JP6222422B2 - 白色系顔料、白色系インク組成物、インクセットおよびインクジェット記録方法 - Google Patents

白色系顔料、白色系インク組成物、インクセットおよびインクジェット記録方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6222422B2
JP6222422B2 JP2013066490A JP2013066490A JP6222422B2 JP 6222422 B2 JP6222422 B2 JP 6222422B2 JP 2013066490 A JP2013066490 A JP 2013066490A JP 2013066490 A JP2013066490 A JP 2013066490A JP 6222422 B2 JP6222422 B2 JP 6222422B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
white
ink composition
ink
color
white pigment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013066490A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014189645A (ja
Inventor
尚義 加賀田
尚義 加賀田
奨騎 笠原
奨騎 笠原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2013066490A priority Critical patent/JP6222422B2/ja
Priority to US14/227,783 priority patent/US20140292902A1/en
Publication of JP2014189645A publication Critical patent/JP2014189645A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6222422B2 publication Critical patent/JP6222422B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/30Inkjet printing inks
    • C09D11/32Inkjet printing inks characterised by colouring agents
    • C09D11/322Pigment inks
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/30Inkjet printing inks
    • C09D11/40Ink-sets specially adapted for multi-colour inkjet printing
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T428/00Stock material or miscellaneous articles
    • Y10T428/29Coated or structually defined flake, particle, cell, strand, strand portion, rod, filament, macroscopic fiber or mass thereof
    • Y10T428/2982Particulate matter [e.g., sphere, flake, etc.]

