32511号公報 特開2012−225811号公報
「JWTCS4002:2009、ポリエチレンリファレンス試験片を用いたプラスチックの耐候性に関する暴露環境の求め方」、財団法人日本ウエザリングテストセンター、平成21年4月1日改正
実際の設置場所での塗膜劣化の進行程度を、促進耐候性試験結果によって予測するためには、その設置場所に近い地理的環境での屋外暴露試験結果と促進耐候性試験結果との関係を把握する必要がある。
上記特許文献には、そのような関係を合理的に把握する手法は開示されていない。
非特許文献1には上述のように、ポリエチレンリファレンス試験片によるカルボニルインデックス値を共通の指標として屋外暴露試験と実験室光源暴露試験の相関に利用する方法が記載されている。この場合ポリエチレンリファレンス試験片と塗膜試験片を同時に屋外暴露して塗膜が劣化する時間を見極め、屋外暴露での劣化時間に対応するカルボニルインデックス値となる時間の促進耐候性試験を実施することによって、塗膜が十分な耐候性を有しているかどうかを評価することができる。しかし、促進耐候性試験によって簡便かつ精度良く任意の屋外環境での塗膜劣化の進行を予測する手法については開示がない。また、屋外暴露試験で光沢度や色差などの測定値を劣化指標とする場合、サンプルの洗浄を十分に行ったとしても埃などの汚れ付着よる外乱を完全に除去することは難しく、その測定値は必ずしも正確な塗膜劣化を示す指標となっているとは言えない。例えば、屋外暴露試験を行ってサンプルの光沢保持率が低下しても、汚れ付着などの外乱による影響が大きい場合、実際は光沢保持率の低下ほどには劣化が進行していないこともある。屋外暴露試験での特性変化を劣化指標とする場合の、外乱の影響を排除する手法についても非特許文献1には開示がない。
本発明は、任意の地理的条件の場所に塗膜を設置したとき、その塗膜の劣化がどのように進行するかを、促進耐候性試験によって簡便に予測することを目的とする。さらには、屋外暴露試験では避けられない汚れ付着などの外乱の影響を排除して、促進耐候性試験の予測精度を向上させることを目的とする。
上記目的を達成するため、以下の発明を開示する。
請求項1の発明は、ポリオレフィン系標準試料を促進耐候性試験に供し、この促進耐候性試験条件の単位時間当たりの劣化外力の強さを求めるプロセス(プロセスa)、
有機系塗膜Pを前記促進耐候性試験に供し、種々の試験経過時間のサンプルについて塗膜の劣化度合いを反映した指標を測定し、各試験経過時間での前記指標を表す「塗膜劣化の進行度Y」と、プロセスaで得られたこの促進耐候性試験条件の単位時間当たりの劣化外力の強さに試験経過時間を乗じることによって求まる各試験経過時間での「劣化外力積算量X」とから得られる、各試験経過時間での(X,Y)のプロットに基づき、「塗膜劣化の進行度Y」と「劣化外力積算量X」の関係を表す下記(1)式の検量線を作成するプロセス(プロセスb)、
Y=f(X) …(1)
プロセスaと同種のポリオレフィン系標準試料を実環境空間での暴露試験に供し、その実環境空間の単位期間当たりの劣化外力の強さを求めるプロセス(プロセスc)、
プロセスcで求めた単位期間当たりの劣化外力の強さにこの実環境空間での暴露経過期間t A を乗じることによって、この実環境空間での暴露経過期間tAを劣化外力積算量XtAに換算するプロセス(プロセスd)、
XtAを(1)式の検量線に代入し、この実環境での暴露経過時間tAにおける塗膜Pの劣化進行度予測値Yを求めるプロセス(プロセスe)、
を有する塗膜劣化予測方法である。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、有機系塗膜の構造の違いによる予測精度を向上させるために、劣化外力の積算量に補正を加えるものである。すなわち、請求項1におけるプロセスd、eに代えて、
促進耐候性試験と実環境空間での暴露試験における、平均温度(℃)および分光分布の少なくとも一方の因子の差に基づく補正係数kを設定し、劣化外力積算量Xを劣化外力積算量補正値XRに変換する下記(2)式の補正式を作成するプロセス(プロセスc2)、
R=k×X …(2)
プロセスcで求めた単位期間当たりの劣化外力の強さにこの実環境空間での暴露経過期間t A を乗じることによって、この実環境空間での暴露経過期間tAを劣化外力積算量XtAに換算し、これを(2)式のXに代入して劣化外力積算量補正値XRAに変換するプロセス(プロセスd2)、
RAを(1)式の検量線に代入し、この実環境での暴露経過時間tAにおける塗膜Pの劣化進行度予測値Yを求めるプロセス(プロセスe2)、
