JP6217439B2 - 電界強度情報記録装置、電界強度情報記録方法、及び電界強度情報記録プログラム - Google Patents

電界強度情報記録装置、電界強度情報記録方法、及び電界強度情報記録プログラム Download PDF

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Description

本発明は、電界強度情報記録装置、電界強度情報記録方法、及び電界強度情報記録プログラムに関する。
従来、エリア毎に現れる無線の電界強度の地理的分布を、端末の在圏エリアを推定するための特徴量として利用する無線在圏検知技術が知られている。例えば、所定エリア(例えば、部屋など)毎に、各無線アクセスポイントが送出した電波の受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)の地理的分布情報を記録した学習データを、データベースに予め作成しておく。端末が複数の無線アクセスポイントからの観測データを受信すると、受信した観測データと学習データとのマッチングにより、端末の位置するエリアを推定する。
特開2013−232805号公報 特開2009−198454号公報
予め学習データのデータベースを構築するためには、電波測定作業により測定し取得される電界強度の測定データが必要である。高精度で端末の位置するエリアを推定するためには、データベースにおいて、各エリア内領域で測定し得るRSSIベクトルのパターンが十分に記録されていることが望ましい。RSSIベクトルとは、ある地点で測定される複数の無線アクセスポイントからの電波の電界強度の集合情報である。
従来、高精度で端末の位置するエリアを推定する上で、測定すべき適切な測定データ量が不明であったため、電波測定作業に際しては、全エリアで一律に、確実に十分であろうと考えられる多量の測定データを測定していた。このため、電波測定作業においては、必要以上の測定データを取得してしまっており、電波測定作業に過度な負担が生じているという問題があった。
本発明は、1つの側面において、端末等の在圏検知を行うための、電波の電界強度の地理的分布情報を記録したデータベースを構築するに際し、データベースの精度を維持しつつ、電波測定作業の軽減を図ることを目的とする。
本実施例の一態様によれば、電界強度情報記録装置は、エリア毎に、無線送信機による電波の電界強度を算出する算出部と、エリア毎に、他エリアとの前記電界強度の相関を算出する算出部と、エリア毎に、前記電界強度の相関に基づき、自エリアを中心とした一定領域内において、自エリアと相関する電界強度のばらつき度合いを算出する算出部と、エリア毎に、前記電界強度のばらつき度合いに応じて、電界強度を測定する測定地点を決定する決定部と、エリア毎に、前記測定地点で測定された電界強度を記録する記録部とを有する。
また、上記課題を解決するための手段として、方法、プログラムとすることもできる。
本実施例の一態様によれば、電波測定作業の軽減を図ることができる。
在圏検知システムの全体構成例を示す図である。 DB構築サーバ40のハードウェア構成例を示す図である。 DB構築サーバ40の機能構成例を示す図である。 AP情報407aのデータ構成例を示す図である。 エリア情報407bのデータ構成例を示す図である。 学習データDB10を構築するための情報処理を示す全体フローチャートである。 グリッド分割の一例を示す図である。 RSSI分布の一例を示す図である。 RSSIベクトル相関分布の一例を示す図である。 エントロピー算出の一例を示す図である。 エントロピー分布の一例を示す図である。 学習データDB10のデータ例を示す図である。
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
<システム構成例>
図1は、本実施例における在圏検知システムの全体構成例を示す図である。図1に示されるように、本実施例における在圏検知システムは、無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイント(AP:Access Point)1〜3、電波の電界強度の地理的分布情報を記録した学習データDB10、移動端末30の位置を特定する位置特定サーバ20、何れかのエリア内に位置する移動端末30、DB構築サーバ40を有する。
位置特定サーバ20とAP1〜3とは、有線又は無線ネットワークを介して通信可能に接続され、AP1〜3と移動端末30とは無線ネットワークを介して通信可能に接続される。
まず、図1に示される位置特定システムにおいては、全体エリアは、例えば、各々のエリアA〜Cからなる。移動端末30は、エリアA〜Cの何れかのエリア内に位置する。各々のエリアA〜Cは、例えば、各々の部屋、会社等の本支店、又は事業所などでありうる。但し屋内外かは必ずしも問わない。
