JP6211745B1 - アンテナ調整装置およびアンテナ調整方法 - Google Patents
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Abstract
Description
具体的には、三次元空間内における姿勢に関する情報を取得するセンサと、前記センサを装着したアンテナを、前記複数の軸のそれぞれを中心として回転させた場合における前記センサの出力の変化を軸ごとに取得することで、それぞれの軸に対応する複数のベクトルを取得する可動軸取得手段と、前記センサが出力した情報に基づいて、前記アンテナの指向軸に対応する第一の方向を取得する第一の方向取得手段と、前記アンテナの指向軸を合わせるべき方向である第二の方向を取得する第二の方向取得手段と、前記第一の方向と第二の方向を一致させるためにアンテナを回転すべき角度である補正角度を、前記複数のベクトルを用いて前記軸ごとに算出する算出手段と、を有し、前記第一および第二の方向は、地球を基準とした座標系で表されることを特徴とする。
また、可動軸取得手段は、アンテナの姿勢を調整するための回転軸の向きをベクトル形式で取得する手段である。具体的には、複数の軸を中心としてアンテナを実際に回転させ、軸ごとに取得したセンサの出力結果に基づいて、回転軸に対応するベクトル(以下、軸ベクトル)を取得する。
また、第二の方向取得手段は、アンテナの指向軸を合わせるべき方向(第二の方向)を求める手段である。第二の方向は、典型的には、アンテナの設置場所から見た静止衛星の方向である。第二の方向は、手動で入力してもよいし、予め記憶された情報の中から選択してもよい。また、センサにGPS受信機が含まれる場合、予め記憶された情報とGPS座標とを用いて取得してもよい。
第一および第二の方向は、地球を基準とした座標系(例えばECEF直交座標系)で表される。これにより、アンテナが地球上のどこに設置されていても同じ方法で調整が行えるようになる。
かかる構成によると、センサを装着したアンテナを軸ごとに動かすだけで、衛星を捕捉するためにどの程度の回転量が必要なのかを得ることができる。すなわち、衛星から受信した信号の強度を観察する必要がなくなり、アンテナの調整を容易に行うことができるようになる。
符号101は、赤道上に位置する静止軌道上を周回する静止人工衛星(以下、衛星)であり、符号102は、衛星101と通信を行うアンテナである。アンテナと衛星との間の通信は、UHF帯やSHF帯といった高い周波数の電波を用いて行われる。符号103は、電波の伝播経路である。当該伝播経路は、衛星101とアンテナ102とを直線で結ぶ経路となる。
以下、この問題を解決するための、本発明の実施形態について説明する。
第一の実施形態に係るアンテナ調整装置は、アンテナの現在の姿勢についての情報を取得したうえで、衛星を捕捉する(すなわち、アンテナの指向軸を衛星の方向と合わせる)ために必要な回転角を、方位角と仰角のそれぞれについて算出し、ユーザに通知する装置である。当該通知結果に基づいてユーザがアンテナの角度を調整することで、アンテナを理想的な角度に調整することができる。
地磁気センサ12は、磁北の方向を検出する手段である。本実施形態では地磁気センサを用いるが、センサモジュール10に対してどちらの方向に磁北があるかを検出できれば、どのようなセンサを用いてもよい。
GPS受信部13は、地球上におけるセンサモジュール10の位置を検出する手段である。本実施形態では、GPS受信部13は、緯度および経度を取得するものとするが、地球上におけるセンサモジュール10の位置を検出できれば、これ以外を取得するものであってもよい。
演算装置20は、CPU、主記憶装置、補助記憶装置を有するコンピュータである。補助記憶装置に記憶されたプログラムが主記憶装置にロードされ、CPUによって実行されることで、本明細書で説明する機能が実行される。なお、図示した機能の全部または一部は、専用に設計された回路を用いて実行されてもよい。
入出力部24は、ユーザが行った入力操作を受け付け、ユーザに対して情報を提示する手段である。本実施形態では一つのタッチパネルディスプレイからなる。すなわち、液晶ディスプレイとその制御手段、タッチパネルとその制御手段から構成される。
図5〜図7は、演算部23が行う処理のフローチャート図である。
アンテナの調整を開始する際は、まず、対象のアンテナ102を組み立て、方位角および仰角を調整可能な状態とする。アンテナは、例えば、図2に示したように、ポールに固定してもよいし、ベランダの柵のような平面に固定してもよい。準備ができたら、ユーザは、入出力部24を通して、調整を開始する旨の入力を行う。
