JP6208592B2 - 給電通信用伝送路 - Google Patents

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Description

本発明は、給電通信用伝送路に関する。
従来から、一般住宅やオフィス等の各種の空間に対して電力供給や通信を可能とするための様々な給電通信用伝送路が提案されている。このような給電通信用伝送路の一つとして、本願発明者等により、電力通信パネルが提案されている。この電力通信パネルは、複数の導電板と当該複数の導電板の相互間に設けられた絶縁層とを相互に平行に重畳配置して構成されている。このような電力通信パネルを複数並設することで、広範な範囲で電力供給環境及び通信環境を構築できると共に、ユーザ側に露出する導電板をGND極とすることで安全性の確保を図ることができる(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
特開2003−151367号公報 特開2009−118570号公報
しかしながら、上記従来の複数の導電板を用いた給電通信用伝送路には、次の問題点があった。
1)施工が難しかった。特に、導電板をアルミニウム板より形成した場合、複数の電力通信パネルを同一面に敷設するためには、各電力通信パネルのアルミニウム板同士を突き合わせて相互に溶接しなければならず、技術的に困難であった。
2)電力や通信の入出力端を導電板に作ることが難しかった。特に、高周波を反射させない精度で入出力端を製作することは困難であった。
3)導電板の相互間に電磁波が流せたとしても、導電板の端部で電磁波が反射した場合には、導電板の相互間に定在波が発生してしまい、高速通信を行わせることは困難である。この解決策として、導電板の外縁部に通信用の吸収部を設置することも考えられるが、すべての導電板の外縁部に吸収体を配置することは、コストや施工性の観点から問題があった。
4)金属製の導電板は、短い波長の電磁波に対しては二次元導波路として機能し、直流に対しては等価断面積の大きな伝送路として働く。しかし、波長の長い電磁波に対しては、金属製の導電板は、コンデンサとして機能するため、極めて大きな伝送損失が発生してしまい、給電することが出来ない。このため、任意の場所で非接触にて給電する場合には、直流給電用の導電板とは別に、非接触給電用の複数の電極とこれらを結ぶ配線部を設けてインバータを配設しなければならない等、コストや電磁波放射の観点から問題があった。
このような点に鑑みて、本発明は、従来よりも優れた給電通信用伝送路を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の給電通信用伝送路は、長尺状に形成された内部導体と、長尺状に形成されたものであって、前記内部導体の外部において、当該内部導体に対して同心状に配置された外部導体であって、当該外部導体を構成する各導体が同一電位に保持された外部導体と、前記内部導体と前記外部導体との相互間に配置されたものであって、これら内部導体と外部導体とを相互に絶縁する絶縁体とを備える給電通信用伝送路であって、当該給電通信用伝送路に対して取り付けられる給電通信用接続体の少なくとも一部を前記外部導体の外部から前記内部導体に至るように挿通させるための長尺方向に略直線状かつ同一幅のスリットを、前記外部導体に少なくとも1つ以上形成し、当該給電通信用伝送路の断面のうち当該給電通信用伝送路の長手方向に略直交する同一断面において、前記少なくとも1つ以上のスリットの各々における前記外部導体側の端部の一方と前記内部導体の長手方向の中心軸とを結ぶ第1の直線と、当該少なくとも1つ以上のスリットの各々における前記外部導体側の端部の他方と前記内部導体の長手方向の中心軸とを結ぶ第2の直線とによって形成される内角度の合計値が100度以下となるように、前記スリットの形状を設定している。
請求項2に記載の給電通信用伝送路は、請求項1に記載の給電通信用伝送路において、前記外部導体を金属板にて形成し、前記外部導体の断面のうち当該外部導体の長手方向に略直交する断面の断面形状を略凸状、略凹状、又は略凹凸状にすることにより、前記少なくとも1つ以上のスリットを前記外部導体に形成している。
請求項3に記載の給電通信用伝送路は、請求項1又は2に記載の給電通信用伝送路において、前記外部導体をバルク金属体にて形成し、前記外部導体の側面のうち当該外部導体の長手方向に略沿った側面に少なくとも1つ以上の凹部を設けることにより、前記少なくとも1つ以上のスリットを前記外部導体に形成している。
請求項4に記載の給電通信用伝送路は、請求項1から3のいずれか一項に記載の給電通信用伝送路において、前記外部導体を強磁性体にて形成し、前記外部導体と前記絶縁体との相互間に、非磁性導体を設け、前記非磁性導体の厚さを、当該非磁性導体のスキンデブスよりも厚くしている。
請求項1に記載の給電通信用伝送路によれば、当該給電通信用伝送路の断面のうち当該給電通信用伝送路の長手方向に略直交する同一断面において、少なくとも1つ以上のスリットの各々における外部導体側の端部の一方と内部導体の長手方向の中心軸とを結ぶ第1の直線と、当該少なくとも1つ以上のスリットの各々における外部導体側の端部の他方と内部導体の長手方向の中心軸とを結ぶ第2の直線とによって形成される内角度の合計値が100度以下となるように、スリットの形状を設定したので、接触給電、非接触給電、電波通信、光通信を、単独又は統合的に行うことが可能な給電通信システムを構築することが可能になり、給電や通信の次世代インフラを構成することが可能になる。特に、給電通信用接続体を内部導体に取り付けやすくなるため、給電通信用伝送路の使用性を向上させることが可能となる。
請求項2に記載の給電通信用伝送路によれば、外部導体を金属板にて形成し、外部導体の断面のうち当該外部導体の長手方向に略直交する断面の断面形状を略凸状、略凹状、又は略凹凸状にすることにより、少なくとも1つ以上のスリットを外部導体に形成したので、外部導体が加工しやすくなるので、給電通信用伝送路の製造性を向上させることが可能となる。
請求項3に記載の給電通信用伝送路によれば、外部導体をバルク金属体にて形成し、外部導体の側面のうち当該外部導体の長手方向に略沿った側面に少なくとも1つ以上の凹部を設けることにより、少なくとも1つ以上のスリットを外部導体に形成したので、給電通信用接続体を外部導体に安定して固定することができるため、給電通信用接続体を内部導体に一層取り付けやすくなる。
請求項4に記載の給電通信用伝送路によれば、外部導体を強磁性体にて形成し、外部導体と絶縁体との相互間に、非磁性導体を設け、非磁性導体の厚さを、当該非磁性導体のスキンデブスよりも厚くしたので、外部導体が強磁性体によって形成された場合でも、特性インピーダンスの増大、伝播特性の劣化、及び電磁波放射の増大を抑制することが可能となる。
図1(a)は、公知の同軸線路を長手方向に直交する面で切った断面図である。図1(b)は、公知の同軸線路を長手方向に平行な面で中心位置において切った断面図である。 方法1)のスリットを形成したスリット付同軸線路を長手方向に略直交する面で切った断面図である。 単層構造のOpenCoaxを長手方向に直交する面で切った断面図である。 単層構造のOpenCoaxを長手方向に直交する面で切った断面図である。 外部導体が金属板にて形成された単層構造のOpenCoaxを長手方向に直交する面で切った断面図である。 外部導体が金属板にて形成された単層構造のOpenCoaxを長手方向に直交する面で切った断面図である。 図5(f)に示すOpenCoaxの斜視図である。 複層構造のOpenCoaxを長手方向に直交する面で切った断面図である。 複層構造のOpenCoaxを長手方向に直交する面で切った断面図である。 非接触給電を行うための給電通信構造を構成するOpenCoaxを長手方向に直交する面で切った断面図であり、図10(a)は、非接触給電を行うための給電通信構造を構成するOpenCoaxを長手方向に直交する面で切った断面図、図10(b)は、図10(a)のOpenCoaxに給電通信用接続体である電界結合型受電カードを挿入した状態の断面図である。 図11(a)は、電界結合型受電カードの斜視図、図11(b)、(c)は、電界結合型受電カードの回路図であり、図11(b)は直列共振回路の回路図、図11(c)は直列並列共振回路の回路図である。 固定式の給電通信構造の長手方向に直交する面で切った断面図である。 固定式の給電通信構造の長手方向に直交する面で切った断面図である。 シールドカバーの構成を示す図である。 スライド式の給電通信構造の概要を示す図である。 電界結合用ピン等の接触状態を示す図である。 スライド式の給電通信構造の斜視図である。 コネクタ及びOpenCoaxの一部の断面図である。 コネクタ及びOpenCoaxの一部の断面図である。 接触給電用の回路図である。 接触給電用の回路図である。 接触給電用の回路図である。 接触給電用の回路図である。 接触給電用の回路図である。 シールドカバーの構成を示す図である。 給電通信構造により通信を行うための構成を示す図である。 給電通信用伝送路を連接するための構成を示す図である。 給電通信用伝送路を連接するための構成を示す図である。 給電通信用伝送路を連接するための構成を示す図である。 給電通信用伝送路を連接するための構成を示す図である。 給電通信用伝送路を連接するための構成を示す図である。 給電通信用伝送路を連接するための構成を示す図である。 給電通信用伝送路を連接するための構成を示す図である。
以下、本発明に係る給電通信用伝送路の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。まず、〔1〕給電通信用伝送路を備える給電通信構造の基本的概念について説明し、〔2〕給電通信構造のコンセプト、〔3〕給電通信用伝送路の構成、〔4〕給電通信構造により非接触給電を行うための構成、〔5〕給電通信構造により接触給電を行うための構成、〔6〕給電通信構造により通信(電波送受信)を行うための構成、〔7〕給電通信用伝送路を連接するための構成、最後に〔8〕変形例について説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
〔1〕給電通信構造の基本的概念