を有する塗膜劣化予測方法である。
請求項3の発明は、塗膜Pについても屋外暴露試験を行い、請求項1の検量線による予測精度を向上させるものである。塗膜の化学組成を反映するFT−IR(フーリエ変換赤外分光法)の測定結果に基づいて、(1)式に入力するための劣化外力積算量に補正を加える。具体的には請求項1の発明と比べ、プロセスa、b、cを行う点で共通するが、その他に、以下のプロセスを行う。
すなわち、プロセスbの種々の試験経過時間のサンプルについてFT−IRによる赤外吸収スペクトルを測定し、それら各サンプルの赤外吸収スペクトルにおける特定のn箇所(nは2以上の整数)のピーク位置の吸光度A1〜Anを説明変数、前記塗膜劣化の進行度Yを目的変数とする下記(3)式の回帰式を作成するプロセス(プロセスb2)、
Y=f2(A1〜An) …(3)
塗膜Pをプロセスcの実環境空間で劣化外力積算量X1に相当する期間の暴露試験に供し、その試験後のサンプルについてFT−IRによる赤外吸収スペクトルを測定し、赤外吸収スペクトルにおける前記n箇所の吸光度の値を(3)式に代入して塗膜劣化の進行度計算値Y(3)(X1)を算出するプロセス(プロセスc3)、
(1)式の検量線を用いて、塗膜劣化の進行度計算値Yが前記Y(3)(X1)となるときの劣化外力積算量Xを逆算し、そのXとX1とのずれ量が小さくなるように、(1)式に入力するための劣化外力積算量Xを劣化外力積算量補正値XRに変換する下記(4)式の関数gを作成するプロセス(プロセスc4)、
R=g(X) …(4)
プロセスcで求めた単位期間当たりの劣化外力の強さにこの実環境空間での暴露経過期間t A を乗じることによって、この実環境空間での暴露経過期間tAを劣化外力積算量XtAに換算し、これを(4)式に代入して劣化外力積算量補正値XRAに変換するプロセス(プロセスd3)、
RAを(1)式の検量線に代入し、この実環境での暴露経過時間tAにおける塗膜Pの劣化進行度予測値Yを求めるプロセス(プロセスe2)、
を有する塗膜劣化予測方法である。
請求項4の発明は、請求項3の発明と同様に塗膜Pについて屋外暴露試験を行い、FT−IR測定を行うが、ここでは検量線自体を校正し、校正した検量線によって塗膜劣化を予測する。すなわち、請求項3におけるプロセスc4、d3、e2に代えて、
(1)式の検量線を用いて、塗膜劣化の進行度計算値Yが前記Y(3)(X1)となるときの劣化外力積算量Xを逆算し、そのXとX1とのずれ量が小さくなるように(1)式の検量線を校正して、下記(5)式の校正検量線を作成するプロセス(プロセスc5)、
Y=fR(X) …(5)
プロセスcで求めた単位期間当たりの劣化外力の強さにこの実環境空間での暴露経過期間t A を乗じることによって、この実環境空間での暴露経過期間tAを劣化外力積算量XtAに換算するプロセス(プロセスd)、
XtAを(5)式の校正検量線に代入して、この実環境での暴露経過時間tAにおける塗膜Pの劣化進行度予測値Yを求めるプロセス(プロセスe3)、
を有する塗膜劣化予測方法である。
上記請求項3、4の発明は、有機系塗膜Pについて屋外暴露試験を行って、その塗膜Pについての塗膜劣化の予測精度を向上させるものである。これに対し、請求項5の発明は、塗膜Pを用いて得られた予測精度向上のためのデータを、別の有機系塗膜Qの測定精度向上に有効活用するものである。この場合、有機系塗膜Qの屋外暴露を必要とせずに予測精度の向上が図れる。すなわち、屋外暴露試験と促進耐候性試験の間の相関性を修正するために必要な屋外暴露は、基本的に塗膜Pについて一度行えば済む。
請求項5の発明は、請求項3におけるプロセスe2に代えて、
有機系塗膜Qを前記促進耐候性試験に供し、種々の試験経過時間のサンプルについて塗膜の劣化度合いを反映した指標を測定し、各試験経過時間での前記指標を表す「塗膜劣化の進行度Y」と、プロセスaで得られたこの促進耐候性試験条件の単位時間当たりの劣化外力の強さに試験経過時間を乗じることによって求まる各試験経過時間での「劣化外力積算量X」とから得られる、各試験経過時間での(X,Y)のプロットに基づき、「塗膜劣化の進行度Y」と「劣化外力積算量X」の関係を表す下記(6)式の検量線を作成するプロセス(プロセスf)、
Q=fQ(X) …(6)
プロセスd3で求めたXRAを(6)式の検量線に代入して、この実環境での暴露経過時間tAにおける塗膜Qの劣化進行度予測値Yを求めるプロセス(プロセスg)、
を有する塗膜劣化予測方法である。
