(第1実施例)
本明細書の第1〜6実施例のうち、後述する第6実施例が特に本願の特許請求の範囲と対応する実施例として記載し、第1〜5実施例はその参考例ないし応用例として以下説明する。第1実施例のぱちんこ遊技機においては、従来にいう第1種ぱちんこ遊技機に相当する遊技が複数混在する。その複数の遊技としての第1の遊技と第2の遊技とが、同時に実行されないよう第2の遊技が優先的に実行される。またこれらの遊技性を両立させるために、本実施例のぱちんこ遊技機は、複数の始動入賞口、複数の特別図柄表示装置、複数の保留ランプ、複数の大入賞口を備える。
連続的な大当り、いわゆる連チャンを獲得した後の確変状態または時短状態は、次の大当りの期待も高い状態である上にすでに大きな利益を獲得した後である。そのような既得感のある状態では、さらに必要以上に遊技者の期待を煽ることはかえって遊技者に煩わしさを与えかねないため、当否抽選の結果が大当りでない限りリーチ演出の選択頻度を低くする変動パターンテーブルに切り替える。一方、本実施例の確変は、図柄変動回数が所定の終期回数に達したときに終了してしまう確変であるため、確変中とは言っても確変中に次の大当りが出ることは必ずしも約束されているわけではない。したがって、リーチ演出がまったく出現しないまま確変が終了してしまうと、逆に今度は何ら期待感を与えられないまま確変が終了してしまうこととなり、確変の演出としては不十分なものとなりかねない。
そこで、連チャン後の確変状態または時短状態においては当否抽選の結果が大当りでない限りリーチ演出の選択頻度を低くする一方、連チャンでない、いわゆる「初当り」の後の状態では、外れであっても比較的リーチ演出も出現させて遊技者の期待を煽る。ただし、形式的には連チャンであったとしても、ほぼ出玉のない大当りである場合には、実質的には遊技者は連続的な大当りの利益を得ていないと言える。そのため、ほぼ出玉のない大当りが発生しても実質的には大当りとしてカウントせずに、その後に大当りが発生しても連チャンとは扱わない。また、そのような大当りが発生した後は初当りとは扱わずに、大当りか否かに関わらず比較的リーチ演出を出現させて遊技者の期待を煽る。
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、遊技状態などに応じた効果音が出力される。
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、第1特別図柄表示装置70、第2特別図柄表示装置71、演出図柄表示装置60、第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、センター飾り64、第1大入賞口91、第2大入賞口92、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない多数の遊技釘や風車などの機構が設置される。
第1始動入賞口62は第1の遊技に対応する始動入賞口として設けられ、第2始動入賞口63は第2の遊技に対応する始動入賞口として設けられる。第1始動入賞口62および第2始動入賞口63は、遊技球の発射強弱によっていずれかを目標にした打ち分けが可能な程度に互いに離れた位置に設けられる。第1始動入賞口62と第2始動入賞口63は、遊技者の意思にしたがった遊技球の発射強弱によっていずれか一方への入球を狙うことが可能となるよう、それぞれ遊技領域52の左側と右側に離れて設置され、一方を狙った遊技球が他方へ入球しがたい構成となっている。たとえば、第1始動入賞口62は遊技領域52の左側を狙って比較的弱めに発射したときに入球しやすくなるような位置に設けられ、第2始動入賞口63は遊技領域52の右側を狙って比較的強めに発射したときに入球しやすくなるような位置に設けられる。
第1始動入賞口62は、始動入賞検出装置74を備える。始動入賞検出装置74は、第1始動入賞口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第1始動入賞情報を生成する。第2始動入賞口63は、始動入賞検出装置75と、普通電動役物65と、普通電動役物65を開閉させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。始動入賞検出装置75は、第2始動入賞口63への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第2始動入賞情報を生成する。普通電動役物ソレノイド76の駆動力により普通電動役物65が拡開されると、第2始動入賞口63への入球容易性が高まる。また、第2始動入賞口63は図示するとおり遊技領域52の右側における狭い通路に設けられているので、右側を狙って強めに打球した遊技球の多くが少なくとも第2始動入賞口63の近傍に集まり、第2始動入賞口63の入球可能性は高い。これに対して第1始動入賞口62には普通電動役物が設置されておらず、しかも狭い通路から離れた位置に設けられている。したがって、普通電動役物65が拡開されれば第1始動入賞口62よりも第2始動入賞口63の方が入球可能性が相対的に高くなるような配置または構成の関係となっている。
一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を複数備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。
第1大入賞口91は第1の遊技に対応する大入賞口として設けられ、第2大入賞口92は第2の遊技に対応する大入賞口として設けられる。第1大入賞口91は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、第1大入賞口91を開閉させるための大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、第1大入賞口91への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第1大入賞口入賞情報を生成する。第2大入賞口92は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置79と、第2大入賞口92を開閉させるための大入賞口ソレノイド81を備える。入賞検出装置79は、第2大入賞口92への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第2大入賞口入賞情報を生成する。第1大入賞口91は、第1特別図柄192が所定の態様にて停止したときに「大当り」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。第1大入賞口91はアウト口58の上方の位置に設けられる。第2大入賞口92は、第2特別図柄193が所定の態様にて停止したときに「大当り」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。第2大入賞口92はアウト口58の右上方の位置に設けられる。なお、変形例として、第1の遊技と第2の遊技で単一の大入賞口を共用する形でもよい。
遊技領域52の略中央に演出図柄表示装置60が設けられ、その左下方に第1の遊技に対応する第1特別図柄表示装置70と第2の遊技に対応する第2特別図柄表示装置71とが互いに左右に隣接するように設けられる。第1特別図柄表示装置70には第1の遊技に対応する第1特別図柄192の変動が表示され、第2特別図柄表示装置71には第2の遊技に対応する第2特別図柄193の変動が表示される。第1特別図柄192は、第1始動入賞口62への遊技球の入球を契機として行われる第1の抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が所定の当り態様にて停止されたときに特別遊技としての大当りが発生する。第2特別図柄193は、第2始動入賞口63への遊技球の入球を契機として行われる第2の抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が所定の当り態様にて停止されたときに特別遊技としての大当りが発生する。第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71は、例えば7セグメントLEDで構成される表示手段であり、第1特別図柄192および第2特別図柄193はそれぞれ「0」〜「9」の10種類の数字と記号「−」で表される。
演出図柄表示装置60の表示領域194には第1特別図柄192に連動する装飾図柄190または第2特別図柄193に連動する装飾図柄190の変動が表示される。演出図柄表示装置60は、たとえば液晶ディスプレイである。装飾図柄190は、第1特別図柄192で示される第1の抽選の結果表示または第2特別図柄193で示される第2の抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出図柄表示装置60は、装飾図柄190として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を表示領域194に表示する。演出図柄表示装置60は、この実施例では液晶ディスプレイで構成されるが、機械式のドラムやLEDなどの他の表示手段で構成されてもよい。なお、第1特別図柄192および第2特別図柄193は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出図柄表示装置60の左下方の第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71にて目立たない大きさで表示させるが、特別図柄自体に演出的な役割をもたせて装飾図柄を表示させないような手法を採用する場合には、特別図柄を演出図柄表示装置60のような液晶ディスプレイに表示させてもよい。
作動口68は、遊技盤50の右側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は第2始動入賞口63の普通電動役物65を拡開させるための開放抽選の契機となる。
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当りながらその当り方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72、第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、第1大入賞口91、第2大入賞口92の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
遊技球が第1始動入賞口62に入球すると、第1特別図柄表示装置70において第1特別図柄192が変動表示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190が変動表示される。遊技球が第2始動入賞口63に入球すると、第2特別図柄表示装置71において第2特別図柄193が変動表示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190が変動表示される。第1特別図柄192、第2特別図柄193、装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された変動時間の経過後に停止される。停止時の第1特別図柄192および装飾図柄190が大当り態様であった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、第1大入賞口91の開閉動作が開始される。このときスロットマシンのゲームを模した装飾図柄190は、3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。停止時の第2特別図柄193および装飾図柄190が大当り態様であった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、第2大入賞口92の開閉動作が開始される。
