このように、蒸気タービンのロータなどを蒸気の熱から保護するにあたり、特許文献1に記載のように冷却蒸気を供給したり、特許文献2に記載のように保護シールドを配設したりすることが知られている。
ここで、特許文献1に記載される蒸気タービンにおいては、ケーシング蒸気チャネルに高圧低温蒸気を供給する蒸気源を含むことが示され、この蒸気源について具体的な記載はない。ロータなどを冷却する場合、蒸気タービンの駆動に供給される蒸気よりも低温の蒸気を供給する必要があり、かつ蒸気タービンの駆動に供給される蒸気よりも高圧の蒸気を供給する必要があるが、蒸気タービンのロータの最高温度部は、蒸気タービンの内部において最も圧力が高く、この圧力よりも高圧であって温度の低い冷却蒸気を供給することは容易ではない。これは、蒸気タービン内の蒸気が温度の低下と圧力の低下を同時に伴うためである。このため、蒸気タービンの外部の流体を用いる場合では、流体を低温化したり高圧化したりする別の動力源を必要としたり、蒸気タービンの内部の流体を用いる場合では、蒸気タービンの稼働効率が低下し、特許文献1に示される複合サイクル発電プラントなどのコンバインドサイクルプラントにおけるサイクル効率を低下させたりする問題がある。
本発明は上述した課題を解決するものであり、別の動力源を必要とせず、かつコンバインドサイクルプラントにおけるサイクル効率の低下を防ぐことのできる蒸気タービンを提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、第1の発明の蒸気タービンは、ガスタービンと、前記ガスタービンから排出される排ガスを加熱源とするボイラと、前記ボイラで発生した高圧蒸気により駆動する高圧蒸気タービンと、前記ボイラで発生した低圧蒸気および前記高圧蒸気タービンを経た蒸気により駆動する低圧蒸気タービンと、前記低圧蒸気タービンを経た蒸気を復水にする復水器と、前記復水器からの前記復水を前記ボイラに供給する復水ポンプと、を備えるコンバインドサイクルプラントに係り、前記ボイラは、前記復水器からの前記復水から蒸気を発生する高圧蒸発器と、前記高圧蒸発器で発生した蒸気を過熱する高圧一次過熱器と、前記高圧一次過熱器で過熱された蒸気をさらに過熱する高圧二次過熱器と、を含み、前記高圧二次過熱器で過熱された蒸気が前記高圧蒸気タービンの駆動に供給され、前記高圧蒸発器の出口から前記高圧一次過熱器を経て前記高圧二次過熱器内までの間と、前記高圧蒸気タービンの内部とを連通する接続ラインを含む冷却蒸気供給部を備えることを特徴とする。
この蒸気タービンによれば、高圧蒸発器の出口から高圧一次過熱器を経て高圧二次過熱器の内部までの間と、高圧蒸気タービンの内部とを連通する接続ラインを含む冷却蒸気供給部を備えることで、コンバインドサイクルプラント内において、高圧蒸気タービンに供給される過熱蒸気よりも高圧で、かつ低温の冷却蒸気を、高圧蒸気タービンの内部に供給することができる。この結果、別の動力源を必要とせず、高圧蒸気タービンの内部の高温部を冷却することができる。また、コンバインドサイクルプラント内の発生蒸気を用い、高圧蒸気タービンの内部の流体を用いて冷却しないため、高圧蒸気タービンの稼働効率の低下を防ぎ、その結果サイクル効率の低下を防ぐことができる。
また、第2の発明の蒸気タービンでは、第1の発明において、前記接続ラインは、前記高圧一次過熱器の出口から前記高圧二次過熱器の入口までの間と、前記高圧蒸気タービンの内部とを連通することを特徴とする。
高圧一次過熱器の出口から高圧二次過熱器の入口までの間から、高圧蒸気タービンの内部に冷却蒸気を供給すると、高圧二次過熱器へ供給する蒸気が減るため、高圧二次過熱器での過熱効率が向上し高圧蒸気タービンに供給する過熱蒸気の温度が上昇する。この結果、高圧蒸気タービンの稼働効率を向上することができ、サイクル効率を向上することができる。
また、高圧一次過熱器の出口から高圧二次過熱器の入口までの間から、高圧蒸気タービンの内部に冷却蒸気を供給すると、高圧蒸気タービンに供給する過熱蒸気の温度を一定とする場合に、高圧蒸発器から得る蒸気量を増すことができるため、高圧蒸気タービンへの過熱蒸気の供給量を増加できる。この結果、高圧蒸気タービンの稼働効率を向上することができ、サイクル効率を向上することができる。
また、第3の発明の蒸気タービンでは、第1または第2の発明において、前記高圧蒸気タービンは、自身の回転の軸心に沿って延在するロータと、前記ロータを格納する車室と、前記ロータの延在方向に沿って前記ロータと前記車室との間に設けられた蒸気通路と、前記車室の外部から前記車室を貫通して前記蒸気通路に至り連通して設けられ前記高圧二次過熱器で過熱された蒸気が供給される高圧蒸気供給部と、を含み、前記冷却蒸気供給部は、前記接続ラインに接続されて前記高圧蒸気供給部とは別に前記車室の外部から前記車室を貫通して前記蒸気通路に至り連通する連通流路を含むことを特徴とする。
この蒸気タービンによれば、高圧蒸気タービンに供給される過熱蒸気よりも高圧で、かつ低温の冷却蒸気を、高圧蒸気タービンの内部に好適に供給することができる。
また、第4の発明の蒸気タービンでは、第3の発明において、前記高圧蒸気供給部は、前記ロータの外周を囲む環状に形成されてその外面と前記ロータの外周面との間に前記蒸気通路に連通する隙間を有して前記車室に取り付けられ、その内部に環状に沿って形成された高圧蒸気ノズル室と、前記高圧蒸気ノズル室から前記ロータの延在方向に向いて前記蒸気通路に連通する開口とを有し、前記高圧蒸気ノズル室に前記高圧二次過熱器で過熱された蒸気が供給される高圧蒸気ノズル部を含み、前記連通流路は、前記高圧蒸気ノズル部における前記高圧蒸気ノズル室の前記開口と反対側で前記隙間に連通して設けられることを特徴とする。
