JP6207486B2 - 車両荷物室の床敷パネルヒーター - Google Patents
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Description
こうした貨物の輸送には、断熱用パネルにより囲まれた密閉式の箱型荷台を搭載し、その荷室内の温度を、冷凍装置によって低温に保つ冷凍・冷蔵車(温度管理車)が用いられる。最近では、食品の安全の観点からより厳格な温度管理が求められるとともに、いわゆるコンビニエンスストアへの配送など、小口配送の利便性追求の観点から、冷凍装置を装備する箱型荷台に仕切りパネル(中仕切りパネル)を配置して複数の部屋に分割し、冷蔵品や冷凍品等の多種類の貨物を収容する荷台も一般的に使用されている。
暖房パイプHP1等は、図5(b)に示すとおり、車両のエンジンを冷却して高温となったエンジン冷却水が流れるよう、ラジエータRAを備えたエンジン冷却水の循環系統に接続されている。寒冷地において、運搬するビール等が凍結する恐れのあるときは、ラジエータRAに流通させる高温のエンジン冷却水を、電磁弁SVを切り換えて暖房パイプHP1等に流し、荷台VBを加熱して、ビール等の凍結による食味の低下を防止する。
本発明の課題は、簡易な手段によって、貨物の凍結を防止するよう箱型荷台の荷室内を加温する装置を設け、上述の問題点を解決することにある。
「断熱用パネルにより囲まれ、冷凍装置により荷室内が冷却可能となった車両用の箱型荷台の荷室床面に敷設される、取り外し自在の床敷パネルヒーターであって、
前記床敷パネルヒーターは、上部に配置される床板と、中間部に配置される面状の電気式ヒーターと、下部に配置される断熱パネル板とを積層した積層体を備えるとともに、前記床敷パネルヒーターの周縁部に置かれ、前記積層体を固定する枠体を備えており、
荷室内の過冷却を防止するときは、前記面状の電気式ヒーターが通電される」
ことを特徴とする床敷パネルヒーターとなっている。
そして、床敷パネルヒーターは、取り外し自在に荷室の床面に敷設されていて、貨物の凍結の恐れがない場所で箱型荷台を使用する場合は、荷室の床面から取り外し別の保管場所に移される。このときには、加温装置を備えていない荷台の床面と同じ高さとなって、箱型荷台の内法高さの減少が回避される。
床敷パネルヒーターの面状の電気式ヒーターから生じた熱は、上方の床板に伝達されて床板の温度が上昇する。本発明の床敷パネルヒーターでは、面状の電気式ヒーターの下方に断熱パネル板が配置してあるため、電気式ヒーターの熱は効率よく上方の床板に伝達され、その温度を上昇させる。高温となった床板から、輻射又は自然対流によって熱が荷室内に伝達されるが、床敷パネルヒーターは最も低い床面に置かれているので、ここでも熱は効率的に荷室内に伝達され、荷室内が均等に加温される。
請求項3の発明のように、面状の電気式ヒーターと断熱パネル板との間にクッション材を配置すると、車両の振動等に起因する電気式ヒーターへの衝撃が緩和され、電気式ヒーターの損傷や劣化が防止される。
請求項7の発明のように、床板を絶縁体の合成樹脂板としたときは、誘導電流の発生を防止できる。合成樹脂板としては、強度及び熱伝導性が比較的良好なもの、あるいは繊維強化プラスチック(FRP)などが好ましい。
電気式冷凍機は、アイドリングストップや貨物の積み降ろし時などで車両のエンジンが停止中であっても、冷凍装置2による荷室内の冷却が可能であり、また、冷凍装置2の作動の際に発生する騒音が非常に小さい。冷凍装置2の作動は、箱型荷台VBの前面に取り付けた制御盤4で制御され、冷凍装置2の駆動電源のバッテリ3は、車両のエンジンの補機である発電機5により充電される。
前室FRにおける前方壁の上部には、後部ドアRDを開いた状態の箱型荷台VBを後方から見た図である図1(b)に示すように、冷凍装置2の吹き出し口21が開口し、ここから前室FR内に冷風が送り出され、冷風の一部は、中仕切り6の開口部(図示省略)を通過して後室RRにも導入される。冷凍装置2の作動及び各荷室への冷風の導入量は、例えば、前室FRの温度が5℃程度に、後室RRの温度が18℃程度に保持されるよう、車両運転室内に置かれた温度設定手段の操作に対応し、制御盤4内の制御装置によって制御される。このように、荷室内を前室と後室とに分割したときは、冷風の吹き出し口のある前室の温度がより低温に設定され、例えば冷凍品を運搬する車両の場合には、前室の温度が−10℃以下に保持される。