特別遊技は、第1大入賞口91または第2大入賞口92が開放される単位遊技が複数回繰り返される遊技であり、単位遊技が15回または8回繰り返されて多くの出玉を獲得できる第1特別遊技と、短い単位遊技が2回だけ繰り返されてほぼ出玉のない第2特別遊技とがある。15回の単位遊技が繰り返される第1特別遊技(以下、適宜「15R大当り」とも称する)や8回の単位遊技が繰り返される第1特別遊技(以下、適宜「8R大当り」とも称する)の場合、第1大入賞口91または第2大入賞口92は約30秒間開放されたとき、または9球以上の遊技球が落入したときに一旦閉鎖されることで1回の単位遊技が終了する。2回の単位遊技が繰り返される第2特別遊技(以下、適宜「2R大当り」とも称する)の場合、第1大入賞口91または第2大入賞口92は約0.2秒間開放されたときに一旦閉鎖されることで1回の単位遊技が終了する。
停止時の第1特別図柄192および装飾図柄190が所定の小当り態様であった場合、1回の単位遊技で構成される小当り遊技に移行し、第1大入賞口91の開閉動作が実行される。停止時の第2特別図柄193および装飾図柄190が小当り態様であった場合もまた小当り遊技に移行し、第2大入賞口92の開閉動作が実行される。小当り遊技を構成する1回の単位遊技においては、第1大入賞口91または第2大入賞口92が約0.2秒間の開放を2回繰り返すので、外観上は2R大当りと同様の動作態様となる。
特別遊技が発生した場合であって抽選などの所定の条件が満たされた場合、特別遊技の終了後に特定遊技として確率変動遊技(以下、「確変」という)や変動時間短縮(以下、「時短」という)が開始される。確変中は、通常の確率状態より大当りの確率が高い抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生する。確変状態は、第1特別図柄192または第2特別図柄193が大当りとなるか、確変開始から図柄変動回数が36回に達するまで継続される。確変は、大当りの発生に伴い必ずその特別遊技の終了後に開始される。時短は、第1特別図柄192と第2特別図柄193の変動表示の合計が所定の終了条件回数に達するまで継続される。終了条件回数は、例えば36回、68回、100回のいずれかがランダムに設定される。時短中は、第1特別図柄192または第2特別図柄193の変動時間が概ね短縮される。時短は、15R大当りまたは8R大当りの場合にだけ特別遊技終了後に開始される。
作動口68を遊技球が通過すると、所定時間、普通図柄と呼ばれる図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。普通図柄表示装置59は第1大入賞口91の右方に設けられ、本実施例では二つのランプが交互に点灯と消灯を繰り返す形で普通図柄の変動表示を表現し、どちらのランプが最終的に点灯したまま停止するかによって普通図柄の抽選結果を表す。所定時間の経過後に普通図柄の変動表示が所定の当り態様にて停止すると、第2始動入賞口63の普通電動役物65が所定時間拡開する。このとき、通常状態では例えば1/256程度の低確率にて普通図柄が当り態様で停止し、後述する入球容易状態では例えば250/256程度の高確率にて普通図柄が当り態様で停止する。普通図柄が当り態様で停止すると、普通電動役物65が所定時間拡開される。普通電動役物65の開放時間は、例えば通常状態では0.1秒間であり、入球容易状態では6秒間である。
演出図柄表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、演出図柄表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。遊技効果ランプ90がセンター飾り64の上部および下部に設けられ、点滅等することで演出の役割を果たす。第1の遊技に対応する第1特図保留ランプ20は第1特別図柄表示装置70の上方に設けられ、第2の遊技に対応する第2特図保留ランプ21は第2特別図柄表示装置71の上方に設けられ、普通図柄変動に対応する普図保留ランプ22は普通図柄表示装置59の下方に設けられる。第1特図保留ランプ20および第2特図保留ランプ21は、それぞれ2個のランプからなり、それぞれの点灯個数または点滅個数によって第1の遊技および第2の遊技のそれぞれにおける当否抽選値の保留数を表示する。第1特図保留ランプ20における当否抽選値の保留数は、第1特別図柄192の変動中または特別遊技の実行中に第1始動入賞口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。第2特図保留ランプ21における当否抽選値の保留数は、第2特別図柄193の変動中または特別遊技の実行中に第2始動入賞口63へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。普図保留ランプ22もまた2個のランプからなり、その点灯個数または点滅個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。操作ボタン82は、遊技者が遊技機側所定の指示を入力するために操作するボタンである。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、とくに第1始動入賞口62、第2始動入賞口63へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出図柄表示装置60における表示内容を制御し、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。裏セット機構39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
図3は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、第1大入賞口91、第2大入賞口92、一般入賞口72、作動口68、第1特別図柄表示装置70、第2特別図柄表示装置71、演出図柄表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作や遊技の進行を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御する主制御装置としてのメイン基板102と、図柄の演出等を制御する副制御装置としてのサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、第1抽選手段126、第2抽選手段128、普図抽選手段136、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、小当り遊技制御手段330、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124、条件保持手段176を備える。本実施例におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、演出決定手段132、演出表示制御手段134を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
ただし、メイン基板102とサブ基板104の間におけるデータの送受信はメイン基板102からサブ基板104への一方向であるため、そのような一方向でのデータ送受信にて全体動作が実現されるよう各構成がメイン基板102とサブ基板104に配置される。このようにメイン基板102からサブ基板104へのデータ送信の一方向性が保たれるため、サブ基板104に含まれる構成からメイン基板102に含まれる構成へはデータを送信することができず、データ送信の要求もできない。したがって、メイン基板102で生成された情報は、メイン基板102がサブ基板104へ一方的に送信しない限りサブ基板104から参照することはできない。
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、第1始動入賞情報を受け取ると遊技球が第1始動入賞口62に入賞したと判断し、第2始動入賞情報を受け取ると遊技球が第2始動入賞口63に入賞したと判断する。入球判定手段110は、第1大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が第1大入賞口91に入賞したと判断し、第2大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が第2大入賞口92に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。
第1始動入賞口62への入球に対応する第1の抽選を実行する第1抽選手段126は、第1抽選値取得手段112、第1当否判定手段113、第1パターン決定手段114、第1図柄決定手段320を含む。第2始動入賞口63への入球に対応する第2の抽選を実行する第2抽選手段128は、第2抽選値取得手段115、第2当否判定手段117、第2パターン決定手段119、第2図柄決定手段322を含む。第1の抽選の結果は、第1特別図柄表示装置70において第1特別図柄192の変動表示の形で示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190の変動表示の形で示される。第2の抽選の結果は、第2特別図柄表示装置71において第2特別図柄193の変動表示の形で示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190の変動表示の形で示される。
第1抽選手段126および第2抽選手段128は、図柄変動を開始するにあたり、その図柄変動に対応する抽選の結果を図柄変動の制御コマンドとともに演出決定手段132へ送信する。
第1抽選値取得手段112は、第1始動入賞口62への入球を契機に、第1の抽選のために乱数の値を第1当否抽選値として取得する。第2抽選値取得手段115は、第2始動入賞口63への入球を契機に、第2の抽選のために乱数の値を第2当否抽選値として取得する。たとえば、当否抽選のために第1当否抽選値および第2当否抽選値として取得する値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。第1抽選値取得手段112および第2抽選値取得手段115が第1当否抽選値または第2当否抽選値として取得する値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない範囲で第1当否抽選値と第2当否抽選値が保留される。
第1当否判定手段113は、第1当否抽選値に基づき、特別遊技または小当り遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する。第2当否判定手段117は、第2当否抽選値に基づき、特別遊技または小当り遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、当否判定で参照する当否判定テーブルを保持する。
図4は、当否判定テーブルを模式的に示す図である。本図の当否判定テーブルには、大当り、小当り、外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられたそれぞれの範囲設定に応じて大当り当否確率や小当りの当否確率が定まる。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、当否判定において本図の当否判定テーブルを参照する。第1当否判定手段113による第1の抽選と第2当否判定手段117による第2の抽選のいずれにおいても、通常時には当否抽選値が0〜299の範囲に該当したときのみ大当りとなる。確変時には大当りの範囲が拡大され、当否抽選値が0〜299の範囲に該当する場合だけでなく、300〜2999の範囲に該当する場合にも大当りとなる。このように、大当りに該当する範囲は遊技状態に応じて変化する。なお、本図では単一の当否判定テーブルによって通常時と確変時の双方の大当り範囲を示したが、当否判定テーブルは通常時用と確変時用とで別個に用意してもよいし、第1の抽選用と第2の抽選用とで別個に用意してもよい。
