次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る中継機1の構成を示すブロック図である。図1を参照すると、本実施形態に係る中継機(中継装置)1は、受信部2、接続順序判定部3、および接続制御部4を有する。
中継機1の各部は、専用のハードウェアデバイス、または論理回路によって構成されても良い。または、中継機1は、CPU(Central Processing Unit:図示せず)を用いて実行されるコンピュータ・プログラム(ソフトウェア・プログラム)の制御により動作する一般的な情報処理装置(コンピュータ)によって構成されても良い。なお、この中継機1をコンピュータによって実現したハードウェア構成例については、図10を参照して後述する。
受信部2は、他の中継機(図示せず)の接続順序に係る情報を含む順序特定情報10を受信し、受信した順序特定情報10を接続順序判定部3に対して出力する。なお、受信部2は、他の中継機から直接に順序特定情報10を受信してもよい。または、受信部2は、他の中継機から情報を受信し、その受信情報から順序特定情報10を検出してもよい。
接続順序判定部3は、受信部2から受け取った順序特定情報10、および自機の接続順序に係る情報を含む(自機の)順序特定情報に基づいて、自機と、他の中継機との間の接続優先順位を判定する。自機の順序特定情報は、図示しない記憶装置にあらかじめ保存されてもよい。または、接続順序判定部3、または、中継機1に備えられるその他の機能部が、自機の順序特定情報を生成してもよい。接続順序判定部3は、判定した接続優先順位を表す接続優先順位情報を接続制御部4に対して出力する。
接続制御部4は、接続順序判定部3から受け取った接続優先順位に基づいて、中継機1(自機)の接続を制御する。例えば、順序特定情報10に対応する他の中継機の方が、上位の順位である場合、接続制御部4は、その中継機の下位になるように接続を確立する。このとき、接続制御部4は、既存の接続を切断することを含めて、接続先の調整を行ってもよい。これにより、中継機1が他の中継機の下位に接続するという形態の多段接続が実現される。
また、自機の方が上位の順序である場合、接続制御部4は、それまでの接続先を維持し、さらに、他の中継機が下位となる接続の要求を受け入れてもよい。すなわち、中継機1がアクセスポイント(図示せず)などの上位の通信装置、または上位中継機の下位に接続し、さらに中継機1の下位に、順序特定情報10に係る他の中継機が接続するという形態の多段接続が実現される。
以上説明したように、本実施形態には、順序特定情報に基づく簡易な管理によって、接続順序を決定することができるという効果がある。そのため、本実施形態によれば、中継機の多段接続が実現できる。
その理由は、接続順序判定部3が、受信部2を介して取得した、他の中継機の接続順序に係る情報を含む順序特定情報10と、自機の順序特定情報とに基づいて、自機と他の中継機との間の接続優先順位を判定するからである。また、接続制御部4が、接続順序判定部3が判定した接続優先順位に基づいて、中継機1の接続先を制御するからである。
<第2の実施形態>
次に、上述した第1の実施形態を基本とする第2の実施形態について説明する。以下では、第2の実施形態に係る特徴的な部分を中心に説明し、第1の実施形態と同様な構成を有する第2の実施形態の構成要素について重複する詳細な説明は省略する。
図2は、本発明の第2および第3の実施形態に係る無線LAN中継システムにおける通信環境の一例を示す構成図である。図2を参照すると、本実施形態に係る無線LAN中継システムは、無線LAN中継機(中継装置)100Aおよび100B(以下、単に「中継機」とも言う)、ホームゲートウェイ200、無線LANアクセスポイント(以下、単に「アクセスポイント」とも言う)201、並びに無線LAN子機(以下、単に「子機」とも言う)202および203を有する。
図3は、本発明の第2の実施形態に係る無線LAN中継機100Aの構成を示すブロック図である。本実施形態は、上述した第1の実施形態を、無線LAN中継システムに適用した場合の一例である。本実施形態において、独自エレメント検出部121Aを含む無線終端部120Aは、第1の実施形態における受信部2を基本とする。中継機動作制御部102Aは、第1の実施形態における接続順序判定部3を基本とする。中継機シーケンス動作部101Aは、第1の実施形態における接続制御部4を基本とする。
また、本実施形態において、第1の実施形態における順序特定情報10は、中継機(装置)間における接続順番の優先順位を表す優先順位ID情報として表される。優先順位ID情報は、利用者等によって、あらかじめ設定される。優先順位ID情報は、無線LAN規格(IEEE802.11)において規定されるマネージメントフレームに付加する独自エレメント(単に「エレメント」とも言う)に含めて、中継機間を送受信される。マネージメントフレームと独自エレメントの詳細な構造は、動作の説明において後述する。
本実施形態において、中継機100Aおよび100B、並びにアクセスポイント201は、互いに直接無線通信が可能である。子機202および203は、それぞれ無線LANシステムの域内にある障害物210および211の影響により、アクセスポイント201に対する直接的な無線通信が不可能である。子機202は、中継機100Aと無線通信が可能である。子機203は、中継機100Bと無線通信が可能である。
ホームゲートウェイ200、およびアクセスポイント201は、構内LAN(ローカルエリアネットワーク)等の通信ネットワークを介して互いに通信可能である。ホームゲートウェイ200は、インターネット(通信ネットワーク)1000に対して通信可能である。
アクセスポイント201は、無線LANアクセスポイントの機能を有する。子機202および203は、無線LANの子機の機能を有する。中継機100Aおよび100Bは、無線LANの中継機能を有する。子機202および203は、それぞれ中継機100Aおよび100Bを介してアクセスポイント201と接続する。アクセスポイント201は、ホームゲートウェイ200を介して、インターネット1000と接続する。
中継機100Aおよび100B、ホームゲートウェイ200、アクセスポイント201、並びに子機202および203の各部は、専用のハードウェアデバイス、または論理回路によって構成されても良い。または、中継機100Aおよび100B、ホームゲートウェイ200、アクセスポイント201、並びに子機202および203は、CPU(Central Processing Unit:図示せず)を用いて実行されるコンピュータ・プログラム(ソフトウェア・プログラム)の制御により動作する一般的な情報処理装置(コンピュータ)によって構成されても良い。なお、この中継機100Aおよび100B、ホームゲートウェイ200、アクセスポイント201、並びに子機202および203をコンピュータによって実現したハードウェア構成例については、図10を参照して後述する。
中継機100Bは、中継機100Aと同じ構成を有する。本実施形態においては、中継機100Aの構成の説明をもって、中継機100Bの構成の説明に代えることができる。すなわち、以下の構成の説明においては、符号の末尾に付した「A」または「B」の記号によって、それぞれ中継機100Aまたは100Bにおいて同じ機能を有する機能部同士を区別する。なお、中継機100Bの詳細な構成は図示しない。
以下に、図3を参照して、中継機100Aの構成を説明する。
