JP6223223B2 - 前照灯用光軸制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、車両に装着された前照灯の光軸を調整する前照灯用光軸制御装置に関するものである。
車両に搭載される前照灯には、高級感を醸し出しながら、夜間の走行性を高めるために、光源として従来のハロゲン電球に代替して、明るい放電灯、および任意の方向を明るく照らすLED(発光ダイオード)が普及している。
明るい光源を車両に搭載するにあたっては、特にすれ違い用の前照灯において、例えば、後部座席に搭乗者が乗車、あるいはトランクに貨物を積載して車両の後部が下がって傾いたときには、対向車を運転するドライバを眩惑しないように、また、当前照灯に対峙する歩行者に不快感を与えないために、路面に対する前照灯の照射する方向(配光)、つまり、前照灯の光軸を下げる必要がある。このような車両の傾斜に対応して前照灯の光軸を下げる操作を自動的に行うために、上記光源を搭載する車両には前照灯用光軸制御装置が備えられている。
この前照灯の光軸制御装置は、上記のように車両が傾斜しても前照灯の照射方向を本来の方向(傾き)に戻すべく、車両の傾斜を相殺するよう光軸を上下に操作(傾動)するものである。そのため、まず、路面に対する車両の傾斜を測定する必要がある。当車両の傾斜を求めるために、従来は車両前後のサスペンションに取り付けられたストロークセンサを使用して、前後のサスペンションの縮み量、即ち、前後の車軸部の沈み込み量を計測し、当前後の沈み込み量の差分とホイールベースの長さに基づいて路面に対する車両の傾斜を算出していた。
昨今においては、上記サスペンションのストロークセンサを使用する構成以外に、以下の特許文献1〜5のような加速度センサを使用する構成が検討されている。
特開2011−116201号公報 特開2012−96663号公報 特開2012−106719号公報 特開2013−1156号公報 特開2012−126232号公報
上記特許文献1〜5に係る前照灯用光軸制御装置は、いずれも、車両の前後方向と上下方向の2軸の加速度を検出して、路面に対する車両の傾斜を演算して光軸制御を行うものである。車両の前後・上下の2方向の加速度から傾斜角度を演算する手法は、本発明の骨子から外れるため説明は割愛するが、いずれの構成においても、高感度で高精度の加速度センサが必要であった。
上記のような高感度で高精度の加速度センサにも、オフセットおよび感度にばらつきがあり、温度によるドリフト、さらには経時変化があるため、このオフセットおよび感度を補正しなければ、計測した加速度の確度、即ち、傾斜角度の確度が低下するという課題があった。そして、傾斜角度の確度低下が光軸の調整不備、即ち、前照灯の配光不良を引き起こす。
しかしながら、上記特許文献1〜4では温度ドリフト等が重要視されておらず、オフセットおよび感度を補正する解決策は記載されていない。
上記特許文献5では温度ドリフト等を考慮しているが、加速度センサの計測値のずれを修正するものではなく、計測値が大きくずれたときに、光軸の位置を初期設定位置に近づけるフェールセーフ機能を実現するものである。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、加速度センサの計測値のずれを修正し、確度の高い光軸調整を実施する前照灯用光軸制御装置を提供することを目的とする。
この発明に係る前照灯用光軸制御装置は、車両が等速走行中であると判別された場合に、入力された上下方向と前後方向の加速度計測値を複数組使用して、加速度センサが計測した加速度計測値に含まれるオフセットを推定するオフセット推定部と、オフセット推定部が推定したオフセットを基にして加速度計測値を補正し、車両の傾斜角度を算出する傾斜角度演算部とを備えるものである。
この発明によれば、複数組の加速度計測値を使用して加速度センサのオフセットを推定するようにしたので、加速度センサの計測値のずれを修正し、確度の高い光軸調整を実施可能な前照灯用光軸制御装置を提供することができる。
この発明の実施の形態1に係る前照灯用光軸制御装置を用いた前照灯用光軸制御システムの車両搭載例を示す図である。 図1の車両に貨物を搭載した場合の傾斜状態を説明する図である。 実施の形態1に係る前照灯用光軸制御装置の構成を示すブロック図である。 理想的な加速度センサにより、X軸とZ軸に分解して計測される加速度の様子を示す図であり、車両停止時の例である。 理想的な加速度センサにより、X軸とZ軸に分解して計測される加速度の様子を示す図であり、車両走行時の例である。 現実の加速度センサにより、X軸とZ軸に分解して計測される加速度の様子を示す図である。 実施の形態1に係る前照灯用光軸制御装置の基本的な動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態2に係る前照灯用光軸制御装置を用いた前照灯用光軸制御システムの車両搭載例を示す図である。 実施の形態2に係る前照灯用光軸制御装置のオフセット推定方法を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態3に係る前照灯用光軸制御装置のオフセット推定方法を示すフローチャートである。 図10Aのフローチャートの続きである。 実施の形態3に係る前照灯用光軸制御装置のX軸とZ軸の加速度計測値を格納するためのメモリの一例を示す図である。 実施の形態3に係る前照灯用光軸制御装置のオフセット推定処理の概要を説明する図である。 この発明の実施の形態4に係る前照灯用光軸制御装置のオフセット推定方法を示すフローチャートである。 図13Aのフローチャートの続きである。 この発明の実施の形態5に係る前照灯用光軸制御装置のオフセット推定方法を示すフローチャートである。 実施の形態5に係る前照灯用光軸制御装置X軸とZ軸の加速度計測値の出現頻度をカウントするためのメモリの一例を示す図である。 この発明の実施の形態6に係る前照灯用光軸制御装置のオフセット推定方法を示すフローチャートである。
実施の形態1.
