以下、本発明の各種実施形態ならびに各種変形例を図面に基づいて説明する。図面においては同様な構成および機能を有する部分については同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。なお、図1から図57には、移動機構21,21A〜21Oにおいて移動体211,211E〜211J,211L,211Mが移動する方向(移動方向とも言う)を±X方向とする右手系のXYZ座標系が付されている。
<(1)第1実施形態>
<(1−1)搬送装置>
図1は、第1実施形態に係る搬送装置1の外観を模式的に示す斜視図であり、図2は、第1実施形態に係る搬送装置1の外観を模式的に示す平面図である。図1および図2で示されるように、搬送装置1は、アクチュエーター2、保持機構3、供給装置4および受付部5を備えている。
アクチュエーター2は、主に移動機構21、駆動源22および制御部23を備えている。
移動機構21は、移動体211、駆動機構212、第1支持部213、第2支持部214および台板215を備えている。
移動体211は、例えば、略直方体状のスライダーテーブル等であれば良い。
駆動機構212は、予め設定されている移動経路Tr1に沿って移動体211を移動させる。本実施形態では、移動経路Tr1は、X方向に伸びる直線状の領域である。駆動機構212は、例えば、駆動ローラーR1、従動ローラーR2、第1および第2回転軸Rs1,Rs2および搬送用ベルトBt1を備えている。この場合、例えば、X方向に離れて配置されている駆動ローラーR1と従動ローラーR2との間に円環状に架設されるように搬送用ベルトBt1が掛け回されている。具体的には、円環状の搬送用ベルトBt1の内周面に接するように駆動ローラーR1と従動ローラーR2とが配置されている。そして、搬送用ベルトBt1にその延在方向に張力が付与された状態で、搬送用ベルトBt1が、駆動ローラーR1の外周面から従動ローラーR2の外周面にかけて架設され、該従動ローラーR2の外周面から駆動ローラーR1の外周面にかけて架設されている。
また、搬送用ベルトBt1の予め設定された位置に移動体211が取り付けられている。ここで、予め設定された位置は、搬送用ベルトBt1の外周面上の位置であれば良い。また、駆動ローラーR1は、Y方向に延在する第1回転軸Rs1を介して第1支持部213に回転自在に取り付けられている。また、従動ローラーR2は、Y方向に延在する第2回転軸Rs2を介して第2支持部214に回動自在に取り付けられている。そして、第1支持部213および第2支持部214は、例えば、台板215上のX方向に相互に離れた位置に配されている。
第1支持部213は、例えば、移動体211の移動経路Tr1上の一端部およびその近傍を少なくとも挟むように配されていれば良い。本実施形態では、例えば、移動経路Tr1の一端部が、移動経路Tr1の+X方向の端部であれば良い。ここでは、第1支持部213は、XZ平面に沿った盤面を有し且つ移動経路Tr1を挟んで対向する2つの板状の部分と、該2つの板状の部分の+X方向の端部同士を繋ぎ且つYZ平面に沿った盤面を有する板状の部分とを有している。つまり、第1支持部213は、Z方向から上面視した場合に、−X方向に開口を有するU字状の内壁面および−X方向に開口を有するU字状の外壁面を備えており、−X方向に開口を有するU字状の構成を有している。
また、第1支持部213には、移動経路Tr1をY方向において挟み且つ対向する内壁面上に制動部B1が取り付けられている。具体的には、移動経路Tr1のY方向に制動部B1aが配され、移動経路Tr1の−Y方向に制動部B1bが配されている。このため、駆動機構212によって移動経路Tr1に沿って移動する移動体211が制動部B1aと制動部B1bとの間隙に入り込んだ状態で移動することで、移動体211が第1支持部213に挟まれている予め設定された位置に精度良く停止され得る。
第2支持部214は、例えば、移動体211の移動経路Tr1上の他端部およびその近傍を少なくとも挟むように配されていれば良い。本実施形態では、例えば、移動経路Tr1の他端部は、移動経路Tr1の−X方向の端部であれば良い。ここでは、第2支持部214は、XZ平面に沿った盤面を有し且つ移動経路Tr1を挟んで対向する2つの板状の部分と、該2つの板状の部分の−X方向の端部同士を繋ぎ且つYZ平面に沿った盤面を有する板状の部分とを有している。つまり、第2支持部214は、Z方向から上面視した場合に、X方向に開口を有するU字状の内壁面とX方向に開口を有するU字状の外壁面とを備えており、X方向に開口を有するU字状の構成を有している。
また、第2支持部214には、移動経路Tr1をY方向において挟み且つ対向する内壁面上に制動部B1が取り付けられている。具体的には、移動経路Tr1のY方向に制動部B1cが配され、移動経路Tr1の−Y方向に制動部B1dが配されている。このため、駆動機構212によって移動経路Tr1に沿って移動する移動体211が制動部B1cと制動部B1dとの間隙に入り込んだ状態で移動することで、移動体211が第2支持部214に挟まれている予め設定された位置に精度良く停止され得る。
台板215は、例えば、高い剛性を有する板状の部材であれば良い。なお、本実施形態では、台板215上に駆動源22および制御部23が取り付けられている。
駆動源22は、駆動機構212を駆動させるものである。例えば、駆動源22が、ステッピングモーターであれば、例えば、ステッピングモーターのロッドが、駆動ローラーR1の回転軸Rs1と連結されていれば良い。また、回転軸Rs1がステッピングモーターのロッドであっても良い。ここでは、例えば、制御部23から入力されるパルス信号に応じて、ステッピングモーターが駆動ローラーR1を回転させる。このとき、駆動ローラーR1の回転方向に応じて、駆動ローラーR1に掛け回されている搬送用ベルトBt1が回転する。これにより、搬送用ベルトBt1の回転方向に応じて、搬送用ベルトBt1に取り付けられている移動体211がX方向あるいは−X方向に移動する。なお、このとき、搬送用ベルトBt1の回転に応じて、搬送用ベルトBt1が掛け回されている従動ローラーR2も回転する。
制御部23は、駆動源22および保持機構3の動作を制御する。制御部23は、例えば、プロセッサー、RAMおよびROM等を内蔵しており、駆動源22に対するパルス信号の出力、および保持機構3に対する信号の出力を行う。
保持機構3は、移動体211に取り付けられており、被搬送物9を保持する。保持機構3としては、例えば、アーム31の先端部に2つの爪部を有する把持部32が取り付けられた構成が採用されれば良い。この場合、例えば、制御部23からの信号に応じて、把持部32の2つの爪部が近づく方向に動いた状態(閉状態とも言う)あるいは2つの爪部が離れる方向に動いた状態(開状態とも言う)に設定される。これにより、開状態から閉状態に移行することで被搬送物9が把持部32によって把持され、閉状態から開状態に移行することで被搬送物9が把持部32から開放され得る。
供給装置4は、保持機構3に対して被搬送物9を供給する。供給装置4としては、例えば、ベルトコンベア等の搬送部によって被搬送物9を保持機構3に供給するものであれば良い。この場合、例えば、供給装置4によって被搬送物9が第1支持部213の近傍の予め設定された位置まで搬送される。このとき、保持機構3の把持部32の2つの爪部によって被搬送物9が把持される。次に、把持部32に被搬送物9が把持されている状態で、保持機構3が取り付けられた移動体211が、移動経路Tr1に沿って−X方向に移動されることで、被搬送物9が第2支持部214の近傍の予め設定された位置まで搬送される。そして、把持部32の2つの爪部が開状態とされることで、被搬送物9が把持部32から開放されて、受付部5に被搬送物9が受け渡される。
受付部5は、アクチュエーター2および保持機構3によって搬送されてきた被搬送物9を受け付ける部分である。例えば、受付部5が水平方向の断面が矩形である筒状の部材である場合、予め設定された中空部分に被搬送物9が受け付けられることで、受付部5内に被搬送物9が配置される。
そして、本実施形態では、供給装置4および受付部5の位置に合わせて、移動体211および保持機構3を精度良く停止させることができる。
<(1−2)移動機構>
図3は、本実施形態に係る移動機構21の外観を模式的に示す斜視図であり、図4は、本実施形態に係る移動機構21の外観を模式的に示す平面図である。
図3および図4で示されるように、移動体211の移動経路Tr1は、2つの第1区間Z1および該2つの第1区間Z1とは異なる第2区間Z2を有している。そして、2つの第1区間Z1には、X方向の第1区間Z11と−X方向の第1区間Z12とが含まれている。そして、制動部B1は、第1区間Z1のみに沿って配されている。例えば、制動部B1a,B1bは、第1区間Z11に沿って配されており、制動部B1c,B1dは、第1区間Z12に沿って配されている。
図5は、本実施形態に係る第1区間Z12およびその周辺を模式的に示す斜視図であり、図6は、本実施形態に係る第1区間Z12およびその周辺を模式的に示す平面図である。なお、移動機構21のうちの第1区間Z11およびその周辺における構成と、第1区間Z12およびその周辺における構成は、略同一である。
図5および図6で示されるように、各制動部B1は、L字状のYZ断面を有しており、X方向に予め設定された長さを有している板(L字板とも言う)である。そして、制動部B1aと制動部B1bとは、移動経路Tr1を通り且つXZ平面に略平行な仮想的な面を対称面とした面対称の関係を有している。また、制動部B1cと制動部B1dとは、制動部B1a,B1bと同様に、移動経路Tr1を通り且つXZ平面に略平行な仮想的な面を対称面とした面対称の関係を有している。
制動部B1は、第1区間Z1を移動体211が移動経路Tr1に沿って移動する際に、移動経路Tr1と交差する方向(交差方向とも言う)における移動体211の動きを規制する。ここでは、交差方向には、第1交差方向としてのY方向と、該第1交差方向とは異なる第2交差方向としてのZ方向が含まれる。例えば、制動部B1a,B1bは、第1区間Z11を移動体211が移動経路Tr1に沿って移動する際に、交差方向における移動体211の動きを規制する。また、制動部B1c,B1dは、制動部B1a,B1bと同様に、第1区間Z12を移動体211が移動経路Tr1に沿って移動する際に、交差方向における移動体211の動きを規制する。ここで、交差方向における移動体211の動きには、例えば、±Y方向の動き、±Z方向の動き、X軸に略平行な仮想的な軸を中心とする回転、Y軸に略平行な仮想的な軸を中心とする回転、およびZ軸に略平行な仮想的な軸を中心とする回転等が含まれる。このように、第1区間Z1において移動方向以外における移動体211の動きが規制されることで、移動体211が所望の位置に停止され得る。
また、第1区間Z1を移動経路Tr1に沿って移動する移動体211は、制動部B1に対して摺動する。例えば、第1区間Z11を移動経路Tr1に沿って移動する移動体211は、制動部B1a,B1bに対して摺動し、第1区間Z12を移動経路Tr1に沿って移動する移動体211は、制動部B1c,B1dに対して摺動する。このとき、制動部B1と移動体211との間に摩擦力が生じる。これにより、制動部B1によって、移動体211に対して移動経路Tr1に沿った移動体211の移動方向とは反対方向に制動力が付与される。例えば、第1区間Z11を移動体211が移動している際には、制動部B1a,B1bによって、移動体211に対して制動力が付与される。また、例えば、第1区間Z12を移動体211が移動している際には、制動部B1c,B1dによって、移動体211に対して制動力が付与される。これにより、第1区間Z1では、移動体211の移動方向としての±X方向において該移動体211が停止する位置(停止位置とも言う)が高精度に調整され得る。例えば、本実施形態では、2つの第1区間Z11,Z12において、移動体211の停止位置が精度良く調整され得る。
一方、第2区間Z2では、移動体211と、制動部B1とが接触しないため、移動体211は搬送用ベルトBt1のみによって支持される。このとき、移動体211の移動方向以外の交差方向における位置は、搬送用ベルトBt1が撓む量に応じて変動し得る。
ここで、移動方向としての±X方向以外の方向における移動体211の動きの制動部B1による規制ならびに移動方向としての±X方向における移動体211の停止位置の調整について具体的に説明する。本実施形態では、制動部B1a,B1bの組と、制動部B1c,B1dの組とが同様な構成および機能を有している。このため、ここでは、移動方向としての±X方向以外の方向における制動部B1c,B1dによる移動体211の動きの規制ならびに移動方向としての±X方向における移動体211の停止位置の調整を一例として挙げて説明する。
まず、制動部B1c,B1dによる移動体211の左右方向としての±Y方向における動きの規制について説明する。
図5および図6で示されるように、制動部B1cは、−Y方向に向いた第1面S1a、+Z方向に向いた第2面S2a、ならびに第1面S1aおよび第2面S2aと制動部B1cの+X方向の側面とを接続する面取り部C1aを有している。また、制動部B1dは、Y方向に向いた第1面S1b、+Z方向に向いた第2面S2b、ならびに第1面S1bおよび第2面S2bと制動部B1dの+X方向の側面とを接続する面取り部C1bを有している。また、移動体211は、移動体211の+Y方向を向いた第1側面Ss1、移動体211の−Y方向を向いた第2側面Ss2および移動体211の−X方向を向いた第3側面Ss3を有している。さらに、移動体211は、第1側面Ss1と第3側面Ss3とを接続する面取り部C3aおよび第2側面Ss2と第3側面Ss3とを接続する面取り部C3bを有している。
ここでは、図6で示されるように、制動部B1cの第1面S1aと制動部B1dと第1面S1bとの間隔をW1とし、移動体211のY方向の幅をW2とする。また、制動部B1c,B1dにおける面取り部C1a,C1bのXY断面における曲率半径をρ1とし、移動体211における面取り部C3a,C3bのXY断面における曲率半径をρ3とする。さらに、搬送用ベルトBt1に取り付けられた移動体211が搬送用ベルトBt1の撓みによって左右方向である±Y方向にそれぞれ移動する量(移動量とも言う)をTd1とする。
この場合、移動体211が、制動部B1cと制動部B1dとの間隙に入り込むためには、式(1)の関係を満たす必要がある。
W1>W2 ・・・(1)
図7および図8は、制動部B1cによって移動体211が規制される様子を模式的に示す図である。
制動部B1cと制動部B1dとの間隙のY方向の略中央に移動体211が入り込む場合、図7で示されるように、Y方向における制動部B1cと移動体211との間隙をGa1とすると、式(2)の関係が成立する。
Ga1=(W1−W2)/2 ・・・(2)
また、搬送用ベルトBt1の撓みによる移動体211の左右方向における移動量Td1が0であれば、制動部B1cの面取り部C1aの曲率中心Cp1と、移動体211の面取り部C3aの曲率中心Cp3とのY方向における距離Dc1は、式(3)で示される。
Dc1=Ga1+(ρ1+ρ3) ・・・(3)
ここで、搬送用ベルトBt1の撓みによる左右方向における移動量Td1が0よりも大きければ、曲率中心Cp1と曲率中心Cp3とのY方向における距離Dc1’は、式(4)で示される。
Dc1’=Ga1+(ρ1+ρ3)−Td1=Dc1−Td1 ・・・(4)
また、図8で示されるように、制動部B1cの面取り部C1aと移動体211の面取り部C3aとが接触する際における曲率中心Cp1と曲率中心Cp3との距離Dr1は、式(5)で示される。
Dr1=ρ1+ρ3 ・・・(5)
このとき、曲率中心Cp1と曲率中心Cp3とを仮想的に結ぶ直線と、移動体211の移動方向としての−X方向に仮想的に伸びる直線とが成す角度θは、式(6)で示される。
θ=sin−1(Dc1’/Dr1) ・・・(6)
ここで、角度θが45°以上であれば、制動部B1cと制動部B1dとの間隙に移動体211が円滑に入り込み得る。そして、第1区間Z1では、左右方向である±Y方向にそれぞれ移動体211が移動する量、すなわち制動部B1cによって左右方向における移動体211の動きが許容される量(動き許容量とも言う)が、移動量Td1よりも小さい条件を満たす必要がある。このため、この条件と式(1)〜(6)とから、式(7)の関係が導き出される。