図3を参照すると、中継機100Aは、中継機シーケンス動作部101A、中継機動作制御部102A、無線アンテナ部103A、無線中継機設定部110A、無線終端部120A、および記憶装置130Aを含む。
中継機シーケンス動作部101Aは、無線LAN中継機としての通信シーケンス処理を行うことができる。中継機シーケンス動作部101Aは、第1の実施形態における接続制御部4を基本とする。すなわち、中継機シーケンス動作部101Aは、後述する中継機動作制御部102Aから、接続優先順位情報を受け取り、その接続優先順位情報に基づいて、中継機100Aの接続を制御する。
中継機動作制御部102Aは、中継機動作における接続優先順位を判定する。中継機動作制御部102Aは、第1の実施形態における接続順序判定部3を基本とする。本実施形態では、中継機動作制御部102Aは、独自エレメント検出部121Aから、対向する中継機(以下、対向機とも呼ぶ)の優先順位IDを含む独自エレメント400(後述される図6)を受け取り、その対向機の優先順位IDと自機の優先順位IDとに基づいて、自機と対向機との間の接続優先順位を判定する。独自エレメント検出部121Aの詳細、および独自エレメント400の構造は、後述する。また、中継機動作制御部102Aは、判定した接続優先順位を表す接続優先順位情報を中継機シーケンス動作部101Aに対して出力する。
無線アンテナ部103Aは、無線アナログ信号の受発信を行う。
無線中継機設定部110Aは、中継機110Aに関する各種設定を行う。無線中継機設定部110Aは、画面設定部111A、ボタン設定部112A、中継機接続条件保存部113A、および優先順位ID設定部114Aを含む。なお、図3における無線中継機設定部110Aの各部の構成は、一例であり、これ以外の構成であってもよい。
画面設定部111Aは、利用者からGUI(Graphic User Interface)を介して、中継機110Aの中継動作に関する設定を受け付ける。画面設定部111Aは、設定された情報を中継機シーケンス動作部101Aに対して出力する。また、画面設定部111Aは、その設定された情報を、装置設定情報132Aとして記憶装置130Aに保存することができる。なお、画面設定部111Aは、あらかじめ記憶装置130Aに格納されたファイルから、装置設定情報132Aの一部または全部を取得してもよい。また、画面設定部111Aは、利用者から優先順位IDの設定を受け付け、その優先順位IDを優先順位ID情報131Aとして記憶装置130Aに保存することができる。
ボタン設定部112Aは、アクセスポイント201との無線接続の開始指示を受け付けることができるプッシュ式のボタンである。ボタン設定部112Aは、無線接続の開始指示を受けたことを、中継機シーケンス動作部101Aに対して通知する。
中継機接続条件保存部113Aは、確立されたアクセスポイント201との中継機接続に関する各種接続情報を、中継機シーケンス動作部101Aから受け取る。そして、中継機接続条件保存部113Aは、各種接続情報を中継機接続条件情報133Aとして記憶装置130Aに保存する中継機接続条件情報133Aは、例えば、アクセスポイント201のMACアドレス、およびSSIDを含む。なお、中継機接続保存部113Aは、中継機100Aがアクセスポイント201と直接接続できない場合に、例えば、画面設定部111Aを介して、利用者から中継機接続条件情報133Aを取得してもよい。
優先順位ID設定部114Aは、中継機100A(自機)の優先順位IDを設定する。
無線終端部120Aは、中継機100Aが送受信する通信データを、無線アナログ信号として送受信することができる。無線終端部120Aは、独自エレメント検出部121A、独自エレメント送信部122A、無線データ送受信部123A、および無線MAC終端部124Aを含む。なお、図3における無線終端部110Aの各部の構成は、一例であり、これ以外の構成であってもよい。
独自エレメント検出部121Aは、対向機から受信した信号から、優先順位ID情報を含む独自エレメントを検出し、検出した独自エレメントの情報を中継機動作制御部102Aに対して出力する。独自エレメントの詳細な構造は、動作の説明において後述する。
独自エレメント送信部122Aは、中継機100Aから送信する独自エレメントの情報を、後述する無線MAC終端部124Aに対して出力する。この独自エレメントの情報には、中継機100A(自機)の優先順位ID情報を含む。独自エレメント送信部122Aは、自機の優先順位ID情報(順序特定情報)を含む独自エレメントを、無線データ送受信部123A等を介して、送信することができる。
無線データ送受信部123Aは、送信する無線データを、無線アナログ信号に変換する。また、無線データ送受信部123Aは、受信した無線アナログ信号を、無線LAN中継機の各部(無線アンテナ部103Aを除く)が処理可能な無線データに変換する。
無線MAC終端部124Aは、中継機100Aから送信するべきマネージメントフレームに対して、独自エレメント送信部122Aから受け取った情報を、独自エレメントとして挿入する。また、無線MAC終端部124Aは、中継機100Aが受信したマネージメントフレームを独自エレメント検出部121Aに対して出力する。マネージメントフレームと独自エレメントの詳細な構造は、動作の説明において後述する。
記憶装置130Aは、優先順位ID情報131A、装置設定情報132A、および中継機接続条件情報133Aを格納する。記憶装置130Aは、例えば、半導体メモリ装置、またはディスク装置などにより実現される。
次に、上述した構成を備える本実施形態の動作について、図2乃至図5を参照して、詳細に説明する。図5は、第2および第3の実施形態において無線LANアクセスポイント201、無線LAN中継機100A、100B、300A、および300Bが行う通信の一例を示すシーケンス図である。
以下では、接続経路においてアクセスポイントに対して近い側を上位としたとき、中継機100Aが、中継機100Bより上位の中継機となる場合の動作を説明する。すなわち、以下の具体例では、最終的に、アクセスポイント、中継機100A、および中継機100Bの順で多段接続する。
また、以下では、利用者が、中継機100Aに対して、中継機としての設定(中継機設定)を行う時点から、説明を開始する。このとき、図2に示す無線LANシステムにおける中継機100Aおよび中継機100B以外の機器は、すでに動作している前提とする。
まず、利用者が、中継機100Aに対して、アクセスポイント201に対する中継機として動作することを指示する中継機設定を行う。中継機100Aでは、無線中継機設定部110Aが、利用者による中継機設定を受け付ける。具体的には、利用者は、画面設定部111Aが提示するGUIを介してマニュアル設定を行ってもよいし、または、ボタン設定部112Aを介してプッシュ方式の設定を行ってもよい。
中継機設定の内容には、SSID(Service Set Identifier)などの一般的な無線接続に際して必要な情報の他に、動作モード、多段接続の可否、および中継機間における中継機100Aの優先順位を表す優先順位IDなどを含む。画面設定部111Aは、設定された中継機設定における優先順位ID以外の内容を、装置設定情報132Aとして保存する。また、画面設定部111Aは、優先順位IDを、優先順位ID情報131Aとして保存する。ここでは、利用者は、動作モードを「中継機動作」、多段接続を「許容」、中継機100Aの優先順位IDを「1」と設定した前提とする。