最初に、本発明に係る実施の形態の基本的概念について説明する。本実施の形態に係る給電通信構造は、接触給電、非接触給電、電波通信、光通信を、単独又は統合的に行うことが可能な構造であり、給電や通信の次世代インフラを構成するものである。この給電通信構造は、給電通信用伝送路に対して給電通信用接続体を取り付けて構成される。この給電通信用伝送路は、公知の同軸線路、又は公知の誘電体被覆導線を用いた構造を基本に展開される。特に、同軸線路は、電流および電磁波を伝送するだけでなく、直流〜高周波まで送電できてシールド性能を有しているので好適である。
(給電通信用伝送路の原理)
次に、本願発明者が見出した、本実施の形態に係る給電通信用伝送路の原理について説明する。図1(a)は、公知の同軸線路を長手方向に直交する面で切った断面図である。図1(b)は、公知の同軸線路を長手方向に平行な面で中心位置において切った断面図である。
図1(a)には、同軸線路1のTEM(Transverse Electromagnetic mode)モードでの電界と磁界分布の瞬時の様子を示している。同軸線路1は、同軸線路1の周辺にある導体(以下、外部導体)2、同軸線路1の中央にある導体(以下、内部導体)3、及び発泡ポリエチレン等で形成された絶縁部である伝播空間4を備えて構成されている。
このように構成された同軸線路1に特定の周波数を有する電力を入射すると、ある瞬間のある一断面では、内部導体3から外部導体2に至る方向に、電界(図1(a)(b)において実線矢印で示す)5が存在する。また、同じ場所において、磁界(図1(a)(b)において点線矢印で示す)6は、電磁波が同軸線路1の入射位置と離れる方向に進むよう、電界5と直交して存在し、その結果、磁界6は、内部導体3を中心とする同心円状に存在する。これら電界5および磁界6の向きは、入射した電磁波の周波数に応じて、周期的に変化する。例えば、図1(b)に示すように、電界5の分布は、入射電磁波の半分の波長で方向を反転させて存在し、その電界5が閉回路を形成するように、内部導体3及び外部導体2に電流(表面電流)7を流している。
以上より、外部導体2の円周方向には電圧がかかっていないため、給電通信用接続体の少なくとも一部を外部導体2の外部から内部導体3に至るように挿通させるためのスリット9を外部導体2に設けても、スリット9自体が外部導体2上の電流7を遮断しない方向(すなわち、外部導体2の長手方向)に作られていれば、スリット9を形成する両端金属管に電界が発生することもなく電磁波放射はされないと考えられる。
このことを裏付けるように、外部導体2上を流れる電流7を遮断する方向(すなわち、外部導体2の長手方向以外の方向)にスリット9を作り、スリット9間に電界が発生させ、積極的に電磁波放射をさせている例として、漏洩同軸線路がある。漏洩同軸線路は、外部導体2にスリット9を開けているが、斜め方向にスリット9を切っている。異なる方式の漏洩同軸線路では大きめの穴を開ける方法を採用している。両方式は、外部導体2に流れる電流7を意図的に遮断して、スリット9又は穴を形成する金属部に電位差を持たせ、その間に電界を生成させて外部に電磁波放射をさせているものである。
以上より、外部導体2に次の方法で開口を開けることが可能であることが判る。
方法1)同軸線路1の軸から見た一方向(特定の仰角方法)に微小開口を開ける。この開口をスリット9と称し全同軸線路の長さ方向に連続させる。
方法2)同軸線路1に設けたスリット9両端の金属間の電位差発生が大きくならないように、軸周りに回転させることができる。
方法3)同軸線路1の外部導体2に開けたスリット9の長さを一定又はランダムな長さとし(スリット9長とスリット9幅がほぼ同じ円形や方形の穴も含む)、これらを外部導体2の周囲に複数かつランダムな仰角および間隔(軸方向)で開けることを可能にする。
方法4)内部導体3を中空パイプで製作すれば、外部導体2に適用した上記方法1)〜3)による構造を内部導体3の壁面に適用することも可能である。すなわち、内部導体3の内部にも電磁波は侵入せず、各種機器に対して妨害を与えずに動作させることが可能になる。
方法5)外部導体2および内部導体3の複数の仰角に同軸線路1と同じ長さのスリット9を設けた場合、スリット9により、外部導体2及び内部導体3が電気的に分断されてしまう。このため、外部導体2を構成する各導体を同電位にする必要がある。同様に、内部導体3を構成する各導体を同電位にする必要がある。二か所以上のスリット9があれば、外部導体2または内部導体3に蓋を付けて開閉することが可能になる。
図2は、上記方法1)のスリット9を形成したスリット付同軸線路8を長手方向に略直交する面で切った断面図である。スリット付同軸線路8の内部導体3の周囲に伝播空間4の絶縁層を介して、内部導体3と同軸状に外部導体2を置く。また、外部導体2には、スリット9を設ける。この様にしても、このスリット9に沿って電圧が加わるがスリット9をまたいで電圧がかからないため、外部に電磁波が漏洩することを抑制できる。ここで、スリット9の形状については、外部に電磁波漏洩することが防止できる形状が望ましく、具体的には、スリット9の長手方向の形状が、ストレート状、スリット9の幅が当該スリット9の長手方向の端部に向かうにしたがって徐々に狭まり又は広がる湾曲状、小円形状等に設定される。内部導体3と外部導体2間にかかる電圧を、スリット9から挿入された電界結合型受電カード(給電通信用接続体)等によって外部に電力として取り出せるようにした形状のスリット付同軸線路8を、以下では必要に応じて、「OpenCoax(給電通信用伝送路)」8と称する。
(シミュレーションの結果)
このように構成したOpenCoax8を用いてシミュレーションされた結果について説明する。このシミュレーションでは、スリット9の形状特性、外部導体2の材質特性、及びシールドカバーの有無に関するシミュレーションが実施されたので、以下で説明する。
(シミュレーションの結果−試験体の構成)
まず、このシミュレーションで用いられた試験体(すなわち、OpenCoax8)は、以下に示すような構成が採用されている。具体的には、内部導体3の形状については、内部導体3の直径=20mm、内部導体3の長さ=100mmに設定されている。また、外部導体2の形状については、外部導体2の直径=46mm、外部導体2の長さ=100mm、外部導体2の厚さ=3mmに設定されている。また、内部導体3の材質はアルミニウムに設定され、絶縁体の材質は空気に設定されている。そして、このような試験体に対して、周波数が1MHz(又は10MHz)であり、且つ電力が100Wである電磁波を入射することにより、特性インピーダンス、S21特性(いわゆる伝播特性)、及び放射電界強度(開口部(すなわち、スリット9)の前方50cmでの放射電界強度)が測定された。
(シミュレーションの結果−スリットの形状特性について)
次に、スリット9の形状特性に関するシミュレーションの結果について説明する。表1は、スリット9の形状特性に関するシミュレーションの結果を示す表である。表1においては、スリット9の開き角度を12.4度から120.8度まで変化させた試験体の特性インピーダンス、S21特性、及び放射電界強度が示されている。ここで、「スリット9の開き角度」とは、OpenCoax8の断面のうち当該OpenCoax8の長手方向に略直交する同一断面において、少なくとも1つ以上のスリット9の各々における外部導体2側の端部の一方と内部導体3の長手方向の中心軸とを結ぶ第1の直線と、当該少なくとも1つ以上のスリット9の各々における外部導体2側の端部の他方と内部導体3の長手方向の中心軸とを結ぶ第2の直線とによって形成される内角度の合計値を意味する。なお、外部導体2の材質はアルミニウムに設定されている(後述する表3の外部導体2の材質についても同様とする)。
Figure 0006208592
この表1から明らかなように、特性インピーダンスについては、スリット9の開き角度が増大するにしたがって、特性インピーダンスが徐々に増加する傾向が示された。ただし、スリット9の開き角度=120度であった場合でも、大きな変動は示されなかった。また、S21特性については、スリット9の開き角度が増大しても、S21特性はほとんど変動しないことが示された。また、放射電界強度については、スリット9の開き角度が増大するにしたがって、放射電界強度が増加する傾向が示された。特に、スリット9の開き角度=100度よりも大きくなると、放射電界強度が急激に増加する傾向が示された。また、周波数が10MHzの放射電界強度が、周波数が1MHzの放射電界強度よりも大きくなる傾向が示された。
以上のことから、スリット9の開き角度=100度よりも大きくなると放射電界強度が大きくなりすぎることを考慮すると、スリット9の開き角度としては、100度以下に設定されるのが最適であると考えられる。
(シミュレーションの結果−外部導体の材質特性について)
次に、外部導体2の材質特性に関するシミュレーションの結果について説明する。表2は、外部導体2の材質特性に関するシミュレーションの結果を示す表である。表2においては、外部導体2の材質を、アルミニウムのみ、鉄のみ、及び、鉄とアルミニウムを組み合わせたもの(具体的には、アルミニウムを鉄よりも内部導体3側に配置している)とした試験体の特性インピーダンス、S21特性、及び放射電界強度が示されている。なお、このシミュレーションにおけるスリット9の開き角度=51.6度に設定されている(後述する表3のスリット9の開き角度についても同様とする)。また、鉄とアルミニウムを組み合わせた試験体については、鉄の厚さ=2.9mm、アルミニウム=0.1mmに設定された試験体と、鉄の厚さ=2.5mm、アルミニウム=0.5mmに設定された試験体とが用いられた。
Figure 0006208592
この表2から明らかなように、特性インピーダンスについては、外部導体2の材質=鉄板のみの場合の特性インピーダンスが、鉄板体の材質=アルミニウムのみ(又は鉄とアルミニウムを組み合わせたもの)の特性インピーダンスに比べて高くなることが示された(特に、周波数10MHzの特性インピーダンスが顕著であった)。この理由としては、鉄板体の材質=鉄板のみのスキンデブスが鉄板体の材質=アルミニウムのみ(又は鉄とアルミニウムを組み合わせたもの)のスキンデブスよりも厚いため、鉄板体の材質=鉄板のみのほうが磁場が走りやすくなることでインダクタンスが大きくなり、特性インピーダンスも高くなると考えられるからである(なお、後述する放射電界強度の結果の理由についても同様とする)。また、鉄板体の材質=アルミニウムのみの特性インピーダンスが、鉄板体の材質=鉄とアルミニウムを組み合わせたものの特性インピーダンスと略同一になることが示された。また、S21特性については、鉄板体の材質=鉄板のみの場合のS21特性が、鉄板体の材質=アルミニウムのみ(又は鉄とアルミニウムを組み合わせたもの)のS21特性に比べて低くなることが示された。また、鉄板体の材質=アルミニウムのみのS21特性が、鉄板体の材質=鉄とアルミニウムを組み合わせたもののS21特性と略同一になることが示された。また、放射電界強度については、鉄板体の材質=鉄板のみの場合の放射電界強度が、鉄板体の材質=アルミニウムのみ(又は鉄とアルミニウムを組み合わせたもの)の放射電界強度に比べて高くなることが示された。また、鉄板体の材質=アルミニウムのみの放射電界強度が、鉄板体の材質=鉄とアルミニウムを組み合わせたものの放射電界強度と略同一になることが示された(特に、周波数10MHzの放射電界強度が顕著であった)。
