JP6199135B2 - 人体支持装置 - Google Patents

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Description

本発明は、椅子の座面又は寝台もしくは床面に敷いて、使用者の座った状態又は寝た状態における体圧の集中を緩和する人体支持装置に関する。
褥瘡(床ずれ)は、長期にわたり寝た姿勢をとらざるを得ない、いわゆる寝たきりの人におけるマットレス等との接触部位に生じやすいが、この他、下肢の不自由な人など、椅子側との接触部位が動かない状態で座位を長時間とらざるを得ない人においても、体重が集中して加わり、長時間にわたり圧迫を受け続ける坐骨結節部や仙骨下部の下側皮膚部で褥瘡が生じやすい。寝たきりの人における褥瘡に対しては、寝た姿勢の体を支えるマット部分に空気の給排で膨縮可能な空気袋(エアセル)を配置し、その内部圧力を変化させて寝た姿勢の人の支持状態を調整できるエアマットが、対策として用いられている。こうした従来のエアマットの一例として、特開2005−118130号公報に開示されるものがある。
また、椅子の場合も同様に、エアセルを配置したクッションが近年用いられるようになっており、こうした従来のクッションの一例として、特開2009−106723号公報に開示されるものがある。
特開2005−118130号公報 特開2009−106723号公報
従来のエアマットやクッションは前記各特許文献に示される構成となっており、褥瘡防止を目的としたものであるが、寝た姿勢や座った姿勢など、同じ姿勢をとらざるを得ない人以外の使用者が用いても問題はなく、過剰な圧迫の継続を避けられるエアマットやクッションとして快適な使用感が得られることとなる。ただし、こうした従来のエアマットやクッションは、内蔵するエアセルの圧力調整で体圧を分散させる点以外に特別なエアセルの制御は行われていなかった。
一方、こうした従来のエアマットやクッションは、病院や介護施設等で用いられる場合がある。この場合、エアマットはベッドと、クッションは車椅子と、それぞれ合わせて用いられていた。こうした使用状況では、エアマットやクッションの使用者はベッドに寝ている、又は車椅子に座っている状態が通常の状態であり、使用者がベッドや車椅子から離れる状態は転落や転倒など何らかの異常事態であることが多かった。そのため、使用者の状態を管理する管理者や介護を行う介護者等は、使用者が誤ってベッドや車椅子から離れる状態に至らないように注意する必要があったが、常に使用者の側にいるわけではないので、使用者から離れた所にいる場合に、使用者がベッドや車椅子から離れたか、離れようとしている状態を知ることができる装置を用いることがある。
ただし、こうした使用者の状態を管理者等に知らせる装置は、エアマットやクッションとは別個の装置となっているため、併用する場合、ベッドや車椅子に複数の装置が設けられて、ベッドや車椅子が取り扱いにくいものとなってしまうことに加え、こうした装置の導入や運用に伴って新たなコストが生じてしまう、といった問題がある。
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、エアセルを用いて支持対象の使用者を適切に支持して圧力を分散し、体表面の圧迫状態の継続を防止すると共に、エアセルの圧力変化に基づいて、支持している使用者の状態を判別して、使用者の異常等への速やかな対応を促せる人体支持装置を提供することを目的とする。
本発明の開示に係る人体支持装置は、空気の給排により膨縮可能とされるエアセルを多数並べて配設した受圧部を少なくとも備え、椅子座面上にクッションとして載置されて使用者の少なくとも臀部を支持する、又は、寝台もしくは床面上にマットとして載置されて使用者の寝た姿勢における下面部分を支持する、人体支持装置において、前記受圧部の各エアセルに対し所定圧力で空気を送給するポンプ部と、エアセルとポンプ部又は外部空間との連通状態と非連通状態とを切替える給排気弁部と、前記各エアセル内部の圧力又は各エアセルに至る空気流路の圧力を検出する圧力センサと、前記圧力センサからの圧力検出信号に基づいて、ポンプ部及び給排気弁部の作動制御を実行し、各エアセルに対する空気の給排を調節する制御部と、前記圧力センサからの圧力検出信号に基づいて各エアセルに支えられた使用者の状態を判別する信号処理部とを備え、前記受圧部の各エアセルが、空気の給排系統を複数のエアセル群ごとに分けられ、前記制御部が、エアセル群ごとに空気の給排タイミングを異ならせてエアセル内部の圧力を調整し、前記信号処理部が、各エアセルに対する空気の給排がなされていない時期の圧力センサからの圧力検出信号を取得し、当該信号に基づいて使用者の状態を判別し、且つ、前記信号処理部が、少なくとも前記判別の結果が人体支持装置から使用者が離れる状態である異常状態の場合に、当該異常状態に係る情報を、少なくとも使用者から離れた他者に認識可能に報知する所定の報知手段に送信するものである。
このように本発明の開示によれば、空気の給排で膨縮するエアセルを多数並べて受圧部とし、空気の給排による内部圧力の変化を伴う各エアセルで上に載った使用者の体を分担して支える一方、空気の給排を行わない状態でエアセルの内部圧力の変化を検出するようにし、圧力変化として現れる使用者の状態を解析することにより、受圧部として並んだ多数のエアセルが、各エアセルごとにその上側に載った使用者の体に押されて変形しながら全体として使用者をバランスよく支持し、適切な姿勢を確保して、体圧を分散でき、使用者の支持が仮に長時間継続しても、過剰な圧迫を無くして皮膚の血行が妨げられることを防止して、褥瘡を生じさせない。加えて、空気の給排がない安定した状態におけるエアセルの内部圧力を検出することで、特別な機構を用いずに、エアセルにおける使用者の体動に伴う内部圧力変化を検出して、体動に現れた使用者の状態に係る情報を低コストで適切に取得でき、さらに、使用者の状態を報知手段による報知を通じて他者に速やかに把握可能として、異常時における使用者に対する介護等の対応に活用でき、使用者の生活における安全性を大きく向上させられる。
また、本発明の開示に係る人体支持装置は必要に応じて、前記制御部が、ポンプ部及び給排気弁部の作動制御により、一のエアセル群の各エアセルの内部圧力を所定の支持圧力まで高めて維持する一方、他のエアセル群の各エアセルの内部圧力は前記支持圧力より低い所定の基準圧力に維持する第一の状態と、前記他のエアセル群の各エアセルの内部圧力を前記支持圧力まで高めて維持する一方、前記一のエアセル群の各エアセルの内部圧力は前記基準圧力に維持する第二の状態と、前記一のエアセル群の各エアセル及び前記他のエアセル群の各エアセルの内部圧力を前記基準圧力以下に維持する第三の状態とを、所定のタイミングで繰り返し生じさせ、前記信号処理部が、前記一のエアセル群の各エアセル及び前記他のエアセル群の各エアセルが前記第三の状態にある間に、圧力センサからの圧力検出信号を取得するものである。
このように本発明の開示によれば、空気の給排で膨縮する複数のエアセル群で内部圧力の状態を順次変化させながら使用者の体を支える中、いずれのエアセルも基準圧力以下とした第三の状態における圧力センサの信号を用いて、エアセル内部の圧力変化を取得し、使用者の状態を判別することにより、一様に基準圧力以下とされた多数のエアセルで、使用者の体動に伴う内部圧力変化の度合いを相対的に大きくすることができ、使用者の状態に対応する変化をより捉えやすくすることができると共に、すべてのエアセル群で同様に基準圧力以下の内部圧力とした条件下での圧力変化の取得が可能であり、使用者の体動に伴う圧力変化とこれに対応する使用者の状態を導く処理を容易に実行でき、使用者の状態をよりスムーズに把握して迅速な対応を実現可能となる。
また、本発明の開示に係る人体支持装置は必要に応じて、前記信号処理部が、前記一のエアセル群の各エアセル及び前記他のエアセル群の各エアセルが前記第三の状態となってから所定時間経過した時期に、圧力センサからの圧力検出信号を取得するものである。