以上において、前記ポリオレフィン系標準試料としては、ポリエチレンリファレンス試験片を使用することができる。劣化外力の強さの指標としては、例えばFT−IR(フーリエ変換赤外分光法)により測定されるカルボニルインデックス値を適用することができる。塗膜劣化特性としては、例えば60°鏡面光沢度(60°グロス値)による光沢保持率(%)を用いることができる。60°鏡面光沢度はJIS K5600−4−7に従って求められる。耐候性試験に供する前の原塗膜の60°グロス値をG0、測定対象塗膜の60°グロス値をG1とすると、当該測定対象塗膜の光沢保持率GR(%)は下記(7)式により定まる。
GR(%)=G1/G0×100 …(7)
本発明によれば、塗膜が設置される場所に近い地理的環境の塗膜劣化外力の強さを標準試料によって一度把握しておけば、個々の塗膜について、促進耐候性試験に供するだけで簡便に前記塗膜設置場所での塗膜劣化の進行パターンを予測することができる。また、その予測精度を上げるためには、ある有機系塗膜Pを代表に選んで、その屋外暴露試験データを他の有機系塗膜についても活用できるので、最初に一度屋外暴露試験を行っておくだけで、あとは基本的に促進耐候性試験によって種々の有機系塗膜について当該屋外暴露環境での塗膜劣化を精度良く予測できる。その最初に行う屋外暴露試験についても、汚れ付着などの外乱を排除したデータ採取が可能である。本発明に従えば、任意の地理的環境に置かれる屋外構造物について、塗膜の選定および更新計画の策定を合理的に行うことができる。
ある促進耐候性試験に供したポリエチレンリファレンス試験片のFT−IR赤外吸収スペクトル。 劣化外力積算量と光沢保持率の関係を表す検量線を例示した図。 実環境試験での劣化外力積算量と光沢保持率測定値の関係を例示した図。 促進耐候性試験を行った有機系塗膜サンプルの赤外吸収スペクトルを例示した図。 宮古島で24ヶ月の暴露試験を行った有機系塗膜サンプルの赤外吸収スペクトルを例示した図。 銚子で24ヶ月の暴露試験を行った有機系塗膜サンプルの赤外吸収スペクトルを例示した図。
《基本的なプロセス》
請求項1の発明に対応する基本的なプロセスを説明する。
〔プロセスa〕
本発明では、所定条件での促進耐候性試験を利用して、実環境における塗膜の耐候性を評価する。そのために、まず標準試料により、この促進耐候性試験条件の単位時間当たりの劣化外力の強さを求めておく。この操作は、上記所定の条件に設定した促進耐候性試験機を用いて一度行えばよい。
促進耐候性試験はキセノンアーク灯式またはカーボンアーク灯式の促進耐候性試験機で行うことが好ましい。標準試料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の単純な構造の炭化水素系有機高分子であるポリオレフィン系のものを使用する。例えば、市販されている標準試料として一般財団法人日本ウエザリングテストセンターの規格JWTCS4001に従う「ポリエチレンリファレンス試験片」を挙げることができる。促進耐候性試験条件は、従来一般的に行われている有機系塗膜の試験条件を採用すればよい。ポリエチレンリファレンス試験片の場合、促進試験サイクルを合計時間50〜100h程度まで実施した段階で取りだし、劣化の進行程度を測定し、この促進耐候性試験の単位時間当たりの劣化外力の強さを求めることができる。有機高分子は紫外線や熱の作用によってポリマー鎖に生成したラジカルに酸素が反応する自動酸化反応で劣化が進行する。この酸化劣化ではC−C結合のラジカルに酸素が付加してできるC=O結合(カルボニル基)の増大を定量的に調べることで、その環境での紫外線や熱の強さ、すなわち劣化外力の大きさを知ることができる。例えば、このC=O結合の量をFT−IRで測定する方法や、酸素原子の増加した量を蛍光X線分析により測定する方法が挙げられる。
ここでは、劣化外力の強さとして、カルボニルインデックス値を使用する場合を例示する。カルボニルインデックス値はFT−IRによる赤外吸収スペクトルにおける波数1715cm-1付近の吸光度A1715と、波数2020cm-1付近の吸光度A2020の比、A1715/A2020によって表される。A1715はC=O結合の吸収ピーク、A2020はCH2の吸収ピークにそれぞれ相当するピークのピーク高さである。図1に、ある促進耐候性試験に供したポリエチレンリファレンス試験片のFT−IRによる赤外吸収スペクトルを例示する。C=O吸収ピークとCH2吸収ピークのピーク高さは、それぞれ図1に示したようにベースラインからの高さによって定める。この例のカルボニルインデックス値はA1715/A2020=0.08328/0.12384≒0.672と求まる。これを促進耐候性試験時間で除することにより、この試験条件についての単位時間(例えば100h)当たりの劣化外力をカルボニルインデックス値を用いて表すことができる。任意の促進試験時間での劣化外力積算量は、単位時間当たりの劣化外力に試験時間を乗じることによって求まる。
