ところで特許文献1に開示のような太陽パネルユニットを現地(所定の設置部)に設置する作業を行う場合、従来においては、以下のような手順で作業が行われていた。
まず、例えば工場等において、太陽パネルの背面部に軸部を介して架台を連結し、太陽パネルユニットを製造する。次いで、この太陽パネルユニットを現地へ移送し、太陽パネルユニットを設置部に固定する。なお、この架台には、例えば下端部にテーパ状の先端部が形成された杭が設けられる。このため、このような設置作業では、作業者が太陽パネルを支えた状態で、架台の下端部を地面等の設置部に差し込む。これにより、設置部に架台が固定され、この架台の上方に太陽パネルが支持されることになる。
このように、従来例の太陽パネルユニットでは、設置作業において、太陽パネルを持ち上げながら架台を設置する必要がある。このため、このような設置作業が繁雑となったり、設置作業の時間が長期化したりするという問題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、設置作業を簡単に行うことがえきる太陽パネルユニットを提供することである。
第1の発明は、パネル本体(30a)と、該パネル本体(30a)の背面に固定される桟部材(31)とを備えた太陽パネル(30)と、水平面に対して傾斜した中心軸(56)を中心に上記太陽パネル(30)を揺動可能に支持する支持機構(40)とを備えた太陽パネルユニットであって、上記太陽パネル(30)の桟部材(31)には、連結部材(32a,32b)が固定され、上記支持機構(40)は、架台(41)と、該架台(41)の上部に固定される受け部材(44a,44b)とを備え、上記連結部材(32a,32b)と受け部材(44a,44b)の一方に上記中心軸(56)を構成する挿入軸部(46)が設けられ、他方に該挿入軸部(46)が挿入される軸孔(35)が形成され、上記太陽パネル(30)は、上記挿入軸部(46)が上記軸孔(35)に挿入されることで、上記架台(41)の上方に取り付けられるように構成され、上記太陽パネル(30)は、上記中心軸(56)の軸方向に配列され、上記パネル本体(30a)の背面に固定される複数の上記桟部材(31)と、各桟部材(31)にそれぞれ固定される複数の上記連結部材(32a,32b)とを備え、上記支持機構(40)は、上記複数の連結部材(32a,32b)に対応して配置される複数の上記受け部材(44a,44b)を備えていることを特徴とする。
第1の発明では、架台(41)の上部に受け部材(44a,44b)が固定され、太陽パネル(30)の桟部材(31)に連結部材(32a,32b)が固定される。つまり、受け部材(44a,44b)が架台(41)と一体に構成され、連結部材(32a,32b)が太陽パネル(30)と一体に構成される。このため、太陽パネルユニットの設置作業では、太陽パネル(30)と架台(41)とを別体として取り扱うことができる。
この設置作業では、まず、架台(41)を所定の設置部に固定する。架台(41)は、太陽パネル(30)と別体に構成されるため、設置部に架台(41)に容易に固定することができる。次いで、架台(41)の上方に太陽パネル(30)を取り付ける。本発明では、連結部材(32a,32b)と受け部材(44a,44b)の一方には、太陽パネル(30)の揺動運転の中心軸(56)を構成する挿入軸部(46)が設けられ、他方にはこの挿入軸部(46)が挿入可能な軸孔(35)が形成される。このため、この挿入軸部(46)を軸孔(35)に挿入することで、太陽パネル(30)と架台(41)とが互いに連結される。
太陽パネル(30)を架台(41)の上方に取り付けた状態では、挿入軸部(46)が軸孔(35)に揺動可能に支持される。これにより、太陽パネル(30)は、挿入軸部(46)の軸心を中心として、架台(41)に揺動可能に支持される。
第1の発明では、太陽パネル(30)の背面に固定された複数の桟部材(31)にそれぞれ複数の連結部材(32a,32b)が固定される。一方、支持機構(40)には、複数の連結部材(32a,32b)に対応する位置に複数の受け部材(44a,44b)が配置される。各連結部材(32a,32b)と各受け部材(44a,44b)のうちの一方にそれぞれ設けられる挿入軸部(46)を、これらの他方にそれぞれ設けられる軸孔(35)に挿入することで、太陽パネル(30)が架台(41)の上方に支持される。つまり、太陽パネル(30)は、複数の挿入軸部(46)及び軸孔(35)を介して架台(41)に支持される。
