本発明の弁装置の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の弁装置の一実施形態を示す断面図である。
図1の弁装置1は、筒状の外筒2と、この外筒2に周方向に回転可能に内装される円筒状の内筒10とを備える。外筒2には、側壁部7に、第1流体が流入する第1流体側流入口3、及び第2流体が流入する第2流体側流入口4が設けられている。また、第1流体と第2流体との混合流体が流出する第1の混合流体側流出口5及び第2の混合流体側流出口6も設けられている。これら第1流体側流入口3、第2流体側流入口4、第1の混合流体側流出口5及び第2の混合流体側流出口6は軸方向に互いに離れて設けられている。内筒10には、側壁部11に、第1流体側流入口3に対応する第1流体側開口12、及び第2流体側流入口4に対応する第2流体側開口13が設けられている。また、第1の混合流体側流出口5に対応する第1の混合流体側開口60、及び第2の混合流体側流出口6に対応する第2の混合流体側開口61も設けられている。これら第1流体側開口12、第2流体側開口13、第1の混合流体側開口60、及び第2の混合流体側開口61は軸方向に互いに離れて設けられている。ここで、次の4つの対は、内筒10の周方向の回転によって各々連通状態又は非連通状態とされている。4つの対は、第1流体側流入口3と第1流体側開口12との対、第2流体側流入口4と第2流体側開口13との対、第1の混合流体側流出口5と第1の混合流体側開口60との対、及び第2の混合流体側流出口6と第2の混合流体側開口61との対、である。さらに、混合流体が第1の混合流体側流出口5又は第2の混合流体側流出口6から流出可能に、第1の混合流体側流出口5と第1の混合流体側開口60との対が連通状態のとき第2の混合流体側流出口6と第2の混合流体側開口61との対は非連通状態とされている。第2の混合流体側流出口6と第2の混合流体側開口61との対が連通状態のとき第1の混合流体側流出口5と第1の混合流体側開口60との対は非連通状態とされている。以下、詳細に説明する。
弁装置1は、図1に示されるように、円筒状の外筒2と、この外筒2に周方向に回転可能に内装される円筒状の内筒10とを備える。弁装置1はさらに筒状のケーシング8を備えていてもよく、外筒2及び内筒10はケーシング8に水密に収納される。
外筒2は、弁装置本体として構成される。外筒2は、第1流体(例えば、水)が流入する第1流体側流入口3、第2流体(例えば、湯)が流入する第2流体側流入口4、第1流体と第2流体との混合流体(例えば、湯水混合流体)が流出する第1の混合流体側流出口5及び第2の混合流体側流出口6を有する。これら第1流体側流入口3、第2流体側流入口4、第1の混合流体側流出口5及び第2の混合流体側流出口6は、外筒2の主体を構成する側壁部7に、内外に貫通する開口部として形成され、軸方向に互いに離れて設けられている。「軸方向に互いに離れて設けられている」とは、第1流体側流入口3、第2流体側流入口4、第1の混合流体側流出口5及び第2の混合流体側流出口6が側壁部7の周方向の一の位置において軸方向にずれて設けられていることのみを意図しない。第1流体側流入口3、第2流体側流入口4、第1の混合流体側流出口5及び第2の混合流体側流出口6それぞれが側壁部7の周方向の異なる位置において軸方向にずれて設けられていることも含むことを意図する。図1の弁装置1では、第1流体側流入口3及び第1の混合流体側流出口5が側壁部7の周方向の一の位置に設けられている。第2流体側流入口4及び第2の混合流体側流出口6は、側壁部7に、第1流体側流入口3及び第1の混合流体側流出口5の周方向180°の位置に設けられている。
図1の弁装置1は、第1流体側流入口3、第2流体側流入口4、第1の混合流体側流出口5及び第2の混合流体側流出口6が、側壁部7に、紙面の上から下方向に向かって順に設けられているが、その配置の順序はこれに限定されない。第1流体及び第2流体を流入させる1次側の配管、混合流体を流出させる2次側の配管の位置などを考慮して適宜設定すればよい。第1流体側流入口3、第2流体側流入口4、第1の混合流体側流出口5及び第2の混合流体側流出口6が設けられる側壁部7の周方向の位置も本実施形態に限定されるものではなく、上記した配管の位置などを考慮して適宜設定すればよい。