〔プロセスb〕
促進耐候性試験により塗膜劣化の進行度を予測するために検量線を作成するプロセスである。有機系塗膜Pを前記促進耐候性試験に供し、種々の試験経過時間のサンプルについて塗膜劣化特性を測定する。塗膜劣化特性としては、塗膜の劣化度合いを反映した指標を採用する。例えば、光沢度、色差、強度、伸び、硬さ、付着力などが考えられる。ここでは非破壊で比較的測定の容易な指標として、光沢度の測定により求まる光沢保持率を例に挙げて説明する。促進耐候性試験では汚れ付着などによる外乱の影響はほとんど無視することができる。光沢保持率は、例えば60°鏡面光沢度(グロス値)のデータを基に、上述の(7)式によって求めることができる。
促進耐候性試験に供した種々の試験時間の塗膜Pについて光沢保持率を測定し、(劣化外力積算量X,光沢保持率Y)のプロットを近似する下記(1)式の関係式を求め、これを検量線とする。
Y=f(X) …(1)
〔プロセスc〕
塗膜が設置される地理的環境で、プロセスaと同種のポリオレフィン系標準試料を実環境空間での暴露試験に供する。特殊な場合を除き外装塗膜は屋外に設置されるので、通常、屋外暴露試験を実施することになる。暴露試験期間は気候変動を考慮して12ヶ月またはその倍数の期間とすることが望ましい。試験後の標準試料について、プロセスaと同様の方法で劣化の進行程度を測定し、この実環境空間における単位期間(例えば1ヶ月)当たりの劣化外力の強さを定める。
〔プロセスd〕
プロセスcで求めた実環境空間の単位期間当たりの劣化外力の強さ(例えば単位期間当たりのカルボニルインデックス値の平均増加量)に、この実環境空間での暴露経過期間tAを乗じることにより、期間tAを、劣化外力積算量XtAに換算する。
〔プロセスe〕
XtAを(1)式の検量線に代入することによって、この実環境での暴露経過時間tAにおける塗膜Pの劣化進行度予測値(例えば期間tAにおける光沢保持率)Yを求める。
《実環境の温度や分光分布を考慮して劣化外力積算量を補正するプロセス》
請求項2の発明に対応するプロセスを説明する。
〔プロセスa〕、〔プロセスb〕、〔プロセスc〕
上記と同様の方法でこれらのプロセスを実施する。
〔プロセスc2〕
有機系塗膜の劣化には温度や分光分布も影響する。促進耐候性試験は劣化を促進させるために実環境より高い温度条件で行うのが通常である。実環境の地位的条件が比較的寒冷であるような場合には、(1)式の検量線による予測値が実際より悪い評価(劣化の進行が大きいという予測値)に振れる場合がある。また、促進耐候性試験の人工光源の分光放射照度が、実環境と大きく異なる場合にも評価精度が低下する場合がある。そのような場合には、促進耐候性試験と実環境空間での暴露試験における、平均温度(℃)および分光分布の少なくとも一方の因子の差に基づく補正係数kを設定し、任意の劣化外力積算量(例えばカルボニルインデックス値)Xを劣化外力積算量補正値XRに変換する下記(2)式の補正式を作成することが有効である。
R=k×X …(2)
〔プロセスd2〕
プロセスcで求めた実環境空間の単位期間当たりの劣化外力の強さ(例えば単位期間当たりのカルボニルインデックス値の平均増加量)に、この実環境空間での暴露経過期間tAを乗じることにより、期間tAにおける劣化外力積算量XtAを計算する。これを前記(2)式に代入して劣化外力積算量補正値XRAに変換する。
〔プロセスe2〕
RAを(1)式の検量線に代入して、この実環境での暴露経過時間tAにおける塗膜Pの劣化進行度予測値(例えば期間tAにおける光沢保持率)Yを求める。
《塗膜のFT−IR測定値に基づいて劣化外力積算量を補正するプロセス》
請求項3の発明に対応するプロセスを説明する。
〔プロセスa〕、〔プロセスb〕
上記と同様の方法でこれらのプロセスを実施する。
〔プロセスb2〕
検量線の測定精度を高めるために、ここでは前記プロセスbの種々の試験経過時間の塗膜Pサンプル(光沢保持率の測定を行ったもの)についてFT−IRによる赤外吸収スペクトルを測定する。それら各サンプルの赤外吸収スペクトルにおける特定のn箇所(nは2以上の整数)のピーク位置の吸光度A1〜Anを測定する。例えば、波数950〜2500cm-1の範囲に現れる、有機系塗膜の化学組成変化が反映される吸収ピークをいくつか測定対象として選定することができる。これらの吸光度A1〜Anを説明変数、前記塗膜劣化の進行度(例えば光沢保持率)Yを目的変数とする下記(3)式の回帰式を作成する。
