JP6222403B1 - レール鋼および車輪鋼の選択方法 - Google Patents

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Abstract

鉄道軌道で使用されるレールおよび鉄道用車輪の疲労損傷を抑制し、レールおよび車輪の両者の寿命を延ばすことができるレール鋼および車輪鋼の選択方法を提供する。質量%で、C:0.70%以上0.85%未満、Si:0.10〜1.50%、Mn:0.40〜1.50%、およびCr:0.05〜1.50%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる成分組成を有するレール鋼と、質量%で、C:0.57%以上0.85%未満、Si:0.10〜1.50%、Mn:0.40〜1.50%、およびCr:0.05〜1.50%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる成分組成を有する車輪鋼とを、それぞれレールおよび車輪として実軌道で使用する際に、前記レールの頭部における降伏強度YSRが830MPa以上であり、前記車輪のリム部における降伏強度YSWが580MPa以上であり、かつ、前記レールの頭部における降伏強度YSRと、前記車輪のリム部における降伏強度YSWとの比YSR/YSWが0.85以上1.95以下となるように前記レール鋼および車輪鋼を選択する、レール鋼および車輪鋼の選択方法。

Description

本発明は、レール頭部における降伏強度と車輪リム部における降伏強度の比を制御することによって、前記レールおよび車輪の疲労損傷を抑制し、該レールおよび車輪の両者の寿命を延ばすことができるレール鋼および車輪鋼の選択方法に関するものである。
鉱石の運搬等を主体とする高軸重鉄道では貨車の車軸にかかる荷重は客車に比べて遙かに高く、レールや車輪の使用環境も過酷なものとなっている。このような環境下で使用されるレールや車輪としては従来、耐摩耗性重視の観点から主としてパーライト組織を有し、使用環境によって異なるが、降伏強度が800MPa以下であるレール鋼が使用されている。同様に、鉄道用車輪には、降伏強度が500MPa以下である車輪鋼が使用されている。
しかし、近年、鉄道による輸送の効率化のために貨車への積載重量の更なる増加が進められており、レール鋼や車輪鋼の耐久性をさらに向上させることが求められている。なお、高軸重鉄道とは、列車や貨車の積載重量の大きい(積載重量が例えば150トン程度の)鉄道である。
そこで、例えば特許文献1では、C含有量を0.85〜1.20%に増加させることによって耐摩耗性や耐熱き裂性を向上させた高炭素鉄道車両用車輪が提案されている。また、特許文献2では、レール鋼と車輪鋼の硬さの比を制御することによって、レールおよび車輪の摩耗を低減する方法が提案されている。
特開2004−315928号公報 特開2013−147725号公報
一方、上述したようにレールと車輪の使用環境が更に過酷化しているため、レールと車輪の疲労損傷が問題となっている。特に、高軸重鉄道の曲線区間においては、車輪による転がり応力と遠心力による滑り力とに起因する疲労損傷の発生を抑制することが求められる。
しかし、特許文献1に記載された技術では、車輪の耐摩耗性や耐熱き裂性に一定の向上が見られるものの、C含有量が0.85〜1.20%と高いため、耐疲労損傷性を向上させることは困難である。これは、鋼が多量のCを含有する結果、熱処理条件によっては初析セメンタイト組織が生成し、パーライト層状組織に含まれるセメンタイト相の量が増加するためである。
また、特許文献2に記載された技術では、レールと車輪の硬度(ビッカース硬さ)の関係のみに着目しているため、摩耗を抑制することはできるものの、疲労損傷を抑制することは困難である。
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、鉄道軌道で使用されるレールおよび鉄道用車輪の疲労損傷を抑制し、レールおよび車輪の両者の寿命を延ばすことができるレール鋼および車輪鋼の選択方法を提供すること目的とする。
発明者らは、上記課題を解決するため、C、Si、Mn、およびCrの含有量を変化させたレール鋼と車輪鋼を製作し、降伏強度と耐疲労損傷性の関係を鋭意調査した。その結果、レールの頭部における降伏強度YSと、車輪のリム部における降伏強度YSとの比YS/YSを0.85以上、1.95以下とすることにより、レールと車輪の疲労損傷を抑制できることが見出された。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、その要旨構成は次のとおりである。
