JP5776565B2 - レール鋼及び車輪鋼の材質選択方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄道の軌道で使用されるレール及び車両の車輪において、レール頭頂部の硬さと車輪踏面部の硬さの比を制御することにより、レールと車輪の摩耗量を抑制し、使用寿命を向上させることを目的としたレール鋼及び車輪鋼の材質選択方法。
鉄道車両用車輪には、機関車用、客車用、貨車用などがあり、それぞれの用途に応じた寸法、形状、及び、材質の車輪が用いられている。
通常、車輪用の鋼としては、炭素量:0.60〜0.80%、硬さ:Hv250〜360の焼戻しマルテンサイト組織やパーライト組織が利用されている。図1は、一般鉄道用車輪の部位を断面表面位置の呼称で示したものである。
車輪は、主に、レール頭頂面と接触する踏面部(符号1)と車両が曲線区間を走行する際にレール頭部コーナー部と接触するフランジ部(符号2)で構成されている。一般的な車輪の寿命は、主に、踏面部の摩耗量によって決定されており、使用寿命を向上させるため、踏面部の耐摩耗性の改善が大きな課題となっている。
一般の鉄道用車輪の成分や硬さは、JIS E 5402−1等に規定されている。踏面の耐摩耗性を改善するには、JISの規格範囲において、硬さの高い車輪を使うことで対応してきた。
さらに、耐摩耗性を向上させるため、JIS規格外の成分の車輪鋼が検討された。この車輪の特徴は、鋼の炭素量を増加させ、耐摩耗性を向上させると同時に、パーライト変態の促進により、ブレーキ時の異常組織の生成を抑制するものある(例えば、特許文献1、参照)。
特許文献1の開示技術は、JIS規格よりも車輪鋼の炭素量を増加(炭素量:0.80〜1.20%)させ、パーライト組織のラメラ中のセメンタイト体積比率増加により耐摩耗性を向上させ、同時に、ブレーキ時の発熱で再オーステナイト化し、再変態する際にパーライト変態を促進し、き裂の発生起点となるマルテンサイト組織の生成を抑制することにより、耐摩耗性及び耐熱き裂性に優れた車輪を提供するものである。
近年、車輪の踏面部では、レールとのころがり接触に起因したフラットはく離損傷が顕在化している。このフラットはく離損傷は、白色層と呼ばれる焼入れままのマルテンサイト組織のき裂を起点として生じる。そこで、この白色層からのき裂の発生を抑制するため、白色層の硬さを下げる車輪開発が行われている(例えば、特許文献2、参照)。
特許文献2の開示技術は、JIS規格よりも車輪鋼の炭素量を低下(炭素量:0.35〜0.55%)させ、ブレーキ時の発熱で再オーステナイト化し、その後に生成するマルテンサイト組織の硬さを低下させ、割れの発生を抑制し、耐損傷性に優れた車輪を提供するものである。
一方、鉄道用レールには、主に、旅客鉄道用と貨物鉄道用があり、それぞれの用途に応じた断面形状及び材質のレールが用いられている。
通常、レール用の鋼としては、炭素量:0.70〜0.80%、硬さ:Hv250〜420のパーライト組織が利用されている。図2は、鉄道用レールの部位を頭部断面表面位置の呼称で示したものである。
レールは、主に、車輪踏面と接触する頭頂部(符号3)と、車両が曲線区間を走行する際に車輪フランジ面と接触する頭部コーナー部(符号4)で構成されている。一般的なレールの寿命は頭頂部の摩耗量によって決定されており、使用寿命を向上させるため、頭頂部の耐摩耗性の改善が大きな課題となっている。
そこで、この問題を解決するため、鋼の高炭素化が検討された。このレールの特徴は、パーライト組織の耐摩耗性を向上させるものである(例えば、特許文献3、参照)。
特許文献3の開示技術は、鋼の炭素量を過共析域まで向上(炭素量:0.85超〜1.20%)させ、金属組織をパーライト組織とし、パーライトラメラ中のセメンタイト相の体積比率を高め、耐摩耗性を向上させ、より高寿命なレールを提供するものである。
特許文献1〜3の開示技術は、レール鋼や車輪鋼の炭素量を制御することにより、耐摩耗性や耐損傷性を向上させ、レール・車輪のそれぞれの高寿命化を図るものである。しかし、実軌道で発生しているレールと車輪のころがり接触における相互の摩耗を考慮し、耐摩耗性の向上を狙ったものではない。
また、レール・車輪のいずれかの耐摩耗性を向上させると、その組合せによっては、レール、車輪のいずれかの摩耗が大きく促進されるという問題があり、ころがり接触をするレールと車輪の相互の摩耗を抑制し、レール及び車輪のトータルでの使用寿命を向上させるものではなかった。
そこで、レールと車輪の相互の摩耗を考慮し、レール及び車輪のトータルでの寿命を向上させる検討が行われた。その結果、レールと車輪のトータルでの摩耗は、レールの高硬度化により抑制され、トータルでの使用寿命はレールの高硬度化によって改善する(例えば、非特許文献1、参照)。
非特許文献1の開示技術では、レールと車輪の硬さを制御し摩耗試験を行い、レールの硬さと車輪の硬さの最適点を見出した結果、レールと車輪のトータルでの摩耗量は、レールの硬さを車輪の硬さよりも高くし、車輪の硬さを固定した場合、レールのみの硬さを増加させると、レールと車輪の相互の摩耗が抑制され、トータルでの使用寿命向上はレールの高硬度化が有効であることが示されている。