Y=f2(A1〜An) …(3)
f2(A1〜An)は、A1〜Anを変数とする多変量の関数を意味する。
〔プロセスc〕
上記と同様の方法で実施する。
〔プロセスc3〕
塗膜Pをプロセスcの実環境空間で劣化外力積算量X1に相当する期間の暴露試験に供する。その試験後のサンプルについてFT−IRによる赤外吸収スペクトルを測定し、赤外吸収スペクトルにおける前記n箇所の吸光度の値を(3)式に代入して塗膜劣化の進行度(例えば光沢保持率)の計算値Y(3)(X1)を算出する。
〔プロセスc4〕
(1)式の検量線を用いて、塗膜劣化の進行度計算値Yが前記Y(3)(X1)となるときの劣化外力積算量Xを逆算し、そのXとX1とのずれ量が小さくなるように、(1)式に入力するための劣化外力積算量Xを劣化外力積算量補正値XRに変換する下記(4)式の関数gを作成する。
R=g(X) …(4)
〔プロセスd3〕
プロセスcで求めた単位期間当たりの劣化外力の強さから、この実環境空間での暴露経過期間tAを劣化外力積算量XtAに換算し、これを(4)式に代入して劣化外力積算量補正値XRAに変換する。
〔プロセスe2〕
RAを(1)式の検量線に代入し、この実環境での暴露経過時間tAにおける塗膜Pの劣化進行度予測値Yを求める。
《塗膜のFT−IR測定値に基づいて検量線を校正するプロセス》
請求項4の発明に対応するプロセスを説明する。
〔プロセスa〕、〔プロセスb〕、〔プロセスb2〕、〔プロセスc〕、〔プロセスc3〕、〔プロセスc4〕
上記と同様の方法でこれらのプロセスを実施する。
〔プロセスc5〕
(1)式の検量線を用いて、塗膜劣化の進行度計算値Yが前記Y(3)(X1)となるときの劣化外力積算量Xを逆算し、そのXとX1とのずれ量が小さくなるように(1)式の検量線を校正して、下記(5)式の校正検量線を作成する。
Y=fR(X) …(5)
〔プロセスd〕
プロセスcで求めた単位期間当たりの劣化外力の強さから、この実環境空間での暴露経過期間tAを劣化外力積算量XtAに換算する。
〔プロセスe3〕
XtAを(5)式の校正検量線に代入して、この実環境での暴露経過時間tAにおける塗膜Pの劣化進行度予測値(例えば期間tAにおける光沢保持率)Yを求める。
《劣化外力積算量の補正を別の有機系塗膜の劣化予測に活用するプロセス》
請求項5の発明に対応するプロセスを説明する。この態様において、塗膜Pは単に前記(4)式の補正式を求めるために利用する塗膜である。劣化予測の対象となる塗膜は、塗膜Pとは別の任意の有機系塗膜である。その対象塗膜を塗膜Qと表記している。
〔プロセスa〕、〔プロセスb〕、〔プロセスb2〕、〔プロセスc〕、〔プロセスc3〕、〔プロセスc4〕、〔プロセスd3〕
上記と同様の方法でこれらのプロセスを実施する。
〔プロセスf〕
対象塗膜である有機系塗膜Qについて促進耐候性試験に供し、プロセスbと同様の手法で「塗膜劣化の進行度(例えば光沢保持率)Y」と「劣化外力積算量(例えばカルボニルインデックス値)X」の関係を表す下記(6)式の検量線を作成する。
Q=fQ(X) …(6)
〔プロセスg〕
プロセスd3で求めた前記XRAを(6)式の検量線に代入して、この実環境での暴露経過時間tAにおける塗膜Qの劣化進行度予測値(例えば期間tAにおける光沢保持率)Yを求める。
ポリオレフィン系標準試料として、一般財団法人日本ウエザリングテストセンターの規格JWTCS4001に従う「ポリエチレンリファレンス試験片」を用意した。
有機系塗膜として、ポリエステル樹脂系粉体塗料(関西ペイント株式会社製、エバクラッドハーベスト)を塗装して160℃で20min加熱処理した塗膜を用いた。塗装基材には厚さ2mmのアルミニウム合金(A6063S−T5)の表面をクロム酸塩系処理剤(日本パーカライジング株式会社製、アルクロム713)で化成処理したものを用いた。有機系塗膜を形成した試験片サイズは70×150×t2(mm)である。以下、この塗膜を「塗膜P」と呼ぶ。
促進耐候性試験は、スガ試験機株式会社製7.5kWキセノンウェザーメーターSX75を用いて、ブラックパネル温度63±3℃、散水12min、照射108minのサイクル条件で行った。実環境暴露試験は、一般財団法人日本ウエザリングテストセンターの宮古島暴露試験場と銚子暴露試験場で行った。FT−IR(フーリエ変換赤外分光法)による赤外吸収スペクトルの測定は、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製、Nicolet iS10を用いて行った。光沢保持率の測定は、コニカミノルタ株式会社製、光沢計GM−268を用いて耐候性試験前後の塗膜の60°グロス値を測定することによって行った。
