JP6211962B2 - イオンビームの純度監視装置、方法及びプログラム - Google Patents
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Description
そして、生成したプラズマは、その状態のまま加速器の入口まで輸送された後、電位差によりイオンのみが加速器に引き込まれ、イオンビームとして出力される(例えば、特許文献1,2参照)。
また、レーザで生成したプラズマ中に、目的とするイオン以外の不純物イオンが混入していると、ビーム品質の低下が懸念される。
そこで、イオン源から取り出されるイオンビームの純度を計測し、純度低下が観測された場合に、加速器の運転を停止するインターロックが、検討されている(例えば、特許文献3)。
これら不純物元素のイオン、水分由来の水素イオンや酸素イオン、残留ガス成分のイオンは、イオンビームに不純物イオンとして混入して、そのまま下流に輸送されてしまう。
このため、イオンビームの出力運転中において、その純度をリアルタイムで監視し、純度低下が観測された場合は、ただちに運転を停止することが望まれる。
このため、不純物イオンの誤計測により、上述のインターロック機能が、イオンビームの出力運転の安定性を、低下させる恐れがあった。
図1に示すようにイオン源10は、真空容器11の内部にターゲット12が収容され、この真空容器11の電位はこのターゲット12と同レベルに設定されている。
このイオン源10の外部には、レーザ発振部13が配置され、透明窓を通過してその内部に入射したレーザは、ターゲット12の表面を照射する。
このプラズマ14は、蒸発したターゲット12の元素が陽イオンと電子に電離した状態となっており、全体として電気的に中性になっている。
ターゲット12として、炭素系の板状部材を用いた場合、このプラズマ14には、目的とする多価の炭素イオンの他に、不純物元素のイオン、水分由来の水素イオンや酸素イオン、真空容器11内の残留ガス成分のイオンが不純物イオンとして混入することがある。
イオンビームの主軸Xが交わる真空容器11の壁には、プラズマ14の通過孔15が設けられている。
このプラズマ輸送管19により、プラズマ14は、拡散することなく線形加速器17の内部に導かれる。
なお、真空容器11の通過孔15には、広がった不要なプラズマ14を、プラズマ輸送管19に輸送しないよう排除するコリメータ18が設けられている。
このようにして、イオン源10で発生したプラズマ14は、連通路16を通過して線形加速器17に導入される。
このようにイオン源10を出発して高エネルギー化されたイオンビームは、例えば、がん治療に利用される重粒子線照射装置に利用される。
この分岐孔21は、真空容器11の内部に拡散したプラズマ14からイオンをその外部に導く。そして、分岐孔21から真空容器11の外部に導かれたイオンは、イオン種の定性・定量分析を実施する分析部20に案内される。
1/2・mv2 = 1/2・qerE (1)
v2 ∝ q/m (2)
一つのレーザバルス13aがターゲット12に照射されると、次のレーザバルス13bが照射されるまでの期間に、ターゲット12から放出された全てのイオンが飛行軌道25に沿って飛行して、検出部24に検出される。
図2に示すタイムカウンタ32によるタイムカウントのリセットフラグ38は、レーザの発振周期Tと同じ周期Tで設定されており、検出データ26は、取得されたタイミングで、その信号値がタイムラインに割り付けられる。
設定部35は、目的イオン及び不純物イオンの質量電荷比に対応するタイミングに対し、グラフ上にインジケータ39を設定する。
価数が異なる種々の元素イオンのインジケータ39の設定は、静電デフレクタ23(図1)の偏向半径r、電場E、イオン飛行距離等に基づいて計算により予め行うことが可能である。
例えば、図3に示すように、不純物元素である窒素(N)、酸素(O)の価数の異なるイオンの検出されるタイミングを予測して、インジケータ39を設定することができる。
そこで、カーボンイオンと分離検出が可能なN6+〜N1+、O7+〜O1+(O4+はC3+と分離でいないため除く)の検出ピークの有無を判断することにより、N7+、O8+イオンの混入の有無を間接的に推定することができる。
この場合、検出データ割付部33(図1)は、異なる周期のタイムカウント上の共通のタイミングに割り付けられている検出データの信号値を加算することにより、検出ピークのS/N比を向上させることができる。
この場合、図3のグラフの更新間隔は、加算回数に比例して広がってしまうが、監視のリアルタイム性を低下させることはない。
これにより、イオンビームに含まれる種々の不純物イオンを価数別に分けて、イオンビームの純度を評価することができる。
もしくは、判定部36は、不純物イオンのタイミング(インジケータ39)における検出データを全て加算した信号値が閾値を超えるか否かを判定する。
これにより、イオンビームに含まれる種々の不純物イオンを全て同一視して、イオンビームの純度を評価することができる。