ケーシング8は、外筒2の第1流体側流入口3に対応した開口40と、外筒2の第2流体側流入口4に対応した開口41を有する。また、ケーシング8は、外筒2の第1の混合流体側流出口5に対応した開口42と、外筒2の第2の混合流体側流出口6に対応した開口43も有する。ケーシング8には、第1流体を供給する第1流体供給配管、第2流体を供給する第2流体供給配管、混合流体を供給する第1の混合流体供給配管及び第2の混合流体供給配管がそれぞれ、ケーシング8の開口40、41,42,43と連通可能に接続されている。第1流体は、第1流体供給配管を通じて第1流体側流入口3から外筒2内の内筒10に導入される。第2流体は、第2流体供給配管を通じて第2流体側流入口4から外筒2内の内筒10に導入される。内筒10に導入された流体は、混合流体として第1の混合流体側流出口5又は第2の混合流体側流出口6から吐出される。第1の混合流体側流出口5から吐出される混合流体は、第1の混合流体供給配管を通じて所望の箇所に供給される。第2の混合流体側流出口6から吐出される混合流体は、第2の混合流体供給配管を通じて所望の箇所に供給される。
内筒10は、弁体として構成される。内筒10の主体を構成する側壁部11には、第1流体側流入口3に対応する第1流体側開口12と、第2流体側流入口4に対応する第2流体側開口13とが内外に貫通して設けられている。第1流体側開口12、第2流体側開口13、後述する第1の混合流体側開口60及び第2の混合流体側開口61は、軸方向に互いに離れて設けられている。「第1流体側流入口3に対応する第1流体側開口12」とは、内筒10の周方向の回転によって第1流体側流入口3に重なる第1流体側開口12を意図する。また、「第2流体側流入口4に対応する第2流体側開口13」とは、内筒10の周方向の回転によって第2流体側流入口4に重なる第2流体側開口13を意図する。
第1流体側流入口3と第1流体側開口12とが重なり連通すると、第1流体側流入口3と第1流体側開口12とからなる第1流体側流路14が形成される。第1流体は、第1流体側流路14を流通して内筒10内に導入される。第2流体側流入口4と第2流体側開口13とが重なり連通すると、第2流体側流入口4と第2流体側開口13とからなる第2流体側流路15が形成される。第2流体は、第2流体側流路15を流通して内筒10内に導入される。
内筒10の側壁部11には、さらに、第1の混合流体側流出口5に対応する第1の混合流体側開口60と、第2の混合流体側流出口6に対応する第2の混合流体側開口61とが内外に貫通して設けられている。「第1の混合流体側流出口5に対応する第1の混合流体側開口60」とは、内筒10の周方向の回転によって第1の混合流体側流出口5に重なる第1の混合流体側開口60を意図する。また、「第2の混合流体側流出口6に対応する第2の混合流体側開口61」とは、内筒10の周方向の回転によって第2の混合流体側流出口6に重なる第2の混合流体側開口61を意図する。
第1の混合流体側流出口5と第1の混合流体側開口60とが重なり連通すると、後述する内部流路16を流通する混合流体は、第1の混合流体側流出口5から吐出される。第2の混合流体側流出口6と第2の混合流体側開口61とが重なり連通すると、内部流路16を流通する混合流体は、第2の混合流体側流出口6から吐出される。
内筒10の側壁部11の内部には、第1流体側流路14及び第2流体側流路15から導入された第1流体及び第2流体(第1流体と第2流体との混合流体)が流通する内部流路16が形成されている。
内筒10の軸方向一端には、側壁部11の中心軸と一致するように回転軸18が形成されている。回転軸18は、ステッピングモータなどのモータに連結可能とされ、モータの回転駆動によって内筒10を周方向に回転させることができる。
