JP6222631B2 - 吸収性物品用の表面シート - Google Patents

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Description

本発明は、吸収性物品用の表面シートに関する。
失禁パッドや生理用ナプキン、使い捨ておむつなどの吸収性物品では、表面シートから厚み方向に排泄液を透過させて吸収体で保持する。この液透過経路において、表面シートは排泄液を直接受けながら肌と密着し易い。この密着状態では肌荒れ等の肌トラブルへの対策が欠かせず、良好な装着感の観点から、表面シートについて種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1は、吸収体から表面シートへの液戻りを防止する凹凸構造の繊維シートを開示している。前記凹凸構造の凸部は頂部を疎水性とし、該凸部の頂部以外の部分が該頂部よりも疎水性が低くされている。
また特許文献2には、肌へのスキンケア効果を高めるため、表面シートを両面凹凸とし、肌側に突出する突出部の頂部の両面にスキンケア剤が付着したものが開示されている。
さらに特許文献3には、ムレによる不快感や、痒み・カブレ等の皮膚トラブルの抑制のため、10cN/cm圧力下における水平方向への空気透過量が10ml/cm・秒以上である表面シートが開示されている。また、この表面シートとして、肌面側に多数の隆起部を有し、前記空気透過量に加え、0.5cN/cm圧力下におけるシートの厚みが0.5〜10mmであり、隣接する隆起部同士間の最短距離が0.5〜15mmとしたものが開示されている。
特開2006−183168号公報 特開2012−143543号公報 特開2003−126147号公報
前記特許文献1に記載の繊維シートは、排泄が終わって吸収体で保持された排泄液と肌との接触を防止しようとするものである。また特許文献2及び3に記載の表面シートは、排泄の有無に拘らずムレ等による肌のダメージを軽減しようとするものである。
しかし、一方で、表面シートは、着用者の肌面に接しながら排泄液をある程度の排泄圧で受け止めるため、排泄時やその直後には液と肌との接触が生じ易い。特に、排尿等で多量の液を一度に受け止める場合には、表面シートから吸収体側へ液を透過させるまでのわずかな時間にも表面シートの肌面上に液が一時的に存在し肌に付着することがある。このような排泄時やその直後おける液と肌面との接触については、前記特許文献1〜3の表面シート等では考慮されていない。
本発明は、排泄時から液と肌との接触を抑えて良好な装着感をもたらす吸収性物品用の表面シートに関する。
本発明は、着用者の腹側部から股下部を介して背側部に亘って配される方向を縦方向、該縦方向と直交する方向を横方向とする吸収性物品を構成する縦長の表面シートであって、前記表面シートは、一方の面に凸部と凹部とを配した凹凸面を有し、該凸部は該凹部に周囲を囲まれており、該凹凸面に着用者の肌面を当接させて5kPaの圧力を加えた加圧時に、前記肌面と前記凹凸面との間で平面方向に連続した液拡散通路が配され、該液拡散通路を構成する凹凸面において、加圧時の前記肌面との接触面近傍が、その下方の部分よりも親水度の低い疎水部とされており、前記液拡散通路は、縦方向においては前記凸部の縦方向の配列における頂部を結ぶ線とは重ならない貫通経路を有しており、前記液拡散通路をなす凹部の底部にはエンボス部と非エンボス部とが配されている、吸収性物品用の表面シートを提供する。
また本発明は、前記表面シートの前記凹凸面に対し、非変形性の押圧面により5kPa超の一定圧力を付与しながら、前記凹凸面の凸部に疎水剤を転写し染み込ませて疎水部を形成する吸収性物品の表面シートの製造方法を提供する。
本発明の吸収性物品用の表面シートは、排泄時から液と肌との接触を抑えて良好な装着感を実現できる。
本発明に係る表面シートを用いた吸収性物品の好ましい一実施形態としての失禁パッドを模式的に示した一部切欠斜視図である。 図1に示された表面シートの一部を拡大して示した一部切欠部分拡大斜視図である。 図2のIII−III線断面を示した断面図である。 (A)は表面シートの肌当接面側に5kPaの圧力を加えた際の凸部及び凹部の状態を示した図3相当の断面図であり、(B)はその平面図である。 (A)は、表面シートの肌当接面側における凸部及び凹部の配列の1例を模式的に示した平面図であり、(B)は表面シートの横方向に沿う断面について縦方向から見た様子を示した図であり、(C)は表面シートの横方向の側縁から見た様子を示した図である。 表面シートの肌当接面側における凸部及び凹部の配列の他の例を模式的に示した平面図である。 本発明の表面シートの製造方法における疎水剤の塗布工程を示す説明図である。
本発明に係る表面シートを用いた吸収性物品の好ましい一実施形態として失禁パッドについて、図面を参照しながら以下に説明する。
本発明においては、特に断らない限り、人体に接触する側を肌面側ないし肌当接面側あるいは表面側といい、これと反対側を非肌面側ないし非肌当接面側あるいは裏面側という。着用時に人体の前側に位置する方向を前方といいその端部を前端部とし、後側に位置する方向を後方といいその端部を後端部として説明する。この前端部と後端部とを結ぶ方向、つまり着用者の腹側部から股下部を介して背側部に亘る方向を、吸収性物品の縦方向(Y方向)という。この縦方向と直交する方向を横方向(X方向)という。また、吸収性物品の表面又は裏面の法線方向を厚み方向といいその量を厚みという。
図1には、本実施形態の失禁パッド10の全体構造が示されている。失禁パッド10は、肌当接面側に配された液透過性の表面シート1、非肌当接面側に配された液難透過性の裏面シート2、及び前記両シートの間に介在配置された液保持性の吸収体5を備える。さらに、失禁パッド10の左右両側には、起立防漏壁60をなす撥水性のサイドシート6が配されている。