1.質量%で、
C :0.70%以上、0.85%未満、
Si:0.10〜1.50%、
Mn:0.40〜1.50%、および
Cr:0.05〜1.50%を含有し、
残部Fe及び不可避的不純物からなる成分組成を有するレール鋼と、
質量%で、
C :0.57%以上、0.85%未満、
Si:0.10〜1.50%、
Mn:0.40〜1.50%、および
Cr:0.05〜1.50%を含有し、
残部Fe及び不可避的不純物からなる成分組成を有する車輪鋼とを、
それぞれレールおよび車輪として実軌道で使用する際に、
前記レールの頭部における降伏強度YSが830MPa以上であり、
前記車輪のリム部における降伏強度YSが580MPa以上であり、かつ、
前記レールの頭部における降伏強度YSと、前記車輪のリム部における降伏強度YSとの比YS/YSが下記(1)式に示す範囲内となるように前記レール鋼および車輪鋼を選択する、レール鋼および車輪鋼の選択方法。

0.85≦YS/YS≦1.95 …(1)
2.前記レール鋼の成分組成が、質量%で、
Cu:1.0%以下、
Ni:1.0%以下、
V :0.30%以下、
Nb:0.05%以下、
Mo:0.5%以下、
W :0.5%以下、
Al:0.07%以下、
Ti:0.05%以下、および
B :0.005%以下からなる群より選択される1または2以上をさらに含む、前記1に記載のレール鋼および車輪鋼の選択方法。
3.前記車輪鋼の成分組成が、質量%で、
Cu:1.0%以下、
Ni:1.0%以下、
V :0.30%以下、
Nb:0.05%以下、
Mo:0.5%以下、
W :0.5%以下、
Al:0.07%以下、
Ti:0.05%以下、および
B :0.005%以下からなる群より選択される1または2以上をさらに含む、前記1または2に記載のレール鋼および車輪鋼の選択方法。
本発明によれば、所定の成分組成を有するレール鋼と車輪鋼を用いるとともに、レールと車輪における降伏強度の比を制御することによって、前記レールおよび車輪の疲労損傷を抑制し、該レールおよび車輪の両者の寿命を延ばすことができる。
疲労損傷の試験方法を示す模式図である。
次に、本発明を実施する方法について具体的に説明する。本発明においては、レール鋼および車輪鋼が上記成分組成を有することが重要である。そこで、まず本発明において成分組成を上記のように限定する理由を説明する。なお、各成分の含有量の単位は「質量%」であるが、「%」と略記される。
[レール鋼の成分組成]
C:0.70%以上、0.85%未満
Cは、パーライト組織においてセメンタイトを形成し、降伏強度や耐疲労損傷性を確保する効果を有する元素である。C含有量が0.70%未満であると、降伏強度が低下し、優れた耐疲労損傷性を得ることが難しい。一方、C含有量が0.85%以上であると熱間圧延後の変態時に初析セメンタイトがオーステナイト粒界に生成し、耐疲労損傷性が著しく低下する。そのため、C含有量は0.70%以上、0.85%未満とする。
Si:0.10〜1.50%
Siは、脱酸剤およびパーライト組織の強化元素として添加される元素である。Siの添加効果を得るためには、Si含有量を0.10%以上とする必要がある。一方、Si含有量が1.50%を超えると降伏強度が高くなりすぎ、かえって相手材である車輪鋼に疲労損傷が発生しやすくなる。そのため、Si含有量は0.10〜1.50%とする。
Mn:0.40〜1.50%
Mnは、パーライト変態温度を低下させてラメラー間隔を細かくすることにより、レールの高降伏強度化に寄与する元素であるが、Mn含有量が0.40%未満では十分な効果を得ることができない。一方、Mn含有量が1.50%を超えると降伏強度が高くなりすぎ、かえって相手材である車輪鋼に疲労損傷が発生しやすくなる。そのため、Mn含有量は0.40〜1.50%とする。
Cr:0.05〜1.50%
Crは、パーライト平衡変態温度を上昇させてラメラー間隔を微細化することや、固溶強化により、降伏強度を向上させる効果を有する元素であるが、Cr含有量が0.05%未満であると十分な降伏強度が得られない。一方、Cr含有量が1.50%を超えると降伏強度が高くなりすぎ、かえって相手材である車輪鋼に疲労損傷が発生しやすくなる。そのため、Cr量は0.05〜1.50%とする。
