以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を簡略化または省略する。なお、本開示における装置、器具、及び部品等の、個数、配置、向き、形状、及び大きさは、原則として、図面に示す個数、配置、向き、形状、及び大きさに限定されない。また、本開示は、以下の各実施の形態で説明する構成のうち、組合わせ可能な構成のあらゆる組合わせを含み得る。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の掃除具を備えた電気掃除機の斜視図である。図1に示すように、実施の形態1の電気掃除機1は、掃除具2、接続パイプ3、吸引ホース4、及び掃除機本体5を備える。掃除具2は、ボディー6、ジョイント7、吸引パイプ8、及びハンドル9を備える。接続パイプ3は、掃除具2の吸引パイプ8に接続されている。掃除機本体5は、ホース接続口11、電源コード12、及び車輪13を備える。ホース接続口11は、掃除機本体5の前部に位置する。車輪13は、掃除機本体5の後半部分の両側の側面に位置する。
掃除具2のボディー6は、掃除される面(以下、「被清掃面」と称する)の塵埃を空気と一緒に吸い込む。ジョイント7は、ボディー6に対して吸引パイプ8を回動可能につなぐ。吸引パイプ8は、管状の部材である。吸引パイプ8の一端部は、ジョイント7に接続される。吸引パイプ8の他端部は、接続パイプ3の一端部に接続される。本実施の形態における吸引パイプ8は、棒状または管状のワンドの例である。
接続パイプ3は、途中で折れ曲がった円筒状の部材である。接続パイプ3の他端部は、吸引ホース4の一端部に接続される。吸引ホース4は、可撓性を有する蛇腹状の部材である。吸引ホース4の他端部は、掃除機本体5のホース接続口11に接続される。掃除機本体5は、塵埃を含む空気から塵埃を分離し、塵埃が取り除かれた空気を排出するためのものである。以下、塵埃を含む空気を「含塵空気」とも呼ぶ。また、塵埃が取り除かれた空気を「清浄空気」とも呼ぶ。清浄空気は、例えば、掃除機本体5から室内に戻される。
使用者が電気掃除機1を用いて掃除を行うとき、使用者はハンドル9を把持する。ハンドル9は、少なくとも部分的に、ゲル等の軟質材で形成されてもよい。ハンドル9が少なくとも部分的に軟質材で形成されることで、ハンドル9を把持する手との間で摩擦力が増大するとともに、使用者がハンドル9を握りやすくなる。その結果、掃除具2の操作性を更に向上させることができる。ハンドル9は、吸引パイプ8より軟らかい材質で形成されてもよい。ハンドル9は、棒状を呈してもよい。棒状のハンドル9の中心軸は、吸引パイプ8の中心軸と一致してもよい。図1において、ハンドル9の中心軸及び吸引パイプ8の中心軸は、一点鎖線で示されている。ハンドル9の全体的な形状が、吸引パイプ8の中心軸と同軸的な棒状の形状を呈する場合には、ハンドル9をひねる場合の手の動き及び筋負荷が小さくなる。その結果、掃除具2の取回しが容易になり、操作性を更に向上させることができる。ハンドル9は、長手方向の中央における断面積よりも先端部の断面積の方が大きくなるように形成されてもよい。ハンドル9は、長手方向においてボディーに近い側よりもボディーから遠い側の方が太くなるように形成されてもよい。
図1における両矢印は、ハンドル9の動かし方の一例を示している。ひねり方向Aの動きは、ハンドル9及び吸引パイプ8の中心軸周りの回転である。傾き方向Bの動きは、床面に対するハンドル9及び吸引パイプ8の角度を変える動きである。
ハンドル9には、操作スイッチ10が設置されている。操作スイッチ10は、ハンドル9の根元付近の位置に設けられている。操作スイッチ10は、使用者が電気掃除機1の運転を制御するためのものである。
電源コード12は、掃除機本体5内部の図示しないコードリール部に巻き付けられている。後述するように、掃除機本体5は、電動送風機を内蔵する。電源コード12が外部電源に接続されると、電動送風機等の内部機器が通電する。電動送風機は、通電によって駆動する。電動送風機は、操作スイッチ10に対する操作に応じて予め設定された吸引動作を行う。
電動送風機が吸引動作を行うと、含塵空気がボディー6に吸い込まれる。ボディー6に吸い込まれた含塵空気は、ジョイント7、吸引パイプ8、接続パイプ3、及び吸引ホース4の内部を通って、掃除機本体5に送られる。ボディー6、ジョイント7、吸引パイプ8、接続パイプ3、及び吸引ホース4は、含塵空気を掃除機本体5へ送る風路を形成する。
図2は、実施の形態1における掃除機本体5の斜視図である。図3は、実施の形態1における掃除機本体5の平面図である。図2及び図3に示すように、掃除機本体5は、収容ユニット14及び集塵ユニット15を備える。収容ユニット14は、集塵ユニット15以外の各種機器を収容する。ホース接続口11は、収容ユニット14の前端部に形成されている。車輪13は、収容ユニット14の後ろ半分の両側の側面にある。集塵ユニット15は、収容ユニット14に対して着脱可能に取り付けられている。
図4は、実施の形態1における収容ユニット14の斜視図である。図5は、実施の形態1における収容ユニット14の平面図である。図4及び図5は、収容ユニット14から集塵ユニット15を取り外した状態を示す。図4及び図5に示すように、収容ユニット14は、収容体16及び収容体17を備える。
収容体16は、上方が開口した箱状を呈する部材である。収容体16は、例えば、成型品である。電動送風機及びコードリール部は、収容体16に収容されている。収容体17は、収容体16に形成された上記開口を塞ぐように、収容体16と結合される。収容体17は、集塵ユニット15を収容するための空間である収容部を有する。集塵ユニット15が収容ユニット14に適切に取り付けられると、集塵ユニット15の要部は、収容部に配置される。集塵ユニット15は、収容体17の上方に配置される。
図4及び図5に示すように、収容ユニット14には、第1接続口18及び第2接続口19が形成されている。第1接続口18及び第2接続口19は、収容ユニット14の上面において、後端部寄りに配置されている。第1接続口18は、収容ユニット14の側面のうち一方に寄って配置されている。第2接続口19は、収容ユニット14の両側面から等距離に配置されている。第1接続口18及び第2接続口19は、集塵ユニット15が収容ユニット14に取り付けられた状態において、集塵ユニット15の内部に通じる。
図6は、図5に示す収容ユニット14のC−C線での断面図である。図7は、図5に示す収容ユニット14のD−D線での断面図である。図6及び図7に示すように、収容ユニット14は、吸気風路形成部20を備える。吸気風路形成部20は、掃除機本体5において、含塵空気を集塵ユニット15に導くための吸気風路21を形成する。吸気風路形成部20は、収容体16の内部空間を通過するように設けられている。吸気風路形成部20の一端は、収容ユニット14の前面で開口する。吸気風路形成部20の上記一端は、ホース接続口11を形成する。吸気風路形成部20の他端は、収容ユニット14の上面で開口する。つまり、吸気風路形成部20の上記他端は、収容体17で開口する。吸気風路形成部20の上記他端は、集塵ユニット15と接続される第1接続口18を形成する。
集塵ユニット15は、含塵空気から塵埃を分離し、分離した塵埃を一時的に溜めておくためのものである。集塵ユニット15は、内部で含塵空気を旋回させることにより、遠心力によって塵埃を空気から分離する。つまり、集塵ユニット15は、サイクロン分離機能を有するサイクロン分離装置である。
図6及び図7に示すように、収容ユニット14は、排気風路形成部22を備える。排気風路形成部22は、掃除機本体5において、集塵ユニット15から排出された清浄空気を図示しない排気口に導くための排気風路23を形成する。排気風路形成部22は、収容体16の内部空間を通過するように設けられている。排気風路形成部22の一端は、収容ユニット14の上面で開口する。つまり、排気風路形成部22の上記一端は、収容体17で開口する。排気風路形成部22の上記一端は、集塵ユニット15と接続される第2接続口19を形成する。排気風路形成部22の他端は、収容ユニット14の外側に向けて開口する。排気風路形成部22の上記他端は、排気口を形成する。