このようにして形成された失禁パッド10は、縦方向(Y方向)と、該縦方向と直交する横方向(X方向)とを有する、縦長形状である。表面シート1は、その長手方向を失禁パッド10の縦方向に向けて配される縦長形状である。この表面シート1を着用者の肌に当接させるようにして失禁パッド10が装着される。具体的には、失禁パッド10の縦方向を下腹部から臀部にかけて配し、その横方向を左右の足を繋ぐ方向に向けて配して着用される。その際、裏面シート2の非肌当接面側に配設される粘着部(図示せず)で失禁パッド10を着衣に固定される。
失禁パッド10は、着用者の排泄部に対応する排泄部対応領域C、排泄部対応領域Cよりも前方の下腹部側に対応する前方部F、後方の臀部側に対応する後方部Rを有する。本実施形態における排泄部対応領域Cは、失禁パッド10を縦方向に3領域の区分したときの中央の領域である。この区分は、前述のとおり着用者の排泄ポイント全体を覆う部分を排泄部対応領域Cとして決められ、使用目的等によって設定される吸収性物品の大きさに合わせて決められる。臀部を覆う幅広の後方フラップを有する吸収性物品の場合、排泄部対応領域Cは前方寄りとなる。
次に、表面シート1について図面を参照しながら詳述する。
図2に示されるように、表面シート1は、肌当接面側(Z1側)を凸部3及び凹部4が複数配された凹凸面とされ、非肌当接面側(Z2側)を平坦面とされている。
このような形状の表面シート1は液透過性の繊維の集合体から成形されており、凸部3は内部に空洞のない中実の構造である。本実施形態において、表面シート1は1層の繊維集合体からなる。ここで前記「空洞」には、繊維間の隙間の微細空間は含まれず、直径0.6mm以上の円形空間を言う。つまり「空洞のない中実の構造」とは、前記繊維間の隙間を有しつつも、直径0.6mm以上の円形空間のない内部構造をいう。
また、前記凹凸面は、本実施形態のように表面シート1の肌当接面の全面配置に限らず、その一部に配されていてもよい。一部の場合は、少なくとも排泄部対応領域Cの着用者の排泄ポイント周辺に当接するよう配されることが好ましい。
表面シート1の肌当接面側において、凸部3は、縦方向に等間隔で配されて列Lをなし、列Lが横方向に複数列配されている。隣り合う凸部列L,L同士は、凸部3を縦方向に半ピッチずらした配置である。横方向においては、凸部3の等間隔で配された列Sが縦方向に複数列配されている。また、隣り合う凸部列S,S同士は、凸部3を横方向に半ピッチずらした配置である。このように、複数の凸部3が平面方向に散点するように配置されることで、着用者の肌との接触面積を抑えられる。
一方、凸部3と凸部3との間は、非肌面側へ窪んだ凹部4とされている。個々の凹部4は孤立せずに連結した配置とされている。これにより、表面シート1の肌当接面であっても、肌から離れた位置で液を平面方向に拡散させることができる。
凸部3と凹部4とは連続し表面シートの継ぎ目のないシート面を形成している。そのため両者の明確な境界がないが、本明細書においては、凸部3と凹部4との区分を次のように定義する。すなわち、図3に示されるように、表面シート1に圧力をかけない自然状態での厚みHに対して、肌面側の上半分の厚みH1に占める表面シート1の突出部分を「凸部3」とする。一方、非肌面側の下半分の厚みH2に占める表面シート1の部分(凹状曲面とその下方の構成繊維部分)及びその上方の空間を「凹部4」とする。厚みHの測定方法は、自然状態の表面シートの断面を顕微鏡を用いて観察、計測する。
凸部3は、表面シート1において肌に触れる部分である。そのため、肌との接触面積をできるだけ低減するよう、頂部31を有し、半球体、丸みを帯びた円錐や円錐台等の形状であることが好ましい。これにより、凸部3の頂部31が肌と接しても、ベタつく感じを大幅に低減し、肌のサラッとした状態を実現する。また、肌に対して擦れる感じが抑えられ、なめらかな触感が得られる。前記形状は、厳密な幾何学的形状に限定されるものではなく、肌との接触面積を軽減しつつ、接触面における肌への圧力を分散できる形状を広く含む。また、肌と接する凸部3の「頂部31」とは、凸部3の最も高い位置にある部分である。頂部31は、典型的には半球体等の球面の頂点であるが、これに限らず平坦な面であってもよい。
一方、凹部4では、図2に示されるように、エンボス部41と非エンボス部42を交互に配してその底部43を形成している。「底部43」とは、非肌当接面側に窪んだ表面シート1の凹状曲面において下り斜面の壁部44が収束する部分、及びその下方の表面シート1の構成繊維部分である。すなわち、底部43は凹部4の底ないし地盤となる部分である。
この底部43を構成するエンボス部41は、エンボス処理により繊維が圧密化され、繊維の毛管力が高められている。これによりエンボス部41は液の引き込み力を備える。このエンボス部41が肌から離間した底部43で平面方向に点在することで、排泄部対応領域Cから周囲へと平面方向への液拡散性が高められる。一方、非エンボス部42は、表面シート1の繊維密度がそのまま維持されているか、エンボス部41よりも繊維密度が低くされている部分である。これにより非エンボス部42は、繊維間の空間が維持されて通液抵抗が低く、底部43から厚み方向への液の透過力を高める。
このエンボス部41の液拡散力と非エンボス部42の液透過力との相互作用で、液を1つの場所に留まらせずに拡散させ同時に広い面積で効率よく吸収体5へと引き込む。これにより表面シート1表面での液溜まりが抑えられ、凹部4による液と肌との接触抑制が高まる。エンボス部41と非エンボス部42とは、互いに離間した配置であってもよいが、両者の相互作用を考慮すれば、両者を対とする組み合わせが少なくとも2つ以上繰り返された配置が底部43にあることが好ましい。また、この繰り返しは少なくとも、排泄液が直接排泄されて最も多く存在し易い排泄部対応領域Cにあることが好ましい。このように短い間隔で繰り返されることで、排泄液の量が多くても少なくても液の拡散性と透過性が高まり、液と肌との接触抑制がさらに高まる。この非エンボス部42は底部43として平坦であってもよく、肌当接面側に隆起していてもよい。本実施形態においては、非エンボス部42は、図2及び3に示すように、肌当接面側に隆起した非エンボス部42Aと非エンボス部32Bとからなる。非エンボス部42Aは、隣り合う縦方向の凸部列Lの互いに半ピッチ縦方向にずれた凸部3同士を結び、縦方向に複数配されている。また非エンボス部42Aはエンボス部41と対をなし、この組み合わせが繰り返し縦方向に配置されている。この配置が、後述の液拡散通路80における縦方向の貫通経路を形成している。一方、非エンボス部42Bは、縦方向の凸部列Lの凸部同士を結んでいる。その左右にエンボス部41と対をなし、この組み合わせが横方向に配されている。
