JP6201595B2 - 2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンの製造方法 - Google Patents

2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンの製造方法 Download PDF

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本発明は、2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンの改良された製造方法に関する。
2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンは、導電性高分子のモノマーとして広く用いられている。
一般に、2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンを製造する方法としては、第一工程で3,4−ジヒドロキシチオフェン−2,5−ジカルボン酸エステルとエピブロモヒドリンとを塩基の存在下で環化縮合反応して2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジアルキルエステルとし、次いで第二工程で加水分解を行って2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸とし、第三工程で銅とキノリンを触媒とした反応で脱炭酸して目的物を得ている(例えば、特許文献1参照)。その際、特に第一工程の6員環化合物を溶媒抽出と水洗後にカラムで精製単離し、その後に加水分解することによって、高純度なジカルボン酸化合物としてから脱炭酸反応を行っている。そのため、第一工程から第三工程までを含めた総合収率が低くなっていた。
また、エピブロモヒドリンを用いた他の反応系でも同じように、第一工程において溶媒抽出と水洗後に再結晶法で精製した2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジエステルを単離してから第二工程以降の反応を行うため操作が煩雑であった(例えば、非特許文献1参照)。
一方、第一工程で2,3−ジブロモ−1−プロパノールとの反応で環化縮合を行う方法も報告されている(例えば、非特許文献2参照)。しかしながら、収率は40%と低く、工業的な製造方法としては未だ不十分であった。
米国特許第5111327号公報
Synthetic Metals 93 (1999)33−41 Electrochemistry Communications 2(2000)72−76
一般に、過剰なエピブロモヒドリン、又は2,3−ジブロモ−1−プロパノールを用いたアルカリ触媒の反応では、アルカリ分解や重縮合等による多量の不純物が副生することが予想される。そして、不純物を除去せずに続けて加水分解反応を行い、得られた粗製の2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸を用いて銅触媒での脱炭酸反応を行うことは、精製品を用いた反応でも低収率となる可能性があることから、更なる困難が予想される。
2,5−ジカルボエトキシ−3,4−ジヒドロキシチオフェンを原料とした製造方法では、中間体の煩雑な精製を行うことなく第三工程までの反応を行い、高収率で2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンを得た例はこれまで報告されていない。
また、第一工程目の環化縮合反応に関して、2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジアルキルエステル以外の反応生成物について検討した例もこれまで報告されていない。
本発明は、前記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンの製造において、煩雑な精製を行うことなく、2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンを高収率で得ることができる製造方法を提供することである。
本発明者らは前記の課題を解決するために鋭意検討した結果、3,4−ジヒドロキシチオフェン−2,5−ジカルボン酸エステルと、ジハロゲン化アルカノールとを弱塩基の存在下で反応させ、2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジアルキルエステルを得、加水分解反応と脱炭酸反応を行うことで、収率良く2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下に示すとおりの2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンの製造方法である。
[1]下記式(1)
Figure 0006201595
[上記式(1)中、Rは各々独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
で表される3,4−ジヒドロキシチオフェン−2,5−ジカルボン酸ジアルキルエステルと、下記式(2)
Figure 0006201595
[上記式(2)中、Xは各々独立して、Cl又はBrを表す。]
で表されるジハロゲン化プロパノールとを、弱塩基の存在下に反応させ、下記式(3)
Figure 0006201595
[上記式(3)中、Rは各々独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
で表される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジアルキルエステル及び下記式(4)
Figure 0006201595
で表される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸との混合物を得る環化縮合工程、当該混合物を強塩基で加水分解して、上記式(4)で表される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸を得る加水分解工程、並びに上記式(4)で表される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸を、銅触媒の存在下で脱炭酸して下記式(5)
Figure 0006201595
で表される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンを得る脱炭酸工程を含む、2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンの製造方法。