Td1−(ρ1+ρ3)×(1−1/√2)<(W1−W2)/2<Td1 ・・・(7)
なお、ここでは、θが45°以上であれば、式(6)から式(6−1)が導出される。
1/√2>Dc1’/Dr1 ・・・(6−1)
式(6−1)および式(5)から式(6−2)が導出される。
1/√2>Dc1’/(ρ1+ρ3) ・・・(6−2)
式(6−2)および式(4)から式(6−3)が導出される。
1/√2>{Ga1+(ρ1+ρ3)−Td1}/(ρ1+ρ3) ・・・(6−3)
式(6−3)および式(2)から式(6−4)が導出される。
1/√2>{(W1−W2)/2+(ρ1+ρ3)−Td1}/(ρ1+ρ3) ・・・(6−4)
式(6−4)を変形することで、式(6−5)が導出される。
(ρ1+ρ3)×(1−1/√2)+Td1<(W1−W2)/2 ・・・(6−5)
また、上述したように、左右方向における移動体211の動き許容量は、移動量Td1よりも小さい場合、式(6−6)が成立する。
(W1−W2)/2<Td1 ・・・(6−6)
そして、式(6−5)と式(6−6)とを組み合わせることで、式(7)が導出される。
次に、制動部B1c,B1dによる移動体211の上下方向としての±Z方向における動きの規制ならびに移動方向としての±X方向における移動体211の停止位置の調整について説明する。
図9は、制動部B1c,B1dによって移動体211が規制される様子を模式的に示す図である。
ここでは、図9で示されるように、制動部B1c,B1dにおける面取り部C1a,C1bのXZ断面における曲率半径をρ1hとし、移動体211における面取り部C3cのXZ断面における曲率半径をρ3hとする。ところで、移動体211には下向きとしての−Z方向に常に重力G1が働く。そして、第2区間Z2においては、重力G1と、張力G2で張られた搬送用ベルトBt1において撓みによって生じる張力G2の垂直成分G2−1とが釣り合う。このとき、制動部B1c,B1dの第2面S2a,S2bは、移動体211の−Z側の底面Ss4よりも高さH1高い位置に配される。このとき、式(8)の関係が成立していれば、移動体211が第1区間Z1に進入する際に、移動体211の底面Ss4が、第2面S2a,S2b上に円滑に乗り上げる。
0<H1<(ρ1h+ρ3h)/√2 ・・・(8)
このとき、移動体211が第2面S2a,S2bによって支持される。このため、第2区間Z2における張力G2の垂直成分G2−1が減少する。つまり、重力G1と張力G2の垂直成分G2−1とが、G1>G2−1の関係を有しており、第2面S2a,S2bに対して、移動体211の底面Ss4が押し付けられる。このため、移動体211が第1区間Z12を移動経路Tr1に沿って移動する際には、移動体211が制動部B1c,B1dの第2面S2a,S2b上を摺動する。これにより、制動部B1c,B1dと移動体211との間に摩擦力が生じ、制動部B1c,B1dによって、移動体211に対して移動経路Tr1に沿った移動体211の移動方向とは反対方向に制動力が付与される。その結果、第1区間Z12では、移動体211の移動方向としての±X方向において該移動体211の停止位置が高精度に調整され得る。
また、式(7)および式(8)を満足するように、各パラメーターが設定されることで、第1区間Z1において移動体211の停止位置が高精度に調整され得るとともに、移動体211が制動部B1cと制動部B1dとの間隙に円滑に入り込み得る。ここで、例えば、式(7)の中央に記載された(W1−W2)/2の値が小さくなるように、間隔W1および幅W2の値が設定されれば、移動体211の左右方向としての±Y方向における動きがより狭い範囲内に規制される。つまり、制動部B1cと制動部B1dとによって左右方向における移動体211の動きが許容される許容量が低減される。これにより、移動体211の左右方向における停止位置がより高精度に調整され得る。また、例えば、式(8)の中央に記載されたH1の値が大きくなれば大きくなる程、制動部B1c,B1dの第2面S2a,S2bに移動体211が押し付けられる力が大きくなり得る。これにより、制動部B1c,B1d上を移動体211が移動する際に、移動体211の姿勢が安定し、移動体211の移動方向としての±X方向において該移動体211の停止位置が高精度に調整され得る。
ところで、第2区間Z2では、移動体211と制動部B1とが接触せず、移動体211と制動部B1との間には摩擦力が生じない。このため、第2区間Z2における移動体211の移動速度を、第1区間Z1における移動体211の移動速度よりも容易に高めることができる。つまり、第2区間Z2では、移動体211の高速移動が実現される一方で、第1区間Z1では、移動体211の移動方向としての±X方向において該移動体211の停止位置が高精度に調整され得る。
また、例えば、制動部B1と移動体211との接触の程度が必要最小限にとどめられれば、制動部B1および移動体211の摩耗量が低減され得る。接触の程度には、例えば、制動部B1と移動体211とが接触し合う面(接触面とも言う)の面積、および接触面同士が押し合う力の大きさ等が含まれる。また、例えば、接触面における摩擦係数が低減されることで、制動部B1および移動体211の摩耗量が低減されても良い。接触面の摩擦係数は、例えば、表面加工および素材等によって低減され得る。
また、制動部B1a,B1bの組および制動部B1c,B1dの組のうちの一方が、移動体211の重心Cg1を通り且つ移動方向としての±X方向に垂直な仮想的な平面Sc1上に位置する部分に当接していれば、移動体211の姿勢が安定し得る。つまり、移動体211のぶれが低減されるため、移動体211の停止位置が高精度に調整され得る。このため、制動部B1a,B1b,B1c,B1dの移動体211と接触する第2面S2a,S2bにおける移動経路Tr1に沿った長さは、移動体211の停止位置が高精度に調整され得るX方向における範囲の長さと略同一となる。
<(1−3)第1実施形態のまとめ>
以上のように、第1実施形態に係る移動機構21によれば、移動経路Tr1のうちの第1区間Z1のみに沿って制動部B1が配されている。このため、第2区間Z2では、移動体211の高速移動が実現される一方で、第1区間Z1では、移動体211の移動経路Tr1に沿ったX方向において該移動体211の停止位置が高精度に調整され得る。すなわち、移動体211の移動速度を向上させつつ、移動体211の停止位置が高精度に調整され得る。また、第1実施形態に係るアクチュエーター2によっても、移動体211の移動速度を向上させつつ、移動体211の停止位置が高精度に調整され得る。さらに、第1実施形態に係る搬送装置1によれば、移動体211の移動速度が向上されつつ、移動体211の停止位置が高精度に調整され得るため、被搬送物9が迅速かつ精度良く搬送され得る。
また、本実施形態では、制動部B1によって、移動経路Tr1と交差する2つの交差方向としてのY方向およびZ方向における移動体211の動きが規制されるため、2つの交差方向における移動体211のぶれがさらに低減され得る。これにより、移動体211が停止する位置がさらに高精度に調整され得る。
<(1−4)第1実施形態の変形例>
<(1−4−1)第1変形例>
上記第1実施形態に係る制動部B1c,B1dにおける面取り部C1a,C1bおよび移動体211の面取り部C3aが丸みを有していたが、これに限られない。例えば、図10で示されるように、面取り部C1a,C1bおよび面取り部C3aが、面取り角度(θ1およびθ2)が略一定とされたものであっても良い。この場合、例えば、距離Dc1Aを用いて、式(9)の関係を有していれば、移動体211が、制動部B1cと制動部B1dとの間隙に円滑に入り込み得る。
0°<θ1=θ2<45°,Td1<Dc1A ・・・(9)
なお、距離Dc1Aは、制動部B1cと制動部B1dとの間隙のY方向の略中央に移動体211が入り込む場合に、面取り部C1aの一端部と面取り部C3aの他端部とのY方向における距離である。面取り部C1aの一端部は、面取り部C1aのうちの移動体211からY方向に最も離れた部分である。面取り部C3aの他端部は、面取り部C3aのうちの制動部B1cから−Y方向に最も離れた部分である。
<(1−4−2)第2変形例>
上記第1実施形態に係る搬送装置1において、例えば、移動経路Tr1に沿った移動体211の移動を案内する部分(案内部とも言う)が付加されても良い。このような構成では、上記第1実施形態と同様な効果が得られる上に、第2区間Z2における移動体211のぶれが低減されるため、移動体211が安定して移動され得る。
図11は、第1実施形態の第2変形例に係るアクチュエーター2Aの外観を模式的に示す斜視図である。ここでは、上記第1実施形態に係る搬送装置1のうちのアクチュエーター2の代わりに、アクチュエーター2Aが採用されている。そして、アクチュエーター2Aでは、上記第1実施形態に係る移動機構21の代わりに、移動経路Tr1に沿った移動体211の移動を案内する案内部としてのガイド軸216が付加された移動機構21Aが採用されている。移動機構21Aは、上記第1実施形態に係る移動機構21がベースとされて、移動経路Tr1に沿った移動体211の移動を案内するガイド軸216が付加されたものである。ガイド軸216は、移動経路Tr1に沿って配されており、移動経路Tr1と交差する交差方向における移動体211の動きを規制する。
図11で示されるように、ガイド軸216は、第1ガイド軸216aおよび第2ガイド軸216bを有している。ここでは、第1および第2ガイド軸216a,216bは、それぞれ移動体211の移動方向としての±X方向に沿って延在し且つ断面が略円形のガイド軸である。そして、第1および第2ガイド軸216a,216bは、支持部213,214によって支持されている。具体的には、第1および第2ガイド軸216a,216bのX方向の各端部は、支持部213のYZ平面に沿った盤面を有する板状の部分に固定されていれば良い。また、第1および第2ガイド軸216a,216bの−X方向の各端部は、支持部214のYZ平面に沿った盤面を有する板状の部分に固定されていれば良い。
また、図11で示されるように、各ガイド軸216は、移動体211に設けられたX方向に延在する貫通孔T1を貫通するように配されている。貫通孔T1には、第1貫通孔T1aおよび第2貫通孔T1bが含まれている。そして、例えば、第1ガイド軸216aが、X方向に延在する第1貫通孔T1aを介して移動体211を貫通するように配されており、第2ガイド軸216bが、X方向に延在する第2貫通孔T1bを介して移動体211を貫通するように配されている。なお、第1ガイド軸216aと第2ガイド軸216bとが略同一の構成を有し、第1貫通孔T1aと第2貫通孔T1bとが略同一の構成を有していれば良い。つまり、第1ガイド軸216aによる移動体211の交差方向における動きの規制と、第2ガイド軸216bによる移動体211の交差方向における動きの規制とが、同様なものであれば良い。
図12は、第1実施形態の第2変形例に係るガイド軸216によって移動体211が規制される様子を示す図である。ここで、図12で示されるように、第2貫通孔T1bの中心に第2ガイド軸216bが配されている場合、第2ガイド軸216bの上下左右方向に、第2貫通孔T1bの内壁と第2ガイド軸216bとの間に略同一の距離Td2を有する間隙が生じるものとする。ここでは、距離Td2と、第2ガイド軸216bの径d1と、第2貫通孔T1bの径Dh1との間には、式(10)の関係が成立する。
Td2=(Dh1−d1)/2 ・・・(10)
この場合、搬送用ベルトBt1に取り付けられた移動体211が搬送用ベルトBt1の撓みによって上下左右方向に移動することができる量(移動可能量とも言う)が距離Td2となる。このため、上記第1実施形態における移動量Td1が、移動可能量としての距離Td2に置換されば良い。その上で、径Dh1,d1等の各パラメーターが設定されることで、第1区間Z1において移動体211の停止位置が高精度に調整され得るとともに、移動体211が制動部B1cと制動部B1dとの間隙に円滑に入り込み得る。なお、第1貫通孔T1aと第2貫通孔T1bとの距離は、長ければ長い程、X軸に略平行な仮想的な回転軸を中心とした回転方向における移動体211の動きがより狭い範囲内に規制される。
また、ガイド軸216が配される場合、移動経路Tr1のうちの第2区間Z2を移動体211が移動経路Tr1に沿って移動する際に、ガイド軸216と移動体211との間に摩擦力(第1摩擦力とも言う)が生じる。一方、移動経路Tr1のうちの第1区間Z1を移動体211が移動経路Tr1に沿って移動する際には、制動部B1と移動体211との間に摩擦力(第2摩擦力とも言う)が生じる。そして、第2摩擦力が第1摩擦力よりも大きくなるように設定されれば、第2区間Z2では、移動体211の高速移動が実現される一方で、第1区間Z1では、移動体211の移動方向としての±X方向において該移動体211の停止位置が高精度に調整され得る。
なお、例えば、ガイド軸216の外周面の表面状態および素材等によってガイド軸216の外周面における摩擦係数が低減されれば、第1摩擦力が低減され得る。また、例えば、制動部B1の表面状態および素材等によって制動部B1の表面における摩擦係数が増大されれば、第2摩擦力が増大し得る。さらに、例えば、式(8)の中央に記載されたH1の値が大きくなれば大きくなる程、制動部B1c,B1dの第2面S2a,S2bに移動体211が押し付けられる力が大きくなり、第2摩擦力が増大し得る。そして、第1摩擦力よりも第2摩擦力の方がある程度大きければ、第2区間Z2における移動体211の高速移動と、第1区間Z1における移動体211の停止位置の高精度な調整とが図られる。
また、ガイド軸216が配される場合、第2区間Z2では、ガイド軸216によって移動経路Tr1に交差する交差方向における移動体211の動きが規制される。つまり、本変形例に係る移動機構21Aによれば、制動部B1が配されていない第2区間Z2における移動体211のぶれが低減されるため、移動体211が安定して移動され得る。
ここで、第1区間Z1において制動部B1によって移動経路Tr1に交差する交差方向における移動体211の動きが許容される量を第1許容量とする。また、第2区間Z2においてガイド軸216によって移動経路Tr1に交差する交差方向における移動体211の動きが許容される量を第2許容量とする。そして、第1許容量が、第2許容量よりも小さくなるように設定されれば、第1区間Z1では、移動経路Tr1に交差する交差方向において移動体211の停止位置が高精度に調整され得る。
なお、例えば、第2貫通孔T1bの内壁と第2ガイド軸216bとの間における距離Td2よりも、式(7)の中央に記載された(W1−W2)/2の値が小さければ、第1許容量が、第2許容量よりも小さくなり得る。そして、(W1−W2)/2の値が、距離Td2よりも小さければ小さい程、第2区間Z2よりも第1区間Z1において、移動経路Tr1に交差する交差方向において移動体211の停止位置が高精度に調整され得る。
そして、ガイド軸216が設けられる本変形例においては、制動部B1によって、移動経路Tr1と交差する2つの交差方向としてのX方向およびY方向における移動体211の動きが規制される。このため、ガイド軸216の寸法精度および取り付け精度が低くても良い。これにより、ガイド軸216の製造および取り付けが容易となり得る。
<(1−4−3)第3変形例>
上記第1実施形態に係る搬送装置1において、例えば、第1および第2支持部213,214の構成が変更されても良い。このような構成でも、上記第1実施形態と同様な効果が得られる。
図13は、第1実施形態の第3変形例に係るアクチュエーター2Bの外観を模式的に示す斜視図である。ここでは、上記第1実施形態に係る搬送装置1のうちのアクチュエーター2の代わりに、アクチュエーター2Bが採用されている。そして、アクチュエーター2Bでは、上記第1実施形態の第2変形例に係るアクチュエーター2Aのうちの移動機構21Aの代わりに、移動機構21Bが採用されている。移動機構21Bは、上記第1実施形態の第2変形例に係る移動機構21Aがベースとされて、第1および第2支持部213,214が2つの部材を有する第1および第2支持部213B,214Bにそれぞれ置換されたものである。