図4に示されるように、表面シート1の凹凸面に対し着用者の肌面Eを当接させて5kPaの圧力を加えると、前記肌面と表面シート1の凹凸面との間に平面方向への液拡散通路80が形成される。これは、肌に当接する凸部が潰れながらも高さがある程度保持され、肌に触れない凹部4の空間が残ることによる。すなわち、加圧された状態で残る頂部31周辺の凸部3の側部32、凹部4の壁部44及び底部43、並びに肌面Eとの間にできる空間が液拡散通路80となる。これを確認するためには、上記着用者の肌面を想定したアクリル板を用いて観察、計測を行う。この液拡散通路80の良好な形成の観点から、凸部3の潰れの程度、すなわち、凸部3の潰れた部分の厚みH11のシート厚み全体Hに対する割合(H11/H)は、40%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、25%以下がさらに好ましい。一方、潰れによる肌への柔らかなあたりを奏する観点から、その潰れの程度(H11/H)は、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、15%以上がさらに好ましい。なお5pKaの圧力とは、吸収性物品を下着等の着衣とともに装着した状態で表面シート1に加わる圧力に相当する力である。また、同様の観点から、前記加圧下での表面シート1の厚みMに対する、凸部3の肌との接触面33から凹部4の底部43の最も深いところ(エンボス部41)までの空間深さM3の割合は、75%以上が好ましく、85%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。その上限は、99%以下が好ましく、97%以下がより好ましく、95%以下がさらに好ましい。さらに、上記の潰れ難さを支える凸部の繊維構造として、凸部の繊維密度は、0.02g/cm以上が好ましく、0.03g/cm以上がより好ましく、0.04g/cm以上がさらに好ましい。その上限は、0.1g/cm以下が好ましく、0.09g/cm以下がより好ましく、0.08g/cm以下がさらに好ましい。
この液拡散通路80は、表面シート1と肌とを離間させる肌当接面上の空間である。この空間を画定する表面シート1の凹凸面、すなわち接触面33から側部32及び壁部44の下り斜面に沿って、排泄された瞬間の液がそのまま肌から素早く引き離され底部43へと至る。これにより、液が吸収体5へと透過するまでの僅かな時間においても、液と肌とを非接触にしておくことができる。また、液拡散通路80形成のため凸部3の潰れの程度を上記のように抑えたことで、肌と表面シート1との接触面33が限定的となり、肌ムレ等の解消の観点から好ましい。
そして液拡散通路80は、これを構成する凹部4に沿って平面方向に連続しており、液を肌に触れさせることなく縦方向及び横方向に拡散させ、吸収体5へ液を効率よく透過する。これにより、排泄液は特に排泄部対応領域Cに溜まらず、排泄時から良好な装着感が得られる。この点は後述する。
さらに前記加圧下の表面シート1では、液拡散通路80の上部、すなわち接触面33近傍(厚みM1)の部分(側部32ないしその一部)が、その下部(厚みM2)よりも親水度の低い疎水部81とされている(図4参照)。すなわち液透過通路80は厚み方向で、上方(M1)の疎水部81と下方(M2)の親水部82とに区分される。疎水部81は、厚みM1における表面シート1の表面のみであってもよく、その表面近傍の内部にまで形成されていてもよい。また、疎水部81は、厚みM1の接触面33近傍のみならず、頂部31を含めた接触面33自体にも形成されてもよい(図4(B)参照)。この図4(B)は、図4(A)の平面図であり、肌面Eによる加圧で凸部3の頂部31が潰れた状態として示している。なお、図4(B)では、疎水部81及び親水部82の配置の理解のため、親水部82となる凹部の非エンボス部42を省略して示した。
図4(B)の平面図において、凸部3を黒丸の小円とこれを囲む大円との組み合わせで模式的に示している。大円の輪郭は前記定義された凸部3の外縁を示す。すなわち、表面シート1の厚みHの上半分厚みH1と下半分厚みH2との境界を示しており、凸部3と凹部4との境界を示す。黒丸の小円は、疎水部81を示す。この点は、図5(A)及び図6の、頂部が潰れていない表面シートの平面図においても同様に示した。
上記の疎水部81と親水部82とは、構成繊維の親水度の高低によって定義することができる。この親水度の高低は、繊維に対する液の接触角の大小で示される。すなわち、接触角が大きいほど親水度が低く、疎水度が高い。疎水部81の繊維の接触角(α)は親水部82の繊維の接触角(β)よりも高くされている。この疎水部81の繊維の接触角(α)と親水部82の繊維の接触角(β)との差(α―β)は、5度以上が好ましく、10度以上がより好ましく、20度以上がさらに好ましい。また、疎水部81における表面張力72dyne/cmでの繊維の接触角(α)は、80度以上が好ましく、100度以上がより好ましい。親水部82における表面張力72dyne/cmでの繊維の接触角(β)は、30度以上100度未満が好ましく、60度以下がより好ましい。
(接触角の測定方法)