この蒸気タービンによれば、高圧蒸気タービンに供給される過熱蒸気よりも高圧で、かつ低温の冷却蒸気が連通流路を介して高圧蒸気供給部とロータの外周面との隙間に吐出されるため、ロータを冷却することができる。しかも、高圧蒸気タービンに供給される過熱蒸気よりも高圧で、かつ低温の冷却蒸気が連通流路を介して高圧蒸気供給部とロータの外周面との隙間に吐出されることで、過熱蒸気が隙間を介して蒸気通路から漏れ出る事態を防ぐ結果、過熱蒸気の損失が防止されるため、高圧蒸気タービンの稼働効率を向上することができ、サイクル効率を向上することができる。
また、第5の発明の蒸気タービンでは、第4の発明において、前記連通流路は、前記隙間に連通する開口に設けられる冷却蒸気ノズルを含むことを特徴とする。
この蒸気タービンによれば、冷却蒸気ノズルにより連通流路から隙間に吐出される冷却蒸気の流速が上昇する。この結果、冷却蒸気の温度を下げることができ、冷却効率を向上することができる。
また、第6の発明の蒸気タービンでは、第5の発明において、前記冷却蒸気ノズルは、前記ロータの回転方向に先端を向けて設けられることを特徴とする。
この蒸気タービンによれば、冷却蒸気ノズルにより冷却蒸気がロータの回転方向に沿って連通流路から隙間に吐出される。この結果、ロータの回転速度と冷却蒸気の速度の差によって生じる摩擦損失を低減することができる。
また、第7の発明の蒸気タービンでは、第4〜第6のいずれか1つの発明において、前記高圧蒸気タービンは、前記高圧蒸気ノズル部における前記高圧蒸気ノズル室の前記開口にノズル部静翼が取り付けられ、かつ前記ロータの外周に前記ノズル部静翼に隣接して動翼が取り付けられており、前記冷却蒸気供給部は、前記動翼の前記ノズル部静翼側の基端部、前記ノズル部静翼の前記動翼側の先端部、の少なくとも一方に設けられる突起部を含むことを特徴とする。
この蒸気タービンによれば、突起部によりノズル部静翼の先端部と動翼の基端部との間において、蒸気通路に向かう冷却蒸気に渦を生じさせる。この結果、蒸気通路の過熱蒸気と、蒸気通路に向かう冷却蒸気とが複雑に混ざって冷却蒸気の温度が上昇することを防止し、冷却効率を高めることができる。
また、第8の発明の蒸気タービンでは、第3の発明において、前記高圧蒸気供給部は、前記ロータの外周を囲む環状に形成されてその外面と前記ロータの外周面との間に前記蒸気通路に連通する隙間を有して前記車室に取り付けられ、その内部に環状に沿って形成された高圧蒸気ノズル室と、前記高圧蒸気ノズル室から前記ロータの延在方向に向いて前記蒸気通路に連通する開口とを有し、前記高圧蒸気ノズル室に前記高圧二次過熱器で過熱された蒸気が供給される高圧蒸気ノズル部を含み、前記高圧蒸気ノズル部は、前記高圧蒸気ノズル室の前記開口にノズル部静翼が取り付けられており、前記連通流路は、前記ノズル部静翼を貫通して前記隙間に連通して設けられることを特徴とする。
この蒸気タービンによれば、高圧蒸気タービンに供給される過熱蒸気よりも高圧で、かつ低温の冷却蒸気が連通流路を介して高圧蒸気供給部とロータの外周面との隙間に吐出されるため、ロータを冷却することができる。しかも、高圧蒸気タービンに供給される過熱蒸気よりも高圧で、かつ低温の冷却蒸気が連通流路を介して高圧蒸気供給部とロータの外周面との隙間に吐出されることで、過熱蒸気が隙間を介して蒸気通路から漏れ出る事態を防ぐ。この結果、過熱蒸気の損失が防止されるため、高圧蒸気タービンの稼働効率を向上することができ、サイクル効率を向上することができる。しかも、連通流路がノズル部静翼を貫通して設けられるため、ノズル部静翼を冷却することができ、高圧蒸気タービンの高温化に対してノズル部静翼の耐久性を向上することができる。
また、第9の発明の蒸気タービンでは、第8の発明において、前記連通流路は、前記ノズル部静翼を貫通して前記蒸気通路に開口する冷却孔を含むことを特徴とする。
この蒸気タービンによれば、冷却蒸気がノズル部静翼を貫通する冷却孔を通じて蒸気通路に吐出される。この結果、ノズル部静翼を冷却することができ、高圧蒸気タービンのさらなる高温化に対してノズル部静翼の耐久性を向上することができる。
また、第10の発明の蒸気タービンでは、第8または第9の発明において、前記連通流路は、前記隙間に連通する開口に設けられる冷却蒸気ノズルを含むことを特徴とする。
この蒸気タービンによれば、冷却蒸気ノズルにより連通流路から隙間に吐出される冷却蒸気の流速が上昇する。この結果、冷却蒸気の温度を下げることができ、冷却効率を向上することができる。
また、第11の発明の蒸気タービンでは、第10の発明において、前記冷却蒸気ノズルは、前記ロータの回転方向に先端を向けて設けられることを特徴とする。
この蒸気タービンによれば、冷却蒸気ノズルにより冷却蒸気がロータの回転方向に沿って連通流路から隙間に吐出される。この結果、ロータの回転速度と冷却蒸気の速度の差によって生じる摩擦損失を低減することができる。
また、第12の発明の蒸気タービンでは、第3の発明において、前記高圧蒸気タービンは、前記蒸気通路をなす前記車室に、前記ロータの外周面との間に前記蒸気通路に連通する隙間を有して蒸気通路静翼が取り付けられており、前記連通流路は、前記蒸気通路静翼を貫通して前記隙間に連通して設けられることを特徴とする。
この蒸気タービンによれば、高圧蒸気タービンに供給される過熱蒸気よりも高圧で、かつ低温の冷却蒸気が連通流路を介して蒸気通路静翼とロータの外周面との隙間に吐出されるため、ロータを冷却することができる。しかも、連通流路が蒸気通路静翼を貫通して設けられるため、蒸気通路静翼を冷却することができ、高圧蒸気タービンの高温化に対して蒸気通路静翼の耐久性を向上することができる。