学習データDB10は、事前の電波測定作業により、エリアA〜C毎において各AP1〜3が送出した電波の受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)を測定し取得することで、取得されたRSSIのRSSIベクトルと、そのRSSIが取得されたエリア位置情報とを対応付けて記録した学習データのデータベースである。RSSIは、受信した電波の強度を示す指標である。APからの送出電力ではなく、測定地点における計測端末で受信した電波の強度を示す。従って、APと測定地点間の距離が大きくなると、その分RSSIは弱くなる。
位置特定サーバ20は、移動端末30により観測された電波のRSSIを取得すると、取得したRSSIのRSSIベクトルと学習データとを照合(マッチング)することで、移動端末30がエリアA〜Cの何れかのエリア内に位置しているのかを特定する。
なお、位置特定サーバ20と移動端末30は、それぞれ別装置として説明したが、この他にも、例えば、移動端末30が位置特定サーバ20の機能を有するように構成してもよい。この場合、移動端末30は、学習データを有しており、AP1〜3が送出した電波のRSSIを取得すると、取得したRSSIのRSSIベクトルと学習データとを照合することで、自端末がエリアA〜Cの何れかのエリア内に位置しているのかを特定する。
DB構築サーバ40は、電波の電界強度の地理的分布情報を記録した学習データDB10を構築するための装置である。学習データDB10を構築するためには、電波測定作業により測定し取得される電波の測定データが必要である。そして、高い精度で端末の位置するエリアを推定する上で、この学習データDB10においては、各エリアで測定し得るRSSIベクトルのパターンが十分に記録されていることが望ましい。RSSIベクトルとは、ある地点で測定される複数の無線アクセスポイントからの電波のRSSIの集合情報である。電波測定作業で測定された電波の測定データがDB構築サーバ40に入力されると、DB構築サーバ40は、電波の測定データに基づいて、学習データDB10を構築する。DB構築サーバ40については、再度詳しく後述する。
図2は、本実施例におけるDB構築サーバ40のハードウェア構成例を示す図である。DB構築サーバ40は、主に、CPU(Central Processing Unit)41、ROM(Read Only Memory)42、RAM(Random Access Memory)43、HDD(Hard Disk Drive)44、インターフェース45、入力装置46、表示装置47、通信装置48、及びドライブ49aを有する。
CPU41は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路から構成され、装置全体を制御する回路である。また、ROM42は、CPU41で実行される所定の制御プログラムを格納するメモリである。また、RAM43は、CPU41がROM42に格納された所定の制御プログラムを実行して各種の制御を行うときの作業領域として使用するメモリである。
HDD44は、汎用のOS(Operating System)、位置特定プログラムを含む各種プログラムや学習データなどを含む各種情報を格納する装置であり、不揮発性の記憶装置である。
インターフェース45は、外部機器と接続するためのインターフェースである。
入力装置46は、ユーザが各種入力操作を行うための装置である。入力装置46は、マウス、キーボード、表示装置47の表示画面上に重畳するように設けられたタッチパネルスイッチなどを含む。
表示装置47は、各種データを表示画面に表示する装置である。例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)などから構成される。
通信装置48は、ネットワークを介して外部機器との通信を行う装置である。有線ネットワークや無線ネットワークなど含む各種ネットワーク形態に応じた通信をサポートする。
ドライブ49aは、ドライブ49aに記憶媒体49bがセットされたとき、記憶媒体49b内に格納された各種データを読み取る装置である。
図3は、本実施例におけるDB構築サーバ40の機能構成例を示す図である。DB構築サーバ40は、主に、RSSIベクトル算出部401、RSSIベクトル相関算出部402、エントロピー算出部403、測定地点決定部404、測定データ入力部405、DB記録部406、記憶部407を有する。