図5に示すように、5kPa加圧時にできる接触面33に沿った水平面T(図4参照)の位置より上の凸部3を切断し、残った凸部3の疎水部81の繊維1本を取り出す。また、親水部82の繊維1本を取り出す。それぞれの繊維に対して、イオン交換水を充填した霧吹き(なるべく霧の状態が細かくなるような道具を使用する)にて水滴を繊維表面に付着させ、付着5秒以内(なるべく2〜3秒)に画像を取り込む。付着後短時間で画像取り込みが必要な理由は、付着した水滴がマイクロスコープの測定部から出る光によって蒸発してしまうことと、油剤による接触角変化をおこさないようにするためである。水滴の両端もしくは片端の焦点が鮮明な観察結果10点(N=10)の接触角を計測し、それらの平均値を「接触角」とする。接触角は、画像または印刷した写真に対して、水滴の繊維との接線を引き、画像解析または分度器等によって、計測を行う。
この疎水部81は、表面シート1上の窪んだ親水部82へ移行した排泄液が接触面33へと滲出、すなわち逆戻り(図4の矢印V1)するのを防御する。加えて、接触面33及びその近傍を疎水部81とすることで、肌に触れる部分(接触面33)に液を残さず、窪んだ親水部82への液移行を促進する。該作用を効果的に奏する観点から、表面シート1の加圧下での厚みMに対する疎水部81の厚みM1の割合(M1/M)は、5%以上が好ましく、5.5%以上がより好ましく、6%以上がさらに好ましい。また、液拡散通路80による後述の液拡散性の観点から、通路となる親水部82を確保するため、40%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。上記の範囲のなかでも、前記割合(M1/M)は、表面での液流れ防止の観点から15%であることが特に好ましい。なお、この疎水部81が配設される厚みM1は、上記の範囲内の設定によって、厚みHの上方1/2に当たる凸部3に納まる(側部32の範囲を超えない)こともあれば(M1≦(H1−H11))、下方の凹部4の一部にかかることもある(M1>(H1−H11))。
疎水部81の厚み方向の配置割合(M1/M)は、凹凸面全体で均一になされている場合に限らず、凸部3ごとに不均一であってもよい。前記作用を奏するよう、少なくとも表面シート1の排泄部対応領域Cにおいて、50%以上の凸部で前述した割合(M1/M)の疎水部81があればよい。
また疎水部81の前記凹凸面全体に対する面積率は、疎水部81を伝う液流れを防止する観点から、40%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。また、肌に当接する凸部3の頂部31付近の液残りを抑え、同時に凹部4からの液の戻りを防止する観点から、疎水部81の面積率は、20%以上が好ましく、25%以上がより好ましく、30%以上がさらに好ましい。
(疎水部81の面積率の測定方法)
この測定には、キーエンス厚み解析計(KS−1100)を用いることができる。まず、表面シートの肌当接面側を無荷重状態で、前記解析計で表面シートの肌当接面側の全表面積(S)を測定する。次いで、疎水部81が完全に隠れる荷重(5kPa超)の透明プレートを置き、親水部82の面積(S2)を測定する。全表面積(S)から親水部82の面積(S2)を引くことで疎水部81の面積(S1)を求める。これらの値から、「S1/S×100」の値を算出し、これを疎水部81の面積率とする。該解析計のレーザー光で試料の表面をなぞることによって、立体的な形状の表面積を測定することが出来る。
このような疎水部81を上部に備えた液拡散通路80により、着用者の肌は、排泄直後から濡れた感じが抑えられる。また、疎水部81の配置深さ及び平面の面積率を抑えたことで、疎水部81を伝った表面での液流れが好適に抑えられる。この状態を保持しながら、液拡散通路80にある排泄液は、次に説明するように、親水部82とされた凹部4で拡散しつつ吸収体5へと素早く透過され保持される。
液拡散通路80は、前述のとおり、親水部82とされた凹部4に沿って平面方向に連続して形成されている。これにより液拡散通路80は表面シート1表面での平面方向への液拡散機能を有する。すなわち、排泄直後の液は、液拡散通路80によって肌に触れさせることなく排泄部対応領域Cから放射線状に拡散され、これにより吸収体5への液の透過スピードが高まる。特に、排泄液の横漏れ防止の観点から、横方向よりも縦方向で排泄液の進路に障害が少なく拡散性が高くされていることが好ましい。
具体的には、図5(A)に示されるように、液拡散通路80を構成する凹部4が、縦方向に延びながら、隣接する凸部3の縦配列における頂部31を結ぶ縦列線L1やL2と重ならない貫通経路を有する。この「重ならない貫通経路」とは、凹部4の底部43が前記の縦列線L1及びL2にかかったり、接したり、跨いだり、交差したりしないで縦方向に向かう経路である。例えば、縦列線L1やL2に対して斜め入射角で交差する直進経路、ジグザグ経路で折れ曲がり部分が前記縦列線上にあることは、前記「重ならない貫通経路」には含まれない。すなわち前記「重ならない貫通経路」は、液の拡散が、凸部3の側部32ではなく頂部31の高さで阻まれない経路である。このような縦列線L1やL2をよけて縦方向に進む貫通経路が、液拡散通路80を構成する凹部4の底部43に存在する。これにより、凹部4に移行した液が、凸部3で堰き止められることなく、素早く縦方向に拡散する。特に、物品の装着状態で肌の起伏に沿わせた状態では、表面シート1が湾曲しながら傾斜面となる部分もあり、この斜面でも十分液を縦方向に拡散させることができる。この縦方向への液の拡散性をより明確にするため、図2及び3に示すように、凸部3の縦列線L1及びL2上に、隆起した非エンボス部42Bがあることが好ましく、液の横方向への拡散を抑制する高さであることが好ましい(この点は後述する。)。また、縦方向への液の拡散性をより効果的にするため、「重ならない貫通経路」は、凹部4の底部43が前記の縦列線L1及びL2にかかったり、接したりしないことが好ましい。なお、図5(A)においては、凸部3及び凹部4の配置の理解のため、エンボス部41及び非エンボス部42(42A及び42B)を省略して示した(図6においても同様。)。