本発明における一実施形態におけるレール鋼は、以上の成分と、残部にFeおよび不可避不純物を有する成分組成を有する。前記不可避的不純物としては、例えば、PおよびSが挙げられ、それぞれ
P:0.025%以下、S:0.025%以下までの含有は許容される。一方、P含有量およびS含有量の下限は特に限定されず0%であってよいが、工業的には0%超である。さらに、PおよびSの含有量を過度に低下させると精錬コストの増加を招くため、P含有量およびS含有量は0.0005%以上とすることが好ましい。なお、本発明のレール鋼の成分組成は、以上の成分と残部のFeおよび不可避不純物とからなるか、あるいはさらに、これらに加えて後述する任意に含むことができる成分とからなることが好ましいが、本発明の作用効果に実質的に影響しない範囲内で、他の微量元素を含有するレール鋼も本発明に属する。
上記レール鋼の成分組成は、質量%で、
Cu:1.0%以下、
Ni:1.0%以下、
V :0.30%以下、
Nb:0.05%以下、
Mo:0.5%以下、
W :0.5%以下、
Al:0.07%以下、
Ti:0.05%以下、および
B :0.005%以下からなる群より選択される1または2以上を、任意に、さらに含むことができる。
V:0.30%以下
Vは、炭・窒化物を形成して基地中へ分散析出することにより降伏強度を向上させる効果を有する元素である。しかし、V含有量が0.30%を超えると、降伏強度が高くなりすぎ、かえって相手材である車輪鋼に疲労損傷が発生しやすくなる。また、Vは高価な元素であるため、レール鋼のコストが増加する。そのため、Vを添加する場合にはV含有量を0.30%以下とすることが好ましい。なお、V含有量の下限は特に限定されないが、降伏強度を向上させるという観点からは、V含有量を0.001%以上とすることが好ましい。
Cu:1.0%以下
Cuは、Crと同様、固溶強化により降伏強度を向上させる効果を有する元素である。しかし、Cu含有量が1.0%を超えるとCu割れが生じやすくなるため、Cuを添加する場合にはCu含有量を1.0%以下とすることが好ましい。なお、Cu含有量の下限は特に限定されないが、降伏強度を向上させるという観点からは、Cu含有量を0.001%以上とすることが好ましい。
Ni:1.0%以下
Niは、延性を劣化することなく降伏強度を向上させる効果を有する元素である。また、Cuと複合添加することによりCu割れを抑制することができるため、Cuを添加する場合にはNiも添加することが望ましい。しかし、Ni含有量が1.0%を超えると焼入れ性が上昇してマルテンサイトが生成する結果、耐疲労損傷性が低下しがちとなる。そのため、Niを添加する場合にはNi含有量を1.0%以下とすることが好ましい。なお、Ni含有量の下限は特に限定されないが、降伏強度を向上させるという観点からは、Ni含有量を0.001%以上とすることが好ましい。
Nb:0.05%以下
Nbは、鋼中のCやNと結び付いて圧延中及び圧延後に炭化物、窒化物、炭窒化物として析出し、高降伏強度化に有効に作用する。したがって、Nbを添加することにより、耐疲労損傷性を大きく向上させ、レールの長寿をさらに延ばすことができる。しかし、Nb含有量が0.05%を超えると、降伏強度が高くなりすぎ、かえって相手材である車輪鋼に疲労損傷が発生しやすくなる。そのため、Nbを添加する場合にはNb含有量を0.05%以下とすることが好ましい。なお、Nb含有量の下限は特に限定されないが、降伏強度を向上させるという観点からは、Nb含有量を0.001%以上とすることが好ましい。
Mo:0.5%以下
Moは、固溶強化により降伏強度を向上させる効果を有する元素である。しかし、Mo含有量が0.5%を超えると降伏強度が高くなりすぎ、かえって相手材である車輪鋼に疲労損傷が発生しやすくなる。そのため、Moを添加する場合にはMo含有量を0.5%以下とすることが好ましい。なお、Mo含有量の下限は特に限定されないが、降伏強度を向上させるという観点からは、Mo含有量を0.001%以上とすることが好ましい。
W:0.5%以下
Wは、固溶強化により降伏強度を向上させる効果を有する元素である。しかし、W含有量が0.5%を超えると降伏強度が高くなりすぎ、かえって相手材である車輪鋼に疲労損傷が発生しやすくなる。そのため、Wを添加する場合にはW含有量を0.5%以下とすることが好ましい。なお、W含有量の下限は特に限定されないが、降伏強度を向上させるという観点からは、W含有量を0.001%以上とすることが好ましい。
Al:0.07%以下