例えば、第1支持部213Bは、第1部材2131と第2部材2132とを有しており、第2支持部214Bは、第1部材2141と第2部材2142とを有している。ここでは、第1部材2131,2141は、それぞれYZ平面に略平行な盤面を有する板状の部材である。そして、ガイド軸216のX方向の端部が第1部材2131に固定されており、ガイド軸216の−X方向の端部が第1部材2141に固定されている。また、第2部材2132,2142は、それぞれ、XZ平面に沿った盤面を有し且つ移動経路Tr1を挟んで対向する2つの板状の部分と、該2つの板状の部分の−Z方向の端部同士を繋ぎ且つXY平面に沿った盤面を有する板状の部分とを有している。つまり、第2部材2132,2142は、±X方向から平面視した場合に、Z方向に開口を有するU字状の内壁面とZ方向に開口を有するU字状の外壁面とを有し、Z方向に開口を有するU字状の構成を有している。そして、第2部材2132のうちの移動経路Tr1をY方向において挟み且つ対向する一対の内壁面上に制動部B1a,B1bがそれぞれ取り付けられている。また、第2部材2142のうちの移動経路Tr1をY方向において挟み且つ対向する一対の内壁面上に制動部B1c,B1dがそれぞれ取り付けられている。
<(1−4−4)第4変形例>
上記第1実施形態およびその第1〜3変形例において、例えば、移動機構21,21A,21Bの構成が変更されても良い。このような構成が採用されても、上記第1実施形態ならびにその第1〜3変形例と同様な効果が得られる。
図14は、第1実施形態の第4変形例に係るアクチュエーター2Cの外観を模式的に示す斜視図であり、図15は、第1実施形態の第4変形例に係るアクチュエーター2Cの外観を模式的に示す平面図である。ここでは、上記第1実施形態の第2変形例に係るアクチュエーター2Aの代わりに、アクチュエーター2Cが採用されている。アクチュエーター2Cでは、上記第1実施形態の第2変形例に係る移動機構21Aの代わりに、ボール螺子Bs1が採用された移動機構21Cが採用されている。移動機構21Cは、上記第1実施形態の第2変形例に係る移動機構21Aがベースとされて、駆動機構212が、ボール螺子Bs1が採用された駆動機構212Cに置換されたものである。また、上記置換に伴って、上記第1実施形態の第2変形例に係る駆動源22が、駆動源22Cに置換されている。駆動源22Cは、例えば、サーボモーター等であれば良い。
図14および図15で示されるように、ボール螺子Bs1は、螺子軸部Bs1a、ナット部Bs1bおよび連結部Bs1cを備えている。螺子軸部Bs1aは、X方向に延在する棒状の螺子である。螺子軸部Bs1aのX方向の端部(一端部とも言う)は、駆動源22Cに連結されている。連結部Bs1cは、第1支持部213のX方向の板状の部分を貫通するように設けられており、ベアリング等を介して螺子軸部Bs1aを回動自在に支持している。螺子軸部Bs1aの−X方向の端部(他端部とも言う)は、ベアリング等を介して、第2支持部214によって回動自在に支持されている。また、ナット部Bs1bは、移動体211の−Z方向の面(底面とも言う)に取り付けられている。このナット部Bs1bは、X方向に貫通する貫通孔T2において螺子軸部Bs1aと噛み合っている。なお、駆動源22Cは、第1支持部213のX方向に取り付けられており、螺子軸部Bs1aを回転させる。
ここでは、例えば、制御部23から任意の回転量に応じた信号が駆動源22Cに入力され、駆動源22Cが螺子軸部Bs1aを回転させる。このとき、螺子軸部Bs1aと噛み合っているナット部Bs1bが±X方向に移動し、ナット部Bs1bが取り付けられている移動体211が±X方向に移動する。
図16および図17は、本変形例に係るボール螺子Bs1の構造を模式的に示す図である。図17は、図16において細線の円で囲まれた領域Ar1が拡大された図である。図16および図17で示されるように、ボール螺子Bs1では、螺子軸部Bs1aの溝部とナット部Bs1bの溝部とが対向するように配されることで、螺子軸部Bs1aの外周において螺旋状に延在する空間(螺旋状空間とも言う)Sps1を形成する。この螺旋状空間Sps1については、螺子軸部Bs1aの回転の中心となる仮想的な軸を含む仮想的な平面に沿った断面が、径がDh2である略円形となる。そして、螺旋状空間Sps1に、径がd2であるボールBL1が嵌合している。
ここでは、径Dh2と径d2との差が、上記第1実施形態の第2変形例において移動体211が搬送用ベルトBt1の撓みによって上下左右方向に移動することができる移動可能量の距離Td2の代わりに用いられれば良い。その上で、径Dh2,d2等の各パラメーターが設定されることで、第1区間Z1において移動体211の停止位置が高精度に調整され得る。
<(1−4−5)第5変形例>
上記第1実施形態およびその第1〜4変形例において、例えば、移動経路Tr1のうちの少なくとも1つの第1区間Z1に沿って制動部B1が設けられれば良い。このような構成が採用されても、上記第1実施形態ならびにその第1〜4変形例と同様な効果が得られる。
図18は、第1実施形態の第5変形例に係るアクチュエーター2Dの外観を模式的に示す斜視図である。この場合、上記第1実施形態の第2変形例に係るアクチュエーター2Aの代わりに、アクチュエーター2Dが採用されている。アクチュエーター2Dでは、上記第1実施形態の第2変形例に係る移動機構21Aの代わりに、移動機構21Dが採用されている。移動機構21Dは、上記第2変形例に係る移動機構21Aがベースとされて、第2支持部214および制動部B1c,B1dが削除され、従動ローラーR2を回転自在に保持する第2回転軸Rs2をガイド軸216が保持する形態に変更されたものである。本変形例では、第1ガイド軸216aの−X方向の端部に連結された第1連結棒Cs1aと、第2ガイド軸216bの−X方向の端部に連結された第2連結棒Cs1bとの間に、第2回転軸Rs2が架設されている。
本変形例では、第1区間Z1が1箇所に設けられており、移動経路Tr1のうちの1つの第1区間Z1に沿って第1支持部213に制動部B1a,B1bが設けられている。このような移動機構21Dが採用された搬送装置は、例えば、被搬送物9の搬送経路のうち、1つの停止位置では被搬送物9が精度良く停止され、他の停止位置では被搬送物9が精度良く停止されなくても良い用途に使用され得る。すなわち、1以上の第1区間Z1が設けられれば良い。但し、2以上の第1区間Z1が設けられれば、2以上の第1区間Z1において、移動体211が停止する位置が精度良く調整され得る。
<(1−4−6)その他の変形例>
なお、上記第1実施形態およびその第1〜5変形例では、1つの制動部B1によって、第1交差方向としてのY方向および第2交差方向としてのZ方向と言った2つの交差方向における移動体211の動きが規制されたが、これに限られない。例えば、1つの制動部B1が、第1交差方向としてのY方向における移動体211の動きを規制する部分(第1制動部とも言う)と、第2交差方向としてのZ方向における移動体211の動きを規制する部分(第2制動部とも言う)とに分けられても良い。このような構成では、制動部B1の配置の自由度が高まるため、移動体211の停止位置が容易かつ高精度に調整され得る。
<(2)第2実施形態>
上記第1実施形態に係るアクチュエーター2では、移動体211が第1区間Z1に進入する際に、移動体211の底面Ss4が、制動部B1上に乗り上げた。これに対して、第2実施形態に係るアクチュエーター2Eは、移動体211と制動部B1とが、相互に嵌合するタイプ(嵌合タイプとも言う)のアクチュエーターとなっている。
図19は、第2実施形態に係るアクチュエーター2Eの外観を模式的に示す斜視図である。図20は、本実施形態に係る第1区間Z12およびその周辺を模式的に示す斜視図である。本実施形態では、上記第1実施形態の第2変形例に係るアクチュエーター2Aの代わりに、アクチュエーター2Eが採用されている。アクチュエーター2Eでは、上記第1実施形態の第2変形例に係る移動機構21Aの代わりに、移動機構21Eが採用されている。
図19および図20で示されるように、移動機構21Eは、移動機構21Aがベースとされて、移動体211が、移動経路Tr1と交差する交差方向に凹み且つ移動方向としてのX方向に延在する凹部D1を有する移動体211Eに置換されたものである。この凹部D1は、移動体211Eが第2区間Z2に配されている状態で、制動部B1が位置する方向に開口を有している。このため、移動体211Eが第2区間Z2から第1区間Z1に進入し、第1区間Z1を移動体211Eが移動経路Tr1に沿って移動する際に、制動部B1が有する移動方向としてのX方向に延在する凸部Pe1が凹部D1に嵌合する。これにより、移動経路Tr1に交差する交差方向における移動体211Eの動きが規制される。また、凹部D1と凸部Pe1との間に摩擦力が生じることで、制動部B1によって移動体211Eに対して移動経路Tr1に沿った移動体211Eの移動方向とは反対方向に制動力が付与される。
図21は、制動部B1をX方向から平面視した図である。なお、移動機構21Eのうちの第1区間Z11およびその周辺における構成と、第1区間Z12およびその周辺における構成は、略同一である。各制動部B1は、L字状のYZ断面を有しており、X方向に予め設定された長さを有している板(L字板とも言う)である。具体的には、制動部B1a,B1cは、XZ平面に略平行な盤面を有する板状部Pv1aと、該板状部Pv1aの−Z方向の端部から−Y方向に突出し且つXY平面に略平行な盤面を有する凸部Pe1としての板状部Pe1aとを有している。制動部B1b,B1dは、XZ平面に略平行な盤面を有する板状部Pv1bと、該板状部Pv1bの−Z方向の端部からY方向に突出し且つXY平面に略平行な盤面を有する凸部Pe1としての板状部Pe1bとを有している。
制動部B1a,B1cは、板状部Pv1aの−Y方向に向いた第1面S1a、板状部Pe1aのZ方向に向いた第2面S2a、板状部Pe1aの−Z方向に向いた第3面S3aおよび面取り部C1aを有している。面取り部C1aには、第1面S1aおよび第2面S2aと制動部B1a,B1cの±X方向の側面とを接続する面取り部C1a、ならびに第3面S3aと制動部B1a,B1cの±X方向の側面とを接続する面取り部C1aが含まれる。また、制動部B1b,B1dは、板状部Pv1bのY方向に向いた第1面S1b、板状部Pe1bのZ方向に向いた第2面S2b、板状部Pe1bの−Z方向に向いた第3面S3bおよび面取り部C1bを有している。面取り部C1bには、第1面S1bおよび第2面S2bと制動部B1b,B1dの±X方向の側面とを接続する面取り部C1b、ならびに第3面S3bと制動部B1b,B1dの±X方向の側面とを接続する面取り部C1bが含まれる。
図22は、移動体211EをX方向から平面視した図である。移動体211Eは、Y方向を向いた第1側面Ss1と−Y方向を向いた第2側面Ss2とを有している。また、移動体211Eは、第1側面Ss1と±X方向の側面とを接続する面取り部CS1a、ならびに第2側面Ss2と±X方向の側面とを接続する面取り部CS1bを有している。また、凹部D1aは、Z方向に対向する上下面SI1a、ならびに該上下面SI1aと±X方向の側面とを接続する面取り部CI1aを有している。また、凹部D1bは、Z方向に対向する上下面SI1b、ならびに該上下面SI1bと±X方向の側面とを接続する面取り部CI1bを有している。
ここで、凹部D1に凸部Pe1が嵌合している際には、凸部Pe1の上下面と、凹部D1の上下面とによって、移動体211Eの上下方向としての±Z方向における動きが規制される。具体的には、板状部Pe1aの第2および第3面S2a,S3a、ならびに凹部D1aの上下面SI1aによって、移動体211Eの上下方向としての±Z方向における動きが規制される。また、板状部Pe1bの第2および第3面S2b,S3b、ならびに凹部D1bの上下面SI1bによって、移動体211Eの上下方向としての±Z方向における動きが規制される。
図23は、制動部B1c,B1dによって移動体211Eの動きが規制される様子を−Y方向から見た図である。制動部B1による移動体211Eの±Y方向における動きの規制は、上記第1実施形態と同様であるが、±Z方向における動きの規制の態様が上記第1実施形態とは異なる。
ここでは、板状部Pe1a,Pe1bのZ方向の厚さh1、凹部D1aの上下面SI1a間のZ方向における間隔h2、面取り部C1a,C1bの曲率半径ρ1hおよび面取り部CI1a,CI1bの曲率半径ρ3hの間に、式(11)の関係が成立すれば良い。
Td2−(ρ1h+ρ3h)×(1−1/√2)<(h2−h1)/2<Td2 ・・・(11)
なお、式(11)のTd2は、ガイド軸216の存在による規制により、移動体211が搬送用ベルトBt1の撓みによって上下左右方向に移動することができる移動可能量としての距離Td2である。ここでは、式(11)を満たすように、各パラメーターが設定されることで、第1区間Z1において移動体211Eの停止位置が高精度に調整され得るとともに、相互に対向する制動部B1の間隙に移動体211Eが円滑に入り込み得る。
<(2−1)第2実施形態のまとめ>
以上のように、第2実施形態に係る移動機構21Eによれば、移動体211Eに設けられた凹部D1と、制動部B1に設けられた凸部Pe1とが嵌合することで、移動経路Tr1に交差する交差方向における移動体211Eの動きが規制される。また、凹部D1と凸部Pe1との間に摩擦力が生じることで、制動部B1によって移動体211Eに対して移動経路Tr1に沿った移動体211Eの移動方向とは反対方向に制動力が付与される。これにより、第2区間Z2では、移動体211Eの高速移動が実現される一方で、第1区間Z1では、移動体211Eの移動方向としての±X方向において該移動体211Eの停止位置が高精度に調整され得る。すなわち、移動体211Eの移動速度を向上させつつ、移動体211Eの停止位置が高精度に調整され得る。また、第2実施形態に係るアクチュエーター2Eによっても、移動体211Eの移動速度を向上させつつ、移動体211Eの停止位置が高精度に調整され得る。さらに、第2実施形態に係る搬送装置によれば、移動体211Eの移動速度が向上されつつ、移動体211Eの停止位置が高精度に調整され得るため、被搬送物9が迅速かつ精度良く搬送され得る。
そして、凹部D1および凸部Pe1の設計によって、制動部B1の配置の自由度が高まる。このため、移動体211Eの移動速度を向上させつつ、移動体211Eが停止する位置を高精度に調整することが容易に実現され得る。
<(2−2)第2実施形態の変形例>
<(2−2−1)第1変形例>
上記第2実施形態に係るアクチュエーター2Eにおいては、制動部B1によって移動経路Tr1に交差する第1および第2交差方向としてのY方向およびZ方向における移動体211Eの動きが規制されたが、これに限られない。例えば、第1交差方向における移動体211の動きの規制と、第2交差方向における移動体211の動きの規制とが、別々の部材で規制されるような構成に変更されても良い。このような構成でも、上記第2実施形態と同様な効果が得られる。
図24は、第2実施形態の第1変形例に係るアクチュエーター2Fの外観を模式的に示す斜視図である。本変形例では、上記第2実施形態に係るアクチュエーター2Eの代わりに、アクチュエーター2Fが採用されている。そして、アクチュエーター2Fでは、上記第2実施形態に係る移動機構21Eの代わりに、移動機構21Fが採用されている。移動機構21Fは、上記第2実施形態に係る移動機構21Eがベースとされて、各ガイド軸216が、案内部としての案内機構216Fに置換され、各制動部B1が、2つの制動部B1Fに置換され、移動体211Eが移動体211Fに置換されたものである。
図24で示されるように、案内機構216Fは、移動経路Tr1に沿って配されており、YZ断面がL字状であり且つX方向に延在する第1および第2案内機構216Fa,216Fbを有している。第1案内機構216Faは、XZ平面に略平行な盤面を有する板状の部分(第1垂直板状部とも言う)および第1垂直板状部の−Z方向の端部から−Y方向に突出し且つXY平面に略平行な盤面を有する板状の部分(第1水平板状部とも言う)を有している。ここで、第1垂直板状部は、移動経路Tr1のY方向に位置し、第1水平板状部は、移動経路Tr1の−Z方向に位置している。第2案内機構216Fbは、XZ平面に略平行な盤面を有する板状の部分(第2垂直板状部とも言う)および第2垂直板状部の−Z方向の端部からY方向に突出し且つXY平面に略平行な盤面を有する板状の部分(第2水平板状部とも言う)を有している。ここで、第2垂直板状部は、移動経路Tr1の−Y方向に位置し、第2水平板状部は、移動経路Tr1の−Z方向に位置している。