図6及び図7に示すように、収容ユニット14の内部には、電動送風機24が備えられている。電動送風機24は、電気掃除機1に形成された各風路に、気流を発生させるためのものである。電気掃除機1に形成された各風路とは、外部から掃除機本体5の内部に含塵空気を流入させるための風路、吸気風路21、集塵ユニット15内の空間及び排気風路23である。電動送風機24は、収容ユニット14の後端部寄りの予め設定された位置において、排気風路23内に配置される。
電動送風機24が吸引動作を開始すると、電気掃除機1に形成された各風路に気流が発生する。このとき、掃除具2、接続パイプ3、及び吸引ホース4の内部には吸引力が発生する。掃除具2のボディー6に吸い込まれた含塵空気は、ホース接続口11から掃除機本体5の内部に取り込まれる。掃除機本体5の内部に流入した含塵空気は、吸気風路21を経て、第1接続口18から集塵ユニット15に送られる。集塵ユニット15の内部では、含塵空気から塵埃が分離される。集塵ユニット15から排出された清浄空気は、排気風路23に流入し、排気風路23内において電動送風機24を通過する。電動送風機24を通過した清浄空気は、排気風路23を更に進み、排気口から掃除機本体5の外部に排出される。
図8は、実施の形態1の掃除具2の斜視図である。図9は、実施の形態1の掃除具2の平面図である。図9は、吸引パイプ8を被清掃面に対して垂直にし、かつ、吸引パイプ8を長手方向の途中の位置で切断した状態を示す。図10は、実施の形態1の掃除具2の下面図である。
図9及び図10に示すように、掃除具2のボディー6は、近位端61及び遠位端62を有する。近位端61から遠位端62までの長さ(最大長さ)をLとする。近位端61から遠位端62への方向をボディー6の長手方向と呼ぶ。ボディー6の幅(最大幅)をWとする。幅Wは、平面視でボディー6の長手方向に対して垂直な方向のボディー6の大きさである。ボディー6の長さLは、ボディー6の幅Wより長い。本実施の形態では、平面視におけるボディー6の形状は、長方形である。平面視でボディー6の長手方向に対して垂直な方向を、以下、ボディー6の短手方向と呼ぶ。
本実施の形態では、平面視で近位端61及び遠位端62は、直線状に延びる。このような構成に限らず、平面視で近位端61及び遠位端62は、少なくとも部分的に、曲線または折れ線でもよい。その場合、ボディー6の長さLは、平面視で近位端61と遠位端62との間の長手方向の最大長さを指すものとする。本実施の形態では、ボディー6の幅Wは、ボディー6の長手方向に沿って、一定である。このような構成に限らず、ボディー6の幅Wは、ボディー6の長手方向に沿って、変化してもよい。その場合、ボディー6の幅Wは、ボディー6の最大幅を指すものとする。
図8に示すように、ボディー6は、上ケース31及び下ケース32を含んでもよい。本実施の形態におけるジョイント7は、第一回転部71及び第二回転部72を備える。第二回転部72は、第二回転軸Yを中心に回転できるようにボディー6に対して接続されている。第一回転部71は、第一回転軸Xを中心に回転できるように第二回転部72に対して接続されている。第二回転軸Yは、第一回転軸Xに対して平行でない。第二回転軸Yは、第一回転軸Xに対して、交差またはねじれの位置にある。図8中、第一回転軸X及び第二回転軸Yを一点鎖線で示す。本実施の形態では、第二回転軸Yは、ボディー6の長手方向に対して実質的に平行である。第一回転軸Xは、第二回転軸Yに対して実質的に垂直である。このように、本実施の形態におけるジョイント7は、相互に平行でない複数の回転軸である第一回転軸X及び第二回転軸Yを有する。
本実施の形態では、ジョイント7は、ボディー6の近位端61の端面に接続されている。ジョイント7の第二回転部72は、ボディー6の近位端61の端面に対して第二回転軸Yを中心に回転可能に接続されている。
本実施の形態では、ジョイント7の第一回転部71と、吸引パイプ8とが一体的に形成されている。このような構成に限らず、ジョイント7の第一回転部71と、吸引パイプ8とが別の部材で構成され、両部材が着脱可能に連結されてもよい。
ジョイント7の第二回転部72が第二回転軸Yを中心に回転することに伴って、第一回転軸Xの向きが変化するが、第一回転軸Xは第二回転軸Yに対して垂直に維持される。第二回転部72は、ボディー6に対して、予め設定された角度の範囲で、第二回転軸Yを中心に回転可能である。ジョイント7の第一回転部71は、第二回転部72に対して、予め設定された角度の範囲で、第一回転軸Xを中心に回転可能である。
図9に示すように、吸引パイプ8の内部には、第一吸引チャネル81が形成されている。図10に示すように、ボディー6は、吸引開口49を備える。吸引開口49は、ボディー6の底面64に開口する。ボディー6の底面64は、使用時すなわち清掃時に被清掃面に対向する。ジョイント7の内部には、吸引開口49及び第一吸引チャネル81に対して流体的につながる風路となるチャネル(図示省略)が形成されている。
電動送風機24が作動すると、吸引開口49から含塵空気が吸引される。その後、当該含塵空気は、ジョイント7の内部のチャネルと、吸引パイプ8の内部の第一吸引チャネル81を通過して、接続パイプ3の内部へ流入する。
図10に示すように、掃除具2は、アジテーター35及びモーター37を備える。アジテーター35は、ボディー6に対して回転可能に取り付けられる。アジテーター35の回転軸R1は、ボディー6の長手方向に対して実質的に平行である。アジテーター35が回転することで、被清掃面が攪拌され、被清掃面から塵埃が掻き上げられる。ボディー6が上ケース31及び下ケース32を含む場合には、アジテーター35は下ケース32に取り付けられてもよい。アジテーター35の一端側には、被駆動輪36が連結されている。被駆動輪36は、アジテーター35と一体になって回転する。アジテーター35の他端側は、シャフト48を介して、ボディー6に対して回転可能に支持されている。
モーター37は、アジテーター35を回転させる動力を出力する。本実施の形態におけるモーター37は、電動機である。本発明では、アジテーター35を回転させるモーター37は、電動機に限定されるものではなく、例えば、空気流によって回転するタービンでもよい。モーター37は、出力軸38を備える。モーター37の出力軸38の中心線、すなわちモーター37の回転軸R2は、アジテーター35の回転軸R1に対して実質的に平行である。出力軸38は、駆動ベルト40を介して、被駆動輪36に接続されている。モーター37の駆動力が、出力軸38、駆動ベルト40、及び被駆動輪36を介してアジテーター35に伝達することで、アジテーター35が回転する。図示の構成に代えて、例えばギヤトレーンなどの他の伝達手段によってモーター37の駆動力をアジテーター35へ伝達してもよい。
ボディー6は、アジテーターチャンバ50を備える。アジテーターチャンバ50は、ボディー6の内部に形成されている。アジテーターチャンバ50は、アジテーター35を収容する。アジテーターチャンバ50の下面の少なくとも一部が開口することで吸引開口49が形成される。ボディー6は、ボディー6の底面64以外の面(例えば側面)に形成された吸引開口をさらに備えてもよい。その場合、ボディー6の底面64以外の面に形成された吸引開口の総開口面積は、ボディー6の底面64に形成された吸引開口49の総開口面積より小さいことが望ましい。そのように構成することで、以下の効果が得られる。主として、ボディー6の底面64に形成された吸引開口49から塵埃を吸引することができるので、吸引性能のばらつきを軽減できる。
本実施の形態であれば、モーター37の回転軸R2を、アジテーター35の回転軸R1に対して実質的に平行にしたことで、以下の効果が得られる。モーター37を省スペースで配置できる。吸引開口49の面積を大きくできる。掃除具2を軽量化できる。本実施の形態では、モーター37から出力軸38が突出する方向は、アジテーター35から被駆動輪36が突出する方向に対して、同じ方向である。