本実施形態では、次の4つの対は、内筒10の周方向の回転によって各々連通状態又は非連通状態とされる。4つの対とは、第1流体側流入口3と第1流体側開口12との対、第2流体側流入口4と第2流体側開口13との対、第1の混合流体側流出口5と第1の混合流体側開口60との対、及び第2の混合流体側流出口6と第2の混合流体側開口61との対、である。「内筒10の周方向の回転によって各々連通状態又は非連通状態とされる」とは、特定の条件が明記されている場合を除き、内筒10を周方向に所定角度回転させたとき、各対が別個に連通状態又は非連通状態となっていることを意図する。つまり、内筒10の周方向の回転によって、各対は、異なる開口度で連通状態になっていてもよいことを意図する。内筒10を周方向に回転させると、各対の開口度に応じて第1流体及び第2流体が内筒10に流入し混合流体が内筒10から吐出するので、混合流体における第1流体と第2流体との混合比の調整や、混合流体の流量の調整が可能となる。
本実施形態では、第1の混合流体側流出口5と第1の混合流体側開口60との対(以下、単に、対Aともいう)と、第2の混合流体側流出口6と第2の混合流体側開口61との対(以下、単に、対Bともいう)とが次の関係を有して形成される。すなわち、混合流体を第1の混合流体側流出口5から流出させることができるように、対Aが連通状態のとき対Bは非連通状態とされている。また、混合流体を第2の混合流体側流出口6から流出させることができるように、対Bが連通状態のとき対Aは非連通状態とされている。つまり、混合流体を第1の混合流体側流出口5のみから吐出させたいときには対Aの開口度を全開し対Bの開口度を全閉し、第2の混合流体側流出口6のみから吐出させたいときには対Bの開口度を全開し対Aの開口度を全閉する構成としておく。このように、対Aと対Bとが上記した関係を有して形成されることで、混合流体の吐出口(弁装置1から吐出される混合流体の流路方向)を切り替えることができる。
したがって、本実施形態では混合流体における第1流体と第2流体との混合比の調整、混合流体の流量の調整、混合流体の吐出口の切り替えなどを一つの弁装置1で行うことができ、水栓装置の低コスト化及び小型化が可能となる。
第1流体側流路14の断面積と第2流体側流路15の断面積はそれぞれ、内筒10の周方向の回転に従って変化する。すなわち、内筒10の周方向の回転に従って第1流体側流入口3に対する第1流体側開口12の重なり度合いが変わり、第1流体側開口12の開口度(第1流体側流入口3と第1流体側開口12との対の開口度)が変わる。本実施形態では、第1流体側開口12の開口部分の開口断面積(周面方向の断面積)を第1流体側流路14の断面積としている。ここで、「第1流体側開口12の開口部分」とは、第1流体側流入口3に対して第1流体側開口12が重なっている部分を意図する。第2流体側流路15の断面積の変化についても同様である。内筒10の周方向の回転に従って第2流体側流入口4に対する第2流体側開口13の重なり度合いが変わり、第2流体側開口13の開口度(第2流体側流入口4と第2流体側開口13との対の開口度)が変わる。第2流体側開口13の開口部分の開口断面積を第2流体側流路15の断面積としている。ここで、「第2流体側開口13の開口部分」とは、第2流体側流入口4に対して第2流体側開口13が重なっている部分を意図する。
図1の弁装置1は、第1流体側流路14の断面積と第2流体側流路15の断面積との断面積比率が一定となる関係を有して形成されていてもよい。このような弁装置1は、第1流体側流路14の断面積と第2流体側流路15の断面積が変化する内筒10の回転の範囲内において、第1流体と第2流体との混合比が一定であって流量が異なる混合流体を吐出させることができる。
上記した関係を有する弁装置1では、第1流体側開口12と第2流体側開口13とが、例えば、周方向長さが同一で軸方向長さも同一の同一形状の開口、または周方向長さが同一で軸方向長さが異なる軸方向に引き伸ばした相似形状の開口を有していればよい。