Alは、鋼中のNと結び付いて圧延中及び圧延後に窒化物として析出し、高降伏強度化に有効に作用する。したがって、Alを添加することにより、耐疲労損傷性を大きく向上させ、レールの長寿をさらに延ばすことができる。しかし、Al含有量が0.07%を超えると、鋼中に酸化物が多量に生成し、かえってレール鋼に疲労損傷が発生しやすくなる。そのため、Alを添加する場合にはAl含有量を0.07%以下とすることが好ましい。なお、Al含有量の下限は特に限定されないが、降伏強度を向上させるという観点からは、Al含有量を0.001%以上とすることが好ましい。
B:0.005%以下
Bは、圧延中および圧延後に窒化物として析出し、析出強化により高降伏強度化に有効に作用する。したがって、Bを添加することにより、耐疲労損傷性を大きく向上させ、レールの長寿をさらに延ばすことができる。しかし、B含有量が0.005%を超えると降伏強度が高くなりすぎ、かえって相手材である車輪鋼に疲労損傷が発生しやすくなる。そのため、Bを添加する場合にはB含有量を0.005%以下とすることが好ましい。なお、B含有量の下限は特に限定されないが、降伏強度を向上させるという観点からは、B含有量を0.0001%以上とすることが好ましい。
Ti:0.05%以下
Tiは、圧延中及び圧延後に炭化物、窒化物、炭窒化物として析出し、析出強化により高降伏強度化に有効に作用する。したがって、Tiを添加することにより、耐疲労損傷性を大きく向上させ、レールの長寿をさらに延ばすことができる。しかし、Ti含有量が0.05%を超えると、粗大な炭化物、窒化物、または炭窒化物が生成する結果、かえってレールの耐疲労損傷性が低下する。そのため、Tiを添加する場合にはTi含有量を0.05%以下とすることが好ましい。なお、Ti含有量の下限は特に限定されないが、降伏強度を向上させるという観点からは、Ti含有量を0.001%以上とすることが好ましい。
[車輪鋼の成分組成]
C:0.57%以上、0.85%未満
Cは、パーライト組織においてセメンタイトを形成し、降伏強度や耐疲労損傷性を確保する効果を有する元素である。C含有量が0.57%未満であると、降伏強度が低下し、優れた耐疲労損傷性を得ることが難しい。一方、C含有量が0.85%以上であると熱間圧延後の変態時に初析セメンタイトがオーステナイト粒界に生成し、耐疲労損傷性が著しく低下する。そのため、C含有量は0.57%以上、0.85%未満とする。
Si:0.10〜1.50%
Siは、脱酸剤およびパーライト組織の強化元素として添加される元素である。Siの添加効果を得るためには、Si含有量を0.10%以上とする必要がある。一方、Si含有量が1.50%を超えると降伏強度が高くなりすぎ、かえって相手材であるレール鋼に疲労損傷が発生しやすくなる。そのため、Si含有量は0.10〜1.50%とする。
Mn:0.40〜1.50%
Mnは、パーライト変態温度を低下させてラメラー間隔を細かくすることにより、車輪の高降伏強度化に寄与する元素であるが、Mn含有量が0.40%未満では十分な効果を得ることができない。一方、Mn含有量が1.50%を超えると降伏強度が高くなりすぎ、かえって相手材であるレール鋼に疲労損傷が発生しやすくなる。そのため、Mn含有量は0.40〜1.50%とする。
Cr:0.05〜1.50%
Crは、パーライト平衡変態温度を上昇させてラメラー間隔を微細化することや、固溶強化により、降伏強度を向上させる効果を有する元素であるが、Cr含有量が0.05%未満であると十分な降伏強度が得られない。一方、Cr含有量が1.50%を超えると降伏強度が高くなりすぎ、かえって相手材であるレール鋼に疲労損傷が発生しやすくなる。そのため、Cr量は0.05〜1.50%とする。
本発明における一実施形態における車輪鋼は、以上の成分と、残部のFeおよび不可避不純物とを有する成分組成を有する。前記不可避的不純物としては、例えば、PおよびSが挙げられ、それぞれ
P:0.030%以下、S:0.030%以下までの含有は許容される。一方、P含有量およびS含有量の下限は特に限定されず0%であってよいが、工業的には0%超である。さらに、PおよびSの含有量を過度に低下させると精錬コストの増加を招くため、P含有量およびS含有量は0.0005%以上とすることが好ましい。なお、本発明の車輪鋼の成分組成は、以上の成分と残部のFeおよび不可避不純物とからなるか、あるいはさらに、これらに加えて後述する任意に含むことができる成分とからなることが好ましいが、本発明の作用効果に実質的に影響しない範囲内で、他の微量元素を含有するレール鋼も本発明に属する。
上記車輪鋼の成分組成は、質量%で、