また、第13の発明の蒸気タービンでは、第12の発明において、前記連通流路は、前記蒸気通路静翼を貫通して前記蒸気通路に開口する冷却孔を含むことを特徴とする。
この蒸気タービンによれば、冷却蒸気が蒸気通路静翼を貫通する冷却孔を通じて蒸気通路に吐出される。この結果、ノズル部静翼を冷却することができ、高圧蒸気タービンのさらなる高温化に対して蒸気通路静翼の耐久性を向上することができる。
また、第14の発明の蒸気タービンでは、第12または第13の発明において、前記連通流路は、前記隙間に連通する開口に設けられる冷却蒸気ノズルを含むことを特徴とする。
この蒸気タービンによれば、冷却蒸気ノズルにより連通流路から隙間に吐出される冷却蒸気の流速が上昇する。この結果、冷却蒸気の温度を下げることができ、冷却効率を向上することができる。
また、第15の発明の蒸気タービンでは、第14の発明において、前記冷却蒸気ノズルは、前記ロータの回転方向に先端を向けて設けられることを特徴とする。
この蒸気タービンによれば、冷却蒸気ノズルにより冷却蒸気がロータの回転方向に沿って連通流路から隙間に吐出される。この結果、ロータの回転速度と冷却蒸気の速度の差によって生じる摩擦損失を低減することができる。
また、第16の発明の蒸気タービンでは、第8〜第11のいずれか1つの発明において、前記高圧蒸気タービンは、前記ロータの外周に前記ノズル部静翼に隣接して動翼が取り付けられており、前記冷却蒸気供給部は、前記連通流路が貫通する前記ノズル部静翼に隣接する前記動翼の前記ノズル部静翼側の基端部、前記連通流路が貫通する前記ノズル部静翼の前記動翼側の先端部、の少なくとも一方に設けられる突起部を含むことを特徴とする。
また、第17の発明の蒸気タービンでは、第12〜第15のいずれか1つの発明において、前記高圧蒸気タービンは、前記ロータの外周に前記蒸気通路静翼に隣接して動翼が取り付けられており、前記冷却蒸気供給部は、前記連通流路が貫通する前記蒸気通路静翼に隣接する前記動翼の前記蒸気通路静翼側の基端部、前記連通流路が貫通する前記蒸気通路静翼の前記動翼側の先端部、の少なくとも一方に設けられる突起部を含むことを特徴とする。
この蒸気タービンによれば、突起部により静翼の先端部と動翼の基端部との間において、蒸気通路に向かう冷却蒸気に渦を生じさせる。この結果、蒸気通路の過熱蒸気と、蒸気通路に向かう冷却蒸気とが複雑に混ざって冷却蒸気の温度が上昇することを防止し、冷却効率を高めることができる。
本発明によれば、別の動力源を必要とせず、かつコンバインドサイクルプラントにおけるサイクル効率の低下を防ぐことができる。
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、本実施形態に係るコンバインドサイクルプラントの一例を示す概略構成図である。図1に示すコンバインドサイクルプラント100は、ガスタービン110、高圧蒸気タービン120、中圧蒸気タービン130、低圧蒸気タービン140で構成され、これらガスタービン110、高圧蒸気タービン120、中圧蒸気タービン130、低圧蒸気タービン140は、発電機150と同軸上に配置されている。
ガスタービン110は、圧縮機111、燃焼器112、タービン113で構成されている。圧縮機111において、圧縮機入口空気114が昇圧され燃焼器112に供給される。燃焼器112において、供給された空気と燃料115により高温の燃焼ガスが生成されタービン113に供給される。タービン113を通過する燃焼ガスはタービン113を回転駆動した後に排ガスとなって排出される。
コンバインドサイクルプラント100は、ガスタービン110におけるタービン113から排出される排ガスを加熱源として水から過熱蒸気を生成するボイラ(排熱回収ボイラ)1を備える。このボイラ1により生成される過熱蒸気により高圧蒸気タービン120、中圧蒸気タービン130、低圧蒸気タービン140が駆動される。そして、これらガスタービン110、高圧蒸気タービン120、中圧蒸気タービン130、低圧蒸気タービン140の駆動により発電機150で発電される。また、低圧蒸気タービン140に利用された蒸気は、当該低圧蒸気タービン140に接続された復水器160により復水とされ、過熱蒸気を生成するための水としてボイラ1に送られる。
ボイラ1は、ガスタービン110におけるタービン113の排気側に設けられた煙道113aに接続される。ボイラ1は、排ガスの流れの下流側から、低圧節炭器10、低圧ドラム11、低圧蒸発器12、中圧節炭器13、高圧一次節炭器14、中圧ドラム15、中圧蒸発器16、低圧過熱器17、高圧二次節炭器18、中圧過熱器19、高圧ドラム20、高圧蒸発器21、高圧一次過熱器22、一次再熱器23、二次再熱器24、高圧二次過熱器25が設けられ、かつ復水ポンプ26、中圧給水ポンプ27、高圧給水ポンプ28が設けられている。
このボイラ1は、低圧蒸気タービン140を駆動するための低圧の過熱蒸気を生成する低圧系と、中圧蒸気タービン130を駆動するための中圧の過熱蒸気を生成する中圧系と、高圧蒸気タービン120を駆動するための高圧の過熱蒸気を生成する高圧系と、を有している。低圧系は、低圧節炭器10、低圧ドラム11、低圧蒸発器12、低圧過熱器17、復水ポンプ26で構成される。中圧系は、中圧節炭器13、中圧ドラム15、中圧蒸発器16、中圧過熱器19、一次再熱器23、二次再熱器24、中圧給水ポンプ27で構成される。高圧系は、高圧一次節炭器14、高圧二次節炭器18、高圧ドラム20、高圧蒸発器21、高圧一次過熱器22、高圧二次過熱器25、高圧給水ポンプ28で構成される。