非特許文献1の開示技術では、レールと車輪のトータルでの使用寿命の改善には、レール鋼の高硬度化を図るものである。しかし、レール鋼の高硬度化には限界があり、また、実軌道でのレールと車輪の摩耗特性は、軌道条件によって大きく変化し、レールの高硬度化によって車輪の摩耗が増加する実態もあり、レール高硬度化は、必ずしも、レールと車輪のトータルでの使用寿命の改善につながらないという問題がある。
特開2004−315928号公報 特開2005−350769号公報 特開平08−144016号公報
FAST(Facility for Accelerated Service Testing) Engineering Conference 1981 「Rail: ITS BEHAVIOR AND RELATIONSHIP TO TOTAL SYSTEM WEAR」, p149.
このような背景から、実軌道で発生しているレールと車輪のころがり接触における相互の摩耗を考慮し、レール鋼と車輪鋼の組合せにおいて耐摩耗性の向上を図り、レール及び車輪のトータルでの使用寿命を向上させるレール鋼及び車輪鋼の材質選択方法の提供が望まれるようになった。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、レール鋼と車輪鋼の組合せにおいて耐摩耗性の向上を図り、レール及び車輪のトータルでの使用寿命を向上させることである。
本発明者らは、上記目的を達成するレール鋼と車輪鋼の組合せについて鋭意研究した。その結果、レール頭頂部の硬さと車輪踏面部の硬さの比を制御すれば、レール及び車輪のトータルでの使用寿命が向上し、さらに、レール鋼の炭素量を制御すれば、該寿命が寄り向上することを見いだした。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は、以下の通りである。
(1)質量%で、C:0.70〜1.20%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜2.00%、P≦0.025%、S≦0.025%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるパーライト組織を有するレール鋼と、質量%で、C:0.55〜0.80%、Si:0.10〜0.80%、Mn:0.20〜1.00%、P≦0.030%、S≦0.030%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるパーライト又は焼戻しマルテンサイト組織を有する車輪鋼を、実軌道のレール及び車両の車輪で使用する際に、レール頭頂部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さ:RHと車輪踏面部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さ:WHの比を下記式(1)に示す範囲内に制御することを特徴とするレール鋼及び車輪鋼の材質選択方法。
1.00≦RH/WH≦1.30 ・・・(1)
ここで、RH(HV):レール頭頂部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さ
WH(HV):車輪踏面部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さ
(2)前記レール鋼が、さらに、質量%で、Cr:0.01〜2.00%、Mo:0.01〜0.50%、V:0.005〜0.50%、Nb:0.002〜0.050%、Ti:0.0050〜0.0500%、Co:0.01〜1.00%、B:0.0001〜0.0050%、Cu:0.01〜1.00%、Ni:0.01〜1.00%、Ca:0.0005〜0.0200%、Mg:0.0005〜0.0200%、Zr:0.0001〜0.0100%、Al:0.0100〜1.00%、N:0.0060〜0.0200%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする前記(1)に記載のレール鋼及び車輪鋼の材質選択方法。
(3)前記車輪鋼が、さらに、質量%で、Cr:0.10〜1.20%、Mo:0.01〜0.50%、V:0.005〜0.50%、Nb:0.002〜0.050%、Ti:0.0050〜0.0500%、Co:0.01〜1.00%、B:0.0001〜0.0050%、Cu:0.01〜1.00%、Ni:0.01〜1.00%、Ca:0.0005〜0.0200%、Mg:0.0005〜0.0200%、Zr:0.0001〜0.0100%、Al:0.0100〜1.00%、N:0.0060〜0.0200%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする前記(1)又は(2)のいずれかに記載のレール鋼及び車輪鋼の材質選択方法。
(4)前記レール鋼のC量が、C≧0.90%であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のレール鋼及び車輪鋼の材質選択方法。