RSSIベクトル算出部401は、全エリア領域を所定サイズのグリッド(格子)に分割し、AP情報407a及びエリア情報407bに基づいて、所定サイズのグリッド(格子)毎に、単数又は複数のAPによる電波のRSSI及びRSSIベクトルを、それぞれ算出する。なお、RSSIベクトル算出部401は、RSSIを実測するものではなく、APの位置情報及び送信出力情報を入力値とした電波伝搬理論式等を用いてRSSIを導出する。
RSSIベクトル相関算出部402は、RSSIベクトル算出部401により算出されたRSSIベクトルを用いて、グリッド毎に、他グリッドとのRSSIベクトルの相関(類似)する度合いを示すRSSIベクトル相関値(相関度)を算出する。相関値は類似値(類似度)ともいえる。
エントロピー算出部403は、RSSIベクトル相関算出部402により算出された相関値を用いて、グリッド毎に、RSSIベクトルのエントロピーを算出する。RSSIベクトルのエントロピーとは、一般に「乱雑さ」を表す物理量という意味で用いられるが、本実施例において具体的には、自グリッドを中心とした一定面積の領域でみたときに、その領域内における類似するRSSIベクトルのばらつき度合い(乱雑度合い)を示す。例えば、RSSIベクトルのエントロピーが小さいということは、一定面積の領域内の複数地点でRSSIを測定した場合、領域内の広い範囲で類似するRSSI(RSSIベクトル)が測定されることを意味する。領域内の広い範囲で、類似するRSSIベクトルが分布しているともいえる。一方、例えば、RSSIベクトルのエントロピーが大きいということは、一定面積の領域内の複数地点でRSSIを測定した場合、領域内の広い範囲で類似するRSSI(RSSIベクトル)が測定されず、領域内のある狭小な範囲でのみ類似するRSSI(RSSIベクトル)が測定されることを意味する。領域内の広い範囲で、類似するRSSIが分布していないともいえる。この点、再度後述する。
測定地点決定部404は、電波測定作業に際し、エントロピーH(x,y)の値に応じて、測測定地点(測定地点の数)を決定する。例えば、エントロピーが小さいエリアでは、エントロピーが大きいエリアよりも、少ない測定地点で、RSSIの測定データを測定すればよい。エリア内で少し動いてグリッドを移動しても、そこで測定されるRSSIが似たり寄ったりでほとんど変わらないためである。このため、電波測定作業時、RSSIを測定する測定地点を間引きして測定するようにしても、十分に在圏検知の精度を保ちうる学習DB10を構築できる。一方、エントロピーが大きいエリアでは、それよりも多い測定地点で、RSSIの測定データを測定する必要がある。エリア内で少し動いて移動したグリッドで測定されるRSSIがグリッド毎で大きく変わってくるためである。このため、電波測定作業時、RSSIを測定する測定地点は、こまめにRSSIを測定するようにしなければ、十分に在圏検知の精度を保ちうる学習DB10を構築できない。
測定データ入力部405は、電波測定作業により測定されたRSSIの測定データを入力する。電波測定作業は、作業員により計測端末で行われる場合、測定データは計測端末から入力されうる。
DB記録部406は、測定データ入力部405により入力された測定データを、学習データDB10に記録する。具体的に、DB記録部406は、学習データDB10において、エリアA〜C毎において各AP1〜3が送出した電波のRSSIの測定データと、その測定データが取得されたエリア位置情報とを対応付けて記録する。
記憶部407は、例えば、AP情報407a、エリア情報407bなどの情報を記憶する。これら情報のデータ例については、具体例を挙げて後述する。
なお、上記機能部は、DB構築サーバ40を構成するコンピュータのCPU41、ROM42、RAM43等のハードウェア資源上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されるものである。また、これらの機能部は、「手段」、「モジュール」、「ユニット」、又は「回路」に読替えてもよい。
図4は、本実施例におけるAP情報407aのデータ構成例を示す図である。AP情報407aは、各APに関する既知情報であり、例えば、設置されている各APの「AP名」、「BSSID(Basic Service Set Identifier)」、「送信出力」、「設置位置」、「設置高度」、「備考」などの情報を有する。本実施例の場合、一例として、AP1〜3という合計3台のAPが設置される。
「BSSID」は、そのBSSIDを含む電波を発信したAPを識別する識別子で、例えば、APのMACアドレスと同じものである。なお、APを識別する識別子であればよく、例えば、SSIDでもよい。
「送信出力」は、APの送信出力を示す。「送信出力」が強いほど、遠くまでそのAPの電波が届く。