このように本発明の開示によれば、使用者の体を支えるエアセルが、いずれも空気の給排を停止されて基準圧力以下の内部圧力に維持された状態で、さらに空気の給排停止後所定時間を経てから、圧力センサからの信号を取得し、エアセル内部の圧力変化をもたらした使用者の状態を判別することにより、使用者の状態を判別するための圧力センサでの圧力検出の際に、少し前の空気の給排に伴うエアセルの膨縮で生じた使用者の動きの影響を確実に排除して、基準圧力以下とされた多数のエアセルで、使用者の体動に伴う変形、すなわち内部圧力変化のみ生じる状況とすることができ、使用者の状態に対応する変化をより正確に得て、圧力変化に対応する使用者の状態を誤りなく判別でき、正確な使用者の状態把握に基づいて介護者等に適切な対応を促すことができる。
また、本発明の開示に係る人体支持装置は必要に応じて、前記制御部が、ポンプ部及び給排気弁部の作動制御により、前記第三の状態から、前記一のエアセル群の各エアセル及び前記他のエアセル群の各エアセルの内部圧力が前記基準圧力未満で底付きを生じさせない所定の下限圧力に維持される第四の状態を生じさせ、前記信号処理部が、前記一のエアセル群の各エアセル及び前記他のエアセル群の各エアセルが前記第四の状態にある間に、圧力センサからの圧力検出信号を取得するものである。
このように本発明の開示によれば、空気の給排で膨縮する複数のエアセル群で内部圧力の状態を順次変化させながら使用者の体を支える中、いずれのエアセルも空気の給排停止で基準圧力より小さい下限圧力に維持した第四の状態における圧力センサの信号を用いて、エアセル内部の圧力変化を取得し、使用者の状態を把握することにより、一様に下限圧力とされた多数のエアセルで、使用者の体動に伴う内部圧力変化の度合いをさらに大きくすることができ、使用者の状態に対応する変化をより一層捉えやすくすることができ、使用者の状態をより正確に判別して他者の適切な対応を促すことが可能となる。
また、本発明の開示に係る人体支持装置は必要に応じて、前記信号処理部が、前記一のエアセル群の各エアセル及び前記他のエアセル群の各エアセルが前記第四の状態となってから所定時間経過した時期に、圧力センサからの圧力検出信号を取得するものである。
このように本発明の開示によれば、使用者の体を支えるエアセルが、いずれも空気の給排を停止されて下限圧力に維持された状態で、さらに空気の給排停止後所定時間を経てから、圧力センサからの信号を取得し、エアセル内部の圧力変化をもたらした使用者の状態を判別することにより、使用者の状態を判別するための圧力センサでの圧力検出の際に、少し前の下限圧力に移行する際における、空気の排出に伴うエアセルの収縮で生じた使用者の動きの影響を確実に排除して、下限圧力とされた多数のエアセルで、使用者の体動に伴う変形、すなわち内部圧力変化のみ生じる状況とすることができ、使用者の状態に対応する変化をより正確に得て、圧力変化に対応する使用者の状態を誤りなく判別でき、使用者への対応に係る使用者の状態をより正しく伝えられる。
また、本発明の開示に係る人体支持装置は必要に応じて、前記信号処理部が、判別した使用者の状態に係る情報を前記報知手段に伝送して、報知手段に前記情報に基づく報知を実行させるものである。
このように本発明の開示によれば、信号処理部が、判別した人の状態に係る情報を報知手段に伝送し、報知手段が人の状態の報知を実行することにより、報知手段が管理者や介護者等の携帯する通信端末や、特定の場所に管理者や介護者等に対し情報を報知可能に設置された機器である場合に、確実に管理者や介護者等に人の状態に係る情報を伝えて、使用者の状態を把握させられ、使用者の現在の状態に対し管理者や介護者等に迅速且つ適切な対応をとらせることができる。
また、本発明の開示に係る人体支持装置は必要に応じて、前記信号処理部が、少なくとも判別結果が異常状態の場合に、当該異常状態に係る情報を送信して、前記報知手段を作動させて報知を行わせるものである。
このように本発明の開示によれば、報知手段が信号処理部により作動させられるものとされ、信号処理部における判別で、人の状態が特定の状態、例えば、装置から人が離れた、装置上で人が全く動かない、などの異常な状態に変化した場合、信号処理部が報知手段を作動させ、報知手段での報知を実行することにより、管理者や介護者等に人の状態に変化が生じたことを把握させることができ、信号処理部が報知手段を作動させる分、報知手段が例えばランプやブザー等の簡略な報知機構を有するものであってもよく、また、あらかじめ報知に対応した人の状態変化の内容を、報知を受ける管理者や介護者等に周知させておけば、問題なく運用でき、管理者や介護者等は報知により状態変化を認識することで、使用者の異常状態に迅速に対応できる。
本発明の第1の実施形態に係る人体支持装置の車椅子座面載置状態説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る人体支持装置の要部分解斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係る人体支持装置の前側支持部前後方向中央位置における給排制御部を除く各部の断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る人体支持装置の前後方向中央位置における断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る人体支持装置のブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係る人体支持装置におけるエアセルの給排系統説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る人体支持装置における給排制御を受けるエアセルの内部圧力変化状態説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る人体支持装置における使用者の状態判別に基づく報知手段での報知状態説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る人体支持装置における給排制御を受けるエアセルの内部圧力変化状態説明図である。 本発明の第3の実施形態に係る人体支持装置の斜視図である。
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る人体支持装置を前記図1ないし図8に基づいて説明する。本実施形態においては、車椅子の座面上に載置して用いられるクッション状の装置例について説明する。
前記各図において本実施形態に係る人体支持装置1は、空気の給排により膨縮可能とされるエアセル11、12を多数並べて配設した受圧部10と、弾性材で椅子座面に対応する大きさとして形成され、受圧部10を下から支持するベース部13と、ベース部13上側における受圧部10前方部分の中央に配設され、一ユニットとしてポンプ部40、給排気弁部41、制御部42、及び信号処理部45を内蔵する給排制御部14と、ベース部13上側における受圧部10前方部分で横方向中央の給排制御部14を覆うと共に、横方向中央以外ではベース部13の上側に重ねて配設される弾性材製の前側支持部15と、受圧部10と前側支持部15の上側に重ねて配設される弾性材製の上側マット部16と、受圧部10をはじめとする前記各部材を外側からまとめて被覆する可撓性材製のカバー17と、給排制御部14の前側でカバー17を貫通して一部を外部に露出させる状態で配設され、装置の作動に係る使用者の操作入力を受ける操作部18とを備える構成である。
この本実施形態に係る人体支持装置1は、全体として、車椅子60の座面とほぼ同じ大きさとされ、車椅子60の座面上に着脱可能に載置されて、座る姿勢をとった使用者の臀部と大腿部を無理なく載せられるものである。
前記受圧部10をなすエアセル11、12は、空気注入排出に伴う膨縮変形に耐えうる可撓性素材製の略箱状の中空体として成形され、平面視で略方形となり、且つ座面の前後左右方向と平行な縦横各方向にそれぞれ所定の等間隔で複数並列した、いわゆるマトリクス状に配置されて、車椅子60座面の中央及び中央から後方部分に対応する領域に位置するようにしてベース部13上に載置配設される構成である。
各エアセル11、12は、詳細には、上下一対の凸状殻部を組合せた略箱状体とされ、いずれも下面から上面までの高さ寸法を同一として形成されるものである。上下の凸状殻部の形状は、それぞれ截頭四角錐型、すなわち正面視や側面視状態で略台形となるように形成されており、上下の凸状殻部を組合せた状態で上面と下面が略平行となっている。各エアセル11、12の形状は、受圧部10としての配置状態で隅部に位置する一部を除いて同一であり、大きさも同じである。各エアセル11、12が、上面と下面が略平行となる同様の略箱状体とされることで、後述するベース部13の曲面形状に基づいて、受圧部10全体で各エアセル11、12の上面が凹の曲面状に配置されることとなる。