本発明によれば、レール頭頂部の硬さと車輪踏面部の硬さの比を制御することにより、レール鋼と車輪鋼の組合せにおいて耐摩耗性の向上を図り、レール及び車輪のトータルでの使用寿命を向上させることが可能となる。さらに、レール鋼の炭素量を制御することにより、レールと車輪のトータルでの使用寿命をさらに向上させることが可能となる。
一般鉄道用車輪の部位を、断面表面位置での呼称で示す図である。 鉄道用レールの部位を、頭部断面表面位置での呼称で示す図である。 西原式摩耗試験機を模式的に示す図である。 各硬さのレール試験片の摩耗量を、車輪試験片の硬さとの関係で整理して示す図である。 各硬さの車輪試験片の摩耗量を、レール試験片の硬さとの関係で整理して示す図である。 各組合せにおけるレール試験片の硬さに対する車輪試験片の硬さの比の値と、レール及び車輪の試験片の摩耗量、レールと車輪の試験片の摩耗量の和の関係を整理して示す図である。 C量:0.90〜1.20%のレール鋼における、レール試験片の硬さに対する車輪試験片の硬さの比の値と、レール及び車輪の試験片の摩耗量、レールと車輪の試験片の摩耗量の和の関係を整理して示す図である。 表2に示す摩耗試験におけるレール頭頂部での試験片採取位置を示す図である。 表2に示す摩耗試験における車輪踏面部での試験片採取位置を示す図である。 表2に示す摩耗試験の結果(発明例:C1〜C17、比較例:D1〜D12)を、レールの硬さに対する車輪の硬さの比の値と、レール及び車輪の試験片の摩耗量、レールと車輪の試験片の摩耗量の和の関係で整理して示す図である。 本発明例の摩耗試験の結果(発明例:C1〜C17)を硬さに対する車輪の硬さの比の値と、レール及び車輪の試験片の摩耗量、レールと車輪の試験片の摩耗量の和の関係で整理し、レールの炭素量で区別して示す図である。
以下に本発明を実施する形態として、レール鋼及び車輪鋼の材質選択方法につき、詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなく、その形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。
したがって、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。以下、成分組成における質量%は、単に、%と記載する。
まず、本発明者らは、実軌道でのレールと車輪の摩耗特性を調査した。そして、軌道条件によってレールと車輪の摩耗量は大きく変化すること、非特許文献1で開示するように、レールの高硬度化は車輪の摩耗を増加させ、レールと車輪のトータルの摩耗は減少せず、レール鋼の高硬度化は、必ずしも、レール、車輪のトータルでの使用寿命の向上を達成できないことを確認した。
本発明者らは、この調査結果に基づき、レールと車輪の摩耗特性をラボ試験により調査した。
質量%で、C:0.70〜0.90%未満、Si:0.30%、Mn:0.50%、P≦0.018%,S≦0.018%、硬さ:Hv250〜440のパーライト組織のレール鋼、質量%で、C:0.60〜0.80%、Si:0.30%、Mn:0.70%、P≦0.020%,S≦0.020%、硬さ:Hv250〜380範囲のパーライト又は焼戻しマルテンサイト組織の車輪鋼を作製し、実軌道での使用条件を再現した摩耗試験を行った。
試験条件は下記に示す通りである。
試験機:西原式摩耗試験機(図3、参照)
試験片形状:円盤状試験片(外径:30mm、厚さ:8mm)
試験荷重:686N(接触面圧640MPa)
すべり率:9%
雰囲気:大気中
冷却:圧搾空気による強制冷却(流量:100Nl/min)
繰返し回数:70万回
摩耗試験の結果を、図4及び図5に示す。図4は、各硬さのレール試験片の摩耗量を車輪試験片の硬さとの関係で整理したものである。図5は、各硬さの車輪試験片の摩耗量をレール試験片の硬さとの関係で整理したものである。
図4に示すように、各硬さのレール試験片の摩耗量は車輪試験片の硬さと相関があり、車輪試験片の硬さが増加するに従って摩耗量が増加する傾向を示す。また、レール試験片の硬さが増加するに従って摩耗量が低下する傾向が確認された。特に、レール鋼の硬さがHV340以上になると、いずれの硬さの車輪試験片との組合せにおいても、レール試験片の摩耗量が大きく低下する傾向が確認された。
図5に示すように、各硬さの車輪試験片の摩耗量はレール試験片の硬さと相関があり、レール試験片の硬さが増加するに従って摩耗量が増加する傾向を示し、車輪試験片の硬さが増加するに従って摩耗量が低下する傾向が確認された。
さらに、本発明者らは、レール試験片と車輪試験片の相対的な硬さと摩耗量の関係を明らかにするため、レール試験片の硬さに対する車輪試験片の硬さの比の値と、レール試験片と車輪試験片の摩耗量の相関を解析した。ここで、摩耗量は、定量化するため、繰返し回数1万回当たりの摩耗量に変換した値で示した。
図6に、各組合せにおけるレール試験片の硬さに対する車輪試験片の硬さの比の値と、レール及び車輪の試験片の摩耗量、レールと車輪の試験片の摩耗量の和の関係を整理して示す。レール試験片の硬さに対する車輪試験片の硬さの比が1.00〜1.30の範囲、即ち、車輪試験片よりもレール試験片の方がやや硬い領域で、レール試験片と車輪試験片の摩耗量の和が極小となる傾向を確認した。
