本発明の実施の形態に係る移動体の遠隔操作装置及び遠隔操作方法、プログラムについて説明する。但し、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
<実施の形態1>
先ず、本実施の形態の移動体の遠隔操作装置及び遠隔操作方法、プログラムの概要を説明する。本実施の形態の移動体の遠隔操作装置及び遠隔操作方法、プログラムは、移動体本体に回転可能に設けられた撮像手段が取得した画像を見ながら、操作者が移動体本体を遠隔操作する際に、撮像手段の回転方向と逆方向に操作手段を当該撮像手段の回転角度と略等しい角度で回転させる。
これにより、移動体本体の走行方向と撮像部の撮像方向との関係を、表示手段に表示される画像と操作手段との関係において再現することができ、操作者は当該画像を見ながらの移動体本体の操作が行い易い。
次に、本実施の形態の移動体の遠隔操作装置(以下、単に遠隔操作装置と省略する場合がある。)を具体的に説明する。図1は、本実施の形態の遠隔操作装置を示す構成図である。図2は、本実施の形態の遠隔操作装置の制御系のブロック図である。図3は、本実施の形態の遠隔操作装置における操作手段及び回転手段を模式的に示す斜視図である。ここで、本実施の形態の移動体1は、図1に示すように、移動体本体2に撮像手段3が設けられている。
移動体本体2は、図1に示すように、平行に配置された案内部材4に沿って走行する台車であって、載置台5、載置台5に支持された左右の前輪6、載置台5に支持された左右の後輪7を備えており、例えば左右の後輪7がモータ8の駆動力によって回転駆動する。
撮像手段3は、一般的なCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)などの撮像素子を備えており、第3の制御手段28から入力される制御信号に基づいて画像を取得し、画像信号を表示手段22に出力する。この撮像手段3は、移動体本体2の載置台5に雲台5aを介して搭載されている。
なお、本実施の形態では、重力方向に延在する軸と撮像手段3の光軸方向と撮像手段3の左右方向とで三次元直交座標系を成す。そして、撮像手段3の光軸方向は、撮像手段3の撮像方向を前側とする当該撮像手段3の前後方向と平行である。
このような撮像手段3は、雲台5aの上下方向に延在する回転軸(所謂ヨー軸)を中心にモータ9の駆動力によって回転(所謂パン)する。また、撮像手段3は、撮像手段3の前後方向に延在する回転軸(所謂ロール軸)を中心にモータ10の駆動力によって回転する。さらに、撮像手段3は、撮像手段3の左右方向に延在する回転軸(所謂ピッチ軸)を中心にモータ11の駆動力によって回転(所謂チルト)する。
このような移動体1を遠隔操作するために、本実施の形態の遠隔操作装置20は、図1及び図2に示すように、検出手段21、表示手段22、第1の操作手段23、第2の操作手段24、回転手段25、第1の制御手段26、第2の制御手段27及び第3の制御手段28を備えている。
検出手段21は、撮像手段3の回転角を検出する。本実施の形態の検出手段21は、第1の検出部31、第2の検出部32及び第3の検出部33を備えている。これらの第1の検出部31、第2の検出部32及び第3の検出部33としては、エンコーダなどを用いることができる。
第1の検出部31は、撮像手段3のヨー軸を中心とした当該撮像手段3の第1の回転角を検出し、第1の回転角を示す信号を第1の制御手段26に出力する。この第1の検出部31は、撮像手段3におけるヨー軸回りの回転部に設けられている。
第2の検出部32は、撮像手段3のロール軸を中心とした当該撮像手段3の第2の回転角を検出し、第2の回転角を示す信号を第1の制御手段26に出力する。この第2の検出部32は、撮像手段3におけるロール軸回りの回転部に設けられている。
第3の検出部33は、撮像手段3のピッチ軸を中心とした当該撮像手段3の第3の回転角を検出し、第3の回転角を示す信号を第1の制御手段26に出力する。この第3の検出部33は、撮像手段3におけるピッチ軸回りの回転部に設けられている。
表示手段22は、撮像手段3から有線通信又は無線通信を介して入力される画像信号を変換して表示する。表示手段22としては、一般的な液晶ディスプレイなどを用いることができる。