低圧系において、低圧節炭器10は、接続ライン30で復水器160と接続されている。この接続ライン30に復水ポンプ26が設けられる。また、低圧節炭器10は、3つに分岐する接続ライン31のうちの低圧分岐ライン31aで低圧ドラム11と接続される。低圧ドラム11は、低圧蒸発器12に接続される。さらに、低圧ドラム11は、接続ライン32で低圧過熱器17に接続される。低圧過熱器17は、接続ライン33で低圧蒸気タービン140の入口側に接続される。低圧蒸気タービン140の出口側は、接続ライン34で復水器160に接続される。
すなわち、低圧系は、復水器160の水(復水)が復水ポンプ26により接続ライン30を経て低圧節炭器10に流入して加熱され、接続ライン31の低圧分岐ライン31aを経て低圧ドラム11に流れ込む。低圧ドラム11に供給された水は、低圧蒸発器12で蒸発して飽和蒸気となって低圧ドラム11に戻され、接続ライン32を経て低圧過熱器17に送出される。低圧過熱器17にて飽和蒸気が過熱され、この過熱蒸気は、接続ライン33を経て低圧蒸気タービン140に供給される。低圧蒸気タービン140を駆動して排出された蒸気は、接続ライン34を経て復水器160に導かれて水(復水)となり、復水ポンプ26により接続ライン30を経て低圧節炭器10に送り出される。
中圧系において、中圧節炭器13は、低圧節炭器10に対して3つに分岐する接続ライン31のうちの中圧分岐ライン31bで接続される。この中圧分岐ライン31bに中圧給水ポンプ27が設けられる。また、中圧節炭器13は、接続ライン35で中圧ドラム15に接続される。この接続ライン35は、途中に流量調整弁36が設けられる。中圧ドラム15は、中圧蒸発器16に接続される。また、中圧ドラム15は、接続ライン37で中圧過熱器19に接続される。中圧過熱器19は、接続ライン38で一次再熱器23の入口側に接続される。また、中圧系において、一次再熱器23は、接続ライン40で高圧蒸気タービン120の出口側に接続される。また、一次再熱器23は、接続ライン41で二次再熱器24に接続される。そして、二次再熱器24は、接続ライン42で中圧蒸気タービン130の入口側に接続される。中圧蒸気タービン130の出口側は、接続ライン39で低圧蒸気タービン140の入口側に接続される。
すなわち、中圧系は、低圧節炭器10で加熱された水が中圧給水ポンプ27により接続ライン31の中圧分岐ライン31bを経て中圧節炭器13に流入してさらに加熱され、接続ライン35を経て中圧ドラム15に流れ込む。中圧ドラム15に供給された水は、中圧蒸発器16で蒸発して飽和蒸気となって中圧ドラム15に戻され、接続ライン37を経て中圧過熱器19に送出される。中圧過熱器19にて飽和蒸気が過熱され、この過熱蒸気は、接続ライン38を経て一次再熱器23に供給される。また、中圧系では、高圧蒸気タービン120を駆動して排出された蒸気は、接続ライン40を経て一次再熱器23に送出される。一次再熱器23にて蒸気が過熱され、この過熱蒸気は、接続ライン41を経て二次再熱器24に送出される。二次再熱器24にて蒸気がさらに過熱され、この過熱蒸気は、接続ライン42を経て中圧蒸気タービン130に供給される。なお、中圧蒸気タービン130を駆動して排出された蒸気は、接続ライン39を経て低圧蒸気タービン140に供給される。
なお、一次再熱器23および二次再熱器24は、蒸気を過熱するものであることから、過熱器と同様の機能を有し、本実施形態において過熱器に含まれる。つまり、一次再熱器23を第一過熱器ともいい、二次再熱器24を第二過熱器ともいう。
高圧系において、高圧一次節炭器14は、低圧節炭器10に対して3つに分岐する接続ライン31のうちの高圧分岐ライン31cで接続される。この高圧分岐ライン31cに高圧給水ポンプ28が設けられる。また、高圧一次節炭器14は、接続ライン43で高圧二次節炭器18に接続される。高圧二次節炭器18は、接続ライン44で高圧ドラム20に接続される。この接続ライン44は、途中に流量調整弁45が設けられる。高圧ドラム20は、高圧蒸発器21に接続される。また、高圧ドラム20は、接続ライン46で高圧一次過熱器22に接続される。高圧一次過熱器22は、接続ライン47で高圧二次過熱器25に接続される。高圧二次過熱器25は、接続ライン48で高圧蒸気タービン120の入口側に接続される。高圧蒸気タービン120の出口側は、上述したように接続ライン40で中圧系の一次再熱器23に接続される。
すなわち、高圧系は、低圧節炭器10で加熱された水が高圧給水ポンプ28により接続ライン31の高圧分岐ライン31cを経て高圧一次節炭器14に流入してさらに加熱され、さらに接続ライン43を経て高圧二次節炭器18に流入してさらに加熱されて接続ライン44を経て高圧ドラム20に流れ込む。高圧ドラム20に供給された水は、高圧蒸発器21で蒸発して飽和蒸気となって高圧ドラム20に戻され、接続ライン46を経て高圧一次過熱器22に送出される。高圧一次過熱器22にて飽和蒸気が過熱され、この過熱蒸気は、接続ライン47を経て高圧二次過熱器25に送出される。高圧二次過熱器25にて過熱蒸気がさらに過熱され、この過熱蒸気は、接続ライン48を経て高圧蒸気タービン120に供給される。