これら各エアセル11、12は、空気の給排系統を第1エアセル群10aと第2エアセル群10bの二つに分けられており、且つ第1エアセル群10aに属するエアセル11と、第2エアセル群10bに属するエアセル12とを縦横各方向で隣合うように交互配置している(図6参照)。すなわち、エアセルは縦横に隣合うセル同士が互いに別のセル群に属するように設定される。
第1エアセル群10aに属する各エアセル11は、それぞれエアセルと一体に成形された空気通路となる連結管部11aを介して、エアセル同士で連通状態とされると共に、第1給排管10cと接続される。同様に、第2エアセル群10bに属する各エアセル12は、それぞれエアセルと一体に成形された連結管部12aを介して、エアセル同士で連通状態とされると共に、第2給排管10dと接続される。
第1給排管10cと第2給排管10dは、エアセル全体を二つの給排系統にまとめた上で、給排制御部14に接続されている。こうしてエアセル11、12は、第1エアセル群10aと第2エアセル群10bごとに独立して空気を給排気される。これら第1エアセル群10aの各エアセル11と第2エアセル群10bの各エアセル12に対して、空気の給排がエアセル群ごとにタイミングをずらして切り替えられ、同時に内部圧力を調整される一群のエアセルはちょうど千鳥状配置をなす。そして、各エアセル11、12は給排制御部14による空気の給排で内部圧力を大気圧より高い所定圧力に調整、維持されつつ、クッション上に接する使用者の臀部等、体の所定部位をそれぞれ支持する仕組みである。
本実施形態では、エアセル11、12を縦4個×横5個の計20個並べて一体に成形した略矩形のシートで受圧部10を構成して、各エアセルを受圧部10として一体的に取り扱えるようにしている。
なお、受圧部10を構成するエアセル11、12の数は前記20個に限られるものではなく、使用態様に応じて適宜設定できる。また、受圧部10は縦横のエアセル数が異なる略矩形状に限らず、縦横のエアセル数を同じにした略方形状や他の形状としてもかまわない。さらに、各エアセルの配置も、マトリクス状配置以外の、平面視で方形以外の正多角形形状としたエアセルをその形状に応じた配置で高密度に並べるようにしたり、エアセル形状を同一にせず、異なる多角形が混在しつつ隙間無く並べられた配置パターンや、円形や多角形が混在する配置パターン等を用いる構成とすることもできる。
前記ベース部13は、使用者の体の重み等による圧力が加わっても破損しない丈夫なウレタンフォーム等の合成樹脂弾性材からなり、受圧部10をなすエアセル11、12や給排制御部14、前側支持部15の下側を支え、且つ車椅子60の座面にほぼずれなく載せられる大きさの略矩形状の厚い略板状体として形成される構成である。ベース部13における受圧部10の前方を除く周縁部には、起立状態の側枠部13aが受圧部10と隣接させて配設される。
そして、このベース部13における中央部及び中央部から後方部分にかけての領域が、中心部分に近付くほど下がった凹の曲面として形成される。この凹の曲面とされる領域は、車椅子60に座る使用者の臀部の下側に位置し、受圧部10をなすエアセル11、12下側に隣接してこれらを支持する部位である。この曲面の形状と、上面と下面が略平行で且つ同じ高さに形成されたエアセル11、12の構造とにより、ベース部13に支持されたエアセル11、12の上面は、受圧部10全体で凹の曲面をなし、エアセル11、12による臀部の支持がこうした凹の曲面をもってなされることとなる。
このように、ベース部13の曲面形状が各エアセル11、12の上面配置に反映されて、ベース部13の曲面各部の傾斜に応じて傾いた各エアセル11、12の上面が全体で凹の曲面をなすことで、表面に凸の曲面を有する臀部形状に対応して、各エアセル11、12で臀部各部位を等しく支持可能となり、臀部を効率よく支持して座位を確実に保持できると共に、体圧を適切に分散させられ、また臀部形状に対応して違和感を少なくし、快適な座り心地が得られる。
このベース部13における、エアセル11、12を支える曲面部分の前方となる領域には、給排制御部14が着脱可能に固定配設されると共に、前側支持部15が載置される。
なお、ベース部13のうち受圧部10を載せる部位は、給排制御部14及び前側支持部15を載せる部分に対し面積をより大きくされており、受圧部10はベース部13全体の中心を基準とすると前後対称ではなく後側に偏倚して配設された状態にある。これは、座位における体の上半身部分を適切に支持する必要のある範囲は主に臀部であり、よってベース部13の中心よりやや後方のみに受圧部10を設定しても問題なく、効率的な支持が行える。
前記側枠部13aは、ベース部13の他部分から起立状態とされて、前側支持部15を左右の側方から挟み込むと共に、受圧部10をなすエアセル11、12をこれらの前方を除く周囲の各側方から取り囲むように配置される。そして、側枠部13aにおける受圧部10後方となる部分の中央所定範囲には、臀部後方の体表面を側枠部13aが強く圧迫して褥瘡の発生に至るのを未然に防ぐための、上側から切欠いた形状の凹部13bが設けられる。
ベース部13は、受圧部10の各エアセルや、上側マット部16などの他部分に比べ密度が大きく変形しにくい若干硬質の弾性材からなる構成である。例えば、ベース部13や上側マット部16等をウレタンフォームとする場合、ベース部13及び側枠部13aは同じウレタンフォームでも、上側マット部16に対し密度を異ならせて変形しにくい性質とするのが好ましい。ベース部13及び側枠部13aが形状をほぼ維持する硬質弾性材とされることで、使用箇所が例えば折りたたみ式の車椅子における、いわゆるスリングシートのような安定しにくい座面でも、クッション全体の形状を適切に維持できる。
また、受圧部10及び前側支持部15に対し、側枠部13aがそれぞれ左右に存在していることにより、側枠部を、その横方向寸法を適宜調整して形成、配設すれば、受圧部10及び前側支持部15の構成を変えることなく、車椅子の種類ごとの座面サイズの違いに対応できる。
前記給排制御部14は、所定圧力で空気を送給するポンプ部40と、エアセル11、12とポンプ部40又は外部空間との連通・非連通を切替える給排気弁部41と、各エアセル11、12に至る空気流路の圧力を検出する圧力センサ57、58と、ポンプ部40の駆動及び給排気弁部41の開閉動作の制御を実行して各エアセルに対する空気の給排を調節する制御部42と、圧力センサ57、58からの信号に基づいて使用者の状態を解析し判別する信号処理部45と、ポンプ部40等へ給電する電源としてのバッテリー43とを備え、これらを一まとまりのユニットとして一つの筐体に内蔵する構造とされるものである。
この給排制御部14は、ベース部13に着脱可能に固定されており、必要に応じて、給排制御部14のベース部13への固定を解消し、給排制御部14をベース部13上からいったん取り除いて別のものと交換可能である。
この給排制御部14は、ベース部13の前寄りで且つ横方向の中心に位置することから、ちょうど着座姿勢の使用者における臀部や大腿部の直下からは外れた状態となり、こうした硬質の機構部が体表面の近くからできるだけ離して配置されることで、クッションに座った人の臀部や大腿部に対し下側から違和感を与えることはない。
前記ポンプ部40は、制御部42による制御を受けて作動し、所定圧力で各エアセル11、12に向けて空気を送給するものである。このポンプ部40は、給排制御部14に内蔵可能な極めて小型である点を含めて公知の構成を有しており、詳細な説明を省略する。
前記給排気弁部41は、エアセル11とポンプ部40との連通・非連通を切替える第1給気弁51と、エアセル12とポンプ部40との連通・非連通を切替える第2給気弁52と、エアセル11と外部空間との連通・非連通を切替える第1排気弁53と、エアセル12と外部空間との連通・非連通を切替える第2排気弁54とを備える構成である。