図2(a)(b)はそれぞれ、図1の弁装置1の内筒10を周方向に展開した模式図である。図2(a)(b)にはそれぞれ、外筒の第1流体側流入口3、第2流体側流入口4、第1の混合流体側流出口5、及び第2の混合流体側流出口6を付している。図2(b)は、図2(a)の内筒10を周方向に120°回転させた状態を、内筒10を基準に示している。図2(b)の外筒の第1流体側流入口3、第2流体側流入口4、第1の混合流体側流出口5、及び第2の混合流体側流出口6の位置はそれぞれ図2(a)の位置から周方向に120°ずれている。図2では、図1に示した実施形態と同じ部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
内筒10の第1流体側開口12と第2流体側開口13はともに、周方向長さが同一で略三角形状の開口を有している。この開口は、軸方向に対称な形状である。すなわち、紙面において上下対称な形状となっている。第2流体側開口13は、その開口の軸方向長さが第1流体側開口12よりも長くなっており、第2流体側開口13の大きさは第1流体側開口12の大きさよりも大きい。これら第1流体側開口12と第2流体側開口13の大きさは、対応する第1流体側流入口3と第2流体側流入口4の開口の大きさよりも小さい。第1流体側開口12は、内筒10の回転によって略三角形状の開口の頂部が最先に外筒の第1流体側流入口に重なるように形成されている。第2流体側開口13も、内筒10の回転によって略三角形状の開口の頂部が最先に外筒の第2流体側流入口に重なるように形成されている。こうすることで、後述する図3(a)の状態から内筒10の回転を開始した際、小流量の流体を内筒10に導入し、第1の混合流体側流出口5又は第2の混合流体側流出口6から小流量の流体を吐出することができる。したがって、大流量の流体の急激な吐出を抑えることができる。
第1流体側開口12及び第2流体側開口13は、第1流体側開口12の開口度が全開(又は全閉)状態のとき第2流体側開口13の開口度が全開(又は全閉)状態となるような位置に形成される。さらに、第1流体側開口12及び第2流体側開口13は、内筒10の回転に伴い、全閉(又は全開)状態の第1流体側開口12の開口度が増加(又は減少)し、全閉(又は全開)状態の第2流体側開口13の開口度が増加(又は減少)するような位置に形成される。つまり、外筒の側壁部の周方向での第1流体側流入口3と第2流体側流入口4の相互の位置関係と同じ位置関係となるように、第1流体側開口12と第2流体側開口13は側壁部11に互いに周方向にずれて形成される。この実施形態は、第2流体側流入口4が外筒の側壁部の第1流体側流入口3の周方向180°の位置に形成されている例であり、第2流体側開口13は側壁部11の第1流体側開口12の周方向180°の位置に形成される。
また、第1の混合流体側開口60及び第2の混合流体側開口61は、側壁部11に、対Aが連通状態のとき対Bが非連通状態となり対Bが連通状態のとき対Aが非連通状態となるような位置に形成される。より詳細には、第1流体側開口12と第2流体側開口13とからなる組に加えて、別途、第1流体側開口12’と第2流体側開口13’とからなる組を側壁部11に設ける。第1流体側開口12’と第2流体側開口13’とからなる組は、第1流体側開口12と第2流体側開口13とからなる組に対して、周方向120°ずれた位置に設けられている。ここで、第1流体側開口12の開口度及び第2流体側開口13の開口度が開状態のとき、対Bが連通状態、対Aが非連通状態となるような位置に、第2の混合流体側開口61が側壁部11に設けられる。また、第1流体側開口12’の開口度及び第2流体側開口13’の開口度が開状態のとき、対Aが連通状態、対Bが非連通状態となるような位置に、第1の混合流体側開口60が側壁部11に設けられる。
こうして、内筒10の側壁部11には、第1流体側開口12と第2流体側開口13と第2の混合流体側開口61とからなる組と、第1流体側開口12’と第2流体側開口13’と第1の混合流体側開口60とからなる組の2つの組が設けられる。このような2つの組を設けることで混合流体の吐出口の切り替えが可能になる。すなわち、図2(a)に示すように、混合流体を第2の混合流体側流出口6のみから吐出させることができ、内筒10を周方向に例えば120°回転させれば、図2(b)に示すように、混合流体を第1の混合流体側流出口5のみから吐出させることができる。