さらに、凹部4の縦方向の貫通経路が直線的であることが好ましい。この直線的とは、図5(B)に示されるように、表面シート1を縦方向の端縁側からみたときに(図5(A)の矢印B)、液拡散通路80を構成する凹部4の空間で向こう側を見通せることをいう。またこの直線的とは、図5(A)の平面図でみれば、貫通線E1が縦列線L1やL2と平行であるということもできる。この直線状の貫通線E1がある限り、凸部3が液拡散通路80の経路幅を完全に塞がない場合に限らず、凸部3の一部が液拡散通路80の経路幅内に入っている場合でもよい。なお、この貫通線E1は、必ずしも液拡散通路80の横幅の中央である必要はなく、L1側に寄っていてもよく、L2側に寄っていてもよい。これにより、排泄液を縦方向に直進させることができる。
また縦方向への高い液拡散性を示す構成として、例えば、図6に示すような貫通線E2を有する液拡散通路80であってもよい。この貫通線E2は、左右に振れながらも隣接する凸部3の縦配列における頂部31を結ぶ縦列線L1やL2と重ならない貫通経路となっている。つまり、排泄液が凸部3の最も壁の高いところで堰き止められることがない経路である。図5(A)との相違は、凹部4の両脇にある凸部3の配列それぞれで凸部3を縦方向に投影させたとき、凸部3の左右の投影像が一部で重なっていることである。この場合でも、貫通線E2が縦方向に向かって頂部31の縦配列L1やL2に突き当らない経路をたどるので、液拡散の障害が少なく高い液拡散性を有する。
以上のとおり、液拡散通路80の底部43には、蛇行する経路であっても頂部31を結ぶ縦列線L1やL2と重ならず、これらを避けて全体として縦方向に進む経路が存在する。これにより液拡散通路80は高い縦方向への液拡散性を有する。この液拡散性が、特に排泄部対応領域Cでの液溜まりを解消し肌と液との接触抑制をさらに確実にする。
このような液拡散性の確保の観点から、凸部3と凸部3との間の距離、すなわち凹部4の幅(D1)は、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、0.7mm以上がさらに好ましい。また、液漏れ防止や凸部の潰れにくさの観点から、5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、2mm以下がさらに好ましい。特に凹部4の幅(D1)は0.7mmであることが好ましい。
同様に、液拡散性の確保の観点から、凸部3の頂部31同士の間の距離(D2)は、2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、4mm以上がさらに好ましい。また、液漏れ防止や凸部の潰れにくさの観点から、10mm以下が好ましく、8mm以下がより好ましく、6mm以下がさらに好ましい。特に頂部31同士の距離(D1)は4mmであることが好ましい。
一方、液拡散通路80の横方向の経路は、縦方向に比べてシート側縁までの距離の短さゆえに液の横漏れ防止を考慮して、凸部3の横方向の配列における頂部31を結ぶ線S1やS2と一部で重なっている(図5(A))。すなわち、液拡散通路80は、横方向においては、行く手を凸部3に阻まれながら、これを迂回する経路を辿って液をゆっくりと拡散させる。この迂回経路が、排泄部対応領域Cにある液の逃げ道を作りながら横漏れを防ぐ。このことは、例えば図5(A)の矢印Gで示される経路として示される。また図5(C)に示されるように、表面シート1を横方向の側縁から見たときに(図5(A)の矢印C)、凹部4の経路の先に凸部3が完全に重なる配置である。このように液拡散通路80は、横方向において、矢印Gが辿る経路が長くなるよう非直線的であることが好ましい。
以上のような平面経路を有する液拡散通路80には、これを構成する凹部4の底部43に、前述のエンボス部41及び非エンボス部42が配されている。このエンボス部41及び非エンボス部42の相互作用は前述のとおりである。すなわち、エンボス部41の液拡散力と非エンボス部42の液透過力とにより、肌から離間した底部43において、特に排泄部対応領域Cの液溜まりが抑えられ、液と肌との接触抑制がより確実となる。このことが、凸部3の接触面33から液を遠ざけ素早く拡散させる液拡散通路80の前記作用をさらに促進する。本実施形態においては、液拡散通路80における縦方向の貫通経路において、エンボス部41と非エンボス部42Aとの組み合わせが複数縦方向に配されている。これにより縦方向の液拡散がさらに促進される。
非エンボス部42は、底部43として平坦であってもよいが、液透過作用をさらに高める観点から、図2の断面部分及び図3に示すように、肌当接面側に隆起していてもよい。この隆起により、非エンボス部42の液と接する表面積を大きくでき、液透過力をさらに高める。この隆起した非エンボス部42の高さ(H9、非肌当接面Z2からの高さ)は、凹部4の底部43を構成することから、当然に凹部4の高さ(H2)よりも低い。この観点から、非エンボス部42の高さ(H9)の凹部4の高さ(H2)に対する割合(H9/H2)は、表面積の確保の観点から、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。また、その上限は、液の拡散性の確保の観点から、95%以下が好ましく、90%以下がより好ましい。
また、前述した縦方向への液拡散性の観点から、エンボス部41との組み合わせで、縦方向に並ぶ非エンボス部42Aの隆起の高さは、横方向に並ぶ非エンボス部42Bの隆起の高さよりも低いことが好ましい(図2及び3)。すなわち、図5に示す、非エンボス部42Aの方が非エンボス部42Bよりも隆起高さが低いことが好ましい。
また非エンボス部42には、液透過作用向上の観点から、貫通した孔が配設されていてもよい(図示せず)。すなわち、孔部分には繊維による通液抵抗がないため、液透過力が高められる。また、この孔は、液拡散通路8における凹部4の底部43に形成されているため、従来の表面シートとは異なって、液戻りでも肌との接触が抑えられている。
さらに、このような種々の態様の凹部4に対し、凸部3の内部が中実の繊維集合部であることで、凹部4から凸部3内部への移行も生じ易く、凹部4での液拡散性を高める。特に凸部3の内部に表面よりも親水度の高い部分があると液を強く引き込むので好ましい。