Description

本発明は、白色系顔料、白色系インク組成物、インクセットおよびインクジェット記録方法に関する。
従来、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム等の金属酸化物、硫酸バリウムや炭酸カルシウム等の白色系顔料を含有する白色系インク組成物が、様々な印刷方式に用いられている。このような白色系インク組成物は、例えばプラスチック製品や金属製品のような下地の色が白色とは限らない記録媒体にカラー画像を記録する場合において、カラー画像の発色性を向上させるべく下地の色を消す用途に用いられることがある。また、透明シートにカラー画像を記録する場合にあっては、カラー画像の透過性を下げる白色遮蔽層の形成に用いられることがある。
白色系インク組成物は上述の用途に用いられることから、(1)白色度の高い白色画像を記録できること、(2)得られた白色画像の耐擦性、すなわち物理的強度が高いこと、(3)得られた白色画像の遮蔽性が高いこと、(4)白色系顔料の分散性に優れていること、等の性能を同時に満たすことが要求される。
このような観点から、白色系インク組成物の組成や白色系顔料に関する研究が幾つか報告されている。例えば特許文献1には、無機又は無機有機混合型中空粒子からなる白色系顔料、重合性化合物及び重合開始剤を主成分とするインク組成物が開示されている。特許文献2には、複数の微粒子サブ群からなり、各サブ群の平均粒径の差がそれぞれ100nm未満である中空ポリマー粒子を含有するインク組成物が開示されている。特許文献3には、コア部とシェル部との界面において70%以上の全反射率を有し、シェル部が少なくとも一層以上の低屈折率材料に高屈折率材料の微粒子を混ぜ込んだ樹脂層であるコアシェル粒子が開示されている。
特開2007−211176号公報 特開2007−211036号公報 特許第4579823号公報
しかしながら、特許文献1に記載の発明のように白色系インク組成物の組成を変更するだけでは、上述の性能を同時に満たすことは難しかった。一方、特許文献2や特許文献3に開示されているように白色系顔料の材質や粒子径を制御するだけでも、上述の性能を同時に満たすことは難しく、とりわけ白色系インク組成物中における白色系顔料の分散性の問題を解決することが難しかった。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、上述の課題を解決することで、白色度、物理的強度、遮蔽性に優れた白色画像が得られると共に、インク組成物中における分散性が良好な白色系顔料、該白色系顔料を含有する白色系インク組成物、該白色系インク組成物を備えるインクセット、及び該インクセットを用いたインクジェット記録方法を提供するものである。
本発明は、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係る白色系顔料の一態様は、
下記式(1)で示されるSが0.15以上であることを特徴とする。
Figure 0006222422
但し、上記式(1)中、K1は構造因子、K2は空隙率、K3は粒子径、K4は比重、aは係数、をそれぞれ表す。0<K1、0<K2<1、1.5×10−7≦K3≦1.0×10−5、2≦K4≦8、a=1.0×1013である。
適用例1の白色系顔料によれば、白色度、物理的強度、遮蔽性に優れた白色画像が得られると共に、インク組成物中における分散性が良好となる。
[適用例2]
本発明に係る白色系インク組成物の一態様は、
適用例1の白色系顔料を含有することを特徴とする。
[適用例3]
適用例2の白色系インク組成物は、捺染用インクであってもよい。
[適用例4]
本発明に係るインクセットの一態様は、
適用例2の白色系インク組成物と、色材を実質的に含有しないクリアインク組成物と、を含むことを特徴とする。
[適用例5]
適用例4のインクセットにおいて、前記白色系インク組成物は、屈折率が1.6未満のバインダー樹脂をさらに含有することができる。
[適用例6]
本発明に係るインクセットの一態様は、
適用例2の白色系インク組成物と、カラー色材を含有するカラーインク組成物と、を含み、前記カラーインク組成物に含まれるカラー顔料の粒子径が、前記白色系インク組成物に含まれる白色系顔料表面における最大空隙径よりも大きいことを特徴とする。
[適用例7]
本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、
適用例4ないし適用例6のいずれか一例インクセットを使用することを特徴とする。
[適用例8]
本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、
適用例6のインクセットを使用するインクジェット記録方法であって、前記白色系インク組成物を吐出する際の記録ヘッドの駆動電位差が、前記カラーインク組成物を吐出する際の記録ヘッドの駆動電位差よりも高いことを特徴とする。
0<K1を満たす白色系顔料粒子の構造を模式的に示す断面図。 0<K1を満たす白色系顔料粒子の構造を模式的に示す断面図。 0<K1を満たす白色系顔料粒子の構造を模式的に示す断面図。 記録ヘッドの駆動信号に含まれる1つの駆動パルスの一例の模式図。 記録ヘッドの駆動信号に含まれる1つの駆動パルスの波形の一例の模式図。
以下に本発明の好適な実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
1.白色系顔料
本実施の形態に係る白色系顔料の一態様は、下記式(1)で示されるSが0.15以上であることを特徴とする。
Figure 0006222422
但し、上記式(1)中、K1は構造因子、K2は空隙率、K3は粒子径、K4は比重、aは係数、をそれぞれ表す。0<K1、0<K2<1、1.5×10−7≦K3≦1.0×10−5、2≦K4≦8、a=1.0×1013(m−2)である。
上記式(1)中、K1は構造因子であり、無次元数である。本発明における「構造因子」とは、白色系顔料の粒子(以下、「白色系顔料粒子」という。)を真球と仮定したときの該粒子の表面積に対する該粒子の実際の比表面積で表される因子のことをいう。すなわち、構造因子K1は、真球と仮定したときの白色系顔料粒子に対してどれだけ賦活化された構造であるかを表す指標となる。構造因子K1は、下記式(2)で表される。
K1=log10(T2/T1) ・・・・・(2)
上記式(2)中、T1は、白色系顔料粒子を真球と仮定したときの該粒子の表面積を表し、T1=4πrである。ここで、rは白色系顔料粒子の半径である。rは、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて回折散乱光の光強度分布パターンを検出し、その光強度分布パターンをMie散乱理論に基づいて計算することにより体積基準の粒度分布を求め、その粒度分布から算出された体積平均粒子径から求めることができる。かかる方法により求めた体積平均粒子径は、測定した白色系顔料粒子を真球と仮定したときの粒子径として算出される。このようなレーザー回折式粒度分布測定装置としては、例えば、マイクロトラックUPA(日機装株式会社製)が挙げられる。
上記式(2)中、T2は、ガス吸着法によって求めた白色系顔料粒子の比表面積である。ガス吸着法とは、白色系顔料粒子の表面や空隙に吸着占有面積が既知のガス分子を吸着させ、その量から白色系顔料粒子の比表面積を求める方法である。ガス吸着法によって比表面積を測定できる装置としては、例えば、流動式比表面積自動測定装置フローソーブIII2305/2310、自動比表面積測定装置ジェミニ2360/2375、高速比表面積/細孔分布測定装置アサップ2020(以上、株式会社島津製作所製)が挙げられる。
なお、構造因子K1は、0<K1の範囲の数値であれば、白色系顔料粒子が少なくとも賦活化されていると解釈することができるが、0.5≦K1≦10であることが好ましく
、1≦K1≦5であることがより好ましく、2≦K1≦4であることが特に好ましい。なお、K1の値が大きくなればなるほど、白色系顔料粒子における空隙の割合が大きくなり、白色系顔料粒子の物理的強度が損なわれやすくなる傾向がある。
構造因子K1が0よりも大きい白色系顔料粒子の構造としては、例えば、図1に示すような略球状の粒子の表面から内部に入り組んだ空隙部10を有する白色系顔料粒子100、図2に示すような異形粒子構造を有する白色系顔料粒子200、図3に示すような異形粒子の表面から内部に入り組んだ空隙部10を有する白色系顔料粒子300等が挙げられる。
上記式(1)中、K2は空隙率であり、無次元数である。本発明における「空隙率」とは、水銀圧入法によって求めた白色系顔料粒子の空隙率のことである。まず、水銀圧入法によって、細孔に水銀を圧入する際の圧力と圧入量から細孔容積を求め、次に、水銀が圧入される前の体積(かさ体積)と求めた細孔容積から空隙率を算出することができる。水銀圧入法によって細孔容積を測定できる測定装置としては、例えば、細孔分布測定装置オートポアIV 9520(株式会社島津製作所製)が挙げられる。
なお、空隙率K2は、0<K2<1の範囲の数値となるが、0.1≦K2≦0.9であることが好ましく、0.2≦K2≦0.8であることがより好ましく、0.3≦K2≦0.7であることが特に好ましい。白色系顔料粒子の空隙率K2が前記範囲内にあれば、白色系顔料粒子の空隙に分散媒が進入することで、インク組成物中における白色系顔料粒子の分散性が良好となる。また、空隙率が大きくなればなるほど白色系顔料粒子の物理的強度が低下するが、K2が上記範囲内の数値であれば白色系顔料粒子の物理的強度も良好となり、得られる白色画像の耐擦性も良好となる。
上記式(1)中、K3は粒子径であり、単位はメートルである。本発明における「粒子径」とは、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて回折散乱光の光強度分布パターンを検出し、その光強度分布パターンをMie散乱理論に基づいて計算することにより体積基準の粒度分布を求め、その粒度分布から算出された体積平均粒子径のことをいう。このようなレーザー回折式粒度分布測定装置としては、例えば、マイクロトラックUPA(日機装株式会社製)が挙げられる。
なお、粒子径K3は、1.5×10−7≦K3≦1.0×10−5の範囲の数値であり、2.0×10−7≦K3≦1.0×10−6であることがより好ましく、3.0×10−7≦K3≦6.0×10−7であることが特に好ましい。白色系顔料粒子の粒子径K3が前記範囲内にあると、インク組成物中における白色系顔料粒子の分散性が良好となり、また白色度及び遮蔽性に優れた白色画像が得られる。
上記式(1)中、K4は比重であり、無次元数である。本発明における「比重」とは、白色系顔料粒子そのものの比重ではなく、白色系顔料粒子を構成する成分の比重のことをいう。したがって、比重K4は、白色系顔料粒子の形状等によって変化する値ではなく、白色系顔料粒子を構成する成分によって一義的に定まる値となる。なお、比重K4は、2≦K4≦8の範囲の数値である。
次に、上記式(1)で示されるSの技術的意義について説明する。上記式(1)中の分子(K1×(1−K2)×a(K3))は、粒子径K3の白色系顔料粒子における空隙部以外の部分によってどれだけ賦活化されているかを表すパラメータである。この賦活化を表すパラメータは、白色度、物理的強度、遮蔽性に優れた白色画像を得るための因子となる。すなわち、(1−K2)は、白色系顔料粒子の空隙部以外の部分の割合を表し、白色系顔料粒子の物理的強度に直接結びつく項である。(K3)は、白色系顔料粒子の粒
子径のべき乗であり、画像の白色度及び遮蔽性に直接結びつく項である。そして、K1は、白色系顔料粒子の賦活化の割合を表している。これらを掛け合わせることにより、粒子径K3の白色系顔料粒子における空隙部以外の部分によってどれだけ賦活化されているかを表すことができる。白色系顔料粒子が賦活化されることにより、画像の白色度及び遮蔽性がより一層向上することが、本願発明者らの研究により明らかになっている。