前記第1給気弁51は、第1エアセル群10aに属するエアセル11に接続する第1給排管10cとポンプ部40との間に配設され、ポンプ部40とエアセル11とを連通させる給気(開放)状態と連通させない非給気(閉止)状態とを切替えるものである。また、第2給気弁52は、第2エアセル群10bに属するエアセル12に接続する第2給排管10dとポンプ部40との間に配設され、ポンプ部40とエアセル12とを連通させる給気状態と連通させない非給気状態とを切替えるものである。
前記第1排気弁53は、第1給排管10cと接続され、この第1給排管10cを介して外部空間とエアセル11とを連通させる排気状態と連通させない非排気状態とを切替えるものである。また、第2排気弁54は、第2給排管10dと接続され、第2給排管10dを介して外部空間とエアセル12とを連通させる排気状態と連通させない非排気状態とを切替えるものである。
これら排気弁が排気状態となると、エアセル内部は大気開放され、エアセルの内部圧力は低下する。なお、前記各弁の非給気状態や非排気状態は、その状態で弁への電力供給等による作動制御が行えない状況となっても、これらの状態をそのまま継続して維持でき、エアセルからの空気流出を抑えてエアセルの内部圧力を保持可能である。
各エアセル11、12に対し、対応する給気弁を給気状態とし、ポンプ部40とエアセルを連通させる一方、排気弁を非排気状態とすることで、エアセルに給気することができる。また、排気弁を排気状態とし、エアセルと外部空間とを排気弁を介して連通させる一方、給気弁を非給気状態とすることでエアセルから排気することができる。
そして、第1エアセル群10aとポンプ部40とを第1給気弁51を介して連通させ、エアセル11に給気する一方で、第2エアセル群10bと外部空間とを第2排気弁54を介して連通させ、エアセル12から排気することで、第1エアセル群10aのエアセル11が、第2エアセル群10bのエアセル12より内部圧力が大となる状態を得ることができる。また、第1エアセル群10aと外部空間とを第1排気弁53を介して連通させ、エアセル11から排気する一方で、第2エアセル群10bとポンプ部40とを第2給気弁52を介して連通させ、エアセル12に給気することで、第2エアセル群10bのエアセル12が、第1エアセル群10aのエアセル11より内部圧力が大となる状態を得ることができる。こうした各状態が制御部42により、タイミングをずらして生じるようにされる。
なお、各給気弁や排気弁としては、主に電磁弁を使用するが、これに限られるものではなく、空気圧制御に用いられるもので確実に給排管の開放、閉止が行えるものであれば適宜選択使用できる。
前記圧力センサ57、58は、各給排管における給気弁や排気弁よりエアセル寄りの中間位置に配設されるものである。これら圧力センサによる各圧力の検出値から制御部42で各エアセル11、12の内部圧力を取得できる仕組みである。また、この圧力センサ57、58は、信号処理部45とも電気的に接続され、エアセル内部の圧力変化に応じて変化する信号を信号処理部45に出力することとなる。
前記制御部42は、操作部18を通じての使用者の操作入力に基づいて、受圧部10の各エアセルに対する空気の給排状態を調整制御するものである。具体的には、制御部42は、ポンプ部40や給排気弁部41の各給気弁や排気弁、及び圧力センサ57、58と電気的に接続され、圧力センサ57、58からの圧力検出信号に基づいて、ポンプ部40の駆動・駆動停止、及び各給気弁や排気弁の開閉動作の制御を実行し、各エアセルに対する空気の給排を調節するものである。この制御部42には、電源としてのバッテリー43が接続され、必要に応じて外部のACアダプタ(図示を省略)等を介して商用電源と接続されて充電されるバッテリー43から電力供給を受け、ポンプ部40等を作動させることとなる。
この制御部42は、第1エアセル群10aの各エアセル11と第2エアセル群10bの各エアセル12に対し、エアセル群ごとにタイミングを異ならせつつ空気の給排を所定のタイミングで切り替える圧力調整制御を行う。詳細には、制御部42は、操作部18を通じて作動開始を指示されると、通常は、エアセル11、12に対して、空気の給排制御を時間をずらした別のタイミングで実行する。
すなわち、制御部42は、ポンプ部40や給排気弁部41の作動制御により、第1エアセル群10aの各エアセル11の内部圧力を所定の支持圧力まで高めて維持する一方、第2エアセル群10bの各エアセル12の内部圧力は所定の基準圧力となるようにして、主に第1エアセル群10aの各エアセル11が着座した使用者の臀部を支持する第一の状態と、第2エアセル群10bの各エアセル12の内部圧力を前記支持圧力まで高めて維持する一方、第1エアセル群10aの各エアセル11の内部圧力は所定の基準圧力となるようにして、主に第2エアセル群10bの各エアセル12が着座した使用者の臀部を支持する第二の状態と、いずれのエアセルも内部圧力が前記基準圧力以下に維持される第三の状態とを、所定のタイミングで順次生じさせ、こうしたエアセルの圧力変化を繰り返させることにより、エアセルで支持される使用者の体に加わる圧力が一定の部位に集中且つ固定することはなく、血行を維持させて褥瘡を防止可能である。
また、第1エアセル群10aの各エアセル11と第2エアセル群10bの各エアセル12は、前後左右で隣接するように配設され、使用者の体を主に支持する部位が入れ替わる際も、近接するエアセル群同士での入れ替わりとなることから、使用者に支持状態の変化を意識させずに済み、快適感を損なわない。
なお、各エアセル11、12の内部圧力が所定の基準圧力や後述する下限圧力に調整される場合でも、大気圧より高い状態は依然維持されており、全ての空気が排気されることはなく、エアセル11、12内に空気が適度に残り、エアセルで支持する使用者に対し、通常の着座姿勢では底付きを生じさせない状態は確保される。
ただし、制御部42は、最初の使用時など、いずれのエアセルも基準圧力に達していない場合には、エアセル11、12に対し同様に空気の給排制御を実行し、全エアセル11、12同時の空気の給排でエアセル11、12の内部圧力を調整して少なくとも基準圧力とすると共に、この基準圧力を維持して、エアセルでの使用者の支持が安全に行えるようにする仕組みである。
前記信号処理部45は、制御部42とは別に圧力センサ57、58と電気的に接続され、圧力センサ57、58の信号を受け取り、この信号の変化から、使用者の状態、例えば、継続的に着座している状態や、立ち上がって座面から離れた状態等を判別するものである。
詳細には、信号処理部45は、圧力センサ57、58からの信号の変化、すなわち、使用者の体動に伴うエアセル11、12の圧力変化に応じた信号の変化を監視、解析し、あらかじめ記録蓄積されている信号変化波形の特徴と様々な体動との関係性のデータを用い、このデータと信号の変化との比較対照により、圧力変化をもたらした体動と、こうした体動として現れた、又は体動の結果生じた、使用者の状態を判別し、判別した情報を別体の送信部46を介して所定の報知手段80に送信するものである。これにより、報知手段80としての表示用機器等の側にいる使用者以外の介護者や管理者、あるいは報知手段80としての携帯通信端末を持つ介護者や管理者が、使用者の状態を識別可能とすることができる。この他、信号処理部45は、判別した使用者の状態を制御部42に送って、制御部42の各エアセルに対する空気の給排制御を、使用者の状態に対応したものとなるようにすることもできる。
この信号処理部45は、例えば、使用者の座位での睡眠(安静)状態や、起きている時の呼吸や会話状態、食事をする状態などで生じる、わずかながら特徴のある体動を識別して、使用者のこれらの状態を判別できる他、新たな着座や、車椅子による走行、立ち上がり(離席)など、使用者の積極的な動作による体動の結果生じた状態を判別できる。加えて、通常は起こり得ないものの、想定可能な使用者の状態、例えば、使用者が装置上面(座面)に足を載せて立つ状態、なども、危険防止のために判別できるようにしている。また当然ながら、使用者がエアセル上に載っていて全く動かない静止状態や、使用者がエアセルから完全に離れた離隔状態も、圧力センサの信号が明らかに通常の状態と異なることに基づき判別できる。
信号処理部45においては、エアセル群ごとに設けられる二系統の圧力センサ57、58からの信号出力を受けることで、一つのセンサ出力のみでは信号変化が使用者の体動に係る圧力変化とノイズのいずれかを判断しにくい場合でも、より精度を高めて圧力変化に応じた信号変化のみを取り扱うことができ、使用者の状態判別におけるSN比向上を実現できる。