第1の操作手段23は、操作者が表示手段22の画像を見ながら、移動体本体2を制御するために操作される。本実施の形態の第1の操作手段23は、図3に示すように、一軸方向に傾動可能なジョイスティック23aを備えている。
ジョイスティック23aを操作者が第1の操作手段23の前側に傾動させると、移動体本体2が案内部材4に沿って前進する。一方、ジョイスティック23aを操作者が第1の操作手段23の後側に傾動させると、移動体本体2が案内部材4に沿って後進する。
このような第1の操作手段23は、操作者がジョイスティック23aから入力する操作信号を有線通信又は無線通信を介して第2の制御手段27に出力する。なお、本実施の形態における第1の操作手段23の前後方向は、第1の操作手段23が後述する回転手段25によって回転しても、変化しない第1の操作手段23固有の方向である。
第2の操作手段24は、撮像手段3を制御するために操作者に操作される。撮像手段3から画像を取得するべく、操作者が第2の操作手段24を操作すると、第2の操作手段24は有線通信又は無線通信を介して第3の制御手段28に操作信号を出力する。また、撮像手段3をヨー軸回り、ロール軸回り、又はピッチ軸回りに回転させるべく、操作者が第2の操作手段24を操作すると、第2の操作手段24は有線通信又は無線通信を介して第3の制御手段28に操作信号を出力する。なお、第2の操作手段24は、本発明の本質でないので具体的な説明は省略する。
回転手段25は、第1の操作手段23を回転させ、第1の操作手段23の操作姿勢(例えば、水平面に対する第1の操作手段23の傾き)を表示手段22の画面上での移動体本体2の走行姿勢に対応させる。本実施の形態の回転手段25は、図3に示すように、第1の回転部41、第2の回転部42及び第3の回転部43を備えている。なお、以下の回転手段25の説明は、未だに第1の操作手段23を回転させていない図3の形態を前提として説明する。
第1の回転部41は、回転手段25の上下方向に延在する軸(所謂ヨー軸)を中心に第1の操作手段23を回転させる。本実施の形態の第1の回転部41は、筐体41a、回転台41b及びモータ41cを備えている。筐体41aは、例えば回転手段25の上下方向から見て矩形状のボックス部材であり、回転台41bをヨー軸回りに回転可能に支持する。
回転台41b上には、第1の操作手段23が固定されており、例えば第1の操作手段23のジョイスティック23aが回転手段25のヨー軸上に配置されている。モータ41cは、筐体41a内に格納されており、図示を省略した減速器における回転手段25の上下方向に延在する軸を介して回転台41bをヨー軸回りに回転させる。
第2の回転部42は、回転手段25の前後方向に延在する軸(所謂ロール軸)を中心に第1の操作手段23を回転させる。本実施の形態の第2の回転部42は、筐体42a及びモータ42bを備えている。
筐体42aは、第1の回転部41の筐体41aを囲み、例えば回転手段25の上下方向から見てL字形のボックス部材である。モータ42bは、筐体42a内に格納されており、図示を省略した減速器における回転手段25の前後方向に延在する軸を介して第1の回転部41の筐体41aをロール軸回りに回転させる。
第3の回転部43は、回転手段25の左右方向に延在する軸(所謂ピッチ軸)を中心に第1の操作手段23を回転させる。本実施の形態の第3の回転部43は、筐体43a及びモータ43bを備えている。
筐体43aは、例えば回転手段25の上下方向から見て矩形状のボックス部材であり、第2の回転部42の筐体42aを挟んで第1の回転部41の筐体41aに対して逆側に配置されている。モータ43bは、筐体43a内に格納されており、図示を省略した減速器における回転手段25の左右方向に延在する軸を介して第2の回転部42の筐体42aをピッチ軸回りに回転させる。
これらのモータ41c、42b、43bは、第1の制御手段26から入力される制御信号に基づいて動作する。