図4を参照して、中継機設定が行われた後の中継機100Aの動作を説明する。図4は、第2の実施形態において無線LAN中継機100Aが行う動作を示すフローチャートである。
まず、無線中継機設定部110Aは、中継機動作が設定されているかを確認する(ステップS10)。動作モードに「中継機動作」が設定されていた場合、無線中継機設定部110Aは、中継機シーケンス動作部101Aに対して設定された内容を出力する。なお、動作モードに「中継機動作」が設定されなかった場合、無線中継機設定部110Aは、図示しない動作制御部などに対して、設定された内容を出力する。設定内容を受けた動作制御部は、利用者の設定に基づいて、アクセスポイント、または子機として動作する。
動作モードに「中継機動作」が設定されていた場合、次に、中継機シーケンス動作部101Aは、接続先アクセスポイントのMACアドレス、およびSSIDを取得する(ステップS11)。
具体的には、ステップS11において、中継機シーケンス動作部101Aは、無線中継機設定部110Aから受けた設定内容に基づき、アクセスポイント201に対する無線LAN中継機として通信シーケンス処理を行う。
ここで、図5を参照して、無線LAN中継機の通信シーケンス処理の一例を説明する。図5は、第2および第3の実施形態において無線LANアクセスポイント201、無線LAN中継機100A、100B、300A、および300Bが行う通信の一例を示すシーケンス図である。以下に説明する中継機100Aとアクセスポイント201との間の通信シーケンスは、図5において通信シーケンス500として示される部分である。なお、本実施形態では、通信シーケンスの具体例として、IEEE802.11規格を採用している。
まず、中継機シーケンス動作部101Aは、設定内容に適合するビーコン(Beacon)と呼ばれる信号をスキャンする。中継機シーケンス動作部101Aは、アクセスポイント201から発信されたビーコンを受信すると、接続するSSIDを含むプローブ要求(Probe Request)と呼ばれる信号を送信する。プローブ要求を受信したアクセスポイント201は、プローブ要求に対する応答であるプローブ応答(Probe Response)と呼ばれる信号を、中継機100Aに対して送信する。ここで、中継機100Aとアクセスポイント201とが、物理的に通信可能となる。
これ以降、中継機シーケンス動作部101Aは、認証(Authentication)、およびアソシエーション(Association)などの段階を経て接続を確立する。接続が確立すると、中継機100Aとアクセスポイント201との間のデータの送受信が可能となる。
以上が、中継機シーケンス動作部101Aが無線LAN中継機として行う通信シーケンス処理である。
なお、上記の通信シーケンスにおけるビーコン、プローブ要求、およびプローブ応答、並びに、認証およびアソシエーションに使用される各種信号が、上述した無線LAN規格において規定されるマネージメントフレームである。中継機シーケンス動作部101Aは、これらのマネージメントフレームの送受信を無線終端部120Aおよび無線アンテナ部103Aを介して行う。
アクセスポイント201との接続が完了後、中継機シーケンス動作部101Aは、アクセスポイント201のMACアドレス、およびSSIDを、中継機接続条件保存部113Aに対して出力する。そして、中継機接続条件保存部113Aは、アクセスポイント201のMACアドレス、およびSSIDを中継機接続条件情報133Aとして、記憶装置130Aに保存する。以上がステップS11の動作である。
次に、中継機シーケンス動作部101Aは、多段接続に関する設定を確認する(ステップS12)。多段接続が「許容」されなかった場合、中継機シーケンス動作部101Aは、単に、このままアクセスポイント201と直接接続する中継機として動作する。
多段接続が「許容」されていた場合、優先順位ID設定部114Aが、自機の優先順位IDを独自エレメント送信部122Aに設定する(ステップS13)。具体的には、優先順位ID設定部114Aは、記憶装置130Aに保存された優先順位ID情報131Aを読み出し、利用者によって設定された「1」を独自エレメント送信部122Aに対して出力する。
次に、中継機シーケンス動作部101Aは、無線終端部120Aを介して、多段接続可能な中継機であることを示す独自エレメントを含むビーコン(Beacon(独自エレメント有り))を送信する(ステップS14)。具体的には、まず、中継機シーケンス動作部101Aが、無線終端部120Aにビーコン(独自エレメント有り)の送信を指示する。次に、無線MAC終端部124Aが、一般的な中継機としてのビーコンを生成し、そのビーコンを独自エレメント送信部122Aに出力する。そして、独自エレメント送信部122Aは、優先順位ID設定部114Aから設定された自機の優先順位ID情報、を含む独自エレメントをビーコンに挿入し、そのビーコンを無線MAC終端部124Aに出力する。最後に、無線MAC終端部124Aが、無線データ送受信部123Aおよび無線アンテナ部103Aを介して、独自エレメントを含むビーコン(独自エレメント有り)を送信する。なお、ビーコン(独自エレメント有り)は、ブロードキャストとして送信される。
ここで、ビーコン(独自エレメント有り)に含まれる独自エレメントの一例を、図6に示す。図6は、第2および第3の実施形態におけるビーコンマネージメントフレームの構成とそのフレームに付与する独自エレメント400の一例を示す図である。
図6に示す通り、本実施形態では、独自エレメント400は、ビーコンマネージメントフレームに含まれるフレーム本体のVender−specification elementにおいて、ベンダー固有に指定することができるフィールド(Vender−specific Content)に格納される。
独自エレメント400は、「中継機動作ID」フィールド、「アクセスポイントのMACアドレス情報」フィールド、および「優先順位ID」フィールドを含む。「中継機動作ID」フィールドは、中継機動作を識別する中継機動作ID情報を含む。「アクセスポイントのMACアドレス情報」フィールドは、このビーコンを発信する中継機100Aが接続するアクセスポイントのMACアドレス情報を含む。「優先順位ID」フィールドは、このビーコンを送信する中継機自身の優先順位ID情報を含む。
具体的には、独自エレメント送信部122Aは、「アクセスポイントのMACアドレス情報」フィールドに、中継機接続条件情報133Aから読み出したアクセスポイント201のMACアドレスを格納する。また、独自エレメント送信部122Aは、アクセスポイント201と中継機100Aとを介して行われる中継動作を識別する中継機動作IDを、所定の方法により生成して、そのIDを「中継機動作ID」フィールドに格納する。また、独自エレメント送信部122Aは、「優先順位ID」フィールドに、優先順位ID情報131Aから読み出した「1」という情報を格納する。
なお、これ以降も、ビーコン(独自エレメント有り)の送信は、一般的な中継機と同様、周期的に繰り返し実施されてもよい。
次に、中継機シーケンス動作部101Aは、所定期間、他の中継機のビーコンをスキャンする(ステップS15)。
ビーコンを受信した場合、無線MAC終端部124Aは、独自エレメント検出部121Aに対して、受信したビーコンを出力する。独自エレメント検出部121Aは、受信した信号をチェックし、独自エレメントの検出を行う。独自エレメントを検出した場合、独自エレメント検出部121Aは、検出した独自エレメントの情報を中継機動作制御部102Aに対して出力する。