この信号処理部45は、そのハードウェア構成として、CPUやメモリ、入出力インターフェース等を備えるコンピュータとなっており、メモリ等に格納されるプログラムにより、コンピュータを信号処理部45として動作させる仕組みである。この信号処理部45をなすコンピュータは、CPUやメモリ、ROM等を一体的に形成されたマイクロコンピュータとしてもかまわない。
なお、この信号処理部45は、制御部42等と同様に給排制御部14に収められる構成としているが、これに限らず、信号処理部を給排制御部14とは別の外付け装置とし、圧力センサ57、58とは操作部18等の装置外面に設けられた着脱可能なコネクタ等を介して電気的接続を行う構成とすることもできる。この場合は、情報を報知手段80に送信するための送信部46を一体化してもかまわない。
信号処理部45は、判別した情報を随時報知手段80に送信することができ、例えば、報知手段80が表示手段を備える機器の場合、判別の結果としての使用者の状態を順次送信して表示手段に表示出力させるようにすることができるが、情報の送信は非常時、すなわち使用者の安全に関わる特定の状態である場合、に限るなど必要最小限としてもよい。この場合、信号処理部45での判別の結果が特定の状態、例えば、使用者の立ち上がりに伴う体動に対応するような変化が検出された後、反応が無くなる車椅子60からの離席状態や、呼吸に伴う微動など生体としての反応が一切現れない静止状態、である場合に、使用者の状態を音や光、表示等により、少なくとも当人以外の、車椅子60から離れた箇所の報知対象者に認識可能に報知する、所定の報知手段、具体的には点灯するランプや、音を出すブザー、表示手段を有した携帯電話等の携帯通信端末と、常時又は必要に応じて接続して、こうした報知手段を報知可能とする、具体的には、直接ランプを点灯させたり、直接ブザーを鳴らしたり、携帯通信端末に情報を送信して機器側で表示又は音声出力させたりすることとなる。
この他、信号処理部45は、あらかじめ記録蓄積された、圧力センサ57、58の信号変化波形の特徴と様々な体動との関係性のデータを用いた比較対照の結果、新たな使用者の体動に伴い入力された圧力センサ57、58からの信号の変化が、想定内のどの体動にも合致しない、すなわち、使用者の状態を判別できない場合には、使用者に何か変わった動きがあったと見なし、これを念のため危険な状態と判断して、こうした状態に係る情報を報知手段80に送信するようにしている。
前記前側支持部15は、前記ベース部13と同様の、使用者の体の重み等による圧力が加わっても破損しない丈夫なウレタンフォーム等の合成樹脂弾性材からなる、厚い略板状体として形成され、受圧部10の前方部分でベース部13上に載置されて配設される構成である。
この前側支持部15は、ベース部13の横方向における側枠部13aに挟まれた中間領域の略全体にわたる長さとされると共に、横方向中央部分下側に凹部15aを切欠き形成され、受圧部10の前方で、ベース部13上に設けられる給排制御部14を凹部15aに収容するようにして覆うと共に、中央以外ではベース部13の上側に重ねて配設される。
前側支持部15は、上に使用者が載らない初期状態での各エアセル11、12上面と同じ高さか、より高い位置に上面が位置するように設定されており、上側マット部16を介して臀部がエアセル上方に、大腿部が前側支持部上方に、それぞれ不用意にずれることなく位置して確実に支持されるようにしている。
前記上側マット部16は、ウレタンフォーム等の可撓性を有する弾性材製の矩形シート状体で形成され、ベース部13上に載置された受圧部10の全体と前側支持部15の大部分を覆う大きさとされ、これら受圧部10と前側支持部15の上側に重ねて配設されるものである。
この上側マット部16は、受圧部10の各エアセル11、12と前側支持部15を一様に覆い、各エアセル11、12間の隙間、及び、各エアセル11、12と前側支持部15間の隙間の上側でも、上側マット部16が着座した使用者の体下面を支持する状態となることから、体の支持面積を増やして体圧をより確実に分散させ、体表面の圧迫を小さく抑えられる。
前記カバー17は、使用者の体の重みや各エアセル11、12からの圧力が加わっても破損しない丈夫な可撓性素材製のシート状体で形成され、受圧部10、ベース部13、上側マット部16、給排制御部14、及び前側支持部15を一体に組み合わせたものを外側からまとめて被覆して、これらを水分や汚れ等から保護するものである。
前記操作部18は、操作用のスイッチ部18a、18bとACアダプタ接続用の端子部18cとを有してなり、クッションの車椅子座面載置状態で前面側となる側面部分で、カバー17を貫通してスイッチ部18a等一部を外部に露出させる状態で配設される構成である。そして、操作部18は、給排制御部14の前側に、この給排制御部14と一体に取り付けられて配設されると共に、制御部42と電気的に接続される構成である。また、操作部18には、信号処理部45に送信部46を接続するための接続端子部(図示を省略)が設けられる。
この操作部18は、制御部42に対する使用者の起動や停止等の操作入力を受け、入力情報を制御部42に送信することとなる。制御部42では、操作部18で入力された操作指示内容を識別し、これに応じて作動開始又は停止する。
前記報知手段80は、信号処理部45からの使用者の状態を判別した情報の送信を受けて、この情報を車椅子60から離れた箇所の管理者等に報知するものである。
この報知手段80は、使用者と離れて使用者の状態を直接確認できないが、管理者や介護者等の報知対象者が通常居る事務室等の場所に設けられた、所定の状態変化を点灯で報知するランプや、音を出力して報知するブザー・スピーカー、画像として情報を表示可能な表示装置やパーソナルコンピュータ、さらに、装置と離れたところにいる報知対象者に携帯されている、表示手段を有した携帯電話等の携帯通信端末など、光や画像表示、警報音、音声等を出力して報知対象者の視覚や聴覚等に訴えて、使用者の状態変化に係る報知を行う公知の装置であり、詳細な説明を省略する。なお、こうした機器を、単独でなく複数組み合わせて報知手段として用いることもできる。また、報知手段80がランプ、ブザー等の場合、直接信号処理部45が作動させるだけでなく、信号処理部45からの信号送信でランプやブザー等を作動させる中継機器を介することもできる。
次に、本実施形態に係る人体支持装置の圧力調整状態について説明する。前提として、あらかじめバッテリー43からの電力供給が正常になされて、制御部42の制御によりポンプ部40及び給排気弁部41が適切に作動可能な状態となっており、また、操作部18への開始操作に基づく作動制御開始直後の初期状態で、制御部42は給排気弁部41における第1給気弁51と第2給気弁52、及び第1排気弁53と第2排気弁54をいずれも閉止状態とし、エアセル11、12の内部圧力を基準圧力に保持しているものとする。
まず、使用者が着座し、クッションの表面に臀部や大腿部を載せて正しく座った状態で、使用者の操作部18に対する動作開始の入力操作に対応して、制御部42がポンプ部40及び給排気弁部41の作動を開始させる。
制御部42は、給排気弁部41における第2給気弁52と第2排気弁54の閉止状態を維持してエアセル12の内部圧力を基準圧力に保持したまま、第1給気弁51を開放状態とし、ポンプ部40がエアセル11に対し空気を供給する状態とする。なおこのとき、第1排気弁53は閉止状態のままとされている。
第1エアセル群10a(図6において表示したエアセルのうち斜線を付加されたもの)のエアセル11の内部圧力が空気の供給で高まると、基準圧力状態に維持されたエアセル12に対するエアセル11の圧力増加により、座っている使用者の体が圧力の高まった千鳥状配置の各エアセル11から主に支持される状態となる。
エアセル11がそれぞれあらかじめ設定された所定の支持圧力に達したことを圧力センサ57が検出したら、制御部42が給排気弁部41における開放状態の第1給気弁51を閉止状態として、空気のエアセル11への注入を停止する。
ここで、制御部42は、全ての給気弁と排気弁を所定時間閉止状態とし、エアセル11の内部圧力を維持する。こうして、前記第一の状態、すなわち、エアセル11の内部圧力は前記支持圧力に維持される一方、エアセル12の内部圧力は基準圧力に維持されて、使用者の体が圧力の高い各エアセル11から主に支持される状態となる。