上記式(1)において、(K1×(1−K2)×a(K3))を比重K4で除することによって、さらに分散性が加味された因子となる。すなわち、白色系顔料粒子の比重K4が大きくなればなるほど、インク組成物中で沈降しやすくなり、分散性が損なわれることになる。
本実施の形態に係る白色系顔料の材質としては、特に制限されないが、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム等の金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、中空構造を有する樹脂粒子等が挙げられる。中空構造を有する樹脂粒子としては、例えば米国特許第4,880,465号公報等の明細書に記載されている樹脂粒子が挙げられる。これらの白色系顔料の中でも、白色度、遮蔽性及び物理的強度の観点から、二酸化チタンが好ましい。
2.白色系インク組成物
本実施の形態に係る白色系インク組成物は、上述の白色系顔料を含有することを特徴とする。上述の白色系顔料を含有することで、白色度、物理的強度、遮蔽性に優れた白色画像が得られると共に、インク組成物中における分散性が良好となる。
白色系顔料の含有量(固形分換算)は、白色系インク組成物の全質量に対して、1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。白色系顔料の含有量が前記範囲内にあることで、分散性に優れた白色系インク組成物が得られやすく、また白色度及び遮蔽性に優れた白色画像が得られやすい。
「白色系インク」とは、社会通念上「白」と呼称される色を記録できるインク(インキ)であり、微量着色されているものも含む。また、その顔料を含有するインク(インキ)が「白色インク(インキ)、ホワイトインク(インキ)」などといった名称で呼称、販売されるインク(インキ)を含む。さらに、例えば、インク(インキ)が、エプソン純正写真用紙<光沢>(セイコーエプソン社製)に100%duty以上又は写真用紙の表面が十分に被覆される量で記録された場合に、インクの明度(L)および色度(a、b)が、分光測光器Spectrolino(商品名、GretagMacbeth社製)を用いて、測定条件をD50光源、観測視野を2°、濃度をDIN NB、白色基準をAbs、フィルターをNo、測定モードをReflectance、として設定して計測した場合に、70≦L≦100、−4.5≦a≦2、−6≦b≦2.5、の範囲を示す、インク(インキ)を含む。
上記白色系インクの定義において、「duty」とは、下式で算出される値である。
duty(%)=(実吐出ドット数/(縦解像度×横解像度))×100
(式中、「実吐出ドット数」は単位面積当たりの実吐出ドット数であり、「縦解像度」および「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。)
本実施の形態に係る白色インク組成物には、必要に応じて、バインダー樹脂、水、有機溶剤、界面活性剤等を添加してもよい。
本実施の形態に係る白色インク組成物は、白色画像の耐擦性等の物理的強度を向上させる観点から、バインダー樹脂を含有することが好ましい。このようなバインダー樹脂の具
体例としては、ポリエステル系樹脂、フルオレン系樹脂、スチレンアクリル系樹脂等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂を添加することで、白色画像の密着性を向上でき、耐擦性を高める効果も期待できる。ポリエステル系樹脂としては、ポリオールとポリカルボン酸とを反応させて得られるポリマーであり、公知の方法で合成できる。
ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらのポリオールは、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸等が挙げられる。これらのポリカルボン酸は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエステル系樹脂としては、市販品を用いることもでき、例えばEastek 1100、1300(以上商品名、イーストマンケミカルジャパン社製)、エリーテル KT−8830、KT−1449、KT−8701(以上商品名、ユニチカ株式会社製)等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂の含有量(固形分換算)は、白色系インク組成物の全質量に対して、好ましくは1質量%以上5質量%以下であり、より好ましくは2質量%以上4質量%以下、特に好ましくは3質量%以上4質量%以下である。ポリエステル系樹脂の含有量が上記範囲内あると、白色画像の密着性を向上させる効果が得られやすい。
フルオレン系樹脂及び/又はスチレンアクリル系樹脂を添加することで、白色画像の物理的強度を高めることができるので耐擦性を向上でき、また密着性を高める効果も期待できる。
フルオレン系樹脂としては、フルオレン骨格を有する樹脂であれば特に制限されるものではなく、例えば、フルオレン骨格を有する第1のジオール及び親水性基を有する第2のジオールを含むポリオール成分と、ポリイソシアネート化合物と、を反応させて得られるものが挙げられる。
フルオレン系樹脂の重量平均分子量は、フルオレン系樹脂の添加による白色系インク組成物の粘度上昇を低減する観点から、2000以上20000以下であることが好ましく、3000以上20000以下であることがより好ましい。
スチレンアクリル系樹脂としては、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。なお、共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態も用いることができる。
なお、スチレンアクリル系樹脂としては、市販されているものを用いてもよい。スチレンアクリル系樹脂の市販品の具体例としては、ジョンクリル62J(BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
スチレンアクリル系樹脂の重量平均分子量は、スチレンアクリル系樹脂の添加による白色系インク組成物の粘度上昇を低減する観点から、1000以上10000以下であることが好ましく、1800以上8000以下であることがより好ましい。
フルオレン系樹脂及びスチレンアクリル系樹脂の含有量(固形分換算)は、白色系インク組成物の全質量に対して、好ましくは0.2質量%以上5質量%以下であり、より好ましくは0.4質量%以上3質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以上2質量%以下である。フルオレン系樹脂及びスチレンアクリル系樹脂の合計含有量が上記範囲内あると、白色画像の耐擦性を向上させる効果が得られやすい。
本実施の形態に係る白色系インク組成物は、水を50質量%以上含有する、いわゆる水系インク組成物であることが好ましい。水系インク組成物とすることにより、記録された画像の乾燥性に優れ、さらには環境にも優しいインクとすることができる。
本実施の形態に係る白色インク組成物は、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の1,2−アルカンジオール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の多価アルコール類;N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−ブチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドン等のピロリドン誘導体;が挙げられる。
本実施の形態に係る白色インク組成物は、界面活性剤を含有してもよい。このような界面活性剤としては、シリコン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤等が挙げられる。
シリコン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物等が好ましく用いられ、例えばポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。具体的には、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。このシリコン系界面活性剤は、記録媒体上で白色系インクの濃淡ムラや滲みを生じないように均一に広げる作用を有するという観点から好ましく用いることができる。シリコン系界面活性剤を含有する場合には、その含有量が、白色系インク組成物の全質量に対して、0.1質量%以上1.5質量%以下であることが好ましい。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、DF110D、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA(以上全て商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−
3(以上全て商品名、日信化学工業株式会社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤は、他の界面活性剤と比較して、表面張力及び界面張力を適正に保つ能力に優れており、かつ起泡性がほとんどないという特性を有する。アセチレン系界面活性剤を含有する場合には、その含有量は、白色系インクの全質量に対して、0.1質量%以上1.5質量%以下であることが好ましい。
本実施の形態に係る白色系インク組成物には、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等をさらに添加することができる。
本実施の形態に係る白色系インク組成物は、白色度、物理的強度、遮蔽性に優れた白色画像が得られ、かつ白色系顔料が繊維と絡みやすくなると考えられることから、布帛等のインク吸収性記録媒体に記録する捺染用インクとして用いてもよい。本実施の形態に係る白色系インク組成物を捺染用インクとして用いることで、布帛に記録された白色画像の耐擦性がより向上することが期待できる。
一方、本実施の形態に係る白色インク組成物は、重合性モノマーを30質量%以上含有する電離放射線硬化型インクではないことが好ましい。電離放射線硬化型インクとは、電離放射線(α線、電子線、β線、陽電子線、陽子線、重陽子線、三重陽子線、重イオン線、荷電中間子線、X線、γ線、中性子線、中性微子(ニュートリノ)、非荷電中間子線)の照射によって、重合性モノマーに電離・励起がもたらされた結果、硬化するインクのことをいう。本実施の形態に係る白色インク組成物を、重合性モノマーを30質量%以上含有する電離放射線硬化型インクとして用いた場合、白色系顔料粒子の周辺が重合性モノマーに由来する屈折率の高いポリマーによって埋められてしまうため、白色度及び遮蔽性を低下させるおそれがある。
3.インクセット
3.1.第1のインクセット
本発明の一実施の形態に係る第1のインクセットは、上述の白色系インク組成物と、色材を実質的に含有しないクリアインク組成物と、を含むことを特徴とする。
3.1.1.白色系インク組成物
第1のインクセットに含まれる白色系インク組成物は、上述したようにバインダー樹脂を含有することが好ましいが、クリアインク組成物とのインクセットとして使用する場合には、屈折率が1.6未満、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.4以下のバインダー樹脂を使用することがより好ましい。屈折率が1.6以上のバインダー樹脂を使用した場合、白色系顔料粒子の周辺に屈折率が1.6以上のバインダー樹脂が存在することで、屈折率差が小さくなってしまい、白色度が低下する傾向があるためである。