これらの結果から、レール及び車輪の摩耗量を低減させ、レールと車輪のトータルでの使用寿命を向上させるには、レール試験片の硬さに対する車輪試験片の硬さの比を一定の範囲に収める必要があることを新たに見いだした。
さらに、本発明者らは、レール及び車輪の摩耗量をさらに低減させる方法を検討した。レール試験片の成分組成を検討した結果、レール鋼の炭素量の増加が有効であることを発見した。
図7に、質量%で、C:0.90〜1.20%、Si:0.50%、Mn:0.70%、P≦0.018%,S≦0.018%、硬さ:Hv250〜440のパーライト組織のレール鋼、質量%で、C:0.60〜0.80%、Si:0.30%、Mn:0.70%、P≦0.020%,S≦0.020%、硬さ:Hv250〜380のパーライト又は焼戻しマルテンサイト組織の車輪鋼を用いて摩耗試験を行った結果を示す。
図7に示すように、レール試験片の硬さに対する車輪試験片の硬さの比が1.00〜1.30の範囲において、レール鋼の炭素量を増加させることにより、車輪試験片の摩耗量を大きく増加させることなく、レール試験片の摩耗量のみが低下し、レール試験片と車輪試験片の摩耗量の和がさらに減少することを突き止めた。
即ち、本発明は、レール頭頂部の硬さと車輪踏面部の硬さの比を制御することにより、レールと車輪の組合せにおける摩耗量を低減し、耐摩耗性の改善を図り、レール及び車輪のトータルでの使用寿命を向上させるものである。
さらに、本発明は、レール鋼の炭素量を制御することにより、レールと車輪の組合せにおける摩耗量をさらに低減し、レールと車輪のトータルでの使用寿命をより一層向上させることを目的としたレール鋼及び車輪鋼の材質選択方法に関するものである。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑み案出されたものであり、その目的とするところは、レール鋼と車輪鋼の組合せにおいて耐摩耗性の向上を図り、レール及び車輪のトータルでの使用寿命を向上させることを目的としたものである。
次に、本発明の限定理由について詳細に説明する。以下、成分組成に係る質量%は、単に、%と記載する。
(1)成分組成の限定理由
(1A)レール鋼の成分組成
レール鋼の成分組成を限定した理由について、詳細に説明する。
Cは、パーライト変態を促進し、かつ、レールの耐摩耗性を確保する元素である。0.70%未満では、パーライト組織中に疲労特性に有害な初析フェライトが生成し易くなり、さらに、パーライト組織の硬度(強度)を維持することが困難となる。その結果、レールの耐摩耗性が低下する。一方、1.20%を超えると、パーライト組織中に靭性を劣化させる初析セメンタイト組織が生成しやすくなる。その結果、レールの靭性が低下する。このため、Cは、0.70〜1.20%に限定した。
Siは、レール鋼の脱酸材として必須の元素である。また、パーライト組織中のフェライト相への固溶強化により、パーライト組織の硬度(強度)を上昇させ、パーライト組織の耐疲労損傷性を向上させる元素である。さらに、過共析鋼において、初析セメンタイト組織の生成を抑制し、靭性の低下を抑制する元素である。
しかし、0.05%未満では、上記添加効果が十分に期待できない。一方、2.00%を超えると、焼入性が著しく増加し、靭性に有害なマルテンサイト組織が生成し易くなる。このため、Siは、0.05〜2.00%に限定した。
Mnは、焼入性を高め、パーライトラメラ間隔を微細化することにより、パーライト組織の硬度(強度)を確保し、耐摩耗性を向上させる元素である。しかし、0.05%未満では、その効果が小さく、レールに必要とされる耐摩耗性の確保が困難となる。一方、2.00%を超えると、焼入性が著しく増加し、靭性に有害なマルテンサイト組織が生成し易くなる。このため、Mnは、0.05〜2.00%に限定した。
Pは、あえて添加する元素ではないが、0.025%を超えると、レールの靭性が大きく低下する。また、偏析帯を形成し、レールの靱性を低下させるマルテサイト組織の生成を促進する。このため、Pは、0.025%以下に限定した。Sは、あえて添加する元素ではないが、0.025%を超えると、MnSが多量に生成し、レールの靭性が劣化する。このため、Sは、0.025%以下に限定した。
また、上記の成分組成で製造されるレールは、パーライト組織の硬度(強化)の向上、耐摩耗性の向上、靭性の向上、溶接熱影響部の軟化の防止、レール頭部内部の断面硬度分布の制御を図る目的で、Cr、Mo、V、Nb、Ti、Co、B、Cu、Ni、Ca、Mg、Zr、Al、及び、Nの1種又は2種以上を、必要に応じて含有する。
上記添加元素の望ましい添加量を下記に示す。
Crは、平衡変態温度を上昇させ、結果として、パーライト組織のラメラ間隔を微細化し、高硬度(強度)化に寄与すると同時に、セメンタイト相を強化して、パーライト組織の硬度(強度)を向上させ、パーライト組織の耐摩耗性を向上させる元素である。
0.01%未満では、添加効果は小さく、レール鋼の硬度を向上させる効果が全く見られなくなる。一方、2.00%を超えると、焼入性が増加し、パーライト組織中に靭性に有害なマルテンサイト組織が生成し易くなる。このため、Crは、0.01〜2.00%が望ましい。