また、このような中実の凸部3と凹部4の底部4を備えるものであれば、表面シート1としては、図3のように1層構造にかぎらず、2層構造であってもよく、それ以上の複数層構造であってもよい。
次に、本発明1の表面シートの製造方法について、その好ましい一実施形態の要部の概要を図7を参照しながら説明する。
表面シートを形成する疎水性繊維を親水化油剤によって親水化した後、繊維ウェブの連続体とする。
次いで、凹凸ロール及び平滑ロールからなるヒートエンボス装置を用いて、前記繊維ウェブの連続体に対して熱エンボス加工を行い、凹凸面を所定の配置で形成して表面シートとする。この工程において、表面シートに柔らかい風合いを付与する観点から、繊維ウェブに熱風をかけて嵩を増して(ふっくらさせて)から熱エンボスを打つ、または、ウェブに熱エンボス加工をした後に、熱風を当てて嵩を増す(ふっくらさせる)ことが好ましい。あるいは、ウェブの状態で凹凸の型にはめてからスチームや熱風等を当てて賦形を行うことが好ましい。
次いで、予め疎水剤を塗布しておいた非変形性の押圧面を有する平坦なプレートを、その疎水剤の塗布面が表面シートの凹凸面に接するようにして、表面シートに載置する(図7(A))。そして、平坦なプレートの上から5kPa超のおもりを載せて、表面シートの凹凸面に対し一定圧力を付与する。この圧力で押しつぶされた凸部の頂部及び近傍部分に対し、平坦なプレートの前記疎水剤が染み込み前述した疎水部が形成されて、本発明の表面シートが得られる(図7(B))。なお、5kPa超のおもりを用いることで、装着時にかかる荷重で生じる前述した接触面33の近傍(側部32ないしその一部)にも荷重をかけることができ、疎水剤を各凸部に均等に転写できる。すなわち精度よく疎水部を形成することができる。
表面シート1、裏面シート2、吸収体5及びサイドシート6の形成材料としては、この種の物品に採用されるものを特に制限なく用いることができる。
例えば、表面シート1は、不織布を用いることが好ましい。この不織布としてはカード法により製造されたエアースルー不織布やヒートボンド不織布、その他にスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、及びニードルパンチ不織布等の種々の不織布が挙げられる。また、前述のエンボス部を設けるため、前記不織布に熱融着繊維が含まれることが好ましい。熱融着繊維としては、PET/PE、PP/PEなどの芯鞘構造のものが好ましい。また、前記不織布には、界面活性剤等を用いた親水化処理を施すことが好ましい。表面シート1の構成繊維の種類のうち、好ましい組み合わせはPET/PE繊維どうしの組み合わせである。中でも、本発明においては所定方向における破断伸度(脱力状態にある不織布の元の長さをL1とし、伸長した時の長さをL2としたとき、特定の方向に不織布を伸長して破断させたときの伸長率((L2−L1)/L1))が50%以上である不織布を用いることが好ましい。このような不織布を用いることにより、賦形形状が均一な表面シートが得られる。
表面シート1の疎水部81を形成する疎水剤としては、具体的にシリコーン系オリゴマー、フッ素系オリゴマー等が挙げられる。シリコーンオリゴマーは鎖状のポリジメチルシリコーンが代表的で、このメチル基の一部をフェニル基やトリフルオロプロピル基にかえたポリメチルフェニルシリコーン、ポリフルオロシリコーン等がある。フッ素オリゴマーは、撥水撥油剤としてはパーフルオロアルキル基を含むアルコールのアクリル酸エステルのポリマーあるいはリン酸エステル等が用いられている。シリコーン系撥水剤の特徴は、撥水性と共に柔軟性に優れ、肌に直接接触する表面剤の処理に好適である。フッ素系の撥水剤は、当該域で最も優れた撥水性を示し、特に親水性化の為の界面活性剤を接触していても撥水性を維持出来る利点を有する。
裏面シート2としては、防水性があり透湿性を有していれば特に限定されないが、例えば、疎水性の熱可塑性樹脂と、炭酸カルシウム等からなる微小な無機フィラー又は相溶性のない有機高分子等とを溶融混練してフィルムを形成し、該フィルムを一軸又は二軸延伸して得られる多孔性フィルムが挙げられる。前記熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィンが挙げられる。該ポリオレフィンとしては、高〜低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられ、これらを単独で又は混合して用いることができる。
吸収体5としては、液保持性を有するものであれば、この種の物品に用いられる様々の態様ものを広く採用できる。例えば、パルプ繊維をコアラップシートで被覆したものや、エアレイド不織を用いたシート状のものや、高吸水性ポリマーを繊維シートで挟持してなるシート状のものなど様々ある。前記パルプ繊維としては、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ等の木材パルプや木綿パルプ、ワラパルプ等の非木材パルプ等の天然セルロース繊維などが挙げられる。その他、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオフィレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の合成樹脂からなる単繊維、これらの樹脂を2種以上含む複合繊維、アセテートやレーヨンなどの半合成繊維を一部に含んでもよい。また、前記高吸水性ポリマーとしては、この種の物品に通常使用されている各種のポリマー材料を用いることがでる。吸水性ポリマー32は、自重の20倍以上の水又は生理食塩水を吸収し保持し得る性能を有するような超吸収性高分子化合物であることが好ましい。
また被覆シートは、親水性の部材であり、例えば、親水性のティッシュペーパー等の薄手の紙(薄葉紙)、クレープ紙、コットンやレーヨンなどの親水性繊維からなる不織布、合成樹脂の繊維に親水化処理を施してなる不織布、例えばエアースルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)不織布等からなるものを用いることができる。
