JP6204845B2 - 電子機器用粘着シート - Google Patents
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Description
加工性に優れた基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが挙げられるが、PETフィルム等の緩衝性の小さい基材を用いた場合には、発泡体を用いた場合のような高い耐衝撃接着性を発現させることは難しかった。
以下に本発明を詳述する。
上記アクリル共重合体は、(a)2−エチルヘキシルアクリレート26.7〜56.98重量%、(b)ブチルアクリレート30〜50重量%、(c)メチルアクリレート11〜18重量%、(d)アクリル酸1〜5重量%、及び、(e)水酸基を有する(メタ)アクリレート0.02〜0.3重量%を含有する混合モノマーを共重合して得られる。
なお、分子鎖の架橋構造は、弾性変形を主体として変形するので、衝撃応力を流動変形のエネルギーに変換しにくく、吸収分散しにくい。このため、衝撃応力を弾性エネルギーとして架橋構造の内部にため込み、被着体との界面における応力分散性が低下して、耐衝撃接着性が低下する。これに対して、分子鎖の絡み合い構造は架橋構造とは異なり、塑性変形が可能であり、衝撃応力を流動変形のエネルギーに変換して吸収分散することができる。このため、ある程度の絡み合いの増大は、耐衝撃接着性の向上をもたらすと考えられる。
上記(c)のメチルアクリレートが18重量%を超えると、ガラス転移温度(Tg)の上昇により上記粘着剤層が硬くなりすぎて、耐衝撃接着性が低下する。上記(c)のメチルアクリレートの含有量の好ましい上限は15重量%である。
上記(e)の水酸基を有する(メタ)アクリレートが0.02重量%未満であると、上記粘着剤層が柔らかくなりすぎて、打ち抜き加工性が低下する。上記(e)の水酸基を有する(メタ)アクリレートが0.3重量%を超えると、上記粘着剤層の架橋密度が高くなり、塑性変形性が低下して弾性変形が主体となるため、耐衝撃接着性が低下する。
上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとして、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキブエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記重合開始剤は特に限定されず、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。
上記有機過酸化物として、例えば、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート等が挙げられる。上記アゾ化合物として、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が挙げられる。これらの重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記アクリル共重合体の重量平均分子量(Mw)が40万未満であると、上記粘着剤層のベタツキが高くなりすぎて、打ち抜き加工性が低下する。上記アクリル共重合体の重量平均分子量(Mw)が100万を超えると、上記粘着剤層の粘着力が低下し、耐衝撃接着性が低下する。
上記テルペンフェノール樹脂の軟化点が130℃を超えると、上記粘着剤層が硬くなりすぎて、耐衝撃接着性が低下する。
なお、軟化点とは、JIS K2207環球法により測定した軟化点である。
上記架橋剤は特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート型架橋剤等が挙げられる。なかでも、基材に対する密着安定性に優れるため、イソシアネート系架橋剤が好ましい。上記イソシアネート系架橋剤として、例えば、コロネートHX(日本ポリウレタン工業社製)、コロネートL(日本ポリウレタン工業社製)、マイテックNY260A(三菱化学社製)等の脂肪族イソシアネート系架橋剤等が挙げられる。
上記架橋剤の配合量は、上記アクリル共重合体100重量部に対して0.1〜6重量%が好ましく、0.3〜5重量%がより好ましい。
本発明の電子機器用粘着シートは、上述のように特定のアクリル共重合体と特定のテルペンフェノール樹脂とを含有する粘着剤層を有することから、発泡体等の緩衝性のある基材ではなく、PETフィルム等の緩衝性の小さい基材を有する場合であっても高い耐衝撃接着性を発現することができ、また、発泡体を用いる必要がないため打ち抜き加工性にも優れる。
また、光透過防止のために黒色印刷された基材、光反射性向上のために白色印刷された基材、金属蒸着された基材等も用いることができる。
また、これらの用途における本発明の電子機器用粘着シートの形状は特に限定されず、長方形等であってもよいが、額縁状が好ましい。
(1)アクリル共重合体の調製(沸点重合による共重合)
温度計、攪拌機及び冷却管を備えた反応器内に、表に示す所定量の反応溶剤を加えた後、反応器を加熱して還流を開始した。続いて、反応器内に、表に示す所定量の重合開始剤を添加後、表に示すモノマーを2時間かけて滴下投入した。滴下完了後、開始時と同量の重合開始剤を追加添加して、更に6時間加熱還流させて重合反応を行い、アクリル共重合体溶液を得た。表中、重合方法欄に記載の「沸点」とは、沸点重合を行ったことを意味する。