ところで、図2は、本実施形態に係るコンバインドサイクルプラントの他の例を示す概略構成図である。図2に示すコンバインドサイクルプラント200は、上述した中圧蒸気タービン130、ボイラ1における中圧系(中圧節炭器13、中圧ドラム15、中圧蒸発器16、中圧過熱器19、一次再熱器23、二次再熱器24、中圧給水ポンプ27)、これらに関わる各ライン31b,35,37,38,40,41,42および流量調整弁36を有さない。従って、図2に示すコンバインドサイクルプラント200およびボイラ1については、同等部分に同一符号を付して説明を省略する。このコンバインドサイクルプラント200では、高圧蒸気タービン120の出口側が接続ライン49で低圧蒸気タービン140の入口側に接続されており、高圧蒸気タービン120を駆動して排出された蒸気は、接続ライン49を経て低圧蒸気タービン140に供給される。
このようなコンバインドサイクルプラント100,200において、本実施形態の蒸気タービンは、高圧蒸気タービン120の内部を冷却する冷却蒸気供給部51を備える。冷却蒸気供給部51は、図1および図2に示すように、高圧蒸発器21の出口から高圧一次過熱器22を経て高圧二次過熱器25の内部までの間と、高圧蒸気タービン120の内部とを連通する接続ライン51Aを含む。具体的に、接続ライン51Aは、高圧ドラム20と高圧一次過熱器22とを接続する接続ライン46、高圧一次過熱器22の内部、高圧一次過熱器22と高圧二次過熱器25とを接続する接続ライン47、高圧二次過熱器25の内部、の少なくとも一部と、高圧蒸気タービン120の内部と、を連通する。
上述したように、高圧蒸気タービン120に供給される過熱蒸気は、高圧二次過熱器25から接続ライン48を経るが、接続ライン48を経る過程で圧力が低下する。従って、高圧蒸発器21の出口から高圧一次過熱器22を経て高圧二次過熱器25の内部までの間の蒸気は、高圧蒸気タービン120に供給される過熱蒸気よりも高圧で、かつ低温である。従って、高圧蒸気タービン120に供給される過熱蒸気よりも高圧で、かつ低温の冷却蒸気を高圧蒸気タービン120の内部に供給することが可能である。
このように、本実施形態の蒸気タービンによれば、高圧蒸発器21の出口から高圧一次過熱器22を経て高圧二次過熱器25の内部までの間と、高圧蒸気タービン120の内部とを連通する接続ライン51Aを含む冷却蒸気供給部51を備えることで、コンバインドサイクルプラント100,200内において、高圧蒸気タービン120に供給される過熱蒸気よりも高圧で、かつ低温の冷却蒸気を、高圧蒸気タービン120の内部に供給することができる。この結果、別の動力源を必要とせず、高圧蒸気タービン120の内部のロータなどの高温部を冷却することができる。また、コンバインドサイクルプラント100,200内の発生蒸気を用い、高圧蒸気タービン120の内部の流体を用いて冷却しないため、高圧蒸気タービン120の稼働効率の低下を防ぎ、その結果サイクル効率の低下を防ぐことができる。
また、本実施形態の蒸気タービンでは、図1および図2に示すように、接続ライン51Aは、高圧一次過熱器22の出口から高圧二次過熱器25の入口までの間の接続ライン47と、高圧蒸気タービン120の内部と、を連通することが好ましい。
高圧一次過熱器22の出口から高圧二次過熱器25の入口までの間の接続ライン47から、高圧蒸気タービン120の内部に冷却蒸気を供給すると、高圧二次過熱器25へ供給する蒸気が減るため、高圧二次過熱器25での過熱効率が向上し高圧蒸気タービン120に供給する過熱蒸気の温度が上昇する。この結果、高圧蒸気タービン120の稼働効率を向上することができ、サイクル効率を向上することができる。
また、高圧一次過熱器22の出口から高圧二次過熱器25の入口までの間の接続ライン47から、高圧蒸気タービン120の内部に冷却蒸気を供給すると、高圧蒸気タービン120に供給する過熱蒸気の温度を一定とする場合に、高圧蒸発器21から得る蒸気量を増すことができるため、高圧蒸気タービン120への過熱蒸気の供給量を増加できる。この結果、高圧蒸気タービン120の稼働効率を向上することができ、サイクル効率を向上することができる。
図3〜図16は、本実施形態に係る冷却蒸気供給部の一例を示す概略構成図である。
高圧蒸気タービン120は、ロータ121と、車室122と、蒸気通路123と、高圧蒸気供給部124と、を含む。ロータ121は、自身の回転の軸心Sに沿って延在して設けられている。車室122は、ロータ121を格納し、かつロータ121を軸心S廻りに回転可能に支持する。蒸気通路123は、ロータ121の延在方向に沿ってロータ121と車室122との間に設けられた環状の空間である。高圧蒸気供給部124は、車室122の外部から車室122を貫通して蒸気通路123に至り連通して設けられ、接続ライン48が接続されて高圧二次過熱器25で過熱された蒸気が供給されることで、当該蒸気を蒸気通路123に供給する。
高圧蒸気供給部124は、高圧蒸気ノズル部124Aを含む。高圧蒸気ノズル部124Aは、ロータ121の外周を囲んで環状に形成されてその外面とロータ121の外周面との間に蒸気通路123に連通する隙間125Aを有して車室122に取り付けられている。そして、高圧蒸気ノズル部124Aは、その内部に環状に沿って形成された高圧蒸気ノズル室124Aaと、高圧蒸気ノズル室124Aaからロータ121の延在方向に向いて蒸気通路123に通じる開口124Abとを有する。高圧蒸気ノズル部124Aは、接続ライン48が接続され、高圧蒸気ノズル室124Aaに高圧二次過熱器25で過熱された蒸気が供給され、開口124Abから蒸気通路123に吐出される。