屈折率が1.6未満のバインダー樹脂としては、例えばフッ素系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、液状であってもよく、液状媒体中に分散された粒子状であってもよい。また、これらの樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー、テトラフルオロエチレン−パーフルオロイジオキソールコポリマー、ポリビニルフルオライド等が挙げられる。フッ素系樹脂には、市販品を用いてもよく、例えばポリテトラフルオロエチレン(商品名「ポリフロンD−
210C」、ダイキン工業株式会社製)等が挙げられる。
アクリル系樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、(メタ)アクリル酸−メタクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味するものとする。アクリル系樹脂には、市販品を用いてもよく、例えばUC−3000、UC−3510(商品名、東亞合成株式会社製)等が挙げられる。
スチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。スチレン系樹脂には、市販品を用いてもよく、例えばスチレンマレイン樹脂(商品名「アラスター700」、荒川化学工業株式会社製)等が挙げられる。
本発明におけるバインダー樹脂の屈折率とは、該バインダー樹脂を用いて作製された厚さ1μmの塗膜の屈折率のこという。バインダー樹脂を用いた塗膜の具体的な作製方法は、次の通りである。まず、有機溶媒(例えば、エタノールやトルエン)100質量部に対してバインダー樹脂1質量部を添加し、これを攪拌して樹脂分散液を調製する。得られた樹脂分散液を平板ガラス上に塗布したものを真空乾燥装置にて25℃で24時間保存し、有機溶媒を揮発させる。このようにして、バインダー樹脂からなる塗膜(厚さ1μm)が得られる。
また、塗膜の屈折率は、屈折率計により測定され、具体的にはアッベ式屈折率計DR−A1(商品名、株式会社アタゴ製)を用いて、測定温度25℃、標準条件にて測定される。なお、塗膜の屈折率が高い場合(例えば、アッベ式屈折率計DR−A1を用いて測定された屈折率が1.7以上の場合)には、アッベ式屈折率計DR−A1に代えて、分光エリプソメーターを用いて、測定温度25℃、波長589.3nmの条件で測定すればよい。
第1のインクセットに含まれる白色系インク組成物において、屈折率が1.6未満のバインダー樹脂の含有量(固形分)は、白色系インク組成物の全質量に対して、好ましくは3質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上8質量%以下である。バインダー樹脂の含有量が上記範囲にあれば、白色画像の定着性や耐擦性を十分に向上できると共に、インクジェット記録装置に適用した際にノズル目詰まりの発生を抑制できる。
白色系インク組成物のその他の事項については、上記で説明したので詳細な説明は省略する。
3.1.2.クリアインク組成物
第1のインクセットに含まれるクリアインク組成物は、色材を実質的に含有しないため、無色透明または無色半透明の液体である。「色材を実質的に含有しない」とは、例えばインク中の色材の含有量が0.5質量%未満であること、より好ましくは0.1質量%未満であること、さらに好ましくは0.01質量%未満、最も好ましくは0.005質量%未満であることをいう。
第1のインクセットに含まれるクリアインク組成物は、上述の白色系インク組成物によって記録された白色画像上に吐出されて透明層を形成することで、該白色画像の耐擦性を
向上させたり、記録媒体上に吐出して透明層を形成した後、その上に上述の白色系インク組成物によって白色画像を記録することで、該白色画像の定着性を向上させたりする目的で使用される。
したがって、第1のインクセットに含まれるクリアインク組成物は、耐擦性や定着性を向上させるためのバインダー樹脂を含有することが好ましい。バインダー樹脂としては、白色系インク組成物の場合と同様に、屈折率が1.6未満、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.4以下のバインダー樹脂を使用することがより好ましい。屈折率が1.6以上のバインダー樹脂を使用した場合、白色系顔料粒子の周辺に屈折率が1.6以上のバインダー樹脂が存在することで、屈折率差が小さくなってしまい、白色度が低下する傾向がある。
屈折率が1.6未満のバインダー樹脂としては、上記で説明したものが挙げられ、またこれらの樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
第1のインクセットに含まれるクリアインク組成物において、屈折率が1.6未満のバインダー樹脂の含有量(固形分)は、クリアインク組成物の全質量に対して、好ましくは3質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上8質量%以下である。バインダー樹脂の含有量が上記範囲にあれば、白色画像の定着性や耐擦性を十分に向上できると共に、インクジェット記録装置に適用した際にノズル目詰まりの発生を抑制できる。
第1のインクセットに含まれるクリアインク組成物には、ポリオレフィンワックス、エチレン酢酸ビニル系樹脂等の樹脂をさらに添加してもよい。これらの樹脂を添加することで、白色画像のヒビ割れの発生を低減する効果がある。
第1のインクセットは、白色とは限らない記録媒体(例えば、プラスチックや金属)に対して画像を記録するために用いられる場合がある。すなわち、白色系インク組成物によって記録媒体の地色を消したり、記録媒体が透明または半透明の場合にはカラー画像の透過性を下げるためにカラー画像の下地層を形成する目的で用いられることがある。このとき、白色系インク組成物からなる下地層の上に、カラー画像が記録されると、画像にヒビ割れが発生することがある。ヒビ割れの生じる詳細なメカニズムは明らかになっていないが、インクの乾燥過程に伴う画像の急激な収縮や、白色系インク組成物およびカラーインク組成物に含まれる成分の凝集等によるものと推測される。このような場合に、ポリオレフィンワックスやエチレン酢酸ビニル系樹脂を含有するクリアインク組成物を使用することで、画像のヒビ割れが効果的に抑制されるとともに、画像の耐擦性にも優れたものとなる。
ポリオレフィンワックスとしては、特に限定されるものではなく、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィンまたはその誘導体から製造されたワックスおよびそのコポリマー、具体的には、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス、ポリブチレン系ワックス等が挙げられる。これらの中でも、画像のヒビ割れの発生をより効果的に低減できるという観点から、ポリエチレン系ワックスが好ましい。ポリオレフィンワックスは、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
エチレン酢酸ビニル系樹脂としては、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体に限られず、さらに他のモノマーを含む共重合体であってもよい。他のモノマーとしては、特に限定されず、公知のモノマーを用いることができる。
エチレン酢酸ビニル系樹脂としては、溶媒中に粒子状で分散されたエマルジョンタイプ
、溶媒中に溶解した状態で存在している溶液タイプのいずれのタイプを用いてもよいが、溶媒中に粒子状で分散されたエマルジョンタイプが好ましい。また、エマルジョンタイプは、その乳化方法によって強制乳化型と自己乳化型に分類することができるが、本発明においてはいずれの型式でも用いることができる。
第1のインクセットに含まれるクリアインク組成物において、ポリオレフィンワックス及び/又はエチレン酢酸ビニル系樹脂の含有量(固形分)は、クリアインク組成物の全質量に対して、好ましくは3質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上8質量%以下である。ポリオレフィンワックス及び/又はエチレン酢酸ビニル系樹脂の含有量が上記範囲にあれば、画像のヒビ割れを効果的に低減できると共に、インクジェット記録装置に適用した際にノズル目詰まりの発生を抑制できる。
第1のインクセットに含まれるクリアインク組成物は、必要に応じて、上記白色インク組成物で説明した有機溶媒、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等をさらに添加することができる。
また、第1のインクセットは、さらに後述するカラーインク組成物を組み合わせて、白色系インク組成物、クリアインク組成物及びカラーインク組成物のインクセットとすることもできる。
3.1.3.インクジェット記録方法
本実施の形態に係るインクジェット記録方法は、上述の第1のインクセットを使用することを特徴とする。第1のインクセットを使用するインクジェット記録方法によれば、上述の白色系顔料を含有する白色系インク組成物により、白色度、遮蔽性、物理的強度に優れた白色画像が得られるだけでなく、クリアインク組成物により白色画像のヒビ割れが効果的に抑制され、白色画像の耐擦性がより向上する。
本実施の形態に係るインクジェット記録方法では、(1)白色系インク組成物の液滴及びクリアインク組成物の液滴を実質的に同一処理時に吐出させて、当該白色インク組成物の液滴及び当該クリアインク組成物の液滴を記録媒体上で接触させて付着させてもよいし、(2)白色系インク組成物の液滴を記録媒体上に吐出して白色画像を形成した後、その白色画像上にクリアインク組成物の液滴を吐出して透明層を形成してもよいし、(3)クリアインク組成物の液滴を記録媒体上に吐出して透明層を形成した後、その透明層上に白色系インク組成物の液滴を吐出して白色画像を形成してもよい。
ここで、「実質的に同一処理時に吐出」とは、一方のインクおよび他方のインクの両インクの液滴が、互いに混ざり合うことができるタイミングで吐出されることをいう。これによって、互いのインクが混ざり合った画像が記録される。例えばシリアルプリンターでは、同一走査で同一箇所に、白色系インク組成物とクリアインク組成物とを着弾させる場合がある。
第1のインクセットをインクジェット記録装置に適用する場合において、白色系インク組成物及びクリアインク組成物の20℃における粘度は、2mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上6mPa・s以下であることがより好ましい。20℃における粘度が上記範囲内にあると、ノズルから適量吐出され、飛行曲がりを起こすことや飛散することを一層低減できるので、インクジェット記録装置に好適に使用することができる。インクの粘度は、振動式粘度計VM−100AL(山一電機株式会社製)を用いて、インクの温度を20℃に保持することで測定できる。
3.2.第2のインクセット
本発明の一実施の形態に係る第2のインクセットは、上述の白色系インク組成物と、カラー色材を含有するカラーインク組成物と、を含むことを特徴とする。白色系インク組成物については、上記で説明したので詳細な説明は省略する。
3.2.1.カラーインク組成物
第2のインクセットに含まれるカラーインク組成物は、カラー色材(上述の白色系顔料以外の色材)を含有する。このようなカラー色材としては、例えば、カラー顔料、カラー染料等が挙げられる。第2のインクセットに含まれるカラーインク組成物において、カラー色材の含有量は、カラーインク組成物の全質量に対して、好ましくは1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上15質量%以下である。
<カラー顔料>
第2のインクセットに含まれるカラーインク組成物に使用可能なカラー顔料としては、特に制限されないが、無機顔料や有機顔料が挙げられる。カラーインク組成物にカラー顔料が含まれる場合には、カラーインク組成物に含まれるカラー顔料の粒子径が、上述の白色系インク組成物に含まれる白色系顔料表面における最大空隙径よりも大きいことが好ましい。白色系顔料表面における最大空隙径よりもカラー顔料の粒子径が小さい場合、白色系顔料表面に存在する空隙からカラー顔料が進入することで、カラー顔料が白色系顔料の内部に埋もれてしまい、良好な発色性を有するカラー画像を記録することができなくなる場合がある。