独自エレメントを受け取ると、中継機動作制御部102Aは、中継機動作における接続優先順位を判定する。すなわち、中継機動作制御部102Aは、独自エレメントに含まれる優先順位IDと、自機の優先順位IDとの大小を比較することにより、自機より接続優先順位が高い中継機があるかどうかを判定する(ステップS16)。自機より接続優先順位が高い中継機がないと判定した場合、中継機動作制御部102Aは、現在の接続関係をそのまま維持する。
なお、受信したビーコンに独自エレメントがなかった場合、中継機動作制御部102Aは、自機より接続優先順位が高い中継機がないとみなす。上述した具定例において、この時点で中継機100Aより接続優先順位が高い優先順位ID情報を含む独自エレメントを持つビーコンを送信する中継機がないので、中継機100Aは、そのままアクセスポイント201と直接接続する中継機として動作する(ステップS30)。ステップS15以降の動作は、例えば、所定の周期で繰り返し実施されてもよい。
このようにして、中継機100Aは、アクセスポイント201に対する中継機として動作を開始することができる。子機202は、中継機100Aのビーコンを受信した後、一般的な無線接続方法によって、中継機100Aと無線接続を行うことができる。このとき、子機202は、中継機100Aとのビーコンに含まれる独自エレメント400を、特に処理する必要はない。
次に、ステップS15において自機より接続優先順位が高い中継機があると判定される場合の動作を、中継機100Bの動作を具体例として説明する。具体例の初めに上述した通り、中継機100Bは、中継機100Aより下位の中継機となる前提である。
まず、図4のフローチャートにおける初期の段階で、中継機100Aと同様に、利用者が、中継機100Bに対して中継機設定を行う。このとき、利用者は、中継機100Bを中継機100Aより下位の中継機とするように優先順位IDの設定を行う。例えば、利用者は、中継機100Bの優先順位IDを「2」と設定してもよい。なお、本実施形態では、優先順位IDが大きい方が下位となる前提とする。これ以外の中継機100Bに対する中継機設定は、中継機100Aと同様の内容でよい。その後、中継機100Bは、上述した中継機100Aの動作におけるステップS10乃至ステップS15の動作を、中継機100Aと同様に実行する。
この結果、中継機100Bは、アクセスポイント201と中継機接続を確立した状態である。また、優先順位ID情報131は、中継機100Bの優先順位IDとして設定された「2」という情報が格納されている。
次に、ステップS15以降の中継機100Bの動作を説明する。なお、以下に説明する中継機100Bの動作は、上述した中継機100Aの動作が完了後に、引き続いて開始された前提とする。
中継機100Bにおいて、中継機シーケンス動作部101Bは、所定期間、他の中継機のビーコンをスキャンする(ステップS15)。具体的には、図5の通信シーケンス501に示す通り、中継機シーケンス動作部101Bは、アクセスポイント201の一般的なビーコンと、中継機100Aのビーコン(独自エレメント有り)との2つを受信することができる。なお、ここで受信された中継機100Aのビーコン(独自エレメント有り)は、ステップS14において、中継機シーケンス動作部101Aが送信したビーコン(独自エレメント有り)に対応する。
独自エレメント検出部121Bは、無線MAC終端部122Bを介して、受信した2つのビーコンを受け取り、独自エレメントの有無をチェックする。独自エレメント検出部121Bは、中継機100Aのビーコン(独自エレメント有り)から独自エレメント400を検出し、検出した独自エレメント400の情報を中継機動作制御部102Bに対して出力する。なお、独自エレメント検出部121Bは、アクセスポイント201のビーコンに対しては、独自エレメントが含まれないことを検出して、ステップS15の処理を終了する。
独自エレメント400を受け取ると、中継機動作制御部102Bは、独自エレメント400に含まれる優先順位ID情報の値「1」と、自機の優先順位IDの値「2」とを比較する(ステップS16)。中継機動作制御部102Bは、自機の優先順位IDの方が大きいので、自機より接続優先順位が高い中継機100Aがあると判定する(ステップS16のYES)。次に、中継機動作制御部102Bは、中継機100Aを上位中継機とすることを表す接続優先順位情報を中継機シーケンス動作部101Bに対して出力する。例えば、中継機動作制御部102Bは、中継機100Aの独自エレメントに含まれる中継機動作IDフィールドおよびアクセスポイントのMACアドレス情報フィールドの内容を、中継機シーケンス動作部101Bに対して出力してもよい。
中継機シーケンス動作部101Bは、中継機動作制御部102Bから受けた接続優先順位情報に基づいて、上位の中継機へ接続先を切り替える(ステップS17)。すなわち、中継機シーケンス動作部101Bは、アクセスポイント201との中継機接続を切断し、中継機100Aとの間で、新たに中継機接続を確立する。
なお、ステップS17において、自機が下位となる既存の中継機接続がない場合、中継機シーケンス動作部101Bは、単に中継機100Aとの間の中継機接続の確立を行えばよい。。また、中継機シーケンス動作部101Bは、自機が上位となる中継機接続(自機より下位の中継機に対する接続)がある場合、その中継機接続をそのまま維持してもよい。すなわち、中継機シーケンス動作部101Bは、必要に応じて、中継機接続の切断を行えばよい。
ここで、図5を参照して、ステップS17における接続先の切り替えにおける通信シーケンス処理の一例を説明する。以下に説明する中継機100Bと中継機100Aとの間の通信シーケンスは、図5において通信シーケンス501として示される部分である。
通信シーケンス501は、上述した中継機100AのステップS11において説明した通信シーケンス500を基本とする。ただし、中継機100Aと中継機100Bとの間で送受信されるプローブ要求、およびプローブ応答には、それぞれ図7に示す独自エレメント401および402を含む点が、通信シーケンス500と異なる。図7は、第2および第3の実施形態におけるプローブリクエストマネージメントフレームの構成とそのフレームに付与する独自エレメント401、およびプローブレスポンスマネージメントフレームの構成とそのフレームに付与する独自エレメント402の一例を示す図である。
独自エレメント401および102が各マネージメントフレームにおいて格納される位置、および各エレメントの構造は、独自エレメント400と同様である。すなわち、独自エレメント401および402は、各マネージメントフレームに含まれるフレーム本体において、ベンダー固有に指定することができるフィールドに格納される。また、独自エレメント401および402は、「中継機動作ID」フィールド、「アクセスポイントのMACアドレス情報」フィールド、および「優先順位ID」フィールドを含む。
接続先の切り替え(ステップS17)における通信シーケンス501の説明に移る。
まず、中継機シーケンス動作部101Bは、中継機100Aからビーコン(独自エレメント有り)を受信した後、それまでに中継機接続していたアクセスポイント201に対して切断要求を送信する。そして、中継機シーケンス動作部101Bは、上位中継機である中継機100Aに対する中継機接続を開始する。