「設置位置」、「設置高度」は、APが設置されている場所や位置を示すもので、例えば、位置座標やその高度等で表現されうる。
「備考」は、例えば、APの設置されるフロアや部屋名等、APに関する備考情報である。
図5は、本実施例におけるエリア情報407bのデータ構成例を示す図である。エリア情報407bは、例えば、各エリアの「エリア名」、「所在位置」、「面積」などの情報を有する。また、エリア情報407bは、具体的なエリアの配置図などの地図情報を含んでもよい。本実施例の場合、一例としてエリアA〜Cという合計3つのエリアが存在する。
<情報処理>
図6は、本実施例における学習データDB10を構築するための情報処理を示す全体フローチャートである。以下、ステップ毎に詳しく説明する。
(S100のRSSIベクトル算出処理)
DB構築サーバ40のRSSIベクトル算出部401が実行するRSSIベクトル算出処理について説明する。
はじめに、エリア情報407bの「所在位置」に基づいて、全エリア範囲を所定のグリッド(格子)に分割する。
図7は、本実施例におけるグリッド分割の一例を示す図である。1グリッドのサイズは、RSSIが変化する様子が捉えられる間隔サイズであればよく、具体的には、50〜100cm程度あればよい。よって、図7の場合、例えば、全エリアを100cmのグリッドに分割するものとする。
RSSIベクトル算出にあたり、まず、グリッド毎に、各AP(例えば、AP1〜AP3)までの距離をそれぞれ個別に算出する。ある1つのグリッド(Gx,Gy)におけるAP#nまでの距離D(n,x,y)は、次の式により算出できる。
ここで、nはAP番号、x,yはグリッドの座標を経度緯度からメートルに変換した座標系の座標、zは移動端末の高度、xAPn,yAPnはAP#nの位置情報(AP情報407aの「設置位置」)を経度緯度からメートルに変換した座標系の座標、zAPnはAP#nの設置高度である。
次に、RSSIベクトルS(x,y)を算出する。RSSIベクトルS(x,y)は、次の式により算出できる。
ここで、TxPnはAP#nの送信電力(単位[dBm])、L(fc,N,Dn,x,y,Lf(nfn))はAP#nとグリッド(Gx, Gy)の間の電波伝搬損(単位[dB])を算出するための関数であり,ITU-Rの勧告式として一般に知られている数式である(参考文献,電波伝搬ハンドブック,リアライズ理工センター,ISBN4-89808-012-X C3055,p366(ITU-Rのモデル))。関数L(fc,N,D(n,x,y),Lf(nfn))の引数fcはAPが送出する電波の中心周波数(単位[MHz])、Nは距離減衰係数、D(n,x,y)は先の(式1)に算出したグリッドとAP間の距離、Lf(nfn)は床透過損(単位[dB])である。
(式2)によってグリッド毎に算出されたRSSIベクトルの要素を真値に変換し(単位を[mW]に変換)した上で、各グリッドのRSSIベクトルとして、一時メモリ(例えば、RAM43)等に格納する。
以上のように、全エリアをグリッドに分割し、グリッド単位で、全APが送出する電波のRSSIを要素とするRSSIベクトルを算出する。なお、RSSIベクトルの要素数はAPの数nに等しい。例えば、AP1〜AP3という3つのAPが存在する場合、グリッド(Gx,Gy)におけるRSSIベクトルS(x,y)(s1,x,y,s2,x,y,s3,x,y)である。
図8は、本実施例におけるRSSI分布の一例を示す図である。図7に示されるように、例えば、AP1の設置位置を中心とし放射状に、AP1のRSSIが受信されるグリッド領域が広がっている。また、AP1から距離が離れるほど、電界強度(RSSIベクトル上、AP1の要素値)は弱くなる。このRSSIの電界強度を濃淡で表現した。また、例えば、AP1とAP2のRSSIが同時に受信されるグリッドも存在する。なお、このようなグリッドでは、AP3のRSSIは受信されないため、RSSIベクトル上、AP3の要素値は0である。
(S200のRSSIベクトル相関算出処理)
DB構築サーバ40のRSSIベクトル相関算出部402が実行するRSSIベクトル相関算出処理について説明する。
RSSIベクトル相関算出処理では、S100で算出したRSSIベクトルを用いて、ある1つのグリッドと、そのグリッド以外の全グリッドとの間のRSSIベクトル相関値を、1つ1つ総当たりで算出する。RSSIベクトル相関値は、あるグリッドのRSSIベクトルが他のグリッドのRSSIベクトルとどの位相関しているか(類似しているか)を示す指標である。RSSIベクトルS(x,y)は、次の式により算出できる。