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
上記カラー顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
更に詳しくは、ブラック用として使用される無機顔料としては、以下のカーボンブラック、例えば、三菱化学製のNo.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、又はNo2200B等;コロンビア社製のRaven5750、Raven5250、Raven5000、Raven3500、Raven1255、又はRaven700等;キャボット社製のRegal 400R、Regal 330R、Regal 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、又はMonarch 1400等;あるいは、デグッサ社製のColor Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、またはSpecial Black
4等が挙げられる。
イエロー有機顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、155、167、172、180、185、213等が挙げられる。
マゼンタ有機顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、254、264またはC.I.ピグメントバイオレット19、23、32、33、36、38、43、50等が挙げられる。
シアン有機顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、15:34、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー4、60等が挙げられる。
また、マゼンタ、シアンおよびイエロー以外の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、10、C.I.ピグメントブラウン3、5、25、26、C.I.ピグメントオレンジ2、5、7、13、14、15、16、24、34、36、38、40、43、63等が挙げられる。
<カラー染料>
カラー染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、反応分散染料等の通常インクジェット記録に使用する各種染料を使用することができる。
イエロー系染料としては、C.I.アシッドイエロー1、3、11、17、19、23、25、29、36、38、40、42、44、49、59、61、70、72、75、76、78、79、98、99、110、111、127、131、135、142、162、164、165、C.I.ダイレクトイエロー1、8、11、12、24、26、27、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、110、132、142、144、C.I.リアクティブイエロー1、2、3、4、6、7、11、12、13、14、15、16、17、18、22、23、24、25、26、27、37、42、C.I.フードイエロー3、4、C.I.ソルベントイエロー15、19、21、30、109等が挙げられる。
マゼンタ系染料としては、C.I.アシッドレッド1、6、8、9、13、14、18、26、27、32、35、37、42、51、52、57、75、77、80、82、85、87、88、89、92、94、97、106、111、114、115、117、118、119、129、130、131、133、134、138、143、145、154、155、158、168、180、183、184、186、194、198、209、211、215、219、249、252、254、262、265、274、282、289、303、317、320、321、322、C.I.ダイレクトレッド1、2、4、9、11、13、17、20、23、24、28、31、33、37、39、44、46、62、63、75、79、80、81、83、84、89、95、99
、113、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230、231、C.I.リアクティブレッド1、2、3、4、5、6、7、8、11、12、13、15、16、17、19、20、21、22、23、24、28、29、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、46、49、50、58、59、63、64、C.I.ソルビライズレッド1、C.I.フードレッド7、9、14等が挙げられる。
シアン系染料としては、C.I.アシッドブルー1、7、9、15、22、23、25、27、29、40、41、43、45、54、59、60、62、72、74、78、80、82、83、90、92、93、100、102、103、104、112、113、117、120、126、127、129、130、131、138、140、142、143、151、154、158、161、166、167、168、170、171、182、183、184、187、192、199、203、204、205、229、234、236、249、C.I.ダイレクトブルー1、2、6、15、22、25、41、71、76、77、78、80、86、87、90、98、106、108、120、123、158、160、163、165、168、192、193、194、195、196、199、200、201、202、203、207、225、226、236、237、246、248、249、C.I.リアクティブブルー1、2、3、4、5、7、8、9、13、14、15、17、18、19、20、21、25、26、27、28、29、31、32、33、34、37、38、39、40、41、43、44、46、C.I.ソルビライズバットブルー1、5、41、C.I.バットブルー4、29、60、C.I.フードブルー1、2、C.I.ベイシックブルー9、25、28、29、44等が挙げられる。
また、マゼンタ、シアンおよびイエロー以外の染料としては、例えば、C.I.アシッドグリーン7、12、25、27、35、36、40、43、44、65、79、C.I.ダイレクトグリーン1、6、8、26、28、30、31、37、59、63、64、C.I.リアクティブグリーン6、7、C.I.アシッドバイオレット15、43、66、78、106、C.I.ダイレクトバイオレット2、48、63、90、C.I.リアクティブバイオレット1、5、9、10、C.I.ダイレクトブラック154等が挙げられる。
<樹脂>
第2のインクセットに含まれるカラーインク組成物は、必要に応じて樹脂を含有することができる。樹脂の機能としては、例えば、カラーインクを記録媒体に定着させたり、カラーインク中の色材の分散性を向上させたりすることが挙げられる。樹脂の含有量は、カラーインク組成物の全質量に対して、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下である。なお、カラーインク組成物に用いられる色材の粒子径は、白色系インク組成物に用いられる白色系顔料の粒子径よりも小さいことが多い。そのため、カラーインク組成物は、色材の凝集が生じにくく、白色系インク組成物と比べてより多くの量の樹脂成分を含有しても、吐出不良が発生しにくい。
カラーインク組成物に樹脂が添加される場合の使用可能な樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の公知の樹脂が挙げられる。
<その他の成分>
第2のインクセットに含まれるカラーインク組成物は、必要に応じて、上記白色インク組成物で説明した有機溶媒、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレ
ート化剤等をさらに添加することができる。
3.2.2.インクジェット記録方法
本実施の形態に係るインクジェット記録方法は、第2のインクセットを使用するインクジェット記録方法であって、白色系インク組成物を吐出する際の記録ヘッドの駆動電位差が、カラーインク組成物を吐出する際の記録ヘッドの駆動電位差よりも高いことを特徴とする。
まず、記録ヘッドの駆動について説明する。記録ヘッドによれば、第2のインクセットに含まれる白色系インク組成物及び/又はカラーインク組成物をノズルから吐出させることができる。そして、記録媒体との相対的な位置関係の変化と、吐出のタイミングとを制御して所定の画像を記録する。また、記録ヘッドは、吐出のタイミングの他、吐出量、吐出される液滴の速度などを、入力される駆動信号に応じて変化させることができる。
次に、上記のような記録ヘッドの駆動に用いる駆動信号について圧電素子を用いたプリンターを例に説明する。図4は、駆動信号に含まれる1つの駆動パルスを例示している。なお、図4において、縦軸は駆動パルスの電位であり、横軸は時間である。また、駆動パルスの最低電位VLから最高電位VHまでの電位差(駆動電圧)はvh1に設定されている。駆動パルスは、基準電位VBから膨張電位VHまでプラス側に電位が変化して圧力室を膨張させる膨張要素p1と、膨張電位VHを一定時間維持する膨張維持要素p2と、膨張電位VHから収縮電位VLまでマイナス側に電位が変化して圧力室を急激に収縮させる収縮要素p3と、収縮電位VLを一定時間維持する収縮維持(制振ホールド)要素p4と、収縮電位VLから基準電位VBまで電位が復帰する復帰要素p5と、を含んでいる。
駆動パルスが吐出を行う素子(以下、発熱素子や圧電素子等が広く知られているが、本明細書では圧電素子を例にして説明する。)に供給されると次のように作用する。まず、膨張要素p1が圧電素子に供給されると、当該圧電素子が収縮し、これに伴って圧力室が基準電位VBに対応する基準容積から最高電位VHに対応する最大容積まで変化(ここでは膨張)する。これにより、ノズルに露出しているインク組成物のメニスカスが圧力室側に引き込まれる。この圧力室の膨張状態は、膨張維持要素p2の供給期間中に亘って一定に維持される。
膨張維持要素p2の後に続いて膨張要素p1によって電圧が変化した方向とは反対方向に電圧を変化させる要素となる収縮要素p3が圧電素子に供給されると、当該圧電素子が伸長し、これにより圧力室が上記最大容積から最低電位VLに対応する最小容積まで急激に変化(ここでは収縮)する。この圧力室の急激な収縮によって圧力室内のインク組成物が加圧され、これによりノズルからは数pl〜数十plのインク組成物が噴射される。この圧力室の収縮状態は、収縮維持要素p4の供給期間に亘って短時間維持され、その後、制振要素p5が圧電素子に供給されて、圧力室が最低電位VLに対応する容積から基準電位VBに対応する基準容積まで復帰する。また、膨潤要素p1と収縮要素p3の傾き(単位時間当たりの電圧変化量の絶対値)をより高くすることでもノズルからの噴射量(液滴量)を増やすことが可能である。
このような駆動パルスを駆動信号の中から選択的に記録ヘッドの圧電素子に出力することによって、これに応じて対応するノズルから付着対象(媒体)に対して液体が噴射される。そして、この駆動信号を制御することで、記録ヘッドの液体噴射動作を制御することができる。
駆動信号は、記録ヘッドの方式によって細部が異なる場合もあるが、共通する制御要素として、液滴を吐出する際の吐出周波数(ヘッドを駆動する間隔に相当し、例えば液滴を
吐出した後に次の液滴を吐出するまでの時間の逆数である。図4においてはHzがそれに該当する。)、吐出を行うための駆動電圧(吐出の際の波形における振幅(電位差))などがある。波形の電位差の部分については、圧力室の膨張状態を維持するための膨張要素p1がない場合には基準電位VBから収縮電位VLが電位差(駆動電圧)に相当する。また、駆動電圧や電圧波形を制御することによって、吐出される液滴の飛行速度も制御することができる。これはピエゾジェットであっても、サーマルジェットにおいても同一であり、本実施形態における記録ヘッドの駆動方式は限定されるものではない。また、波形については種々の変形例が考えられるが、ピエゾジェット、サーマルジェットにおいては図5のような波形も用いられてもよい。