また、第1水平板状部の上面と第2水平板状部の上面とがXY平面に略平行であり且つ仮想的な略同一平面上に配されている。そして、移動体211Fが、案内機構216Fに対して±X方向に摺動自在に、第1垂直板状部と第2垂直板状部との間に嵌り込み且つ第1および第2水平板状部の上に載置されている。これにより、案内機構216Fは、移動経路Tr1に沿った移動体211Fの移動を案内するとともに、移動経路Tr1と交差する交差方向における移動体211Fの動きを規制する。
第1支持部213には、移動経路Tr1をY方向において挟み且つ対向する内壁面上に4つの制動部B1が取り付けられている。これらの各制動部B1は、第1区間Z11に沿って配されている。具体的には、移動経路Tr1のY方向に2つの制動部B1Fa,B1Fbが配され、移動経路Tr1の−Y方向に2つの制動部B1Fc,B1Fdが配されている。ここでは、駆動機構212によって移動経路Tr1に沿って移動する移動体211Fが、制動部B1Fa〜B1Fbと嵌合している状態で移動することで、移動体211Fが第1支持部213に挟まれている予め設定された位置に精度良く停止され得る。
また、第2支持部214には、移動経路Tr1をY方向において挟み且つ対向する内壁面上に4つの制動部B1が取り付けられている。これらの各制動部B1は、第1区間Z12に沿って配されている。具体的には、移動経路Tr1のY方向に2つの制動部B1Fe,B1Ffが配され、移動経路Tr1の−Y方向に2つの制動部B1Fg,B1Fhが配されている。ここでは、駆動機構212によって移動経路Tr1に沿って移動する移動体211Fが、制動部B1Fe〜B1Fhと嵌合している状態で移動することで、移動体211Fが第1支持部213に挟まれている予め設定された位置に精度良く停止され得る。
図25は、本変形例に係る第1区間Z12およびその周辺を模式的に示す斜視図である。ここでは、移動機構21Fのうちの第1区間Z11およびその周辺における構成と、第1区間Z12およびその周辺における構成とは、略同一である。例えば、移動機構21Fのうちの第1区間Z11およびその周辺における構成と、移動機構21Fのうちの第1区間Z12およびその周辺における構成とが、YZ平面に略平行な仮想的な面を対称面とした面対称の関係を有している。このため、ここでは、移動機構21Fのうちの第1区間Z12およびその周辺における構成を例に挙げて説明する。
図25で示されるように、各制動部B1は、類似の構成を有しており、第2支持部214の移動経路Tr1側の内壁面上からそれぞれ突起する部分(突起部とも言う)と、該突起部の一端部からX方向に延在する凸部Pf1とを有している。例えば、制動部B1Feは、第2支持部214の−Y方向の内壁面から突起している突起部と、該突起部の−Y方向の端部からX方向に延在している第1凸部Pf11とを有している。制動部B1Ffは、第2支持部214の−Y方向の内壁面から突起している突起部と該突起部の−Y方向の端部からX方向に延在している第2凸部Pf12とを有している。ここでは、制動部B1Ffは制動部B1Feよりも−Z方向に配置されている。
また、ここでは、制動部B1Feと制動部B1Fgとは、移動経路Tr1を通り且つXZ平面に略平行な仮想的な面を対称面とした面対称の関係を有している。また、制動部B1Ffと制動部B1Fhとは、移動経路Tr1を通り且つXZ平面に略平行な仮想的な面を対称面とした面対称の関係を有している。このため、例えば、制動部B1Fgは、第2支持部214のY方向の内壁面から突起している突起部と該突起部のY方向の端部からX方向に延在する第3凸部Pf13とを有している。制動部B1Fhは、第2支持部214のY方向の内壁面から突起している突起部と該突起部のY方向の端部からX方向に延在する第4凸部Pf14とを有している。ここでは、制動部B1Fhは制動部B1Fgよりも−Z方向の位置に設けられている。
第1凸部Pf11および第3凸部Pf13は、それぞれXY平面に略平行な上面と下面とを有している。ここで、第1凸部Pf11および第3凸部Pf13における延在方向としてのX方向に垂直な各断面は、例えば、略矩形状であれば良い。そして、第1凸部Pf11および第3凸部Pf13のX方向の各端部は、例えば、XZ断面がX方向に凸形状となるような面取り部を有している。また、第2凸部Pf12および第4凸部Pf14は、それぞれXZ平面に略平行な2つの側面を有している。そして、第2凸部Pf12および第4凸部Pf14における延在方向に垂直な各断面は、例えば、略矩形状であれば良い。そして、第2凸部Pf12および第4凸部Pf14のX方向の各端部は、例えば、XY断面がX方向に凸形状となるような面取り部を有している。
図26は、移動体211Fの外観を示す斜視図である。移動体211Fは、上記第2実施形態に係る移動体211Eにおける凹部D1が、移動方向としてのX方向に延在する凹部D1Fに置換されたものである。ここでは、移動体211Fは、略直方体状の形状を有するとともに、4つの凹部D1Fとしての第1〜4凹部D11〜D14を有している。第1凹部D11は、移動体211FのY方向の側面が−Y方向に凹んでいる部分であり且つX方向に延在している。第2凹部D12は、移動体211Fの−Z方向の底面のうちのY方向に偏った部分がZ方向に凹んでいる部分であり且つX方向に延在している。第3凹部D13は、移動体211Fの−Z方向の底面のうちの−Y方向に偏った部分がZ方向に凹んでいる部分であり且つX方向に延在している。第4凹部D14は、移動体211Fの−Y方向の側面がY方向に凹んでいる部分であり且つX方向に延在している。
また、各凹部D1Fは、移動体211Fが第2区間Z2に配されている状態で、制動部B1Fが位置する方向に開口を有している。そして、第1区間Z1を移動体211Fが移動経路Tr1に沿って移動する際に、制動部B1Fが有する移動方向としてのX方向に延在する凸部Pf1が凹部D1Fに嵌合する。
図27は、制動部B1Fと移動体211Fとが嵌合する様子を示す図である。図27で示されるように、移動体211Fが、移動経路Tr1に沿って第2区間Z2から第1区間Z12に移動すると、各凸部Pf1と各凹部D1Fとが嵌合する。具体的には、第1凸部Pf11が第1凹部D11に嵌合し、第2凸部Pf12が第2凹部D12に嵌合し、第3凸部Pf13が第3凹部D13に嵌合し、第4凸部Pf14が第4凹部D14に嵌合する。これにより、移動経路Tr1に交差する交差方向における移動体211Fの動きが規制される。具体的には、第2および第4凸部Pf12,Pf14は、第1交差方向としてのY方向における移動体211Fの動きを規制する制動部(第1制動部とも言う)として働く。また、第1および第3凸部Pf11,Pf13は、第2交差方向としてのZ方向における移動体211Fの動きを規制する制動部(第2制動部とも言う)として働く。
このように、第1交差方向における移動体211Fの動きを規制する部材と、第2交差方向における移動体211Fの動きを規制する部材とが、別々の部材によって構成されていることで、制動部B1Fの配置の自由度が高まる。これにより、移動体211Fが停止する位置が容易かつ高精度に調整され得る。
また、各凸部Pf1と各凹部D1Fとが嵌合している状態で、移動体211Fが移動経路Tr1に沿って移動すると、凹部D1Fと凸部Pf1との間に摩擦力が生じる。これにより、制動部B1Fによって移動体211Fに対して移動経路Tr1に沿った移動体211Fの移動方向とは反対方向に制動力が付与される。
ところで、本変形例では、第1区間Z1毎に、2つの交差方向としてのY方向およびZ方向における移動体211Fの動きを規制する4本の制動部B1Fが配されていたが、これに限られない。例えば、第1区間Z1毎に、第1交差方向としてのY方向における移動体211Fの動きを規制する1以上の制動部B1Fと、第2交差方向としてのZ方向における移動体211Fの動きを規制する1以上の制動部B1Fとが配されれば良い。例えば、図27で示される第1凸部Pf11と第4凸部Pf14との組、および第2凸部Pf12と第3凸部Pf13との組の何れかが採用される態様が考えられる。この場合、各第1区間Z1における2本の制動部B1Fの間隔が広ければ広い程、移動経路Tr1に沿った仮想的な回転軸を中心とする回転方向における移動体211Fの動きがより規制される。なお、仮に、案内機構216Fによって第2交差方向としてのZ方向における移動体211Fの動きがある程度規制される場合には、第1交差方向としてのY方向における移動体211Fの動きを規制する1つの制動部B1Fのみが設けられる態様も考えられる。
但し、第1区間Z1毎に、2以上のある程度の数の制動部B1Fが設けられれば、移動体211Fと制動部B1Fとの間に生じる摩擦力が大きくなり、移動方向において移動体211Fが停止する位置がより高精度に調整され得る。また、制動部B1Fによって、移動経路Tr1と交差する2つの交差方向としてのY方向およびZ方向における移動体211の動きが規制されることで、移動体211Fが停止する位置がさらに高精度に調整される。そして、この場合、案内機構216Fに要求される寸法精度および取り付け精度が低くても良い。これにより、案内部としての案内機構216Fの製造および取り付けが容易となり得る。したがって、移動経路Tr1と交差する2以上の交差方向における移動体211Fの動きを規制する制動部B1Fが設けられれば、移動経路Tr1に交差する方向における移動体211Fのぶれがさらに低減される。その結果、移動体211Fが停止する位置がさらに高精度に調整され得る。
<(2−2−2)第2変形例>
上記第2実施形態およびその第1変形例では、制動部B1,B1Fが、移動経路Tr1のうちの第1区間Z1に沿って第1および第2支持部213,214に設けられていたが、これに限られない。例えば、制動部B1,B1Fが、移動経路Tr1のうちの第1区間Z1に沿ってガイド軸216および支持部213,214のうちの少なくとも一方に設けられるように変更されても良い。また、上記第2実施形態およびその第1変形例では、凹部D1,D1Fが凹んでいる方向(凹方向とも言う)が交差方向であり、凸部Pe1,Pf1が突起および延在している方向(凸方向とも言う)が、移動経路Tr1に沿った方向であったが、これに限られない。例えば、凹方向および凸方向は、移動方向および交差方向の少なくとも1つの方向を含んでいれば良い。
図28は、第2実施形態の第2変形例に係るアクチュエーター2Gの外観を模式的に示す斜視図である。本変形例では、上記第2実施形態に係るアクチュエーター2Eの代わりに、アクチュエーター2Gが採用されている。そして、アクチュエーター2Gでは、上記第2実施形態に係る移動機構21Eの代わりに、移動機構21Gが採用されている。
移動機構21Gは、移動機構21Eがベースとされて、各制動部B1が、ガイド軸216の各端部から該ガイド軸216の延在方向に伸びる延長線に沿った領域に位置する制動部B1Gに置換され、移動体211Eが移動体211Gに置換されたものである。ガイド軸216の延在方向と、ガイド軸216に沿って移動体211Gが移動する移動方向とは略同一である。
例えば、制動部B1Gには、X方向に延在する略円柱状の第1〜4制動部B1Ga〜B1Gdが含まれる。第1制動部B1Gaおよび第2制動部B1Gbが、第1支持部213のYZ平面に略平行な盤面を有する部分の−X方向の内壁面から−X方向に延在するように設けられており、相互にY方向に離間している。また、第3制動部B1Gcおよび第4制動部B1Gdが、第2支持部214のYZ平面に略平行な盤面を有する部分のX方向の内壁面からX方向に延在するように設けられており、相互にY方向に離間している。各制動部B1GのYZ断面の径は、X方向に位置に拘わらず、略同一であれば良い。そして、第1ガイド軸216aが、第1制動部B1Gaと第3制動部B1Gcとの間に架設されるように配されており、第2ガイド軸216bが、第2制動部B1Gbと第4制動部B1Gdとの間に架設されるように配されている。
ここでは、例えば、第1ガイド軸216aの一端部に配された雄ねじが、第1制動部B1Gaの先端部に配された雌ねじに嵌め合わせられ、第1ガイド軸216aの他端部に配された雄ねじが、第3制動部B1Gcの先端部に配された雌ねじに嵌め合わせられる。また、例えば、第2ガイド軸216bの一端部に配された雄ねじが、第2制動部B1Gbの先端部に配された雌ねじに嵌め合わせられ、第2ガイド軸216bの他端部に配された雄ねじが、第4制動部B1Gdの先端部に配された雌ねじに嵌め合わせられる。
そして、ここでは、第1および第3制動部B1Ga,B1Gcの径が第1ガイド軸216aの径よりも大きい。そして、第1および第3制動部B1Ga,B1Gcは、第1および第2支持部213,214から移動体211Gの移動方向としての±X方向に延在する凸部としての役割を有する。また、第2および第4制動部B1Gb,B1Gdの径が第2ガイド軸216bの径よりも大きい。そして、第2および第4制動部B1Gb,B1Gdは、第1および第2支持部213,214から移動体211Gの移動方向としての±X方向に延在する凸部としての役割を有する。
なお、ここでは、ガイド軸216の各端部から該ガイド軸216の延在方向に伸びる延長線に沿った領域に制動部B1Gが配されたが、これに限られない。例えば、ガイド軸216の端部近傍の該ガイド軸216上に制動部B1Gが配されても良い。つまり、制動部B1Gは、ガイド軸216上の領域およびガイド軸216の延在方向における延長線に沿った領域のうちの少なくとも一方の領域に配されていれば良い。このような構成によれば、制動部B1Gの配置に要するスペースが低減される。このため、移動体211Gの移動速度を向上させつつ、移動体211Gが停止する位置を高精度に調整することが容易に実現され得る。
移動体211Gは、該移動体211Gの移動方向としてのX方向に延在する貫通孔T1Gを有している。貫通孔T1GのYZ断面は、例えば、略円形であれば良い。ここで、各ガイド軸216は、X方向に延在する貫通孔T1Gを介して移動体211Gを貫通するように配されている。貫通孔T1Gには、第1貫通孔T1Gaおよび第2貫通孔T1Gbが含まれる。そして、例えば、第1ガイド軸216aが、X方向に延在する第1貫通孔T1Gaを介して移動体211Gを貫通するように配されており、第2ガイド軸216bが、X方向に延在する第2貫通孔T1Gbを介して移動体211Gを貫通するように配されている。なお、第1ガイド軸216aと第2ガイド軸216bとが略同一の構成を有し、第1貫通孔T1Gaと第2貫通孔T1Gbとが略同一の構成を有していれば良い。
図29は、本変形例に係る移動体211GのXZ断面を模式的に示す図である。図29で示されるように、各貫通孔T1Gは、X方向から−X方向に向かって、第1の径を有する第1領域Tz1と、第2の径を有する第2領域Tz2と、第3の径を有する第3領域Tz3とを有している。ここで、第1〜第3の径は、第1〜3領域Tz1〜Tz3におけるYZ断面の径である。第1〜3領域Tz1〜Tz3は、それぞれ円柱状であれば良い。また、ここでは、例えば、第1の径と第3の径とが、略同一であり、第2の径は、第1および第3の径よりも小さい。そして、第1領域Tz1は、第1および第2制動部B1Ga、B1Gbが摺動自在に嵌合する領域である。第2領域Tz2は、ガイド軸216が摺動自在に嵌合する領域である。第3領域Tz3は、第3および第4制動部B1Gc、B1Gdが摺動自在に嵌合する領域である。
つまり、ここでは、貫通孔T1Gの第1領域Tz1が、移動体211Gの移動方向としての±X方向に延在しており、移動体211Gが第2区間Z2に存在する場合に第1および第2制動部B1Ga,B1Gbが位置する方向に開口を有する凹部となっている。また、貫通孔T1Gの第3領域Tz3が、移動体211Gの移動方向としての±X方向に延在しており、移動体211Gが第2区間Z2に存在する場合に第3および第4制動部B1Gc,B1Gdが位置する方向に開口を有する凹部となっている。なお、第1領域Tz1の延在方向の長さは、例えば、第3領域Tz3の延在方向の長さと略同一であれば良い。