(式3)は、2つのRSSIベクトルが成す角の余弦を算出する式に等しい。また、RSSIベクトルの値は真値、即ち正の実数なので、(式3)の算出結果値は、0〜1の間の値を取る。RSSIベクトル相関値が0の場合、あるグリッドのRSSIベクトルと、もう1つ別のグリッドのRSSIベクトルとは、全く相関していない(完全非類似)ことを意味する。これに対し、RSSIベクトル相関値が1の場合、完全に相関している(完全類似=同一)ことを意味する。1に近いほど、高相関である。
(式3)によって算出されRSSIベクトル相関値を、各グリッドのRSSIベクトル相関値として、一時メモリ(例えば、RAM43)等に格納する。
図9は、本実施例におけるRSSIベクトル相関分布の一例を示す図である。図9に示されるように、ある1つのグリッドiと、そのグリッド以外の全グリッドとの間のRSSIベクトル相関値を算出し、算出したこの相関値を濃淡で表現した。
グリッドiからみると、自グリッドを中心として、距離が近いグリッド程、RSSIベクトル相関値が高くなっており、これは、近くのグリッド程、自グリッドと類似するRSSIベクトルが測定されることを意味する。一方、距離が遠いグリッド程、RSSIベクトル相関値が低くなっており、これは、遠くのグリッド程、自グリッドと類似しないRSSIベクトルが測定されることを意味する。
なお、図9はグリッドiについてのRSSIベクトル相関値の算出結果を示すに過ぎない。RSSIベクトル相関値は、全グリッドについて、そのグリッド以外の全グリッドとの間のRSSIベクトル相関値を、1つ1つ総当たりで算出するものである。よって、グリッドi以外の全グリッドについても、それぞれのRSSIベクトル相関値が算出されることになる。また、言い換えれば、全グリッド数分のRSSIベクトル相関値分布が作成されうる。
(S300のエントロピー算出処理)
DB構築サーバ40のエントロピー算出部403が実行するエントロピー算出処理について説明する。
エントロピー算出部403は、RSSIベクトル相関算出部402により算出された相関値を用いて、グリッド毎に、RSSIベクトルのエントロピーを算出する。
RSSIベクトルのエントロピーとは、自グリッドを中心とした一定面積の領域でみたときに、その領域内における類似するRSSIベクトルのばらつき度合い(乱雑度合い)を示す。例えば、RSSIベクトルのエントロピーが大きいということは、一定面積の領域内の複数地点でRSSIを測定した場合、領域内の広い範囲で類似するRSSI(RSSIベクトル)が測定されることを意味する。領域内の広い範囲で、類似するRSSIが分布しているともいえる。
一方、例えば、RSSIベクトルのエントロピーが小さいということは、一定面積の領域内の複数地点でRSSIを測定した場合、領域内の広い範囲で類似するRSSI(RSSIベクトル)が測定されず、領域内のある狭小な範囲でのみ類似するRSSI(RSSIベクトル)が測定されることを意味する。領域内の広い範囲で、類似するRSSIが分布していないともいえる。
本実施例では、所定の閾値(例えば、0.99)以上のRSSIベクトル相関値を持つグリッドのうち、自グリッドから最も遠いグリッドまでの距離Lmaxの逆数を、そのグリッドにおけるエントロピーH(x,y)と定義する。よって、グリッド(Gx,Gy)におけるのエントロピーH(x,y)は、次の式により算出できる。
ここで、所定の閾値とは、学習データDB10のRSSIベクトルとのパターンマッチングに基づいて在圏検知(移動端末30の位置を特定)を行う場合、自グリッドと間違えうるグリッドはどこまでかの線引きをするための閾値である。
そして、自グリッドと類似しているグリッドが遠くまであるほど(自グリッドと相関値が高いエリアが広いほど)、電波測定作業に際し、少し動いて、例えば、隣1mのグリッドに移動しても、そこで測定されるRSSIが似たり寄ったりでほとんど変わらない。つまり、少し程度の移動をしてRSSIの測定データを測定しても、類似するRSSIが測定される。このため、電波測定作業時、RSSIを測定する測定地点を間引きして、例えば、2m間隔でRSSIを測定するようにしても、十分に在圏検知の精度を保ちうる学習DB10を構築できる。
一方、自グリッドと類似しているグリッドが近くにしかないと(自グリッドと相関値が高いエリアが狭いほど)、電波測定作業に際し、少し動いて、例えば、隣1mのグリッドでも測定されるRSSIが大きく変わってくる。つまり、少し程度の移動をしてRSSIの測定データを測定すると、類似しない(異なる)RSSIが測定される。このため、電波測定作業時、RSSIを測定する測定地点は、例えば、1m間隔でこまめにRSSIを測定するようにしなければ、十分に在圏検知の精度を保ちうる学習DB10を構築できない。
従って、RSSIベクトルのエントロピーは、相関値が高いエリアが広いほど小さく、相関値が高いエリアが狭いほど大きいものとすることができる。