第2の発明は、第1の発明において、上記挿入軸部(46)には、上記軸孔(35)の外縁部と当接し、上記連結部材(32a,32b)が下方へ移動するのを規制する当接部(46a)が設けられていることを特徴とする。
第2の発明では、挿入軸部(46)に当接部(46a)が設けられ、この当接部(46a)が軸孔(35)の外縁部と当接する。これにより、連結部材(32a,32b)と受け部材(44a,44b)のうち上方寄りに位置する連結部材(32a,32b)が、自重により下方へ移動することが当接部(46a)によって規制される。この結果、軸孔(35)の内部において、挿入軸部(46)の位置が軸方向にずれてしまうことが防止される。
第3の発明は、第1の発明において、上記複数の連結部材(32a,32b)は、上記パネル本体(30a)における中心軸(56)の軸線と直交する一対の側面(30c,30d)よりも該パネル本体(30a)の中心寄りに配置されることを特徴とする。
第3の発明では、複数の連結部材(32a,32b)をパネル本体(30a)の中心寄りに配置することで、これらの連結部材(32a,32b)間の中心軸(56)の軸線方向の距離が短くなる。これに応じて複数の受け部材(44a,44b)間の中心軸(56)の軸線方向の距離も短くなる。この結果、複数の受け部材(44a,44b)が固定される架台(41)を、中心軸(56)の軸線方向において小型化できる。
第4の発明は、第1乃至第3のいずれか1つの発明において、上記架台(41)は、支柱部材(42)と、該支柱部材(42)の上部に着脱自在に取り付けられるとともに上記受け部材(44a,44b)が固定される支持部材(43)とを備えていることを特徴とする。
第4の発明の架台(41)では、支柱部材(42)に対して支持部材(43)を取り外すことができる。このため、太陽パネルユニットの設置作業では、支持部材(43)とは別体の支柱部材(42)を設置部に固定してから、支持部材(43)を支柱部材(42)に取り付けることができる。
第5の発明は、第4の発明において、上記支柱部材(42)及び支持部材(43)の一方には、他方に向かって突出する突出部(48)が設けられ、上記支柱部材(42)及び支持部材(43)の他方には、上記突出部(48)が挿入される挿入部(42a)が設けられることを特徴とする。
第5の発明では、突出部(48)を挿入部(42a)に挿入することで、支柱部材(42)の上部に支柱部材(42)が連結される。架台(41)の上方に太陽パネル(30)が取り付けられた状態では、太陽パネル(30)及び支持部材(43)の自重により、突出部(48)と挿入部(42a)とが強固に係合する。
本発明によれば、太陽パネル(30)及び架台(41)を別体に構成し、連結部材(32a,32b)と受け部材(44a,44b)の一方に挿入軸部(46)を設け、他方に挿入軸部(46)が挿入される軸孔(35)を形成している。このため、まず、太陽パネル(30)とは別体の架台(41)だけを設置部に設置すればよいため、これらが一体となる構成と比べて、設置部に架台を容易に設置できる。また、架台(41)には、太陽パネル(30)だけを取り付ければよいため、太陽パネル(30)の取り付け作業も容易である。つまり、本発明では、大重量の部材を扱うことなく、太陽パネルユニットの設置作業を行うことができる。従って、作業者の作業負荷を軽減でき、この設置作業を容易且つ短期間で行うことができる。
また、本発明によれば、太陽パネル(30)を架台(41)に対して容易に着脱できる。このため、太陽パネル(30)の不良時等において、この太陽パネル(30)を新しい太陽パネル(30)と簡単に交換でき、メンテナンス性の向上を図ることができる。
また、本発明によれば、桟部材(31)に連結部材(32a,32b)を固定しているため、パネル本体(30a)が揺動する際にパネル本体(30a)に作用する応力を軽減でき、パネル本体(30a)の破損を回避できる。
第2の発明によれば、挿入軸部(46)に当接部(46a)を設け、この当接部(46a)によって連結部材(32a,32b)の下方への移動を規制している。このため、軸孔(35)に挿入された挿入軸部(46)の位置が軸方向にずれてしまうことを防止でき、太陽パネル(30)を安定して揺動させることができる。
第1の発明によれば、太陽パネル(30)が複数の挿入軸部(46)及び軸孔(35)を介して架台(41)に支持されるため、太陽パネル(30)を一層安定して揺動させることができる。