図30は、本変形例に係る第1区間Z12およびその周辺を模式的に示す断面図である。ここでは、移動機構21Gのうちの第1区間Z11およびその周辺における構成と、第1区間Z12およびその周辺における構成とは、略同一である。例えば、移動機構21Gのうちの第1区間Z11およびその周辺における構成と、移動機構21Gのうちの第1区間Z12およびその周辺における構成とが、YZ平面に略平行な仮想的な面を対称面とした面対称の関係を有している。このため、ここでは、移動機構21Gのうちの第1区間Z12およびその周辺における構成を例に挙げて説明する。なお、第1制動部B1Gaと第2制動部B1Gbとは、移動経路Tr1を通り且つXZ平面に略平行な仮想的な面を対称面とした面対称の関係を有している。また、第3制動部B1Gcと第4制動部B1Gdとは、第1および第2制動部B1Ga,B1Gbと同様に、移動経路Tr1を通り且つXZ平面に略平行な仮想的な面を対称面とした面対称の関係を有している。
図30で示されるように、移動体211Gが、移動経路Tr1に沿って、第2区間Z2から第1区間Z1内に移動することで、制動部B1Gが、貫通孔T1Gに嵌合する。例えば、移動体211Gが、移動経路Tr1に沿って、第2区間Z2から第1区間Z12内に移動することで、第3および第4制動部B1Gc,B1Gdが、第1および第2貫通孔T1Gの第3領域Tz3にそれぞれ嵌合する。一方、移動体211Gが、移動経路Tr1に沿って、第2区間Z2から第1区間Z11内に移動することで、第1および第2制動部B1Ga,B1Gbが、第1および第2貫通孔T1Gの第1領域Tz1に嵌合する。
図31は、制動部B1Gによって移動体211Gの交差方向における動きが規制される態様を示すXZ断面である。図31で示されるように、ここでは、制動部B1Gの径dg1とガイド軸216の径dg2との間には、式(12)の関係が成立する。
dg1>dg2 ・・・(12)
また、貫通孔T1Gにおいて、第3領域Tz3の径Dg1と第2領域Tz2の径Dg2との間には、式(13)の関係が成立する。
Dg1>Dg2 ・・・(13)
ここで、第1区間Z1において制動部B1Gによって移動経路Tr1に交差する交差方向における移動体211Gの動きが許容される第1許容量cg1は、式(14−1)で示される。また、第2区間Z2においてガイド軸216によって移動経路Tr1に交差する交差方向における移動体211Gの動きが許容される第2許容量cg2は、式(14−2)で示される。
cg1=(Dg1−dg1)/2 ・・・(14−1)
cg2=(Dg2−dg2)/2 ・・・(14−2)
この場合、式(15)で示されるように、第1許容量cg1が第2許容量cg2よりも小さくなるように設定される。これにより、第1区間Z1では、移動経路Tr1に交差する交差方向において移動体211の停止位置が高精度に調整され得る。
cg1<cg2 ・・・(15)
また、移動体211Gが移動経路Tr1に沿って移動する際に、第2区間Z2においてガイド軸216と移動体211Gとの間に生じる第1摩擦力よりも、第1区間Z1において制動部B1Gと移動体211Gとの間に生じる第2摩擦力が大きくなるように設定される。これにより、第2区間Z2では、移動体211Gの高速移動が実現される一方で、第1区間Z1では、移動体211Gの移動方向としての±X方向において該移動体211Gの停止位置が高精度に調整され得る。
なお、制動部B1Gの先端部の外周部に面取り部が設けられていれば、移動体211Gの貫通孔T1Gに制動部B1Gが円滑に嵌合し得る。なお、面取り部の形状は、例えば、曲率を有する曲面状であっても良いし、制動部B1Gの先端部の径が徐々に変化するようなテーパー状のものであっても良い。
<(2−2−3)第3変形例>
上記第2実施形態およびその第1および第2変形例では、移動体211Gが移動経路Tr1に沿って第2区間Z2から第1区間Z1に進入する際に、移動体211Gが複数の制動部B1Gに略同時に嵌合したが、これに限られない。例えば、移動体211Gが移動経路Tr1に沿って第2区間Z2から第1区間Z1に移動する際に、1つの制動部B1Gに当接する第1タイミングと他の制動部B1Gに当接する第2タイミングとが異なるように変更されても良い。このような構成によれば、上記第2実施形態の第2変形例と同様な効果が得られるとともに、移動体が2以上の制動部に順に当接するため、移動体が移動方向において円滑に移動し得る。
図32は、第2実施形態の第3変形例に係るアクチュエーター2Hの外観を模式的に示す斜視図である。本変形例では、上記第2実施形態の第2変形例に係るアクチュエーター2Gの代わりに、アクチュエーター2Hが採用されている。そして、アクチュエーター2Hでは、上記第2実施形態の第2変形例に係る移動機構21Gの代わりに、移動機構21Hが採用されている。
移動機構21Hは、移動機構21Gがベースとされて、複数の制動部B1Gが、延在方向の長さが相互に異なる複数の制動部B1Hに置換され、移動体211Gが、移動体211Hに置換されたものである。
例えば、制動部B1Hには、X方向に延在する略円柱状の第1〜4制動部B1Ha〜B1Hdが含まれる。第1および第2制動部B1Ha,B1Hbは、上記第2実施形態に係る第1および第2制動部B1Ga,B1Gbがベースとされて、延在方向としてのX方向の長さが相互に異なるように変更されたものである。図32には、第1制動部B1Haの延在方向としてのX方向における長さが、第2制動部B1Hbの延在方向としてのX方向における長さよりも短い例が示されている。また、第3および第4制動部B1Hc,B1Hdは、上記第2実施形態に係る第3および第4制動部B1Gc,B1Gdがベースとされて、延在方向としてのX方向の長さが相互に異なるように変更されたものである。図32には、第3制動部B1Hcの延在方向としてのX方向における長さが、第4制動部B1Hdの延在方向としてのX方向における長さよりも長い例が示されている。
つまり、ここでは、第1ガイド軸216aのX方向の端部が連結している第1制動部B1Haは、第1ガイド軸216aの−X方向の端部が連結している第3制動部B1Hcよりも短い。また、第2ガイド軸216bのX方向の端部が連結している第2制動部B1Hbは、第2ガイド軸216bの−X方向の端部が連結している第4制動部B1Hdよりも長い。そして、例えば、第1制動部B1HaのX方向における長さと、第4制動部B1HdのX方向における長さとが略同一であり、第2制動部B1HbのX方向における長さと、第3制動部B1HcのX方向における長さとが略同一であれば良い。
図33は、移動体211HのXY断面を模式的に示す図である。移動体211Hは、上記第2実施形態の第2変形例に係る移動体211Gがベースとされて、第1および第2貫通孔T1Ga,T1Gbの第1〜3領域Tz1〜Tz3における延在方向の長さが変更された第1および第2貫通孔T1Ha,T1Hbを有する。具体的には、第1貫通孔T1Gaの第1〜3領域Tz1〜Tz3が、第1貫通孔T1Haの第1〜3領域Tz1a〜Tz3aに変更されている。また、第2貫通孔T1Gbの第1〜3領域Tz1〜Tz3が、第2貫通孔T1Hbの第1〜3領域Tz1b〜Tz3bに変更されている。
第1貫通孔T1Haにおいては、第3領域Tz3aの延在方向における長さが、第1領域Tz1aの延在方向における長さよりも長い。例えば、第3領域Tz3aの延在方向における長さが、第1貫通孔T1Haの延在方向における全体の長さの半分を超えている。そして、第3領域Tz3aは、移動体211Hの−X方向の端部から、移動体211Hの重心Cg1Hを通り且つ移動方向としての±X方向に垂直な仮想的な平面Sc1Hを超える位置までX方向に延在している。なお、第2領域Tz2aは、例えば、上記第2領域Tz2とX方向に延在する距離ならびにYZ断面の径が略同一のものであれば良い。
第2貫通孔T1Hbにおいては、第1領域Tz1bの延在方向における長さが、第3領域Tz3bの延在方向における長さよりも長い。例えば、第1領域Tz1bの延在方向における長さが、第2貫通孔T1Hbの延在方向における全体の長さの半分を超えている。そして、第1領域Tz1bは、移動体211HのX方向の端部から、移動体211Hの重心Cg1Hを通る仮想的な平面Sc1Hを超える位置まで−X方向に延在している。なお、第2領域Tz2bは、例えば、上記第2領域Tz2とX方向に延在する距離ならびにYZ断面の径が略同一のものであれば良い。
図34は、本変形例に係る第1区間Z12およびその周辺を模式的に示す断面図である。ここでは、移動機構21Hのうちの第1区間Z11およびその周辺における構成と、第1区間Z12およびその周辺における構成とは、略同一である。例えば、移動機構21Hのうちの第1区間Z11およびその周辺における構成と、移動機構21Hのうちの第1区間Z12およびその周辺における構成とが、YZ平面に略平行な仮想的な面を対称面とした面対称の関係を有している。このため、ここでは、移動機構21Hのうちの第1区間Z12およびその周辺における構成を例に挙げて説明する。
図34で示されるように、移動体211Hが、移動経路Tr1に沿って、第2区間Z2から第1区間Z1内に移動することで、制動部B1Hが、貫通孔T1Hに嵌合する。例えば、移動体211Hが、移動経路Tr1に沿って第2区間Z2から第1区間Z12内に移動する際に、第3制動部B1Hcが第1貫通孔T1Gaの第3領域Tz3aに嵌合し、その後、第4制動部B1Hdが第2貫通孔T1Gbの第3領域Tz3bに嵌合する。このように、移動体211Hが、第3制動部B1Hcと第4制動部B1Hdとに順に嵌合することで、移動体211Hが第3制動部B1Hcに嵌合する第1タイミングと、移動体211Hが第4制動部B1Hdに嵌合する第2タイミングとが異なる。これにより、第3制動部B1HcのX方向の先端部が移動体211Hの−X方向の端部に引っかかるタイミングと、第4制動部B1HdのX方向の先端部が移動体211Hの−X方向の端部に引っかかるタイミングとが異なる。その結果、移動体211Hが移動方向において円滑に移動し得る。
また、図34で示されるように、第3制動部B1Hcが、移動体211Hの重心Cg1Hを通り且つ移動方向としての±X方向に垂直な仮想的な平面Sc1H上に位置する部分に当接していれば、移動体211Hの姿勢が安定し得る。つまり、移動体211のぶれが低減されるため、移動体211の停止位置が高精度に調整され得る。
また、第1区間Z12では、移動体211Hと第3および第4制動部B1Hc,B1Hcの双方とが嵌合することで、移動経路Tr1に沿った仮想的な回転軸を中心とする回転方向における移動体211Hの動きが規制される。
<(2−2−4)第4変形例>
上記第2実施形態およびその第1〜3変形例では、ガイド軸216が設けられていたが、これに限られず、ガイド軸216がそれぞれ省かれた構成が採用されても良い。この場合、移動経路Tr1のうちの第1区間Z1のみに沿って制動部B1,B1F,B1G,B1Hが配される。このため、第2区間Z2では、移動体211E〜211Hの高速移動が実現される一方で、第1区間Z1では、移動体211E〜211Hの移動経路Tr1に沿ったX方向において該移動体211E〜211Hの停止位置が高精度に調整され得る。すなわち、移動体211E〜211Hの移動速度を向上させつつ、移動体211E〜211Hの停止位置が高精度に調整され得る。そして、その結果、被搬送物9が迅速かつ精度良く搬送され得る。
図35は、第2実施形態の第4変形例に係るアクチュエーター2Iの外観を模式的に示す斜視図である。本変形例では、上記第2実施形態の第2変形例に係るアクチュエーター2Gの代わりに、アクチュエーター2Iが採用されている。そして、アクチュエーター2Iでは、上記第2実施形態の第2変形例に係る移動機構21Gの代わりに、移動機構21Iが採用されている。移動機構21Iは、上記第2実施形態の第2変形例に係る移動機構21Gがベースとされて、ガイド軸216が取り除かれ、移動体211Gが移動体211Iに置換された構成を有している。移動体211Iは、上記第2実施形態の第2変形例に係る移動体211Gがベースとされて、貫通孔T1GがYZ断面の径がX方向の位置に拘わらずDg1で略一定である貫通孔T1Iに置換されたものである。貫通孔T1Iには、第1貫通孔T1Iaおよび第2貫通孔T1Ibが含まれる。第1貫通孔T1Iaは、上記第2実施形態の第2変形例に係る第1貫通孔T1Gaがベースとされて、YZ断面の径がX方向の位置に拘わらずDg1で略一定とされたものである。第2貫通孔T1Ibは、上記第2実施形態の第2変形例に係る第2貫通孔T1Gbがベースとされて、YZ断面の径がX方向の位置に拘わらずDg1で略一定とされたものである。
<(2−2−5)その他の変形例>
例えば、上記第2実施形態およびその第1〜4変形例では、移動体211E〜211Hが凹部を有しており、制動部B1E〜B1Hが凹部と嵌合する凸部を有していたが、これに限られない。例えば、移動体211E〜211Hおよび制動部B1E〜B1Hのうちの一方の部分が凸部を有しており、移動体211E〜211Hおよび制動部B1E〜B1Hのうちの他方の部分が凸部と嵌合する凹部を有していれば良い。
なお、上記第2実施形態およびその第1変形例でも、第1区間Z1で、制動部B1E,B1Fが、移動体211E,211Fの重心を通り且つ移動方向(±X方向)に垂直な仮想的な平面上に位置する部分に接していれば、移動体211E,211Fの姿勢が安定し得る。
<(3)第3実施形態>
上記第1実施形態に係るアクチュエーター2では、移動体211が第1区間Z1に進入する際に、移動体211の底面Ss4が、制動部B1上に乗り上げた。また、第2実施形態に係るアクチュエーター2Eでは、移動体211Eと制動部B1とが、相互に嵌合した。これに対して、第3実施形態に係るアクチュエーター2Jは、制動部B1Jが、移動体211Jに対して、移動体211Jの移動経路Tr1に交差する交差方向に押圧力を付与するタイプ(押圧タイプとも言う)のアクチュエーターである。
図36は、第3実施形態に係るアクチュエーター2Jの外観を模式的に示す斜視図である。図37は、本実施形態に係る第1区間Z12およびその周辺を模式的に示す斜視図である。本実施形態では、上記第1実施形態の第2変形例に係るアクチュエーター2Aの代わりに、アクチュエーター2Jが採用されている。アクチュエーター2Jでは、上記第1実施形態の第2変形例に係る移動機構21Aの代わりに、移動機構21Jが採用されている。
なお、ここでは、移動機構21Jのうちの第1区間Z11およびその周辺における構成と、第1区間Z12およびその周辺における構成とは、略同一である。例えば、移動機構21Jのうちの第1区間Z11およびその周辺における構成と、移動機構21Jのうちの第1区間Z12およびその周辺における構成とが、YZ平面に略平行な仮想的な面を対称面とした面対称の関係を有している。このため、以下では、主に移動機構21Jのうちの第1区間Z12およびその周辺における構成を例に挙げて説明する。
図36および図37で示されるように、移動機構21Jは、移動機構21Aがベースとされて、一部の構成が置換されたものである。例えば、4つの制動部B1が6つの制動部B1Jに置換され、移動体211が、移動体211Jに置換され、第1および第2支持部213,214が、第1および第2支持部213J,214Jに置換されている。ここでは、第1制動部B1aが、第1制動部B1J1に置換されており、第2制動部B1bが、第2および第3制動部B1J2,B1J3に置換されている。また、第3制動部B1cが、第4制動部B1J4に置換されており、第4制動部B1dが、第5および第6制動部B1J5,B1J6に置換されている。
図38は、制動部B1Jの外観の一例を模式的に示す図である。各制動部B1Jは姿勢が異なるが、略同一の構成を有している。このため、図38では、第4および第5制動部B1J4,B1J5が例示されている。
各制動部B1Jは、立方体状の部材の各辺の部分に面取り部が形成された移動体211Jを押圧するための押圧部PB1と、該押圧部PB1の一主面に取り付けられた弾性体としてのばね部Sp1とを有している。第4〜6制動部B1J4〜B1J6は、第2支持部214Jのうちの移動経路Tr1の方向を向いた内壁部に設けられた窪み部Cv1に取り付けられている。
例えば、第4制動部B1J4は、第2支持部214Jのうちの搬送用ベルトBt1のY方向に位置し且つ−Z方向に窪んでいる第4窪み部Cv14に取り付けられている。具体的には、第4窪み部Cv14の−Z方向の底部にばね部Sp1が±Z方向に伸縮自在となるように取り付けられている。これにより、第4制動部B1J4では、ばね部Sp1の±Z方向における伸縮によって押圧部PB1の±Z方向における動きが許容されている。