すなわち、まず、中継機シーケンス動作部101Bは、中継機100Aに対して、図7に示す独自エレメント401を含むプローブ要求(Probe Request(独自エレメント有り))を送信する。このプローブ要求(独自エレメント有り)に対する送信動作は、上述した中継機100Aのビーコン(Beacon(独自エレメント有り))の送信動作と同様である。すなわち、中継機シーケンス動作部101Bが、プローブ要求(独自エレメント有り)の送信を指示すると、無線MAC終端部124Bおよび独自エレメント送信部122Bによって、独自エレメント401を含むプローブ要求(独自エレメント有り)の生成および送信が実行される。
具体的には、独自エレメント送信部122Bは、受信したビーコン(独自エレメント有り)に格納されていたMACアドレス情報を、独自エレメント401の「アクセスポイントのMACアドレス情報」フィールドに格納する。また、独自エレメント送信部122Bは、受信したビーコン(独自エレメント有り)に格納されていた中継機動作ID情報を、独自エレメント401の「中継機動作ID」フィールドに格納する。また、独自エレメント送信部122Aは、「優先順位ID」フィールドに、優先順位ID情報131Bから読み出した自機(中継機100B)の優先順位IDを示す「2」という情報を格納する。
中継機100Aでは、独自エレメント検出部121Aが、受信したプローブ要求(独自エレメント有り)から独自エレメント401を検出し、その独自エレメント401の内容を中継機動作制御部102Aに出力する。中継機動作制御部102Aは、自機の優先順位ID「1」より低い優先順位ID「2」の中継機100Bから多段接続の要求があることを中継機シーケンス動作部101Aに対して通知する。中継機シーケンス動作部101Aは、応答としてプローブ応答(Probe Response(独自エレメント有り))を送信する。このプローブ応答(独自エレメント有り)の送信動作も、上述したビーコン(独自エレメント有り)およびプローブ要求(独自エレメント有り)と同様である。なお、プローブ要求(独自エレメント有り)に含まれる独自エレメント402(図7)は、「優先順位ID」フィールドに、中継機100A自身の優先順位IDを示す「1」という情報を格納する以外は、独自エレメント401と同じ内容を含む。
上述のごとく中継機接続において対向する中継機同士が優先順位ID情報(順序特定情報)を相互伝達することにより、中継機間の接続優先順位が決定される。中継機100Bと中継機100Aとは、さらに、一般的な通信シーケンス(認証、およびアソシエーション)を続け、最終的に、中継機100Bは、中継機100Aを上位とする中継機接続を確立する。以上が、ステップS17における上位の中継機への接続先の切り替え動作である。
このようにして、中継機100Bは、中継機100Aを介して、アクセスポイント201に接続する2段目の中継機として動作を開始することができる。すなわち、上記の結果、中継機の2段階接続が実現できる。子機203は、中継機100Bのビーコンを受信した後、一般的な無線接続方法によって、中継機100Bと無線接続を行うことができる。そして、子機203は、中継機100B、中継機100A、アクセスポイント201、およびホームゲートウェイ200を介して、インターネット1000に対する通信ができる。
なお、独自エレメントを含むビーコンの送信(ステップS14)のタイミングは、上記の具体例に限らない。例えば、中継機シーケンス動作部101Bは、上位中継機への接続先の切り替え(ステップS17)の後に、ビーコン(独自エレメント有り)を送信してもよい。この場合、ステップS16において、中継機動作制御部102Aが、接続優先順位が高い中継機がないと判定した後にも、中継機シーケンス動作部101Aは、ビーコン(独自エレメント有り)を送信してもよい。
また、上記の具体例において、中継機100Bがアクセスポイント201と無線通信が不能な場合であっても、同様の多段の中継機接続を構成することができる。この場合、ステップS11において、中継機100Bは、アクセスポイント201と接続することができないので、アクセスポイントのMACアドレス、およびSSIDを設定等の代替手段によって与えてもよい。ただし、ステップS14のビーコン(独自エレメント有り)の送信は、上位の中継機100Aへの接続先の切り替え(ステップS17)が完了した後に行う。
以上、説明したように、本実施形態には、上述した第1の実施形態と同様に、順序特定情報である接続順位ID情報に基づく簡易な管理によって、接続優先順位を決定することができるという効果がある。
その理由は、独自エレメント送信部122Aが、接続順序に係る情報である接続順位ID情報を、ビーコン等のマネージメントフレームに対する独自エレメントとして付与するからである。そして、中継機動作制御部102Aが、対向機から受信したフレームの独自エレメントに含まれる対抗機の接続順位IDと、自機の接続順位IDとに基づいて、自機と対向機との間の接続優先順位を判定するからである。
また、本実施形態には、さらに、一般的な無線LAN規格を変更せずに適用することができるという効果もある。これにより、本実施形態を適用した中継機は、一般的な無線LAN規格に基づいて動作する通信機器と混在して使うことができるという効果がある。
その理由は、独自エレメント送信部122Aおよび無線MAC終端部124Aが、一般的な無線LAN規格においてベンダー固有に指定することができるフィールドを利用して、独自エレメントを挿入するからである。また、中継機シーケンス動作部101Aは、中継機動作および多段接続の許容に対する設定状況と、接続優先順位の判定結果とに応じて、一般的なアクセスポイント、子機、一般的な中継機、および本実施形態に係る中継機のいずれかとして動作を選択することができるからである。
また、本実施形態の変形例としては、以下のようなものが考えられる。
例えば、中継機動作制御部102Bは、独自エレメントに含まれる対向機の優先順位IDと自機の優先順位IDに、さらに、現在接続している上位中継機の優先順位IDを加えた3つの情報に基づいて、接続優先順位の判定を行ってもよい。具体的には、自機が下位となる中継機接続が完了した際に、中継機シーケンス動作部102Bが、上位側の中継機100Aの優先順位IDを記憶装置130Bなどに記憶しておく。そして、新たな第3の中継機のビーコン(独自エレメント有り)を受信したとき、中継機動作制御部102Bは、(現在の上位中継機の優先順位ID)>(新たなビーコンに含まれる優先順位ID)>(自機の優先順位ID)である場合に、接続先の切り替えを行うと判定する。これにより、例えば、優先順位ID「3」の中継機が、優先順位ID「2」の中継機接続しているときに、優先順位「1」の中継機に対して、接続先の切り替えを行わないようにすることができる。
また、本実施形態において、中継機100A、および100Bは、中継機、アクセスポイント、および子機として動作する機能を有するが、これに限定されない。すなわち、中継機100A、および100Bは、少なくとも中継機として動作可能な機能を有していればよい。例えば、中継機100A、および100Bは、常に、多段接続可能な中継機として動作する中継機であってもよい。
<第3の実施形態>
次に、上述した第1または第2の実施形態を基本とする第3の実施形態について説明する。以下では、第3の実施形態に係る特徴的な部分を中心に説明し、第1または第2の実施形態と同様な構成を有する第3の実施形態の構成要素には、第1または第2の実施形態で付した参照符号と同一の参照符号を付し、その構成要素について重複する詳細な説明は省略する。