第3の発明によれば、複数の連結部材(32a,32b)を太陽パネル(30)の中心寄りに配置したため、太陽パネル(30)を支持する支持部材(43)を軸方向に小型化できる。
第4の発明によれば。支柱部材(42)と支持部材(43)をそれぞれ別体として扱いながら、架台(41)を組み立てることができる。このため、設置作業時に取り扱う部材の重量を更に軽減でき、設置作業を更に容易に行うことができる。
第5の発明では、比較的シンプルな構成において、第5の発明を実現できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
図1に示すように、太陽光発電システム(10)は、本実施形態に係る太陽パネルユニット(20a,20b)を複数備えて構成されている。なお、説明の便宜上、図1において、矢印Aが示す方向を前方、矢印Bが示す方向を後方、矢印Cが示す方向を右方、矢印Dが示す方向を左方とそれぞれ定める。
太陽光発電システム(10)は、該太陽光発電システム(10)を複数組み合わせることで大規模発電システムを構築することができるものである。なお、図示しないが、この太陽光発電システム(10)には、太陽パネルユニット(20a,20b)で発電した直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナが設けられている。
太陽光発電システム(10)は、1台の第1太陽パネルユニット(20a)と、その他の複数台(図1に示す例では4台)の第2太陽パネルユニット(20b)とを組み合わせて構成されている。各太陽パネルユニット(20a,20b)は、各々一枚の太陽パネル(30)を備え、この太陽パネル(30)の角度を太陽の位置に合わせて調節するようになっている。これらの複数台の太陽パネルユニット(20a,20b)は、左右方向(東西方向)に一列に並べて配置されている。
第1太陽パネルユニット(20a)には、太陽パネル(30)を揺動させて太陽パネル(30)の角度を変える駆動機構(50)と、各太陽パネルユニット(20a,20b)における太陽パネル(30)の揺動を同期させるように構成されたリンク機構(55)とが設けられている。第2太陽パネルユニット(20b)には、太陽パネル(30)を揺動させる駆動機構(50)は設けられず、各太陽パネルユニット(20a,20b)の太陽パネル(30)の揺動を同期させるように構成されたリンク機構(55)のみが設けられている。
第1太陽パネルユニット(20a)と各第2太陽パネルユニット(20b)とは、駆動機構(50)の有無を除いては実質的に同じように構成されている。具体的には、各太陽パネルユニット(20a,20b)は、太陽パネル(30)と、この太陽パネル(30)を揺動可能に支持する支持機構(40)とを備えている。
図2〜図4に示すように、支持機構(40)は、設置部に固定される架台(41)を有している。この架台(41)は、設置部に固定された支柱部材(42)と、この支柱部材(42)の上端部に設けられた支持部材(43)とから構成されている。支持部材(43)の上端部には、受け部材(44a,44b)が取り付けられている。
支柱部材(42)は上下方向に延びる角柱状の部材である。図5に示すように、支持部材(43)の下端部には、下方に向かって突出するテーパ部(47)が形成されている。つまり、本実施形態の支持部材(43)は、例えば設置部である地面(G)にテーパ部(47)を差し込むことで、この地面(G)に固定される杭で構成されている。支柱部材(42)の上端部における前後方向の両側面には、上下方向に延びる中空角筒状の筒状部(42a)が、上方に開口するように固定されている。筒状部(42a)は、支持部材(43)に形成された脚部(43a)の下端が嵌合する。つまり、筒状部(42a)は、脚部(43a)が挿入可能な空間を有する挿入部を構成している。
支持部材(43)は、一対の脚部(43a)と、一つの板状部(43b)とから構成されている。一対の脚部(43a)の下端部は、下方(即ち、支柱部材(42))に向かって突出する突出部(48)を構成している。突出部(48)は、筒状部(42a)の内部に嵌合することで、支柱部材(42)に支持される。一対の脚部(43a)は、各々の突出部(48)が筒状部(42a)に差し込まれた状態で、互いに前後方向に離間しながら上方に延びている。板状部(43b)は、これらの脚部(43a)の上端部に固定される。板状部(43b)は、その後端が前端よりも上方に位置するように斜めに傾斜している。板状部(43b)は、その縦断面が略U字状(略コの字状)となるように折り曲げられた部材であり、各脚部(43a)の上端部を覆うように下方に開口している。