本実施例においては、当否抽選値が大当り範囲に該当しない場合であっても、所定の範囲に該当した場合には小当りとなる。本図の例では、第1当否判定手段113が取得する当否抽選値が56500〜65535の範囲に該当した場合に小当りとなり、第2当否判定手段117が取得する当否抽選値が64000〜65535の範囲に該当した場合に小当りとなる。すなわち、第2の抽選よりも第1の抽選の方が小当りに該当する範囲が広く、小当りが発生しやすい。このように、大当りに該当しなかった場合、本来はすべて「外れ」であるが、本図の例では大当りに該当しなかった場合のうち小当りにも該当しなかった場合の当否抽選値範囲を特に「外れ」と表現している。なお、本図では大当りか否かの判定テーブルと小当りか否かの判定テーブルとを単一の当否判定テーブルの形で実現する例を示したが、それぞれを別個のテーブルとして実現してもよい。
図3に戻り、第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、別途取得する図柄抽選値と当否判定の結果に基づいて、図柄の変動開始にあたってその停止図柄を決定する。第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、特別図柄の停止図柄を決定するために参照する複数の図柄判定テーブルを保持する。第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、当否判定結果に応じて異なる図柄判定テーブルを参照する。
図5は、図柄判定テーブルを模式的に示す図である。図5(a)は当否判定結果が大当りであった場合に参照するテーブルであり、図5(b)は当否判定結果が外れであった場合に参照するテーブルであり、図5(c)は当否判定結果が小当りであった場合に参照するテーブルである。第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、図柄判定において本図の図柄判定テーブルを参照する。各図柄判定テーブルには、「0」〜「9」の数字および文字以外の記号「−」で表される特別図柄と第1図柄抽選値または第2図柄抽選値との対応関係が定められている。特別図柄の種類はそれぞれ大当り、小当り、外れの当否判定結果と対応付けられており、奇数の数字が大当りに対応し、偶数の数字が小当りに対応し、記号「−」が外れに対応する。
図5(a)に示す通り、特別図柄「0」〜「9」のうち奇数の数字である特別図柄「1」「3」「5」「7」「9」が大当りに対応付けられている。そのうち、特別図柄「7」は15R大当りを示し、第1図柄抽選値の場合は「0〜99」に対応付けられ、第2図柄抽選値の場合は「0〜149」に対応付けられる。特別図柄「3」は2R大当りを示し、第1図柄抽選値の場合は「100〜149」に対応付けられるが、第2図柄抽選値の場合には対応付けられていない。特別図柄「1」「5」「9」は8R大当りを示し、第1図柄抽選値および第2図柄抽選値がともに「150〜189」に特別図柄「1」が対応付けられ、「190〜229」に特別図柄「5」が対応付けられ、「230〜255」に特別図柄「9」が対応付けられる。このように、第2図柄抽選値は2R大当りを示す特別図柄「3」と対応付けられていないため、第2始動入賞口63に入球させる限りは2R大当りは発生しない。
図5(b)に示す通り、記号「−」は全範囲である図柄抽選値の範囲「0〜255」に対応付けられる。
図5(c)に示す通り、特別図柄「0」〜「9」のうち偶数の数字である特別図柄「0」「2」「4」「6」「8」が小当りに対応付けられている。特別図柄「0」は図柄抽選値の範囲「0〜49」に対応付けられ、特別図柄「2」は図柄抽選値の範囲「50〜99」に対応付けられ、特別図柄「4」は図柄抽選値の範囲「100〜149」に対応付けられ、特別図柄「6」は図柄抽選値の範囲「150〜199」に対応付けられ、特別図柄「8」は図柄抽選値の範囲「200〜255」に対応付けられる。
図3に戻り、第1パターン決定手段114は、第1特別図柄表示装置70および演出図柄表示装置60に表示させる図柄変動の表示過程が定められた変動パターンを、別途取得する第1パターン抽選値に基づいて複数の変動パターンの中から決定する。第2パターン決定手段119は、第2特別図柄表示装置71および演出図柄表示装置60に表示させる図柄変動の表示過程が定められた変動パターンを、別途取得する第2パターン抽選値に基づいて複数の変動パターンの中から決定する。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、それぞれ図柄変動を開始する際に変動パターンテーブルを参照してその図柄変動の変動パターンを決定する。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、変動パターンを決定するために参照する変動パターン選択基準として複数の変動パターンテーブルをそれぞれ保持または共有する。変動パターンには、特別図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動時間が定められており、その種類によって長短様々な変動時間をもつ。すなわち、各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄の変動が停止される。複数の変動パターンテーブルは、変動パターンと抽選値との対応関係としてそれぞれ変動時間の選択傾向が異なるように定められている。
図6は、通常の変動パターンテーブルを模式的に示す図である。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、通常状態での変動パターン判定において本図の変動パターンテーブルを参照する。特定遊技状態での変動パターン判定においては、後述する図8の特定遊技用変動パターンテーブルを参照する。通常状態において、第1パターン決定手段114または第2パターン決定手段119は、当否判定結果が外れのときは図6(a)に示される外れ用の変動パターンを参照する。当否判定結果が15R大当りまたは8R大当りのときは図6(b)に示される15R大当りおよび8R大当り用の変動パターンテーブルを参照する。当否判定結果が2R大当りまたは小当りのときは図6(c)に示される2R大当りおよび小当り用の変動パターンテーブルを参照する。
図6(a)においては、パターン抽選値0〜10には「スーパー1」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値11〜20には「スーパー2」というスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値21〜255には「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のいずれかの変動パターンが対応付けられている。このように、当否判定結果が外れの場合、スーパーリーチ、ノーマルリーチ、リーチなしのいずれも選択される可能性がある。なお、図6(a)の変動パターンテーブルは、厳密には保留数ごとに参照すべき欄が異なるように規定されるが、その詳細は後述する図7において説明する。
図6(b)においては、パターン抽選値0〜120には「スーパー1」のスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値121〜240には「スーパー2」のスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値241〜250には「ノーマル1」のリーチが対応付けられ、パターン抽選値251〜255には「ノーマル2」のリーチが対応付けられている。
図6(c)においては、パターン抽選値0〜122には「スーパー3」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値123〜255には「ノーマル3」というノーマルリーチが対応付けられている。このように当否判定結果が2R大当りまたは小当りの場合は「スーパー3」または「ノーマル3」がそれぞれ約50%の確率で選択される。
図7は、図6(a)の変動パターンテーブルを詳細に示す図である。本図の変動パターンテーブル210においては、保留数ごとにそれぞれ変動パターンに対応付けられたパターン抽選値の範囲が異なる。具体的には、保留数が少ないほど変動時間が相対的に長い変動パターンに割り当てられたパターン抽選値の範囲が広くされており、それら変動時間の長い変動パターンが選択される確率を高めている。そのため、第1保留手段144または第2保留手段146による保留数が少ないほど平均的な変動時間が長くなる。したがって、第1保留手段144または第2保留手段146による保留数が所定数、例えば1〜2個より少なくなった場合に、変動時間の長い変動パターンの選択確率が通常より高くなり、変動時間が比較的長くなりやすい。
第1欄212には、第1保留手段144による第1の抽選の結果保留数または第2保留手段146による第2の抽選の結果保留数が1の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。同様に、第2欄214、第3欄216、第4欄218に、第1保留手段144による第1の抽選の結果保留数または第2保留手段146による第2の抽選の結果保留数がそれぞれ2、3、4の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。すなわち、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218が保留数ごとの変動パターンテーブルを示すと考えることができる。本図では、外れのときに選択され得る複数の変動パターンを変動時間別に5種類に分類した例を説明するが、実際にはそれらの分類ごとに複数の変動演出パターンが用意されており、全体で数十種類の変動演出パターンがそれぞれの分類ごとの抽選値範囲に対応付けられていることに等しい。
第1範囲222には、抽選値が0から10までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218のいずれにも「スーパー1」というスーパーリーチの変動パターンが対応付けられる。第2範囲224には、抽選値が11から20までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218のいずれにも「スーパー2」というスーパーリーチの変動パターンが対応付けられる。このように、抽選値が0から10までのパターン抽選値と抽選値が11から20までのパターン抽選値の場合には、保留数にかかわらず同じ変動時間の変動パターンが選択される。
第3範囲226には、抽選値が21から255までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218にはそれぞれノーマルリーチである「ノーマル1」「ノーマル2」と「リーチなし」の3種類の変動パターンが対応付けられる。ただし、それぞれの変動パターンが対応付けられるパターン抽選値の範囲は保留数によって異なる。第1欄212では、「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のそれぞれが対応付けられる抽選値範囲の大きさがそれぞれほぼ等しく、21から255をほぼ3等分した範囲が対応付けられている。これに対し、第2欄214では、「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさが「リーチなし」に対応付けられる抽選値範囲よりやや小さい。また、第3欄216では「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさがさらに小さくなり、第4欄218にて「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさはまたさらに小さくなっている。