この弁装置の内筒の回転動作を図3及び図4に基づいて説明する。
図3及び図4には、紙面の上から順に、図1の弁装置のA−A線断面図、B−B線断面図、C−C線断面図、及びD−D線断面図が示されている。内筒10を一方向に回転させた様子を図3(a)−(d)及び図4(e)−(g)それぞれに示す。ここで、図4(e)−(g)は図3(a)−(d)の後に内筒10をさらに一方向に回転させた様子を示している。図3及び図4では、図1−図2に示した実施形態と同じ部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図3(a)は、第1流体側流入口3と第1流体側開口12が重なっていない状態であり、第2流体側流入口4と第2流体側開口13が重なっていない状態を示す。つまり、第1流体側開口12の開口度と第2流体側開口13の開口度がともに全閉の状態である。図3(a)の状態では、第1流体と第2流体はともに内筒10内に導入されない。また、第1の混合流体側流出口5と第1の混合流体側開口60とが重なっていない状態(非連通状態)であり、第2の混合流体側流出口6と第2の混合流体側開口61とが重なっていない状態(非連通状態)を示している。図3(a)の状態から内筒10を周方向(矢印で示す方向)に回転させていくと、第1流体側開口12の開口度が内筒10の回転に従って増加する。第2流体側開口13の開口度も、内筒10の回転に従って増加する。
図3(b)は、内筒10の回転によって、第1流体側開口12の開口度が全開状態の1/3程度になった状態を示す。このとき、第2流体側開口13の開口度も全開状態の1/3程度になっている。第1の混合流体側流出口5と第1の混合流体側開口60との対は非連通状態であるが、第2の混合流体側流出口6と第2の混合流体側開口61との対は一部重なって連通状態となっている。図3(b)の状態において、第1流体と第2流体が内筒10内に導入され、内筒10の内部流路に流通し、混合流体として外筒2の第2の混合流体側流出口6から吐出される。第1の混合流体側流出口5からは混合流体は吐出されない。図3(b)の状態から内筒10をさらに周方向に回転させていくと、第1流体側開口12の開口度は内筒10の回転に従ってさらに増加し、全開の状態となる。第2流体側開口13の開口度も内筒10の回転に従ってさらに増加し、全開の状態となる。第1の混合流体側流出口5と第1の混合流体側開口60との対は依然として非連通状態であるが、第2の混合流体側流出口6と第2の混合流体側開口61との対は完全に重なり連通状態となっている。
図3(c)は、内筒10の回転によって、第1流体側開口12の開口度と第2流体側開口13の開口度がともに全開になった状態を示す。図3(c)の状態も図3(b)の状態と同様に、第2の混合流体側流出口6から混合流体が吐出されるが、図3(c)の状態の方が吐出される混合流体の流量は多い。第1の混合流体側流出口5からは混合流体は吐出されない。図3(c)の状態から内筒10をさらに周方向に回転させていくと、第1流体側開口12の開口度は内筒10の回転に従って減少し、全閉の状態となる。第2流体側開口13の開口度も内筒10の回転に従って減少し、全閉の状態となる。第1の混合流体側流出口5と第1の混合流体側開口60との対は依然として非連通状態である。第2の混合流体側流出口6と第2の混合流体側開口61との対は非連通状態となる。
図3(d)は、内筒10の回転によって、第1流体側開口12の開口度と第2流体側開口13の開口度がともに全閉になった状態を示す。この状態では、第1流体と第2流体はともに内筒10内に導入されない。図3(d)の状態から内筒10を周方向に回転させていくと、第1流体側開口12’の開口度が内筒10の回転に従って増加する。第2流体側開口13’の開口度も、内筒10の回転に従って増加する。