図10は、本実施例におけるエントロピー算出の一例を示す図である。RSSIベクトル相関分布から、閾値以上のRSSIベクトル相関値を持つグリッドは、閾値等高線の内側のグリッド領域iで示される。また、グリッドiから最も遠いグリッドzまでの距離Lmax
を特定し、その距離Lmaxの逆数が、グリッドiのエントロピーである。
図11は、本実施例におけるエントロピー分布の一例を示す図である。図8に示されるように、全グリッドのエントロピーを濃淡で表現した。APから近くのグリッド程、エントロピーH(x,y)の値が高い傾向にある。一方、APから遠くのグリッド程、エントロピーH(x,y)の値が低い傾向にある。
(S400の測定地点決定処理)
DB構築サーバ40の測定地点決定部404が実行する測定地点決定処理について説明する。
測定地点決定部404は、電波測定作業に際し、エントロピーH(x,y)の値に応じて、測測定地点数を決定する。例えば、エントロピーが小さいエリアでは、エントロピーが大きいエリアよりも、少ない測定地点で、RSSIの測定データを測定すればよい。エリア内で少し動いてグリッドを移動しても、そこで測定されるRSSIが似たり寄ったりでほとんど変わらないためである。このため、電波測定作業時、RSSIを測定する測定地点を間引きして測定するようにしても、十分に在圏検知の精度を保ちうる学習DB10を構築できる。
一方、エントロピーが大きいエリアでは、それよりも多い測定地点で、RSSIの測定データを測定する必要がある。エリア内で少し動いて移動したグリッドで測定されるRSSIがグリッド毎で大きく変わってくるためである。このため、電波測定作業時、RSSIを測定する測定地点は、こまめにRSSIを測定するようにしなければ、十分に在圏検知の精度を保ちうる学習DB10を構築できない。
再び図11を参照する。例えば、最もエントロピーが大きいエリア(グリッド領域A)では、エリア内の各グリッド1つ毎(1m毎)に1回づつ、RSSIの測定データを測定する。一方、例えば、エントロピーが中くらいのエリア(グリッド領域B)では、当該エリア内のグリッド2つ毎(2m毎)に1回の割合で、RSSIの測定データを測定すればよい。また一方、例えば、最もエントロピーが小さいエリア(グリッド領域C)では、当該エリア内のグリッド3つ毎(3m毎)に1回の割合で、RSSIの測定データを測定すればよい。これにより、最もエントロピーが大きいエリア(グリッド領域A)と比べ、エントロピーが小さいエリア(グリッド領域B、グリッド領域C)では、測定回数が減るので、電波測定作業が軽減される。また、測定回数が減るので、短時間で効率的に電波測定作業を実施できる。
以上のように、RSSIベクトルのエントロピーが小さいエリアでは、距離が離れても測定されるRSSIベクトルが相関(類似)していることが明らかになった。よって、エリア毎のRSSIベクトルのエントロピーの大小に依らず、全てのエリア一律に、最もエントロピーの大きなエリアレベルに合わせて電波測定作業を実施することは、RSSIベクトルのエントロピーが小さいエリアにおいて相関(類似)しているRSSIベクトルを何度も多数取得することとなり、電波測定作業において作業の無駄が生じる。一方、本実施例によれば、RSSIベクトルのエントロピーが小さいエリアでは、それほどこまかく測定しなくとも、学習データDB10としての精度を保てる。即ち、電波測定作業に際し、測定データの測定地点(測定回数)の削減、及び測定データのデータ量を削減することが可能である。これにより、電波測定作業が軽減される。
(S500のDB記録処理)
DB構築サーバ40のDB記録部406が実行するDB記録処理について説明する。
DB記録部406は、測定データ入力部405を介し、作業員の電波測定作業により測定されて入力された測定データを、学習データDB10に記録する。具体的に、DB記録部406は、学習データDB10において、エリアA〜C毎において各AP1〜3が送出した電波のRSSIの測定データと、その測定データが取得されたエリア位置情報とを対応付けて記録する。
図12は、本実施例における学習データDB10のデータ例を示す図である。特に、図12は、エリアAにおける学習データを示す。
エリアAにおける学習データは、例えば、エリアの「エリア名」、エリア内で測定された「RSSIベクトル」、「使用APのBSSID」などの情報を有する。
「エリア名」は、測定データ(RSSI)を取得したエリアの名称を示す。エリアの分だけ、エリア名が存在する。
「RSSIベクトル」は、複数のAPからエリア内で測定されたRSSIを要素とするベクトルである。受信電波の強さを示すRSSIはAPからの距離に反比例するが、エリア内においてはAPからの電波が微弱でも到達する限り値は小さくなるものの、そのAPのRSSIが受信される。本実施例の場合、測定地点決定処理により決定された測定地点(測定地点数N)に従って、エリア毎にN個のRSSIベクトルを取得する。