また、高圧蒸気供給部124は、高圧蒸気ノズル部124Aにおける高圧蒸気ノズル室124Aaの開口124Abにノズル部静翼126Aが環状に沿って複数取り付けられている。ノズル部静翼126Aは、ロータ121側が先端部であり車室122側が基端部となる。また、蒸気通路123内において、車室122に蒸気通路静翼126Bが環状に沿って複数取り付けられている。蒸気通路静翼126Bは、ロータ121の延在方向に沿って複数段設けられている。蒸気通路静翼126Bは、ロータ121側が先端部であって環状部材126Baが取り付けられており、環状部材126Baとロータ121の外周面との間に隙間125Bを有し、車室122に取り付けられた側が基端部となる。また、蒸気通路123内において、ロータ121の外周に静翼126A,126Bに隣接して動翼127が環状に沿って複数取り付けられている。動翼127は、ロータ121の延在方向に沿って複数段設けられている。動翼127は、ロータ121に取り付けられた側が基端部であってロータ121との間に環状部材127aが取り付けられており、車室122に向く側が先端部となる。
従って、高圧蒸気タービン120は、高圧蒸気ノズル室124Aaに高圧二次過熱器25で過熱された蒸気が供給され、開口124Abから蒸気通路123に吐出され、静翼126A,126Bおよび動翼127によりロータ121が回転する。
このような構成の高圧蒸気タービン120に対し、本実施形態の蒸気タービンでは、図3〜図16に示すように、冷却蒸気供給部51は、接続ライン51Aに接続されて、高圧蒸気供給部124とは別に車室122の外部から車室122を貫通して蒸気通路123に至り連通する連通流路51Bを含む。
図3に示す冷却蒸気供給部51では、連通流路51Bは、高圧蒸気ノズル部124Aにおける高圧蒸気ノズル室124Aaの開口124Abと反対側で、車室122を貫通し、隙間125Aに連通してロータ121の外周面に向けて開口して設けられる。連通流路51Bは、高圧蒸気ノズル部124Aの周方向(ロータ121の回転方向)に沿って複数設けられていてもよく、単一で設けられていてもよい。連通流路51Bが複数の場合は、接続ライン51Aが複数に分岐して各連通流路51Bに接続される。
従って、図3に示すように、接続ライン51Aを介して供給される冷却蒸気Cは、連通流路51Bを介して高圧蒸気供給部124とロータ121の外周面との隙間125Aであってロータ121の外周面に向けて吐出され、隙間125Aを介してロータ121の延在方向に沿って流動して蒸気通路123に至り、ノズル部静翼126Aと動翼127との間にて高圧蒸気供給部124を介して蒸気通路123に供給される過熱蒸気Gと合流する。
この図3に示す冷却蒸気供給部51によれば、高圧蒸気タービン120に供給される過熱蒸気Gよりも高圧で、かつ低温の冷却蒸気Cが連通流路51Bを介して高圧蒸気供給部124とロータ121の外周面との隙間125Aに吐出されるため、ロータ121を冷却することができる。しかも、図3に示す冷却蒸気供給部51によれば、高圧蒸気タービン120に供給される過熱蒸気Gよりも高圧で、かつ低温の冷却蒸気Cが連通流路51Bを介して高圧蒸気供給部124とロータ121の外周面との隙間125Aに吐出されることで、過熱蒸気Gが隙間125Aを介して蒸気通路123から漏れ出る事態を防ぐ。この結果、過熱蒸気Gの損失が防止されるため、高圧蒸気タービン120の稼働効率を向上することができ、サイクル効率を向上することができる。
図4に示す冷却蒸気供給部51では、図3に示す連通流路51Bは、隙間125Aに連通する開口に設けられる冷却蒸気ノズル51Cを含むことが好ましい。冷却蒸気ノズル51Cは、図5に示すように、連通流路51Bにおける隙間125Aに連通する開口を狭めるもので、これにより連通流路51Bから隙間125Aに吐出される冷却蒸気Cの流速が上昇する。この結果、冷却蒸気Cの温度を下げることができ、冷却効率を向上することができる。
また、図5に示すように、冷却蒸気ノズル51Cは、ロータ121の回転方向Rに先端51Caを向けて設けられていることが好ましい。これにより冷却蒸気Cがロータ121の回転方向Rに沿って連通流路51Bから隙間125Aに吐出される。この結果、ロータ121の回転速度と冷却蒸気Cの速度の差によって生じる摩擦損失を低減することができる。
なお、冷却蒸気ノズル51Cは、図4および図5に示すように連通流路51Bと別部材の板材である構成に限らず、連通流路51Bの開口自体が窄まって形成されていてもよい。
図6に示す冷却蒸気供給部51では、図3に示す連通流路51Bが貫通する隙間125Aが蒸気通路123に至る部分であって、ノズル部静翼126Aに隣接する動翼127のノズル部静翼126A側の基端部の環状部材127aに設けられる突起部51Eaを含むことが好ましい。また、図6に示す冷却蒸気供給部51では、図3に示す連通流路51Bが貫通する隙間125Aが蒸気通路123に至る部分であって、ノズル部静翼126Aの先端部であり動翼127の基端部の環状部材127aに対向する高圧蒸気ノズル部124Aの一部に設けられる突起部51Ebを含むことが好ましい。
突起部51Ea,51Ebは、高圧蒸気タービン120の周方向(ロータ121の回転方向)に沿って連続して設けられていることが好ましい。
これにより突起部51Ea,51Ebは、ノズル部静翼126Aが設けられた高圧蒸気ノズル部124Aにおける高圧蒸気ノズル室124Aaの開口124Abと、動翼127の基端部の環状部材127aとの間において、蒸気通路123に向かう冷却蒸気Cに渦を生じさせる。この結果、蒸気通路123の過熱蒸気Gと、蒸気通路123に向かう冷却蒸気Cとが複雑に混ざって冷却蒸気Cの温度が上昇することを防止し、冷却効率を高めることができる。