図4(e)は、内筒10の回転によって、第1流体側開口12’の開口度が全開状態の1/3程度になった状態を示す。このとき、第2流体側開口13’の開口度も全開状態の1/3程度になっている。第2の混合流体側流出口6と第2の混合流体側開口61との対は非連通状態であるが、第1の混合流体側流出口5と第1の混合流体側開口60との対が一部重なって連通状態となっている。図4(e)の状態において、第1流体と第2流体が内筒10内に導入され、内筒10の内部流路に流通し、混合流体として外筒2の第1の混合流体側流出口5から吐出される。第2の混合流体側流出口6からは混合流体は吐出されない。図4(e)の状態から内筒10をさらに周方向に回転させていくと、第1流体側開口12’の開口度は内筒10の回転に従ってさらに増加し、全開の状態となる。第2流体側開口13の開口度も内筒10の回転に従ってさらに増加し、全開の状態となる。第2の混合流体側流出口6と第2の混合流体側開口61との対は依然として非連通状態であるが、第1の混合流体側流出口5と第1の混合流体側開口60との対は完全に重なり連通状態となっている。
図4(f)は、内筒10の回転によって、第1流体側開口12’の開口度と第2流体側開口13’の開口度がともに全開になった状態を示す。図4(f)の状態も図4(e)の状態と同様に、第1の混合流体側流出口5から混合流体が吐出されるが、図4(f)の状態の方が吐出される混合流体の流量は多い。第2の混合流体側流出口6からは混合流体は吐出されない。図4(f)の状態から内筒10をさらに周方向に回転させていくと、第1流体側開口12’の開口度は内筒10の回転に従って減少し、全閉の状態となる。第2流体側開口13’の開口度も内筒10の回転に従って減少し、全閉の状態となる。第2の混合流体側流出口6と第2の混合流体側開口61との対は依然として非連通状態であり、第1の混合流体側流出口5と第1の混合流体側開口60との対は非連通状態となる。
図4(g)は、内筒10の回転によって、第1流体側開口12’の開口度と第2流体側開口13’の開口度がともに全閉になった状態を示す。この状態では、第1流体と第2流体はともに内筒10内に導入されない。
図3(a)の状態から図4(g)の状態に至るまで、第1流体側開口12の開口度と第2流体側開口13の開口度はともに内筒10の回転に従って変化する。第1流体側開口12と第2流体側開口13はそれぞれ、周方向長さが同一で軸方向に対称な形状の開口を有し、しかも大きさの異なる開口を有する。このため、図3(a)の状態から図4(g)の状態に至るまでの内筒10の回転の範囲内では、第1流体側開口12の開口部分の開口断面積と第2流体側開口13の開口部分の開口断面積との断面積比率が一定となっている。
図5は、第1流体側開口の開口部分の開口断面積と第2流体側開口の開口部分の開口断面積との断面積比率が一定であることを説明するための模式図である。
図5(a)の上段の図は、図3(b)の状態の弁装置1をケーシング8の開口40から見た外筒2の模式図である。図5(a)の下段の図は、図3(b)の状態の弁装置1をケーシング8の開口41から見た外筒2の模式図である。図3(a)は、第1流体側開口12の開口度が全開状態の1/3程度になった状態を示している。また、第2流体側開口13の開口度も全開状態の1/3程度になった状態を示している。
図5(b)の上段の図は、図3(c)の状態の弁装置1をケーシング8の開口40から見た外筒2の模式図である。図5(b)の下段の図は、図3(c)の状態の弁装置1をケーシング8の開口41から見た外筒2の模式図である。図5(b)は、第1流体側開口12の開口度が全開になった状態を示している。また、第2流体側開口13の開口度も全開になった状態を示している。この図において、第1流体側開口12の開口部分の開口断面積と第2流体側開口13の開口部分の開口断面積との断面積比率は、図5(a)の第1流体側開口22の開口部分の開口断面積と第2流体側開口23の開口部分の開口断面積との断面積比率と等しい。
このように第1流体側開口12の開口度と第2流体側開口13の開口度が変化する内筒10の回転の範囲内では、第1流体側開口12の開口部分の開口断面積と第2流体側開口13の開口部分の開口断面積との断面積比率が一定となっている。