[2]環化縮合工程に用いられる弱塩基が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、又は炭酸カルシウムであることを特徴とする上記[1]に記載の製造方法。
[3]脱炭酸工程に用いられる銅触媒が、酸化銅であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の製造方法。
本発明の製造方法に従えば、上記式(5)で表される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンを煩雑な精製を行うことなく高収率で得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、上記式(5)で表される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンの製造方法であって、
上記式(1)で表される3,4−ジヒドロキシチオフェン−2,5−ジカルボン酸ジアルキルエステルと、上記式(2)で表されるジハロゲン化プロパノールとを、弱塩基の存在下に反応させ、上記式(3)で表される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジアルキルエステル及び上記式(4)で表される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸との混合物を得る環化縮合工程、
当該混合物を強塩基で加水分解して、上記式(4)で表される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸を得る加水分解工程、並びに
上記式(4)で表される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸を、銅触媒の存在下で脱炭酸して上記式(5)で表される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンを得る脱炭酸工程を含むことをその特徴とする。
<第一工程、環化縮合反応>
上記式(1)で表される3,4−ジヒドロキシチオフェン−2,5−ジカルボン酸エステルにおいて、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。
炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基を挙げることができる。それらの中でも、工業的な入手可能性と経済性から、メチル基、又はエチル基が特に好ましい。
上記式(2)で表されるジハロゲン化プロパノール化合物において、用いられるハロゲン原子はクロロ又はブロモである。すなわち、Xは各々独立して、Cl又はBrを表す。
上記式(3)で表される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジアルキルエステルにおいて、Rは各々独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基を挙げることができる。
上記式(3)で表される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジアルキルエステルとしては、具体的には、2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジメチルエステル、2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジエチルエステル、2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジプロピルエステル、2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジブチルエステル等が例示される。
上記式(2)で表されるジハロゲン化アルカノール化合物の使用量は、特に限定するものではないが、上記式(1)で示される3,4−ジヒドロキシチオフェン−2,5−ジカルボン酸エステル1.0モル当たり、1〜10モルの範囲であることが好ましく、更に好ましくは1〜5モルの範囲である。上記式(2)で表されるジハロゲン化アルカノール化合物の使用量を、上記式(1)で示される3,4−ジヒドロキシチオフェン−2,5−ジカルボン酸エステル1モル当たり、1モル以上とすることで反応を十分に完結させることができるが、10モルを超える量では副生成物が増加したり、余剰なジハロゲン化アルカノール化合物の回収を行う必要がある。
本発明の環化縮合反応は、不活性溶媒の存在下で行うことも可能である。不活性溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば、ジメチルスルホキサイド、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、2−(エトキシエトキシ)エタノール、DMF、HMPA等を挙げることができる。このうち、ジメチルスルホキサイド、DMF、2−(エトキシエトキシ)エタノールは、極性溶媒であり、反応溶媒として特に好ましい。本発明においては、これらの不活性溶媒を単独で又は任意の割合で混合して使用しても良い。
環化縮合反応での反応温度として好適な温度は50〜200℃の範囲であるが、更に好ましくは60〜180℃の範囲である。反応温度を50℃以上とすることで、十分な反応速度が得られるが、200℃を超える高温では、収率が低下するおそれがある。
本発明において環化縮合反応に用いられる塩基は、脱ハロゲン化試剤として働き、一般的には、Williamson合成に用いられる弱塩基を使用することができる。
弱塩基としては、特に限定するものではないが、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩、炭酸水素カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸水素塩が挙げられる。これらのうち、工業的には経済性の面で炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムが好ましい。本発明においては、これらの弱塩基を単独で又は任意の割合で混合して使用しても良い。
本発明において、得られた上記式(3)で表される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジアルキルエステルの処理及び精製法は特に限定するものではないが、例えば、上記した環化縮合反応後、得られた2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジアルキルエステルの粗生成物を含む反応液を、濃縮し、抽出し、ろ過剤の存在下、又はろ過剤を用いずに塩ろ過後、再濃縮を行うことで、特に精製することなく目的物を得ることができる。
<第二工程、加水分解反応>