Moは、パーライトラメラ間隔を微細化することにより、パーライト組織の硬度を確保する点から、0.01〜0.50%が望ましい。V、Nb、Tiは、炭化物や窒化物によりオーステナイト粒の成長を抑制し、パーライト組織の延・靭性を向上させる観点から、V:0.005〜0.50%、Nb:0.002〜0.050%、Ti:0.0050〜0.0500%が望ましい。
Coは、車輪との接触面でのパーライト組織のラメラ構造やフェライト粒径を微細化し、パーライト組織の耐摩耗性を高める観点から、0.01〜1.00%が望ましい。Bは、パーライト変態温度の冷却速度依存性を低減させ、レール頭部の硬度分布を均一にする観点から、0.0001〜0.0050%が望ましい。
Cu、Niは、固溶強化によりパーライト組織の硬度を高める観点から、Cu:0.01〜1.00%、Ni:0.01〜1.00%が望ましい。Ca、Mgは、酸化物、硫化物の生成によりオーステナイト粒の微細化を図り、パーライト組織の延・靭性を向上させる観点から、Ca:0.0005〜0.0200%、Mg:0.0005〜0.0200%が望ましい。
Zrは、酸化物の生成により偏析帯の形成を抑制し、パーライト組織の延・靭性を向上させる観点から、0.0001〜0.0100%が望ましい。Alは、共析変態温度を高温側へ移動させ、パーライト組織の硬度を向上させる観点から、Al:0.0100〜1.00%が望ましい。Nは、パーライト変態を促進させ、パーライト組織の延・靭性を向上させる観点から、N:0.0060〜0.0200%が望ましい。
(1B)車輪鋼の成分組成
次に、車輪鋼の成分組成を限定した理由について、詳細に説明する。
Cは、車輪に一定の硬さを付与するための必須元素であるとともに、耐摩耗性の確保に大きく影響する元素である。0.55%未満では、車輪に一定の硬さを付与することが困難となる。0.80%を超えると、車輪の靭性が大きく低下し、熱処理時に割れの発生を誘発する。このため、Cは、0.55〜0.80%に限定した。
Siは、溶鋼の脱酸元素であり、また、固溶強化としても有効であり、車輪の硬さを確保し、耐摩耗性を向上させる元素である。0.10%未満では、脱酸不足となり、ブローホールなどの欠陥を生じる。また、固溶強化の効果が十分に期待できない。0.80%を超えると、製造時の表面疵の発生や靱性の低下などの問題が生じる。このため、Siは、0.10〜0.80%に限定した。
Mnは、熱処理時の焼入れ性を高め、車輪の硬さを確保し、耐摩耗性を向上させる元素である。0.20%未満では、添加効果が十分に期待できない。1.00%を超えると、硬さの著しい上昇により、被削性が低下し、車輪の加工が困難となる。このため、Mnは、0.20〜1.00%に限定した。
Pは、あえて添加する元素ではないが、0.030%を超えると、車輪の靱性を大きく低下させる。このため、Pは、0.030%以下に限定した。Sは、あえて添加する元素ではないが、0.030%を超えると、MnSが多量に生成し、車輪の靭性を劣化させる。このため、Sは、0.030%以下に限定した。
また、上記の成分組成で製造される車輪は、熱処理時の焼入性の確保、硬度(強化)の向上、靭性の向上を図る目的で、Cr、Mo、V、Nb、Co、B、Cu、Ni、Ti、Ca、Mg、Zr、Al、及び、Nの1種又は2種以上を、必要に応じて含有する。
上記の添加元素の望ましい添加量を下記に示す。
Crは、焼入性を高めるとともに、マトリクス中の炭化物を微細に分散させ、車輪の硬さを確保し、耐摩耗性を向上させる元素である。0.10%未満では、焼入性が不十分となり、添加効果が十分に期待できない。1.20%を超えると、炭化物の粗大化による靱性の低下が生じる。このため、Crは、0.10〜1.20%が望ましい。
Moは、パーライト組織の硬度を確保し、マルテンサイト組織の焼戻し軟化を抑制する点から、0.01〜0.50%が望ましい。V、Nb、Tiは、炭化物や窒化物の析出によりパーライト組織や焼戻しマルテンサイト組織の強度、延・靭性を向上させる観点から、V:0.005〜0.50%、Nb:0.002〜0.050%、Ti:0.0050〜0.0500%が望ましい。
Coは、ラメラ構造やフェライト粒径を微細化し、パーライト組織の耐摩耗性を高める観点から、0.01〜1.00%が望ましい。Bは、パーライト変態温度の冷却速度依存性を低減させ、車輪断面内部の硬度分布を均一にする観点から、0.0001〜0.0050%が望ましい。
Cu、Niは、固溶強化によりパーライト組織や焼戻しマルテンサイト組織の硬度を高める観点から、Cu:0.01〜1.00%、Ni:0.01〜1.00%が望ましい。Ca、Mgは、酸化物、硫化物の生成によりオーステナイト粒の微細化を図り、パーライト組織や焼戻しマルテンサイト組織の延・靭性を向上させる観点から、Ca:0.0005〜0.0200%、Mg:0.0005〜0.0200%が望ましい。
Zrは、酸化物の生成により偏析帯の形成を抑制し、車輪の延・靭性を向上させる観点から、0.0001〜0.0100%が望ましい。Alは、共析変態温度を高温側へ移動させ、パーライト組織の硬度を高め、脱酸を促進させる観点から、0.0100〜1.00%が望ましい。Nは、パーライト変態を促進させ、パーライト組織の延・靭性を向上させる観点から、0.0060〜0.0200%が望ましい。