図1に示すように、車両1には、光軸3の方向を調整する光軸駆動装置4を備えた前照灯2と、加速度センサ5,6と、前照灯用光軸制御装置10とが設置され、配線7,8により前照灯用光軸制御装置10が光軸駆動装置4と加速度センサ5,6に接続されている。なお、光軸駆動装置4にはモータおよび光軸調整機構が内蔵されている。これら前照灯2、光軸駆動装置4、加速度センサ5,6、前照灯用光軸制御装置10、および配線7,8を始めとする各接続配線の一式を、前照灯用光軸制御システムとする。
実施の形態1では、加速度センサ5が車両1に加わる前後方向(以下、X方向とも呼ぶ)の加速度を計測して前照灯用光軸制御装置10へ出力すると共に、加速度センサ6が車両1に加わる上下方向(以下、Z方向とも呼ぶ)の加速度を計測して前照灯用光軸制御装置10へ出力する。
実施の形態1に係る前照灯用光軸制御装置10は、車両1の前方を照らす前照灯2の上下方向の光軸3を目標光軸角度に保つものであり、走行中の加速および減速による車両1の傾斜角度変化には対応せずに、主に、図2に示すような貨物9の積載量、搭乗者の人数等で変わる車両1の傾斜角度変化に対応して制御するスタティック制御を行うものである。
図3は、実施の形態1に係る前照灯用光軸制御装置10の構成を示すブロック図である。図示するように、前照灯用光軸制御装置10は、加速度センサ5,6が計測した加速度計測値を取得する計測値取得部11と、加速度計測値から加速度センサ5,6のオフセットを推定するオフセット推定部12と、推定したオフセットを基に加速度計測値を補正して車両1の傾斜角度(図2に示すθ)を演算する傾斜角度演算部13と、傾斜角度に基づいて前照灯2の光軸3を制御する光軸制御信号を算出し出力する制御部14とを備える。光軸駆動装置4は、制御部14から入力される光軸制御信号に応じて、モータを駆動し、光軸調整機構を介して前照灯2の光学系部材を前後に傾けて光軸3の角度を操作(傾動)することによって、車両1の傾斜角度θに見合った光軸制御を行う。これにより、図2のように車両1が後傾すると光軸3が前傾するので、光軸3が一定に保たれる。
この前照灯用光軸制御装置10は、不図示のCPU(Central Processing Unit)を用いて構成されており、このCPUが内部メモリに格納されたプログラムを実行することによって、計測値取得部11、オフセット推定部12、傾斜角度演算部13、制御部14としての機能を実現する。
図4は、理想的な加速度センサにより、X軸とZ軸に分解して計測される加速度の様子を示す。なお、以下に説明する一連の図面においては、重力方向に垂れる振り子の挙動に対して違和感がないように極性を設定した。
車両1に加わる加速度が1Gの重力加速度に相当すると仮定した場合、オフセットの無い理想的な加速度センサが計測する水平路面における加速度の大きさと方向は、Z軸下向きの矢印101で表される。これは、理想的な加速度センサを路面に対して水平および垂直となるように設置し、車両1を水平路面に停車したときに計測される加速度の大きさと方向である。図1で言えば、加速度センサ5の計測方向が路面に対して平行、かつ、加速度センサ6の計測方向が路面に対して垂直に取り付けられているときに計測される加速度の大きさと方向である。
また、理想的な加速度センサが計測する下り坂における加速度の大きさと方向は矢印102、上り坂における加速度の大きさと方向は矢印103で表される。車両1の前部座席に搭乗する乗員の増加時、車両1の傾斜角度θaが変化して加速度は矢印101a,102a,103aになる。車両1の後部座席に搭乗する乗員増加時またはトランクへの貨物積載時には傾斜角度θbに変化して、加速度は矢印101b,102b,103bになる。
このように、理想的な加速度センサにおいては、停車中の車両1に加わる加速度の計測値が重力加速度1Gの円100を描く。
図5は、車両1が加速・減速する時の加速度の大きさと方向の変化を示す。水平路面、下り坂、上り坂を走行中の車両1が減速したときの傾斜角度θcの変化により、加速度は矢印101c,102c,103cになる。加速時には傾斜角度θdに変化して、加速度が矢印101d,102d,103dになる。このように走行中に計測される加速度は、重力加速度1Gの円100から外れる。
図6は、現実の加速度センサにより、X軸とZ軸に分解して計測される加速度の様子を示す。
車両1に取り付けられた現実の加速度センサ5,6が計測する加速度の大きさと方向は矢印111であり、理想的な加速度センサの矢印101からずれている。このずれは、加速度センサ5,6の計測方向が路面に対して傾斜して取り付けられていることも一因であり、下り坂および上り坂において計測される加速度の大きさと方向(矢印112,113)も理想的な場合(矢印102,103)からずれる。
このように、車両1に取り付けられた加速度センサ5,6と路面との間には、現実には傾斜が存在するため、加速度センサ5,6が計測する計測値が描く円110は、理想的な加速度センサの計測値が描く円100からずれる。
なお、図6に示すように、加速度センサ5が計測したX方向の値をAxn、加速度センサ6が計測したZ方向の値をAzn、X軸とZ軸の加速度計側値の中心点Oを(Axo,Azo)とすれば、加速度センサ5,6のオフセットは、計測用の原点(円100の中心点)と加速度計測値の中心点Oの差分(Axo,Azo)である。また、加速度センサ5,6の感度は、円110の半径である。ちなみに図6中の星印はX軸とZ軸の座標上にプロットした1組の加速度計測値である。
次に、前照灯用光軸制御装置10の動作を説明する。
図7は、前照灯用光軸制御装置10の基本動作を示すフローチャートである。光軸制御を開始すると、計測値取得部11が、イニシャル処理として計測タイマをリセットした後(ステップST1)、計測タイマをインクリメントし(ステップST2)、計測時間1msごとに加速度センサ5,6からX軸とZ軸の加速度計測値を取得する(ステップST3“YES”,ST4)。続いて、計測値取得部11は、取得した加速度計測値をフィルタ処理して、例えば車両1の振動等に起因した高周波をカットする(ステップST6)。
続いて、オフセット推定部12がX軸とZ軸の加速度計測値を基に、加速度センサ5,6のオフセットを演算する(ステップST7)。
実施の形態1では、ステップST7において、加速度計測値が重力加速度1Gに相当するものとして、当重力加速度を基準にしてオフセットを推定する。
加速度計測値Aの2乗A2(絶対値)は、式(1)である。