Cu:1.0%以下、
Ni:1.0%以下、
V :0.30%以下、
Nb:0.05%以下、
Mo:0.5%以下、
W :0.5%以下、
Al:0.07%以下、
Ti:0.05%以下、および
B :0.005%以下からなる群より選択される1または2以上を、任意に、さらに含むことができる。
V:0.30%以下
Vは、炭・窒化物を形成して基地中へ分散析出することにより降伏強度を向上させる効果を有する元素である。しかし、V含有量が0.30%を超えると、降伏強度が高くなりすぎ、かえって相手材である車輪鋼に疲労損傷が発生しやすくなる。また、Vは高価な元素であるため、車輪鋼のコストが増加する。そのため、Vを添加する場合にはV含有量を0.30%以下とすることが好ましい。なお、V含有量の下限は特に限定されないが、降伏強度を向上させるという観点からは、V含有量を0.001%以上とすることが好ましい。
Cu:1.0%以下
Cuは、Crと同様、固溶強化により降伏強度を向上させる効果を有する元素である。しかし、Cu含有量が1.0%を超えるとCu割れが生じやすくなるため、Cuを添加する場合にはCu含有量を1.0%以下とすることが好ましい。なお、Cu含有量の下限は特に限定されないが、降伏強度を向上させるという観点からは、Cu含有量を0.001%以上とすることが好ましい。
Ni:1.0%以下
Niは、延性を劣化することなく降伏強度を向上させる効果を有する元素である。また、Cuと複合添加することによりCu割れを抑制することができるため、Cuを添加する場合にはNiも添加することが望ましい。しかし、Ni含有量が1.0%を超えると焼入れ性が上昇してマルテンサイトが生成する結果、耐疲労損傷性が低下しがちとなる。そのため、Niを添加する場合にはNi含有量を1.0%以下とすることが好ましい。なお、Ni含有量の下限は特に限定されないが、降伏強度を向上させるという観点からは、Ni含有量を0.001%以上とすることが好ましい。
Nb:0.05%以下
Nbは、鋼中のCやNと結び付いて圧延中及び圧延後に炭化物、窒化物、炭窒化物として析出し、高降伏強度化に有効に作用する。したがって、Nbを添加することにより、耐疲労損傷性を大きく向上させ、車輪の長寿をさらに延ばすことができる。しかし、Nb含有量が0.05%を超えると、降伏強度が高くなりすぎ、かえって相手材であるレール鋼に疲労損傷が発生しやすくなる。そのため、Nbを添加する場合にはNb含有量を0.05%以下とすることが好ましい。なお、Nb含有量の下限は特に限定されないが、降伏強度を向上させるという観点からは、Nb含有量を0.001%以上とすることが好ましい。
Mo:0.5%以下
Moは、固溶強化により降伏強度を向上させる効果を有する元素である。しかし、Mo含有量が0.5%を超えると降伏強度が高くなりすぎ、かえって相手材であるレール鋼に疲労損傷が発生しやすくなる。そのため、Moを添加する場合にはMo含有量を0.5%以下とすることが好ましい。なお、Mo含有量の下限は特に限定されないが、降伏強度を向上させるという観点からは、Mo含有量を0.001%以上とすることが好ましい。
W:0.5%以下
Wは、固溶強化により降伏強度を向上させる効果を有する元素である。しかし、W含有量が0.5%を超えると降伏強度が高くなりすぎ、かえって相手材であるレール鋼に疲労損傷が発生しやすくなる。そのため、Wを添加する場合にはW含有量を0.5%以下とすることが好ましい。なお、W含有量の下限は特に限定されないが、降伏強度を向上させるという観点からは、W含有量を0.001%以上とすることが好ましい。
Al:0.07%以下
Alは、鋼中のNと結び付いて圧延中及び圧延後に窒化物として析出し、高降伏強度化に有効に作用する。したがって、Alを添加することにより、耐疲労損傷性を大きく向上させ、車輪の長寿をさらに延ばすことができる。しかし、Al含有量が0.07%を超えると、鋼中に酸化物が多量に生成し、かえって車輪鋼に疲労損傷が発生しやすくなる。そのため、Alを添加する場合にはAl含有量を0.07%以下とすることが好ましい。なお、Al含有量の下限は特に限定されないが、降伏強度を向上させるという観点からは、Al含有量を0.001%以上とすることが好ましい。
B:0.005%以下