このような回転手段25の構成において、第1の回転部41のモータ41cが駆動すると回転台41bがヨー軸回りに回転して、その結果、第1の操作手段23がヨー軸回りに回転する。また、第2の回転部42のモータ42bが駆動すると、第1の回転部41の筐体41aが当該ロール軸回りに回転し、その結果、第1の操作手段23がロール軸回りに回転する。さらに、第3の回転部43のモータ43bが駆動すると、第2の回転部42の筐体42aが第1の回転部41の筐体41aと共に当該ピッチ軸回りに回転し、その結果、第1の操作手段23がピッチ軸回りに回転する。これにより、回転手段25は第1の操作手段23を三次元方向に傾動させることができる。
第1の制御手段26は、詳細は後述するが、第1の検出部31、第2の検出部32及び第3の検出部33から入力される撮像手段3の回転角を示す信号に基づいて、撮像手段3の回転方向と逆方向に当該撮像手段3の回転角と略等しい角度で第1の操作手段23を回転させるべく、モータ41c、42b及び43bを制御する。本実施の形態の第1の制御手段26は、回転手段25に搭載されている。
第2の制御手段27は、第1の操作手段23から入力される操作信号に基づいて移動体本体2を前進又は後進させるべく、モータ8を制御する。本実施の形態の第2の制御手段27は、移動体本体2に搭載されている。
第3の制御手段28は、第2の操作手段24から入力させる操作信号に基づいて撮像手段3を制御したり、撮像手段3の撮像方向を制御するべくモータ9、10、11を制御したりする。本実施の形態の第3の制御手段28は、移動体本体2に搭載されている。
次に、本実施の形態の移動体の遠隔操作方向を説明する。先ず、移動体本体2を前進させながら、撮像手段3をヨー軸回りに回転させる場合を説明する。
図4は、水平に延在する案内部材に沿って走行する移動体が水平な路面を走行する自転車を撮像する様子を説明するための図であり、(a)は、自転車の走行状態を示し、(b)は、移動体本体及び撮像手段の状態を示し、(c)は、表示手段の画面に表示される画像を示し、(d)は、第1の操作手段の状態を示す。
なお、初期状態では、移動体本体2の走行方向と撮像手段3の撮像方向とは一致しており、撮像手段3の撮像方向は、当該撮像手段3が水平状態で移動体本体2の前側を映し出す状態を前提とする。また、初期状態では、第1の操作手段23は未だに回転手段25によって回転していない状態であって、第1の操作手段23の前側と回転手段25の前側とは一致していることを前提とする。
先ず、撮像手段3から画像を取得するべく、操作者が第2の操作手段24を操作すると当該第2の操作手段24から操作信号が第3の制御手段28に出力され、第3の制御手段28は、入力される操作信号に基づいて撮像手段3に画像の取得を開始させる。これにより、撮像手段3で取得された画像は、表示手段22の画面に表示される。
次に、移動体本体2を前進させて自転車に並走させるべく、操作者は、表示手段22の画面に表示される画像を見つつ、第1の操作手段23のジョイスティック23aを前側に傾動させる。これにより、第1の操作手段23から操作信号が第2の制御手段27に出力され、第2の制御手段27は、入力された操作信号に基づいてモータ8を制御する。その結果、移動体本体2は、案内部材4に沿って前進する。このとき、未だ移動体本体2の走行方向と撮像手段3の撮像方向とは一致しているため、表示手段22の画面に表示される画像は、移動体本体2の水平前側を映し出している。
ここで、ジョイスティック23aの傾動角度が移動体本体2の走行方向及び走行速度に関連付けられており、第2の制御手段27は、第1の操作手段23から入力されるジョイスティック23aの傾動角度を示す信号に基づいて、モータ8の角速度を示す制御信号を生成し、生成した制御信号を電気信号に変換してモータ8を制御する。
次に、移動体1に対して左側で並走する自転車を撮像するために、移動体1の上側から見て撮像手段3をヨー軸回りで反時計回り(即ち、左側)に回転させるべく、操作者が第2の操作手段24を操作すると当該第2の操作手段24から操作信号が第3の制御手段28に出力される。第3の制御手段28は、入力される操作信号に基づいてモータ9を制御する。
これにより、移動体1の上側から見て撮像手段3がヨー軸回りで反時計回りに回転して自転車を含む画像を取得し、画像信号を表示手段22に出力する。表示手段22は、入力された画像信号を変換して、図4(c)に示すような画面上で略水平に走行する自転車を含む画像を表示する。ちなみに、図4(c)では、移動体本体2の走行方向を二点鎖線で示している。