2=(Axn−Axo)2+(Azn−Azo)2
・・・(1)
加速度計測値の2乗A2と重力加速度との差分ΔA2は、式(2)となる。
ΔA2={(Axn−Axo)2+(Azn−Azo)2}−1
・・・(2)
なお、A2が加速度計測値Aの2乗であるため、重力加速度の2乗を減じるべきであるが、幸い重力加速度が1Gであるため、あえて1の2乗とは記さない。
さらに、加速度センサ5,6の感度を、感度の補正係数kx,kzにより補正すると、式(3)となる。なお、k・A=1Gとなるような補正係数kx,kzを予め設定しておく。
ΔA2={kx・(Axn−Axo)}2+{kz・(Azn−Azo)}2−1
・・・(3)
オフセット推定部12は、当差分ΔA2が小さくなるように演算を繰り返し、差分ΔA2が最も小さいときのX軸とZ軸の加速度計側値の中心点O(Axo,Azo)を、適切なオフセットとする。
当適切なオフセット(Axo,Azo)を基に、傾斜角度演算部13が加速度計測値(Axn,Azn)を補正して車両1の傾斜角度θを計算する(ステップST8)。車両1の傾斜角度θには、下式(4)を用いる。
θ=tan-1{kx・(Axn−Axo)}/{kz・(Azn−Azo)}
・・・(4)
Axn:X方向の加速度計測値
Azn:Z方向の加速度計測値
Axo:X方向のオフセット値
Azo:Z方向のオフセット値
kx:X方向の加速度センサ5の感度を補正する係数
kz:Z方向の加速度センサ6の感度を補正する係数
続いて、制御部14が傾斜角度θを基に、車両1の傾斜角度θを相殺する光軸制御信号を演算して(ステップST9)、光軸駆動装置4へ出力する(ステップST10)。
このように、前照灯用光軸制御装置10は1msごとにX軸とZ軸の加速度を計測して光軸3の調整を繰り返す。
加速度センサ5,6によって計測される加速度計測値に対し、逐次補正したオフセットを使用することによって、潜在的なオフセット、および温度ドリフト等による変化を相殺することができる。これにより、車両1に加わる加速度、即ち、傾斜角度を確度よく計測することができ、前照灯2の光軸3を確度よく制御することができる。
なお、実際の前照灯用光軸制御装置10においては、傾斜角度θをそのまま光軸制御に使用することはなく、当傾斜角度θを路面の状態や車両の挙動に対応する車両1の角度に換算してから、光軸制御に使用するが、当路面の状態や車両の挙動に対応する車両1の角度への換算手法、および当車両1の角度から前照灯2の光軸3を操作する手法は、本発明の骨子ではないため、説明は割愛する。
以上より、実施の形態1によれば、前照灯用光軸制御装置10は、入力された上下方向と前後方向の加速度計測値を複数組使用して、加速度センサ5,6のオフセットを推定するオフセット推定部12と、オフセット推定部12が推定したオフセットを基にして加速度計測値を補正し、車両1の傾斜角度を算出する傾斜角度演算部13とを備える構成にした。このため、温度ドリフトおよび経時変化による加速度センサ5,6の計測値のずれを修正し、確度の高い加速度の計測、即ち、確度の高い傾斜角度の計測ができ、確度の高い光軸調整が行える。
また、実施の形態1によれば、オフセット推定部12は、加速度センサ5,6が計測する加速度計測値が重力加速度に相当するものとして、当重力加速度を基準にしてオフセットを推定する構成にした。このように重力加速度を基準に使用することで、容易に確度の高い加速度の計測、即ち、確度の高い傾斜角度の計測ができ、確度の高い光軸調整が行える。
実施の形態2.
図8は、実施の形態2に係る前照灯用光軸制御装置10を用いた前照灯用光軸制御システムを示す図であり、図8において図1と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。実施の形態2では、車両1に設置された車速センサ20が検出する車速信号を、前照灯用光軸制御装置10の計測値取得部11に入力する。
次に、加速度センサ5,6のオフセット推定方法(図7のステップST7)の詳細を、図9のフローチャートを参照して説明する。
図4と図5で説明したように、車両1が停止しているときの傾斜角度は安定しており、当然のことながら、車両1が走行しているときの加速または減速による不確定要素は含まれないので、車両1の停車中には安定した加速度を計測できる。
そこで、ステップST11において先ず計測値取得部11が車速センサ20から車速信号を取得して、車両1が停車中か否か判定する。停車中なら(ステップST11“YES”)、加速度計測値が安定しているとみなして、ステップST12以降の処理を行う。停車中でなければ(ステップST11“NO”)、今回の加速度計測値を使用したオフセットの推定をキャンセルして図7のフローチャートに戻る。
なお、例えば、1回の停止あたり1組(X軸、Z軸)の加速度計測値を取得する等の、停止しているときの加速度計測値の取得量を制限しても構わない。
続いて計測値取得部11は、今回の加速度計測値と前回の加速度計測値を比較して、差分が10mG以下なら(ステップST12“YES”)、加速度計測値の揺らぎが少ない、即ち、安定しているとみなして、ステップST13以降のオフセット推定を行う。当差分が10mGより大きい場合(ステップST12“NO”)、今回の加速度計測値を使用したオフセット推定をキャンセルして図7のフローチャートに戻る。
なお、ステップST11またはステップST12のうちの一方の処理のみ実施しても構わない。
続いてオフセット推定部12は、上式(3)により、今回のX軸加速度計測値とZ軸加速度計測値から、重力加速度との差分ΔA2を算出する(ステップST13)。オフセット推定部12は、ΔA2>0ならば(ステップST14“YES”)、下式(5)を計算して、前回推定したオフセット値Axo,Azoを1/100大きくする(ステップST15)。一方、ΔA2<0ならば(ステップST16“YES”)、前回推定したオフセット値Axo,Azoを1/100小さくする(ステップST17)。ΔA2=0のときは(ステップST14“NO”かつST16“NO”)、修正しない。
ΔA2>0のとき、
Axo=Axo+(Axn−Axo)/100
Azo=Azo+(Azn−Azo)/100
・・・(5)
ΔA2<0のとき、
Axo=Axo−(Axn−Axo)/100
Azo=Azo−(Azn−Azo)/100
・・・(6)
最後に、オフセット推定部12は、ステップST15またはST18で修正したオフセット値Axo,Azoを保存する(ステップST18)。