本発明の加水分解反応は、水の他に不活性溶媒の存在下で行うことも可能である。不活性溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロルアルコール、n−ブタノール、ジメチルスルホキサイド、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、DMF、HMPA等を挙げることができる。このうち、メタノール、エタノールが反応溶媒として特に好ましい。本発明においては、水と共にこれらの不活性溶媒を単独で又は任意の割合で混合して使用しても良い。
加水分解反応での反応温度として好適な温度は50〜200℃の範囲であるが、更に好ましくは60〜100℃、又は、60〜溶媒の沸点以下での範囲である。反応温度を50℃以上とすることで、十分な反応速度が得られるが、100℃を超える高温では、収率が低下するおそれがある。
本発明において加水分解反応に用いられる塩基は、通常用いられる強塩基を使用することができる。
強塩基としては、特に限定するものではないが、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、等が挙げられる。これらのうち、工業的には経済性の面で水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。本発明においては、これらの強塩基を単独で又は任意の割合で混合して使用しても良い。
加水分解反応での強塩基の使用量は、特に限定するものではないが、上記式(3)で示される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジアルキルエステル1.0モル当たり、2〜20モルの範囲であることが好ましく、更に好ましくは5〜10モルの範囲である。強塩基の使用量を、上記式(3)で示される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジアルキルエステル1モル当たり、2モル以上とすることで反応を十分に完結させることができるが、10モルを超える量でも特に効果は変わらず、余剰なアルカリの使用は中和時に余分な酸が必要となり経済性の面で好ましくない。
本発明において、得られた上記式(4)で表される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸の処理及び精製法は特に限定するものではないが、例えば、上記した条件で加水分解反応後、濃縮して得られた2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸(4)の粗生成物を10℃以下の冷却状態を保ちながら濃塩酸を添加した後、同様の温度を保ちながら撹拌を続け、沈殿としてろ過して取り上げることができる。得られた沈殿は特にそれ以上の精製をせずに乾燥する。
<第三工程、脱炭酸反応>
本発明の脱炭酸反応は、高沸点な不活性溶媒の存在下で行うことができる。高沸点な不活性溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば、ジメチルスルホキサイド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、HMPA、エチレングリコール、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール400等を挙げることができる。このうち、DMFが反応溶媒として特に好ましい。本発明においては、これらの不活性溶媒を単独で又は任意の割合で混合して使用しても良い。
脱炭酸反応での反応温度として好適な温度は80〜200℃の範囲であるが、更に好ましくは80〜150℃での範囲である。反応温度を80℃以上とすることで、十分な反応速度が得られるが、200℃を超える高温では、収率が低下するおそれがある。
本発明において脱炭酸反応に用いられる銅触媒は、特に限定するものではないが、例えば、銅粉、酸化銅(I)、酸化銅(II)、水酸化銅、硫酸銅、塩化銅(I)、塩化銅(II)、臭化銅(I)、臭化銅(II)、酢酸銅(I)、酢酸銅(II)、炭酸銅等を使用することができる。これらのうち、工業的には取り扱いと経済性の面で酸化銅(II)が好ましい。本発明においては、これらの銅触媒を単独で又は任意の割合で混合して使用しても良い。
脱炭酸反応での銅触媒の使用量は、特に限定するものではないが、上記式(4)で示される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸1g当たり、0.001〜2.0gの範囲であることが好ましく、更に好ましくは0.01〜1.0gの範囲である。銅触媒の使用量を、上記式(4)で示される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸1g当たり、0.001g以上とすることで反応を十分に完結させることができるが、2.0gを超える量でも特に効果は変わらず、経済性の面で好ましくない。
本発明において、得られた上記式(5)で表される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンの処理及び精製法は特に限定するものではないが、例えば、上記した条件で脱炭酸反応後、濃縮して得られた2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン(5)の粗生物を有機溶媒に抽出し、希塩酸及び食塩水で洗浄し、濃縮後、シリカゲルカラムを用いて精製して取り上げることができる。
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。なお、本実施例における生成物の収率は、ガスクロマトグラフィー及び液体クロマトグラフィーによる内部標準法及びピーク面積と単離収量から推定した。
化合物のH−NMR及び13C−NMRの測定には、Varian社製、Gemini−200を使用した。
化合物のガスクロマトグラフィーの測定には、島津製作所製、GC−17Aを用いた。[測定条件:キャピラリーカラム(GL Science社製、NB−5)、昇温、検出器FID]。
また、化合物の液体クロマトグラフィーの測定には、東ソー製高速液体クロマトグラフィーシステムを用いた。[測定条件:カラム(東ソー製、TSKgel ODS−120T)、40℃、検出器(東ソー製UV−8020)、溶媒(アセトニトリル/pH2リン酸緩衝液=1/1)]。
更にGC−MS測定には、日本電子社製、JMS−K9質量分析計を用いた。
[測定条件:キャピラリーカラム(アジレント・テクノロジー社製、DB−5MS)、昇温、検出器FID]。
合成例.
a)2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジメチルエステルの合成.