「ノーマル1」「ノーマル2」の変動時間は「リーチなし」の変動時間より長くてもよく、また「リーチなし」のときは時短状態のように変動時間が短縮される場合もあるため、上記の第3範囲226の設定内容に応じて平均的な変動時間が異なることとなる。保留数が1から2、3、4と多くなるにつれて「ノーマル1」および「ノーマル2」のパターン抽選値範囲は小さくなり、逆に「リーチなし外れ」のパターン抽選値範囲が大きくなる。したがって、保留数が多いほど平均的な変動時間は短くなり、逆に保留数が少ないほど平均的な変動時間は長くなる。このように保留数ごとにパターン抽選値範囲と変動パターンの対応関係が異なる変動パターンテーブルを用いることにより、保留数が少なくなったときに変動時間の長い変動パターンが選択されやすくなる制御を実現することができる。
図8は、特定遊技状態において参照される特定遊技用変動パターンテーブルを模式的に示す。第1パターン決定手段114または第2パターン決定手段119は、後述する第1の状態で15R大当りまたは8R大当りが発生した後の特定遊技状態において、当否判定結果が外れのとき、図8(a)に示す第1の特定遊技用変動パターンテーブルを参照する。第1パターン決定手段114または第2パターン決定手段119は、後述する第2の状態で15R大当りまたは8R大当りが発生した後の特定遊技状態において、当否判定結果が外れのとき、図8(b)に示す第2の特定遊技用変動パターンテーブルを参照する。いずれの特定遊技状態においても、当否抽選結果が大当りまたは小当りの場合には通常状態と同様に図6(b)または図6(c)の変動パターンテーブルを参照する。なお、2R大当りによる特別遊技終了後や小当り遊技の後は、時短状態には移行せずに図6に示す通常の変動パターンテーブルが参照される。
図8(a)においては、パターン抽選値0〜4に「スーパー1」のスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値5〜9に「スーパー2」のスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値10〜255に「リーチなし短縮」が対応付けられている。「リーチなし短縮」の変動パターンは、リーチ演出を伴わないだけでなく、通常のリーチなし変動パターンより変動時間が短縮されている。本実施例では本図(a)の変動パターンテーブルにおいてリーチを伴う変動パターンの割り当て範囲が相対的に小さく、リーチを伴わない変動時間短縮の変動パターンが割り当てられた範囲が大きい。そのため、当否判定結果が外れであってこの変動パターンテーブルを参照する場合はリーチ演出の選択頻度は低く、変動時間の短い変動パターンが多く出現する。すなわち、連チャン後の特定遊技では本図(a)の変動パターンテーブルが参照され、当否抽選が外れである限りはリーチの選択頻度が低く抑えられ、短縮された変動パターンばかりが選択される。これにより、リーチ演出の選択頻度が低い分、リーチ演出の信頼度、すなわちリーチ演出が出現したときの大当りの期待度は高まる一方、短時間で次々に図柄変動を消化して小気味よい遊技をもたらすことができる。
図8(b)においては、パターン抽選値0〜19には「スーパー1」のスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値20〜39には「スーパー2」のスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値40〜255には「リーチなし短縮」が対応付けられている。本図(b)は、リーチ演出を伴う変動パターンが本図(a)より高い頻度で選択されるように抽選値範囲が割り当てられ、それ以外の範囲にリーチを伴わない変動時間短縮の変動パターンが割り当てられている。そのため、当否判定結果が外れであってこの変動パターンテーブルを参照する場合、適度にリーチ演出が出現しつつ、変動時間の短い変動パターンが出現する。すなわち、初当り後の特定遊技では本図(b)の変動パターンテーブルが参照され、当否抽選が外れでも適度にリーチが出現しつつ、短縮された変動パターンが選択される。これにより、リーチ演出の選択頻度が高い分、リーチ演出の信頼度、すなわちリーチ演出が出現したときの大当りの期待度は相対的に低くはなるものの、初当り後の特定遊技においてリーチ演出が適度に出現することによって遊技者の期待を十分に煽ることができる。
図3に戻り、普図抽選手段136は、作動口68を遊技球が通過したときに抽選値を取得することにより抽選を実行する。普図抽選手段136による抽選の結果は、普通図柄表示装置59において普通図柄の形で変動表示される。普図抽選手段136は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄判定テーブルを保持する。その図柄判定テーブルには抽選値と普通図柄の対応関係が定められており、普図抽選手段136は普通図柄の停止図柄を図柄判定テーブルを参照して決定する。決定された停止図柄が所定の図柄となった場合に普通図柄が当りに該当したと判定され、その停止図柄にて普通図柄の変動表示が停止された後に開閉制御手段124が第2始動入賞口63の普通電動役物65を所定時間拡開する。普通図柄の抽選値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない場合にだけ抽選値が保留される。
保留制御手段116は、第1保留手段144、第2保留手段146、普図保留手段147を含む。第1保留手段144は、新たに第1の抽選が実行されるときにそれ以前の抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな第1の抽選の結果をその抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。本実施例では第1の抽選の結果として4個を上限として当否抽選値を保持する。第2保留手段146は、新たに第2の抽選が実行されるときにそれ以前の抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな第2の抽選の結果をその抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。本実施例では第2の抽選の結果として4個を上限として当否抽選値を保持する。普図保留手段147は、普図抽選手段136により取得された普図抽選値を保留球として保持する。これらの保留数がそれぞれ第1特図保留ランプ20、第2特図保留ランプ21、普図保留ランプ22の点灯数または点滅数により表される。第1保留手段144および第2保留手段146による保留の数は表示領域194にも表示される。
第2保留手段146に保留された抽選値は第1保留手段144に保留された抽選値より優先的に消化されて図柄変動が表示される。そのため、第1保留手段144に大当りの抽選値が保留されていても第2保留手段146に保留がある限りは第1保留手段144の大当り抽選値に対応する図柄変動は表示されない。したがって、第1保留手段144に大当りの保留があっても、さらに第2保留手段146へ大当りの保留が入るまで打ち続けることで、複数回の連続的な大当りを獲得できる可能性がある。
メイン表示制御手段118は、第1特図制御手段148、第2特図制御手段150、普図制御手段153を含む。第1特図制御手段148は、第1抽選手段126による第1の抽選の結果として決定された変動パターンにしたがい第1特別図柄192の変動を第1特別図柄表示装置70に表示させる。第1特図制御手段148は、それ以前になされた第1の抽選または第2の抽選に対応する図柄の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。第2特図制御手段150は、第2抽選手段128による第2の抽選の結果として決定された変動パターンにしたがい第2特別図柄193の変動を第2特別図柄表示装置71に表示させる。第2特図制御手段150もまた、それ以前になされた第1の抽選または第2の抽選に対応する図柄の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。
第1特図制御手段148は、第2保留手段146により第2の抽選の結果が保留されている場合は第1の抽選に対応する図柄変動表示の開始を留保する。一方、第2特図制御手段150は、第1保留手段144により第1の抽選の結果が保留されているか否かにかかわらず第2の抽選に対応する図柄変動表示を開始する。これにより、第1保留手段144と第2保留手段146の双方によって抽選値が保留されていた場合、第2保留手段146によって保留された抽選値が優先的に読み出されて図柄変動が表示される。そのような場合、第2保留手段146の保留数が0になるまでは第1保留手段144に保留された抽選値は読み出されずその図柄変動も開始しない。
第1特図制御手段148および第2特図制御手段150は、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段134へ送信する。変動開始コマンドを送信するとき、決定された当否判定結果、停止図柄、変動パターンのそれぞれを示す値と第1の抽選と第2の抽選のいずれであるかを示す値とを変動開始コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。変動停止コマンドを送信するとき、あらためて停止図柄を示す値を変動停止コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。これにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。普図制御手段153は、普図抽選手段136による抽選の結果を普通図柄の変動表示として普通図柄表示装置59に表示させる。
条件保持手段176は、大入賞口の開放を伴う単位遊技を複数回含む特別遊技へ移行するための条件として特別遊技作動条件を保持する。特別遊技作動条件は、第1の抽選または第2の抽選で特別遊技へ移行する旨を示す結果となり、その抽選に対応する図柄変動が停止したことを条件の内容とする。
特別遊技制御手段120は、第1抽選手段126による第1の抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第1特別図柄192が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、第1大入賞口91を開放させることにより特別遊技を実行する。同様に、特別遊技制御手段120は、第2抽選手段128による第2の抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第2特別図柄193が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、第2大入賞口92を開放させることにより特別遊技を実行する。特別遊技は、第1大入賞口91または第2大入賞口92の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。特別遊技には、相対的に出玉の多くなる態様で第1大入賞口91または第2大入賞口92を開閉させる第1の特別遊技と、相対的に出玉の少なくなる態様で第1大入賞口91または第2大入賞口92を開閉させる第2の特別遊技と、が含まれる。第1の特別遊技には、単位遊技を15回繰り返す15R大当りと、単位遊技を8回繰り返す8R大当りと、が含まれる。第2の特別遊技は、短い単位遊技を2回だけ繰り返す2R大当りである。15R大当りおよび8R大当りは、15R大当りおよび8R大当りにおいては、1回の単位遊技において第1大入賞口91または第2大入賞口92を原則として約30秒間開放させる。特別遊技制御手段120は、単位遊技の設定ラウンド数を消化したときに特別遊技を終了させる。