このように、図7のステップST7(図9のフローチャート)を繰り返すことで、差分ΔA2が徐々に小さくなり、当差分ΔA2が最も小さいときのX軸とZ軸の加速度計側値の中心点O(Axo,Azo)が、適切なオフセットとなる。
以上より、実施の形態2によれば、オフセット推定部12は、オフセットを補正した加速度計測値の絶対値から重力加速度を減じた値が正であれば、当オフセットに設定値を加算した値を新たなオフセットとして傾斜角度演算部13へ出力し、オフセットを補正した加速度計測値の絶対値から重量加速度を減じた値が負であれば、当オフセットから設定値を減算した値を新たなオフセットとして傾斜角度演算部13へ出力するようにした。このため、逐次、加速度センサ5,6の計測値のずれを修正することで、温度変化等に対する応答性が良く、確度の高い光軸調整が行える。
また、実施の形態2によれば、オフセット推定部12においてオフセットに加算あるいは減算する設定値を、加速度計測値に対して設定された比率を乗じた値にしたので、計測した値の大きさに関わらず、同じ条件で加速度センサ5,6の計測値のずれを修正でき、確度の高い光軸調整が行える。
なお、図9のフローチャートでは、設定値として{(Axn−Axo)/100}と{(Azn−Azo)/100}を用いている。
また、実施の形態2によれば、計測値取得部11は、加速度センサ5,6から加速度計測値を取得して、当加速度計測値が安定していることを判別し、オフセット推定部12は、計測値取得部11で安定していると判別された加速度計測値をオフセットの推定に使用する構成にした。このため、確度の高い傾斜角度の算出ができ、確度の高い光軸調整が行える。
また、実施の形態2によれば、計測値取得部11は、車両1の速度に相当する信号を取得して、車両1の走行と停止を判別し、オフセット推定部12は、計測値取得部11で車両1が停止していると判別されたときの加速度計測値をオフセットに使用する構成にした。このため、確度の高い傾斜角度の算出ができ、確度の高い光軸調整が行える。
実施の形態3.
実施の形態3の前照灯用光軸制御装置および前照灯用光軸制御システムは、図3および図8に示した前照灯用光軸制御装置10および前照灯用光軸制御システムと図面上では同様の構成であるため、以下では図3および図8を援用して説明する。
実施の形態3による加速度センサ5,6のオフセット推定方法(図7のステップST7)の詳細を、図10Aと図10Bのフローチャートを参照して説明する。
図10Aと図10BのステップST11,ST12は、図9と同じ処理である。
オフセット推定部12は、図11に示すような、X軸とZ軸の加速度計測値を格納するためのメモリを有しており、計測値取得部11が取得した計測値を当メモリに格納する(ステップST21)。
図11の例では、n=1〜10まで計10組のX軸加速度計測値とZ軸加速度計測値とを格納した状態を示している。なお、加速度計測値の単位はGである。
続いてオフセット推定部12は、当メモリに10組の加速度計測値を格納した後(ステップST22“YES”)、当10組の計測値を使用して、ステップST23以降の加速度センサ5,6のオフセット推定を行う。10組揃っていなければ(ステップST22“NO”)、図7のフローチャートに戻る。
実施の形態3では、10組の差分ΔA2nを合計した総和T1を、オフセットをずらした総和T2,T3と比較して、総和Tの極小値を求め、そのときのオフセットを適切な値とする。図12に、実施の形態3のオフセット推定処理の概要を示す。横軸は時間であり、10組の加速度計測値から求めたTNをT1に、TNのオフセットをずらしたTN+1,TN+2をT2,T3に用いて、T1,T2,T3の大小関係を比較し極小値の有無を確認する。極小値が無ければ、オフセットをずらしたTN+1,TN+2,TN+3をT1,T2,T3に用いて、極小値の有無を確認する。これを繰り返していき、極小値(図12ではTN+3)を探索する。
具体的には、オフセット推定部12が式(7)により、10組各々の加速度計測値と重力加速度の差分ΔA2n求め、さらにその差分を合計した第1の総和T1を算出する(ステップST23)。
T1=ΔA21+ΔA22+・・・+ΔA2
=Σ[{kx・(Axn−Axo)2}+{kz・(Azn−Azo)2}−1]
・・・(7)
続いてオフセット推定部12は、式(8)により、オフセット値Axoを10個の加速度計測値Axnの平均値の1/100だけずらして新たなオフセット値AxoT2を計算すると共に、オフセット値Azoを10個の加速度計測値Aznの平均値の1/100だけずらして新たなオフセット値AzoT2を計算する(ステップST24)。
AxoT2=Axo+(Axnの平均値−Axo)/100
AzoT2=Azo+(Aznの平均値−Azo)/100
・・・(8)
続いてオフセット推定部12は、オフセット値(AxoT2,AzoT2)を用いて、式(9)により、第2の総和T2を算出する(ステップST25)。
T2
=Σ[{kx・(Axn−AxoT22
+{kz・(Azn−AzoT22}−1]
・・・(9)
続いてオフセット推定部12は、式(10)により、オフセット値AxoT2を10個の加速度計測値Axnの平均値の1/100だけずらして新たなオフセット値AxoT3を計算すると共に、オフセット値AzoT2を10個の加速度計測値Aznの平均値の1/100だけずらして新たなオフセット値AzoT3を計算する(ステップST26)。
AxoT3=AxoT2+(Axnの平均値−Axo)/100
AzoT3=AzoT2+(Aznの平均値−Azo)/100
・・・(10)
続いてオフセット推定部12は、オフセット値(AxoT3,AzoT3)を用いて、式(11)により、第3の総和T3を算出する(ステップST27)。
T3
=Σ[{kx・(Axn−AxoT32
+{kz・(Azn−AzoT32}−1]
・・・(11)
続いてオフセット推定部12は、第1〜第3の総和T1〜T3(例えば、図12のTN,TN+1,TN+2)を大小比較して、極小値を探索する。T1≧T2(ステップST28“YES”)、かつ、T3≒T1(ステップST29“YES”)の場合、オフセット推定部12は、第2の総和T2が極小値であると判断して、AxoT2,AzoT2を適切なオフセット値(Axo,Azo)として保存する(ステップST30)。そして、オフセット推定部12のメモリをリセットして(ステップST31)、図7のフローチャートに戻る。