この後、制御部42は給排気弁部41における第1給気弁51と第2排気弁54の閉止状態を維持する一方、第2給気弁52と第1排気弁53を開放状態にそれぞれ切替え、ポンプ部40がエアセル12に対し空気を供給し、且つエアセル11から空気が排出されるようにする。こうしてエアセル11に対し空気を供給して内部圧力を高くし、その後排気を開始するまでの間を、第1エアセル群高圧期間と定義する(図7参照)。この第1エアセル群高圧期間、すなわち、第1給気弁51が開いて空気供給状態となってから、第1給気弁51が閉じて圧力維持状態に移行し、さらに第1排気弁53が開いて排気が開始されるまでの時間は、5秒間程度が好ましい。
制御部42は、給排気弁部41における第2給気弁52と第1排気弁53を開放状態にそれぞれ切替えた後、第2エアセル群10bのエアセル12の内部圧力をポンプ部40による空気の供給で高める一方、第1エアセル群10aのエアセル11の内部圧力を空気の排出により低下させ、このエアセル12の内部圧力増加と他方のエアセル11の内部圧力減少により、座っている使用者の体が新たに圧力の高まった千鳥状配置のエアセル12から主に支持される状態となる。
そして、エアセル11が基準圧力に、エアセル12が所定の支持圧力にそれぞれ達したことを圧力センサ58が検出したら、制御部42が給排気弁部41の開放状態の第2給気弁52と第1排気弁53を閉止状態として、空気の注入、排出を停止する。
そして、制御部42は、全ての給気弁と排気弁を所定時間閉止状態とし、エアセル12の内部圧力を維持する。こうして、前記第二の状態、すなわち、エアセル12の内部圧力は前記支持圧力に維持される一方、エアセル11の内部圧力は基準圧力に維持され、使用者の体が圧力の高い各エアセル12から主に支持される状態となる。
この後、制御部42は給排気弁部41における第1給気弁51と第1排気弁53の閉止状態を維持してエアセル11の内部圧力を基準圧力に保持したまま、第2排気弁54を開放状態とし、且つ第2給気弁52を閉止状態として、エアセル12から空気が排出される状態とする。こうしてエアセル12に対し空気を供給して内部圧力を高くし、その後排気を開始するまでの間を、第2エアセル群高圧期間と定義する(図7参照)。この第2エアセル群高圧期間、すなわち、第2給気弁52が開いて空気供給状態となってから、第2給気弁52が閉じて圧力維持状態に移行し、さらに第2排気弁54が開いて排気が開始されるまでの時間は、第1エアセル群高圧期間と同様、5秒間程度が好ましい。
制御部42が、第2排気弁54を開放状態とし、且つ第2給気弁52を閉止状態とした後は、空気が排出されることにより第2エアセル群10bのエアセル12の内部圧力が低下する。一方、給排気弁部41における第1給気弁51と第1排気弁53の閉止状態は維持されており、エアセル11の内部圧力は基準圧力に保持されている。
そして、エアセル12が基準圧力に達したことを圧力センサ58が検出したら、制御部42が開放状態の第2排気弁54を閉止状態として、空気の排出を停止する。このように給排気弁部41における全ての給気弁、排気弁が閉止状態を維持して、エアセル11、12に対する空気の給排を停止して、いずれのエアセル11、12の内部圧力も基準圧力となった状態が、所定時間維持される。この場合、座っている使用者の体が、基準圧力となっているエアセル11、12全体から支持される状態となる。
こうしてエアセル12の排気を開始して、エアセル12の圧力を低下させ、最終的にいずれのエアセル11、12も基準圧力か、これより小さい圧力となり、さらにこの基準圧力以下の状態(第三の状態)が続く間を、全エアセル群低圧期間と定義する(図7参照)。
この全エアセル群低圧期間に入って、基準圧力が維持される状態となってから所定時間経過後、さらに、第1排気弁53及び第2排気弁54が開いて空気排出状態となる。空気排出でいずれのエアセル11、12もあらかじめ設定された下限圧力に達したら、第1排気弁53と第2排気弁54が閉じて圧力維持状態に移行する。こうして、第四の状態、すなわち、エアセル11、12が前記第三の状態にある中で、いずれのエアセル11、12も下限圧力に維持されて、使用者の体が底付きを生じさせない程度に圧力を低くした各エアセル11、12で支持される状態となる。
この圧力が維持される前記第四の状態となってから、下限圧力となる前のエアセルの膨縮に伴う使用者の動きが圧力センサ57、58による圧力検出に影響を与えなくなるのに十分な所定時間経過後、圧力センサ57、58の出力を信号処理部45で取得するのを開始し、体動に対応する圧力変化に基づいて、信号処理部45で使用者の状態を判別する。この圧力センサ57、58の出力を信号処理部45で取得開始してから給気が再開されるまでの所定時間を、特に検出期間と定義する(図7参照)。
判別された結果としての使用者の状態を示す情報は、信号処理部45から外部の報知手段80としての表示部や音声出力部等に出力され、これらにより使用者の状態、特に座った姿勢以外の異常な状態が管理者や介護者等に伝えられることとなる。
信号処理部45では、空気の給排がなくエアセルが安定した状態、特に、いずれのエアセル11、12も空気の給排停止で基準圧力より小さい下限圧力に維持した第四の状態における圧力センサ57、58の信号を用いて、エアセル内部の圧力変化を取得し、使用者の状態を判別することから、一様に下限圧力とされた多数のエアセルで、使用者の体動に伴う内部圧力変化の度合いを相対的に大きくすることができ、使用者の状態に対応する変化を捉えやすい上、すべてのエアセル群で同様の圧力条件下での圧力変化の取得が可能であり、使用者の体動に伴う圧力変化とこれに対応する使用者の状態を導く処理を容易に実行でき、使用者の状態をよりスムーズに判別して他者の適切且つ迅速な対応を促すことが可能となる。
さらに、信号処理部45は、空気の給排停止後所定時間を経てから、圧力センサ57、58からの信号を取得し、エアセル内部の圧力変化をもたらした使用者の状態を判別することから、圧力センサ57、58での圧力検出の際に、少し前の空気の給排に伴うエアセル11、12の膨縮で生じた使用者の動きの影響を確実に排除して、下限圧力とされた多数のエアセル11、12で、使用者の体動に伴う変形、すなわち内部圧力変化のみ生じる状況とすることができ、使用者の状態に対応する変化をより正確に得て、圧力変化に対応する使用者の状態を誤りなく判別できる。
エアセル11、12を下限圧力に維持しつつ、圧力センサ57、58の出力を信号処理部45で取得し、信号処理部45で使用者の状態を判別するのを所定時間実行した後は、第1給気弁51と第2給気弁52が開いて給気が再開され、いずれのエアセル11、12もあらためて基準圧力とされる。
以上のように、第2エアセル群高圧期間から全エアセル群低圧期間に移行した後の、いずれのエアセル11、12も基準圧力となってから、さらに、空気排出でエアセルが下限圧力となり、これが維持される検出期間を経て、次に第1給気弁51と第2給気弁52が開いて給気が再開され、各エアセル11、12が基準圧力に達するまでの時間は、30秒間程度が好ましい。
これ以降は、前記同様に第1エアセル群高圧期間、第2エアセル群高圧期間、及び全エアセル群低圧期間が順次切り替わるように、各エアセル内部圧力の各調整過程が制御部42の制御により繰返される。
そして、全エアセル群低圧期間内における検出期間ごとに、エアセルに対し空気の給排が行われなくなって所定時間経過後の適切なタイミングで、圧力センサでの圧力検出の結果が信号処理部45で取得され、使用者の状態が判別される。
前記第1エアセル群高圧期間、第2エアセル群高圧期間では、各エアセル11、12は、空気の供給を受けている場合、基準圧力より高い内部圧力となり、支持圧力に達する過程で、使用者の臀部を支持する主要部分となる一方、空気を供給されず排気弁が開放状態にある場合には、座っている使用者の荷重が加わることで押されて内部の空気を外に排出し、基準圧力となることで、使用者を支持する圧力の受圧部全体に対する割合を減少させる。
そして、エアセル11、12は下限圧力の状態でも、エアセル内の空気容量を適切に確保されることから、使用者が通常の着座姿勢であれは、使用者の臀部に車椅子本来の座面の感触を与えるような底付きを生じさせずに保持できる。