また、例えば、第5制動部B1J5は、第2支持部214Jのうちの搬送用ベルトBt1の−Y方向に位置し且つ−Z方向に窪んでいる第5窪み部Cv15に取り付けられている。具体的には、第5窪み部Cv15の−Z方向の底部にばね部Sp1が±Z方向に伸縮自在となるように取り付けられている。これにより、第5制動部B1J5では、ばね部Sp1の±Z方向における伸縮によって押圧部PB1の±Z方向における動きが許容されている。
また、例えば、第6制動部B1J6は、第2支持部214Jのうちの移動経路Tr1の−Y方向に位置し且つ−Y方向に窪んでいる第6窪み部Cv16に取り付けられている。具体的には、第6窪み部Cv16の−Y方向の底部にばね部Sp1が±Y方向に伸縮自在となるように取り付けられている。これにより、第6制動部B1J6では、ばね部Sp1の±Y方向における伸縮によって押圧部PB1の±Y方向における動きが許容されている。
なお、第1〜3制動部B1J1〜B1J3は、第4〜6制動部B1J4〜B1J6と同様な態様で、第1支持部213Jに取り付けられている。例えば、第1制御部B1J1は、第4制御部B1J4と同様な態様で、第1支持部213Jに取り付けられている。第2制御部B1J2は、第5制御部B1J5と同様な態様で、第1支持部213Jに取り付けられている。第3制御部B1J3は、第6制御部B1J6と同様な態様で、第1支持部213Jに取り付けられている。そして、第1制動部B1J1が搬送用ベルトBt1のY方向に位置し、第2制動部B1J2が搬送用ベルトBt1の−Y方向に位置し、第3制動部B1J3が移動経路Tr1の−Y方向に位置している。
移動体211Jは、移動経路Tr1と交差する交差方向に凹み且つ移動方向としてのX方向に延在する凹部D1Jを有する。この凹部D1Jは、移動体211Jが第2区間Z2に配されている状態で、制動部B1Jが位置する方向に開口を有している。これにより、第1区間Z1を移動体211Jが移動経路Tr1に沿って移動する際に、第1および第2支持部213J,214Jが有する移動方向としてのX方向に延在する凸部PJ1が凹部D1Jに嵌合する。
例えば、第1区間Z11では、移動体211JのY方向に配されている第1凹部D1Jaが第1支持部213Jの第1凸部PJ1aに嵌合し、移動体211Jの−Y方向に配されている第2凹部D1Jbが第1支持部213Jの第2凸部PJ1bに嵌合する。なお、第1凸部PJ1aは、第1支持部213JのY方向の上端部において移動経路Tr1が位置する方向としての−Y方向に突起し且つX方向に延在している。第2凸部PJ1bは、第1支持部213Jの−Y方向の上端部において移動経路Tr1が位置する方向としてのY方向に突起し且つX方向に延在している。
一方、例えば、第1区間Z12では、第1凹部D1Jaが第2支持部214Jの第3凸部PJ1cに嵌合し、第2凹部D1Jbが第2支持部214Jの第4凸部PJ1dに嵌合する。なお、第3凸部PJ1cは、第2支持部214JのY方向の上端部において移動経路Tr1が位置する方向としての−Y方向に突起し且つX方向に延在している。第4凸部PJ1dは、第2支持部214Jの−Y方向の上端部において移動経路Tr1が位置する方向としてのY方向に突起し且つX方向に延在している。
図39は、移動体211Jが第2区間Z2に位置している場合における移動体211JのYZ断面ならびに移動機構21Jの他の構成をX方向から見た図である。また、図40は、移動体211Jが第1区間Z12に位置している場合における移動体211JのYZ断面ならびに移動機構21Jの他の構成をX方向から見た図である。
図39および図40で示されるように、例えば、移動体211Jが第2区間Z2から第1区間Z12に進入すると、移動体211Jが、ばね部Sp1の弾性力に抗して第4〜6制動部B1J4〜B1J6を押圧する。このとき、第4〜6制動部B1J4〜B1J6のばね部Sp1が、伸びていた状態から縮んでいる状態となる。
±Y方向では、図39および図40で示されるように、移動体211Jの−Y方向の側面211Jsbが第6制動部B1J6の押圧部PB1を−Y方向に押すことで、第6制動部B1J6のばね部Sp1が−Y方向に縮む。このとき、第6制動部B1J6のばね部Sp1の弾性力によって、第6制動部B1J6の押圧部PB1が、移動経路Tr1に交差する交差方向としてのY方向に移動体211Jの−Y方向の側面211Jsbに対して押圧力を付与する。これにより、移動体211JのY方向の側面211Jsaが第2支持部214Jの制動部の一部として働く内壁部214Jsに押し付けられる。その結果、移動体211JのY方向における停止位置が精度良く調整され得る。
そして、ここでは、相互に押圧し合う第6制動部B1J6の押圧部PB1および移動体211Jの側面211JsbがX方向に延在している。また、相互に押圧し合う移動体211Jの側面211Jsaおよび第2支持部214Jの内壁部214JsがX方向に延在している。これにより、Z軸に略平行な仮想的な回転軸を中心とした回転方向における移動体211Jの動きがより確実に規制され得る。その結果、移動体211Jの停止位置が精度良く調整され得る。
図41および図42は、第6制動部B1J6の押圧部PB1によって移動体211JがY方向に押圧される前後の様子を模式的に示す図である。図41では、移動体211Jが第2区間Z2に位置している状態における第6制動部B1J6と移動体211Jとガイド軸216と第2支持部214Jとの関係が示されている。図42では、移動体211Jが第1区間Z12に位置している状態における第6制動部B1J6と移動体211Jとガイド軸216と第2支持部214Jとの関係が示されている。
図41で示されるように、各貫通孔T1の中心にガイド軸216が配されている場合、ガイド軸216の上下左右方向に、貫通孔T1の内壁とガイド軸216との間に略同一の距離Td2を有する間隙が生じる。ここでは、距離Td2と、ガイド軸216の径d1と、貫通孔T1の径Dh1との間には、式(16)の関係が成立する。
Td2=(Dh1−d1)/2 ・・・(16)
ここで、第2区間Z2に位置している移動体211JをX方向から平面視した場合、移動体211JのY方向の側面211Jsaと第2支持部214Jの内壁部214Jsとの間に生じる距離Ga2と距離Td2との間には、式(17)の関係が成立すれば良い。
Ga2<Td2 ・・・(17)
この場合、第1区間Z1において制動部B1Jによって交差方向としてのY方向における移動体211Jの動きが許容される第1許容量が、第2区間Z2においてガイド軸216によってY方向における移動体211Jの動きが許容される第2許容量よりも小さい。
±Z方向では、図39および図40で示されるように、移動体211Jの−Z方向の底面211Jbが第4および第5制動部B1J4,B1J5の押圧部PB1を−Z方向に押し下げつつ、第4および第5制動部B1J4,B1J5のばね部Sp1が−Z方向に縮む。
このとき、第4制動部B1J4のばね部Sp1の弾性力によって、第4制動部B1J4の押圧部PB1が、移動経路Tr1に交差する交差方向としてのZ方向に移動体211Jに対して押圧力を付与する。これにより、移動体211Jにおける第1凹部D1JaのZ方向を向いた内側面D1Jauが、第2支持部214Jの第3凸部PJ1cの−Z方向を向いた制動部の一部として働く側面PJ1cbに押し付けられる。また、第5制動部B1J5のばね部Sp1の弾性力によって、第5制動部B1J5の押圧部PB1が、移動経路Tr1に交差する交差方向としてのZ方向に移動体211Jに対して押圧力を付与する。これにより、移動体211Jにおける第2凹部D1JbのZ方向を向いた内側面D1Jbuが、第2支持部214Jの第4凸部PJ1dの−Z方向を向いた制動部の一部として働く側面PJ1dbに押し付けられる。その結果、移動体211JのZ方向における停止位置が精度良く調整され得る。
なお、ここでは、第1区間Z1において制動部B1Jによって交差方向としてのZ方向における移動体211Jの動きが許容される第1許容量が、第2区間Z2においてガイド軸216によってZ方向における移動体211Jの動きが許容される第2許容量よりも小ければ良い。
そして、ここでは、2つの第4および第5制動部B1J4,B1J5によって移動体211Jが押圧される。これによりX軸に略平行な仮想的な回転軸を中心とした回転方向における移動体211Jの動きがより確実に規制され得る。また、ここでは、相互に押圧し合う第4制動部B1J4の押圧部PB1および移動体211Jの底面211JbがX方向に延在している。相互に押圧し合う移動体211Jの内側面D1Jauおよび第3凸部PJ1cの側面PJ1cbがX方向に延在している。相互に押圧し合う第5制動部B1J5の押圧部PB1および移動体211Jの底面211JbがX方向に延在している。相互に押圧し合う移動体211Jの内側面D1Jbuおよび第4凸部PJ1dの側面PJ1dbがX方向に延在している。これにより、Y軸に略平行な仮想的な回転軸を中心とした回転方向における移動体211Jの動きがより確実に規制され得る。その結果、移動体211Jの停止位置が精度良く調整され得る。したがって、移動体211Jが第1区間Z11の所望の位置に停止され得る。
なお、移動機構21Jでは、移動体211Jが第2区間Z2から第1区間Z11に進入する際には、移動体211Jが第2区間Z2から第1区間Z12に進入する際と同様な動作が行われる。
また、第1区間Z1を移動経路Tr1に沿って移動する移動体211Jは、制動部B1Jならびに第1支持部213Jまたは第2支持部214Jに対して摺動する。例えば、第1区間Z11を移動経路Tr1に沿って移動する移動体211Jは、第1〜3制動部B1J1〜B1J3および第1支持部213Jに対して摺動する。また、第1区間Z12を移動経路Tr1に沿って移動する移動体211Jは、第4〜6制動部B1J4〜B1J6および第2支持部214Jに対して摺動する。このとき、制動部B1Jと移動体211Jとの間、ならびに第1支持部213Jまたは第2支持部214Jと移動体211Jとの間に摩擦力が生じる。
これにより、制動部B1Jによって、移動体211Jに対して移動経路Tr1に沿った移動体211Jの移動方向とは反対方向に制動力が付与される。例えば、第1区間Z11を移動体211Jが移動している際には、第1〜3制動部B1J1〜B1J3によって、移動体211Jに対して制動力が付与される。また、例えば、第1区間Z12を移動体211Jが移動している際には、第4〜6制動部B1J4〜B1J6によって、移動体211Jに対して制動力が付与される。これにより、第1区間Z1では、移動体211Jの移動方向としての±X方向において該移動体211Jが停止する停止位置が高精度に調整され得る。つまり、本実施形態では、2つの第1区間Z11,Z12において、移動体211Jの停止位置が精度良く調整され得る。
また、ここでは、第2区間Z2を移動体211Jが移動経路Tr1に沿って移動する際に、ガイド軸216と移動体211Jとの間に第1摩擦力が生じる。また、第1区間Z1を移動体211Jが移動経路Tr1に沿って移動する際に、制動部B1Jと移動体211Jとの間および制動部の一部として働く第1または第2支持部213J,214Jの表面部と移動体211Jとの間に第2摩擦力が生じる。そして、この第2摩擦力が第1摩擦力よりも大きい。これにより、第2区間Z2では、移動体211Jの高速移動が実現される一方で、第1区間Z1では、移動体211Jの移動方向としての±X方向において該移動体211Jの停止位置が高精度に調整され得る。
但し、押圧部PB1の移動体211Jを押圧する面、移動体211Jの表面ならびに第1および第2支持部213J,214Jの表面における各摩擦係数は、移動体211Jが第1および第2支持部213J,214Jの表面上で摺動可能な値に設定されば良い。つまり、押圧部PB1と移動体211Jとの間、ならびに移動体211Jと第1および第2支持部213J,214Jとの間で生じる±X方向の摩擦力が、駆動源22および駆動機構212によって±X方向に移動体211Jを駆動させる力よりも小さければ良い。
<(3−1)第3実施形態のまとめ>
以上のように、第3実施形態に係る移動機構21Jによれば、制動部B1Jが、移動体211Jに対して、移動体211Jの移動経路Tr1に交差する交差方向としてのYおよびZ方向に押圧力を付与する。これにより、移動体211Jが、Y方向およびZ方向において制動部B1Jと第1支持部213Jまたは第2支持部214Jとの間で挟持される。その結果、移動経路Tr1に交差する交差方向における移動体211Jの動きが規制される。また、制動部B1Jと移動体211Jとの間および制動部の一部として働く第1または第2支持部213J,214Jの表面部と移動体211Jとの間に摩擦力が生じる。その結果、制動部B1Jによって移動体211Jに対して移動経路Tr1に沿った移動体211Jの移動方向とは反対方向に制動力が付与される。
これにより、第2区間Z2では、移動体211Jの高速移動が実現される一方で、第1区間Z1では、移動体211Jの移動方向としての±X方向において該移動体211Jの停止位置が高精度に調整され得る。すなわち、移動体211Jの移動速度を向上させつつ、移動体211Jの停止位置が高精度に調整され得る。また、第3実施形態に係るアクチュエーター2Jによっても、移動体211Jの移動速度を向上させつつ、移動体211Jの停止位置が高精度に調整され得る。さらに、第3実施形態に係る搬送装置によれば、移動体211Jの移動速度が向上されつつ、移動体211Jの停止位置が高精度に調整され得るため、被搬送物9が迅速かつ精度良く搬送され得る。
<(3−2)第3実施形態の変形例>
<(3−2−1)第1変形例>
上記第3実施形態では、第1区間Z1において移動体211Jが第1および第2支持部213J,214Jに取り付けられている制動部B1Jによって押圧力が付与されたが、これに限られない。例えば、制動部B1Jが、案内部としてのガイド軸216に設けられるように、制動部B1Jが設置される位置が変更されても良い。これにより、案内部としてのガイド軸216に取り付けられている制動部B1Kによって押圧力が移動体211に付与されても良い。このような構成でも、上記第3実施形態と同様な効果が得られる。
図43は、第3実施形態の第1変形例に係るアクチュエーター2Kの外観を模式的に示す斜視図である。また、図44は、本変形例に係る第1区間Z12およびその周辺を模式的に示す斜視図である。なお、移動機構21Kのうちの第1区間Z11およびその周辺における構成と、第1区間Z12およびその周辺における構成は、略同一である。本変形例では、上記第3実施形態に係るアクチュエーター2Jの代わりに、アクチュエーター2Kが採用されている。そして、アクチュエーター2Kでは、上記第3実施形態に係る移動機構21Jの代わりに、移動機構21Kが採用されている。移動機構21Kは、上記第1実施形態の第2変形例に係る移動機構21Aがベースとされて、制動部B1の代わりに、各ガイド軸216に制動部B1Kが設けられたものである。
図43および図44で示されるように、移動経路Tr1のうちの第1区間Z1に沿って案内部としての各ガイド軸216に制動部B1Kが設けられている。例えば、移動経路Tr1のうちの第1区間Z11に沿って、第1ガイド軸216aに第1制動部B1Kaが設けられているとともに、第2ガイド軸216bに第2制動部B1Kbが設けられている。また、例えば、移動経路Tr1のうちの第1区間Z12に沿って、第1ガイド軸216aに第3制動部B1Kcが設けられているとともに、第2ガイド軸216bに第4制動部B1Kdが設けられている。
図45は、移動体211が第1区間Z11に位置している場合における移動体211および制動部B1KのYZ断面をX方向から見た図である。図44および図45で示されるように、各制動部B1Kは、ガイド軸216の一部が切り取られたような窪み部Cv1Kに該窪み部Cv1Kに嵌合するような形状の押圧部PB1Kと、該押圧部PB1Kに取り付けられた弾性部としてのばね部Sp1とを有している。また、各制動部B1Kには、ガイド軸216と一体化されており、押圧部PB1Kがばね部Sp1を介して取り付けられている部分(ベース部とも言う)216uも含まれる。そして、ここでは、各制動部B1Kには、X方向に断続的に、複数の押圧部PB1Kおよび複数のばね部Sp1が設けられている。