このとき、操作者が画像を見つつジョイスティック23aを前側に傾動させても、画面上では移動体本体2が水平右側に移動しているように表示されることになり、ジョイスティック23aの操作方向と画面上での移動体本体2の走行方向とがずれることになる。
移動体1の上側から見て撮像手段3がヨー軸回りで反時計回りに回転すると、第1の検出部31は、撮像手段3のヨー軸回りの回転角(本実施の形態では、反時計回りの回転角であって90°)を示す信号を第1の制御手段26に出力する。第1の制御手段26は、入力される撮像手段3の回転角を示す信号に基づいて、図4(d)に示すように、撮像手段3のヨー軸回りの回転方向と逆方向に当該撮像手段3の回転角と略等しい角度(本実施の形態では時計回り(即ち右側)に90°)で第1の操作手段23を回転させるべく、モータ41cを制御する。
これにより、第1の操作手段23の上側から見て当該第1の操作手段23がヨー軸回りで時計回りに90°回転し、つまり、第1の操作手段23の前側がヨー軸回りで時計回りに90°回転することになり、ジョイスティック23aを操作者が右側に傾動させると、移動体本体2が前進する。そのため、画面上での移動体本体2の走行姿勢と第1の操作手段23の操作姿勢とを略一致させることができる。
次に、移動体本体2を前進させながら、撮像手段3をヨー軸回り及びロール軸回りに回転させる場合を説明する。図5は、走行方向に低くなる案内部材に沿って走行する移動体本体が水平な路面を走行する自転車を撮像する様子を説明するための図であり、(a)は、自転車の走行状態を示し、(b)は移動体本体及び撮像手段の状態を示し、(c)は、表示手段に表示される画像を示し、(d)は、第1の操作手段の状態を示す。
なお、初期状態では、移動体本体2の走行方向と撮像手段3の撮像方向とは一致しており、撮像手段3の撮像方向は、当該撮像手段3が水平状態で移動体本体2の前側を映し出す状態を前提とする。また、初期状態では、第1の操作手段23は未だに回転手段25によって回転していない状態であって、第1の操作手段23の前側と回転手段25の前側とは一致していることを前提とする。但し、移動体本体2を自転車に並走させ、撮像手段3をヨー軸回りで反時計回りに90°回転させて自転車を撮像する流れまでは、既に説明しているので省略し、その後の流れについて説明する。
移動体本体2が走行方向に低くなる案内部材4に差し掛かり、移動体本体2が走行方向に低くなるように傾斜すると、同様に撮像手段3も移動体本体2の走行方向に低くなるように傾斜する。そこで、図5(b)に示すように、撮像手段3の水平状態を維持するために、移動体1の右側から見て当該撮像手段3をロール軸回りで反時計回り(即ち、後側)に回転させるべく、操作者が第2の操作手段24を操作すると当該第2の操作手段24から操作信号が第3の制御手段28に出力される。第3の制御手段28は、入力される操作信号に基づいてモータ10を制御する。
これにより、移動体1の右側から見て撮像手段3がロール軸回りで反時計回りに回転して水平状態になり、図5(a)に示すように略水平に走行する自転車を含む画像を取得し、画像信号を表示手段22に出力する。表示手段22は、入力された画像信号を変換して、図5(c)に示すような画面上では略水平に走行する自転車を含む画像を表示する。ちなみに、図5(c)では、移動体本体2の走行方向を二点鎖線で示している。
このとき、図4(d)のように第1の操作手段23をヨー軸回りで反時計回りに回転させただけでは、操作者が画像を見つつジョイスティック23aを当該操作者の右側に傾動させても、画面上での移動体本体2は右斜め下側に向かって走行することになり、画面上での移動体本体2の走行姿勢とジョイスティック23aの操作姿勢とが一致しないことになる。
移動体1の右側から見て撮像手段3がロール軸回りで反時計回りに回転すると、第2の検出部32は、撮像手段3のロール軸回りの回転角を示す信号を第1の制御手段26に出力する。第1の制御手段26は、入力される撮像手段3の回転角を示す信号に基づいて、図5(d)に示すように、図4(d)に示す撮像手段3の状態からさらに撮像手段3のロール軸回りの回転方向と逆方向に当該撮像手段3の回転角と略等しい角度で第1の操作手段23を回転させるべく、モータ42bを制御する。