以上のことから、外部導体2が強磁性体で形成された場合には、外部導体2と絶縁体との相互間に、非磁性導体を設け、非磁性導体の厚さを、外部導体2のスキンデブスよりも厚くすることにより、強磁性体による特性インピーダンス、S21特性、及び放射電界強度に対する影響を排除できると考えられる。
(シミュレーションの結果−シールドカバーの有無について)
次に、スリット9を覆うためのシールドカバーの有無に関するシミュレーションの結果について説明する。表3は、シールドカバーの有無に関するシミュレーションの結果を示す表である。表3においては、シールドカバーを無しとした試験体、及びシールドカバーを有りとした試験体の特性インピーダンス、S21特性、及び放射電界強度が示されている。なお、シールドカバーが有りとした試験体については、シールドカバーが金属板にて形成されている。また、OpenCoax8の長手方向に略直交する同一断面において、シールドカバーと外部導体2との重複部分の長さが10mmに設定され、シールドカバーと外部導体2との相互間に50μmの隙間が設けられている。また、導電性の粘着剤でシールドカバーと外部導体2とを固定しない試験体と、導電性の粘着剤でシールドカバーと外部導体2とを固定した試験体とが用いられた。
Figure 0006208592
表3から明らかなように、特性インピーダンス及びS21特性については、シールドカバーの有無による特性インピーダンスの変動がほとんど示されなかった。また、放射電界強度については、周波数10MHzの放射電界強度において、シールドカバーが有り且つ導電性の粘着剤が無しの場合の放射電界強度が、シールドカバーが無しの場合の放射電界強度よりも低くなることが示された。また、シールドカバーが有り且つ導電性の粘着剤が有りの場合の放射電界強度が、シールドカバーが有り且つ導電性の粘着剤が無しの場合の放射電界強度よりも低くなることが示された。
以上のことから、スリット9が設けられた場合でも、このスリット9をシールドカバーで覆い、且つ導電性の粘着剤でシールドカバーと外部導電体とを固定することにより、電磁波の放射を抑制することができると考えられる。
〔2〕給電通信構造のコンセプト
次に、給電通信構造のコンセプトについて説明する。本実施の形態に係る給電通信構造としてのOpenCoax8は、同軸線路1又は誘電体被覆導線をベースとして、接触給電、非接触給電、電波通信、及び光通信を可能とし、ソフトウェア、プロトコル、IP(Internet Protocol)等に裏打ちされたネットワーク環境を提案するものである。本実施の形態では、特に物理層について提案するものとし、その概要を表4に示す。なお、周波数や電力は一つの目安であり、これに限定されるものではない。また、下記に示す必要要件は、OpenCoax8が充足することが好ましい要件であるが、必ずしも全ての要件を充足する必要はない。
Figure 0006208592
表4の説明を行う。
同軸線路1又は誘電体被覆導線を用いて直流給電を行うためには、内部導体3と外部導体2とが相互に接触することを防止することにより、直流がショートすることを防止する必要がある。このため、OpenCoax8は、その長手方向の端部を含む各位置において、内部導体3と外部導体2とは絶縁部である伝播空間4を介して相互に絶縁されて、相互に非接触とする必要がある。
ただし、同軸線路1又は誘電体被覆導線を用いて非接触給電を行う観点からは、OpenCoax8の長手方向の端部において、内部導体3と外部導体2とは非接触と接触のいずれとしてもよい。すなわち、この端部において内部導体3と外部導体2とを非接触とした場合には、この端部が電気的に開放状態になるため、この端部において電圧が最大となる。この場合には、この端部において、内部導体3と外部導体2を解放したときには、端部から約(1/12)波長の領域が電圧が安定し、電流7は大きく変化する。このため、電圧差を利用して受電する電界結合型の受電方法を採用して、非接触給電を行うことができる。逆に、この端部において内部導体3と外部導体2とを接触させた場合には、この端部において電流7が最大となるため、磁界強度が強くなる。この場合には、この端部から約(1/12)波長の領域で電流7が安定し、電圧は大きく変化する。このため、磁界結合型の受電方法を採用して、非接触給電を行うことができる。
あるいは、同軸線路1又は誘電体被覆導線からの電磁波放射を防止する観点からは、OpenCoax8の長手方向の端部において、内部導体3と外部導体2とは非接触とすることが好ましい。つまり、この端部において内部導体3と外部導体2とを非接触とした場合には、この端部が電気的に開放状態になるため、この端部から同軸線路1の外部に電磁波が放射される。これを防止するために、同軸線路1又は誘電体被覆導線の長手方向の端部(外部導体2)を閉じると共に、外部導体2を内部導体3とは接触させない構造とすることが好ましい。
あるいは、同軸線路1又は誘電体被覆導線を用いて電波通信を行う観点からは、OpenCoax8の長手方向の端部において、内部導体3と外部導体2とは非接触と接触のいずれとしてもよい。すなわち、電波通信においては、この端部が解放されていようが短絡されていようが、この端部で電波が反射し、同軸線路1内で定在波が発生する。定在波の発生は、S/N比を増大させるため、ビットエラー率および伝送速度に影響する。これを防止するために、この端部に後述する高周波帯吸収部を設置することが好ましい。ただし、この高周波帯吸収部は、非接触給電のMF帯に対して損失するものであってはならず、直流をショートさせるものであってもならない。
これらの点を考慮すると、表4に示した接触給電、非接触給電、電波通信の必要要件を同時に満足するためには、OpenCoax8の長手方向の端部において、内部導体3と外部導体2とを非接触とすることが好ましい。このため、OpenCoax8は、その長手方向の端部において、内部導体3と外部導体2とは絶縁部である伝播空間4を介して相互に絶縁されて、相互に非接触となっている。
〔3〕給電通信用伝送路の構成
次に、給電通信用伝送路の構成について説明する。給電通信用伝送路の構成については、単数の同軸線路1又は誘電体被覆導線を備える構造(以下、「単層構造」と称する)と、複数の同軸線路1又は誘電体被覆導線を備える構成(以下、「複層構造」と称する)とに大別される。以下、これら単層構造と複層構造とについて説明する。
(給電通信用伝送路の構成−単層構造)
まず、単層構造の給電通信用伝送路の構成について説明する。図3、図4は、単層構造のOpenCoaxを長手方向に直交する面で切った断面図である。図3に示すように、単層構造のOpenCoaxには、以下に示す構成が採用される。
図3(a)に示すOpenCoaxは、長尺状に形成された内部導体3と、長尺状に形成されたものであって、内部導体3の外部において、当該内部導体3に対して同心状に配置された外部導体2と、内部導体3と外部導体2との相互間に配置されたものであって、これら内部導体3と外部導体2とを相互に絶縁する絶縁体4とを備えている。特に、外部導体2はバルク導体14にて形成され、内部導体3及び絶縁層は誘電体被覆導線にて形成されている(すなわち、内部導体3が金属体にて形成され、絶縁体4は発泡樹脂にて形成されている)。また、外部導体2の上面の略中央部分に凹部が設けられることにより、スリット9が当該外部導体2に形成されている。
また、図3(b)に示すOpenCoaxは、図3(a)に示すOpenCoaxとほぼ同様に構成されるが、外部導体2の構成については、以下に示す工夫が施されている。具体的には、外部導体2は、バルク導体14と導電性カバーとを備えている(なお、このバルク導体14の上面に設けられた凹部の深さが、図3(a)の凹部の深さよりも浅く設定されている)。導電性カバーは、誘電体被覆導線の一部を覆うための導体である。この導電性カバーは、当該導電性カバーにおける長手方向に直交する断面の断面形状が略Ω状である長尺状の板状体にて形成されている。また、この導電性カバーによって、誘電体被覆導線におけるバルク導体14の凹部からの突出部分が覆われるように、当該導電性カバーは配置されている。そして、この導電性カバーは、バルク導体14と等電位になるように、当該バルク導体14に対してねじ等で固定されている。また、導電性カバーの側面に開口が設けられることにより、スリット9が当該導電性カバーに形成されている。また、導電性カバーとバルク導体14間の隙間の一方または両方を開けてスリット9とすることもできる。この際には、導電性の固定ボルトを使用して導電性カバーとバルク導体14間の導通を図るものとする。
また、図3(c)に示すOpenCoaxは、図3(b)に示すOpenCoaxとほぼ同様に構成されるが、外部導体2の構成については、以下に示す工夫が施されている。具体的には、外部導体2は、導電性カバー及び導電性シートを備えている。導線性シートは、誘電体被覆導線の一部を覆うシートである。この導線性シートは、長尺状の板状体にて形成されており、誘電体被覆導線の下端部分と接触するように配置されている。また、この導電性カバーは、固定基板15上に設けられている。固定基板15は、導電性カバー、誘電体被覆導線、及び導電性シートを支持するための誘電体である。この固定基板15は、長尺状のブロック状体にて形成されており、導電性カバー及び導電性シートと当接するように配置され、導電性カバーに対してねじ等で固定されている。また、導電性シートの側面及び固定基板15の下面に開口が設けられることにより、スリット9が当該導電性シート及び当該固定基板15に形成されている。