《実施例1》
ポリエチレンリファレンス試験片を100hの促進耐候性試験に供した後、FT−IRによりカルボニルインデックス値を測定した。その結果、この促進耐候性試験条件でのカルボニルインデックス値による劣化外力の強さは、単位時間(100h)当たり1.38であった。この値に促進耐候性試験時間を乗じることにより、その時点の劣化外力積算量が求まる。
塗膜Pを最大3500hまでの促進耐候性試験に供した。試験時間500h毎のサンプルについて光沢保持率を測定した。表1に、各試験時間の劣化外力積算量(カルボニルインデックス値によるもの)、60°鏡面光沢度(グロス値)、光沢保持率を示す。また、このデータに基づき、劣化外力積算量と光沢保持率の関係を表す検量線を作成した。図2に、その検量線を示す。
Figure 0006223268
銚子および宮古島の屋外暴露試験場でポリエチレンリファレンス試験片を最大30ヶ月までの実環境暴露試験に供し、各暴露期間経過後のサンプルについてFT−IRによりカルボニルインデックス値を測定した。暴露期間24ヶ月の試験片のカルボニルインデックス値を月数24で除することによって求めた単位期間(1ヶ月)当たりの劣化外力の強さは、宮古島:24.7/24≒1.03、銚子:18.5/24≒0.77であった。
促進耐候性試験によるそれぞれの実環境での塗膜劣化の進行予測結果とのずれを確認するために、塗膜Pを上記ポリエチレンリファレンス試験片とともに実環境暴露試験に供した。各暴露期間経過後のサンプルについて、表面の汚れを水洗した後、光沢保持率を測定した。表2、表3に、それぞれ宮古島および銚子における各暴露期間の劣化外力(カルボニルインデックス値によるもの)、60°鏡面光沢度(グロス値)、光沢保持率を示す。また、図3に、実環境試験での劣化外力積算量(各暴露期間でのカルボニルインデックス測定値)と光沢保持率測定値の関係を示す。
Figure 0006223268
Figure 0006223268
図2の検量線を用いて実環境暴露期間24ヶ月における塗膜劣化を予測すると、以下のようになる。実環境24ヶ月での劣化外力積算量は、宮古島:24.7、銚子:18.5である。これらの値を図2に当てはめると、宮古島の場合、24ヶ月の光沢保持率の予測値約40%となり、光沢度を劣化指標とする塗膜劣化は24ヶ月でかなり進行すると予測される。銚子の場合、24ヶ月の光沢保持率の予測値は約80%であり、塗膜劣化はまだあまり進行していない状態であると予測される。実際に実環境で24ヶ月暴露した塗膜の光沢保持率は宮古島:32.4%、銚子:67.4%であり、いずれも予測値より低い。その要因の一つとして屋外暴露に伴う汚れ付着が考えられる。
図2に例示したような促進耐候性試験だけで求めた検量線は、劣化外力の強さが判っている任意の実環境での有機塗膜劣化の進行予測に利用できる。塗膜劣化の測定値(例えば光沢保持率の測定値)自体には、実環境の測定値と多少のずれが生じるが、劣化外力積算量で整理した図2のような塗膜劣化パターン(検量線)の作成は、各地域での塗膜の適用可能性や、更新計画の策定を迅速かつ簡便に行う手段として有用である。
《実施例2》
実施例1の促進耐候性試験に供した試験時間500h毎の塗膜Pサンプルについて、FT−IRの1回反射ATR法(ATR結晶:ダイヤモンド)により波数4000〜700cm-1の範囲の赤外吸収スペクトルを測定した。そのスペクトルから劣化による化学組成変化を比較的よく反映すると考えられる5つのピーク(波数1718、1373、1300、1223、および984cm-1付近のもの)を選び、吸光度の値を調べた。そして、これらの吸光度A1〜A5を説明変数、実施例1で測定した光沢保持率を目的変数とする回帰式(前述(3)式に相当するもの)を作成した。図4に、促進耐候性試験の各試験時間のサンプルについて測定した赤外吸収スペクトルを並べて例示する。