本実施形態では、あらかじめ設定される優先順位ID情報に替えて、測定によって得ることができるアクセスポイントのビーコン受信レベル(以下、単に「ビーコン受信レベル」とも言う)に基づいて、接続優先順位が自動的に決定される点が上述した第2の実施形態と異なる。すなわち、本実施形態において、第1の実施形態における順序特定情報10は、ビーコン受信レベルを表すビーコン受信レベル情報として表される。また、本実施形態は、第2の実施形態における優先順位ID設定部114A、および記憶装置130Aに格納される優先順位ID情報131Aに相当する構成を含まない。
以下に、図2および図8を参照して、本実施形態について説明する。本実施形態に係る無線LAN中継システムは、図2に示すように、中継機300Aおよび300B、ホームゲートウェイ200、アクセスポイント201、子機202および203を有する。これらの機器同士における相互の通信関係、およびインターネット100に対する接続状況は、中継機100Aおよび100Bを、それぞれ中継機300Aおよび300Bと読み替えれば、第2の実施形態と同様であるので、重複する詳細な説明は省略する。
また、ホームゲートウェイ200、アクセスポイント201、子機202および203
の構成および機能は、第2の実施形態と同様であるので、重複する詳細な説明は省略する。
以下では、第2の実施形態との違いを有する中継機300Aおよび300Bを中心に説明する。中継機300Aおよび300Bは、第2の実施形態における中継機100Aおよび100Bを基本とする。
中継機300Aおよび300Bの各部は、専用のハードウェアデバイス、または論理回路によって構成されても良い。または、中継機300Aおよび300Bは、CPU(Central Processing Unit:図示せず)を用いて実行されるコンピュータ・プログラム(ソフトウェア・プログラム)の制御により動作する一般的な情報処理装置(コンピュータ)によって構成されても良い。なお、この中継機300Aおよび300Bをコンピュータによって実現したハードウェア構成例については、図10を参照して後述する。
中継機300Bは、中継機300Aと同じ構成を有する。本実施形態においては、中継機300Aの構成の説明をもって、中継機300Bの構成の説明に代えることができる。すなわち、以下の構成の説明においては、符号の末尾に付した「A」または「B」の記号によって、それぞれ中継機300Aまたは300Bにおいて同じ機能を有する機能部同士を区別する。なお、中継機300Bの詳細な構成は図示しない。
以下に、図8を参照して、中継機300Aの構成を説明する。図8は、本発明の第3の実施形態に係る無線LAN中継機300Aの構成を示すブロック図である。
図8を参照すると、中継機300Aは、中継機シーケンス動作部101A、中継機動作制御部302A、無線アンテナ部103A、無線中継機設定部310A、無線終端部320A、および記憶装置130Aを含む。中継機シーケンス動作部101A、無線アンテナ部103A、および記憶装置130Aの構成および機能は、第2の実施形態と同様であるので、重複する詳細な説明は省略する。
無線中継機設定部310Aは、画面設定部111A、ボタン設定部112A、および中継機接続条件保存部113Aを含む。上述した通り、無線中継機設定部310Aは、第2の実施形態における無線中継機設定部110Aに対して、優先順位ID設定部114Aを含まないという点で異なる。画面設定部111A、ボタン設定部112A、および中継機接続条件保存部113Aの構成および機能は、第2の実施形態と同様であるので、重複する詳細な説明は省略する。
無線終端部320Aは、無線終端部302Aは、独自エレメント検出部321A、独自エレメント送信部322A、無線データ送受信部123A、無線MAC終端部124A、および受信レベル検出部304Aを含む。
独自エレメント検出部321Aは、第2の実施形態における独自エレメント検出部121Aに対応する。独自エレメント検出部321Aは、対向機から受信した信号から、対向機のビーコン受信レベルを表すビーコン受信レベル情報を含む独自エレメントを検出し、検出した独自エレメントの情報を中継機動作制御部302Aに対して出力する。
また、独自エレメント送信部322Aは、第2の実施形態における独自エレメント送信部122Aに対応する。独自エレメント送信部322Aは、中継機300Aのビーコン受信レベルを表すビーコン受信レベル情報を含む独自エレメントの情報を無線MAC終端部124Aに対して出力する。
無線MAC終端部124Aは、受信レベル検出器304Aに対して、アクセスポイント201から受信するビーコンの信号を出力することができる。
上記を除いて、無線データ送受信部123A、および無線MAC終端部124Aの構成および機能は、第2の実施形態と同様であるので、重複する詳細な説明は省略する。
受信レベル検出部304Aは、無線MAC終端部124Aから入力されるアクセスポイント201のビーコンの信号に対して受信レベルを検出(測定)することができる。そして、受信レベル検出部304Aは、検出した受信レベルを表すビーコン受信レベル情報を中継機動作制御部302Aに対して出力する。上述した通り、本実施形態において、ビーコン受信レベル情報は、第1の実施形態における順序特定情報10に対応する。すなわち、受信レベル検出部304Aは、ビーコン受信レベル情報を順序特定情報として出力することができる。
中継機動作制御部302Aは、第2の実施形態における中継機動作制御部102Aに対応する。本実施形態においても、中継機動作制御部302Aは、中継機動作における接続優先順位を判定し、判定した接続優先順位情報を中継機シーケンス動作部101Aに対して出力する。ただし、中継機動作制御部302Aは、優先順位IDに代わって、アクセスポイント201のビーコン受信レベルに基づいて、接続優先順位を判定する点が、第2の実施形態と異なる。すなわち、中継機動作制御部302Aは、受信レベル検出部304Aから出力される自機のビーコン受信レベル情報と、独自エレメント検出部121Aから出力される対向機のビーコン受信レベル情報とを比較することにより、接続優先順位を判定する。これ以外の中継機動作制御部302Aの動作は、第2の実施形態における中継機動作制御部102Aと同様であるので、重複する詳細な説明は省略する。
次に、上述した構成を備える本実施形態の動作について、図2、図5、図9を参照して、詳細に説明する。
下記の具体例における前提は、優先順位ID情報を設定しない点を除いて、第2の実施形態の具体例における前提と同様である。また、本実施形態においても、第2の実施形態と同じく、図5に示す通信シーケンスによって、各機器の動作を説明することができるので、以下の説明では、第2の実施形態と異なる部分に絞って説明する。
まず、本実施形態では、アクセスポイント201から受信するビーコン受信レベルが高い中継機が、上位の中継機となる。図2の無線LAN中継システムにおいては、中継機300Aの方が、中継機300Bよりビーコン受信レベルが高い前提とする。すなわち、中継機300Aの方が、中継機300Bより上位の中継機である。
まず、利用者が中継機300Aに対して、アクセスポイント201に対する中継機設定を行う。この動作は、優先順位IDの設定を行わない伊賀は、第2の実施形態と同様であるので、重複する詳細な説明は省略する。