また、図3(d)に示すOpenCoaxは、図3(a)に示すOpenCoaxとほぼ同様に構成されるが、外部導体2の構成については、以下に示す工夫が施されている。具体的には、外部導体2は、長尺状の金属板にて形成されている。また、外部導体2の長手方向に略直交する断面の断面形状がプレス加工、曲げ加工、押し出し加工、又は複数の金属板を溶接することによって略凹状(具体的には略逆Ω状)に形成されることにより、スリット9が当該外部導体2に形成されている(なお、後述する図5(b)に示すOpenCoaxの構成についても同様とする)。
また、図3(e)に示すOpenCoaxは、図3(a)に示すOpenCoaxとほぼ同様に構成されるが、外部導体2の構成については、以下に示す工夫が施されている。具体的には、外部導体2は、複数の分割外部導体17と導電性結束バンド16とを備えている。複数の分割外部導体17は、誘電体被覆導線の外周縁を覆う導体である。これら複数の分割外部導体17は、縦断面形状が略円弧状である長尺状の板状体にて形成されており、誘電体被覆導線に対して所定間隔を隔てて同心状に配置されている。また、導電性結束バンド16は、複数の分割外部導体17を誘電体被覆導線に対して固定するための導体である。この結束バンド16は、長尺状の略管状体にて形成されており、複数の分割外部導体17に対して同心状に配置されている。また、結束バンド16の側面のうち分割外部導体17同士の間隔に対応する部分に開口が設けられることにより、スリット9が当該結束バンド16に形成されている。
また、図4に示すOpenCoaxは、図3(a)に示すOpenCoaxとほぼ同様に構成されるが、外部導体2及びスリット9の構成については、以下に示す工夫が施されている。外部導体2は、長尺状の略直方体にて形成されている。また、スリット9は、外部導体2及び誘電体被覆導線の絶縁体4の上面の右側部分に凹部が設けられることにより、当該外部導体2及び誘電体被覆導線に形成されている。また、このスリット9の大きさが、OpenCoaxにおける長手方向に直交する断面の大きさの1/4程度に設定されている。このような構成により、スリット9の開き角度が90度程度となるため、給電通信用接続体を内部導体3に接続することが容易となる。また、この他にも、外部導体2に、スリット9を覆うためのカバー(例えば、電磁波の放射を抑制するシールド機能を有するカバー等)18が設けられてもよい。これにより、カバー18内に各種機器が設置することが可能になる。また、外部導体2のスリット9に対応する部分に、受電ポートを接続するための受けネジが当該外部導体2の長手方向に沿って等間隔に配置されてもよい。
図5、図6は、外部導体2が金属板にて形成された単層構造のOpenCoaxを長手方向に直交する面で切った断面図である。図7は、図5(f)に示すOpenCoaxの斜視図である。図5から図7に示すように、単層構造のOpenCoaxのうち、外部導体2が金属板にて形成されたOpenCoaxには、以下に示す構成が採用される。
図5(a)に示すOpenCoaxは、図3(d)に示すOpenCoaxとほぼ同様に構成されるが、外部導体2の構成については、以下に示す工夫が施されている。具体的には、外部導体2の幅が、図3(d)に示す外部導体2の幅に比べて短く設定されている。これにより、スリット9の開き角度を図3(d)に示すスリット9の開き角度に比べて小さくすることができる。
また、図5(c)に示すOpenCoaxは、図5(a)に示すOpenCoaxとほぼ同様に構成されるが、外部導体2の構成、及び誘電体被覆導線の構成については、以下に示す工夫が施されている。具体的には、外部導体2の幅が、図5(a)に示す外部導体2の幅に比べて長く設定されている。また、誘電体被覆導線の内部導体3の上面(すなわち、内部導体3のスリット9側の側面)が、絶縁体4から露出されている。このような構成により、給電通信用接続体を内部導体3に接続することが容易となる。
また、図5(d)に示すOpenCoaxは、図5(a)に示すOpenCoaxとほぼ同様に構成されるが、外部導体2の構成については、以下に示す工夫が施されている。具体的には、外部導体2における長手方向に直交する断面の下端部分が湾曲状に形成されている。これにより、断面が円形状である誘電体被覆導線を外部導体2にフィットさせやすくなる。
また、図5(e)に示すOpenCoaxは、図5(d)に示すOpenCoaxとほぼ同様に構成されるが、外部導体2の構成については、以下に示す工夫が施されている。具体的には、外部導体2の上方側の幅が、図5(d)に示す外部導体2の上方側の幅に比べて短く設定されている。これにより、誘電体被覆導線が外部導体2に押し込まれているため、誘電体被覆導線が外部導体2から離脱しにくくなる。
また、図5(f)、図7に示すOpenCoaxは、図5(e)に示すOpenCoaxとほぼ同様に構成されるが、外部導体2の構成については、以下に示す工夫が施されている。具体的には、外部導体2の上方側の幅が、図5(e)に示す外部導体2の上方側の幅に比べて短く設定されている。この場合において、誘電体被覆導線の取り付け方法については、具体的には、スリット9の幅が大きくなるように、外部導体2を変形させた後、誘電体被覆導線をスリット9に導入し、その後変形を戻す方法等が採用される。
また、図5(g)に示すOpenCoaxは、図5(d)に示すOpenCoaxとほぼ同様に構成されるが、内部導体3及びスリット9の構成については、以下に示す工夫が施されている。具体的には、内部導体3の一部が削られることにより、内部導体平坦部10が形成されている。また、スリット9が、外部導体2の右端部において、内部導体平坦部10と略同一直線上となる位置に配置されている。このような構成により、例えば、給電通信用接続体である電界結合型受電カードがスリット9を介してOpenCoaxに挿入された場合に、電界結合型受電カード自体の厚さによって絶縁体4を押しのけることにより押圧力が発生するので、この押圧力を利用して内部導体平坦部10と電界結合型受電カードとを密着させることができる。
また、図5(h)に示すOpenCoaxは、図5(c)に示すOpenCoaxとほぼ同様に構成されるが、外部導体2の構成については、以下に示す工夫が施されている。具体的には、外部導体2における長手方向に直交する断面の断面形状が略C字状に形成されている。
また、図5(i)に示すOpenCoaxは、図5(c)に示すOpenCoaxとほぼ同様に構成されるが、外部導体2の構成については、以下に示す工夫が施されている。具体的には、外部導体2における長手方向に直交する断面の断面形状が略U字状に形成されている。
また、図6の上部に示すOpenCoaxは、図5(d)に示すOpenCoaxの構成要素と同一の構成要素に対して、非磁性導体である非磁性金属板13をさらに備えている。また、外部導体である強磁性金属板12の構成についても、以下に示す工夫が施されている。具体的には、強磁性金属板12の材質については、鉄等の強磁性材料にて形成されている。また、非磁性金属板13は、アルミニウム等にて形成された長尺状の管状体であり、絶縁体4と強磁性金属板12との相互間において、絶縁体4の外縁部分をすべて覆うように配置されている。また、非磁性金属板13の厚さは、非磁性金属板13のスキンデブスよりも厚く設定されている。このような構成により、強磁性体による特性インピーダンス、S21特性、及び放射電界強度に対する影響を排除でき、例えばOpenCoaxを自動車等に適用することができる。なお、このOpenCoaxにおける内部導体3、絶縁体4、及び非磁性金属板13は、例えば同軸線路を用いて構成されてもよい。
また、図6の下部に示すOpenCoaxは、図6の上部に示すOpenCoaxとほぼ同様に構成されるが、非磁性金属板13の構成については、以下に示す工夫が施されている。非磁性金属板13は、当該非磁性金属板13における長手方向に直交する断面の断面形状が略U字状であるシート状体にて形成されていると共に、絶縁体4と強磁性金属板12との相互間において、絶縁体4の外縁部分の一部を覆うように配置されている。
(給電通信用伝送路の構成−複層構造)
次に、複層構造の給電通信用伝送路の構成について説明する。図8、図9は、複層構造のOpenCoaxを長手方向に直交する面で切った断面図である。図8、図9に示すように、複層構造のOpenCoaxには、以下に示す構成が採用される。
図8に示すOpenCoaxは、図3(a)に示すOpenCoaxの構成要素と同一の構成要素に対して、誘電体被覆導線を複数備えている。また、外部導体及びスリットの構成についても、以下に示す工夫が施されている。具体的には、外部導体は、長尺状の略円柱体にて形成されている。また、この外部導体は、例えば回転シャフト20を用いて構成されてもよい。また、スリットは、外部導体の外縁部分に凹部が所定間隔を隔てて複数設けられることにより、当該外部導体に複数形成されている。そして、複数の誘電体被覆導線の各々が各スリットを介して外部導体に挿入されることにより、当該複数の誘電体被覆導線は外部導体に取り付けられている。このような構成により、給電通信用接続体を内部導体3に複数接続することができる。
また、図9(a)に示すOpenCoaxは、図8に示すOpenCoaxとほぼ同様に構成されるが、外部導体及びスリット9の構成については、以下に示す工夫が施されている。具体的には、外部導体は、長尺状の略直方体にて形成されている。また、スリット9は、外部導体の上面に凹部が所定間隔を隔てて複数設けられることにより、当該外部導体に複数形成されている。このような構成により、誘電体被覆導線の設置数を増やすことができるため、通信速度、送電電力量、又は給電通信用接続体の接続数を増やすことができる。
また、図9(b)に示すOpenCoaxは、図5(f)に示すOpenCoaxの構成要素と同一の構成要素に対して、誘電体被覆導線を複数備えている。また、スリット9の構成についても、以下に示す工夫が施されている。具体的には、外部導体の長手方向に略直交する断面の断面形状がプレス加工等によって略波形状に形成されることにより、スリット9が当該外部導体に複数形成されている。そして、複数の誘電体被覆導線の各々が各スリット9を介して外部導体に挿入されることにより、当該複数の誘電体被覆導線は外部導体に取り付けられている。また、この他にも、例えば、外部導体の側面に、並列配置コネクタを取り付けるための開口が設けられてもよい。このような構成により、誘電体被覆導線の設置数を増やすことができるため、通信速度、送電電力量等を増やすことができる。また、誘電体被覆導線同士の配置間隔が短い場合でも、誘電体被覆導線間のクロストークは小さいものと考えられる。
〔4〕給電通信構造により非接触給電を行うための構成