一方、T1<T2(ステップST28“NO”)、およびT3≠T1(ステップST29“NO”)の場合、オフセット推定部12は、第1〜第3の総和T1〜T3の中に極小値は無いと判断して、オフセット値をずらす(ステップST32〜ST34)。
オフセット推定部12は第1の総和T1と第3の総和T3を比較し、T3≧T1ならば(ステップST32“YES”)、式(12)によりオフセット値(Axo,Azo)を1/100小さく(ステップST33)、T3<T1ならば(ステップST32“NO”)、式(13)により1/100大きくする(ステップST34)。
T3≧T1のとき、
Axo=Axo−(Axnの平均値−Axo)/100
Azo=Azo−(Aznの平均値−Azo)/100
・・・(12)
T3<T1のとき、
Axo=Axo+(Axnの平均値−Axo)/100
Azo=Azo+(Aznの平均値−Azo)/100
・・・(13)
そして、オフセット推定部12はステップST23に戻り、ステップST33またはステップST34で修正したオフセット値(Axo,Azo)を用いて、新たに第1〜第3の総和T1〜T3を計算する。そして再びステップST28以降で、今回の第1〜第3の総和T1〜T3(例えば、図12のTN+1,TN+2,TN+3)を大小比較して、極小値を探索する。
以上より、実施の形態3によれば、オフセット推定部12は、複数組の加速度計測値を記憶するメモリを有し、当メモリに記憶された個々の加速度計測値をオフセットで補正した絶対値から重力加速度を減じた値を合計した総和値が、正であれば、当オフセットに設定値を加算した値を新たなオフセットとし、当メモリに記憶された個々の加速度計測値をオフセットで補正した絶対値から重力加速度を減じた値を合計した総和値が、負であれば、当オフセットから設定値を減算した値を新たなオフセットとするように構成した。このため、オフセット推定処理に多数の加速度計測値を使用しながらも、迅速に、確度の高い光軸調整が行える。
また、実施の形態3によれば、オフセット推定部12は、算出した新たなオフセットを用いてメモリに記憶された個々の加速度計測値を補正し、総和値を求め正負に応じて新たなオフセットを算出する処理を繰り返して、総和値の最小値を探索し、総和値が最小値になったときの新たなオフセットを傾斜角度演算部13へ出力するように構成した。このため、オフセットの確度をさらに高めることができ、確度の高い光軸調整が行える。
なお、実施の形態3では、オフセットに加算あるいは減算する設定値として、{(Axnの平均値−Axo)/100}と{(Aznの平均値−Azo)/100}を用いたが、これに限定されるものではない。
実施の形態4.
実施の形態4の前照灯用光軸制御装置および前照灯用光軸制御システムは、図3および図8に示した前照灯用光軸制御装置10および前照灯用光軸制御システムと図面上では同様の構成であるため、以下では図3および図8を援用して説明する。
実施の形態4による加速度センサ5,6のオフセット推定方法(図7のステップST7)の詳細を、図13Aと図13Bのフローチャートを参照して説明する。図13Aと図13BのステップST11,ST12,ST21,ST22,ST31は、図10Aと図10Bと同じ処理である。
また、オフセット推定部12は、図11に示したような、X軸とZ軸の加速度計測値を格納するためのメモリを有している。
実施の形態4では、Z軸の加速度センサ6のオフセット値Azoを、{−(Aznの平均値−Azo)/10}から{+(Aznの平均値−Azo)/10}まで、毎回{Azo−(Aznの平均値−Azo)/100}ずつ変更する。
また、X軸の加速度センサ5のオフセット値Axoを、(Axo−10mG)から(Axo+10mG)まで、毎回(Axo−1mG)ずつ変更する。
そして、それぞれのオフセットごとに、各々の重力加速度に対する差分ΔA2を求め、さらにその差分ΔA2を2乗して合計した総和Tを算出し、オフセットごとの総和Tを大小比較して最小値を探索する。
具体的には、まずオフセット推定部12が式(14)により、総和TNの最小値を探索するために、計算開始値としてオフセット値Azoを1/10加算し(ステップST41)、式(15)により、1/10加算したオフセット値AzoT1を用いて第1の総和T1を計算する(ステップST42)。
AzoT1=Azo+(Aznの平均値−Azo)/10
・・・(14)
T1
=Σ[{kx・(Axn−Axo)2}+{kz・(Azn−AzoT12}−1]
・・・(15)
続いてオフセット推定部12は、式(16)により、オフセット値AzoT1を1/100減じ(ステップST43)、式(17)により、1/100減じたオフセット値AzoT2を用いて第2の総和T2を計算する(ステップST44)。
AzoT2=AzoT1−(Aznの平均値−AzoT1)/100
・・・(16)
T2
=Σ[{kx・(Axn−Axo)2}+{kz・(Azn−AzoT22}−1]
・・・(17)
続いてオフセット推定部12は、第1の総和T1と第2の総和T2を大小比較して(ステップST45)、T2≦T1ならば(ステップST45“YES”)、値が小さいT2をT1として保持すると共に、AzoT2をAzoT1として保持する(ステップST46)。そして、オフセット推定部12は、オフセット値の修正回数をカウントする変数mをインクリメントする(ステップST47)。
以下、オフセット推定部12は、オフセット値AzoT1を1/100ずつ減じながら、第2の総和T2の計算を20回繰り返し(ステップST48“YES”)、その都度、総和T1,T2を比較して、最小値を探索する。その後、オフセット推定部12は変数mをリセットし(ステップST49)、最小値となる総和T1のオフセット値AzoT1を、適切なオフセット値Azoとして保存する(ステップST50)。
続いて、オフセット推定部12はステップST51〜ST60においてX軸のオフセット推定処理を行う。先ずオフセット推定部12は式(18)により、計算開始値としてオフセット値Axoを10mG加算し(ステップST51)、式(19)により、10mG加算したオフセット値AxoT1を用いて第1の総和T1を計算する(ステップST52)。
AxoT1=Axo+10mG
・・・(18)
T1
=Σ[{kx・(Axn−AxoT12}+{kz・(Azn−Azo)2}−1]
・・・(19)
続いてオフセット推定部12は、式(20)により、オフセット値AxoT1を1mG減じ(ステップST53)、式(21)により、1mG減じたオフセット値AxoT2を用いて第2の総和T2を計算する(ステップST54)。