本実施の形態に係るインクジェット記録方法は、上述の第2のインクセットをインクジェット記録装置に適用したインクジェット記録方法であり、上記の駆動信号は適宜に設定することができるが、白色系インク組成物を吐出する際の記録ヘッドの駆動電位差が、カラーインク組成物を吐出する際の記録ヘッドの駆動電位差よりも高くすることが好ましい。本願の白色系顔料は、カラーインク組成物に含まれているカラー顔料よりも吐出が困難な顔料であり、用いる波形は高い駆動電位差で吐出すると、各インク組成物間の液滴量を近づけることができる。また、本願の白色系顔料を含有する白色系インク組成物は、カラーインク組成物よりも、高い傾きを有する波形を用いると各インク組成物間の液滴量を近づけることができるので好ましい。さらに、白色画像を記録する際の白色系インク組成物の第1滴目の液滴の飛行速度(m/s)と、カラー画像を記録する際のカラーインク組成物の第1滴目の液滴の飛行速度(m/s)との差は4(m/s)未満であることがより好ましく、2(m/s)未満であることが特に好ましい。
このようにすれば白色系インク組成物の吐出安定性及びカラーインク組成物の吐出安定性が良好となり、特に白色系インク組成物によって形成される白色画像におけるドット抜けを十分に抑制することができる。これにより、白色度に優れた白色画像を記録することができる。
なお、第2のインクセットをインクジェット記録装置に適用する場合において、白色系インク組成物及びカラーインク組成物の20℃における粘度は、2mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上6mPa・s以下であることがより好ましい。20℃における粘度が上記範囲内にあると、ノズルから適量吐出され、飛行曲がりを起こすことや飛散することを一層低減できるので、インクジェット記録装置に好適に使用することができる。インクの粘度は、振動式粘度計VM−100AL(山一電機株式会社製)を用いて、インクの温度を20℃に保持することで測定できる。
4.実施例
以下、本発明を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。以下の実施例および比較例において、「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準である。
4.1.白色系顔料の作製
4.1.1.白色系顔料粒子A〜Cの作製
まず、水25gにセチルトリメチルアンモニウムブロミド(以下、「CTAB」ともいう。)及び1−ヘキサデカノールを順次溶解させた。このときのCTABと1−ヘキサデカノールのモル比(CTAB:1−ヘキサデカノール)は1:1であった。次いで、これを60℃まで加熱し、約24時間攪拌した。その後、3Mの酸化硫酸チタン水溶液を添加し、60℃で24時間さらに攪拌した。このときのCTABと酸化硫酸チタンとのモル比(CTAB:酸化硫酸チタン)は、1:50であった。次いで、反応が終了した溶液を吸引ろ過し、得られた生成物を水で洗浄し、120℃で10時間乾燥させた。このようにし
て、メソポーラス構造を有する二酸化チタン粒子Aを作製した。
得られた白色系顔料粒子Aについて、レーザー回折式粒度分布測定装置(日機装株式会社製、型式「マイクロトラックUPA」)を用いて白色系顔料粒子Aの半径r及び粒子径K3を求め、その半径rからT1(=4πr)を算出した。また、流動式比表面積自動測定装置フローソーブIII2305/2310(株式会社島津製作所製)を用いて、ガス吸着法による白色系顔料粒子Aの比表面積T2を求めた。このT1及びT2の値から、構造因子K1を下記式(2)より算出した。
K1=log10(T2/T1) ・・・・・(2)
また、細孔分布測定装置オートポアIV 9520(株式会社島津製作所製)を用いて、水銀圧入法によって、細孔に水銀を圧入する際の圧力と圧入量から細孔容積を求め、次に、水銀が圧入される前の体積(かさ体積)と求めた細孔容積から白色系顔料粒子Aの空隙率K2を算出した。
二酸化チタンの比重K4は4.29である。これらの値を下記式(1)に代入することにより、Sの値を求めた。得られたK1、K2、K3、K4及びSの値を表1に併せて示す。
Figure 0006222422
なお、表1中の白色系顔料粒子B及びCは、上記のCTABと1−ヘキサデカノールとの比を適宜変更することによって得られた、メソポーラス構造を有する白色系顔料粒子である。表1中の白色系顔料粒子Dは、市販品「NanoTek(R) Slurry」(シーアイ化成株式会社製)を用いた。NanoTek(R) Slurryは、平均粒子径300nmの二酸化チタン粒子を固形分濃度15%の割合で含むスラリーである。白色系顔料粒子B〜Dについても、上記白色系顔料粒子Aと同様にして各パラメータを求めた。その結果を表1に併せて示す。
4.1.2.白色系顔料粒子E及びFの作製
スチレン80質量部、メタクリル酸5質量部、メタクリル酸メチル15質量部、α−メチルスチレンダイマー4質量部、t−ドデシルメルカプタン14質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8質量部、過硫酸カリウム1.0質量部、および水200質量部を容量2Lのフラスコ中に入れ、撹拌しながら窒素ガス中にて80℃に昇温して6時間乳化重合を行い、これにより、重合収率98%で、平均粒子径0.15μm、重量平均分子量(Mw)3,500の重合体シード粒子を得た。
次いで、反応容器に、前記シード粒子の10質量部(固形分換算)と、ラウリル硫酸ナトリウム0.3質量部と、過硫酸カリウム0.5質量部と、水400質量部とを仕込み、これに、ジビニルベンゼン(純度55重量%、残余が1官能ビニルモノマーのもの)11.6質量部と、エチルビニルベンゼン8.4質量部と、アクリル酸5質量部と、メタクリル酸メチル75質量部との混合物よりなる架橋重合性モノマー組成物を添加して30℃で1時間撹拌し、架橋重合性モノマー組成物をシード粒子にモノマーをほぼ完全に吸収させ、70℃で5時間攪拌しながら乳化重合処理を行ったところ、重合収率99%で、水を粒子内部に含有するカプセル状の重合体粒子の水性分散体が得られた。このようにして白色系顔料粒子Eを作製した。得られた白色系顔料粒子Eについても、上記白色系顔料粒子Aと同様にして各パラメータを求めた。その結果を表1に併せて示す。
なお、表1中の白色系顔料粒子Fは、上記において、重合性モノマー、重合開始剤、乳化剤の量を適宜変更して得られた、水を粒子内部に含有するカプセル状の重合体粒子である。このようにして得られた白色系顔料粒子Fについても、上記白色系顔料粒子Aと同様にして各パラメータを求めた。その結果を表1に併せて示す。
4.2.白色系インク組成物の調製
容器に、表1に示す白色系顔料10質量部、スチレン−アクリル樹脂2質量部、BYK−348(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製、シリコン系界面活性剤)1質量部、トリメチロールプロパン(関東化学株式会社製)10質量部、1,2−ヘキサンジオール(三菱ガス化学株式会社製)3質量部、2−ピロリドン(関東化学株式会社製)2質量部、及びイオン交換水を合計100質量部となるように加え、マグネチックスターラーで2時間混合攪拌した後、さらに孔径5μmの金属フィルターを用いてろ過し、真空ポンプを用いて脱気処理をして、実施例及び比較例に係る各白色系インク組成物を得た。
4.3.評価方法
4.3.1.白色度
得られた白色系インク組成物をインクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、製品名「PX−G930」)の専用カートリッジのインク室にそれぞれ充填した。そして、インクカートリッジをプリンターに装着し、記録媒体(商品名「エプソンクリアプルーフフィルム」、セイコーエプソン株式会社製、A4サイズに裁断したもの)に対してベタパターン画像の記録を行った。ベタパターン画像の記録は、ドット重量11ng、解像度1440×1440dpi、100%dutyの条件で行った。
このようにして得られた画像について、分光測光器Spectrolino(製品名、GretagMacbeth社製)を用いて、D50光源、視野角2度の条件の下、L値(白色度)を測定した。評価基準は以下の通りであり、評価結果を表1に併せて示す。
なお、上記の分光測光器を用いた測定は、サンプルの測定面とは反対側の面を黒色台紙で覆って行った。黒色台紙には、上記の分光測光器を用いて測定されたOD値が2.0のものを用いた。
A:Lが75以上
B:Lが70以上75未満
C:Lが70未満
4.3.2.遮蔽性
上記「4.3.1.白色度」の評価方法と同様にして得られたサンプルついて、遮蔽性の評価を行った。具体的には、各サンプルを偏角測色計ARM−500V(製品名、日本分光株式会社製)にセットして、可視光領域(380nm〜800nm)における1nm毎の各波長の透過率Tn(%)を測定した。得られた波長毎の透過率を積分して、隠蔽度Sを求めた。隠蔽度Sは、0〜32000の間の数値で、完全な遮蔽(隠蔽)では0、完全な透過では32000である。評価基準は以下の通りであり、評価結果を表1に併せて示す。
A:隠蔽度Sが500未満
B:隠蔽度Sが500以上1000未満
C:隠蔽度Sが1000以上
4.3.3.物理的強度
上記「4.3.1.白色度」の評価方法と同様にして得られたサンプルついて、試験担当者の「指および爪による擦り試験」を行うことにより物理的強度を判定した。この指および爪による擦り試験は、指および爪で記録面を2〜3回擦る試験方法である。評価基準
は以下の通りであり、評価結果を表1に併せて示す。
A:指や爪で強く擦っても、画像の潰れがない。
B:指で擦っても画像の潰れはないが、爪で擦ると画像が潰れる。
C:指で擦るだけで画像が潰れる。
4.3.4.沈降性(保存安定性)
上記のようにして得られた白色系インク組成物をイオン交換水で希釈して、白色系インク組成物を10質量%含有する分散液(粘度10)を調製し、容量10mlのメスシリンダーに分散液10mlを入れて、室温25℃、湿度50%RHに1週間放置した。その後、メスシリンダー内の分散液の上澄み2mlを採取した。
このようにして得られた採取サンプル1gに、蒸留水を加えて1000倍に希釈した。次いで、分光光度計(製品名「Spectrophotometer U−3300」、株式会社日立製作所製)を用いて、希釈したサンプルの波長500nmにおける吸光度(Abs値)を測定した。調製直後の各サンプルを蒸留水で1000倍に希釈したときの吸光度及び1週間保存後の各サンプルを蒸留水で1000倍に希釈したときの吸光度から、下記式(3)を用いて残存率を求めた。
残存率(%)=100×(1週間保存後の吸光度/調製直後の吸光度) ・・・・・(3)
得られた結果について、以下の基準を用いて沈降性(保存安定性)の評価を行った。この残存率の値が大きい程、保存安定性が良好であることを意味する。評価結果を表1に併せて示す。
A:残存率が90%以上
B:残存率が70%以上90%未満
C:残存率が70%未満
4.4.評価結果
実施例1〜3及び比較例1〜3における白色度、遮蔽性、物理的強度および沈降性の評価結果を表1に示す。
Figure 0006222422
上表1より、Sが0.15以上の白色系インク組成物によれば、白色度、遮蔽性、物理的強度および沈降性のいずれの評価も良好であることが示された。一方、Sが0.15未満の白色系インク組成物では、白色度、遮蔽性、物理的強度、沈降性の少なくとも1つが不良となることが上表1より理解できる。したがって、上記一般式(1)で表されるSの数値の技術的意義は、上表1により十分に立証されている。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10…空隙部、100,200,300…白色系顔料粒子