図45で示されるように、例えば、移動体211が第2区間Z2から第1区間Z11に進入すると、移動体211の貫通孔T1の内壁面が、ばね部Sp1の弾性力に抗して第1および第2制動部B1Ka,B1Kbを押圧する。これにより、第1および第2制動部B1Ka,B1Kbのばね部Sp1が、伸びていた状態から縮んでいる状態となる。このとき、制動部B1Kaのばね部Sp1の弾性力によって、制動部B1Kaの押圧部PB1Kが、移動経路Tr1に交差する交差方向としてのZ方向に移動体211の貫通孔T1のZ方向の内壁面に対して押圧力を付与する。このため、移動体211に対して該移動体211をZ方向に持ち上げる力が付与される。そして、貫通孔T1の曲面状の下部に、ベース部216uの−Z方向の曲面状の下部が内接し、貫通孔T1の曲面状の上部に、押圧部PB1KのZ方向の曲面状の上部が内接している状態となる。これにより、第1区間Z1を移動体211が移動経路Tr1に沿って移動する際に交差方向としてのY方向およびZ方向における移動体211の動きが規制される。その結果、移動体211の移動経路Tr1に交差する交差方向としてのY方向およびZ方向における停止位置が精度良く調整され得る。
なお、第1区間Z1で制動部B1Kによって交差方向における移動体211の動きが許容される第1許容量が、第2区間Z2でガイド軸216によって交差方向における移動体211の動きが許容される第2許容量よりも小ければ良い。ここでは、交差方向は、Y方向およびZ方向である。
そして、ここでは、2本のガイド軸216にそれぞれ設けられた制動部B1Kによって、X軸に略平行な仮想的な回転軸を中心とした回転方向における移動体211の動きが規制される。また、1つの第1区間Z1において各ガイド軸216に制動部B1K1がX方向に沿って断続的に設けられていることで、Y軸およびZ軸にそれぞれ略平行な仮想的な各回転軸を中心とした回転方向における移動体211の動きが規制される。その結果、移動体211の停止位置が精度良く調整され得る。
また、第1区間Z1を移動経路Tr1に沿って移動する移動体211は、制動部B1Kに対して摺動する。例えば、第1区間Z11を移動経路Tr1に沿って移動する移動体211は、第1および第2制動部B1Ka,B1Kbに対して摺動し、第1区間Z12を移動経路Tr1に沿って移動する移動体211は、第3および第4制動部B1Kc,B1Kdに対して摺動する。このとき、制動部B1Kと移動体211との間に摩擦力が生じる。これにより、制動部B1Kによって、移動体211に対して移動経路Tr1に沿った移動体211の移動方向とは反対方向に制動力が付与される。例えば、第1区間Z11を移動体211が移動している際には、第1および第2制動部B1Ka,B1Kbによって、移動体211に対して制動力が付与される。また、例えば、第1区間Z12を移動体211が移動している際には、第3および第4制動部B1Kc,B1Kdによって、移動体211に対して制動力が付与される。これにより、第1区間Z1では、移動体211の移動方向としての±X方向において該移動体211が停止する停止位置が高精度に調整され得る。つまり、本変形例では、2つの第1区間Z11,Z12において、移動体211の停止位置が精度良く調整され得る。
また、ここでは、移動経路Tr1のうちの第2区間Z2を移動体211が移動経路Tr1に沿って移動する際に、ガイド軸216と移動体211との間に第1摩擦力が生じる。そして、移動経路Tr1のうちの第1区間Z1を移動体211Jが移動経路Tr1に沿って移動する際に、制動部B1Kと移動体211との間に生じる第2摩擦力が第1摩擦力よりも大きければ良い。これにより、第2区間Z2では、移動体211の高速移動が実現される一方で、第1区間Z1では、移動体211の移動方向としての±X方向において該移動体211の停止位置が高精度に調整され得る。
<(3−2−2)第2変形例>
上記第3実施形態では、第1区間Z1において移動体211Jが、第1および第2支持部213J,214Jに取り付けられた制動部B1Jのうちの一部分としての押圧部PB1によって押圧力が付与されたが、これに限られない。例えば、押圧部PB1が、移動体211Jの一部分として設けられ、該押圧部PB1によって第1および第2支持部213J,214Jに対して交差方向に押圧力が付与されるように変更されても良い。このような構成でも、上記第3実施形態と同様な効果が得られる。
図46は、第3実施形態の第2変形例に係るアクチュエーター2Lの外観を模式的に示す斜視図である。なお、移動機構21Lのうちの第1区間Z11およびその周辺における構成と、第1区間Z12およびその周辺における構成は、略同一である。本変形例では、上記第3実施形態に係るアクチュエーター2Jの代わりに、アクチュエーター2Lが採用されている。そして、アクチュエーター2Lでは、上記第3実施形態に係る移動機構21Jの代わりに、移動機構21Lが採用されている。移動機構21Lは、上記第3実施形態に係る移動機構21Jがベースとされて、押圧部PB1が、第1および第2支持部213J,214Jに取り付けられる代わりに、移動体211Jに含まれるように変更されたものである。
図46で示されるように、移動機構21Lは、移動機構21Jがベースとされて、制動部B1Jが制動部B1Lに置換され、移動体211Jが、押圧部PB1が弾性体としてのばね部Sp1を介して取り付けられた移動体211Lに置換されたものである。
図47は、移動体211Lが第2区間Z2に位置している場合における移動体211LのYZ断面ならびに移動機構21Lの他の構成をX方向から見た図である。
図46および図47で示されるように、例えば、上記第3実施形態に係る第2支持部214Jに設けられた第4〜6窪み部Cv14〜Cv16が、第4〜6制動部B1L4〜B1L6とされている。つまり、第4〜6制動部B1L4〜B1L6は、移動経路Tr1のうちの第1区間Z12に沿って第2支持部214Jに設けられている。また、例えば、第1〜3制動部B1L1〜B1L3は、第4〜6制動部B1L4〜B1L6と同様に、第1支持部213Jに設けられた窪み部である。つまり、第1〜3制動部B1L1〜B1L3は、移動経路Tr1のうちの第1区間Z11に沿って第1支持部213Jに設けられている。
図47で示されるように、例えば、移動体211Lの−Z方向の底面211Jbのうち、Y方向の端部のX方向に沿った部分に第1押圧部PB11が第1ばね部Sp11を介して取り付けられている。ここでは、移動体211Lに対して第1ばね部Sp11が±Z方向に伸縮自在となるように取り付けられているため、第1ばね部Sp11の±Z方向における伸縮によって第1押圧部PB11の±Z方向における動きが許容されている。また、移動体211Lの−Z方向の底面211Jbのうち、−Y方向の端部のX方向に沿った部分に第2押圧部PB12が第2ばね部Sp12を介して取り付けられている。ここでは、移動体211Lに対して第2ばね部Sp12が±Z方向に伸縮自在となるように取り付けられているため、第2ばね部Sp12の±Z方向における伸縮によって第2押圧部PB12の±Z方向における動きが許容されている。また、移動体211Lの−Y方向の側面211Jsbに第3押圧部PB13が第3ばね部Sp13を介して取り付けられている。ここでは、移動体211Lに対して第3ばね部Sp13が±Y方向に伸縮自在となるように取り付けられているため、第3ばね部Sp13の±Y方向における伸縮によって第3押圧部PB13の±Y方向における動きが許容されている。そして、第1〜3押圧部PB11〜PB13は、それぞれ、X方向に延在し、立方体状の部材の各辺の部分に面取り部が形成された移動体211Lを押圧するための部材である。
図48は、移動体211Lが第1区間Z12に位置している場合における移動体211LのYZ断面ならびに移動機構21Lの他の構成をX方向から見た図である。
図47および図48で示されるように、例えば、移動体211Lが第2区間Z2から第1区間Z12に進入すると、第4〜6制動部B1L4〜B1L6によって第1〜3押圧部PB11〜PB13が押さえつけられる。このとき、第1〜3ばね部Sp11〜Sp13が伸びていた状態から縮んでいる状態となり、第1〜3ばね部Sp11〜Sp13の弾性力によって、第1〜3押圧部PB11〜PB13が第4〜6制動部B1L4〜B1L6を押圧する。つまり、移動体211Lが、第1〜3ばね部Sp11〜Sp13の弾性力によって第4〜6制動部B1L4〜B1L6を押圧する。
±Y方向では、図48で示されるように、移動体211Lの−Y方向における第3押圧部PB13が、第2支持部214Jに設けられた第6制動部B1L6によってY方向に押圧されることで、第3ばね部Sp13が縮む。このとき、第3ばね部Bp13の弾性力によって、第3押圧部PB13が、移動経路Tr1に交差する交差方向としての−Y方向に、第6制動部B1L6に対して押圧力を付与する。つまり、移動体211Lが、第6制動部B1L6に対して押圧力を付与する第3押圧部PB3を有している。これにより、移動体211LのY方向の側面211Jsaが第2支持部214Jの制動部の一部として働く内壁部214Jsに押し付けられる。その結果、移動体211LのY方向における停止位置が精度良く調整され得る。
そして、ここでは、相互に押圧し合う第3押圧部PB13および第6制動部B1L6がX方向に延在し、相互に押圧し合う移動体211Lの側面211Jsaおよび第2支持部214Jの内壁部214JsがX方向に延在している。これにより、Z軸に略平行な仮想的な回転軸を中心とした回転方向における移動体211Lの動きがより確実に規制され得る。その結果、移動体211Lの停止位置が精度良く調整され得る。
そして、ここでも、第1区間Z1で制動部B1Lによって交差方向としてのY方向における移動体211Lの動きが許容される第1許容量が、第2区間Z2でガイド軸216によってY方向における移動体211Lの動きが許容される第2許容量よりも小ければ良い。
±Z方向では、図48で示されるように、移動体211Lの−Z方向における第1押圧部PB11が、第2支持部214Jに設けられた第4制動部B1L4によってZ方向に押圧され、第1ばね部Sp11が縮む。このとき、第1ばね部Bp11の弾性力によって、第1押圧部PB11が、移動経路Tr1に交差する交差方向としての−Z方向に、第4制動部B1L4に対して押圧力を付与する。つまり、移動体211Lが、第4制動部B1L4に対して押圧力を付与する第1押圧部PB1を有している。これにより、移動体211Jにおける第1凹部D1JaのZ方向を向いた内側面D1Jauが、支持部214Jの第3凸部PJ1cの−Z方向を向いた制動部の一部として働く側面PJ1cbに押し付けられる。
また、移動体211Jの−Z方向における第2押圧部PB12が、第2支持部214Jに設けられた第5制動部B1L5によってZ方向に押圧され、第2ばね部Sp12が縮む。このとき、第2ばね部Bp12の弾性力によって、第2押圧部PB12が、移動経路Tr1に交差する交差方向としての−Z方向に、第5制動部B1L5に対して押圧力を付与する。つまり、移動体211Lが、第5制動部B1L5に対して押圧力を付与する第2押圧部PB12を有している。これにより、移動体211Jにおける第2凹部D1JbのZ方向を向いた内側面D1Jbuが、第2支持部214Jの第4凸部PJ1dの−Z方向を向いた制動部の一部として働く側面PJ1dbに押し付けられる。その結果、移動体211JのZ方向における停止位置が精度良く調整され得る。
ここでも、第1区間Z1で制動部B1Lによって交差方向としてのZ方向における移動体211Lの動きが許容される第1許容量が、第2区間Z2でガイド軸216によってZ方向における移動体211Lの動きが許容される第2許容量よりも小ければ良い。
そして、ここでは、2つの第1および第2押圧部PB11,PB12によって第4および第5制動部B1L4,B1L5が押圧されることで、X軸に略平行な仮想的な回転軸を中心とした回転方向における移動体211Jの動きが確実に規制され得る。また、ここでは、相互に押圧し合う第1押圧部PB11および第4制動部B1L4がX方向に延在し、相互に押圧し合う移動体211Jの内側面D1Jauおよび第3凸部PJ1cの側面PJ1cbがX方向に延在している。さらに、相互に押圧し合う第2押圧部PB12および第5制動部B1L5がX方向に延在し、相互に押圧し合う移動体211Jの内側面D1Jbuおよび第4凸部PJ1dの側面PJ1dbがX方向に延在している。これにより、Y軸に略平行な仮想的な回転軸を中心とした回転方向における移動体211Jの動きがより確実に規制され得る。その結果、移動体211Lの停止位置が精度良く調整され得る。したがって、移動体211Lが第1区間Z12の所望の位置に停止され得る。
なお、移動機構21Lでは、移動体211Lが第2区間Z2から第1区間Z11に進入する際には、移動体211Lが第2区間Z2から第1区間Z12に進入する際と同様な動作が行われる。
また、第1区間Z1を移動経路Tr1に沿って移動する移動体211Lは、押圧部PB1において制動部B1Lに対して摺動する。例えば、第1区間Z11を移動経路Tr1に沿って移動する移動体211Lは、第1〜3押圧部PB11〜PB13において第1〜3制動部B1L1〜B1L3に対して摺動する。また、例えば、第1区間Z12を移動経路Tr1に沿って移動する移動体211Lは、第1〜3押圧部PB11〜PB13において第4〜6制動部B1L4〜B1L6に対して摺動する。このとき、制動部B1Lと移動体211Lとの間に摩擦力が生じる。
これにより、制動部B1Lによって、移動体211Lに対して移動経路Tr1に沿った移動体211Lの移動方向とは反対方向に制動力が付与される。例えば、第1区間Z11を移動体211Lが移動している際には、第1〜3制動部B1L1〜B1L3によって、移動体211Lに対して制動力が付与される。また、例えば、第1区間Z12を移動体211Lが移動している際には、第4〜6制動部B1L4〜B1L6によって、移動体211Lに対して制動力が付与される。これにより、第1区間Z1では、移動体211Lの移動方向としての±X方向において該移動体211Lが停止する停止位置が高精度に調整され得る。つまり、本実施形態では、2つの第1区間Z11,Z12において、移動体211Lの停止位置が精度良く調整され得る。
また、ここでは、第2区間Z2を移動体211Lが移動経路Tr1に沿って移動する際に、ガイド軸216と移動体211Lとの間に第1摩擦力が生じる。また、第1区間Z1を移動体211Lが移動経路Tr1に沿って移動する際に、制動部B1Lと移動体211Lとの間および制動部の一部として働く第1または第2支持部213J,214Jの表面部と移動体211Lとの間に第2摩擦力が生じる。そして、第2摩擦力が、第1摩擦力よりも大きい。これにより、第2区間Z2では、移動体211Lの高速移動が実現される一方で、第1区間Z1では、移動体211Lの移動方向としての±X方向において該移動体211Lの停止位置が高精度に調整され得る。
なお、押圧部PB1の制動部B1Lを押圧する部分、制動部B1L、移動体211Lならびに第1および第2支持部213Jの各表面における各摩擦係数は、押圧部PB1が制動部B1Lを押圧している状態で移動体211Lが摺動可能な値に設定されれば良い。つまり、押圧部PB1と制動部B1Lとの間、ならびに移動体211Lと第1および第2支持部213J,214Jとの間で生じる±X方向の摩擦力が、駆動源22および駆動機構212によって±X方向に移動体211Lを駆動させる力よりも小さければ良い。
<(3−2−3)その他の変形例>
例えば、上記第3実施形態ならびにその第2変形例では、案内部としてのガイド軸216が設けられていたが、これに限られない。例えば、ガイド軸216が取り除かれても良い。
なお、上記第3実施形態およびその第1および第2変形例でも、第1区間Z1で、制動部B1J,B1K,B1Lが、移動体211,211J,211Lの重心を通り且つ移動方向(±X方向)に垂直な仮想的な平面上に位置する部分に接していれば、移動体211,211J,211Lの姿勢が安定し得る。
<(4)第4実施形態>
上記第3実施形態に係るアクチュエーター2Jでは、制動部B1Jが、移動体211Jに対して、移動体211Jの移動経路Tr1に交差する交差方向に押圧力を付与した。これに対して、第4実施形態に係るアクチュエーター2Mでは、制動部B1Mが、移動体211Mを引き付ける部分(引き付け部とも言う)を含む。すなわち、第4実施形態に係るアクチュエーター2Mは、制動部B1Mが移動体211Mを引き付けるタイプ(引き付けタイプとも言う)のアクチュエーターである。
図49は、第4実施形態に係るアクチュエーター2Mの外観を模式的に示す斜視図である。図50は、本実施形態に係る移動体211Mならびに第1区間Z12の周辺を模式的に示す斜視図である。本実施形態では、上記第3実施形態の第2変形例に係るアクチュエーター2Lの代わりに、アクチュエーター2Mが採用されている。アクチュエーター2Mでは、上記第3実施形態の第2変形例に係る移動機構21Lの代わりに、移動機構21Mが採用されている。