次に、給電通信構造により非接触給電を行うための構成について説明する。図10は、非接触給電を行うための給電通信構造を構成するOpenCoaxを長手方向に直交する面で切った断面図であり、図10(a)は、非接触給電を行うための給電通信構造を構成するOpenCoaxを長手方向に直交する面で切った断面図、図10(b)は、図10(a)のOpenCoaxに給電通信用接続体である電界結合型受電カード45を挿入した状態の断面図である。
非接触給電を行うために重要なことは、図10(a)に示すように、OpenCoax8の外部導体2にスリット9を開け、内部導体3に内部導体平坦部10を設けることである。このような構成により、外部導体2と内部導体3間の電圧を受けて、外部に電力として取り出せる。また、スリット9の配置については、電力の取り出しが容易となるように、内部導体平坦部10と略同一直線上となる位置に配置されている。また、スリット9の幅については、電磁波放射を抑制するため、極力狭く設定されている。
次に重要なことは、図10(b)に示すように、電界結合型受電カード45がスリット9を介してOpenCoax8に挿入された際に、電界結合型受電カード45が内部導体平坦部10と外部導体2と密着することである。具体的には、絶縁体4は、発泡樹脂と伝播空間とを備えており、この伝播空間は、内部導体平坦部10に配置されている。また、内部導体3は、垂直方向に対して左斜めに配置されている。また、内部導体平坦部10には、カードストッパ51が設けられている。このカードストッパ51は、給電通信用接続体である電界結合型受電カード45を固定するための固定手段である。このような構成により、電界結合型受電カード45がスリット9を介してOpenCoax8に挿入された際に、電界結合型受電カード45が内部導体平坦部10との接触によって湾曲する。これにより、電界結合型受電カード45の復元力によって内部導体平坦部10に圧力が加わるので、電界結合型受電カード45と内部導体平坦部10との密着させることができる。また、適度な挿入感が得られると共に、カードストッパ51によって電界結合型受電カード45の挿入限界を設定できるので、電界結合型受電カード45をOpenCoax8に正確に取り付けることができる。また、図5(g)に示すOpenCoaxのように、電界結合型受電カード45を繰返し挿入することによって絶縁体4が損傷することを防止できる。
ここで、上述した給電通信構造で用いられる電界結合型受電カード45の構成について説明する。図11(a)は、電界結合型受電カード45の斜視図、図11(b)、(c)は、電界結合型受電カード45の回路図であり、図11(b)は直列共振回路の回路図、図11(c)は直列並列共振回路の回路図である。
電界結合型受電カード45は、OpenCoax8の内部に挿通される挿通部と、この挿通部を介してOpenCoax8との間で電力または信号の入力または出力を行う回路部とを備える。ただし、これら挿通部と回路部は相互に明確に区別することなく一体に構成することができ、例えば、回路部をOpenCoax8の内部に挿通するように構成してもよい。図11(a)に示すように、電界結合型受電カー45ドの下面には、内部導体平坦部10と対面する受電電極46が付けられている。この受電電極46は、樹脂等でカバーされ、利用者には電極として見えなくてもよい。この受電電極46と同じ位置のカード表面には、受電電極47が付けられている。受電電極46と受電電極47は、OpenCoax8の外部導体2に付けられた導電性ゲート9で挟まれることで、外部導体2に対して密着する。これら受電電極46と受電電極47は、接触式または非接触式のどちらでも良いが、例えば、接触式として機能するように作られて場合であっても、これら受電電極46や受電電極47と外部導体2との相互間にごみ等が挟まれることで安定して機能することが出来ない場合があるため、このような場合には、非接触式電極として機能させることが出来る。これは、後述する並列共振方式を採用することにより可能になる。
電界結合型受電カード45のスリット開口部9と対向する電極については、受電電極46と受電電極47のいずれか一方のみを設けてもよいが、両方あった方が確実である。電界結合型受電カード45の出力が大きく、高いシールド性能を求める場合には、受電電極46および受電電極47のどちらかが接触式であることが好ましい。カード出力回路のシールドを行う際に有利であるからである。すなわち、完全に、受電電極46および受電電極47を非接触型にして、カード出力段の回路をフローティングのシールドでカバーすることもできるが、効果は接触させた方が大きいからである。
このような電界結合型受電カード45に設ける回路は、送電効率の高い回路であることが好ましいため、例えば、共振現象を用いた以下の方式の回路のうち、いずれか1つの回路を採用することができる。
最初に、図11(b)に示す直列共振回路について説明する。この回路は、内部導体平坦部10と受電電極46との相互間で形成される接合容量と、直列共振用インダクタ48とで、直列共振させ、インピーダンスを下げて効率的に負荷39に電力を送電する回路である。ただし、接合容量が変化して共振がずれた場合には、送電効率が低下する。ここで、負荷39として抵抗のみが記載されているが、トランス56と抵抗の間には整流回路、平滑回路、DC/DC変換器85(定電圧出力する。)が挿入されてもよい。また、抵抗は負荷39の一般的総称として記したものであり、バッテリへの充電回路、各種負荷(CPU、光源、ディスプレイ、スピーカ等)が適宜選択されるものとする。CPUは、DC/DC変換器85、ディスプレイ等の各要素を制御するものであってもよい。さらに、この抵抗には、電力モニタ部が含まれ、このモニタ結果をCPUに送付してDC/DC変換器85を制御したり、共振回路を制御してもよい。さらに、モニタ結果が直接DC/DC変換器85に送られて制御用データとして供されてもよい。ここで、通信回路について述べると、直列共振用インダクタ(L1)48は、トランシーバ35への入出力信号が負荷39側にリークさせないチョークコイル37としての働きを兼ねている。さらに、トランシーバ35は、負荷39と平行に配置されていて、電力送電周波数よりも約3桁高い周波数を用いるとともに、小さな電力を送受するため、高域透過フィルタ38が付けられていてトランシーバ35に伝送電力が流れないようにしている。一方、電界結合型受電カード45は、OpenCoaxのスリットに何枚も差し込んで使用するため、各トランシーバ35と線路の結合を弱めるチョークコイル(L2)37を挿入している。トランシーバ35の最低受信電力は−100dBmから−120dBmと高感度であるため、チョークコイル(L2)37を挿入しても電界結合型受電カード45のトランシーバ35は機能する。
次に、図11(c)に示す直列並列共振回路について説明する。この回路は、並列共振回路49に対して、直列共振インダクタ48またはチョークコイル37を挿入して構成されている。特に、接合容量が小さい場合に、直列共振インダクタ48を挿入することにより、接合部の等価的容量を増大させることが出来る。ここで、通信回路について述べると、L3の直列共振用インダクタ48またはチョークコイル37は、トランシーバ35への入出力信号が負荷39側にリークさせない働きを兼ねている。さらに、トランシーバ35は、負荷39と平行に配置されていて、電力送電周波数よりも約3桁高い周波数を用いるとともに、小さな電力を送受するため、高域透過フィルタ38が付けられていてトランシーバ35に伝送電力が流れないようにしている。一方、電界結合型受電カード45は、OpenCoaxのスリットに何枚も差し込んで使用するため、各トランシーバ35と線路の結合を弱めるチョークコイル(L4)37を挿入している。トランシーバ35の最低受信電力は−100dBmから−120dBmと高感度であるため、チョークコイル(L4)37を挿入しても電界結合型受電カード45のトランシーバ35は機能する。
これら図11(b)、(c)に示す各共振回路において、共振回路が電界結合型受電カード45内に収まらなくとも、電界結合型受電カード45のうちOpenCoax8から外側に露出する部分を厚くすることは可能である。万が一、挿入された電界結合型受電カード45に外力が加わり、電界結合型受電カード45が折れたとしても、共振回路部が回路から切断されることになるので、出力電圧は大きくならない。さらに、電界結合型受電カード45が折れた時には、導線自体が電界結合型受電カード45内で切れて露出しないようにすることも可能である。このように、高い安全性が得られる。
〔5〕給電通信構造により接触給電を行うための構成
次に、給電通信構造により接触給電を行うための構成について説明する。上述したように、給電通信構造の給電方法としては、非接触方法のみだけでなく、OpenCoax8に給電通信用接続体であるプローブを取り付ける等することで接触給電を行うことも可能である。これにより、直流の入出力、非接触給電用のMF帯高周波の入出力、及び電波通信用のUHF帯高周波の入出力を行うことも可能になる。ここで、この接触給電を行うための構成については、プローブを所定位置に固定する固定式と、プローブを任意の位置に移動可能とするスライド式とに大別される。以下、これら固定式とスライド式とについて説明する。
(接触給電の構成−固定式)
まず、固定式の給電通信構造の構成について説明する。図12、図13は、固定式の給電通信構造の長手方向に直交する面で切った断面図である。図12、図13に示すように、固定式の給電通信構造には、以下に示す構成が採用される。
図12(a)に示す給電通信構造は、OpenCoaxと、プローブであるニードルピン22を含むコネクタとを備えている。また、このOpenCoaxは、図3(a)に示すOpenCoaxとほぼ同様に構成されるが、外部導体の構成については、以下に示す工夫が施されている。具体的には、外部導体の上面の略中央部分に凹部が設けられることにより、スリットが当該外部導体に形成されている。また、外部導体の上面には、ニードルピン22を支持するための支持部が設けられており、この支持部は、外部導体に対してネジ等によって固定されている。また、ニードルピン22をOpenCoaxの絶縁体に設けられた開口を介してOpenCoaxに取り付ける際には、ニードルピン22に対して所定量の圧力が加えられる。このような構成により、例えばEthernet(登録商標)にバンパイアによるケーブル接続方法に比べて、ニードルピン22をOpenCoaxに安定して取り付けることができる。また、大電力が流れることで内部導体が加熱すると、ニードルピン22による絶縁体への接触圧力によって絶縁体が変形しやすくなることから、小電力用途に用いることができる(ただし、ニードルピン22と内部導体との接触が針状接触であるため、送電電力量には限界がある)。