小当り遊技制御手段330は、第1抽選手段126による第1の抽選が小当り遊技への移行を示す結果となった場合、第1特別図柄192が所定の小当り態様で停止されたときに小当り遊技作動条件が成立したと判定し、第1大入賞口91を開放させることにより小当り遊技を実行する。同様に、小当り遊技制御手段330は、第2抽選手段128による第2の抽選が小当り遊技への移行を示す結果となった場合、第2特別図柄193が所定の小当り態様で停止されたときに小当り遊技作動条件が成立したと判定し、第2大入賞口92を開放させることにより小当り遊技を実行する。小当り遊技は、第1大入賞口91または第2大入賞口92の開閉動作を複数回行う遊技であり、2回の開閉を単位とした1回の単位遊技で構成される。小当り遊技においては、第1大入賞口91または第2大入賞口92を2R大当りと同様に短時間だけ開放させる。小当り遊技制御手段330は、単位遊技を1回実行した後に小当り遊技を終了させる。
特定遊技実行手段122は、特別遊技の終了後から次の大当りが発生しない限り所定の終期に達するまでの特定期間において、あらたに大当りを獲得する容易性が通常状態より有利となる特定遊技の状態に移行させる。特定遊技には、確変と時短が含まれる。特定遊技実行手段122は、第1の抽選と第2の抽選のいずれの結果に起因する特別遊技であったかにかかわらずその特別遊技の終了後に必ず確変状態へ移行させる。一方、特別遊技の終了後に第1特別図柄192、第2特別図柄193の時短状態へ移行させるのは、第1図柄決定手段320または第2図柄決定手段322により決定された図柄が15R大当り図柄または8R大当り図柄であった場合に限られる。
確変状態の間は第1当否判定手段113または第2当否判定手段117による当否判定結果が大当りとなる確率が通常状態より高められる。確変状態は、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示回数の合計が特別遊技の終了時点から数えて所定の確変終期回数、たとえば36回に達するまで継続される。こうした確変は、一般にST(SpecialTime)とも呼ばれる。第1特別図柄192、第2特別図柄193の時短状態は、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示回数の合計が特別遊技の終了時点から数えて所定の時短終期回数、たとえば36回、68回、100回のいずれかに達するまで継続される。時短終期回数は、時短のたびに36回、68回、100回のいずれかがランダムに設定される。このように、確変終期回数は、時短終期回数より短いか同数である。したがって、確変が終了して非確変となった後でも、残りの時短終期回数の分だけ時短状態のままとなっている場合がある。
第1特別図柄192および第2特別図柄193の時短中は、特定遊技の一つである入球容易状態が実施される。入球容易状態は、普通図柄の時短、開放抽選の確率変動、普通電動役物65の開放延長が実施されることにより第2始動入賞口63への入球容易性が高められる状態である。普通図柄の時短は、普通図柄の変動時間が通常状態より短縮される状態である。開放抽選の確率変動は、開放抽選の当り確率を通常状態より高める状態である。普通電動役物65の開放延長は、普通電動役物65の開放時間を通常状態よりも長くする状態である。このように、入球容易状態においては、一定時間あたりの普通図柄の変動回数が通常状態よりも増加する可能性が高まる上、第2始動入賞口63への入球容易性も増すため、第2始動入賞口63への入球数が増加する可能性も高い。したがって、第1特別図柄192、第2特別図柄193の時短および入球容易状態により、その期間中は第2始動入賞口63への入球による賞球を得られる機会が増加する結果、持ち玉をほとんど減らさずに遊技し続けることが可能となる。また、時短中は第1始動入賞口62より第2始動入賞口63への入球容易性が高くなるため、遊技者はいわゆる右打ちをするために第2始動入賞口63への入球を狙った強度にて遊技球を発射することとなる。
なお、本実施例における入球容易状態は、普通図柄の時短、開放抽選の確率変動、普通電動役物65の開放延長という3つの機能を用いて第2始動入賞口63への入球容易性を高める。ただし、変形例としては、これら3つの機能のうち、1つまたは2つの機能を用いて第2始動入賞口63への入球容易性を高める構成としてもよい。このように3つの機能のうち一部だけを用いても第2始動入賞口63への入球容易性を高めることは可能である。また、3つの機能のうち少なくともいずれかを、実施する期間と実施しない期間とで遊技状態に応じて切り替える構成としてもよい。
図9は、遊技状態の遷移を模式的に示す図である。最初に、通常状態、すなわち確変へ移行しておらず、時短にも移行していない非確変非時短状態400で遊技が開始される。非確変非時短状態400において15R大当りまたは8R大当りとなった場合、その特別遊技終了後は確変状態と時短状態へ移行するため確変時短状態402へ遷移する(S300)。その大当りは「初当り」に相当する。
確変時短状態402においては、遊技者は右打ちをして第2始動入賞口63への入球を狙うことから、2R大当りが対応付けられていない第2の遊技が実行されて事実上2R大当りが発生しない。そして、15R大当りまたは8R大当りが発生すれば確変時短状態402が維持されて「連チャン」となる(S302)。15R大当りまたは8R大当りが発生せずに確変終期回数に達して確変が終了した場合、非確変時短状態404へ遷移する(S304)。確変終期回数と時短終期回数が同数であった場合には、確変の終了とともに時短も終了となり、非確変非時短状態400へ戻る(S306)。非確変時短状態404においても事実上2R大当りは発生せず、15R大当りまたは8R大当りが発生すれば再び確変時短状態402へ遷移する(S308)。このように、実質的に利益のある大当りである15R大当りまたは8R大当りを経由して移行される特定遊技状態である確変時短状態402および非確変時短状態404をここでは「第1の状態」と称する。第1の状態410は、いわゆる初当りがすでに終わった状態であり、次に15R大当りまたは8R大当りが出れば連チャンとなる。
非確変非時短状態400において2R大当りとなった場合、その特別遊技終了後は確変状態には移行するが時短状態には移行しないため確変非時短状態406へ遷移する(S310)。確変非時短状態406において再び2R大当りとなれば、その特別遊技終了後は再び確変非時短状態406となる(S312)。確変非時短状態406において15R大当りまたは8R大当りとなれば確変状態および時短状態の双方に移行するため確変時短状態402に遷移する(S314)。その大当りは「初当り」に相当する。確変非時短状態406において大当りが出ないまま確変状態が終了した場合、非確変非時短状態400へ戻る(S316)。このように、実質的に利益のある大当りである15R大当りまたは8R大当りを経由していない状態である非確変非時短状態400および確変非時短状態406をここでは「第2の状態」と称する。第2の状態412は、まだ初当りが出ていない状態であり、次に15R大当りまたは8R大当りが出れば初当りとなる。
通常状態においては、第1保留手段144または第2保留手段146による保留数に応じた変動パターンテーブルを参照し、第1保留手段144または第2保留手段146による保留数が少なくなるほど変動時間の長い変動パターンが出現しやすくなる。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、第1の状態410にて大当りとなった場合、その後の新たな特定遊技において、リーチ変動パターンの選択頻度が相対的に低い第1の特定遊技用変動パターン選択テーブルを参照して変動パターンを選択する。第1の特定遊技用変動パターン選択テーブルは、図8(a)、図6(b)、(c)の変動パターンテーブルの組み合わせで構成される。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、第2の状態412にて15R大当りまたは8R大当りとなった場合、その後の新たな特定遊技において、リーチ変動パターンの選択頻度が相対的に高い第2の特定遊技用変動パターン選択テーブルを参照して変動パターンを選択する。第2の特定遊技用変動パターン選択テーブルは、図8(b)、図6(b)、(c)の変動パターンテーブルの組み合わせで構成される。このように、第1の特定遊技用変動パターンテーブルと第2の特定遊技用変動パターンテーブルは、外れのときに参照するテーブルだけ別個の対応関係が定められ、大当りと小当りのときに参照するテーブルを共用するため、必要以上にデータ量が増大することを防ぐことができ、また、開発者の設計負担の軽減を図っている。そして、第2の状態412にて15R大当りまたは8R大当りが出た後の特定遊技で参照される第2の特定遊技用変動パターンテーブルは、第1の状態410にて15R大当りまたは8R大当りが出た後の特定遊技で参照される第1の特定遊技用変動パターンテーブルより、リーチ変動パターン、とくにスーパーリーチの選択頻度が高くなっている。
図3に戻り、開閉制御手段124は、第2始動入賞口63の普通電動役物65や第1大入賞口91、第2大入賞口92の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄が特定の態様で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、第2始動入賞口63の普通電動役物65を開放させる。開閉制御手段124は、特別遊技において、大入賞口ソレノイド80または大入賞口ソレノイド81に開放指示を送り、第1大入賞口91または第2大入賞口92を開放させる。
パターン記憶手段130は、装飾図柄の変動演出パターンとして複数の変動演出パターンデータを保持する。演出決定手段132は、第1抽選手段126から受け取る第1の抽選の結果または第2抽選手段128から受け取る第2の抽選の結果に応じて、演出表示制御手段134によって演出図柄表示装置60へ表示させる演出内容を決定する。演出決定手段132は、第1パターン決定手段114または第2パターン決定手段119により決定された特別図柄の変動パターンに対応する複数の変動演出パターンデータの中からいずれかを選択してパターン記憶手段130から読み出す。演出決定手段132は、装飾図柄190の停止図柄の組合せを第1抽選手段126または第2抽選手段128が決定する特別図柄の停止図柄や変動パターンに基づいて決定する。
装飾図柄190の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、たとえば第1抽選手段126または第2抽選手段128による当否判定結果が15R大当りの特別遊技への移行を示す場合には特定の組合せ、例えば「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。この場合、装飾図柄190として揃える数字には、第1特別図柄192や第2特別図柄193と同じ数字が選ばれるのが好ましい。たとえば、第1特別図柄192または第2特別図柄193が「7」の場合は装飾図柄190が「777」となる。あるいは、3つの図柄の少なくとも一つに当りであることを示す特定の図柄が含まれる図柄の組み合わせによっても、その大当りを示すようにしてもよい。当否判定結果が2R大当りの場合や小当りの場合もまた特定の組合せ、例えば「357」のような所定の組合せが選択されるが、それらの特定の組合せは必ずしも3つの図柄が揃った組合せでなくてもよい。当否判定結果が大当りでも小当りでもない場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せであって、2R大当りや小当りのときに選択される特定の組合せに該当しない組合せが選択される。当否判定結果が15R大当りではない場合であって、リーチ付きの外れを示す変動パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。演出決定手段132は、装飾図柄190の停止図柄組合せと装飾図柄の変動演出パターンデータを演出表示制御手段134へ送る。