ここで、エントロピーが小さいエリアでは、エントロピーが大きいエリアよりも、測定地点数Nは少なくてよい。これに比べ、エントロピーが大きいエリアでは、それよりも多くの測定地点での測定が必要になるため、測定地点数Nが大きくなる。つまり、より多くの測定地点で測定データが測定される必要があるため、その分、測定すべきデータ量も多くなる。ゆえに、エントロピーの大小により、エリア毎で、「RSSIベクトル」に格納されるデータ量は異なってくる。
「使用APのBSSID」は、RSSIベクトルの要素と対応するAPの識別子である。本実施例では、0〜2の3次元RSSIベクトルなので、AP1〜AP3に対応する3種類のAPが定義されている。次元数は、3に限られず、AP数に応じればよい。
なお、DB記録処理により構築された学習データDB10は、位置特定サーバ20が、移動端末30のエリア(又は位置)を特定する際に使用される。エリアの特定(推定)は、例えば、パターンマッチング方式を用いて行うことができる。在圏検知の対象となるエリア毎のRSSI分布の境界面をSVM(Support vector machine)により推定し、移動端末30が実際に位置する観測地点で観測されたRSSIが、何れのエリアに位置する可能性が高いかを推定する。勿論、エリアを特定(推定)はパターンマッチング方式に限られず、例えば、確率分布方式などを用いることもできる。
以上のように、本実施例におけるDB構築サーバ40は、エリア(又はグリッド)毎に、RSSIベクトルのエントロピーを示す値を算出することで、RSSIベクトルのエントロピーが小さいエリア、及び、RSSIベクトルのエントロピーが大きいエリアを特定する。RSSIベクトルのエントロピーが小さいエリアでは、測定すべき測定データ量を少なくできるので、この結果、電波測定作業に際し、測定データの測定地点(測定回数)の削減、及び測定データのデータ量を削減することが可能である。これにより、学習データDB10の精度を維持しながらも、学習データDB10の構築に必要な電波測定作業が軽減される。
本発明は、具体的に開示された実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
以上の実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
エリア毎に、無線送信機による電波の電界強度を算出する算出部と、
エリア毎に、他エリアとの前記電界強度の相関を算出する算出部と、
エリア毎に、前記電界強度の相関に基づき、自エリアを中心とした一定領域内において、自エリアと相関する電界強度のばらつき度合いを算出する算出部と、
エリア毎に、前記電界強度のばらつき度合いに応じて、電界強度を測定する測定地点を決定する決定部と、
エリア毎に、前記測定地点で測定された電界強度を記録する記録部と、
を有することを特徴とする電界強度情報記録装置。
(付記2)
前記決定部は、
前記ばらつき度合いが小さいエリアでは、前記ばらつき度合いが大きいエリアよりも、少ない測定地点を決定すること、
を特徴とする付記1記載の電界強度情報記録装置。
(付記3)
前記記録部は、
前記ばらつき度合いが小さいエリアでは、前記ばらつき度合いが大きいエリアよりも、少ないデータ量の電界強度を記録すること、
を特徴とする付記2記載の電界強度情報記録装置。
(付記4)
前記ばらつき度合いは、
自エリアと前記電界強度の相関が高いエリアが広いほど小さく、
自エリアと前記電界強度の相関が高いエリアが狭いほど大きいこと、
を特徴とする付記1ないし3何れか一に記載の電界強度情報記録装置。
(付記5)
エリア毎に、無線送信機による電波の電界強度を算出する算出部と、
エリア毎に、他エリアとの前記電界強度の相関を算出する算出部と、
エリア毎に、前記電界強度の相関に基づき、自エリアを中心とした一定領域内において、自エリアと相関する電界強度のばらつき度合いを算出する算出部と、
エリア毎に、前記電界強度のばらつき度合いに応じて、電界強度を測定する測定地点を決定する決定部と、
を有することを特徴とする測定地点決定装置。
(付記6)
コンピュータにより実行される電界強度情報記録方法であって、
エリア毎に、無線送信機による電波の電界強度を算出する処理と、
エリア毎に、他エリアとの前記電界強度の相関を算出する処理と、
エリア毎に、前記電界強度の相関に基づき、自エリアを中心とした一定領域内において、自エリアと相関する電界強度のばらつき度合いを算出する処理と、
エリア毎に、前記電界強度のばらつき度合いに応じて、電界強度を測定する測定地点を決定する処理と、