また、図12(b)に示す給電通信構造は、OpenCoaxと、プローブであるネジ式ピン23を含むコネクタ25とを備えている。また、このOpenCoaxは、図12(a)に示すOpenCoaxとほぼ同様に構成されるが、内部導体、及び絶縁体の構成については、以下に示す工夫が施されている。具体的には、絶縁体には、ネジ式ピン23を内部導体に挿通するための開口が設けられている。また、内部導体には、ネジ式ピン23を固定するためのネジ穴が設けられている。このような構成により、図11(a)に示す給電通信構造のように、OpenCoaxにネジ式ピン23を取り付ける際にネジ式ピン23に対して圧力を加える必要がないので、ネジ式ピン23容易且つ安定して取り付けることができる。また、ネジ式ピン23における内部導体との接触面積を大きく設定することができるので、大電力用途に用いることができる。
また、図12(c)に示す給電通信構造は、OpenCoaxと、プローブである溶接式ピン23cを含むコネクタ25とを備えている。また、このOpenCoaxは、図12(a)に示すOpenCoaxとほぼ同様に構成されている。ここで、溶接式ピン23cの取り付けについては、具体的には、溶接式ピン23cを適度な押圧力を加えつつ高速回転させて、溶接式ピン23cと内部導体との相互間で摩擦熱を発生させることにより、溶接式ピン23cを内部導体に取り付ける。このような構成により、図12(a)に示す給電通信構造、及び図12(b)に示す給電通信構造に比べて、プローブを容易に取り付けることができる。また、溶接式ピン23cにおける内部導体との接触面積を大きく設定することができるので、大電力用途に用いることができる。
また、図13(a)に示す給電通信構造は、OpenCoaxと、プローブであるニードルピン22aを含むコネクタとを備えている。また、このOpenCoaxは、図12(a)に示すOpenCoaxの構成要素と同一の構成要素に対して、非磁性導体をさらに備えている。また、ニードルピン22aの構成についても、以下に示す工夫が施されている。具体的には、非磁性導体は、アルミニウム等にて形成された長尺状の管状体であり、絶縁体と外部導体との相互間において、絶縁体の外縁部分をすべて覆うように配置されている。また、ニードルピン22aの外縁部分には、ニードルピン絶縁外皮22bが設けられている。ニードルピン絶縁外皮22bは、ニードルピン22aがOpenCoaxに取り付けられた場合に、ニードルピン22aが非磁性導体と絶縁状態にするためのものである。このような構成により、OpenCoaxにおける内部導体、絶縁体、及び非磁性導体が同軸線路を用いて構成された場合でも、ニードルピン22aを用いて受電することができる。
また、図13(b)に示す給電通信構造は、図13(a)に示す給電通信構造のプローブをネジ式ピン23bに代えたものである。
また、図13(c)に示す給電通信構造は、OpenCoaxと、プローブである電界結合用ピン24を含むコネクタとを備えている。また、このOpenCoaxは、図12(a)に示すOpenCoaxとほぼ同様に構成されるが、誘電体被覆導線の構成については、以下に示す工夫が施されている。具体的には、誘電体被覆導線の内部導体の上面(すなわち、内部導体のスリット側の側面)が、絶縁体から露出されている。また、この内部導体の一部が削られることにより、内部導体平坦部10が形成されている。このような構成により、内部導体が酸化膜で覆われていたとしても(特に、内部導体がアルミニウムで形成されている場合には、当該酸化膜を剥がすことなく)、電界結合用ピン24を共振回路を介して内部導体と接続することにより、受電することができる。
ここで、上述した給電通信構造のOpenCoaxに用いられるシールドカバーについて説明する。
図14は、シールドカバーの構成を示す図である。図14(a)に示すシールドカバーにおいては、OpenCoaxのスリットにおける受電部53の設置部分以外の部分が、導電性粘着層付メタルテープ43によって覆われている。また、図14(b)に示すように、OpenCoaxのスリットにおける受電部53の設置部分以外の部分が、弾性誘電体31を介してシールド板44によって覆われており、このシールド板44は、固定ネジ28で固定されている。これらの構成により、同軸線路はバルク導体14に接しており、OpenCoax8の同軸線路としての特性が保持される。
(接触給電の構成−スライド式)
次に、スライド式の給電通信構造の構成について説明する。図15は、スライド式の給電通信構造の概要を示す図である。図16は、電界結合用ピン24等の接触状態を示す図である。図17は、スライド式の給電通信構造の斜視図である。図18、図19は、コネクタ及びOpenCoaxの一部の断面図である。図15から図19に示すように、スライド式の給電通信構造には、以下に示す構成が採用される。
図15(a)から図15(c)に示す給電通信構造は、OpenCoax8と、プローブである電界結合用ピン24を含むコネクタ25とを備えている。また、このOpenCoax8は、図4(c)に示すOpenCoaxとほぼ同様に構成されるが、外部導体27及び内部導体26の構成については、以下に示す工夫が施されている。具体的には、内部導体26における絶縁体4に覆われていない部分の表面処理については、例えば、内部導体26がアルミニウムで形成されている場合には、アルマイト処理、摺動性に優れた絶縁層が形成できるタフラム処理(テフロンタフラム)等が施されている。また、内部導体26がアルミニウム以外の他の金属で形成されている場合には、強度及び摺動性に優れた絶縁層が形成できるDLC(Diamond Like Carbon)等が施されている(以下、このような内部導体26を「絶縁層付内部導体26」と称する)。また、外部導体27の表面処理については、例えば、上述した内部導体26の表面処理と同様の表面処理が施されている(以下、このような外部導体27を「絶縁層付外部導体27」と称する)。また、このコネクタ25は、図13(c)に示すコネクタとほぼ同様に構成されるが、コネクタ底部電極29を加えて構成されている。コネクタ底部電極29は、コネクタ25における電界結合用ピン24以外の部分を絶縁層付外部導体27と接触するための電極である。また、このコネクタ底部電極29と絶縁層付外部導体27との接触、及び電界結合用ピン24と絶縁層付内部導体26との接触については、具体的には、良好な電界結合が行われるように、コネクタ底部電極29及び電界結合用ピン24に適度な圧力が加えられることにより接触される。また、このコネクタ底部電極29と絶縁層付外部導体27との相互間、又は電界結合用ピン24と絶縁層付内部導体26との相互間には、例えば、液体又は気体の膜が形成されてもよい。これにより、例えば、コネクタ25の移動時において、コネクタ底部電極29と絶縁層付外部導体27との接触に伴って発塵が生じることを防止できるため、この給電通信構造をクリーンルーム内機器、精密機器等に適用することが可能となる。
また、図16(a)、(b)に示すように、電界結合用ピン24の外縁部分には、弾性誘電体31が設けられている。また、図16(a)に示すように、電界結合用ピン24の初期ポジションについては、例えば、弾性誘電体31の初期設定位置により、電界結合用ピン24がコネクタ25における電界結合用ピン24以外の部分に対して突出している。ここで、弾性誘電体31の材質については、低誘電率、弾性、経年変化に対する耐性を有する材質にて形成されることが望ましく、例えば、独立気泡を有する発泡シリコン等にて形成されている。また、図16(b)に示すように、電界結合用ピン24が絶縁層付内部導体26と接触された後、コネクタ25自体がOpenCoaxに向けて押し出されることにより、このコネクタ底部電極29及び絶縁層付外部導体27、電界結合用ピン24及び絶縁層付内部導体26がそれぞれ適度な圧力で接触される。
また、図17から図19に示すように、この絶縁層付外部導体27のコネクタ25側の側面には、ガイドレール69が設けられている。ガイドレール69は、当該ガイドレール69における長手方向に直交する断面の断面形状が略逆C状である長尺状の板状体であり、アルミニウム等にて形成され、スリットの長手方向に略沿って配置されている。また、このガイドレール69の形成方法は任意であるが、例えば押し出し金型等によって絶縁層付外部導体27と一体に形成されてもよく、あるいは、絶縁層付外部導体27と分離して形成されてもよい。また、このガイドレール69の内部には、コネクタ25の上面と接続されたスライド体ボディ部64が設けられている。また、このスライド体ボディ部64には、ガイドレール69の側壁と位置固定ボール65で左右の位置を決め、ガイドレール69下部と接触しているローラー66あるいはこれに限らず、例えばラック&ピニオンギア、ゴムキャタピラ、ボールねじ、リニアモータ等)とから構成されている。ここで、コネクタ底部電極29の反力30は、ローラ、スライドボディ部を介してガイドレール69から得られる。このような構成により、ガイドレール69をスリットの長手方向に略沿って移動させることが可能となる。また、例えば、スライド体ボディ部64と支柱柱67を介して接続された吊り下げ物69が人力によって開閉する引き戸である場合には、吊り下げ物69内に送電や通信を行うことにより、引き戸にディスプレイ、センサ等を取り付けることが可能となる。また、ガイドレール69内にリニアエンコーダを組み込むことにより、引き戸のポジションデータを出力することができる。そしてさらに、スライド体ボディ部64にモータを組み込むことにより、引き戸を自動に開閉することが可能となる。
ここで、上述した給電通信構造で用いられる回路の構成について説明する。図20から図24は、接触給電用の回路図である。