装飾図柄の変動演出パターンデータには、装飾図柄の変動表示態様、すなわち装飾図柄の変動開始から変動停止までの変動過程と演出過程が定義される。変動演出パターンには、あと一つ図柄が揃えば大当りとなるリーチ状態を経てから当り態様または外れ態様である停止図柄組合せを表示するリーチパターンと、リーチ状態を経ずに外れ態様である停止図柄組合せを表示するリーチなしパターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれ、相対的に変動時間の短いリーチパターンを「ノーマルリーチ」と称し、変動時間の長いリーチパターンを「スーパーリーチ」と称する。各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、特別図柄と変動時間が等しい装飾図柄の変動演出パターンを選択する。
演出表示制御手段134は、第1演出制御手段168および第2演出制御手段170を含む。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ18からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。
第1演出制御手段168および第2演出制御手段170は、第1抽選手段126による第1の抽選の結果または第2抽選手段128による第2の抽選の結果を、選択された変動演出パターンデータにしたがって装飾図柄190として演出図柄表示装置60の表示領域194に変動表示させる。第1演出制御手段168および第2演出制御手段170は、それ以前の第1の抽選または第2の抽選に対応する装飾図柄190の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。
第1演出制御手段168は、第2保留手段146により第2の抽選の結果が保留されている場合は第1の抽選に対応する図柄変動表示の開始を留保する。第2演出制御手段170は、第1保留手段144により第1の抽選の結果が保留されているか否かにかかわらず第2の抽選に対応する図柄変動表示を開始する。これにより、第1保留手段144と第2保留手段146の双方によって抽選値が保留されていた場合は第2保留手段146により保留された抽選値が優先的に読み出されて装飾図柄の変動が表示される。そのような場合、第2保留手段146の保留数が0になるまでは第1保留手段144に保留された抽選値は読み出されずその装飾図柄の変動も開始しない。このように演出表示制御手段134は、装飾図柄190の変動表示を含む図柄変動演出を演出図柄表示装置60に表示させる。以上の構成による動作および制御の過程を以下説明する。
図10は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。まず、遊技球が第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、一般入賞口72、第1大入賞口91、第2大入賞口92などへ入賞した場合の処理を実行し(S10)、通常遊技中であれば(S12のY)、図柄変動などの通常遊技の制御処理を実行し(S14)、通常遊技中でなければ(S12のN)、特別遊技の制御処理を実行し(S16)、小当り遊技の制御処理を実行する(S17)。その後、S10の入賞処理においてセットされた賞球数にて各種入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。
図11は、図10におけるS14の通常遊技制御処理の全体的な過程を示すフローチャートである。この通常遊技制御処理は、メイン基板102における特別図柄変動処理の実行と(S152)、サブ基板104における装飾図柄変動処理の実行とが(S154)、繰り返し処理されることとなる。
図12は、図11におけるS152の特別図柄変動処理の実行処理を詳細に示すフローチャートである。まだ図柄変動表示が開始されていない場合(S60のN)、第2保留手段146により抽選値の保留がなされている場合(S62のY)、第2当否判定手段117が第2保留手段146から抽選値を読み出して第2特別図柄193の当否を判定し(S64)、第2図柄決定手段322が第2特別図柄193を決定し(S66)、第2パターン決定手段119が第2特別図柄193の変動パターンを決定し(S68)、決定した結果とともに変動開始コマンドをサブ基板104へ送信して第2特別図柄193の図柄変動を開始する(S77)。
第2保留手段146により抽選値の保留がなされていない場合であって(S62のN)、第1保留手段144により抽選値の保留がなされている場合(S70のY)、第1当否判定手段113が第1保留手段144から抽選値を読み出してあらためて第1特別図柄192の当否を判定し(S72)、第1図柄決定手段320が第1特別図柄192を決定し(S74)、第1パターン決定手段114が第1特別図柄192の変動パターンを決定する(S75)。決定した結果とともに変動開始コマンドをサブ基板104へ送信して第1特別図柄192の図柄変動を開始する(S77)。第1保留手段144により抽選値の保留がなされていない場合はS72からS77までの処理をスキップする(S70のN)。
すでに図柄変動表示が開始されている場合(S60のY)、特別図柄の図柄変動表示を処理し(S78)、所定の変動時間が経過して図柄表示の停止タイミングに達したときは(S80のY)、変動停止コマンドをサブ基板104へ送信して表示中の図柄変動をあらかじめ決定された停止図柄にて停止する(S82)。特定遊技用の変動パターンテーブルを参照していた回数が時短終期回数に達していた場合は(S84のY)、通常の変動パターンテーブルに戻し(S86)、特定遊技用の変動パターンテーブルを参照していた回数が時短終期回数に達していない場合は(S84のN)、S86をスキップして本図のフローを終了する。図柄表示の停止タイミングに達していない場合はS82からS86までの処理をスキップして本図のフローを終了する(S80のN)。
図13は、図11におけるS154の装飾図柄変動処理の実行処理を詳細に示すフローチャートである。サブ基板104の演出決定手段132がメイン基板102から変動開始コマンドを受信した場合(S180のY)、受信した特別図柄の停止図柄、変動パターン、当否判定結果に応じて装飾図柄の停止態様を決定し(S182)、変動演出パターンを決定する(S184)。その後、装飾図柄の変動表示を開始する(S196)。メイン基板102から変動開始コマンドを受信しなかった場合はS182からS196をスキップする(S180のN)。
すでに装飾図柄の変動表示が開始済みであれば(S198のY)、その図柄変動の表示処理を実行し(S200)、メイン基板102から変動停止コマンドを受信したときは(S202のY)、S182で決定された停止態様にて装飾図柄を停止表示させることで図柄変動表示を停止する(S204)。変動停止コマンドをメイン基板102から受信していないときはS204をスキップし(S202のN)、変動表示が開始済みでないときはS200からS204をスキップする(S198のN)。
図14は、図10におけるS16の特別遊技を詳細に示すフローチャートである。まず、第1大入賞口91または第2大入賞口92がまだ開放済でない場合(S100のN)、演出表示制御手段134が特別遊技の演出処理を開始し(S102)、開閉制御手段124が第1大入賞口91または第2大入賞口92を開放する(S104)。第1大入賞口91または第2大入賞口92が開放済であればS102およびS104をスキップする(S100のY)。第1大入賞口91または第2大入賞口92が開放されてから、所定の開放時間が経過した場合(S106のY)、または、開放時間が経過していないものの(S106のN)、第1大入賞口91または第2大入賞口92への入球数が9球以上に達した場合(S108のY)、開閉制御手段124が第1大入賞口91または第2大入賞口92を閉鎖させる(S110)。開放時間が経過しておらず(S106のN)、第1大入賞口91または第2大入賞口92への入球数も9球以上に達していない場合は(S108のN)、S110以降の処理をスキップしてS16のフローを終了する。
S110における第1大入賞口91または第2大入賞口92の閉鎖後、単位遊技が最終ラウンドに達していた場合(S112のY)、演出表示制御手段134は特別遊技の演出処理を終了させ(S114)、特別遊技制御手段120は特別遊技を終了させ(S116)、特定遊技として確変を開始する(S118)。その特別遊技が2R大当りではなく15R大当りまたは8R大当りであった場合であって(S120のN)、第1の状態における大当りに起因する場合(S122のY)、第1の特定遊技用変動パターンテーブルを設定し(S124)、第1の状態における大当りではない場合は(S122のN)、第2の特定遊技用変動パターンテーブルを設定する(S126)。その特別遊技が2R大当りであった場合は(S120のY)、通常の変動パターンテーブルを設定する(S128)。S112において単位遊技が最終ラウンドに達していなければ(S112のN)、ラウンド数に1を加算してS16のフローを終了する(S130)。
図15は、図10におけるS17の小当り遊技を詳細に示すフローチャートである。第1大入賞口91または第2大入賞口92が開放済でなければ(S220のN)、第1大入賞口91または第2大入賞口92の開放処理を実行し(S222)、開放済みであれば(S220のY)、S222をスキップする。所定の開放時間を経過した場合(S224のY)、第1大入賞口91または第2大入賞口92を閉鎖し(S226)、所定の開放時間を経過していなければ(S224のN)、S226以降をスキップする。S226における第1大入賞口91または第2大入賞口92の閉鎖後、設定回数分の開閉が終了していれば(S228のY)、小当り遊技を終了する(S230)。設定回数分の開閉が終了していなければ(S228のN)、開閉回数に1を加算してS17のフローを終了する(S232)。
(第2実施例)
第2実施例もまた、本願の特許請求の範囲と特に対応する実施例として、以下説明する。第2実施例においては、特定遊技用変動パターンテーブルの態様が第1実施例とは異なる。以下、相違点を中心に説明し、共通点の説明は省略する。
図16は、第2実施例の特定遊技状態において参照される特定遊技用変動パターンテーブルを模式的に示す。第1パターン決定手段114または第2パターン決定手段119は、第1の状態で15R大当りまたは8R大当りが発生した後の特定遊技状態において、当否判定結果が外れのとき、図16(a)に示す第1の特定遊技用変動パターンテーブルを参照する。第1パターン決定手段114または第2パターン決定手段119は、第2の状態で15R大当りまたは8R大当りが発生した後の特定遊技状態において、当否判定結果が外れのとき、図16(b)に示す第2の特定遊技用変動パターンテーブルを参照する。いずれの特定遊技状態においても、当否抽選結果が大当りまたは小当りの場合には第1実施例の通常状態と同様に図6(b)または図6(c)の変動パターンテーブルを参照する。なお、2R大当りによる特別遊技終了後や小当り遊技の後は、時短状態には移行せずに図6に示す通常の変動パターンテーブルが参照される。