本実施の形態では、モーター37は、ボディー6の遠位端62より近位端61に近い位置に配置されている。これにより、比較的重い部品であるモーター37の位置がジョイント7に近くなるので、重心をジョイント7の近くへ寄せることができる。それゆえ、使用者がより軽い力で掃除具2を動かすことが可能となる。
図11は、実施の形態1の掃除具2をボディー6の短手方向の視線で見た側面図である。以下の説明では、ボディー6の長手方向に対する吸引パイプ8の長手軸82の角度を第一角度αと称する。図11に示すように、ジョイント7が第一回転軸Xを中心として回転することで、第一角度αの大きさを変えることができる。第一角度αは、ボディー6と吸引パイプ8とが形成する角の劣角に対応するものとする。ジョイント7が第一回転軸Xを中心として回転可能な角度範囲は、例えば、図11が示すように、第一角度αが70°から180°まで変わりうる範囲でもよい。ジョイント7が第一回転軸Xを中心として回転可能な角度範囲は、さらに大きくてもよく、例えば、第一角度αが0°から180°まで変わりうる範囲でもよい。
図11に示すように、吸引パイプ8の長手軸82がジョイント7の第一回転部71に対して傾斜していてもよい。また、図8に示すように、ジョイント7の第一回転部71に対して、吸引パイプ8の長手軸82が同軸または平行でもよい。図9に示すように、吸引パイプ8内の第一吸引チャネル81の断面形状が多角形の場合には、当該多角形の一辺の垂直二等分線と、他の一辺の垂直二等分線との交点を吸引パイプ8の長手方向に連ねた線を吸引パイプ8の長手軸82とみなしてもよい。また、吸引パイプ8内の第一吸引チャネル81の断面形状が円形の場合には、当該円の中心を吸引パイプ8の長手方向に連ねた線を吸引パイプ8の長手軸82とみなしてもよい。
図12は、実施の形態1の掃除具2をボディー6の長手方向の視線で見た側面図である。図12における半円の両矢印は、ジョイント7が第二回転軸Yを中心として回転可能な角度範囲の一例を示している。以下の説明では、ボディー6の長手方向に平行な仮想直線と吸引パイプ8の長手軸82とを含む仮想平面とボディー6の底面64との間の角度を第二角度βと称する。ジョイント7が第二回転軸Yを中心として回転することで、第二角度βの大きさを変えることができる。ジョイント7が第二回転軸Yを中心として回転可能な角度範囲は、例えば、図12が示すように、第二角度βが0°から180°まで変わりうる範囲でもよい。
本実施の形態であれば、以下の効果が得られる。ジョイント7が第二回転軸Y及び第一回転軸Xを中心として回転することで第一角度α及び第二角度βが増減しても、吸引開口49の開口方向は維持される。前述したように、ジョイント7と連結されている吸引パイプ8は、吸引開口49の開口方向を維持した状態で、ボディー6に対して、予め設定された角度範囲で傾けることが可能である。ジョイント7が第二回転軸Y及び第一回転軸Xを中心として回転可能であること、すなわち第一角度α及び第二角度βが増減可能であることで、図1のひねり方向Aの動き及び傾き方向Bの動きに関係なく、ボディー6の底面64が被清掃面に対して平行の状態を維持できる。すなわち、吸引開口49と被清掃面との距離が変化しない。このため、吸引開口49の周辺の真空度が低下することを抑制でき、吸引性能を良好に維持しながらボディー6を操作することができる。
図9から図12は、第二角度βが90°の状態を示す。図12に示すように、ジョイント7は、第二角度βが90°の状態で、平面視におけるボディー6の短手方向の中心を通って底面64に垂直な平面を介して対称な形状を有する。
以下の説明では、例えば家具の間などに形成される幅の狭い隙間を「狭所」と称する。また、従来の掃除具のように、掃除具のボディー6の長手方向の中央にジョイントがあるものを「中央ジョイント式掃除具」と称する。本実施の形態であれば、以下の効果が得られる。ボディー6の遠位端62からジョイント7までの長さを、中央ジョイント式掃除具のボディー6の一端からジョイントまでの長さに比べて、長くできる。ボディー6の幅W以上の幅を有する狭所を掃除するとき、ボディー6を遠位端62の方から狭所に挿入することで、中央ジョイント式掃除具に比べて、ボディー6を奥へ挿入できる。このため、狭所を容易に掃除できる。平面視においてジョイント7を中心としてボディー6を回転させる際の回転半径が、中央ジョイント式掃除具に比べて長くなる。ボディー6の長手方向の長さを効率的に使用することができる。ボディー6を回転させた際の清掃範囲を広くすることができ、短時間で効率的な清掃が可能となる。
本発明では、ボディー6の近位端61の端面にジョイント7が接続されなくてもよい。本発明では、ジョイント7が、遠位端62より近位端61に近い位置にあればよい。すなわち、ボディー6の長手方向の中央よりも近位端61の側に偏った位置にジョイント7が配置されればよい。遠位端62より近位端61に近い位置にジョイント7があれば、中央ジョイント式掃除具に比べて、ボディー6を狭所のより奥へ挿入できる。
図13は、実施の形態1の掃除具2の使用形態の例を示す斜視図である。図14は、実施の形態1の掃除具2の使用形態の他の例を示す斜視図である。図13は、ボディー6をその短手方向に動かす使用形態を示す。図14は、ボディー6をその長手方向に動かす使用形態を示す。以下、図13に示す使用形態を「L字形態」とも呼び、図14に示す使用形態を「I字形態」とも呼ぶ。
使用者は、電気掃除機1を用いて掃除をする際に、ハンドル9を持った手で、掃除具2のボディー6の向きを操作できる。例えば、図1に示すひねり方向Aにハンドル9が回転されることにより、ジョイント7が回転し、ボディー6の向きが変化する。使用者は、ハンドル9をひねることで、自分から見て前後に動かす際のボディー6の向きを変化させることができる。この場合、ボディー6の向きは、例えば、L字形態とI字形態との間で、変化可能である。ボディー6の向きをL字形態にすることで、広いところを容易に掃除できる。ボディー6の向きをI字形態にすることで、狭所を容易に掃除できる。L字形態とI字形態との間でボディー6の向きが変化するとき、ボディー6は、被清掃面から離れることなく回転できる。本実施の形態では、このときのボディー6の回転半径は、平面視において、ボディー6の長さLと同程度である。
本実施の形態であれば、以下の効果が得られる。状況に応じて、掃除具2の使用形態をL字形態とI字形態との間で変化させることが可能である。例えば、部屋の中央等の広いところを掃除する場合には、掃除具2をL字形態で使用することで、清掃範囲を広くできる。例えば、家具の隙間等の狭所を掃除する場合は、掃除具2をI字形態で使用することで、狭所の奥にボディー6を挿入できる。ボディー6の向きを変えるだけで、広いところ及び狭いところを含む多様なシーンの掃除に対応できる。掃除する場所に応じたアタッチメントの取り外し及び付け替えの必要性を低減でき、使用者の負担を軽減できる。
ボディー6の長さLは、10cm以上が好ましい。ボディー6の長さLが10cm以上であれば、掃除具2をL字形態で使用する場合及びひねり方向Aの動きによってボディー6を回転させる場合の清掃範囲を十分に広くできる。ボディー6の長さLは、30cm以下が好ましい。ボディー6の長さLが30cm以下であれば、ジョイント7から遠い位置の吸引開口49の端部においても、十分に塵埃を吸引可能な吸引力を確保できる。
本実施の形態であれば、ボディー6の長手方向の一端に相当する近位端61の面にジョイント7が接続されたことで、以下の効果が得られる。平面視においてジョイント7を中心としてボディー6を回転させる際の回転半径を更に大きくできるため、より効率的な清掃が可能となる。被清掃面からジョイント7までの高さが抑えられ、ソファの下等の低所を清掃しやすくなるため、掃除具2の操作性を向上させることができる。ボディー6を狭所のより奥へ挿入できる。このため、狭所を特に容易に掃除できる。
図9、図10、及び図12に示すように、第二角度βが90°の状態で、ボディー6の短手方向に沿ったジョイント7及び吸引パイプ8の大きさは、ボディー6の最大幅Wより小さい。このような構成により、本実施の形態であれば、以下の効果が得られる。狭所の幅がボディー6の最大幅W以上であれば、掃除具2をI字形態にして当該狭所に挿入でき、当該狭所を掃除できる。