撹拌機、温度計、冷却管を備えた1リットルの三つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、3,4−ジヒドロキシチオフェン−2,5−ジカルボン酸ジメチルエステル69.6g(299.7mmol)、2,3−ジブロモプロパノール85.1g(390.6mmol)、炭酸カリウム82.9g(599.8mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド750.7gを仕込み、80℃で24時間加熱撹拌した。更に、2,3−ジブロモプロパノール65.4g(300.2mmol)を追加して、8時間加熱撹拌を継続した。反応終了後、反応液のガスクロマトグラフィー分析を行ったところ90.3面積%の主ピークを含む反応液が得られた。反応液を濃縮し、抽出、ろ過、再濃縮後、カラムクロマトグラフィーで粗製品86.6gを得た。再結晶を行って主ピークが90%以上の成分とする20.9g(65.3mmol、収率21.8%)の淡褐色粉末を単離した。得られた化合物は、H−NMR及び13C−NMR測定の結果、目的化合物である2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジメチルエステルであることを確認した。
H−NMR(200MHz,CDCl)3.61(1H,t)、3.86(3H,s)、3.88(3H,s)、3.90−3.95(2H,m)、4.25(1H,dd)、4.31−4.46(1H,m)、4.50(1H,dd)。
13C−NMR(50MHz,CDCl)52.24、60.78、65.90、74.79、111.02、111.72、144.44、145.16、161.02、161.24。
尚、再結晶前の粗製品中に含まれていた2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジメチルエステルの量はガスクロマトグラフィーでの分析の結果、55.6g(192.8mmol、収率、64.3%)であった。
同様に、30mlの簡易反応缶に、窒素雰囲気下で、3,4−ジヒドロキシチオフェン−2,5−ジカルボン酸ジメチルエステル0.5g(2.0mmol)、2,3−ジブロモプロパノール0.6g(2.6mmol)、炭酸カリウム0.6g(4.0mmol)、及びジメチルスルホキサイド5.0gを仕込み、80℃で24時間加熱撹拌した。更に、2,3−ジブロモプロパノール0.4g(1.9mmol)を追加して、8時間加熱撹拌を継続した。反応終了後、反応液のガスクロマトグラフィー分析を行ったところ2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジメチルエステルの収量は0.4g(1.5mmol、収率、74.4%)であった。
更に、30mlの簡易反応缶に、窒素雰囲気下で、3,4−ジヒドロキシチオフェン−2,5−ジカルボン酸ジメチルエステル0.5g(2.0mmol)、2,3−ジブロモプロパノール0.6g(2.6mmol)、炭酸カリウム0.6g(4.0mmol)、及び2−(2−エトキシエトキシ)エタノール5.0gを仕込み、80℃で24時間加熱撹拌した。更に、2,3−ジブロモプロパノール0.4g(1.9mmol)を追加して、8時間加熱撹拌を継続した。反応終了後、反応液のガスクロマトグラフィー分析を行ったところ2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジメチルエステルの収量は0.4g(1.4mmol、収率、71.7%)であった。
一方、30mlの簡易反応缶に、窒素雰囲気下で、3,4−ジヒドロキシチオフェン−2,5−ジカルボン酸ジエチルエステル0.5g(2.0mmol)、2,3−ジクロロプロパノール0.4g(2.6mmol)、炭酸カリウム0.6g(4.0mmol)、ヨウ化カリウム6.6mg(0.04mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド5.0gを仕込み、106℃で24時間加熱撹拌した。更に、2,3−ジクロロプロパノール0.3g(1.9mmol)を追加して、8時間加熱撹拌を継続した。反応終了後、反応液を処理して、生成物が目的化合物である2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジエチルエステルであることを確認した。
H−NMR(200MHz,CDCl)1.36(6H,t,J=5.8Hz)、3.42(1H,bs)、3.93−3.96(2H,m)、4.21−4.45(6H,m)、4.49(1H,dd,J=9.0Hz)。
13C−NMR(50MHz,CDCl)14.23、60.85、61.31、65.90、74.68、111.48、144.52、145.08、160.68。
尚、2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジエチルエステルの収量は0.4g(1.1mmol、収率、56.2%)であった。
b)2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸の合成.