図20に示す回路は、直流送電・通信時の回路であり、コネクタ25を含む受電部53に電力を供給できる。この回路は、例えば、図2に示すOpenCoax(主に、同軸線路1を用いて構成されたOpenCoax)に取り付けられている。ここで、直流送電に用いられるコネクタ25のプローブについては、プローブと内部導体3とを電界結合することができないため、例えば、図12(b)に示すネジ式ピン23等が用いられる。この場合には、OpenCoaxの内部導体3等に形成されたアルマイト等の絶縁物を剥がしてから、プローブを内部導体3及び外部導体2と接しなければならない。また、図20に示すように、OpenCoaxの端部から給電され、線路の任意位置で受電している様子が示されているが、OpenCoaxの任意位置から送電され、端部で受電されたり、任意位置で送受電されたりすることも可能である。特に、太陽電池パネル敷設、照明器具配置等に有効である。また、直流電源32の出力部には、送電電流をモニタするための電流計34が設けられている。この電流計34から出力されたデータは制御装置33に送られるので、制御装置33は異常時に送電を停止させる。さらに、ヒューズ36が付けられてあり、ショート等に対して対応可能である。直流電源32、負荷39には、チョークコイル(L1)37が取り付けられており、トランシーバ35からの出力が電源や負荷39に入らないようにしている。トランシーバ35は、高域透過フィルタおよびチョークコイル(L2)37を介して線路に通信信号を出力している。この高域透過フィルタにより、直流成分のトランシーバ35への電圧印加を防いでいる。また、受電部53は、OpenCoaxのスリットに何台も挿入して使用するため、各トランシーバ35と線路の結合を弱めるチョークコイル(L2)37が不可欠である。トランシーバ35の最低受信電力は−100dBmから−120dBmと高感度であるため、チョークコイル(L4)37を挿入しても電界結合型受電カード45のトランシーバ35は機能する。チョークコイル37が無いと、送信部から最も近い受電部53に通信信号が流れ込んでしまい、他の受電部53との通信が困難になる。
また、図21に示す回路は、スリット付同軸線路8の端部に非接触送電回路と通信回路が組み込まれている。また、この回路が取り付けられているOpenCoax8には、コネクタを含む受電部53が2つ設けられている。この2つの受電部53のうち、(a)の受電部53は、並列共振54方式の受電回路を有しており、(b)の受電部53は直列共振55方式の回路を有している。どちらの受電部53も選択可能であるが、用途によって選ばれる。ここで、並列共振54方式の回路は、接合容量の変化に対して強い。 この接合容量の変化は、水濡れ、ごみ付着、酸化膜の厚さの位置によるばらつき、接触圧力の変化等によって発生する。ただし、接合量が変化しても送電可能であるが、出力が変化する。また、OpenCoax8の内部導体に形成された酸化膜が剥離した場合では、直列共振55方式の回路が動作しなくなるが、並列共振54方式の回路は動作可能である。また、出力を安定化させるために、出力部の整流・平滑回路41の後に、DC/DC変換器85が接続されている。ただし、DC/DC変換器85は、直流出力をチョッピングして高周波化し、再度整流していることから、非接触送電回路自体が行っていることを再度行っていると言える。よって、非接触送電回路自体を1つのDC/DC変換器85として考えることもできる。
また、図22に示す回路は、電界結合の非接触送電回路自体を1つのDC/DC変換器85として考える回路である。DC/DC変換器85のトランス56部分が共振回路を含むOpenCoax8に代わったものである。具体的には、回路の給電部分において、送電部52には、インバータ40が設けられており、受電部53にはコンバータ84が設けられている。それらの間には、OpenCoax8と共振回路がある。また、コンバータ84は、同期整流器であり、その位相は制御装置33によって制御される。インバータ40出力の位相に対してコンバータ84の整流タイミングを調整することにより、出力が可変できる。また、共振回路が、インバータ40の発振周波数に整合しているのならば、出力部の送電電力に相当する出力が取り出せる。しかし、受電部53が並列して存在しており、受電部53は負荷39に相当する電力しか必要としない。よって、コンバータ84の整流タイミングの制御だけでは、過大出力が出てしまう可能性があるため、共振回路の共振周波数をずらして設定しておく。これにより、コンバータ84の位相制御を最適にしても、一定範囲の出力に制限できる。また、図22には記されていないが、受電部53が電力を必要としていないときでも、他の受電部53のために送電部52が出力している場合に、受電部53の共振回路にて少ないとはいえ損失が発生する。このため、休止状態にある受電部53では共振回路をスイッチによって切断して待機する方法も選択できる。このスイッチは、制御装置33により制御される。共振回路の損失が極めて小さい場合には、この様なスイッチは用いなくてもよい。また、通信回路については、L1のチョークコイル37またはL3の直列共振用インダクタ48は、トランシーバ35への入出力信号が負荷39側にリークさせない働きを兼ねている。さらに、トランシーバ35は、負荷39と平行に配置されていて、電力送電周波数よりも約3桁高い周波数を用いるとともに、小さな電力を送受するため、高域透過用結合容量(C2またはC4)86が付けられていてトランシーバ35に伝送電力が流れないようにしている。一方、受電部53は、OpenCoax8のスリットに何台も挿入して使用するため、各トランシーバ35と線路の結合を弱めるチョークコイル(L2およびL4)37を挿入している。トランシーバ35の最低受信電力は−100dBmから−120dBmと高感度であるため、チョークコイル(L4)37を挿入しても電界結合型受電カード45のトランシーバ35は機能する。これが無いと、送信部に近い受電部53に通信信号がほとんど流れてしまい、他の受電部53との通信が不可能になる。なお、送電周波数は、1MHz〜6.78MHzとし、トランシーバ35間の通信波は、数百MHz〜数GHzを使用することを想定している。
また、図23に示す回路には、1つのOpenCoax8上に送電部52(図の左側)と受電部53(図の右側)とが設けられている。この様な形態でも、高効率な送電が可能である。この方式は、アルミニウムを内部導体として使用した際には、一切のアルミ酸化膜を剥離することなく使用でき、極めて都合の良い方式である。また、送電部52には、直流電源32出力をインバータ40で高周波化し、共振回路を用いてOpenCoax8に供給する(送電部52では、出力電圧が高くできれば、必ずしも共振回路は必要ない)。また、受電部53に設けられている整流・平滑回路41と負荷39の間には、出力電圧の安定化及び出力電圧の設定を行うために、DC/DC変換器85が挿入されている。
また、図24に示す回路は、図22と同様に、受電部53では共振回路の後にコンバータ84が挿入されていると共に、制御装置33により送電部52のインバータ40の出力との位相差を制御して、任意の出力及び電圧安定度を得ることが出来る。また、通信回路については、L1またはL3のチョークコイル37が、トランシーバ35への入出力信号が負荷39側にリークさせない働きを兼ねている。さらに、トランシーバ35は負荷39と平行に配置されていて、電力送電周波数よりも約3桁高い周波数を用いるとともに、小さな電力を送受するため、高域透過用結合容量(C2またはC4)86が付けられていてトランシーバ35に伝送電力が流れないようにしている。一方、受電部53は、OpenCoax8のスリットに何台も挿入して使用するため、各トランシーバ35と線路の結合を弱めるチョークコイル(L2およびL4)37を挿入している。トランシーバ35の最低受信電力は−100dBmから−120dBmと高感度であるため、チョークコイル(L4)37を挿入しても電界結合型受電カード45のトランシーバ35は機能する。これが無いと、送信部に近い受電部53に通信信号がほとんど流れてしまい、他の受電部53との通信が不可能になる。
また、上述した給電通信構造で用いられるシールドカバーの構成について説明する。図25は、シールドカバーの構成を示す図である。図25(a)、(b)に示すシールドカバーは、薄いバネ材等で作られた「く」の字型の金属スプリング58にて形成されており、OpenCoaxの短手方向の端部に設けられた並行する2枚の金属平板11に溶接されている。この様なシールドカバーであるシールドベルト57が並行して二条配設されており、常時密着している。受電部53のコネクタに流線型の接触部を設け、これをシールドベルト57間に置いて動かすことにより、シールドベルト57が流線形に馴染んで変化するため、開口が空くことが無く、シールドが維持される。これにより、シールドカバーは外部導体と完全に導通される。
〔6〕給電通信構造により通信(電波送受信)を行うための構成
次に、給電通信構造により通信を行うための構成について説明する。通信(電波)は、OpenCoaxに接続される多くの受電部53との通信および制御を行うために有用である。しかしながら、通信は、電磁波放射を低減するとともに、VSWR(電圧定在波比)を低く抑えて、S/Nを改善した環境で行うことが好ましい。このような目的で、以下の構成が採用される。
図26は、給電通信構造により通信を行うための構成を示す図である。この目的で、図26に示すように、OpenCoaxの長手方向の端部がOpenな形態では、当該端部を閉じるための端部シールド面62が設けられている。端部シールド面62は、電磁波が当該端部から外部に漏洩することを防止するための漏洩防止手段であり、直流送電を可能とするために、内部導体3と外部導体2は絶縁されている。また、上述した端部近傍であって、端部シールド面62よりもOpenCoaxの内側の位置に、高周波帯吸収部62が設けている。高周波帯吸収部62は、通信波を吸収するための素子であり、具体的には通信波を熱に変換し反射させなくする。また、上述した端部において、内部導体3と外部導体2が相互に非接触となるように配置されており、DCやMF帯をショートさせてはならない。一方、MF帯に対して吸収体として働いてはならない。
〔7〕給電通信用伝送路を連接するための構成
次に、給電通信用伝送路を連接するための構成について説明する。給電通信用伝送路を連接するための構成としては、1)外部導体接合部で特性インピーダンスの連続性が得られること(非接触電力供給及び通信信号)、2)低コストかつ簡易敷設が可能なこと、3)安定したシステムであること、4)電磁波放射が無いこと、5)コネクタが確実にケーブルに固定できること、6)直流送電が可能なことが望ましい。この目的が達成されるためには、以下に示す連接構成が検討された。