こうして、二つのエアセル群の各エアセル11、12で使用者の臀部の圧力を一部に集中させず分散して支持する状態を維持しつつ、制御部42の制御によりエアセル11、12に対する空気の給排状態変化を与えて、使用者の臀部を主に支持する部位が所定のタイミングで変化することで、使用者が長時間動かない場合でも、使用者の臀部とクッション表面との接触の固定化を防いで、体の特定箇所に長時間圧力が集中しないようにし、圧迫による体の局部的な血流障害を起こりにくくすることに加えて、圧力の変化に伴う刺激を体表面に与えて、使用者が自発的に姿勢を変えないことで滞りがちとなる血流を改善することができ、体表面部の血流の停滞に起因する褥瘡の発生を抑えられる。
給排対象を切替えながら繰返されるエアセル11、12に対する空気の給排動作は、使用者自身が操作部18に対し停止操作を行うか、あらかじめ設定された適切な時間が経過した後、制御部42により停止状態に移行する。この場合もエアセル11、12の内部圧力は各弁の閉止により基準圧力に維持されており、使用者の体重による臀部等の落込みを防いで、いわゆる底付きのない、適切な姿勢を維持できる。
続いて、本実施形態に係る人体支持装置による使用者の状態の判別から報知手段での報知までの過程について説明する。前提として、報知手段80は信号処理部から送信された情報を受信して、これを表示可能な表示部を備える、いわゆるスマートフォン等の携帯通信端末であるものとする。
制御部42の制御により、第1エアセル群高圧期間、第2エアセル群高圧期間、及び、全エアセル群低圧期間が順次切り替わるように、各エアセル内部圧力の各調整過程が繰返される中、全エアセル群低圧期間内における、下限圧力の各エアセル11、12に使用者の体が支持されている各検出期間ごとに、圧力センサ57、58での圧力検出結果としてのセンサ出力信号が信号処理部45で取得される。そして、信号処理部45は、エアセル11、12の圧力変化に応じた信号の変化を監視、解析し、信号変化波形の特徴と様々な体動との関係性のデータを用い、このデータと信号の変化との比較対照により、圧力変化をもたらした体動と、こうした体動として現れた、又は体動の結果生じた、使用者の状態を判別する(図8参照)。
判別された使用者の状態に係る情報は、送信部46を介して報知手段80に送信され、表示部に表示される。報知手段80を持つ介護者や管理者は、報知手段80の表示部に表示された使用者の状態を認識し、使用者が何らかの迅速な対応を必要とする状況(例えば、使用者が車椅子60から離れた離席状態にあるなど)に陥っている場合には、適切な対応をとることとなる。
このように、本実施形態に係る人体支持装置は、空気の給排で膨縮するエアセル11、12を多数並べて受圧部10とし、空気の給排による内部圧力の変化を伴う各エアセル11、12で上に載った使用者の体を分担して支える一方、空気の給排を行わない状態でエアセル11、12の内部圧力の変化を検出するようにし、圧力変化として現れる使用者の状態を解析することから、受圧部10として並んだ多数のエアセル11、12が、各エアセル11、12ごとにその上側に載った使用者の体に押されて変形しながら全体として使用者をバランスよく支持し、適切な姿勢を確保して、体圧を分散し、過剰な圧迫を無くして皮膚の血行が妨げられることを防止して、使用者の支持が仮に長時間継続しても、褥瘡を生じさせない。加えて、空気の給排がない安定した状態におけるエアセル11、12の内部圧力を検出することで、特別な機構を用いずに、エアセル11、12における使用者の体動に伴う内部圧力変化を検出して、体動に現れた生体に係る情報を適切に取得でき、生体、すなわち使用者の状態を報知手段80による報知を通じて他者に速やかに把握可能として、異常時における使用者に対する介護等の対応に活用でき、使用者の生活における安全性を大きく向上させられる。
なお、前記実施形態に係る人体支持装置は、車椅子に適用するものに限定されず、一般的な椅子に適用することもでき、車椅子の場合同様、受圧部10のエアセル11、12で使用者の臀部を支持すると共に、前側支持部15で脚の大腿部を支持して、使用者が自ら着座姿勢を変えられず、褥瘡を起こしやすい状況においても、使用者の体圧を分散し、クッションに接する体表面の血行が妨げられるのを防止して、褥瘡の発生を抑えられる。
(本発明の第2の実施形態)
前記第1の実施形態に係る人体支持装置において、制御部42は各エアセル11、12の給排制御で、第2エアセル群高圧期間の後、全エアセル群低圧期間に移行し、この全エアセル群低圧期間内で特に各エアセル11、12を下限圧力で安定させている検出期間に、圧力センサ57、58の出力を信号処理部45で取得し、信号処理部45で使用者の状態を判別する構成となっているが、これに限らず、第2の実施形態として、図9に示すように、制御部42が、全エアセル群低圧期間内に各エアセル11、12を基準圧力のまま維持して下限圧力にはせず、この全エアセル群低圧期間でエアセル11、12が基準圧力となっている状態で、信号処理部45が圧力センサ57、58の出力を取得して、使用者の状態を判別する構成とすることもできる。
この場合、第2エアセル群高圧期間の後、第2排気弁54が開いて空気排出状態となって全エアセル群低圧期間に移行し、さらにエアセル12が基準圧力に達し、第2排気弁54が閉じていずれのエアセルも圧力維持状態となるが、この基準圧力が維持される状態となってから、基準圧力となる前のエアセルの膨縮に伴う使用者の動きが圧力センサ57、58による圧力検出に影響を与えなくなるのに十分な所定時間経過後、圧力センサ57、58の出力を信号処理部45で取得するのを開始し、体動に対応する圧力変化に基づいて、信号処理部45で使用者の状態を判別する。
こうして、使用者の状態を判別するための圧力センサ57、58での圧力検出の際に、少し前の空気の給排に伴うエアセルの膨縮で生じた使用者の動きの影響を確実に排除して、基準圧力とされた多数のエアセル11、12で、使用者の体動に伴う変形、すなわち内部圧力変化のみ生じる状況とすることができ、前記実施形態同様、圧力変化に対応する使用者の状態を誤りなく判別できる。
この後は、前記同様に第1エアセル群高圧期間、第2エアセル群高圧期間、及び全エアセル群低圧期間が順次切り替わるように、各エアセル内部圧力の各調整過程が制御部42の制御により繰返される。そして、全エアセル群低圧期間ごとに、エアセルに対し空気の給排が行われなくなって所定時間経過後の適切なタイミングで、圧力センサでの圧力検出の結果が信号処理部45で取得され、使用者の状態が判別される。全エアセル群低圧期間、すなわち、第2排気弁54が閉じて圧力維持状態に移行してから、次に第1給気弁51が開いて給気が再開されるまでの時間は、30秒間程度が好ましい。
(本発明の第3の実施形態)
前記第1の実施形態に係る人体支持装置においては、車椅子60の座面上に載置して用いられるクッション状の装置とされる構成としているが、この他、第3の実施形態として、図10に示すように、人体支持装置2が、寝た姿勢の人を支持可能な大きさのマット状とされ、これに空気の給排により膨縮可能とされる細長い略袋状のエアセル21、22を横に複数並べて受圧部20として配設する構成とすることもできる。
この場合も、人体支持装置2は、前記第1の実施形態同様、所定圧力で空気を送給するポンプ部40と、エアセル21、22とポンプ部40又は外部空間との連通・非連通を切替える給排気弁部41と、各エアセル21、22に至る空気流路の圧力を検出する圧力センサ57、58と、ポンプ部40の駆動及び給排気弁部41の開閉動作の制御を実行して各エアセルに対する空気の給排を調節する制御部42と、圧力センサ57、58からの信号に基づいて使用者の状態を解析し判別する信号処理部45とを備える構成である。また、これらは前記第1の実施形態同様、給排制御部24に内蔵されて一ユニットとしてまとめられ、この給排制御部24の前側には操作部28が設けられる構成となっているが、受圧部20とは別体として形成される点が異なる。