なお、突起部51Ea,51Ebは、いずれか一方を設ける構成であってもよいが、突起部51Ea,51Ebの双方を設けることが好ましい。突起部51Ea,51Ebの双方を設ける場合、突起部51Eaをロータ121に近い位置に設け、突起部51Ebをロータ121から遠い位置に設けることが好ましい。これによりノズル部静翼126Aに貫通する連通流路51Bからロータ121の外周面に向けて吐出された冷却蒸気Cに対し最初に突起部51Eaにより渦を生じさせ、次に突起部51Ebにより渦を生じさせる。この結果、蒸気通路123の過熱蒸気Gと、蒸気通路123に向かう冷却蒸気Cとが複雑に混ざることを防止する効果を顕著に得ることができる。また、突起部51Ea,51Ebは、冷却蒸気ノズル51Cと共に設けられてもよい。
図7に示す冷却蒸気供給部51では、連通流路51Bは、車室122、高圧蒸気ノズル部124Aにおける高圧蒸気ノズル室124Aaの開口124Ab、およびノズル部静翼126Aを貫通し、隙間125Aに連通してロータ121の外周面に向けて開口して設けられる。連通流路51Bは、高圧蒸気ノズル部124Aの周方向(ロータ121の回転方向)に沿って複数設けられていてもよく、単一で設けられていてもよい。連通流路51Bが複数の場合は、接続ライン51Aが複数に分岐して各連通流路51Bに接続される。
従って、図7に示すように、接続ライン51Aを介して供給される冷却蒸気Cは、連通流路51Bを介して高圧蒸気供給部124とロータ121の外周面との隙間125Aであってロータ121の外周面に向けて吐出され、隙間125Aを介してロータ121の延在方向に沿って流動して蒸気通路123に至り、ノズル部静翼126Aと動翼127との間にて蒸気通路123に供給される過熱蒸気Gと合流する。
この図7に示す冷却蒸気供給部51によれば、高圧蒸気タービン120に供給される過熱蒸気Gよりも高圧で、かつ低温の冷却蒸気Cが連通流路51Bを介して高圧蒸気供給部124とロータ121の外周面との隙間125Aに吐出されるため、ロータ121を冷却することができる。しかも、図7に示す冷却蒸気供給部51によれば、高圧蒸気タービン120に供給される過熱蒸気Gよりも高圧で、かつ低温の冷却蒸気Cが連通流路51Bを介して高圧蒸気供給部124とロータ121の外周面との隙間125Aに吐出されることで、過熱蒸気Gが隙間125Aを介して蒸気通路123から漏れ出る事態を防ぐ。この結果、過熱蒸気Gの損失が防止されるため、高圧蒸気タービン120の稼働効率を向上することができ、サイクル効率を向上することができる。しかも、図7に示す冷却蒸気供給部51によれば、連通流路51Bがノズル部静翼126Aを貫通して設けられるため、ノズル部静翼126Aを冷却することができ、高圧蒸気タービン120の高温化に対してノズル部静翼126Aの耐久性を向上することができる。
図8に示す冷却蒸気供給部51では、図7に示す連通流路51Bは、ノズル部静翼126Aを貫通して蒸気通路123に開口する冷却孔51Dを含む。これにより冷却蒸気Cがノズル部静翼126Aを貫通する冷却孔51Dを通じて蒸気通路123に吐出される。この結果、ノズル部静翼126Aを冷却することができ、高圧蒸気タービン120のさらなる高温化に対してノズル部静翼126Aの耐久性を向上することができる。
図9に示す冷却蒸気供給部51では、図7に示す連通流路51Bは、隙間125Aに連通する開口に設けられる冷却蒸気ノズル51Cを含むことが好ましい。冷却蒸気ノズル51Cは、図10に示すように、連通流路51Bにおける隙間125Aに連通する開口を狭めるもので、これにより連通流路51Bから隙間125Aに吐出される冷却蒸気Cの流速が上昇する。この結果、冷却蒸気Cの温度を下げることができ、冷却効率を向上することができる。
また、図10に示すように、冷却蒸気ノズル51Cは、ロータ121の回転方向Rに先端51Caを向けて設けられていることが好ましい。これにより冷却蒸気Cがロータ121の回転方向Rに沿って連通流路51Bから隙間125Aに吐出される。この結果、ロータ121の回転速度と冷却蒸気Cの速度の差によって生じる摩擦損失を低減することができる。
なお、冷却蒸気ノズル51Cは、図9および図10に示すように連通流路51Bと別部材の板材である構成に限らず、連通流路51Bの開口自体が窄まって形成されていてもよい。また、冷却蒸気ノズル51Cは、冷却孔51Dと共に設けられてもよい。
図11に示す冷却蒸気供給部51では、図7に示す連通流路51Bが貫通するノズル部静翼126Aに隣接する動翼127のノズル部静翼126A側の基端部の環状部材127aに設けられる突起部51Eaを含むことが好ましい。また、図11に示す冷却蒸気供給部51では、図7に示す連通流路51Bが貫通するノズル部静翼126Aの先端部であり動翼127の基端部の環状部材127aに対向する高圧蒸気ノズル部124Aの一部に設けられる突起部51Ebを含むことが好ましい。
突起部51Ea,51Ebは、高圧蒸気タービン120の周方向(ロータ121の回転方向)に沿って連続して設けられていることが好ましい。
これにより突起部51Ea,51Ebは、ノズル部静翼126Aが設けられた高圧蒸気ノズル部124Aにおける高圧蒸気ノズル室124Aaの開口124Abと、動翼127の基端部の環状部材127aとの間において、蒸気通路123に向かう冷却蒸気Cに渦を生じさせる。この結果、蒸気通路123の過熱蒸気Gと、蒸気通路123に向かう冷却蒸気Cとが複雑に混ざって冷却蒸気Cの温度が上昇することを防止し、冷却効率を高めることができる。
なお、突起部51Ea,51Ebは、いずれか一方を設ける構成であってもよいが、突起部51Ea,51Ebの双方を設けることが好ましい。突起部51Ea,51Ebの双方を設ける場合、突起部51Eaをロータ121に近い位置に設け、突起部51Ebをロータ121から遠い位置に設けることが好ましい。これによりノズル部静翼126Aに貫通する連通流路51Bからロータ121の外周面に向けて吐出された冷却蒸気Cに対し最初に突起部51Eaにより渦を生じさせ、次に突起部51Ebにより渦を生じさせる。この結果、蒸気通路123の過熱蒸気Gと、蒸気通路123に向かう冷却蒸気Cとが複雑に混ざることを防止する効果を顕著に得ることができる。また、突起部51Ea,51Ebは、冷却蒸気ノズル51Cや冷却孔51Dと共に設けられてもよい。