Bは、圧延中および圧延後に窒化物として析出し、析出強化により高降伏強度化に有効に作用する。したがって、Bを添加することにより、耐疲労損傷性を大きく向上させ、車輪の長寿をさらに延ばすことができる。しかし、B含有量が0.005%を超えると降伏強度が高くなりすぎ、かえって相手材であるレール鋼に疲労損傷が発生しやすくなる。そのため、Bを添加する場合にはB含有量を0.005%以下とすることが好ましい。なお、B含有量の下限は特に限定されないが、降伏強度を向上させるという観点からは、B含有量を0.0001%以上とすることが好ましい。
Ti:0.05%以下
Tiは、圧延中及び圧延後に炭化物、窒化物、炭窒化物として析出し、析出強化により高降伏強度化に有効に作用する。したがって、Tiを添加することにより、耐疲労損傷性を大きく向上させ、車輪の長寿をさらに延ばすことができる。しかし、Ti含有量が0.05%を超えると、粗大な炭化物、窒化物、または炭窒化物が生成する結果、かえって車輪の耐疲労損傷性が低下する。そのため、Tiを添加する場合にはTi含有量を0.05%以下とすることが好ましい。なお、Ti含有量の下限は特に限定されないが、降伏強度を向上させるという観点からは、Ti含有量を0.001%以上とすることが好ましい。
[降伏強度の比YS/YS
本発明においては、上記成分組成を有するレール鋼と車輪鋼とを、それぞれレールおよび車輪として実軌道で使用する際に、前記レールの頭部における降伏強度YSと、前記車輪のリム部における降伏強度YSとの比YS/YSが下記(1)式に示す範囲内となるように前記レール鋼および車輪鋼を選択する。
0.85≦YS/YS≦1.95 …(1)
ここで、レールの降伏強度YSは、AREMA Chapter 4の2.1.3.4に記載の位置からASTM A370に記載の、平行部が0.25インチまたは0.5インチの引張試験片を採取し、引張試験を行って求める。車輪の降伏強度YSは、AAR Specification M-107/M-208の3.1.1.に記載の位置から、レールの試験と同様の引張試験片を採集し、引張試験を行って求める。
レール鋼と車輪鋼の耐疲労損傷性は、それぞれの降伏強度に依存する。したがって、降伏強度を高めることにより、レールや車輪の疲労損傷を抑制できると考えられる。しかし、レール鋼の降伏強度と車輪鋼の降伏強度の比が適切な範囲になければ、疲労層の蓄積によりかえって耐疲労損傷性が低下する。YS/YS比が0.85未満の場合、レール鋼の降伏強度が低くすぎるか、車輪鋼の降伏強度が高すぎるか、またはその両者である。レール鋼の降伏強度が低くいとレール鋼自体の耐疲労損傷性が低下し、レール鋼に疲労損傷が発生しやすくなる。また、車輪鋼の降伏強度が高いと、相手材であるレール鋼に疲労層が蓄積される結果、レール鋼に疲労損傷が発生しやすくなる。一方、YS/YSの比が1.95超の場合、車輪鋼の降伏強度が低くすぎるか、レール鋼の降伏強度が高くすぎるか、またはその両者である。車輪鋼の降伏強度が低いと、車輪鋼自体の耐疲労損傷性が低下し、車輪鋼に疲労損傷が発生しやすくなる。また、レール鋼の降伏強度が高いと、相手材である車輪鋼に疲労層が蓄積される結果、車輪鋼に疲労損傷が発生しやすくなる。そのため、YS/YS比を0.85以上、1.95以下とする。なお、YS/YS比は、0.86以上とすることが好ましい。また、YS/YS比は、1.90以下とすることが好ましい。
[レールの頭部における降伏強度YS
レールの頭部における降伏強度YSを高くすれば、レール自体の耐疲労損傷性をより高めることができるため、YSを830MPa以上とする。一方、YSの上限については特に限定されないが、YSを高くしすぎると(1)式の条件を満たすことが困難となることから、1200MPa以下とすることが好ましい。
レールの頭部における降伏強度YSは、鋼素材を熱間圧延によりレール形状に成形し、その後冷却してレールを製造する際に、熱間圧延前の加熱温度や、圧延後の冷却における冷却速度を制御することにより調整できる。すなわち、降伏強度YSは、加熱温度が高いほど、熱間圧延後の冷却速度が速い程、高くなるため、目標とするYSによって、加熱温度や冷却速度を調整すればよい。
[車輪のリム部における降伏強度YS
車輪のリム部における降伏強度YSを高くすれば、車輪自体の耐疲労損傷性をより高めることができるため、YSを580MPa以上とする。一方、YSの上限については特に限定されないが、YSを高くしすぎると(1)式の条件を満たすことが困難となることから、1000MPa以下とすることが好ましい。
車輪のリム部における降伏強度YSは、熱間圧延や熱間鍛造といった熱間加工により車輪へと成形する際に、熱間加工前の加熱温度や、熱間加工後の冷却における冷却速度を制御することにより調整できる。すなわち、降伏強度YSは、加熱温度が高いほど、熱間圧延後の冷却速度が速い程、高くなるため、目標とするYSによって、加熱温度や冷却速度を調整すればよい。