具体的には、GPS受信部13を用いて、センサモジュールのGPS座標を取得する。ここで得られる情報は、WGS84測地系に則った、緯度(φ),経度(λ),楕円体対高(h)の組み合わせ(以下、GPS測地座標)である。なお、演算部23は、のちの計算のため、得られたGPS測地座標をECEF直交座標系に変換する。ECEF直交座標系とは、地球の中心を原点とする直交座標系であり、各軸は以下のように定義される。
X軸:極運動の自転軸の北極方向
Y軸:経度0度と平均赤道面との交線
Z軸:Z軸およびX軸と右手直交系をなす直線
GPSによって計測された座標(φ,λ,h)は、以下の式によってECEF直交座標系における座標P(x0,y0,z0)に変換することができる。
x0=(N+h)cosφcosλ
y0=(N+h)cosφsinλ
z0={N(1−e2)+h}sinφ
なお、N=a/√(1−e2sin2φ)であり、e2=2f−f2である。(aは赤道面平均半径、fは地球の偏平率)
なお、重力方向の加速度についても、地球の自転による遠心力、自転による加速度、月や太陽の重力などの影響を受けるが、地球の重力と比較すると十分に小さいため、ここでは無視する。
ステップS21は、センサモジュール10設置された地点Pにおける重力ベクトルを、ECEF座標系で取得するステップである。GPSによって得られた緯度は、WGS84の準拠楕円対に基づくものであるため、ECEF座標系の原点(すなわち地球の中心)と、センサモジュール10が設置された地点Pを結ぶベクトルが必要となる。
地点Pの座標(x0,y0,z0)はステップS11で既に取得しているため、地点Pでの、ECEF座標系における重力ベクトルgpは、(−x0,−y0,−z0)と表すことができる。また、向きが等しい単位ベクトルは、gp/|gp|と表すことができる。
静止軌道衛星は、赤道上空の一定の高度、任意の経度に存在するため、衛星の経度がわかれば、ECEF直交座標系における座標に変換することができる。例えば、衛星が東経β度に位置する場合、ECEF直交座標系における座標(xtgt,ytgt,ztgt)は、(rfsscosβ,rfsssinβ,0)と表すことができる。このとき、rfssは静止軌道衛星の公転半径である。なお、実際には公転半径は多少変動するが、20〜50kmと公転半径に比べて十分に小さいため、ここでは無視する。
βおよびrfssは、図4に示したように、衛星情報記憶部22に予め記憶させておく。なお、本例ではβおよびrfssを用いるが、衛星の位置を特定することができれば、他の情報を用いてもよい。
センサモジュール10の座標が(x0,y0,z0)であり、衛星の座標が(xtgt,ytgt,ztgt)であるため、この二点を結ぶ直線は、式(1)によって表すことができる。
また、この二点を結ぶベクトル(νtgt)は、(xtgt−x0,ytgt−y0,ztgt−z0)と表すことができる。また、向きが等しい単位ベクトルは、νtgt/|νtgt|と表すことができる。
本実施形態で調整を行う対象のアンテナ102は、方位角および仰角方向に回転可能である。しかし、前述したように、アンテナの設置基台(図2の例では設置ポール201)は必ずしも垂直であるとは限らない。そこで、本実施形態に係るアンテナ調整装置は、アンテナが回転可能な軸の向きを検出し、当該軸を中心として回転すべき角度を算出する。
ステップS31が、方位角を調整するための軸を取得するステップであり、ステップS32が、仰角を調整するための軸を取得するステップである。また、ステップS33〜S35が、取得した軸に基づいて、必要な回転量を算出するステップである。
具体的には、方位角の調整方向にアンテナを回転させながら、3点以上の異なる任意の位置で一旦停止させ、その状態で演算部23がセンサ座標系における重力ベクトルを得る。
これにより、3点で得られたベクトルの座標点を通る平面が定義でき、その法線が方位角調整の回転軸となる。すなわち、法線の単位ベクトルと回転軸の単位ベクトルは、一致するか、逆ベクトルとなる。
(1)νa'=(xa,ya,za)
(2)νb'=(xb,yb,zb)
(3)νc'=(xc,yc,zc)
であったとき、これらをそれぞれ点A,点B,点Cの位置ベクトルとみなせば、3点を通る平面の法線ベクトルは、(AB),(BC),(CA)のいずれか二つの外積から求めることができる(ベクトル符号は省略)。なお、(AB)および(BC)は、式(2)で表すことができる。
重力ベクトルg'とνAZ'は、アンテナが重力方向に対して水平に設置された場合に一致する。しかし、アンテナが重力方向に対して水平に設置されていない場合、二つのベクトルから回転四元数を求めることで、方位角を調整するための軸(ECEF座標系におけるベクトル)を求めることができる。
具体的には、仰角の調整方向にアンテナを回転させながら、3点以上の異なる任意の位置で一旦停止させ、その状態で演算部23がセンサ座標系における重力ベクトルを得る。