図2の分解図に示されるように、この実施例の床敷パネルヒーター1は、上部に配置される床板11と、その下方に配置される面状の電気式ヒーター12と、電気式ヒーター12の下方に置かれるクッション材13と、最下部に配置される断熱パネル板14とを順次積層した積層体1Lを備えている。積層体1Lは、平面視で長方形形状であって、その周縁部となる4辺には、合成樹脂で成形した断面コ字状の枠体1Fを嵌め込み、図3(a)に示すとおり、積層体1Lの各層を締め付けて固定する。
図3(b)に示す変形例の床敷パネルヒーター1´は、面状の電気式ヒーター12´と床板11´との間に、蓄熱材HAを挟んだものである。蓄熱材HAとしては、ノルマルパラフィン系の潜熱蓄熱材を袋体に封入した、周知の蓄熱材が用いられている。なお、クッション材13´と断熱パネル板14´は、図3(a)のものと変わりはない。
面状発熱体FHの下方にはクッション材13を配置し、車両の振動などに起因して面状発熱体FHが損傷するのを防止する。クッション材13としては、ペフシートと呼ばれる発泡合成樹脂製のシートが用いられている。
積層体1Lを構成する材料は、軽量でありながら強度及び剛性が大きい材料であるとともに、箱型荷台において通常使用されるものであるから、本発明の床敷パネルヒーター1は強度が大きく、そして、安価なコストで製造可能である。
箱型荷台VBの後室RRの温度が低下し、凍結の恐れがあるような過冷却の状態となったときは、床敷パネルヒーター1の面状発熱体FHに、車載のバッテリ3から制御盤4で電圧等を調整しながら通電する(図1参照)。ちなみに、ここで用いられている面状発熱体FHは、AC/DC共に3〜400Vの範囲の電圧に設定できる仕様となっており、バッテリからの電力は制御盤で100Vに昇圧して供給される。
面状発熱体FHの下方には断熱材を備えた断熱パネル板14が配置されているため、面状発熱体FHから生じた熱は、上方の床板11であるアルミニウム板に効率よく伝達される。アルミニウムは熱伝導率の大きい材料であって、面状発熱体FHの熱により、床板11は均一な状態で迅速に加熱される。
後室RRは断熱用パネルにより囲まれており、外気への放熱が遮断されるため、室内が効率よく加温される。そして、床板11からの熱が輻射や自然対流によって荷室内に伝達されるため、荷室上部の温度も荷室中央部の温度もほとんど差のない状態となる。これらの温度は、荷室下部よりもわずかに低い状態でそれに追随しながら上昇し、約105分後には20℃を越える。この温度上昇の迅速性は、ヒートポンプ式冷凍機を採用し後室RRを加熱する、エネルギ消費の大きい従来の加温装置と同等のものである。
11 床板
12 電気式ヒーター
13 クッション材
14 断熱パネル板
1L 積層体
1F 枠体
2 冷凍装置
3 バッテリ
VB 箱型荷台
FR 前室
RR 後室
Claims (7)
- 断熱用パネルにより囲まれ、冷凍装置により荷室内が冷却可能となった車両用の箱型荷台の荷室床面に敷設される、取り外し自在の床敷パネルヒーターであって、
前記床敷パネルヒーターは、上部に配置される床板と、中間部に配置される面状の電気式ヒーターと、下部に配置される断熱パネル板とを積層した積層体を備えるとともに、前記床敷パネルヒーターの周縁部に置かれ、前記積層体を固定する枠体を備えており、
荷室内の過冷却を防止するときは、前記面状の電気式ヒーターが通電されることを特徴とする床敷パネルヒーター。 - 前記面状の電気式ヒーターが、PTC特性を有する面状発熱体からなる請求項1に記載の床敷パネルヒーター。
- 前記面状の電気式ヒーターと前記断熱パネル板との間に、クッション材が配置される請求項1又は請求項2に記載の床敷パネルヒーター。
- 前記床板と前記面状の電気式ヒーターとの間に、蓄熱材が配置される請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の床敷パネルヒーター。
- 前記積層体の下部に配置される断熱パネル板が、発泡合成樹脂の断熱材の両面に金属製薄板を積層したサンドイッチ構造の断熱板である請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の床敷パネルヒーター。
- 前記床板が、上面に凹凸部を形成したアルミニウム板である請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の床敷パネルヒーター。
- 前記床板が、絶縁体の合成樹脂板である請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の床敷パネルヒーター。
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