Claims (8)

  1. メソポーラス構造を有する二酸化チタン粒子からなり、下記式(1)で示されるSが0.15以上であることを特徴とする、白色系顔料。
    Figure 0006222422
    但し、上記式(1)中、K1は構造因子、K2は空隙率、K3は粒子径、K4は比重をそれぞれ表す。0.5≦K1≦100.2≦K2≦0.83.0×10 −7 ≦K3≦6.0×10 −7 、2≦K4≦8、a=1.0×1013である。
  2. 請求項1に記載の白色系顔料を含有する、白色系インク組成物。
  3. 捺染用インクである、請求項2に記載の白色系インク組成物。
  4. 請求項2に記載の白色系インク組成物と、色材を実質的に含有しないクリアインク組成物と、を含む、インクセット。
  5. 前記白色系インク組成物は、屈折率が1.6未満のバインダー樹脂をさらに含有する、請求項4に記載のインクセット。
  6. 請求項2に記載の白色系インク組成物と、カラー色材を含有するカラーインク組成物と、を含み、
    前記カラーインク組成物に含まれるカラー色材の粒子径が、前記白色系インク組成物に含まれる白色系顔料表面における最大空隙径よりも大きいことを特徴とする、インクセット。
  7. 請求項4ないし6のいずれか一項に記載のインクセットを使用するインクジェット記録方法。
  8. 請求項6に記載のインクセットを使用するインクジェット記録方法であって、前記白色系インク組成物を吐出する際の記録ヘッドの駆動電位差が、前記カラーインク組成物を吐出する際の記録ヘッドの駆動電位差よりも高いことを特徴とする、インクジェット記録方法。
JP2013066490A 2013-03-27 2013-03-27 白色系顔料、白色系インク組成物、インクセットおよびインクジェット記録方法 Active JP6222422B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013066490A JP6222422B2 (ja) 2013-03-27 2013-03-27 白色系顔料、白色系インク組成物、インクセットおよびインクジェット記録方法
US14/227,783 US20140292902A1 (en) 2013-03-27 2014-03-27 White-based pigment, white-based ink composition, ink set, and ink jet recording method