次に、図9を参照して、中継機設定が行われた後の中継機300Aに対しての動作を説明する。図9は、第3の実施形態において無線LAN中継機300Aが行う動作を示すフローチャートである。
まず、無線中継機設定部310Aは、中継機動作が設定されているかを確認する(ステップS40)。このステップS40における無線中継機設定部310Aの動作は、第2の実施形態におけるステップS10と同様であるので、重複する説明は省略する。無線中継機設定部310Aは、中継機シーケンス動作部101Aに対して、利用者によって設定された内容を出力する。
次に、中継機シーケンス動作部101Aは、第2の実施形態におけるステップS11と同様に、接続先アクセスポイントのMACアドレス、およびSSIDを取得する。このとき、本実施形態では、さらに、受信レベル検出部304Aが、アクセスポイント201のビーコンの受信レベルの検知を行う(ステップS41)。例えば、受信レベル検出器304Aは、アクセスポイント201からビーコンを受信する都度、ビーコン受信レベルの検知を行ってもよい。または、受信レベル検出器304Aは、中継機シーケンス動作部101Aなどの指示により、ビーコン受信レベルの検知を行ってもよい。受信レベル検出器304Aは、検出したビーコン受信レベルを表すビーコン受信レベル情報を中継機動作制御部302Aおよび独自エレメント送信部322Aに対して出力する。
次に、中継機シーケンス動作部101Aは、多段接続に関する設定を確認する(ステップS42)。このステップS42における中継機シーケンス動作部101Aの動作は、第2の実施形態におけるステップS12と同様であるので、重複する説明は省略する。
次に、中継機シーケンス動作部101Aは、無線終端部320Aを介して、独自エレメントを含むビーコン(独自エレメント有り)を送信する(ステップS43)。このステップS43における中継機シーケンス動作部101Aおよび無線終端部320Aの各部の動作は、第2の実施形態におけるステップS14を基本とする。ただし、独自エレメント送信部322Aは、第2の実施形態において優先順位IDを格納した位置に、ステップS41で受信レベル検出器304から渡されたビーコン受信レベル情報を格納した独自エレメントをビーコンに挿入する。例えば、ビーコン受信レベル情報は、受信レベルを示す測定値としてもよい。
ステップS44以降の中継機300Aの動作は、第2の実施形態における中継機100Aの動作と同様なので、重複する説明は省略する。この時点で、第2の実施形態と同様、中継機300Aは、ステップS45において自機よりビーコン受信レベルが高い中継機がないと判断した結果、このままアクセスポイント201と直接接続する中継機として動作する(ステップS60)。
次に、第2の実施形態における説明と同様に、ステップS45において、自機よりビーコン受信レベルが高い中継機があると判定される場合の動作を、中継機300Bの動作を具体例として説明する。
まず、中継機300Aと同様に、利用者が、中継機300Bに対する中継機設定を行う。そして、中継機300Bは、上述した中継機300Aの動作におけるステップS40乃至ステップS43の動作を、中継機300Aと同様に実行する。この結果、中継機300Bは、アクセスポイント201と中継機接続を確立した状態である。
以下、この状態における、ステップS44以降の中継機300Bの動作を説明する。なお、以下に説明する中継機300Bの動作は、上述した中継機300Aの動作が完了後に、引き続いて開始された前提とする。また、ステップS44乃至ステップS46における中継機300Bの動作は、第2の実施形態におけるステップS15乃至ステップS17における中継機100Bの動作と同様であるので、以下では簡易な説明とする。
中継機300Bにおいて、中継機シーケンス動作部101Bは、所定期間、他の中継機のビーコンをスキャンする(ステップS44)。本ステップにおいて、独自エレメント検出部321Bは、中継機300Aのビーコン(独自エレメント有り)に含まれる独自エレメントの情報を中継機動作制御部302Bに対して出力する。
独自エレメントを受け取ると、中継機動作制御部302Bは、独自エレメントに含まれる中継機300Aのビーコン受信レベル情報と、ステップS41において受信レベル検出部304Bから得た自機のビーコン受信レベル情報とを比較する。上述した通り、中継機300Aの方が、中継機300Bよりビーコン受信レベルが高い前提であるので、中継機動作制御部302Bは、自機よりビーコン受信レベルが高い(接続優先順位が高い)中継機300Aがあると判定する(ステップS45)。そして、中継機動作制御部302Bは、中継機300Aを上位中継機とすることを表す接続優先順位情報を中継機シーケンス動作部101Bに対して出力する。
このように、本実施形態においても対向する中継機300Aと中継機300Bとがビーコン受信レベル(順序特定情報)を相互伝達することにより、中継機間の接続優先順位が決定される。
中継機シーケンス動作部101Bは、中継機動作制御部302Bから受けた接続優先順位情報に基づいて、アクセスポイント201との中継機接続を切断し、中継機300Aとの間で、新たに中継機接続を確立する(ステップS46)。
このようにして、中継機300Bは、中継機300Aを介して、アクセスポイント201に接続する2段目の中継機として動作を開始することができる。
本実施形態においても、例えば、下位となる中継機100Bがアクセスポイント201と無線通信が不能な場合、受信レベル検出部304Bがビーコン受信レベルを「0」として扱うことにより、同様の多段の中継機接続を構成することができる。
以上、説明したように、本実施形態には、上述した第1および第2の実施形態と同様の効果に加えて、さらに順序特定情報の設定なしに、自動的に中継機間の接続順位を決定することができるという効果がある。そのため、例えば、無線LAN中継システムの構成変更が容易になる。
その理由は、受信レベル検出部304Aが、動作中に、アクセスポイント201のビーコンの受信レベルを検出することにより順序特定情報を得ることができるからである。
なお、上述した各実施形態において図1乃至図3、および図8に示した各部は、それぞれ独立したハードウェア回路で構成されていてもよいし、ソフトウェアプログラムの機能(処理)単位(ソフトウェアモジュール)と捕らえることができる。ただし、これらの図面に示した各部の区分けは、説明の便宜上の構成であり、実装に際しては、様々な構成が想定され得る。このような場合のハードウェア環境の一例を、図10を参照して説明する。
図10は、本発明の各実施形態、および、その変形例に係る中継機および中継システムに適用可能なコンピュータ(情報処理装置)の構成を例示する図である。すなわち、図10は、上述した各実施形態における中継機1、無線LAN中継機100A、100B、300Aおよび300B、ホームゲートウェイ200、無線LANアクセスポイント201、並びに、無線LAN子機202および203の少なくとも何れかを実現可能なコンピュータの構成であって、上述した各実施形態における各機能を実現可能なハードウェア環境を示す。
図10に示したコンピュータ900は、CPU(Central Processing Unit)901、ROM(Read Only Memory)902、RAM(Random Access Memory)903、通信インタフェース(I/F)904、ディスプレイ905、及びハードディスク装置(HDD)906を備え、これらがバス907を介して接続された構成を有する。なお、図10に示したコンピュータが無線LAN中継機100A、100B、300Aおよび300B、ホームゲートウェイ200、無線LANアクセスポイント201、並びに、無線LAN子機202および203として機能する場合、ディスプレイ905は常時設けられる必要はない。