これにより、3点で得られたベクトルの座標点を通る平面が定義でき、その法線が仰角調整の回転軸となる。すなわち、法線の単位ベクトルと回転軸の単位ベクトルは、一致するか、逆ベクトルとなる。
なお、計算式はステップS31と同様であるため、ここでは省略する。
また、ステップS31と同様に、取得したベクトルの単位ベクトルをνEL'として一時的に記憶する。
ここでは、仮に、ベクトルν1=(x1,y1,z1)と、ベクトルν2=(x2,y2,z2)があり、ν1をν2まで回転させることを考える。回転を表す場合、回転軸のベクトルと回転角が必要となる。回転軸のベクトルは、二つのベクトルを含む面の法線ベクトルとなるため、二つのベクトルの外積に相当する(式(4))。
i2=j2=k2=ijk=−1
ij=−ji=k,jk=−kj=i,ki=−ik=j
回転を表す四元数は、ECEF座標系、アンテナ座標系、センサ座標系のいずれにおいても利用することができる。本実施形態では、ECEF座標系を利用するものとするが、座標系を変換するための情報があれば、アンテナ座標系およびセンサ座標系を用いてもよい。
四元数を用いると、座標系の原点を通る軸における回転を、簡易な計算で求めることができる。しかし、原点を通らない軸を用いる場合、回転の中心を一度原点に移し、回転後に回転前の座標に戻す必要があり、計算が複雑になる。そこで、今後の計算では、アンテナ座標系における原点を回転の中心として計算を行う。
なお、アンテナの仰角調整の回転軸はアンテナ座標系の原点を通らない場合もあるが、ECEF座標系においては十分に近接しており、無視できるものとする。つまり、四元数空間の直交座標系の原点と、アンテナ座標系の原点が一致している前提で説明を行う。
例えば、qa→sを表す四元数をエンコードし、二次元バーコードにしたものをセンサベースの近辺に印刷し、それを演算装置20が取得する(例えばカメラで撮像してデコードする)ようにしてもよい。このようにすることで、センサベースを複数設けた場合であっても、対応する四元数を容易に取得することができるようになる。
なお、方位角を変更すると、仰角方向の回転軸νELも移動してしまうため、本実施形態では、まず方位角の調整量を算出したあとで、仰角の調整量を算出する。以後の説明では、νELは、νAZを軸として回転した後の、補正された仰角方向の回転軸として取り扱う。
qadj=qELqAZ
で表すことができる。
よって、各軸の回転角(αおよびβ)については、式(23)を満たすαおよびβを求めることで決定することができる。
このステップが終了すると、アンテナの指向方向と、理論値が一致していることになる。
なお、本例では、方位角の調整と仰角の調整を別々のステップで行ったが、双方を平行して実行してもよい。例えば、図8のような画面を表示してユーザに調整を実施させてもよい。
また、アンテナを実際に動かすことで、方位角を調整するための軸に対応するベクトルと、仰角を調整するための軸に対応するベクトルを取得する。これにより、軸が傾いた状態でアンテナが設置されていたとしても、調整すべき角度を正確に算出することができる。
アンテナによって送受信される電磁波が、偏波隔離を行っていない場合や、旋回偏波を利用している場合、第一の実施形態に係るアンテナ調整装置でアンテナを調整することができる。しかし、水平偏波と垂直偏波による偏波隔離が行われている場合、偏波角の調整が必要になる場合がある。第二の実施形態では、偏波角の調整が可能なアンテナ調整装置について説明する。
調整対象のアンテナが地上で固定されている場合、一度指向方向(偏波角)の調整が完了すると、その後の調整の必要はない。
一方、移動体(航空、船舶、車両など)に指向性の鋭いアンテナを搭載する場合、運行に伴う移動や姿勢の変動により指向軸の方向が変化してしまう。このため、アンテナの指向方向、アンテナの偏波面を自動で調整し、揺動補正を行う自動追尾型アンテナが利用されている。
第三の実施形態では、第一および第二の実施形態に係るアンテナ調整装置において、短いタイムフレームで姿勢の変化を測定し、その変化を四元数として把握したうえで、その共役四元数に相当する制御をアンテナの姿勢制御装置に出力する。これにより、アンテナと衛星を常に正対させることが可能になる。
なお、第一および第二の実施形態では、独立したアンテナ調整装置を利用したが、アンテナの姿勢制御装置を用いる場合、当該姿勢制御装置に、前述したアンテナ調整装置の機能を持たせてもよい。
例えば、実施形態の説明では、センサモジュール10を、専用のハードウェアであるものとしたが、センサモジュール10は、スマートフォンやウェアラブルコンピュータといったような、小型のコンピュータであってもよい。