(2)金属組織の限定理由
(2A)レール鋼の金属組織
まず、レール鋼の金属組織をパーライト組織に限定した理由について説明する。
本発明者らは、レールの強度を確保できると考えられる様々な金属組織(パーライト、ベイナイト、焼戻しマルテンサイト鋼、球状化炭化物鋼)を用いて摩耗試験を行った。その結果、パーライト組織の耐摩耗性が最もよいことを確認した。このため、レール鋼の金属組織をパーライトに限定した。
また、パーライト組織は、図2のレール頭部断面表面位置の頭頂部(符号3)と頭部コーナー部(符号4)の外郭表面から、少なくとも20mmの深さまで確保することが望ましい。
なお、レール鋼の金属組織は、上記限定のようなパーライト単相組織であることが望ましい。しかし、レールの成分系や熱処理製造方法によっては、パーライト組織中に面積率で3%以下の微量の初析フェライト組織、ベイナイト組織、初析セメンタイト組織やマルテンサイト組織が混入することがある。しかし、これらの組織が混入しても、レール頭頂部の耐摩耗性や靭性には大きな悪影響を及ぼさない。
このため、レールの金属組織は、3%以下の微量な初析フェライト組織、ベイナイト組織、初析セメンタイト組織やマルテンサイト組織の混在も許容する。
(2B)車輪鋼の金属組織
次に、車輪鋼の金属組織をパーライト又は焼戻しマルテンサイト組織に限定した理由について説明する。
本発明者らは、車輪の強度と靭性を確保できると考えられる様々な金属組織(パーライト、ベイナイト、焼戻しマルテンサイト鋼、球状化炭化物鋼)を用いて摩耗試験と衝撃試験を行った。その結果、パーライト組織と焼戻しマルテンサイト組織が耐摩耗性と靭性のバランスが最もよいことを確認した。このため、車輪鋼の金属組織をパーライト又は焼戻しマルテンサイト組織に限定した。
また、パーライト組織又は焼戻しマルテンサイト組織は、図1の車輪断面表面位置の踏面部(符号1)とフランジ部(符号2)の外郭表面から、少なくとも20mmの深さまで確保することが望ましい。
なお、車輪鋼の金属組織は、上記限定のようなパーライト組織や焼戻しマルテンサイト組織であることが望ましい。しかし、車輪の成分系や熱処理製造方法によっては、これらの組織中に面積率で3%以下の微量な初析フェライト組織、ベイナイト組織、初析セメンタイト組織やマルテンサイト組織が混入することがある。
しかし、これらの組織が混入しても、車輪踏面の耐摩耗性や靭性には大きな悪影響を及ぼさない。このため、車輪の金属組織としては、3%以下の微量な初析フェライト組織、ベイナイト組織、初析セメンタイト組織やマルテンサイト組織の混在も許容する。
(3)レール頭頂部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さ:RHと車輪踏面部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さ:WHの比の限定、及び、レール鋼の成分をC≧0.90%に限定する理由
レール鋼及び車輪鋼を実軌道のレール及び車両の車輪で使用する際に、レール頭頂部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さ:RHと車輪踏面部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さ:WHの比を、1.00〜1.30に限定した理由を説明する。
レール頭頂部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さと車輪踏面部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さの比が1.00未満では、図6に示すように、車輪と比較して、レールの摩耗量が著しく増加する。また、レール頭頂部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さと車輪踏面部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さの比が1.30を超えると、図6に示すように、レールと比較して、車輪の摩耗量が著しく増加する。
このため、レールと車輪の摩耗量の和が増加し、レールと車輪のトータルでの使用寿命が低下する。このことから、レールと車輪の摩耗量の和が極小、かつ、平均値で約0.028g/1万回転以下となり、レールと車輪のトータルでの使用寿命が向上する範囲として、レール頭頂部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さと車輪踏面部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さの比を、1.00〜1.30に限定した。
また、上記レールの成分組成において、Cを0.90%以上に制御すると、パーライト組織のラメラ中のセメンタイト相の体積比率が高まり、レール頭頂部でのころがり面の加工硬化が促進され、車輪の摩耗量を大きく増加させることなく、レールの摩耗量が低下し、レールと車輪の摩耗量の和がさらに減少する(図7参照)。