図12に示すように、ジョイント7は、ボディー6の短手方向の実質的に中央に位置する。すなわち、平面視において、ジョイント7と近位端61の端面との接続部は、ボディー6の幅Wの実質的に中央に位置する。このような構成により、本実施の形態であれば、以下の効果が得られる。掃除具2をI字形態にして狭所に挿入するときに、ジョイント7及び吸引パイプ8が妨げとなることをより確実に抑制できる。掃除具2を動かしたときにボディー6が被清掃面から離れにくくなり、高い吸引性能を維持するとともに、操作性を向上できる。
図15は、実施の形態1の掃除具2のブロック図である。図15に示すように、掃除具2は、制御部90及びセンサ95を備える。制御部90は、アジテーター35を駆動するモーター37の運転を制御する。センサ95は、第一角度αが基準角度に比べて大きい状態であるか否かを検知する検知手段すなわちディテクターの例である。制御部90は、センサ95の検知結果に応じて、モーター37の運転を制御する。基準角度は、例えば、90°でもよい。基準角度は、例えば、90°より大きい角度でもよい。
掃除具2がI字形態で使用されるときは、掃除具2がL字形態で使用されるときに比べて、第一角度αが大きい。第一角度αが基準角度に比べて大きいときには、掃除具2がI字形態で使用されているとみなせる。第一角度αが基準角度に比べて小さいときには、掃除具2がL字形態で使用されているとみなせる。すなわち、第一角度αが基準角度に比べて大きい状態であることをセンサ95が検知しているときには、掃除具2がI字形態で使用されているとみなせる。第一角度αが基準角度に比べて大きい状態でないことをセンサ95が検知しているとき、すなわち第一角度αが基準角度に比べて小さい状態であることをセンサ95が検知しているときには、掃除具2がL字形態で使用されているとみなせる。
制御部90は、第一角度αが基準角度に比べて大きいときのアジテーター35の回転速度が、第一角度αが基準角度に比べて小さいときのアジテーター35の回転速度に比べて低くなるように、モーター37を制御する。例えば、制御部90は、第一角度αが基準角度に比べて大きいときのモーター37の出力が、第一角度αが基準角度に比べて小さいときのモーター37の出力に比べて低くなるように、モーター37への供給電力を制御してもよい。これらのようにすることで、以下の効果が得られる。
アジテーター35の回転速度が高いと、アジテーター35の回転によってボディー6をその短手方向に自走させる力が生じる。その一方で、I字形態で狭所の掃除を行う際は、ボディー6をその長手方向に往復させることで清掃することが想定される。この際に、アジテーター35の回転による自走力によってボディー6がその短手方向に動くと、使用者の意図する方向と異なる方向にボディー6が動くことになる。このため、操作性が低下する。これに対し、本実施の形態であれば、第一角度αが基準角度に比べて大きいとき、すなわちI字形態とみなせるときに、アジテーター35の回転速度を低くすることで、ボディー6の短手方向への自走力を抑制できる。このため、I字形態のときに、使用者の意図する方向と異なる方向にボディー6が動くことを確実に抑制でき、操作性が向上する。
アジテーター35の回転による自走力は、アジテーター35の回転速度のほかに、被清掃面との摩擦力、アジテーター35の植毛の硬さ、長さ、毛量、ボディー6にかかる重さ等によって変化する。制御部90は、第一角度αが基準角度に比べて大きいときに、使用者が負担に感じない程度まで自走力が抑えられるように制御することが望ましい。
制御部90は、第一角度αが基準角度に比べて大きいときに、アジテーター35の回転を停止させるようにしてもよい。すなわちモーター37の出力をゼロにしてもよい。アジテーター35の回転を停止させる、すなわちモーター37の出力をゼロにすることで、ボディー6の短手方向への自走を確実に防止できる。このため、I字形態のときに使用者の意図する方向と異なる方向にボディー6が動くことを確実に抑制でき、操作性が向上する。
第一角度αが基準角度に比べて大きい状態から第一角度αが基準角度に比べて小さい状態へ変化した場合には、制御部90は、アジテーター35の回転速度を上昇させることで、アジテーター35の回転速度を通常の回転速度に戻す。第一角度αが基準角度に比べて大きいときにアジテーター35の回転を停止していた場合には、第一角度αが基準角度に比べて小さい状態へ変化した後、制御部90は、アジテーター35の回転を再開させる。
センサ95は、第一角度αが基準角度に比べて大きい状態であるか否かを検知できるものであれば、いかなる原理または方式のものでもよい。センサ95は、非接触で検知するセンサ(例えば、光学センサ、磁気センサなど)でもよいし、接触式のセンサでもよい。センサ95についての具体的な構成の図示は省略するが、例えば、センサ95は、以下のいずれかのようにしてもよい。
(1)センサ95は、回転角を検知する回転角センサでもよい。ジョイント7の第一回転部71と第二回転部72との間に当該回転角センサを備えてもよい。当該回転角センサにより、ジョイント7の第一回転部71の回転角を検知してもよい。第一回転部71の回転角を検知することで、第一角度αの値を検知できる。
(2)センサ95は、吸引パイプ8の姿勢を検知できるセンサ(例えば、傾斜センサ、加速度センサ、角速度センサ、ジャイロセンサ、モーションセンサなど)でもよい。センサ95は、重力方向を検知することで水平面に対する吸引パイプ8の姿勢を検知してもよい。当該センサ95を吸引パイプ8に取り付けてもよい。掃除具2は、水平な被清掃面の掃除に使用することが主たる用途である。このため、ボディー6の底面64が水平であると仮定してもよい。ボディー6の底面64が水平であると仮定すれば、水平面に対する吸引パイプ8の姿勢を検知することで、第一角度αが基準角度に比べて大きい状態であるか否かを検知できる。例えば、センサ95は、図11中の仮想ベクトル83の姿勢を検知してもよい。仮想ベクトル83は、吸引パイプ8の長手軸82と第二回転軸Yとを含む平面上にあり、かつ、長手軸82に直交し、図11に示す方向を向くベクトルである。第一角度αが90°未満のときには、仮想ベクトル83は、水平面に対して斜め上向きになる。第一角度αが90°のときには、仮想ベクトル83は、水平になる。第一角度αが90°を超えるときには、仮想ベクトル83は、水平面に対して斜め下向きになる。基準角度が90°であると仮定すると、仮想ベクトル83が水平面に対して斜め下向きであるか斜め上向きであるかをセンサ95が検知することで、第一角度αが基準角度90°に比べて大きい状態であるか否かを検知できる。
(3)センサ95は、距離センサでもよい。当該距離センサは、例えば、図11において、ジョイント7の第一回転部71の表面の点73とボディー6の近位端61の表面との距離を検知してもよい。図11の状態では、点73と近位端61の表面との距離がゼロである。図11の状態から、第一角度αが大きくなるほど、点73と近位端61の表面との距離が大きくなる。このため、当該距離センサで検知される距離に基づいて、第一角度αが基準角度に比べて大きい状態であるか否かを検知できる。
(4)センサ95は、ジョイント7の第一回転部71と第二回転部72との間の位置関係を検知するセンサでもよい。この場合、第二回転部72に対する第一回転部71の位置関係に応じて、第一角度αが基準角度に比べて大きい状態と、第一角度αが基準角度に比べて小さい状態とで、センサ95が異なる信号を出力してもよい。この場合、センサ95は、図示を省略するが、例えば、以下のようにしてもよい。センサ95は、第一回転部71及び第二回転部72のいずれか一方に設けた磁石と、他方に設けた磁力検知部または磁場検知部とを備え、磁力検知部または磁場検知部が検知する磁力または磁場に応じて、第一角度αが基準角度に比べて大きい状態であるか否かを検知してもよい。センサ95は、第二回転部72に対して第一回転部71が回転することで変形する部材と、当該部材の応力を検知する応力検知部とを備え、応力検知部が検知する応力に応じて、第一角度αが基準角度に比べて大きい状態であるか否かを検知してもよい。センサ95は、第一回転部71及び第二回転部72のいずれか一方に設けた発光部と、他方に設けた受光部とを備え、受光部の受光状態の変化に応じて、第一角度αが基準角度に比べて大きい状態であるか否かを検知してもよい。