図4に示すように、支持部材(43)は、支柱部材(42)に対して着脱可能である。支持部材(43)は、一対の脚部(43a)の突出部(48)を筒状部(42a)に差し込むことにより支柱部材(42)に取り付けられている。よって、支持部材(43)を持ち上げて各脚部(43a)を筒状部(42a)から抜き取ることにより、支持部材(43)を支柱部材(42)から取り外すことができる。
架台(41)の上端部、すなわち支持部材(43)の板状部(43b)の上面には、一対の受け部材(44a,44b)が設けられている。一対の受け部材(44a,44b)は、太陽パネル(30)に連結され、太陽パネル(30)の揺動運動の中心軸(56)を構成する。一対の受け部材(44a,44b)は、中心軸(56)の軸線方向に所定の間隔を置いて配列される。受け部材(44a,44b)はピン部材(44a,44b)で構成されている。ピン部材(44a,44b)は、パネル本体(30a)の前側面(30c)寄りに設けられた下部側のピン部材(44a)と、太陽パネル(30)の後側面(30d)寄りに設けられた上部側のピン部材(44b)とにより構成されている。下部側のピン部材(44a)は板状部(43b)の上面における前端部に設けられ、上部側のピン部材(44b)は板状部(43b)の上面における後端部に設けられている。
ピン部材(44a,44b)は、L字状に折り曲げられた棒状の部材で構成されている。具体的に、ピン部材(44a,44b)は、連結部(45)と挿入軸部(46)とから構成されている。連結部(45)は、細長い円柱状の部材であり、板状部(43b)の上面から該板状部(43b)の上面と垂直に上方に延びている。挿入軸部(46)は、細長い円柱状の部材であり、この連結部(45)の先端に連続して板状部(43b)と平行に後方に延びている。挿入軸部(46)の先端部近傍には、径方向外方へ突出する環状の鍔部(46a)が形成されている。鍔部(46a)は、後述する連結部材(32a)と接触することで、この連結部材(32a)が下方へ移動するのを規制する当接部(ストッパ)を構成している。挿入軸部(46)は、パネル本体(30a)の前側面(30c)側から後側面(30d)側に向かう方向に延びている。つまり、挿入軸部(46)は、水平面に対して斜めに傾斜した軸心を有する。挿入軸部(46)は、太陽パネル(30)の揺動運動の中心軸(56)を構成している。
図2および図3に示すように、太陽パネル(30)は、パネル本体(30a)と、パネル本体(30a)の背面に固定される複数(本実施形態の例では2つ)の桟部材(31)とを備えている。パネル本体(30a)は、上下に扁平な矩形板状に形成されている。パネル本体(30a)では、中心軸(56)の軸方向に直交する一方の側面が設置部に最も近い下端部(前側面(30c))となり、この前側面(30c)に対向する他方の側面が設置部から最も遠い上端部(後側面(30d))となるように傾斜して設けられている。パネル本体(30a)の表面は受光面(30b)を構成している。太陽パネル(30)は、太陽光を受光面(30b)で受けることによって直流電力を発生する。
2つの桟部材(31)は、パネル本体(30a)の背面に取り付けられている。これらの桟部材(31)は、中心軸(56)の軸方向に所定の間隔を介して配列される。2つの桟部材(31)のうち一方の桟部材(31)は、パネル本体(30a)前端と、パネル本体(30a)の前後方向の中間部の間に設けられている。2つの桟部材(31)のうち他方の桟部材(31)は、パネル本体(30a)の背面における後端と、パネル本体(30a)の前後方向の中間部の間に設けられている。桟部材(31)は、中心軸(56)と直交するように左右方向に延びる細長い角柱状の部材である。桟部材(31)は、その上面がパネル本体(30a)の背面に接合されている。桟部材(31)は、パネル本体(30a)の左右両端に亘って延びている。
各桟部材(31)の左右方向の中間部には、連結部材(32a,32b)がそれぞれ固定されている。連結部材(32a,32b)は、下部側および上部側のピン部材(44a,44b)に対応して下部側の連結部材(32a)および上部側の連結部材(32b)とにより構成されている。連結部材(32a,32b)は、上方に開口するコ字状に構成されている。連結部材(32a,32b)は、基端部(33)と先端部(34)とを有している。