AxoT2=AxoT1−1mG
・・・(20)
T2
=Σ[{kx・(Axn−AxoT22}+{kz・(Azn−Azo)2}−1]
・・・(21)
続いてオフセット推定部12は、上記ステップST45〜ST48と同様に、総和T1,T2を比較して最小値を探索する(ステップST55〜ST58)。このようにして、オフセット推定部12は、オフセット値Axoを1mGずつ減じながら、第2の総和T2の計算を20回繰り返し、その都度、総和T1,T2を比較して最小値を探索する。その後、オフセット推定部12は変数mをリセットし(ステップST59)、最小値となる総和T1のオフセット値AxoT1を、適切なオフセット値Axoとして保存する(ステップST60)。
なお、上記説明では、Z軸のオフセット値Azoを1/100ずつ変更し、X軸のオフセット値Axoを1mGずつ変更したが、変更する量は任意でよい。
以上より、実施の形態4によれば、オフセット推定部12は、複数組の加速度計測値を記憶するメモリを有し、オフセットに設定値を順次加算あるいは減算して生成した複数の暫定のオフセットを使用し、当メモリに記憶された個々の加速度計測値を暫定のオフセットで補正した絶対値から重力加速度を減じ、その結果を2乗して、その2乗した結果の総和値を算出する処理を、暫定のオフセットごとに繰り返し、順次生成される暫定のオフセットごとに算出した総和値の中で最小となる総和値を抽出し、最小の総和値に対応した暫定のオフセットを新たなオフセットとして傾斜確度演算部13へ出力するように構成した。このため、多数の加速度センサの計測値を使用して、より確度の高い傾斜角度の算出ができ、確度の高い光軸調整が行える。
なお、実施の形態4では、オフセットから設定値を減算して新たなオフセットを求めたが(図13AのステップST45、図13BのステップST53)、反対に、オフセットに設定値を加算して新たなオフセットを求めてもよい。
また、オフセットに加算あるいは減算する設定値として、X軸側の設定値に固定値1mG、Z軸側の設定値に比率{(Aznの平均値−Azo)/100}を用いたが、これらに限定されるものではない。
実施の形態5.
実施の形態5の前照灯用光軸制御装置および前照灯用光軸制御システムは、図3および図8に示した前照灯用光軸制御装置10および前照灯用光軸制御システムと図面上では同様の構成であるため、以下では図3および図8を援用して説明する。
実施の形態5による加速度センサ5,6のオフセット推定方法(図7のステップST7の詳細)を、図14のフローチャートを参照して説明する。図14のステップST11,ST12は、図9と同じ処理である。
実施の形態5のオフセット推定部12は、図15(b)に示すような、X軸とZ軸の加速度計測値の出現頻度をカウントするためのメモリを有しており、計測値取得部11が取得した計測値に基づいて当メモリのカウント値をインクリメントする(ステップST71)。
図15(a)に示すように、Z軸を計測用の原点から1G離れた位置を中心にし、X軸を計測用の原点を中央にした縦横升目状のメモリ領域130を設定し、図15(b)のメモリをこのメモリ領域130に対応させる。メモリのX座標はX軸加速度計測値、Z座標はZ軸加速度計測値である。なお、図15(a)中の星印は、X軸とZ軸の座標上にプロットした1組の加速度計測値を表す。
オフセット推定部12は、図15(b)に示すメモリからカウント値の大きい上位3個の山131,132,133を抽出し、山131,132,133それぞれの中で最もカウント値が大きい3個の頂点を、車両1が安定状態のときに計測された上位3位の代表点141,142,143として抽出する(ステップST72)。
続いてオフセット推定部12は、上位第3位の代表点143のカウント値が所定数(例えば、100個)収集されたときに(ステップST73“YES”)、上位3位までの代表点141,142,143の座標(Ax1,Az1)、(Ax2,Az2)、(Ax3,Az3)を使用して、当3点の座標が形成する仮定円110の中心点O(即ち、オフセット値)と、仮定円110の半径(即ち、加速度センサ5,6の感度)を算出し(ステップST74)、中心点Oを適切なオフセット値(Axo,Azo)として保存する(ステップST75)。最後に、オフセット推定部12はメモリをリセットする(ステップST76)。
図15(a)の例では、ステップST74においてオフセット推定部12が、代表点141,143を結ぶ直線145の垂直2等分線146と、代表点141,142を結ぶ直線147の垂直2等分線147の交点を、中心点O(Axo,Azo)として求める。計算上は、式(22)を解いて(Axo,Azo)を算出する。
2=(Ax1−Axo)2+(Az1−Azo)2
=(Ax2−Axo)2+(Az2−Azo)2
=(Ax3−Axo)2+(Az3−Azo)2
・・・(22)
以上より、実施の形態5によれば、オフセット推定部12は、車両1の上下方向と前後方向の座標上において加速度計測値が周上に並ぶ仮定円を仮定し、上下方向と前後方向の座標の中心と前記仮定円の中心との差分を新たなオフセットとするように構成した。このため、加速度センサ5,6の感度がずれても、確度の高い光軸調整が行える。
また、実施の形態5によれば、オフセット推定部12は、加速度センサ5,6の感度として、仮定円の半径を算出するように構成した。このため、オフセット推定部12が推定した加速度センサ5,6の感度に基づいて、傾斜角度演算部13が上式(4)の補正係数kx,kzを設定することができる。従って、感度の異なる加速度センサを使用した場合に、加速度センサの感度を事前に補正することなく、また、温度ドリフトおよび経時変化による加速度センサの感度のずれを修正し、確度の高い光軸調整が行える。
なお、実施の形態5の図15(a)において、仮定円110の円周上に並ぶ多数の加速度計測値の出現頻度が高い座標(例えば、代表点141)から、加速度センサ5,6の回転方向のずれを推定することができる。出現頻度が高い座標の判定には、例えば、多数の加速度計測値の中央値あるいは平均値を使用する。
オフセット推定部12が加速度センサ5,6の回転方向のずれを検出することにより、たとえ加速度センサ5,6が回転方向にずれて装着されても、回転方向のずれを前照灯用光軸制御装置10で修正することができ、確度の高い光軸調整が行える。そのため、加速度センサ5,6を車両1に装着するときに、特段の高精度を要することなく、容易に装着可能となる。
実施の形態6.