DTL42は、電場が中心軸に平行な進行方向に向かう期間において、RFQ線形加速器41からのイオンビームを加速させ、電場が進行方向とは逆に向かう期間において、イオンビームをドリフトチューブの中に通過させることにより、イオンビームを徐々に加速させる。
円形加速器43は、DTL42からのイオンビームを電場により周回軌道に沿って周回加速させて、照射対象の部位に照射するための重粒子線45を出力する。
ゲートバルブ44は、イオンビームの純度監視装置30が出力する異常信号27に応じて閉じることによりイオンビームの出力を停止する。
すなわち、不純物イオンの混入によりイオンビームの純度が低下した場合、イオン加速器は、ゲートバルブ44を閉じて、運転を停止する。
ターゲット12の不純物元素、付着水分、真空容器11内の残留ガス成分等から、イオンビームに含まれる不純物イオンを推定し、これら不純物イオンの質量電荷比に対応する検出タイミングを、設定部35に設定する(S11)。
そして、取得した検出データの信号値を、タイムカウントのタイミングに従ってタイムライン上(図3:横軸)に、縦軸に対し割り付ける(S15)。
そして、レーザ発振の一つの周期が経過して次の周期Tに入ったところで(S16:Yes)、タイムカウンタ32をリセットし(S17:No,S13)、上述した(S16)までのフローを繰り返す。この(S13)〜(S17:No)のフローを繰り返す度に、検出ピークがS/N比が向上する。
加算回数が所定値に到達したところで(S17:Yes)、不純物イオンのタイミングに一致する検出ピークが閾値を超えるか否かを判定する(S18)。
そして、閾値超えの判定がなされた場合は、イオンビームの純度が低下したと判断して異常信号を出力し、イオン加速器の運転を緊急停止する(S20)。
また、イオンビームの純度監視装置の構成要素は、コンピュータのプロセッサで実現することも可能であり、イオンビームの純度監視プログラムにより動作させることが可能である。
Claims (3)
- レーザが照射されたターゲットから放出されるイオンビームの主軸に対し角度をなす方向に放出されたイオンの検出データを取得する取得部と、
前記レーザの発振周期と同じ周期でタイムカウントを繰り返すタイムカウンタと、
前記検出データの信号値を前記タイムカウントのタイミングに割り付ける割付部と、
前記イオンビームを構成する目的イオンとは異なる不純物イオンの質量電荷比に対応するタイミングを設定する設定部と、
前記不純物イオンのタイミングに一致する前記検出データの信号値が閾値を超えるか否かを判定する判定部と、
前記閾値超えの判定がなされた場合に異常信号を出力する出力部と、を備え、
前記割付部は、異なる周期の前記タイムカウント上の共通のタイミングに割り付けられている前記検出データの信号値を加算し、
前記判定部は、前記不純物イオンのタイミングにおける前記検出データを全て加算した信号値が前記閾値を超えるか否かを判定することを特徴とするイオンビームの純度監視装置。 - レーザが照射されたターゲットから放出されるイオンビームの主軸に対し角度をなす方向に放出されたイオンの検出データを取得するステップと、
前記レーザの発振周期と同じ周期でタイムカウントを繰り返すステップと、
前記検出データの信号値を前記タイムカウントのタイミングに割り付けるステップと、
前記イオンビームを構成する目的イオンとは異なる不純物イオンの質量電荷比に対応するタイミングを設定するステップと、
前記不純物イオンのタイミングに一致する前記検出データの信号値が閾値を超えるか否かを判定するステップと、
前記閾値超えの判定がなされた場合に異常信号を出力するステップと、を含み、
前記割り付けるステップでは、異なる周期の前記タイムカウント上の共通のタイミングに割り付けられている前記検出データの信号値を加算し、
前記判定するステップでは、前記不純物イオンのタイミングにおける前記検出データを全て加算した信号値が前記閾値を超えるか否かを判定することを特徴とするイオンビームの純度監視方法。 - コンピュータに、
レーザが照射されたターゲットから放出されるイオンビームの主軸に対し角度をなす方向に放出されたイオンの検出データを取得するステップ、
前記レーザの発振周期と同じ周期でタイムカウントを繰り返すステップ、
前記検出データの信号値を前記タイムカウントのタイミングに割り付けるステップ、
前記イオンビームを構成する目的イオンとは異なる不純物イオンの質量電荷比に対応するタイミングを設定するステップ、
前記不純物イオンのタイミングに一致する前記検出データの信号値が閾値を超えるか否かを判定するステップ、
前記閾値超えの判定がなされた場合に異常信号を出力するステップ、を実行させ、
前記割り付けるステップでは、異なる周期の前記タイムカウント上の共通のタイミングに割り付けられている前記検出データの信号値を加算し、
前記判定するステップでは、前記不純物イオンのタイミングにおける前記検出データを全て加算した信号値が前記閾値を超えるか否かを判定することを特徴とするイオンビームの純度監視プログラム。
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