第1流体側開口12の開口部分の開口断面積は第1流体側流路14の断面積に相当し、第2流体側開口13の開口部分の開口断面積は第2流体側流路15の断面積に相当する。このため、弁装置1は、第1流体側流路14の断面積と第2流体側流路15の断面積が変化する内筒10の回転の範囲内において、第1流体側流路14の断面積と第2流体側流路15の断面積との断面積比率が一定となっている。
上記した実施形態の弁装置は、第1流体側流路の断面積と第2流体側流路の断面積が変化する内筒の回転の範囲内において、第1流体と第2流体の混合比が一定であり、流量の異なる混合流体を第1の混合流体側流出口又は第2の混合流体流出口から吐出することができる。したがって、例えば、第1流体として水(又は湯)、第2流体として湯(又は水)を採用した場合には、内筒を所定の範囲内で回転させることで、温度が一定で流量の異なる湯水を吐出することができる。しかも、湯水の吐出口を切り替えることができる。このように、一つの弁装置で湯水の流量の調整や湯水の吐出口を切り替えることができるので、部品点数を低減でき、水栓装置の低コスト化及び小型化を図ることができる。
上記実施形態では、内筒の第1流体側開口と第2流体側開口はともに略三角形の形状の開口を有しているが、これに限定されず、各々同一又は別異に、かまぼこ状、矩形状、楕円状、三角形状、十字状又はこれらを組み合わせた形状等の開口とすることができる。
図1−図5に示した弁装置1は、第1流体側開口12と第2流体側開口13とからなる組と、この組と開口断面積が等しい第1流体側開口12’と第2流体側開口13’とからなる組とを有しているが、開口断面積が異なる組をさらに設けることができる。これによって、各組の開口断面積に応じた流量で混合流体の流量や第1流体と第2流体との混合比を変えることができ、混合流体の段階的な流量調整や混合比の調整を行うこともできる。
図6は、弁装置の内筒を周方向に展開した模式図である。図6では、図1の弁装置1の内筒10に、さらに、第1流体側開口22と第2流体側開口23とからなる組と、第1流体側開口22’と第2流体側開口23’とからなる組とを追加している。この図には、外筒の第1流体側流入口3、第2流体側流入口4、第1の混合流体側流出口5、及び第2の混合流体側流出口6を付している。図6では、図1−図5に示した実施形態と同じ部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。図6(b)は、図6(a)の内筒10を周方向に180°回転させた状態を、内筒10を基準に示している。図6(b)の外筒の第1流体側流入口3、第2流体側流入口4、第1の混合流体側流出口5、及び第2の混合流体側流出口6の位置はそれぞれ図6(a)の位置から周方向に180°ずれている。
第1流体側開口22と第2流体側開口23はともに、略三角形状の開口を有している。第1流体側開口22の大きさは第1流体側開口12の大きさよりも大きいが、第2流体側開口23の大きさは第2流体側開口13の大きさよりも小さくなっている。第1流体側開口22と第2流体側開口23の大きさはそれぞれ第1流体側流入口3と第2流体側流入口4の開口の大きさよりも小さくなっている。第1流体側開口22は、内筒10の回転によって略三角形状の開口の頂部が最先に第1流体側流入口3に重なるように形成されている。第2流体側開口23も、内筒10の回転によって略三角形状の開口の頂部が最先に第2流体側流入口4に重なるように形成されている。こうすることで、第1の混合流体側流出口又は第2の混合流体側流出口から大流量の流体が急激に吐出されることを抑えることができる。