サイドシート6としては、撥水性の不織布が好ましく、カード法により製造された不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、ヒートロール不織布、ニードルパンチ不織布等の中から撥水性の物、または撥水処理した種々の不織布を用いることができる。特に好ましくは、例えば、スパンボンド不織布、スパンボンド−メルトブローン(SM)不織布、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)不織布等が用いられる。
本発明の吸収性物品は、上記の実施形態の失禁パッドに制限されるものではなく、例えば生理用ナプキンやパンティライナ、使い捨ておむつ、尿とりパッド等に適応することができる。なお吸収性物品の構成部材として、表面シート1、吸収体5、裏面シート2の他にも用途や機能に合わせ適宜部材を組み込んでもよい。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の吸収性物品及びその製造方法を開示する。
<1>着用者の腹側部から股下部を介して背側部に亘って配される方向を縦方向、該縦方向と直交する方向を横方向とする吸収性物品を構成する縦長の表面シートであって、
前記表面シートは、一方の面に凸部と凹部とを配した凹凸面を有し、該凸部は該凹部に周囲を囲まれており、該凹凸面に着用者の肌面を当接させて5kPaの圧力を加えた加圧時に、前記肌面と前記凹凸面との間で平面方向に連続した液拡散通路が配され、該液拡散通路を構成する凹凸面において、加圧時の前記肌面との接触面近傍が、その下方の部分よりも親水度の低い疎水部とされており、
前記液拡散通路は、縦方向においては前記凸部の縦方向の配列における頂部を結ぶ線とは重ならない貫通経路を有しており、前記液拡散通路をなす凹部の底部にはエンボス部と非エンボス部とが配されている、吸収性物品用の表面シート。
<2>前記液拡散通路は前記凸部の縦方向の配列における頂部を結ぶ線と接しない前記<1>に記載の吸収性物品用の表面シート。
<3>前記下方の部分が親水部である前記<1>又は<2>に記載の吸収性物品用の表面シート。
<4>前記表面シート1は、肌当接面側を凸部3及び凹部4が複数配された前記凹凸面とされ、非肌当接面側を平坦とされている前記<1>〜<3>のいずれか1に記載の吸収性物品用の表面シート。
<5>前記凹凸面は、少なくとも排泄部対応領域の着用者の排泄ポイント周辺に当接するよう配されている前記<1>〜<4>のいずれか1に記載の吸収性物品用の表面シート。
<6>前記表面シートの肌当接面側において、前記凸部は縦方向に等間隔で配されて列をなし、該縦方向の凸部列が横方向に複数列配されている前記<1>〜<5>のいずれか1に記載の吸収性物品用の表面シート。
<7>隣り合う前記縦方向の凸部列同士は、凸部を縦方向に半ピッチずらした配置である前記<6>に記載の吸収性物品用の表面シート。
<8>前記表面シートの肌当接面側の横方向においては、前記凸部の等間隔で配された横方向の凸部列が縦方向に複数列配されている前記<1>〜<7>のいずれか1に記載の吸収性物品用の表面シート。
<9>隣り合う前記縦方向の凸部列同士は、凸部を横方向に半ピッチずらした配置である前記<8>に記載の吸収性物品用の表面シート。
<10>前記凹凸面に着用者の肌面を当接させて5kPaの圧力を加えた加圧時に、前記凸部の潰れた部分の厚みH11のシート厚み全体Hに対する割合 H11/H が、40%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、25%以下がさらに好ましい、前記<1>〜<9>のいずれか1に記載の吸収性物品用の表面シート。
<11>前記凸部の潰れの程度である前記 H11/H は、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、15%以上がさらに好ましい、前記<10>に記載の吸収性物品用の表面シート。
<12>前記加圧下の表面シートでは、前記液拡散通路の上部である接触面近傍の厚みM1の部分が、その下部の厚みM2の部分よりも親水度の低い疎水部とされている前記<1>〜<11>のいずれか1に記載の吸収性物品用の表面シート。
<13>前記疎水部の繊維の接触角αとその下方の親水部の繊維の接触角βとの差 α―β は、5度以上が好ましく、10度以上がより好ましく、20度以上がさらに好ましい、前記<1>〜<12>のいずれか1に記載の吸収性物品用の表面シート。
<14>前記疎水部における表面張力72dyne/cmでの繊維の接触角αは、80度以上が好ましく、100度以上がより好ましい、前記<1>〜<13>のいずれか1に記載の吸収性物品用の表面シート。
<15>前記疎水部の下方にある親水部における表面張力72dyne/cmでの繊維の接触角βは、30度以上100度未満が好ましく、60度以下がより好ましい、前記<1>〜<14>のいずれか1に記載の吸収性物品用の表面シート。
<16>前記加圧下での表面シート1の厚みMに対する前記疎水部の厚みM1の割合 M1/M は、5%以上が好ましく、5.5%以上がより好ましく、6%以上がさらに好ましい、前記<1>〜<15>のいずれか1に記載の吸収性物品用の表面シート。
<17>前記加圧下での表面シート1の厚みMに対する前記疎水部の厚みM1の割合 M1/M は、40%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい、前記<1>〜<16>のいずれか1に記載の吸収性物品用の表面シート。
<18>前記加圧下での表面シート1の厚みMに対する前記疎水部の厚みM1の割合 M1/M は、15%であることが特に好ましい、前記<1>〜<17>のいずれか1に記載の吸収性物品用の表面シート。
<19>前記疎水部の前記凹凸面全体に対する面積率は、40%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい、前記<1>〜<18>のいずれか1に記載の吸収性物品用の表面シート。