これにより、第1の操作手段23は、第1の操作手段23の上側から見てヨー軸回りで時計回りに90°回転し、さらに第1の操作手段23の右側から見てロール軸回りで時計回り(即ち、前側)に撮像手段3の回転角と略等しい角度で回転する。つまり、第1の操作手段23の前側が操作者の右斜め下側に向かって傾斜するように配置されることになり、ジョイスティック23aを操作者が右斜め下側に傾動させると、移動体本体2が前進する。そのため、画面上での移動体本体2の走行姿勢と第1の操作手段23の操作姿勢とを略一致させることができる。
次に、移動体本体2を前進させながら、撮像手段3をヨー軸回り及びロール軸回りに回転させる異なる場合を説明する。図6は、水平に延在する案内部材に沿って走行する移動体本体が水平な路面を走行する自転車を撮像する様子を説明するための図であり、(a)は、自転車の走行状態を示し、(b)は移動体本体及び撮像手段の状態を示し、(c)は、表示手段に表示される画像を示し、(d)は、第1の操作手段の状態を示す。
なお、初期状態では、移動体本体2の走行方向と撮像手段3の撮像方向とは一致しており、撮像手段3の撮像方向は、当該撮像手段3が水平状態で移動体本体2の前側を映し出す状態を前提とする。また、初期状態では、第1の操作手段23は未だに回転手段25によって回転していない状態であって、第1の操作手段23の前側と回転手段25の前側とは一致していることを前提とする。但し、移動体本体2を自転車に並走させ、撮像手段3をヨー軸回りで反時計回りに90°回転させて自転車を撮像する流れまでは、既に説明しているので省略し、その後の流れについて説明する。
図6(b)に示すように、移動体本体2の走行方向に高くなるように撮像手段3を傾けるべく、操作者が第2の操作手段24を操作すると当該第2の操作手段24から操作信号が第3の制御手段28に出力される。第3の制御手段28は、入力される操作信号に基づいてモータ10を制御する。
これにより、移動体1の右側から見て撮像手段3がロール軸回りで反時計回り(即ち、後側)に回転して、図6(a)に示すように略水平に走行する自転車を含む画像を取得し、画像信号を表示手段22に出力する。表示手段22は、入力された画像信号を変換して、図6(c)に示すような画面上で右斜め下側に向かって走行する自転車を含む画像を表示する。ちなみに、図6(c)では、移動体本体2の走行方向を二点鎖線で示している。
このとき、図4(d)のように第1の操作手段23をヨー軸回りで反時計回りに回転させただけでは、操作者が画像を見つつジョイスティック23aを当該操作者の右側に傾動させても、画面上では移動体本体2が右斜め下側に向かって移動することになり、画面上での移動体本体2の走行姿勢とジョイスティック23aの傾動姿勢とが一致しないことになる。
移動体1の右側から見て撮像手段3がロール軸回りで反時計回りに回転すると、第2の検出部32は、撮像手段3のロール軸回りの回転角を示す信号を第1の制御手段26に出力する。第1の制御手段26は、入力される撮像手段3の回転角を示す信号に基づいて、図6(d)に示すように、図4(d)に示す撮像手段3の状態からさらに撮像手段3のロール軸回りの回転方向と逆方向に当該撮像手段3の回転角と略等しい角度で第1の操作手段23を回転させるべく、モータ42bを制御する。
これにより、第1の操作手段23は、第1の操作手段23の上側から見てヨー軸回りで時計回りに90°回転し、さらに第1の操作手段23の右側から見てロール軸回りで時計回り(即ち、前側)に撮像手段3の回転角と略等しい角度で回転する。つまり、第1の操作手段23の前側が操作者の右斜め下側に向かって傾斜するように配置されることになり、ジョイスティック23aを操作者が右斜め下側に傾動させると、移動体本体2が前進する。そのため、画面上での移動体本体2の走行姿勢と第1の操作手段23の操作姿勢とを略一致させることができる。