このため、レールと車輪のトータルでの使用寿命をさらに向上させるには、レール頭頂部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さと車輪踏面部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さの比を、1.00〜1.30に制御し、レール鋼の炭素量を0.90%以上に限定する。
レール頭頂部の硬さ(RH)の測定は、図2に示すレール頭部断面表面位置の頭頂部(符号3)の表面、又は、表面から1〜10mm深さの位置で行う。測定に際しては、表面については、ショアー硬度計、電子式反発硬度計を用いて測定し、ビッカース硬度値(HV)に換算する。
また、内部(表面から1〜10mm深さ)については、小サンプルを切出し、断面を研磨後、ビッカース硬度計で測定する。測定した値については、同一測定部位において5点以上測定し、その平均値を、その部位の代表値とすることが望ましい。なお、正確な硬度値を測定するには、表面よりも断面をビッカース硬度計で測定することが望ましい。
車輪踏面部の硬さ(WH)の測定は、図1に示す鉄道用車輪断面表面位置の踏面部(符号1)の表面、又は、表面から1〜10mm深さの位置で行う。測定に際しては、表面については、ショアー硬度計、電子式反発硬度計を用いて測定し、ビッカース硬度値(HV)に換算する。
また、内部(表面から1〜10mm深さ)については、小サンプルを切出し、断面を研磨後、ビッカース硬度計で測定する。測定した値については、同一測定部位において5回以上測定し、その平均値をその部位の代表値とすることが望ましい。なお、正確な硬度値を測定するには、表面よりも断面をビッカース硬度計で測定することが望ましい。
これらの測定結果から、レール頭頂部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さ(RH)と車輪踏面部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さ(WH)比を、下記式(1)に従って算定する。
1.00≦RH/WH≦1.30 ・・・(1)
ここで、RH(HV):レール頭頂部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さ
WH(HV):車輪踏面部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さ
なお、算定に際しては、表面については、レール、車輪のいずれも、表面の値、また、断面については、レール、車輪のいずれも、表面から1〜10mm深さの位置において深さを限定し、5点以上の測定データを平均し、その値で算定することが望ましい。
また、レール頭頂部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さ、車輪踏面部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さについては、特に限定するものではないが、耐摩耗性の確保、耐疲労性の確保、レールと車輪の摩耗量の和を極小とし、レールと車輪のトータルでの使用寿命を向上させるには、レール頭頂部についてはHV250〜450、車輪踏面部についてはHV250〜400のレール及び車輪を選択することが望ましい。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例)
表1に、レール鋼の成分組成を示す。表2に、車輪鋼の成分組成を示す。表3に、レール頭頂面部及び車輪踏面部の特性(表面下2mm位置のミクロ組織、硬さ)と、それぞれから採取した試験片を用いて摩耗試験を行った結果を示す。
さらに、図8に示すレール位置から採取した試験片、図9に示す車輪位置から採取した試験片を用いて、図3に示す方法で行った摩耗試験の結果を、表3に併せて示す。
摩耗試験条件は、下記のとおりである。
試験機:西原式摩耗試験機(図3、参照)
試験片形状:円盤状試験片(外径:30mm、厚さ:8mm)
試験片採取位置 レール頭頂部表面下2mm(図8、参照)
車輪踏面部表面下2mm(図9、参照)
試験荷重:686N(接触面圧640MPa)
すべり率:9%
雰囲気:大気中
冷却:圧搾空気による強制冷却(流量:100Nl/min)
繰返し回数:70万回
Figure 0005776565
Figure 0005776565
Figure 0005776565
(1)発明例(17例)
符号C1〜C17:炭素量、レール頭頂部のミクロ組織が本発明範囲内のレールと、炭素量、車輪踏面部のミクロ組織が本発明範囲内の車輪を用いて、レール頭頂部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さに対する車輪踏面部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さの比が1.00〜1.30となるレールと車輪の組合せにおいて摩耗試験を行った発明例である。