エリア毎に、前記測定地点で測定された電界強度を記録する処理と、
を実行することを特徴とする電界強度情報記録方法。
(付記7)
コンピュータにより実行される電界強度の測定地点決定方法であって、
エリア毎に、無線送信機による電波の電界強度を算出する処理と、
エリア毎に、他エリアとの前記電界強度の相関を算出する処理と、
エリア毎に、前記電界強度の相関に基づき、自エリアを中心とした一定領域内において、自エリアと相関する電界強度のばらつき度合いを算出する処理と、
エリア毎に、前記電界強度のばらつき度合いに応じて、電界強度を測定する測定地点を決定する処理と、
を実行することを特徴とする測定地点決定方法。
(付記8)
エリア毎に、無線送信機による電波の電界強度を算出し、
エリア毎に、他エリアとの前記電界強度の相関を算出し、
エリア毎に、前記電界強度の相関に基づき、自エリアを中心とした一定領域内において、自エリアと相関する電界強度のばらつき度合いを算出し、
エリア毎に、前記電界強度のばらつき度合いに応じて、電界強度を測定する測定地点を決定し、
エリア毎に、前記測定地点で測定された電界強度を記録する処理を、コンピュータに実行させる電界強度情報記録プログラム。
(付記9)
エリア毎に、無線送信機による電波の電界強度を算出し、
エリア毎に、他エリアとの前記電界強度の相関を算出し、
エリア毎に、前記電界強度の相関に基づき、自エリアを中心とした一定領域内において、自エリアと相関する電界強度のばらつき度合いを算出し、
エリア毎に、前記電界強度のばらつき度合いに応じて、電界強度を測定する測定地点を決定する処理を、コンピュータに実行させる測定地点決定プログラム。
1〜3 アクセスポイント
10 学習データDB
20 位置特定サーバ
30 移動端末
41 CPU
42 ROM
43 RAM
44 HDD
45 インターフェース
46 入力装置
47 表示装置
48 通信装置
49a ドライブ
49b 記憶媒体
401 RSSIベクトル算出部
402 RSSIベクトル相関算出部
403 エントロピー算出部
404 測定地点決定部
405 測定データ入力部
406 DB記録部
407 記憶部

Claims (5)

  1. エリア毎に、無線送信機による電波の電界強度を算出する算出部と、
    エリア毎に、他エリアとの前記電界強度の相関を算出する算出部と、
    エリア毎に、前記電界強度の相関に基づき、自エリアを中心とした一定領域内において、自エリアと相関する電界強度のばらつき度合いを算出する算出部と、
    エリア毎に、前記電界強度のばらつき度合いに応じて、電界強度を測定する測定地点を決定する決定部と、
    エリア毎に、前記測定地点で測定された電界強度を記録する記録部と、
    を有することを特徴とする電界強度情報記録装置。
  2. 前記決定部は、
    前記ばらつき度合いが小さいエリアでは、前記ばらつき度合いが大きいエリアよりも、少ない測定地点を決定すること、
    を特徴とする請求項1記載の電界強度情報記録装置。
  3. 前記ばらつき度合いは、
    自エリアと前記電界強度の相関が高いエリアが広いほど小さく、
    自エリアと前記電界強度の相関が高いエリアが狭いほど大きいこと、
    を特徴とする請求項1又は2に記載の電界強度情報記録装置。
  4. コンピュータにより実行される電界強度情報記録方法であって、
    エリア毎に、無線送信機による電波の電界強度を算出する処理と、
    エリア毎に、他エリアとの前記電界強度の相関を算出する処理と、
    エリア毎に、前記電界強度の相関に基づき、自エリアを中心とした一定領域内において、自エリアと相関する電界強度のばらつき度合いを算出する処理と、
    エリア毎に、前記電界強度のばらつき度合いに応じて、電界強度を測定する測定地点を決定する処理と、
    エリア毎に、前記測定地点で測定された電界強度を記録する処理と、
    を実行することを特徴とする電界強度情報記録方法。
  5. エリア毎に、無線送信機による電波の電界強度を算出し、
    エリア毎に、他エリアとの前記電界強度の相関を算出し、
    エリア毎に、前記電界強度の相関に基づき、自エリアを中心とした一定領域内において、自エリアと相関する電界強度のばらつき度合いを算出し、
    エリア毎に、前記電界強度のばらつき度合いに応じて、電界強度を測定する測定地点を決定し、
    エリア毎に、前記測定地点で測定された電界強度を記録する処理を、コンピュータに実行させる電界強度情報記録プログラム。
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