JP6209552B2 - 摺動部材および摺動機械 - Google Patents
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Description
(1)本発明の摺動部材は、基材と、該基材上に形成され摺動面を構成する摺動膜と、を備える摺動部材であって、前記摺動膜は、(B−DLC)全体を100原子%(単に「%」という。)としたときに、ホウ素(B):1〜20%と水素(H):0.1〜13%を含むホウ素含有非晶質炭素(以下、「B−DLC」という。)からなり、該B−DLCは、密度が2.2〜2.6g/cm3であることを特徴とする。
本発明は摺動部材としてのみならず、それを用いた摺動機械としても把握される。すなわち本発明は、相対移動し得る対向した摺動面を有する一対の摺動部材と、該対向する摺動面間に介在し得る潤滑油と、を備えた摺動機械であって、前記摺動部材の少なくとも一方は、上述した本発明の摺動部材からなることを特徴とする摺動機械でもよい。
(1)本発明に係るB−DLCは、CおよびBの他、特性改善に有効な元素(改質元素)を適宜含み得る。また、コスト的または技術的な理由により除去困難な「不可避不純物」を含有し得ることは当然にある。
摺動面が形成される基材はその材質を問わないが、通常、金属材料、特に鉄鋼(炭素鋼または合金鋼)材からなる。基材表面は、適宜、窒化、浸炭等の表面処理がなされていてもよい。その表面粗さは問わないが、Raで0.3μm以下さらには0.1μm以下であると好ましい。また、摺動膜の密着性や耐摩耗性の向上を図るため、B−DLC膜の成膜前の基材表面に各種の下地層(中間層)を一層以上設けてもよい。
(1)膜組成
本発明に係るB−DLCは、B:1〜20%、2〜15%さらには3〜13%、H:0.1〜13%、0.5〜12%さらには1〜11%、残部:Cであると好ましい。Bが過少であると、摩擦係数が増大し得る。BまたはHが過多になると、摩耗量が増大し得る。なお、本発明に係るB−DLCは、必ずしもHを含まなくてもよいが、Hを完全に除去することは容易ではない。適量のHが存在することにより、B−DLC膜の靱性が向上し得る。なお、本明細書でいう膜組成は単に「%」で表すが、それは特に断らない原子割合を意味する。
本発明に係るB−DLCは、全C量に対するsp3混成軌道を有するC(Csp3)の原子割合であるCsp3量と、全体組成中のH量との差(Csp3−H)が25〜45%さらには27〜40%であると好ましい。この差が過小では耐摩耗性が低下し、この差が過大では、摩擦係数の増大または靱性の低下を招き得る。
本発明に係るB−DLCは、密度が2.2〜2.6g/cm3さらには2.3〜2.5g/cm3であると好ましい。B−DLCの密度が過小では耐摩耗性が低下し、その密度が過大では摩擦係数の増大または靱性の低下を招き、安定した高耐摩耗性が得られない。
本発明に係る摺動膜の成膜方法は種々考えられるが、例えば、スパッタリング法(SP法)により形成されると好ましい。SP法は、物理気相成長法(PVD法)の一種であり、ターゲットに不活性ガス原子イオンをターゲット表面に衝突させて、飛び出したターゲットの粒子(原子・分子)を、基材に負のバイアス電圧を印加し、摺動面となる基材表面にDLC膜を堆積させて成膜する方法である。
本発明の摺動部材は、その具体的な形態や用途を問わず、多種多様な摺動機械に用いることができる。そして本発明の摺動部材を用いれば、流体潤滑、混合潤滑または境界潤滑の条件下で摺動面に高面圧が作用する場合でも、摺動機械の摩擦損失低減や長寿命化を図ることができる。さらに、本発明に係るB−DLC膜は耐摩耗性に優れるため、摺動面間における平滑性や設計値(クリアランス等の初期マクロ形状)も長く維持され、本発明の摺動機械は初期性能(燃費性能を含む)を長期的に安定して発揮し得る。
表1に示す種々の試料(摺動部材)を製造した。各試料は、基材であるブロック試験片(15.7mm×6.3mm×10mm)の摺動面となる一面に、種々の被膜を形成したものである。但し、試料C0は、基材の研磨面をそのまま摺動面とした。
試料C0以外の基材には、マルテンサイト系ステンレス鋼(JIS SUS440C)の焼入れ焼戻し材(HRC58)を用いた。各基材の表面(被処理面)は、成膜前の表面粗さがRa:0.008μmとなるように研磨しておいた。
各試料(試料C0を除く。以下、同様)の基材表面に、スパッタリング法(SP法)またはカソードアーク法(CVA法)により、各種のDLC膜を成膜した。
試料1〜3のB−DLC膜は、B4CおよびC(グラファイト)をターゲットとして、Arガスでスパッタリングして成膜した。この成膜には、アンバラスドマグネトロンスパッタリング装置(株式会社神戸製鋼製)を用いた。試料1および試料2では、チャンバーへC2H2を導入して、B−DLC膜中のH量を調整した。試料3は、チャンバーへ炭化水素ガスを導入せず、Arガスのみで成膜した。一方、試料C1・C2の成膜は、基本的に特許文献2(特許第5358521号公報)の記載に沿って、チャンバーへCH4を導入して行った。いずれの試料も、成膜厚さ(膜厚)は1μmとした。膜厚は、後述する試料C3・C4についても同様である。