得られたアクリル共重合体をテトラヒドロフラン(THF)によって50倍希釈して得られた希釈液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過し、測定サンプルを調製した。この測定サンプルをゲルパーミエーションクロマトグラフ(Water社製、2690 Separations Model)に供給して、サンプル流量1ミリリットル/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行い、アクリル共重合体のポリスチレン換算分子量を測定して、重量平均分子量(Mw)を求めた。カラムとしてはGPC LF−804(昭和電工社製)を用い、検出器としては示差屈折計を用いた。
得られたアクリル共重合体溶液に、その不揮発分(110℃1時間乾燥)100重量部に対して表に示す所定量のテルペンフェノール樹脂(軟化点115℃、ヤスハラケミカル社製、YSポリスターT115)と水添ロジンエステル樹脂(軟化点70℃、荒川化学工業社製、エステルガムH)とを添加し、酢酸エチルを加えて攪拌し、更に、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業社製、コロネートL45)を表に示す所定量添加して攪拌し、不揮発分30重量%の粘着剤溶液を得た。表中、架橋剤の量は、架橋剤の不揮発分の重量%を示す。
実施例及び比較例で得られた両面粘着シートについて、下記の評価を行った。結果を表1に示す。
得られた両面粘着シートを25mm幅の短冊状に裁断して試験片を作製し、一方の離型フィルムを剥離除去して粘着剤層を露出させた。この試験片をポリカーボネート樹脂板に、その粘着剤層がポリカーボネート樹脂板に対向した状態となるように載せた後、試験片上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラーを一往復させることにより、試験片とポリカーボネート樹脂板とを貼り合わせ、その後、23℃で30分静置して試験サンプルを作製した。この試験サンプルについて、JIS Z0237に準じて、剥離速度300mm/分で90°方向の引張試験を行い、粘着力(N/25mm)を測定した。
得られた両面粘着シートをトムソン刃により外寸46×61mm、幅1mmの額縁状に打ち抜き、試験片を作製した。
得られた試験片(額縁状)の一方の離型フィルムを剥離除去し、外寸55×65mm、厚み1mmのポリカーボネート板(タキロン社製、以下PC板)にローラーを用いて貼り合わせた。続いて、もう一方の離型フィルムを剥離除去し、中央部に38×50mmの開口部を設けた外寸80×115mm、厚み2mmのPC板に、PC板の開口部の中心と試験片の中心とがほぼ一致するように静かに載せ、上部から5kgの重りを10秒間載せて2つのPC板を貼り合わせ、その後、23℃で24時間静置して接着養生を行って試験サンプルを作製した
この試験サンプルを、開口部を設けたPC板が上面となるように固定治具にセットし、5cmの落下高さから、300gの重りを開口部を通して下面のPC板に落下させて衝撃を加えた。剥がれが認められない場合は落下高さを5cm刻みで上昇させて再度衝撃を加え、剥がれが認められる落下高さの測定を行った。測定は23℃にて行った。
上記(2)と同様にして試験サンプルを作製した。
この試験サンプルを、開口部を設けたPC板が上面となるように固定治具にセットし、開口部側から下面のPC板を押していき、PC板が剥がれたときの荷重を測定した。測定は23℃にて行った。
得られた両面粘着シートを長さ40mm、幅20mmの長方形状に裁断して試験片を作製し、両面の離型フィルムを剥離除去した後、上面の粘着剤層に対して厚み25μmのPETフィルムを、下面の粘着剤層に対して長さ5mm、幅20mmの金属台座(SUS製)をそれぞれ貼り付けて試験サンプルを作製した。この試験サンプルの上面のPETフィルムを水平方向に100gの荷重を加えて3分間引っ張った。測定は23℃及び60℃にてそれぞれ行った。
上面のPETフィルムを3分間引っ張った後、下面の金属台座に接着している粘着剤層の一端(固定治具側の端)の位置を基準として、上面のPETフィルムに接着している粘着剤層の一端(固定治具側の端)が上面のPETフィルムの引っ張り方向にずれた距離を測定した。
2 電子機器用粘着シート
3 カバーパネル
4 タッチパネルモジュール
5 ディスプレイパネルモジュール
Claims (2)
- アクリル共重合体100重量部と、軟化点が130℃以下のテルペンフェノール樹脂20〜30重量部とを含有する粘着剤層を有し、
前記アクリル共重合体は、
(a)2−エチルヘキシルアクリレート26.7〜56.98重量%、
(b)ブチルアクリレート30〜50重量%、
(c)メチルアクリレート11〜18重量%、
(d)アクリル酸1〜5重量%、及び、
(e)水酸基を有する(メタ)アクリレート0.02〜0.3重量%を含有する混合モノマーを共重合して得られ、重量平均分子量(Mw)が40万〜100万である
ことを特徴とする電子機器用粘着シート。 - 基材を有し、前記基材が発泡体ではないことを特徴とする請求項1記載の電子機器用粘着シート。
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