[レール鋼および車輪鋼の鋼組織]
レール鋼は、頭部における鋼組織がパーライト組織であることが好ましい。これは、パーライト組織が、焼戻しマルテンサイト組織やベイナイト組織に比べて優れた疲労損傷性を有するためである。
また、車輪鋼は、車輪リム部における鋼組織がパーライト組織であることが好ましい。これは、パーライト組織が、上述したとおり焼戻しマルテンサイト組織やベイナイト組織に比べて優れた疲労損傷性を有するためである。
なお、レール鋼の頭部の鋼組織をパーライト組織とするには、鋼素材を1000℃〜1300℃に加熱後、熱間圧延を行う。次いで、冷却速度0.5℃〜3℃/sで400℃までエアー冷却を行う。
また、車輪鋼のリム部の鋼組織をパーライト組織とするには、鋼素材を900℃〜1100℃に加熱後、熱間鍛造を行う。次いで、冷却速度0.5℃〜3℃/sで400℃までエアー冷却を行う。
降伏強度の比YS/YSが疲労損傷の発生におよぼす影響を評価した。なお、疲労損傷の評価は、実軌道でレールと車輪を使用して行うことが望ましいが、その方法では試験に極めて長い時間を要する。そのため、以下の実施例では、レール鋼と車輪鋼から作成した試験片を使用し、2円筒型試験機により実際のレールと車輪の接触条件をシミュレートした試験を行うことにより疲労損傷の発生を評価した。その際、レール鋼の試験片はレールの頭部を、車輪鋼の試験片は車輪のリム部を、それぞれ模擬した条件で製造した。具体的な製造条件と試験方法は以下の通りである。
(実施例1)
表1に示す成分組成を有する鋼100kgを真空溶解し、80mm厚に熱間圧延した。得られた圧延材を150mm長さに切断した後、1000〜1300℃に加熱し、最終板厚が12mmとなるよう熱間圧延した。次いで、冷却速度0.5〜3℃/sで400℃までエアー冷却し、その後、放冷してレール鋼を得た。この際、前記熱間圧延前の加熱温度や冷却速度を調整することによって、最終的に得られるレール鋼の降伏強度を制御した。
同様に、表2に示す成分組成を有する鋼100kgを真空溶解し、80mm厚に熱間圧延した。得られた圧延材を150mm長さに切断した後、900〜1100℃に加熱し、最終板厚が12mmとなるよう熱間圧延した。次いで、冷却速度0.5〜3℃/sで400℃までエアー冷却し、その後、放冷した。この際、前記熱間圧延前の加熱温度や冷却速度を調整することによって、最終的に得られる車輪鋼の降伏強度を制御した。
・降伏強度
得られた各レール鋼および車輪鋼の降伏強度を、ASTM A370に準拠した引張試験により評価した。各レール鋼および車輪鋼から、ASTM A370に定められた、平行部の直径が0.25インチ(6.35mm)である引張試験片を採取し、引張速度:1mm/分で引張試験を行い、応力−歪み曲線から求められた0.2%耐力を降伏強度とした。測定された値を表2に示す。
・鋼組織
得られた各レール鋼および車輪鋼の表面を鏡面に研磨後、ナイタールで腐食し、倍率100倍で組織観察を実施した。
・疲労損傷
得られた各レール鋼および車輪鋼から、接触面を曲率半径15mmの曲面とした直径30mmの試験片を作製し、表3に示したレール鋼と車輪鋼の組み合わせにおける疲労損傷の発生を、2円筒型試験機を用いて評価した。接触圧力:2.2GPa、すべり率:−20%、油潤滑条件で試験を実施し、剥離(疲労損傷)が発生した時点での回転数を表3に示した。前記回転数の値は、レールおよび車輪の疲労損傷寿命の指標と見なすことができる。なお、剥離が発生するまで試験を続けると長時間かかるため、本実施例では、1728000回転未満でレール鋼に剥離が生じたもの、および2160000回転未満で車輪鋼に剥離が生じたものについては、そのレール鋼と車輪鋼の組み合わせでは十分な耐疲労損傷性が得られないと判断し、試験を中断した。この場合、剥離が生じなかった方の部材については、表2の回転数の欄を「−」とした。また、前記回転数が、レール鋼では1728000回転以上、車輪鋼では2160000回転以上であれば、耐疲労損傷性が良好であると判断し、表3中では「剥離せず」と記載した。
表3に示した結果より、成分組成と降伏強度比YS/YSとが本願発明の条件を満たすようにレール鋼と車輪鋼とを選択することにより、レールと車輪の疲労損傷を効果的に抑制できることが分かる。一方、本願発明の条件を満たさない組み合わせにおいては、短時間で剥離が発生しており、疲労損傷が生じやすいことが分かる。