図27から図33は、給電通信用伝送路を連接するための構成を示す図である。図27、図28に示す連接構成としては、OpenCoax8の外部導体2としてスリット付外部導体80が用いられ、このスリット付外部導体80の相互間に接合部77が設けられ、それらの内部に誘電体被覆導線74が挿通されている。ここで、図27(a)に示す連接構成には、直流送電するためスリット付外部導体80間に接合ピン78が取り付けられている。この連接構成では、スリット付外部導体80がずれると、インピーダンスミスマッチを起こして通信が出来なくなる等の不安定要素がある。また、シミュレーション結果によると、誘電体被覆導線74とスリット付外部導体80で直流送電・通信線路81を構成すると、通信波(GHz帯域)では、接合部77から電磁波漏洩が観測される。これを防止するために、図27(b)、図28に示す連接構成では、トレンチ2周辺部に複数の高周波用接合ピン79が配設されるとともに、シールド板44でトレンチ2が塞がれている。ただし、図27(b)、図28からも明らかなように、誘電体被覆導線74だけを用いた場合には、スリット付外部導体80に求められる要求が高くならざるを得なくなり、コストアップにつながる。
また、図29から図31に示す連接構成としては、OpenCoax8の外部導体としてスリット付外部導体80が用いられ、このスリット付外部導体80の相互間に接合部77が設けられ、それらの内部に同軸線路が挿通されている。ここで、図29(a)、図30に示す連接構成には、被覆付同軸線路70bが這わされている。この連接構成では、被覆付同軸線路70bの外部導体は、スリット付外部導体80と接触していないため、ケーブルの要所で被覆を剥いで、同軸ケーブルの外部導体にハンダ等にて形成された同軸線路被覆73を盛り付けてスリット付外部導体80と接触させる必要がある。これを行うことにより、図13(a)、(b)のようなコネクタの接続が可能になる。一方、図29(b)、図31に示す連接構成には、被覆なし同軸線路70aが這わされている。被覆なし同軸線路70aの場合には、接合ピン78は必ずしも必要ではないが、直流送電時の抵抗を低減する際には必要になる。また、接合部77では被覆なし同軸線路70aの外部導体が露出するため、コーキング材82で被覆なし同軸線路70aが防護されている。このような連接構成により、同軸線路の外部導体と良好に接触が得られる。
また、図32、図33に示す連接構成は、図31に示す連接構成とは異なる構成で形成されている。具体的には、図32に示す連接構成では、被覆なし同軸線路70aの外部導体を外気にさらしたくないため、接合部77と同様に、トレンチ部にコーキング材82が満たされている。また、被覆なし同軸線路70aの外部導体は、スリット付外部導体80と接触しているため、同電位である。これにより、図13(a)、(b)の様なコネクタの接続が可能になる。
また、図33に示す連接構成では、被覆なし同軸線路70aがスリット付外部導体80内に収められている。また、直流送電が行われるときには、直流の往路は同軸線路内部導体72が用いられ、復路は同軸線路外部導体71及びスリット付外部導体80が用いられる。ここで、スリット付外部導体80の断面積の大きさについては、抵抗は小さく発熱も小さくなるように大きく設定可能である。ただし、同軸線路内部導体72は断面積が取れないため、抵抗があり、発熱源になる。このことからすると、一般に絶縁体4にポリエチレンが使用されるため、最高温度を50℃以下に保持する必要がある。また、20D−2Vケーブルを用いて800Wの電力を流した時には、1時間通電時した時(外部への熱伝導を無視)に6.1℃の温度上昇があることが判っている。以上のことから、熱の伝導については連接構成としては、被覆なし同軸ケーブルが這わされている構成が有利と言える。なお、電力をさらに上げて熱が発生する際には、スリット付外部導体80の放熱性能を上げるべく、図33に示すように、スリット付外部導体80にヒートシンク83であるフィンを設けても良い。
以上に示す連接構成から、スリット付外部導体80間の接続には、連接ピンが用いられることが好ましいと言える。また、被覆なし同軸線路70aを使用することにより、スリット付外部導体80と同軸線路の外部導体が接触するため、スリット付外部導体80にも電流が流せたり、断面積が大きく設定でき、低抵抗を実現できることから、被覆なし同軸線路70aが這わされている構成が好ましい。特に、同軸線路が用いられるので、1)品質が安定し安価な製品が利用でき、2)電磁波放射が無く、3)外部導体に強磁性体を使用しても影響がなく、4)室内を引き回せ、既存コネクタも使用できる。また、上述したEthernet(登録商標)にバンパイアによるケーブル接続方法のように、外部導体の接続が外部からケーブルを噛みついてコンタクトを取るものではなく、接合部77がスリット付外部導体80に直接接触することができるため、確実に導通を取ることができる。
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。従来の伝送路よりも、給電通信用接続体の取り付けが容易にできない場合であっても、本願発明の手段が従来の伝送路の手段と異なっている場合には、本願発明の課題が解決されている。
(給電通信構造について)
上記説明では、給電通信構造を、公知の同軸線路又は公知の誘電体被覆導線を用いた構造を基本に展開したものとして説明したが、上記特記した部分以外においても、公知の同軸線路又は公知の誘電体被覆導線の構成をそのまま受け継ぐことなく任意に変更することができ、外部導体2、内部導体3、あるいは伝播空間4の形状や材質について、公知の同軸線路又は公知の誘電体被覆導線とは異なる形状や材質としてもよい。また、上記説明した各種の給電通信構造の構成のうち、一部を省略してもよく、例えば、接触給電、非接触給電、電波通信、光通信のうち、任意の一部の機能のみが必要な場合には、他の機能のみに必要な構成を省略してもよい。つまり、給電通信構造は、給電機能のみが必要な場合には通信機能を省略した給電構造として構成することができ、通信機能のみが必要な場合には給電機能を省略した通信構造として構成することができる。
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
1 同軸線路
2 外部導体、トレンチ
3 内部導体
4 伝播空間、誘電体、絶縁体
5 電界
6 磁界
7 電流
8 スリット付同軸線路、OpenCoax
9 スリット、スリット開口部、導電性ゲート
10 内部導体平坦部
11 金属平板
12 強磁性金属板
13 非磁性金属板
14 バルク導体
15 固定基板
16 結束バンド(導電体)
17 分割外部導体
18 カバー
19 装置実装空間
20 回転シャフト
21 押圧力
22、22a ニードルピン
22b ニードルピン絶縁外皮
23、23a ネジ式ピン
23b ネジ式ピン絶縁外皮
23c 溶接式ピン
23d 溶接式ピン絶縁外皮
24 電界結合用ピン
25 コネクタ
26 絶縁層付内部導体
27 絶縁層付外部導体
28 固定ネジ
29 コネクタ底部電極
30 反力
31 弾性誘電体
32 直流電源
33 制御装置
34 電流計
35 トランシーバ
36 ヒューズ
37 チョークコイル
38 HPF(高域透過フィルタ)
39 負荷
40 インバータ
41 整流・平滑回路
42 共振回路
43 導電性粘着層付メタルテープ
44 シールド板
45 電界結合型受電カード
46 受電電極(カード下面)
47 受電電極(カード上面)
48 直列共振用インダクタ
49 並列共振回路
50 カードに加わる力
51 カードストッパ
52 送電部
53 受電部
54 並列共振
55 直列共振
56 トランス
57 シールドベルト
58 金属スプリング
59 溶接部
60 流線型コネクタ外部導体
61 シールドベルト固定部
62 端部シールド面
63 高周波帯吸収部
64 スライド体ボディ部
65 位置固定ボール
66 ローラー
67 支持柱
68 吊り下げ物
69 ガイドレール
70a 被覆なし同軸線路
70b 被覆付同軸線路
71 同軸線路外部導体
72 同軸線路内部導体
73 同軸線路被覆
74 誘電体被覆導線
75 導線
76 誘電体被覆
77 接合部
78 接合ピン
79 高周波用接合ピン
80 スリット付外部導体
81 直流送電・通信線路
82 コーキング材
83 ヒートシンク
84 コンバータ
85 DC/DC変換器
86 結合容量

Claims (4)

  1. 長尺状に形成された内部導体と、
    長尺状に形成されたものであって、前記内部導体の外部において、当該内部導体に対して同心状に配置された外部導体であって、当該外部導体を構成する各導体が同一電位に保持された外部導体と、
    前記内部導体と前記外部導体との相互間に配置されたものであって、これら内部導体と外部導体とを相互に絶縁する絶縁体とを備える給電通信用伝送路であって、
    当該給電通信用伝送路に対して取り付けられる給電通信用接続体の少なくとも一部を前記外部導体の外部から前記内部導体に至るように挿通させるための長尺方向に略直線状かつ同一幅のスリットを、
    前記外部導体に少なくとも1つ以上形成し、
    当該給電通信用伝送路の断面のうち当該給電通信用伝送路の長手方向に略直交する同一断面において、前記少なくとも1つ以上のスリットの各々における前記外部導体側の端部の一方と前記内部導体の長手方向の中心軸とを結ぶ第1の直線と、当該少なくとも1つ以上のスリットの各々における前記外部導体側の端部の他方と前記内部導体の長手方向の中心軸とを結ぶ第2の直線とによって形成される内角度の合計値が100度以下となるように、前記スリットの形状を設定した、
    給電通信用伝送路。
  2. 前記外部導体を金属板にて形成し、
    前記外部導体の断面のうち当該外部導体の長手方向に略直交する断面の断面形状を略凸状、略凹状、又は略凹凸状にすることにより、前記少なくとも1つ以上のスリットを前記外部導体に形成した、
    請求項1に記載の給電通信用伝送路。
  3. 前記外部導体をバルク金属体にて形成し、
    前記外部導体の側面のうち当該外部導体の長手方向に略沿った側面に少なくとも1つ以上の凹部を設けることにより、前記少なくとも1つ以上のスリットを前記外部導体に形成した、
    請求項1又は2に記載の給電通信用伝送路。
  4. 前記外部導体を強磁性体にて形成し、
    前記外部導体と前記絶縁体との相互間に、非磁性導体を設け、
    前記非磁性導体の厚さを、当該非磁性導体のスキンデブスよりも厚くした、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の給電通信用伝送路。
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