各連結部材(32a,32b)は、パネル本体(30a)における中心軸(56)と直交する側面(即ち、前側面(30c)及び後側面(30d))よりもパネル本体(30a)の中心寄りに配置される。これにより、各連結部材(32a,32b)の間隔が比較的狭くなっている。上述した支持部材(43)の板状部(43b)は、その長手方向の両端がこれらの連結部材(32a,32b)に亘るように中心軸(56)の軸線方向に延びている。
基端部(33)は、桟部材(31)の後面(31c)から下面(31b)に亘って取り付けられる固定部(33)に形成されている。この固定部(33)は、桟部材(31)の後面(31c)に沿った縦壁部(33a)と、該縦壁部(33a)の下端部と連続しパネル本体(30a)の後側面(30d)側から前側面(30c)側に向かう方向に延びる横壁部(33b)とで構成される。先端部(34)は平板状の軸受部(34)に形成され、固定部(33)の先端(即ち、横壁部(33b)の前端部)から太陽パネル(30)に向かって上方に折り曲げられている。つまり、上記軸受部(34)は、桟部材(31)の下面(31b)よりもパネル本体(30a)側に延びている。軸受部(34)には、ピン部材(44a,44b)の挿入軸部(46)の外径よりも僅かに大きい内径を有する軸孔(35)が形成されている。これらの軸孔(35)は、軸受部(34)に形成された貫通孔に保持されたベアリング(図示省略)の内部に形成されている。つまり、このベアリングは、ピン部材(44a,44b)の挿入軸部(46)を揺動可能に支持する。
図2および図3に示すように、太陽パネル(30)は、下部側および上部側のピン部材(44a,44b)の挿入軸部(46)を、下部側および上部側の連結部材(32a,32b)の軸受部(34)に形成された軸孔(35)にそれぞれ挿入することにより、上記支持機構(40)に揺動可能に支持されている。各挿入軸部(46)は、パネル本体(30a)の後側面(30d)に向かって突出している。
パネル本体(30a)が支持機構(40)に支持された状態では、軸受部(34)の前面における軸孔(35)の外縁部が、挿入軸部(46)の当接部(46a)に当接する。これにより、連結部材(32a,32b)、ひいては太陽パネル(30)が下方に移動することが規制され、太陽パネル(30)の位置決めがなされている。軸孔(35)は、桟部材(31)の下面(31b)よりもパネル本体(30a)に近い位置にある軸受部(34)に形成されている。このため、挿入軸部(46)により構成される中心軸(56)とパネル本体(30a)の下面との間の距離が、桟部材(31)の下面(31b)とパネル本体(30a)の下面との間の距離よりも小さくなる。
図2に示すように、第1太陽パネルユニット(20a)には、駆動機構(50)が設けられている。この駆動機構(50)は、アクチュエータ(51)とプーリ(52)とワイヤ(53)と滑車(54)とを備えている。
アクチュエータ(51)は、上記支持部材(43)の板状部(43b)の下面に設けられている。アクチュエータ(51)は、太陽パネル(30)を揺動させるとともに所定角度に維持するものである。アクチュエータ(51)は、例えば、回転式の空気圧アクチュエータである。
アクチュエータ(51)は、板状部(43b)の下面に固定された本体(51a)と、この本体(51a)の上面の中央部から上方に延びる動力伝達軸(51b)とを備えている。動力伝達軸(51b)の先端には、円板状のプーリ(52)が取り付けられている。つまり、プーリ(52)は、動力伝達軸(51b)によって駆動されて回転する。プーリ(52)の周縁部には、2本のワイヤ(53)のそれぞれの一端が固定されている。これらのワイヤ(53)のそれぞれの他端は、アクチュエータ(51)よりも前側の板状部(43b)の上面に突設された滑車(54)を介して、下部側の連結部材(32a)の背面に固定されている。一方のワイヤ(53)の他端は、連結部材(32a)の後面における中心軸(56)よりも左側(図2で手前側)に固定されている。他方のワイヤ(53)の他端は、連結部材(32a)の後面における中心軸(56)よりも右側(図2で奥側)に固定されている。なお、ワイヤ(53)の他端が固定された部位と中心軸(56)との間の距離は、プーリ(52)の半径よりも小さく設定されている。従って、太陽パネル(30)の揺動角度は、アクチュエータ(51)の動力伝達軸(51b)の回転角度よりも大きくなる。
−運転動作−
本実施形態の太陽パネルユニット(20a,20b)で構成された太陽光発電システム(10)では、太陽光の方向に応じて太陽パネル(30)の角度が調節される。