上述したようなセンサ95によれば、第二角度βの変化にかかわらず、第一角度αが基準角度に比べて大きい状態であるか否かを検知できる。
図16は、図10中のE−E線での断面図である。図17は、図16中のF−F線での断面図である。なお、図16では、ボディー6については図10中のE−E線での断面を表し、アジテーター35、被駆動輪36、モーター37、出力軸38、及び駆動ベルト40についてはボディー6の近位端61側から見た側面を表す。
図16に示すように、アジテーター35は、筒状基体43及び突出部材44を備える。突出部材44は、筒状基体43の外周面から突出する。突出部材44は、筒状基体43に備えられた保持部(図示省略)により保持される。突出部材44としては、例えば、繊維質のブラシ毛を用いてもよいし、軟質材のブレード状のものを用いてもよいし、それらの組み合わせを用いてもよい。突出部材44は、筒状基体43の外周に、回転軸R1を中心とするつるまき状に配列されてもよい。その場合、突出部材44を少なくとも2列以上(例えば、4列)に配列し、列間につるまき状の谷部を形成してもよい。または、突出部材44は、筒状基体43の外周に、回転軸R1に平行に配列されてもよい。
本実施の形態では、ボディー6を水平な被清掃面上に置いたとき、以下の位置関係になる。モーター37の出力軸38の中心位置、すなわち回転軸R2の位置は、アジテーター35の回転軸R1の位置より高い。また、モーター37の下端の位置は、アジテーター35の上端の位置より低い。これにより、以下の効果が得られる。アジテーター35及びモーター37を省スペースで配置でき、ボディー6を小型化できる。
図17に示すように、ジョイント7は、その内部に吸引チャネル74を有する。吸引チャネル74は、吸引パイプ8内の第一吸引チャネル81に連通する。吸引チャネル74は、含塵空気の通路すなわち風路になる。ボディー6は、第二吸引チャネル51及び隔壁45を備える。第二吸引チャネル51及び隔壁45は、ボディー6の内部に形成されている。第二吸引チャネル51は、アジテーター35の回転軸R1に対して実質的に平行に延びる。第二吸引チャネル51は、ジョイント7内の吸引チャネル74に連通する。第二吸引チャネル51は、含塵空気の通路すなわち風路になる。隔壁45は、アジテーターチャンバ50と第二吸引チャネル51とを隔てる。隔壁45は、アジテーターチャンバ50から第二吸引チャネル51への通気口46を備える。本実施の形態における隔壁45が備える通気口46の数は一つであるが、隔壁45は複数の通気口46を有してもよい。通気口46は、アジテーター35の外周に対向する。隔壁45は、アジテーター35の回転軸R1に対して実質的に平行である。
本実施の形態におけるボディー6は、第三吸引チャネル59、隔壁52、及び開口53を備える。第三吸引チャネル59及び隔壁52は、ボディー6の内部に形成されている。開口53は、ボディー6とジョイント7との接続面に開口する。第三吸引チャネル59は、アジテーター35の回転軸R1に対して実質的に垂直に延びる。第三吸引チャネル59は、ボディー6の遠位端62より近位端61に近い位置に形成されている。隔壁52は、アジテーターチャンバ50と、第三吸引チャネル59とを隔てる。隔壁45は、隔壁52につながっている。隔壁52は、アジテーター35の回転軸R1に対して実質的に垂直である。本実施の形態では、第二吸引チャネル51は、第三吸引チャネル59及び開口53を介して、ジョイント7内の吸引チャネル74に連通する。このように、第二吸引チャネル51は、他の通路を介して、吸引チャネル74に連通してもよい。このような構成に限らず、第二吸引チャネル51は、他の通路を介さずに、吸引チャネル74に直接に連通してもよい。
本実施の形態では、第二吸引チャネル51及び隔壁45は、アジテーター35のほぼ全長にわたって、アジテーター35の回転軸R1に沿うように形成されている。このような構成に限らず、第二吸引チャネル51及び隔壁45は、アジテーター35の全長の一部分において、アジテーター35の回転軸R1に沿うように形成されてもよい。
図17中の矢印は、含塵空気の流れを示す。吸引開口49からボディー6の内部へ流入した含塵空気は、アジテーターチャンバ50、通気口46、第二吸引チャネル51、第三吸引チャネル59、及び開口53を通って、ジョイント7内の吸引チャネル74へ進む。本実施の形態であれば、アジテーターチャンバ50と第二吸引チャネル51とを隔てる隔壁45に通気口46を備えたことで、以下の効果が得られる。吸引開口49からの吸引量がジョイント7側に偏ることを抑制でき、吸引開口49の全域で吸引量のムラを抑制できる。アジテーター35によって掻き上げられた塵埃を通気口46から第二吸引チャネル51へ効率良く吸引できる。
本実施の形態では、通気口46は、ボディー6の長手方向の位置に関して、アジテーター35の長さの中央に対して遠位端62の側へ偏った位置にある。これにより、以下の効果が得られる。吸引開口49の全域で吸引量のムラをより確実に抑制できる。アジテーター35の長手方向についての吸引量のムラを低減できる。隔壁45が複数の通気口46を備える場合には、そのうちの少なくとも一つの通気口46の位置を上記のようにすることで、上記と類似の効果が得られる。隔壁45が単一の通気口46を備える場合に、当該通気口46が、ボディー6の長手方向の位置に関して、アジテーター35の長さの中央の位置にある場合にも、上記と類似の効果が得られる。隔壁45が複数の通気口46を備える場合には、そのうちの少なくとも一つの通気口46が、ボディー6の長手方向の位置に関して、アジテーター35の長さの中央の位置にある場合にも、上記と類似の効果が得られる。
図16に示すように、本実施の形態におけるボディー6は、隔壁34及びモーターチャンバ39を備える。モーターチャンバ39は、モーター37を収容する。隔壁34は、モーターチャンバ39とアジテーターチャンバ50との間、及び、モーターチャンバ39と第二吸引チャネル51との間を隔てる。モーター37は、少なくとも部分的に、第二吸引チャネル51の上方に位置する。隔壁45は、少なくとも部分的に、ボディー6の底面64及び被清掃面に対して、垂直になっても良い。本実施の形態では、以下のように構成される。第二吸引チャネル51は、少なくとも部分的に、ボディー6の底面64とモーター37との間に位置する。第二吸引チャネル51の上部の内壁面の位置は、アジテーター35の上端より低い高さにある。このような構成により、本実施の形態であれば、ボディー6の幅W及びボディー6の高さを小さくできる。
図10に示すように、本実施の形態のボディー6は、アジテーターチャンバ50から遠位端62の端面につながるアジテーター出入口54を備える。アジテーター出入口54を通してアジテーター35をボディー6から引き抜くことで、アジテーター35をボディー6から除去できる。アジテーター35をボディー6から取り外すことで、アジテーター35に付着した汚れを容易に除去できる。アジテーター35の外周は弾性変形可能であるので、アジテーター35の外径より小さい内径を有するアジテーター出入口54をアジテーター35が通過可能である。アジテーター35を支持するシャフト48は、プラグ55に連結されている。アジテーター35は、プラグ55に対して回転可能である。アジテーター35をボディー6に対して適切に装着した状態では、プラグ55がアジテーター出入口54を塞ぐ。掃除具2は、プラグ55をアジテーター出入口54に対してロックする状態とロックを解除する状態とに切り替え可能なロック機構(図示省略)を備えることが望ましい。当該ロック機構は公知であるので、説明を省略する。本実施の形態であれば、モーター37を、ボディー6の遠位端62より近位端61に近い位置に配置したことで、アジテーター35をアジテーター出入口54から引き抜き可能な構造を容易に実現できる。