図16(a)においては、全パターン抽選値範囲0〜255に「リーチなし短縮」の変動パターンが対応付けられている。本実施例では本図(a)の変動パターンテーブルにおいてすべてリーチを伴わない変動時間短縮の変動パターンが割り当てられているため、当否判定結果が外れであってこの変動パターンテーブルを参照する場合はリーチ演出は出現せず、変動時間の短い変動パターンのみが出現する。すなわち、連チャン後の特定遊技では本図(a)の変動パターンテーブルが参照され、当否抽選が外れである限りはリーチが出現せず、短縮された変動パターンのみが選択される。これにより、短時間で次々に図柄変動を消化して小気味よい遊技をもたらすことができる。図16(b)は図8(b)と同様である。すなわち、初当り後の特定遊技では本図(b)の変動パターンテーブルが参照され、当否抽選が外れでも適度にリーチが出現しつつ、短縮された変動パターンが選択される。これにより、初当り後の特定遊技においてはリーチ演出によって遊技者の期待を十分に煽ることができる。
以上により、第1の状態から15R大当りまたは8R大当りが連チャンで発生すると、その後の特定遊技では外れリーチのない状態が実現され、リーチ演出が出現すれば100%の確率で大当りが確定する演出とすることができる。
(第3実施例)
第3実施例もまた、本願の特許請求の範囲と特に対応する実施例として、以下説明する。第3実施例においては、第1実施例で説明した図8(a)の特定遊技用変動パターンテーブルと第2実施例で説明した図16(a)の特定遊技用変動パターンテーブルの双方を用いる点で、第1,2実施例と異なる。以下、相違点を中心に説明し、共通点の説明は省略する。
本実施例では、第1の状態で15R大当りまたは8R大当りが発生した後の特定遊技状態において、当否判定結果が外れのとき、図8(a)に示す特定遊技用変動パターンテーブルを参照する。一方、第1の状態で2R大当りが発生した後の特定遊技状態において、当否判定結果が外れのとき、図16(a)に示す特定遊技用変動パターンテーブルを参照する。この場合、図5(a)の第2の抽選において2R大当りが出現するように、図柄抽選値「145〜149」に2R大当りを示す「3」が割り当てられてもよい。
以上により、第1の状態から2R大当りが発生すると、その後の特定遊技では外れリーチのない状態が実現され、リーチ演出が出現すれば100%の確率で大当りが確定する演出とすることができる。
(第4実施例)
第4実施例においては、主に変動パターンテーブルおよび変動パターンテーブルの選択方法が第1〜3実施例とは異なる。以下、相違点を中心に説明し、共通点の説明は省略する。
連続的な大当り、いわゆる連チャンを獲得した後は、すでに大きな利益を獲得した後という状況である。その上、現在もなお確変状態または時短状態であれば、次の大当りの期待も高い状況であるといえる。そのような既得感のある状態では、いわゆる初当りの後とは利益状態の前後関係が異なる上、現在の遊技状態が大当りによる利益が確定した状態であるか否かによっても状況の前後関係は異なってくる。そこで、大当りの発生状況、すなわち大当りが発生した時点における遊技状態や利益状態と、大当りの発生後における遊技状態や利益状態との組み合わせに応じて、演出表示内容や演出ごとの出現の仕方を変えることにより、遊技者の関心に合わせた適切な演出を実行する。
図17は、第4実施例において変動パターンテーブルを決定するために参照する選択基準決定テーブルを模式的に示す。本図の選択基準決定テーブル500には、当否抽選が大当りとなったときの遊技状態の種類とその後に移行する遊技状態の種類との組み合わせに応じていずれの変動パターンテーブルを決定すべきかが定められている。大当り後に移行する遊技状態は、第1図柄決定手段320または第2図柄決定手段322により決定された図柄がいずれの大当り図柄であったかに応じて決定される。本実施例においては、「確変あり時短あり」「確変なし時短あり」「確変あり時短なし」「確変なし時短なし」の4種類の遊技状態へ移行し得る。
選択基準決定テーブル500において、当否抽選が大当りとなったときの遊技状態、すなわち大当り前の遊技状態の種類として、第1行502に「確変あり時短あり」、第2行504に「確変なし時短あり」、第3行506に「確変あり時短なし」、第4行508に「確変なし時短なし」の4種類が示される。また特別遊技後に移行する遊技状態、すなわち大当り後の遊技状態の種類として、第1列510に「確変あり時短あり」、第2列512に「確変なし時短あり」、第3列514に「確変あり時短なし」、第4列516に「確変なし時短なし」の4種類が示される。大当り前の遊技状態が4種類と、大当り後の遊技状態が4種類で、それらの組み合わせが16種類となり、その組み合わせごとにいずれの変動パターンテーブルを参照すべきかが図のように定められる。
第1行502に示す通り、大当り前の遊技状態が「確変あり時短あり」の場合は、大当り後の遊技状態ごとに第1〜4変動パターンテーブルA1〜A4が対応付けられる。第2行504に示す通り、大当り前の遊技状態が「確変なし時短あり」の場合は、大当り後の遊技状態ごとに第5〜8変動パターンテーブルB1〜B4が対応付けられる。第3行506に示す通り、大当り前の遊技状態が「確変あり時短なし」の場合は、大当り後の遊技状態ごとに第9〜12変動パターンテーブルC1〜C4が対応付けられる。第4行508に示す通り、大当り前の遊技状態が「確変なし時短なし」の場合は、大当り後の遊技状態ごとに第13〜16変動パターンテーブルD1〜D4が対応付けられる。
各変動パターンテーブルには、当否抽選が外れの場合に参照するサブテーブル、15R大当りまたは8R大当りの場合に参照するサブテーブル、2R大当りまたは小当りの場合に参照するサブテーブルが含まれる。
本実施例における第1〜4変動パターンテーブルA1〜A4、第5〜8変動パターンテーブルB1〜B4、第9〜12変動パターンテーブルC1〜C4、第13〜16変動パターンテーブルD1〜D4は、それぞれに固有の変動パターンが選択され得るように定められる。すなわち、16種類の個別の変動パターンテーブルとして規定される。例えば、変動パターンテーブルごとにそれぞれ固有の演出表示内容や変動時間を持つリーチ変動パターンが選択され得るように個別にテーブルが定められていてもよいし、複数種の変動パターンにおけるそれぞれの選択確率が変動パターンテーブルごとに異なるように定められていてもよい。これにより、大当り後の遊技状態だけでなく、大当り前の遊技状態をも考慮した状況に応じて変動パターンテーブルを決定することができ、それぞれの利益状態や遊技進行状況に応じた演出を意図的に出現させることができる。これは、遊技機の開発者にとって意図した演出の出現を設計しやすい点で有効であり、一方、遊技者にとっても遊技状態の進行の仕方によって異なる演出に触れることができ、遊技の興趣向上に資することができる。
変形例としては、第1〜4変動パターンテーブルA1〜A4、第5〜8変動パターンテーブルB1〜B4、第9〜12変動パターンテーブルC1〜C4、第13〜16変動パターンテーブルD1〜D4のそれぞれに含まれるテーブルのうち一部を他のテーブルと共通化してもよい。例えば、変動パターンテーブルに含まれる複数のサブテーブルのうち一部を他の変動パターンテーブルに含まれるサブテーブルと共通化してもよい。または、一部の変動パターンテーブル同士が共通の変動パターンテーブルとなるように規定してもよい。例えば、第16変動パターンテーブルD4は遊技状態が「確変なし時短なし」、すなわち通常状態において参照されるテーブルであるため、図6(a)〜(c)に示されるテーブルを用いてもよい。さらに、第13〜16変動パターンテーブルD1〜D4はすべて通常状態において参照されるテーブルであるため、これらに共通するテーブルとして図6(a)〜(c)に示されるテーブルを用いてもよい。
(第5実施例)
第5実施例においては、主に変動パターンテーブルおよび変動パターンテーブルの選択方法の少なくとも一部が第1〜4実施例とは異なる。以下、相違点を中心に説明し、共通点の説明は省略する。
本実施例における確変および時短は、それぞれ個別に設定された終期回数に図柄変動回数が達するまで継続される。確変が継続される第1の終期回数と、時短が継続される第2の終期回数のそれぞれは、第1図柄決定手段320または第2図柄決定手段322により決定された図柄がいずれの大当り図柄であったかに応じて決定される。第1の終期回数と第2の終期回数はそれぞれ個別に決定されるため、互いに異なる回数に決定され得る。異なる回数に決定された場合、特別遊技後に確変と時短へ同時に移行したとしても、一方が早く終期回数に達して他方のみが継続する状態が生じ得る。
確変状態と時短状態の一方にだけ移行している状態は、他方が先に終期回数に達して終了してしまった状態である可能性があり、そうした状態は確変と時短の終期回数の差分に相当する一時的な期間である。特に、確変と時短の終期回数の差分が小さいほどその状態は希少性の高い期間といえ、また、双方とも終了に至るまでの、いわば特定遊技の終了間際ということになる。
例えば、「確変あり・時短あり」の状態で発生した大当りは、いわゆる連チャンに相当する連続的な大当りに該当する。一方、「確変あり・時短なし」の状態で発生した大当りは、時短が終了して確変のみが継続し、特定遊技が間もなく終了しようとする間際に逆転で大当りが発生したような状況である可能性がある。そのような遊技状況に鑑み、「確変あり・時短なし」の遊技状態で発生した大当り後の特定遊技における変動パターンテーブル、すなわち図17の第9〜11変動パターンテーブルC1〜C3は、逆転で大当りを獲得したことを示す演出表示内容の変動パターンが選択され得るよう定められる。
また、「確変なし・時短あり」の状態で発生した大当りは、確変が終了して時短のみが継続し、すでに当否確率は通常確率に戻ってしまった後に自力で大当りを獲得する、いわゆる「引き戻し」の状況である可能性がある。そのような遊技状況に鑑み、「確変なし・時短あり」の遊技状態で発生した大当り後の特定遊技における変動パターンテーブル、すなわち図17の第5〜7変動パターンテーブルB1〜B3は、引き戻しで大当りを獲得したことを示す演出表示内容の変動パターンが選択され得るよう定められる。
このように大当りを獲得した状況が遊技者にとって希少性のある状況や不利な状況などの特殊な状況であったか否かに応じて、演出表示内容や演出ごとの出現の仕方を変えることにより、遊技者の関心に合わせた適切な演出を実行する。
図18は、第5実施例における確変および時短の終期回数と大当りの発生タイミングの関係を模式的に示すタイムチャートである。本図(a)は確変の終期回数が70回で、時短の終期回数が60回であった場合の大当り発生タイミングを例示する。図の上段が確変状態を示すフラグのオンオフであり、図の下段が時短状態を示すフラグのオンオフである。特別遊技終了と同時に確変状態のフラグと時短状態のフラグが同時にオンされ、図柄変動回数が時短の終期回数である60回に達したときに時短のフラグがオフされ、確変の終期回数である70回に達したときに確変のフラグがオフされる。このとき、時短のフラグがオフされてから確変のフラグがオフされるまでの図柄変動回数で10回分にあたる期間は、「確変あり・時短なし」の状態に相当する。この状態におけるタイミングαにて大当りが発生すると、その後に移行する遊技状態の種類に応じて第9〜12変動パターンテーブルC1〜C4のいずれかが選択される。このうち第9〜11変動パターンテーブルC1〜C3のいずれかが選択されれば、その後に移行する特定遊技においては逆転で大当りを獲得したことを示す演出表示内容が表示され得る。
本図(b)は確変の終期回数が60回で、時短の終期回数が70回であった場合の大当り発生タイミングを例示する。特別遊技終了と同時に確変状態のフラグと時短状態のフラグが同時にオンされ、図柄変動回数が確変の終期回数である60回に達したときに確変のフラグがオフされ、時短の終期回数である70回に達したときに時短のフラグがオフされる。このとき、確変のフラグがオフされてから時短のフラグがオフされるまでの図柄変動回数で10回分にあたる期間は、「確変なし・時短あり」の状態に相当する。この状態におけるタイミングβにて大当りが発生すると、その後に移行する遊技状態の種類に応じて第5〜8変動パターンテーブルB1〜B4のいずれかが選択される。このうち第5〜7変動パターンテーブルB1〜B3のいずれかが選択されれば、その後に移行する特定遊技においては引き戻しで大当りを獲得したことを示す演出表示内容が表示され得る。