また、通信インタフェース904は、上述した各実施形態において、当該各コンピュータ間における通信を実現する一般的な通信手段である。ハードディスク装置906には、プログラム群906Aと、各種の記憶情報906Bとが格納されている。プログラム群906Aは、例えば、上述した図1乃至図3、および図8に示した各ブロック(各部)に対応する機能を実現するためのコンピュータ・プログラムである。各種の記憶情報906Bは、例えば、図3および図8に示した優先順位ID情報131A、装置設定情報132A、および中継機接続条件情報133Aなどである。このようなハードウェア構成において、CPU901は、コンピュータ900の全体の動作を司る。
そして、上述した各実施形態を例に説明した本発明は、各実施形態の説明において参照したブロック構成図(図1乃至図3、および図8)あるいはフローチャート(図4およびず9)の機能を実現可能なコンピュータ・プログラムを供給した後、そのコンピュータ・プログラムを、当該ハードウェアのCPU901に読み出して実行することによって達成される。また、このコンピュータ内に供給されたコンピュータ・プログラムは、読み書き可能な一時記憶メモリ903またはハードディスク装置906などの不揮発性の記憶デバイス(記憶媒体)に格納すれば良い。
また、前記の場合において、当該各装置内へのコンピュータ・プログラムの供給方法は、フロッピーディスク(登録商標)やCD−ROM等の各種記録媒体を介して当該装置内にインストールする方法や、インターネット等の通信ネットワーク1000を介して外部よりダウンロードする方法等のように、現在では一般的な手順を採用することができる。そして、このような場合において、本発明は、係るコンピュータ・プログラムを構成するコード、或いは係るコードが記録されたところの、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体によって構成されると捉えることができる。
なお、上述した実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下の付記に限定されるものではない。
(付記1)
他の中継装置の接続順序に係る情報を含む順序特定情報を受信する受信手段と、
前記受信した順序特定情報、および自機の接続順序に係る情報を含む自機の順序特定情報に基づいて、自機と前記他の中継装置との間の接続優先順位を判定し、前記接続優先順位を表す接続優先順位情報を出力する接続順序判定手段と、
前記接続優先順位情報に基づいて、自機の接続を制御する接続制御手段と
を備える中継装置。
(付記2)
前記自機の順序特定情報を含むエレメントを送信する送信部をさらに備える
付記1記載の中継装置。
(付記3)
前記送信部は、前記エレメントを無線LAN規格に規定されるマネージメントフレームに含めて送信し、
前記受信手段は、前記他の中継装置から受信するマネージメントフレームから、前記他の中継装置の順序特定情報を検出する
付記2に記載の中継装置。
(付記4)
前記接続順序判定手段は、前記受信した順序特定情報、および前記自機の順序特定情報に、さらに、自機が現在接続している上位中継装置の順序特定情報を加えた情報に基づいて、前記接続優先順位を判定する
付記1乃至付記3のいずれか1つに記載の中継装置。
(付記5)
前記自機の順序特定情報は、中継装置間における接続順番の優先順位を表す優先順位ID情報としてあらかじめ設定され、
前記受信手段は、前記他の中継装置の順序特定情報として、他の中継装置の優先順位ID情報を受信する
付記1乃至付記4のいずれか1つに記載の中継装置。
(付記6)
アクセスポイントのビーコンの受信レベルを測定し、測定した受信レベルを表すビーコン受信レベル情報を、前記自機の順序特定情報として出力する受信レベル検出手段をさらに備え、
前記受信手段は、前記他の中継装置の順序特定情報として、他の中継装置のビーコン受信レベル情報を受信する
付記1乃至付記4のいずれか1つに記載の中継装置。
(付記7)
少なくとも複数の前記中継装置同士を多段接続することの可否に対する設定を受け付けることが可能な無線中継機設定手段をさらに有し、
前記多段接続の設定において、多段接続が許容する設定がなされなかった場合、前記接続制御は、アクセスポイントと直接接続する中継装置として動作するように自機を制御する
付記1乃至付記6のいずれか1つに記載の中継装置。
(付記8)
少なくとも、複数の前記中継装置同士を多段接続することの可否に対する設定、および、前記優先順位IDの設定を受け付けることが可能な無線中継機設定手段をさらに有し、
前記多段接続の設定において、多段接続が許容する設定がなされなかった場合、前記接続制御は、アクセスポイントと直接接続する中継装置として動作するように自機を制御する
付記5記載の中継装置。
(付記9)
他の中継装置の接続順序に係る情報を含む順序特定情報を受信し、
前記受信した順序特定情報、および自機の接続順序に係る情報を含む自機の順序特定情報に基づいて、自機と前記他の中継装置との間の接続優先順位を判定し、
前記接続優先順位に基づいて、自機の接続を制御する
中継方法。
(付記10)
自機の接続を制御した後に、前記自機の順序特定情報を含むエレメントを送信する
付記9記載の中継方法。
(付記11)
前記他の中継装置の順序特定情報を受信する際に、前記他の中継装置から受信する、無線LAN規格に規定されるマネージメントフレームから、前記他の中継装置の順序特定情報を検出することにより取得し、
前記エレメントを自機が送信するマネージメントフレームに含めて送信する
付記10記載の中継方法。
(付記12)
前記接続優先順位を判定する際に、前記受信した順序特定情報、および前記自機の順序特定情報に、さらに、自機が現在接続している上位中継装置の順序特定情報を加えた情報に基づいて、前記接続優先順位を判定する
付記9乃至付記11のいずれか1つに記載の中継方法。
(付記13)
他の中継装置の接続順序に係る情報を含む順序特定情報を受信する受信処理と、
前記受信した順序特定情報、および自機の接続順序に係る情報を含む自機の順序特定情報に基づいて、自機と前記他の中継装置との間の接続優先順位を判定し、前記接続優先順位を表す接続優先順位情報を出力する接続順序判定処理と、
前記接続優先順位情報に基づいて、自機の接続を制御する接続制御処理と
をコンピュータに実行させるコンピュータ・プログラム。
(付記14)
前記接続制御処理の後に、前記自機の順序特定情報を含むエレメントを送信する送信処理を
前記コンピュータに実行させる付記13記載のコンピュータ・プログラム。
(付記15)
前記送信処理において、前記エレメントを無線LAN規格に規定されるマネージメントフレームに含めて送信し、
前記受信処理において、前記他の中継装置から受信するマネージメントフレームから、前記他の中継装置の順序特定情報を検出する
付記14記載のコンピュータ・プログラム。
(付記16)
前記接続順序判定処理において、前記受信した順序特定情報、および前記自機の順序特定情報に、さらに、自機が現在接続している上位中継装置の順序特定情報を加えた情報に基づいて、前記接続優先順位を判定する
付記13乃至付記15のいずれか1つに記載の中継装置。