図10に示すように、本実施の形態の掃除具2は、ボディー6の下部に設置されたローラー47を備える。ローラー47は、被清掃面に接触しながら回転可能である。ローラー47は、被清掃面上でボディー6を支持可能である。ローラー47を備えたことで、被清掃面上でボディー6がより円滑に移動できる。使用者は、掃除具2のボディー6を被清掃面に対してより軽い力で移動させることが可能となる。ボディー6が被清掃面に対して短手方向に移動するとき(前述したL字形態)と、ボディー6が被清掃面に対して長手方向に移動するとき(前述したI字形態)との双方に対応できるように、ローラー47の向きが可変になっていてもよい。または、任意の向きに回転可能な球形のローラーをボディー6の下部に設置してもよい。
掃除具2は、以下のような可動車輪(図示省略)を備えてもよい。可動車輪は、ボディー6の底面64から突出した第一位置と、ボディー6の内部に退避した第二位置とに変位可能になるように、ボディー6に対して支持される。可動車輪は、第二位置から第一位置へ向かう方向に付勢される。ボディー6が被清掃面に乗っている状態では、可動車輪は、第二位置にある。ボディー6が被清掃面から離れた状態では、可動車輪は、第二位置から第一位置へ移動する。ボディー6には、可動車輪が第二位置のときにオンし、可動車輪が第一位置のときにオフするスイッチ(図示省略)が備えられる。電動送風機24の動作中に、当該スイッチがオン状態であると、モーター37に通電され、アジテーター35が回転する。当該スイッチがオフ状態であると、モーター37への通電が停止され、アジテーター35が停止する。以上のように構成することで、ボディー6が被清掃面から離れた状態でアジテーター35が回転することを防止できる。このため、回転するアジテーター35に手が触れたりすることを確実に抑制できる。
上記の可動車輪は、少なくとも部分的に、例えば、繊維質材、エラストマー等の軟質材で構成されてもよい。可動車輪は、少なくとも部分的に、例えば、ボディー6の主要部の材質より軟らかい材質で形成されてもよい。ボディー6の前面側(図10中で上側)の下部には、比較的変形し易い軟質材(例えばエラストマー、塩化ビニール)で形成されたバッファー(図示省略)が設置されてもよい。
また、通気口46を近位端より遠位端に近い方に配置したことにより、I字形態等で狭所を掃除する際等に、遠位端側の吸引力が高いために清掃性が向上する。
本実施の形態の掃除具2は、ロック機構26を備える。図18は、実施の形態1の掃除具2が備えるロック機構26を説明するための図である。ロック機構26は、ロック状態とアンロック状態とに切り替わる。ロック機構26がロック状態のときには、第一角度αが保持角度から異なる角度へ変わることが阻止される。本実施の形態におけるロック機構26は、第一角度αが保持角度に等しいときに、ジョイント7が第一回転軸Xを中心として回転することを阻止する。保持角度は、90°以下の角度であり、予め設定された角度である。保持角度は、例えば、掃除具2をL字形態で使用可能な角度でもよい。本実施の形態では、ジョイント7が第一回転軸Xを中心として回転中に第一角度αが保持角度に等しくなると、ロック機構26が、第一角度αを固定するように作動する。本実施の形態では、掃除具2が一つのロック機構26を備える場合について説明するが、本発明では、掃除具が複数のロック機構を備えてもよい。
図18は、第一回転軸X及び吸引パイプ8の長手軸82に対して垂直な方向の視線でジョイント7を見た図である。図18は、部分的に断面図である。図18は、ロック状態を示す。図18に示すように、本実施の形態におけるロック機構26は、第一凹部261、ピン262、スプリング263、及び第二凹部264を備える。第一凹部261は、ジョイント7の第一回転部71に形成されている。ピン262は、第一凹部261に挿入している。ピン262は、第一凹部261からの突出長さが変わるように移動可能である。スプリング263は、第一凹部261内に設置されている。スプリング263は、第一凹部261からのピン262の突出長さが大きくなる方向にピン262を付勢する。ジョイント7の第二回転部72は、第一回転軸Xを中心とする外周面721を有する。第一凹部261は、第二回転部72の外周面721に対向する。第二凹部264は、第二回転部72の外周面721に形成されている。第二凹部264は、第一角度αが保持角度に等しくなったときに第一凹部261に対向する位置にある。
第一角度αが保持角度に等しくないときには、以下のようになる。ピン262の先端は、第二凹部264が形成されていない部分の外周面721に接触する。ピン262の先端は、外周面721に対して摺動可能である。ジョイント7の第一回転部71が第一回転軸Xを中心に第二回転部72に対して回転可能である。すなわち、第一角度αが変わることが許容される。このような状態は、ロック機構26のアンロック状態に相当する。
アンロック状態において、第一角度αが保持角度に等しくなると、スプリング263に押されることでピン262が突出し、ピン262の一部が第二凹部264に挿入する。すなわち、図18に示すロック状態に切り替わる。ロック状態では、第一回転部71が第二回転部72に対して回転することがピン262によって阻止される。このため、第一角度αが保持角度から異なる角度へ変わることが阻止される。
本実施の形態であれば、ロック機構26を備えたことで、以下の効果が得られる。図13に示すL字形態で使用するときに、ロック機構26が作動することで、第一角度αが変化しないように保持できる。L字形態で使用するとき、吸引パイプ8がボディー6を使用者から見て前進させたり後退させたりする。このとき、ボディー6と被清掃面との間の摩擦力により、次のような力が作用する。吸引パイプ8がボディー6を使用者から見て前進させるときには、第一角度αを縮小させようとする力が作用する。吸引パイプ8がボディー6を使用者から見て後退させるときには、第一角度αを拡大させようとする力が作用する。仮にロック機構26がないとすると、吸引パイプ8がボディー6を使用者から見て前進させたり後退させたりするたびに、第一角度αが変化したり、ハンドル9がひねられたりしてしまい、掃除しにくい。これに対し、本実施の形態であれば、ロック機構26を備えたことで、L字形態で使用するときに第一角度αの変化を抑制でき、優れた操作性が得られる。
L字形態で使用しているときに、床の段差を回避したり、他の場所へ移動したりする目的で、ボディー6を被清掃面から持ち上げるようにハンドル9を操作することがある。このときに、仮にロック機構26がないとすると、第一角度αが拡大する方向にジョイント7が回転することで、遠位端62が下がるようにボディー6が傾く。その状態からボディー6を被清掃面に再び着地させると、遠位端62が被清掃面に衝突する可能性がある。これに対し、本実施の形態であれば、ロック機構26を備えたことで、L字形態でボディー6を被清掃面から持ち上げたときに、ボディー6が傾くことを抑制でき、ボディー6の底面64及び吸引開口49が被清掃面に対して平行または平行近くになる状態を維持できる。このため、円滑かつ容易にボディー6を被清掃面に再び着地させることができる。
第一角度αが保持角度から異なる角度へ変わることをロック機構26が阻止しているとき、すなわちロック状態のときに、第一角度αを変化させる方向に閾値以上の力が作用した場合に、ロック機構26による第一角度αの固定が自動的に解除される、すなわちアンロック状態に自動的に切り替わるように構成されてもよい。その場合、当該閾値は、以下の条件を満足することが望ましい。L字形態で吸引パイプ8がボディー6を使用者から見て前進させたり後退させたりしたときに、ロック機構26による第一角度αの固定が自動的に解除されないことが望ましい。L字形態で吸引パイプ8がボディー6を被清掃面から持ち上げたときに、ロック機構26による第一角度αの固定が自動的に解除されないことが望ましい。