撹拌機、温度計、冷却管を備えた1リットルの三つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、a)の反応で得られた2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジメチルエステル16.0g(推定純分50.0mmol)にエタノール153.9gを加えて溶かし、次いで水463.1gに97%の水酸化ナトリウム10.3g(249.8mmol)を溶かした水溶液を仕込み、87℃に昇温後、15時間還流を継続した。反応終了後、反応液のガスクロマトグラフィー分析を行ったところ、2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジメチルエステルのピークは消失していた。また、液体クロマトグラフィーで分析したところ、やはり、2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジメチルエステルのピークは消失し、他の単一のピークが観測された。反応液を濃縮し、5℃以下に冷却して、塩酸で酸性にしたところ、淡褐色の沈殿が晶析した。晶析品をろ過、水洗、乾燥したところ、淡褐色粉末が12.4g得られた。得られた化合物は、液体クロマトグラフィー分析で単一ピークを示し、H−NMR及び13C−NMR測定の結果、目的化合物である2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸であることを確認した。
H−NMR(200MHz,CDCl)3.67(1H,dd)、3.696(1H,dd)、4.21(1H,dd)、4.33−4.49(2H,m)。
13C−NMR(50MHz,CDCl)59.24、65.32、74.03、111.32、144.31、144.52、161.45。
尚、得られた2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸の収率は95.3%(47.7mmol)であった。
c)2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンの合成.
撹拌機、温度計、冷却管を備えた300ミリリットルの三つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、b)の反応で得られた2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸13.1g(推定純分50.0mmol)に酸化銅(II)0.8gを加え、N,N−ジメチルホルムアミド262.1gを仕込み、139℃に昇温後、20時間加熱撹拌を継続した。反応終了後、液体クロマトグラフィーで分析したところ、2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジメチルエステルのピークは消失していた。また、反応液についてガスクロマトグラフィー分析を行ったところ、単一のピークが観測された。反応液を濃縮し、25℃以下に冷却して、酢酸エチル200mlと飽和食塩水100mlを加えてから一旦ろ過し、分液後に水層から酢酸エチルで再抽出した液を先の抽出液と一緒にして濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィーで精製し、淡黄色の固体9.0gを得た。得られた化合物は、ガスクロマトグラフィー分析で主成分が96.8%であり、H−NMR、13C−NMR、並びにGC−MS測定の結果、目的化合物である2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンであることを確認した。
H−NMR(200MHz,CDCl)2.23(1H,t)、3.78−3.91(2H,m)、4.09(1H,dd)、4.19−4.27(2H,m)、6.34(2H,d)。
13C−NMR(50MHz,CDCl)61.54、65.71、74.04、99.83、99.85、141.39。
GC−MS(m/e)172、141、127、116。
実施例1.
<第一工程、環化縮合反応>
撹拌機、温度計、冷却管を備えた5リットルの三つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、3,4−ジヒドロキシチオフェン−2,5−ジカルボン酸ジメチルエステル92.8g(399.6mmol)、2,3−ジブロモプロパノール200.9g(921.9mmol)、炭酸カリウム110.6g(800.1mmol)、及びジメチルスルホキシド909.3gを仕込み、80℃で24時間加熱撹拌を継続した。反応終了後、得られた反応液を濃縮し、ジクロロメタン−メタノール混液で希釈し、沈殿した塩をろ過後、再濃縮をしながらエタノール650.1gで溶媒置換を行って黒褐色のスラリー溶液877.4gを得た。このスラリー溶液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、目的化合物である2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジメチルエステルを63.3%のピーク面積で含んでおり、内部標準法での定量の結果、2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジメチルエステルの収量は91.4g(317.1mmol、収率79.3%)であった。更に、加水分解まで進んだ2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸も14.8%のピーク面積で含まれていることが判明し、内部標準法での定量の結果、2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸の収量は5.1g(19.5mmol、収率4.9%)であることが分かった。従って、合計の収率は、84.2%であった。
<第二工程、加水分解反応−1>
撹拌機、温度計、冷却管を備えた2リットルの三つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジメチルエステル45.7g(158.6mmol)と2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸2.5g(9.6mmol)の混合物を含む、実施例1で得られたエタノールのスラリー液438.7gに、96%の水酸化ナトリウム58.4g(1.4mol)を水974.5gに溶かして加え、加熱して還流を2時間継続した。反応終了後、得られた反応液を濃縮し、水193.0gで希釈し、3℃まで冷却後、35%の塩酸321.2g(3.1mol)を加えて2時間撹拌し、淡褐色の沈殿を晶析させた。沈殿をろ過後、水洗、乾燥したところ、35.1gの淡褐色固体を得た。この褐色固体を液体クロマトグラフィーで分析した結果、目的化合物である2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸の単一ピークが確認でき、内部標準法での定量の結果、2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸の収率は80.2%(134.9mmol)であった。
<第三工程、脱炭酸反応−1>
撹拌機、温度計、冷却管を備えた1リットルの三つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、実施例2の加水分解反応−1で得られた2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸34.0g(130.7mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド663.8gの溶液に酸化銅(II)2.1g(26.2mmol)を加えて昇温し、加熱撹拌を16時間継続した。反応終了後、得られた反応液を濃縮し、酢酸エチル750mlで溶解後、ろ過した。得られたろ液は35%の塩酸4.1g(39.1mmol)と飽和食塩水20mlで洗浄後、更に、350mlと25mlの飽和食塩水で洗浄し、濃縮、シリカゲル原点処理後、再濃縮して、透明性の淡橙色の固体20.5gを得た。この淡橙色の固体をガスクロマトグラフィーで分析した結果、目的化合物である2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンのピークが確認でき、定量の結果、2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンの含有量は19.4g(112.5mmol、収率は86.1%)であった。以上の結果、第一工程からから第三工程までの総合収率は、58.1%と高かった。
実施例2.