宮古島、銚子で24ヶ月の実環境暴露試験を行ったそれぞれの塗膜Pサンプルについても、上記と同様の方法で赤外吸収スペクトルを測定した。それらの赤外吸収スペクトルについて、図5に宮古島、図6に銚子のものを例示する。上記5つのピークの吸光度の値を調べた。これら各吸光度の値を上記の回帰式に代入した。その回帰式から算出される暴露期間24ヶ月時点の光沢保持率は、宮古島:34.9%、銚子:77.2%であった。そのときの劣化外力積算量は宮古島:24.7(表2)、銚子:18.5(表3)である。一方、実施例1の検量線(図2)において光沢保持率が34.9%および77.2%となる劣化外力積算量はそれぞれ25.5および20.5である。従って、図2の検量線をそのまま適用する場合には、両暴露地とも、予測したい劣化外力積算量の値を少し大きい値に補正した上で図2を適用すると、より精度良く塗膜劣化の進行状態を予測することができる。具体的には、劣化外力積算量の補正係数として、宮古島:25.5/24.7=1.032、銚子:20.5/18.5=1.108をそれぞれ乗じたうえで、図2の検量線を適用する予測精度向上方法が例示できる。
このようにして塗膜Pの実環境暴露試験によって求めた劣化外力積算量の補正係数は、他の有機系塗膜Qについての検量線を適用する場合の予測精度向上方法においても、そのまま適用することができる。
また、図2の検量線自体を校正する方法も有効である。例えば、劣化外力積算量(横軸)の拡大率として、宮古島:24.7/25.5=0.969、銚子:18.5/20.5=0.902の値を適用して、それぞれ新たな校正検量線を作成する予測精度向上方法が例示できる。
なお、化学組成を反映した上記回帰式による光沢保持率の計算値(宮古島:34.9%、銚子:77.2%)が、図2の検量線による光沢保持率の予測値(宮古島:約40%、銚子:約80%)よりも、暴露サンプルの実測値(宮古島:32.4%、銚子:67.4%)に近づいたのは、屋外暴露に伴う汚れ付着等の外乱以外の「ずれ要因」が是正されたことによるものと考えられる。

Claims (8)

  1. ポリオレフィン系標準試料を促進耐候性試験に供し、この促進耐候性試験条件の単位時間当たりの劣化外力の強さを求めるプロセス(プロセスa)、
    有機系塗膜Pを前記促進耐候性試験に供し、種々の試験経過時間のサンプルについて塗膜の劣化度合いを反映した指標を測定し、各試験経過時間での前記指標を表す「塗膜劣化の進行度Y」と、プロセスaで得られたこの促進耐候性試験条件の単位時間当たりの劣化外力の強さに試験経過時間を乗じることによって求まる各試験経過時間での「劣化外力積算量X」とから得られる、各試験経過時間での(X,Y)のプロットに基づき、「塗膜劣化の進行度Y」と「劣化外力積算量X」の関係を表す下記(1)式の検量線を作成するプロセス(プロセスb)、
    Y=f(X) …(1)
    プロセスaと同種のポリオレフィン系標準試料を実環境空間での暴露試験に供し、その実環境空間の単位期間当たりの劣化外力の強さを求めるプロセス(プロセスc)、
    プロセスcで求めた単位期間当たりの劣化外力の強さにこの実環境空間での暴露経過期間t A を乗じることによって、この実環境空間での暴露経過期間tAを劣化外力積算量XtAに換算するプロセス(プロセスd)、
    XtAを(1)式の検量線に代入し、この実環境での暴露経過時間tAにおける塗膜Pの劣化進行度予測値Yを求めるプロセス(プロセスe)、
    を有する塗膜劣化予測方法。
  2. 請求項1におけるプロセスd、eに代えて、
    促進耐候性試験と実環境空間での暴露試験における、平均温度(℃)および分光分布の少なくとも一方の因子の差に基づく補正係数kを設定し、劣化外力積算量Xを劣化外力積算量補正値XRに変換する下記(2)式の補正式を作成するプロセス(プロセスc2)、
    R=k×X …(2)
    プロセスcで求めた単位期間当たりの劣化外力の強さにこの実環境空間での暴露経過期間t A を乗じることによって、この実環境空間での暴露経過期間tAを劣化外力積算量XtAに換算し、これを(2)式のXに代入して劣化外力積算量補正値XRAに変換するプロセス(プロセスd2)、
    RAを(1)式の検量線に代入し、この実環境での暴露経過時間tAにおける塗膜Pの劣化進行度予測値Yを求めるプロセス(プロセスe2)、
    を有する請求項1に記載の塗膜劣化予測方法。
  3. ポリオレフィン系標準試料を促進耐候性試験に供し、この促進耐候性試験条件の単位時間当たりの劣化外力の強さを求めるプロセス(プロセスa)、
    有機系塗膜Pを前記促進耐候性試験に供し、種々の試験経過時間のサンプルについて塗膜の劣化度合いを反映した指標を測定し、各試験経過時間での前記指標を表す「塗膜劣化の進行度Y」と、プロセスaで得られたこの促進耐候性試験条件の単位時間当たりの劣化外力の強さに試験経過時間を乗じることによって求まる各試験経過時間での「劣化外力積算量X」とから得られる、各試験経過時間での(X,Y)のプロットに基づき、「塗膜劣化の進行度Y」と「劣化外力積算量X」の関係を表す下記(1)式の検量線を作成するプロセス(プロセスb)、