<20>前記疎水部の前記凹凸面全体に対する面積率は、20%以上が好ましく、25%以上がより好ましく、30%以上がさらに好ましい、前記<1>〜<19>のいずれか1に記載の吸収性物品用の表面シート。
<21>前記凹部の底部において、前記非エンボス部が前記エンボス部よりも肌当接面側に隆起している前記<1>〜<20>のいずれか1に記載の吸収性物品用の表面シート。
<22>前記非エンボス部が前記エンボス部よりも肌当接面側に隆起しており、前記エンボス部との組み合わせで、縦方向に並ぶ前記非エンボス部の隆起の高さは、横方向に並ぶ非エンボス部の隆起の高さよりも低い、前記<1>〜<21>のいずれか1に記載の吸収性物品用の表面シート。
<23>前記凹部の底部において、前記非エンボス部に孔が配設されている前記<1>〜<22>のいずれか1に記載の吸収性物品用の表面シート。
<24>前記液拡散通路の横方向の経路は、前記凸部の横方向の配列における頂部を結ぶ線と一部で重なっている前記<1>〜<23>のいずれか1に記載の吸収性物品用の表面シート。
<25>前記凹部の底部には、縦方向に貫通する前記液拡散通路に沿って前記エンボス部と非エンボス部との対が少なくとも2つ以上繰り返し配列されている前記<1>〜<24>のいずれか1に記載の吸収性物品用の表面シート。
<26>前記液拡散通路の経路は、縦方向においては直線的である前記<1>〜<25>のいずれか1に記載の吸収性物品用の表面シート。
<27>前記液拡散通路の経路は、横方向においては非直線的である前記<1>〜<26>のいずれか1に記載の吸収性物品用の表面シート。
<28>前記疎水部は前記凸部の頂部にも及んでおり、該疎水部の前記凹凸面全体に対する面積率が50%以下である前記<1>〜<27>のいずれか1に記載の吸収性物品用の表面シート。
<29>前記凸部は中実である前記<1>〜<28>のいずれか1に記載の吸収性物品用の表面シート。
<30>前記凸部は、直径0.6mm以上の円形空間のない内部構造を有する前記<1>〜<29>のいずれか1に記載の吸収性物品用の表面シート。
<31>前記<1>〜<30>のいずれか1に記載の表面シートを用いた吸収性物品。
<32>前記表面シートの前記凹凸面に対し、非変形性の押圧面により5kPa超の一定圧力を付与しながら、前記凸部に疎水剤を転写し染み込ませて疎水部を形成する<1>〜<31>のいずれか1に記載の吸収性物品用の表面シートの製造方法。
1 表面シート
2 裏面シート
3 凸部
31 凸部の頂部
32 凸部の側部
4 凹部
41 エンボス部
42 非エンボス部
43 凹部の底部
44 凹部の壁部
5 吸収体
6 サイドシート
80 液拡散通路
81 疎水部
82 親水部
10 失禁パッド

Claims (11)

  1. 着用者の腹側部から股下部を介して背側部に亘って配される方向を縦方向、該縦方向と直交する方向を横方向とする吸収性物品を構成する縦長の表面シートであって、
    前記表面シートは、単層の繊維集合体からなり、一方の面に凸部と凹部とを配した凹凸面を有し、該凸部は該凹部に周囲を囲まれており、前記一方の面の反対側の面は平坦面とされており、
    前記凹凸面に着用者の肌面を当接させて5kPaの圧力を加えた加圧時に、前記肌面と前記凹凸面との間で平面方向に連続した液拡散通路が配され、該液拡散通路を構成する凹凸面において、加圧時の前記肌面との接触面近傍が、その下方の部分よりも親水度の低い疎水部とされており、
    前記液拡散通路は、縦方向においては前記凸部の縦方向の配列における頂部を結ぶ線とは重ならない貫通経路を有しており、前記液拡散通路をなす凹部の底部にはエンボス部と非エンボス部とが配されている、吸収性物品用の表面シート。
  2. 前記凹部の底部において、前記非エンボス部が前記エンボス部よりも肌当接面側に隆起している請求項1記載の吸収性物品用の表面シート。
  3. 前記凹部の底部において、前記非エンボス部に孔が配設されている請求項1記載の吸収性物品用の表面シート。
  4. 前記液拡散通路の横方向の経路は、前記凸部の横方向の配列における頂部を結ぶ線と一部で重なっている請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品用の表面シート。
  5. 前記凹部の底部には、縦方向に貫通する前記液拡散通路に沿って前記エンボス部と非エンボス部との対が少なくとも2つ以上繰り返し配列されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品用の表面シート。
  6. 前記液拡散通路の経路は、縦方向においては直線的である請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品用の表面シート。
  7. 前記液拡散通路の経路は、横方向においては非直線的である請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品用の表面シート。
  8. 前記疎水部は前記凸部の頂部にも及んでおり、該疎水部の前記凹凸面全体に対する面積率が0%以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸収性物品用の表面シート。
  9. 前記凸部は中実である請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸収性物品用の表面シート。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の表面シートを用いた吸収性物品。
  11. 前記表面シートの前記凹凸面に対し、非変形性の押圧面により5kPa超の一定圧力を付与しながら、前記凸部に疎水剤を転写し染み込ませて疎水部を形成する請求項1〜9のいずれか1項に記載の吸収性物品用の表面シートの製造方法。
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