<第二工程、加水分解反応−2>
実施例1の加水分解反応と同様に、撹拌機、温度計、冷却管を備えた2リットルの三つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、実施例1で得られた2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジメチルエステル45.7g(158.6mmol)と2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸2.5g(9.6mmol)の混合物の混合物を含む、実施例1で得られたエタノールのスラリー液の残り半分438.7gに、96%の水酸化ナトリウム58.5g(1.4mol)を水974.6gに溶かして加え、加熱して還流を2時間継続した。反応終了後、得られた反応液を濃縮し、水193.0gで希釈し、3℃まで冷却後、35%の塩酸321.2g(3.1mol)を加えて5時間撹拌し、淡褐色の沈殿を晶析させた。沈殿をろ過後、水洗、乾燥したところ、36.6gの淡褐色固体を得た。この褐色固体を液体クロマトグラフィーで分析した結果、目的化合物である2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸の単一ピークが確認でき、内部標準法での定量の結果、2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸の収率は83.7%(140.7mmol)であった。
<第三工程、脱炭酸反応−2>
実施例1の脱炭酸反応と上記反応と同様に、撹拌機、温度計、冷却管を備えた1リットルの三つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、実施例2の加水分解反応−2で得られた2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸36.0g(138.3mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド703.3gの溶液に酸化銅(II)2.2g(27.7mmol)を加えて昇温し、加熱撹拌を8時間継続した。反応終了後、得られた反応液を濃縮し、酢酸エチル750mlで溶解後、ろ過した。得られたろ液は35%の塩酸4.1g(39.1mmol)と飽和食塩水20mlで洗浄後、更に、300mlと130mlの飽和食塩水で洗浄し、濃縮、シリカゲル原点処理後、再濃縮して、透明性の淡橙色の固体20.4gを得た。この淡橙色の固体をガスクロマトグラフィーで分析した結果、目的化合物である2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンのピークが確認でき、定量の結果、2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンの収率は81.0%(112.1mmol)であった。以上の結果、第一工程から第三工程までの総合収率は、57.1%と高かった。
本願発明の2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン製造方法は、収率を初めとする効率が良く、導電性高分子のモノマー製造方法として広範に使用される可能性を有する。

Claims (2)

  1. 下記式(1)
    Figure 0006201595
    [上記式(1)中、Rは各々独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
    で表される3,4−ジヒドロキシチオフェン−2,5−ジカルボン酸ジアルキルエステルと、下記式(2)
    Figure 0006201595
    [上記式(2)中、Xは各々独立して、Cl又はBrを表す。]
    で表されるジハロゲン化プロパノールとを、弱塩基の存在下に反応させ、下記式(3)
    Figure 0006201595
    [上記式(3)中、Rは各々独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
    で表される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジアルキルエステル及び下記式(4)
    Figure 0006201595
    で表される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸との混合物を得る環化縮合工程、当該混合物を強塩基で加水分解して、上記式(4)で表される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸を得る加水分解工程、並びに上記式(4)で表される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸を、酸化銅の存在下で脱炭酸して下記式(5)
    Figure 0006201595
    で表される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンを得る脱炭酸工程を含む、2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンの製造方法。
  2. 環化縮合工程に用いられる弱塩基が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、又は炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
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