次に、移動体本体2を前進させながら、撮像手段3をピッチ軸回りに回転させる場合を説明する。図7は、水平に延在する案内部材に沿って走行する移動体本体が当該移動体本体の走行方向に配置された建造物を撮像する場合における建造物と移動体本体及び撮像手段との関係を示す図である。図8は、走行方向に低くなる案内部材に沿って走行する移動体本体が当該移動体本体の走行方向に配置された建造物を撮像する様子を説明するための図であり、(a)は、建造物と移動体本体及び撮像手段との関係を示し、(b)は、表示手段に表示される画像を示し、(c)は、第1の操作手段の状態を示す。
図7に示すように、撮像手段3を略水平に維持した状態で略水平に延在する案内部材4に沿って移動体本体2が走行して当該移動体本体2の走行方向に配置された建造物を撮像している際に、案内部材4が移動体本体2の走行方向に低くなると、移動体本体部2が走行方向に低い姿勢となり、同様に撮像手段3も移動体本体2の走行方向に低くなるように傾斜する。
そこで、図8(a)に示すように、撮像手段3の水平状態を維持するために、移動体1の左側からみて撮像手段3をピッチ軸回りで時計回り(即ち、後側)に回転させるべく、操作者が第2の操作手段24を操作すると当該第2の操作手段24から操作信号が第3の制御手段28に出力される。第3の制御手段28は、入力される操作信号に基づいてモータ11を制御する。
これにより、移動体1の左側から見て撮像手段3がピッチ軸回りで時計回りに回転して水平状態になり、移動体本体2の走行方向に配置された建造物を含む画像を取得し、画像信号を表示手段22に出力する。表示手段22は、入力された画像信号を変換して、図8(b)に示すように画面内で略上下方向に立ち上がる建造物を含む画像を表示する。ちなみに、図8(b)では、移動体本体2の走行方向を二点鎖線で示している。
このとき、操作者が画像を見つつジョイスティック23aを操作者が前側に傾動させても、表示手段22の画面上では移動体本体2が当該画面の奥行方向に下るように移動することになり、画面上での移動体本体2の走行姿勢とジョイスティック23aの操作姿勢とが一致しないことになる。
移動体1の左側から見て撮像手段3がピッチ軸回りで時計回りに回転すると、第3の検出部33は、撮像手段3のピッチ軸回りの回転角を示す信号を第1の制御手段26に出力する。第1の制御手段26は、入力される撮像手段3の回転角を示す信号に基づいて、図8(c)に示すように、撮像手段3のピッチ軸回りの回転方向と逆方向に当該撮像手段3の回転角と略等しい角度で第1の操作手段23を回転させるべく、モータ43bを制御する。
これにより、第1の操作手段23は、第1の操作手段23の左側から見てピッチ軸回りで反時計回り(即ち、前側)に撮像手段3の回転角と略等しい角度で回転する。つまり、第1の操作手段23の前側は操作者の前斜め下側に向かって傾斜するように配置されることになり、ジョイスティック23aを操作者が前斜め下側に傾動させると、移動体本体2が前進する。そのため、画面上での移動体本体2の走行姿勢と第1の操作手段23の操作姿勢とを略一致させることができる。
次に、移動体本体2を前進させながら、撮像手段3をピッチ軸回りに回転させる異なる場合を説明する。図9は、水平に延在する案内部材に沿って走行する移動体本体が当該移動体本体の走行方向に配置された建造物を撮像する様子を説明するための図であり、(a)は、建造物と移動体本体及び撮像手段との関係を示し、(b)は、表示手段に表示される画像を示し、(c)は、第1の操作手段の状態を示す。
図9(a)に示すように、図7(a)に示す撮像手段3の水平状態から移動体本体2の走行方向に高くなるように当該撮像手段3を傾けるべく、操作者が第2の操作手段24を操作すると当該第2の操作手段24から操作信号が第3の制御手段28に出力され、第3の制御手段28は、入力される操作信号に基づいてモータ11を制御する。
これにより、移動体1の左側から見て撮像手段3がピッチ軸回りで時計回り(即ち、後側)に回転して、移動体本体2の走行方向に配置された建造物を含む画像を取得し、画像信号を表示手段22に出力する。表示手段22は、入力された画像信号を変換して、図9(b)に示すように画面上で略上下方向に立ち上がる建造物を含む画像を表示する。ちなみに、図9(b)では、移動体本体2の走行方向を二点鎖線で示している。