第1流体側開口22’と第2流体側開口23’はともに、略三角形状の開口を有している。第1流体側開口22’の大きさは第1流体側開口12’の大きさよりも大きいが、第2流体側開口23’の大きさは第2流体側開口13’の大きさよりも小さくなっている。第1流体側開口22’と第2流体側開口23’の大きさはそれぞれ第1流体側流入口3と第2流体側流入口4の開口の大きさよりも小さくなっている。第1流体側開口22’は、内筒10の回転によって略三角形状の開口の頂部が最先に第1流体側流入口3に重なるように形成されている。第2流体側開口23’も、内筒10の回転によって略三角形状の開口の頂部が最先に第2流体側流入口4に重なるように形成されている。こうすることで、第1の混合流体側流出口又は第2の混合流体側流出口から大流量の流体が急激に吐出されることを抑えることができる。
本実施形態でも混合流体の吐出口の切り替えが可能に形成されるので、第1の混合流体側開口60’及び第2の混合流体側開口61’が側壁部11に形成されている。したがって、内筒10の側壁部11には、第1流体側開口22と第2流体側開口23と第2の混合流体側開口61’とからなる組と、第1流体側開口22’と第2流体側開口23’と第1の混合流体側開口60’とからなる組の2つの組がさらに設けられている。
本実施形態では、各組の第1流体側開口の開口度と第2流体側開口の開口度が変化する内筒10の回転の範囲内において、各組の第1流体側開口の開口部分の開口断面積と第2流体側開口の開口部分の開口断面積との断面積比率が一定となっている。このため、各組の第1流体側流路の断面積と第2流体側流路の断面積が変化する内筒の回転の範囲内において、第1流体と第2流体の混合比が一定の混合流体を流量を変えて第1の混合流体側流出口又は第2の混合流体側流出口から吐出することができる。さらに、第1流体側開口と第2流体側開口とからなる組は、組毎に第1流体側開口の開口部分の開口断面積と第2流体側開口の開口部分の開口断面積との断面積比率が異なっている。すなわち、第1流体側開口12と第2流体側開口13とからなる組、第1流体側開口22と第2流体側開口23とからなる組は組毎に、第1流体側開口の開口部分の開口断面積と第2流体側開口の開口部分の開口断面積との断面積比率が異なっている。このため、各組の開口断面積に応じた流量で、例えば「高」「低」の温度の混合流体を吐出することができる。したがって、本実施形態の弁装置は、断面積比率に応じた混合比で第1流体と第2流体との混合流体の流量および温度を変えることが可能となり、各組間で混合流体の段階的な混合比の調整が可能となる。
別の実施形態として、弁装置は、第1流体側流路の断面積と第2流体側流路の断面積が変化する内筒の回転の範囲内において、第1流体側流路の断面積と第2流体側流路の断面積との合計が一定となる関係を有して形成されていてもよい。
より詳細には、第1流体側開口及び第2流体側開口は、側壁部に、第1流体側開口の開口度が全開(又は全閉)状態となる位置にあるときに第2流体側開口の開口度が全閉(又は全開)状態となる位置に形成される。しかも、第1流体側開口及び第2流体側開口は、内筒の回転に伴い、全開(又は全閉)状態の第1流体側開口の開口度が減少(又は増加)し、全閉(又は全開)状態の第2流体側開口の開口度が増加(又は減少)する位置に形成される。つまり、第1流体側開口が第1流体側流入口と整合する位置に配置されているとき、第2流体側開口は、第2流体側流入口と整合する位置から第1流体側開口の周方向の長さの分だけ内筒の回転方向とは逆の回転方向にずれて配置される。こうすることで、弁装置は、第1流体側流路の断面積と第2流体側流路の断面積が変化する内筒の回転の範囲内において、第1流体側流路の断面積と第2流体側流路の断面積との合計が一定となる関係を有して形成される。これによって、第1流体と第2流体の混合比が異なる流量の一定の混合流体を第1の混合流体側流出口又は第2の混合流体側流出口から吐出することができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において各種の変更が可能である。例えば、第1流体及び第2流体として水及び湯以外の組み合わせ以外に、他の異なる2種の流体を用いてもよい。また、上記した弁装置は水栓装置に適用可能であるが、このような水栓装置は洗面化粧台をはじめ、流し台などの様々な水回り装置に組み込むことができる。