図49および図50で示されるように、移動機構21Mは、移動機構21Lがベースとされて、第1および第2支持部213J,214J、第1,2,4および5制動部B1L1,B1L2,B1L4,B1L5ならびに移動体211Lの構成が変更されたものである。
例えば、第1および第2支持部213M,214Mは、第1および第2支持部213J,214Jから凸部PJ1および−Z方向に窪む窪み部Cv1が削除されたものである。
制動部B1Mは、第1,2,4および第5制動部B1L1,B1L2,B1L4,B1L5の代わりにそれぞれ採用されたものである。具体的には、第1制動部B1L1が第1制動部B1M1に置換され、第2制動部B1L2が第2制動部B1M2に置換され、第4制動部B1L4が第4制動部B1M4に置換され、第5制動部B1L5が第5制動部B1M5に置換されている。そして、各制動部B1Mは、第1および第2支持部213M,214Mのうちの移動経路Tr1の方向を向いている内壁部に設けられたZ方向の主面がXY平面に略平行である磁石である。各制動部B1Mは、例えば、XY平面に略平行な盤面を有し且つX方向に延在する板状の磁石(磁石板とも言う)であれば良い。この磁石板は、例えば、永久磁石を加工することで得られる。そして、各制動部B1Mは、例えば、第2区間Z2側の端部近傍において第2区間Z2に向けてZ方向の厚さが減少するテーパー状の部分(テーパー部とも言う)Tp1Mを有していれば良い。テーパー部Tp1Mは、XY平面に略平面な底面とXY平面に対して傾斜している傾斜面とを有している。
移動体211Mは、移動体211Lのうち、第1ばね部Sp11および第1押圧部PB11、ならびに第2ばね部Sp12および第2押圧部PB12が、それぞれ複数のボールローラー部BR1に置換され、凹部D1Jが削除された構成を有している。また、例えば、移動体211Mの本体部BD1Mが磁性体で構成されていれば、制動部B1Mが、移動体211Mを引き付ける部分としての役割を果たす。そして、本体部BD1Mの底面211JbのうちのY方向の端部に沿った領域および−Y方向の端部に沿った領域にそれぞれ複数のボールローラー部BR1が配列されている。
図51は、移動体211Mが第1区間Z12に位置している場合における移動体211MのYZ断面ならびに移動機構21Mの他の構成をX方向から見た図である。
ボールローラー部BR1は、ボール部BR11と、該ボール部BR11を回転自在に保持するボール保持部BR12とを有している。なお、移動体211Mにおいては、本体部BD1Mの底面211bに対して、圧入等によって、ボール保持部BR12が固定されている。なお、ここでは、ボールローラー部BR1は、非磁性体であれば良い。
図52および図53は、移動体211Mが制動部B1Mに引き付けられる態様を模式的に示す図である。図52では、移動体211Mが第2区間Z2に位置している状態における移動体211M、ガイド軸216および制動部B1MのXZ断面が模式的に示されている。また、図53では、移動体211Mが第1区間Z1に位置している状態における移動体211M、ガイド軸216および制動部B1MのXZ断面が模式的に示されている。
ここで、図52で示されるように、移動体211Mの貫通孔T1の径Dh1と、ガイド軸216の径d1と、移動体211Mの貫通孔T1において本体部BD1Mとガイド軸216との隙間のZ方向における距離Td3との間には、式(18)の関係が成立する。
Td3=Dh1−d1 ・・・(18)
また、ここで、移動体211Mが第2区間Z2から第1区間Z1に進入する前に、制動部B1MのZ方向の上面B1Muと、ボールローラー部BR1のボール部BR11の最も−Z方向の点(最下点とも言う)との間においてZ方向における高さの差分Td4が生じる。この高さの差分Td4と、距離Td3との間には、式(19)の関係が成立する。
Td4<Td3 ・・・(19)
この式(19)の関係が満たされる場合には、移動体211Mが第2区間Z2から第1区間Z1に容易に進入することができる。
さらに、−Y方向から見た場合、テーパー部Tp1Mの傾斜面とXY平面とが成す角度θ3と、ボール部BR11および移動体211Mの双方あるいはボール部BR11およびボール保持部BR12の双方に接する一接線とXY平面とが成す角度θ4との間には、式(20−1)および式(20−2)の関係が成立する。
θ3<θ4 ・・・(20−1)
θ3<45° ・・・(20−2)
この式(20−1)および式(20−2)の関係が満たされる場合には、移動体211Mおよびボール保持部BR12が、制動部B1Mに引っかかり難いため、移動体211Mが第2区間Z2から第1区間Z1に円滑に進入し得る。
また、図53で示されるように、移動体211Mが第2区間Z2から第1区間Z1に進入すると、磁性体としての本体部BD1Mが、磁石としての制動部B1Mに引き付けられる。このとき、ボール部BR11の−Z方向の最下点と制動部B1MのZ方向の上面B1Muとが接触し、本体部BD1Mによってボールローラー部BR1が制動部B1Mに対して押し付けられる。この状態で、移動体211Mが±X方向に移動されると、ボール部BR11のボール保持部BR12に対する摺動およびボール部BR11の制動部B1Mに対する摺動が生じ得る。これにより、制動部B1Mと移動体211Mとの間に摩擦力が生じる。なお、例えば、ボール部BR11が制動部B1Mに対して摺動しない場合、ボール部BR11が移動体211Mに含まれていないものとみなされれば、移動体211Mがボール部BR11を介して制動部B1Mに対して摺動する。このとき、制動部B1Mと移動体211Mとの間には、ボール部BR11を介して摩擦力が生じる。
換言すれば、例えば、第1区間Z11を移動経路Tr1に沿って移動する移動体211Mは、ボールローラー部BR1において、制動部B1M1,B1M2に対して摺動し得る。また、第1区間Z12を移動経路Tr1に沿って移動する移動体211Mは、ボールローラー部BR1において、制動部B1M4,B1M5に対して摺動し得る。そして、このとき、制動部B1Mと移動体211Mとの間に摩擦力が生じる。その結果、制動部B1Mによって、移動体211Mに対して移動経路Tr1に沿った移動体211Mの移動方向とは反対方向に制動力が付与される。例えば、第1区間Z11を移動体211Mが移動している際には、制動部B1M1,B1M2によって、移動体211Mに対して制動力が付与される。また、例えば、第1区間Z12を移動体211Mが移動している際には、制動部B1M4,B1M5によって、移動体211Mに対して制動力が付与される。これにより、第1区間Z1では、移動体211Mの移動方向としての±X方向において該移動体211Mが停止する位置(停止位置とも言う)が高精度に調整され得る。つまり、本実施形態では、2つの第1区間Z11,Z12において、移動体211Mの停止位置が精度良く調整され得る。
また、ここでは、移動経路Tr1のうちの第2区間Z2を移動体211Mが移動経路Tr1に沿って移動する際に、ガイド軸216と移動体211Mとの間に第1摩擦力が生じる。そして、移動経路Tr1のうちの第1区間Z1を移動体211Mが移動経路Tr1に沿って移動する際に、制動部B1Mと移動体211Mとの間に生じる第2摩擦力が第1摩擦力よりも大きい。これにより、第2区間Z2では、移動体211Jの高速移動が実現される一方で、第1区間Z1では、移動体211Mの移動方向としての±X方向において該移動体211Mの停止位置が高精度に調整され得る。
<(4−1)第4実施形態のまとめ>
以上のように、第4実施形態に係る移動機構21Mによれば、制動部B1Mが、移動体211Mを引き付ける。これにより、移動体211Mが、−Z方向において制動部B1Mの上面B1Mu上に押し付けられる。その結果、移動経路Tr1に交差する交差方向における移動体211Mの動きが規制される。また、制動部B1Mと移動体211Mとの間に摩擦力が生じることで、制動部B1Mによって移動体211Mに対して移動経路Tr1に沿った移動体211Mの移動方向とは反対方向に制動力が付与される。
これにより、第2区間Z2では、移動体211Mの高速移動が実現される一方で、第1区間Z1では、移動体211Mの移動方向としての±X方向において該移動体211Mの停止位置が高精度に調整され得る。すなわち、移動体211Mの移動速度を向上させつつ、移動体211Mの停止位置が高精度に調整され得る。また、第4実施形態に係るアクチュエーター2Mによっても、移動体211Mの移動速度を向上させつつ、移動体211Mの停止位置が高精度に調整され得る。さらに、第4実施形態に係る搬送装置によれば、移動体211Mの移動速度が向上されつつ、移動体211Mの停止位置が高精度に調整され得るため、被搬送物9が迅速かつ精度良く搬送され得る。
<(4−2)第4実施形態の変形例>
例えば、上記第4実施形態では、制動部B1Mが、移動体211Mを引き付ける引き付け部としての役割を果たしていたが、これに限られない。例えば、移動体211Mおよび制動部B1Mのうちの一方の部分が、移動体211Mおよび制動部B1Mのうちの一方の部分とは異なる他方の部分を引き付ける引き付け部を含む範囲内であれば、構成上の各種の変更が行われても良い。例えば、制動部B1Mが、磁性体によって構成され、移動体211Mが、引き付け部としての磁石の部分を含む態様が考えられる。この場合、移動体211Mが制動部B1Mを引き付けるが、制動部B1Mが固定されていれば、実質的には移動体211Mが制動部B1Mに引き付けられる。
また、上記第4実施形態では、案内部としてのガイド軸216が設けられていたが、これに限られない。例えば、ガイド軸216が取り除かれても良い。
なお、上記第4実施形態でも、第1区間Z1で、制動部B1Mが、移動体211Mの重心を通り且つ移動方向(±X方向)に垂直な仮想的な平面上に位置する部分に接していれば、移動体211Mの姿勢が安定し得る。
<(5)その他>
なお、本発明は上記第1〜4実施形態および上記各種変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
例えば、上記第1〜4実施形態および上記各種変形例では、1つまたは2つの第1区間Z1が設けられていたが、これに限られない。例えば、3以上の第1区間Z1が設けられても良い。例えば、図54および図55で示されるように、第1実施形態に係る移動機構21の代わりに、該移動機構21がベースとされて、第2区間Z2のX方向における略中央の部分に制動部B1がさらに設けられた移動機構21Nが採用される態様が考えられる。ここでは、例えば、台板215上において第1支持部213から第2支持部214までX方向に沿って直線状に配されている線路部RL1に、制動部B1を支持しているYZ断面がU字状の第3支持部217が取り付けられている。また、第3支持部217の±Y方向において対向する2面に第5制動部B1eおよび第6制動部B1fがそれぞれ取り付けられている。このような構成が採用される場合、3つの第1区間Z1において、移動体211が停止する位置が精度良く調整され得る。
また、上記第1〜4実施形態および上記各種変形例では、移動経路Tr1が直線状の経路であったが、これに限られない。例えば、移動経路Tr1が折れ線状あるいは曲線状の種々の形状の経路であっても良い。図56は、本変形例に係るに係るアクチュエーター2Oの外観を模式的に示す斜視図であり、図57は、本変形例に係るアクチュエーター2OのXZ断面を−Y方向から見た様子を模式的に示す図である。本変形例では、上記第1実施形態に係るアクチュエーター2の代わりに、アクチュエーター2Oが採用されている。そして、アクチュエーター2Oでは、上記第1実施形態に係る移動機構21の代わりに、移動機構21Oが採用されている。
図56および図57で示されるように、移動機構21Oでは、駆動ローラーR1と従動ローラーR2とを結ぶ仮想的な直線状の領域からZ方向にずらされた位置に従動ローラーR3,R4が配されている。そして、台板215の一主面上において−X方向に駆動源22および第1〜6支持部214a〜214fがこの順に固定されている。第1〜6支持部214a〜214fは、それぞれXZ平面に略平行な盤面を有し且つ移動経路Tr11をY方向に挟む一対の板状の部材を有している。ここでは、第1支持部214aにおける一対の板状の部材の移動経路Tr11を向いた箇所に一対の制動部B1(具体的には、第1および第2制動部B1a,B1b)が設けられている。また、第2支持部214bにおける一対の板状の部材によってその間隙において従動ローラーR4が回動自在に支持されている。また、第3支持部214cにおける一対の板状の部材の移動経路Tr11を向いた箇所に一対の制動部B1(具体的には、第5および第6制動部B1e,B1f)が設けられている。また、第4支持部214dにおける一対の板状の部材によってその間隙において従動ローラーR3が回動自在に支持されている。また、第5支持部214eにおける一対の板状の部材の移動経路Tr11を向いた箇所に一対の制動部B1(具体的には、第3および第4制動部B1c,B1d)が設けられている。
また、搬送用ベルトBt1は、−Y方向から見て、時計回りに、駆動ローラーR1、従動ローラーR2〜R4の順に円環状に掛け回されており、円環状の搬送用ベルトBt1の内周面に接するように駆動ローラーR1および従動ローラーR2〜R4が配されている。そして、搬送用ベルトBt1に対してその延在方向に張力が付与された状態で、搬送用ベルトBt1が、駆動ローラーR1の外周面から従動ローラーR2の外周面にかけて−X方向に架設されている。また、搬送用ベルトBt1が、従動ローラーR2の外周面から従動ローラーR3の外周面にかけてX方向に行くほどZ方向に上昇する方向に沿って架設されている。また、搬送用ベルトBt1が、駆動ローラーR3の外周面から従動ローラーR4の外周面にかけてX方向に沿って架設されている。また、搬送用ベルトBt1が、従動ローラーR4の外周面から駆動ローラーR1の外周面にかけてX方向に行くほど−Z方向に下降する方向に沿って架設されている。これにより、駆動源22による搬送用ベルトBt1の回転に応じて移動体211が移動する移動経路Tr11は、折れ線状の経路となる。
そして、駆動源22による駆動ローラーR1の回転に応じて回転する円環状の搬送用ベルトBt1に移動体211が取り付けられているため、予め設定されている移動経路Tr11に沿って移動体211を移動させる駆動機構212Oが実現される。また、移動経路Tr11のうちの3つの領域をそれぞれY方向に挟む一対の制動部B1が配されている。これにより、移動経路Tr11は、3つの第1区間Z1と、その間隙の2つの第2区間Z2とを有する。具体的には、Z方向から平面視した場合、−X方向に第1区間Z11、第2区間Z21、第1区間Z13、第2区間Z22および第1区間Z12がこの順に配されている。
また、上記第1〜4実施形態および上記各種変形例では、円環状に配されていた搬送用ベルトBt1またはボール螺子Bs1によって移動体211,211E〜211J,211L,211Mを移動経路Tr1,Tr11に沿って移動させたが、これに限られない。例えば、或る点を支点としてシャフトが回転することで、移動体211,211E〜211J,211L,211Mが移動する態様が考えられる。また、例えば、2以上の部材の間に架設されたワイヤーの駆動によって、移動体211が移動する態様も考えられる。
また、上記第1〜4実施形態および上記各種変形例では、移動体211に取り付けられた保持機構3の把持部32によって被搬送物9が把持されたが、これに限られない。例えば、保持機構3は、吸引等の別の方法によって被搬送物9を保持するものに置換されても良い。
また、上記第1〜4実施形態および上記各種変形例では、移動体211に取り付けられた保持機構3で被搬送物9が搬送されたが、これに限られない。例えば、移動体211に各種センサーが取り付けられるような態様が考えられる。すなわち、移動機構およびアクチュエーターの用途は、搬送装置だけには限られず、各種物体を含む移動体を移動経路Tr1に沿って移動させるものであれば良い。
なお、上記第1〜4実施形態および各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。例えば、上記嵌合タイプの形態、上記押圧タイプの形態および上記引き付けタイプの形態のうちの2以上の形態が適宜組み合わされても良い。