この太陽光発電システム(10)では、例えば日射センサ(図示せず)が設けられ、太陽の方位が検出される。そして、太陽パネル(30)が太陽の方向を向くように、第1太陽パネルユニット(20a)のアクチュエータ(51)が制御される。
第1太陽パネルユニット(20a)のアクチュエータ(51)が駆動されることにより、動力伝達軸(51b)が回転する。その回転力がプーリ(52)およびワイヤ(53)を介して連結部材(32a)に伝わり、太陽パネル(30)は中心軸(56)を中心に揺動する。この揺動により、太陽パネル(30)は、その受光面(30b)が太陽の方角を向く角度に調節される。このとき、太陽光発電システム(10)における複数の第2太陽パネルユニット(20b)の太陽パネル(30)は、リンク機構(55)を介して、第1太陽パネルユニット(20a)の太陽パネル(30)と同じ角度に調節される。
−太陽パネルユニットの設置作業−
次いで、各太陽パネルユニット(20a,20b)を所定の設置部に設置する設置作業について図4を参照しながら説明する。なお、この例の太陽パネルユニット(20a,20b)は、設置部である地面(G)に設置される。
太陽パネルユニット(20a,20b)の設置作業の前には、工場等において、第1から第3までのユニット(U1,U2,U3)が製造される。第1ユニット(U1)は、上述した支柱部材(42)で構成される。第2ユニット(U2)は、上述した支持部材(43)で構成される。第3ユニット(U3)は、太陽パネル(30)と、該太陽パネル(30)の各桟部材(31)に固定される連結部材(32a,32b)とで構成される。これらのユニット(U1,U2,U3)は、それぞれ別体に構成されるため、各々の重量やサイズが小さくなる。従って、各ユニット(U1,U2,U3)を現地へ簡便に移送することができる。
太陽パネルユニット(20a,20b)の設置作業では、まず、第1のユニット(U1)である支柱部材(42)を設置部に固定する工程(第1の工程)が行われる。この第1の工程では、支柱部材(42)のテーパ部(47)を地面(G)に打ち付け、支柱部材(42)を鉛直な状態として設置部に固定する(図5を参照)。
第1の工程の後には、第2のユニット(U2)である支持部材(43)を支柱部材(42)に取り付ける工程(第2の工程)が行われる。この第2の工程では、支持部材(43)の脚部(43a)の下端部(突出部(48))を支柱部材(42)の筒状部(42a)の内部に挿入する。この結果、突出部(48)が筒状部(42a)の内部に嵌合し、支持部材(43)が支柱部材(42)の上方に支持される。
第2の工程の後には、第3のユニット(U3)(太陽パネル(30)及び受け部材(44a,44b))を支持部材(43)の上方に取り付ける工程(第3の工程)が行われる。つまり、第3の工程では、太陽パネル(30)が支持機構(40)の上方に支持されるように、第3ユニット(U3)が支持部材(43)に取り付けられる。この第3の工程では、第3ユニット(U3)の各連結部材(32a,32b)を、対応するピン部材(44a,44b)の斜め上方に位置させる。そして、各ピン部材(44a,44b)の挿入軸部(46)が対応する軸孔(35)の内部に挿入されるように、第3ユニット(U3)を中心軸(56)の軸線方向に沿って斜め下方にスライドさせる。軸孔(35)の内部で挿入軸部(46)を更にスライドさせると、受け部材(44a,44b)の後端部が挿入軸部(46)の当接部(46a)に接触する。これにより、受け部材(44a,44b)のこれ以上の下方への移動が規制されるとともに、受け部材(44a,44b)と連結部材(32a,32b)の相対的な位置が決定される。
このように、本実施形態の太陽パネルユニット(20a,20b)の設置作業では、3つの分割された各ユニット(U1,U2,U3)が順に組み立てられる。このため、各ユニット(U1,U2,U3)が軽量化され、上述した各工程の作業の負荷が軽減される。具体的には、例えばこれらのユニット(U1,U2,U3)が一体化されて構成される場合、比較的大きな重量の太陽パネルユニットを持ち上げながら、支柱部材(42)を地面(G)に打ち付ける必要があり、設置作業が繁雑となり、作業時間の長期化を招く。これに対し、本実施形態では、設置作業において、比較的軽量の各ユニット(U1,U2,U3)を取り扱うことになるので、設置作業が容易となり、作業時間の短縮化を図ることができる。
−実施形態の効果−