そして、制御部42が、圧力センサ57、58からの圧力検出信号に基づいて、ポンプ部40の駆動・駆動停止、及び各給気弁や排気弁の開閉動作の制御を実行し、各エアセルに対する空気の給排を調節し、エアセル21とエアセル22に対し、それぞれタイミングを異ならせつつ空気の給排を所定のタイミングで切り替える圧力調整制御を行う一方、信号処理部45が、圧力センサ57、58からのエアセル21、22の圧力変化に応じた信号の変化を監視、解析して、使用者の状態を判別し、判別した使用者の状態に係る情報を報知手段80に送信することとなる。
信号処理部45は、例えば、受圧部20上に寝た姿勢の使用者の睡眠(安静)状態や、起きている時の呼吸や会話状態で生じる、わずかながら特徴のある体動を識別して、使用者のこれらの状態を判別できる他、仰臥、伏臥、横臥の各状態をはじめ、寝返りや離床など、使用者の積極的な動作による体動の結果生じた状態を判別できる。加えて、通常は起こり得ないものの、想定可能な使用者の状態、例えば、使用者がマット上面に足を付けて立ち上がる状態、なども、危険防止のために判別できるようにしている。また当然ながら、使用者がエアセル上に載っていて全く動かない静止状態や、使用者がエアセルから完全に離れた離隔状態も、圧力センサの信号が明らかに通常の状態と異なることに基づき判別できる。
エアセル21、22で支えられた使用者に対し、制御部42の制御により、前記第1の実施形態同様に、第1エアセル群高圧期間、第2エアセル群高圧期間、及び全エアセル群低圧期間が順次切り替わるように、各エアセル内部圧力の各調整過程が繰返され、全エアセル群低圧期間内の検出期間ごとに、エアセルに対し空気の給排が行われなくなって所定時間経過後の適切なタイミングで、圧力センサでの圧力検出の結果が信号処理部45で取得され、使用者の状態が判別され、情報が報知手段80に送られることで、報知手段80としての表示用機器等の側にいる使用者以外の介護者や管理者、あるいは報知手段80としての携帯通信端末を持つ介護者や管理者が、使用者の状態を識別可能とすることができる。
なお、前記実施形態に係る人体支持装置においては、細長い略袋状のエアセル21、22を横に複数並べて、寝た姿勢の人を支持可能な大きさのマット状に形成される構成としているが、これに限られるものではなく、前記第1の実施形態同様、各エアセルを、平面視で略方形状とし、且つ縦横各方向に複数並列したマトリクス状配置として、マット状に形成する構成とすることもできる。この他、マット状とされるものであれば、所望の形状としたエアセルをその形状に応じた配置で高密度に並べるようにしたり、エアセル形状を同一にせず、異なる多角形が混在しつつ隙間無く並べられた配置パターンや、円形や多角形のエアセルが混在する配置パターン等を採用する構成としてもかまわない。
1、2 人体支持装置
10、20 受圧部
10a 第1エアセル群
10b 第2エアセル群
10c 第1給排管
10d 第2給排管
11、12 エアセル
11a、12a 連結管部
13 ベース部
13a 側枠部
13b 凹部
14 給排制御部
15 前側支持部
15a 凹部
16 上側マット部
17 カバー
17a 開口部
17b 防水シール部
18 操作部
18a、18b スイッチ部
18c 端子部
21、22 エアセル
40 ポンプ部
41 給排気弁部
42 制御回路部
43 バッテリー
45 信号処理部
46 送信部
51 第1給気弁
52 第2給気弁
53 第1排気弁
54 第2排気弁
57、58 圧力センサ
60 車椅子
80 報知手段

Claims (6)

  1. 空気の給排により膨縮可能とされるエアセル(11・12)を多数並べて配設した受圧部(10)を少なくとも備え、椅子座面上にクッションとして載置されて使用者の少なくとも臀部を支持する、又は、寝台もしくは床面上にマットとして載置されて使用者の寝た姿勢における下面部分を支持する、人体支持装置において、
    前記受圧部(10)の各エアセル(11・12)に対し所定圧力で空気を送給するポンプ部(40)と、
    エアセル(11・12)とポンプ部(40)又は外部空間との連通状態と非連通状態とを切替える給排気弁部(41)と、
    前記各エアセル(11・12)内部の圧力又は各エアセル(11・12)に至る空気流路の圧力を検出する圧力センサ(57・58)と、
    前記圧力センサ(57・58)からの圧力検出信号に基づいて、ポンプ部(40)及び給排気弁部(41)の作動制御を実行し、各エアセルに対する空気の給排を調節する制御部(42)と、
    前記圧力センサ(57・58)からの圧力検出信号に基づいて各エアセル(11・12)に支えられた使用者の状態を判別する信号処理部(45)とを備え、
    前記受圧部(10)の各エアセル(11・12)が、空気の給排系統を複数のエアセル群(10a・10b)ごとに分けられ、
    前記制御部(42)が、エアセル群(10a・10b)ごとに空気の給排タイミングを異ならせてエアセル内部の圧力を調整し、
    前記信号処理部(45)が、各エアセル(11・12)に対する空気の給排がなされていない時期の圧力センサ(57・58)からの圧力検出信号を取得し、当該信号に基づいて使用者の状態を判別し、且つ、
    前記信号処理部(45)が、少なくとも前記判別の結果が人体支持装置から使用者が離れる状態である異常状態の場合に、当該異常状態に係る情報を、少なくとも使用者から離れた他者に認識可能に報知する所定の報知手段(80)に送信し、
    前記制御部(42)が、一のエアセル群(10a)の各エアセル(11)の内部圧力を所定の支持圧力まで高めて維持する一方、他のエアセル群(10b)の各エアセル(12)の内部圧力は前記支持圧力より低い所定の基準圧力に維持する第一の状態と、前記他のエアセル群(10b)の各エアセル(12)の内部圧力を前記支持圧力まで高めて維持する一方、前記一のエアセル群(10a)の各エアセル(11)の内部圧力は前記基準圧力に維持する第二の状態と、前記一のエアセル群(10a)の各エアセル(11)及び前記他のエアセル群(10b)の各エアセル(12)の内部圧力が前記基準圧力以下に維持される第三の状態とを、所定の周期で繰り返し生じさせ、
    前記信号処理部(45)が、前記一のエアセル群(10a)の各エアセル(11)及び前記他のエアセル群(10b)の各エアセル(12)が前記第三の状態にある間に、圧力センサ(57・58)からの圧力検出信号を取得することを特徴とする人体支持装置。
  2. 前記請求項1に記載の人体支持装置において、
    前記信号処理部(45)が、前記一のエアセル群(10a)の各エアセル(11)及び前記他のエアセル群(10b)の各エアセル(12)が前記第三の状態となってから所定時間経過した時期に、圧力センサ(57・58)からの圧力検出信号を取得することを特徴とする人体支持装置。
  3. 前記請求項1に記載の人体支持装置において、
    前記制御部(42)が、ポンプ部(40)及び給排気弁部(41)の作動制御により、前記第三の状態から、前記一のエアセル群(10a)の各エアセル(11)及び前記他のエアセル群(10b)の各エアセル(12)内部圧力が前記基準圧力未満で底付きを生じさせない所定の下限圧力に維持される第四の状態を生じさせ、
    前記信号処理部(45)が、前記一のエアセル群(10a)の各エアセル(11)及び前記他のエアセル群(10b)の各エアセル(12)が前記第四の状態にある間に、圧力センサ(57・58)からの圧力検出信号を取得することを特徴とする人体支持装置。
  4. 前記請求項3に記載の人体支持装置において、
    前記信号処理部(45)が、前記一のエアセル群(10a)の各エアセル(11)及び前記他のエアセル群(10b)の各エアセル(12)が前記第四の状態となってから所定時間経過した時期に、圧力センサ(57・58)からの圧力検出信号を取得することを特徴とする人体支持装置。
  5. 前記請求項1ないし4のいずれかに記載の人体支持装置において、
    前記信号処理部(45)が、判別した使用者の状態に係る情報を前記報知手段(80)に伝送して、報知手段(80)に前記情報に基づく報知を実行させることを特徴とする人体支持装置。
  6. 前記請求項1ないし4のいずれかに記載の人体支持装置において、
    前記信号処理部(45)が、少なくとも判別結果が前記異常状態の場合に、当該異常状態に係る情報を送信して、前記報知手段(80)を作動させて報知を行わせることを特徴とする人体支持装置。
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