ロック機構26による第一角度αの固定が解除された場合、すなわちアンロック状態のときには、再び、第一角度αが変化可能になる。その場合、第一角度αは、保持角度に比べて小さい鋭角になってもよい。すなわち、第一角度αが変化可能な角度範囲の途中に保持角度があってもよい。
本実施の形態1の掃除具2は、ロック機構26による第一角度αの固定を、ロック解除ボタン25に加えられた操作に応じて解除するリリース機構27を備える。図1に示すように、ロック解除ボタン25は、ハンドル9に設置された操作部の例である。図18に示すように、リリース機構27は、ワイヤー28を備える。ワイヤー28の一端は、ロック機構26のピン262に連結されている。ロック状態でワイヤー28が引かれると、ピン262が第一凹部261内へ引き込まれてピン262が第二凹部264から抜けることで、アンロック状態になる。図示を省略するが、ワイヤー28の他端側は、ジョイント7及び吸引パイプ8に沿って、ハンドル9の内部まで延びている。ハンドル9には、ロック解除ボタン25が押されたときの動きを、ワイヤー28を引く動きに変換する機構(図示省略)が内蔵されている。ロック機構26が作動した状態のとき、使用者がロック解除ボタン25を押すと、ワイヤー28が引かれて、ロック機構26による第一角度αの固定が解除される。本実施の形態であれば、以下の効果が得られる。使用者は、ロック機構26により第一角度αが固定された状態のときに第一角度αを変えることを希望する場合には、ハンドル9を保持している指の位置を変えてロック解除ボタン25を押すだけで、ロック機構26による第一角度αの固定を解除できる。このため、ボディー6と吸引パイプ8とを遠ざける方向にハンドル9に力を入れる必要がない。よって、ボディー6の遠位端62側が被清掃面から離れるようにボディー6が傾いたりしないので、一時的に吸込性能が低下することを確実に抑制できる。また、ボディー6を足等で押さえつけるような動作をする必要がないので、煩わしさが生じない。
本実施の形態におけるロック機構26及びリリース機構27の構成は、一例である。本実施の形態におけるロック機構26及びリリース機構27は、同一または類似の機能を発揮し得る他の構成に置換できる。例えば、上述したリリース機構27に代えて、ロック解除ボタン25に加えられた操作を電気信号により伝達してアクチュエータを作動させることでロック機構26を解除する構成にしてもよい。
図13に示すL字形態で使用するときには、第二角度βが変わり得る。本実施の形態1におけるロック機構26は、第二角度βが変わることを妨げない。このため、図13に示すL字形態で使用するときに第二角度βが変わることをロック機構26が妨げないので、操作性を良好にできる。少なくともL字形態で使用するときに、すなわち、少なくとも第一角度αが保持角度に等しいときに、第二角度βが変わることをロック機構26が妨げることがなければ、上記と類似の効果が得られる。
ロック機構26の保持角度は、前述した基準角度、すなわちアジテーター35の回転速度を低下またはゼロにするときの角度より小さい角度でもよい。あるいは、ロック機構26の保持角度は、基準角度に等しくてもよい。前述したセンサ95は、ロック機構26がロック状態であるかアンロック状態であるかを検知してもよい。ロック機構26がロック状態であるときには、L字形態であり、第一角度αが基準角度に比べて小さい状態である、と考えることができる。ロック機構26がアンロック状態であるときには、I字形態であり、第一角度αが基準角度に比べて大きい状態である、と考えることができる。そこで、制御部90は、ロック機構26がアンロック状態であることをセンサ95が検知しているときのアジテーター35の回転速度を、ロック機構26がロック状態であることをセンサ95が検知しているときのアジテーター35の回転速度に比べて、低くするか、またはゼロにするように制御してもよい。このようにすることで、以下の効果が得られる。ロック機構26のロック状態とアンロック状態との切り替わりに伴ってアジテーター35の回転速度が変わることで、使用者が当該回転速度の変化を認知しやすくなる。これにより、I字形態で使用するときに、ボディー6がその短手方向へ自走するのではないかとの心理的な抵抗感を使用者が感じることを抑制でき、掃除のしやすさを実感できる。ロック機構26がロック状態であるかアンロック状態であるかを検知するセンサ95は、例えば、ロックを解除するときに生ずる角速度の上昇を検知するもの、ロック時の摩擦力を検知するもの、接触していたものが非接触になることを検知するものなど、いかなる方法で検知するものでもよい。
本実施の形態1では、センサ95の検知結果に応じて、制御部90が、アジテーター35を駆動するモーター37の運転を制御する構成を例に説明した。本発明は、このような例に限定されない。例えば、アジテーター35を駆動する駆動手段は、制御部90及びセンサ95によらずに、第一角度αに応じて機械的にアジテーター35の回転速度を調整またはアジテーター35を停止させるように構成されてもよい。例えば、図示を省略するが、以下のようにしてもよい。モーター37とアジテーター35との間の動力伝達経路の途中に、動力を断接するクラッチを設ける。第一角度αが変化するときのジョイント7の動きを、当該クラッチの断接に変換する変換機構を設ける。当該変換機構は、第一角度αが基準角度に比べて小さいときには、当該クラッチを接続させることで、アジテーター35を回転させる。当該変換機構は、第一角度αが基準角度に比べて大きいときには、当該クラッチを遮断または半クラッチの状態にすることで、アジテーター35の回転を停止または速度低下させる。
実施の形態2.
次に、図19及び図20を参照して、実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分については説明を簡略化または省略する。なお、後述する実施の形態を含め、図19以降の図では、便宜上、各部の形状、構造、及び壁の厚みなどを部分的に省略または簡略化して図示する。
図19は、実施の形態2の掃除具2Aの下面図である。図19に示すように、本実施の形態2の掃除具2Aでは、モーター37は、ボディー6の近位端61より遠位端62に近い位置に配置されている。このような構成により、本実施の形態であれば、以下の効果が得られる。ジョイント7の付近の吸引チャネル(本実施の形態では図示省略)の形状がモーター37の配置による影響を受けることを抑制できるので、ジョイント7の付近の吸引チャネルの形状を容易かつ良好に形成できる。ジョイント7へ向かう含塵空気の流れから離れた位置にモーター37を配置できるので、モーター37に塵埃が入りにくい。モーター37を冷却しやすい。モーター37の寿命を向上できる。アジテーター35の回転速度を向上でき、塵埃除去性能が向上する。
図20は、実施の形態2の掃除具2Aの側面断面図である。図20は、実施の形態2の掃除具2Aを、図19中のG−G線に相当する位置で切断した断面図である。
本実施の形態2の掃除具2Aは、以下のように構成されている。モーター37の出力軸38の中心すなわち回転軸R2は、アジテーター35の回転軸R1に対して実質的に平行である。図20に示すように、ボディー6の短手方向の視線で見て、モーター37の回転軸R2は、アジテーター35の回転軸R1に対して、斜め上の位置にある。ボディー6は、モーターチャンバ42を備える。モーターチャンバ42は、モーター37を収容する。隔壁41は、モーターチャンバ42とアジテーターチャンバ50との間、及び、モーターチャンバ42と第二吸引チャネル51との間を隔てる。モーター37は、少なくとも部分的に、第二吸引チャネル51の上方に位置する。
本実施の形態2であれば、ボディー6を水平な被清掃面上に置いたとき、以下の位置関係になる。モーター37の出力軸38の中心位置、すなわち回転軸R2の位置は、アジテーター35の回転軸R1の位置より高い。また、モーター37の下端の位置は、アジテーター35の上端の位置より低い。モーター37の回転軸R2は、アジテーター35の回転軸R1に対して斜め上の位置になる。このような構成により、以下の効果が得られる。ボディー6の短手方向及び高さ方向の小型化が可能となる。
実施の形態3.