    Y=f(X) …(1)
    プロセスbの種々の試験経過時間のサンプルについてFT−IRによる赤外吸収スペクトルを測定し、それら各サンプルの赤外吸収スペクトルにおける特定のn箇所(nは2以上の整数)のピーク位置の吸光度A1〜Anを説明変数、前記塗膜劣化の進行度Yを目的変数とする下記(3)式の回帰式を作成するプロセス(プロセスb2)、
    Y=f2(A1〜An) …(3)
    プロセスaと同種のポリオレフィン系標準試料を実環境空間での暴露試験に供し、その実環境空間の単位期間当たりの劣化外力の強さを求めるプロセス(プロセスc)、
    塗膜Pをプロセスcの実環境空間で劣化外力積算量X1に相当する期間の暴露試験に供し、その試験後のサンプルについてFT−IRによる赤外吸収スペクトルを測定し、赤外吸収スペクトルにおける前記n箇所の吸光度の値を(3)式に代入して塗膜劣化の進行度計算値Y(3)(X1)を算出するプロセス(プロセスc3)、
    (1)式の検量線を用いて、塗膜劣化の進行度計算値Yが前記Y(3)(X1)となるときの劣化外力積算量Xを逆算し、そのXとX1とのずれ量が小さくなるように、(1)式に入力するための劣化外力積算量Xを劣化外力積算量補正値XRに変換する下記(4)式の関数gを作成するプロセス(プロセスc4)、
    R=g(X) …(4)
    プロセスcで求めた単位期間当たりの劣化外力の強さにこの実環境空間での暴露経過期間t A を乗じることによって、この実環境空間での暴露経過期間tAを劣化外力積算量XtAに換算し、これを(4)式に代入して劣化外力積算量補正値XRAに変換するプロセス(プロセスd3)、
    RAを(1)式の検量線に代入し、この実環境での暴露経過時間tAにおける塗膜Pの劣化進行度予測値Yを求めるプロセス(プロセスe2)、
    を有する塗膜劣化予測方法。
  4. 請求項3におけるプロセスc4、d3、e2に代えて、
    (1)式の検量線を用いて、塗膜劣化の進行度計算値Yが前記Y(3)(X1)となるときの劣化外力積算量Xを逆算し、そのXとX1とのずれ量が小さくなるように(1)式の検量線を校正して、下記(5)式の校正検量線を作成するプロセス(プロセスc5)、
    Y=fR(X) …(5)
    プロセスcで求めた単位期間当たりの劣化外力の強さにこの実環境空間での暴露経過期間t A を乗じることによって、この実環境空間での暴露経過期間tAを劣化外力積算量XtAに換算するプロセス(プロセスd)、
    XtAを(5)式の校正検量線に代入して、この実環境での暴露経過時間tAにおける塗膜Pの劣化進行度予測値Yを求めるプロセス(プロセスe3)、
    を有する請求項3に記載の塗膜劣化予測方法。
  5. 請求項3におけるプロセスe2に代えて、
    有機系塗膜Qを前記促進耐候性試験に供し、種々の試験経過時間のサンプルについて塗膜の劣化度合いを反映した指標を測定し、各試験経過時間での前記指標を表す「塗膜劣化の進行度Y」と、プロセスaで得られたこの促進耐候性試験条件の単位時間当たりの劣化外力の強さに試験経過時間を乗じることによって求まる各試験経過時間での「劣化外力積算量X」とから得られる、各試験経過時間での(X,Y)のプロットに基づき、「塗膜劣化の進行度Y」と「劣化外力積算量X」の関係を表す下記(6)式の検量線を作成するプロセス(プロセスf)、
    Q=fQ(X) …(6)
    プロセスd3で求めたXRAを(6)式の検量線に代入して、この実環境での暴露経過時間tAにおける塗膜Qの劣化進行度予測値Yを求めるプロセス(プロセスg)、
    を有する請求項3に記載の塗膜劣化予測方法。
  6. 前記ポリオレフィン系標準試料として、ポリエチレンリファレンス試験片を使用する請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗膜劣化予測方法。
  7. 劣化外力の強さの指標を、FT−IRにより測定されるカルボニルインデックス値とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の塗膜劣化予測方法。
  8. 塗膜劣化特性として、60°鏡面光沢度による光沢保持率(%)を用いる請求項1〜7のいずれか1項に記載の塗膜劣化予測方法。
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