試料C3はSP法により、試料C4はCVA法により、B含有ターゲットを用いずに、C(グラファイト)ターゲットのみを用いて、(B非含有)DLC膜を成膜したものである。特に試料C4は、炭化水素ガス等を導入せず、H非含有(Hフリー)なDLC膜を成膜したものである。なお、CVA法による成膜は、日本ITF製、M720Eを用いて、Arガス中でアーク放電させることにより行った。
各試料に係る膜特性をそれぞれ測定し、その結果を表1に併せて示した。被膜中のB量は電子線マイクロアナライザ(EPMA)(日本電子製、JXA−8200)により測定し、H量は弾性反跳検出分析(ERDA)(National EleCtrostatiCs Corporation製、Pelletron 3SDH)により測定した。
各試料の成膜面(試料C0は研磨面)を摺動面として、リング・オン・ブロック型摩擦試験機(LFW−1、FALEX社製)により摩擦試験を行った。この試験は、潤滑油の存在する状況下で、各試料からなるブロック試験片(摺動面幅:6.3mm)と、FALEX社製の標準試験片(S−10/浸炭材:SAE4620、φ35mm×8.8mm、表面硬さ:HV800、表面粗さ:1.7〜2.0μmRzjis)であるリング試験片とを、押圧しつつ摺接させて行った。このとき、押圧荷重:133N(ヘルツ面圧:210MPa)、両試験片のすべり速度:0.3m/s、潤滑油の油温:80℃(一定)、試験時間:30分間とした。潤滑油には、トヨタ自動車株式会社の純正エンジン油(MoDTC非含有/トヨタキャッスル SN 0W−20/ILSAC規格:GF−5)を用いた。
(1)膜密度と膜硬さ
表1に示した各試料の膜密度と膜硬さの関係を図1に示した。概観すると、膜密度が増加するほど膜硬さも増加するようにみえる。しかし、試料1〜3の場合、特に試料2と試料3を比較すると明らかなように、膜密度(さらには膜組成)が変化しても、膜硬さは殆ど変化していない。このように膜密度が本発明の範囲内にあるB−DLC膜の場合、膜密度と膜硬さは必ずしも相関していない。
各試料の摩耗深さと膜密度との関係を図2に示した。図2から明らかなように、膜密度が2.2g/cm3以上になると、B−DLC膜の摩耗深さは急激に低下し、B−DLC膜は実質的に摩耗しないほどの高耐摩耗性を発現することがわかった。また図2および表1から、膜密度が本発明に係る範囲内にあるB−DLC膜は、BおよびHを含み、膜硬さが25GPa以下であっても、BおよびHを含まず、膜硬さが50GPa程度の非常に硬質なDLC膜(試料C4)と同程度の優れた耐摩耗性を発揮することもわかった。
各試料の摩擦係数と摩耗深さの関係を図3に示した。図3から明らかなように、試料1〜3は、他の試料と異なり、摩擦係数と摩耗深さの両方が共に非常に低くなっていることがわかった。つまり試料1〜3は、摩耗深さが大きくて耐摩耗性に欠ける試料C1・試料C2や摩擦係数が大きくて低摩擦特性に欠ける試料C3・試料C4とは、特性が明らかに大きく相違している。このように本発明に係る膜組成および膜密度を有するB−DLC膜は、従来のDLC膜(B−DLC膜を含む。)と異なり、高耐摩耗性と低摩擦特性を高次元で両立できることが明らかとなった。
固体NMR法で試料3と試料C2の各B−DLC膜を分析して得られた13Cに係るスペクトル図を、それぞれ図4Aと図4Bに示した。また、それぞれの11Bに係るスペクトル図も各図に併せて示した。
試料3と試料C2のB−DLC膜はいずれも、X線回折像から、実質的に無配向な非晶質構造からなることも確認されている。
Claims (7)
- 基材と、
該基材上に形成され摺動面を構成する摺動膜と、
を備える摺動部材であって、
前記摺動膜は、全体を100原子%(単に「%」という。)としたときに、
ホウ素(B):1〜20%と水素(H):0.1〜13%を含むホウ素含有非晶質炭素(以下、「B−DLC」という。)からなり、
該B−DLCは、密度が2.2〜2.6g/cm3であることを特徴とする摺動部材。 - 前記B−DLCに含まれるBは2〜15%である請求項1に記載の摺動部材。
- 前記B−DLCの密度は2.3〜2.5g/cm 3 である請求項1または2に記載の摺動部材。
- 前記B−DLCは、全C量に対するsp3混成軌道を有する炭素(C)(「Csp3」という。)の原子割合であるCsp3量と前記H量との差(Csp3−H)が25〜45%である請求項1〜3のいずれかに記載の摺動部材。
- 前記Csp 3 −Hは27〜40%である請求項4に記載の摺動部材。
- 潤滑油の存在する湿式条件下で用いられる請求項1〜5のいずれかに記載の摺動部材。
- 相対移動し得る対向した摺動面を有する一対の摺動部材と、
該対向する摺動面間に介在し得る潤滑油と、
を備えた摺動機械であって、
前記摺動部材の少なくとも一方は、請求項1〜6のいずれかに記載の摺動部材からなることを特徴とする摺動機械。
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