図12に示す冷却蒸気供給部51では、連通流路51Bは、車室122、蒸気通路静翼126Bおよび蒸気通路静翼126Bの先端部の環状部材126Baを貫通し、隙間125Bに連通してロータ121の外周面に向けて開口して設けられる。連通流路51Bは、高圧蒸気ノズル部124Aの周方向(ロータ121の回転方向)に沿って複数設けられていてもよく、単一で設けられていてもよい。連通流路51Bが複数の場合は、接続ライン51Aが複数に分岐して各連通流路51Bに接続される。
従って、図12に示すように、接続ライン51Aを介して供給される冷却蒸気Cは、連通流路51Bを介して蒸気通路静翼126Bの環状部材126Baとロータ121の外周面との隙間125Bであってロータ121の外周面に向けて吐出され、隙間125Bを介してロータ121の延在方向に沿って流動して蒸気通路123に至り、蒸気通路静翼126Bと動翼127との間にて蒸気通路123に供給される過熱蒸気Gと合流する。
この図12に示す冷却蒸気供給部51によれば、高圧蒸気タービン120に供給される過熱蒸気Gよりも高圧で、かつ低温の冷却蒸気Cが連通流路51Bを介して蒸気通路静翼126Bの環状部材126Baとロータ121の外周面との隙間125Bに吐出されるため、ロータ121を冷却することができる。しかも、図12に示す冷却蒸気供給部51によれば、連通流路51Bが蒸気通路静翼126Bを貫通して設けられるため、蒸気通路静翼126Bを冷却することができ、高圧蒸気タービン120の高温化に対して蒸気通路静翼126Bの耐久性を向上することができる。
図13に示す冷却蒸気供給部51では、図12に示す連通流路51Bは、蒸気通路静翼126Bを貫通して蒸気通路123に開口する冷却孔51Dを含む。これにより冷却蒸気Cが蒸気通路静翼126Bを貫通する冷却孔51Dを通じて蒸気通路123に吐出される。この結果、ノズル部静翼126Aを冷却することができ、高圧蒸気タービン120のさらなる高温化に対して蒸気通路静翼126Bの耐久性を向上することができる。
図14に示す冷却蒸気供給部51では、図12に示す連通流路51Bは、隙間125Bに連通する開口に設けられる冷却蒸気ノズル51Cを含むことが好ましい。冷却蒸気ノズル51Cは、図15に示すように、連通流路51Bにおける隙間125Bに連通する開口を狭めるもので、これにより連通流路51Bから隙間125Bに吐出される冷却蒸気Cの流速が上昇する。この結果、冷却蒸気Cの温度を下げることができ、冷却効率を向上することができる。
また、図15に示すように、冷却蒸気ノズル51Cは、ロータ121の回転方向Rに先端51Caを向けて設けられていることが好ましい。これにより冷却蒸気Cがロータ121の回転方向Rに沿って連通流路51Bから隙間125Bに吐出される。この結果、ロータ121の回転速度と冷却蒸気Cの速度の差によって生じる摩擦損失を低減することができる。
なお、冷却蒸気ノズル51Cは、図14および図15に示すように連通流路51Bと別部材の板材である構成に限らず、連通流路51Bの開口自体が窄まって形成されていてもよい。また、冷却蒸気ノズル51Cは、冷却孔51Dと共に設けられてもよい。
図16に示す冷却蒸気供給部51では、図12に示す連通流路51Bが貫通する蒸気通路静翼126Bに隣接する動翼127の蒸気通路静翼126B側の基端部の環状部材127aに設けられる突起部51Eaを含むことが好ましい。また、図16に示す冷却蒸気供給部51では、図12に示す連通流路51Bが貫通する蒸気通路静翼126Bの先端部であり動翼127の基端部の環状部材127aに対向する環状部材126Baに設けられる突起部51Ebを含むことが好ましい。
突起部51Ea,51Ebは、高圧蒸気タービン120の周方向(ロータ121の回転方向)に沿って連続して設けられていることが好ましい。
これにより突起部51Ea,51Ebは、蒸気通路静翼126Bの先端部の環状部材126Baと、動翼127の基端部の環状部材127aとの間において、蒸気通路123に向かう冷却蒸気Cに渦を生じさせる。この結果、蒸気通路123の過熱蒸気Gと、蒸気通路123に向かう冷却蒸気Cとが複雑に混ざって冷却蒸気Cの温度が上昇することを防止し、冷却効率を高めることができる。
なお、突起部51Ea,51Ebは、いずれか一方を設ける構成であってもよいが、突起部51Ea,51Ebの双方を設けることが好ましい。突起部51Ea,51Ebの双方を設ける場合、突起部51Eaをロータ121に近い位置に設け、突起部51Ebをロータ121から遠い位置に設けることが好ましい。これにより蒸気通路静翼126Bに貫通する連通流路51Bからロータ121の外周面に向けて吐出された冷却蒸気Cに対し最初に突起部51Eaにより渦を生じさせ、次に突起部51Ebにより渦を生じさせる。この結果、蒸気通路123の過熱蒸気Gと、蒸気通路123に向かう冷却蒸気Cとが複雑に混ざることを防止する効果を顕著に得ることができる。また、突起部51Ea,51Ebは、冷却蒸気ノズル51Cや冷却孔51Dと共に設けられてもよい。なお、図15に示す突起部51Ea,51Ebは、蒸気通路静翼126Bの先端部の環状部材126Baと、動翼127の基端部の環状部材127aとの間において、過熱蒸気Gの流れの下流側に設けられているが、過熱蒸気Gの流れの上流側に設けてもよい。