Figure 0006222403
Figure 0006222403
Figure 0006222403
(実施例2)
表4に示す成分組成のレール鋼と、表5に示す成分組成の車輪鋼とを使用した以外は、実施例1と同様の条件で試験を行った。用いたレール鋼と車輪鋼の組み合わせと、評価結果とを表6に示す。この結果からもより、成分組成と降伏強度比YS/YSとが本願発明の条件を満たすようにレール鋼と車輪鋼とを選択することにより、レールと車輪の疲労損傷を効果的に抑制できることが分かる。
Figure 0006222403
Figure 0006222403
Figure 0006222403
(実施例3)
表7に示す成分組成のレール鋼と、表8に示す成分組成の車輪鋼とを使用した以外は、実施例1と同様の条件で試験を行った。加えて、最終的に得られたレール鋼のビッカース硬さHと、最終的に得られた車輪鋼のビッカース硬さHとを、ビッカース硬さ試験機で荷重98Nにより測定し、レール鋼の硬さHと車輪鋼の硬さHとの比H/Hを求めた。用いたレール鋼と車輪鋼との組み合わせと、評価結果とを表9に示す。
この結果からも、成分組成と降伏強度比YS/YSとが本発明の条件を満たすようにレール鋼と車輪鋼とを選択することにより、レールと車輪の疲労損傷を効果的に抑制できることが分かる。また、特許文献2に記載されているように、レール鋼の硬さHと車輪鋼の硬さHとの比H/Hが1.00以上1.30以下となるレール鋼と車輪鋼の組み合わせであっても、レール鋼の降伏強度が830MPa未満である場合、車輪鋼の降伏強度が580MPa未満である場合、および降伏強度比YS/YSが本発明の範囲0.85〜1.95内にない場合には、レールと車輪の耐疲労損傷性が劣ることがわかる。また、車輪鋼の鋼組織がパーライトでない場合には、車輪の耐疲労損傷性が劣ることがわかる。
Figure 0006222403
Figure 0006222403
Figure 0006222403
1 車輪材
2 レール材

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C :0.70%以上、0.85%未満、
    Si:0.10〜1.50%、
    Mn:0.40〜1.50%、および
    Cr:0.05〜1.50%を含有し、
    残部Fe及び不可避的不純物からなる成分組成を有するレール鋼と、
    質量%で、
    C :0.57%以上、0.85%未満、
    Si:0.10〜1.50%、
    Mn:0.40〜1.50%、および
    Cr:0.05〜1.50%を含有し、
    残部Fe及び不可避的不純物からなる成分組成を有する車輪鋼とを、
    それぞれ頭部における鋼組織がパーライトであるレールおよびリム部における鋼組織がパーライトである車輪として実軌道で使用する際に、
    前記レールの頭部における降伏強度YSRが830MPa以上であり、
    前記車輪のリム部における降伏強度YSWが580MPa以上であり、かつ、
    前記レールの頭部における降伏強度YSRと、前記車輪のリム部における降伏強度YSWとの比YSR/YSWが下記(1)式に示す範囲内となるように前記レール鋼および車輪鋼を選択する、レール鋼および車輪鋼の選択方法。

    0.85≦YSR/YSW≦1.95 …(1)
  2. 前記レール鋼の成分組成が、質量%で、
    Cu:1.0%以下、
    Ni:1.0%以下、
    V :0.30%以下、
    Nb:0.05%以下、
    Mo:0.5%以下、
    W :0.5%以下、
    Al:0.07%以下、
    Ti:0.05%以下、および
    B :0.005%以下からなる群より選択される1または2以上をさらに含む、請求項1に記載のレール鋼および車輪鋼の選択方法。
  3. 前記車輪鋼の成分組成が、質量%で、
    Cu:1.0%以下、
    Ni:1.0%以下、
    V :0.30%以下、
    Nb:0.05%以下、
    Mo:0.5%以下、
    W :0.5%以下、
    Al:0.07%以下、
    Ti:0.05%以下、および
    B :0.005%以下からなる群より選択される1または2以上をさらに含む、請求項1または2に記載のレール鋼および車輪鋼の選択方法。
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