このとき、操作者が画像を見つつジョイスティック23aを前側に傾動させても、表示手段22の画面上では移動体本体2が当該画面の奥行方向に下るように移動することになり、画面上での移動体本体2の移動姿勢とジョイスティック23aの操作姿勢とが一致しないことになる。
移動体1の左側から見て撮像手段3がピッチ軸回りで時計回りに回転すると、第3の検出部33は、撮像手段3のピッチ軸回りの回転角を示す信号を第1の制御手段26に出力する。第1の制御手段26は、入力される撮像手段3の回転角を示す信号に基づいて、図9(c)に示すように、撮像手段3のピッチ軸回りの回転方向と逆方向に当該撮像手段3の回転角と略等しい角度で第1の操作手段23を回転させるべく、モータ43bを制御する。
これにより、第1の操作手段23は、第1の操作手段23の左側から見てピッチ軸回りで反時計回り(即ち、前側)に撮像手段3の回転角と略等しい角度で回転する。つまり、第1の操作手段23の前側は操作者の前斜め下側に向かって傾斜するように配置されることになり、ジョイスティック23aを操作者が前斜め下側に傾動させると、移動体本体2が前進する。そのため、画面上での移動体本体2の走行姿勢と第1の操作手段23の操作姿勢とを略一致させることができる。
このような移動体の遠隔操作装置及び遠隔操作方法、プログラムは、撮像手段3の回転角に基づいて、撮像手段3の回転方向と逆方向に当該撮像手段3の回転角と等しい角度で第1の操作手段23を回転させる。そのため、画面上での移動体本体2の走行姿勢と第1の操作手段23の操作姿勢とを略一致させることができ、移動体本体2の遠隔操作が容易になる。しかも、画面上での移動体本体2の走行姿勢と第1の操作手段23の操作姿勢とを略一致させることができるので、操作者は表示手段22の画面に集中して第1の操作手段23を操作できる。特に、本実施の形態の移動体1は、案内部材4に沿って移動するので、ジョイスティック23aを一軸方向に傾動させると移動体本体2を走行させることができ、表示手段22の画面により集中することができる。
<実施の形態2>
実施の形態1の第1の操作手段23は、ジョイスティック23aを用いているが、第1の操作手段が搭載された携帯端末であってもよい。図10は、本実施の形態の第1の操作手段が搭載された携帯端末を模式的に示す図である。
本実施の形態の携帯端末51は、図10に示すように、所謂スマートフォンなどの携帯端末であって、表示手段52を備えている。
表示手段52は、一般的な携帯端末の表示手段と同様に、液晶ディスプレイやタッチパネルなどが積層された構成であって、移動体本体2の操作の入力を操作者に促すために、第1の操作手段53が液晶ディスプレイに表示される。
第1の操作手段53は、例えば移動体本体2の走行方向が示された矢印であって、操作者が移動体本体2を前進させるための矢印部分に接触すると、タッチパネルから操作信号が携帯端末51の制御手段に入力される。そして、携帯端末51の制御手段は、無線通信を介して移動体本体2に搭載された第2の制御手段27に操作信号を出力する。
一方、操作者が移動体本体2を後進させるための矢印部分に接触すると、タッチパネルから操作信号が携帯端末51の制御手段に入力される。そして、携帯端末51の制御手段は、無線通信を介して移動体2に搭載された第2の制御手段27に制御信号を出力する。
ここで、第1の操作手段53は、実施の形態1と同様に撮像手段3のヨー軸回りの回転方向と逆方向に当該撮像手段3の回転角と略等しい角度で回転して液晶ディスプレイに表示される。これにより、本実施の形態でも、携帯端末51の画面内での移動体本体2の移動方向と第1の操作手段53の操作方向とを略一致させることができ、移動体本体の遠隔操作が容易になる。
ちなみに、携帯端末51の表示手段52に撮像手段3で取得した画像を第1の操作手段53と重畳させることが好ましい。これにより、図4(b)に示す移動体1の状態において当該移動体1と並走する図4(a)の自転車を撮像する場合、携帯端末51の表示手段52には、図11に示すように、一つの表示手段52に撮像手段3で取得した画像と第1の操作手段53とを重畳させることができ、操作者は手元に集中して移動体本体2を遠隔操作することができる。
本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。