次に、図21を参照して、実施の形態3について説明するが、上述した実施の形態との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分については説明を簡略化または省略する。図21は、実施の形態3の掃除具2Bの下面図である。
図21に示すように、本実施の形態3の掃除具2Bは、第一アジテーター35a、第二アジテーター35b、第一モーター37a、及び第二モーター37bを備える。第一アジテーター35a及び第二アジテーター35bは、それらの回転軸R1が同軸上にある。第一アジテーター35aの位置は、遠位端62より近位端61に近い。第二アジテーター35bの位置は、近位端61より遠位端62に近い。
第一アジテーター35aは、第一モーター37aにより駆動される。第二アジテーター35bは、第二モーター37bにより駆動される。第一モーター37aの回転軸R2と、第二モーター37bの回転軸R3とは、同軸上にあってもよいし、同軸上になくてもよい。第一モーター37a及び第二モーター37bの少なくとも一方は、正逆両方向に回転可能である。
制御部90は、第一角度αが基準角度に比べて大きい状態であるか否かを検知可能なセンサ95の信号に応じて、第一モーター37a及び第二モーター37bを以下のように制御する。第一角度αが基準角度に比べて小さいときには、第一アジテーター35a及び第二アジテーター35bを同方向に回転させる。以下の説明では、このときの第一アジテーター35a及び第二アジテーター35bの回転方向を正回転とする。
第一角度αが基準角度に比べて大きいときには、制御部90は、第一モーター37a及び第二モーター37bのいずれか一方を逆回転させることで、第一アジテーター35a及び第二アジテーター35bのいずれか一方を逆回転させる。すなわち、第一角度αが基準角度に比べて大きいときには、第一アジテーター35a及び第二アジテーター35bを互いに反対方向に回転させる。
本実施の形態であれば、第一角度αが基準角度に比べて大きいとき、すなわちI字形態とみなせるときに、第一アジテーター35a及び第二アジテーター35bが互いに反対方向に回転することで、以下の効果が得られる。第一アジテーター35aによる自走力と、第二アジテーター35bによる自走力とが反対方向になることで、両者が相殺される。このため、I字形態のときに、使用者の意図する方向と異なる方向にボディー6が動くことを確実に抑制でき、操作性が向上する。
第二アジテーター35bの軸方向の長さL2は、第一アジテーター35aの軸方向の長さL1より短いことが望ましい。第一アジテーター35aの位置は、ジョイント7に近い。このため、第一アジテーター35aによる自走力が作用してもボディー6は比較的動きにくい。これに対し、第二アジテーター35bの位置は、ジョイント7から遠い。このため、第二アジテーター35bによる自走力が作用すると、ボディー6がジョイント7を中心にして回転し、ボディー6が斜めの方向を向きやすい。第二アジテーター35bの軸方向の長さL2を、第一アジテーター35aの軸方向の長さL1より短くすることで、第二アジテーター35bによる自走力を小さくできる。よって、第二アジテーター35bの自走力によってボディー6が斜めの方向を向くことをより確実に抑制できる。ただし、このような構成に限らず、第二アジテーター35bの軸方向の長さL2は、第一アジテーター35aの軸方向の長さL1に等しくてもよい。
第一角度αが基準角度に比べて大きいとき、第一アジテーター35aが正回転し第二アジテーター35bが逆回転することが望ましい。一般に、掃除具は、アジテーターが正回転するときに高い吸込性能を発揮するように設計されている。アジテーターが逆回転するときは、アジテーターが正回転するときに比べて、吸込性能が低くなる。第一角度αが基準角度に比べて大きいときに、長さが長い第一アジテーター35aが正回転し、長さが短い第二アジテーター35bが逆回転することで、吸込性能の低下を少なくできる。
ただし、上記の構成に限らず、第一角度αが基準角度に比べて大きいとき、第二アジテーター35bが正回転し第一アジテーター35aが逆回転してもよい。これにより、以下の効果が得られる。第一角度αを検知するためのセンサ95は、ジョイント7側に設置されると考えられる。第二アジテーター35bを逆回転させない場合には、ジョイント7から遠い位置にある第二モーター37bと、ジョイント7側にあるセンサ95とを導線で結ぶ必要がない。近位端61に近い第一アジテーター35aを駆動する第一モーター37aを正逆両方向に回転可能にすることで、ジョイント7側にあるセンサ95と第一モーター37aとの間を接続する導線の距離を短くでき、省スペース化が可能となる。
本実施の形態では、第一モーター37a及び第二モーター37bを、第一アジテーター35a及び第二アジテーター35bの斜め上に配置してもよい。その場合、省スペース化が可能となる。また、近位端61側の第一モーター37aの下を風路にしてもよい。その場合、塵埃を持ち上げることなく、吸引ができる。このため、近位端61側に第一モーター37aを配置することが、吸引性能の低下を招かないようにできる。
実施の形態4.
次に、図22を参照して、実施の形態4について説明するが、上述した実施の形態との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分については説明を簡略化または省略する。図22は、実施の形態4の電気掃除機1Aの斜視図である。図22に示す電気掃除機1Aは、例えば、コードレスタイプの充電式の電気掃除機である。本実施の形態4の電気掃除機1Aは、掃除具2及び掃除機本体5Aを備える。
本実施の形態4の掃除具2の構造は、実施の形態1の掃除具2と同一または類似である。本実施の形態4の電気掃除機1Aは、実施の形態1の掃除具2と同一または類似の掃除具に代えて、実施の形態2の掃除具2Aまたは実施の形態3の掃除具2Bと同一または類似の掃除具を備えてもよい。
掃除機本体5Aの外形は、円柱状である。掃除機本体5Aは、収容ユニット14A及び集塵ユニット15Aを備える。収容ユニット14A及び集塵ユニット15Aの外形は、円柱状である。集塵ユニット15Aは、収容ユニット14Aの下側に、着脱可能に取り付けられる。ハンドル9は、掃除機本体5の上部に連結される。図22中で、ハンドル9の中心軸及び掃除機本体5Aの中心軸は、一点鎖線で示されている。ハンドル9の中心軸は、掃除機本体5Aの中心軸と一致してもよい。ハンドル9の中心軸は、収容ユニット14A及び集塵ユニット15Aの中心軸と一致してもよい。
本実施の形態4において、掃除具2の吸引パイプ8は、吸引ホース4を介さずに掃除機本体5Aに接続されている。吸引パイプ8は、集塵ユニット15Aの内部に通じている。吸引パイプ8の中心軸は、掃除機本体5Aの中心軸に対して平行でもよい。使用者は、電気掃除機1Aを使用する際に、ハンドル9を把持することで掃除機本体5Aの重量を支えながら掃除を行う。本実施の形態4の電気掃除機1Aは、収容ユニット14Aの内部に収容された電動送風機24Aを備える。電動送風機24Aの中心軸は、収容ユニット14Aの中心軸と一致してもよい。
実施の形態4において、ハンドル9は、中心軸が電動送風機24Aの中心軸に一致する棒状の部位を有する。ハンドル9の全体的な形状は、中心軸が電動送風機24Aの中心軸に一致する棒状の形状でもよい。これらの構成によれば、以下の効果が得られる。使用者が把持する位置と掃除機本体5Aの重心との距離が近くなる。これにより、特に、ハンドル9をひねる場合に必要な力が小さくて済む。その結果、電気掃除機1Aの使用時に使用者の手に掛かる負荷を軽減し、操作性を更に向上させることができる。
実施の形態4において、ハンドル9は、長手方向の中心における断面積よりも先端部の断面積の方が大きくなるように形成されている。このため、ボディー6を持ち上げる際等に、使用者の手がハンドル9から滑ったとしても、径が相対的に太い先端部が抜止めの役割を果たす。その結果、電気掃除機1の使用時にハンドル9が手から滑落することを抑制し、操作性を更に向上させることができる。
実施の形態1から4では、吸引掃除機用の掃除具を例に本発明を説明した。本発明の掃除具は、吸引掃除機用の掃除具に限定されない。例えば、本発明の掃除具は、アジテーターの回転によって被清掃面を磨き掃除する掃除具にも適用可能である。その場合、アジテーターの表面に、繊維品あるいはスポンジなどを保持してもよい。