実施の形態6の前照灯用光軸制御装置および前照灯用光軸制御システムは、図3および図8に示した前照灯用光軸制御装置10および前照灯用光軸制御システムと図面上では同様の構成であるため、以下では図3および図8を援用して説明する。
実施の形態6による加速度センサ5,6のオフセット推定方法(図7のステップST7の詳細)を、図16のフローチャートを参照して説明する。図16のステップST12,ST72〜ST76は、図14と同じ処理である。
車両1の加速中は、速度の微分値(即ち、加速度)が正となり、減速中は負となり、その大きさが加速度の量となる。車両1の走行中であって加速度がゼロのときは、等速度で走行している状態である。図16のフローチャートにおいては、計測値取得部11がステップST81において、外部要因による加速度が含まれないことを、車速から算出したX軸加速度値が10mGより大きいか否かによって判別する。車両1が停止しているときも、車速から算出したX軸加速度はゼロであるため、停車中か否かの判定を兼用できる。従って、図16のフローチャートでは、図14等のステップST11の処理を削除している。
ステップST12の後、オフセット推定部12は、加速度出現頻度カウント用のメモリ(例えば、図15(b)に示す)の中央座標を、前回の中心点O(Axo,Azo)に設定し、計測値取得部11が取得した計測値に基づいて当メモリのカウント値をインクリメントする(ステップST82)。前回の中心点O(Axo,Azo)とは、図16のフローチャートを前回実施したときのステップST75にて保存した値である。
なお、上記実施の形態5では、ステップST73において上位第3位の代表点143のカウント値が100個収集されたときに、中心点O(Axo,Azo)の算出を開始したが、実施の形態6では、別の例として、ステップST83において上位第1位の代表点141のカウント値が100個収集されたときに算出を開始することとしている。
以上より、実施の形態6によれば、上記実施の形態5と同様に、オフセット推定部12が、車両1の上下方向と前後方向の座標上において加速度計測値が周上に並ぶ仮定円を仮定し、上下方向と前後方向の座標の中心と前記仮定円の中心との差分を新たなオフセットとするように構成したので、加速度センサ5,6の感度がずれても、確度の高い光軸調整が行える。
また、実施の形態6によれば、計測値取得部11は、車両1の速度に相当する信号を取得して、車両1が加速中、減速中、あるいは等速走行中であることを判別し、オフセット推定部12は、計測値取得部11で車両1が等速走行中であると判別されたときの加速度計測値をオフセットの推定に使用する構成にした。このため、確度の高い傾斜角度の算出ができ、確度の高い光軸制御が行える。
なお、上記実施の形態1〜6の説明に使用した数値、および図示した数値は、説明用の一例であり、当数値に限定されるものではない。
また、上記実施の形態1〜6では、前照灯用光軸制御装置10と加速度センサ5,6とが別体で構成されている例を示したが、この構成に限定されるものではない。
例えば、加速度センサ5,6を、前照灯用光軸制御装置10に内蔵して一体化してもよい。
また例えば、前照灯用光軸制御装置10を、前照灯2の灯具に装着あるいは内蔵して一体化してもよい。その際、前照灯用光軸制御装置10が加速度センサ5,6を内蔵する構成でも構わない。
また例えば、前照灯用光軸制御装置10を、車両1に搭載された不図示の車載機器に内蔵して一体化してもよい。例えば、エアバッグ制御用の機器、短時間坂道に停車するときに車両1が動かないように制動する機器(いわゆるヒルスタートアシスト)等のプログラムの一部に組み入れる。
これらの構成にすることにより、前照灯用光軸制御装置10を独立した装置として設ける必要が無く、簡素な構成の前照灯用光軸制御装置10が実現できる。
また、加速度センサ5,6として、半導体式のものを使用してもよい。これにより、加速度センサ5,6を、前照灯用光軸制御装置10の回路基板上に搭載することができ、小形で簡素な前照灯用光軸制御装置10が実現できる。
また、本発明では、車両に加わる加速度が1Gの重力加速度であることを利用し、加速度計測値が1Gとなるようにオフセットを修正する方法と、X軸とZ軸に分解されて計測された加速度計測値の座標が仮定の円周上に並ぶことを利用して、当円の中心値、即ちオフセットを修正する方法について記載しているが、記載した複数の計測値と基準値(1G)の差分を2乗した値の合計値が最小となる最小二乗法以外に、ニュートン法、共役勾配法等の算術的な手法でオフセットを求め、そのオフセットを使用して加速度計測値を補正しても構わない。
上記以外にも、本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
1 車両、2 前照灯、3 光軸、4 光軸駆動装置、5,6 加速度センサ、7,8 配線、9 貨物、10 前照灯用光軸制御装置、11 計測値取得部、12 オフセット推定部、13 傾斜角度演算部、14 制御部、20 車速センサ。

Claims (16)

  1. 加速度センサによって計測した車両に加わる上下方向と前後方向の加速度計測値が入力され、当加速度計測値に基づいて前記車両の傾斜角度を算出し、前記車両に装着された前照灯の光軸を制御する前照灯用光軸制御装置であって、
    前記車両が等速走行中であると判別された場合に、前記入力された前記上下方向と前記前後方向の加速度計測値を複数組使用して、前記加速度センサが計測した加速度計測値に含まれるオフセットを推定するオフセット推定部と、