本実施例においては第3実施例と同様に、図17に示すような大当り前後の遊技状態の組み合わせに応じて変動パターンテーブルを選択することを前提にする。ただし、変形例としては大当り後には必ず「確変あり・時短あり」の特定遊技状態へ移行することとしてもよい。あるいは、第1〜3実施例のように大当りが15R大当り、8R大当り、2R大当りのいずれであるかに応じて確変状態への移行有無と時短状態への移行有無が決定されてもよい。
(第6実施例)
本実施例は多くの点で第1〜5実施例の構成と共通するが、変動パターンテーブルの決定方法においては第1〜5実施例と相違する。以下、第1〜5実施例との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略する。
本実施例の第2始動入賞口63は、第1始動入賞口62の直下に配置され、普通電動役物65が拡開されず閉鎖されているときは第2始動入賞口63へ遊技球が入球しない構成とする。その場合、普通電動役物65が拡開されてはじめて第2始動入賞口63へ入球可能となる。したがって、時短状態でない場合においては、普通電動役物65が拡開されにくく第2始動入賞口63への入球が困難なため、遊技者は第1始動入賞口62を狙って打球する可能性が高い。逆に時短状態においては、普通電動役物65が比較的拡開されやすく第2始動入賞口63への入球容易性も相対的に高まるため、遊技者は第2始動入賞口63を狙って打球する可能性が高い。このような遊技者の打球の狙いを前提として本実施例では以下のように変動パターンテーブルを決定する。ただし、変形例としては、第2始動入賞口63を第1〜5実施例と同様に第1始動入賞口62の直下以外に配置し、釘の配置により通常時には入球し難くし、普通電動役物65が拡開されたときに入球容易となる構成としてもよい。
本実施例においては、第1始動入賞口62への入球を契機とした当否抽選が大当りとなった場合と第2始動入賞口63への入球を契機とした当否抽選が大当りとなった場合とで、その大当り後に参照する変動パターン選択基準の決定方法が異なる。すなわち本実施例において時短でない遊技状態では、第2始動入賞口63の入球容易性が低いため遊技者は第1始動入賞口62を狙って打球するのが通常であると考えられる。したがって、第1始動入賞口62への入球を契機とした当否抽選が大当りとなる状況とは、すなわち時短でない遊技状態からの大当りである可能性が高く、初当りである可能性も高い。また逆に、初当りの状況とは、第1始動入賞口62への入球を契機とした当否抽選での大当りである可能性が高い。そのため、第1始動入賞口62への入球を契機とした当否抽選で大当りとなった場合ないし時短でない状態で大当りとなった場合は、その大当り後に参照する変動パターン選択基準として、リーチ変動パターンの選択頻度が相対的に高い第2の特定遊技用変動パターン選択基準を参照することとする。これにより、初当り後はリーチ演出が適度に出現することによって遊技者の期待を十分に煽ることができ、せっかく獲得した初当りの後に一度もリーチ演出が出現しないまま確変等の特定遊技が終了してしまう可能性を低減できる。
一方、第2始動入賞口63への入球を契機とした当否抽選が大当りとなる状況は、時短状態から発生した大当りである可能性が高く、すでに初当りが生じた後の連続的な2回目以降の大当りである可能性が高い。そのため、第2始動入賞口63への入球を契機とした当否抽選で大当りとなった場合ないし時短状態で大当りとなった場合は、その大当り後に参照する変動パターン選択基準として、リーチ変動パターンの選択頻度が相対的に低い第1の特定遊技用変動パターンテーブルを参照する。
しかし、連チャン状態といえども、リーチ変動パターンの選択頻度が低い状態を一貫して維持してしまうと、演出がほとんど発生せずに大当りへの期待感を遊技者に与えないまま確変状態や時短状態が終了してしまう事態も生じ得る。そこで、連チャン状態においても一時的にリーチ変動パターンが選択されやすい期間を設ける。
本実施例においては、第2始動入賞口63への入球を契機とした当否抽選で大当りとなった場合、当り図柄の種類に応じた異なる態様にて所定の限定的な期間を設ける。そして、第2始動入賞口63への入球を契機とした大当りの後の特定遊技において、限定的な期間以外の期間ではリーチ変動パターンの選択頻度が相対的に低い第1の特定遊技用変動パターンテーブルを参照し、限定的な期間では逆にリーチ変動パターンの選択頻度が相対的に高い第2の特定遊技用変動パターンテーブルを参照する。これにより、連チャン中においても一時的にリーチ頻度が高い期間を設けることができ、遊技者に大当りへの期待感を抱かせやすくすることができる。なお、変形例としては、限定的な期間において第1の特定遊技用変動パターンテーブルよりもリーチ変動パターンの選択頻度が相対的に高ければどのような変動パターンテーブルを参照してもよく、例えば第2の特定遊技用変動パターンテーブルではなく、通常時の変動パターンテーブルを参照する構成としてもよい。
また、限定的な期間の移行タイミングおよび期間長さを当り図柄の種類に応じて変えることにより、一時的にリーチの出やすくなる期間が毎回同じタイミングおよび長さとなることを避け、不自然となるのを防止することができる。例えば、図5における「第2の抽選」で選択される当り図柄「7」「5」「9」のうち、「7」の場合は特別遊技の終了直後から図柄変動回数が5回に達するまでを限定的な期間として第2の特定遊技用変動パターンテーブルを参照し、その後に確変状態が終了するまでの図柄変動回数31回分はリーチ変動パターンの選択頻度が低い第1の特定遊技用変動パターンテーブルを参照する。また、図5における「第2の抽選」で選択される当り図柄が「5」の場合は特別遊技の終了直後から図柄変動回数が10回に達するまでを限定的な期間として第2の特定遊技用変動パターンテーブルを参照し、その後に確変状態が終了するまでの図柄変動回数26回分はリーチ変動パターンの選択頻度が低い第1の特定遊技用変動パターンテーブルを参照する。また、図5における「第2の抽選」で選択される当り図柄が「9」の場合は特別遊技の終了直後から図柄変動回数30回分はリーチ変動パターンの選択頻度が低い第1の特定遊技用変動パターンテーブルを参照し、その後に確変状態が終了するまでの図柄変動回数6回分を限定的な期間として第2の特定遊技用変動パターンテーブルを参照する。このように、限定的な期間は特別遊技終了直後に開始するように設定されてもよいし、確変状態の終了と同時に終了するように設定されてもよい。
次に、特定遊技用変動パターンテーブルの設定方法を説明する。本実施例においては第1実施例と同様に、図14に示す通りS122で第1の状態であればS124にて第1の特定遊技用変動パターンテーブルを設定し、第2の状態であればS126にて第2の特定遊技用変動パターンテーブルを設定する。この設定は、限定的な期間が開始されるか否かを問わず、特別遊技終了時に実行される。その上で、図12のS75およびS68のタイミングで限定的な期間であるか否かを判定し、限定的な期間であればS124の設定にかかわらず第2の特定遊技用変動パターンテーブルを一時的に優先して参照することとする。限定的な期間ではないと判定されれば、S124の設定通りに第1の特定遊技用変動パターンテーブルを参照する。
なお、本実施例においては第2始動入賞口63への入球を契機とした大当りであった場合に当り図柄に応じた態様で限定的な期間を設ける構成とした。変形例においては第1始動入賞口62への入球を契機とする場合と第2始動入賞口63への入球を契機とする場合とで当り図柄の種類に違いをもたせておくことにより、当り図柄の種類に応じて第1始動入賞口62と第2始動入賞口63のいずれへの入球を契機とする当りであるかを判別できるようにしてもよい。その上で、第2始動入賞口63への入球を契機とする場合にのみ選択され得る当り図柄に対して限定的な期間の設定を対応付けることとしてもよい。
また、本実施例においては、大当り時の遊技状態が時短状態であったか否かに応じて変動パターンテーブルを決定する構成を説明した。変形例においては、大当り時の遊技状態が確変状態であったか否かに応じて連チャン中であるかを判別して変動パターンテーブルを決定する構成としてもよい。または、図17に示すように大当り時における確変状態の有無および時短状態の有無と、大当り後の確変状態の有無および時短状態の有無との組合せに応じて変動パターンテーブルを決定する構成としてもよい。この場合、例えば図17の「A1」〜「A4」や「C1」〜「C4」といったリーチ変動パターンの選択頻度が相対的に低い変動パターンテーブルが選択される場合に当り図柄の種類に応じた態様にて限定的な期間が設定される構成としてもよい。
以上のように、本実施例においては、新たな大当りが第1始動入賞口62と第2始動入賞口63のいずれへの入球を契機した大当りであったか、ないし、大当り時の遊技状態が時短状態であったか、に応じて変動パターンテーブルの決定方法を異なるものとすることで、実質的に連チャンの利益を得る前と後でリーチの出現頻度を変えることができる。その上で、連チャン中においても一時的にリーチ頻度が高い期間を設けることができ、遊技者に大当りへの期待感を抱かせやすくすることができる。また、限定的な期間の移行タイミングおよび期間長さを当り図柄の種類に応じて変えることにより、一時的にリーチの出やすくなる期間が毎回同じタイミングおよび長さとなることを避け、不自然となるのを防止することができる。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について述べる。
上記の各実施例においては、第1種ぱちんこ遊技機に相当する遊技が複数混在する構成を例にして説明した。変形例においては、第1種ぱちんこ遊技機の構成、すなわち複数を混在させていない構成にて実現してもよい。
上記の各実施例においては、第2特別図柄193に対して保留する当否抽選を優先的に消化する例を説明した。変形例においては、第1特別図柄192に対して保留する当否抽選を優先的に消化する構成としてもよい。この場合、第2特別図柄193より第1特別図柄192が優先的に図柄変動が実行され、第1特別図柄192の保留抽選値がなくならない限り第2特別図柄193の図柄変動が止まったままとなる。
上記の第1〜5実施例においては、第1始動入賞口62を遊技領域52の略中央近辺に設け、第2始動入賞口63を遊技領域52の右方に設け、互いに距離を離して設置する構成を例示した。変形例においては、第2始動入賞口63を第1始動入賞口62の直下に配置し、普通電動役物65が拡開されず閉鎖されているときは第2始動入賞口63へ遊技球が入球しない構成としてもよい。その場合、普通電動役物65が拡開されてはじめて第2始動入賞口63へ入球可能となる。
上記の各実施例においては、第1の状態からは2R大当りが事実上発生しない例を説明した。変形例においては、第1の状態でも2R大当りが発生し得る構成としてもよい。その場合、図9の確変時短状態402から2R大当りが発生すれば確変時短状態402を維持し、非確変時短状態404から2R大当りが発生すれば非確変時短状態404へ遷移する構成としてもよい。すなわち、2R大当りの後は時短も発生し、その後の特定遊技では第1の特定遊技用変動パターンテーブルを参照する構成としてもよい。別の変形例では、2R大当りが発生したときに参照していた特定遊技用変動パターンテーブルと同じ変動パターンテーブルを、その後の特定遊技において引き続き参照する構成としてもよい。
上記の各実施例においては、大当りの後、100%の確率で確変へ移行する例を説明した。変形例においては、大当りの後、100%未満の確率で確変へ移行する構成であってもよい。その場合、確変へ移行しない場合より確変へ移行する場合の方が確率が高い構成として、例えば80〜90%といった高確率で確変へ移行する構成であってもよい。