また、実施形態の説明では、センサモジュール10と演算装置20をそれぞれ独立した装置であるものとしたが、単一のハードウェア(例えばスマートフォンやタブレットコンピュータ)に双方を含ませてもよい。例えば、スマートフォンに内蔵されたセンサをセンサモジュール10として用い、当該スマートフォンで実行されるプログラムによって演算装置20を実装してもよい。
また、実施形態の説明では、地上(地球局)と衛星との間の通信を例に挙げたが、本発明は、衛星通信のみならず、地上同士の無線通信や、移動体同士の無線通信にも適用することもできる。
11 加速度センサ
12 地磁気センサ
13 GPS受信部
20 演算装置
21 センサ情報取得部
22 衛星情報記憶部
23 演算部
24 入出力部
101 衛星アンテナ
102 アンテナ装置
104 指向軸
201 設置ポール
Claims (9)
- 指向性を有し、複数の軸によって姿勢を変更可能なアンテナの姿勢の調整に用いるアンテナ調整装置であって、
三次元空間内における姿勢に関する情報を取得するセンサと、
前記センサを装着したアンテナを、前記複数の軸のそれぞれを中心として回転させた場合における前記センサの出力の変化を軸ごとに取得することで、それぞれの軸に対応する複数のベクトルを取得する可動軸取得手段と、
前記センサが出力した情報に基づいて、前記アンテナの指向軸に対応する第一の方向を取得する第一の方向取得手段と、
前記アンテナの指向軸を合わせるべき方向である第二の方向を取得する第二の方向取得手段と、
前記第一の方向と第二の方向を一致させるためにアンテナを回転すべき角度である補正角度を、前記複数のベクトルを用いて前記軸ごとに算出する算出手段と、を有し、
前記第一および第二の方向は、地球を基準とした座標系で表される
ことを特徴とする、アンテナ調整装置。 - 前記センサは、重力方向、真北の方向、GPS座標を取得可能なセンサであり、
前記第一の方向取得手段は、前記重力方向、真北の方向、GPS座標を用いて前記第一の方向を取得する
ことを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ調整装置。 - 前記第二の方向取得手段は、前記センサが取得したGPS座標と、予め記憶された衛星の位置情報とを用いて前記第二の方向を決定する、
ことを特徴とする、請求項2に記載のアンテナ調整装置。 - 前記第一の方向取得手段は、前記アンテナにおける前記センサの装着位置に関する情報であるセンサ位置情報を取得し、当該情報をさらに用いて前記第一の方向を取得する
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のアンテナ調整装置。 - 前記アンテナは、前記センサを装着するセンサベースを一つ以上有し、
前記第一の方向取得手段は、前記センサが装着されたセンサベースに対応するセンサ位置情報を取得する
ことを特徴とする、請求項4に記載のアンテナ調整装置。 - 前記第一の方向および第二の方向は、ECEF座標系を用いて表される
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のアンテナ調整装置。 - 前記複数の軸を中心として前記アンテナを回転させることで当該アンテナの姿勢を変更する駆動手段をさらに有し、
前記算出手段は、衛星を追従するために必要な補正角度を所定の周期で算出し、前記駆動手段が、算出した前記補正角度に基づいてアンテナの姿勢を補正する
ことを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載のアンテナ調整装置。 - 前記複数の軸は、方位角に対応する軸および仰角に対応する軸からなる
ことを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載のアンテナ調整装置。 - 指向性を有し、複数の軸によって姿勢を変更可能なアンテナの姿勢を調整するアンテナ調整方法であって、
三次元空間内における姿勢に関する情報を取得するセンサを装着したアンテナを、前記複数の軸のそれぞれを中心として回転させた場合における前記センサの出力の変化を軸ごとに取得することで、それぞれの軸に対応する複数のベクトルを取得する可動軸取得ステップと、
前記センサが出力した情報に基づいて、前記アンテナの指向軸に対応する第一の方向を取得する第一の方向取得ステップと、
前記アンテナの指向軸を合わせるべき方向である第二の方向を取得する第二の方向取得ステップと、
前記第一の方向と第二の方向を一致させるためにアンテナを回転すべき角度である補正角度を、前記複数のベクトルを用いて前記軸ごとに算出する算出ステップと、を含み、
前記第一および第二の方向は、地球を基準とした座標系で表される
ことを特徴とする、アンテナ調整方法。
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