なお、符号C11〜C17は、炭素量が0.90%以上のレールにおいて、レール頭頂部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さに対する車輪踏面部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さの比が1.00〜1.30となるレールと車輪の組合せにおいて摩耗試験を行った発明例である。
(2)比較例(12例)
符号D1〜D12:炭素量、レール頭頂部のミクロ組織が本発明範囲内のレールと、炭素量、車輪踏面部のミクロ組織が本発明範囲内の車輪を用いて、レールの硬さに対する車輪の硬さの比が1.00〜1.30を外れるレールと車輪の組合せにおいて摩耗試験を行った比較例である。
図10に、表3に示す摩耗試験の結果(発明例:C1〜C17、比較例:D1〜D12)を、レールの硬さに対する車輪の硬さの比の値と、レール及び車輪の試験片の摩耗量、レールと車輪の試験片の摩耗量の和の関係で整理して示す。
図11に、発明例の摩耗試験の結果(発明例:C1〜C17)を、硬さに対する車輪の硬さの比の値と、レール及び車輪の試験片の摩耗量、レールと車輪の試験片の摩耗量の和の関係で整理し、レールの炭素量で区別して示す。
図10に示すように、レール頭頂部の硬さに対する車輪踏面部の硬さの比が1.00〜1.30、即ち、車輪試験片よりもレール試験片の方がやや硬い領域で、レールと車輪の摩耗量の和が極小となり、レール及び車輪のトータルでの使用寿命が向上する。
さらに、図11に示すように、レール頭頂部の硬さに対する車輪踏面部の硬さの比が1.00〜1.30において、レール鋼の炭素量を増加させることにより、車輪の摩耗量を大きく増加させることなく、レールの摩耗量のみが低下し、レールと車輪の摩耗量の和がさらに減少し、レール及び車輪のトータルでの使用寿命がさらに向上する。
1 踏面部
2 フランジ部
3 頭頂部
4 頭部コーナー部
5 レール試験片
6 相手材
7 冷却用ノズル

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.70〜1.20%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜2.00%、P≦0.025%、S≦0.025%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるパーライト組織を有するレール鋼と、質量%で、C:0.55〜0.80%、Si:0.10〜0.80%、Mn:0.20〜1.00%、P≦0.030%、S≦0.030%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるパーライト又は焼戻しマルテンサイト組織を有する車輪鋼を実軌道のレール及び車両の車輪で使用する際に、レール頭頂部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さ:RHと車輪踏面部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さ:WHの比を下記式(1)に示す範囲内に制御することを特徴とするレール鋼及び車輪鋼の材質選択方法。
    1.00≦RH/WH≦1.30 ・・・(1)
    ここで、RH(HV):レール頭頂部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さ
    WH(HV):車輪踏面部の表面又は表面から1〜10mmの位置の硬さ
  2. 前記レール鋼が、さらに、質量%で、Cr:0.01〜2.00%、Mo:0.01〜0.50%、V:0.005〜0.50%、Nb:0.002〜0.050%、Ti:0.0050〜0.0500%、Co:0.01〜1.00%、B:0.0001〜0.0050%、Cu:0.01〜1.00%、Ni:0.01〜1.00%、Ca:0.0005〜0.0200%、Mg:0.0005〜0.0200%、Zr:0.0001〜0.0100%、Al:0.0100〜1.00%、N:0.0060〜0.0200%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載のレール鋼及び車輪鋼の材質選択方法。
  3. 前記車輪鋼が、さらに、質量%で、Cr:0.10〜1.20%、Mo:0.01〜0.50%、V:0.005〜0.50%、Nb:0.002〜0.050%、Ti:0.0050〜0.0500%、Co:0.01〜1.00%、B:0.0001〜0.0050%、Cu:0.01〜1.00%、Ni:0.01〜1.00%、Ca:0.0005〜0.0200%、Mg:0.0005〜0.0200%、Zr:0.0001〜0.0100%、Al:0.0100〜1.00%、N:0.0060〜0.0200%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のレール鋼及び車輪鋼の材質選択方法。
  4. 前記レール鋼のC量が、C≧0.90%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレール鋼及び車輪鋼の材質選択方法。
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