    前記オフセット推定部が推定した前記オフセットを基にして前記加速度計測値を補正し、前記車両の傾斜角度を算出する傾斜角度演算部とを備えることを特徴とする前照灯用光軸制御装置。
  2. 前記オフセット推定部は、前記加速度センサが計測する前記加速度計測値が重力加速度に相当するものとして、当重力加速度を基準にして前記オフセットを推定することを特徴とする請求項1記載の前照灯用光軸制御装置。
  3. 前記オフセット推定部は、
    前記オフセットを補正した前記加速度計測値の絶対値から前記重力加速度を減じた値が正であれば、前記オフセットに設定値を加算した値を新たなオフセットとし、
    前記オフセットを補正した前記加速度計測値の絶対値から前記重力加速度を減じた値が負であれば、前記オフセットから前記設定値を減算した値を新たなオフセットとすることを特徴とする請求項2記載の前照灯用光軸制御装置。
  4. 前記オフセット推定部は、
    複数組の前記加速度計測値を記憶するメモリを有し、
    当メモリに記憶された個々の前記加速度計測値を前記オフセットで補正した絶対値から前記重力加速度を減じた値を合計した総和値が、正であれば、前記オフセットに設定値を加算した値を新たなオフセットとし、
    当メモリに記憶された個々の前記加速度計測値を前記オフセットで補正した絶対値から前記重力加速度を減じた値を合計した総和値が、負であれば、前記オフセットから前記設定値を減算した値を新たなオフセットとすることを特徴とする請求項2記載の前照灯用光軸制御装置。
  5. 前記オフセット推定部は、
    複数組の前記加速度計測値を記憶するメモリを有し、
    前記オフセットに設定値を順次加算あるいは減算して生成した複数の暫定のオフセットを使用し、当メモリに記憶された個々の前記加速度計測値を前記暫定のオフセットで補正した絶対値から前記重力加速度を減じ、その結果を2乗して、その2乗した結果の総和値を算出する処理を、前記暫定のオフセットごとに繰り返し、前記順次生成される前記暫定のオフセットごとに算出した前記総和値の中で最小となる総和値を抽出し、前記最小の総和値に対応した前記暫定のオフセットを新たなオフセットとすることを特徴とする請求項2記載の前照灯用光軸制御装置。
  6. 前記オフセット推定部は、前記総和値の正負に応じて前記オフセットに前記設定値を加算あるいは減算しながら次の総和値を算出する処理を繰り返して、前記総和値の最小値を探索し、前記最小の総和値に対応した前記オフセットを新たなオフセットとすることを特徴とする請求項4記載の前照灯用光軸制御装置。
  7. 前記オフセットに加算あるいは減算する前記設定値は、前記加速度計測値に対して予め設定された比率を乗じた値であることを特徴とする請求項3から請求項6のうちのいずれか1項記載の前照灯用光軸制御装置。
  8. 前記オフセット推定部は、前記上下方向と前記前後方向の座標上において前記加速度計測値が周上に並ぶ円を仮定し、前記上下方向と前記前後方向の座標の中心と前記円の中心との差分を新たなオフセットとすることを特徴とする請求項1記載の前照灯用光軸制御装置。
  9. 前記オフセット推定部は、前記上下方向と前記前後方向の座標上において前記加速度計測値が周上に並ぶ円を仮定し、前記加速度センサの感度として前記円の半径を算出し、
    前記傾斜角度演算部は、前記オフセット推定部が算出した前記加速度センサの感度を基にして前記加速度計測値を補正し、前記車両の傾斜角度を算出することを特徴とする請求項1記載の前照灯用光軸制御装置。
  10. 前記オフセット推定部は、複数組の前記加速度計測値の中央値あるいは平均値から、前記加速度センサの回転方向のずれを推定し、
    前記傾斜角度演算部は、前記オフセット推定部が算出した前記加速度センサの回転方向のずれを基にして前記加速度計測値を補正し、前記車両の傾斜角度を算出することを特徴とする請求項1記載の前照灯用光軸制御装置。
  11. 前記加速度センサから取得した前記加速度計測値が安定していることを判別する計測値取得部を備え、
    前記オフセット推定部は、前記計測値取得部で安定していると判別された前記加速度計測値を前記オフセットの推定に使用することを特徴とする請求項1から請求項10のうちのいずれか1項記載の前照灯用光軸制御装置。
  12. 前記車両の速度に相当する信号を取得する車両速度信号取得部と、
    前記車両速度信号取得部によって取得した信号に基づき、前記車両が停止中、あるいは加速中、減速中、等速走行中であることを判別する計測値取得部を備え、
    前記オフセット推定部は、前記計測値取得部で等速走行していると判別されたときの前記加速度計測値を前記オフセットの推定に使用することを特徴とする請求項1から請求項11のうちのいずれか1項記載の前照灯用光軸制御装置。
  13. 前記加速度センサを内蔵していることを特徴とする請求項1から請求項12のうちのいずれか1項記載の前照灯用光軸制御装置。
  14. 前記前照灯の灯具と一体に構成されていることを特徴とする請求項1から請求項13のうちのいずれか1項記載の前照灯用光軸制御装置。
  15. 前記車両に搭載された前記前照灯用光軸制御以外の機能を有する車載機器に内蔵されていることを特徴とする請求項1から請求項13のうちのいずれか1項記載の前照灯用光軸制御装置。
  16. 前記加速度計値は、半導体式の加速度センサにより計測されたものであることを特徴とする請求項1から請求項15のうちのいずれか1項記載の前照灯用光軸制御装置。
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