実施形態によれば、太陽パネル(30)及び架台(41)を別体に構成し、連結部材(32a,32b)と受け部材(44a,44b)の一方に挿入軸部(46)を設け、他方に挿入軸部(46)が挿入される軸孔(35)を形成している。このため、まず、太陽パネル(30)とは別体の架台(41)だけを設置部に設置すればよいため、これらが一体となる構成と比べて、架台(41)の支柱部材(42)を設置部に容易に設置できる。また、架台(41)には、太陽パネル(30)だけを取り付ければよいため、太陽パネル(30)の取り付け作業も容易である。つまり、本実施形態では、大重量の部材を扱うことなく、太陽パネルユニットの設置作業を行うことができる。従って、作業負荷を軽減でき、この設置作業を容易且つ短期間で行うことができる。
また、上記実施形態によれば、太陽パネル(30)を架台(41)に対して容易に着脱できる。このため、太陽パネル(30)の不良時等において、この太陽パネル(30)を新しい太陽パネル(30)と簡単に交換でき、メンテナンス性の向上を図ることができる。
また、上記実施形態によれば、桟部材(31)に連結部材(32a,32b)を固定しているため、パネル本体(30a)が揺動する際にパネル本体(30a)に作用する応力を軽減でき、パネル本体(30a)の破損を回避できる。
上記実施形態によれば、挿入軸部(46)に当接部(46a)を設け、この当接部(46a)によって連結部材(32a,32b)の下方への移動を規制している。このため、軸孔(35)に挿入された挿入軸部(46)の位置が軸方向にずれてしまうことを防止でき、太陽パネル(30)を安定して揺動させることができる。
上記実施形態によれば、太陽パネル(30)が複数の挿入軸部(46)及び軸孔(35)を介して架台(41)に支持されるため、太陽パネル(30)を一層安定して揺動させることができる。
上記実施形態によれば、複数の連結部材(32a,32b)をパネル本体(30a)の中心寄りに配置したため、各連結部材(32a,32b)を支持する板状部(43b)の長さが短くなり、支持部材(43)の小型化を図ることができる。
上記実施形態によれば、支柱部材(42)と支持部材(43)をそれぞれ別体としているため、支柱部材(42)を設置部に固定する作業が更に容易となる。
また、本実施形態の太陽パネルユニット(20a,20b)では、下部側および上部側のピン部材(44a,44b)によって構成される揺動の中心軸(56)が、桟部材(31)の下面(31b)よりもパネル本体(30a)に近い位置にある。つまり、中心軸(56)と太陽パネル(30)の重心とは互いに比較的近接している。よって、太陽パネル(30)の荷重によって中心軸(56)回りに生じるモーメントが小さくなるので、太陽パネル(30)を揺動させるための動力を低減できる。
−実施形態の変形例−
実施形態の太陽パネルユニット(20a,20b)では、図6に示すように、パネル本体(30a)の背面に設けられる桟部材(31)の位置を変更してもよい。
具体的に、図6に示す本変形例の太陽パネルユニット(20a,20b)では、パネル本体(30a)の背面における前後方向の両端部に桟部材(31)が設けられている。また、桟部材(31)に固定される連結部材(32a,32b)、及び連結部材(32a,32b)に連結されるピン部材(44a,44b)は、各桟部材(31)に対応する位置に設けられている。
《その他の実施形態》
上記各実施形態では、受け部材(44a,44b)がピン部材(44a,44b)で構成される一方、連結部材(32a,32b)に軸孔(35)が形成されているが、これに限らず、受け部材(44a,44b)に軸孔が形成される一方、連結部材(32a,32b)に挿入軸部を形成してもよい。
また、上記各実施形態では、支持部材(43)の下部に突出部(48)を設け、この突出部(48)を支柱部材(42)の筒状部(挿入部)に挿入することで、支柱部材(42)の上方に支持部材(43)を取り付けるようにしている。しかしながら、支柱部材(42)の上部に突出部を設け、突出部が挿入される挿入部を支持部材(43)の下部に設ける構成としてもよい。また、上記各実施形態では、支持部材(43)は支柱部材(42)に対して着脱可能であるが、これに限らず、作業性に影響がないならば、支持部材(43)は支柱部材(42)に固定されていてもよく、また、支持部材(43)と支柱部材(42)とは一体に形成されていてもよい。
また、上記各実施形態では、連結部材(32a,32b)と受け部材(44a,44b)とはそれぞれ2つ設けられているが、これに限らず、それぞれ3つ以上設けられていてもよい。