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013066490A JP6222422B2 (ja) 2013-03-27 2013-03-27 白色系顔料、白色系インク組成物、インクセットおよびインクジェット記録方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014189645A JP2014189645A (ja) 2014-10-06
JP6222422B2 true JP6222422B2 (ja) 2017-11-01

Family

ID=51620407

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013066490A Active JP6222422B2 (ja) 2013-03-27 2013-03-27 白色系顔料、白色系インク組成物、インクセットおよびインクジェット記録方法

Country Status (2)

Country Link
US (1) US20140292902A1 (ja)
JP (1) JP6222422B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105922778B (zh) 2015-02-27 2021-02-09 精工爱普生株式会社 喷墨记录方法及喷墨记录装置
EP3380572B1 (en) 2015-11-24 2020-05-13 Eastman Kodak Company Providing opaque ink jetted image
WO2017091358A1 (en) 2015-11-24 2017-06-01 Eastman Kodak Company Pigment dispersions and inkjet ink compositions
US10093817B2 (en) 2015-11-24 2018-10-09 Eastman Kodak Company Pigment dispersions and inkjet ink compositions
JP2019142068A (ja) * 2018-02-19 2019-08-29 セイコーエプソン株式会社 インクジェット記録方法
JP2021070880A (ja) * 2019-10-30 2021-05-06 セイコーエプソン株式会社 インクジェット記録方法
US11813882B2 (en) 2021-05-19 2023-11-14 Eastman Kodak Company Inkjet printed articles and method of making

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7368487B2 (en) * 2001-11-15 2008-05-06 3M Innovative Properties Company Aqueous ink jet printable compositions
JP4344989B2 (ja) * 2002-11-08 2009-10-14 戸田工業株式会社 インクジェットインク用複合着色粒子及びその製造法、インクジェットインク用プレ分散体並びにインクジェットインク
US20060275606A1 (en) * 2005-03-30 2006-12-07 Seiko Epson Corporation White pigment for water-based ink and process for producing the same
JPWO2006129476A1 (ja) * 2005-06-01 2008-12-25 コニカミノルタホールディングス株式会社 インクジェット用インク、インクジェット用インクセットおよびインクジェット記録方法
JP4902216B2 (ja) * 2006-02-10 2012-03-21 富士フイルム株式会社 インクジェット用インク組成物
PL1935659T3 (pl) * 2006-12-21 2010-04-30 Agfa Nv Sposoby drukowania strumieniowego i zestaw tuszów do drukarek strumieniowych
JP2008266527A (ja) * 2007-04-24 2008-11-06 Sakata Corp インクジェット捺染用白色インク組成物およびインクジェット捺染方法
JP5196943B2 (ja) * 2007-10-18 2013-05-15 理想科学工業株式会社 捺染インクジェット用インク
JP2009125950A (ja) * 2007-11-19 2009-06-11 Fujifilm Corp 記録媒体及びその製造方法、並びにインクジェット記録方法
JP5600978B2 (ja) * 2010-03-18 2014-10-08 セイコーエプソン株式会社 液体噴射方法、及び、液体噴射装置
JP5807358B2 (ja) * 2011-03-30 2015-11-10 セイコーエプソン株式会社 インクセット
JP5897303B2 (ja) * 2011-04-20 2016-03-30 三井化学株式会社 水性インク用顔料
US9023472B2 (en) * 2011-08-08 2015-05-05 Seiko Epson Corporation Aqueous ink pigment, aqueous ink composition containing the same, and images or printed matter thereof

Also Published As

Publication number Publication date
US20140292902A1 (en) 2014-10-02
JP2014189645A (ja) 2014-10-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6222422B2 (ja) 白色系顔料、白色系インク組成物、インクセットおよびインクジェット記録方法
US8764150B2 (en) Ink jet recording method and ink jet recording apparatus
JP5552856B2 (ja) インクジェット記録方法および記録物
JP5949107B2 (ja) インクジェット記録方法、インクジェット記録装置
JP2018203802A (ja) インクジェット用水性インキ、及び印刷物の製造方法
JP5896213B2 (ja) インクジェット記録用インクセット、及びインクジェット記録方法
CN102675971A (zh) 油墨组和图像记录方法
JP2012206488A (ja) インクジェット記録方法
JP2011201228A (ja) インクジェット記録方法
JP2021187095A (ja) 白色インク組成物及び記録方法
JP5776404B2 (ja) インクジェット記録装置
US9120324B2 (en) Ink jet recording method, ink jet recording apparatus, and recorded matter
JP2012214650A (ja) 水性インク組成物
JP2017132946A (ja) 捺染インクジェットインクセット及びインクジェット捺染記録方法
JP2012245721A (ja) インクジェット記録方法および記録物
CN110272658A (zh) 记录方法、油墨组及记录装置
JP2016196551A (ja) インク及びインクジェット記録方法
US11591490B2 (en) Aqueous ink jet ink composition and ink jet recording method
JP5692491B2 (ja) インクジェット記録方法
JP2017186454A (ja) インクジェット法による画像形成用の組成物、インクセットおよび画像形成方法
JP2020100041A (ja) すりガラス調の装飾シートを製造するための装飾シート製造方法
JP2018204012A (ja) インクジェット用水性インキ、及び印刷物の製造方法
JP2013193338A (ja) 記録方法、および記録物
JP2013203777A (ja) インクジェット記録用水性インクセット
US10576770B2 (en) Ink jet recording method and ink jet recording apparatus

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160308

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161012

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161109

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170105

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170607

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170725

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170906

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170919

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6222422

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150